JP4514675B2 - 診断用容器 - Google Patents
診断用容器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4514675B2 JP4514675B2 JP2005246637A JP2005246637A JP4514675B2 JP 4514675 B2 JP4514675 B2 JP 4514675B2 JP 2005246637 A JP2005246637 A JP 2005246637A JP 2005246637 A JP2005246637 A JP 2005246637A JP 4514675 B2 JP4514675 B2 JP 4514675B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- container
- diagnostic
- diagnostic container
- ultraviolet light
- measurement
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
シンプル免疫学 株式会社南江堂(2001年2月15日)
新生化学実験講座12 株式会社京化学同人(1992年2月5日) 吸着の化学 産業図書株式会社(1995年5月30日)
例えば図35に示す如く、(a)診断用容器の所定部位(底面(図35(a)参照)または側面(図35(b)参照))にマスキング加工を行ない、その後に容器材質との反応性が高い薬品による化学処理([非特許文献4]参照)により各種官能基を導入した後に該マスキングを取り除く方法や、下記の[特許文献1]に記載される如く、(b)診断用容器の所定部位に、該容器材質と異なる性質の素材をセル内面にコーティングする方法や、(c)診断用容器の所定部位、ここでは底面および側面を夫々異なる性質の素材から作製し、これを接合させる方法([非特許文献5]参照:非特許文献5においてはガラスおよびポリスチレン樹脂)である。これら各方法の採用により、診断用容器の内面に、共有結合性の高い部分と疎水性の強い部分とを共存させ、該容器側面へ検体吸着を少なくし、かつ該容器底面への検体吸着力を高めた容器の製造がなされていた。
ペプチド合成の基礎と実験 丸善株式会社(昭和60年1月20日)
固相化された一次抗体に抗原を捕捉させ、更に標識マーカーによって標識化された二次抗体を該抗原に捕捉させることで、該抗原を定量化する各種免疫測定法に使用される有機系材料からなる診断用容器において、
前記有機系材料として、シクロオレフィン系樹脂を使用し、
その波長が100〜300nmの範囲にある紫外光を所要時間照射することで、前記診断用容器における少なくとも容器内表面の所要領域は、有機系材料の炭素に関わる結合が切断され、当該切断箇所が酸素と結合して生成したカルボキシル基および/またはカルボニル基で覆われていることを特徴とする。
プラズマ材料科学ハンドブック 株式会社オーム社(平成4年9月25日)
透明ポリマーの屈折率制御(日本化学会編)学会出版センター(1998年)
平成15年度地域新生コンソーシアム研究開発事業「磁気ナノマーカーを用いた超高感度免疫検査システムの開発」成果報告書(平成16年3月) Kenji ENPUKU 、Shigenori HAMAOKA et al.「Magentic marker and high Tc superconducting quantum interference device for biological immunoassays」IEICE Trans.Electron.Vol.88-C(電子情報通信学会英文誌C)(2005年1月)
次に本実施例に係る診断用容器の製造および処理方法の一例を説明する。具体的には、診断用容器20を成形する原料であるシクロオレフィン系樹脂を準備する。そしてこれを、例えば図1に示すような好適に試料Sを保持し得る所要形状の診断用容器20に成形し、その後、所要領域の紫外光処理を実施すればよい。
パワーレーザーの技術 オーム社(平成11年10月30日) レーザー化学 化学同人(2003年1月10日)
USHIO(会社案内) (2005年2月)
株式会社 エム.デイ.エキシマ カタログ(2004年4月)
エキシマVUV/O3洗浄装置 工業調査会(電子材料7月号別冊)
プラズマ重合 株式会社東京化学同人(1986年9月10日)
前述の実施例においては、診断用容器20の表面にカルボキシル基および/またはカルボニル基が生成された状態、すなわち診断用容器20の表面に結合させる一次抗体ab1において結合に供される官能基がアミノ基である場合を説明している。しかし本発明はこれに限定されるものではなく、診断用容器20の表面に結合させる一次抗体ab1において結合に供される官能基がカルボキシル基またはカルボニル基の場合であってもよい。この場合、診断用容器20の表面にアミノ基が存在する必要があるが、例えば[非特許文献4]に記載されるような公知の方法、例えばジアミン等でアミノ化処理をする2段法を利用する等して、診断用容器20に前述の処理で生成されているカルボキシル基および/またはカルボニル基をベースとして、この上に複数のアミノ基を有する物質を結合させることでなされている。
(別の実施例)
免疫生物学 株式会社南江堂(2003年10月15日) Surface and Interfacial Aspects of Biomedical Polymers:Volume2 Protein Adsorption(PLENUM PUBLISHING COROPRATION N.Y 1985発行)
以下に本発明に係る方法で処理された診断用容器の各種物性、例えばカルボキシル基等の量、磁気ノイズおよび一次抗体の捕捉量(度合い)、すなわち標識化された二次抗体の捕捉量等についての実験例を示す。なお本発明に係る診断用容器は、この実験例に限定されるものではない。
測定例1−1〜1−4および基準例に係るシクロオレフィン系樹脂((商品名 ZEONEX 480R:日本ゼオン製)からなる試験片(縦60mm×横30mm×厚さ1.0mm)を作製し、これに波長172nmのXe(キセノン)エキシマランプ光(光源:無電極Xe封入エキシマランプ(商品名 MEB500:エム・ディ・エキシマ製))を、処理面とエキシマランプとの距離2mm、光源固定、処理対象物の移動速度1m/分、空気中照射との条件で、下の表1に記載の条件(照射時間)で照射することで表面改質処理を実施した。そして測定例1−1〜1−4および基準例に係る試験片に存在するカルボキシル基量(nMol/cm2)を、以下に記す方法によって定量すると共に、赤外分光(IR)スペクトルチャート(商品名 FT−700:日本分光製)よって赤外線吸収度(ΔT1(%)およびΔT2(%))を測定した。図7、図8および図9は、夫々基準例(エキシマ光照射なし)、測定例1−2(照射30秒)および測定例1−4(照射120秒)の試験片に係るIRスペクトルチャートである。
(1)各測定例に係る試験片を、縦30mm×横10mm×厚さ1mmの大きさの定量片に切断加工し、100mlのナスフラスコに予め調整した精製シクロヘキサン50mlと精製t−ブタノールとの混合液内に浸漬し、ここにN、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)0.05mgを加え、温度0℃、2時間の条件で撹拌後、P−ニトロフェノールを0.50g加え、室温で12時間撹拌した。
(2)その後、定量片をナスフラスコから取り出し、メタノールで5回洗浄することで、該定量片上の未反応P−ニトロフェノールを取り除き、その後 乾燥させた。
(3)乾燥させた定量片を100mlのナスフラスコに入れ、その中に4%アンモニア水20mlを加え、室温で12時間撹拌した後、アンモニアと反応した上澄み中のP−ニトロフェノール(モル吸光度係数ε=18000)の400nmにおける吸光度によりカルボキシル基の定量を行なった。なお定量は予め作成しておいた検量線を用いて行なった。
この結果を上記の表1に併記する。この表から(化学的に定量したカルボキシル基量と、光学的に測定したカルボニル基量)から、処理により生成されたカルボキシル基量は、エキシマ光の照射時間に略比例していることが確認された。
実験1でエキシマ光照射30秒の処理を施した測定例1−2に係る試験片につき、室温3ヵ月放置後に測定例2として、赤外線吸光度(ΔT1(%)、ΔT2(%)およびΔT2(%)/ΔT1(%))を実験1と同様に測定・算出した。なお図10は、測定例2(照射30秒、3ヶ月経過後)の試験片に係るIRスペクトルチャートである。
この結果を下の表2に示すと共に、参考として実験1の測定例1−2の結果を併記する。この表2の数値、すなわちΔT2(%)/ΔT1(%)の絶対比較で変化が見られないことより、シクロオレフィン系樹脂に関してエキシマ光による処理が経時的安定性を備えていることが確認された。
同一のアクリル樹脂からなる試験片(平板:縦60mm×横30mm×厚さ10mm)を3枚準備し、試作したベルジャー式プラズマ発生装置内にランダムに載置し、気圧を0.1torrに減圧して酸素に置換した状態下で、出力200W、時間10分間の条件で酸素プラズマ処理を実施し、診断用容器の表面にカルボキシル基を導入した。そして各試験片を夫々2分割し、実験1で説明した「カルボキシル基量の定量方法」により、一方は処理直後のカルボキシル基量(nMol/cm2)を定量し、他方は2ヶ月間室内放置後にカルボキシル基量(nMol/cm2)を定量した。そして定量された数値から、2ヶ月経過時点でのカルボキシル基量の減衰率(%:(2ヶ月放置後カルボキシル基量−処理直後カルボキシル基量)/処理直後カルボキシル基量)を算出すると共に、この数値の平均をとった。
上述の実験1でなされた本発明に係る処理(波長172nmのXe(キセノン)封入エキシマランプを使用したエキシマ光照射)を、上市されている複数の樹脂製品から選択されたシクロオレフィン系樹脂2種、アクリル樹脂およびポリプロピレン樹脂に対して、下記の表4に示した時間実施した後、水に対する接触角を測定した。またシクロオレフィン系樹脂の1つであるCOP(測定例4−1)およびアクリル樹脂(測定例4−3)については、併せて各処理時間における吸光度(ここで吸光度とは、405nmの吸光度から、バックグランドの吸光度を引いた数値である)についても測定した。ここで吸光度は、COPを押出成形法によって厚さ1.0mmの板状部材62とし、この上に光学法で多用されるポリスチレン樹脂からなる円筒部材64を載置して、図11に示す形状の試験容器60を夫々作製し、以下の手順に従って抗原(バイオ物質)の板状部材62への吸着性を測定し、この吸着性から親水性を評価した。なお照射時間以外の各条件は実験1に準ずる。また各樹脂および使用した各測定機器並びに吸光度の測定方法は下記する。更に図12〜図15は、夫々測定例4−3:アクリル樹脂に係る未処理(エキシマ光照射なし)、測定例4−3:アクリル樹脂に係る照射30秒処理後、測定例4−4:ポリプロピレン樹脂に係る未処理(エキシマ光照射なし)および測定例4−4:ポリプロピレン樹脂に係る照射30秒処理後のIRスペクトルチャートである。
・測定例4−1:COP(商品名 ZEONEX 480R:日本ゼオン製)
・測定例4−2:COC(商品名 TOPAS 6013S:ポリプラスチックス製)
・測定例4−3:アクリル樹脂(商品名 コモグラス:クラレ製)
・測定例4−4:ポリプロピレン樹脂(商品名 グランドポリプロJ227TPP:グランドポリマー製)
(使用した測定機器)
・接触角計(商品名 Face接触角計Model CA−DT:協和界面科学製)
・吸光度計:マイクロプレートリーダー(商品名 Soft MAX Pro:日本モレキュラーデバイス製)
(1)予め試験前のセル(円筒部材64内に画成される空間)の吸光度を測定しブランク値を求める。
(2)10mg/mLの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下、WSCと云う)を、PBS、PH5.8(以下、PBS5.8と云う)10mLに溶解させて調製する。
(3)(2)で調整したWSC溶液100μLをセル内に入れ、温度37℃、時間2時間の条件で放置する。
(4)未反応のWSCを250μLのPBS5.8で3回洗浄する。
(5)100μg/mLのビオチンヒドラジドをPBS5.8に溶解して調製する。
(6)セル内にビオチンヒドラジド溶液を100μL分注し、プレートシールして温度37℃、時間2時間の条件で放置して反応を進行させ、未反応分を捨てる。
(7)セル内を250μLのPBS(pH7.4)に界面活性剤(商品名 Tween20:atlas powders製)を0.05%混合した溶液(以下、tPBSと云う)で3回洗浄する。
(8)PBS(pH7.4)で4倍に希釈したブロッキング材(商品名 ブロックエース(大日本製薬製)に、界面活性剤(商品名 Tween20:atlas powders製)を0.05%混合した溶液250μLを入れ、温度37℃、時間1時間の条件で放置する。
(9)250μLのtPBSで3回洗浄する。
(10)tPBSで5000倍に希釈した 西洋わさびペルオキシナーゼ結合ストレプトアビジン(以下、HRPと云う(商品名 P0397:DAKO製))を200μL入れ、温度37℃、時間1時間の条件で放置する。
(11)250μLのtPBSで3回洗浄する。
(12)発色基質液ABTSのA溶液とB溶液とを等量混合し、室温下に放置して液温を室温としておく。
(13)セル内に発色基質液ABTS等量混合溶液を100μL入れて混合する。
(14)温度37℃、時間1時間の条件で放置し、反応停止液を100μL加える。
(15)30分以内に、405nmの吸光度を、上記した吸光度計で計測して反応性を評価する。なおここで測定した吸光度405nmは、HRPと結合した発色基質液ABTSを測定するものである。
得られた接触角を上記の表4に示す。この結果から、シクロオレフィン系樹脂に対して60秒程度のエキシマ光照射を実施することで、アクリル樹脂と同等の接触角とし得ることが確認された。すなわちアルカン系物質であるシクロオレフィン系樹脂は、化学構造的に疎水性が高く、従って親水性が小さいため、前述した如く、実際の抗原等の測定に実績のあるアクリル樹脂製の診断用容器の代替素材としては使用が困難であったが、本発明に係る処理を実施することで、これが可能となることが確認された。また照射時間を長くすることで水に対する接触角は更に低下して、親水性が増すことも併せて確認された。
実験1〜4で得られたエキシマ光処理(照射)時間、吸光度比、カルボキシル基量および接触角について、図16にエキシマ光処理(照射)時間と吸光度比との関係を、図17にエキシマ光処理(照射)時間とカルボキシル基量との関係を、図18に吸光度比とカルボキシル基量との関係を、図19にカルボキシル基量と接触角との関係を夫々グラフとして纏めた。
各グラフ図を纏めた結果、図16よりエキシマ光照射時間とIR測定法で計測したカルボキシル基量との間には、明確な相関関係があることが見出され、更に図17よりエキシマ光照射時間とカルボキシル基量との間にも明確な相関関係が確認された。また図18より吸光度比とカルボキシル基量とにも比例関係があることが確認され、図19のカルボキシル基量と接触角との間にも比例関係が確認された。ここからエキシマ光照射による診断用容器表面のカルボキシル基の生成量の確認・測定に、測定が容易な接触角やIR測定法で、手順が煩雑な化学定量法の代用が可能であるとことが判明した。
上述の実験1でなされた本発明に係る処理(実験1と同じ光源を使用したエキシマ光照射)を、上市されている複数の樹脂製品から選択されたポリエチレンテレフタレート樹脂(商品名 NEH−2050:ユニチカ製(測定例6−1および6−2))およびポリカーボネート樹脂(商品名 タフロンA1900:出光石化製(測定例6−3および6−4))を用いて、図20に示すような4個の逆円錐台形状の容器内表面(図5(a)左側参照;内容積350μL)を矩形樹脂平面上に備える測定例6−1〜6−4に係る診断用容器を作製し、これに対して(容器底面に対して垂直となるように)、下記の表5に示した時間実施した後、吸光度を測定し、容器底面および診断用容器最上面(計測値を安定させるため、診断用容器最上面と同一高さ(5mm)の位置に同素材の樹脂板を載置して同様の紫外光処理を施し、その接触角を使用)の水に対する接触角を測定した。ここで吸光度および親水性の測定は、前述の実験4と同様の手順および装置で実施した。なお処理に係る照射時間および処理対象物(診断用容器)の移動速度(本実験6では17.5cm/秒)以外の各条件は実験1に準じる。また実験実施時の環境条件は気温23℃、湿度50%であった。
この結果を上記の表5に示す。この結果から、ポリカーボネート樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂の何れもエキシマ光を照射することで、未照射の場合と比べて吸光度が高く、かつ接触角が小さくなっており、これによりエキシマ光により診断用容器の表面が活性化されて多量のカルボキシル基が生成され、ビオチンの吸着性が向上したことが確認された。また紫外光処理により、表面改質された診断用容器では、ビオチンヒドラジドの如き低分子量検体(バイオ物質)の吸着性が高いことも確認された。
診断用容器の材質としてシクロオレフィン系樹脂の1つであるCOP(商品名 ZEONEX480R:日本ゼオン製)を用い、下記の表6に示した処理時間および遮光条件(マスキング位置)に従って、図21に示すような2個の逆円錐台形状の容器内表面(図5(a)右側参照;内容積350μL)が矩形樹脂平面に陥設された測定例7−1〜7−4に係る診断用容器を作製し、これにに対して(容器底面に対して垂直となるように)、紫外光処理を実験6と同様に実施し、かつ同様の測定を実施した。
この結果を上記の表6に示す。この結果から、シクロオレフィン系樹脂はエキシマ光を照射しなければ、シクロオレフィン系樹脂自体が有する高疎水性(高接触角)により、ビオチンヒドラジドのような低分子量検体(バイオ物質)は殆ど吸着せず、反対に親水化(低接触角化)すれば吸着量が約8.5倍になることが確認された。また物理吸着(疎水性相互作用)による高分子量検体(バイオ物質)または共有結合による低分子量検体(バイオ物質)の吸着部位をを自在に制御し得ることを併せて確認した。
図1(a)に示す形状の診断用容器(セル)を、アクリル樹脂を材質としてキャスト成形法および真空圧空成形法によって準備し、この容器内表面に以下説明する一般的な方法によって、ヒトIL8(抗原)を捕捉させ、これを磁気マーカーによって標識化してSQUID測定に供し、その際のヒトIL8の重さと、磁気信号との関係を観察した。
(1)pH7.4のリン酸緩衝溶液(以下、PSBと云う)に界面活性剤(商品名 Tween20:atlas powders製)を0.05%混合した溶液(以下、tPBSと云う)を調製する。
(2)IL8モノクロナール抗体(商品名 MAB208:R&Dsystems製)の100μg/mL濃度の溶液100μLをセル内に入れ、温度4℃、時間12時間の条件で放置する。
(3)セル内から未反応抗体溶液を捨てる。
(4)ブロッキング材(商品名 ブロックエース:大日本製薬製)の0.1%tPBS溶液を作製し、セル内に200μL加えて、室温、時間1時間の条件で放置する。
(5)セル内から未反応ブロッキング剤(溶液)を捨て、tPBS溶液で3回洗い流す。
(6)所定量のヒトIL8(商品名 091−04331:WAKO製)を、pH7.4のPBS溶液に所定量溶解し、セル内に100μL分注し、プレートシール(密封)して室温、時間1時間の条件で放置して抗体(IL8モノクロナール抗体)と反応させる。
(7)セルのシールを剥がし、αIL8ポリクロナール抗体(商品名 AF208:R&D systems製)と磁気マーカーとを予め結合させた標識化抗体50μL(濃度0.1mg/mlのPBS、PH7.4)を加え、プレートシール後、30分放置し、抗原(ヒトIL8)と磁気マーカーが付与された抗体(αIL8ポリクロナール抗体)を反応させる。なお磁気マーカーの作製方法については下に記す。
(8)診断用容器に0.1Tの磁場をかけ、磁気マーカー内のフェライト粒子を磁化する。
(9)SQUID計測装置(図3参照)により、診断用容器の残留磁気を測定し、検量線を用いて抗原量を算出する。
なお上記工程(7)に記載したαIL8ポリクロナール抗体(商品名 AF208:R&D systems製)と磁気マーカーとを予め結合させた標識化抗体は[特許文献8]の記載の内容に準拠して調整した。
メタノール10mLに、マイクロモノマーとしてのポリビニルピロリドン(0.004〜0.04mg範囲内の一定量)にフェライト(Fe2O3)微粒子0.05gを加え、超音波照射し、更に攪拌を実施した後に遠心分離を行なうことによってポリビニルピロリドンを吸着したフェライト微粒子を作製し、次いでテトラヒドロフラン(THF)5mLに、N−アクロイル−L−グルタミン酸0.20g(フェライト微粒子に吸着したポリビニルピロリドンのビニル基量の100倍量)と、0〜100倍量の架橋剤トリ(アクロイルオキシ)アミン塩酸塩とを溶解させて準備溶液とし、これに粒子1g当たりに0.2gのポリビニルピロリドンを吸着したフェライト微粒子0.018gと、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)0.01gとを加え、温度35℃、時間10時間の条件で攪拌し、更に遠心分離(5回繰り返し)を実施して磁気マーカーを得た。
SQUID・磁気マーカー測定法による測定限界についての結果を図22に示す。この図22から、SQUID・磁気マーカー測定法が目的とする数pg以下の検出限界(感度水準)を達成する磁気信号(B)の強度は20pT程度であることが確認された。
下記の測定例9−1〜9−10および参考測定例の各材質を、該材質に好適な加工法によって厚さ1.0mmの板状物とし、これを超純水中で超音波洗浄してその表面に付着している磁気汚染物質を取り除き、乾燥後、板状物とSQUIDセンサとの距離を1.5mmに保つ条件で移動させ、磁気信号の最大値と最小値との差をもって磁気ノイズ値とするSQUID測定を実施した。なお磁気信号の計測にあたっては、予め板状物に0.1Tの磁界をかけて磁化している。この結果を下記の表7に示す。
測定例9−1:アクリル樹脂(商品名 コモグラス:クラレ製)
測定例9−2:ポリカーボネート樹脂(商品名 タフロンA1900:出光石化製)
測定例9−3:ポリアミド樹脂(商品名 UBEナイロン12 3014B:宇部興産製)
測定例9−4:ポリプロピレン樹脂(商品名 グランドポリプロJ227TPP:グランドポリマー製)
測定例9−5:ポリスチレン樹脂(商品名 GPPS HF55:PSジャパン製)
測定例9−6:ポリフッ化ビニリデン(商品名 KFポリマー:呉羽化学工業製)
測定例9−7:COP(商品名 ZEONEX 480R:日本ゼオン製)
測定例9−8:COP(商品名 ZEONEX 1060R:日本ゼオン製)
測定例9−9:COC(商品名 TOPAS 6013S:ポリプラスチックス製)
測定例9−10:COC(商品名 TOPAS 6015S:ポリプラスチックス製)
参考測定例:ガラス
表7に記載された結果から、シクロオレフィン系樹脂およびアクリル樹脂が、素材として磁気ノイズが少なく、(A)磁気ノイズの観点からは本発明に採用し得ることが確認された。なお測定例9−1〜9−3および9−7〜9−10と、参考測定例とについては、その磁気信号のパターンを図23〜図30に示す。
材質として、上市されている複数の樹脂製品から選択されたシクロオレフィン系樹脂2種およびアクリル樹脂1種についての測定例10−1〜10−5に係る下記の試料を、図1に示す診断用容器の形状とし、図3に示す装置50によりSQUID測定(診断用容器に磁界0.1Tをかけた場合の残留磁気量(磁気信号B(pT:センサと診断用容器との距離:1.5mm))を行なった。そして各測定例に係る診断用容器について元素分析を行ない、鉄、コバルトおよびニッケルの含有量(ppb)を調べた。この結果を下記の表8に示す。なお測定例10−4および10−5については同一の材質を用い、ここに鉄製のカッターによる切り傷を意図的に形成することで、該カッターとの接触に由来する金属を付着させた。
測定例10−1:COP(商品名 ZEONEX 480R:日本ゼオン製)
測定例10−2:COC(商品名 TOPAS 6015S:ポリプラスチックス製)
測定例10−3〜10−5:アクリル樹脂(商品名 コモグラス:クラレ製)
上記の表8に記載された結果から、15pT以下の磁気ノイズを達成する金属の量(含有量)は、30ppb以下であることが確認された。
図1(a)に示す形状をなす厚さ0.4mmの診断用容器を、実験9の測定例9−2に係るアクリル樹脂を材質としてキャスト成形法(と真空圧空成形法)、押出成形法(と真空圧空成形法)および射出成形法によって作製し、磁気ノイズおよび厚み精度の2点を、◎:良好、○:使用に耐える、×:使用不可、で評価し、その結果を下記の表9に示す。なお磁気ノイズは、実験2と同様の方法で測定して10pT以下を◎、10〜15pTを○、15pTを超えた場合を×とし、厚さ精度については、汎用のマイクロメータにより厚さを測定して、そのばらつき(3σ)が0.05未満を◎、0.05〜0.10を○、0.10を超える場合を×として評価し、更に磁気ノイズおよび厚さ精度から総合的な評価を◎:良好、○:使用に耐える、×:使用不可で評価した。またキャスト成形法および押出成形法は、シート状物を成形する方法であり、シート状物とされたアクリル樹脂は、最終的には真空圧空成形法によって診断用容器形状に成形されている。
上記の表9から、キャスト成形法(と真空圧空成形法)および押出成形法(と真空圧空成形法)で診断用容器を作製した場合、磁気ノイズおよび厚み精度の双方とも良好であり、本発明に係る診断用容器の製造に好適であることが確認された。
下記の表10に示す所定量としたヒトIL8(抗原)を、シクロオレフィン系樹脂から作製した本発明に係る診断用容器を使用して、測定例12−1〜12−3に係る診断用容器を準備し、これに実験8と同様の処理を実施して、SQUID・磁気マーカー測定法により抗原量を算出した。なお磁気信号測定条件は、以下の通りである。
・診断用容器の容器底部の厚さ0.4mm
・診断用容器の回転ブレ0.1mm
・SQUIDセンサと容器底面との距離Dは1.5mm
・SQUID計測装置本体からの磁気ノイズは10pT
結果を上の表10に記し、更に夫々のその磁気信号のパターンを図31〜図33に示す。この結果から、実際の抗原等の測定に対して高い感度水準を発現し、実用性があることが確認された。
ab1 一次抗体、ab2 二次抗体、ag 抗原、CA 共有結合性領域
HA 疎水性領域、S 試料
Claims (9)
- 固相化された一次抗体(ab1)に抗原(ag)を捕捉させ、更に標識マーカー(M)によって標識化された二次抗体(ab2)を該抗原(ag)に捕捉させることで、該抗原(ag)を定量化する各種免疫測定法に使用される有機系材料からなる診断用容器(20)において、
前記有機系材料として、シクロオレフィン系樹脂を使用し、
その波長が100〜300nmの範囲にある紫外光を所要時間照射することで、前記診断用容器(20)における少なくとも容器内表面(22)の所要領域は、有機系材料の炭素に関わる結合が切断され、当該切断箇所が酸素と結合して生成したカルボキシル基および/またはカルボニル基で覆われている
ことを特徴とする診断用容器。 - 前記紫外光が照射される所要領域に任意のパターンを施して遮光することで、該パターンによって遮光された部位に形成される疎水性領域(HA)と、それ以外の部位に形成され、前記カルボキシル基および/またはカルボニル基で覆われた共有結合性領域(CA)とが併存した状態となっている請求項1記載の診断用容器。
- 前記容器内表面(22)をなす容器側部領域(22b)は、照射される前記紫外光を受けるように形成されている請求項1または2記載の診断用容器。
- 前記紫外光として、その波長が100〜200nmの範囲にある真空紫外光が使用される請求項1〜3の何れか一項に記載の診断用容器。
- 前記真空紫外光として、特定波長だけの連続的散乱発光をなすエキシマランプ光が使用される請求項4記載の診断用容器。
- 前記真空紫外光として、特定波長だけの間欠的収束発光をなすエキシマレーザー光が使用される請求項4記載の診断用容器。
- 前記有機系材料は、磁界0.1T、試料(S)からSQUIDセンサまでの距離1.5mm以下の条件下で磁界を印加した際の残留磁気量が15pT以下である請求項1〜6の何れか一項に記載の診断用容器。
- 前記有機系材料は、磁性金属の含有量が30ppb以下である請求項7記載の診断用容器。
- 前記診断用容器(20)において試料(S)が保持される容器底部領域(22a)の厚さは、0.1〜1.0mmの範囲である請求項1〜8の何れか一項に記載の診断用容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005246637A JP4514675B2 (ja) | 2005-01-14 | 2005-08-26 | 診断用容器 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005008387 | 2005-01-14 | ||
JP2005246637A JP4514675B2 (ja) | 2005-01-14 | 2005-08-26 | 診断用容器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006220645A JP2006220645A (ja) | 2006-08-24 |
JP4514675B2 true JP4514675B2 (ja) | 2010-07-28 |
Family
ID=36983058
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005246637A Expired - Fee Related JP4514675B2 (ja) | 2005-01-14 | 2005-08-26 | 診断用容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4514675B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9778188B2 (en) | 2009-03-11 | 2017-10-03 | Industrial Technology Research Institute | Apparatus and method for detection and discrimination molecular object |
US9482615B2 (en) | 2010-03-15 | 2016-11-01 | Industrial Technology Research Institute | Single-molecule detection system and methods |
US8865077B2 (en) | 2010-06-11 | 2014-10-21 | Industrial Technology Research Institute | Apparatus for single-molecule detection |
US8865078B2 (en) * | 2010-06-11 | 2014-10-21 | Industrial Technology Research Institute | Apparatus for single-molecule detection |
JP6210009B2 (ja) * | 2013-09-30 | 2017-10-11 | 株式会社Jvcケンウッド | 試料分析用基板及び基板分析装置 |
JP2015127692A (ja) * | 2013-11-28 | 2015-07-09 | 株式会社Jvcケンウッド | 分析用基板、分析用基板の製造方法及び基板分析装置 |
JP6201856B2 (ja) * | 2013-11-29 | 2017-09-27 | 株式会社Jvcケンウッド | 分析用基板及び分析用基板の製造方法 |
CN115649558A (zh) | 2018-05-28 | 2023-01-31 | 中外制药株式会社 | 填充喷嘴 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08162311A (ja) * | 1994-12-02 | 1996-06-21 | Ykk Kk | 非磁性材料並びにそれを用いた磁化測定装置用試料容器及び支持材 |
JPH09101302A (ja) * | 1995-10-06 | 1997-04-15 | Toppan Printing Co Ltd | マイクロプレート |
JP3728686B2 (ja) * | 1997-06-05 | 2005-12-21 | アークレイ株式会社 | 有機高分子材料からなる液体保持具を製造する方法 |
DE19806642A1 (de) * | 1998-02-18 | 1999-08-19 | Huels Chemische Werke Ag | Biosensor mit neuartiger Passivierungsschicht |
-
2005
- 2005-08-26 JP JP2005246637A patent/JP4514675B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2006220645A (ja) | 2006-08-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4514675B2 (ja) | 診断用容器 | |
Hosseini et al. | Recent advances in surface functionalization techniques on polymethacrylate materials for optical biosensor applications | |
Darain et al. | On-chip detection of myoglobin based on fluorescence | |
US8383025B2 (en) | Method of manufacturing micro patterned device and device obtained by the method | |
US20100159576A1 (en) | Biochip and biomaterial detection apparatus | |
US20100135856A1 (en) | Nanoparticle for detecting biomaterials and biosensor by using the nanoparticle | |
Ma et al. | Fabricating a cycloolefin polymer immunoassay platform with a dual-function polymer brush via a surface-initiated photoiniferter-mediated polymerization strategy | |
CN1975423A (zh) | 免疫磁珠及制作方法和用于检测的方法及测试板 | |
AU2004227171B2 (en) | Optical chemical sensing device with pyroelectric or piezoelectric transducer | |
US20210156856A1 (en) | Systems, devices, and methods for amplifying signals of a lateral flow assay | |
WO2002056012A1 (fr) | Element d'analyse par fluorescence au moyen d'un nanopuits metallique et procede de production de cet element | |
JP5975480B2 (ja) | バイオチップ、バイオアッセイ用キット、及びバイオアッセイ方法 | |
JPH09101302A (ja) | マイクロプレート | |
KR101183159B1 (ko) | 바이오 칩 및 이를 이용한 바이오 물질 검출 장치 | |
JP4768417B2 (ja) | バイオセンサー | |
JP2010112730A (ja) | 流路型センサチップを用いた検出方法、流路型センサチップおよびその製造方法 | |
JP2011033341A (ja) | 低結合性固相表面の作製方法 | |
JP5733392B2 (ja) | 成形体の表面処理方法および環状オレフィン系樹脂を含む材料からなる成形体 | |
JP4337644B2 (ja) | 生化学用器具の製造方法 | |
JP2010181155A (ja) | 物質固定基板の製造方法 | |
Hosseini et al. | Novel Polymeric Biochips for Enhanced Detection of Infectious Diseases | |
Kim et al. | Sensitive “capillary elisa” via vapor-phase surface modification | |
JP2012002806A (ja) | 親水性基板のパッケージおよびイムノクロマト用試験具 | |
JP4337643B2 (ja) | 生化学用器具 | |
WO2012114708A1 (ja) | 被検物質検出方法並びにそれに用いられる被検物質検出チップおよび被検物質検出装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080318 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100201 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100209 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100408 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100427 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100511 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4514675 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130521 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140521 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |