JP5734573B2 - 排気浄化装置 - Google Patents

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本発明は、排気浄化装置に関するものである。
ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中には、炭素質から成る煤分が多く含まれているため、排気ガスが流通する排気管の途中にパティキュレートフィルタを装備することが従来より行われている。この種のパティキュレートフィルタは、コージェライト等のセラミックから成る多孔質のハニカム構造となっており、格子状に区画された各流路の入口が交互に目封じされ、入口が目封じされていない流路については、その出口が目封じされるようになっており、各流路を区画する多孔質薄壁を透過した排気ガスのみが下流側へ排出されるようにしてある。
そして、排気ガス中の煤分は、前記多孔質薄壁の内側表面に捕集されて堆積するので、目詰まりにより排気抵抗が増加しないうちに煤分を適宜に燃焼除去してパティキュレートフィルタの再生を図る必要があるが、通常のディーゼルエンジンの運転状態においては、煤分が自己燃焼するほどの高い排気温度が得られる機会が少ない為、Pt/Al23等の酸化触媒が担持されるようになっている。即ち、このような触媒再生型のパティキュレートフィルタを採用すれば、捕集済み煤分の酸化反応が促進されて着火温度が低下し、従来より低い排気温度でも煤分を燃焼除去することが可能となる。
ただし、斯かる触媒再生型のパティキュレートフィルタを採用した場合であっても、排気温度の低い運転領域では、煤分の処理量よりも捕集量が上まわってしまうので、このような低い排気温度での運転状態が続くと、パティキュレートフィルタの再生が良好に進まずに該パティキュレートフィルタが過捕集状態に陥る虞れがある。
そこで、パティキュレートフィルタの前段に、フロースルー型の燃料酸化触媒を別途配置し、煤分の堆積量が増加してきた段階で前記燃料酸化触媒より上流側の排気ガス中に燃料を添加してパティキュレートフィルタの強制再生を行うことが考えられている。
つまり、パティキュレートフィルタより上流側で添加された燃料(HC)が前段の燃料酸化触媒を通過する間に酸化反応し、その反応熱で昇温した排気ガスの流入により直後のパティキュレートフィルタの触媒床温度が上げられて煤分が燃やし尽くされ、パティキュレートフィルタの再生化が図られることになる。
この種の燃料添加を実行するための具体的手段としては、圧縮上死点付近で行われる燃料のメイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を追加することで排気ガス中に燃料を添加すれば良い。
尚、斯かるパティキュレートフィルタの強制再生に関連する先行技術文献情報としては本発明と同じ出願人による下記の特許文献1等がある。
特開2003−193824号公報
しかしながら、斯かる従来の排気浄化装置においては、煤分の堆積量が増加したパティキュレートフィルタに対し強制再生を実施する度に、排気温度を高めるためのポスト噴射等で多くの燃料が消費されることになるため、ディーゼルエンジンの燃費が悪化するという問題があった。
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、従来よりも強制再生の実施頻度が少なくて済むようにして燃費の大幅な改善を図り得る排気浄化装置を提供することを目的とする。
本発明は、排気管途中に装備されて排気ガス中の煤分を捕集するメインフィルタと、該メインフィルタの前段に配置されて排気ガス中の煤分の一部を先行捕集し得るよう前記メインフィルタよりも捕集効率を相対的に落としたサブフィルタと、該サブフィルタの入側で排気温度を所定温度以上に高めて前記メインフィルタ内に捕集された煤分を燃焼除去せしめる強制再生手段とを備え、該強制再生手段により高められる排気温度よりも低い温度域で捕集済み煤分を酸化処理し得るよう前記サブフィルタに煤分酸化触媒を担持させ、前記メインフィルタに捕集済み煤分だけでなくCO及びHCを酸化処理することが可能なPtを活性種とするCO・HC酸化触媒を担持させ、煤分を前記サブフィルタの基材内部に入り込ませて捕集する深層濾過となるように、前記サブフィルタの平均気孔径を25〜100μmで且つ捕集効率を30〜70%としたことを特徴とする排気浄化装置。
而して、このようにすれば、排気ガス中の煤分の一部が前段のサブフィルタにて先行捕集されるので、後段のメインフィルタで捕集しなければならない煤分の量が少なくて済み、前記メインフィルタに溜まる煤分のペースが、従来のパティキュレートフィルタを単独使用する場合と比較して大幅に遅くなる。この結果、強制再生手段による強制再生の完了直後から次の強制再生が必要となるまでの再生間隔が長くなり、強制再生の実施頻度が従来より少なくなる。
尚、前段のサブフィルタは、後段のメインフィルタよりも捕集効率を相対的に落とした気孔径の粗いものとなっている上、排気ガス中の煤分の一部だけが先行捕集されるようになっているにすぎず、しかも、その捕集された煤分も煤分酸化触媒の触媒作用により強制再生時の排気温度より低い温度域で酸化処理されてしまうので、後段のメインフィルタの強制再生が必要となる前に前段のサブフィルタが目詰まりを起こす虞れはない。
更に、本発明においては、CeO2、ZrO2、Pr611の何れか一種類以上を活性種とする煤分酸化触媒をサブフィルタに担持させることが好ましく、更には、メインフィルタの平均気孔径が5〜25μmで且つ捕集効率が60〜100%であることが好ましい。
また、本発明においては、サブフィルタの前段に配置されて排気ガス中の未燃燃料分を酸化処理して反応熱により排気ガスを加熱する燃料酸化触媒と、該燃料酸化触媒より上流で排気ガス中に燃料を添加する燃料添加手段とにより強制再生手段を構成したり、或いは、サブフィルタの前段に配置されたバーナにより強制再生手段を構成したりすることが可能である。
上記した本発明の排気浄化装置によれば、排気ガス中の煤分の一部を前段のサブフィルタにて先行捕集することによって、後段のメインフィルタに溜まる煤分のペースを大幅に遅くして前記メインフィルタの強制再生の実施頻度を従来より少なくすることができるので、強制再生時に排気温度を高めるために消費される燃料を著しく抑制することができ、従来よりも燃費の大幅な改善を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
本発明を実施する形態の一例を示す概略図である。 煤分酸化触媒の燃焼特性試験の結果を示すグラフである。 深層濾過の状態を示す模式図である。 本発明の別の形態例を示す概略図である。
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図1中における1はターボチャージャ2を装備したディーゼルエンジンを示しており、エアクリーナ3を介して導かれた吸気4が吸気管5を通し前記ターボチャージャ2のコンプレッサ2aへと送られ、該コンプレッサ2aで加圧された吸気4がインタークーラ6へと送られて冷却され、該インタークーラ6から更に吸気マニホールド7へと吸気4が導かれてディーゼルエンジン1の各気筒8(図1では概略的に4気筒のみを図示)に分配されるようになっている。更に、このディーゼルエンジン1の各気筒8から排出された排気ガス9は、排気マニホールド10を介しターボチャージャ2のタービン2bへと送られ、該タービン2bを駆動した排気ガス9が排気管11を介し車外へ排出されるようにしてある。
この排気管11の途中には、フィルタケース12が介装されており、該フィルタケース12内における後段に、これまでのパティキュレートフィルタと同様のメインフィルタ13が収容されており、前記フィルタケース12内における前段には、排気ガス9中の未燃燃料分を酸化処理して反応熱により排気ガス9を加熱するフロースルー型の燃料酸化触媒14が収容されている。
そして、ディーゼルエンジン1の各気筒8に対し燃料を噴射するインジェクタ15から成る燃料噴射装置16が燃料添加手段としての機能を併せ持つようになっており、より具体的には、圧縮上死点(クランク角0゜)付近で行われる燃料のメイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を追加することで排気ガス9中に燃料を添加し得るようにしてある。
即ち、メインフィルタ13内における煤分の堆積量が増えて強制再生を行う必要が生じた際に、燃料噴射装置16によりポスト噴射を追加すると、該ポスト噴射で排気ガス9中に添加された未燃燃料分が前記燃料酸化触媒14を通過する間に酸化反応し、その反応熱で昇温した排気ガス9の流入によりメインフィルタ13の触媒床温度が上げられて煤分が燃やし尽くされ、メインフィルタ13の再生化が図られるようになっており、ここに図示している例の場合は、燃料添加手段である燃料噴射装置16と燃料酸化触媒14とにより強制再生手段が構成されたものとなっている。
ここまでに述べた構成は、実質的に既存の排気浄化装置における構成と変わらないものであるが、本形態例においては、燃料酸化触媒14とメインフィルタ13との間に、該メインフィルタ13よりも捕集効率を相対的に落としたサブフィルタ17を新たに設けており、該サブフィルタ17により排気ガス9中の煤分の一部を先行捕集し得るようにしてある。
ここで、前記サブフィルタ17には、CeO2、ZrO2、Pr611の何れか一種類以上を活性種とする煤分酸化触媒が担持されており、前記メインフィルタ13の強制再生時に燃料酸化触媒14における添加燃料の酸化反応により高められる排気温度よりも低い温度域で捕集済み煤分を酸化処理し得るようにしてある。
例えば、燃料噴射装置16のポスト噴射で排気ガス9中に添加した未燃燃料分の酸化反応により排気温度は約600℃以上に高められるが、図2に本発明者らによる燃焼特性試験の結果をグラフで示す通り、CeO2とカーボンブラック(煤分に相当)とを混合して加熱すると、300〜600℃の温度域でも良好にカーボンブラックを燃焼できることが確認されている(CO2濃度の上昇により燃焼を判断)。
ここで、CeO2には、Ptを担持させてもカーボンブラックの燃焼開始温度に影響がないことが確認されているため、特にPtを担持させてはいないが、Agを多く担持させることでカーボンブラックの燃焼開始温度が低下することは確認されているため、必要に応じてCeO2にAgを担持させても良い。
一方、メインフィルタ13には、これまでのパティキュレートフィルタに担持されていたものと同様のPt/Al23が担持されているが、先の図2のグラフに付記してある通り、Pt/Al23の場合は、強制再生時に高められる約600℃以上の温度域で良好にカーボンブラックを燃焼させることが可能である。
尚、前段のサブフィルタ17に担持されるCeO2、ZrO2、Pr611を活性種とする煤分酸化触媒は、排気ガス9中のCO及びHCを酸化処理する能力が殆どないため、メインフィルタ13に、捕集済み煤分だけでなくCO及びHCを酸化処理することが可能なPt/Al23(Ptを活性種とするCO・HC酸化触媒:Pt/Pd等であっても良い)を担持させておけば、CO及びHCを酸化処理するための酸化触媒を後段に別途設けなくて済むというメリットも得られる。
更に、メインフィルタ13よりもサブフィルタ17の捕集効率が相対的に低いという両者の関係を前提とした上で、メインフィルタ13の平均気孔径は5〜25μm、その捕集効率は60〜100%の範囲で任意に設定することができ、サブフィルタ17の平均気孔径は25〜100μm、その捕集効率は30〜70%の範囲で任意に設定することができるが、ここではメインフィルタ13の平均気孔径を20μmとして捕集効率を95%とし、サブフィルタ17の平均気孔径を50μmとして捕集効率を60%としている。
而して、このように排気浄化装置を構成すれば、排気ガス9中の煤分の一部が前段のサブフィルタ17にて先行捕集されるので、後段のメインフィルタ13で捕集しなければならない煤分の量が少なくて済み、前記メインフィルタ13に溜まる煤分のペースが、従来のパティキュレートフィルタを単独使用する場合と比較して大幅に遅くなる。この結果、強制再生の完了直後から次の強制再生が必要となるまでの再生間隔が長くなり(本発明者らによる検証実験では再生間隔を約3倍にできることを確認)、強制再生の実施頻度が従来より少なくなるので、強制再生時に排気温度を高めるために消費される燃料が著しく抑制されることになり、従来よりも燃費の大幅な改善を図ることが可能となる。
尚、前段のサブフィルタ17は、後段のメインフィルタ13よりも捕集効率を相対的に落とした気孔径の粗いものとなっている上、排気ガス9中の煤分の一部だけが先行捕集されるようになっているにすぎず、しかも、その捕集された煤分も煤分酸化触媒の触媒作用により強制再生時の排気温度より低い温度域で酸化処理されてしまうので、後段のメインフィルタ13の強制再生が必要となる前に前段のサブフィルタ17が目詰まりを起こす虞れはない。
特にサブフィルタ17の平均気孔径を25〜100μmの範囲で大きくとり且つ捕集効率を30〜70%の範囲で小さくした場合には、図3に模式的に示す如く、サブフィルタ17における気孔が粗くなって、煤分が基材内部に入り込んで捕集される深層濾過(一般的な低気孔径のフィルタは基材表面に堆積する表層濾過)の状態となり、基材にコーティングされている煤分酸化触媒との接触性が良くなって、煤分を酸化処理する性能が大幅に向上されることになるため、後段のメインフィルタ13の強制再生が必要となる前に前段のサブフィルタ17が目詰まりを起こすような事態をより確実に回避させることが可能となる。
従って、上記形態例によれば、排気ガス9中の煤分の一部を前段のサブフィルタ17にて先行捕集することによって、後段のメインフィルタ13に溜まる煤分のペースを大幅に遅くして前記メインフィルタ13の強制再生の実施頻度を従来より少なくすることができるので、燃料噴射装置16で排気温度を高めるためのポスト噴射として消費される燃料を著しく抑制することができ、従来よりもディーゼルエンジン1の燃費を大幅に改善することができる。
また、図4は本発明の別の形態例を示すもので、先の図1の形態例で強制再生手段を燃料噴射装置16と燃料酸化触媒14とで構成していたことに替えて、サブフィルタ17の前段にバーナ18を配置して強制再生手段としたものであり、このバーナ18は、燃料をメインフィルタ13に向けて噴射する燃料噴射器19と、該燃料噴射器19から噴射される燃料に着火するイグナイタ20と、燃焼用空気を供給する燃焼用空気導入管21とを備えて構成されている。
このようなバーナ18による燃焼で排気温度を所定温度以上に高めてメインフィルタ13の強制再生を実施するような排気浄化装置であっても、先の図1の形態例の場合と同様に、排気ガス9中の煤分の一部を前段のサブフィルタ17にて先行捕集することによって、後段のメインフィルタ13に溜まる煤分のペースを大幅に遅くして前記メインフィルタ13の強制再生の実施頻度を従来より少なくすることができるので、バーナ18で消費される燃料を著しく抑制することができ、従来よりもディーゼルエンジン1の燃費を大幅に改善することができる。
尚、本発明の排気浄化装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
9 排気ガス
11 排気管
12 フィルタケース
13 メインフィルタ
14 燃料酸化触媒(強制再生手段)
16 燃料噴射装置(燃料添加手段:強制再生手段)
17 サブフィルタ
18 バーナ(強制再生手段)

Claims (5)

  1. 排気管途中に装備されて排気ガス中の煤分を捕集するメインフィルタと、該メインフィルタの前段に配置されて排気ガス中の煤分の一部を先行捕集し得るよう前記メインフィルタよりも捕集効率を相対的に落としたサブフィルタと、該サブフィルタの入側で排気温度を所定温度以上に高めて前記メインフィルタ内に捕集された煤分を燃焼除去せしめる強制再生手段とを備え、該強制再生手段により高められる排気温度よりも低い温度域で捕集済み煤分を酸化処理し得るよう前記サブフィルタに煤分酸化触媒を担持させ、前記メインフィルタに捕集済み煤分だけでなくCO及びHCを酸化処理することが可能なPtを活性種とするCO・HC酸化触媒を担持させ
    煤分を前記サブフィルタの基材内部に入り込ませて捕集する深層濾過となるように、前記サブフィルタの平均気孔径を25〜100μmで且つ捕集効率を30〜70%としたことを特徴とする排気浄化装置。
  2. CeO2、ZrO2、Pr611の何れか一種類以上を活性種とする煤分酸化触媒をサブフィルタに担持させたことを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  3. メインフィルタの平均気孔径が5〜25μmで且つ捕集効率が60〜100%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気浄化装置。
  4. サブフィルタの前段に配置されて排気ガス中の未燃燃料分を酸化処理して反応熱により排気ガスを加熱する燃料酸化触媒と、該燃料酸化触媒より上流で排気ガス中に燃料を添加する燃料添加手段とにより強制再生手段を構成したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の排気浄化装置。
  5. サブフィルタの前段に配置されたバーナにより強制再生手段を構成したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の排気浄化装置。
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