JP5733977B2 - RNAinsituハイブリダイゼーション - Google Patents

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Description

本発明は、病理学的および組織化学的に遺伝子発現を簡便に検出・定量化し、研究ならびに診断に利用することのできるRNA in situハイブリダイゼーションに関するものである。
(1)RNA in situハイブリダイゼーション
病理学的、組織化学的に遺伝子発現を検出する方法が幾つか知られている。なかでも、遺伝子が転写されてできた転写産物であるメッセンジャーRNA(mRNA)を、mRNAが存在しているその場で(in situ)検出する方法として、in situハイブリダイゼーション法がある。この方法は、検出したいmRNAの配列に相補的な核酸配列を持った核酸プローブを溶解させたin situハイブリダイゼーション用のバッファー(特許文献1)を組織試料に添加させることにより核酸プローブをmRNAにハイブリダイズさせる。このとき、核酸プローブには検出用のラベルが付加されており、ラベルを適当な方法で検出し、顕微鏡下で観察する(特許文献2)。多くの場合、ラベルとしてジゴキシゲニン(Dig、digoxigenin)が使われ、抗ジゴキシゲニン抗体にアルカリフォスファターゼをコンジュゲートさせた蛋白質を用いて、抗ジゴキシゲニン抗体部分でDigラベルを検出し、さらにアルカリフォスファターゼ-NBT/BCIPによる発色反応を起こさせ、増感する(特許文献3、4、5、6)。核酸プローブとしては、検出したいmRNAの全長もしくは一部の配列をin vitro転写系で転写させて得られる相補的RNA、もしくは化学合成によるオリゴDNA(特許文献7、8)あるいはオリゴRNAが用いられてきた。
このようなin situハイブリダイゼーション法は、最初の論文がPardue and Gall(非特許文献1)およびJohn et al.(非特許文献2)により発表されて以来、40年弱経過する。当初のラベルは放射性ラジオアイソトープが用いられ、これをフィルムに感光させmRNAの存在を検出するものであった。その後、非ラジオアイソトープ的手法(特許文献9)として、上述のDigラベル法などが開発されてきた(特許文献3、4、5、6)。また、増感法として上記アルカリフォスファターゼ-NBT/BCIPによる発色反応とは別に、tyramide増感法(TSA増感法)が開発され、検出感度を上げるのに用いられ(特許文献10、11、12)、蛍光色素を使った検出も開発されている(非特許文献3、特許文献13、14、15)。
(2)核酸プローブ
検出したいmRNAに対する核酸プローブとして、in vitro転写系で転写させて得られる相補的RNAを用いる場合、Dig-UTPをin vitro転写系に混入することにより、転写合成される相補的RNAにDig-UTPを取り込ませてDigラベルを付けるが(特許文献3、4、5、6)、個々の相補的RNAプローブ分子に何個のDig-UTPが取り込まれ、またプローブ配列中のどの位置に取り込まれるか、は人為的に制御できない。また、相補的RNAをプローブとして用いる場合、強いシグナルを獲得するために、in vitro転写系でなるべく長い相補的RNAを合成し、加水分解で長さが300塩基から500塩基程度の断片化されたプローブを作成し使用されてきた。この場合、どこで加水分解されるかという場所を人為的に制御できず、いろんな断片の混在したプローブとなる。いろんな断片の混在を避ける為に、標的とするmRNA全長の中から、他の遺伝子として特性の高い長さが300塩基から500塩基程度の領域を計算機で1個選択し、この領域をクローニング後にin vitro転写系で相補的RNAプローブを作成し、プローブ1種類でRNA in situハイブリダイゼーションを行う場合もある。しかし、領域の選択にはクローニングの際、PCRプライマーとしてのこの領域の両端配列の制約やハイブリダイゼーション時の重要なパラメーターであるGC含量の制約などから遺伝子間毎にプローブの長さがまちまちとなる。さらには、in vitro転写系では選択した領域に加えて相補的RNAの3’末端側に使用するベクターなどの余計な配列が付加される欠点がある。このように、in vitro転写系を用いて相補的RNAをプローブとして使用する場合、プローブごとに長さがまちまちであり、付加されるラベルの位置や数も制御できないことから、発現しているmRNAを定量化するための検出に用いるプローブに定量性を持たせることができない、という欠点が存在する。特に複数の遺伝子間での発現量の比較を目的とするのには、使用するプローブ間でのハイブリダイゼーションの条件が異なるため、従来の相補的RNAプローブは向いていない。また、相補的RNAを核酸プローブとして用いるときには、実験的条件設定に困難が伴う。すなわち、ハイブリダイゼーション過程は、一種の平衡反応であるため、検出感度を上げる目的で核酸プローブがなるべく多くのmRNA分子にハイブリダイズするプローブの濃度条件およびハイブリダイズさせるときの温度条件を探索する必要があり、それは用いる相補的RNAプローブの長さやGC含量によって異なる。ハイブリダイズした相補的RNAプローブを検出するプロセスでは、ラベルを検出するための抗体反応も平衡反応であるため、抗体濃度をどれくらいにするか、の条件探索が必要となる。さらに、アルカリフォスファターゼによる発色反応などの増感も反応時間に依存して発色強度が増すため、反応時間の制御が必要となる。以上のように、in vitro転写系で作成された相補的RNAを核酸プローブとして使用する場合は、複雑なプロセスと条件探索が必要で簡便ではない。
最近、DNA合成機などで化学的に合成されたオリゴ核酸をプローブとして用いることが、試みられるようになってきた。これは、mRNAをクローニングしなくても、データベースに登録された核酸配列をもとに簡単にプローブ作成を行えるためであると考えられる。さらに、配列が短いため300塩基から500塩基の長さの相補的RNAプローブに比べて組織サンプルへの浸透性が良いという利点がある。一方、相補的RNAプローブに比べて、オリゴ核酸プローブは長さが短いためプローブ1分子当たりに付いているラベルの数が少なく、したがってハイブリダイズしたオリゴ核酸を検出するのに、シグナル強度が弱いという欠点がある。
この欠点を克服する為に、大きくは二つの方向が試みられてきた。一つは、オリゴ核酸プローブのラベル分子として、Cy3やフルオレセインなどの蛍光分子を使用し、60倍から100倍の高倍率の対物レンズを使用してラベルの蛍光分子から発せられる微弱な蛍光を輝点として捉えZ軸方向で多数のoptical sectionの画像を、CCDカメラを使って撮影し、計算機アルゴリズムを使って画像を鮮明化することにより観察する方法である(特許文献13)。計算機処理するため、1ピクセル中の輝度を計測することができ、mRNAの定量化が可能である。この場合、シグナル強度をかせぐために、ラベル分子が付加されている塩基間を10塩基以上離す事によりプローブに付加するラベル分子の数を多くすることが試みられている。さらに、この方法を発展させて検出したいmRNAを、複数の蛍光分子でカラーコード化させたプローブを用いてmRNAが転写されている場所で、検出する方法も開発されている(特許文献14、15)。
もう一つの方向は、プローブ分子の標的mRNAと相補的な配列の外側にテイル(tail)を付けて付加するラベル分子の数を増やす手法や、TSA(tyramide sensitivity amplification)と呼ばれる増感法(特許文献10、11、12)などにより、シグナルを増感し検出・観察する方法である。アルカリファスファターゼ-NBT/BCIPによる発色増感やTSA増感法では、バックグランドノイズが増感によって高くなる傾向があり、発現の強弱は定性的に顕微鏡観察されているが、mRNA量の定量化までには至っていない。また、同じ組織サンプルにおいて、複数の遺伝子のmRNA間での発現量の比較までには至っていない。
U.S. Patent No. 5750340 U. S. Patent No. 4,888,278 日本特許第1999884号 U. S. Patent No. 5344757 U. S. Patent No. 5354657 U.S. Patent No. 5702888 U.S. Patent No. 5597692 U.S. Patent No. 6265156 U.S. Patent No. 5,985,549 U.S. Patent No. 5196306 U.S. Patent No. 5,583001 U.S. Patent No. 5,731158 U.S. Patent No. 5,866,331 U.S. Patent No. 6,534,266 特表2002-542793 Pardue ML、and Gall JG.(1969) Molecular hybridization of radioactive DNA to the DNA of cytological preparations. Proc Natl Acad Sci U S A. 1969 Oct;64(2):600-4 John et al. (1969) RNA-DNA hybrids at the cytological level. Nature. 1969 Aug 9;223(5206):582-7 Levsky JM, and Singer RH, Fluorescence in situ hybridization: past, present and future. J. Cell Science, 116, 2833-2838, 2003.
発現しているmRNAの定量化には、定量性PCR法が使われる。しかし、定量性PCRでは組織をホモジェナイズして組織の構築を壊し、組織中に存在する種々の細胞由来のmRNAが混合した試料を使用するため、個々の細胞で発現しているmRNAの定量化はできない。そこで、局在性に加えて組織化学的に発現しているmRNAの量を定量化できれば、組織中の種々の細胞で発現しているmRNAの定量化が可能となり、サイエンスおよび産業上の応用が広がる。例えば、癌組織には癌細胞と正常細胞が混在し、さらには正常細胞には種々のものが共存している。また、癌組織には多くの場合、分化度の高い癌細胞や分化度の低い癌細胞が混在している。このような癌組織の癌細胞において、組織化学的に発現しているmRNAを検出し定量化することにより、抗癌剤の奏効を診断できるようになれば、癌の化学治療の観点から大きな効果が期待できる。
組織化学的に組織試料におけるmRNAの局在性を検出するための方法としてRNA in situハイブリダイゼーション法がある。従来、RNA in situハイブリダイゼーション法として多くの場合、in vitro転写系で作成された相補的RNAがプローブとして用いられてきた。しかし、相補的RNAプローブは、検出したいmRNAの存在(局在性)を病理学的、組織化学的に検出できたとしても、いったい、どのくらいのmRNA量がそこに存在するのか、定量化するのには向いていない。また、蛍光分子でラベルしたオリゴDNAプローブを用いる場合、蛍光強度を計算機を使って計測することにより発現しているmRNAの定量化は可能であるが、蛍光シグナルの検出には60倍から100倍の高倍率の対物レンズを用いる必要がある。このため、組織試料における検出可能範囲が非常に狭く、10倍から40倍の対物レンズを使って組織試料の広範囲について診断する通常の病理学的、組織化学的な方法論をとる場合、mRNAの存在の検出には困難を伴う。さらには、高価な顕微鏡を使ってZ軸方向での多くのoptical sectionでの画像撮影が必要であり、特殊な計算機アルゴリズムを用いて画像を鮮明化するため、mRNAの検出は簡便でない。一方、10倍から40倍の対物レンズを使って組織試料におけるmRNAを検出するためにTSA増感などの増感法を用いた場合、標的のシグナルだけでなくバックグランドノイズも同時に増幅されシグナル-ノイズ比(SN比)が悪く、mRNAの定量化は困難であった。
通常、RNA in situハイブリダイゼーションを行うとき、バックグランドノイズを下げるために、魚(主にサケ)精子のDNAや酵母菌tRNAなどが使用される。組織試料は生体試料であるため、生体高分子と分子的な特性が同等な核酸プローブが非特異的に吸着する部位が組織試料に数多く存在する。非特異的に組織試料に吸着した核酸プローブはバックグランドノイズの原因となる。特に増感法によりシグナルを増感した場合、バックグランドノイズも同時に増幅され、SN比の悪化を招く。この核酸プローブの組織試料に対する非特異的吸着を防ぐために、超音波処理によって長さ2000塩基ほどに断片化された1本鎖の魚精子DNAや酵母菌tRNAなどを、核酸プローブをハイブリダイズさせる前にプレハイブリダイズ用として使用して非特異的吸着部位に吸着させておけば、バックグランドノイズを下げる事ができる。あるいは魚精子DNAや酵母菌tRNAはハイブリダイゼーション溶液中に核酸プローブとミックスさせて使用される。
しかし、オリゴ核酸プローブを使用する場合、長さ2000塩基ほどの一本鎖に断片化された魚精子DNAを使うと、魚精子DNA中にオリゴ核酸プローブがハイブリダイズする部位が存在する可能性がある。この部位が本来の組織試料中の標的mRNAと競争することにより、オリゴ核酸プローブが標的mRNAにハイブリダイズするときの妨げとなり、本来のシグナルを下げる原因となる可能性がある。あるいは魚精子DNAにハイブリダイズしたオリゴ核酸プローブはバックグランドノイズの原因となり、増感によってそのノイズは増幅される。また、オリゴ核酸プローブは、魚精子DNAが長さ2000塩基ほどに断片化されているにしても、魚精子DNAと比較して短く、組織試料への浸透性が高いため、組織試料中に魚精子DNAが到達できない非特異的吸着部位が存在している可能性があり、これがバックグランドノイズを上げる原因となる可能性がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、バックグランドノイズを下げシグナルを増幅することにより、10倍から40倍の対物レンズを使用して、mRNAの発現量に応じたシグナル強度の変化を正確かつ簡便に検出することによって、病理学的および組織化学的に発現しているmRNAを検出・定量化し、研究ならびに診断に利用するための手段を提供することを課題としている。
本発明者は、RNA in situ hybridizationで通常使われるサケなどの魚精子DNAではなく、オリゴ核酸プローブと略同一長のダミーオリゴ核酸を、オリゴ核酸プローブの組織試料への非特異的吸着を防ぐために使用することにより、増感法を用いた場合、蛍光顕微鏡で10倍から20倍の対物レンズを使用してCCDカメラにより簡便に画像撮影し、SN比の向上ならびにシグナルの増強があることを見いだした。そして、このダミーオリゴ核酸の使用を前提として、オリゴ核酸プローブのラベルの数が増えるにしたがって観察されるシグナル強度が加算的に増えることを見いだした。さらに、ひとつの遺伝子の発現mRNAを検出するに際し、同じ数のラベルのついたオリゴ核酸プローブの配列種類数が増えるにしたがって、観察されるシグナル強度が加算的に増えることを見いだした。さらに、オリゴ核酸プローブ配列中のGC含量が増えるにしたがって、観察されるシグナル強度が増加関数的に増えることを見いだした。また、プローブのTm値が上昇するにしたがって、観察されるシグナル強度が増加関数的に増えることを見いだした。
本発明は、発明者らによる以上の新規知見に基づき、以下を提供する。
(1)組織試料中で発現している標的遺伝子mRNAに対して1または複数種のオリゴ核酸プローブをハイブリダイズさせ、オリゴ核酸プローブの少なくとも1塩基に付加されている低分子化合物ラベルを検出して標的遺伝子mRNAの存在を特定する方法であって、
1種または複数種のダミーオリゴ核酸を組織試料に前処理(プレハイブリダイズ)させた後にオリゴ核酸プローブを組織試料に接触させて標的遺伝子mRNAとハイブリダイズさせるか、または
オリゴ核酸プローブと前記のダミーオリゴ核酸との混合液を試料組織に接触させてオリゴ核酸プローブを標的遺伝子mRNAにハイブリダイズさせ、
前記ダミーオリゴ核酸は:
オリゴ核酸プローブと略同一の長さからなり、
標的遺伝子mRNA上のオリゴ核酸プローブがハイブリダイズする領域とはハイブリダイズせず、そして
オリゴ核酸プローブとはハイブリダイズしない、
ことを特徴とするRNA in situハイブリダイゼーション法。
(2) ダミーオリゴ核酸量が、オリゴ核酸プローブ量の2〜10倍である前記(1)のRNA in situハイブリダイゼーション法。
(3) オリゴ核酸プローブとダミーオリゴ核酸の塩基長が20bpから70bpの範囲で略同一である前記(2)のRNA in situハイブリダイゼーション法。
(4) オリゴ核酸プローブが、その5’末端塩基または/および3’末端塩基のそれぞれに低分子化合物ラベルが付加されている前記(1)のRNA in situハイブリダイゼーション法。
(5) 前記(4)に記載のオリゴ核酸プローブの2種以上を、互いの5’末端と3’末端とが8塩基以上離れるようにmRNAにハイブリダイズする前記(1)のRNA in situハイブリダイゼーション法。
(6) 低分子化合物に対する抗体、この抗体にコンジュゲートされた酵素、この酵素の基質としての発色化合物または蛍光分子化合物を使って検出シグナルを増感し、10倍から40倍の対物レンズを使用してシグナルを検出す前記(1)のRNA in situハイブリダイゼーション法。
(7) 組織試料がほ乳動物から単離した組織であり、ダミーオリゴ核酸がレトロトランスポゾンの反復配列の一部に相当するオリゴ核酸である前記(1)のRNA in situハイブリダイゼーション法。
(8) 組織試料がほ乳動物から単離した組織であり、ダミーオリゴ核酸が植物ゲノムの一部または微生物ゲノムの一部に相当するオリゴ核酸である前記(1)のRNA in situハイブリダイゼーション法。
(9) ダミーオリゴ核酸が、
オリゴ核酸プローブの塩基配列におけるAをTに、TをAに、GをCに、そしてCをGに置換し、
同じ塩基がM個(Mは4)以上で連続する場合は、その連続配列におけるM×0.2カ所(小数点以下切り上げて整数)からM×0.8カ所(小数点以下切り下げて整数)の塩基をその相補的な塩基で置換し、
5’側から読んでも3’側から読んでも同じ配列になるN塩基(Nは5)以上の回文配列がある場合は、少なくともN×0.2カ所(小数点以下切り上げて整数)、Nが偶数の場合多くて(N/2-1)カ所、Nが奇数の場合多くて((N-1)/2-1)カ所の塩基をその相補的な塩基で置換すること、
によって得られるオリゴ核酸である前記(1)のRNA in situハイブリダイゼーション法。
(10) 前記(7)に記載のRNA in situハイブリダイゼーション法に使用するダミーオリゴ核酸であり、レトロトランスポゾンの反復配列の一部配列からなるオリゴ核酸、または当該反復配列のそれぞれ異なる一部配列からなる複数種のオリゴ核酸のセット。
(11) 前記(8)に記載のRNA in situハイブリダイゼーション法に使用するダミーオリゴ核酸であり、植物ゲノムの一部または微生物ゲノムの一部配列からなるオリゴ核酸、もしくは植物ゲノムまたは微生物ゲノムのそれぞれ異なる一部配列からなる複数種のオリゴ核酸のセット。
前記のとおりの本発明によって、病理学的および組織化学的に発現しているmRNAを簡便かつ高精度で検出・定量化することが可能となり、各種疾患の原因や治療法等に関する基礎研究を進展させ、あるいは各種疾患の診断精度の向上に大きく貢献する。
実施例1において、ダミーオリゴDNAのオリゴDNAプローブ濃度に対する最適添加比率を求めたRNA in situハイブリダイゼーションの結果である。 実施例1において、ダミーオリゴDNAのオリゴDNAプローブ濃度に対する最適添加比率を求めるため、RNA in situハイブリダイゼーションの結果から各添加比率におけるシグナル強度を求めた結果である。 実施例1において、ダミーオリゴDNAのオリゴDNAプローブ濃度に対する最適添加比率を求めるため、添加比率1倍および8倍について各プローブ濃度におけるシグナル強度求めた結果である。 実施例2において、ダミーオリゴDNAの2種類、サケ精子DNA、および無添加の場合の各オリゴDNAプローブ濃度に対する効果を求めたRNA in situハイブリダイゼーションの結果である。 実施例2において、ダミーオリゴDNAの2種類、サケ精子DNA、および無添加の場合の各オリゴDNAプローブ濃度に対する効果を求めるため、RNA in situハイブリダイゼーションの結果から、プローブ濃度が0nMのときのシグナル強度を計算した結果である。 実施例2において、ダミーオリゴDNAの2種類、サケ精子DNA、および無添加の場合の各オリゴDNAプローブ濃度に対する効果を求めるため、RNA in situハイブリダイゼーションの結果から、計算された各プローブ濃度におけるシグナル強度である。 実施例3において、ダミーオリゴDNAとサケ精子DNAのRNA in situハイブリダイゼーションのRNA検出における効果の比較を行った結果である。 実施例3において、得られたSN比を縦軸に、プローブ濃度を横軸にとり、ダミーオリゴDNAを添加した場合のSN比とサケ精子DNAを添加した場合のSN比の比較を示す。 実施例4において、使用するダミーオリゴDNA配列の種類および数を変更して行ったRNA in situハイブリダイゼーションの結果である。 実施例4において、種々のダミーオリゴDNAの効果を求めるためのRNA in situハイブリダイゼーションの結果から各ダミーオリゴDNAの効果をシグナル強度として求めた結果である。 実施例5において、検出に使用するプローブの種類数と検出されるシグナル強度の関係を示すRNA in situハイブリダイゼーションの写真像である。 実施例5におけるシグナル強度とプローブの種類数との相関関係である。 実施例6において、検出に使用するプローブの濃度が上がるに従ってシグナル強度がどのように変化するか撮影した写真像である。 実施例6におけるシグナル強度とプローブ濃度との相関関係である。 実施例6におけるシグナル強度とプローブ濃度との相関関係である。 実施例7において、検出に使用するプローブの濃度が上がるに従ってシグナル強度が、どのように変化するかを調べた写真像である。 実施例7におけるシグナル強度とプローブ濃度との相関関係である。 実施例8において、概日周期に従い発現が変動する遺伝子Arntlについて午前9時から4時間おきに深夜1時まで、マウス肝臓についてRNA in situハイブリダイゼーションで調べた写真像である。 実施例8において、内部標準遺伝子Actbおよび概日周期に従い発現が変動する遺伝子Arntlについて午前9時から4時間おきに深夜1時まで、肝臓を採取し、発現量の変化を定量PCRで調べた結果である。 実施例8において、遺伝子Arntlについて午前9時から4時間おきに深夜1時まで、肝臓における発現変化をRNA in situハイブリダイゼーションで調べ、シグナル強度の変化を求めた結果である。 実施例8において、遺伝子Arntlについて午前9時から4時間おきに深夜1時まで、肝臓における発現変化を、定量PCRおよびRNA in situハイブリダイゼーションで調べ、定量PCRの結果およびシグナル強度の結果の相関をとった図である。 実施例9において、遺伝子Cyp1a2およびAlbについて肝臓における発現を、複数のオリゴDNAプローブを用いて同時にRNA in situハイブリダイゼーションを実施することにより得た写真像である。 実施例10において、tyramide sensitivity amplificationにおけるtyramide-Fluの濃度の影響を調べた結果である。 実施例11において、各オリゴ核酸のGC含量(%)を計算した例である。 実施例12において、オリゴ核酸プローブのラベルを付ける位置(5’末端または3’末端)の効果および数の効果を、ラット肺におけるラットアクチンベータ遺伝子Actbに対するin situハイブリダイゼーションのシグナル強度で確認した結果である。 実施例13において、一つの遺伝子のmRNA上で、複数のラベルを用いてハイブリダイズした産物を検出しようとするとき、mRNAの核酸配列上で、2個のラベルはいったいどれくらい離れている必要があるかを確認するための2つのオリゴDNAプローブの概念図である。 実施例13において、一つの遺伝子のmRNA上で、複数のラベルを用いてハイブリダイズした産物を検出しようとするとき、mRNAの核酸配列上で、2個のラベルはいったいどれくらい離れている必要があるかを確認するため実施したRNA in situハイブリダイゼーションの結果である。 実施例14において、GC含量を変化させたオリゴ核酸プローブでin situハイブリダイゼーションを行った結果である。
発明(1)は、標的遺伝子mRNA上のオリゴ核酸プローブがハイブリダイズする領域とはハイブリダイズせず、またオリゴ核酸プローブともハイブリダイズしない1種または複数種のダミーオリゴ核酸を使用することを特徴とする。具体的には、一本鎖のダミーオリゴ核酸を組織試料に前処理(プレハイブリダイズ)させた後に一本鎖のオリゴ核酸プローブを組織試料に接触させて標的遺伝子mRNAとハイブリダイズさせるか、または一本鎖のオリゴ核酸プローブと一本鎖のダミーオリゴ核酸との混合液を組織試料に接触させて一本鎖のオリゴ核酸プローブを標的遺伝子mRNAにハイブリダイズさせる。なお、標的遺伝子は、組織試料において発現している1種〜10種程度の遺伝子mRNAである。
ダミーオリゴ核酸は、標的遺伝子mRNA上のオリゴ核酸プローブがハイブリダイズする領域とはハイブリダイズせず、またオリゴ核酸プローブともハイブリダイズしないことを条件として化学合成により作成することができる。化学合成には、市販の自動DNA合成機も使用できる。また、DNA合成受託会社を利用することもできる。ダミーオリゴ核酸が標的遺伝子mRNA上のオリゴ核酸プローブがハイブリダイズする領域とはハイブリダイズしない条件とは、標的遺伝子mRNAとハイブリダイズするオリゴ核酸プローブとは異なる塩基配列を有することと同義である。この場合の異なる塩基配列とは、例えば、Blast等の塩基配列比較における一致率が30%以下、好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下であること基準とすることができる。あるいは、オリゴ核酸プローブの全長の70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上に相当する連続塩基配列が異なる配列であることを基準とすることもできる。ダミーオリゴ核酸がオリゴ核酸プローブとハイブリダイズしない条件とは、オリゴ核酸プローブの相補配列と、例えば、Blast等の塩基配列比較における一致率が30%以下、好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下であること基準とすることができる。あるいは、オリゴ核酸プローブの相補配列の全長の70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上に相当する連続塩基配列が異なる配列であることを基準とすることもできる。
ダミーオリゴ核酸の種類は、1種でもよく、あるいは複数種(2〜5種類)であってもよい。また、複数種のダミーオリゴ核酸を使用する場合、そのうちの2種は互いに相補的な配列を有するものであってもよい。
このダミーオリゴ核酸量、すなわち後述のプレハイブリダイゼーション溶液あるいはハイブリダイゼーション溶液中における濃度は、オリゴ核酸プローブ量、すなわちハイブリダイゼーション溶液中のオリゴ核酸プローブの濃度の2〜10倍、好ましくは6〜8倍とすることができる。オリゴ核酸プローブを複数使用する場合は、それらの濃度の合計値をオリゴ核酸プローブ量とする。ダミーオリゴ核酸を複数使用する場合も、それらの濃度の合計値をダミーオリゴ核酸量とする。
さらに、ダミーオリゴ核酸の長さは、オリゴ核酸プローブの長さと略同一である。この場合の略同一とは、両者の長さの違いが±10%、好ましくは±5%、さらに好ましくは±3%、特に好ましくは±0%(完全に同一)の範囲を言う。オリゴ核酸プローブの塩基長は20bpから70bpの範囲とすることができ、従って、ダミーオリゴ核酸の塩基長もこの範囲でオリゴ核酸プローブと略同一長となる。
このようなダミーオリゴ核酸として、標的遺伝子mRNAにはハイブリダイズしないが他の遺伝子のmRNAにハイブリダイズする核酸配列を選択することができる。また、ほ乳類のゲノム中に反復して現れるレトロトランスポゾン由来の反復配列の中から、オリゴ核酸プローブと長さが略同一な配列として選択することもできる。さらには、植物や微生物においてほ乳類には存在しない遺伝子の配列から長さが略同一な配列として選択することもできる。
ダミーオリゴ核酸の選択は、ダミーオリゴ核酸を選択したいゲノム中の反復配列や植物や微生物の遺伝子の配列について、5’側から1塩基ずつずらしながら所望の長さの部分配列におけるGC含量を簡単な計算機プログラムにより計算することができ、所望のGC含量をもったオリゴ核酸配列をリストアップすることができる。次にリストアップされたオリゴ配列をblast検索にかけることにより、オリゴ核酸プローブとの一致度が確認され、オリゴ核酸プローブと一致度が低いものを選択する。Blast検索の際に、相補鎖についても同時に検索されるので、オリゴ核酸プローブの相補鎖との一致度が低いものが同時に選択される。
またダミーオリゴ核酸としては、オリゴ核酸プローブの塩基配列の、例えば5’側から順次に、AをTに、TをAに、GをCに、そしてCをGに置換し、同じ塩基がM個(Mは4)以上で連続する場合は、その連続配列におけるM×0.2カ所(小数点以下切り上げて整数)からM×0.8カ所(小数点以下切り下げて整数)の塩基をその相補的な塩基で置換し、5’側から読んでも3’側から読んでも同じ配列になるN塩基(Nは5)以上の回文配列がある場合は、少なくともN×0.2カ所(小数点以下切り上げて整数)、Nが偶数の場合多くて(N/2-1)カ所、Nが奇数の場合多くて((N-1)/2-1)カ所の塩基をその相補的な塩基で置換すること、によって得られるオリゴ核酸を使用することもできる。この場合のダミーオリゴ核酸のGC含量、長さともにオリゴ核酸プローブと同一となる。
オリゴ核酸プローブは、その少なくとも1塩基に低分子化合物ラベルが付加されている。また、2種以上の異なる種類の低分子化合物ラベルを付加してもよい。この低分子化合物ラベルは、例えば、従来方法と同様のジゴキシゲニン(Dig、digoxigenin)や、FITC(fluorescein isothiocyanate)等の蛍光色素(非特許文献3)を使用することができる。例えばDigを使用する場合は、抗ジゴキシゲニン抗体にアルカリフォスファターゼを連結したタンパク質を用いて、抗ジゴキシゲニン抗体部分でDigラベルを検出し、さらにアルカリフォスファターゼ-NBT/BCIPによる発色反応を起こさせ、増感する(特許文献3、4、5、6)。また、増感法として上記アルカリフォスファターゼ-NBT/BCIPによる発色反応とは別に、抗ジゴキシゲニン抗体にperoxidaseがコンジュゲートされた蛋白質あるいは抗FITC抗体にperoxidaseがコンジュゲートされた蛋白質にtyramide-蛍光色素分子を反応させて増感するtyramide増感法(TSA増感法)等を用いることもできる(特許文献10、11、12)。
低分子化合物ラベルの付加は、一つの好ましい態様として、オリゴ核酸プローブの5’末端塩基と3’末端塩基との2箇所である。このようなラベルの付加されたオリゴ核酸は、オリゴDNA合成受託会社に発注することができ、容易に合成される。
オリゴ核酸プローブは、一つの標的遺伝子mRNAに対して1または複数種、すなわち1〜20種、好ましくは1〜10種、さらに好ましくは1〜5種をmRNAの異なる領域にハイブリダイズさせる。このような複数種のオリゴ核酸プローブを使用することによって、ハイブリダイゼーション工程時間を短縮化することができる。またさらに、オリゴ核酸プローブの濃度は、0.01nM〜10nMの範囲とすることができ、特に濃度を前記範囲内で上昇させることによっても、ハイブリダイゼーション工程時間を短縮化することができる。また、オリゴ核酸プローブを複数使用する場合、オリゴ核酸プローブ間のGC含量が略同一であることが好ましい。この場合の略同一とは、両者のGC含量の違いが±10%、好ましくは±5%、さらに好ましくは±3%、特に好ましくは±0%(完全に同一)の範囲を言う。
なお、両端にラベルを有するオリゴ核酸プローブの複数種を標的遺伝子mRNAにハイブリダイズさせる場合には、互いのプローブの5’末端と3’末端とが8塩基以上離れるようする。一つの好ましい態様として、使用するオリゴ核酸プローブの長さ以上に互いのプローブの5’末端と3’末端との距離をおく。
標的遺伝子mRNAに対し、このようなオリゴ核酸プローブを複数設計することは、まず簡単な計算機プログラムを使って、所望のオリゴ核酸プローブの長さのウインドウで、標的遺伝子mRNAの5’末端から1塩基ずつずらしながら、そのウインドウでGC含量を計算し、ウインドウが3’末端に到達するまで計算を実行することにより所望のGC含量をもったプローブ配列の候補が容易にリストされ、リストされた候補配列をNCBI(National Center for Biotechnology Information、米国)のblast検索を使って、プローブ配列としての特異性を確認し、特異性の高い配列の相補鎖をオリゴ核酸プローブの配列として容易に選択できる。
ハイブリダイゼーション時に使用するバッファー(ハイブリダイゼーション溶液)は、基本的には特許文献1に記載されているような溶液を採用できる。本発明では、最終溶液において、ホルムアミド12.5%〜25%、3×SSPE(Invitrogen社)、1×デンハート(和光純薬)、デキストラン10%(V/V)(Sigma社)、0.2%CHAPS(Sigma-Aldrich社))を用いた。これに一般的に酵母菌または大腸菌のtRNAを添加する。また、ハイブリダイゼーションの温度は、使用するオリゴDNAプローブの長さおよびGC含量に依存するが、30度Cから45度Cの範囲で実施される。例えばオリゴDNAプローブの長さが40塩基でGC含量が50%の場合、40度Cから42度Cで実施されるのが好ましい。ハイブリダイゼーションの時間は、12時間から24時間、好ましくは16時間で実施する。
以上のとおりのRNA in situハイブリダイゼーション法に基づき、標的遺伝子mRNAを定量的に検出することができる。例えば、ラベルとしてジゴキシゲニン(Dig)を用いた場合には、peroxidase(POD)がコンジュゲートされた抗ジゴキシゲニン抗体を用いてtyramide-蛍光色素によるTSA増感法を実施し、組織試料を10倍から40倍の対物レンズの蛍光顕微鏡を通じてCCDカメラで撮影し、得られる顕微鏡画像をImage J(NIH、http://rsb.info.nih.gov/ij/)などの画像処理ソフトウエアを用いて、計算機処理して蛍光色素のシグナル強度を求めることにより、標的遺伝子のmRNAの発現量を簡便に定量的に検出することが可能となる。
Tyramide増感用の試薬類およびtyramide-蛍光分子は、Perkin Elmer社やInvitrogen社から市販されており、それらを使用することができる。また、PODがコンジュゲートされたラベル分子に対する抗体は、Dako社やRoche社などから販売されており、これらを使用できる。
さらにまた、低分子化合物ラベルとして2種類以上のラベルiを付加したオリゴ核酸プローブを使用した場合は、PODが付加されたそれぞれのラベルiに対する抗体で、Tyramide-蛍光色素iを用いて多段階的にtyramide sensitivity amplification増感を行い、蛍光顕微鏡を用いて蛍光色素iのシグナルを多重検出することにより、2種類以上の標的遺伝子のmRNAの局在性および定量的検出が可能となる。標的遺伝子の発現量が低い場合は、標的遺伝子のmRNAにハイブリダイズするオリゴ核酸プローブの数、またはオリゴ核酸プローブの濃度を増やすことによって、検出レンジの幅を広げることができる。逆に標的遺伝子の発現量が高い場合は、標的遺伝子のmRNAにハイブリダイズするオリゴ核酸プローブにおけるラベルの数やプローブの数、オリゴ核酸プローブの濃度、または使用するtyramide-蛍光色素の濃度を減らすことによって、検出レンジの幅を発現量の低い遺伝子mRNAと同程度にすることができる。これにより、発現量の異なる複数の遺伝子のmRNAについて同程度のシグナルの強度およびレンジ幅でもって局在性および定量的検出が可能となり、病理組織診断などに利用できる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、実施例には、以下の塩基配列からなる合成オリゴ核酸を使用した。
配列番号1:5’-catccagaacactaaacagaagatggcagtggccagtagc-3’
配列番号2:5’-gaagaagtccactgcattccctgaggtgacattctccaca-3’
配列番号3:5’-tcattgaaggtcttaaacctcttgagggccgggttgggca-3’
配列番号4:5’-cgctgtgcttgaacagggcacttgtgatgtcttggatact-3’
配列番号5:5’-tagtcccagctactcaggaagctgaggtgggaggatggct-3’
配列番号6:5’-gctcccggcgatacgagggtccgatcttagctcgttgaca-3’
配列番号7:5’-cttataagtgggagctgaacaatgagaacacatggacaca-3’
配列番号8:5’-gggaggggaacattgcacaccagggcctgttgtgggggag-3’
配列番号9:5’-agccatcctcccacctcagcttcctgagtagctgggacta-3’
配列番号10:5’-tgtgtccatgtgttctcattgttcagctcccacttataag-3’
配列番号11:5’-ctcccccacaacaggccctggtgtgcaatgttcccctccc-3’
配列番号12:5’-ctggagatactgggaaaaggcaatcaggactaggcctttg-3’
配列番号13:5’-cgcagtgtccgaggaagatagctgttccttaactttggca-3’
配列番号14:5’-caggggttatatccgttttaaccggaagtccagtcttggc-3’
配列番号15:5’-gaacagctatcttcctcggacactgcg-3’
配列番号16:5’-ggtagaggcgaagtccttatcttccac-3’
配列番号17:5’-attgatgccaagactggacttccggtta-3’
配列番号18:5’-tgtccttccaaatgagctggcaagtg-3’
配列番号19:5’-ggagtttcccaaacactcagtgaaacaaag-3’
配列番号20:5’-acttcaacaagaacagtatccaagacatcac-3’
配列番号21:5’-gggtgcatcgctggtaacatcc-3’
配列番号22:5’-ctcaagatcgcattcatgcgtcttcac-3’
配列番号23:5’-aaatcccttcacactctttttggagata-3’
配列番号24:5’-aagcacatggcaccaatgacgttagccaccgattccacca-3’
配列番号25:5’-gtcttggtagtgctcctggacagttttctgcagaaacagc-3’
配列番号26:5’-atgttgacaatcttctcctcggggatgagaccgccattgt-3’
配列番号27:5’-ctcatggatcttcctctgcacgttaggccatgtcacaagt-3’
配列番号28:5’-cggcaacacacgtctttgcaaagtctgttacttcctgcac-3’
配列番号29:5’-ctttaatgtcacgcacgatttccctctcagctgtggtggt-3’
配列番号30:5’-atttctcgtggttcacacccatcacaaacatgggggcatc-3’
配列番号31:5’-gtggtgcaggatgcattgctgacaatcttgagggagttgt-3’
配列番号32:5’-tggtggtgcaggatgcattgctgacaatcttgagggagtt-3’
配列番号33:5’-agttggtggtgcaggatgcattgctgacaatcttgaggga-3’
配列番号34:5’-agcagttggtggtgcaggatgcattgctgacaatcttgag-3’
配列番号35:5’-aattgaatgtagtttcatggatgccacaggattccatacc-3’
配列番号36:5’-ggatgcggcagtggccatctcttgctcgaagtctagggca-3’
配列番号37:5’-ctgtcaggtcccggccagccaggtccagacgcaggatggc-3’
配列番号38:5’-cagaaccatcacgaggacctgtcataagacgtctttgtcg-3’
配列番号1〜4は、それぞれマウスCyp1a2遺伝子mRNAにハイブリダイズするオリゴ核酸の塩基配列である。
配列番号5、7、8は、ヒト・トランスポゾン反復配列の一部配列からなるオリゴ核酸の塩基配列である。配列番号9-11は、それぞれ配列番号5、7、8の相補配列からなるオリゴ核酸の塩基配列である。
配列番号6は、シロイズナズナPOD遺伝子の一部配列からなるオリゴ核酸の塩基配列である。
配列番号12は、マウスalb遺伝子mRNAにハイブリダイズするオリゴ核酸の塩基配列であり、配列番号13、14は、マウスArntl遺伝子mRNAにハイブリダイズするオリゴ核酸の塩基配列である。
配列番号15、16は、マウスArntl遺伝子のPCRプライマーセットの塩基配列であり、配列番号17、マウスArntl遺伝子に対するTaqMan Probeの塩基配列である。
配列番号18、19は、マウスCyp1a2遺伝子のプライマーセットの塩基配列であり、配列番号20は、マウスCyp1a2遺伝子に対するTaqMan Probeの塩基配列である。
配列番号21、22は、マウスAlb遺伝子のプライマーセットの塩基配列であり、配列番号23は、マウスAlb遺伝子に対するTaqMan Probeの塩基配列である。
配列番号24-27は、それぞれマウスCyp1a2遺伝子mRNAにハイブリダイズするオリゴ核酸の塩基配列である。
配列番号28は、マウスAlb遺伝子mRNAにハイブリダイズするオリゴ核酸の塩基配列である。
配列番号29はラットActb遺伝子mRNA、配列番号30-34はそれぞれラットGapdh遺伝子mRNA、配列番号35-37はそれぞれラットActb遺伝子mRNAにハイブリダイズするオリゴ核酸の塩基配列である。
配列番号38は、配列番号27のオリゴ核酸の5’側から順次に、AをTに、TをAに、GをCに、そしてCをGに置換し、TTTTの連続配列をATAAと置換して合成したオリゴ核酸の塩基配列である。
(ダミーオリゴ核酸添加比率の実験)
ダミーオリゴDNAのプローブ濃度に対する最適添加比率を求めた。対象組織はマウス肝臓を使用し、検出対象の遺伝子をCyp1a2とした。8週齢オスマウスの肝臓を通常のホルマリン固定・パラフィン包埋によりパラフィンブロックを作成し、厚さ5ミクロンの連続切片を作成し、脱パラフィン処理しプロテアーゼK(Invitrogen社、Proteinase K SOL. RNA、25530049)で処理後、RNA in situハイブリダイゼーションを実施した。遺伝子Cyp1a2のmRNAを検出するプローブとして両端をFITCラベルされた4種類の一本鎖オリゴDNAプローブ(配列番号1〜4)を用いた。Cyp1a2遺伝子のmRNA上で配列番号1〜4は、番号順に5’末端から3’末端の方向に並んでおり、隣のオリゴDNAプローブまでの距離は、配列番号1と2は594塩基、配列番号2と3は16塩基、配列番号3と4は61塩基である。また、配列番号5に示されるダミーオリゴDNA(一本鎖)を用いた。FITCラベルの検出には、Dako社、抗FITCウサギポリクローナル抗体、P5100を用い、tyramide-FLU(Perkin-Elmer社、TSAプラスフルオレセインシステム、NEL741B001KT)によるTSA増感を実施した。図1は、4種のプローブのそれぞれの濃度が1nM(ナノモル)、2nM、3nM、4nM、5nM、すなわちそれぞれ合計4nM、8nM、12nM、16nM、20nMに対し、ダミーオリゴDNAの濃度が1倍、2倍、4倍、6倍、8倍、10倍の濃度で添加されたハイブリダイゼーション溶液を用いて定量性RNA in situハイブリダイゼーションを行った結果を示す。なお、対照実験としての0nMのとき、ダミーオリゴDNAは200nMを添加した。画像は対物レンズ10倍で、連続切片の同じ領域を、Zeiss蛍光顕微鏡Axioplan2およびCCDカメラAxioCamを使って撮影した。これらの画像データをImage Jソフトウエア(NIH、http://rsb.info.nih.gov/ij/)を用いて計算機処理し各画像のシグナル強度からプローブ濃度が0nMのときのシグナル強度を差し引いた値を各画像のシグナル強度として求めた。図2はその結果を、ダミーオリゴDNAの添加比率とCyp1a2遺伝子mRNAを検出して得られるシグナル強度との関係として、横軸にダミーオリゴDNAの添加比率、縦軸にシグナル強度(IntDen)をとり図示したものである。図2から分るように、ダミーオリゴDNAの添加比率が8倍のとき、オリゴDNAプローブの濃度とシグナル強度との順序関係が維持されており、シグナル強度のレンジも同じく順序関係が維持されている1倍と比較して広いことが分る。また、図2から一般にプローブ濃度が高くなるにしたがいシグナル強度も強くなっていることが分る。さらに、オリゴDNAプローブの濃度とシグナル強度との順序関係が維持されている添加比率が8倍のとき、および1倍のときの各画像について、オリゴDNAプローブの濃度が0nMの時の画像の蛍光強度に対し、何倍蛍光強度が強くなっているか、を示す比率を算出した(図3)。プローブ濃度が低い場合、例えば1nMのときのように、RNA in situハイブリダイゼーションのシグナルが弱いときには、この比率はバックグランドノイズの上昇を示す。すなわち、ダミーオリゴDNAの添加比率が1倍のとき、添加比率が8倍のときよりこの比率が大きく、バックグランドノイズが高い事が図3から分る。一方、オリゴDNAプローブの濃度が高い場合は、この比率はRNA in situハイブリダイゼーションによるシグナル強度の増加を示す。添加比率が8倍のとき、添加比率が1倍のときと比べて、バックグランドノイズが少ない分、画像全体のシグナル強度は低くなる。しかし、オリゴDNAプローブの濃度が高くなるにつれ、この比率の上昇度は添加比率が8倍のとき、添加比率が1倍のときと比べて大きく、これは添加比率が8倍のときダイナミックレンジが広いことを示す。図3から、添加比率が8倍のとき添加比率が1倍のときと比べてダイナミックレンジは1.375倍広くなっていることが分る。
(ダミーオリゴDNAとサケ精子DNA、および無添加との比較)
ダミーオリゴDNAとサケ精子DNA、および添加しない場合の定量性RNA in situハイブリダイゼーションのRNA検出における効果の比較を行った。実験には、実施例1と同じくホルマリン固定・パラフィン包埋のマウス肝臓組織試料を用い、連続切片を作成し、実験に使用した。検出遺伝子は実施例1と同様、Cyp1a2であり両端をFITCラベルした配列番号1〜4で示した4種の一本鎖オリゴDNAプローブを使用し、4種のプローブのそれぞれの濃度が0nM(ナノモル)、1nM、2nM、3nM、4nM、5nMとなる種々のプローブ濃度に対し、添加比率8倍の濃度で配列番号5(L1C1と記す)および配列番号6(arbpと記す)に示される2種類のダミーオリゴDNA(一本鎖)を用いた。また、同様のオリゴDNAプローブ濃度に対し、Invitrogen社(カタログ番号15632-011、Salmon Sperm DNA solution)のサケ精子DNAを用い、終濃度が100ug/ml(マイクログラム/ミリリットル)(80nM相当)を添加した。また、対照として、ダミーオリゴDNAあるいはサケ精子DNAを添加しない(無添加と記す)実験を行った。FITCラベルの検出には、Dako社、抗FITCウサギポリクローナル抗体、P5100を用い、tyramide-FLU(Perkin-Elmer社、TSAプラスフルオレセインシステム、NEL741B001KT)によるTSA増感を実施した。図4に、連続切片で同じ領域に対し得られたin situハイブリダイゼーション画像を示す。上段から順に無添加の画像、サケ精子DNAを添加した場合の画像、ダミーオリゴDNAのL1C1を添加した場合の画像、ダミーオリゴDNAのarbpを添加した場合の画像を示す。また左から順に4種のオリゴDNAプローブのそれぞれの濃度が0nM(ナノモル)、1nM、2nM、3nM、4nM、5nMである。画像は対物レンズ10倍で、連続切片の同じ領域を、Zeiss蛍光顕微鏡Axioplan2およびCCDカメラAxioCamを使って撮影した。これらの画像をImage Jソフトウエア(NIH、http://rsb.info.nih.gov/ij/)を用いて計算機処理し、各濃度におけるシグナル強度を求めた。オリゴDNAプローブの濃度が0nMのとき、画像のシグナル強度はバックグランドの蛍光強度(IntDen)であり、これを無添加、サケ精子DNAを添加した場合、ダミーオリゴDNAのL1C1およびarbpを添加した場合について図5に示した。サケ精子DNAを添加した場合にバックグランドの蛍光強度が他と比べて強い。次に、各濃度におけるシグナル強度からこのバックグランドの蛍光強度を差し引くことにより各濃度における真のシグナル強度として求めた。これを図6に示した。オリゴDNAプローブ濃度が1nMでダミーオリゴDNAのarbpを添加した場合、真のシグナル強度が他と比べて小さいが、コントラスト良くシグナルは見えており、オリゴDNAプローブの添加に伴うバックグランドノイズの上昇が小さいことを示している。図6から、真のシグナルはダミーオリゴDNAのL1C1あるいはarbpを添加した場合、サケ精子DNAを添加した場合あるいは無添加の場合と比較して1.4倍から2.5倍ほど強いシグナルが得られる(特にプローブ濃度が2nM以上のとき)ことが分る。さらに、ダミーオリゴDNAのL1C1を添加したとき、およびarbpを添加したときプローブ濃度とシグナル強度との間の線形性が非常に良い事が分る。
(ダミーオリゴDNAとサケ精子DNAとの比較)
ダミーオリゴDNAとサケ精子DNAの定量性RNA in situハイブリダイゼーションのRNA検出における効果の比較を行った。実験には、実施例1と同じくホルマリン固定・パラフィン包埋のマウス肝臓組織試料を用い、連続切片を作成し、実験に使用した。検出遺伝子は実施例1と同様、Cyp1a2であり両端をFITCラベルした配列番号1〜4で示した4種の一本鎖オリゴDNAプローブを使用し、4種のプローブのそれぞれの濃度が0nM(ナノモル)、1nM、2nM、3nM、4nM、5nMとなる種々のオリゴDNAプローブ濃度に対し、添加比率8倍の濃度で配列番号5に示されるダミーオリゴDNA(一本鎖)を用いた。また、同様のプローブ濃度に対し、Invitrogen社(カタログ番号15632-011、Salmon Sperm DNA solution)のサケ精子DNAを用い、終濃度が100ug/ml(マイクログラム/ミリリットル)(80nM相当)を添加した。FITCラベルの検出には、Daco社、抗FITCウサギポリクローナル抗体、P5100を用い、tyramide-FLU(Perkin-Elmer社、TSAプラスフルオレセインシステム、NEL741B001KT)による増感を実施した。図7に、連続切片で同じ領域に対し得られたin situハイブリダイゼーション画像を示す。上段がダミーオリゴDNA添加の画像、下段がサケ精子DNA添加の画像を示す。また左から順に4種のプローブのそれぞれの濃度が1nM(ナノモル)、2nM、3nM、4nM、5nMである。画像は対物レンズ10倍で、連続切片の同じ領域を、Zeiss蛍光顕微鏡Axioplan2およびCCDカメラAxioCamを使って撮影した。これらの画像において図7のようにシグナルが存在しているシグナル領域Sとシグナルが存在していないノイズ領域Nを設定し、Image Jソフトウエア(NIH、http://rsb.info.nih.gov/ij/)を用いてそれぞれの領域におけるシグナル強度を求め、領域S、Nにおけるシグナル強度の比率をSN比(signal-to-noise ratio)として求めた。図8は、得られたSN比を縦軸に、プローブ濃度を横軸にとり、ダミーオリゴDNAを添加した場合のSN比とサケ精子DNAを添加した場合のSN比の比較を示す。図8に示すように、オリゴDNAプローブ濃度とSN比の関係は釣り鐘状となるが、オリゴDNAプローブ濃度が2nM以上のときダミーオリゴDNAの方がサケ精子DNAに比較してSN比が良い事が示されている。
(ダミーオリゴDNA配列の種類)
使用するダミーオリゴDNA配列の種類および数をテストした実施例である。実験には、実施例1と同じくホルマリン固定・パラフィン包埋のマウス肝臓組織試料を用い、連続切片を作成し、脱パラフィン処理しプロテアーゼK(Invitrogen社、Proteinase K SOL. RNA、25530049)で処理後、RNA in situハイブリダイゼーション実験を実施した。検出遺伝子は実施例1と同様、Cyp1a2であり両端をFITCラベルした配列番号1〜4の一本鎖オリゴDNAプローブを使用し、実施例2の結果にしたがい4種のプローブのそれぞれの濃度が2nM(ナノモル)の条件で行った。実験に使用したダミーオリゴDNA(一本鎖)は、配列L1W1、L1W2、L1W3(配列番号5、7、8)および配列L1W1、L1W2、L1W3(配列番号9〜11)を1種類(L1C1、L1C2、L1C3のそれぞれ1種類、グループID=1)、1種類(L1W1、L1W2、L1W3のそれぞれ1種類、グループID=2)、2種類混合(L1C1とL1W1の混合、L1C2とL1W2の混合、L1C3とL1W3の混合、グループID=5)、3種類混合(L1C1、L1C2およびL1C3の混合、グループID=3)、3種類混合(L1W1、L1W2、L1W3の混合、グループID=4)、および6種類混合(グループID=6)で行った。なお、L1W1、L1W2、L1W3の配列は、それぞれL1W1、L1W2、L1W3と相補的な配列となっている。ダミーオリゴDNAの濃度は、それぞれ合計で64nM(それぞれのオリゴDNAプローブの濃度2nMの合計8nMの8倍)で実施した。FITCラベルの検出には、Dako社、抗FITCウサギポリクローナル抗体、P5100を用い、tyramide-FLU(Perkin-Elmer社、TSAプラスフルオレセインシステム、NEL741B001KT)による増感を実施した。画像は対物レンズ10倍で、連続切片(各画像の右上の数字は連続切片の順を示す)の同じ領域を、Zeiss蛍光顕微鏡Axioplan2およびCCDカメラAxioCamを使って撮影した。図9にそのRNA in situハイブリダイゼーションの結果を示す。図9に示すように、上記ダミーオリゴDNA6種類を混合した場合コントラストが他と比較して悪くなっているが、どのダミーオリゴDNA組合せにおいても良好な画像が得られる。次にImage Jソフトウエア(NIH、http://rsb.info.nih.gov/ij/)を用いて各画像のシグナル強度を求め、図10および表1に示した。図10に示すように、使用するダミーオリゴDNAの種類および組によってシグナル強度に大きな差はなく、良好な結果が得られる。
(プローブ数とシグナル強度)
検出に使用するプローブの種類数と検出されるシグナル強度の関係を示す実施例である。理論的には、ハイブリダイゼーション溶液中においてハイブリダイズさせる各オリゴ核酸プローブの濃度が均一であってGC含量が50%で均一であるとき、ハイブリダイゼーション過程での平衡定数Kは各オリゴ核酸プローブ間で同一であり、オリゴ核酸プローブiに対して
K = [Hi]/[fR]・[fPi] (式1)
が成り立ち、フリーのオリゴ核酸プローブ濃度 [fPi]は各オリゴ核酸プローブに対して同一である。さらに、オリゴ核酸プローブiがハイブリダイズした量(濃度)Hiは
[Hi] = K・[fR]・[fPi] (式2)
で表現され、
[H1] = [H2] = … = [HN] (式3)
である。したがって、観察されるシグナル強度Iは
I = S([H1])+….+S([HN]) (式4)
と加算的であり、ハイブリダイゼーション溶液中のオリゴ核酸プローブの種類数Nに依存して増加関数的に(理論的には比例して)増加する。
実験には、実施例1と同じくホルマリン固定・パラフィン包埋のマウス肝臓組織試料を用い、連続切片を作成し、脱パラフィン処理しプロテアーゼK(Invitrogen社、Proteinase K SOL. RNA、25530049)で処理後、RNA in situハイブリダイゼーション実験を実施した。検出遺伝子は実施例1と同様、Cyp1a2であり両端をFITCラベルした配列番号1〜4の一本鎖オリゴDNAプローブを使用し、4種のオリゴDNAプローブのそれぞれの濃度が2nM(ナノモル)で、オリゴDNAプローブが1種類、2種類、3種類、4種類の条件およびオリゴDNAプローブを入れない条件で行った。ダミーオリゴDNA(一本鎖)には、配列番号5のダミーオリゴDNA(L1C1)を使用し、濃度は使用するオリゴDNAプローブの濃度の合計の8倍で実施した。すなわち、1種類のオリゴDNAプローブのとき、16nM、2種類のオリゴDNAプローブのとき32nM、3種類のオリゴDNAプローブのとき48nM、4種類のオリゴDNAプローブのとき64nMである。なお、オリゴDNAプローブが無い条件ではダミーオリゴDNAの濃度を64nMとした。FITCラベルの検出には、Dako社、抗FITCウサギポリクローナル抗体、P5100を用い、tyramide-FLU(Perkin-Elmer社、TSAプラスフルオレセインシステム、NEL741B001KT)による増感を実施した。画像は対物レンズ10倍で、連続切片の同じ領域を、Zeiss蛍光顕微鏡Axioplan2およびCCDカメラAxioCamを使って撮影した。図11に画像を示す。次にImage Jソフトウエア(NIH、http://rsb.info.nih.gov/ij/)を使用して一旦各画像のシグナル強度を求め、それらからオリゴDNAプローブが入っていない条件での画像のシグナル強度を差し引いた値を各プローブ種類数の画像でのシグナル強度として求めた。その結果を、図12に縦軸にシグナル強度、横軸にオリゴDNAプローブの種類数をプロットして示した。図に示されているように、ダミーオリゴDNAを添加した場合、オリゴDNAプローブの種類数とシグナル強度は綺麗な右上がりの直線にのり、線形の関係にある。
(プローブ濃度)
検出に使用するオリゴDNAプローブの濃度が上がるに従ってシグナル強度が、どのように変化するか、を示す。
ハイブリダイゼーションは一種の平衡反応で理論的には
K = [H]/[fR]・[fP]
なる平衡定数とハイズリダイズした産物の濃度[H]、フリーのmRNA濃度[fR]およびフリーのオリゴDNAプローブの濃度[fP]との間の関係式が成り立つ。
ハイブリダイズさせるオリゴDNAプローブの濃度P0 = [H]+[fP]
組織サンプル中に存在するmRNA濃度R0 = [H]+[fR] (組織試料中で一定)
の2式が成り立つので、ハイブリダイズさせるオリゴDNAプローブの濃度が高いほど、ハイズリダイズした産物は増える。本実施例では、オリゴDNAプローブの濃度が高くなるにしたがい、シグナル強度も線形的に強くなることを示す。
実験には、実施例1と同じくホルマリン固定・パラフィン包埋のマウス肝臓組織試料を用い、連続切片を作成し、脱パラフィン処理しプロテアーゼK(Invitrogen社、Proteinase K SOL. RNA、25530049)で処理後、RNA in situハイブリダイゼーション実験を実施した。検出遺伝子はアルブミンAlbであり両端をFITCラベルした配列番号12の一本鎖オリゴDNAプローブを使用し、0nM(プローブなし)、0.1nM、0.25nM、0.5nM、1nM、1.5nMの6種類の濃度で実施した。ダミーオリゴDNAには、配列番号5のダミーオリゴDNA(一本鎖)を使用し、濃度は使用するオリゴDNAプローブの濃度の8倍で実施した。オリゴDNAプローブが入っていないハイブリダイゼーション溶液には、12nMのダミーオリゴDNAを使用した。FITCラベルの検出には、Dako社、抗FITCウサギポリクローナル抗体、P5100を用い、tyramide-FLU(Perkin-Elmer社、TSAプラスフルオレセインシステム、NEL741B001KT)による増感を実施した。画像は対物レンズ10倍および20倍で、連続切片の同じ領域を、Zeiss蛍光顕微鏡Axioplan2およびCCDカメラAxioCamを使って撮影した。図13に画像を示す(上段は対物レンズ10倍、下段は対物レンズ20倍の画像である)。また、Image Jソフトウエア(NIH、http://rsb.info.nih.gov/ij/)を使用して、各濃度における画像のシグナル強度を計算機で求め、オリゴDNAプローブの濃度が0nMの画像におけるシグナル強度を引いた値を真のシグナル強度として求めた。その結果を図14に、縦軸にシグナル強度、横軸にプローブ濃度をプロットして示した(図14aは図13の対物レンズ10倍の画像に対するシグナル強度、図14bは図13の対物レンズ20倍の画像に対するシグナル強度)。図に示されているように、プローブ濃度が上がるにしたがい線形的にシグナル強度も強くなるが、ある濃度(図14に示すようにAlb遺伝子の場合、1nM)から上はシグナル強度が飽和することが示されている。これは、実施例9で定量PCRの結果を示すようにAlb遺伝子の肝臓での発現量が非常に高いことを反映している。
(プローブ濃度)
検出に使用するプローブの濃度が上がるに従ってシグナル強度が、どのように変化するか、を示す。実験には、実施例1と同じくホルマリン固定・パラフィン包埋のマウス肝臓組織試料を用い、連続切片を作成し、脱パラフィン処理しプロテアーゼK(Invitrogen社、Proteinase K SOL. RNA、25530049)で処理後、RNA in situハイブリダイゼーション実験を実施した。検出遺伝子は実施例1、2と同様、Cyp1a2であり両端をFITCラベルした配列番号1〜4の一本鎖オリゴDNAプローブを使用し、4種のオリゴDNAプローブのそれぞれの濃度が0nM(ナノモル)、1nM、2nM、3nM、4nM、5nMとなる種々のオリゴDNAプローブの濃度に対し、添加比率8倍の濃度で配列番号5に示されるダミーオリゴDNA(一本鎖)を用いた。オリゴDNAプローブが入っていないハイブリダイゼーション溶液には、64nMのダミーオリゴDNAを使用した。FITCラベルの検出には、Dako社、抗FITCウサギポリクローナル抗体、P5100を用い、tyramide-FLU(Perkin-Elmer社、TSAプラスフルオレセインシステム、NEL741B001KT)による増感を実施した。画像は対物レンズ10倍で、連続切片の同じ領域3カ所を、Zeiss蛍光顕微鏡Axioplan2およびCCDカメラAxioCamを使って撮影した。図15に画像を示す。また、Image Jソフトウエア(NIH、http://rsb.info.nih.gov/ij/)を使用して、各濃度における各領域の画像のシグナル強度を計算機で求め、プローブ濃度が0nMの画像におけるシグナル強度を引いた値を真のシグナル強度として計算し、3カ所の平均値を求めた。その結果を図16に、縦軸にシグナル強度、横軸にプローブ濃度をプロットして示した。図に示されているように、ダミーオリゴDNA添加のもとでプローブ濃度が上がるにしたがい直線的にシグナル強度も強くなることが示されている。
(発現量とシグナル強度)
発現量とシグナル強度の関係が線形になることにより、本発明によるRNA in situハイブリダイゼーションにより標的遺伝子mRNAを定量的に検出できることを示した実施例である。本実施例における検出遺伝子は概日周期に従い発現量が変動するArntlで、8週齢のオスマウスを使用し、午前9時から深夜1時(25時)までの4時間毎の5ポイントにおいて、2個体ずつ対象組織の肝臓(外側左葉)を採取し、半分に切断後、切断面からそれぞれ両側2mmの範囲を、ホルマリン固定・パラフィン包埋用組織試料および定量PCRに供するためのRNA抽出用組織試料とした。
実施例1と同じくホルマリン固定・パラフィン包埋により組織試料を作成し、連続切片を作成し、脱パラフィン処理しプロテアーゼK(Invitrogen社、Proteinase K SOL. RNA、25530049)で処理後、RNA in situハイブリダイゼーション実験を実施した。検出遺伝子Arntlのオリゴ核酸プローブは、両端をDigラベルした配列番号13および14(Arntl遺伝子のmRNA上での距離は21塩基)の一本鎖オリゴDNAプローブをそれぞれの濃度が2nM(ナノモル)で使用した。ダミーオリゴDNA(一本鎖)は配列番号5に示されるL1C1を添加比率8倍の濃度で用いた。Digラベルの検出には、抗Dig抗体(ロッシュ社、抗ジゴキシゲニン-POD、1207733)を使用し、TSA増感ではtyramide-Cy3(Perkin-Elmer社、TSAプラスシアニン3システム、NEL744B001KT)を使用した。画像は対物レンズ10倍で、Zeiss蛍光顕微鏡Axioplan2およびCCDカメラAxioCamを使って撮影した。図17に各タイムポイントの1個体の肝臓における2領域の画像を示す。また、Image Jソフトウエア(NIH、http://rsb.info.nih.gov/ij/)を使用して、各時刻における画像のシグナル強度を計算機で求め、定量PCRによる発現量との比較を行った。Arntl遺伝子mRNAの定量PCRによる発現量の定量には、配列番号15および16に示されるフォワードとリバースのプライマーを用い、TaqMan法による定量PCRを実施した。なお、TaqMan プローブの配列は、配列番号17に示されている。また、内部標準遺伝子であるActbの定量PCRを同時に行った(ActbのPCRプライマーおよびTaqManプローブはApplied Biosystemsから購入)。なお、定量PCRはApplied Biosystems 7500 Reat-time PCR Systemを用い、これに付随したプロトコルに従い実施した。図18に標的遺伝子ArntlおよびActbの発現量の変化を4時間毎に採取した組織試料について、定量PCRで求めたCt値の変化として示した。図19に、標的遺伝子ArntlのRNA in situハイブリダイゼーションにより求めたシグナル強度の変化を示した。また、図20に各個体の採取された肝臓における標的遺伝子Arntlの定量PCRで求めたCt値およびRNA in situハイブリダイゼーションにより求めたシグナル強度の各時刻グループの平均値をプロットし、定量PCRによるCt値とRNA in situハイブリダイゼーションによるシグナル強度との関係を示した。図20に示すように、ダミーオリゴDNA添加のもとで、定量PCRのCt値とシグナル強度は、良い相関を示している(mRNAの発現量が多いときCt値は小さくなるので、Ct値を縦軸、シグナル強度を横軸にとった場合、この図のように右下がりの相関となる)。
(発現量とシグナル強度、2色)
組織試料として実施例8で使用した午後1時における8週齢のオスマウス1個体の肝臓を使用し、標的遺伝子Cyp1a2に対して両端をDigでラベルのオリゴDNAプローブを使用し、標的遺伝子Albに対し両端をFITCでラベルしたオリゴDNAプローブを用いて多段階にTSA増感を実施し、2つの標的遺伝子を2色の蛍光色素で定量的に検出し、これらの遺伝子の定量PCRによるCt値と比較した実施例である。
Cyp1a2遺伝子mRNAの定量PCRによる発現量の定量には、配列番号18および19に示されるフォワードとリバースのプライマーを用い、TaqMan法による定量PCRを実施した。なお、TaqMan プローブの配列は、配列番号20に示されている。Alb遺伝子mRNAの定量PCRによる発現量の定量には、配列番号21および22に示されるフォワードとリバースのプライマーを用い、TaqMan法による定量PCRを実施した。なお、TaqMan プローブの配列は、配列番号23に示されている。なお、定量PCRはApplied Biosystems 7500 Reat-time PCR Systemを用い、これに付随したプロトコルに従い実施した。Alb遺伝子のCt値は22.135(増幅効率1.0178)、Cyp1a2遺伝子のCt値は27.053(増幅効率1.0008)となり、およそ2の5乗倍すなわち128倍程度、Alb遺伝子の発現量が多いことが示された。
使用したオリゴDNAプローブは、Cyp1a2遺伝子に対し両端DigラベルのオリゴDNAプローブ5種類(配列番号2および24〜27に示されたプローブの組)あるいは配列番号2で示されたプローブ1種類を用い、Alb遺伝子に対し両端FITCラベルの配列番号12および28に示されたオリゴDNAプローブ2種類を用いた。また、ダミーオリゴDNAには配列番号5で示すL1C1を用いた。実験では、マウス肝臓を通常のホルマリン固定・パラフィン包埋後、連続切片を作成し、脱パラフィン処理しプロテアーゼK(Invitrogen社、Proteinase K SOL. RNA、25530049)で処理後、上記プローブのミックスチャーを使用してRNA in situハイブリダイゼーションを実施した。Digラベルの検出には、抗Dig抗体(ロッシュ社、抗ジゴキシゲニン-POD、1207733)を使用し、TSA増感ではtyramide-Cy3(Perkin-Elmer社、TSAプラスシアニン3システム、NEL744B001KT)を使用した。また、FITCラベルの検出には抗FITC抗体(Dako社、抗FITCウサギポリクローナル抗体、P5100)を使用し、TSA増感ではtyramide-FLU(Perkin-Elmer社、TSAプラスフルオレセインシステム、NEL741B001KT)を使用した。なお、顕微鏡撮影には10倍の対物レンズでZeiss蛍光顕微鏡Axioplan2およびCCDカメラAxioCamを使用した。
定量PCRの結果、Cyp1a2遺伝子はAlb遺伝子のおよそ128分の1しか発現していないことが分った。図19に2枚の連続切片を使って、同じ切片でCyp1a2遺伝子mRNAをCy3で検出し、Alb遺伝子mRNAをFLUで検出した例を示す。図21の上段はCyp1a2遺伝子の検出に1プローブのみ使用した場合(切片1)の結果であり、下段は5種類のプローブの組を使用した場合(切片2)のin situハイブリダイゼーション画像を示す。図に示されたように、二つの遺伝子の発現の局在性は異なり、Alb遺伝子はPV(門脈)領域に発現し、Cyp1a2遺伝子はCV(中心静脈)領域に発現している。さらに、Cyp1a2遺伝子mRNAの検出に関し、プローブ数が1の場合、シグナルは非常に弱いが、プローブ数を5にした場合に、シグナル強度がAlb遺伝子mRNAのFLUによるシグナル強度に近づいている。すなわち、上述のように定量PCRの結果、Cyp1a2遺伝子はAlb遺伝子のおよそ128分の1しか発現していないが、プローブの種類数を増やす事により、10の2乗倍の発現量の差を埋めてシグナル強度を上げる事に成功している。このことを、図21の画像においてImage Jを用いて、切片1、切片2のそれぞれについて、PV領域、CV領域で図21に示すサイズの円形の小領域をそれぞれ8個設定し、FLUのシグナル強度およびCy3のシグナル強度を測定し、表2にまとめた。表2のレンジ評価のCV領域の項にあるようにCy3の最大シグナル強度はCyp1a2に対するオリゴDNAプローブ1種類の39.75からオリゴDNAプローブ5種類時には151.00に増強され、AlbのPV領域における最大シグナル強度(切片1で137.88、切片2で142.38)に匹敵する。
この実施例のように、ダミーオリゴDNA添加のもとで、複数の標的遺伝子に対し、使用するオリゴDNAプローブの数および濃度を調整することによって、標的遺伝子の発現量が10の2乗〜10の3乗倍異なっていても、シグナル強度を同程度に調整することが可能である。
(チラミド濃度)
マウス肝臓において、アルブミン(Alb)遺伝子に対するオリゴDNAプローブ(配列番号12、両端FITCラベル、濃度1nM)を使って、tyramide sensitivity amplificationにおけるtyramid-FLU (Perkin-Elmer社、TSAプラスフルオレセインシステム、NEL741B001KT)の濃度の影響をみた。実験では、マウス肝臓を通常のホルマリン固定・パラフィン包埋後、連続切片を作成し、プロテアーゼK(Invitrogen社、Proteinase K SOL. RNA、25530049)で処理し、上記オリゴDNAプローブおよび配列番号29のラベルの付加されていないラットActb遺伝子のオリゴDNAをダミーオリゴDNAとして濃度8nMで使用し、RNA in situハイブリダイゼーションを行った。FITCラベルの検出には、Dako社、抗FITCウサギポリクローナル抗体、P5100を用いた。その結果を図22に示す。図中の希釈倍率1は、メーカー推奨プロトコルのtryamide-FLUの濃度で、2倍希釈、5倍希釈、10倍希釈で実験を行った。図22に示すように、tryamide-FLUの濃度が減少するにしたがい、シグナル強度も減少する。なお、顕微鏡撮影には10倍の対物レンズでZeiss蛍光顕微鏡Axioplan2およびCCDカメラAxioCamを使用し、得られた各画像をImage Jを用いて処理し、シグナル強度を求めた。
(違う遺伝子でも良い)
ラットGAPDH遺伝子のmRNA配列の5’末端から、オリゴ核酸プローブとして用いたい長さのウインドウ(この例では40塩基)を1塩基づつずらしながら、各オリゴ核酸のGC含量(%)を計算した例を図23示す。
(サケ精子DNAを用いた)
オリゴ核酸プローブの場合、プローブにラベルを付加するが、ラベルを付加する位置およびラベルの数によってハイブリダイゼーションにどのように影響を与えるか、ラット肺におけるラットアクチンベータ遺伝子Actbに対するin situハイブリダイゼーションのシグナル強度で確認した(図24)。すなわち、ラット肺を通常のホルマリン固定・パラフィン包埋後、連続切片を作成し、脱パラフィン処理およびプロテアーゼK(Invitrogen社、Proteinase K SOL. RNA、25530049)で処理後、FITCラベルが5’末端に付加されたオリゴDNAプローブ(プローブ1)、3’末端に付加されたオリゴDNAプローブ(プローブ2)、5’末端および3’末端の両端にFITCラベルの付加されたオリゴDNAプローブ(プローブ3)を使用してRNA in situハイブリダイゼーションを実施し、得られる蛍光強度を比較した。なお、この実施例では、ダミーオリゴDNAではなくサケ精子DNAを用いた。ここで使用したFITCラベルの付加された3種のオリゴDNAプローブの配列は同じで長さ40塩基であり、配列番号29で示されている。実験には、FITCラベルを検出するための抗FITC抗体にPODがつなげられた蛋白質(Dako社、抗FITCウサギポリクローナル抗体、P5100)を用いてFITCを検出し、さらにtyramide-FLUを添加させ、TSA増感を実施した。TSA増感にはPerkin-Elmer社のキット(TSAプラスフルオレセインシステム、NEL741B001KT)を使い、TSA増感のプロトコルはこのキットの添付文章にしたがった。ハイブリダイズさせるプローブの濃度は、いずれも5nMとした。撮影には10倍の対物レンズでZeiss蛍光顕微鏡Axioplan2およびCCDカメラAxioCamを使用した。図24a、b、cは、それぞれプローブ1、プローブ2、プローブ3でラット肺のActb遺伝子のmRNAを検出した結果である。5’末端のみにラベルのついたプローブ1で検出されたActb遺伝子のmRNAのシグナル強度および、3’末端のみにラベルの付加されたプローブ2で検出されたActb遺伝子のmRNAのシグナル強度はほぼ同等であった。また、両端にラベルの付加されたプローブ3で検出されたActb遺伝子のmRNAのシグナル強度は、これらの倍程度であった。すなわち、シグナル強度はラベルの数に依存し、両端にラベルの付加されたプローブを使用することにより、検出感度を上げることが可能である。なお、図24dで示したActbのセンスプローブの配列は配列番号29の相補鎖である。
(シグナル強度を数値化していない、サケ精子DNAを用いた)
一つの遺伝子のmRNA上で、複数のラベルを用いてハイブリダイズした産物を検出しようとするとき、mRNAの核酸配列上で、2個のラベルはいったいどれくらい離れている必要があるか、確認した。これは、ラベルの増感方法や用いる顕微鏡、CCDカメラの光学系の解像度にも依存する。本実施例では、遺伝子GAPDHのmRNAの核酸配列に対し、2つのオリゴ核酸プローブA1およびA2を用意し、A1の5’末端およびA2の3’末端をFITCでラベルした(図25)。ラベルの付加されたA1およびA2の長さは40塩基であり、A2の3’末端は、配列番号30で示されるA1の5’末端から3塩基、5塩基、8塩基、11塩基の距離になるよう4種類のプローブA21、A22、A23、A24を用いた(それぞれ配列番号31、32、33、34)。なお、使用した試料組織はラット肺で、通常のホルマリン固定・パラフィン包埋後、連続切片を作成し、プロテアーゼK(Invitrogen社、Proteinase K SOL. RNA、25530049)で処理後、上記プローブの組(A1とA21、A1とA22、A1とA23、A1とA24)、およびサケ精子DNAを用いてRNA in situハイブリダイゼーションを実施した。FITCの検出にはDako社、抗FITCウサギポリクローナル抗体、P5100を使用し、増感のためにPerkin-Elmer社のキット(TSAプラスフルオレセインシステム、NEL741B001KT)を用いてTSA増感を行った。顕微鏡撮影には10倍の対物レンズでZeiss蛍光顕微鏡Axioplan2およびCCDカメラAxioCamを使用した。図26に示すように、A1の3’末端およびA2の5’末端の距離が8塩基以上離れている場合に、シグナルの加算的増強が観察される。すなわち、ラベル間の距離は8塩基離れていることが条件となる。
(シグナル強度を数値化していない、サケ精子DNAを用いた)
ラットACTB遺伝子のmRNAに対して、両端をFITCでラベルされた長さ40塩基のオリゴ核酸プローブにおいて、GC含量が40%(配列番号35)、50%(配列番号29)、60%(配列番号36)、70%(配列番号37)の4種類を用いて、それぞれ単独にプローブとして使用し、ラット肺でRNA in situハイブリダイゼーションを行い、さらに、抗FITC抗体(Dako社、抗FITCウサギポリクローナル抗体、P5100)を使用しTSA増感(Perkin-Elmer社、TSAプラスフルオレセインシステム、NEL741B001KT)を行った。顕微鏡撮影には10倍の対物レンズでZeiss蛍光顕微鏡Axioplan2およびCCDカメラAxioCamを使用した(図27)。プローブのGC含量が増えるに従って、シグナルが強くなり、検出感度が上がることが分かる。言い換えれば、ハイブリダイゼーションの平衡定数Kおよび融解温度TmはGC含量の増加関数であるため、融解温度Tmが大きくなるにしたがって、シグナル強度は上がり、検出感度があがる。なお、図27のActbセンスプローブの配列は配列番号29の相補鎖である。
(ダミーオリゴDNA)
実施例1から実施例10で用いたダミーオリゴDNAは、配列番号5〜11、配列番号29である。配列番号5および配列番号7〜11はヒトゲノム上のトランポゾン由来の反復配列から選択した。配列番号6は植物シロイヌナズナのperoxidase遺伝子の配列から選択した。また、配列番号29はラットActb遺伝子から選択されており、実施例10における標的遺伝子AlbのmRNAにはハイブリダイズしない。また配列番号27のオリゴDNAプローブ:
5’-gtcttggtagtgctcctggacagttttctgcagaaacagc-3’
に対し、5’側から順次に、AをTに、TをAに、GをCに、そしてCをGに置換し、TTTTの連続配列をATAAと置換して合成したオリゴDNA:

5’-cagaaccatcacgaggacctgtcataagacgtctttgtcg-3’(配列番号38)
もダミーオリゴDNAとして使用できる。この配列番号38のダミーオリゴ核酸の例では、長さおよびGC含量がオリゴDNAプローブ(配列番号27)と同一になっている。

Claims (7)

  1. 組織試料中で発現している標的遺伝子mRNAに対して1または複数種のオリゴ核酸プローブをハイブリダイズさせ、オリゴ核酸プローブの少なくとも1塩基に付加されている低分子化合物ラベルを検出して標的遺伝子mRNAの存在を特定する方法であって
    オリゴ核酸プローブと1種または複数種のダミーオリゴ核酸との混合液を試料組織に接触させてオリゴ核酸プローブを標的遺伝子mRNAにハイブリダイズさせ、
    ダミーオリゴ核酸量がオリゴ核酸プローブ量の2〜10倍であり、オリゴ核酸プローブの塩基長は20bpから70bpであり、ダミーオリゴ核酸とオリゴ核酸プローブの塩基長の違いは±10%以下であり、
    ダミーオリゴ核酸は標的遺伝子mRNA上のオリゴ核酸プローブがハイブリダイズする領域とはハイブリダイズせず、そしてオリゴ核酸プローブとはハイブリダイズしないが、オリゴ核酸プローブが非特異的に吸着する組織試料の部位に吸着してオリゴ核酸プローブの非特異的吸着によるバックグランドノイズを下げる、
    ことを特徴とするRNA in situハイブリダイゼーション法。
  2. オリゴ核酸プローブが、その5’末端塩基または/および3’末端塩基のそれぞれに低分子化合物ラベルが付加されている請求項1のRNA in situハイブリダイゼーション法。
  3. 請求項に記載のオリゴ核酸プローブの2種以上を、互いの5’末端と3’末端とが8塩基以上離れるようにmRNAにハイブリダイズする請求項1のRNA in situハイブリダイゼーション法。
  4. 低分子化合物に対する抗体、この抗体にコンジュゲートされた酵素、この酵素の基質としての発色化合物または蛍光分子化合物を使って検出シグナルを増感し、10倍から40倍の対物レンズを使用してシグナルを検出する請求項1のRNA in situハイブリダイゼーション法。
  5. 組織試料がほ乳動物から単離した組織であり、ダミーオリゴ核酸がレトロトランスポゾンの反復配列の一部配列からなるオリゴ核酸である請求項1のRNA in situハイブリダイゼーション法。
  6. 組織試料がほ乳動物から単離した組織であり、ダミーオリゴ核酸が植物ゲノムの一部または微生物ゲノムの一部配列からなるオリゴ核酸である請求項1のRNA in situハイブリダイゼーション法。
  7. ダミーオリゴ核酸が、
    オリゴ核酸プローブの塩基配列におけるAをTに、TをAに、GをCに、そしてCをGに置換し、
    同じ塩基がM個(Mは4)以上で連続する場合は、その連続配列におけるM×0.2カ所(小数点以下切り上げて整数)からM×0.8カ所(小数点以下切り下げて整数)の塩基をその相補的な塩基で置換し、
    5’側から読んでも3’側から読んでも同じ配列になるN塩基(Nは5)以上の回文配列がある場合は、少なくともN×0.2カ所(小数点以下切り上げて整数)、Nが偶数の場合多くて(N/2-1)カ所、Nが奇数の場合多くて((N-1)/2-1)カ所の塩基をその相補的な塩基で置換すること、
    によって得られるオリゴ核酸である請求項1のRNA in situハイブリダイゼーション法。
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