JP5732960B2 - 波長変換型固体レーザ装置 - Google Patents
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Description
他方、体積型ホログラフィックグレーティング(以下、VHGと呼ぶ:Volume Holographic Grating)を狭帯域フィルタとして用いた固体レーザ装置が知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
しかし、誘電体多層膜ミラーを透過させて励起レーザ光を固体レーザ媒質に入射させると共に基本波レーザ光を誘電体多層膜ミラーで反射させて固体レーザ媒質に戻して共振器を構成しているため、励起波長と発振波長が近接している場合、例えば880nmの励起レーザ光の波長に対して無反射であり且つ914nmの基本波レーザ光の波長に対して全反射という望ましいコーティング特性を得ることが難しく、高安定出力の半導体レーザ励起共振器内波長変換レーザ光を得にくい問題点がある。
そこで、本発明の目的は、高安定出力の半導体レーザ励起共振器内波長変換レーザ光が得られる波長変換型固体レーザ装置を提供することにある。
上記第1の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)では、体積型ホログラフィック・グレーティング(3)は、励起レーザ光(L1)および基本波レーザ光の一つの偏波(L21)の両方を透過させるか又は両方を反射させればよいので、例えば880nmの励起レーザ光の波長と914nmの基本波レーザ光の波長のように両方の波長が近接している場合でも誘電体多層膜ミラーのような問題を生じない。さらに、固体レーザ媒質(4)に偏光ビームスプリッタの機能を持たせて基本波レーザ光(L2)の偏波(L21,L22)を異なる角度で体積型ホログラフィック・グレーティング(3)に入射させ、体積型ホログラフィック・グレーティング(3)の角度選択性により一つの偏波(L21)のみに対して共振器(20)を構成し、その共振器(20)内に波長変換素子(9)を配置したので、波長変換素子(9)における波長変換効率を向上させることが出来る。これらにより、高安定出力の半導体レーザ励起共振器内波長変換レーザ光が得られる。
上記第2の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)では、全体がレーザ活性イオン添加部分である固体レーザ媒質に比べて、製造コストは上がるが、放熱性を向上できるので、高出力の場合に好ましい。
上記第3の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)では、反射型の体積型ホログラフィック・グレーティングを用いることにより、誘電体多層膜ミラーを用いる場合よりも容易に発振波長を狭帯域化できる。
上記第4の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)では、透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)は、励起レーザ光(L1)および基本波レーザ光の一つの偏波(L21)の両方を透過させればよいので、例えば880nmの励起レーザ光の波長と914nmの基本波レーザ光の波長のように両方の波長が近接している場合でも誘電体多層膜ミラーのような問題を生じない。さらに、固体レーザ媒質(4)に偏光ビームスプリッタの機能を持たせて基本波レーザ光(L2)の偏波(L21,L22)を異なる角度で体積型ホログラフィック・グレーティング(3)に入射させ、体積型ホログラフィック・グレーティング(3)の角度選択性により一つの偏波(L21)のみに対して共振器(20)を構成し、その共振器(20)内に波長変換素子(9)を配置したので、波長変換素子(9)における波長変換効率を向上させることが出来る。これらにより、高安定出力の半導体レーザ励起共振器内波長変換レーザ光が得られる。
上記第5の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)では、全体がレーザ活性イオン添加部分である固体レーザ媒質に比べて、製造コストは上がるが、放熱性を向上できるので、高出力の場合に好ましい。
上記第6の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)では、反射型の体積型ホログラフィック・グレーティングを用いることにより、誘電体多層膜ミラーを用いる場合よりも容易に発振波長を狭帯域化できる。
図1は、実施例1に係る波長変換型固体レーザ装置100を示す構成説明図である。
この波長変換型固体レーザ装置100は、励起レーザ光L1を出射する半導体レーザ1と、励起レーザ光L1を集光する集光レンズ系2と、透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング3と、固体レーザ媒質4と、第1ミラー7と、第2ミラー8と、波長変換素子9と、第3ミラー10とを具備している。
(1)透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング3は、励起レーザ光L1および基本波レーザ光の一つの偏波L21の両方を透過させればよいので、例えば880nmの励起レーザ光の波長と914nmの基本波レーザ光の波長のように励起波長と発振波長とが近接している場合でも誘電体多層膜ミラーのような問題を生じない。
(2)固体レーザ媒質4に偏光ビームスプリッタの機能を持たせて基本波レーザ光L2の偏波L21,L22を異なる角度で体積型ホログラフィック・グレーティング3に入射させ、体積型ホログラフィック・グレーティング3の角度選択性により一つの偏波L21のみに対して共振器20を構成し、その共振器20内に波長変換素子9を配置したので、波長変換素子9における波長変換効率を向上させることが出来る。
(3)以上により、高安定出力の半導体レーザ励起共振器内波長変換レーザ光が得られる。
第1ミラー7を誘電体多層膜ミラーとし、第3ミラー10を反射型の体積型ホログラフィック・グレーティングとしてもよい。
2 集光レンズ系
3 透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング
4 固体レーザ媒質
5 レーザ活性イオン無添加部分
6 レーザ活性イオン添加部分
7 第1ミラー
8 第2ミラー
9 波長変換素子
10 第3ミラー
100 波長変換型固体レーザ装置
Claims (6)
- 半導体レーザ(1)からの励起レーザ光(L1)を入射されて基本波レーザ光(L2)を出射する固体レーザ媒質(4)として端面(4a,4b)を非平行にした複屈折性レーザ結晶を用いて前記基本波レーザ光(L2)の異なる偏波(L21,L22)を異なる角度で出射させると共に、前記半導体レーザ(1)と前記固体レーザ媒質(4)の間に配置されて前記半導体レーザ(1)からの励起レーザ光(L1)を前記固体レーザ媒質(4)に入射させると共に角度選択性により異なる角度で入射した前記基本波レーザ光の偏波(L21,L22)に対して異なる方向に出射することにより一つの偏波(L21)のみを前記固体レーザ媒質(4)に戻して前記一つの偏波(L21)のみに対して共振器(20)を構成する透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)を備え、さらに前記共振器(20)内に波長変換素子(9)と前記一つの偏波(L21)を反射すると共に波長変換レーザ光(L3)を透過するミラー(8)を配置したことを特徴とする波長変換型固体レーザ装置(100)。
- 請求項1に記載の波長変換型固体レーザ装置(100)において、前記固体レーザ媒質(4)が、レーザ活性イオン無添加部分(5)とレーザ活性イオン添加部分(6)とを持ったコンポジット型であることを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)。
- 請求項1または請求項2に記載の波長変換型固体レーザ装置(100)において、前記共振器(20)を構成するミラー(7,10)の少なくとも一つが反射型の体積型ホログラフィック・グレーティングであることを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)。
- 半導体レーザ(1)と、透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)と、複屈折性レーザ結晶からなる固体レーザ媒質(4)と、第1ミラー(7)と、第2ミラー(8)と、波長変換素子(9)と、第3ミラー(10)とを具備し、
前記半導体レーザ(1)は励起レーザ光(L1)を出射し、
前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)は前記励起レーザ光(L1)を透過して前記固体レーザ媒質(4)に入射し、
前記固体レーザ媒質(4)は入射面(4a)に入射された前記励起レーザ光(L1)によって励起され基本波レーザ光(L2)を出射面(4b)から出射し、
前記第1ミラー(7)は前記固体レーザ媒質(4)の出射面(4b)から出射された基本波レーザ光(L2)を前記固体レーザ媒質(4)の出射面(4b)へと反射し、
前記固体レーザ媒質(4)は前記第1ミラー(7)で反射して前記出射面(4b)に入射した基本波レーザ光の異なる偏波(L21,L22)に対して異なる方向に前記入射面(4a)から出射し、異なる入射角度で前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)に入射させ、
前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)は前記異なる入射角度で入射した基本波レーザ光の異なる偏波(L21,L22)に対して異なる方向に出射し、
前記第2ミラー(8)は前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)から出射された前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)を前記波長変換素子(9)へと反射し、
前記波長変換素子(9)は入射面(9a)に入射された前記第2ミラー(8)からの前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)の一部を透過し出射面(9b)から出射すると共に他の一部を波長変換し波長変換レーザ光(L3)を出射面(9b)から出射し、
前記第3ミラー(10)は前記波長変換素子(9)の出射面(9b)から出射された前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)および前記波長変換レーザ光(L3)を前記波長変換素子(9)の出射面(9b)へと反射し、
前記波長変換素子(9)は前記第3ミラー(10)で反射して前記出射面(9b)に入射した前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)および前記波長変換レーザ光(L3)を前記第2ミラー(8)へと透過させ、
前記第2ミラー(8)は前記波長変換素子(9)を透過した前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)を前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)へと反射することにより共振器(20)を構成すると共に前記波長変換レーザ光(L3)を透過させ出力する、
ことを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)。 - 請求項4に記載の波長変換型固体レーザ装置(100)において、前記固体レーザ媒質(4)が、レーザ活性イオン無添加部分(5)とレーザ活性イオン添加部分(6)とを持ったコンポジット型であることを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)。
- 請求項4または請求項5に記載の波長変換型固体レーザ装置(100)において、前記第1ミラー(7)および前記第3ミラー(10)の少なくとも一つが反射型の体積型ホログラフィック・グレーティングであることを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)。
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