以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態にかかる回転式電子部品1−1の斜視図、図2は回転式電子部品1−1を下側から見た斜視図、図3は図1のA−A概略断面図、図4は回転式電子部品1−1の上側の部品を示す分解斜視図、図5は回転式電子部品1−1の下側の部品を示す分解斜視図、図6は回転式電子部品1−1を下側から見たときの上側の部品を示す分解斜視図、図7は回転式電子部品1−1を下側から見たときの下側の部品を示す分解斜視図である。なお図3における各部品の断面の位置は図示の都合上異なっている部分がある。また以下の説明において、「上」とは第1回路基板270から第2回路基板210を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。
これらの図に示すように回転式電子部品1−1は、第1シャフト10と、回転つまみ30と、ケース50と、第2回転体60と、第2検出手段となる摺動子80と、クラッチ部材90と、第2シャフト110と、第1回転体130と、クリック弾接体(以下「クリック板」という)150と、第1検出手段となる摺動子170と、第2回路基板210を構成する第2フレキシブル回路基板180及び第2基板支持体190と、第1回路基板270を構成する第1フレキシブル回路基板230及び第1基板支持体250と、第2回転体60に設置されるクリック体(以下「クリック用ボール」という)290及び弾発手段(以下「コイルバネ」という)300と、第1基板支持体250に設置される位置決め用弾発手段(以下「位置決め用ボール」という)310及び弾発部材(以下「コイルバネ」という)320と、を具備して構成されている。
第1シャフト10は合成樹脂製であり、円板状の上面板11の中央に開口13を設け、上面板11の下面の開口13の周囲から下方に向けて筒状の突部15を設け、突部15の下端辺に4つの小突起からなる係合部17を設けて構成されている。
回転つまみ30は合成樹脂製であり、円板状の上面板31の周囲に筒状の側壁部33を設け、また上面板31の中央に開口35を設け、上面板31の下面の開口35の周囲から下方に向けて筒状の軸部37を設け、軸部37の下端辺に5つの小突起からなる取付部39を設けて構成されている。上面板31の上部は、側壁部33の上部によって囲まれる凹部41となっている。
ケース50は合成樹脂製であり、円板状の上面板51の中央に軸支孔53を設け、上面板51の周囲に筒状の側壁部55を設け、側壁部55の下端辺に4つの小突起からなる係止部57を設け、上面板51の下面の軸支孔53の周囲にリング状に多数の凹凸からなる第2クリック弾接部59を設けて構成されている。
第2回転体60は合成樹脂製であり、円板状の上面板61の中央に軸支孔63を設け、上面板61の周囲に筒状の側壁部65を設け、また側壁部65の内周面の一部を突出してその下面に摺動子取付部67を設け、また上面板61の上面の外周近傍の所定位置に円形有底の穴からなる弾発部材収納部69を設けて構成されている。さらに上面板61の軸支孔63の内周辺には、多数の同一形状の凹凸を全周に形成してなる第2クラッチ係合部71が形成されている。摺動子取付部67には2つの小突起73が設けられている。
摺動子80は弾性金属板製であり、基部81と基部の1辺から突出して基部81の下面側に折り曲げられる一対の摺動接点83とを有し、また基部81に2つの小孔85を形成して構成されている。摺動子80は下記する摺接パターン183とともに第2検出手段を構成する。
クラッチ部材90は合成樹脂の成形品であり、円板状であってその中央に円形の貫通孔からなる挿通孔91を設け、またその上面の外周近傍部分には全周にわたって等間隔に5つの突起からなる第2クラッチ部93が設けられ、一方その下面の外周よりも少し径方向内側位置には全周にわたって等間隔に5つの突起からなる第1クラッチ部95が設けられ、さらに前記各第2クラッチ部93の径方向内側位置には矩形状の貫通孔からなる取付孔97が設けられている。つまり第1クラッチ部95は第2クラッチ部93より径方向に対して内側に設けられている。
第2シャフト110は合成樹脂製であり、円板状の上面板111の中央に上下に貫通する開口113を設け、上面板111の下面の開口113の周囲から下方に向けて筒状の突部115を設け、さらに突部115の下端に略T字状の柱からなる突出部117を設けて構成されている。上面板111の外周近傍位置には4つの矩形状の貫通孔からなる被取付部119が設けられている。また突出部117の一側面(突部115の外周面に略沿っている面、T字の横棒の部分)は位置決め部121となっている。位置決め部121は、回転軸L方向に向かって延伸され且つ径方向外側に向かって突出する1つの略円弧状に形成されている。
第1回転体130は合成樹脂製であって略円板状に形成され、その中央に貫通孔131を形成し、その上面の外周近傍位置に等間隔に突部からなる第1クラッチ係合部133を形成し、また上面の第1クラッチ係合部133の内側部分に凹部135を設け、またその下面の外周よりも内側の部分を下方向に突出することで両者の間に段部137を形成し、段部137の内側の部分を取付面139として構成されている。第1クラッチ係合部133は径方向に向かって放射状で直線状に形成され、前記クラッチ部材90の第1クラッチ部95に対向する位置にこれとかみ合うように形成されている。段部137の外側の下面は載置部141となっている。取付面139には2つずつ3組の小突起からなる取付突起143が設けられている。
クリック板150は弾性金属板製であり、前記第1回転体130の下面の取付面139に取り付けられるクリック基部151と、クリック基部151の外周を囲む位置に設置される一対の円弧状のアーム部153とを具備して構成されている。アーム部153の両端はクリック基部151の外周に接続されており、また両アーム部153の中央には上方向に向かって突出するように湾曲するクリック部155が設けられている。クリック基部151の中央には円形の貫通孔157が設けられ、またクリック基部151中の前記第1回転体130の各取付突起143に対向する位置には小孔からなる取付孔159が形成されている。
摺動子170は弾性金属板製でありリング状に形成され、等間隔の3か所には小孔からなる取付孔171が設けられ、また等間隔の3か所には摺接部173が設けられている。摺動子170は下記する第1フレキシブル回路基板230の摺接パターン233とともに第1検出手段を構成する。
第2フレキシブル回路基板180は合成樹脂フイルムを略円板状に形成し、中央に開口181を設け、その上面の開口181の周囲に摺接パターン183を設け、さらに所定の4か所に矩形状の取付孔185を設けて構成されている。摺接パターン183には前記摺動子80の摺動接点83が摺接する。取付孔185には前記ケース50の係止部57が挿入される。
第2基板支持体190は合成樹脂製の円板であり、中央に円形の開口191を設け、また前記第2フレキシブル回路基板180の各取付孔185に対向する位置に同一形状の取付孔192を設け、またその下面の開口191の周囲にこれを囲むようにリング状に第1クリック弾接部193を設け、またその下面の第1クリック弾接部193の周囲の位置に等間隔に4つの小突起状の取付突起195を設けて構成されている。第2基板支持体190の開口191内には上部の内径より下部の内径を小さくすることで、階段状の第1回転体載置部197が形成されている。
第1フレキシブル回路基板230は合成樹脂フイルムを略円板状に形成し、中央に開口部231を設け、その上面の開口部231の周囲に摺接パターン233を設け、さらに前記第2基板支持体190の取付突起195に対向する位置にそれぞれ取付孔235を設けて構成されている。摺接パターン233には前記摺動子170の摺接部173が摺接する。
第1基板支持体250は合成樹脂製の円板であり、中央に円形の開口部251を設け、また前記第1フレキシブル回路基板230の各取付孔235に対向する位置にこれと同じ形状の取付孔253を設け、またその下面の開口部251の周囲を囲む位置には穴状の弾発手段収納部255を設けている。弾発手段収納部255はその穴の中心軸が第1基板支持体250の下面に平行であり、その出口が開口部251側(中心側)を向いている。
クリック用ボール290と位置決め用ボール310は何れも金属球であり、また両コイルバネ300,320はこれらを弾発するものである。
回転式電子部品1−1を組み立てるには、まず予め第2回転体60の摺動子取付部67に摺動子80を載置し、その際第2回転体60の小突起73を摺動子80の小孔85に挿入し、少なくとも一方の小突起85を熱かしめして取り付ける。
一方、第2基板支持体190上に第2フレキシブル回路基板180を載置してなる第2回路基板210の開口181,191内に第1回転体130を収納して第2基板支持体190の第1回転体載置部197上に第1回転体130の載置部141を載置する。次に第2基板支持体190の開口191の下面側に露出する第1回転体130の取付面139に第2基板支持体190の下面側からクリック板150のクリック基部151と摺動子170を載置し、その際第1回転体130の取付突起143をクリック板150の取付孔159と摺動子170の取付孔171に挿入し、それらの先端を熱かしめすることで取り付ける。これによって第1回転体130の載置部141とクリック板150によって第2基板支持体190を挟持することとなり、第1回転体130は第2回路基板210から外れなくなって、第1回転体130と第2回路基板210とクリック板150及び摺動子170は一体化され、また第1回転体130とクリック板150及び摺動子170は第2回路基板210に対して回動自在となる。このときクリック板150のクリック部155は第2基板支持体190の第1クリック弾接部193に弾接する。
そしてまず第1シャフト10の下側に回転つまみ30を配置し、その際第1シャフト10の突部15を回転つまみ30の開口35に挿入する。次に回転つまみ30の下側にケース50を配置し、その際回転つまみ30の軸部37をケース50の軸支孔53に挿入する。次にケース50の下側に、コイルバネ300とクリック用ボール290を弾発部材収納部69に挿入した第2回転体60を配置し、その際回転つまみ30の軸部37を第2回転体60の軸支孔63に挿入する。
次に回転つまみ30の軸部37の先端にクラッチ部材90を配置し、その際回転つまみ30の各取付部39をクラッチ部材90の各取付孔97に挿入し、その先端を熱かしめすることで回転つまみ30にクラッチ部材90を取り付ける。このときクラッチ部材90の挿通孔91内に第1シャフト10の突部15の下端が露出している。次にクラッチ部材90の下側に第2シャフト110を配置し、その際第1シャフト10の係合部17を第2シャフト110の被取付部119に挿入し、その先端を熱かしめして固定する。これによって第1シャフト10と第2シャフト110が1つのシャフトとなる。
次に前記一体化されている第1回転体130と第2回路基板210とクリック板150及び摺動子170を、前記ケース50等の下側に配置し、その際第2シャフト110の突部115を第1回転体130の貫通孔131に挿入し、同時にケース50の各係止部57を第2回路基板210の取付孔185,192に挿入し、その先端を熱かしめする。次に第1基板支持体250上に第1フレキシブル回路基板230を載置してなる第1回路基板270を用意し、第1基板支持体250の弾発手段収納部255にコイルバネ320と位置決め用ボール310を収納したものを、前記第2回路基板210等の下側に配置し、その際第2基板支持体190の各取付突起195を第1回路基板270の各取付孔235,253に挿入し、その先端を熱かしめする。これによって回転式電子部品1−1の組み立てが完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
図3は、回転つまみ30等が下降して位置決め用ボール310が第2シャフト110の位置決め部121の上側に位置して安定している状態を示している。この位置を第1シャフト停止位置という。このときクラッチ部材90の第1クラッチ部95は第1回転体130の第1クラッチ係合部133に係合しており、一方クラッチ部材90の第2クラッチ部93は第2回転体60の第2クラッチ係合部71に係合していないので、回転つまみ30を回転すると、これと一体に第1回転体130が回転し、クリック板150のクリック部155が第2基板支持体190の第1クリック弾接部193に弾接してクリック感触が得られると同時に、摺動子170が摺接パターン233上を摺接してその検出信号を変化する。
次に回転つまみ30を図8に示すように引き上げれば、回転つまみ30と一体にシャフト10,110とクラッチ部材90が引き上げられ、位置決め用ボール310が第2シャフト110の位置決め部121の下側に位置して安定する。この位置を第2シャフト停止位置という。このときクラッチ部材90の第1クラッチ部95と第1回転体130の第1クラッチ係合部133との係合が離脱し、一方クラッチ部材90の第2クラッチ部93と第2回転体60の第2クラッチ係合部71が係合するので、回転つまみ30を回転すると、これと一体に第2回転体60が回転し、クリック用ボール290がケース50の第2クリック弾接部59に弾接してクリック感触が得られると同時に、摺動子80が摺接パターン183上を摺接してその検出信号を変化する。
以上説明したようにこの回転式電子部品1−1は、回転軸L方向に向かってスライド自在に設置されるシャフト10,110と、シャフト10,110に取り付けられ両面にそれぞれ第1,第2クラッチ部95,93を形成してなるクラッチ部材90と、クラッチ部材90の第1クラッチ部95に対向する位置に第1クラッチ係合部133を設けてなる第1回転体130と、クラッチ部材90の第2クラッチ部93に対向する位置に第2クラッチ係合部71を設けてなる第2回転体60と、第1回転体130の回転に応じて検出出力を変化する第1検出手段(摺動子170と摺接パターン233)と、第2回転体60の回転に応じて検出出力を変化する第2検出手段(摺動子80と摺接パターン183)と、を具備し、シャフト10,110を第1回転体130側にスライド移動した際は第1クラッチ部95と第1クラッチ係合部133が係合して第1検出手段を操作可能とし、シャフト10,110を第2回転体60側にスライド移動した際は第2クラッチ部93と第2クラッチ係合部71が係合して第2検出手段を操作可能としている。そして第1検出手段(その摺接パターン233)を構成する第1回路基板270と第2検出手段(その摺接パターン183)を構成する第2回路基板210とを回転軸L方向に積層して配置すると共に、第1回転体130を第2回路基板210に設けた開口181,191内に設置しているので、回転式電子部品1−1の厚み方向の小型化を図ることができる。
またクラッチ部材90の第1,第2クラッチ部95,93がそれぞれクラッチ部材90の両面からその回転軸L方向に向かって形成されているので、第1,第2クラッチ部95,93及び第1,第2クラッチ係合部133,71が径方向に向けて広がらず、このため回転式電子部品1−1の径方向の小型化を図ることができる。
またクラッチ部材90の第1クラッチ部95は、第2クラッチ部93より径方向に対して内側に設けられているので、第1クラッチ部95を小径に構成でき、これに係合する第1クラッチ係合部133を有する第1回転体130も小径化でき、さらに第1回転体130を内包する第2回路基板210もクラッチ部材90の外径の大きさに左右されることなく小径化でき、これらのことから回転式電子部品1−1の径方向の小型化を図ることができる。
また第1クリック機構は、第2回路基板210の開口181,191の周囲の第1回路基板270に対向する側の面に設けた第1クリック弾接部193に、第1回転体130に取り付けたクリック板150のクリック部155を弾接させる構成なので、クリック機構を設置するための厚みを薄くできる。一方第2クリック機構は第2回転体60を収納するケース50の第2回転体60に対向する側の面に設けられる第2クリック弾接部59と、第2回転体60に回転軸L方向に向かって弾発するように設置されるコイルバネ300と、このコイルバネ300によって弾発されて第2クリック弾接部59に弾接されるクリック用ボール290とによって構成されており、即ちケース50に設けた第2クリック弾接部59に、回転軸L方向からコイルバネ300によってクリック用ボール290を弾接する構造なので、そのクリック感触を第1クリック機構に比べてより好適な感触にすることができる。しかも第2クリック機構は上下動するクラッチ部材90のために必要なストロークの範囲内に収めることができるので、第2クリック機構を設置することによって厚みが増加することもない。
またシャフト10,110は第1回路基板270に設けた開口部231,251内に挿入するとともに挿入したシャフト10,110の外周に回転軸L方向に向かって延伸され且つ径方向に向かって突出する位置決め部121を設け、この位置決め部121にその外周側から位置決め用ボール310を弾接させることで、第1シャフト停止位置と第2シャフト停止位置にシャフトを停止保持させるようにしたので、シャフト10,110のストローク分だけ離れた位置にある第1,第2シャフト停止位置に確実にシャフト10,110を停止保持させることができる。
さらにクラッチ部材90と第1回転体130と第2回転体60の内部を中空としたので、中空とした部分に別の部品を収納することができる。なお第1シャフト10の上面板11の上に液晶表示板(機能部品)を取り付け、この液晶表示板から引き出される配線(機能部品)を第1シャフト10の開口13と第2シャフト110の開口113を通して第2シャフト110の下部から外部に引き出すこともできる。第2シャフト110の突出部117の部分(T字の縦棒の部分)を回転止めとして図示しない静止側部材に係止すれば、これが回り止めとなってシャフト10,110を回転しないように設置できるので、配線がねじれることはない。
〔第2実施形態〕
図9は本発明の第2実施形態にかかる回転式電子部品1−2の斜視図、図10は回転式電子部品1−2を下側から見た斜視図、図11は図9のB−B概略断面図、図12は回転式電子部品1−2の上側の部品を示す分解斜視図、図13は回転式電子部品1−2の下側の部品を示す分解斜視図、図14は回転式電子部品1−2を下側から見たときの上側の部品を示す分解斜視図、図15は回転式電子部品1−2を下側から見たときの下側の部品を示す分解斜視図である。なお図11における各部品の断面の位置は図示の都合上異なっている部分がある。また以下の説明において、「上」とは第1回路基板630から第2回路基板510を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。
これらの図に示すように回転式電子部品1−2は、シャフト(以下「回転つまみ兼用シャフト」という)410と、ケース430と、第2回転体450と、第2検出手段となる摺動子470と、3つの位置決め部材490と、クラッチ部材510と、第2回路基板570を構成する第2フレキシブル回路基板530及び第2基板支持体550と、第1回転体590と、クリック弾接体(以下「クリック板」という)610と、第1検出手段となる摺動子630と、第1回路基板690を構成する第1フレキシブル回路基板650及び第1基板支持体670と、第2回転体450に設置されるクリック体(以下「クリック用ボール」という)710及び弾発手段(以下「コイルバネ」という)730と、を具備して構成されている。
回転つまみ兼用シャフト410は合成樹脂製であり、円板状の上面板411の周囲に筒状の側壁部413を設け、また上面板411の中央に開口415を設け、上面板411の下面の開口415の周囲から下方に向けて筒状の軸部417を設け、軸部417の下端辺に5つの小突起からなる取付部419を設けて構成されている。上面板411の上部は、側壁部413の上部によって囲まれる凹部421となっている。
ケース430は合成樹脂製であり、円板状の上面板431の中央に軸支孔433を設け、上面板431の周囲に筒状の側壁部435を設け、側壁部435の下端辺に4つの小突起からなる係止部437を設け、上面板431の下面の軸支孔433の周囲にリング状に多数の凹凸からなる第2クリック弾接部439を設けて構成されている。
第2回転体450は合成樹脂製であり、円板状の上面板451の中央に軸支孔453を設け、上面板451の周囲に筒状の側壁部455を設け、また側壁部455の内周面の一部を突出してその下面に摺動子取付部457を設け、また上面板451の上面の外周近傍の所定位置に円形有底の穴からなる弾発部材収納部459を設けて構成されている。さらに上面板451の軸支孔453の内周辺には、多数の同一形状の凹凸を全周に形成してなる第2クラッチ係合部461が形成されている。上面板451の下面には等間隔に3つ(図14では2つのみ示す)の小突起からなる位置決め部材取付突起463が設けられている。また摺動子取付部457には2つの小突起465が設けられている。
摺動子470は弾性金属板製であり、基部471と基部の1辺から突出して基部471の下面側に折り曲げられる一対の摺動接点473とを有し、また基部471に2つの小孔475を形成して構成されている。摺動子470は下記する摺接パターン533とともに第2検出手段を構成する。
位置決め部材490は弾性金属板製であり、略L字状に形成された弾性金属板の屈曲部分を折り曲げて、一方を水平方向を向くように設置される取付部491とし、他方を垂直方向(回転軸L方向)を向く当接部493として構成されている。取付部491には前記第2回転体450の位置決め部材取付突起463を挿入する係止孔495が設けられている。当接部493は略垂直下方向、つまり回転軸L方向に向かって帯状に延びており、その中間部分を径方向内側に向かって突出する1つの略円弧状に形成することで位置決め部497としている。
クラッチ部材510は合成樹脂の成形品であり、円板状であってその中央に円形の貫通孔からなる挿通孔511を設け、またその上面の外周近傍部分には全周にわたって等間隔に5つの突起からなる第2クラッチ部513が設けられ、一方その下面の外周よりも少し径方向内側位置には全周にわたって等間隔に5つの突起からなる第1クラッチ部515が設けられ、また前記各第2クラッチ部513の径方向内側位置には矩形状の貫通孔からなる取付孔517が設けられている。つまり第1クラッチ部515は第2クラッチ部513より径方向に対して内側に設けられている。さらにクラッチ部材510の外周部(外周面)は位置決め用弾接部519となっている。位置決め用弾接部519の上下の円周辺は円弧状の大きな面取りが行われている。
第2フレキシブル回路基板530は合成樹脂フイルムを略円板状に形成し、中央に開口531を設け、その上面の開口531の周囲に摺接パターン533を設け、さらに所定の4か所に矩形状の取付孔535を設けて構成されている。摺接パターン533には前記摺動子470の摺動接点473が摺接する。取付孔535には前記ケース430の係止部437が挿入される。
第2基板支持体550は合成樹脂製の円板であり、中央に円形の開口551を設け、また前記第2フレキシブル回路基板530の各取付孔535に対向する位置に同一形状の取付孔552を設け、またその下面の開口551の周囲にこれを囲むようにリング状に第1クリック弾接部553を設け、またその下面の第1クリック弾接部553の周囲の位置に等間隔に4つの小突起状の取付突起555を設けて構成されている。
第1回転体590は合成樹脂製であって略円板状に形成され、その中央に貫通孔591を形成し、その上面の外周近傍位置に等間隔に複数の突部からなる第1クラッチ係合部593を形成し、また上面の第1クラッチ係合部593の内側部分に凹部595を設け、またその下面を取付面599として構成されている。第1クラッチ係合部593は径方向に向かって放射状で直線状に形成され、前記クラッチ部材510の第1クラッチ部515に対向する位置にこれとかみ合うように形成されている。取付面599には2つずつ3組の小突起からなる取付突起601が設けられている。
クリック板610は弾性金属板製であり、前記第1回転体590の下面の取付面599に取り付けられるクリック基部611と、クリック基部611の外周を囲む位置に設置される一対の円弧状のアーム部613とを具備して構成されている。アーム部613の両端はクリック基部611の外周に接続されており、また両アーム部613の中央には上方向に向かって突出するように湾曲するクリック部615が設けられている。クリック基部611の中央には円形の貫通孔617が設けられ、またクリック基部611中の前記第1回転体590の各取付突起601に対向する位置には小孔からなる取付孔619が形成されている。
摺動子630は弾性金属板製でありリング状に形成され、等間隔の3か所には小孔からなる取付孔631が設けられ、また等間隔の3か所には摺接部633が設けられている。摺動子630は下記する第1フレキシブル回路基板650の摺接パターン653とともに第1検出手段を構成する。
第1フレキシブル回路基板650は合成樹脂フイルムを略円板状に形成し、中央に開口部651を設け、その上面の開口部651の周囲に摺接パターン653を設け、さらに前記第2基板支持体550の取付突起555に対向する位置にそれぞれ取付孔655を設けて構成されている。摺接パターン653には前記摺動子630の摺接部633が摺接する。
第1基板支持体670は合成樹脂製の円板であり、中央に円形の開口部671を設け、また前記第1フレキシブル回路基板650の各取付孔655に対向する位置にこれと同じ形状の取付孔673を設け、またその上面の開口部671の周囲を囲む位置に筒状の第1回転体支持部675を設けて構成されている。
クリック用ボール710は金属球であり、またコイルバネ730はこれを弾発するものである。
回転式電子部品1−2を組み立てるには、まず予め第2回転体450の摺動子取付部457に摺動子470を載置し、その際第2回転体450の小突起465を摺動子470の小孔475に挿入し、少なくとも一方の小突起465を熱かしめして取り付ける。同時に第2回転体450の上面451の下面に、3つの位置決め部材490の取付部491を当接し、その際第2回転体450の各位置決め部材取付突起463を位置決め部材490の係止孔495に挿入してその先端を熱かしめして取り付ける。一方第1回転体590の取付面599にクリック板610のクリック基部611と摺動子630を載置し、その際第1回転体590の取付突起601をクリック板610の取付孔619と摺動子630の取付孔631に挿入し、それらの先端を熱かしめすることで取り付ける。
そしてまず回転つまみ兼用シャフト410の下側にケース430を配置し、その際回転つまみ兼用シャフト410の軸部417をケース430の軸支孔433に挿入する。次にケース430の下側に、コイルバネ730とクリック用ボール710を弾発部材収納部459に挿入した第2回転体450を配置し、その際回転つまみ兼用シャフト410の軸部417を第2回転体450の軸支孔453に挿入する。
次に回転つまみ兼用シャフト410の軸部417の先端にクラッチ部材510を配置し、その際回転つまみ兼用シャフト410の各取付部419をクラッチ部材510の各取付孔517に挿入し、その先端を熱かしめすることで回転つまみ兼用シャフト410にクラッチ部材510を取り付ける。
次に前記ケース430等の下側に、第2基板支持体550上に第2フレキシブル回路基板530を載置してなる第2回路基板570を配置し、その際ケース430の係止部437を第2回路基板570の取付孔535,552に挿入し、その先端を熱かしめして取り付ける。
次に第2基板支持体550の開口551にその下側から、前記クリック板610と摺動子630を取り付けた第1回転体590を挿入しさらにその下側に、第1基板支持体670上に第1フレキシブル回路基板650を載置してなる第1回路基板690を配置し、その際第2基板支持体550の各取付突起555を第1回路基板690の各取付孔655,673に挿入し、その先端を熱かしめする。これによって第1回転体590は第1基板支持体670の第1回転体支持部675によってその下側から支持される。同時にクリック板610のクリック部615は第2基板支持体550の第1クリック弾接部553に弾接する。これによって回転式電子部品1−2の組み立てが完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
図11は、回転つまみ兼用シャフト410等が下降してクラッチ部材510の位置決め用弾接部519が位置決め部材490の位置決め部497の下側に位置して安定している状態を示している。この位置を第1シャフト停止位置という。このときクラッチ部材510の第1クラッチ部515が第1回転体590の第1クラッチ係合部593に係合しており、一方クラッチ部材510の第2クラッチ部513は第2回転体450の第2クラッチ係合部461に係合していないので、回転つまみ兼用シャフト410を回転すると、これと一体に第1回転体590が回転し、クリック板610のクリック部615が第2基板支持体550の第1クリック弾接部553に弾接してクリック感触が得られると同時に、摺動子630が摺接パターン653上を摺接してその検出信号を変化する。
次に回転つまみ兼用シャフト410を引き上げれば、回転つまみ兼用シャフト410と一体にクラッチ部材510が引き上げられ、位置決め用弾接部519が位置決め部材490の位置決め部497を乗り越えてその上側に位置して安定する。この位置を第2シャフト停止位置という。このときクラッチ部材510の第1クラッチ部515と第1回転体590の第1クラッチ係合部593との係合が離脱し、一方クラッチ部材510の第2クラッチ部513と第2回転体450の第2クラッチ係合部461が係合するので、回転つまみ兼用シャフト410を回転すると、これと一体に第2回転体450が回転し、クリック用ボール710がケース430の第2クリック弾接部439に弾接してクリック感触が得られると同時に、摺動子470が摺接パターン533上を摺接してその検出信号を変化する。
以上説明したようにこの回転式電子部品1−2は、回転軸L方向に向かってスライド自在に設置される回転つまみ兼用シャフト410と、回転つまみ兼用シャフト410に取り付けられ両面にそれぞれ第1,第2クラッチ部515,513を形成してなるクラッチ部材510と、クラッチ部材510の第1クラッチ部515に対向する位置に第1クラッチ係合部593を設けてなる第1回転体590と、クラッチ部材510の第2クラッチ部513に対向する位置に第2クラッチ係合部461を設けてなる第2回転体450と、第1回転体590の回転に応じて検出出力を変化する第1検出手段(摺動子630と摺接パターン653)と、第2回転体450の回転に応じて検出出力を変化する第2検出手段(摺動子470と摺接パターン533)と、を具備し、回転つまみ兼用シャフト410を第1回転体590側にスライド移動した際は第1クラッチ部515と第1クラッチ係合部593が係合して第1検出手段を操作可能とし、回転つまみ兼用シャフト410を第2回転体450側にスライド移動した際は第2クラッチ部513と第2クラッチ係合部461が係合して第2検出手段を操作可能としている。そして第1検出手段(その摺接パターン653)を構成する第1回路基板690と第2検出手段(その摺接パターン533)を構成する第2回路基板570とを回転軸L方向に積層して配置すると共に、第1回転体590を第2回路基板570に設けた開口531,551内に設置しているので、回転式電子部品1−2の厚み方向の小型化を図ることができる。
またクラッチ部材510の第1,第2クラッチ部515,513がそれぞれクラッチ部材510の両面からその回転軸L方向に向かって形成されているので、第1,第2クラッチ部515,513及び第1,第2クラッチ係合部593,461が径方向に向けて広がらず、このため回転式電子部品1−2の径方向の小型化を図ることができる。
またクラッチ部材510の第1クラッチ部515は、第2クラッチ部513より径方向に対して内側に設けられているので、第1クラッチ部515を小径に構成でき、これに係合する第1クラッチ係合部593を有する第1回転体590も小径化でき、さらに第1回転体590を内包する第2回路基板570もクラッチ部材510の外径の大きさに左右されることなく小径化でき、これらのことから回転式電子部品1−2の径方向の小型化を図ることができる。
また第1クリック機構は、第2回路基板570の開口531,551の周囲の第1回路基板690に対向する側の面に設けた第1クリック弾接部553に、第1回転体590に取り付けたクリック板610のクリック部615を弾接させる構成なので、クリック機構を設置するための厚みを薄くできる。一方第2クリック機構は、第2回転体450を収納するケース430の第2回転体450に対向する側の面に設けられる第2クリック弾接部439と、第2回転体450に回転軸L方向に向かって弾発するように設置されるコイルバネ730と、このコイルバネ730によって弾発されて第2クリック弾接部439に弾接されるクリック用ボール710とによって構成されており、即ちケース430に設けた第2クリック弾接部439に、回転軸L方向からコイルバネ730によってクリック用ボール710を弾接する構造なので、そのクリック感触を第1クリック機構に比べてより好適な感触にすることができる。しかも第2クリック機構は上下動するクラッチ部材510のために必要なストロークの範囲内に収めることができるので、第2クリック機構を設置することによって厚みが増加することもない。
またクラッチ部材510の外周部を位置決め用弾接部519とし、且つ第2回転体450と第2回路基板570の間に回転軸L方向に向かって延伸され且つ半径方向に向かって突出して位置決め用弾接部519に弾接する弾性部材からなる位置決め部材490を設置することで、第1シャフト停止位置と第2シャフト停止位置に回転つまみ兼用シャフト410を停止保持させるようにしたので、回転つまみ兼用シャフト410のストローク分だけ離れた位置にある第1,第2シャフト停止位置に確実に回転つまみ兼用シャフト410を停止保持させることができる。
さらにクラッチ部材510と第1回転体590と第2回転体450の内部を中空としたので、中空とした部分に別の部品を収納することができる。なお例えば回転つまみ兼用シャフト410の上面板411の上に液晶表示板(機能部品)を取り付け、この液晶表示板から引き出される配線(機能部品)を回転つまみ兼用シャフト410の開口415とクラッチ部材510の挿通孔511と第1回転体590の貫通孔591と第1回路基板690の開口部651,671を通して第1回路基板690の下部から外部に引き出すこともできる。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記各実施形態例では中央に他の部品を設置するために中空としたが、その必要がないような場合は中空としなくても良い。また第1,第2回路基板は、上記実施形態のように第1,第2基板支持体上に第1,第2フレキシブル回路基板を載置する構造の代りに、硬質基板上に直接摺接パターンを形成する構成でも良い。