JP5730536B2 - 硬質皮膜形成部材および硬質皮膜の形成方法 - Google Patents
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Description
また、厚さが0.5μm以下の中間層を備えることで、硬質皮膜の結晶整合性が高まるとともに、A層とB層との密着性が向上し、耐摩耗性がさらに向上する。
これらのような構成によれば、皮膜の耐摩耗性がさらに向上する。
本発明に係る硬質皮膜の形成方法によれは、硬度が高く、耐摩耗性に優れた硬質皮膜を基材上に形成することができる。
図1(a)に示すように、本発明に係る硬質皮膜形成部材10は、基材1上に硬質皮膜(以下、適宜、皮膜という)4を備えたものである。この皮膜4は、所定の元素を所定量含有するA層2と、所定の元素を所定量含有するB層3とを備える。そして、B層3の上にA層2が積層され、A層2の厚さを0.5〜5.0μm、B層3の厚さを0.05〜3.0μmとして構成したものである。また、図1(b)に示すように、A層2とB層3との間に中間層5を備える硬質皮膜形成部材10aとしてもよい。また、硬質皮膜4のB層3と基材1との間に下地層(図示省略)を備えていてもよい。なお、「基材1上」とは、基材1の片面や両面、あるいは表面全体等をいい、工具の種類に応じて被覆されている部位は異なる。
以下、具体的に説明する。
基材1としては、超硬合金、金属炭化物を有する鉄基合金、サーメット、高速度工具鋼等が挙げられる。しかし、基材1としては、これらに限定されるものではなく、チップ、ドリル、エンドミル等の切削工具や、プレス、鍛造金型、成型用金型、打ち抜きパンチ等の治工具等の部材に適用できるものであれば、どのようなものでもよい。
A層2は、組成がTiaCrbAlcSidYe(BuCvNw)からなり、前記a、b、c、d、e、u、v、wが原子比であるときに、「0.05≦a」(金属元素中、以下同じ)、「0.05≦b」、「0.2≦a+b≦0.55」、「0.4≦c≦0.7」、「0.02≦d≦0.2」、「0≦e≦0.1」、「0≦u≦0.1」、「0≦v≦0.3」、「a+b+c+d+e=1」、「u+v+w=1」を満足する層である。このA層2は、高耐酸化性、高硬度であり、耐摩耗性に優れる皮膜である。
[Cr:b(0.05≦b、0.2≦a+b≦0.55、a+b+c+d+e=1)]
TiおよびCrは、A層2の結晶構造を高硬度相に保つために、添加する元素である。この効果を発揮するには、TiとCrを合計で、原子比で0.2以上添加する必要がある。一方、Al、Si、Yの添加量を確保するために、TiとCrの合計が0.55以下である必要がある。また、異なる格子定数の窒化物(例えば、TiN:0.424nm、CrN:0.414nm、AlN:0.412nm)を組合せると硬さが上昇するが、この効果を発揮させるには、Ti量およびCr量は、原子比で各々0.05以上であることが必要である。したがって、Tiの原子比a、および、Crの原子比bは、0.05≦a、0.05≦b、かつ、0.2≦a+b≦0.55とする。より好適な範囲は、0.2≦a+b≦0.5である。
Alは、A層2の耐酸化性を向上させる元素である。A層2に高い耐酸化性を付与するためには、Alを原子比で0.4以上添加する必要がある。一方、0.7を超えると、A層2が軟質化し、耐摩耗性が低下する。したがって、Alの原子比cは、0.4≦c≦0.7とする。より好適な範囲は、0.45≦c≦0.6である。
Siは、A層2に耐酸化性を付与すると同時に結晶粒径を微細化させ、A層2の硬さを向上させる元素である。Siの効果は、Ti、Cr、Alの添加量とも相関するため一義的には判断できないが、耐酸化性と硬さの観点から、Siを原子比で0.02以上添加する必要がある。一方、0.2を超えると、結晶構造が保てずアモルファス構造になり、A層2が軟質化し、耐摩耗性が低下する。したがって、Siの原子比dは、0.02≦d≦0.2とする。より好適な範囲は、0.05≦d≦0.15である。
Yは、耐酸化性を更に高める場合に添加する元素である。ただし、原子比で0.1を超えるとA層2が軟質化し、耐摩耗性が低下する。したがって、Yの原子比eは、0≦e≦0.1とする。より好適な範囲は、0.02≦e≦0.05である。
BおよびCは、添加によりA層2を高硬度化させることができる。ただし、Bが原子比で0.1を超えると、A層2が非晶質化し、硬さが低下する。また、Cが原子比で0.3を超えると、A層2中に遊離Cが生じA層2が軟質化し、かつ耐酸化性が低下する。したがって、B、Cは、原子比で、各々0.1、0.3以下添加しても良い。Nは、金属元素と結合して、本発明における皮膜4の骨格をなす窒化物を形成する役割を果たすことから0.6以上は必要である。
B層3は、組成がTifCrgAlh(BxCyNz)からなり、前記f、g、h、x、y、zが原子比であるときに、「0≦f」、「0.05≦g」、「0.25≦f+g≦0.6」、「0.4≦h≦0.75」、「0≦x≦0.1」、「0≦y≦0.3」、「f+g+h=1」、「x+y+z=1」を満足する層である。このB層3は、高靭性であり、かつ耐酸化性に優れる皮膜である。
Tiは、B層3の靱性を確保するために、Crとともに添加する元素である。この効果を発揮するには、TiとCrを合計で、原子比で0.25以上添加する必要がある。一方、合計で0.6を超えると相対的にAlが少なくなり耐酸化性が低下する。したがって、Tiの原子比fは、0.25≦f+g≦0.6とする。より好適な範囲は、0.3≦f+g≦0.5である。なお、B層3は、A層2ほど高硬度化させる必要が無いことから、Tiは0であっても良く、Crのみを添加した場合、例えば(組成の組み合わせでAlCrN)であっても良い。
Crは、B層3の硬度、耐酸化性および靱性を確保するために添加する元素である。硬度および耐酸化性確保の効果を発揮するには、原子比で0.05以上添加する必要がある。また、硬度および靱性確保の効果を発揮するには、TiとCrを合計で、原子比で0.25以上添加する必要がある。2層膜として使用した場合、靱性があっても硬さが低下しすぎるとB層3でクラックが発生し、A層2も剥離してしまう。一方、合計で0.6を超えると相対的にAlが少なくなり硬度および耐酸化性が低下する。したがって、Crの原子比gは、0.05≦g、かつ、0.25≦f+g≦0.6とする。より好適な範囲は、0.3≦f+g≦0.5である。
B層3に関しても一定の耐酸化性を付与するために、Alを原子比で0.4以上添加することが必要である。一方、0.75を超えると、B層3が軟質化し、耐摩耗性が低下する。したがって、Alの原子比hは、0.4≦h≦0.75とする。より好適な範囲は、0.5≦h≦0.7である。
BおよびCは、添加によりB層3を高硬度化させることができる。ただし、Bが原子比で0.1を超えると、B層3が非晶質化し、硬さが低下する。また、Cが原子比で0.3を超えると、B層3中に遊離Cが生じB層3が軟質化し、かつ耐酸化性が低下する。したがって、B、Cは、原子比で、各々0.1、0.3以下添加しても良い。Nは、金属元素と結合して、本発明における皮膜4の骨格をなす窒化物を形成する役割を果たすことから0.6以上は必要である。
[B層の上にA層が積層]
基材1上の第一層は、靱性ならびに密着性に優れるB層3とし、高硬度であり、耐摩耗性に優れるA層2を最表層とする。さらに、結晶構造がA層と同じ立方晶構造であるB層を下地として用い、B層の結晶配向性を(200)配向に制御することで、B層とA層の界面での整合性を利用して、B層の結晶配向性を保った状態でA層を形成することができる。これにより、切削性能をさらに向上させることができる。
切削面であるA層2は、厚さが0.5μm未満では切削寿命が短くなるため、0.5μm以上とする。好ましくは0.75μm以上である。一方、A層2の厚さが5.0μmを超えるとA層2の内部応力が大きくなり、A層2の破壊(チッピング)が発生することから、5.0μm以下とする。好ましくは3.0μm以下である。
下地層として用いるB層3は、厚さが0.05μm未満では基材1との密着性の確保や配向性の制御が困難となる。また、皮膜にチッピングが発生する。そのため、0.05μm以上とする。好ましくは0.1μm以上である。一方、B層3の厚さが3.0μmを超えると、結晶の優先配向性が(200)から、より安定な(111)に変化してしまうため、3.0μm以下とする。好ましくは2.5μm以下である。
図1(b)に示すように、A層2とB層3との間に厚さが0.5μm以下の中間層5を備える硬質皮膜形成部材10aとしてもよい。本発明の2層膜は中間層が無い場合でも十分に切削時の耐摩耗性が向上するが、A層2とB層3との界面に厚さが0.5μm以下の中間層5を設けることで、硬質皮膜の結晶整合性を高めるとともに、A層2とB層3との密着性を向上させることができ、結果としてより一層切削時の耐摩耗性が向上する。ここで、中間層5はA層2よりも硬さが低いことから、中間層5の厚さが0.5μmを超えると中間層5がクラック発生の基点となり、結果としてチッピングが発生してしまう。このため、中間層5を設ける場合には、中間層5の厚さは0.5μm以下とする。好ましくは0.4μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。一方、中間層5が薄すぎる場合には中間層5の効果が出ないため、0.05μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.07μm以上である。
硬質皮膜形成部材10(10a)は、硬質皮膜4をθ−2θ法のX線回折にて測定したときの(200)面からの回折線の積分強度I(200)が、(111)面からの回折線の積分強度I(111)の2倍以上(すなわち、I(111)×2≦I(200))であることが好ましい。また、硬質皮膜形成部材10(10b)は、硬質皮膜4をθ−2θ法のX線回折にて測定したときの(200)面からの回折線の半値幅(FWHM:Full Width Half Maximum)が1°以上であることが好ましい。
立方晶の優先配向性を(200)面配向とすることで切削特性が向上する。表面層であるA層2の優先配向性は下地層であるB層3の優先配向性によって制御でき、B層3の優先配向性はB層3の組成とB層3形成時に基材1に印加するバイアス電圧の組み合わせによって立方晶単層構造かつ本来は安定である(111)配向ではなく(200)配向とすることができる。配向性はB層3形成時に基材1に印加するバイアス電圧によって制御することができる。負のバイアス電圧(以下、適宜、負バイアスという)の絶対値が増加するに伴い、(111)面配向に対し(200)面配向となる。さらにB層3の膜厚についても厚くなると安定な(111)配向になりやすくなるために3.0μm以下にすることも重要である。一方で、A層2についてもB層3と整合性を持たせるためには六方晶と立方晶構造の混合層ではなく、立方晶単独の構造とする必要がある。これら構造の変化は成膜時に基材1に印加するバイアス電圧により制御することができる。なお、負バイアスの絶対値が低い場合には混合層が析出してしまう。また、B層3の結晶配向を制御することでA層2の結晶配向も制御でき、2層膜の(200)配向性の評価として、2層膜のX線回折結果から(200)回折線の積分強度が、(111)回折線の積分強度に対して2倍以上になるときに耐摩耗性が向上する。より好ましくは2.5倍以上である。
A層2については立方晶単層構造とすると共に、結晶粒サイズが小さくなるほど耐摩耗性が向上する。A層2の結晶粒サイズは、基材1に印加するバイアスの値により制御することができる。負バイアスの絶対値が大きいほど、結晶粒が微細化する。具体的な皮膜の結晶粒径の指標として、X線回折結果から観察される(200)面回折線の半値幅を使用することが出来る。回折線の半値幅が1.0°以上となれば結晶粒の微細化が十分に進み、結果として耐摩耗性が向上する。より好ましくは1.2°以上である。回折線の半値幅は、バイアス電圧が−130V以下の値の領域で増加する傾向があるが、その増加は2.5°付近で飽和する。
使用装置:理学電気製RINT−ULTIMA PC、測定方法:θ−2θ、X線源:Cukα(グラファイトモノクロメータ使用)、励起電圧−電流:40kV−40mA、発散スリット:1°、発散縦制限スリット:10.00mm、散乱スリット:1°、受光スリット:0.15mm、モノクロ受光スリット:なし
本発明に係る硬質皮膜の形成方法は、硬質皮膜形成部材を作製するための硬質皮膜の形成方法であって、硬質皮膜をアークイオンプレーティング法またはスパッタリング法で形成するものである。
図3に示すように、複合成膜装置100は、真空排気する排気口11と、成膜ガスおよび希ガスを供給するガス供給口12とを有するチャンバー13と、アーク式蒸発源14に接続されたアーク電源15と、スパッタ蒸発源16に接続されたスパッタ電源17と、成膜対象である被処理体(図示省略)を支持する基材ステージ18上の支持台19と、この支持台19と前記チャンバー13との間で支持台19を通して被処理体に負のバイアス電圧を印加するバイアス電源20とを備えている。また、その他、ヒータ21、放電用直流電源22、フィラメント加熱用交流電源23等を備えている。
なお、アーク式蒸発源14を用いることにより、アークイオンプレーティング(AIP)蒸発、スパッタ蒸発源16を用いることにより、アンバランスド・マグネトロン・スパッタリング(UBM)蒸発を行うことができる。
本実施例においては、図3に示す複合成膜装置を用いて、皮膜を形成した。
[第1実施例]
第1実施例では、B層を1.5μm成膜した後に、それぞれA層およびB層と同じ組成からなる2種類の層を積層した中間層を積層構造の1単位の厚さ(積層周期)が20nmとなるように固定して0.2μm成膜し、その上にA層を1.5μm成膜した。成膜時のバイアス電圧は、A層および中間層の成膜の際には−150V、B層の成膜の際には−100Vに固定して成膜した。このようにして、各々組成の異なるA、B層を形成し、硬さや切削性能に及ぼす皮膜組成の影響を検討した。なお、中間層は、A層と同一の組成の層と、B層と同一の組成の層を各々10nmとなるように、この順で積層することにより形成した。
<皮膜組成>
A層およびB層中の金属元素の成分組成を、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)により測定した。
皮膜の硬さは、超硬エンドミルにおける皮膜のビッカース硬さを、マイクロビッカース硬度計において、荷重20mN、保持時間15秒の条件で調べることにより評価した。硬さが25GPa以上のものを良好、25GPa未満のものを不良とした。
耐摩耗性は、以下の条件にて切削試験を実施し、一定距離経過後の境界部摩耗量(フランク摩耗量(摩耗幅))を測定することにより評価した。摩耗量(摩耗幅)が200μm未満のものを耐摩耗性が良好、200μmを超えるものを耐摩耗性が不良とした。
被削材:SKD61(HRC57)
切削速度:400m/分
深さ切込み:5mm
径方向切込み:0.6mm
送り:0.06mm/刃
評価条件:100m切削後のフランク摩耗(境界部)
これらの結果を表1、2に示す。なお、表中、本発明の範囲を満たさないものは、各層の組成に下線を引いて示す。ただし、必須の成分を含有しないものについては、下線で示していない。
一方、No.27〜49は、本発明の範囲を満足していないため、硬さおよび耐摩耗性のいずれか一つ以上が不良であった。なお、No.50は、チッピングの発生により、フランク摩耗量を測定することができなかった。具体的には、以下のとおりである。
皮膜組成を一定とし、A層、B層の膜厚をそれぞれ1.5μmに固定し、中間層の厚さを変化させ、硬さや切削性能に及ぼす中間層の厚さの影響について検討した。
皮膜の形成は、第1実施例と同様の方法で行った(中間層以外の条件は第1実施例と同様である)。なお、中間層は、A層と同一の組成の層と、B層と同一の組成の層をこの順で積層することにより形成した。また、中間層の各層の厚さの比率は1:1とし、1単位の厚さは、20nm、に固定した。なお、No.51は、中間層を設けていない。
これらの結果を表3に示す。なお、表中、本発明の範囲を満たさないものは、数値に下線を引いて示す。
第3実施例では、皮膜組成を一定とし、サンプルごとにA層とB層の厚さの異なる皮膜を形成し、硬さや切削性能に及ぼすA層とB層の厚さの影響について検討した。また、X線回折による皮膜の優先配向についても調べた。なお、ここでは中間層を設けている。
皮膜の形成は、第1実施例と同様の方法で行った(膜厚以外の条件は第1実施例と同様である)。この際、サンプルごとにA層とB層の厚さを変化させた。なお、比較例としてA層あるいはB層からなる単層膜についても成膜した。
X線回折の条件を以下に示す。
[X線回折装置]
使用装置:理学電気製RINT−ULTIMA PC
測定方法:θ−2θ
X線源:Cukα(グラファイトモノクロメータ使用)
励起電圧−電流:40kV−40mA
発散スリット:1°
発散縦制限スリット:10.00mm
散乱スリット:1°
受光スリット:0.15mm
モノクロ受光スリット:なし
これらの結果を表4に示す。なお、表中、本発明の範囲を満たさないもの、および、積分強度比が本発明の好ましい範囲を満たさないものは、数値に下線を引いて示す。
第4実施例では、皮膜組成、A層およびB層の厚さを一定とし、皮膜形成時のバイアス電圧を変化させ、硬さや切削性能に及ぼす、X線回折による皮膜の優先配向および回折線の半値幅の影響について検討した。
皮膜の形成は、第1実施例と同様の方法で行った。ただし、中間層は設けず、またA層の形成時のバイアス電圧を変化させた。すなわち、B層を、バイアス電圧を−100Vとして1.5μm成膜した上に、A層を1.5μm成膜した。この際、サンプルごとに、A層形成時のバイアス電圧を変化させた。
X線回折の条件は、第3実施例と同様である。
これらの結果を表5に示す。なお、表中、本発明の好ましい範囲を満たさないものは、数値に下線を引いて示す。
一方、No.73は、バイアス電圧が−130Vを超え、さらに−75Vを超えたため、積分強度比および半値幅が本発明の好ましい下限値未満となった。No.74〜76は、バイアス電圧が−130Vを超えたため、半値幅が本発明の好ましい下限値未満となった。よってこれらは、硬さ、耐摩耗性の向上効果は良好であったものの、No.77〜80に比べるとやや劣った。
2 A層
3 B層
4、4a 硬質皮膜
10、10a 硬質皮膜形成部材
22 Aa層
33 Bb層
Claims (9)
- 基材上に硬質皮膜を備えた硬質皮膜形成部材であって、
前記硬質皮膜は、組成がTiaCrbAlcSidYe(BuCvNw)からなり、前記a、b、c、d、e、u、v、wが原子比であるときに、
0.05≦a
0.05≦b
0.2≦a+b≦0.55
0.4≦c≦0.7
0.02≦d≦0.2
0≦e≦0.1
0≦u≦0.1
0≦v≦0.3
a+b+c+d+e=1
u+v+w=1
を満足するA層と、
組成がTifCrgAlh(BxCyNz)からなり、前記f、g、h、x、y、zが原子比であるときに、
0≦f
0.05≦g
0.25≦f+g≦0.6
0.4≦h≦0.75
0≦x≦0.1
0≦y≦0.3
f+g+h=1
x+y+z=1
を満足するB層とを備え、
厚さが0.5μm以下の中間層を介して前記B層の上に前記A層が積層され、前記A層の厚さが0.5〜5.0μmであり、前記B層の厚さが0.05〜3.0μmであることを特徴とする硬質皮膜形成部材。 - 前記A層と前記B層との間に、厚さが0.5μm以下の中間層を備え、
前記中間層は、前記A層と同じ組成からなる層と、前記B層と同じ組成からなる層が交互に積層されていることを特徴とする請求項1に記載の硬質皮膜形成部材。 - 前記硬質皮膜をθ−2θ法のX線回折にて測定したときの(200)面からの回折線の積分強度I(200)が、(111)面からの回折線の積分強度I(111)の2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の硬質皮膜形成部材。
- 前記硬質皮膜をθ−2θ法のX線回折にて測定したときの(200)面からの回折線の積分強度I(200)が、(111)面からの回折線の積分強度I(111)の2倍以上であることを特徴とする請求項2に記載の硬質皮膜形成部材。
- 前記硬質皮膜をθ−2θ法のX線回折にて測定したときの(200)面からの回折線の半値幅が1°以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の硬質皮膜形成部材。
- 請求項1または請求項2に記載の硬質皮膜形成部材を作製するための硬質皮膜の形成方法であって、前記硬質皮膜をアークイオンプレーティング法またはスパッタリング法で形成することを特徴とする硬質皮膜の形成方法。
- 請求項3に記載の硬質皮膜形成部材を作製するための硬質皮膜の形成方法であって、前記A層、前記B層および前記中間層をアークイオンプレーティング法またはスパッタリング法で形成するときに、前記基材に印加するバイアス電圧を絶対値が70V以上の負の電圧とすることを特徴とする硬質皮膜の形成方法。
- 請求項4に記載の硬質皮膜形成部材を作製するための硬質皮膜の形成方法であって、前記A層、前記B層および前記中間層をアークイオンプレーティング法またはスパッタリング法で形成するときに、前記基材に印加するバイアス電圧を絶対値が70V以上の負の電圧とすることを特徴とする硬質皮膜の形成方法。
- 請求項5に記載の硬質皮膜形成部材を作製するための硬質皮膜の形成方法であって、前記A層をアークイオンプレーティング法またはスパッタリング法で形成するときに、前記基材に印加するバイアス電圧を絶対値が130V以上の負の電圧とすることを特徴とする硬質皮膜の形成方法。
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