JP5731356B2 - 住宅 - Google Patents
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Description
また、社会福祉施策においては在宅介護の充実が重要な課題となっており、その円滑な推進を図るため、住宅の設計に当たっては介護のしやすさにも配慮する必要がある。
この在宅介護の充実という重要課題における介護の対象として検討される被介護者は多くの場合、高齢者であるとしても必ずしも高齢者に限られると言うことはできない。
すなわち、成人の健常者を標準とした場合に、一時的若しくは慢性的に身体機能が低下している人、若しくは今後身体機能が高まることが予定されるとはしても、現状では成人の健常者と比較した場合に身体機能が低い人も、保護されるべき対象であるという点では被介護者と同様にその住環境を検討することが望まれる。
例えば一時的若しくは慢性的な病気に被患している人、または未だ成人に至らない乳幼児、幼児、若しくは児童であって成人の健常者と比較した場合に身体機能が低いと一般的に認められる住人であり、このような人達も被介護者に含まれるものとして検討しなければならない。
したがって以上の様に便所内の着座位置の前後方向と前記廊下と前記便所との出入り口の出入り方向とが交差する様に前記便所内の便器が設置され、また、廊下と便所との出入り口に引き戸が設けられる場合には、その引き戸の開閉方向と便所内の着座位置の前後方向とが同一方向となる様に便所内に便器が配置されることから、被介護者が便器に着座している状態で介護者が便所内外に出入りする場合にも、その出入り方向が便器に着座している被介護者の前後方向と交差する、若しくはほぼ直交する方向であることが保証され、介護者の便所内外間の出入り方向は便器に着座している被介護者の横方向のみであることが保証される。しかも前記便器に着座した状態の左右両則には固定された間仕切り壁が設けられ前記引き戸によって開閉される前記出入り口は前記固定された間仕切り壁に形成されるので、前記便器に着座した状態で背部及び左右両側部が固定された間仕切り壁によって囲まれるので、用便者は側方が引き戸によって仕切られるのではなく固定された間仕切り壁によって廊下と仕切られており、その領域が開閉される様な不安はなく、ゆっくりとした安心感を持つことができる。
以上の本発明の住宅では寝室及び前記廊下と隣接して居間・食事室が配置され、前記寝室及び前記廊下と居間・食事室との間に出入り口が設けられてなるので、居間・食事室からの前記寝室へのアクセスが迅速かつ容易となる。
また前記寝室及び前記廊下と隣接して居間・食事室が配置され、前記便所を囲む4面の壁のうち前記引き戸を有する壁とその両側の壁を介して前記洗面脱衣室と、前記廊下を介して前記居間・食事室と、前記寝室とにより前記便所は完全に囲まれ、半島状に突出した状態とされて、それぞれの部屋の中心に近い位置に前記引き戸を有する出入り口が設けられるので、介護者が何れの部屋に所在する場合であっても被介護者が所在する便所への移動距離を最小にすることができ、介護しやすく不慮の事故を防止することができる。
また前記居間・食事室を介して前記寝室とは反対側で前記居間・食事室に隣り合う位置の、前記第1層の床より半階高い第2層上に居室が設けられ、前記居間・食事室には、前記第2層に上がる階段が設けられることによって第2層上の居室を介護者の寝室として用いることができ、係る寝室は被介護者等の寝室へのアクセスという点を中心的要請として配置される。すなわちこの第2層上の居室は、第1層の床より半階高い所に設けられるので第2層に至るための階段の上り下りも過度に負担を生じるものではなく、居間・食事室からの上下しやすさが図られて介護者が被介護者等の寝室へ機敏にアクセスできるようにされている。
本発明の住宅によれば体力の優劣や移動及び生活動作能力の高低に応じて各生活機能空間が実質的に効率よく配置されて被介護者及び介護者が快適に気持ち良く居住できる環境が実現されている。
したがって本発明の住宅によれば被介護者及び介護者双方に対し思いやりのある住宅を実現することができる。
以下に本発明の住宅を実施するための最良の形態につき図面を参照して説明する。
図1は本発明の第一の実施の形態に係る住宅の平面図である。
本実施の形態の住宅1にあっては住宅1の基本生活空間、すなわち被介護者の日常生活を最低限確保するために必要な「就寝」「排泄」「洗面」「脱衣・入浴」「昼間の活動・食事」および「アプローチからの出入り」に供する空間を構成する要素としての玄関2、便所3、洗面脱衣室4、浴室5、居間・食事室6及び被介護者等の寝室7、廊下8が同一階に配置される。
すなわち、一般に被介護者、例えば高齢者は便所3に行く頻度が高く、夜間であっても便所3の使用をする必要が多い。夜間就寝時の便所3の利用は、意識がもうろうとしているなど、事故が起きやすい。しかも特に被介護者については、一般に脚力の低下が著しく、例えば立ち上がるときに足がしびれる等の脚力低下に伴う問題がある。住宅1ではこの様な問題を便所3を寝室7に隣接することによって緩和することができる。
またこれによって、高齢者が便所に行く回数を減らすために自分で水分補給を控え、さらには高齢者が自分で便所に行くまでの時間を考えて行動しなければならず、便所までの距離が遠い場合に、介護者の介助負担を気遣うなどの、被介護者自身が煩雑な気遣いを行う必要性を軽減することができる。
また以上の出入口8−1,8−2,8−3,8−4の引き戸はこれを取り扱いやすくするためにつかみやすい形状、材質で大きな引手が適切な位置に設置される。
なお、便所3には通報装置(図示せず)を設け、この通報装置は座っているときに押せることはもとより、床に倒れたときにも押せる様にする態様が好ましい。さらになお、出入り口8−3は、段差なしとするとともに、濡れても滑りにくい掃除のしやすい床材が選択される。
具体的には洗面脱衣室4の洗面台4−2はその上面が800mmぐらいの高さにされ、これによって腰をかがめることが困難である、あるいは現実に腰をかがめることができないという被介護者の利便性に配慮したものとされている。
この場合、車椅子を使用する場合は椅子に座ったまま洗面をすることができるようにするためには洗面台4−2はその上面が750mmぐらいの高さに設定されるのが適当であることから、住宅1では車椅子を使用する場合と使用しない場合とで異なる高さの基準が採用される。このため、高さを可変できる洗面台の採用が検討される。
また洗面台に備えられる鏡については、車椅子の使用者が座位で使用する場合も、健常者が立ち居で使用する場合も不都合なく使用できる様に、洗面台カウンター面から立ち位時に顔が位置する高さまで縦方向に延長して配置される。
なお、洗面台4−2には収納部(図示せず)を備える場合であっても、例えば車椅子の使用者が洗面台に座位のまま接近して使用することができる様に、洗面台の洗面器下部に膝が入るスペースを形成するために、洗面台の下方には空きスペースすなわちけ込み(図示せず)を設けるのが望ましい。
また、掃除流し4−4が設けられており、これによって通常の屋内の掃除に好便であるだけではなく、洗面台4−2の洗面器では洗いにくい汚れ物を落とす作業をこの掃除流し4−4で行うことができる。
なお、住宅1では脱衣領域4−1に敷設されたマット等の敷物(図示せず)の摩擦が低くつるつるするところだけではなく、摩擦が高いところもふみ具合ですべり、つまずいたりする危険を解消するための考慮が行われる。
また浴槽5−1自体は、人が一人入れるぐらいの大きさ、すなわち座るスペースがある程度とされている。これによって浴槽5−1内で容易に身体を保持することができ、広すぎることによって身体を保持するのが困難となる問題を解消している。
また住宅1では浴室5に便所5−3を付設し、これによって浴槽5−1、洗い場5−2、便所5−3の3点セットを基本仕様とすることができる。さらに浴槽5−1、洗い場5−2に代えてシャワー(図示せず)を準備する態様の採用も可能である。
浴室5への出入り口5−5には引き戸が設けられる。これは開き戸はスペース効率だけではなく使用上不都合であり、また折れ戸にしても出っ張っており、使用上好ましくないからである。
加えて住宅1では特に被介護者対応として、浴槽5−1の底面がエンボス加工によって滑りにくくされており、その浴槽5−1の縁は少なくともその一部が握りやすい幅である様にして、入浴時の体勢保持をし易くすることができる。
押入れ7−2については収納領域の高さが1,500mmでも高い場合があり、収納棚の高さは被介護者である被介護者の体格・年齢・腰の曲がり具合等を考慮して設定することができる。
雨戸やシャッターは、できるかぎり軽く、操作しやすいものとする必要がある。リモコン(図示せず)によって開閉操作が可能な電動シャッターを用い、併せてカーテンの開閉、換気装置の起動・停止等をリモコンによって行うことができる様にすることができる。
なお、住宅1では寝室7につきベッド7−1の周りからの介護を可能とする充分な広さを確保するが、反面、寝室7内で倒れた場合などには手すりがないとすぐに立ち上がることができないという問題を考慮する必要がある。したがって、必要に応じて手すりの代わりになる安定感のある机7−3や椅子7−4等の設置が行われる。
また、寝室7には建物外部への出入り口7−5が設けられる。
また寝室7及び廊下8と居間・食事室6との間に出入り口7−6、出入り口8−4が設けられ、これによって寝室7と居間・食事室6との相互間の移動が容易に行える。
この居間・食事室6における家具の選択に当たっては、全体の調和及び美観に基づき、家具については居間・食事室6自体の内部形状との関係で統一的に検討されている。その様にすることによって、例えば過剰に柔軟なソファ6−1が不用意に設備されて被介護者の動作が妨げられる危険が生じる等の、家具の選択及び設備に起因する問題の発生を未然に防止することができる。また椅子6−2の脚部の高さや、背もたれの高さにも被介護者の移動および生活動作との関係で事前に配慮することができる。
この様に、寝室7には建物外部への出入り口7−5が設けられ、居間・食事室6には直接外部に繋がる出入り口6−3が設けられる結果、被介護者が日常的に居住する寝室7、居間・食事室6から直接に住宅1の内外に出入りがしやすいので、被介護者の生活の幅が広がり、気持ちの良い居住環境を実現できる。またそれだけではなく、介護者にとっても被介護者を外に出しやすいだけではなく洗濯物を干す等の日常作業も行いやすいという利点も生じる。また出入り口7−5、6−3からの緊急退避その他救急対応が可能となる。
したがって、居間・食事室6を介して玄関2とは反対側に被介護者等の寝室7と便所3とが相互に近接配置される結果、寝室7から便所3に行くまでの温度差を低減することができる。これに対して玄関2近くに便所3がある場合には、冬には寝室7から便所3に行くまでに温度差があって、被介護者に対する精神的・肉体的な悪影響は少なくない。
先ず、住宅1へのアプローチ通路10は、そのスロープ勾配をゆるやかな設定として歩行及び車いす利用に配慮する必要がある。係る必要性に基づき、地盤すなわちアプローチ通路10の始点10−1から床11までの高さが150〜300mmぐらいに設定されている。
その様にスロープ勾配が大きくなると自立の車椅子では、アプローチ通路10を登ることができないし、アプローチ通路10が長いと体力が続かないという点を配慮する必要がある。したがって、そのような場合にはアプローチ通路10の途中に適宜休憩用の平場10−2を設ける。
また、特にゆるい階段を設ける方法として階段室の内法寸法が1,800mm×3,300mmのスペースに回り階段をつける様にすることもできる。
この様にすることによって靴脱ぎを安全に行うことができる。
なお、本実施の形態では明らかにされていないが、住宅1では車椅子を屋内外で履き替える場合に対応する設備・構造も必要に応じて採用される。
被介護者が車椅子を使用する場合にはその対応について介護の車椅子(被介護者はひざに手をおく)であるのか、自力の車椅子(車いすを自力で動かす)であるのかにより、開口部の大きさに配慮が必要となる。この車椅子は(JIS)によって大きさが標準化されており、旋回可能スペースとして1,500mm角のスペースを見込む必要があり、また扉の幅は850mmあると十分な余裕が生じる。
しかしその様に被介護者が日常的に居住する寝室7、居間・食事室6から住宅1の外に出やすくするという場合にその経路に一段でも段差があると内外の出入りが困難になるという問題が生じる。したがって係る段差に関し、玄関2の出入口2−2及び上がりかまち2−3、浴室5の出入口5−5、バルコニー(図示せず)や寝室7から外部テラス13への出入り口7−5や居間・食事室6から外部テラス13への出入り口6−3等の不可避的に段差が生じる部分を除いて、住宅1内の床は、原則として段差のない構造とされる。
また特に玄関2周りの出入口2−2及び上がりかまち2−3の段差は180mm以下とされている。これは居住する被介護者の足がどれくらい上がるかということとも関係する事項である。さらにバルコニーや外部テラス13への出入り口7−5や出入り口6−3は可及的にフラットにされている。
例えば、L字手すり若しくは垂直手すり等の立ち上がるための手すりや支えるための手すりは完全に握れるようにするためには細いほうが良いが荷重が係る点を考えると一定以上の強度材が用いられる必要がある。一方、つかんで歩くための手すりは必ずしも完全に握ることができる必要はなく特にその様に細くする必要はない反面、つかんで歩くための手すりとして用いやすい配置の高さが重要となる。
なお、水平手すりの場合、水平手すりと縦手すりとを組み合わせて、連続した動作の中で取り扱いができる様にドアノブ(レバーハンドル)や引き手の高さにも配慮することが必要となる。また、被介護者が女性である場合に、その身長及び姿勢を考慮に入れた場合には、手すりの高さは異なるものとなる。
これによって、建具は被介護者でも開閉がしやすく、安全性に配慮したものとされている。
また水栓開閉については操作の容易なレバーハンドル水栓または操作の不要な自動水栓(図示せず)が配設される。これによって無理な姿勢をすることなく車椅子利用者が容易に水栓を使用することができる。
また、テレビ付きインターホンが設置されて可及的に簡便に来訪者への応対が可能である様にされている。また分電盤(図示せず)は、非常時の送電停止後の復旧操作の容易性を考慮して、低い位置に設られている。また火災その他の非常の際に通報できる通報装置及び警報装置(図示せず)が付設される。
以上によって、被介護者でも操作が容易で簡単に取り扱うことができ、被介護者の立場から安全性に配慮した設備とされている。
また、例えば出入口8−4に設けられる建具8−4aによって、被介護者等が夜間に居室する寝室7と被介護者等が夜間に頻繁に利用する便所3、廊下8の領域と玄関2、居間・食事室6の領域につき夜間のゾーン分けを行い、ランニングコストを低減することもできる。
住宅1では収納関係について日常使用する収納スペースは、適切な量を確保するとともに、被介護者が無理のない姿勢で出し入れできる高さに収納スペースが設けられる。一般的に収納力は向上されるのが望ましく、住宅1が2世帯住宅として構成される場合、収納が大きいことが必須となる。この様な要請に応える大型収納空間を備えた本発明の第二の実施の形態の住宅1につき以下に図2乃至図4を参照して説明する。
また、被介護者の宝物とも言える思い出をしまっておく余裕を生み出すことが可能なだけでなく、また日常的に使用するものを常置することもできる。
ここで半階とは、平均的な身長の大人が腰や頭を過度に低くする必要のない1,100〜1,400mmの高さを標準とする。
Claims (2)
- 廊下を介して対向する位置に寝室と洗面脱衣室とが配置されると共に前記寝室と前記洗面脱衣室との間に便所が配置され、前記廊下と前記寝室との間及び前記廊下と前記洗面脱衣室との間及び前記廊下と前記便所との間に出入り口が設けられ、その出入り口には引き戸が設けられ、前記便所内の着座位置の前後方向と前記廊下と前記便所との出入り口の出入り方向とが交差し、かつ前記引き戸の開閉方向と前記便所内の着座位置の前後方向とが同一方向となる様に前記便所内に便器が配置され、前記出入り口の引戸が設けられた壁面の便器の側面は固定された間仕切り壁が設けられ、便座の両側面及び背面及び正面は壁で囲われており、さらに前記寝室及び前記廊下と隣接して居間及び/又は食事室(以下「居間・食事室」とする)が配置され、前記寝室及び前記廊下と居間・食事室との間にそれぞれ出入り口が設けられ、前記居間・食事室を介して前記寝室とは反対側で前記居間・食事室に隣り合う位置の、前記第1層の床より半階高い第2層上に居室が設けられ、前記居間・食事室には、前記第2層に上がる階段が設けられることを特徴とする住宅。
- 廊下を介して対向する位置に寝室と洗面脱衣室とが配置されると共に前記寝室と前記洗面脱衣室との間に便所が配置され、前記廊下と前記寝室との間及び前記廊下と前記洗面脱衣室との間及び前記廊下と前記便所との間に出入り口が設けられ、その出入り口には引き戸が設けられ、前記便所内の着座位置の前後方向と前記廊下と前記便所との出入り口の出入り方向とが交差し、かつ前記引き戸の開閉方向と前記便所内の着座位置の前後方向とが同一方向となる様に前記便所内に便器が配置され、前記便器に着座した状態の左右両側には固定された間仕切り壁が設けられ前記引き戸によって開閉される前記出入り口は前記固定された間仕切り壁に形成されており、さらに前記寝室及び前記廊下と隣接して居間・食事室が配置され、前記寝室及び前記廊下と居間・食事室との間にそれぞれ出入り口が設けられ、前記居間・食事室を介して前記寝室とは反対側で前記居間・食事室に隣り合う位置の、前記1層の床より半階高い第2層上に居室が設けられ、前記居間・食事室には、前記第2層に上がる階段が設けられることを特徴とする住宅。
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