JP5733392B2 - 成形体の表面処理方法および環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体 - Google Patents

成形体の表面処理方法および環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体 Download PDF

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Description

本発明は、環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体の表面処理方法および環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体に関し、さらに詳細には、成形体の表面への生化学物質の非吸着化処理を行う成形体の表面処理方法および成形体に関する。
環状オレフィン系樹脂は、溶融加工性、流動性、熱収縮性、印刷特性等に優れるため種々の用途に利用されている。前記の特性に加えて、透明性、耐薬品性、防湿性、機械的特性等にも優れるため、医療機器用途、医薬用途又は光学用途等でその使用が広がっている。
医薬又は医療機器用途等において、環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体は、タンパク質等の生物由来の物質(生化学物質)を取り扱う保存容器や分析装置等に使用されている。
例えば、臨床検査等で免疫反応などの分子間相互作用を利用した測定(表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術など)において、環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体からなるマイクロチップが使用される。
マイクロチップは、当該マイクロチップに設けられるマイクロチャンネルとも呼ばれる流路に試薬が配置された反応領域など各種機能を有する領域を設けることにより、様々な用途に適応させることが可能となる。
上記したマイクロチップは、典型的には一対のマイクロチップ基板が対向して接着された構造を有し、少なくとも1つの上記マイクロチップ基板の表面に微細な流路(例えば、幅10〜数100μm、深さ10〜数100μm程度)が形成されている。近年、軽量でありながらガラス基板に比べて破損しにくく、かつ、安価で、紫外線等の透過率が高い環状オレフィン系樹脂を含む材料から成形したマイクロチップ基板を用いたマイクロチップの開発が進められている。
ここで、比較的低濃度の生化学物質を含む医薬や試料を取り扱う場合、生化学物質が環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体表面に吸着されることにより不具合を生じることがある。例えば、成形体からなるマイクロチップを利用した生体試料の微量分析においては、マイクロチップ基板表面における環状オレフィン系樹脂による生化学物資の吸着による影響が無視できないほど大きく、正確な分析結果が得難いという問題がある。
すなわち、マイクロチップを利用した測定の高精度化には検出部の高感度化が必要であるが、検体の一部が検出部に到達するまでの流路(マイクロチャンネル)の表面にて吸着を起こすと測定精度が低下する不具合がある。この不具合を解消するために、マイクロチップに設けられた流路表面を生体物質が吸着し難い表面に改質する方法が求められている。
このような要請に対応するために、特許文献1に記載されているような環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体の表面の生化学物質の非吸着化処理方法が提案されている。
すなわち、特許文献1においては、環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体の表面に対して、1)成形体の表面をプラズマ放電処理する工程1、及び、2)工程1の後に、成形体の表面を強酸と接触させる工程2を含む表面処理が提案されている。
更には、工程2に引き続いて、3)当該表面を特定のフッ素含有シラン化合物と反応させる工程3を行うことが提案されている。
特許文献1における上記工程1を実施することにより、成形体表面の活性化が実現される。また上記工程2を実施することにより、上記活性化表面に酸素が導入される。更に上記工程3を実施することにより、酸素が導入された成形体表面に極性の小さなフッ素含有基が導入される。
特許文献1に記載された工程1及び工程2による表面処理により、環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体の表面への生化学物質の吸着の抑制が成され、更に工程3の処理を引き続き行うことにより、陽イオン物質、例えば金属イオン等の上記成形体への非特異吸着によって生じる生化学分析の障害も回避することが可能となる。
特開2010−241984
上記したように、特許文献1にて言及されている工程1、工程2、もしくは工程1、工程2、工程3からなる環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体の表面処理方法によれば、当該成形体表面への生化学物質の吸着が抑制される。よって、当該成形体から構成されるマイクロチップを利用した生体試料の微量分析においても、上記した吸着作用が低減されることにより分析結果の精度が向上する。
しかしながら、上記した一連の表面処理工程においては、依然として以下に示す不具合が存在する。
特許文献1に記載されている工程1は、環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体に対してプラズマ放電処理する工程である。前記成形体の表面にプラズマ放電処理を行うことにより、成形体表面を活性化する。
すなわち、プラズマ放電により成形体表面にプラズマ粒子が照射されることになるが、その際、プラズマ中の高速粒子が成形体表面に衝突する。その結果基板表面にダメージが加わり、成形体表面状態が荒れることになる。
また、この目的を達成するためのプラズマ放電は真空中で行われる。そのため、プラズマ放電を実施するための真空雰囲気を形成する必要があり、表面処理工程のための設備がおおがかりとなる。よって例えば上記表面処理を施した環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体からなるマイクロチップの生産プロセスも複雑かつコストアップとなるので、当該マイクロチップの生産プロセスにおいては、真空中の処理を避けたい。
特許文献1に記載されている工程2は、酸処理により、環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体に対して、酸処理を施している。
酸処理は、人体のみならず機器類に対しても腐食する影響が考えられる上に、工業廃液の問題も生じる問題がある。さらに、多機能マイクロチップは、一つのマイクロチップ中に様々なセンサデバイスを組み込む。組み込んだデバイスを酸によって腐食させたくないため、この酸処理のプロセスを避けたい。
上記成形体である一対のマイクロチップ基板も、基板同士の貼り合わせの前に上記した工程を経た表面処理が施される。そのため、両基板を貼り合わせて成るマイクロチップに構成される微細な流路表面も上記表面処理が施される。
すなわち、当該流路表面は、プラズマ放電処理に起因する表面荒れ状態にある。
例えば、マイクロチップ流路内に分析対象である特定の生体物質(例えば抗体)を配置し、上記流路に当該生体物質に対する認識機能を有する機能性分子(例えば抗原)を含む検査溶液を流し、該機能性分子と分析対象との選択的反応および結合により変化する光学信号または電気信号を感知・情報処理する測定を考える。
上記したように流路表面に表面荒れがあると、流路内を流す機能性分子の流れがスムーズでなくなり、流速等が時間的に不均一な流れとなる。よって、場合によっては、流速等の時間的不均一により、精度の高い測定が困難となる場合がある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、表面荒れを生じさせることなく、成形体表面に自己組織化単分子膜を形成することが可能であり、例えば環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体としてマイクロチップ基板を成形した場合においても、マイクロチップ内の流路表面の表面荒れを回避して、流路内を流す機能性分子の流れをスムーズにすることができる環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体の表面の表面処理方法および該方法により生化学物質の非吸着化処理された環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体を提供することである。
また、例えば環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体としてマイクロチップ基板を成形した場合においても、マイクロチップ内の流路表面の表面荒れを回避して、流路内を流す機能性分子の流れをスムーズにすることができる環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体の表面の表面処理方法および該方法により生体機能分子の固定機能性が付与された環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体を提供することである。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、以下のようにして上記課題を解決する。
本発明の環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体の表面処理方法において、従来の環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体の表面に対して成形体の表面をプラズマ放電処理する工程(工程1)に代えて、当該表面に対し大気中で真空紫外光を照射する工程(以下、工程A)を採用する。
真空紫外光としては、具体的には波長200nm以下の光(好ましくは波長180nm以下の光)が、上記表面に照射される。例えば、後述する実施の形態で示すように、真空紫外エキシマランプから放出される波長172nmに中心波長を有する単色光の光が上記表面に照射される。
更に、工程Aによって表面処理された成形体表面に対して自己組織化単分子膜を形成する工程Bを実施する。ここで、工程Aの処理が実行された環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面の酸素と一端の官能基とが結合した自己組織化単分子膜の他端の官能基として、任意の官能基(例えば、カルボキシ基、アミノ基、メチル基など)を選択することにより、各官能基の機能に基づく機能性を環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面に付与することが可能となる。例えば、工程Bとして、特許文献1と同様、先の工程で表面処理された成形体表面を特定のフッ素含有シラン化合物と反応させる工程3を採用することにより、成形体の表面への生化学物質の吸着の抑制を実現することが可能となる。
本発明者らが鋭意研究した結果、本発明にて採用した上記工程Aは、大きく2つの効果を奏することが確認された。
(i)従来のプラズマ放電処理と同様、真空紫外光の環状オレフィン系樹脂成形体表面への照射により、当該成形体表面が活性化する。具体的には、当該成形体表面におけるオレフィン環の開裂が発生する。
(ii)更には、上記活性化した成形体表面への酸素導入も、真空紫外光の照射処理により成し遂げられる。すなわち、従来技術における工程2の作用も同時に発生することが判明した。
すなわち、本発明においては、次のようにして前記課題を解決する。
(1)環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体の表面の表面処理方法であって、環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体表面に、大気中で真空紫外光を照射し、成形体表面の活性化及び成形体表面に酸素導入を行ったのち、成形体表面とシラン化合物とを反応させ、当該照射表面に酸素をプライマーとした自己組織化単分子膜を形成する。
(2)上記(1)において、上記真空紫外光を上記表面の一部に選択的に照射し、この選択的照射表面に自己組織化単分子膜を形成する。
(3)上記(2)において、上記表面における照射領域が2箇所以上であって、この複数の照射領域に自己組織化単分子膜を形成する。
(4)上記(1)(2)(3)において、上記成型体は、少なくとも一方に微細な流路が形成されている第1の基板と第2の基板からなるマイクロチップ基板である。
(5)上記(1)(2)(3)(4)の成形体の表面処理を、当該成形体表面の生化学物質の非吸着化処理とする。
(6)上記(5)において、上記自己組織化単分子膜形成工程は、前記成形体の表面と下式[1]で表されるフッ素化合物を反応させる工程である。
(R)Si(R・・・[1]
[Rは炭素原子数3から10の含フッ素炭化水素基又はパーフルオロアルキル基から選択される基である。Rは塩素、臭素、ヨウ素、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、又はイソプロピルオキシ基から選択される基である。]
(7)上記(5)(6)の方法により、生化学物質の非吸着化処理された環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体を構成する。
(8)上記(5)(6)の方法により、生化学物質の非吸着化処理されたマイクロチップ基板用の環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体を構成する。
(9)上記(1)(2)(3)(4)の成形体の表面処理を、当該成形体表面に生体機能分子の固定機能性を付与する処理とする。
(10)上記(9)において、上記自己組織化単分子膜形成工程は、前記成形体の表面と下式[2]で表されるアミノ基含有シラン化合物を反応させる工程である。
(NH)Si(R・・・[2]
[Rはアミノ基、トシル基、カルボキシル基から選択される基である。]
(11)上記(9)(10)の方法により、生体機能分子の固定機能性が付与された環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体を構成する。
(12)上記(9)(10)の方法により、生体機能分子の固定機能性が付与されたマイクロチップ基板用の環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体を構成する。
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体表面に真空紫外光を照射しているので、成形体表面の表面荒れを生じさせることなく、成形体表面に自己組織化単分子膜を形成することが可能となる。
したがって、例えば環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体としてマイクロチップ基板を成形し、当該マイクロチップ基板を貼り合わせて内部に機能性分子などの試験体を流す流路を含むマイクロチップを構成する場合、このマイクロチップ内の流路表面の表面荒れを生じさせることがなく、生化学物質の吸着の抑制するための表面処理を行うことが可能となる。このため、流路内を流す機能性分子の流れがスムーズとなり、機能性分子の流速等の特性を均一にすることができ、精度の高い測定が可能となる。
(2)環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体表面に真空紫外光を照射することで、従来技術の工程2に相当する活性化した成形体表面への酸素導入もなされるので、従来のような酸素導入プロセスが不要となり、処理工程の簡略化が達成される。
(3)真空紫外光を照射する処理であるので、成型体表面の一部分に選択的に自己組織化単分子膜を形成させることができる。このため、例えばマイクロチップ基板において、試験体を流す流路部分等のみに自己組織化単分子膜を形成することができる。したがって、両マイクロチップ基板の接合等に不具合が発生することがない。
(4)本発明においては、工程Aによって表面処理された成形体表面に対して自己組織化単分子膜を形成する工程Bを実施しており、工程Bとして例えば上記成形体表面を特定のフッ素含有シラン化合物と反応させる工程を実施することにより、陽イオン物質、例えば金属イオン等の上記成形体への非特異吸着によって生じる生化学分析の障害も回避することが可能となる。
(5)本発明においては、工程Aによって表面処理された成形体表面に対して自己組織化単分子膜を形成する工程B’を実施しており、工程B’として例えば上記成形体表面を特定のアミノ基含有シラン化合物と反応させる工程を実施することにより、上記成形体表面に抗体などの生体機能分子の固定することが可能となる。環状オレフィン系樹脂は透明であるので、上記した成形体は、光透過型の測定や蛍光測定にも応用可能であり、広範なバイオセンシングへの応用を期待することができる。
本発明において真空紫外光を照射するために使用されるエキシマランプの構成例を示す図である。 図1に示すエキシマランプの放射波長の分布を示す図である。 環状オレフィン系樹脂の試料に真空紫外光を照射して表面状態を調べた際の実験系の概略図である。 真空紫外光照射前と照射後のC1sピークに関するXPS測定結果を示す図である。 真空紫外光照射前と照射後のO1sピークに関するXPS測定結果を示す図(2)である。 フッ素化合物を反応させる処理を行った後のO1sピークに関するXPS測定結果を示す図である。 フッ素化合物を反応させる処理を行った後のF1sピークに関するXPS測定結果を示す図である。 生体物質の吸着性についての調査の具体的手順を示す図である。 自己組織化単分子膜を積層させて、分子量の大きい自己組織化単分子膜を形成する場合を説明する図である。 アミノ基含有シラン化合物を反応させる処理を実施以降のN1sピークに関するXPS測定結果を示す図である。 アミノ基含有シラン化合物を反応させる処理を実施以降のSi2sピークに関するXPS測定結果を示す図である。 アミノ基含有シラン化合物を反応させる処理を実施以降のO1sピークに関するXPS測定結果を示す図である。 アミノ基含有シラン化合物を反応させる処理を実施以降のC1sピークに関するXPS測定結果を示す図である。 マイクロチップの構造例を示す図である。 SAM膜形成領域に対応した形状の開口部を有するマスクの一例を示す図である。 マイクロチップの製造工程(工程A,B)を示す図である。 マイクロチップの製造工程(基板の積層と接合工程)を示す図である。 本発明において真空紫外光を照射するために使用される希ガス蛍光ランプの構成例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
まず、本願明細書において、生化学物質とは、タンパク質、酵素、抗体、ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、核酸、脂質、多糖、オリゴ糖、アミノ糖、微生物、又はウイルス等を意味する。生化学物質は、生物材料から抽出等の方法により得られたものに限定されず、生物体外において化学的に合成されたものも含まれる。
次に、本発明において用いる環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体について説明する。
[環状オレフィン系樹脂]
環状オレフィン系樹脂とは、主鎖が炭素−炭素結合からなり、主鎖の少なくとも一部に環状炭化水素構造を有する高分子化合物である。この環状炭化水素構造は、ノルボルネンやテトラシクロドデセンに代表されるような、環状炭化水素構造中に少なくとも一つのオレフィン性二重結合を有する化合物(環状オレフィン)を単量体として用いることで導入される。
環状オレフィン系樹脂(A)は、環状オレフィンの付加(共)重合体又はその水素添加物(1)、環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物(2)、環状オレフィンの開環(共)重合体又はその水素添加物(3)に分類される。
環状オレフィンの具体例としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン;シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等の1環の環状オレフィン;
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環の環状オレフィン;
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン;5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンといった3環の環状オレフィン;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンといった4環の環状オレフィン;
8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン;テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−へキサヒドロアントラセンともいう);ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]−14−エイコセン;シクロペンタジエンの4量体等の、多環の環状オレフィンが挙げられる。これらの環状オレフィンは、それぞれ単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
環状オレフィンと共重合可能なα−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2から20、好ましくは炭素数2から8のエチレン又はα−オレフィン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
環状オレフィン又は環状オレフィンとα−オレフィンとの重合方法及び得られた重合体の水素添加方法は特に限定されず、公知の方法に従って行うことができる。
環状オレフィン系樹脂は、好ましくは、エチレンとノルボルネンの付加共重合体、又は、エチレンとテトラシクロドデセンの付加共重合体である。
環状オレフィン系樹脂の構造には、特に制限はなく、鎖状でも、分岐状でも、架橋状でもよいが、好ましくは直鎖状である。
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を重合成分として含む環状オレフィン系樹脂としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂としては、例えば、TOPAS(登録商標)(Topas Advanced Polymers社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)等を挙げることができる。
〔その他の成分〕
本発明において、環状オレフィン系樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲の種類及び量の他の熱可塑性樹脂をブレンドした組成物として用いてもよい。環状オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物は、例えば、一軸押出機や二軸押出機等を用いて溶融混練することにより調製できる。
本発明において、環状オレフィン系樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲の種類及び量の、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、難燃剤、着色剤等の種々の添加剤を含むものを用いてもよい。環状オレフィン系樹脂が添加剤を含むものである場合、例えば、環状オレフィン系樹脂と添加剤を、一軸押出機又は二軸押出機等を用いて溶融混練することにより調製できる。
[成形体]
本発明の方法により生化学物質の非吸着化処理される成形体は、上記の環状オレフィン系樹脂を、公知の方法により成形することにより製造される。公知の成形方法としては、例えば、射出成形、射出圧縮成形、ガスアシスト法射出成形、押出成形、多層押出成形、回転成形、熱プレス成形、ブロー成形、発泡成形等の方法が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体の形状は特に制限されない。例えば成形品は、フィルム、シート、チューブ、パイプ、ボトル等の汎用品であってもよく、マイクロチップ用プラスチック基板等の特定の用途に応じて設計された成形品であってもよい。
これらの成形体の形状としては、生化学物質を含む試料の分析に使用されるマイクロチップ用プラスチック基板であるのが好ましい。かかる成形体がマイクロチップ用プラスチック基板である場合には、本発明の方法により成形体表面を処理した場合の生化学物質の非特異吸着化の効果が顕著に発揮されるためである。
以下、本発明の実施形態について、1)環状オレフィン系樹脂成形体表面に真空紫外光を照射し当該成形体表面を活性化する工程A、2)工程Aによって表面処理された成形体表面に対して自己組織化単分子膜を形成する工程Bについて順次説明する。なお、ここでは工程Bとして、上記活性化された成形体表面を特定のフッ素含有シラン化合物と反応させる例について示す。
〔工程A〕
工程Aは環状オレフィン系樹脂成形体表面に真空紫外光を照射する工程である。当該表面への真空紫外光の照射により、当該表面は活性化される。
光源としては、例えば中心波長が172nmの真空紫外光を放出するエキシマランプを使用する。
図1はエキシマランプの構成例を示す図である。エキシマランプは管状構造であり、図1は管軸を含む平面で切った断面図を示す。エキシマランプ10は、内側管111と外側管112がほぼ同軸に配置された略二重管構造の容器(発光管)11を有し、この容器11の両端部11A,11Bが封着されることで、内部に円筒状の放電空間Sが形成される。
放電空間Sにはキセノン、アルゴン、クリプトンなどの希ガスが封入される。容器11は石英ガラスからなる。内側管111の内周面には内側電極12が設けられ、外側管112の外周面には網状の外側電極13が設けられる。これら電極12,13は容器11と放電空間Sを介在されて配置していることになる。電極12,13は、リード線W11,W12を介して電源装置16が接続される。
電源装置16より高周波電圧が印加されると、電極12,13間に誘電体(111,112)を介在させた放電(いわゆる誘電体バリア放電)が形成され、キセノンガスの場合は中心波長172nmの真空紫外光が発生し、外部へ当該真空紫外光が放射される。
図2は、図1に示すエキシマランプ10を周波数20KHz、管壁負荷0.1W/cmで点灯したときの放射波長の分布を示す。横軸は放射波長を示し、縦軸は波長170nmの光の強度に対する相対値を示す。
図3に実験系の概略図を示す。図3にあるように、ワークステージ40上の試料Mにエキシマランプ10からの真空紫外光を照射した。エキシマランプとしては、上記したような中心波長172nmの真空紫外光を放出するエキシマランプを用いており、試料表面における放射照度は20mW/cmであった。
試料は環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04(ポリプラスチックス株式会社製)を用いて成形した成形体であり、その形状は厚み10mm、縦100mm、横100mmの正方形の基板である。
上記したような条件で試料である環状オレフィン系樹脂成形体表面に真空紫外光を照射し当該成形体表面の表面状態を調べた。具体的には、リガク社製XPS−7000型X線電子分光(XPS)装置を用いて、真空紫外光照射処理前および照射処理後の環状オレフィン系樹脂成形体表面をXPS(X線光電子分光)測定を行った。
図4、図5にXPS測定結果をそれぞれ示す。ここで図4は炭素のC1sピークに関して、図5は酸素のO1sピークに関する測定結果であり、縦軸は結合エネルギーの強さを示す。
図4、図5に示すように、XPS測定は、中心波長172nmの真空紫外光の照射前、30分照射後、60分照射後に実施した。図4、図5において、Aは照射なし、Bは30分照射、Cは60分照射の場合を示す。
図4に示すC1s測定では、真空紫外光の照射前に1本のepoxy由来と思われる構造のピークが得られた。また、真空紫外光を30分間および60分間、成形体表面に照射すると、真空紫外光の照射前に観察された炭素の1つのピークは、2つに分かれた。これは、環状オレフィン系樹脂成形体表面に真空紫外光を照射することにより、オレフィン環の開裂が発生したためであると考えられる。
一方、図5に示すO1s測定では、真空紫外光の照射前に酸素のピークが得られた。環状オレフィン樹脂そのものの構造に酸素は含まれていないことから、元々環状オレフィン系樹脂成形体表面が僅かながらの酸化被膜によって覆われていたものと考えられる。
また、真空紫外光を30分間および60分間、成形体表面に照射すると、真空紫外光の照射前に観察された酸素の1つのピークは大きく増大した。すなわち、大気中で真空紫外光を環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面に照射すると、当該表面に酸素が導入されることが判明した。
以上まとめると、環状オレフィン系樹脂成形体表面に真空紫外光を照射する工程Aによる環状オレフィン系樹脂成形体表面処理は当該表面の活性化および活性化表面への酸素導入を引き起こす。XPS測定の結果から判断すると、工程Aによれば、当該表面の活性化として具体的には当該表面におけるオレフィン環の開裂がなされるとともに、当該表面への酸素導入がなされると考えられる。
〔工程B〕
次に工程Bについて説明する。
工程Bは、工程Aにより活性化した成形体表面と下記の式(1)で表されるフッ素化合物を反応させる工程である。本発明では、工程Aにより成形体表面に導入された酸素含有基と、式(1)で表されるフッ素化合物を反応させることにより、成形体表面に極性の小さなフッ素含有基を導入し、生化学物質の非吸着化を実現させるものである。
本発明では、環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体の表面処理剤として下式(1)で表されるフッ素化合物を用いる。式(1)で表されるフッ素化合物は複数のものを組み合わせて用いてもよい。
(R)Si(R・・・(1)
[Rは炭素原子数3から10の含フッ素炭化水素基又はパーフルオロアルキル基から選択される基である。Rは塩素、臭素、ヨウ素、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、又イソプロピルオキシ基から選択される基である。]
基の具体例としては、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロへキシル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基等が挙げられる。
式(1)で表されるフッ素化合物のうち好ましいものとしては、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルトリクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルジメチルクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルメチルジクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルジメチルクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルメチルジクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン等のフルオロアルキルトリハロシラン類;3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロメチルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルトリアルコキシシラン類等が挙げられる。
[フッ素化合物による処理]
工程Aを実施することにより活性化された成形体の表面と、式(1)で表されるフッ素化合物を反応させる方法は、反応が良好に進行する限り特に制限されない。式(1)で表されるフッ素化合物は、メタノール、エタノール等の有機溶媒により希釈されたフッ素化合物溶液として使用するのが好ましい。フッ素化合物溶液の濃度は0.01mMから10mMの範囲が好ましい。フッ素化合物溶液中のフッ素化合物の濃度が低すぎる場合、十分な生化学物質の非吸着化の効果が得られなかったり、反応に長時間を要したりする場合がある。
成形体表面とフッ素化合物を反応させる具体的な方法としては、例えば、成形体を前記のフッ素化合物溶液に浸漬する方法、成形体表面に前記のフッ素化合物溶液を流す方法、成形体表面に前記のフッ素化合物溶液を塗布する方法等が挙げられる。これらの方法の中では、操作が簡単であり、成形体の表面を均一に処理できることから、成形体を前記のフッ素化合物溶液に浸漬する方法や成形体表面にフッ素化合物溶液を流す方法が好ましい。
成形体表面とフッ素化合物との反応条件は、反応が良好に進行する限り特に制限されない。通常、成形体表面とフッ素化合物との反応は、0°Cから50°C、より好ましくは15から35°Cの温度において、15分から12時間、より好ましくは30分から2時間の条件で行われる。
工程Aの処理が実行された環状オレフィン系樹脂成形体表面に工程Bとして以下の処理を行い、工程Bの処理を経た環状オレフィン系樹脂成形体表面の表面状態を調べた。
試料としては、環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04(ポリプラスチックス株式会社製)を用いて成形した成形体であって、その形状が厚み10mm、縦10mm、横10mmの正方形の基板を使用した。工程Aの処理としては、上記したようなエキシマランプを用いて、中心波長172nmの真空紫外光を15分間から60分間照射した。なお、試料表面における放射照度は10mW/cmから20mW/cmであった。
次に、工程Bとして、上記のように処理された試料をパーフルオロブチルトリクロロシランの濃度0.0001Mから0.005Mのエタノール溶液に室温で1時間浸漬する処理を実施した。
工程Bを経た試料の表面状態の調査としては、上記と同様、リガク社製XPS−7000型X線電子分光(XPS)装置を用いた当該表面のXPS測定を行った。
成形体表面への酸素の結合と式(1)のフッ素化合物の結合は、XPS(X線光電子分光)測定により、O1sに帰属される537eV付近のピークとF1sに帰属される690eV付近のピークの有無によりそれぞれ確認することができる。
図6に工程Bによる処理後のプレートのO1sピークに対応する結合エネルギー領域のXPS測定結果を示し、図7に工程Bによる処理後のプレートのF1sピークに対応する結合エネルギー領域のXPS測定結果を示す。図6ではO−Si結合に対応するピークが観察され、図7ではCFに対応するピークが観察されたことから、プレート表面(環状オレフィン系樹脂成形体表面)にフッ化炭素基が導入されたことが示された。
すなわち工程Bの処理を行うことにより、工程Aの処理が実行された環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面の酸素とパーフルオロブチルトリクロロシランのシラン基とが結合してなり、他端には官能基としてフッ化炭素基を有する自己組織化単分子膜が環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面に形成された。
次に、工程Aおよび工程Bの処理を行った環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面に対する生体物質の吸着性について調査した。
調査は、本発明の表面処理を行っていない環状オレフィン系樹脂からなる成形体、並びに、本発明の表面処理(工程Aの処理ならびにそれ引き続き行う工程Bの処理)を行った成形体プレートについて行った。
調査の具体的手順を図8に示す。
図8に示すように、成形体として板状体(プレート)の基板K1,K2を成形し、一方の基板K1にエキシマランプ10から真空紫外光を照射し(図8(a)参照)、フッ素化合物溶液(SAM溶液)に基板K1を浸漬して、フッ素化合物溶液とを反応させて、官能基としてフッ化炭素基を有する自己組織化単分子膜(以下、SAM膜とも言う)コーティングを行った(図8(b)参照)。
そして、未処理の基板K2(同図11)および本発明の表面処理を施した基板K1(同図10)の両方を、リン酸緩衝液にて希釈した100ppmの蛍光標識化ウシ血清アルブミン(アルドリッチ社製)溶液(蛍光標識BSA溶液)に一晩浸漬した後、超純水で充分洗浄した(図8(c)参照)。
洗浄後の両基板K1,K2表面にハンディUVランプ(UVP社製UVGL−58 365nm長波長タイプ)をあて、440nmの蛍光を観察した(図8(d)参照)。
上記調査は、再現性を得るため、本発明の表面処理を施した基板K1および未処理の基板K2を、それぞれ3枚を別々に用意して行った。
未処理の基板K2と、本発明の表面処理を施した基板K1を観察した結果、未処理基板K2表面では3枚の基板全てで440nmの蛍光が観測されたことから、表面に蛍光標識化ウシ血清アルブミンの凝集体が存在することが確認された。
また、本発明の表面処理が施された基板K1表面は一枚も蛍光を示さない事から、蛍光標識化ウシ血清アルブミンが全く存在しないことがわかった。
以上の結果から、本発明の表面処理を施すことによりウシ血清アルブミンの吸着が抑制されることが確認された。
本発明によれば、大気中にて環状オレフィン系樹脂からなる成形体に真空紫外光を照射する工程Aの処理を行うことにより、当該成形体表面の活性化(当該成形体表面におけるオレフィン環の開裂)および上記活性化した成形体表面への酸素導入を行うことが可能となる。
よって、特許文献1に記載されているような酸素導入プロセスが不要となり、処理工程の簡略化を達成することができる。
また、工程Aの採用により、環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面を活性化する際、プラズマ放電処理とは異なり、上記成形体表面の表面荒れが発生しない。
よって、例えば環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体としてマイクロチップ基板を成形し、当該マイクロチップ基板を貼り合わせて内部に機能性分子などの試験体を流す流路を含むマイクロチップを構成する場合、このマイクロチップ内の流路表面の表面荒れを回避することが可能となるので、流路内を流す機能性分子の流れがスムーズとなる。そのため、上記機能性分子の流速等の特性を均一にすることができ、精度の高い測定が可能となる。
また、工程Aの処理に引き続き、工程Bの処理を行うことにより、酸素をプライマーにした自己組織化単分子膜を上記成形体表面に形成することができる。すなわち、工程Aの処理が実行された環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面の酸素と一端の官能基とが結合した自己組織化単分子膜が形成可能となり、自己組織化単分子膜他端の官能基の機能に基づく機能性を環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面に付与することが可能となる。
ここで、自己組織化単分子膜他端の官能基をフッ化炭素基とし、上記成形体表面にフッ化炭素基を導入することにより、生化学物質の非特異吸着を防止できるとともに、成形体表面への陽イオン物質の非特異吸着を抑制することができる。
以上説明した方法により表面を処理された成形体は、極性材料である生化学物質の吸着性が大きく低下したものである。このため、本発明の方法により表面処理された成形体は、タンパク質、酵素、抗体、ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、核酸、脂質、多糖、オリゴ糖、アミノ糖、微生物、又はウイルス等の生化学物質を用いる用途に好適に使用される。
特に生化学物質を含む試料の微量分析等に用いられるマイクロチップ用の基板の表面を本発明の方法により処理した場合は、試料中の生化学物質の基板表面への吸着が大きく抑えられることにより、分析精度の高い高性能なマイクロチップを得ることができる。
すなわち、以上説明した方法によれば、以下のような効果が得られる。
(1)工程Aを採用した環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体の表面処理方法によれば、従来技術同様、上記成形体の表面への生化学物質の吸着の抑制を実現することが可能となる。また、工程Aの採用により、プラズマ放電処理とは異なり、上記成形体表面の表面荒れが発生しない。よって、例えば環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体としてマイクロチップ基板を成形し、当該マイクロチップ基板を貼り合わせて内部に機能性分子などの試験体を流す流路を含むマイクロチップを構成する場合、このマイクロチップ内の流路表面の表面荒れを回避することが可能となるので、流路内を流す機能性分子の流れがスムーズとなる。そのため、上記機能性分子の流速等の特性を均一にすることができ、精度の高い測定が可能となる。
(2)更には、本発明の工程Aにおいては、従来技術の工程2に相当する上記活性化した成形体表面への酸素導入もなされるので、従来のような酸素導入プロセスが不要となり、処理工程の簡略化が達成される。
(3)本発明は、工程Aによって表面処理された成形体表面に対して自己組織化単分子膜を形成する工程Bを実施する。工程Bとして例えば上記成形体表面を特定のフッ素含有シラン化合物と反応させる工程を実施することにより、陽イオン物質、例えば金属イオン等の上記成形体への非特異吸着によって生じる生化学分析の障害も回避することが可能となる。
なお、上記実施の形態の説明において、工程Bの自己組織化単分子膜を形成するにあたり工程Aの処理が施された環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面とフッ素化合物とを反応させた例を示したが、これに限るものではない。すなわち、工程Aの処理が実行された環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面の酸素と一端の官能基とが結合した自己組織化単分子膜の他端の官能基として、任意の官能基(例えば、カルボキシ基、アミノ基、メチル基など)を選択することにより、各官能基の機能に基づく機能性を環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面に付与することが可能となる。
また、図9に示すように、このようにして形成した第1の自己組織化単分子膜を自己組織化単分子膜要素として規定し、その上に別途自己組織化単分子膜を形成してこれを第2の自己組織化単分子膜要素と規定し、結果的に第1の自己組織化単分子膜要素と第2の自己組織化単分子膜要素とからなる分子量の大きい自己組織化単分子膜を形成することも可能である。
すなわち、自己組織化単分子膜を積層させて、巨視的にみて分子量の大きい自己組織化単分子膜を形成してもよい。当然ながら、上記したように規定した自己組織化単分子膜要素は3つ以上でもよい。
〔生体機能分子の固定機能性を環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面に付与する例〕
先に述べた実施の形態においては、工程Bの自己組織化単分子膜を形成するにあたり工程Aの処理が施された環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面とフッ素化合物とを反応させた例を示したが、以下に示す実施の形態においては、自己組織化単分子膜を形成するにあたり工程Aの処理が施された環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面とアミン末端、トシル末端、もしくはカルボキシ末端のシラン系化合物を反応させた例を示す。以下、このようなシラン系化合物を上記成形体表面と反応させる工程を工程B’と称する。
従来、金(Au)基板表面に機能性アルカンチオールを用いた自己組織化単分子膜を形成し、当該自己組織化単分子膜を用いて生体機能分子の固定が行われてきた。本方法によれば、金基板上において生体機能分子の固定化量や配向を制御することが可能である。よって、このように構築された金基板は、非常に高い反応性を有するセンシング基板として利用することができる。
しかし、金基板は、光の透過性に乏しく、紫外線や可視光を用いた光透過型の計測に応用することは非常に難しい。また、金は蛍光を消光してしまう性質があるため、蛍光分析への応用ができない。
そのため、バイオ分析では、ポリプロピレンなどの樹脂成形体上に、物理的に固定化した高分子材料表面に生体機能分子を固定化して、当該生体機能分子のセンシングに応用してきた。例えば、96個のウエルを有するポリプロピレン製のマイクロプレートを用いる場合、各ウエルに高分子材料を流し込み、その表面へ抗体を固定化するとともに、検出したい物質へ蛍光標識をつけて、蛍光標識化した検出対象物質と抗体とを反応させ、当該検出対象物質の定量測定へ応用している。
本センシング方法によれば、蛍光測定は可能であるもののポリプロピレン等の樹脂の光透過性は不十分であり、必ずしも光透過型の測定が可能というわけではない。
本実施の形態においては、光の透過性が極めて高い環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面に、生体機能分子を固定可能な自己組織化単分子膜を形成するものである。本実施の形態において得られる、表面に自己組織化単分子膜を形成した環状オレフィン系樹脂からなる成形体は、光透過型の測定や蛍光測定にも応用可能であり、広範なバイオセンシングへの応用を期待することができる。
〔工程A〕
先に示した実施の形態と同様、工程Aは環状オレフィン系樹脂成形体表面に真空紫外光を照射する工程である。当該表面への真空紫外光の照射により、当該表面は活性化される。
光源としては、例えば中心波長が172nmの真空紫外光を放出するエキシマランプを使用する。
〔工程B’〕
本実施の形態においては、工程Aの処理が施された環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面とフッ素化合物とを反応させる工程Bに代えて、シラン系化合物を上記成形体表面と反応させる工程B’を採用するものである。
すなわち、工程B’は、工程Aにより活性化した成形体表面と下記の式(2)で表されるアミン末端、トシル末端もしくはカルボキシ末端のシラン系化合物を反応させる工程である。本実施の形態では、工程Aにより成形体表面に導入された酸素含有基と、式(2)で表されるシラン系化合物を反応させることにより、成形体表面にシラン系化合物の分子膜を形成するものである。さらに工程B’にあと、アミドカプリング反応を利用して、当該成形体表面を標識化した抗体もしくはタンパク質等を固定可能な状態とするものである。
本発明では、環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体の表面処理剤として下式(2)で表されるシラン系化合物を用いる。式(2)で表されるアミノ基含有シラン化合物は複数のものを組み合わせて用いてもよい。
(NH)Si(R・・・(2)
[Rはアミノ基、トシル基、カルボキシル基から選択される基である。]
式(2)で表されるアミノ基含有シラン化合物のうち好ましいものとしては、例えば、NH−SiH,NH−Si(OCH,NH−Si(OCHCH等が挙げられる。
[シラン系化合物による処理]
工程Aを実施することにより活性化された成形体の表面と、式(2)で表されるシラン系化合物を反応させる方法は、反応が良好に進行する限り特に制限されない。式(2)で表されるアミノ基含有シラン化合物は、メタノール、エタノール等の有機溶媒により希釈されたアミノ基含有シラン化合物溶液として使用するのが好ましい。アミノ基含有シラン化合物溶液の濃度は0.01mMから10mMの範囲が好ましい。アミノ基含有シラン化合物溶液中のアミノ基含有シラン化合物の濃度が低すぎる場合、十分な抗体等の固定可能化の効果が得られなかったり、反応に長時間を要したりする場合がある。
成形体表面とアミノ基含有シラン化合物とを反応させる具体的な方法としては、例えば、成形体を前記のアミノ基含有シラン化合物溶液に浸漬する方法、成形体表面に前記のアミノ基含有シラン化合物溶液を流す方法、成形体表面に前記のシラン系化合物溶液を塗布する方法等が挙げられる。これらの方法の中では、操作が簡単であり、成形体の表面を均一に処理できることから、成形体を前記のシラン系化合物溶液に浸漬する方法や成形体表面にアミノ基含有シラン化合物溶液を流す方法が好ましい。
成形体表面とアミノ基含有シラン化合物との反応条件は、反応が良好に進行する限り特に制限されない。通常、成形体表面とアミノ基含有シラン化合物との反応は、18°Cから160°Cで行われ、反応時間は5分間から12時間、より好ましくは40分間から1時間の条件で行われる。
以下、環状オレフィン系樹脂成形体表面に工程A、工程Bとして以下の処理を実施し、各処理を経た環状オレフィン系樹脂成形体表面の表面状態を調べた。
試料としては、環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04(ポリプラスチックス株式会社製)を用いて成形した成形体であって、その形状が厚み10mm、縦10mm、横10mmの正方形の基板を使用した。
[1.工程Aの処理]
工程Aの処理としては、上記したようなエキシマランプを用いて、中心波長172nmの真空紫外光を環状オレフィン系樹脂成形体である基板に30分間から60分間照射した。なお、試料表面における放射照度は10mW/cmから20mW/cmであった。
[2.工程B’の処理]
次に、工程B’として、上記のように処理された基板をアミノ基含有シラン化合物である3−アミノプロピルトリメトキシシラン(3-(Trimethoxysilyl)-1-propanamine:(CHO)Si(CHNH、東京化成工業株式会社製)の濃度2mMから10mMのエタノール溶液に室温で1時間から24時間浸漬する処理を実施した。浸漬後は、エタノールで十分に洗浄し、窒素で乾燥させた。
[3.スクシンイミド化処理]
工程B’の処理が施された基板の表面は、アミノ末端の自己組織化単分子膜が形成される。このように処理された基板表面に生体機能物質を固定化するために、以下の手順で上記アミノ末端をスクシンイミド化した。
すなわち、上記のように処理された基板を、濃度50μg/mLから500μg/mLの
N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDAC:N−(3−Dimethylaminopropyl)−N’−ethylcarbodiimide hydrochloride,Sigma−Aldrich社製)と、濃度50μg/mLから500μg/mLのN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS:N−Hydroxysuccinimide,Fluka社製)を含むトリス(tris(hydroxymethyl)aminomethane)緩衝溶液中に浸漬し、上記アミノ末端をスクシンイミド化した。
表面に形成された自己組織化単分子膜のアミノ末端をスクシンイミド化した基板は、トリス緩衝溶液とリン酸(Phosphate)緩衝溶液で十分に洗浄した。
[4.生体機能分子(抗体)の固定]
上記の基板における、末端をスクシンイミド化した機能性自己組織化単分子膜表面に、濃度10ppmのマウスモノクローナル抗体IgG1(monoclonal Mouse−IgG1, Funakoshi株式会社製)を含むリン酸緩衝溶液を1mL滴下して、30分間、常温でスクシンイミドとマウスモノクローナル抗体IgG1とのアミドカプリング反応を維持した。
このアミドカプリング反応により、マウスモノクローナル抗体IgG1(以下、mouseIgG1という)とスクシンイミドが置換する反応が生じて、mouse IgG1 が基板の表面に固定化される。
[5.抗体抗原反応]
mouse IgG1が表面に固定化された上記基板の反応性を調査するために、上記基板表面に濃度10ppmの抗マウスIgG1ヤギポリクオーナル抗体(anti−mouse IgG1, Goat-polyclonal, Funakoshi株式会社製、以下anti−mouse IgG1と称する)を含むリン酸緩衝溶液を1mL滴下して、30分間、常温で表面のmouse IgGとanti−mouse IgG1との抗原抗体反応を維持した。その後、基板表面をリン酸緩衝溶液で十分に洗浄した。
[6.表面状態の測定]
以下、(1)工程B’を経た時点、(2)スクシンイミド化工程を経た時点、(3)生体機能分子の固定工程を経た時点、(4)抗体抗原反応を経た時点それぞれにおける基板の表面状態の調査を行った。表面状態の調査としては、先の実施の形態のときと同様、リガク社製XPS−7000型X線電子分光(XPS)装置を用いた当該表面のXPS測定を行った。
なお、工程Aを経た時点での表面状態は、先の実施例のときと同様であったので詳細な説明は省略する。すなわち、図4、図5に示すXPS測定結果と同様、大気中で環状オレフィン系樹脂成形体表面に真空紫外光を照射することにより当該表面におけるオレフィン環の開裂がなされるとともに、当該表面への酸素導入がなされることが判明した。
図10、図11、図12、図13にXPS測定結果をそれぞれ示す。ここで図10は窒素のN1sピークに関して、図11はシリコンのSi2pピークに関して、図12は酸素のO1sピークに関して、図13は炭素のC1sピークに関する測定結果であり、縦軸は結合エネルギーの強さを示す。
(1)工程B’を経た時点での基板表面
図10に示すように環状オレフィン樹脂には含まれないN1sのピークが観測され、また図11に示すように環状オレフィン樹脂には含まれないSi2pのピークが観測された。
以上の結果により、工程Aによってオレフィン環の開裂され、かつ、酸素導入された基板表面の酸素と式(2)で表されるアミノ基含有シラン化合物とのシランカップリング反応により、基板表面にアミノ末端を有する機能性シランの自己組織化単分子膜が形成されていることが裏付けられた。
図10に示すN1sピーク強度は、アミノ末端のアルカンチオールのN1sのピーク強度とほぼ同じであった。このことから、表面へ固定化されたアミノ末端を有する機能性シランの結合量は、アルカンチオール単分子層と同程度の10−10mol/cmであると考えられる。
(2)スクシンイミド化工程を経た時点での基板表面
図11に示すように、工程B’を経た時点と比較すると、スクシンイミド化工程を経た時点においてSi2pのピーク強度が減少しているのが観測される。これは、シラン化合物からなる自己組織化単分子膜の表面をスクシンイミド基が覆っているため、Si2pからの光電子が減衰したことを示唆している。
また、図10に示すように、工程B’を経た時点と比較すると、スクシンイミド化工程を経た時点においてN1sのピークが高エネルギー側へシフトしていることが観測された。これは、基板表面の末端を修飾していたアミノ基がスクシンイミド基へと構造が変わったためである。
(3)生体機能分子(抗体)の固定工程を経た時点での基板表面
図11に示すように、工程B’を経た時点、スクシンイミド化工程を経た時点と比較すると、生体機能分子(抗体)の固定工程を経た時点において、Si2pのピーク強度が更に減少しているのが観測される。これは、厚みのあるマウスモノクローナル抗体IgG1(mouseIgG1)が基板表面を覆い、Si2pからの光電子が更に減衰したことを示唆している。
また、図10に示すように、工程B’を経た時点、スクシンイミド化工程を経た時点と比較すると、生体機能分子(抗体)の固定工程を経た時点において、N1sのピークが更に高エネルギー側へシフトしていることが観測された。これは、基板表面がアミド結合を持つ化合物で覆われたことを示唆している。
(4)抗体抗原反応を経た時点での基板表面
図10に示すように、生体機能分子(抗体)の固定工程を経た時点と比較すると、抗体抗原反応を経た時点において、N1sのピーク強度が2倍に増加していることが観測された。これにより、1つのmouseIgG1に対して抗マウスIgG1ヤギポリクオーナル抗体(nti-mouse IgG1)が1つ結合していることが分かった。
また、図12、図13に示すように、生体機能分子(抗体)の固定工程を経た時点と抗体抗原反応を経た時点における基板表面状態を比較すると、mouse IgG1に対応するO1sピーク形状とanti−mouseIgG1に対応するO1sピーク形状が相違し、mouse IgG1に対応するC1sピーク形状とanti−mouse IgG1に対応するC1sピーク形状が相違することが観測された。しかしながら、両抗体の構造は非常に複雑であるため、各ピーク形状が抗体のどの部位由来のものであるかは同定することは難しい。なお、これらの結果から、mouse IgG1とanti−mouse IgG1とでは、カルボキシ基の量が相違することが示唆される。
本実施の形態によれば、大気中にて環状オレフィン系樹脂からなる成形体に真空紫外光を照射する工程Aの処理を行うことにより、当該成形体表面の活性化(当該成形体表面におけるオレフィン環の開裂)および上記活性化した成形体表面への酸素導入を行うことが可能となる。
よって、特許文献1に記載されているような酸素導入プロセスが不要となり、処理工程の簡略化を達成することができる。
また、工程Aの採用により、環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面を活性化する際、プラズマ放電処理とは異なり、上記成形体表面の表面荒れが発生しない。
よって、例えば環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体としてマイクロチップ基板を成形し、当該マイクロチップ基板を貼り合わせて内部に機能性分子などの試験体を流す流路を含むマイクロチップを構成する場合、このマイクロチップ内の流路表面の表面荒れを回避することが可能となるので、流路内を流す機能性分子の流れがスムーズとなる。そのため、上記機能性分子の流速等の特性を均一にすることができ、精度の高い測定が可能となる。
また、工程Aの処理に引き続き、工程B’の処理を行うことにより、酸素をプライマーにした自己組織化単分子膜を上記成形体表面に形成することができる。すなわち、工程Aの処理が実行された環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面の酸素と一端の官能基とが結合した自己組織化単分子膜が形成可能となり、自己組織化単分子膜他端の官能基の機能に基づく機能性を環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面に付与することが可能となる。
ここで、自己組織化単分子膜他端の官能基をアミノ基とし、上記成形体表面にアミノ基を導入し、当該表面上のアミノ末端をスクシンイミド化することにより、成形体表面に抗体などの生体機能分子の固定することができる。
また、本実施の形態によれば、マイクロチップを使用せずとも、環状オレフィン系樹脂からなるテストシートを用いて抗体抗原反応を試験可能であることが期待できる。
なお、上記した成形体表面に生体機能分子の固定機能性を付与する例では、工程B’の処理を行うことにより、アミノ末端の自己組織化単分子膜を成形体表面に形成し、アミノ末端をスクシンイミド化して抗体を固定したがこれに限るものではない。例えば、成形体表面にカルボキシ末端あるいはトシル基末端の自己組織化単分子膜を形成してもよい。
また、抗体のみならず、無機物、例えば、貴金属の固定機能性を成形体表面に付与する場合は、成形体表面にチオール末端の自己組織化単分子膜を成形体表面に形成してもよい。また、アミンを含む有機分子の固定機能性を成形体表面に付与する場合は、アルデヒド基末端の自己組織化単分子膜を成形体表面に形成してもよい。
〔本発明を適用したマイクロチップの製造工程例〕
以下、本発明を適用した環状オレフィン系樹脂から成形したマイクロチップの製造工程例を示す。
図14にマイクロチップの構造例を示す。図14(a)はマイクロチップ30の上面図であり、図14(b)は、図14(a)におけるA−A断面図である。
図14(b)に示すように、上記マイクロチップ30は第1のマイクロチップ基板31と第2のマイクロチップ基板32とが積層されて接合された構造を有しており、上記した第1のマイクロチップ基板31および第2のマイクロチップ基板32はいずれも環状オレフィン系樹脂からなる成形体である。
ここで、第1のマイクロチップ基板31には、例えば、幅10〜数100μm、深さ10〜数100μm程度の微細な溝部からなる流路(マイクロチャンネル)を構成するための段差構造を備えている。そして、第1のマイクロチップ基板31と第2のマイクロチップ基板32が接合されると、当該段差構造と第2のマイクロチップ基板32の表面の一部とにより、流入口33a、流出口33bを有する流路33が形成されることになる。なお、図14(a)に示す例では、このマイクロチップ30において、当該流路33は2経路設けられている。
図示は省略されているが、この2流路33の内部には、試薬が配置された反応領域などの各種機能を有する領域(検出部)が設けられている。この流路の流入口33aより検体を流し、当該検体と試薬との反応が検出部において観察・測定される。例えば、臨床検査等における免疫反応などの分子間相互作用を利用した測定が行われる。流入口33aより流路に供給した検体は、流出口33bより排出される。
ここで、検出部の高感度化を実現するために、検体の一部が検出部に到達するまでの流路表面にて発生しうる非特異吸着をできるだけ抑制するために、流路33表面の少なくとも一部分に対し本発明の表面処理が施される。当該表面処理は、例えば、中心波長172nmの真空紫外光を処理領域に照射する工程Aと、工程Aが施された領域とフッ素化合物溶液とを反応させて、官能基としてフッ化炭素基を有する自己組織化単分子膜(SAM膜)を形成する工程Bとを実施することにより行われる。
図14(c)、図14(d)に流路内のSAM膜形成領域を示す。図14(c)は、図14(b)のB−B断面から第1のマイクロチップ基板31を見た図であり、図14(d)は、図14(b)のC−C断面から第2のマイクロチップ基板32を見た図である。図14(c)、図14(d)において施した斜線の部分がSAM膜34の形成領域34aとなる。
上記したように、マイクロチップ30は第1および第2のマイクロチップ基板31,32を接合して形成されるものであり、SAM膜34は流路表面の少なくとも一部に選択的に形成することが望ましい。なぜならば流路表面以外の領域の一部は両マイクロチップ基板の接合面となるので、接合面にもSAM膜34が形成された場合、両マイクロチップ基板の接合に不具合が発生する可能性があるためである。
環状オレフィン系樹脂からなる成形体である第1のマイクロチップ基板31、第2のマイクロチップ基板32上にSAM膜34を選択的に形成するには、上記工程Aにおいて、図14(c)(d)のSAM膜形成領域34aに対して真空紫外光を選択的に照射すればよい。すなわち、図15に示すようなSAM膜形成領域に対応した形状の開口部43aを有するマスク43を介して、真空紫外光を第1および第2のマイクロチップ基板31,32に照射する。
以下、図16、図17を用いて、マイクロチップ30の製造工程例を説明する。
図16(a)は、本発明における工程Aを説明する図である。
工程Aを実施するにあたり、ワークステージ40上に第1のマイクロチップ基板31、第2のマイクロチップ基板32が設置される。その上方に図15に示すマスク43が配置され、さらにマスク43の上方に例えば真空紫外光を放出するエキシマランプ10を複数本収容したランプハウス41,42が設置される。
第1および第2のマイクロチップ基板31,32は、SAM膜形成領域に相当する真空紫外光の被照射領域Rがランプハウス41,42内のエキシマランプ10に対向するように、ワークステージ40上に設置される。
マスク43は、SAM膜形成領域に対応した形状の開口部43aの位置が、第1および第2のマイクロチップ基板31,32の被照射領域に対応する位置に位置合わせされる。なお、エキシマランプ10から放出される真空紫外光は拡散光であるので、マスク43はできるだけ第1のマイクロチップ基板31、第2のマイクロチップ基板32に近接した位置に設置される。
図16(a)に示す例において、ランプハウスは複数用意されている。すなわち、図16(a)には、第1のマイクロチップ基板31を照射するための第1のランプハウス41、および、第2のマイクロチップ基板32を照射するための第2のランプハウス42が示されている。ランプハウス41,42に収納されるエキシマランプ10の本数は、第1および第2のマイクロチップ基板31,32における被照射領域の形状に応じて、適宜設定される。なお、ランプハウス41,42は必ずしも各マイクロチップ基板毎設ける必要はなく、多数本のエキシマランプを収容した大型のランプハウス1台を用いて、第1および第2のマイクロチップ基板31,32両方を照射するようにしてもよい。
エキシマランプ10としては、例えば、図1に示す構造のものが使用され、エキシマランプの放電空間S(図1参照)には、キセノンガスが封入される。このようなエキシマランプからは、中心波長172nmの真空紫外光が放出される。
第1および第2のマイクロチップ基板31,32の被照射領域における中心波長172nmの真空紫外光の放射照度は、例えば20mW/cmであり、照射時間は60分である。
次に、図16(b)を用いて、本発明における工程Bを説明する。
工程Bは、工程Aにおける真空紫外光照射処理後の環状オレフィン系樹脂表面上にSAM膜34を形成する工程である。ここでは、例として、当該表面とフッ化化合物溶液とを反応させて、最表面上に官能基としてフッ化炭素基を有するSAM膜34を形成する場合を示す。
図16(b)において、中心波長172nmの真空紫外光が選択的に照射された第1および第2のマイクロチップ基板31,32は、フッ素化合物溶液45(パーフルオロブチルトリクロロシランの濃度0.005Mのエタノール溶液)によって満たされた槽44内に浸漬される。具体的には、室温で1時間浸漬される。このような工程Bを経ることにより、第1および第2のマイクロチップ基板31,32における真空紫外光の被照射領域に、最表面上にフッ化炭素基を有するSAM膜34が選択的に形成される。
その後、図17に示すように、SAM膜34が選択的に形成された第1および第2のマイクロチップ基板31,32は流路33が形成されるように積層された後接合され、マイクロチップ30が形成される。接合方法としては、例えば、接着剤を使用する方法、熱融着による方法、真空紫外光をマイクロチップ基板の接合面に照射して、当該接合面を活性化させた後に基板を接合する方法といった公知の方法が採用される。
なお、真空紫外光による活性化を利用して基板を接合する場合、工程Bにより生成したSAM膜に真空紫外光が照射されるとSAM膜自体の機能(図17に示す例では、生化学物質や陽イオン物質の流路表面への非特異吸着の抑制)に支障をきたす可能性も考えられる。よって、第1および第2のマイクロチップ基板31,32を接合するために両基板の接合面に真空紫外光を照射する場合、この真空紫外光がSAM膜形成領域に照射されないよう遮光することが好ましい。
なお、従来技術のようにプラズマ放電処理を用いる場合、場所選択的な処理は難しいが、本発明の工程Aのような真空紫外光照射処理を採用する場合、マスクを使用することにより簡便に選択的処理を実施することができる。よって、従来技術と比較すると、環状オレフィン系樹脂からなる成形体表面に対して、局所的かつ選択的に表面修飾(SAM膜形成)を容易に行うことが可能となる。
ここで、上記した例では真空紫外光を放出する光源としてエキシマランプを使用したがこれに限るものではなく、例えば、希ガス蛍光ランプを使用することも可能である。
図18に希ガス蛍光ランプの構成例を示す。同図(a)は管軸を含む平面で切った断面図を示し、(b)は(a)のA−A線断面図を示す。図18において、ランプ20は一対の電極22、23を有し、電極22、23は容器(発光管)21の外周面に配設され、電極22,23の外側には保護膜24が設けられる。容器21の内周面の光出射方向側に対して反対側の内面に紫外線反射膜25が設けられ(図18(b)参照)、その内周に低軟化点ガラス層26が設けられ、この低軟化点ガラス層26の内周面に、蛍光体層27が設けられる。
その他の構成は図1に示したものと同様であり、容器21内の放電空間Sに封入されるガス、蛍光体層27に用いられる蛍光体も同様である。
電極22,23に高周波電圧が印加されると、電極22,23間に誘電体バリア放電が形成され、前記したように紫外光が発生する。これにより蛍光体が励起され蛍光体層から光が発生する。蛍光体を適切に選択すると、蛍光体層からは例えば中心波長が190nm近辺の紫外光が発生する。この光は紫外線反射膜25で反射され、紫外線反射膜25が設けられていない開口部分から外部に放射される。
また、成形体表面における真空紫外光の照射領域が小さい場合は、真空紫外光を放出する光源として、放射光の波長領域内に真空紫外光波長を含む重水素ランプを使用することも可能である。
10 エキシマランプ
11 容器(発光管)
12 内部電極
13 外部電極
16 電源
21 容器(発光管)
22,23 電極
24 保護膜
25 紫外線反射膜
26 ガラス層
27 蛍光体層
30 マイクロチップ
31 第1のマイクロチップ基板
32 第2のマイクロチップ基板
33 流路
34 SAM膜
40 ワークステージ
41 第1のランプハウス
42 第2のランプハウス
43 マスク
44 槽
45 フッ素化合物溶液

Claims (12)

  1. 環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体表面に、大気中で真空紫外光を照射し、成形体表面の活性化及び成形体表面に酸素導入を行ったのち、成形体表面とシラン化合物とを反応させ、当該照射表面に酸素をプライマーとした自己組織化単分子膜を形成する
    ことを特徴とする環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体の表面の表面処理方法。
  2. 上記真空紫外光を上記表面の一部に選択的に照射し、この選択的照射表面に自己組織化単分子膜を形成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体の表面処理方法。
  3. 上記表面における照射領域が2箇所以上であって、この複数の照射領域に自己組織化単分子膜を形成する
    ことを特徴とする請求項2に記載の環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体の表面処理方法。
  4. 上記成型体は、少なくとも一方に微細な流路が形成されている第1の基板と第2の基板からなるマイクロチップ基板である
    ことを特徴とする請求項1,2または請求項3に記載の環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体の表面処理方法。
  5. 請求項1,2,3または請求項4の記載の成形体の表面処理が当該成形体表面の生化学物質の非吸着化処理である
    ことを特徴とする環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体の表面処理方法。
  6. 上記自己組織化単分子膜形成工程は、前記成形体の表面と下式(1)で表されるフッ素化合物を反応させる工程である
    ことを特徴とする請求項5に記載の環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体の表面処理方法。
    (R)Si(R・・・(1)
    [Rは炭素原子数3から10の含フッ素炭化水素基又はパーフルオロアルキル基から選択される基である。Rは塩素、臭素、ヨウ素、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、又はイソプロピルオキシ基から選択される基である。]
  7. 請求項5または請求項6に記載の方法により、生化学物質の非吸着化処理された環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体。
  8. 前記項5または請求項6の記載の方法により、生化学物質の非吸着化処理されたマイクロチップ基板用の環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体。
  9. 請求項1,2,3または請求項4の記載の成形体の表面処理が当該成形体表面に生体機能分子の固定機能性を付与する処理である
    ことを特徴とする環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体の表面処理方法。
  10. 上記自己組織化単分子膜形成工程は、前記成形体の表面と下式(2)で表されるアミノ基含有シラン化合物を反応させる工程である
    ことを特徴とする請求項9に記載の環状オレフィン樹脂を含む材料からなる成形体の表面処理方法。
    (NH)Si(R・・・(2)
    [Rはアミノ基、トシル基、カルボキシル基から選択される基である。]
  11. 請求項9または請求項10に記載の方法により、生体機能分子の固定機能性が付与された環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体。
  12. 前記項9または請求項10の記載の方法により、生体機能分子の固定機能性が付与されたマイクロチップ基板用の環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体。
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