JP5732452B2 - Vftドメイン膜タンパク質のダイマーを調節する化合物の検出方法 - Google Patents

Vftドメイン膜タンパク質のダイマーを調節する化合物の検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、新薬及び新規味覚モジュレータの探索並びに農業において有用な、膜受容体を調節する化合物に関する。
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、ゲノムの3.4%を占めており、哺乳類膜受容体の最も大きなファミリーとなっている。GPCRの単離及びその後のクローニングにより、ヒトにおいて約900の遺伝子を同定することができた。そのうち約500の遺伝子は嗅覚及び味覚の受容体に相当し、約400の遺伝子は内在性リガンドに結合可能な受容体に相当する。このように、これら受容体の異種性により外部シグナル(臭い、光、味覚分子)及び内部シグナル(ホルモン、神経伝達物質)のいずれをも非常に幅広く認識できる。
GPCRとして以下の3つの主要なクラスが挙げられる。
原型であるロドプシンを含むクラスAは最も幅広く存在するクラスである。これらの受容体のリガンドの結合部位は主に膜貫通ドメインを含み、さらにGPCRの細胞外ループも含む。
GPCRのクラスBは、ジスルフィド架橋に関与する保存されたシステインを含む広域な細胞外N末端ドメイン(100〜500個のアミノ酸)により特徴付けられる。これら受容体のリガンドは細胞外ドメイン(N末端ドメイン及びGPCR細胞外ループ)のみに結合する。
クラスC受容体は、VFT(Venus FlyTrapの頭字語)ドメインと称され、アミノ酸類、糖類及びイオン類の輸送に関与する、細菌ペリプラズムタンパク質に類似した非常に大きな細胞外ドメイン(〜600個のアミノ酸)により特徴付けられる。これらの受容体として、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR1、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、mGluR6、mGluR7、及びmGluR8受容体)、γ-アミノ酪酸受容体又はGABA受容体(GABA受容体)、甘味受容体及び旨味受容体、細胞外カルシウム感知受容体(CaSR)、並びに塩基性アミノ酸受容体(GPRC6a)が含まれる。他のクラスCのGPCRとしては、動物界に存在するVFTドメイン、特にV2Rフェロモン受容体が含まれる。
VFTドメインを含むクラスCのGPCRは全てダイマーからなる、すなわち、2つのサブユニットで構成されており、その2つのサブユニットの会合が受容体の機能発現に必須であることが一般的に認められている。2つの同一なサブユニットからなるホモダイマー型(mGluR、CaSR、及びGPRC6a受容体)の他、異なる遺伝子の発現により形成されるサブユニットからなるヘテロダイマー型(2つのサブユニットGB1及びGB2を含むGABA受容体、TAS1R2及びTAS1R3を含む甘味受容体、TAS1R1及びTAS1R3を含む旨味受容体)がある。
VFTドメインを含むクラスCのGPCRの場合、各サブユニットはそのN末端部に、“Venus FlyTrap”ドメインすなわちVFTドメインと称され、オルソステリックリガンドの結合に関与する広域な細胞外ドメインを有する。VFTドメインは、クラスCのGPCR内や、他の受容体内、特に、AMPA、NMDA、又はカイニン酸受容体と一般的に称されるイオンチャンネル型グルタミン酸受容体、心房性ナトリウム利尿ペプチド受容体ファミリーの各受容体(NPR−A及びNPR−B)、及び昆虫に存在するビーナスキナーゼ受容体(VKR)内に存在する、保存されたタンパク質ドメインである。
これらの受容体の各VFTドメインは、ヒンジを軸にして配置された2つのローブを有し、割れ目が形成されているクラムシェルの形態の特徴的な構造を共有しており、その割れ目にはオルソステリックリガンドが結合する。ヒンジが柔軟であるため、活性化リガンドが結合すると2つのローブ間は閉じられる。オルソステリックリガンドによりVFTドメインが閉じることが、受容体の活性化に必須の第一段階である。逆に、アンタゴニストリガンドはVFTドメインを開いた位置に保持し、受容体を不活性状態に保つ。
ダイマー型受容体である場合、2つのサブユニットのVFTドメインは、GluR1受容体のVFTドメインのダイマーに対して得られるX線結晶構造に示されるように、VFTドメインのダイマーとして構成される(非特許文献1及び2)。VFTドメインを含むクラスCのGPCRの活性化モデルによって、活性化リガンドの結合により少なくとも1つのVFTが閉じるだけでなく、一方のVFTに対してもう一方のVFTの向きが変化することも示唆される。この相対移動によりVFTの2つのC末端が互いに接近するが、この接近自体が、Gタンパク質の補充及びシグナル変換に必要な膜ドメインの立体構造の変化に影響を及ぼしていることは明らかである。
VFTドメインを含むクラスCのGPCRは、新薬の探索において極めて重要な標的である。mGluR受容体は特にパーキンソン病、統合失調症、痛みに関係しており、GABA受容体は癲癇や薬物依存性現象に関係しており、CaSR受容体は骨粗鬆症に関係している。また、これらの受容体は、新規甘味分子(甘味受容体)や他の新規調味料(旨味受容体)の探索に有用である。また、V2Rフェロモン受容体モジュレータの探索は農業分野で有用である。
リガンドの結合及び/又はそのリガンド結合後のGPCRの活性化の追跡を可能にするスクリーニング法がある:GTPγS(放射性)、電気生理学、放射性リガンドの使用。これらのスクリーニング法は大きな規模では採用できない。
ハイスループット・スクリーニング・プラットホームでは、通常、安定的又は一時的にトランスフェクトすることで対象の受容体を発現するようにした哺乳類細胞を使用する。試験化合物の作用は、上記受容体と結合したGタンパク質の活性化後に細胞内に現れる二次メッセンジャーの細胞内濃度の変化を検出するという機能試験により確認される。測定される二次メッセンジャーは、対象の受容体に結合するGタンパク質の種類によって変わる。その受容体としては、以下のものが挙げられる。
・Gsタンパク質共役受容体:Gsタンパク質に結合したGPCRの薬理学的作用の特性を決定するために二次メッセンジャーcAMPの蓄積を測定する。
・Gqタンパク質共役受容体(グルタミン酸受容体mGluR1及びmGluR5、細胞外カルシウム感知受容体CaSR、並びに塩基性アミノ酸受容体GPRC6aの場合):IP3代謝産物、例えばIP1などの蓄積。または、細胞に蛍光性カルシウムプローブを取り込ませることにより、細胞内カルシウム濃度の一時的上昇を可視化することができる。
・Giタンパク質共役受容体(例:グルタミン酸受容体mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR6、mGluR7、及びmGluR8、GABA受容体GABA、並びに甘味受容体及び旨味受容体):間接的に、受容体がホルスコリン又はイソプロテレノールで刺激されることで、cAMP濃度が上昇する。この上昇が試験化合物により阻害されれば、受容体がGiタンパク質と結合しているということになる。他に考えられるものでスクリーニングに通常好ましいのは、活性化された状態でGPCRを認識可能なGiタンパク質の一部と、IP3/Ca2+経路をトリガー可能なGqタンパク質の一部とを融合して形成されるキメラGタンパク質とともに対象の受容体を共発現させることである。この条件において、受容体の活性化は、一時的に生じるカルシウムシグナルにより検出できる。
既存の方法は、ダイマー性クラスCのGPCRの活性化を調節可能な化合物を明らかにするのにあまり適していない。なぜなら、受容体のその天然リガンド(mGlu受容体の場合)に対する親和性が低いとアゴニスト作用が非常に検出しにくく、また、細胞内のシグナル変換により生じる二次メッセージ(cAMP、IP3、IP1)の測定に基づく機能試験も、比較的実施しにくいことや、ダイマーである受容体と共役したエフェクター経路が複雑であることから適していないためである。また、その細胞内(C末端)ドメインで蛍光タンパク質と融合したGPCRの発現に基づくFRET(フェルスター共鳴エネルギー移動(Forster resonance energy transfer))法も、細胞内区画に存在するダイマー由来のバックグラウンドノイズが大きいため適していない。特許文献1には、概して、ダイマーを形成可能なGPCRをエネルギードナー化合物及びエネルギーアクセプター化合物、特に蛍光タンパク質で標識し、FRET変化を測定するというGPCRのダイマー化を調べる方法が開示されている。この特許文献には、クラスCのGPCRダイマーを調節する化合物を選択できる技術的手段は開示されていない。さらに、実質的に、種々の細胞内区画に存在するダイマーにより生じるバックグラウンドノイズが大きいために本件にはあまり適していない蛍光タンパク質を用いて説明しているものである。
非特許文献3では、GABA受容体ダイマーの研究にFRET法が適用されている。そこでは、GABA受容体のGABAB1サブユニット及びGABAB2サブユニットのそれぞれがユーロピウムクリプテート(Euピリジン−ビス−ビピリジン)及びアクセプター蛍光団(d2)で標識されている。上記研究では、受容体がそのアゴニスト、すなわちGABAにより活性化される場合にFRETシグナルの変化を観察することはできず、よって、この手法は上記ダイマーを調べるのに適していないことが示唆される。
米国特許第6824990号明細書
Kunishima et al.,Nature.2000 Oct 26;407(6807):971−7 Tsuchiya et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2002 Mar 5;99(5):2660−5 Maurel et al.,Nat.Methods;June 2008;5(6):561−7
本発明は、VFTドメインを含む膜タンパク質、特にクラスCのGPCRのダイマーの活性状態を調節する効果を有する化合物を明らかにする方法及び物質を提供するものであり、これにより試験化合物がこれらの受容体に薬理学的作用を示すかどうかを決定できる。
現在、新薬の発見のためにこの種のダイマー型受容体を効率よくかつ容易にスクリーニングできる方法は存在しないため、本発明は特に有用である。
グルタミン酸塩濃度に対する、mGluR2−mGluR2ダイマーにより放射されるFRETシグナルの変化を示す。 グルタミン酸塩の存在下又は非存在下での、LY341495アンタゴニストの濃度に対する、mGluR2−mGluR2ダイマーにより放射されるFRETシグナルの変化を示す。 グルタミン酸塩又はDCG−IV(部分的アゴニスト)の濃度に対する、mGluR2−mGluR2ダイマーにより放射されるFRETシグナルの変化を示す。 4−MPPTS(ポジティブアロステリックモジュレータ)の存在下又は非存在下での、グルタミン酸塩濃度に対する、mGluR2−mGluR2ダイマーにより放射されるFRETシグナルの変化を示す。 グルタミン酸塩又はDGC−IVの濃度に対する、mGluR2−mGluR2ダイマー(各サブユニットをSnap−tag標識)により放射されるFRETシグナルの変化を示す。 グルタミン酸塩濃度に対する、mGluR2−mGluR2ダイマー、mGluR3−mGluR3ダイマー、及びmGluR4−mGluR4ダイマーにより放射されるFRETシグナルの変化を示す。 LY341495濃度に対する、mGluR3−mGluR3ダイマーにより放射されるFRETシグナルの変化を示す。 グルタミン酸塩濃度に対する、mGluR2−mGluR2ダイマー、mGluR3−mGluR3ダイマー、mGluR4−mGluR4ダイマー、mGluR2−mGluR3ダイマー、及びmGluR2−mGluR4ダイマーにより放射されるFRETシグナルの変化を示す。 グルタミン酸塩若しくはLY341495の存在下、又はそれらの化合物の非存在下での、mGluR1−mGluR1ダイマー、mGluR2−mGluR2ダイマー、mGluR3−mGluR3ダイマー、及びmGluR8−mGluR8ダイマーにより放射されるFRETの比の変化を示す。 グルタミン酸塩若しくはLY341495の存在下、又はそれらの化合物の非存在下での、mGluR1−mGluR1ダイマー、mGluR2−mGluR2ダイマー、mGluR3−mGluR3ダイマー、mGluR4−mGluR4ダイマー、mGluR5−mGluR5ダイマー、及びmGluR8−mGluR8ダイマーにより放射されるFRETの比の変化を示す。 グルタミン酸塩若しくはLY341495の存在下、又はそれらの化合物の非存在下での、時間窓に対する、mGluR8−mGluR8ダイマーにより放射されるFRETの比の変化を示す。 グルタミン酸塩若しくはLY341495の存在下、又はそれらの化合物の非存在下での、時間窓に対する、mGluR8−mGluR8ダイマー及びmGluR2−mGluR2ダイマーにより放射されるFRETの比の変化を示す。 図13Aは、各々がSnap−tag酵素(S)と結合しており、かつGタンパク質との結合を防ぐF756P変異を含んでいるmGluR2のダイマーを表す。図13Bは、各々がSnap−tag酵素(S)と結合しており、Gタンパク質との結合を防ぐF756P変異を含んでおり、かつこのタンパク質がアロステリックモジュレータに反応しないようにするC234A変異も含んでいるmGluR2のダイマーを表す。図13Cは、各々がアミノ酸597(第一細胞内ループi1の中間)から端が欠失しており、Snap−tag酵素(S)と融合しており、従って1つの膜貫通ドメイン、CRDドメイン及びVFTドメインしか含んでいないmGluR2のダイマーを表す。図13Dは、各々がアミノ酸561から端が欠失しており(従ってVFTドメイン及びCRDドメインのみを含む)、Snap−tag酵素(S)と融合しており、かつGPIアンカーシグナルペプチド(RRSSSTVLFSSPVILLISFLIFLIVG−配列番号7)がシステイン豊富ドメインの後(CRD、すなわちアミノ酸LPQEYの後)に挿入されているmGluR2のダイマーを表す。図13Eは、各々がアミノ酸499から端が欠失しており(従ってVFTドメインのみを含む)、Snap−tag酵素(S)と融合しており、かつGPIアンカーシグナルペプチド(RRSSSTVLFSSPVILLISFLIFLIVG−配列番号7)がVFTドメインの後(すなわちアミノ酸GPLPASの後)に挿入されているmGluR2のダイマーを表す。図13Fは、各々が(i)mGluR2の最初の561個のアミノ酸(VFT+CRDドメイン、アミノ酸LPQEYの後で終止)を含んでおり、Snap−tagタンパク質(S)と融合しており、かつ(ii)膜貫通ドメインに相当する、D2ドーパミン作動性受容体の短い変異体の最初の414個のアミノ酸(メチオニン1は含まず)を含んでいるキメラ受容体のダイマーを表す。 時間に対するFRETシグナルの変化を示す。
本発明は、測定媒体中に存在する細胞膜で発現するVFTドメインタンパク質のダイマーの活性状態を調節する効果を有する化合物を選択する方法であって、ここで、上記ダイマーは、同一か又は異なる第一タンパク質及び第二タンパク質で構成されており、以下の工程:
(a)上記第一タンパク質及び第二タンパク質をそれらのVFTドメインのN末端部で1対のFRETパートナーのメンバーにより標識する工程;
(b)上記FRETパートナーを励起し、試験化合物の非存在下及び存在下、上記FRETシグナルを測定する工程;
(c)工程(b)において上記試験化合物の非存在下とその存在下で測定されたFRETシグナルに差異がある場合に、その試験化合物を調節化合物として選択する工程
を含む方法に関する。
驚くべきことに、本発明者らは、Maurelらによる先行技術において観察されたように、VFTドメインタンパク質のダイマーの活性のモジュレータの存在下でFRETシグナルの変化がみられなかったのは、シグナルが測定された時間窓の選択に関係があることを明らかにした。従来、FRETシグナルは、測定媒体を光励起してからある遅延時間が経過した後、所定期間(積分時間)の間、測定されてきた。FRETシグナル測定に基づく生物学的アッセイを行うのに利用できる物質及び装置は、使用者がこのシグナル測定時間窓を変えることができないように設計されている。
VFTドメインタンパク質のダイマーの場合、本発明者らは、参照アゴニスト化合物の存在下又は非存在下で測定されるFRETシグナルが経時的に減少するならば、逆転点、すなわち、励起後のある時間において、この参照アゴニスト化合物の存在下とその非存在下でのFRET値が同一である点が観察されることを見いだした。
本発明者らは、この逆転点の前では、参照アゴニスト化合物の非存在下でのFRETシグナル(図14の灰色曲線)は、アゴニストの存在下で測定されるもの(図14の黒色曲線)よりも大きいことを確認した。逆転点から先は、反対に、アゴニストの非存在下で観察されるFRETシグナルは、アゴニストの存在下で測定されるものよりも小さくなる。
さらに、逆転点を含む特定の時間窓(例えばf1、図14参照)でシグナルが測定される場合、調節化合物の存在下であっても非存在下であっでもFRETシグナルの変化は観察されない。換言すれば、本発明者らは、先行技術においてFRETシグナルの変化が観察されなかった理由となる問題点、すなわち、従来使用されてきた時間窓に逆転点が存在することを明らかにした。
上記所見に基づけば、逆転点の前後に位置する時間窓(f2、f4、図14参照)においてFRETシグナルを測定する場合、参照アゴニスト化合物の存在下とその非存在下で測定されるFRETシグナルは常に異なるということになる。逆転点を含む時間窓(f3、図14参照)を選択することは可能だが、この場合、参照アゴニスト又はアンタゴニスト化合物の存在下とその非存在下で測定されるシグナルが異なることを確認する必要があるであろう。
従って、本発明は、測定媒体中に存在する細胞膜で発現するVFTドメインタンパク質のダイマーの活性状態を調節する効果を有する化合物を選択する方法であって、ここで上記ダイマーは、同一か又は異なる第一タンパク質及び第二タンパク質で構成されており、上記方法は以下の工程:
(a)上記第一タンパク質及び第二タンパク質をそれらのVFTドメインのN末端部で1対のFRETパートナーのメンバーにより標識する工程;
(b)上記FRETパートナーを励起し、試験化合物の非存在下及び存在下、上記FRETシグナルを測定する工程;
(c)工程(b)において上記試験化合物の非存在下とその存在下で測定されたFRETシグナルに差異がある場合に、その試験化合物を調節化合物として選択する工程
を含み、ここで工程(b)において上記FRETシグナルは、参照アゴニスト又はアンタゴニスト化合物の存在下とその非存在下で測定されたシグナルが異なるものとなる時間窓内で測定される、方法から構成される。
参照アゴニスト又はアンタゴニスト化合物の存在下とその非存在下で測定されるシグナルが異なるのは、以下の条件の1つが満たされる場合であると考えられる。
・参照アゴニスト化合物の存在下とその非存在下でのシグナル平均値の差異が20%よりも大きい場合、又は
・アゴニスト化合物の存在下とその非存在下でのシグナル平均値が最大標準偏差(参照アゴニスト化合物の非存在下で測定されるシグナルの標準偏差か、又はその化合物の存在下で測定されるシグナルの標準偏差のいずれか)に対して3倍超異なる場合。
シグナルを励起後に測定するまでの遅延時間、及びシグナルを測定する期間(積分時間)を変えることにより時間窓を実験的に決定することができる。これらのパラメータは市販の蛍光計において容易に変更可能である。
特定の一実施態様において、本発明の方法は、工程(b)において上記シグナルは、励起してから180〜800μ秒の遅延時間、及び200〜2000μ秒の積分時間で測定されることを特徴とする。
特定の別の実施態様において、本発明の方法は、
(i)上記FRETパートナー対のフェルスター(Forster)半径(R)は20〜55Åであり、かつ、工程(b)において上記シグナルは、励起してから10〜100μ秒の遅延時間、及び100〜500μ秒の積分時間で測定されるか;又は、
(ii)上記対のフェルスター半径(R)は55Åよりも大きく、かつ、工程(b)において上記シグナルは、励起してから180〜800μ秒の遅延時間、及び200〜2000μ秒の積分時間で測定される
ことを特徴とする。
本発明の方法により、特に新薬の発見において選択される標的であるVFTドメインを含む膜タンパク質、特にVFTドメインを含むクラスCのGPCRへの影響を評価するために、大きなライブラリを構成する化合物を比較的単純にスクリーニングすることができる。
従って、本発明の方法は、(mGluR1、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、mGluR6、mGluR7、及びmGluR8から選択されるサブユニットのダイマーで構成される)代謝型グルタミン酸受容体、γ-アミノ酪酸受容体すなわちGABA受容体(1つのGB1サブユニットと1つのGB2サブユニットからなるGABA受容体)、甘味知覚関連受容体(TAS1R1−TAS1R3ダイマー)、旨味知覚関連受容体(TAS1R2−TAS1R3ダイマー)、細胞外カルシウム感知受容体(CaSRサブユニットのホモダイマー)、及び塩基性アミノ酸受容体(GPRC6aサブユニットのホモダイマー)の新規モジュレータを発見するために用いることができる。これらの用語は、以下で説明されるように、上記受容体の野生型、さらには変異型、欠失型、キメラ型及び組み換え型をも包含する。
本発明の方法は代謝型グルタミン酸受容体又は味覚受容体を用いて行うのが好ましい。
本発明の方法をグルタミン酸受容体で行う場合、その受容体は以下のダイマーで構成されてもよい:mGluR1−mGluR1、mGluR1−mGluR2、mGluR1−mGluR3、mGluR1−mGluR4、mGluR1−mGluR5、mGluR1−mGluR6、mGluR1−mGluR7、mGluR2−mGluR2、mGluR2−mGluR3、mGluR2−mGluR4、mGluR2−mGluR5、mGluR2−mGluR6、mGluR2−mGluR7、mGluR3−mGluR3、mGluR3−mGluR4、mGluR3−mGluR5、mGluR3−mGluR6、mGluR3−mGluR7、mGluR4−mGluR4、mGluR4−mGluR5、mGluR4−mGluR6、mGluR4−mGluR7、mGluR5−mGluR5、mGluR5−mGluR6、mGluR5−mGluR7、mGluR6−mGluR6、mGluR6−mGluR7、mGluR7−mGluR7、mGluR8−mGluR1、mGluR8−mGluR2、mGluR8−mGluR3、mGluR8−mGluR4、mGluR8−mGluR5、mGluR8−mGluR6、mGluR8−mGluR7、mGluR8−mGluR8。特に好ましい一実施態様において、ダイマーは以下から選択される:mGluR1ホモダイマー、mGluR2ホモダイマー、mGluR3ホモダイマー、mGluR4ホモダイマー、mGluR5ホモダイマー、mGluR8ホモダイマー、mGluR2−mGluR3ヘテロダイマー、及びmGluR2−mGluR4ヘテロダイマー。
味覚受容体に関して、ダイマーは、ダイマー:TAS1R2−TAS1R3、又はTAS1R1−TAS1R3から選択されてもよい。
本発明の方法は、欠失型GPCRに相当するタンパク質、例えば、第一細胞内ループにおいて欠失しているため、1つの膜貫通ドメインしか含んでいないタンパク質(図13)のダイマーを用いて行ってもよい。膜貫通ドメインを含んでいないVFTドメインタンパク質のスプライスバリアント(Ferraguti et al.,Cell Tissue Res.2006 Nov;326(2):483−504)を用いることもできるが、但し上記変異体が、検討するダイマーの一方のサブユニットを構成する場合、もう一方のサブユニットが少なくとも1つの膜貫通ドメインを含むものとする。
また、本発明の方法は、VFTドメイン受容体の細胞外ドメインと、他の受容体の1以上の膜貫通ドメインとを含むキメラ受容体(図13F参照)を用いて行うこともできる。そのようなキメラ受容体は、Genbankデータベースなどで入手可能な核酸配列を有する対象のドメインをコードするDNAを含む発現ベクターを作製し、このベクターを細胞にトランスフェクトするという従来の分子生物学的方法により作製することができる。Malitschekら(Mol Pharmacol.1999 Aug;56(2):448−54)はそのようなキメラ受容体を開示している。
また、本発明の方法は、VFTドメイン受容体の細胞外ドメインと、膜貫通ドメインの代わりとしてタンパク質部分を原形質膜の表面に繋ぎ止めることができるグリコシルホスファチジルイノシトールアンカー(「GPIアンカー」)とを含むタンパク質構築物を用いて行うこともできる(図13D及び図13E参照)。そのようなタンパク質及び作製法は特にLiuら(J Biol Chem.2004 Apr 16;279(16):15824−3)により開示されている。
本発明の特定の別の実施態様において、使用するダイマーは、どんな細胞内シグナル経路とも共役していないGPCR変異体である。このGPCR変異体は公知であり、例えば、Gタンパク質との結合を防ぐ1以上の変異を含むGPCR(mGluR2のF756P変異体(図13A参照)など)からなる。ダイマーが細胞で安定的に発現し、細胞毒性作用を示し得る場合にこの実施態様は好ましい。
アロステリックモジュレータの作用を受けないようにする変異を含むGPCR(mGluR2のC234A変異体(図13B)など)で構成されるダイマーを使用するのが有利な場合もある。上記変異体を使用して本発明を行うことで、アロステリックモジュレータではない調節化合物を発見することができる。
また、本発明の方法は、クラスCのGPCRではない他のVFTドメイン受容体、特に、イオンチャンネル型グルタミン酸受容体(AMPA、NMDA、又はカイニン酸受容体と一般的に称される)、心房性ナトリウム利尿ペプチド受容体ファミリーの各受容体(NPR−A及びNPR−B)、及び昆虫に存在するビーナスキナーゼ受容体(VKR)を使用して行うこともできる。
定義
「FRETパートナー対」:この表現は、エネルギードナー蛍光化合物(以下「ドナー蛍光化合物」)とエネルギーアクセプター化合物(以下「アクセプター化合物」)とからなる対をいう。上記化合物が互いに接近していたり、ドナー蛍光化合物の励起波長で励起されていたりする場合、上記化合物はFRETシグナルを放射する。2つの蛍光化合物をFRETパートナーとするには、ドナー蛍光化合物の発光スペクトルがアクセプター化合物の励起スペクトルと部分的に重なっていなければならないことが知られている。
「FRETシグナル」:ドナー蛍光化合物とアクセプター化合物の間のFRETを表す測定可能なシグナルをいう。従って、FRETシグナルは、ドナー蛍光化合物の発光の強度や寿命の変化、又はアクセプター化合物が蛍光性であればその発光の強度や寿命の変化であってもよい。
「時間窓」:測定媒体を光励起してからある遅延時間が経過した後にFRETシグナルを測定する時から積分時間の終了時までの期間をいう。例えば、「50〜450μ秒」の時間窓は、測定媒体を光励起してから50μ秒の遅延時間で、かつ400μ秒の期間(積分時間)、FRETシグナルが測定されることを意味する。
「測定媒体」:本発明の実施に必要な試薬を細胞又は細胞膜と混合するのに好適な、プレートのウェルや試験管などの容器の中身をいう。
「調節化合物」:「VFTドメインタンパク質のダイマーの活性状態を調節する効果を有する化合物」という表現は、活性化作用又は不活性化作用を有する化合物を意味するものである。
活性化化合物は、特に、アゴニスト化合物、部分的アゴニスト、又はポジティブアロステリックモジュレータであってもよい。ポジティブアロステリックモジュレータ化合物の作用は、その参照アゴニストの1つにより活性化されたダイマーに対してのみ視認できる。この場合、ポジティブアロステリックモジュレータにより受容体の活性が高まることとなる。参照アゴニストが存在しなければ、ポジティブアロステリックモジュレータの作用は視認できない。
不活性化化合物は、ダイマーの活性を低下させるものである。不活性化化合物は、構成的活性型ダイマーに対して不活性化作用を有する場合はインバースアゴニストであり、その参照アゴニストの1つにより既に活性化されたダイマーを不活性化させる場合はネガティブアロステリックモジュレータ又はアンタゴニストである。
調節化合物を測定媒体に添加すると、活性状態に対するその化合物の効果を本発明の方法により観察できる。これら調節化合物の化学的性質は限定されず、その作用形式も限定されない。実際、本発明によって、VFTドメインの立体構造の変化を検出することができる。この変化は、調節化合物がダイマーの構成サブユニットの一方又は両方に結合することにより生じるが、それ自体で対象のVFTドメインダイマーに作用できる他の膜タンパク質に結合することによっても生じる。
特定の一実施態様によれば、本発明の方法は、以下の工程:
(a)上記第一タンパク質及び第二タンパク質をそれらのVFTドメインのN末端部で1対のFRETパートナーのメンバーにより標識する工程、ここで上記対のフェルスター(Forster)半径(R)は20〜55Åである;
(b)試験化合物の非存在下及び存在下、上記FRETシグナルを測定する工程;
(c)上記試験化合物の存在下又は非存在下でのFRETシグナルの変化と、上記ダイマーの公知の調節化合物の存在下又は非存在下で測定されたものとを比較することにより、上記試験化合物を調節化合物として選択する工程
を含む。
この特定の実施態様では、FRETシグナルが、(b)工程において、励起してから50μ秒の遅延時間、及び450μ秒の積分時間で測定されるのか有利である。
ダイマーの公知のモジュレータの性質や、試験化合物の存在下又は非存在下で測定されたFRETシグナルの変化と上記公知の調節化合物の存在下又は非存在下で観察されたものとの比較に応じて、試験化合物の性質が決定される。
例えば、ダイマーの公知のモジュレータがアゴニストである場合、試験化合物の存在下とその非存在下で測定されたFRETシグナルの変化量が、公知のアゴニスト化合物の存在下で観察されたものと同じ方向であるならば、試験化合物は活性化化合物であると推測され、上記FRETシグナルの変化量が、上記公知のアゴニスト化合物の存在下とその非存在下で観察されたものと反対方向であるならば、不活性化化合物であると推測される。
同様に、ダイマーのモジュレータがそのダイマーの公知のアンタゴニストである場合、試験化合物の存在下とその非存在下で測定されたFRETシグナルの変化量が、上記公知のアンタゴニスト化合物の存在下とその非存在下で観察されたものと反対方向であるならば、試験化合物は活性化化合物であると推測され、上記FRETシグナルの変化量が、上記公知のアンタゴニスト化合物の存在下とその非存在下で観察されたものと同じ方向であるならば、活性化化合物であると推測される。
実用的には、試験化合物の用量反応曲線は、公知のアゴニスト又はアンタゴニスト化合物を使用して得られたものと比較することができる。
なお、所定量の参照アゴニスト化合物の存在下、試験化合物を使用して又は使用しないでFRETシグナルを測定できる場合もある。これは特に、ポジティブ又はネガティブアロステリックモジュレータ又はアンタゴニストを得ようとする場合である。もちろん、アゴニスト化合物又は部分的アゴニスト化合物を得ようとする場合には必要ない。
代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)のダイマーを使用し、励起してから50μ秒の遅延時間、及び450μ秒の積分時間で上記シグナルを測定する、本発明の方法の特定の実施態様において、本発明者らは以下を見いだした。
・検討するGluRダイマーのアゴニストである化合物を測定媒体に添加すると、その化合物の非存在下で観察されるものと比較して放射されるFRETシグナルが減少する。部分的アゴニストである場合、すなわち、その作用が「天然」アゴニストほど大きくない場合には、この減少は強度の低下によるものである。
・検討するGluRダイマーのアンタゴニストである化合物を測定媒体に添加すると、その化合物の非存在下で観察されるものと比較して放射されるFRETシグナルが増加する。この作用は、構成的活性型ダイマー又はアゴニスト化合物により活性化されたダイマーにおいて観察できる。
・ポジティブアロステリック作用を有するモジュレータを測定媒体に添加すると、そのモジュレータの非存在下で観察されるものと比較して放射されるFRETシグナルが減少する。この作用は、測定媒体中にアゴニスト、例えば検討する受容体の天然アゴニストなどが存在する場合にのみ観察できる。
・ネガティブアロステリック作用を有するモジュレータを測定媒体に添加すると、そのモジュレータの非存在下で観察されるものと比較して放射されるFRETシグナルが増加する。この作用は、測定媒体中にアゴニスト、例えば検討する受容体の天然アゴニストなどが存在する場合にのみ観察できる。
反対に、上記シグナルをさらに遅れて、例えば励起してから500μ秒などの遅延時間、及び500μ秒の積分時間で測定する場合、本発明者らは、mGluRダイマーのアゴニストである化合物を測定媒体に添加した後に測定されるシグナルが、その化合物の非存在下で測定されるものよりも大きくなることを見いだした。
本発明の方法により、トランス調節作用を有する化合物、すなわち、VFTドメインタンパク質のダイマーに結合しないが、それ自体が対象のダイマーと相互作用する別の膜受容体には結合する化合物を明らかにすることもできることに言及しておくことは重要である。例えば、mGluR2受容体は5HT2Aセロトニン受容体により調節可能であるが(Gonzalez−Maeso et al.,Nature,Vol.452,March 2008 93−99)、本発明の方法により、このようなmGluR2ダイマーの調節を明らかにすることができる。
従って、本発明の方法により、検討するダイマーには結合しないが、上記受容体を調節(活性化又は阻害)する役割を果たす別の膜タンパク質には結合する化合物を明らかにすることができる。よって、上記受容体を間接的に活性化又は不活性化する作用を有する化合物を明らかにすることができる。
VFTドメインタンパク質のダイマーを含む細胞膜
本発明の方法は、VFTドメインタンパク質のダイマーを含む細胞膜を含む測定媒体中で行われる。従って、測定媒体は、FRETパートナー化合物の添加時に、付着した状態若しくは懸濁した状態の無傷生細胞を含んでいるか、又は、細胞溶解や分画遠心分離などにより得た、懸濁した状態の細胞膜の調製物を含んでいる。膜懸濁物の調製法は当業者に公知である。本発明の方法は無傷生細胞について行うのが好ましい。
VFTドメインを含む膜貫通タンパク質のダイマーは、細胞の細胞膜で自然発現させるか、又は、分子生物学的方法により、細胞に安定的若しくは一時的に導入された発現ベクターを介して発現させる。細胞中で異種DNAを安定的若しくは一時的に生成させるための試薬は市販されており、VFTドメインを含む膜貫通タンパク質をコードするDNA配列、特に上述のクラスCのGPCRをコードするものは、Genbankなどのデータベースで入手できる。上記の通り、ダイマーが細胞で安定的に発現する場合、考えられる細胞毒性作用を回避するために、どのようなGタンパク質とも結合しないGPCR変異体を用いるのが望ましい。
FRETパートナー対
本発明の必須の特徴の1つは、検討するダイマーの構成タンパク質のそれぞれを1対のFRETパートナーのメンバーにより標識することである。
本発明の方法の好ましい一実施態様では、上記FRETパートナー対のフェルスター(Forster)半径(R)は20〜55Åである。有利な別の実施態様では、上記半径は55Åよりも大きい。
当業者であれば、市販のFRETパートナー化合物の中から、フェルスター半径が上記範囲に含まれるものを選択することができる。実際、フェルスターの理論には特定のFRETパートナー対のR値の求め方が説明されている。
この理論によれば、FRETは、エネルギードナーとエネルギーアクセプターの間の双極子−双極子相互作用により生じる非放射性エネルギーの移動と定義される。この物理現象には上記分子間のエネルギー互換性が必要である。これは、ドナーの発光スペクトルが、少なくとも部分的にアクセプターの吸収スペクトルと重なっていなければならないことを意味する。このスペクトルの重なりは、重なり積分J(λ)で規定される。
Figure 0005732452
式中、fは、ドナーにより所定波長で放射される蛍光の強度であり、εはアクセプターのモル吸光係数である。従って、係数Jは、1対の蛍光団が同じ波長でエネルギーを放射及び吸収する容量を反映する。フェルスターの理論によれば、FRETは、以下の式に示されるように、ドナーとアクセプターという2つの分子を隔てる距離に依存するプロセスである。
Figure 0005732452
式中、Rは2つの分子を隔てる有効距離であり、Rはフェルスター半径である。Rは、エネルギー移動の効率が50%であるドナー/アクセプター距離に相当する。この距離の計算の数学的表現は以下である。
Figure 0005732452
式中、Jは重なり積分であり、nは媒体の屈折率(n−4は通常1/3〜1/5)であり、Qはアクセプターの非存在下でのドナーの量子収率であり、κは、ドナー及びアクセプターの双極子の相対配向に依存する配向因子である。κ値が理論的には0〜4だとしても、Rを決定するのに通常使用される値は2/3である。実際、ドナー及びアクセプターの自由度が空間でランダムに配向するのに十分な場合、κは2/3であると考えられる。生体分子に付着する蛍光団は回転の自由度がある程度あるため、これら蛍光団において上記条件は通常満たされる。
ユーロピウム ピリジン−ビス−ビピリジン−クリプテート及びd2(Cisbio Bioassays社から販売される蛍光団)対のRの計算例はMaurelらにより詳述されている(Nature methods 2008、添付図及び本文)。この例では、Rは65.5Åである。多くのエネルギードナー又はアクセプター化合物が開示されており、市販されている。
蛍光化合物は以下の群から選択できる:アロフィコシアニン、特に商品名XL665で知られているもの;発光性有機分子、例えば、ローダミン、シアニン、スクアライン、クマリン、プロフラビン、アクリジン、フルオレセイン、Bodipyの名称で知られている蛍光団、Attoの名称で知られている蛍光団、Dyの名称で知られている蛍光団、AlexaFluorの名称で知られている化合物、ニトロベンゾオキサジアゾール、蛍光性金属錯体(希土類クリプテート、希土類キレート(特に、ユーロピウム、テルビウム、サマリウム、ジスプロシウム、又はネオジムのキレート及びクリプテート)など);発光無機粒子(ナノ結晶(量子ドット)など)。これらの蛍光化合物は、FRETシステムにおいてドナー蛍光化合物としてもアクセプター蛍光化合物としても使用できる。
蛍光タンパク質をアクセプター化合物として使用することもできる。一方、上記タンパク質は、原形質膜に向かわせられる前に上記タンパク質が発現している各種細胞区画に由来するバックグラウンドノイズを著しく増加させるため、ドナーとして使用するのは推奨されない。
以下の蛍光タンパク質を本発明において使用できる:シアン蛍光タンパク質(AmCyan1、Midori−Ishi Cyan、mTFP1)、緑色蛍光タンパク質(EGFP、AcGFP、TurboGFP、Emerald、Azami Green、ZsGreen)、黄色蛍光タンパク質(EYFP、Topaz、Venus、mCitrine、YPet、PHiYFP、ZsYellow1、mBanana)、オレンジ色・赤色蛍光タンパク質、(Orange kusibari、mOrange、tdtomato、DsRed、DsRed2、DsRes−Express、DsRed−Monomer、mTangerine、AsRed2、mRFP1、JRed、mCherry、mStrawberry、HcRed1、mRaspberry、HcRed−Tandem、mPlim、AQ143)、及び近赤外領域で蛍光性を有するタンパク質(mKate、mKate2、tdKatushka2)。
長寿命(>0.1ミリ秒、好ましくは0.5〜6ミリ秒)のエネルギードナー化合物、特に希土類キレート又はクリプテートは、測定媒体により放射されるバックグラウンドノイズの大部分を排除しつつ、時間分解測定、すなわちTR−FRETシグナルを測定できるため有利である。この理由から、上記化合物は本発明の方法を行うのに通常好ましい。特に、ユーロピウムキレート若しくはクリプテート、又はテルビウムキレート若しくはクリプテートは、FRET対のエネルギードナーメンバーとして特に好適である。
ジスプロシウム(Dy3+)、サマリウム(Sm3+)、ネオジム(Nd3+)、イッテルビウム(Yb3+)、又はエルビウム(Er3+)の錯体は、本発明の目的に好適な希土類錯体であり、ユーロピウム(Eu3+)錯体及びテルビウム(Tb3+)錯体は特に好ましい。
非常に多くの希土類錯体が開示されており、現在、幾つかのものが特にPerkinElmer社、Invitrogen社、及びCisbio Bioassays社により商業的に開発されている。
本発明の目的に好適な希土類キレート又はクリプテートの例として以下のものが挙げられる。
・1以上のピリジン単位を含む希土類クリプテート。そのような希土類クリプテートは、例えば、欧州特許第0180492号明細書、欧州特許第0321353号明細書、欧州特許第0601113号明細書、及び国際公開第01/96877号などに開示されている。テルビウム(Tb3+)クリプテート及びユーロピウム(Eu3+)クリプテートは本発明の目的に特に好適である。希土類クリプテートはCisbio Bioassays社から販売されている。以下の式を有するユーロピウムクリプテート(反応基(この場合はNHS基など)を介して標識対象の化合物に結合できる)も挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 0005732452
Figure 0005732452
Py−BiPy−tetraacid−Euユーロピウムクリプテートは、生物学的媒体中で蛍光消光耐性があることから、本発明の実施に特に好適である。
・特に、米国特許第4761481号明細書、米国特許第5032677号明細書、米国特許第5055578号明細書、米国特許第5106957号明細書、米国特許第5116989号明細書、米国特許第4761481号明細書、米国特許第4801722号明細書、米国特許第4794191号明細書、米国特許第4637988号明細書、米国特許第4670572号明細書、米国特許第4837169号明細書、及び米国特許第4859777号明細書に開示されている希土類キレート。欧州特許第0403593号明細書、米国特許第5324825号明細書、米国特許第5202423号明細書、及び米国特許第5316909号明細書には、ターピリジンなどの九座(nonadentate)リガンドで構成されるキレートが開示されている。これらの希土類キレートはPerkinElmer社から販売されている。
・Poole R.ら(Biomol.Chem,2005,3,1013−1024“Synthesis and characterization of highly emissive and kinetically stable lanthanide complexes suitable for usage in cellulo”)により開示されているものなど、芳香環を含む発色団で置換された、テトラアザシクロドデカンなどのキレート剤を構成する希土類錯体も使用できる。国際公開第2009/10580号に開示された錯体も使用できる。
・以下の式を有するテルビウムクリプテートTb(KR)(反応基(この場合はNHS基など)を介して標識対象の化合物に結合できる):
Figure 0005732452
であって、その合成法が国際公開第2008/063721号に開示されているものは、本発明の実施に最も好適なテルビウムクリプテートの一つである。
・Cisbio Bioassaysから販売されているLumiphore社製のテルビウムクリプテートLumi4−Tb。
・以下の式を有するResearch Organics社製の「quantum dye」(反応基(この場合はNCS基)を介して標識対象の化合物に結合できる)。
Figure 0005732452
・以下の式を有する、Invitrogen社から販売されているテルビウムキレートDTPA−cs124 Tb(反応基Rを介して標識対象の化合物に結合できる)であって、その合成法が米国特許第5622821号明細書に開示されているもの。
Figure 0005732452
選択するドナーに応じて、上述のフェルスターの理論の原理を適用することにより、当業者であれば、本発明に従って使用されるFRETパートナー対のフェルスター半径を決定することができる。
下記表に、例として、フェルスター半径が20〜55ÅであるFRETパートナー対を列挙するが、これに限定されるものではない。
Figure 0005732452
これらの対の中で、Tb(KR)/フルオレセイン対、及びLumi4−Tb/フルオレセイン対が好ましい。
Figure 0005732452
Alexa化合物及びオレゴングリーン化合物はInvitrogen社から販売されており、Atto化合物はAttotec社から販売されており、Dy化合物はDyomics社から販売されており、Cy化合物はAmersham Biosciences社から販売されており、他の化合物は、Sigma社、Aldrich社、又はAcros社などの化学試薬の多くの供給メーカーから販売されている。
上記対の中で、Rが21〜48である対が本発明の目的に好ましい。
下記表に、例として、フェルスター半径が55Åより大きく、そのため、励起してから180〜800μ秒の遅延時間、及び200〜2000μ秒の積分時間でFRETシグナルを読み取る必要があるFRETパートナー対を列挙するが、これに限定されるものではない。
Figure 0005732452
Figure 0005732452
Tb(KR)/Dy648対、Lumi4−Tb/Dy648対、Tb(KR)/Dy647対、及びLumi4−Tb/Dy647対が特に好ましい。
1対のFRETパートナーのメンバーを用いた膜貫通タンパク質の標識
本発明の別の必須の特徴は、エネルギードナー又はエネルギーアクセプターによるVFTドメインを含む膜貫通タンパク質の標識が、ダイマーを構成する2つのサブユニットそれぞれのVFTドメインのN末端部で行われるということにある。
VFTドメインタンパク質をドナー又はアクセプターにより標識するのに幾つかの方法を使用でき、特に以下の方法のいずれかを使用してもよい。
(a)VFTドメインタンパク質とドナー又はアクセプターの間接的(非共有的)結合
ドナー又はアクセプターは、少なくとも1つがタンパク質性である1対の結合パートナーによりVFTドメインタンパク質と結合させることができる。この手法では、VFTドメインタンパク質を、従来の分子生物学的方法によってタンパク質性の結合パートナーと融合させる(VFTドメインタンパク質をコードする核酸配列を含んでおり、タンパク質結合パートナーをコードする核酸配列と融合させた発現ベクターを構築し、その発現ベクターを細胞に導入する)。本発明において、結合パートナーは、VFTドメインタンパク質のN末端部、好ましくはその末端に存在する。
ドナー又はアクセプターは、他の結合パートナー(本明細書では結合剤と称する)と共有結合しており、これがその後、細胞外媒体に添加される。結合パートナーが認識されると、VFTドメインタンパク質がドナー又はアクセプターにより間接的に標識される。
本発明の実施に特に好適な結合パートナーとして例えば以下のものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
・システイン−システイン−X−X−システイン−システイン配列(配列番号1、Xは任意のアミノ酸)と二ヒ素化合物とからなる対。これら二ヒ素化合物は、フルオレセイン型又はローダミン型の有機分子により容易に標識できる(当該方法の詳細に関しては、B.A.Griffin et al.(1998)Science.1998,281,269−271、及びS.A.Adams et al.(2002)J.Am.Chem.Soc.2002,124,6063−6076を参照)。
・ブンガロトキシン(BTX)により認識される、13個のアミノ酸からなるBTX(ブンガロトキシン)ペプチドは、蛍光分子に結合させることができる(C.M.McCann et al.(2005),Biotechnique(2005),38,945−952参照)。
・ストレプトアビジン(又はアビジン)/ビオチン対:ストレプトアビジン結合配列(SBP−Tag)は、ドナー又はアクセプターを用いて事前に標識可能なビオチンに対する親和性が高い、38個のアミノ酸からなる配列である(C.M.McCann et al.(2005),Biotechnique(2005),38,945−952参照)。
・特異的かつ高い親和性でトリメトプリムなどのリガンドに結合し、かつActive Motif社の「Ligand link Universal labeling technology」として知られる方法によってドナー又はアクセプターがグラフト結合できる大腸菌ジヒドロ葉酸還元酵素(eDHFR)の配列。
・タグ/アンチタグ対は、タンパク質の標識に一般的に使用される結合パートナーである。「タグ(tag)」という用語は、必須ではないものの通常は非常に短く(15個未満のアミノ酸)、かつ、VFTドメインタンパク質と融合しているか、又はこのタンパク質中にもともと存在するアミノ酸配列からなる小さなタンパク質「標識」をいう。「アンチタグ(antitag)」という用語は、上記「タグ」に特異的に結合する抗体をいう。これが行われる際は、「アンチタグ」抗体がドナー又はアクセプターに共有結合する。このように標識された抗体が細胞外媒体に添加されると、VFTドメインタンパク質と結合した「タグ」に結合し、「タグ/アンチタグ」相互作用より上記タンパク質はドナー又はアクセプターにより間接的に標識される。
「タグ/アンチタグ」対として例えば以下の対が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの対のメンバーは市販されており、例えばGST/アンチ−GST抗体(GSTはグルタチオンS−トランスフェラーゼ又はそのフラグメントを表す)、6HIS/アンチ−6HIS抗体(6HISは6つのヒスチジンからなるペプチド)、Myc/アンチ−Myc抗体(Mycは、ヒトMycタンパク質のアミノ酸410〜419からなるペプチド)、FLAG/アンチ−FLAG抗体(FLAGは、8個のアミノ酸DYKDDDDK(配列番号2)からなるペプチド)、HA/アンチ−HA抗体(HAは、9個のアミノ酸YPYDVPFYA(配列番号3)からなるインフルエンザヘマグルチニンエピトープ)などがある。明らかであるが、タグの正確な性質は本発明の実施に必須ではない。
(b)VFTドメインタンパク質とドナー又はアクセプターの直接的(共有的)結合
この手法では、ドナー又はアクセプターは、共有結合によりVFTドメインタンパク質と結合する。幾つかの方法が開示されており、これを行うのに必要な試薬は市販されている。この結合に、以下の方法のいずれかを用いることができる。
●VFTドメインタンパク質上に存在する反応基、特に以下の基の1つと共有結合を形成する:アミノ末端基、アスパラギン酸及びグルタミン酸のカルボン酸基、リシンのアミン基、アルギニンのグアニジン基、システインのチオール基、チロシンのフェノール基、トリプトファンのインドール環、メチオニンのチオエーテル基、及びヒスチジンのイミダゾール基。
これらのVFTドメインタンパク質に存在する基は、ドナー又はアクセプターが担持する反応基と共有結合を形成できる。好適な反応基は当業者に公知である。例えば、マレイミド基の官能基を有するドナー又はアクセプターは、タンパク質のシステインが担持するチオール基と共有結合可能である。同様に、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを担持するドナー/アクセプターは、VFTドメインタンパク質のアミンとの共有結合が可能である。
●自殺酵素の使用
自殺酵素は、基質と迅速に共有結合できるようにする特定の変異により酵素活性が変化したタンパク質である。上記酵素は、各々が1つの蛍光分子としか結合できず、基質の結合により酵素活性がブロックされるため、自殺酵素と呼ばれている。結果的に、この酵素は、1つのタンパク質に1つの蛍光分子の割合で対象のタンパク質を特異的に標識するのに選択される道具となる。例えば以下の酵素が挙げられるが、これに限定されるものではない。
・O6−アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(AGT)変異体。NEB社から販売されているSnap−tag(Juillerat et al.,Chemistry&biology,Vol.10,313−317 April 2003)酵素、及びClip−tag(Gautier et al.,Chemistry et Biology,15,128−136,February 2008)酵素は、ヒトAGTの変異体であり、基質はそれぞれ、O6−ベンジルグアニン(以下BGと略す)、及びO2−ベンジルシトシン(以下BCと略す)である。N−AGT酵素(Gronemeyer et al.,Protein engineering,design&selection,vol.19,No.7,pp 309−316,2006)は、上記酵素の別の変異体であり、そのO6−ベンジルグアニンとの反応性はSnap−tag酵素よりも高い。O6−アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ変異体が自殺酵素として好ましい。
・自殺型の酵素反応(国際公開第04/072232号(A2)参照)も起こす、デハロゲナーゼの変異体(Promegaから販売されているHaloTag酵素など)。この変異体の基質の幾つかは、クロロアルカンファミリーの化合物であり、特に、−NH−CHCH−O−CHCH−O−(CH−Clモチーフを含むクロロアルカンである。この場合、ドナー/アクセプターはこの種のモチーフと結合する。
・ホスホパンテテイントランスフェラーゼの存在下、補酵素Aの4’−ホスホパンテテイン残基がACPのセリン上に転移するACPタンパク質(アシルキャリアタンパク質)(N.George et al.,Journal of the American Chemical society 126(2004)p 8896−8897)。この手法を用いて、ドナー又はアクセプターによりVFTドメインタンパク質を標識する場合、ホスホパンテテイントランスフェラーゼを反応媒体に添加する必要がある。NEB社は、タンパク質標識用にACPフラグメントを商品名「ACP−Tag」として販売している。
上記手法では、従来の分子生物学的方法によって、自殺酵素をVFTドメインタンパク質とそのN末端部で融合させ(自殺酵素をコードする核酸配列とVFTドメインタンパク質をコードする核酸配列を含む発現ベクターを作製し、そのベクターを細胞に導入する)、ドナー/アクセプターと共有結合した酵素基質を細胞外媒体に導入する。酵素反応の結果、標識された基質と酵素が共有結合することで、ドナー又はアクセプターによりVFTドメインタンパク質が標識される。
自殺酵素の使用は、本発明の実施において特に好ましい。この場合、VFTドメインを含む膜タンパク質が、VFTドメインタンパク質を含み、かつ、N末端に、基質と共有結合可能な自殺酵素又は自殺酵素フラグメントを含む融合タンパク質の形態で発現する。その後、FRETパートナー対のメンバーであって、上記自殺酵素の基質と共有結合した化合物の1つを測定媒体に添加することにより、VFTドメインタンパク質を標識することができる。
さらにより好ましい一実施態様では、ダイマーを構成するサブユニットはそれぞれ、自殺酵素との融合タンパク質の形態で発現する。この場合、各サブユニットに使用される自殺酵素は異なっていても、同一であってもよい。
Maurelらは、自殺酵素(Snap−tag)をVFTドメインタンパク質(GABA B1、GABA B2、mGlu1)のN末端部に含む融合タンパク質をコードするプラスミドの作製法、及び上記プラスミドの細胞へのトランスフェクト法を説明している(Nature Methods,2008,Supplementary methods)。使用された方法は一般的な分子生物学的方法である。
FRETシグナルの測定
エネルギードナーの吸収波長で測定媒体を励起することができ、かつドナー化合物及び/又はアクセプター化合物(蛍光性を有する場合)の発光波長での測定媒体からの発光を測定することができる蛍光計を使用して従来法によりFRETシグナルを測定する。
上記媒体からの発光は、励起してからある遅延時間が経過した後、積分時間と呼ばれる期間で検出する。これら2つのパラメータは市販の蛍光計で調整可能である。
好ましい一実施形態では、特に、FRETパートナー対のフェルスター半径(R)が20〜55Åの範囲内に含まれる場合、シグナルは、励起してから20〜100μ秒の遅延時間、及び100〜500μ秒の積分時間で測定する。時間窓として以下の時間窓がそれぞれ好ましい:50〜300μ秒、50〜400μ秒、50〜450μ秒、40〜250μ秒、100〜300μ秒。
好ましい別の実施形態では、FRETパートナー対のフェルスター半径(R)に関わらず、シグナルは、励起してから180〜800μ秒の遅延時間、及び200〜2000μ秒の積分時間で測定する。時間窓として以下の時間窓がそれぞれ好ましい:300〜650μ秒、500〜1000μ秒、500〜1500μ秒、800〜1800μ秒。上述の通り、後者の実施形態は、FRETパートナー対のフェルスター半径(R)が55Åよりも大きい場合には必須である。
エネルギードナー化合物とアクセプター化合物が互いに接近することで、エネルギー移動量が増加(FRETが増加)し、結果として、
・アクセプター(蛍光性を有する場合)の発光波長の発光量が増加し、
・ドナーの発光波長の発光量が減少、すなわち、ドナー化合物の蛍光の寿命が減少する。
従って、FRETシグナルの変化は、ドナーによる発光又はアクセプターによる発光を検出することにより測定できる。アクセプター化合物による発光を検出することによりFRETシグナルを測定するのが好ましい。
ドナー化合物によるその発光波長の発光、及びアクセプター化合物によるその発光波長の発光の両方(同時である必要はない)を検出してから、2つの値の比の計算などによりアクセプターで得たシグナルをドナーで得たシグナルで補正することによってFRETの変化を測定するのがさらにより好ましい。この場合、「FRETの増加」はアクセプター/ドナー比の上昇に相当する。蛍光計は、通常、この種の読み取りが可能なモードを含むものである。また、ドナー化合物及びアクセプター化合物の発光は同じ時間窓で測定する必要はない。
長寿命のエネルギードナー化合物を使用した場合に可能となる時間分解FRET(TR−FRET)によりFRET測定を行うのが特に有利であるが、これはこの種の測定では多くの干渉をなくすことができるためである。本発明の方法をFRETモードで行うことができるとしても、TR−FRETモードが非常に好ましい。
試薬キット
本発明は、本発明の方法を行うための構成要素のキット、すなわち、上述の試薬を、場合によっては本発明におけるその使用上の指示を伴って、含むキットにも関する。特に、上記キットは、
・同一か又は異なる第一タンパク質及び第二タンパク質で構成される、VFTドメインタンパク質のダイマーを含む細胞膜、
・1対のFRETパートナー、
・上記第一タンパク質のVFTドメインのN末端部を上記FRETパートナー対の一方のメンバーにより標識する手段、及び、上記第二タンパク質のVFTドメインのN末端部を上記FRETパートナー対のもう一方のメンバーにより標識する手段、
・上記FRETシグナルは、参照アゴニスト又はアンタゴニスト化合物の存在下とその非存在下で測定されたシグナルが異なるものとなる時間窓内で測定されなければならないという指示
を含む。
後者の指示は、本発明の方法において上述したような適切な時間窓に言及するものであってもよい。
特定の一実施形態では、上記キットは、
(i)フェルスター(Forster)半径(R)が20〜55Åである1対のFRETパートナーと、FRETシグナルが、励起してから20〜100μ秒の遅延時間、及び100〜500μ秒の積分時間で測定されなければならないという指示とを含むか;又は、
(ii)フェルスター半径(R)が55Åよりも大きい1対のFRETパートナーと、FRETシグナルが、励起してから180〜800μ秒の遅延時間、及び200〜2000μ秒の積分時間で測定されなければならないという指示とを含む。
特に好ましい一実施形態では、標識手段は、ダイマーの構成タンパク質を共有結合により標識するために自殺酵素を使用することによる。この実施形態では、上記第一タンパク質及び第二タンパク質はそれぞれ自殺酵素との融合タンパク質の形態で発現し、上記FRETパートナー対の各メンバーはそれぞれ上記自殺酵素の基質に共有結合している。
例えば、検討するダイマーを構成する上記第一タンパク質及び第二タンパク質がそれぞれ上記FRETパートナー対のメンバーで標識されている場合などには、本発明のキットの構成要素がちょうど1つの製品を成すことも可能である。このように、本発明は、それぞれVFTドメインのN末端部で1対のFRETパートナーのメンバーにより標識されている同一か又は異なる第一タンパク質及び第二タンパク質で構成される、VFTドメインタンパク質のダイマーを含む細胞膜を含み、さらに、上記FRETシグナルは、参照アゴニスト又はアンタゴニスト化合物の存在下とその非存在下で測定されたシグナルが異なるものとなる時間窓内で測定されなければならないという指示も含むキットにも関する。
以下の物質を実施例1〜12で使用した。
試薬
モジュレータ(アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリックモジュレータ):
DCG IV、L−グルタミン酸、及びLY341495は、Tocris Biosciencesカタログにおいて入手可能である。4−MPPTS(mGluR2受容体のポジティブアロステリックモジュレータ、LY487379ともいう)はAddex Pharmaceuticalsより提供されたものであり、その合成法は米国特許第6800651号明細書に記載されている。
培地:
DMEM、DMEM+Glutamax、MEM−NEAA、MEM−ペニシリン/ストレプトマイシン、トリプシン/EDTAはGibcoカタログで入手可能である。使用したウシ胎仔血清はLonzaブランド(南アメリカ型(バッチ:7SB0017))である。
蛍光結合体:
BG−Lumi4−Tb:ベンジルグアニン−Lumi4−Tb結合体(Cisbio Bioassaysから販売、Tag−Lite(登録商標)SNAP−Lumi4Tb)。BGはSnap−tag酵素の基質である。
BC−フルオレセイン:ベンジルシトシン−フルオレセイン結合体(NEB社から商品名CLIP−Vista Greenで販売)。BCはClip−tag酵素の基質である。
BG−フルオレセイン:ベンジルグアニン−フルオレセイン結合体(NEB社から商品名SNAP−Vista Green(New England Biolabs)で販売)。
Tag−Lite(登録商標)SNAP−Green:ベンジルグアニン−フルオレセイン結合体(Cisbio Bioassays社から販売)。
Tag−Lite(登録商標)SNAP−red:ベンジルグアニン−シアニン誘導体結合体(発光ピーク:670nm、Cisbio Bioassaysから販売)。
他の試薬:
DMSO、Tris(Trizma Base)、NaCl、KHPO、MgSO、KCl、及びCaClはSigma−Aldrichカタログで入手可能である。
GPCR1−GPCR2ダイマーの発現に使用するプラスミド
HA−Snaptag−[GPCR1]融合タンパク質、及びFlag−Cliptag−[GPCR2]融合タンパク質(GPCR1及びGPCR2は、細胞により発現させることを意図したGPCRを表す)をコードするDNAを含む発現ベクターは、従来の分子生物学的方法によりprK5ベクターから作製し、その配列はシークエンシングにより確認した。4661塩基対を含む上記配列は配列番号4の配列である。このプラスミドの特徴的な制限部位の位置を以下に示す。
Figure 0005732452
上記ベクター(以下、prK5−HA−Snaptag−[GPCR1]、又はprK5−Flag−Cliptag−[GPCR2]という)は、CMVプロモータ、ATG開始コドン、mGluR5のシグナルペプチドをコードするDNA配列、インフルエンザヘマグルチニンエピトープ(HA)又はFLAGエピトープ、Snap−tag酵素又はClip−tag酵素をコードするDNA配列、[GPCR1]又は[GPCR2]受容体をコードするDNA配列(その開始コドン、及びシグナルペプチドをコードする配列が存在する場合は、それらを除く)、最後に終止コドンを含む。
実施例1で使用するHA−Snaptag−mGluR融合タンパク質及びFlag−Cliptag−mGluR融合タンパク質をコードするプラスミドの配列は、配列番号5及び配列番号6の配列である。
配列番号5の配列では、コード領域の位置はそれぞれ以下である。
・mGluRのシグナルペプチド :937−1002;
・HAエピトープ :1009−1035;
・Snap−tag :1042−1590;
・mGluR :1597−4149
配列番号6の配列では、コード領域の位置はそれぞれ以下である。
・mGluRのシグナルペプチド :937−1002;
・FLAG :1015−1038;
・Clip−tag :1045−1593;
・mGluR :1600−4152
他の受容体の配列を含むプラスミドは、対象の受容体をコードする領域を除けば同一なものである。使用した各種受容体の配列はGenbankデータバンクで入手できる。
当業者であれば、既に文献(Maurelら、上記)に記載されているプラスミドからのサブクローニングか、又は直接、遺伝子合成により上記プラスミドを容易に構築できるであろう。
細胞:Cos−7細胞系(市販品)を使用した。
完全培地:DMEM+10%ウシ胎仔血清+MEM−NEAA+MEM−ペニシリン/ストレプトマイシン
エレクトロポレーションバッファ:50mM KHPO、20mM CHCOOK、20mM KOH、50mM MgSO
標識バッファ:DMEM+glutamax
洗浄及び読み取りバッファ:20mM Tris、118mM NaCl、1.2mM KHPO、1.2mM MgSO、4.7mM KCl、1.8mM CaCl;pHは7.4に調整
実施例1:mGluR−mGluRダイマーにアゴニスト作用を示す活性化化合物の検出(使用したFRETパートナー対のR:48Å)
プロトコル:
エレクトロポレーションによるトランスフェクト
Cos−7細胞を完全培地中、37℃、5%COで培養した。コンフルエンス状態で、細胞をPBSで一度洗浄し、トリプシン−EDTA溶液により10分間37℃で分離した。1000万細胞の懸濁液を5μgの全DNA(prK5プラスミド(3.5μg)、prK5 Flag−Cliptag−mGluR2プラスミド(1.2μg)、及びprK5 HA−Snaptag−mGluR2プラスミド(0.3μg))と混合して最終体積300μLのエレクトロポレーションバッファとした後、4mmエレクトロポレーションキュベット(Eurogentec)中、GenePulser IIエレクトロポレータ(BIO−RAD)を使用して280V、900μFの電気ショックを与えた。その後、細胞を96ウェルプレート(Greiner CellStar 96ウェルプレート)に150,000細胞/ウェルで播種し、完全培地の最終体積を100μL/ウェルとしてから、24時間インキュベートした。
標識
トランスフェクトしてから24時間後、標識バッファ(50μL)+BG−Lumi4−Tb(0.3μM)、及びBC−フルオレセイン(1μM)の存在下、細胞を2時間、37℃でインキュベートした。
その後、細胞を洗浄バッファ(100μL)を用いて4回洗浄し、洗浄バッファ(100μL)中で読み取りを行った。
読み取り
フルオレセイン(アクセプター)の波長で放射された蛍光をAnalyst ADマイクロプレートリーダ(Molecular Devices)により、TRFモード、遅延時間50μ秒、積分時間450μ秒、励起フィルタ320nm帯域幅(BW)25、BB/UVダイクロイックミラー、蛍光フィルタ520nmBW10で読み取った。以下、このFRETシグナルをTRF520と称す。一回目は、プレートをグルタミン酸塩の非存在下で読み取った。
次に、グルタミン酸塩溶液(20μL)を読み取りバッファ(100μL)に添加し、ウェル(全容積:120μL)中の最終濃度を316μM、100μM、31.6μM、10μM、3.16μM、1μM、又は0.316μMとした。
2回目は、グルタミン酸塩の添加後、プレートを読み取った。
結果
図1は、グルタミン酸塩濃度に対するTRF520のシグナルを示す。このシグナルは、1回目の読み取り時、すなわちグルタミン酸塩の添加前に読み取られたTRF520の百分率として示されている。すなわち以下の式により算出されるものである。
Figure 0005732452
アゴニスト(グルタミン酸塩)の存在下では、TRF520の減少がみられるが、クリプテートの蛍光の減少もアクセプターの蛍光の減少もその原因とはなり得ない。これは、ドナー化合物からアクセプター化合物へのエネルギー移動(FRET)の効率が変化したことを示しており、特に蛍光団間の距離が変化したことによるものであると考えられる。
この変化は用量依存的である、すなわち、グルタミン酸塩アゴニストの濃度に依存する。曲線はS字形曲線の形状である。ここで、TRF520を最大変化量の半分まで変化させるのに必要な濃度は、GluR2受容体に対するグルタミン酸塩の薬理学的EC50に非常に近い。これにより、TRF520が変化する際に観察される現象が受容体の活性化であることが強く示唆される。
この実施例から、本発明の方法によりダイマー活性化化合物、特にアゴニスト化合物を明らかにできることが示される。mGluRホモダイマーの場合、活性化化合物はTRF520シグナルを減少させる。
実施例2:mGluR2−mGluR2ダイマーに競合的アンタゴニスト作用を示す不活性化化合物の検出(使用したFRETパートナー対のR:48Å)
試薬及びプラスミド
実施例1の記載と同じ試薬及びプラスミドを使用した。公知のアンタゴニスト化合物LY341495(Tocris Bioscience)を使用した。
プロトコル
実施例1の記載と同じプロトコルを使用した。最終濃度は、[グルタミン酸塩]=100μM(全てのウェル)、[LY341495]=1000nM、316μM、100nM、31.6nM、10nM、3.16nM、又は1nM。
結果
図2は、一定濃度のグルタミン酸塩の存在下での、LY341495アンタゴニスト濃度に対するTRF520のシグナルを示す(対照曲線:グルタミン酸塩の非存在下)。
グルタミン酸塩の存在下、かつ競合的アンタゴニストLY341495の非存在下では、受容体は活性化され、TRF520は50%まで変化する。アンタゴニストが存在すると、このグルタミン酸塩のTRF520に対する作用は妨げられ、アンタゴニスト濃度が上昇するにつれ測定されるシグナルは増大するが、これは、アゴニスト濃度が上昇する際にみられるものとは対照的である(実施例1)。アンタゴニスト濃度が最大(1μM)である場合、アゴニストによるFRETの変化は完全に阻害される(100%)。グルタミン酸塩によるFRETの変化を50%阻害するのに必要な濃度(この場合150nM)は、グルタミン酸塩の薬理学的作用を50%阻害するのに必要な濃度(IC50)とあまり変わらない。
この実施例から、本発明の方法が、公知のアンタゴニスト化合物の不活性化作用を明らかにするのに有効であることが示される。試験化合物を用いて同様に行うことで、当該化合物がアンタゴニスト作用を示すかどうかを決定できる。
実施例3:mGluR2−mGluR2ダイマーに部分的アゴニスト作用を示す活性化化合物の検出(使用したFRETパートナー対のR:48Å)
試薬及びプラスミド
実施例1の記載と同じ試薬及びプラスミドを使用した。使用した公知の部分的アゴニスト化合物はDCG−IV(Tocris Bioscience)であり、参照完全アゴニストであるグルタミン酸塩と比較した。
プロトコル
実施例1のプロトコルを使用した。[DCG−IV]の最終濃度は以下である:100μM、31.6μM、10μM、3.16μM、1μM、0.316μM、又は0.1μM。
結果
図3は、グルタミン酸塩(完全アゴニスト)又はDCG−IV(部分的アゴニスト)の濃度に対するTRF520のシグナルを示す。
グルタミン酸塩と同様に、DCG−IVはTRF520シグナルを用量依存的に阻害することができる。最大変化量の半分まで変化させるのに必要な濃度は、DCG−IVの薬理学的EC50(0.4μM)に近い。しかしながら、DCG−IVで得た最大変化量は30%であるのに対し、グルタミン酸塩では50%である。この結果から、DCG−IVが部分的なアゴニスト性を示し、従ってFRETの最大変化量が参照アゴニストで得たものより小さくなることが確認される。
この実施例から、本発明の方法を用いて、mGluRダイマーに対して部分的アゴニスト型活性化作用を示す化合物を選択できることが示される。
実施例4:mGluR2−mGluR2ダイマーにポジティブアロステリックモジュレータ(PAM)作用を示す活性化化合物の検出(使用したFRETパートナー対のR:48Å)
試薬及びプラスミド
実施例1の試薬及びプラスミドを使用した。公知のポジティブアロステリックモジュレータ化合物である4−MPPTS(=mGluR2 PAM、LY487379ともいう)を使用した。
プロトコル
実施例1に記載のプロトコルを使用した。
最終濃度は、[4−MPPTS]=10μM、[グルタミン酸塩]=1000μM、316μM、100μM、31.6μM、10μM、3.16μM、又は1μM。
結果
図4は、4−MPPTSの存在下又は非存在下(対照)での、グルタミン酸塩濃度に対するTRF520のシグナルの変化を示す。
所定のグルタミン酸塩濃度では、4−MPPTSの非存在下よりもその存在下でシグナルが大幅に減少する。
この実施例から、本発明の方法を用いて、ポジティブアロステリック調節作用を示す化合物を明らかにできることが示される。
実施例5:2つの異なる自殺酵素で標識する必要はない(使用したFRETパートナー対のR:48Å)
この実施例では、シグナルプラスミドであるprK5−HA−Snaptag−mGluR2を使用してmGluR2ホモダイマーを発現させた。プロトコルは、トランスフェクトしたDNA量が4μg(prK5)+1μg(prK5−HA−Snaptag−mGluR2)である点が異なるだけで、あとは実施例3で使用したものと同じである。
以下の蛍光結合体を使用した:標識媒体中、0.1μMの濃度のBG−Lumi4−Tb、及び0.02μMのBG−フルオレセイン。
図5は、グルタミン酸塩及びDCG−IVの濃度の上昇に対するFRETシグナルの変化を示し、ダイマーを構成する各タンパク質(この場合、ホモダイマーを構成する各mGluR2)が同じ方法(この場合、BG/Snap−tag法)で標識できることを示す。従って、2つの異なる自殺酵素の使用は必須ではない。
実施例6:mGluR2−mGluR2、mGluR3−mGluR3、又はmGluR4−mGluR4ホモダイマーにアゴニスト作用を示す活性化化合物の検出(使用したFRETパートナー対のR:48Å)
mGluR3−mGluR3ホモダイマー、又はmGluR4−mGluR4ホモダイマーのいずれかを発現可能なプラスミドを使用して実施例1を再現した。prK5−HA−Snaptag−mGlu3、prK5−Flag−Cliptag−mGlu3、prK5−HA−Snaptag−mGlu4、及びprK5−Flag−Cliptag−mGlu4の各プラスミドを得る手順は、「使用するプラスミド」部に記載した。以下の点のみ異なるが、あとは実施例1に記載のプロトコルに従った:トランスフェクトしたDNA量が、
・mGlu2の場合、実施例1と同じ、
・mGlu3の場合、3.5μg(prK5プラスミド)、1.2μg(prK5 Flag−Cliptag−mGluR3プラスミド)、及び0.3μg(prK5 HA−Snaptag−mGluR3プラスミド)、
・mGlu4の場合、3.5μg(prK5プラスミド)、1.2μg(prK5 Flag−Cliptag−mGluR4プラスミド)、及び0.3μg(prK5 HA−Snaptag−mGluR4プラスミド)である点。
得た用量反応曲線を図6に示す。mGluR3−mGluR3受容体で観察されたシグナルの変化は他の場合で測定されたもの程大きくはないものの、mGluR2−mGluR2ホモダイマーを使用して実施例1で得た結果は、mGluR4−mGluR4及びmGluR3−mGluR3を使用した場合にも確認できる。
この実施例から、各種の代謝型グルタミン酸受容体を使用して本発明の方法を行うことができることが示される。
実施例7:mGlu3センサの場合:アンタゴニスト感受性であるが、アゴニスト感受性はあまり高くない(使用したFRETパートナー対のR:48Å)
この実施例では、以下に示したプラスミド及びそれらの量を使用して実施例1のプロトコルを用いた。
・標識されたmGluR3ホモダイマーを発現させるため、3.5μg(prK5プラスミド)、1.2μg(prK5 Flag−Cliptag−mGluR3プラスミド)、及び0.3μg(prK5−HA−Snaptag−mGluR3プラスミド)を使用した。
・LY341495アンタゴニストの濃度を上昇させて、最終濃度:1μM、320nM、100nM、32nM、10nM、3.2nM、及び1nMとした。
結果
図7は、LY341495濃度に対してTRF520シグナルを示す。
アンタゴニストを添加すると、TRF520シグナルが用量依存的に増大する。
この実施例から、本発明の方法を行って、対象の受容体を不活性化する分子をスクリーニングできることが示される。
実施例8:mGluR2−mGluR2、mGluR3−mGluR3、及びmGluR4−mGluR4の各ホモダイマー、並びにmGluR2−mGluR3、及びmGluR2−mGluR4の各ヘテロダイマーにアゴニスト作用を示す活性化化合物の検出(使用したFRETパートナー対のR:48Å)
mGluR2−mGluR2、mGluR3−mGluR3、若しくはmGluR4−mGluR4ホモダイマー、又はmGluR2−mGluR3、若しくはmGluR2−mGluR4ヘテロダイマーを発現可能なプラスミドを使用して実施例1を再現した。得た用量反応曲線を図8に示す。実施例1及び6で得た結果を確認できる。
この実施例から、代謝型グルタミン酸受容体のホモダイマーを使用した場合だけでなく、そのサブタイプ間ヘテロダイマーを使用した場合にも本発明の方法を行うことができることが示される。
実施例9:mGluR1−mGluR1ホモダイマー、及びmGluR8−mGluR8ホモダイマーに対する調節化合物の作用の検出(使用したFRETパートナー対のR:48Å)
mGluR1−mGluR1、mGluR2−mGluR2、mGluR3−mGluR3、及びmGluR8−mGluR8の各ホモダイマーを発現する細胞を、実施例5の記載と同様な手法により調製し、各mGluR受容体をSnap−tag酵素との融合タンパク質の形態で発現させた。
以下の蛍光結合体を使用して標識を行った:標識媒体中、0.1μMの濃度のBG−Lumi4−Tb(ドナー)、及び0.1μMのBG−フルオレセイン(アクセプター)。
フルオレセインの波長(520nm)で放射された蛍光と、テルビウムの波長(620nm)で放射された蛍光を、Infinit500マイクロプレートリーダにより、50μ秒の遅延時間、及び400μ秒の積分時間で測定した。
標識バッファ、又はアゴニスト(1mMのグルタミン酸塩)、又はアンタゴニスト(0.1mMのLY341495)の存在下で上記測定を行った。
520nm及び620nmで放射されたシグナルの比を算出した。以下、この比を「FRET比」という。
図9は、アゴニスト(グルタミン酸塩)若しくはアンタゴニスト(LY341495)の存在下、又はそれらの化合物の非存在下(バッファ)で観察されたFRET比の変化を示す。アンタゴニストの存在下で観察されたものに対して100%値を任意に選択する。
本結果により、上記実施例においてmGluR2ホモダイマー及びmGluR3ホモダイマーで得た結果を確認でき、本発明の方法により、mGluR8ホモダイマー及びmGluR1ホモダイマーをアゴニスト又はアンタゴニストと接触させるとFRETシグナルを変化させることができることが示される。
実施例10:mGluR1、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、及びmGluR8の各ホモダイマーに対する調節化合物の作用の検出(使用したFRETパートナー対のR:48Å)
mGluR1、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、及びmGluR8の各ホモダイマーを使用して実施例9を再現し、今回は、500μ秒の遅延時間、及び1000μ秒の積分時間で蛍光を測定した。
図10の結果から、上記実施例で観察された結果、すなわち、本発明の方法がほとんどのmGluR受容体を調節する化合物を明らかにするのに好適であることを確認できる。
実施例11:mGluR8ホモダイマーに対する調節化合物の作用の検出(使用したFRETパートナー対のR:58Å)
mGluR8−mGluR8ダイマーを発現する細胞を使用し、R>55Åの蛍光化合物を使用して実施例9を再現した。この場合、BG−Lumi4−Tb(ドナー、0.1μM)、及びTag−Lite(登録商標)SNAP−red(アクセプター、0.25μM)を使用して標識を行った。
Rubystarリーダにより665nm(アクセプター)及び620nm(ドナー)で以下の時間窓:50〜450μ秒内、50〜150μ秒内、及び500〜1500μ秒内、蛍光を測定した(図11)。
従来使用されてきた時間窓内、すなわち50〜450μ秒内でシグナルが測定される場合、調節(アゴニスト又はアンタゴニスト)化合物の存在下、シグナルに著しい変化はみられない。50〜150μ秒の時間窓内で蛍光が測定される場合、アゴニストの存在下、著しい変化がみられる。500〜1500μ秒の時間窓内で蛍光が測定される場合、アゴニスト又はアンタゴニストの存在下、非常に著しい変化がみられる。
実施例12:R>55Åの1対のFRETパートナー:BG−TrisBiPy−pentaacid−Eu及びTag−Lite(登録商標)SNAP−Redを使用した場合のmGluR8ホモダイマー及びmGluR2ホモダイマーに対する調節化合物の作用の検出(使用したFRETパートナー対のR:58Å)
mGluR8−mGluR8ダイマー又はmGluR2−mGluR2ダイマーを発現する細胞を使用し、R>55Åの蛍光化合物を使用して実施例9を再現した。この場合、ベンジルグアニンと結合したユーロピウムクリプテート(BG−TrisBiPy−pentaacid−Eu、ドナー、0.2μM)、及びTag−Lite(登録商標)SNAP−red(アクセプター、0.25μM)を使用して標識を行った。
Rubystarリーダにより665(アクセプター)及び620(ドナー)で以下の時間窓:50〜450μ秒内、及び300〜650μ秒内、蛍光を測定した(図12)。
従来使用されてきた時間窓内、すなわち50〜450μ秒内でシグナルが測定される場合、調節(アゴニスト又はアンタゴニスト)化合物の存在下、シグナルに著しい変化はみられない。300〜650μ秒の時間窓内で蛍光が測定される場合、アゴニスト又はアンタゴニストの存在下、著しい変化がみられる。

Claims (13)

  1. 測定媒体中に存在する細胞膜で発現するVFTドメインタンパク質のダイマーの活性状態を調節する効果を有する化合物を選択する方法であって、ここで前記ダイマーは、同一か又は異なる第一タンパク質及び第二タンパク質で構成されており、第一タンパク質及び第二タンパク質はそれぞれVFTドメインを有しており、
    前記方法は以下の工程:
    (a)前記第一タンパク質をそのVFTドメインのN末端部で1対のFRETパートナーのメンバーにより標識する工程;
    (b)前記第二タンパク質をそのVFTドメインのN末端部でその1対のFRETパートナーの他方のメンバーにより標識する工程;
    )前記FRETパートナーを励起し、試験化合物の非存在下及び存在下、RETシグナルを測定する工程;
    )工程()において前記試験化合物の非存在下とその存在下で測定されたFRETシグナルに差異がある場合に、その試験化合物を調節化合物として選択する工程
    を含み、ここで工程()において前記FRETシグナルは、参照化合物の存在下とその非存在下で測定されたシグナルが異なるものとなる時間窓内で測定され、前記参照化合物が前記ダイマーのアゴニスト又はアンタゴニストである、方法。
  2. 工程()において前記シグナルは、励起してから180〜800μ秒の遅延時間、及び200〜1000μ秒の積分時間で測定される
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. (i)前記FRETパートナー対のフェルスター半径(R)は20〜55Åであり、かつ、工程()において前記FRETシグナルは、励起してから20〜100μ秒の遅延時間、及び100〜500μ秒の積分時間で測定されるか;又は、
    (ii)前記対のフェルスター半径(R)は55Åよりも大きく、かつ、工程()において前記FRETシグナルは、励起してから180〜800μ秒の遅延時間、及び200〜1000μ秒の積分時間で測定される
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記試験化合物の存在下及び非存在下でのFRET測定は、前記ダイマーの公知のアゴニストの存在下で行われる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第一タンパク質及び第二タンパク質は、VFTドメインを含むクラスCのGタンパク質共役受容体である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記VFTドメインタンパク質のダイマーは、代謝型グルタミン酸受容体、γ−アミノ酪酸受容体、甘味知覚関連受容体、旨味知覚関連受容体、細胞外カルシウム感知受容体、又は塩基性アミノ酸受容体から選択される
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記VFTドメインタンパク質のダイマーは、代謝型グルタミン酸受容体であるか、又は、TAS1R2−TAS1R3、若しくはTAS1R1−TAS1R3から選択される
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記第一タンパク質及び第二タンパク質の前記FRETパートナー対のメンバーによる標識は、1対の結合パートナーによる間接標識か、又は共有結合による直接標識のいずれかである
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記第一タンパク質及び第二タンパク質はそれぞれ自殺酵素との融合タンパク質の形態で発現し、前記第一タンパク質及び第二タンパク質の標識は、前記自殺酵素の基質にそれぞれ共有結合している前記FRETパートナー対の各メンバーを前記測定媒体に添加することにより行われる
    ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 前記第一タンパク質及び第二タンパク質はそれぞれ、異なる自殺酵素との融合タンパク質の形態で発現する
    ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 前記第一タンパク質及び第二タンパク質はそれぞれ、同一の自殺酵素との融合タンパク質の形態で発現する
    ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
  12. 前記自殺酵素は、O6−アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ変異体、デハロゲナーゼ変異体、又はアシルキャリアタンパク質フラグメントから選択される
    ことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記FRETパートナー対は、
    (i)一方は、ユーロピウムキレート、テルビウムキレート、ユーロピウムクリプテート、及びテルビウムクリプテートから選択される蛍光ドナー化合物、
    (ii)もう一方は、ローダミン、シアニン、スクアライン、クマリン、プロフラビン、アクリジン、フルオレセイン、ニトロベンゾオキサジアゾール、シアン蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、オレンジ色・赤色蛍光タンパク質、及び近赤外領域で蛍光性を有するタンパク質から選択される蛍光性有機分子であるアクセプター蛍光化合物
    で構成される
    ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
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