JP2010192608A - 電子ビーム描画装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 偏向信号源側への負荷の増大を招くことなく、高い周波数での電子ビームの高精度大振幅偏向を可能にする。
【解決手段】 電子ビームを発生する電子源と、電子ビームを集束するレンズと、電子ビームを偏向する偏向器とを有し、電子源から発生した電子ビームを試料面上の所望の位置に照射する電子ビーム描画装置であって、偏向器31は、偏向信号を外部入力用ケーブル52を介して入力する共振回路の一部であり、外部入力用ケーブル52から見たときの共振回路の共振周波数でのインピーダンスが外部入力用ケーブル52の特性インピーダンスとほぼ等しくなるように設定され、偏向信号の周波数は、共振回路の共振周波数とほぼ一致するように設定されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電子源からの電子ビームをレンズにより集束すると共に、偏向器により偏向して試料面上に照射する電子ビーム描画装置に関する。
半導体ウェハ上にLSIパターンを描画する電子ビーム描画装置においては、ブランキング偏向器,成形偏向器,及び対物偏向器などの各種の偏向器が用いられている。この種の偏向器は、例えば複数の偏向電極を有する静電偏向器であり、各々の電極に偏向アンプで発生させた電位を与え、電極間に生ずる電場により電子ビームを偏向するものである。
偏向アンプの出力端には同軸ケーブルの一端が接続され、同軸ケーブルの他端は静電偏向器の偏向電極に接続されている。通常、静電偏向器の偏向電極は電気的には同軸ケーブルとのみ接続されているから、等価回路的には同軸ケーブルの先に容量負荷が付いたものとなる。このため、偏向アンプから入力した信号は偏向電極でほぼ全反射し、入力信号が同軸ケーブルの長さに応じた一定時間遅れで、偏向アンプに戻ってくることになる。このような状態では、偏向アンプの高速での動作は難しい。
偏向電極の一部を同軸ケーブルの特性インピーダンスと等しい終端抵抗を介して接地側と接続することで、偏向電極での信号の反射を抑えて、高速動作を行うことが可能である。しかし、この場合は電圧が一定の状態でも抵抗に流れる電流があるため、偏向アンプへの負荷が大きくなってしまい、駆動電圧を高くすることが難しい。例えば、終端抵抗に50Ωを用い、且つ50Vの電圧を加えることを考えると、終端抵抗では最大では定常的に1Aの電流が流れることになり、アンプ,ケーブル,終端抵抗への負担が大きく現実的ではない。
一方、(特許文献1)には、偏向電極の容量と配線のインダクタンスで決まる高い共振周波数で駆動することが示されている。しかしながらこの場合、抵抗が小さいと回路は実質的にショート状態となり、システムが不安定になりやすい。また、偏向電圧波形は正弦波に限られ、ブランキング偏向で用いようとすると1周期の間のビーム照射時間の割合が制限されると言う問題があった。また、ブランキング偏向時に試料面上でのビーム移動が起こると云う問題があった。
特開2007−242072号公報
本発明の目的は、偏向信号源側への負荷の増大を招くことなく、高い周波数での電子ビームの高精度大振幅偏向を可能にする電子ビーム描画装置を提供することにある。
本発明の一態様は、電子ビームを発生する電子源と、前記電子ビームを集束するレンズと、前記電子ビームを偏向する偏向器とを有し、前記電子源から発生した前記電子ビームを試料面上の所望の位置に照射する電子ビーム描画装置であって、前記偏向器は、偏向信号発生器からの偏向信号を外部入力用ケーブルを介して入力する共振回路の一部であり、前記外部入力用ケーブルから見たときの前記共振回路の共振周波数でのインピーダンスが前記外部入力用ケーブルの特性インピーダンスとほぼ等しくなるように設定され、前記偏向信号の周波数は、前記共振回路の共振周波数とほぼ一致するように設定されていることを特徴とすることを特徴とする。
ここで、共振回路のインピーダンスとケーブルの特性インピーダンスがほぼ等しいとは、必ずしも両者が完全に等しいことのみを意味するものではなく、反射電力が入射電力の1%以下になるように両者のインピーダンスが十分に近く(例えが、両者の違いが±20%以内)、実質的に等しければ良いことを意味している。同様に、偏向信号の周波数と共振回路の共振周波数がほぼ一致とは、必ずしも両者が完全に一致することのみを意味するものではなく、共振周波数をf、周波数の違いをΔfとしたときに、共振器の共振の鋭さを表すQ値(=2π×共振周波数×エネルギー/損失)に対して、Δf/f<0.1/Q程度以下に両者の周波数が十分に近く、実質的に等しければ良いことを意味している。
本発明によれば、偏向器を共振回路の一部で構成すると共に、偏向器の共振周波数が偏向信号としての偏向信号の周波数とほぼ一致し、偏向器の共振周波数でのインピーダンスが外部入力用ケーブルの特性インピーダンスとほぼ等しくなるように設定することにより、偏向信号源側への負荷の増大を招くことなく、偏向器の大振幅での高速動作が可能となる。
第1の実施形態に係わる電子ビーム描画装置を示す概略構成図。 図1の電子ビーム描画装置に用いたブランキング偏向器及びその駆動回路を示す図。 図2のブランキング偏向器の等価回路図。 図2のブランキング偏向器を同じ抵抗値の抵抗で分圧し、中間点で接地した場合の等価回路図。 ブランキング偏向波形と対物偏向器による偏向位置との関係を示す図。 第1の実施形態の変形例を説明するためのもので、対物偏向器の下流に第2のブランキングアパーチャを設けた例を示す図。 図6の構成において、第2のブランキングアパーチャでビームがカットされる様子を示す図。 第1の実施形態の変形例を説明するためのもので、ビームの寸法及び形状を可変するための成形偏向器を設けた例を示す図。 第2の実施形態に係わる電子ビーム描画装置に用いたブランキング偏向器を示す等価回路図。 図9のブランキング偏向器を用いた電子ビーム描画装置の一例を示す概略構成図。 図9のブランキング偏向器を用いた電子ビーム描画装置の他の例を示す概略構成図。 共振周波数f[Hz]及び3f[Hz]を用いた共振器型偏向器を用いた場合の波形を示す図。 第3の実施形態に係わる電子ビーム描画装置に用いたブランキング偏向器を示す斜視図。 図13のブランキング偏向器を示す側面図と横断面図。 図13のブランキング偏向器において、共振器断面を非軸対象とした例を示す図。 共振周波数f,2f,3fで同時に動作させた場合の信号波形を示す図。 第4の実施形態に係わる電子ビーム描画装置に用いたブランキング偏向器を示す等価回路図。
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる電子ビーム描画装置を示す概略構成図である。
図中の11は電子銃であり、電子銃11から放出された電子ビームはコンデンサーレンズ21により集束され、更に投影レンズ22及び対物レンズ23により集束されて、XYステージ12上に載置された試料13の表面に照射されるようになっている。
コンデンサーレンズ21により形成されるクロスオーバ像位置と一致するようにブランキング偏向器31及び軸調整用電磁偏向器32が設置されている。ブランキング偏向器31の下流側に、ブランキングアパーチャ41が設けられている。そして、ランキング偏向器31とブランキングアパーチャ41を用いることで、試料13上の電子ビームを照射(オン)又は遮断(オフ)することが可能となっている。
対物レンズ23と試料13との間には、試料面上での電子ビームの照射位置を制御するための対物偏向器33が設置されている。
この装置を、例えば半導体パターンのうちのコンタクトホールパターンの試作描画に用いる場合には、試料13はXYステージ12上に載置され、1軸方向(X方向とする)に移動させつつ電子ビームを対物偏向器33で偏向しながら、電子ビームをブランキング偏向器31を用いて繰り返しオン・オフしながら照射する。一方向について、端に到達したらステージ12をY方向にステップ移動させ、X方向と逆方向に移動させつつ、電子ビームをオン・オフしながら照射を続ける。
ブランキング偏向器31は電場によって電子ビームを偏向する静電偏向器であり、図2に示すように構成されている。即ち、接地された外筒311内に偏向電極312a,312bが対向配置されており、一方の電極312aはマッチング回路313に接続され、他方の電極312bは接地されている。マッチング回路313は、トランス及びインピーダンス調節用のコンデンサを備えたものである。そして、偏向アンプ(偏向信号発生器)51からの偏向信号(正弦波信号)は同軸ケーブル52を介して供給され、マッチング回路313を介して電極312aに印加されるようになっている。また、外筒311には電子ビーム314が通過できる穴が設けられている。
図3は、ブランキング偏向器31の等価回路図である。511は偏向アンプ51からなる信号源、315はマッチング回路313内のトランス、Mはトランス315の相互インダクタンス、Cdは偏向器31の容量、Rsは回路損失の等価抵抗、CL はインピーダンス調節用のコンデンサの容量、Zcは同軸ケーブル25の特性インピーダンス、L1 はトランス315の一次側の自己インダクタンス、LL はトランス315の二次側の自己インダクタンス、CM はインピーダンス整合用のコンデンサを示している。図3から分かるように、偏向器31は、LL,C(CL+Cd),Rsが直列接続された共振回路で構成されている。自己インピーダンスL1,LL と相互インピーダンスMとの間の関係表すパラメータkをkL1L =M2 として定義する。kは1を越えない正の実数である。
ここで、トランス315は1次側と2次側とを直流的に絶縁された構成とすると、偏向アンプ511のアースと偏向器側のアースとを絶縁することができ、これはノイズ対策として有効である。
電子ビーム軌道はブランキング偏向器31での偏向が無い場合には、ブランキングアパーチャ41で遮蔽されているように軸調整用電磁偏向器(アライメントコイル)32により調整されている。図1中の破線は、ブランキング偏向のない時のビーム軌道を示している。ブランキングアパーチャ41で電子ビームは遮蔽されるが、光学系の分かり易さのため、軌道を延長して示している。また、ブランキング偏向器31による最大偏向付近でブランキングアパーチャ41の開口を通過するようになっている。
ここで、共振回路の共振周波数をfr[Hz]、ωr=2πfとして、回路常数LL,L1,C,M,Rが、
Figure 2010192608
を満たすように決める。但し、Zcは入力に用いる同軸ケーブル52の特性インピーダンスであり、通常Zc=50Ωである。上記の4式のうち、最初の式は共振条件、第2の式はインピーダンス整合条件、第3は電圧増倍率の条件、第4は第2の条件において残存する入力インピーダンスの不整合を除く条件である。この場合、Q〜LLωr/Rs となり、入射角周波数ωとωrとの違いΔω=|ωr−ω|とすると、Δω/ωr<<0.1/Qとなるようにする。
なお、以下では
kLLω>>R
が成立するとして議論を進める。この場合、電圧の像倍率は良い近似でαで与えられる。また、数値については2桁程度の精度で議論する。
α=20の場合の例について具体的な数値を説明する。ブランキング偏向器31の電極間隔を5mm、幅を5mm、長さを20mmとすると、偏向器31の静電容量は約0.2pFである。これに並列にインピーダンス調節用コンデンサを取り付け全体の容量Cを10pFにする。Cに直列にLL =0.25μHのインダクタンスをつないだ閉回路を作ると共振周波数frは約100MHzとなる。以下、共振周波数は100MHzとして説明を続ける。
相互インダクタンスMは12.5nH、R=1.2Ωとする。k=1を仮定すると、L1 =0.625nHであり、CM =4000pFとすれば良い。この時、kLLω>>Rは成立する。なお、説明の便宜上、以下の図ではL1,CM は省略する。
共振回路は偏向器31の一端で接地されている。100MHzの信号をブランキング偏向器31に与えると、ビーム電流は周期的にオン・オフされる。ビーム中心をブランキングアパーチャ41の中心を通過させるのに必要なブランキング偏向器31での偏向角を4mradとすると、ブランキング偏向器31の電極間の電圧は100V程度必要である。振幅100Vの正弦波で、電圧が+100V付近で電子ビームがブランキングアパーチャ41を通過すると、図示していないが、電圧が−100Vでは軌道は図の破線よりも更に左の軌道を取る。
通常は、前記図2及び図3に示すように偏向器31の片方(偏向電極312b)を接地する。しかし、図4に示すように偏向器31を数MΩ程度の抵抗で1:1に分圧し、中間点で接地する方法も取れる。こうすることで、偏向器31の中心部での電位の変化を低減できる。これにより、偏向器31の電場によるビームエネルギーの変化に伴う軌道の誤差を低減することができる。これは、対物偏向器や成形偏向器として使う場合にも有利である。
なお、この場合は、回路の多くの部分の電位が変化するので、接地した金属板等で囲むことが望ましい。また、厳密にはこの接地した金属板(静電シールド)も共振回路の一部となり、近似的には容量とインダクタンスで表すことができる。従って、等価回路を考える場合は静電シールドと回路との間の静電容量とインダクタンスも考慮する必要がある。
図3の例で、共振周波数において、信号源側から共振回路をみたときのインピーダンスはほぼ50Ωとなる。この条件で、偏向器31の電圧の振幅を100Vとした時に必要な入力電圧の振幅は約5Vである。即ち、信号源の電圧のα=20倍の電圧を偏向器31に発生することができたことになる。ここで、大振幅で偏向可能な対物偏向器33をDACアンプで直接駆動させ、ビーム照射位置を図5に示すように、ブランキング周波数に合わせてステップ状に変化させておく。また、レーザー干渉計等を用いて試料13の位置を測定して、その結果を対物偏向器31への信号にフィードバックして照射位置を補正する。
ここで、図6に示すように、第1のブランキングアパーチャ41とは別に第2のブランキングアパーチャ42を対物偏向器33の下流側に設けておき、偏向領域の端部での対物偏向器33の駆動電圧のステップ幅を大きくしておく。これにより、図7に示すように、対物偏向器33の下流側の第2のブランキングアパーチャ42でビームをカットするようにすることもできる。この場合、偏向領域端部での不要な電子ビームの照射の発生を回避することができる。
また、共振回路を流れる電流によって生じる磁場の影響を抑えるために、できるだけより線や同軸線を用いたり、トランス315を巻き線が逆向きの物を組み合わせたものとすることが有効である。また、磁場発生部分であるインダクタンス部をパーマロイで被うことも有効である。
このように本実施形態によれば、ブランキング偏向器31を共振回路の一部で構成すると共に、偏向器31の共振周波数が偏向アンプ51の正弦波信号の周波数とほぼ一致し、偏向器31の共振周波数でのインピーダンスが外部入力用ケーブル52の特性インピーダンスとほぼ等しくなるように設定することにより、偏向アンプ51の負荷の増加を招くことなく、偏向器31の大振幅での高速動作が可能となる。しかも、トランス315を用い信号源の電圧の20倍の電圧を偏向器31に発生することができるため、更なる高速動作が可能となる。従って、高精度で高速の電子ビーム描画を行うことができ、描画スループットの向上をはかることができる。
なお、本実施形態を適用する偏向器としては、必ずしもブランキング偏向器31に限るものではなく、対物偏向器33に適用することも可能である。また、図8に示すように、成形偏向器34と成形アパーチャ45,46を備えた可変成形ビーム方式の電子ビーム描画装置において、成形偏向器34に適用することも可能である。なお、図中の21a,21bはコンデンサーレンズ、24は縮小レンズを示している。
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態に係わる電子ビーム描画装置に用いたブランキング偏向器を示す等価回路図である。
本実施形態で用いたブランキング偏向器31は、磁場を発生させる偏向コイルで構成した電磁偏向器である。即ち、ギャップを有するコ字形の強磁性体コア316に偏向コイル317が巻かれており、この偏向コイル317にトランス315を介して偏向信号が供給されている。
ここで、偏向コイル317に直列にインダクタンスLL をつないだ場合の二次元側の全体のインダクタンスをL,相互インダクタンスをMとする。
Figure 2010192608
を満たすようにL,C,M,Rを決める。
L=25nH、M=4nH、C=100pF、R=0.125Ωとする。この場合、偏向器31(偏向コイル317)に流れる電流の振幅を2Aとすると、必要な入力電圧の振幅は5Vであり、必要な電流の振幅は0.1Aである。即ち、信号源511の電流のβ〜20倍の電流を偏向器31に発生することができる。このとき、回路の入力インピーダンスは50Ωであり、外部回路の同軸ケーブル52とインピーダンス整合が取れている。
このような構成であっても、偏向器31の共振周波数を偏向アンプ51の周波数と一致させ、偏向器31のインピーダンスを同軸ケーブル52の特性インピーダンスとほぼ等しく設定することにより、偏向アンプ51の負荷の増加を招くことなく、偏向器31の大振幅での高速動作が可能となる。従って、先の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
ところで、ブランキング偏向器31の電場又は磁場が正弦波波形である場合、ブランキングアパーチャ41上で常に電子ビームは移動している。このとき、試料13上での入射角も変化する。このとき、対物レンズ23の球面収差の働きで試料面上での入射位置が変化する。また、対物偏向器33の偏向電場が連続的に変化している場合や、ステージ12が連続的に移動している場合、本来一つの点に照射すべき電子ビームの位置が移動する。
この問題を解決するために、対物偏向器33や成形偏向器34の近傍に補正用の偏向器を設け、ブランキング偏向に伴うビーム位置の移動を補正することができる。
図10は、対物偏向器33の近傍に補正対物偏向器35を設けた例である。ブランキング偏向器31を動作させる電磁場と同じ波形の電磁場を補正対物偏向器35に発生させ、更にその振幅と位相と偏向方向をブランキング動作の際の試料面でのビーム移動を打ち消すように対物偏向器33を働かせることにより、電子ビーム照射の1サイクル中のビーム位置の誤差を低減することが可能である。
図11は、成形偏向器34の近傍に補正成形偏向器36を設けた例である。ブランキング偏向器31を動作させる電磁場と同じ波形の電磁場を補正成形偏向器36に発生させ、更にその振幅と位相と偏向方向をブランキング動作の際の第2成形アパーチャ46でのビーム移動を打ち消すように成形偏向器34を働かせることにより、電子ビーム照射の1サイクル中のビーム位置の誤差を低減することが可能である。
球面収差に伴う移動は、入射角に対して3次の依存性を示すのに対して、線形な偏向電場の変化やステージ移動に伴う位置移動は時間に対してほぼ線形の依存性を示す。また、補正偏向器による偏向は時間に対して正弦波的に変化するために、厳密な補正は困難である。このため、例えば全体としてショット時間中のビームの移動の分散を最小にするように決める。
また、ブランキング偏向波形そのものを補正してブランキング偏向に伴うビーム位置の移動を低減することも可能である。具体的には、共振周波数f[Hz]及び3f[Hz]を用いる共振器型偏向器を用いる。fに対応する周期をT=1/f秒と表す。この共振器型偏向器に2つの周波数の入力を接続する。以下、説明の便宜上周波数の単位[Hz]は省略する。
それぞれについて、入力部に帯域透過フィルターが取り付けられている。2つの周波数の信号の振幅と位相とは、共振器内の電場又は電流がA、t0を実数、πを円周率として、基準時刻t0より測定した時間tに対して
A sin{2πf(t−t0)}+(1/9)A[sin{2π×3f(t−t0)}]
の関係で表されるように調整する。
これによって得られる波形は図12のようになり、正弦波に比べて矩形波に近くなる。このようにすることにより、一定の電圧よりも大きい領域での電磁場の変化を小さくでき、これにより、この時間でのビームの移動量を小さくできる。この図では、V>0.9でビームがオンになるとするとその時間は正弦波の場合の約1.5倍あり、ビームオン時のビームの移動量を小さくしてもビームオンの時間を確保できる。
(第3の実施形態)
図13は、本発明の第3の実施形態に係わる電子ビーム描画装置に用いたブランキング偏向器を示す斜視図である。なお、図13では、内部を示すため、外壁の一部を切り欠いている。
本実施形態の偏向器は同軸共振器型偏向器であり、同軸構造体600は外壁、中心部とも銅等の金属で構成されている。外壁には電子ビームが通過できるように2つの開口601,602が設けられている。同軸構造体600の一端側には2つのループアンテナ611a,611bが挿入され、これらのアンテナ611a,611bには信号源511a,511bからの偏向信号がバンドパスフィルター612a,612bを介して供給されている。また、同軸構造体600の他端側には2つのループアンテナ613a,613bが挿入され、これらのアンテナ613a,613bはダミー抵抗615a,615bにより終端されている。
また、図14(a)は本実施形態の偏向器を示す側面図、図14(b)は横断面図である。偏向器による電場は半径方向、磁場は円周方向を向いている。図中の矢印は見易さのためにある瞬間の向きを示すものである。軸方向分布に関して、電場は中央で最大で両端で0、磁場は両端で最大で中央で0となる。従って、電子ビームの偏向は殆ど電場によって行われる。ループアンテナ611a,611bは主に共振器内の磁場と結合するようになっている。
なお、必ずしも共振器断面は軸対称構造である必要はなく。図15に示すように、偏芯した矩形断面でも良い。図15のようにすると、平行な平面が対向する領域を広くでき、電場が半径方向に一様に近くなり、調整が容易となる。
共振器として図13及び図14のように同軸型の共振器とすると、最低次同軸モードの共振周波数をfとすると2f,3f,…も共振周波数となる。共振周波数がfの奇数倍のモードでは、中央部で磁場はほぼ0となり電子ビームは殆ど電場のみにより偏向される。電力供給用のループアンテナは2個設けておき、それぞれ通過周波数がf,3fのバンドパスフィルターを設けて供給する。
これにより、異なる周波数の信号の電力を供給する信号源間の干渉を抑制できる。このとき、前記図3での抵抗での電力の損失に相当するものは通常壁面での抵抗損失である。これは、共振器表面の状態に大きく依存する。そこで、壁面の抵抗をできるだけ小さくしておいて、電力を外部に逃すための損失調整用アンテナを設けておき、損失を調整することも考えられる。損失調整用アンテナによる損失を調整することで偏向電場を調整することができる。
ループアンテナの位置や大きさは信号源側から共振器を見たときのインピーダンスが電力供給用のケーブルのインピーダンスと一致するように決めておく。電力を供給する共振周波数fと3fのモードは電場分布の中央のピークが一致する。例えば、長さを120mmとすると、f=1.25GHzとできる。この構成は、高周波領域での運転に有利である。この場合、同軸型の共振器は直線上であることは必要でなく、曲がったものでも良い。このときは屈曲部の構造は電磁場の反射を小さくできる構造とする。
また、f,3f,5f,…の正弦波を重ねることでも同様な効果を得ることができる。
矩形波は、
Figure 2010192608
の形にフーリエ展開できるから、偏向器を周波数f,2f,3f,5fで同時に動作させて、それぞれの位相と振幅とを矩形波のフーリエ成分となるように
[A sin{2πf(t−t0)}+(1/3)A sin{2π×3f(t−t0)}+(1/5)Asin{2π×5f(t−t0)}]×4/π
とすると、図16のようになる。
ここで、正弦波との比較のため、振幅は最大値が1となるように揃えている。前記図12の場合に比べると、振動は大きいが正弦波よりも変化を小さくすることができる。0.74以上でビームをオンされるとすると、ビームオンの時間は正弦波の場合の約1.7倍長くなる。更に、周波数7f,9f或いは更に高次の波形まで含めることでより正弦波に近くできる。
(第4の実施形態)
図17は、本発明の第4の実施形態に係わる電子ビーム描画装置に用いたブランキング偏向器を示す等価回路図である。
本実施形態では、共振回路に振動電磁場の検出器701を設け、フィードバック回路702により検出器701の検出出力を信号源511にフィードバックしている。検出器701としては、結合の影響が小さいように作られたトランス回路或いは空洞共振器の振動磁場を検出するためのループアンテナ等を用いることができる。検出用のループアンテナは振動電磁場への影響を抑えるようにできるだけ小さいことが望ましい。これらから得られた信号は共振器内部の電磁場の振動を反映している。
従って、検出器701の検出出力(振幅)を測定して、常に所望の値になるように共振回路への入力を制御することで、偏向電圧や偏向磁場の振幅を一定に保つことができる。また、位相を測定して、その値に基づいて入力信号の位相を調整することでビームの偏向のタイミングを一定に保つことが可能である。
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。実施形態では、電子ビーム描画装置について説明したが、本発明は必ずしも描画装置に限らず、電子ビームを高速で偏向する必要のある偏向器を用いた各種の電子ビーム描画装置に適用することが可能である。外部入力用ケーブルは同軸ケーブルに限るものではなく、偏向器を構成する共振器のインピーダンスと同じ特性インピーダンスを有するものであればよい。
また、実施形態ではステージは2次元移動のXYステージを想定したが、回転ステージを用いる場合でも同様に適用できることは勿論のことである。さらに、マッチング回路としては、必ずしもトランスに限るものではなく、偏向信号発生器からの偏向信号(電圧又は電流)を拡大して偏向器に供給できるものであればよい。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
11…電子銃
12…XYステージ
13…試料
21,21a,21b…コンデンサーレンズ
22…投影レンズ
23…対物レンズ
24…縮小レンズ
31…ブランキング偏向器
32…軸調整用電磁偏向器
33…対物偏向器
34…成形偏向器
35…補正対物偏向器
36…補正成形偏向器
41,42…ブランキングアパーチャ
45,46…成形アパーチャ
51…偏向アンプ
52…同軸ケーブル
311…外筒
312a,312b…偏向電極
313…マッチング回路
314…電子ビーム
315…トランス
316…強磁性体コア
317…偏向コイル
511,511a,511b…信号源
600…同軸構造体
611a,611b…ループアンテナ
612a,612b…バンドパスフィルター

Claims (9)

  1. 電子ビームを発生する電子源と、前記電子ビームを集束するレンズと、前記電子ビームを偏向する偏向器とを有し、前記電子源から発生した前記電子ビームを試料面上の所望の位置に照射する電子ビーム描画装置であって、
    前記偏向器は、偏向信号を外部入力用ケーブルを介して入力する共振回路の一部であり、前記外部入力用ケーブルから見たときの前記共振回路の共振周波数でのインピーダンスが前記外部入力用ケーブルの特性インピーダンスとほぼ等しくなるように設定され、
    前記偏向信号の周波数は、前記共振回路の共振周波数とほぼ一致するように設定されていることを特徴とする電子ビーム描画装置。
  2. 前記共振回路の入力側にトランスを有し、前記外部入力用ケーブルからの偏向信号は該トランスを介して入力されることを特徴とする請求項1記載の電子ビーム描画装置。
  3. 前記偏向器は、対向する偏向電極間に生成される電場によって電子ビームを偏向する静電偏向器であり、前記偏向電極間の電位差が前記ケーブルを介して入力される前記偏向信号の電圧値よりも高いことを特徴とする請求項2記載の電子ビーム描画装置。
  4. 前記偏向器は、偏向コイルにより生成される磁場によって電子ビームを偏向する電磁偏向器であり、前記偏向コイルに流れる電流の振幅が前記外部入力用ケーブルを介して入力される前記偏向信号の電流振幅よりも大きいことを特徴とする請求項2記載の電子ビーム描画装置。
  5. 前記偏向器に、インピーダンス調節用のコンデンサが並列に接続されていることを特徴とする請求項3記載の電子ビーム描画装置。
  6. 前記偏向器は、電子ビームの試料面上でのオン・オフを制御するブランキング偏向器であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の電子ビーム描画装置。
  7. 前記ブランキング偏向器よりも前記電子ビームの進行方向下流側に、前記ブランキング偏向器により偏向された時に前記試料面上でビームが移動するのを抑制する補正偏向器が設けられていることを特徴とする請求項6記載の電子ビーム描画装置。
  8. 前記偏向信号の最低周波数fの偏向電場又は偏向磁場の振幅をA(Aは正の実数)とするとき、周波数3f、振幅A/9の偏向電場又は偏向磁場を用いることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の電子ビーム描画装置
  9. 前記偏向器に発生した電圧又は電流の振幅を検出する手段を有し、検出された電圧又は電流の振幅に基づいて、前記電圧又は電流の振幅が所望の値となるように前記外部入力用ケーブルを介して入力される偏向信号を制御する手段を設けたことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の電子ビーム描画装置。
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