JP5736966B2 - Dpf再生終了時期判定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、DPF再生の終了時期を正確に判定できるDPF再生終了時期判定装置に関する。
ディーゼルエンジンなどの内燃機関が搭載された車両では、内燃機関から大気までの排ガスの排出流路にディーゼルパティキュレートフィルタ(Diesel Particulate Filter;以下、DPFという)が設置され、このDPFに粒子状物質(Particulate Matter;以下、PMという)が捕集される。DPFは、多孔質セラミックからなるハニカム細孔状のフィルタにPMを一時的に捕集する部材である。
DPFに捕集されているPMの量(以下、PM堆積量という)が多くなると内燃機関の排気圧力が上昇し内燃機関の特性低下をきたすため、捕集されているPMを燃焼させる処理が行われる。この処理をDPF再生という。DPF再生時には、排気温度を上昇させるための燃料噴射が行われる。排気温度が上昇すると、DPFが昇温され、DPFに捕集されているPMが燃焼する。
DPF再生開始の時期は、DPFの上流と下流の圧力差を検出して判定したり、DPFに設置した2つの電極間で静電容量を検出して判定することが知られている。すなわち、DPFのPM堆積量が増えてくると、排ガスの流れが阻止されてDPFの上流と下流の圧力差が大きくなるので、圧力差にしきい値を設定しておくことで判定が可能である。また、PMが誘電体と導体の混合物であることから、DPFに設置した2つの電極間の静電容量がDPF全体のPM堆積量に比例するので、静電容量から推定されるPM堆積量にしきい値を設定しておくことで判定が可能である。
特開2010−274756号公報 特開2010−285958号公報
前述のように、DPF再生開始の時期は判定が可能である。しかしながら、DPF再生終了の時期は判定が困難である。
DPFの上流と下流の圧力差は、排ガス流量の影響を受けるため、正確に検出することが難しい。再生開始時期の場合、圧力差が大きくなっているので、排ガス流量の影響が相対的に小さく、圧力差を正確に検出することができた。これに対し、再生終了時期の場合、圧力差が小さくなっていくので、排ガス流量の影響が相対的に大きくなり、圧力差を正確に検出するのは容易でない。このため、再生終了時期は正確な判定が困難となる。
再生終了時期の判定が正確でなく、再生が未完了のままで再生終了してしまうと、未燃焼のPMが残るので、その次の再生開始時期が早く来ることになり、DPF再生の頻度が高くなって燃費が悪化する。逆に、実際には再生が完了してPMが残っていないのに再生が継続されてしまうと、燃料が余分に噴射されることになり、やはり燃費が悪化する。
静電容量からPM堆積量を推定して判定する方式でも、再生が進んでPMが減少していくと、PM堆積量が微小になっていくので、ノイズ成分が相対的に大きくなり、再生終了時期を正確に判定しにくくなる。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、DPF再生の終了時期を正確に判定できるDPF再生終了時期判定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明のDPF再生終了時期判定装置は、内燃機関から大気までの排ガスの排出流路に挿入されたDPFの再生終了時期を判定するDPF再生終了時期判定装置において、前記DPF内に、温度が再生温度となる限界である再生限界面に交差する仮想的な面に沿わせて再生限界面の内側から外側にかけて配置され、互いに対向する第一電極及び第二電極と、前記第一電極と前記第二電極間の静電容量を検出する静電容量検出回路と、前記静電容量検出回路が検出した静電容量が減少から安定に転じたとき、再生終了時期であると判定する判定回路とを備えたものである。
前記第一電極と前記第二電極が複数箇所に配置されてもよい。
前記仮想的な面に沿って2列に位置する複数のセルにそれぞれ金属線が挿入され、一方の列の金属線同士が短絡されることにより、前記第一電極が構成され、他方の列の金属線同士が短絡されることにより、前記第二電極が構成されてもよい。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1)DPF再生の終了時期を正確に判定できる。
本発明の一実施形態を示すDPF再生終了時期判定装置が取り付けられたDPFの端面図である。 図1のDPFの斜視図である。 本発明が適用されるDPFの部分端面図である。 本発明が適用されるDPFの部分側断面図である。 図1のDPFの部分端面図である。 図1のDPFの部分端面図である。 本発明のDPF再生終了時期判定装置における時間経過に対する静電容量変化の特性図である。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1及び図2に示されるように、本発明に係るDPF再生終了時期判定装置1は、DPF2内に、温度が再生温度となる限界である再生限界面3に交差する仮想的な面(以下、仮想交差面)4に沿わせて再生限界面3の内側から外側にかけて配置され、互いに対向する第一電極5及び第二電極6と、第一電極5と第二電極6間の静電容量を検出する静電容量検出回路7と、静電容量検出回路7が検出した静電容量が減少から安定に転じたとき、再生終了時期であると判定する判定回路8とを備える。
ここで、再生限界面3について説明する。DPF再生時の燃料噴射によって排気温度が上昇すると、DPF2の中心軸付近の温度がまず上昇し、その周囲の温度が上昇していく。これにより、DPF2の中心軸付近からPMの燃焼が始まり、次第に内周部から外周部に向かって燃焼が拡がっていく。しかし、DPF2の外周部は金属製のハウジング(図示せず)を介して大気に放熱する。このため、DPF2の外周部は温度が上昇しにくく、DPF2の内周部の温度が再生温度である800℃(あるいは900℃ともいわれる)以上に達していても、外周部の温度は再生温度未満となる。DPF再生時に温度が再生温度未満となる領域では、堆積されたPMが燃焼することがない。よって、この領域では、DPF再生を経てもPMが堆積した状態が持続することになる。この領域を再生不能領域と呼ぶ。一方、DPF再生時に温度が再生温度以上となる領域は再生可能領域であり、PMの堆積と燃焼除去が繰り返される。再生可能領域と再生不能領域の境界、すなわち温度が再生温度となる限界を再生限界面3という。
なお、仮に、DPF2が最外周まで再生温度以上になってしまうと、ハウジング及び周辺部品の許容温度を超えてしまう。実際には、ハウジングが赤熱に至ることはないが、それは、DPF2の外周部に形成される再生不能領域がハウジングを熱から保護する断熱層の役割を果たしているからと考えられる。
本実施形態では、DPF2が円柱状に形成され、再生限界面3は、DPF2と同心の円筒状となる。再生限界面3がDPF2の最外周からどのくらいの距離になるかは、DPF2の仕様、あるいは内燃機関や排ガス排出流路の仕様ごとに異なるので、実験により測定するとよい。
再生限界面3が円筒面であるので、再生限界面3に交差する仮想交差面4は、図1のように端面視で中心から放射状に伸びる線で表される。仮想交差面4を挟むようにして第一電極5と第二電極6が配置される。
本実施形態では、第一電極5と第二電極6は、複数箇所に配置される。すなわち、円周角45ー間隔で8箇所に第一電極5と第二電極6が配置される。
第一電極5及び第二電極6のさらなる詳細を説明する前に、DPF2のハニカム構造とPM捕集機能について説明しておく。
図3に示されるように、DPF2は、多孔質材料からなる壁9で縦横の四面が囲まれた複数のセル10が縦横に積層されセル10の端面が縦横に交互に目封じされてなる。図では、目封じをハッチングで示す。目封じされたセル10を目封じセル10a、目封じされないセルを開放セル10bという。図示のように、目封じセル10aの両縦隣及び両横隣は開放セル10bであり、開放セル10bの両縦隣及び両横隣は目封じセル10aである。なお、セル10の端面形状は、ここでは正方形としているが、長方形、平行四辺形など、連続的に並べることのできる形状であればよい。
片側端面と反対側端面とでは、目封じと開放とが逆転する。すなわち、1つのセル10は、片側端面が目封じされていれば、反対側端面は必ず開放であり、片側端面が開放であれば、反対側端面は必ず目封じされている。従って、同じセル10が片側から見れば目封じセル10aとなり、反対側から見れば開放セル10bとなる。
図4に示されるように、DPF2は、排ガスの排出流路に設置され、どちらかの端面が上流に望み、反対の端面が下流に望む。上流に望む面では、目封じセル10aには排ガスは流入せず、開放セル10bのみに排ガスが流入する。排ガスが流入した開放セル10bは、下流に望む反対側端面で目封じされて目封じセル10aとなっているため、排ガスは、多孔質材料からなる壁9を通り抜けて、隣の目封じセル10aに移動する。隣の目封じセル10aは、下流に望む反対側端面が開放されて開放セル10bとなっているため、排ガスは、この開放セル10bから流出する。このようにして、排ガスが壁9を通り抜けるときに、排ガス中のPMが多孔質材料からなる壁9に吸着される。図4では、1つの開放セル10bに流入した排ガスが隣接する2つの目封じセル10aに移動するように示されているが、実際には1つの開放セル10bに流入した排ガスが縦横に隣接する4つの目封じセル10aに移動するので、縦横4つの壁9にPMが吸着される。
本実施形態では、DPF2が図3のようなハニカム細孔構造を有する。DPF2の内部に互いに対向する2つの電極5、6を形成するために、セル10に金属線が挿入される。具体的には、図5及び図6に示されるように、仮想交差面4に沿って2列に位置する複数の開放セル10bにそれぞれ金属線(黒丸で示す)が挿入される。一方の列の開放セル10bに挿入された金属線同士が短絡線11で短絡されることにより、第一電極5が構成され、他方の列の開放セル10bに挿入された金属線同士が短絡線12で短絡されることにより、第二電極6が構成される。
金属線が開放セル10bに端面から挿入される深さは、任意であるが、深く挿入するほど電極長さが長くなり、電極対向面積の増加に寄与する。従って、例えば、金属線は、開放セル10bの反対側端面の目封じされている箇所近くまで届いているのが好ましい。金属線が挿入される端面は、排ガスの排出流路の上流に臨む端面でも、下流に臨む端面でもよいが、第一電極5の金属線と第二電極6の金属線は、同じ端面に挿入される。
図5に示されるように、縦方向に対して仮想交差面4が時計回り45°で交差する場合は、時計回り45°の対角方向二列に並ぶ複数の開放セル10bに金属線が挿入される。図6に示されるように、縦方向に対して仮想交差面4が平行する場合は、縦方向二列に並ぶ複数の開放セル10bに金属線が挿入される。図示しないが、横方向に対して仮想交差面4が平行する場合は、横方向二列に並ぶ複数の開放セル10bに金属線が挿入される。また、図5と対称に縦方向に対して仮想交差面4が反時計回り45°で交差する場合は、反時計回り45°の対角方向二列に並ぶ複数の開放セル10bに金属線が挿入される。これらにより、図1に示された8箇所の第一電極5及び第二電極6が実現される。なお、1つの列を形成する金属線の本数は、特に限定されない。
図5の場合、金属線が挿入された開放セル10bの一列と別の一列との間隔(短絡線11と短絡線12の間隔)は、セル10のピッチ(縦横幅)をdとすると、√2dとなる。したがって、第一電極5と第二電極6により構成されるコンデンサは、電極間距離が√2dで、所定の電極対向面積を有する2枚の電極板からなる平行平板コンデンサと見なせる。
図6の場合、金属線が挿入された開放セル10bの一列と別の一列との間隔(短絡線11と短絡線12の間隔)は、2dとなる。したがって、第一電極5と第二電極6により構成されるコンデンサは、電極間距離が2dで、所定の電極対向面積を有する2枚の電極板からなる平行平板コンデンサと見なせる。
図1に示されるように、静電容量検出回路7は、第一電極5と第二電極6間の静電容量を検出するようになっている。図示省略されているが、8箇所の第一電極5と第二電極6は、並列接続されて1つの静電容量検出回路7に接続されるか、あるいは8つの静電容量検出回路7にそれぞれ接続される。
判定回路8は、1つあるいは8つの静電容量検出回路7が検出した静電容量の信号を処理し、静電容量の変化を分析するようになっている。この分析に基づき、静電容量が減少から安定に転じたとき、再生終了時期であると判定することができる。判定回路8は、電子制御装置(Electronical Control Unit;ECU)に搭載するとよい。この場合、静電容量検出回路7の出力を適宜なインターバルでサンプリングして時系列を蓄積し、その時系列を処理することで変化を分析することになる。
以下、本発明のDPF再生終了時期判定装置1の動作を説明する。
内燃機関の運転が続くと、DPF2では、図4で説明したように、各セル10の壁9にPMが吸着され、PM堆積量が増加していく。第一電極5と第二電極6間のPM堆積量が増加するので、第一電極5と第二電極6により構成されるコンデンサの静電容量が増大する。
その後、従来技術によりDPF再生開始の時期が判定され、DPF再生が開始されると、燃料噴射によって排気温度が上昇する。DPF2では、中心軸付近の温度がまず上昇し、その周囲の温度が上昇していく。再生温度以上となった場所では、PMが燃焼するので、中心軸付近から外側に燃焼が拡がっていく。
燃焼が第一電極5及び第二電極6の最内周の位置を越えると、第一電極5と第二電極6間のPMが燃焼して減少するので、図7に示されるように、静電容量検出回路7が検出する静電容量が減少していく。さらに燃焼が進んで再生限界面3に達すると、再生限界面3より外側は再生不能領域であるので、PMは燃焼しない。このため、これ以上時間が経過しても静電容量は変化しなくなる。
判定回路8は、静電容量検出回路7が検出した静電容量が減少から安定に転じたとき、再生終了時期であると判定することになる。例えば、単位時間当たりの静電容量減少値がしきい値より大きい状態が継続した後、しきい値より小さい状態に転じたとき(図7のグラフの屈曲部)、あるいは、単位時間当たりの静電容量減少値がしきい値より小さい状態が所定時間より長く継続したとき(図7のグラフの低い平坦部)、DPF2での燃焼が再生限界面3に達し、これ以上燃料噴射を続けても効果がないので、再生終了時期であると判定する。
以上説明したように、本発明のDPF再生終了時期判定装置1によれば、互いに対向する第一電極5及び第二電極6が再生限界面3に交差する仮想交差面4に沿わせて再生限界面3の内側から外側にかけて配置されているため、DPF再生時の燃焼が進行して再生限界面3に達したとき、静電容量が減少から安定に転じるので、再生終了時期が判定できる。図7に示したように、静電容量の変化は顕著に生じるので、再生終了時期が正確に判定できる。
第一電極5と第二電極6間の静電容量がPM堆積量に比例するという原理に関しては、従来からある再生開始時期の判定に使用されるPMセンサと同じであるが、本発明のDPF再生終了時期判定装置1にあってはPM堆積量の絶対量を検出するような精度は必要なく、静電容量が変化している様子が認識できればよい。したがって、静電容量検出回路7や判定回路8は、簡素な構成で実現することができる。
本実施形態では、図1のように第一電極5と第二電極6が円周角45°間隔で8箇所に配置されたが、これに限らず、第一電極5と第二電極6は1箇所以上あれば十分である。また、仮想交差面4は無限本数定義できるので、第一電極5と第二電極6は9箇所以上に配置してもよい。
本実施形態では、図5のように、セル10の縦横配列に対して仮想交差面4が対角線をなす場合と、図6のように、セル10の縦横配列に対して仮想交差面4が直交、あるいは平行する場合を説明したが、セル10の縦横配列に対する仮想交差面4の角度は任意に定義できる。この場合、金属線が挿入される開放セル10bは、必ずしも一直線には並ばないが、再生限界面3の内側から外側にかかる第一電極5と第二電極6によりコンデンサが構成されることで本発明の目的が達成される。
本実施形態では、図5、図6のように、第一電極5の金属線が挿入される開放セル10bに対して、第二電極6の金属線が挿入される開放セル10bは、横方向に目封じセル10aを1個だけ挟んでいるが、横方向に目封じセル10aを2個と開放セル10bを1個挟んでいるようにしてもよく、それ以上に電極間隔を広くしてもよい。
1 DPF再生終了時期判定装置
2 ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)
3 再生限界面
4 仮想交差面
5 第一電極
6 第二電極
7 静電容量検出回路
8 判定回路
9 壁
10 セル
10a 目封じセル
10b 開放セル
11、12 短絡線

Claims (3)

  1. 内燃機関から大気までの排ガスの排出流路に挿入されたディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、DPF)の再生終了時期を判定するDPF再生終了時期判定装置において、
    前記DPF内に、温度が再生温度となる限界である再生限界面に交差する仮想的な面に沿わせて再生限界面の内側から外側にかけて配置され、互いに対向する第一電極及び第二電極と、
    前記第一電極と前記第二電極間の静電容量を検出する静電容量検出回路と、
    前記静電容量検出回路が検出した静電容量が減少から安定に転じたとき、再生終了時期であると判定する判定回路とを備えたことを特徴とするDPF再生終了時期判定装置。
  2. 前記第一電極と前記第二電極が複数箇所に配置されたことを特徴とする請求項1記載のDPF再生終了時期判定装置。
  3. 前記仮想的な面に沿って2列に位置する複数のセルにそれぞれ金属線が挿入され、一方の列の金属線同士が短絡されることにより、前記第一電極が構成され、他方の列の金属線同士が短絡されることにより、前記第二電極が構成されたことを特徴とする請求項1又は2記載のDPF再生終了時期判定装置。
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