JP5733023B2 - 電子ペーパー用背面電極基材および電子ペーパー - Google Patents

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Description

本発明は、電子ペーパーに用いた際に、表示ムラを生じにくく、良好な情報表示特性を得ることが可能な電子ペーパー用背面電極基材および電子ペーパーに関するものである。
近年、電子ペーパーと呼ばれる情報媒体の研究がなされている(例えば特許文献1〜特許文献3)。この情報媒体は、対向する基材間にマイクロカプセル等の表示媒体を封入し、電気的に表示の切り替えを行うものであり、低消費電力、曲げ可能なフレキシブル性、薄く軽いなどの優れた特性に加えて、書き換え可能という際立った特長を有し、実用化段階に入りつつある。
上記電子ペーパーのより具体的な構成について説明する。一般的な電子ペーパーは、表示情報に対応するパターン状に形成された表示電極および上記表示電極に電荷を付与するために配置された配線電極を有する背面電極基材と、透明基材および透明電極を有する対向電極基材と、上記背面電極基材および対向電極基材の間に配置され、表示媒体を含む表示媒体層とから構成されるものである。また、上記構成を有する電子ペーパーは、背面電極基材の表示電極と対向電極基材の透明電極との間に電圧を印加することによって、表示媒体層の表示媒体を制御することにより情報を表示するものである。
ここで、上記電子ペーパーに用いられる背面電極基材としては、従来から図16に示す構成が検討されている。すなわち、図16に示すように、従来の電子ペーパー用背面電極基材10’の構成としては、表示電極用絶縁層1α”および表示電極用絶縁層1α”上に形成された表示電極1β”を有し、表示情報に対応するパターン形状を有する表示電極層1”と、表示電極層1”の表示電極1β”上全面に配置され、樹脂基材等の絶縁性を有する配線電極用絶縁層2α”と、配線電極用絶縁層2α”上に導電性ペーストを用いて形成され、表示電極1β”に電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極2β”と、配線電極2β”上に配置され、配線電極2β”等を保護する保護フィルム4’とを有する構成が検討されている。なお、図16は従来の背面電極基材の一例を示す概略断面図である。
また、このような背面電極基材の構成としては、図16に示す構成の他にも、例えば図17に示す構成が検討されている。すなわち、図17に示すように、従来の電子ペーパー用背面電極基材10’の構成としては、上述した表示電極層1”と、表示電極層1”の表示電極1β”上に配置された配線電極用絶縁層2α”および配線電極用絶縁層2α”上に形成された配線電極2β”を有し、表示電極1β”に電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極層2”と、配線電極層2”上に配置された上述の保護フィルム4’とを有する構成が検討されている。
なお、図17は従来の背面電極基材の一例を示す概略断面図である。また、図17において説明していない符号については、図16と同様とすることができる。
上述した構成を有する背面電極基材は、保護フィルムの下層に位置する層がパターン形状を有するため、背面電極基材の保護フィルム側の表面は凹凸を有するものとなる。また、上述した凹凸は、特に保護フィルムに近接する層のパターン形状による影響が大きいものである。よって、上述した構成を有する背面電極基材の保護フィルム側の表面においては、特に、配線電極または配線電極層のパターン形状に沿った凹凸が生じやすい。
また、上記保護フィルムは、通常、ラミネート加工により配置されるものである。表面に凹凸を有する背面電極基材において、保護フィルムをラミネート加工により配置した場合、図16および図17に示すように、配線電極2β”または配線電極層2”が配置されている部分の保護フィルム4’は、配線電極2β”または配線電極層2”が配置されていない部分の保護フィルム4’に比べて強く引っ張られることとなる。その結果、保護フィルム4’を積層した場合、配線電極2β”または配線電極層2”が配置されている部分にかかる圧力Xは配線電極2β”または配線電極層2”が配置されていない部分にかかる圧力Yに比べて大きくなる。
なお、上記圧力の差は、保護フィルムをラミネート加工により配置した場合に生じやすいものであるが、これに限定されず、例えば表面に凹凸を有する背面電極基材にラミネート加工以外の方法で保護フィルムを配置した場合にも生じるものである。
また、上記圧力の差は、上記背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合に、電子ペーパーにかかる圧力の差として現れるものである。
ここで、電子ペーパーに用いられる表示媒体層は、表示媒体の移動等を利用して表示を行うものであることから、流動性の高い材料を含む場合が多く、硬度の低い層である場合が多いため、外部からの圧力による影響を受けやすく、例えば外部からの圧力により表示媒体層間のセルギャップが変化したり、表示媒体の駆動の仕方が変化するといった性質を有するものである。
したがって、上述の構成を有する背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合は、背面電極基材の上記配線電極等が配置されている部分においては、上記配線電極等が配置されていない部分に比べて大きな圧力がかかるため、部分的にセルギャップが小さくなることから表示媒体の駆動速度が変化してしまうといった問題や、上記圧力により表示媒体の駆動が妨げられるといった問題があった。また、その結果、電子ペーパーに表示される画像等に表示ムラが発生して視認性が低下してしまうといった問題があった。
そこで、電子ペーパーに用いられる背面電極基材においては、電子ペーパーに用いられた際に表示不良が生じにくく、優れた情報表示を行うことが可能な構成が求められている。
特開2003−280044号公報 特表2010−503895号公報 特開2010−44337号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電子ペーパーに用いた際に、保護フィルム側の凹凸に起因する表示ムラを生じにくく、良好な情報表示特性を得ることが可能な電子ペーパー用背面電極基材、およびこれを用いた電子ペーパーを提供することを主目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、表示電極用絶縁層、および上記表示電極用絶縁層上に形成された表示電極を備え、表示情報に対応するパターン形状を有する表示電極層と、上記表示電極層の上記表示電極上に配置された配線電極用絶縁層、および上記配線電極用絶縁層上に形成された配線電極を備え、上記表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極層と、上記表示電極層の上記表示電極上の、上記配線電極層が配置されている配線電極層配置領域以外の領域に配置され、上記配線電極層の厚みと同等の厚みを有する平坦化層と、上記配線電極層の上記配線電極および平坦化層上に配置された保護フィルムとを有することを特徴とする電子ペーパー用背面電極基材を提供する。
本発明によれば、上記配線電極層の厚みと同等の厚みを有する平坦化層を有することから、上記電子ペーパー用背面電極基材の保護フィルム側の表面を平坦なものとすることが可能となる。よって、本発明の電子ペーパー用背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合は、電子ペーパーの表示媒体層にかかる圧力を均一なものとすることが可能となるため、上述した表示媒体層にかかる圧力の違いによる表示不良の発生を防止し、視認性に優れた情報表示を行うことが可能となる。
また、本発明によれば、配線電極層が配線電極用絶縁層および配線電極を備えた積層体であることから、配線電極層を強度に優れたものとすることができ、上記電子ペーパー用背面電極基材の製造時または使用時における配線電極の断線を抑制することが可能となる。
本発明においては、上記平坦化層が上記配線電極層と同一の材料からなるものであることが好ましい。配線電極層と平坦化層を同時に形成することができることから、本発明の電子ペーパー用背面電極基材の製造工程を簡便なものとすることが可能となる。よって、本発明の電子ペーパー用背面電極基材を生産性に優れたものとすることができる。
本発明は、表示電極用絶縁層、および上記表示電極用絶縁層上に形成された表示電極を有し、表示情報に対応するパターン形状を有する表示電極層と、上記表示電極層の上記表示電極上に配置され、絶縁性を有する電極支持層と、上記電極支持層上に導電性ペーストを用いて形成され、所定の厚みを有し、かつ上記表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極導電層と、上記電極支持層上の、上記配線電極導電層が形成されている配線電極導電層形成領域以外の領域に形成され、かつ上記配線電極導電層の厚みと同等の厚みを有する平坦化層と、上記配線電極導電層および上記平坦化層上に配置された保護フィルムとを有することを特徴とする電子ペーパー用背面電極基材を提供する。
本発明によれば、上記配線電極導電層の厚みと同等の厚みを有する平坦化層を有することから、上記電子ペーパー用背面電極基材の保護フィルム側の表面を平坦なものとすることが可能となる。よって、本発明の電子ペーパー用背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合は、電子ペーパーの表示媒体層にかかる圧力を均一なものとすることが可能となるため、上述した表示媒体層にかかる圧力の違いによる表示不良の発生を防止し、視認性に優れた情報表示を行うことが可能となる。
また、本発明によれば、配線電極導電層を電極支持層上に導電性ペーストを用いて直接描画することにより形成することが可能であることから、微細な加工が可能となり、表示電極層のパターン形状が複雑なものであっても、上記パターン形状に対応可能な配線電極導電層とすることが可能となる。よって、本発明の電子ペーパー用背面電極基材を用いた電子ペーパーを、高精細な情報を表示することが可能なものとすることができる。
本発明においては、上記平坦化層が上記配線電極導電層と同一の材料からなるものであることが好ましい。配線電極導電層と平坦化層とを同時に形成することが可能となることから、本発明の電子ペーパー用背面電極基材を生産性に優れたものとすることができる。
本発明においては、上記表示電極層が配置されている表示電極層配置領域以外の領域に配置され、上記表示電極層の厚みと同等の厚みを有する表示電極層用平坦化層を有することが好ましい。本発明における表示電極層はパターン形状を有するものであることから、表示電極層用平坦化層を配置することにより、本発明の電子ペーパー用背面電極基材の保護フィルム側の表面をより平坦なものとすることが可能となる。これにより、本発明の電子ペーパー用背面電極基材を用いた電子ペーパーを、より視認性に優れた情報表示を行うことが可能なものとすることができる。
本発明は、上述した電子ペーパー用背面電極基材と、透明基材および透明電極層を有する対向電極基材と、上記電子ペーパー用背面電極基材および上記対向電極基材の間に配置され、表示媒体を含む表示媒体層とを有することを特徴とする電子ペーパーを提供する。
本発明によれば、上述した電子ペーパー用背面電極基材を有することから、表示不良の発生が抑制され、視認性の高い情報表示を行うことが可能な電子ペーパーとすることができる。
本発明においては、電子ペーパーに用いた際に、表示ムラを生じにくく、良好な情報表示特性を得ることが可能な電子ペーパー用背面電極基材を得ることが可能となるといった効果を奏する。
本発明の電子ペーパー用背面電極基材の一例を示す概略図である。 本発明の電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。 本発明の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の電子ペーパー用背面電極基材に用いられる配線電極層のパターン形状の一例を示すパターン図である。 本発明の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の電子ペーパー用背面電極基材の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の電子ペーパー用背面電極基材の一例を示す概略図である。 本発明の電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。 本発明の電子ペーパーの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略図である。 従来の電子ペーパー用背面電極基材の一例を示す概略図である。 従来の電子ペーパー用背面電極基材の他の例を示す概略図である。
以下、本発明の電子ペーパー用背面電極基材、および電子ペーパーについて説明する。
A.電子ペーパー用背面電極基材
まず、本発明の電子ペーパー用背面電極基材(以下、単に背面電極基材と称して説明する場合がある。)について説明する。
本発明の背面電極基材は、上述したように、電子ペーパーに用いた際、背面電極基材の保護フィルム側の表面(以下、単に「背面電極基材の表面」と称して説明する場合がある。)の凹凸によって、表示媒体層に加わる圧力が部分的に変化してしまうことに起因する表示不良を防止するためになされたものであり、背面電極基材の表面に平坦性を付与することが可能な構成を有することを特徴とするものである。
また、本発明の背面電極基材は、その構成により2つの態様に大別される。以下、各態様について説明する。
I.第1態様
まず、本発明の背面電極基材の第1態様について説明する。
本態様の背面電極基材は、表示電極用絶縁層、および上記表示電極用絶縁層上に形成された表示電極を備え、表示情報に対応するパターン形状を有する表示電極層と、上記表示電極層の上記表示電極上に配置された配線電極用絶縁層、および上記配線電極用絶縁層上に形成された配線電極を備え、上記表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極層と、上記表示電極層の上記表示電極上の、上記配線電極層が配置されている配線電極層配置領域以外の領域に配置され、上記配線電極層の厚みと同等の厚みを有する平坦化層と、上記配線電極層の上記配線電極および平坦化層上に配置された保護フィルムとを有することを特徴とするものである。
ここで、本態様の背面電極基材について図を用いて説明する。
図1(a)は本態様の背面電極基材の一例を示す模式図であり、背面電極基材の各層の配置を示す図である。また、図1(b)は図1(a)のA−A線における断面を示す概略断面図である。
図1(a)、(b)に示すように、本態様の背面電極基材10は、表示電極用絶縁層1α、および表示電極用絶縁層1α上に形成された表示電極1βを備え、表示情報に対応するパターン形状を有する表示電極層1と、表示電極層1の表示電極1β上に配置された配線電極用絶縁層2α、および配線電極用絶縁層2α上に形成された配線電極2βを備え、表示電極1βに電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極層2と、表示電極層1の表示電極1β上の、配線電極層2が配置されている配線電極層配置領域x以外の領域に配置され、配線電極層2の厚みと同等の厚みを有する平坦化層3と、配線電極層2の配線電極2βおよび平坦化層3上に配置された保護フィルム4とを有することを特徴とするものである。
また本態様においては、図1(a)に示すように、通常、表示電極層1の表示電極1βと配線電極層2の配線電極2βとが、導電性ペーストを含む導電接続層5を用いて接続される。なお、図1(a)においては、表示電極層1の表示電極1βと配線電極層2の配線電極2βとが、表示電極1β直上に位置する配線電極層2に設けられたビアホールVを介して、導電性ペーストを含む導電接続層5を用いて接続されている例について示している。
本態様によれば、上記配線電極層の厚みと同等の厚みを有する平坦化層を有することから、上記背面電極基材の保護フィルム側の表面を平坦なものとすることが可能となる。よって、本態様の背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合は、電子ペーパーの表示媒体層にかかる圧力を均一なものとすることが可能となるため、上述した表示媒体層にかかる圧力の違いによる表示不良の発生を防止し、視認性に優れた情報表示を行うことが可能となる。
また、本態様によれば、配線電極層が配線電極用絶縁層および配線電極を備えた積層体であることから、配線電極層を強度に優れたものとすることができ、上記背面電極基材の製造時または使用時における配線電極の断線を抑制することが可能となる。
以下、本態様の背面電極基材の詳細について説明する。
1.背面電極基材の構成
まず、本態様の背面電極基材の構成について説明する。
(1)平坦化層
本態様における平坦化層は、上記表示電極層の上記表示電極上の、上記配線電極層が配置されている配線電極層配置領域以外の領域に配置されるものであり、配線電極層の厚みと同等の厚みを有するものである。
なお、本態様において「平坦化層が、配線電極層の厚みと同等の厚みを有する」とは、配線電極層の配線電極および平坦化層上に保護フィルムを配置して背面電極基材とした際に、背面電極基材の表面に平坦性を付与することが可能となる程度に、平坦化層が、配線電極層の厚みと同等の厚みを有することを指す。
また、「背面電極基材の表面の平坦性」とは、本態様の背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合に、表示媒体層に加わる圧力の違いに起因する表示不良の発生を防止することが可能となる程度に背面電極基材の表面が平坦であることを指す。
(i)平坦化層の構造
本態様における平坦化層の構造について説明する。
本態様における平坦化層および配線電極層の膜厚差としては、背面電極基材の表面に上述した平坦性を付与することが可能となる程度に平坦化層の厚みと配線電極層の厚みとを同等とすることが可能であれば特に限定されず、上記配線電極層および平坦化層上に配置される保護フィルムの厚み等に応じて適宜調整することが可能である。
より具体的に、平坦化層および配線電極層の膜厚差としては、±30μm以下、好ましくは±20μmの範囲内、より好ましく±10μmの範囲内であることが好ましい。上記膜厚差が上記範囲を超える場合は、保護フィルムの厚み等によらず背面電極基材の表面に所望の平坦性を付与することが困難となる可能性があるからである。
なお、具体的な平坦化層の厚みについては、後述する配線電極層の厚みと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記平坦化層のパターン形状としては、配線電極層配置領域以外の領域に配置することが可能であり、かつ背面電極基材の表面に所望の平坦性を付与することが可能であれば特に限定されない。
本態様においては、なかでも、図2に示すように、本態様の背面電極基材10を電子ペーパー100に用いた場合に、少なくとも表示媒体層30が配置される表示媒体層配置領域yであって、かつ配線電極層配置領域xを除いた全領域に、平坦化層3を配置することが可能なパターン形状であることが好ましい。
また、この場合は、平坦化層3のパターン形状としては、図2に示すように、配線電極層配置領域xを除く表示媒体層配置領域yの全領域に平坦化層3を配置可能なパターン形状であってもよく、図1(a)等に示すように、配線電極層配置領域xを除く保護フィルム4の全領域に平坦化層3を配置可能なパターン形状であってもよい。
なお、図2は、本態様の背面電極基材を用いた電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。なお、図2における背面電極基材10については、図1(a)、(b)で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。また、図2については、後述する「B.電子ペーパー」の項で説明するため、ここでの説明は省略する。
本態様においては、平坦化層が上述のパターン形状を有することにより、表示媒体層上に配置される背面電極基材表面の平坦性をより高いものとすることが可能となることから、上記背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合、上述した表示不良の発生を好適に防止することが可能となり、より視認性に優れた情報表示を行うことが可能となるからである。
なお、「配線電極層配置領域を除く表示媒体層配置領域または保護フィルムの全領域に平坦化層を配置する」とは、配線電極層に接するように平坦化層を上述した領域に配置する場合だけではなく、平坦化層が配線電極層と接しないように、配線電極層の周囲に所定の間隔を設けて、平坦化層を上述した領域に配置する場合を含む概念である。
具体的な平坦化層のパターン形状については、背面電極基材の用途等に応じて適宜選択される。
(ii)平坦化層の材料
本態様における平坦化層としては、所望の厚みおよびパターン形状を有することが可能であれば特に限定されず、導電性材料からなる層であってもよく、絶縁性材料からなる層であってもよく、導電性材料からなる層および絶縁性材料からなる層の積層体であってもよい。
なお、平坦化層に用いられる絶縁性材料、導電性材料については、配線電極層における配線電極用絶縁層の材料、配線電極の材料と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本態様においては、なかでも図3に示すように、平坦化層3が配線電極層2の材料と同一の材料からなるもの、すなわち配線電極用絶縁層2αに用いられる絶縁性材料層および配線電極2βに用いられる導電性材料層の積層体であることが好ましい。
なお、図3は、本態様の背面電極基材の他の例を示す概略断面図であり、説明していない符号については、図1(b)等と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
ここで、本態様における配線電極層の形成方法としては、後述するように、配線電極用絶縁層および配線電極を有する配線電極層用基板や金属基材を所望の形状にカッティングすることにより形成する方法を好適に用いることができることから、平坦化層を配線電極層の材料と同一の材料からなるものとした場合は、配線電極層が切り出された残りの配線電極層用基板や金属基材を平坦化層として用いることができる。よって、平坦化層を配線電極層と同時に形成することが可能となることから、背面電極基材の製造工程を簡便な工程とすることができる。また、配線電極層のパターン形状に沿って好適に平坦化層を配置することが可能となるからである。
(iii)平坦化層の形成方法
平坦化層の形成方法については、所望の厚み、およびパターン形状を有する平坦化層を形成することが可能な方法であれば特に限定されない。本態様においては、なかでも、後述する配線電極層と同時に形成されることが好ましい。具体的な形成方法については、後述する配線電極層の形成方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(2)配線電極層
本態様における配線電極層は、上記表示電極層の上記表示電極上に配置された配線電極用絶縁層、および上記配線電極用絶縁層上に形成された配線電極を備え、上記表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有するものである。
(i)配線電極層の構造
本態様における配線電極層は、上述した平坦化層と同等の厚みを有するものである。
上記配線電極層の厚みとしては、表示電極層の表示電極上に配置することができ、かつ表示電極層に所望の電荷を付与することが可能な厚みであれば特に限定されない。
配線電極層のパターン形状としては、表示電極層の表示電極に所望の電荷を付与することが可能な形状であれば特に限定されず、背面電極基材の用途等に応じて適宜選択することができる。このような配線電極層のパターン形状としては、通常、図1(a)に示すように、線状のパターン形状が好適に用いられる。
配線電極層のパターン形状が線状である場合、配線電極層の線幅としては、表示電極層の表示電極に所望の電荷を付与することが可能な形状であれば特に限定されないが、1.0mm〜30.0mmの範囲内、なかでも3.0mm〜20.0mmの範囲内、特に、5.0mm〜10.0mmの範囲内であることが好ましい。上記線幅が上記範囲に満たない場合は、配線電極層自体を形成することが困難となる場合や、配線電極層の強度を十分なものとすることが困難であることから、配線電極基材や電子ペーパーの製造時や使用時に、配線電極に断線を生じる可能性があるからである。また、上記線幅が上記範囲を超える場合は、背面電極基材を小型化したり、表示電極層のパターン形状を複雑化することが困難となる場合があるからである。
また、本態様における配線電極層のパターン形状としては、配線電極層がビアホールを有する形状とすることも好ましい。
後述するように、本態様における表示電極層の表示電極と配線電極層の配線電極との接続方法としては、主として導電性ペーストを含む導電接続層を用いる方法が用いられる。本態様においては、表示電極および配線電極の接続安定性の観点から、表示電極層の表示電極直上に上記ビアホールを有する配線電極層を配置し、上記ビアホールを介して上記表示電極および配線電極を導電接続層を用いて接続させることが好ましい。よって、配線電極層のパターン形状としては、上述したように配線電極層がビアホールを有する形状とすることが好ましいのである。
上記ビアホールを有する場合、ビアホールが形成されている部分における配線電極層2のパターン形状としては、図4(a)に示すように、ビアホールVが形成されている部分とその他の部分とが同一の形状を有していてもよく、図4(b)に示すように、ビアホールVが形成されている部分がビアホールVの形状に沿ったパターン形状を有していてもよい。
本態様においては、なかでも、図4(b)に示すように、ビアホールVが形成されている部分がビアホールVの形状に沿ったパターン形状を有することが好ましい。このようなパターン形状とすることにより、ビアホールが形成されていない部分における配線電極層の線幅については小さくすることが可能となるため、本態様の背面電極基材を用いた電子ペーパーを小型化する場合や、本態様の背面電極基材に用いられる表示電極層のパターン形状が微細な場合においても、好適に配線電極層を配置することが可能となるからである。
なお、図4(a)、(b)は本態様の背面電極基材に用いられる配線電極層のパターン形状の例を示すパターン図であり、説明していない符号については、図1(a)等と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本態様におけるビアホールの平面視上の形状としては、表示電極上および配線電極上に導電接続層を配置することが可能な形状であれば特に限定されず、円形状、楕円形状、四角形状、多角形状等、およびこれらを組み合わせた形状等を挙げることができる。
上記ビアホールの大きさとしては、上述した表示電極直上に位置する配線電極層の任意の位置に形成することができ、かつ表示電極および配線電極が接続可能となるように導電接続層を配置することが可能な大きさであれば特に限定されず、通常は、ビアホールが設けられる配線電極層の形状等に応じて適宜調整される。
具体的に、上記ビアホールの大きさとしては、0.5mm〜20.0mmの範囲内、なかでも1.0mm〜10.0mmの範囲内、特に2.0mm〜5.0mmの範囲内であることが好ましい。上記大きさが上記範囲を超える場合は、導電接続層に用いられる導電性ペースト等の材料が多量に必要となることから製造コストが高くなる場合があるからである。また、上記大きさが上記範囲に満たない場合は、導電接続層を用いて十分に表示電極および配線電極を接続させることが困難となる場合があるからである。
なお、「ビアホールの大きさ」とは、ビアホールの形状において、最も大きい幅を指す。
なお、ビアホールを有する部分の配線電極層の幅については、上述した配線電極層の線幅、およびビアホールの大きさ等に応じて、適宜調整することができる。なお、ビアホールを有する部分の配線電極層の幅とは、図4(a)、(b)において、Pで示される幅を指す。
(ii)配線電極層の構成
本態様における配線電極層は、配線電極用絶縁層および配線電極を有するものである。
このような配線電極層としては、配線電極用絶縁層として樹脂製基材を有し、かつ配線電極として導電層を有する態様(以下、Aの態様とする。)と、配線電極用絶縁層として絶縁性を有する粘着層を有し、かつ配線電極として金属基材を有する態様(以下、Bの態様とする。)とを挙げることができる。
以下、各態様について説明する。
(a)Aの態様
本態様の配線電極層は、配線電極用絶縁層として樹脂製基材を有し、かつ配線電極として導電層を有するものである。
(配線電極用絶縁層)
本態様における配線電極絶縁層としては、樹脂性基材が用いられる。
上記樹脂製基材としては、透明性を有するものであってもよく、透明性を有さないものであってもよい。
また、上記樹脂製基材としては、配線電極を支持することが可能であり、配線電極層を所望のパターン形状に加工することが可能であれば特に限定されず、フレキシブル性を有するものであってもよく、フレキシブル性を有さないものであってもよいが、フレキシブル性を有するものであることが好ましい。本態様の背面電極基材を用いた電子ペーパーを加工性に優れたものとすることが可能となるからである。
上記樹脂製基材としては、ヒートシール性を有するものであってもよく、ヒートシール性を有さないものであってもよい。上記樹脂製基材がヒートシール性を有するものである場合は、配線電極層を表示電極層の表示電極上に直接配置することが可能となる。なお、上記樹脂製基材がヒートシール性を有さない場合は、通常、後述する粘着層を介して配線電極層が表示電極層の表示電極上に配置されることとなる。
上記樹脂製基材に用いられる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、セルローストリアセテート(CTA)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリサルフォン(PSF)、ポリアミドイミド(PAI)等を挙げることができる。
上記樹脂製基材の厚みとしては、本態様における配線電極層が所望のパターン形状を有することが可能となる程度であれば、特に限定されるものではなく、本態様の背面電極基材の用途等に応じて適宜調整すればよい。具体的に、樹脂製基材の厚みは、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。樹脂製基材の厚みが薄すぎると、配線電極層の強度に問題があるおそれがあり、樹脂製基材の厚みが厚すぎると、本態様の背面電極基材が用いられた電子ペーパーを薄型化することが困難となるおそれがあるからである。
(配線電極)
本態様における配線電極としては、導電層が用いられる。また、上記導電層は上記配線電極用絶縁層上に形成されるものである。
上記配線電極に用いられる材料としては、導電性を有し、表示電極層の表示電極に所望の電荷を付与することが可能なものであれば特に限定されず、一般的な電極材料と同様とすることができる。このような材料の例としては、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Au、Ag、Pt、Mo−Ta合金、W−Mo合金、ITO、IZO等の無機材料、および、PEDOT/PSS等の導電性を有する有機材料を挙げることができる。
配線電極の厚みとしては、上述した配線電極用絶縁層上に形成することができ、表示電極層の表示電極に所望の電荷を付与することが可能な程度であれば特に限定されないが、15nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。配線電極の厚みが上記範囲に満たない場合は、配線電極を均一な厚みで形成することが困難であるからであり、配線電極の厚みが上記範囲を超える場合は、配線電極の成膜に用いられる時間や材料が多くなるため、製造コストが高くなるからである。
本態様に用いられる配線電極の形成方法としては、所望の厚みで配線電極を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。このような配線電極の形成方法としては、一般的な電極の成膜方法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法、導電ペーストを塗布する方法等が挙げられる。
(b)Bの態様
本態様の配線電極層は、配線電極用絶縁層として絶縁性を有する粘着層を有し、かつ配線電極として金属基材を有するものである。
(配線電極用絶縁層)
本態様における配線電極用絶縁層としては、絶縁性を有する粘着層が用いられる。
粘着層に用いられる粘着材としては、表示電極と配線電極との間を絶縁することができ、かつ表示電極層上に配線電極を十分に固定することが可能であれば特に限定されず、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等を挙げることができ、中でも、アクリル系樹脂が好ましい。
また、上記粘着層の膜厚としては、表示電極層上に配線電極を十分に固定することが可能であれば特に限定されず、具体的には、5μm〜50μmの範囲内で設定することができる。
粘着層の形成方法としては、一般的な塗布法を用いることができる。
(配線電極)
本態様における配線電極としては、金属基材が用いられる。
上記配線電極に用いられる金属材料としては、上述した「(a)Aの態様」に用いられる配線電極の金属材料と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、本態様における配線電極の厚みとしては、表示電極に所望の電荷を付与することが可能であれば特に限定されないが、5nm〜100,000nm(0.005μm〜100μm)の範囲内、なかでも10nm〜1,000nmの範囲内、特に15nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。上記配線電極の厚みが上記範囲に満たない場合は、配線電極の強度を十分なものとすることが困難であり、本態様の背面電極基材の製造時、または使用時に配線電極に断線を生じる可能性があるからである。また、上記配線電極の厚みが上記範囲を超える場合は、配線電極層を所望のパターン形状に加工することが困難となる場合があるからである。
(iii)配線電極層の形成方法
本態様における配線電極層の形成方法としては、上述したパターン形状を有するように配線電極層を形成することが可能な方法であれば特に限定されない。
本態様においては、例えば、配線電極層に用いられる樹脂製基材上全面に配線電極を形成した配線電極層用基板を準備し、配線電極層用基板を所望のパターン形状にカッティングすることにより配線電極層を形成する方法を好適に用いることができる。
また、金属基材を準備し、金属基材を所望のパターン形状にカッティングして配線電極を形成し、配線電極の一方の表面に粘着層からなる配線電極用絶縁層を形成することにより、配線電極層を形成することができる。
(3)表示電極層
本態様における表示電極層は、表示電極用絶縁層、および上記表示電極用絶縁層上に形成された表示電極を備え、表示情報に応じたパターン形状を有するものである。
なお、上記表示電極層は、通常、表示電極用絶縁層上全面に表示電極が形成されているものである。
なお、本態様において「表示電極層が表示情報に応じたパターン形状を有する」とは、表示電極層が、本態様の背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合に、電子ペーパーに所望の情報を表示することが可能となるようなパターン形状を有することを指す。
また、上記表示電極層のパターン形状としては、1つの表示電極層を用いて1つの情報を表示することが可能となるようなパターン形状であってもよく、複数の表示電極層を用いて1つの情報を表示することが可能となるようなパターン形状であってもよい。
このような表示電極層のパターン形状としては、本態様の背面電極基材を用いた電子ペーパーの用途等に応じて適宜選択されるものであり、具体的には、文字、数字、符号、標章や、人物、動物、植物、食物、道具、乗物、建物、風景等の絵柄等の表示情報に応じたパターン形状を挙げることができる。
本態様における表示電極層は、表示電極用絶縁層および表示電極を有するものである。このような表示電極用絶縁層および表示電極の材料、厚み等については、上述した配線電極層に用いられる配線電極用絶縁層および配線電極の材料、厚み等と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本態様における表示電極層の形成方法としては、所望のパターン形状を有する表示電極層を形成することが可能であれば特に限定されず、上述した配線電極層の形成方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(4)保護フィルム
本態様における保護フィルムは、配線電極層の配線電極上に配置されるものである。
上記保護フィルムとしては、本態様の背面電極基材に用いられる層を保護することが可能であれば特に限定されないが、ラミネート加工が可能なフィルムであることが好ましい。
上記保護フィルムがラミネート加工が可能なフィルムであることにより、配線電極上に容易に保護フィルムを配置することが可能となるからである。
また、上述したように、表面に凹凸を有する背面電極基材に保護フィルムをラミネート加工により配置した場合は、その表面にかかる圧力に差を生じやすいものとなる。よって、保護フィルムとしてラミネート加工が可能なフィルムを用いた場合は、本態様における平坦化層を設けることによる効果を大きく発揮することが可能となるからである。
また、上記保護フィルムとしては、単層のフィルム材料からなるものであってもよいし、複数層のフィルム材料が積層されたものを用いてもよい。
本態様における保護フィルムとしては、なかでも、ラミネート加工可能なベースフィルム材料とシーラントフィルム材料が積層されたものを用いることが好ましい。
具体的には、ラミネート加工可能なベースフィルム材料としては、ラミネート加工時の加熱圧着による耐熱性の観点からポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
また、シーラントフィルム材料としては無延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。また、ポリウレタン、ポリアクリル、エポキシ樹脂、シリコーン等の熱シール性のある材料からなる塗膜等を用いることも可能である。
なお、保護フィルムを配線電極上に配置する場合は、ベースフィルム材料とシーラントフィルム材料とのうち、シーラントフィルム材料側が対向するように配置されて接着される。
また、上記保護フィルムの厚みとしては、本態様の背面電極基材に用いられる各層を保護することが可能となる程度の膜厚であれば特に限定されないが、10μm〜300μmの範囲内、なかでも15μm〜100μmの範囲内、特に25μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記厚みが上記範囲に満たない場合は、本態様の背面電極基材を用いた電子ペーパーの使用時に保護フィルムが破断する可能性があるからであり、上記厚みが上記範囲を超える場合は、本態様の背面電極基材を用いた電子ペーパーを薄型化することが困難となる可能性があるからである。
(5)接続方法
本態様においては、表示電極層の表示電極と配線電極の配線電極とは、通常、導電性ペーストを含む導電接続層を用いて接続されるものである。
本態様に用いられる接続方法としては、配線電極を用いて表示電極に所望の電荷を付与することが可能となるように、両電極を導電接続層を用いて接続することが可能な方法であれば特に限定されない。本態様においては、なかでも、表示電極層の表示電極と、上記表示電極直上に配置された配線電極層の配線電極とを導電接続層を用いて接続する方法が好ましい。上述した方法を用いることにより、導電接続層に用いられる導電性ペーストを多量に用いなくてもよくなることから、製造コストを削減することが可能となり、また容易に両電極を接続させることができるからである。
なお、本態様において「配線電極層の配線電極が表示電極層の表示電極直上に配置されている」とは、本態様の背面電極基材を配線電極層側から平面視で観察した場合に、配線電極層の配線電極の少なくとも一部が表示電極層の表示電極が配置されている領域に含まれ、表示電極および配線電極を線状のパターンを含まない導電接続層で接続可能な位置に配線電極が配置されていることを指し、上記の配置関係となるように、表面電極層の表面電極上に配線電極層が直接配置されている場合だけではなく、他の層を介して配置されている場合を含む概念である。
また、本態様においては、特に、図1(a)、図5等に示すように、表示電極層1の表示電極1β直上に位置する配線電極層2にビアホールVを設け、ビアホールVを介して表示電極1β上よび配線電極2βを導電接続層5を用いて接続させる方法であることが好ましい。ビアホールを介さない場合に比べて、表示電極および配線電極を安定的に配置させることができるからである。
なお、図5は図1(a)のB−B線における断面を示す断面図であり、説明していない符号については図1(a)、(b)と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明において、「ビアホールが表示電極直上に位置する配線電極層に形成される」とは、ビアホールを介して各電極上に導電接続層を配置することができ、かつ配置された導電接続層を用いて表示電極および配線電極を接続させることが可能な配線電極層の位置にビアホールが形成されていることを指す。具体的には、本発明の背面電極基材を配線電極層側から平面視で観察した場合に、表示電極層が配置されている領域に完全に含まれて配置されている配線電極層にビアホールが形成されている場合だけではなく、表示電極層が配置されている領域の一部に配置されている配線電極層にビアホールが形成されている場合を含む。
以下、ビアホールを用いた接続方法における導電接続層について説明する。
上記配線電極層上に配置された導電接続層の厚み(以下、単に導電接続層の厚みと称して説明する場合がある。)としては、配線電極層の配線電極と表示電極層の表示電極とを接続させることが可能な程度の厚みであれば特に限定されないが、10μm〜300μmの範囲内、なかでも20μm〜200μmの範囲内、特に50μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。導電接続層の厚みが上記範囲に満たない場合は、配線電極層上の導電接続層の強度が十分ではないことから、本態様の背面電極基材が用いられた電子ペーパーの使用時に導電接続層に亀裂を生じ、配線電極に断線を生じる可能性があるからである。上記範囲を超える場合は、導電接続層の材料が多く必要となることから、製造コストが高くなる可能性があるからである。また、背面電極基材の保護フィルム側表面の凹凸が大きくなることから、本態様の背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合に、表示媒体層にかかる圧力の違いに起因する表示不良が生じる可能性があるからである。
上記導電接続層に用いられる上記導電性ペーストとしては、導電性を有し、上記ビアホールを介して各電極に導電性層を配置することにより、各電極を接続させることができるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、導電性高分子化合物や、樹脂材料に導電性を有する無機材料を分散させたもの等を用いることができる。
上記導電性ペーストが導電性高分子化合物である場合、上記導電性高分子化合物としては、具体的には、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニル等を用いることができる。
また、上記導電性ペーストが、樹脂材料に導電性を有する無機材料を分散させたものである場合は、上記導電性を有する無機材料としては、カーボン、Ag、Cu、Al等を挙げることができ、本態様においては、導電率の点でAg、Cu等を用いることがより好ましい。
また、上記樹脂材料としては、具体的には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる。
上記導電接続層の形成方法としては、ビアホールを介して各電極上に導電接続層を配置することができるような方法であれば特に限定されず、一般的な塗布法等を用いて形成することができる。
(6)その他の構成
本態様の背面電極基材は、上述した各構成を有することが可能であれば特に限定されるものではなく、他にも必要な構成を適宜選択して追加することができる。
以下、このような構成について説明する。
(i)表示電極層用平坦化層
本態様の背面電極基材は、図6(a)、(b)に示すように、表示電極層用平坦化層6を有していることが好ましい。表示電極層用平坦化層6は、表示電極層1が配置されている表示電極層配置領域z以外の領域に配置され、表示電極層1の厚みと同等の厚みを有するものである。
なお、「表示電極層用平坦化層の厚みが表示電極層の厚みと同等である」ことについては、上述した「平坦化層の厚みが配線電極層の厚みと同等である」ことと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、図6(a)、(b)は、本態様の背面電極基材の他の例を示す概略断面図であり、説明していない符号については、図1(a)、(b)等と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本態様においては、表示電極層もパターン形状を有するものであることから、表示電極層の有無により、背面電極基材の保護フィルム側表面に凹凸を生じる場合が考えられる。一方、表示電極層用平坦化層を有する場合は、本態様の背面電極基材をより平坦性に優れたものとすることができ、電子ペーパーに用いられた場合に、表示ムラの発生を防止して、視認性に優れた情報表示を行うことが可能となる。
上記表示電極層用平坦化層および表示電極層の厚みの差としては、背面電極基材の表面に所望の平坦性を付与することが可能となる程度であれば特に限定されない。具体的に、上記表示電極層用平坦化層および表示電極層の厚みの差については、上述した平坦化層および背面電極層の厚みの差の絶対値と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記表示電極層用平坦化層の厚みについては、上述した表示電極層の厚みと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記表示電極層用平坦化層のパターン形状としては、表示電極層配置領域以外の領域に配置することが可能であり、かつ背面電極基材の表面に所望の平坦性を付与することが可能であれば特に限定されない。
本態様においては、なかでも、本態様の背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合に、背面電極基材において表示媒体層が配置される表示媒体層配置領域であって、かつ表示電極層配置領域を除いた全領域に、表示電極層用平坦化層を配置することが可能なパターン形状であることが好ましい。
表示媒体層上に配置される背面電極基材表面の平坦性をより高いものとすることが可能となることから、上記背面電極基材を用いた電子ペーパーにおいては、表示媒体層に加わる圧力を均一なものとすることが可能となり、表示ムラ等を生じることなく、視認性に優れた情報表示を行うことが可能となるからである。
また、この場合は図示はしないが、表示電極層配置領域を除く表示媒体層配置領域の全領域に配置可能なパターン形状であってもよく、表示電極層配置領域を除く保護フィルムの全領域に配置可能なパターン形状であってもよい。
なお、「表示電極層用平坦化層が表示電極層配置領域を除く表示媒体層配置領域または保護フィルムの全領域に配置される」ことについては、上述した平坦化層の項で説明した配置と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
具体的な表示電極層用平坦化層のパターン形状については、背面電極基材の用途等に応じて適宜選択される。
また、本態様における表示電極層用平坦化層としては、所望の厚みおよびパターン形状を有することが可能であれば特に限定されず、金属層等の導電性材料からなる層であってもよく、樹脂製基材等の絶縁性材料からなる層であってもよく、導電性材料からなる層および絶縁性材料からなる層の積層体であってもよい。
なお、表示電極層用平坦化層に用いられる絶縁性材料、導電性材料については、表示電極層の表示電極用絶縁層に用いられる絶縁性材料、表示電極に用いられる導電性材料と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本態様においては、図6(b)に示すように、表示電極層用平坦化層6が表示電極層1の材料と同一の材料からなるもの、すなわち表示電極用絶縁層1αに用いられる絶縁性材料層および表示電極1βに用いられる導電性材料層の積層体であることが好ましい。
ここで、本態様における表示電極層は、通常、上述した積層体を所望の形状にカッティングすることにより形成されるものであることから、表示電極層用平坦化層を表示電極層の材料と同一の材料からなるものとした場合は、表示電極層が切り出された残りの積層体を表示電極層用平坦化層として用いることができる。よって、表示電極層用平坦化層を表示電極層と同時に形成することが可能となることから、背面電極基材の製造工程を簡便な工程とすることができる。また、表示電極層のパターン形状に沿って好適に表示電極層用平坦化層を配置することが可能となるからである。
表示電極層用平坦化層の形成方法については、上述した表示電極層の形成方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(ii)配線電極用スペーサ層
本態様においては、図7(a)に示すように、配線電極層2がビアホールVを有し、かつビアホールVを介して表示電極層1の表示電極1βおよび配線電極層2の配線電極2βが接続導電層5を用いて接続されている場合は、さらに、配線電極用スペーサ層7を有することが好ましい。
本態様における配線電極用スペーサ層7は、図7(a)に示すように、配線電極層2と保護フィルム4との間に配置され、絶縁性を有するものである。また、配線電極用スペーサ層7は、ビアホールV直上に配線電極用ビアホールVを有するものである。さらに、配線電極用スペーサ層7は、その厚みtが、図7(b)、(c)に示すように、配線電極用ビアホールVの端部に形成された導電接続層5の厚みsと同一、または図7(d)に示すように、導電接続層5の厚みsよりも大きいものである。なお、「配線電極用スペーサ層の厚みが、配線電極用ビアホールの端部に形成された導電接続層の厚みと同一である」とは、図7(b)に示すように、配線電極用ビアホールVの端部に形成された導電接続層5の厚みsと、配線電極層2表面から配線電極用ビアホールの中央部分に形成された導電接続層5の表面までの厚みs’とが同等の場合だけではなく、図7(c)に示すように、上述の厚みs’が上述の厚みsよりも小さい場合も含む概念である。
また、図示はしないが、配線電極用スペーサ層は、通常、保護フィルムと同様の形状を有するものである。
なお、図7(a)は、本態様の背面電極基材の他の例を示す概略断面図であり、図7(b)〜(d)は図7(a)のC部分の拡大図であり、配線電極用スペーサ層および導電接続層の厚みの関係を示す図である。
本態様においては、上記配線電極用スペーサ層を有することにより、配線電極層および保護フィルムの間に空隙を有さない、すなわち、背面電極基材の保護フィルム側の表面を平坦なものとすることが可能となる。よって、本態様の背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合は、電子ペーパーの表示媒体層にかかる圧力を均一なものとすることが可能となるため、上述した表示媒体層にかかる圧力の違いによる表示不良の発生を防止し、視認性に優れた情報表示を行うことが可能となる。
なお、「配線電極用スペーサ層の厚みが、配線電極用ビアホールの端部に形成された導電接続層の厚みと同一である」とは、上記配線電極用スペーサ層と上記配線電極用ビアホール内に形成されている導電接続層との厚みの差が、±30μm以下、好ましくは±20μmの範囲内、より好ましくは±10μmの範囲内であることを指す。
一方、「配線電極用スペーサ層の厚みが、配線電極用ビアホールの端部に形成された導電接続層の厚みよりも大きい」とは、上記配線電極用スペーサ層と上記配線電極用ビアホール内に形成されている導電接続層との厚みの差が、本態様の背面電極用基材を用いた電子ペーパーに表示不良が発生させない程度であれば特に限定されるものではない。
具体的には、上記配線電極用スペーサ層と上記配線電極用ビアホール内に形成されている導電接続層との厚みの差が、50μm以下、なかでも30μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記厚みの差が上記範囲を超える場合は、本態様の背面電極基材を用いた電子ペーパーに表示不良が発生する可能性があるからである。
上記配線電極用スペーサ層の厚みとしては、上述した導電接続層の厚みとの関係が上述した関係となり、本態様の背面電極基材の保護フィルム側表面の凹凸を小さいものとすることが可能であれば特に限定されないが、具体的には、10μm〜300μmの範囲内、なかでも20μm〜200μmの範囲内、特に50μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。上記厚みが上記範囲に満たない場合は、配線電極用スペーサ層を配置した場合であっても、本態様の背面電極基材の保護フィルム側表面の表面凹凸を十分に小さいものとすることが困難である可能性があるからである。また、上記厚みが上記範囲を超える場合は、本態様の背面電極基材を用いた電子ペーパーを薄型化することが困難となる可能性があるからである。
また、配線電極用スペーサ層に設けられる配線電極用ビアホールの大きさとしては、配線電極用ビアホールを介して、下層の位置するビアホール内に導電接続層を配置することが可能となる程度の大きさであれば特に限定されないが、ビアホールの大きさよりも大きいことが好ましい。配線電極用ビアホールの大きさをビアホールの大きさよりも大きくすることにより、配線電極用スペーサ層を配線電極層上に配置する際の位置合わせを容易に行うことが可能となることから、背面電極基材の製造工程を簡便な工程とすることが可能となる。
このような配線電極用ビアホールの大きさについては、具体的には、ビアホールの大きさを考慮して適宜決定される。
配線電極用スペーサ層に用いられる材料としては、絶縁性を有し、配線電極層および保護フィルムの間に配置することが可能であり、かつ上記配線電極用ビアホールを形成することが可能な材料であれば特に限定されない。通常は、樹脂製基材が用いられる。
なお、配線電極用スペーサ層に用いられる樹脂製基材については、上述した配線電極用絶縁層に用いられる樹脂製基材と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、本態様において、図8に示すように、配線電極用スペーサ層7の配線電極用ビアホールVが形成されている部分において、導電接続層5と保護フィルム4との間に空隙を有する場合は、導電接続層5および保護フィルム4の間に充填層7’を配置してもよい。充填層7’を有することにより、本態様の背面電極基材10の保護フィルム4側の表面をより平坦性の高いものとすることが可能となることから、本態様の背面電極基材10を電子ペーパーに用いた場合により良好な情報表示を行うことが可能となるからである。
上記充填層に用いられる材料としては、配線電極用スペーサ層の表面の凹凸がより少なくなるように、配線電極用ビアホール内に配置することが可能なものであれば特に限定されないが、なかでも接着剤であることが好ましい。配線電極用スペーサ層の表面段差を小さくするとともに、保護フィルムを固定することが可能となり、背面電極基材を扱いやすいものとすることが可能となるからである。
上記充填層に用いられる接着剤としては、公知のものとすることができる。
(iii)表示電極用スペーサ層
本態様においては、図9に示すように、表示電極層1と配線電極層2との間に配置された絶縁性を有する表示電極用スペーサ層8を有していることが好ましい。また、表示電極用スペーサ層8は、配線電極層2がビアホールVを有する場合、ビアホールV直下に表示電極用ビアホールVを有するものである。
ここで、配線電極層に用いられる配線電極用絶縁層の厚みが薄い場合においては、本態様の背面電極基材を電子ペーパーに用いた際に、配線電極の電荷が表示媒体層の表示媒体に影響し、電子ペーパーを用いて所望の情報表示を行うことが困難となることが懸念される。また、配線電極用絶縁層の厚みを表示媒体に電荷の影響を与えない程度に厚くした場合は、配線電極層を上述のカッティング処理を施す方法を用いて形成することが困難となる可能性がある。
そこで、本態様においては、表示電極用スペーサ層を設けることにより、上述した配線電極の表示媒体層への影響を十分に阻害することができるとともに、所望の形状を有する配線電極層を所望の形状で形成することが可能となる。
表示電極用スペーサ層の形状としては、表示電極層の表示電極上に配置することができ、かつ表示電極用スペーサ層上に配線電極層の配置することが可能な形状であれば特に限定されない。このような表示電極用スペーサ層の形状としては、例えば、配線電極層のパターン形状と同様のパターン形状であってもよく、保護フィルムと同様の形状を有していてもよい。
表示電極用スペーサ層の厚みとしては、本態様の背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合に、配線電極層の配線電極の電荷が表示媒体層の表示媒体に影響しない程度の厚みであれば特に限定されないが、10μm〜200μmの範囲内、なかでも10μm〜100μmの範囲内、特に10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。表示電極用スペーサ層の厚みが上記範囲に満たない場合は、表示電極用スペーサ層を配置した場合であっても、配線電極層の配線電極の電荷の影響を十分に阻害することが困難となる可能性があるからである。また、上記厚みが上記範囲を超える場合は、表示電極用スペーサ層を所望のパターン形状に形成することが困難となる可能性があるからである。また、本態様の背面電極基材を用いた電子ペーパーを薄型化することが困難になる可能性があるからである。
また、表示電極用スペーサ層に形成される表示電極用ビアホールの大きさとしては、表示電極用ビアホールを介して導電接続層を配置することにより、表示電極層の表示電極と配線電極層の配線電極とを接続させることが可能となる程度の大きさであれば特に限定されないが、表示電極用ビアホールの大きさがビアホールの大きさよりも小さいことが好ましい。これにより、表示電極用スペーサ層および配線電極層の位置合わせを容易に行うことが可能となるため、本態様の背面電極基材の製造工程を簡便な工程とすることが可能となるからである。
なお、具体的な表示電極用ビアホールの大きさについては、通常、配線電極層に形成されるビアホールの大きさに応じて適宜選択される。
上記表示電極用スペーサ層に用いられる材料としては、絶縁性を有し、配線電極層の配線電極の電荷の影響を十分に阻害することができる材料であれば特に限定されない。通常は、上述した配線電極用絶縁層に用いられる樹脂製基材と同様とすることができる。
(iv)粘着層
本態様においては、図10に示すように、本態様の背面電極基材10に用いられる各層は粘着層9を介して接着されていてもよい。粘着層を用いた場合は、本態様の背面電極基材の各層間の密着性を高いものとすることが可能となり、その結果、本態様の背面電極基材の強度を高いものとすることができるからである。また、背面電極基材を製造する際に、簡便に各層間を貼り合せることが可能となるからである。
また、図10に示すように、表面電極層1の表面電極用絶縁層1α側の表面に粘着層9が形成されていてもよい。これにより、本態様の背面電極用基材を電子ペーパーの表示媒体層に容易に配置することが可能となるからである。
粘着層に用いられる粘着材、粘着層の厚み、およびその形成方法については、上述した「(2)配線電極層」の項で説明したBの態様の配線電極層において配線電極用絶縁層に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(v)剥離層
本態様において、図10に示すように、表示電極層1の表示電極用絶縁層1α側に粘着層9が形成されている場合は、剥離層9’を有することが好ましい。上記剥離層を有することにより、本態様の背面電極基材を取り扱い易いものとすることができる。
このような剥離層としては、上記粘着層から容易に剥離することができ、粘着層に欠損部分を生じさせないものとすることが可能であれば特に限定されず、公知のものとすることができる。
2.背面電極基材の製造方法
本態様の背面電極基材の製造方法としては、上述した各構成を有する背面電極基材を製造することが可能な方法であれば特に限定されない。
例えば、このような背面電極基材の製造方法としては、表示電極用絶縁層、および上記表示電極用絶縁層上に形成された表示電極を備え、表示情報に対応するパターン形状を有する表示電極層を形成する表示電極層形成工程と、配線電極用絶縁層および配線電極を備え、表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極層を形成し、上記配線電極層を表示電極層の表示電極上に配置する配線電極層形成工程と、上記配線電極層と同等の厚みを有し、上記平坦化層用基板を配線電極層が配置されている配線電極層配置領域以外の領域に配置可能なパターン形状を有する平坦化層を形成し、上記平坦化層を表示電極層の表示電極上に配置する平坦化層形成工程と、上記配線電極層の配線電極および平坦化層上に保護フィルムを配置する保護フィルム配置工程とを有する製造方法を挙げることができる。
ここで、上記背面電極基材の製造方法について図を用いて説明する。図11(a)〜(g)は、上記背面電極基材の製造方法の一例を示す工程図である。上記背面電極基材10の製造方法は、表示電極用絶縁層1α、および表示電極用絶縁層1α上に形成された表示電極1βを備えた表示電極層用基板1’を準備し、表示電極基材用基板1’を表示情報に対応するパターン形状にカッティングして表示電極層1を形成する表示電極層形成工程(図11(a)、(b))と、配線電極用絶縁層2αおよび配線電極2βを備えた配線電極層用基板2’を準備し、表示電極1βに電荷を付与することが可能なパターン形状にカッティングして配線電極層2を形成し、得られた配線電極層2を表示電極層1の表示電極1β上に配置する配線電極層形成工程(図11(c)、(d))と、配線電極層2と同等の厚みを有する平坦化層用基板3’を準備し、平坦化層用基板3’を配線電極層2が配置されている配線電極層配置領域以外の領域に配置可能なパターン形状にカッティングして平坦化層3を形成し、得られた平坦化層3を表示電極層1の表示電極1β上に配置する平坦化層形成工程(図11(e)、(f))と、配線電極層2の配線電極2βおよび平坦化層3上に保護フィルム4を配置する保護フィルム配置工程(図11(g))とを有する製造方法である。
なお、図示はしないが、上述した表示電極層形成工程、配線電極層形成工程、または平坦化層形成工程において形成される各層が、金属基材および粘着層から構成されるものである場合は、金属基材を所望のパターン形状にカッティングした後、粘着層を形成することにより各層を形成してもよい。
上記背面電極基材の製造方法における各工程での、各構成の材料、形成方法等については、上述した「1.背面電極層の構成」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、上記背面電極基材の製造方法は、上述した工程以外にも必要な工程を適宜選択して追加することができる。このような工程としては、例えば上述した任意の構成を形成して配置する工程を挙げることができる。
II.第2態様
次に、本発明の背面電極基材の第2態様について説明する。
本態様の背面電極基材は、表示電極用絶縁層、および上記表示電極用絶縁層上に形成された表示電極を有し、表示情報に対応するパターン形状を有する表示電極層と、上記表示電極層の上記表示電極上に配置され、絶縁性を有する電極支持層と、上記電極支持層上に導電性ペーストを用いて形成され、所定の厚みを有し、かつ上記表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極導電層と、上記電極支持層上の、上記配線電極導電層が形成されている配線電極導電層形成領域以外の領域に形成され、かつ上記配線電極導電層の厚みと同等の厚みを有する平坦化層と、上記配線電極導電層および上記平坦化層上に配置された保護フィルムとを有することを特徴とするものである。
ここで、本態様の背面電極基材について図を用いて説明する。
図12(a)は本態様の背面電極基材の一例を示す模式図であり、背面電極基材の各層の配置を示す図である。また、図12(b)は図12(a)のD−D線における断面を示す概略断面図である。
図12(a)、(b)に示すように、本態様の背面電極基材10は、表示電極用絶縁層1α、および表示電極用絶縁層1α上に形成された表示電極1βを備え、表示情報に対応するパターン形状を有する表示電極層1と、表示電極層1の表示電極1β上に配置され、絶縁性を有する電極支持層2γと、電極支持層2γ上に導電性ペーストを用いて形成され、所定の厚みを有し、かつ表示電極1βに電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極導電層2δと、電極支持層2γ上の、配線電極導電層2δが形成されている配線電極導電層形成領域x’以外の領域に形成され、かつ配線電極導電層2δの厚みと同等の厚みを有する平坦化層3と、配線電極導電層2δおよび平坦化層3上に配置された保護フィルム4を有することを特徴とするものである。
本態様によれば、上記配線電極導電層の厚みと同等の厚みを有する平坦化層を有することから、上記背面電極基材の保護フィルム側の表面を平坦なものとすることが可能となる。よって、本態様の背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合は、電子ペーパーの表示媒体層にかかる圧力を均一なものとすることが可能となるため、上述した表示媒体層にかかる圧力の違いによる表示不良の発生を防止し、視認性に優れた情報表示を行うことが可能となる。
また、本態様によれば、配線電極導電層を電極支持層上に導電性ペーストを用いて直接描画することにより形成することが可能であることから、表示電極層のパターン形状が複雑なものであっても、上記パターン形状に対応するように配線電極導電層を配置することが可能となる。よって、本態様の背面電極基材を用いた電子ペーパーを、高精細な情報を表示することが可能なものとすることができる。
以下、本態様の背面電極基材の詳細について説明する。
1.背面電極基材の構成
以下、本態様の背面電極基材の構成について説明する。
なお、本態様における表示電極層、および保護フィルムについては、上述した「I.第1態様」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(1)平坦化層
本態様における平坦化層は、上記配線電極導電層が形成されている配線電極導電層形成領域以外の領域に形成されるものであり、上記配線電極導電層の厚みと同等の厚みを有するものである。
なお、本態様において「平坦化層が配線電極導電層の厚みと同等の厚みを有する」ことについては、上述した「I.第1態様」の項で説明した「平坦化層が配線電極層の厚みと同等の厚みを有する」ことと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(i)平坦化層の構造
本態様における平坦化層の構造について説明する。
本態様における平坦化層および配線電極導電層の膜厚差については、本態様の背面電極基材の表面に所望の平坦性を付与することが可能な程度であれば特に限定されず、上述した「I.第1態様」の項で説明した平坦化層および配線電極層の膜厚差と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、上記平坦化層の具体的な厚みについては、後述する配線電極導電層の厚みと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記平坦化層のパターン形状としては、配線電極導電層形成領域以外の領域に配置することが可能であり、かつ背面電極基材の表面に所望の平坦性を付与することが可能であれば特に限定されない。
本態様においては、図13に示すように、本態様の背面電極基材10を電子ペーパー100に用いた場合に、少なくとも表示媒体層30が配置される表示媒体層配置領域yであって、かつ配線電極導電層形成領域x’を除いた全領域に、平坦化層3を配置することが可能なパターン形状であることが好ましい。
また、この場合は、平坦化層3のパターン形状としては、図13に示すように、配線電極導電層形成領域x’を除く表示媒体層配置領域yの全領域に配置可能なパターン形状であってもよく、図12(a)等に示すように、配線電極導電層形成領域x’を除く保護フィルム4の全領域に配置可能なパターン形状であってもよい。
表示媒体層上に配置される背面電極基材表面の平坦性をより高いものとすることが可能となることから、上記背面電極基材を用いた電子ペーパーにおいては、表示媒体層に加わる圧力を均一なものとすることが可能となり、表示ムラ等を生じることなく、視認性に優れた情報表示を行うことが可能となるからである。
なお、「平坦化層を配線電極導電層を除く表示媒体層配置領域または保護フィルムの全領域に配置する」とは、配線電極導電層に接するように平坦化層を上述した領域に配置する場合だけではなく、平坦化層が配線電極導電層と接しないように、配線電極導電層の周囲に所定の間隔を設けて、平坦化層を上述した領域に配置する場合を含む概念である。
具体的な平坦化層のパターン形状については、背面電極基材の用途等に応じ適宜選択される。
(ii)平坦化層の材料
本態様における平坦化層としては、所望の厚みおよびパターン形状を有することが可能であれば特に限定されず、導電性ペーストや、金属層等の導電性材料からなる層であってもよく、樹脂層等の絶縁性材料からなる層であってもよい。
本態様においては、平坦化層が配線電極導電層の材料と同一の材料からなるもの、すなわち導電性ペーストであることが好ましい。
配線電極導電層と平坦化層とを同時に形成することが可能となることから、本発明の背面電極基材を生産性に優れたものとすることができる。
(iii)平坦化層の形成方法
平坦化層の形成方法については、所望の厚みおよびパターン形状を有する平坦化層を形成することが可能な方法であれば特に限定されない。本態様においては、例えば、配線電極層形成領域以外の領域に、導電性ペーストを用いて所望のパターン形状を有する平坦化層を印刷することによって形成する方法と好適に用いることができる。なお、平坦化層の印刷方法については、一般的な印刷法と同様とすることができる。
(2)配線電極導電層
本態様に用いられる配線電極導電層は、上記電極支持層上に導電性ペーストを用いて形成されるものであり、所定の厚みを有し、かつ上記表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有するものである。
上記配線電極導電層の厚みとしては、表示電極層の表示電極上に導電性ペーストを用いて形成することができ、かつ表示電極層に所望の電荷を付与することが可能な厚みであれば特に限定されないが、5nm〜100,000nm(0.005μm〜100μm)の範囲内、なかでも10nm〜10,000nmの範囲内、特に15nm〜2,000nmの範囲内であることが好ましい。上記厚みが上記範囲に満たない場合は、表示電極に所望の電荷を付与することが困難となる可能性があるからである。
また、上記厚みが上記範囲を超える場合は、本態様の背面電極基材を用いた電子ペーパーを薄型化することが困難となる可能性があるからである。また、配線電極層に割れが生じやすくなる可能性があるからである。
配線電極導電層のパターン形状としては、表示電極層の表示電極に所望の電荷を付与することが可能な形状であれば特に限定されず、背面電極基材の用途等に応じて適宜選択することができる。このような配線電極層のパターン形状としては、通常、図12(a)に示すように、線状のパターン形状が好適に用いられる。
配線電極導電層のパターン形状が線状である場合、配線電極導電層の線幅については、「I.第1態様」の項で説明した配線電極層の線幅と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
ここで、本態様においては、通常、後述する電極支持層に設けられた電極支持層用ビアホールを介して、配線電極導電層を表示電極層の表示電極上に直接形成することにより、両電極が接続される。よって、配線電極導電層は、電極支持層用ビアホールを介して表示電極層の表示電極と配線電極導電層とを接続可能なパターン形状を有するものである。なお、表示電極層の表示電極と配線電極導電層との接続部分における配線電極導電層のパターン形状については、電極支持層用ビアホールの形状等により適宜選択することができる。
本態様の配線電極導電層に用いられる導電性ペーストについては、上述した「I.第1態様」の項で記載した導電接続層に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本態様の配線電極層の形成方法としては、導電性ペーストを用いて所望の厚み、およびパターン形状を有する配線電極層を電極支持層上に形成することが可能な方法であれば特に限定されず、例えば一般的な印刷法を用いて形成することができる。具体的には、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷法等を挙げることができる。
(3)電極支持層
本態様における電極支持層は、上記表示電極層の上記表示電極上に配置されるものであり、絶縁性を有するものである。
また、本態様における電極支持層は、通常、表示電極層の表示電極および配線電極導電層を接続させるための電極支持層用ビアホールを有するものである。また、上記電極支持層は、通常、本態様の背面電極基材を電子ペーパーに用いた場合に、表示媒体層全面に連続的に配置されるものである。
電極支持層の厚み、材料等については、上述した「I.第1態様」の項で説明した配線電極用絶縁層に用いられる樹脂製基材と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、電極支持層用ビアホールについては、上述した「I.第1態様」の項で説明した配線電極層におけるビアホールと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(4)その他の構成
本態様の背面電極基材としては、上述した各構成を有するものであれば特に限定されず、必要に応じて上記以外の構成を追加することができる。このような構成としては、例えば、表示電極層用平坦化層、表示電極用スペーサ層、粘着層、剥離層等を挙げることができる。なお、これらの構成については、上述した「I.第1態様」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.背面電極基材の製造方法
本態様の背面電極基材の製造方法としては、上述した各構成を有する背面電極基材を製造することが可能な方法であれば特に限定されない。
このような背面電極基材の製造方法としては、例えば、表示電極用絶縁層、および上記表示電極用絶縁層上に形成された表示電極を有し、表示情報に対応するパターン形状を有する表示電極層を形成する表示電極形成工程と、絶縁性を有する電極支持層を上記表示電極層の上記表示電極上に配置する電極支持層配置工程と、上記電極支持層上に所定の厚みを有し、かつ上記表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極導電層を導電性ペーストを用いて形成する配線電極導電層形成工程と、上記電極支持層上の、上記配線電極導電層が形成されている配線電極導電層形成領域以外の領域に、上記配線電極導電層の厚みと同等の厚みを有する平坦化層を形成する平坦化層形成工程と、上記配線電極導電層および上記平坦化層上保護フィルムを配置する保護フィルム配置工程とを有する製造方法を挙げることができる。
ここで、上記背面電極基材の製造方法について図を用いて説明する。図14(a)〜(f)は、上記背面電極基材の製造方法の一例を示す工程図である。上記背面電極基材10の製造方法は、表示電極用絶縁層1α、および表示電極用絶縁層1α上に形成された表示電極1βを備えた表示電極層用基板1’を準備し、表示電極基材用基板1’を表示情報に対応するパターン形状にカッティングすることにより、表示電極層1を形成する表示電極層形成工程(図14(a)、(b))と、絶縁性を有する電極支持層2γを表示電極層1の表示電極1β上に配置する電極支持層配置工程(図14(c))と、電極支持層2γ上に所定の厚みを有し、かつ表示電極2βに電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極導電層2δを導電性ペーストを用いて形成する配線電極導電層形成工程(図14(d))と、電極支持層2γ上の、配線電極導電層2δが形成されている配線電極導電層形成領域以外の領域に、配線電極導電層2δの厚みと同等の厚みを有する平坦化層3を形成する平坦化層形成工程(図14(e))と、配線電極導電層2δおよび平坦化層3上に保護フィルム4を配置する保護フィルム配置工程(図14(f))とを有する製造方法である。
なお、図示はしないが、上述した表示電極層形成工程において形成される表示電極層が、金属基材および粘着層から構成されるものである場合は、金属基材を所望のパターン形状にカッティングした後、粘着層を形成することにより表示電極層を形成してもよい。
上記背面電極基材の製造方法における各工程での、各構成の材料、形成方法等については、上述した「1.背面電極基材の構成」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、上記背面電極基材の製造方法は、上述した工程以外にも必要な工程を適宜選択して追加することができる。このような工程としては、例えば上述した任意の構成を形成または配置する工程を挙げることができる。
III.用途
本発明の背面電極基材は、種々の表示媒体層を有する電子ペーパーに用いることができる。本発明においては、なかでも、表示媒体としてツイストボールを用いた表示媒体層を有する電子ペーパーに用いることが好ましい。表示媒体としてツイストボールを有する表示媒体層は、背面電極基材の保護フィルム側表面の凹凸に起因する表示不良が発生しやすいことから、本発明の背面電極基材の効果を高く発揮することが可能となるからである。
B.電子ペーパー
次に、本発明の電子ペーパーについて説明する。
本発明の電子ペーパーは、上述した「A.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明した背面電極基材と、透明基材および上記透明基材上に形成された透明電極を有する対向電極基材と、上記背面電極基材と上記対向電極基材との間に配置され、表示媒体を含む表示媒体層とを有することを特徴とするものである。
ここで、本発明の電子ペーパーについて図を用いて説明する。
図2および図13は、本発明の電子ペーパーの一例を示す概略断面図である。図2および図13に示すように、本発明の電子ペーパー100は、背面電極基材10と、透明基材21および透明電極22を有する対向電極基材20と、背面電極基材10と対向電極基材20との間に配置され、表示媒体31を含む表示媒体層30とを有するものである。ここで、背面電極基材10については、図1(a)、(b)および図11(a)、(b)で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、図2および図13においては、表示媒体層30は、ツイストボール31と低極性溶媒層32とを有するものである。また、本発明においては表示媒体層用基材33を有していてもよい。
本発明によれば、上述した背面電極基材を有することから、表示不良の発生が抑制され、視認性の高い情報表示を行うことが可能な電子ペーパーとすることができる。
以下、本発明の電子ペーパーの各構成について説明する。
1.背面電極基材
本発明における背面電極基材については、上述した「A.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.対向電極基材
本発明における対向電極基材は、透明基材と、上記透明基材上に形成された透明電極を有するものである。
(1)透明基材
まず、上記対向電極基材に用いられる透明基材について説明する。
本発明における対向電極基材に用いられる透明基材としては、所望の透明性を有するものであれば特に限定されるものではなく、一般的な電子ペーパーに用いられている透明基材と同様のものを用いることができる。中でも、本発明に用いられる透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が上記範囲であることにより、本発明の電子ペーパーの表示輝度が低下すること等を防止することができるからである。
ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明に用いられる透明基材は、ガラス基板等のフレキシブル性を有さない透明な基材であってもよく、あるいは、樹脂製フィルム等のフレキシブル性を有する透明な基材であってもよい。
中でも、本発明においては、フレキシブルを有する透明な基材を用いることが好ましい。フレキシブルを有する透明な基材を用いることにより、本発明の電子ペーパーにフレキシブル性を付与することが可能となり、加工性を向上させることが可能となるからである。上記樹脂製フィルム基材に用いられる樹脂については、上述した「A.電子ペーパー用背面電極基材」の項で説明した配線電極用絶縁層に用いられる樹脂製基材のものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、本発明においては、フレキシブル性を有する薄板ガラスを透明基材として用いてもよい。このような薄板ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等を用いることができ、中でも、無アルカリガラスが好ましい。
本発明に用いられる透明基材の厚みとしては、特に限定されるものではなく、本発明の電子ペーパーの用途等に応じて適宜調整すればよい。具体的に、透明基材の厚みは、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。透明基材の厚みが薄すぎると、強度に問題があるおそれがあり、透明基材の厚みが厚すぎると、本発明の電子ペーパーを薄型化することが困難となるおそれがあるからである。
(2)透明電極
次に、上記対向電極基材に用いられる透明電極について説明する。
本発明に用いられる透明電極の材料としては、透明電極を形成することができる導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)等の導電性酸化物、Au、Ni等の金属、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等を用いることができ、中でも、ITOが好適に用いられる。
本発明に用いられる透明電極の厚みとしては、透明電極として機能することができれば特に限定されるものではないが、15nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。透明電極の厚みが上記範囲に満たない場合は、透明電極を均一な厚みで形成することが困難であるからであり、透明電極の厚みが上記範囲を超える場合は、透明電極の成膜に用いられる時間や材料が多くなるため、製造コストが高くなるからである。
本発明に用いられる透明電極の形成方法としては、所望の厚みで透明電極を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。このような透明電極の形成方法としては、一般的な電極の成膜方法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法、導電ペーストを塗布する方法等が挙げられる。また、上記透明電極は、下地となる層または基材の表面上に全面に形成されていてもよく、下地となる層または基材の表面上にパターン状に形成されていてもよい。
(3)その他の構成
本発明における対向電極基材は、上述した透明電極、および透明基材を有するものであれば特に限定されず、必要な構成を適宜選択して追加することができる。
以下、このような構成としては例えば補助電極を挙げることができる。
ここで、補助電極とは、導電性材料を用いてメッシュ状に形成された電極であり、透明電極に積層させて形成されるものである。上記補助電極を透明電極とともに用いることで、上記対向電極基材の導電性を向上させることが可能となる。
なお、補助電極については、一般的な電子ペーパーの対向電極基材に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
3.表示媒体層
次に、表示媒体層について説明する。
上記表示媒体層は、背面電極基材と、対向電極基材との間に配置されるものである。
本発明に用いられる表示媒体層は、本発明の電子ペーパーの表示方式に応じて適宜選択されるものである。
電子ペーパーの表示方式としては、公知のものを適用することができ、例えば、電気泳動方式、ツイストボール方式、粉体移動方式(電子粉流体方式、帯電トナー型方式)、液晶表示方式、サーマル方式(発色方式、光散乱方式)、エレクトロクロミック方式、エレクトロウェッティング方式、磁気泳動方式などが挙げられる。本発明においては、中でも、ツイストボール方式が好適に用いられる。表示媒体としてツイストボールを有する表示媒体層は、背面電極基材の保護フィルム側表面の凹凸に起因する表示不良が発生しやすいことから、上述した背面電極基材の効果を高く発揮することが可能となるからである。
なお、ツイストボール方式は、表示電極層の表示電極および対向電極基材の透明電極の間に駆動電圧を印加して生じた電界により、異なる帯電特性を有する2色相球状粒子(ツイストボール)を2色相のいずれか1色の相がツイストボール型電子ペーパーの表示面側に向くように回転させることで情報を表示する方式である。
以下、本発明の電子ペーパーがツイストボール方式の電子ペーパーである場合の表示媒体層について説明する。
ツイストボール方式の電子ペーパーに用いられる表示媒体層は、通常、2色相のツイストボール、および低極性溶媒を含む低極性溶媒層を備えるものである。
(1)ツイストボール
本発明に用いられるツイストボールは、異なる帯電特性を有する2色相を有するものである。また、本発明における電子ペーパーにおいて表示媒体として働くものである。
本発明に用いられるツイストボールとしては、球状であり、有色彩相/白色相あるいは有色彩相/有色彩層の異なる2色相を有し、異なる2色相が互いに異なる帯電特性を有するものであれば特に限定されるものではない。
このようなツイストボールとしては、例えば、特開2004−197083号公報で提案されているマイクロチャンネル製造方法で製造されるツイストボールと同様とすることができる。
ここで、マイクロチャンネル製造方法は、着色連続相と球状粒子化相とが互いにO/W型又はW/O型の関係にあるものを用い、着色連続相が移送される第1マイクロチャンネルから、第2マイクロチャンネルに流れる流動媒体の球状粒子化相内に、2色の着色連続相を順次吐出させることにより、2色相球状ポリマー粒子で、かつ、電荷的に(±)の極性を有する帯電特性球状粒子であるツイストボールを製造する製造方法である。
上記マイクロチャンネル製造方法においては、重合性樹脂成分を含有する油性又は水性の流動性媒体中に、この媒体に不溶性の着色染顔料を含有する2色に分相させた着色連続相中の重合性樹脂成分を、互いに異なる正負に帯電する重合性モノマーで形成させて、第1マイクロチャンネルに移送させ、次いで、この着色連続相を、第2マイクロチャンネル内を流れる水性又は油性の球状粒子化相中に、連続又は間欠的に順次吐出させる。次いで、球状粒子化相中に吐出させた吐出物は、マイクロチャンネル内での一連の吐出・分散・移送中に球状粒子化されながら、球状粒子化相中に順次球状物化されるので、この球状化粒子中の重合性樹脂成分をUV照射下及び/又は加熱下に重合硬化させることによりツイストボールが適宜調製される。
上記着色連続相は、2色相に分相されている連続色相であって、例えば、黒色/白色、赤色/白色、黄色/白色、青色/白色、緑色/白色、紫色/白色等の何れかの「有彩色相/白色相」から選ばれる何れかの2色の分相色相、あるいは有色彩相/有色彩相の異なる2色の分相色相を挙げることができる。このような色相を形成させる着色剤としては、後述する重合性樹脂成分を含有する流動性分散媒体に不溶性又は均一に分散されるのであれば特に限定することなく、適宜選んで用いられる。上記着色剤としては、染料および顔料を用いることができる。
このような染料および顔料としては、例えば、特開2004−197083号公報に記載されたものを用いることができるので、ここでの記載は省略する。
これら着色剤としての染顔料の添加量は、特に限定されるものではなく、また、その着色粒子の用途等によっても所望される色調が異なり、また、上述する着色連続相中での分散性等から、本発明においては、着色連続相中の重合硬化成分である全重合性樹脂成分100重量部当たり、0.1重量部〜80重量部で、好ましくは2重量部〜10重量部の範囲で適宜好適に添加することができる。
上記ツイストボールに用いられる重合性樹脂成分又は重合性モノマーとしては、ツイストボールに用いられる重合性モノマーの官能基又は置換基の種類によって、上記ツイストボールの帯電性が、それぞれ(−)帯電性と(+)帯電性を示す傾向にあるモノマー種を挙げることができる。従って、少なくとも2種以上の複数種のモノマーを本発明における重合性樹脂成分として使用する場合には、その(+)及び(−)帯電性を示す傾向を周知のうえで、好ましくは、同種帯電性の傾向にあるモノマー同士を複数組み合わせて適宜好適に使用することもできる。
一方、少なくとも1種の官能基及び/又は置換基を分子内に有する重合性樹脂成分又は重合性モノマーにおいて、その官能基又は置換基としては、例えば、カルボニル基,ビニル基,フェニル基,アミノ基,アミド基,イミド基,ヒドロキシル基,ハロゲン基,スルホン酸基,エポキシ基及びウレタン結合等を挙げることができる。本発明においては、このような重合性モノマーにおける官能基又は置換基を有するモノマー種の単独又は2種以上の複数種を組み合わせて適宜好適に使用することができる。
(−)帯電性の傾向にある重合性モノマーおよび(+)帯電性の傾向にある重合性モノマーとしては、例えば、特開2004−197083号公報に記載されたものを用いることができるので、ここでの記載は省略する。
本発明において、既に上述した第2マイクロチャンネルに着色連続相として吐出された後の重合性樹脂成分の重合時におけるこのような重合性モノマーを他の共重合モノマーに組み合わせて使用する場合には、着色樹脂微粒子に託される所望する帯電性又は電気泳動性にもよるが、重量基準で表して、帯電性の傾向にあるモノマーが、好ましくは全モノマー中1%〜100%の範囲で、更に好ましくは5%〜100%で、特に好ましくは10%〜100%の範囲にある重合性モノマーとの共重合体粒子であれば適宜好適に使用されて、所望するツイストボールを提供することができる。
また、上記ツイストボールは、球状の単分散粒子で、その平均粒子径が体積基準で表して1.0μm〜400μmの範囲内で、好ましくは、20μm〜200μmの範囲内で、更に好ましくは50μm〜120μmの範囲内に適宜調製することができる。また、その平均粒子径のバラツキが著しく低い均斉な粒子を適宜調製される。本発明においては、その均斉度をCv値で表して、20%以下、好ましくは、5%以下、更に好ましくは3%以下の単分散粒子のツイストボールとして適宜好適に用いられる。
(2)低極性溶媒層
本発明における低極性溶媒層は、ツイストボールとともに表示媒体層を構成するものである。
本発明に用いられる低極性溶媒層は、低極性溶媒を含むものであれば特に限定されるものではない。上記低極性溶媒層としては、通常、低極性溶媒と、上記低極性溶媒を膨潤させる、エラストマー材料からなるエラストマーシートとから構成されるものである。
以下、上記低極性溶媒層に用いられる低極性溶媒、およびエラストマーシートについてそれぞれ説明する。
(i)低極性溶媒
本発明に用いられる低極性溶媒は、上述したツイストボールの回転が円滑となるようにするために用いられるものである。また、通常は後述するエラストマーシートを膨潤させて用いられるものである。
このような低極性溶媒としては、上記ツイストボールの回転を妨げることなく、円滑に回転させることができるものであれば特に限定されるものではない。このような低極性溶媒としては、ジメチルシリコーンオイル、イソパラフィン系溶媒、および直鎖パラフィン系溶媒、ドデカン、トリデカン等の直鎖アルカンを挙げることができる。
(ii)エラストマーシート
本発明に用いられるエラストマーシートは、上記低極性溶媒で膨潤させることができるエラストマー材料からなるものである。また、上記エラストマーシートは、上記ツイストボールが分散されたシート状部材であり、これに上記低極性溶媒で膨潤させることによって用いられるものである。
このようなエラストマーシートに用いられる材料としては、上記ツイストボールを分散可能であり、かつ、上記低極性溶媒で膨潤することが可能であれば特に限定されるものではない。
このようなエラストマーシートの材料としては、シリコーン樹脂、微架橋したアクリル樹脂、微架橋したスチレン樹脂、およびポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。
また、上記エラストマーシートの膜厚としては、本発明における電子ペーパーがエラストマーシート中に分散されたツイストボールによって情報表示を行うことが可能であれば特に限定されるものではないが、50μm〜1000μmの範囲内、なかでも100μm〜700μmの範囲内、特に200μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。上記エラストマーシートの膜厚が上記範囲に満たない場合は、上記ツイストボールが均一に分散されたエラストマーシートとすることが困難であるからであり、上記エラストマーシートの膜厚が上記範囲を超える場合は、ツイストボールの回転を妨げるおそれがあるからである。
(3)その他の部材
また、本発明における表示媒体層は、上記ツイストボールと、上記低極性溶媒層とを有するものであれば特に限定されず、他にも必要な部材を追加することができる。
以下、このような部材について説明する。
(i)表示媒体層用基材
本発明においては、図2および図13に示すように、表示媒体層30を支持するための表示媒体層用基材33を有していてもよい。なお、図2および図13においては、表示媒体層用基材33は表示媒体層30の背面電極基材10および対向電極基材20側の両方に配置される例について示しているが、図示はしないが、背面電極基材側または対向電極基材側のいずか一方にのみ配置されていてもよい。
表示媒体層用基材33を有することにより表示媒体層30の強度を向上させることができるため、電子ペーパー100の耐久性を向上させることができる。
また、上記表示媒体層用基材を有することにより、表示媒体層を背面電極基材や対向電極基材と別個の部材として扱うことが可能となる。そのため、本発明における電子ペーパーがセグメント用電子ペーパーである場合は、背面電極基材を取り換えることにより、異なる情報を表示することが可能となることから、表示媒体層を再利用することが可能となる。
表示媒体層用基材については、上述した透明基材の項で説明したものと同様のものを用いることができる。
また、図2および図13に示すように、表示媒体層用基材33としては、ラミネート加工が可能な基材であることが好ましい。表示媒体層用基材を用いて表示媒体層を密封することが可能となるからである。ラミネート加工が可能な基材については、上述した「A.電子ペーパー用背面電極基材」の保護フィルムの項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、表示媒体層用基材がラミネート加工が可能な材料からならない場合は、通常、後述するシール剤を用いて表示媒体層が密封される。
(ii)シール剤
シール剤は表示媒体層を密封する際に用いられるものであり、通常、表示媒体層に隣接する基材の端部に配置されるものである。
このようなシール剤については、表示媒体層中の低極性溶媒の漏れ等を防止することができるように表示媒体層に隣接する基材とともに表示媒体層を密封することが可能であれば特に限定されない。具体的には、一般的な電子ペーパーに用いられるシール剤と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、「表示媒体層に隣接する基材」とは、ツイストボールの背面電極基材側表面および対向電極側表面に配置される基材を指し、具体的には、保護フィルム、透明基材、表示媒体層用基材のいずれかを指す。
(4)表示媒体層
本発明に用いられる表示媒体層の膜厚としては、本発明における電子ペーパーにおいてツイストボールを回転させることにより情報表示を行うことが可能であれば特に限定されるものではないが、50μm〜1000μmの範囲内、なかでも100μm〜700μmの範囲内、特に200μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。上記表示媒体層の膜厚が上記範囲に満たない場合は、上記ツイストボールおよび各基材間の距離が小さいことから、ツイストボールが所望する方向へ回転するのが困難である可能性があるからであり、上記表示媒体層の膜厚が上記範囲を超える場合は、上記表示電極および対向電極間に電界を印加したとしても、上記ツイストボールおよび各基材間の距離が大きすぎることにより、本発明における電子ペーパーにおいて、ツイストボールを用いて情報表示を行うことが困難であるからである。
また、本発明に用いられる表示媒体層の密封方法としては、表示媒体層から低極性溶媒の液漏れ等が発生しないように密封することが可能な方法であれば特に限定されず、例えば表示媒体層に隣接する基材の端部にシール剤を配置することによって密封する方法や、隣接する基材にラミネート加工が可能な材料からなる基材を用い、ラミネート加工することにより密封する方法を挙げることができる。
本発明においては、ラミネート加工により表示媒体層を密封することが好ましい。シール剤を用いた密封方法に比べて、より好適に表示媒体層からの低極性溶媒の液漏れ等を防止することが可能となり、また、表示領域についても広範囲なものとすることが可能となる。
4.その他の構成
本発明の電子ペーパーは上述した背面電極基材、対向電極基材、および表示媒体層を有するものであれば特に限定されず、必要な構成を適宜選択して追加することができる。
このような構成としては、例えば本発明の電子ペーパーを用いてカラー表示を行うことを可能とするカラーフィルタ層、電子ペーパーの表面に反射防止機能、低反射機能、防眩機能、のぞき見防止機能等の光学的機能を付与することが可能な光学機能層、電子ペーパー表面の傷および汚れを防止する表面保護機能を付与することが可能な表面保護層、電子ペーパーの画面に触れることにより情報の入力が可能な利便性を付与するタッチパネル層等を挙げることができる。
なお、通常、これらの構成は、電子ペーパーの表示面側、すなわち対向電極基材側に設けられる。また、これらの構成についてはいずれも公知の構成と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
5.用途
本発明の電子ペーパーの用途としては、デジタル機器のディスプレイ、電子ブック、デジタル・サイネージ(電子看板)等に用いられる。
6.電子ペーパーの製造方法
本発明における電子ペーパーの製造方法としては、上記構成を有する電子ペーパーを製造することが可能な方法であれば特に限定されず、一般的な電子ペーパーの製造方法と同様とすることができる。
このような電子ペーパーの製造方法としては、例えば背面電極基材を形成する背面電極基材形成工程と、透明電極基材上に透明電極を有する対向電極基材を準備する対向電極基材準備工程と、表示媒体を有する表示媒体層を準備する表示媒体層準備工程と、上記背面電極基材と上記対向電極基材との間に表示媒体層を配置することにより、電子ペーパーを形成する配置工程とを有する製造方法を挙げることができる。
上述した電子ペーパーの製造方法について図を用いて説明する。図15(a)〜(d)は、上記電子ペーパーの製造方法の一例を示す工程図である。
このような電子ペーパーの製造方法としては、例えば上述した図11(a)〜(g)の各工程を経て、図11(g)に示すような背面電極基材10を形成する背面電極基材形成工程と、透明基材21、および透明基材21上に形成された透明電極22を有する対向電極基材20を準備する対向電極基材準備工程(図15(a))と、ツイストボール31および低極性溶媒層32を有する表示媒体層30を準備する表示媒体層準備工程(図15(b))と、背面電極基材10と対向電極基材20との間に表示媒体層30を配置することにより、電子ペーパー100を形成する配置工程(図15(c)、(d))とを有する製造方法を挙げることができる。
また、配置工程においては、図15(c)、(d)に示すように、背面電極基材10の表示電極層用絶縁層1α側に表示媒体層用基材33を配置し、対向電極基材20の透明基材21側に表示媒体層用基材33を配置し、各々の表示媒体層用基材33との間に表示媒体層30を配置して、表示媒体層用基材33にラミネート加工を施すことにより、電子ペーパー100を形成する。
なお、上述の電子ペーパーの製造方法において、背面電極基材形成工程における表示電極層形成工程、配線電極層形成工程、接続工程、および保護フィルム配置工程に用いられる各構成の材料、形成方法、および上述の各工程において形成される表示電極層、配線電極層、および導電接続層等については、上述した「A.電子ペーパー用背面電極基材」の各構成の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、対向電極基材準備工程、および表示媒体層準備工程において準備される対向電極基材、および表示媒体層については、上述したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、配置工程における表示媒体層の配置方法は、背面電極基材および対向電極基材の間に表示媒体層を配置して電子ペーパーを形成することが可能な方法であれば特に限定されない。例えば、図15(c)、(d)に示すように、背面電極基材10の配線電極用絶縁層1α側および対向電極基材20の透明基材21側にそれぞれラミネート加工可能な表示媒体層用基材33を貼合し、各表示媒体層用基材33の間に表示媒体層30を配置した後、ラミネート処理を施す方法を挙げることができる。また、図示はしないが、予め一対の表示媒体層用基材間に表示媒体層を配置したのち、各表示媒体層用基材の表面に背面電極基材または対向電極基材を貼合する方法等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を挙げて説明する。
電極パターンデータに基づき、グラフテック社製カッティングマシーンCE5000-60を用いて東京フィルムサービス(株)製の粘着層付きAl蒸着PETフィルム(厚み12μm、剥離フィルム付)をカッティングした。この際、カッティングは粘着層までカッティングした。
各電極エリア間のスペース部分にある不要なAl蒸着PETフィルムを剥離フィルムから剥離し、表示電極層を作製した。
また、表示電極パターンに合わせたビアホールのパターンデータに基づき、カッティングマシーンを用いて、リンテック社製粘着層付PETフィルム(PET50 A PLシン 11BL、厚み50μm、剥離フィルム付)をカッティングしてビアホール部分のシートを除去し、第1表示電極用スペーサ層を形成した。表示電極層上面に第1表示電極用スペーサ層のビアホール位置をアライメントした後、第1表示電極用スペーサ層の剥離フィルムを剥がしてラミネートし、表示電極層および第1表示電極用スペーサ層を合わせた表示電極層側基板を作製した。
上述した表示電極用スペーサ層と同様にして、ビアパターンデータに基づき、粘着層付PETフィルム(PET50 A PLシン 11BL、厚み50μm)をカッティング、ビア部分のシートを除去し、第2表示電極用スペーサ層を形成した。上述した表示電極層側基板の第1表示電極用スペーサ層上に第2表示電極用スペーサ層をアライメントした後、第2表示電極用スペーサ層の剥離フィルムを剥がし、ラミネートした。
配線パターンデータに基づき、グラフテック社製カッティングマシーンCE5000-60を用いて東京フィルムサービス(株)製の粘着層付きAl蒸着PETフィルム(剥離フィルム付)をカッティングした。この際、カッティングは粘着層までカッティングした。各電極エリア間のスペース部分にある不要なAl蒸着PETフィルム(配線電極層および平坦化層に用いられないAl蒸着PETフィルム)を剥離フィルムから剥離した。この際、配線パターン以外のエリアにある電極としては使わないAl蒸着PETフィルムを剥離フィルムから剥離せずに残し、平坦化層とした。これにより、配線電極層および平坦化層を有する配線電極層側基板を得た。
また、配線パターンに合わせたビアホールパターンデータに基づき、カッティングマシーンを用いて、リンテック社製粘着層付PETフィルム(PET50 A PLシン 11BL、厚み50μm)をカッティングし、ビアホール部分のシートを除去し、配線電極用スペーサ層を形成した。上述した配線電極層側基板上面に配線電極用スペーサ層のビアホール位置をアライメントした後、配線電極用スペーサ層の剥離フィルムを剥がし、ラミネートした。
表示電極層用基板上面に配線電極層用基板のビアホール位置をアライメントした後、配線電極層の剥離フィルムを剥がし、表示電極層の表示電極上にラミネートし、背面電極基材を作製した。
上述した背面電極基材のビアホール位置に藤倉化成(株)社製の銀ペーストD550を塗布し、各表示電極と各配線電極を接続させる導電接続層を形成した。さらに、接続導電層上にハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製2液混合接着剤を塗布、硬化し、接続を補強した。
上述した背面電極基材の表示電極層の剥離フィルムを剥離し、パナック社製のPET/CPP基板(表示媒体層用基材)のPET面にラミネートした。
ITO−PETフィルム(東京中井商事製 メタフォース R-1T)と、粘着層(リンテック製 OPTERIA MO-3012C)とを準備し、ITO−PETフィルムのITO面に粘着層をラミネートした。粘着層の剥離フィルムを剥がし、パナック社製のPET/CPP基材(表示媒体層用基材)のPET面に粘着層をラミネートし、対向電極を作製した。
背面電極基材の表示媒体層用基材と対向電極基材の表示媒体層基材とを向かい合わせ、3辺にヒートシール加工を施し、袋を作製した。ツイストボール(TB)シート(綜研化学(株)製 ツイストボールシート(黒白))挿入後、最後の1辺にヒートシール加工を施して封止することにより、TB方式の表示パネルを作製した。
TB方式の表示パネルの背面電極基材側に保護層をラミネートした。
上記作製工程にて作製した背面電極基材は気泡混入およびしわ発生が認められなかった。また、作製したパネルの各電極に電圧印加したところ、各電極パターンに合わせて、TBシートの表示が切り替わることが確認でき、各電極への配線が断線していないことも確認した。また、表示ムラも観察されなかった。
1 …表示電極層
1α …表示電極用絶縁層
1β …表示電極
2 …配線電極層
2α …配線電極用絶縁層
2β …配線電極
2γ …電極支持層
2δ …配線電極導電層
3 …平坦化層
4 …保護フィルム
10 …背面電極基材
20 …対向電極基材
21 …透明基材
22 …透明電極
30 …表示媒体層
31 …表示媒体
100 …電子ペーパー

Claims (4)

  1. 表示電極用絶縁層、および前記表示電極用絶縁層上に形成された表示電極を備え、表示情報に対応するパターン形状を有する表示電極層と、
    前記表示電極層の前記表示電極上に配置された配線電極用絶縁層、および前記配線電極用絶縁層上に形成された配線電極を備え、前記表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極層と、
    前記表示電極層の前記表示電極上の、前記配線電極層が配置されている配線電極層配置領域以外の領域に配置され、前記配線電極層の厚みと同等の厚みを有する平坦化層と、
    前記配線電極層の前記配線電極および平坦化層上に配置された保護フィルムと、
    を有し、
    前記平坦化層が前記配線電極層と同一の材料からなり、
    前記配線電極用絶縁層と前記配線電極とが同一のパターンであることを特徴とする電子ペーパー用背面電極基材。
  2. 表示電極用絶縁層、および前記表示電極用絶縁層上に形成された表示電極を有し、表示情報に対応するパターン形状を有する表示電極層と、
    前記表示電極層の前記表示電極上に配置され、絶縁性を有する電極支持層と、
    前記電極支持層上に導電性ペーストを用いて形成され、所定の厚みを有し、かつ前記表示電極に電荷を付与することが可能なパターン形状を有する配線電極導電層と、
    前記電極支持層上の、前記配線電極導電層が形成されている配線電極導電層形成領域以外の領域に形成され、かつ前記配線電極導電層の厚みと同等の厚みを有する平坦化層と、
    前記配線電極導電層および前記平坦化層上に配置された保護フィルムと
    を有し、
    前記平坦化層が前記配線電極導電層と同一の材料からなるものであることを特徴とする電子ペーパー用背面電極基材。
  3. 前記表示電極層が配置されている表示電極層配置領域以外の領域に配置され、前記表示電極層の厚みと同等の厚みを有する表示電極層用平坦化層を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子ペーパー用背面電極基材。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の電子ペーパー用背面電極基材と、
    透明基材および透明電極層を有する対向電極基材と、
    前記電子ペーパー用背面電極基材および前記対向電極基材の間に配置され、表示媒体を含む表示媒体層と
    を有することを特徴とする電子ペーパー。
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