従来、用紙等の媒体の搬送方向(副走査方向)に対して直交する方向(主走査方向)に印字ヘッドが走査することによって媒体に印刷する、いわゆるシリアルプリンタの印刷装置においては、媒体として、長い帯状の連続帳票用紙、いわゆる連帳用紙を使用して印刷することができるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
なお、連帳用紙は、長い用紙であって、扇子のように交互に折り畳まれており、1枚ずつ展開しながら、搬送されて印刷される。また、ページ毎に切り離すことができるように、各ページの間にミシン目が形成され、該ミシン目は、折り畳むための折り目としても機能する。さらに、一般的な連帳用紙では、各ページの両側に、スプロケットホールと称する紙送り用の丸い孔(あな)が並んで形成されている。
図2は従来の印刷装置が備える搬送装置における媒体搬送路を説明する模式側面図、図3は従来の印刷装置が備える媒体ガイド部材の正面図、図4は従来の印刷装置が備える媒体ガイド部材の斜視図、図5は従来の搬送装置の媒体ガイド部材の狭隘端部と媒体のミシン目との位置関係を示す平面図である。
図において、100は、従来の印刷装置が備える搬送装置であり、図示されない給紙装置によって給紙された媒体としての連帳用紙102を搬送するトラクタ装置101と、連帳用紙102をガイドする上側ガイド部材103及び下側ガイド部材104とを有する。なお、連帳用紙102が交互に折り畳まれた状態から1枚ずつ展開されて給紙されるので、各ページの間に折り目として機能するミシン目109を有する。また、107は回転可能なローラ状のプラテンローラ、108は主走査方向(図2における画面に垂直な方向)に走査可能な印字ヘッド、106は印字ヘッド108に供給される図示されないインクリボンを保護するリボンプロテクタ、105は連帳用紙102をプラテンローラ107の表面に押圧するリーフスプリングである。
前記トラクタ装置101は、連帳用紙102の両側に形成されたスプロケットホールと係合するスプロケットを備え、図示されないラインフィードモータの駆動力によって前記スプロケットを回転させることにより、所定の搬送速度で連帳用紙102を、図2及び5において矢印Aで示される方向、すなわち、媒体搬送方向に、搬送する。すると、連帳用紙102は、上側ガイド部材103、下側ガイド部材104、リーフスプリング105及びリボンプロテクタ106の各部に沿うとともに、プラテンローラ107の周囲に巻き付くようにして媒体搬送方向(プラテンローラ107の外周方向)に搬送される。そして、主走査方向である媒体幅方向に走査可能な印字ヘッド108によって、連帳用紙102の所定位置に文字等が印刷される。
なお、連帳用紙102の先端は、折り目、皺(しわ)、カール等が生じるので、一様で均一な状態となっていない場合が多い。そこで、連帳用紙102の搬送路の入口に相当する上側ガイド部材103及び下側ガイド部材104は、媒体搬送方向上流側端部での相互の間隔が広く設定されている。これにより、先端の状態が一様でなく不均一な連帳用紙102であっても、上側ガイド部材103と下側ガイド部材104との間に形成される搬送路内に、確実に搬送されて進入可能となる。
もっとも、搬送路の上下方向の間隔が広いと、搬送路内で連帳用紙102がその厚さ方向、すなわち、上下方向に屈曲しやすくなる。そして、連帳用紙102が屈曲すると、トラクタ装置101によって付与された駆動力が連帳用紙102の媒体搬送方向下流側に十分に伝達されず、連帳用紙102の搬送精度が低下してしまう。つまり、搬送路の上下方向の間隔は、連帳用紙102の屈曲防止の観点からは、狭い方が望ましい。
そこで、上側ガイド部材103及び下側ガイド部材104は、相互の間隔が、媒体搬送方向下流側に行くにつれて漸次狭くなり、図2に示されるように、狭隘(あい)端部110より搬送方向下流側では、ほぼ一定となるように設定されている。なお、前記狭隘端部110は図において黒丸として示されているが、該黒丸は、上側ガイド部材103と下側ガイド部材104とに挟まれた空間において、上側ガイド部材103及び下側ガイド部材104の間隔が漸次狭くなって狭隘端部110となった箇所を示す印乃至マークであって、部材乃至物品を示すものでないことに留意されたい。
また、図3及び4に明確に示されるように、上側ガイド部材103には、その下面から下方に突出し、かつ、媒体搬送方向に延在する複数の上側リブ111が、連帳用紙102の幅方向(媒体幅方向)に所定の間隔で並ぶように、形成されている。同様に、下側ガイド部材104には、その上面から上方に突出し、かつ、媒体搬送方向に延在する複数の下側リブ112が、媒体幅方向に所定の間隔で並ぶように、形成されている。なお、上側リブ111と下側リブ112とは、各々が対向するような位置に形成されている。
そのため、上側ガイド部材103と下側ガイド部材104との間に形成される搬送路の上面及び下面は、実質的には、上側リブ111の下面及び下側リブ112の上面によって画定される。したがって、上側ガイド部材103と下側ガイド部材104との間に形成される搬送路の上面及び下面の形状及び相互の間隔は、上側リブ111及び下側リブ112の形状を調整することによって、適宜調整することができるので、搬送装置100の製造コストを低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における印刷装置が備える搬送装置での媒体搬送路を説明する模式側面図、図6は本発明の第1の実施の形態における印刷装置が備える媒体ガイド部材の正面図、図7は本発明の第1の実施の形態における印刷装置が備える媒体ガイド部材の斜視図である。
図において、10は、本実施の形態における搬送装置であり、図示されない印刷装置がが備える搬送装置である。前記印刷装置は、いかなる方式の印刷装置であってもよく、例えば、インクジェット方式、感熱方式、熱転写方式等の印刷装置であるが、ここでは、ワイヤドット方式の印刷装置であるものとして説明する。
そして、前記搬送装置10は、前記印刷装置が備える図示されない給紙装置によって給紙された媒体12を搬送するための装置である。なお、前記媒体12は、印刷可能な媒体であればいかなる種類のものであってもよく、例えば、印刷用紙、OHP(Over Head Projector)シート等であるが、ここでは、長い帯状の連続帳票用紙、すなわち、連帳用紙であるものとして説明する。そして、連帳用紙としての媒体12は、長い帯状の用紙であって、扇子のように交互に折り畳まれて給紙トレイ等にセットされており、前記給紙装置によって、1枚ずつ展開しながら、給紙されて印刷される。また、ページ毎に切り離すことができるように、媒体12の各ページの間に境界線としてのミシン目19が形成され、該ミシン目19は、折り畳むための折り目としても機能する。さらに、前記媒体12では、各ページの両側に、スプロケットホールと称する紙送り用の丸い孔が並んで形成されているものとする。
また、17は回転可能なローラ状のプラテンローラ、18は主走査方向(図1における画面に垂直な方向)に走査可能な印字ヘッド、16は印字ヘッド18に供給される図示されないインクリボンを保護するリボンプロテクタ、15は媒体12をプラテンローラ17の表面に押圧するリーフスプリングである。ここでは、前記印字ヘッド18は、複数本のワイヤ(ニードル)を選択的に駆動し、該ワイヤの先端でインクリボンを叩(たた)くことによって媒体12に印刷を行うものであるとして説明する。
本実施の形態において、前記搬送装置10は、媒体12を駆動して搬送する媒体駆動装置としてのトラクタ装置11と、媒体12をガイドするガイドユニット25とを有する。該ガイドユニット25は、媒体12の一面側に配設される一側ガイド部材としての上側ガイド部材13と、媒体12の他面側に配設される他側ガイド部材としての下側ガイド部材14と、前記上側ガイド部材13と下側ガイド部材14との間に形成された媒体12が通過する媒体搬送路27とを備える。
前記トラクタ装置11は媒体12の両側に形成されたスプロケットホールと係合するスプロケットを備え、図示されないラインフィードモータ等の駆動源の駆動力によって前記スプロケットを回転させることにより、所定の搬送速度で媒体12を、図1において矢印Bで示される方向、すなわち、媒体搬送方向に、搬送する。すると、媒体12は、上側ガイド部材13、下側ガイド部材14、リーフスプリング15及びリボンプロテクタ16の各部に沿うとともに、プラテンローラ17の周囲に巻き付くようにして媒体搬送方向(プラテンローラ17の外周方向)に搬送される。そして、主走査方向(媒体幅方向)に走査可能な印字ヘッド18によって、媒体12の所定位置に文字等が印刷される。
そして、上側ガイド部材13及び下側ガイド部材14は、媒体搬送方向に延在する板状の部材であって、相互の間隔が、媒体搬送方向上流側端部で広く設定されるとともに、媒体搬送方向下流側に行くにつれて漸次狭くなり、図1に示されるように、狭隘端部20より媒体搬送方向下流側では、狭隘かつほぼ一定となるように、設定されている。そのため、媒体12の先端が、折り目、皺、カール等が生じたことによって一様でなかったり、不均一になっているような場合であっても、媒体12の先端は、上側ガイド部材13と下側ガイド部材14との間に形成される媒体搬送路27内に、確実に搬送されて進入することができるとともに、前記媒体搬送路27内における狭隘端部20より媒体搬送方向下流側において、媒体12がその厚さ方向に屈曲してしまうことがない。
図6及び7に明確に示されるように、上側ガイド部材13には、その下面から下方に突出し、かつ、媒体搬送方向に延在する複数の上側リブ21が、媒体12の幅方向、すなわち、媒体幅方向に所定の間隔で並ぶように、形成されている。同様に、下側ガイド部材14には、その上面から上方に突出し、かつ、媒体搬送方向に延在する複数の下側リブ22が、媒体幅方向に所定の間隔で並ぶように、形成されている。なお、上側リブ21と下側リブ22とは、各々が対向するような位置に形成されている。
そのため、上側ガイド部材13と下側ガイド部材14との間に形成される媒体搬送路27の上面及び下面は、実質的には、上側リブ21の下面及び下側リブ22の上面によって画定される。したがって、上側ガイド部材13と下側ガイド部材14との間に形成される媒体搬送路27の上面及び下面の形状及び相互の間隔は、上側リブ21及び下側リブ22の形状を調整することによって、適宜調整することができるので、搬送装置10の製造コストを低減することができる。
そして、本実施の形態においては、媒体幅方向に並んで複数形成される狭隘端部20の媒体搬送方向に関する位置が、隣接するもの同士で互いにずれるようにするために、上側リブ21は、相互に形状の異なる2種類、すなわち、第1上側リブ21a及び第2上側リブ21bを含んでいる。具体的には、第1上側リブ21aは、その下面と対向する下側リブ22の上面との間隔が漸次狭くなってから一定に移行する箇所である狭隘端部20に対応する部位から媒体搬送方向上流側端部までの長さが、第2上側リブ21bより短くなるように形成されている。換言すると、図1に明確に示されるように、第1上側リブ21aは、媒体搬送方向上流側端部から媒体搬送方向下流に向かう下面の傾斜が、第2上側リブ21bより急になるように形成されている。その他の点では、第1上側リブ21aと第2上側リブ21bとは形状が同じであり、かつ、媒体搬送方向上流側端部及び媒体搬送方向下流側端部の媒体搬送方向に関する位置も、第1上側リブ21aと第2上側リブ21bとは等しくなっている。これ以降も、第1上側リブ21aと第2上側リブ21bとを統括的に説明する場合には、上側リブ21として説明する。
一方、すべての下側リブ22は、同一の形状となるように形成されている。そして、第1上側リブ21aと第2上側リブ21bとは、媒体幅方向に交互に並ぶように形成されている。したがって、媒体幅方向に並んで、第1上側リブ21a及び第2上側リブ21bの下面と下側リブ22の上面との間に形成される狭隘端部20の媒体搬送方向に関する位置は、隣接するもの同士で互いにずれることとなる。
次に、媒体幅方向に並んだ複数の狭隘端部20の媒体搬送方向に関する位置関係について、より詳細に説明する。
図8は本発明の第1の実施の形態における搬送装置での狭隘端部の位置のずれを説明する模式側断面図、図9は本発明の第1の実施の形態における搬送装置の媒体ガイド部材の狭隘端部と媒体のミシン目との位置関係を示す平面図である。なお、図8において、(a)は図6におけるC−C矢視断面図、(b)は図6におけるD−D矢視断面図である。
本実施の形態における狭隘端部20は、図8(a)に示されるように、第1上側リブ21aの下面と下側リブ22の上面との間に形成される第1狭隘端部20aと、図8(b)に示されるように、第2上側リブ21bの下面と下側リブ22の上面との間に形成される第2狭隘端部20bとを含んでいる。前述のように、第1上側リブ21aは、媒体搬送方向上流側端部から媒体搬送方向下流に向かう下面の傾斜が、第2上側リブ21bより急になるように形成されているので、第1狭隘端部20aは、第2狭隘端部20bよりも、媒体搬送方向上流側に位置する。つまり、媒体搬送方向に関する第1狭隘端部20aの位置と第2狭隘端部20bの位置とのずれ、すなわち、差分をEとすると、第1狭隘端部20aは、第2狭隘端部20bよりも、距離Eだけ、媒体搬送方向上流側にずれている。これ以降、第1狭隘端部20aと第2狭隘端部20bとを統括的に説明する場合には、狭隘端部20として説明する。
そして、前述のように、第1上側リブ21aと第2上側リブ21bとは、媒体幅方向に交互に並ぶように形成されているので、上側ガイド部材13と下側ガイド部材14との間に形成される媒体搬送路27の上面及び下面の間隔が狭くなる箇所の入口に相当する狭隘端部20は、図9に示されるように、媒体幅方向に所定の間隔で並ぶように形成され、かつ、媒体搬送方向に関する位置が、隣接するもの同士で互いにずれるように形成される。より具体的には、狭隘端部20は、1つずつ媒体搬送方向に関する位置が前後するように、媒体幅方向に千鳥状又はジグザグに並んでいる。更に換言すると、狭隘端部20は、媒体幅方向に所定の間隔で、媒体12の面の上方から観て波形を描く点線のように、並んでいる。したがって、狭隘端部20は、媒体12のミシン目19と平行な直線上には並んでいない。
なお、前記狭隘端部20(第1狭隘端部20a及び第2狭隘端部20bも含む)は図において黒丸として示されているが、該黒丸は、上側リブ21(第1上側リブ21a及び第2上側リブ21bを含む)と下側リブ22とに挟まれた空間において、上側リブ21及び下側リブ22の間隔が漸次狭くなって狭隘端部20となった箇所を示す印乃至マークであって、部材乃至物品を示すものでないことに留意されたい。
次に、前記構成の搬送装置10の動作について説明する。
印刷装置が印刷を開始すると、給紙装置から給紙された媒体12は、搬送装置10によって矢印Bで示されるように、媒体搬送方向に搬送される。この場合、前記媒体12は、トラクタ装置11によって、上側ガイド部材13、下側ガイド部材14、リーフスプリング15及びリボンプロテクタ16の各部に沿うとともに、プラテンローラ17の周囲に巻き付くように、所定の搬送速度で搬送される。そして、主走査方向に走査可能な印字ヘッド18によって、媒体12の所定位置に文字等が印刷される。
媒体12のミシン目19は、図1に示されるように、媒体12の全体よりも上方に突出した状態となる場合がある。この場合、突出したミシン目19の高さ寸法が狭隘端部20における媒体搬送路27の上下方向の間隔、すなわち、上側リブ21の下面と対向する下側リブ22の上面との間隔より大きいと、媒体12が矢印Bで示されるように搬送されてミシン目19が狭隘端部20に進入する際に、突出したミシン目19は押し潰される。
しかし、本実施の形態においては、狭隘端部20は、媒体幅方向に所定の間隔で並ぶように形成され、かつ、媒体搬送方向に関する位置が、隣接するもの同士で互いにずれるように形成されている。より具体的には、1つずつ媒体搬送方向に関する位置が前後するように、媒体幅方向に千鳥状に並んで形成されている。
このため、突出したミシン目19は、まず、その一部分が媒体搬送方向上流側に位置する第1狭隘端部20aによって押し潰された後、残りの部分が第1狭隘端部20aよりも媒体搬送方向下流側に位置する第2狭隘端部20bによって押し潰されることとなる。具体的には、媒体幅方向に延在するミシン目19の半分程度が、まず、媒体搬送方向上流側に位置する第1狭隘端部20aによって押し潰された後、前記ミシン目19の残りの半分程度が第1狭隘端部20aよりも媒体搬送方向下流側に位置する第2狭隘端部20bによって押し潰されることとなる。更に換言すると、媒体幅方向に延在するミシン目19の少なくとも一部分が狭隘端部20を通過するタイミングと、他の部分が狭隘端部20を通過するタイミングとの間に時間差が発生するので、当該一部分が狭隘端部20によって押し潰されるタイミングと、当該他の部分が狭隘端部20によって押し潰されるタイミングとの間に時間差が発生する。
これにより、ミシン目19が狭隘端部20を通過する際に押し潰されることによって媒体12が受ける負荷が分散されるので、媒体12の搬送状態に乱れが生じることがない。したがって、媒体12は高い搬送精度で搬送され、その所定位置が所定のタイミングで印字ヘッド18に対応する部位に到達するので、媒体12の所定位置に文字等が正確に印刷される。
このように、本実施の形態においては、媒体12をガイドする上側ガイド部材13と下側ガイド部材14との間に狭隘端部20が媒体幅方向に離散的に複数並んで形成され、かつ、前記狭隘端部20は、1つずつ媒体搬送方向に関する位置が前後するように、媒体幅方向に千鳥状に並んで形成されている。
これにより、媒体12のミシン目19の少なくとも一部分が狭隘端部20を通過するタイミングと、他の部分が狭隘端部20を通過するタイミングとの間に時間差が発生するので、ミシン目19が狭隘端部20を通過する際に媒体12が受ける負荷が分散される。したがって、媒体12の搬送状態に乱れが生じることを防止することができ、搬送装置10の製造コストを増加させることなく媒体12の搬送精度を向上させることができる。
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
図10は本発明の第1の実施の形態の変形例における搬送装置での狭隘端部の位置のずれを説明する模式側断面図である。
図10(a)に示されるように、本変形例における第1上側リブ21aの下面は、第2狭隘端部20bに対応する位置から媒体搬送方向下流側に行くにつれて、下側リブ22の上面との間隔が漸次広くなるように形成されている。なお、図10(b)に示されるように、第2上側リブ21bの下面は、第2狭隘端部20bから媒体搬送方向下流側では、下側リブ22の上面との間隔がほぼ一定となるように形成されている。
これにより、第2上側リブ21bの下面と下側リブ22の上面との間隔を保持しつつ、媒体12のミシン目19と第1上側リブ21aとの間の摩擦を低減することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図11は本発明の第2の実施の形態における印刷装置が備える搬送装置での媒体搬送路を説明する模式側面図、図12は本発明の第2の実施の形態における印刷装置が備える媒体ガイド部材の正面図、図13は本発明の第2の実施の形態における印刷装置が備える媒体ガイド部材の斜視図である。
本実施の形態において、上側ガイド部材13に形成された上側リブ21は、相互に形状の異なる第1上側リブ21aと、第2上側リブ21bと、第3上側リブ21cとを含んでいる。そして、第1上側リブ21aは、その下面と対向する下側リブ22の上面との間隔が漸次狭くなってから一定に移行する箇所である狭隘端部20に対応する部位から媒体搬送方向上流側端部までの長さが、第2上側リブ21bより短くなるように形成され、第2上側リブ21bは、狭隘端部20に対応する部位から媒体搬送方向上流側端部までの長さが、第3上側リブ21cより短くなるように形成されている。
換言すると、図11に明確に示されるように、第1上側リブ21aは、媒体搬送方向上流側端部から媒体搬送方向下流に向かう下面の傾斜が、第2上側リブ21bより急になるように形成され、第2上側リブ21bは、媒体搬送方向上流側端部から媒体搬送方向下流に向かう下面の傾斜が、第3上側リブ21cより急になるように形成されている。その他の点では、第1上側リブ21aと第2上側リブ21bと第3上側リブ21cとは形状が同じであり、かつ、媒体搬送方向上流側端部及び媒体搬送方向下流側端部の媒体搬送方向に関する位置も、第1上側リブ21aと第2上側リブ21bと第3上側リブ21cとは等しくなっている。これ以降も、第1上側リブ21aと第2上側リブ21bと第3上側リブ21cとを統括的に説明する場合には、上側リブ21として説明する。
一方、すべての下側リブ22は、同一の形状となるように形成されている。そして、第1上側リブ21aと第2上側リブ21bと第3上側リブ21cとは、媒体幅方向に順に並ぶように形成されている。具体的には、第1上側リブ21aと第3上側リブ21cとが交互になり、かつ、第1上側リブ21aと第3上側リブ21cとの間に第2上側リブ21bが挟まれるように並ぶように、すなわち、第1上側リブ21a、第2上側リブ21b、第3上側リブ21c、第2上側リブ21b、第1上側リブ21a、第2上側リブ21b、第3上側リブ21c、第2上側リブ21b・・・の順に並ぶように形成されている。したがって、媒体幅方向に並んで、第1上側リブ21a、第2上側リブ21b及び第3上側リブ21cの下面と下側リブ22の上面との間に形成される狭隘端部20の媒体搬送方向に関する位置は、隣接するもの同士で互いにずれることとなる。
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本実施の形態における狭隘端部20の媒体搬送方向に関する位置関係について、より詳細に説明する。
図14は本発明の第2の実施の形態における搬送装置での狭隘端部の位置のずれを説明する模式側断面図、図15は本発明の第2の実施の形態における搬送装置の媒体ガイド部材の狭隘端部と媒体のミシン目との位置関係を示す平面図である。なお、図14において、(a)は図12におけるF−F矢視断面図、(b)は図12におけるG−G矢視断面図、(c)は図12におけるH−H矢視断面図である。
本実施の形態における狭隘端部20は、図14(a)に示されるように、第1上側リブ21aの下面と下側リブ22の上面との間に形成される第1狭隘端部20aと、図14(b)に示されるように、第2上側リブ21bの下面と下側リブ22の上面との間に形成される第2狭隘端部20bと、図14(c)に示されるように、第3上側リブ21cの下面と下側リブ22の上面との間に形成される第3狭隘端部20cとを含んでいる。前述のように、第1上側リブ21aは、媒体搬送方向上流側端部から媒体搬送方向下流に向かう下面の傾斜が、第2上側リブ21bより急になるように形成され、第2上側リブ21bは、媒体搬送方向上流側端部から媒体搬送方向下流に向かう下面の傾斜が、第3上側リブ21cより急になるように形成されているので、第1狭隘端部20aは、第2狭隘端部20bよりも、媒体搬送方向上流側に位置し、第2狭隘端部20bは、第3狭隘端部20cよりも、媒体搬送方向上流側に位置する。つまり、媒体搬送方向に関する第1狭隘端部20aの位置と第2狭隘端部20bの位置とのずれ、すなわち、差分をE1とし、第2狭隘端部20bの位置と第3狭隘端部20cの位置とのずれ、すなわち、差分をE2とすると、第1狭隘端部20aは、第2狭隘端部20bよりも、距離E1だけ、媒体搬送方向上流側にずれ、第2狭隘端部20bは、第3狭隘端部20cよりも、距離E2だけ、媒体搬送方向上流側にずれている。これ以降、第1狭隘端部20aと第2狭隘端部20bと第3狭隘端部20cとを統括的に説明する場合には、狭隘端部20として説明する。
そして、前述のように、第1上側リブ21aと第2上側リブ21bと第3上側リブ21cとは、媒体幅方向に第1上側リブ21aと第3上側リブ21cとが交互に、かつ、第1上側リブ21aと第3上側リブ21cとの間に第2上側リブ21bが挟まれて並ぶように形成されているので、上側ガイド部材13と下側ガイド部材14との間に形成される媒体搬送路27の上面及び下面の間隔が狭くなる箇所の入口に相当する狭隘端部20は、図15に示されるように、媒体幅方向に所定の間隔で並ぶように形成され、かつ、媒体搬送方向に関する位置が、隣接するもの同士で互いにずれるように形成される。より具体的には、狭隘端部20は、1種類の狭隘端部20が媒体幅方向に並び、当該種類の狭隘端部20に隣接する一対の狭隘端部20は、媒体搬送方向に関する位置が当該種類の狭隘端部20に対して互いに前後するように、媒体幅方向に千鳥状又はジグザグに並んでいる。更に換言すると、狭隘端部20は、媒体幅方向に所定の間隔で、媒体12の面の上方から観て、Mの字を繋(つな)げた点線のように、すなわち、波形を描く点線のように、並んでいる。
なお、前記狭隘端部20(第1狭隘端部20a、第2狭隘端部20b及び第3狭隘端部20cも含む)は図において黒丸として示されているが、該黒丸は、上側リブ21(第1上側リブ21a、第2上側リブ21b及び第3上側リブ21cを含む)と下側リブ22とに挟まれた空間において、上側リブ21及び下側リブ22の間隔が漸次狭くなって狭隘端部20となった箇所を示す印乃至マークであって、部材乃至物品を示すものでないことに留意されたい。
次に、本実施の形態における搬送装置10の動作について説明する。
本実施の形態において、狭隘端部20は、1種類の狭隘端部20が媒体幅方向に並び、当該種類の狭隘端部20に隣接する一対の狭隘端部20は、媒体搬送方向に関する位置が当該種類の狭隘端部20に対して互いに前後するように、媒体幅方向に千鳥状又はジグザグに並んでいる。
このため、突出したミシン目19は、まず、その一部分が媒体搬送方向上流側に位置する第1狭隘端部20aによって押し潰された後、他の一部分が第1狭隘端部20aよりも媒体搬送方向下流側に位置する第2狭隘端部20bによって押し潰され、更にその後、残りの部分が第2狭隘端部20bよりも媒体搬送方向下流側に位置する第3狭隘端部20cによって押し潰されることとなる。具体的には、媒体幅方向に延在するミシン目19の1/4程度が、まず、媒体搬送方向上流側に位置する第1狭隘端部20aによって押し潰された後、前記ミシン目19の半分程度が第1狭隘端部20aよりも媒体搬送方向下流側に位置する第2狭隘端部20bによって押し潰され、更にその後、残りの1/4程度が第2狭隘端部20bよりも媒体搬送方向下流側に位置する第3狭隘端部20cによって押し潰されることとなる。更に換言すると、媒体幅方向に延在するミシン目19の3つの部分が狭隘端部20を通過するタイミングのそれぞれの間に時間差が発生するので、各部分が狭隘端部20によって押し潰されるタイミングの間に時間差が発生する。
これにより、ミシン目19が狭隘端部20を通過する際に押し潰されることによって媒体12が受ける負荷が分散されるので、媒体12の搬送状態に乱れが生じることがない。したがって、媒体12は高い搬送精度で搬送され、その所定位置が所定のタイミングで印字ヘッド18に対応する部位に到達するので、媒体12の所定位置に文字等が正確に印刷される。
なお、その他の点の動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
このように、本実施の形態においては、媒体12をガイドする上側ガイド部材13と下側ガイド部材14との間に狭隘端部20が媒体幅方向に離散的に複数並んで形成され、かつ、前記狭隘端部20は、1種類の狭隘端部20が媒体幅方向に並び、当該種類の狭隘端部20に隣接する一対の狭隘端部20は、媒体搬送方向に関する位置が当該種類の狭隘端部20に対して互いに前後するように、媒体幅方向に千鳥状に並んで形成されている。
これにより、媒体12のミシン目19の3つの部分が狭隘端部20を通過するタイミングのそれぞれの間に時間差が発生するので、ミシン目19が狭隘端部20を通過する際に媒体12が受ける負荷が更に分散される。したがって、媒体12の搬送状態に乱れが生じることを防止することができ、搬送装置10の製造コストを増加させることなく媒体12の搬送精度を更に向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、上側リブ21が相互に形状の異なる第1上側リブ21a、第2上側リブ21b及び第3上側リブ21cの3種類であって、狭隘端部20が媒体搬送方向に関する位置の異なる第1狭隘端部20a、第2狭隘端部20b及び第3狭隘端部20cの3種類である例についてのみ説明したが、上側リブ21は、相互に形状の異なる4つ以上の種類であって、狭隘端部20が媒体搬送方向に関する位置の異なる4つ以上の種類であってもよい。つまり、狭隘端部20が、媒体幅方向に所定の間隔で、媒体12の面上において点線が波形を描くように並んでいるのであれば、上側リブ21及び狭隘端部20の種類は、いくつであってもよい。狭隘端部20の種類が多くなるほど、ミシン目19が狭隘端部20を通過する際に媒体12が受ける負荷がより分散されるので、媒体12の搬送精度をより向上させることができる。
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
図16は本発明の第2の実施の形態の変形例における搬送装置での狭隘端部の位置のずれを説明する模式側断面図である。
図16(a)に示されるように、本変形例における第1上側リブ21aの下面は、第3狭隘端部20cに対応する位置から媒体搬送方向下流側に行くにつれて、下側リブ22の上面との間隔が漸次広くなるように形成されている。なお、図16(b)及び(c)に示されるように、第2上側リブ21b及び第3上側リブ21cの下面は、第2狭隘端部20b及び第3狭隘端部20cから媒体搬送方向下流側では、下側リブ22の上面との間隔がほぼ一定となるように形成されている。
これにより、第2上側リブ21b及び第3上側リブ21cの下面と下側リブ22の上面との間隔を保持しつつ、媒体12のミシン目19と第1上側リブ21aとの間の摩擦を低減することができる。
また、前記第1及び第2の実施の形態においては、汎(はん)用型プリンタに使用される媒体の搬送装置について説明したが、水平型プリンタに使用される媒体の搬送装置においても同様に適用することが可能である。
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。