JP5734568B2 - 室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物 - Google Patents

室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物 Download PDF

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本発明は、室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に係り、さらに詳しくは、湿気の存在しない密封条件下では安定であり、空気中の水分と接触することにより室温で硬化してゴム状弾性体を生じ、弾性接着剤やシーリング材などとして有用なポリオルガノシロキサン組成物に関する。
従来から、分子鎖末端に水酸基を有するポリオルガノシロキサンに、アミノアルキル基を有するアルコキシシランとエポキシアルキル基を有するアルコキシシランとの混合物、および硬化触媒を配合して成り、硬化途上で接触している各種基材に対して接着性を有するポリオルガノシロキサン組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この組成物を硬化させてなるシリコーンゴムは、耐水接着性が低く、特にフロートガラス類に対して温水浸漬などの苛酷な環境下では、接着性が低下するという欠点があった。
また従来から、補強用の充填剤として炭酸カルシウムが用いられており、特に分散性を改善し機械的強度を向上させるために、ステアリン酸のような脂肪酸またはその塩で表面を処理した炭酸カルシウムが使用されている。しかし、脂肪酸をはじめとする有機酸で表面処理を施した炭酸カルシウムを配合した組成物は、炭酸カルシウムの分散性が改善されているため、加工性が著しく向上しているものの、強度は満足のいくものではなく、特に耐水接着性が不十分であるため、その改善が望まれている。耐水接着性を改善するために、ジシラアルカン化合物を配合することが提案されている(例えば、特許文献2,3参照)。しかし、これらの提案の組成物では、配合の効果が十分でないばかりでなく、調製に手間がかかるという問題があった。さらに、ジシラアルカン化合物の配合により、伸張性が損なわれたりするなどの不具合が生じるおそれもあった。
特公昭63−23226号公報 特開昭64−60656号公報 特開2003−221506公報
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、耐水性に優れ、特に温水浸漬による接着性および機械的強度の低下が改善された室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記した目的を達成するために鋭意検討した結果、充填剤としてリン酸または亜リン酸で表面処理された炭酸カルシウムを配合することによって、優れた特性を有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、(A)分子鎖末端が水酸基または加水分解性基で封鎖され、23℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sであるポリオルガノシロキサン100重量部と、(B)充填剤として、リン酸または亜リン酸で表面処理された炭酸カルシウム1〜400重量部、(C)硬化触媒0.001〜10重量部、(D)アミノアルキルアルコキシシラン0.05〜10重量部、およびエポキシ基を有するアルコキシシラン10重量部以下をそれぞれ含み、前記(A)成分と前記(B)成分を配合して成る主剤と、前記(C)成分と前記(D)成分およびその他の成分を配合して成る硬化剤とからなる二液型の組成物として調製されることを特徴とする。
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物によれば、各種の基材に対して良好な接着性を示し、かつ機械的強度が良好で耐湿性に優れた硬化物を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。実施形態の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、(A)分子鎖末端が水酸基または加水分解性基で封鎖され、23℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sであるポリオルガノシロキサンと、(B)充填剤としてリン酸または亜リン酸で表面処理された炭酸カルシウム、および(C)硬化触媒をそれぞれ含有し、(A)成分100重量部に対して、(B)成分1〜400重量部と、(C)成分0.001〜10重量部をそれぞれ配合して構成される。以下、実施形態の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の各成分について説明する。
(A)成分は、分子鎖末端が水酸基(ヒドロキシル基)または加水分解性基で封鎖されたポリオルガノシロキサンであり、本発明の室温硬化性組成物のベース成分である。(A)成分の粘度は、低すぎると硬化後のゴム弾性が乏しくなり、高すぎると作業性が低下することから、23℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sの範囲が好ましく、100〜100,000mPa・sの範囲が好ましい。
また、このポリオルガノシロキサンの分子構造は、下記一般式(1)で示される直鎖状であることが好ましいが、一部分岐鎖を有する構造でもよい。
Figure 0005734568
式(1)中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基を表し、Rは−ZSiR 3−aで表される1価の有機基を表す。ここで、Zは酸素(オキソ基)または2価の炭化水素基を表し、Rは互いに同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基を表す。Xは水酸基(ヒドロキシル基)または加水分解性基を表し、aは1〜3の整数である。また、nは当該(A)成分の23℃における粘度を20〜1,000,000mPa・sの範囲とする数である。
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基のようなアルキル基;ビニル基、アリル基のようなアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基のようなアリール基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基のようなアラルキル基などが例示される。また、これらの炭化水素基の水素原子の一部が他の原子または基で置換されたもの、すなわちクロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン化アルキル基;3−シアノプロピル基のようなシアノアルキル基などの置換炭化水素基も挙げられる。合成が容易であり、かつ(A)成分が分子量の割に低い粘度を有し、硬化前の組成物に良好な押し出し性を与えること、および硬化後の組成物に良好な物理的性質を与えることから、R全体の85%以上がメチル基であることが好ましく、実質的にすべてのRがメチル基であることがより好ましい。
特に、耐熱性、耐放射線性、耐寒性または透明性を組成物に付与する場合には、Rの一部として必要量のフェニル基を、耐油性、耐溶剤性を付与する場合には、Rの一部として3,3,3−トリフルオロプロピル基や3−シアノプロピル基を、また塗装適性を有する表面を付与する場合には、Rの一部として長鎖アルキル基やアラルキル基を、それぞれメチル基と併用するなど、目的に応じて任意に選択することができる。
(A)成分の末端基Rは、式:−ZSiR 3−aで表され、ケイ素官能基である水酸基(ヒドロキシル基)または加水分解性基Xを少なくとも1個有するケイ素官能性シロキシ単位である。したがって、実施形態の(A)成分は、分子の両末端にそれぞれ水酸基(ヒドロキシル基)または加水分解性基Xを少なくとも1個有する。
末端基Rにおいて、ケイ素原子に結合するRは、互いに同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基であり、前記したRと同様なものが例示される。Rと同一であっても異なっていてもよい。合成が容易であり、かつ加水分解性基Xの反応性に優れていることから、メチル基またはビニル基が好ましい。また、Zは2価の酸素(オキシ基)または2価の炭化水素基であり、2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基のようなアルキレン基;フェニレン基などが例示される。合成が容易なことから、オキシ基またはエチレン基が好ましく、オキシ基が特に好ましい。
Xは、末端基であるRに少なくとも1個存在するケイ素官能基である水酸基(ヒドロキシル基)または加水分解性基である。加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のようなアルコキシ基;2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基のような置換アルコキシ基;イソプロペノキシ基のようなエノキシ基、メチルエチルケトオキシム基のようなケトキシマト基、アセトキシ基などが例示される。複数の水酸基または加水分解性基は、同一でも異なっていてもよい。合成の容易さ、硬化前の組成物の物性、保存中の安定性、硬化性、経済性、および広範囲の用途に用いられることから、アルコシキ基またはケトキシマト基であることが好ましい。
末端基Rにおいて、ケイ素官能基である水酸基または加水分解性基Xの数aは、1〜3個であることが好ましい。Xが水酸基であるケイ素官能性ポリジオルガノシロキサンは、例えば、オクタメチルシクロシロキサンのような環状ジオルガノシロキサン低量体を、水の存在下に酸性触媒またはアルカリ性触媒によって開環重合または開環共重合させ、直鎖状ポリジオルガノシロキサンの末端にケイ素原子に結合する水酸基を導入することにより得ることができる。
Xが加水分解性基であるケイ素官能性ポリジオルガノシロキサンは、例えば、末端に水酸基を有するポリオルガノシロキサンに、2個以上の任意の加水分解性基を有するシランを縮合させることによって合成することができる。この場合、シランの有する加水分解性基は、縮合反応によって1個が消費されるので、反応によって得られるポリオルガノシロサンの末端基RにおけるXの数は、用いられる加水分解性基含有シランが有する加水分解性基の数よりも1個少なくなる。
(A)成分の具体例としては、分子鎖末端が水酸基や加水分解性基(例えば、アルコキシル基)により封鎖されたジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルオクチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、ジメチルシロキサンとメチルフェニルシロキサンの共重合体、ジメチルシロキサンとメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサンの共重合体などが挙げられる。
水酸基により封鎖された分子鎖末端としては、ジメチルヒドロキシシロキシ基、メチルフェニルヒドロキシシロキシ基などが例示され、アルコキシ基により封鎖された分子鎖末端としては、ビニルジメトキシシロキシ基、メチルジメトキシシロキシ基、トリメトキシシロキシ基、メチルジエトキシシロキシ基、トリエトキシシロキシ基などが例示される。さらに、ケトキシマト基により封鎖された分子鎖末端としては、メチルエチルケトキシマト基、ジメチルケトキシマト基、ジエチルケトキシマト基、メチルブチルケトキシマト基、メチルヘキシルケトキシマト基、エチルペンチルケトキシマト基などが例示される。
本発明の実施形態において、(B)リン酸または亜リン酸で表面処理された炭酸カルシウムは、補強性の充填剤である。炭酸カルシウム粒子の表面には水酸基が存在し、この水酸基が(A)成分であるポリオルガノシロキサンの末端水酸基または加水分解性基と相互に作用し合うため、分散性の低下が生じる。炭酸カルシウムを無機酸であるリン酸もしくは亜リン酸で表面処理することにより、ステアリン酸のような脂肪酸による表面処理に比べて、より効果的に粒子表面の水酸基を中和することができるうえに、遊離のカルボン酸を含むことがないので、耐水性に優れるという利点がある。また、脂肪酸による表面処理に比べて、機械的強度に優れかつ耐湿性に優れた硬化物を得ることができる。
炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウムと合成(軽質)炭酸カルシウムの両方を使用することができる。これら重質または合成炭酸カルシウムの粒径(平均粒径)は、0.01〜50μmの範囲であることが好ましい。なお、この平均粒径の値は、電子顕微鏡による画像解析によって測定された値であるが、比表面積から換算された平均粒径、粒度分布からの重量換算による50%径から求められた平均粒径、あるいはレーザー回折・散乱法で測定された平均粒径であってもよい。得られる硬化物の機械的強度の点から、炭酸カルシウムの粒径(平均粒径)のより好ましい範囲は、電子顕微鏡により測定された値では0.01〜15μmの範囲、粒度分布の重量50%径からの値では0.01〜40μmの範囲、BET比表面積から換算された値では0.01〜20μmの範囲、空気透過法比表面積から換算された値では0.01〜25μmの範囲である。炭酸カルシウムの平均粒径が50μmを超えると、硬化物の機械的特性が低下するばかりでなく、硬化物の伸張性が十分でなくなる。また、平均粒径が0.01μm未満の場合には、硬化前の組成物の粘度が著しく上昇し流動性が低下するため、好ましくない。
このような炭酸カルシウムの表面を処理する無機酸として、リン酸または亜リン酸を使用することができる。リン酸または亜リン酸の塩も使用可能であるが、表面処理の効率の点で、塩ではなくリン酸または亜リン酸そのものを使用することが好ましい。
(B)成分であるリン酸または亜リン酸で表面処理された炭酸カルシウムの配合量は、前記(A)成分100重量部に対して1〜400重量部とする。(B)成分の配合量が1重量部未満では、組成物から得られる硬化物の硬さ、引張強度などの機械的強度が著しく劣り、400重量部を超えると、良好なゴム弾性を有する硬化物を得ることが困難になるばかりでなく、組成物の粘度が増大して作業が困難になる場合がある。
実施形態の(C)成分である硬化触媒は、(A)成分の水酸基(ヒドロキシル基)および/または加水分解性基の縮合反応を促進し、組成物の硬化を進める働きをする触媒である。具体的には、オクタン酸鉄、ナフテン酸鉄、オクタン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクタン酸スズ、ナフテン酸スズ、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの金属有機酸塩;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオクトエートなどのアルキルスズエステル化合物;ジブチルスズビス(アセチルアセテート)、ジブチルスズビス(エチルアセチルアセテート)、ジブチルスズビス(ブチルアセチルアセテート)、ジブチルスズビス(2−エチルへキシルアセチルアセテート)などのジケトネート金属塩;ハロゲン化スズ化合物、スズオルトエステル化合物、テトラブチルチタネート、テトラブチルジルコネートなどの金属アルコレート;ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタンなどのチタンキレート化合物;ジエチルヒドロキシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミン、γ−テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシランなどのアミン類が例示される。これらは1種単独でも2種以上の混合物としても使用することができる。
(C)成分である硬化触媒の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.001〜10重量部とし、より好ましくは0.01〜5重量部とする。(C)成分が0.001重量部未満であると、硬化速度が遅すぎて実用に適さず、組成物を空気中に曝露した場合にタックフリーの被膜形成に長時間を要し、かつゴム強度の発現性が悪化することがある。また、(C)成分の配合量が10重量部を超えると、被膜形成時間が数秒間と極めて短くなるため、作業性が低下し、また耐熱性の低下などが生じることがある。
本発明の実施形態においては、これら(A)〜(C)の各成分とともに、(D)アミノアルキルアルコキシシランを配合することが好ましい。(D)アミノアルキルアルコキシシランは、架橋剤として働き、組成物の硬化を促進するとともに、基材に対する接着性の向上、特に温水浸漬などの苛酷な条件下での接着耐久性の向上に効果を有する。
(D)アミノアルキルアルコキシシランとしては、アミノメチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−エチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノメチルトリブトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
(D)アミノアルキルアルコキシシランの配合量は、(A)成分であるポリオルガノシロキサン100重量部に対して0.05〜10重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜5重量部とする。
実施形態の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物には、さらに、エポキシ基を含有するアルコキシシランを、前記(A)成分100重量部に対して10重量部以下の範囲で配合することができる。エポキシ基含有アルコキシシランの配合量が10重量部を超えると、硬化や接着性の発現が遅くなるばかりでなく、組成物の粘性が高くなって吐出性などの作業性が低下し、さらに硬化後のゴムが固くなりすぎることがある。エポキシ基含有アルコキシシランとしては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシランなどが例示される。後述するように、着色剤としてカーボンブラックを配合した組成物においては、エポキシ基含有アルコキシシランを配合することによって、若干黒色の退色が見られるが、浸水時の接着信頼性をさらに高めることができるという効果がある。
さらに実施形態の組成物には、硬化性や硬化後のゴム強度を調節するために、架橋剤として、前記エポキシ基含有アルコキシシランや前記(D)成分であるアミノアルキルアルコキシシランとは異なるアルコキシシランを添加することができる。このようなアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルセロソルブオルソシリケート、n−プロピルオルソシリケートなどの4官能アルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、2−エチルヘキシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシラン、ドデシルトリエトキシシランなどの3官能アルコキシシラン類;メチルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン、フェニルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン、メチルトリス(メチルブチルケトキシマト)シラン、ビニルトリス(メチルブチルケトキシマト)シラン、フェニルトリス(メチルブチルケトキシマト)シラン、テトラキス(メチルエチルケトキシマト)シラン、テトラキス(メチルブチルケトキシマト)シランなどのケトキシマトシラン類などが挙げられる。これらのアルコキシシランの配合量は、前記(A)成分100重量部に対して0.1〜20重量部とすることが好ましい。
またさらに、実施形態のポリオルガノシロキサン組成物には、必要に応じて、有機溶剤、希釈剤(可塑剤)を配合することができる。希釈剤としては、両末端がトリメチルシロキシ化されたポリジメチルシロキサンや、両末端がジメチルビニルシロキシ化されたポリジメチルシロキサンなどを使用することができる。また、カーボンブラックなどの着色剤、難燃剤、チクソ性付与剤、接着性向上剤(接着促進剤)、防カビ剤などを添加することも、本発明の目的を損わない限り差し支えない。
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、(A)〜(C)の各成分および前記したその他の成分の所定量を乾燥雰囲気で均一に混合することにより、一液型の室温硬化性組成物として得ることができる。この組成物は、空気中に暴露すると湿分によって架橋反応が進行し、ゴム弾性体に硬化する。また、(A)成分と(B)成分を配合して成る主剤と、(C)成分と(D)成分等のその他の成分を配合して成る硬化剤との二液型の室温硬化性組成物として調製することもできる。二液型の組成物においては、主剤と硬化剤を空気中で混合することにより、一液型の室温硬化性組成物と同様に硬化し、ゴム弾性を有する硬化物が得られる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中で「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」をそれぞれ表す。また、粘度などの物性値は、全て23℃、相対湿度(RH)50%での測定値を示したものである。
実施例1
分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(粘度10,000mPa・s)50部に、リン酸で表面処理された重質炭酸カルシウムであるスーパー2000P(商品名;丸尾カルシウム(株)製)(空気透過法比表面積2.0m/g、比表面積から換算された平均粒径1.1μm、粒度分布の重量50%径からの平均粒径1.7μm)50部を添加して混合し、これを主剤とした。
また、両末端にビニルジメチルシリル基を有するα,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(粘度1,000mPa・s)53部に、N−(2−エチル)アミノプロピルトリメトキシシラン10部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5部と、カーボンブラックVULCAN XC72(商品名;電子顕微鏡法により測定された平均粒径30nm;CABOT社製)15部と、n−プロピルオルソシリケート15部、およびジオクチルスズジラウレート2部をそれぞれ加えて混合し、これを硬化剤とした。
こうして得られた主剤と硬化剤とを100:10の重量比で混合し、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
実施例2〜4
配合する各成分の種類および量を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして、主剤および硬化剤をそれぞれ調製した。そして、主剤と硬化剤とを100:10の重量比で混合し、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
比較例1,2,4〜8
配合する各成分の種類および量を表2に示すように変えた以外は実施例1と同様にして、主剤および硬化剤をそれぞれ調製した。そして、主剤と硬化剤とを100:10の重量比で混合し、ポリオルガノシロキサン組成物を得た
Figure 0005734568
Figure 0005734568
表1および表2において、リン酸で表面処理された合成炭酸カルシウム(以下、単に炭酸カルシウムと示す。)としては、電子顕微鏡法により測定された平均粒径0.05μm、BET比表面積17m/gの炭酸カルシウムの表面をリン酸で処理したものを、ステアリン酸で表面処理された炭酸カルシウムとしては、カルファイン500(商品名;丸尾カルシウム(株)製)(電子顕微鏡法により測定された平均粒径0.05μm、BET比表面積17m/g)を、ロジン酸で表面処理された炭酸カルシウムとしては、TDD(商品名;白石工業(株)製)(BET比表面積からの換算平均粒径0.14μm、BET比表面積16.0m/g)を、ステアリン酸で表面処理された重質炭酸カルシウムとしては、OMYA-FT(商品名;OMYA(株)製)(粒度分布の重量50%径からの平均粒径2.3μm、空気透過法比表面積から換算された平均粒径0.9μm、空気透過法比表面積2.1m/g)を、未処理の重質炭酸カルシウムとしては、スーパー2000(商品名;丸尾カルシウム(株)製)(空気透過法比表面積2.0m/g、比表面積から換算された平均粒径1.1μm、粒度分布の重量50%径からの平均粒径1.7μm)を、低水分重質炭酸カルシウムとしては、ESD-18(商品名;三共製粉(株)製)(空気透過法比表面積1.1m/g、比表面積から換算された平均粒径2.0μm、粒度分布の重量50%径からの平均粒径3.9μm)をそれぞれ使用した。
次に、実施例1〜4および比較例1,2,4〜8でそれぞれ得られたポリオルガノシロキサン組成物について、外観(黒色度)を初期および加熱促進劣化(70℃に5日間放置)後に測定した。また、接着耐久性を測定・評価した。さらに、充填剤の種類と表面処理の有無および表面処理剤の種類の吐出性に与える影響を調べるために、実施例1〜4および比較例1,2,4〜8で使用された主剤の吐出量を、初期および加熱促進劣化(70℃に5日間放置)後に測定した。測定結果を表3および表4に示す。
なお、外観(黒色度)は、主剤と硬化剤とを混合して得られた組成物の色の違いを、肉眼で観察した。吐出量および接着耐久性の測定は、それぞれ以下に示す方法で行なった。
<吐出量の測定>
容量が6オンス(約177ml)のセムコ社製カートリッジに主剤(組成物)を充填し、カートリッジの先端に取り付けた専用ノズル(先端の内径3mm)から、3kg/cm圧で主剤を5秒間押し出し、押し出された主剤の重量(g)を測定した。
<接着耐久性の測定・評価>
JIS K5758建築用シーリング材に規定する方法に準じて、接着耐久性試験体を作成した。すなわち、主剤と硬化剤とを混合して得られたポリオルガノシロキサン組成物を2枚のフロートガラス板(JIS R3202に規定されたフロート板ガラス)の間に充填した後、温度23℃、湿度50%の条件で7日間放置し、組成物を硬化させた。こうして得られた試験体(H型試験体)について引張試験を行い、50%モジュラス(M50)、最大引張応力(Tmax)、最大荷重時の伸び(Emax)をそれぞれ調べた。合わせてシリコーンゴムの破断状態を観察し、接着性を調べた。さらに、同様の試験体を80℃の温水に14日間浸漬したもの、および30日間浸漬したものについてそれぞれ引張り試験を行い、50%モジュラス(M50)、最大引張応力(Tmax)、最大荷重時の伸び(Emax)および接着性をそれぞれ測定した。なお、破断状態におけるCFは凝集破壊(シリコーンゴム層で破壊)を、TCFは薄層破壊(ガラス板との界面でシリコーンゴムの薄層を残して破壊)を、AFは接着破壊(ガラス板とシリコーンゴムの界面で剥離)をそれぞれ表している。
Figure 0005734568
Figure 0005734568
表3および表4からわかるように、実施例1〜4で得られた室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、比較例1,2,4〜8で得られた組成物に比べて、硬化性が良好であり、硬化物は、機械的強度が良好で伸張性および接着性に優れ、特に接着耐久性に優れている。また、主剤は初期および加熱促進劣化後の吐出性に優れているので、硬化剤との混合性が良好であるうえに、混合後の組成物の粘性が抑えられ、吐出性が良好となる。したがって、生産性が高いうえに、硬化物における所望の特性の発現も容易になる。

Claims (2)

  1. (A)分子鎖末端が水酸基または加水分解性基で封鎖され、23℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sであるポリオルガノシロキサン100重量部と、
    (B)充填剤として、リン酸または亜リン酸で表面処理された炭酸カルシウム1〜400重量部、
    (C)硬化触媒0.001〜10重量部、
    (D)アミノアルキルアルコキシシラン0.05〜10重量部、および
    エポキシ基を有するアルコキシシラン10重量部以下
    をそれぞれ含み、
    前記(A)成分と前記(B)成分を配合して成る主剤と、前記(C)成分と前記(D)成分およびその他の成分を配合して成る硬化剤とからなる二液型の組成物として調製されることを特徴とする室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  2. 前記(B)炭酸カルシウムが0.01〜50μmの平均粒径を有することを特徴とする請求項1記載の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
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