JP5729661B2 - クラスプ - Google Patents

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Description

本発明は、ネックレスやブレスレットのような装身具、ベルト等における端部の相互連結や、カーテン同士の相互連結のため、あるいは財布やバッグの口を留めるために用いられる留め具であるクラスプに関する。
従来、ネックレスやブレスレットのような装身具の端部同士を連結、解除し、あるいは財布やバッグの口を留めまたこれを解除するための手段として、永久磁石の磁気吸着力及び磁気反発力を利用するクラスプが提案されている(後記特許文献1及び2)。
前記従来のクラスプは永久磁石が組み込まれた一対のピースを備え、両ピースは装身具の両端部あるいは財布やバッグの本体とフラップとに取り付けられる。両ピースはこれらの永久磁石の異極同士を対向させることにより磁気吸着力を受けて互いに結合される。これにより、装身具の両端部が連結され、あるいは財布やバッグの口が留められる。また、結合された両ピースをこれらの軸線の周りに回転させて両永久磁石の同極同士を対向させると、両ピースは磁気反発力を受けて互いに分離する。これにより、装身具の両端部の連結が解除され、また財布やバッグの口の留められた状態が解除される。
ところで、クラスプに用いられる永久磁石は、互いに結合された両ピースが簡単に分離することがないように、比較的高い磁気吸着力を発揮し得るもの、すなわち比較的強い磁力を有するものが選択される。しかし、反面、強い永久磁石の磁気漏れのために、身の回り品である例えば腕時計のような精密機器が悪影響を受けるという懸念がある。
米国特許公開第2006/0096070号 米国特許公開第2007/0028429号
本発明の目的は、比較的高い磁気吸着力を発揮でき、磁気漏れの比較的少ないクラスプを提供することにある。
(請求項1に記載の発明の特徴)
請求項1に記載の発明はクラスプに係り、互いに組み合わされる一対のピースからなり、前記一対のピースは組み合わされたときに両ピースの共通の軸線の周りに互いに回転可能であり、両ピースは表裏面それぞれに多極着磁を施された一対の永久磁石を保持し、両ピースが組み合わされたときに両永久磁石の表面が対向する_ことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、一対のピースは、これらに保持された一対の永久磁石がこれらの表面において異極同士で対向するとき、両永久磁石相互間に生じる磁気吸着力により互いに結合される。両ピースの結合により、両ピースを介しての例えばネックレスやブレスレット、ベルトの両端部の連結、財布やバッグの口のロック、カーテン同士の連結等を行うことができる。また、両ピースをこれらの共通軸線の周りに回転させて両永久磁石の表面が同極同士で対向するようにすると、両永久磁石相互間に生じる磁気反発力により両ピースの相互結合を解除することができる。これにより、前記ネックレス等における相互連結の解除、前記財布等の口のロックの解除等を行うことができる。本発明にあっては、前記永久磁石がその表裏面に多極着磁を施されたいわゆる両面多極型のものからなることから、たとえば_片面に一極着磁が施されたいわゆる片面一極型のものなどと比べて、前記ピースからの磁気又は磁束の漏洩量を少なくすることができる。
(請求項2に記載の発明の特徴)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成要素に加えて、さらに、各ピースに保持され各永久磁石の裏面に接するバックヨークを備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、各永久磁石の裏面に接するバックヨークを備えることから、一方の永久磁石の裏面から他方の永久磁石の裏面に向かう磁力線の空中放出量がより低減され、これにより、磁気の漏洩量がより一層低減される。
(請求項に記載の発明の特徴)
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の両ピースが、これらの共通軸線の周りに形成されその周方向へ伸びる突起及び該突起を受け入れ、前記突起に対して前記共通軸線の周方向への案内作用を及ぼす溝を有し、前記突起が前記共通軸線の周方向に関する中央部及び両端部を有し、前記中央部から各端部に向けて漸減する厚さ寸法を有し、また、前記溝が前記共通軸線の周方向に関する中央部及び両端部を有し、前記中央部から各端部に向けて漸減する深さ寸法を有することを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、両ピースは、これらに設けられた突起及びこれを受け入れる溝を介して、両ピースの共通軸線の周りに相対的に回転させることができる。本発明にあっては、前記突起の厚さ寸法がその中央部からその各端部に向けて漸減し、また前記突起を受け入れる溝の深さ寸法がその中央部からその各端部に向けて漸減することから、両ピースを相対的に回転させるとき、両ピースに保持された両永久磁石の表面が次第に近接しあるいは離れるようにすることができる。
(請求項に記載の発明の特徴)
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の両ピースが、互いに相対する凸部及び該凸部を受け入れる凹部を備え、前記凸部及び前記凹部が両ピースの共通軸線の周りに滑動可能に接する円筒面からなる周面を有することを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、両ピースは、これらに設けられた凸部及びこれを受け入れる凹部の円筒面からなる周面を介して、両ピースの共通軸線の周りに相対的に回転させることができる。
(請求項に記載の発明の特徴)
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の一方のピースに該ピースの周囲を回転可能であるように取り付けられたカンと、他方のピースに固定されたカンとを備えることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、両ピースの両カンは例えば装身具の両端部への両ピースの接続部とすることができる。また、一方のカンは、クラスプの適用対象である例えばネックレスの装着者の体形やネックレスの長さに応じて変化する該ネックレスの両端部の交差角度の大きさに合わせて回転することができる。
(請求項に記載の発明の特徴)
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の各ピースが各永久磁石を保持するための多角形の穴を有し、各永久磁石は前記穴とほぼ同形の平面形状を有することを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、各ピースにおける各永久磁石の保持穴と該永久磁石の平面形状とをほぼ同形の多角形としたことから、両ピースの強制的な回転操作時における両永久磁石の両ピースに対する相対的な回転運動の発生が確実に阻止され、これにより両ピースとの一体的な回転が確保される。
本発明によれば、永久磁石を利用するクラスプについて、比較的高い吸着力を発揮でき、磁気漏れの比較的少ないものとすることができる。
本発明に係るクラスプが適用されたネックレスの概略図である。 クラスプの一例の平面図である。 図2に示すクラスプの縦断面図である。 図2に示すクラスプの分解斜視図である。 クラスプの他の例の平面図である。 図5に示すクラスプの縦断面図である。 図5に示すクラスプの分解斜視図である。 クラスプの他の例の縦断面図である。 クラスプの他の例の平面図である。 図9に示すクラスプの縦断面図である。 図9に示すクラスプを構成する一方の平面図である。 図9に示すクラスプを構成する他方のピースの底面図である。 クラスプの他の例の縦断面図である。 図13に示すクラスプの分解斜視図である。 図13に示すクラスプの一方のピースの平面図である。 図13に示すクラスプの一方のピースの側面図である。 図13に示すクラスプの他方のピースの底面図である。 図13に示すクラスプの他方のピースの側面図である。
図1を参照すると、本発明に係るクラスプ1の適用対象の一例であるネックレス3が示されている。このネックレス3は紐5と、該紐に通された複数の珠7とを備え、ネックレス3の両端部をなす紐5の両端部9,11がクラスプ1により解除可能に連結されている。ネックレス3の両端部9,11は、クラスプ1を構成する後記一対のピース13,15に接続される。
次に、図2、図3及び図4を参照すると、本発明に係るクラスプ1の一例が具体的に示されている。クラスプ1は、互いに組み合わされる一対のピース13,15を含む。両ピース13,15には一対の永久磁石17,19が保持されている。すなわち、一方のピース13に永久磁石17が保持され、他方のピース15に永久磁石19が保持されている。
両ピース13,15は、図3で見て、互いに組み合わされて接した状態にある。組み合わされた状態において、両ピース13,15はこれらの共通の軸線Lの周りに相対的に回転可能であり、また、これらのピース13,15に保持された両永久磁石17,19は、小さい隙間21をおいて、互いに相対している。
一方のピース(図3で見て下方のピース)13及び他方のピース(同、上方のピース)15は本体23,25を備える。図示の本体23は全体に扁平な有底の筒状体からなり、また、本体25は全体に扁平な筒状体からなる。両永久磁石17,19は、それぞれ、板状又はブロック状を呈する。
一方のピース13の本体23は一方の永久磁石17を保持する穴27を有し、永久磁石17は穴27に嵌め込まれかつこれに固着されている。また、他方のピース15の本体25は他方の永久磁石19を保持する穴29を有し、永久磁石19は穴29に嵌め込まれかつこれに固着されている。図示の例では、各穴27,29の横断面形状と、各永久磁石17,19の平面形状とがともに同一の正六角形に設定されている。この設定により、一方のピース13とこれに保持された永久磁石17とがこれらの間に相対的回転を生じることなく軸線Lの周りに一体的に回転し得るようにされ、また、他方のピース15とこれに保持された永久磁石19と間に相対的回転を生じることなく軸線Lの周りに一体的に回転し得るようにされている。前記正六角形に代えて、他の多角形とすることが可能であり、また、円形とすることを妨げるものではない。
また、好ましくは、両ピース13,15の本体23,25に、これらの穴27,29を規定する壁の一部を切り欠いてなる折り曲げ可能の複数の爪30が設けられる。図4で見て、一方のピース13の本体23における折り曲げられた爪30は、永久磁石17の穴27外への抜け出しを阻止し、また、他方のピース15の本体25における折り曲げられた爪30は、永久磁石19を支持し、該永久磁石の穴29外への抜け出しを阻止する働きをなす。
両永久磁石17,19は、それぞれ、いわゆる両面多極の着磁を施されたものからなり、一方の永久磁石17は多極着磁を施された表面31及び裏面33を有し、また、他方の永久磁石19は多極着磁を施された表面35及び裏面37を有する。図2〜図4に示す例では、各永久磁石17,19は両面4極の着磁を施されたものからなり、各永久磁石の表面に2つの磁極であるN極とS極とがあらわれ、その裏面に2つの磁極であるS極とN極とがあらわれる(図4)。
両ピース13,15が組み合わされるとき、両永久磁石17,19はこれらの表面31,35において対向する。このとき、両表面31,35が異なる磁極同士で対向すると、両永久磁石17,19相互の磁気吸着作用により、両ピース13,15が互いに結合され、反対に同じ磁極同士で対向すると、両永久磁石17,19相互の磁気反発作用により、両ピース13,15の結合が解除される。両ピース13,15の結合及びその解除は、両ピース13,15の一方を他の一方に対して共通軸線Lの周りに相対的に回転させることにより生じさせることができる。
前記両面多極の着磁を施されたタイプの永久磁石17,19を用いると、他のタイプの永久磁石を用いる場合と比べて、組み合わされた状態の両ピース13,15からの磁気又は磁束の漏れは少ない。このため、例えばネックレス3の装着者が身に付ける腕時計のような精密機器に対する磁気による悪影響を最小限とすることができる。
両ピース13,15からの前記磁気漏れ又は磁束漏れをより一層少なくするため、好ましくは、両ピース13,15に板状体からなる2対のバックヨーク39,41及び43,45が配置される。
2対のバックヨーク39,41及び43,45は、それぞれ、各永久磁石17,19と同一の正六角形からなる平面形状を有する。一方の両バックヨーク39,41は一方のピース13の本体23の穴27に互いに重ねた状態で嵌め込まれ、その一つ39が永久磁石17の裏面33に接している。また、他方の両バックヨーク43,45は他方のピース15の本体25の穴29に互いに重ねた状態で嵌め込まれ、その一つ43が永久磁石19の裏面37に接している。各穴27,29内に配置される前記バックヨークの数量は、これを1対とすることに代えて、1又は3以上とすることができる。また、前記バックヨークを板状体で構成することに代えて、正六角形の横断面形状を有する有底の筒状体とすることができる。前記有底の筒状体は、その底壁が前記永久磁石の裏面に接しかつその側壁が前記永久磁石に接しないで該永久磁石を取り巻くように配置される。
一対のピース13,15には、これらの共通軸線Lの周りの相対的回転をより確実にするための軸47及び該軸を受け入れる孔49が設けられている。軸47は、一方のピース13からその穴27内を軸線Lに沿って伸び、その先端部が穴27から突出している。穴27内に配置された永久磁石17と両バックヨーク39,41とには、軸47が通り抜ける貫通孔51,53が設けられている。さらに、他方のピース15の穴29内に配置された永久磁石19に、一方のピース13の穴27から突出する軸47の先端部を受け入れる貫通孔55が設けられている。この貫通孔55が、実質的に、軸47の受け入れ孔49をなす。これによれば、軸47が貫通孔55内に回転可能に拘束され、このために両ピース13,15相互間に共通軸線Lに直角な方向にずれが生じることを防止され、両ピース13,15の共通軸線Lの周りの円滑な相対的回転が保証される。また、軸47と該軸が受け入れられた貫通孔55とは、互いに結合された両ピース13,15に作用する、軸47に直交する外力に抵抗し、両ピース13,15の結合状態を維持する働きをなす。
クラスプ1は、また、前記磁気吸引作用により結合状態におかれた両ピース13,15の結合を解除するために一方のピース13に対して他方のピース15を相対的に回転させるための手掛り部57を備える。図2〜図4に示す例では、手掛り部57は、他方のピース15に設けられる後記装飾体73のための受け皿59に設けられ、該受け皿の周囲を連続して伸びる凹凸面からなる。
受け皿59は、図3で見て、他方のピース15の本体25上に載置されかつ固定され、本体25の穴29を閉鎖している。また、本体25に設けられ該本体から上方に向けて軸線Lと平行に伸びる複数のだぼ61が、受け皿59に設けられただぼ穴63に受け入れられている。これにより、本体25と受け皿59との間での軸線Lの周りの相対的回転の発生が防止される。これによれば、受け皿59の周囲の手掛り部57に指をかけて受け皿59に回転外力を付与することにより、本体23に対して本体25を軸線Lの周りに相対的に回転させることができる。
さらに、クラスプ1は、両ピース13,15を例えばネックレス3の両端部9,11に接続するためのカン65,67を備える。一方のカン65は、一方のピース13の本体23に固定されている。また、他方のカン67は他方のピース15の本体25に対してその周りに回転可能であるように配置されている。他方のカン67はこれに連なるリング部69を有し、リング部69が、本体25に設けられた鍔部71上に載置され本体25の周囲を取り巻いている。回転可能のカン67は、例えばネックレス3の装着者の体形やネックレス3の長さに応じて変化する該ネックレスの両端部9,11の交差角度の大きさに合わせて回転することができる。
さらに、クラスプ1は、好ましくは装飾体73を備える。装飾体73は、石、パール等からなり、受け皿59に嵌め込まれ、これに固定されている。
両ピース13,15が互いに結合された状態(図3に示す状態)にあるクラスプ1の外面の複数箇所において磁気漏れの量を計測したところ、その値は25〜100ガウスであった。この値は、現に市販されている他のクラスプについて同様に測定して得られた磁気漏れの計測値700〜1000ガウスと比べて十分に小さい値である。
前記磁気漏れの計測対象とされた本発明に係るクラスプ1の各永久磁石17,19は、両面4極の着磁を施されたものからなり、1680ガウスの磁力を有する。各永久磁石17,19の平面形状である正六角形は直径6mmの円に内接する大きさを有する。また、各バックヨーク39,43及び43,45はステンレス鋼からなり、0.4mmの厚さ寸法を有する。なお、前記市販の他のクラスプは、2600ガウスの磁力を有する。計測は、横河電気株式会社製のガウスメーター TAPE-3251を使用し、そのプローブをクラスプの外表面の複数個所に当てて行った。
次に、図5〜図7に示す他の例に係るクラスプ1におけるように、磁気吸引作用によって結合状態におかれた両ピース13,15の結合を解除するために一方のピース13に対して他方のピース15を相対的に回転させるための手掛り部57は、他方のピース15の本体25の鍔部71に設けることができる。この手掛り部57は、鍔部71からその直径方向外方に伸びるレバーからなる。これによれば、前記レバーに指をかけて他方のピース15を共通軸線Lの周りに回転させることができる。
図5〜図7に示すクラスプ1においては、さらに、本体25の鍔部71に、前記レバーに対して約180度の角度的間隔をおいて、ストッパー75が設けられている。ストッパー75は、カン67の回転動作を制限する作用なす。このため、カン67はストッパー75に対して当接可能とされている。さらに、図5〜図7に示す例においては、一方のピース13の本体23に他の装飾体77が取り付けられている。図5〜図7に示すクラスプ1は、その構成上、前記したところを除き図2〜図4に示すクラスプ1と異なるところはない。
また、図8に示すクラスプ1の他の例におけるように、図2〜図4及び図5〜図7にそれぞれ示すクラスプ1における受け皿59を省略したものとすることができる。図8に示すクラスプ1においては、他方のピース15の本体25に装飾体73が直接に取り付けられている。装飾体73には、本体25から伸びる複数のだぼ61を受け入れる複数のだぼ穴63が設けられている。さらに、図8に示すクラスプ1においては、一方のピース13の本体23が装飾体の機能を兼ね備えるものとされている。図示の例では、本体23の外形が球面の一部で構成されている。本体23、25及び装飾体73は、例えば金属材料で形成することができる。図8に示すクラスプ1は、その構成上、前記したところを除き、図2〜図4に示すクラスプ1と異なるところはない。
図9〜図12にさらに他の例のクラスプ1を示す。このクラスプ1は、その構成上、次に述べる2点において、図2〜図4に示すクラスプ1と相違する。
第1に、図2〜図4に示す手掛り部57が設けられた受け皿59を有しない。この受け皿59に代えて、図9〜図12の例では、他方のピース15の本体25が装飾体の機能を兼ね備えるようにその外形が整えられており、また、一対の手掛り部57,79が他方のピース15の本体25と、一方のピース13の本体23とに設けられている。これらの手掛り部57,79はそれぞれ球状のレバーからなり、手掛り部57は本体25の周縁部に連なり、手掛り部79は本体23の周縁部に連なっている。両手掛り部57,79は、図9で見て互いに相対する位置に配置されている。さらに、他方のピース15のカン67が、他方のピース15の本体25にこれと一体をなすように取り付けられている。2つの手掛り部57,79を指で挟みこれらが相寄る方向へ外力を加えることにより、両ピース13,15の一方を他の一方に対して共通軸線Lの周りに相対的に回転させることができる。なお、2つの手掛部57,79のいずれか一方、例えば他方のピース15の側の手掛り部57の配置を省略してもよい。これによれば、他方のピース15を押さえかつ一方のピース13の側の手掛り部79に力を加えることにより、一方のピース13を共通軸線Lの周りに回転させることができる。
第2に、図2〜図4に示す軸47及びその受入孔49を有しない。このため、図9〜図12に示す例では、一方のピース13の本体23の穴27内に配置された永久磁石17が貫通孔を有せず、また、2つのバックヨーク39,41も貫通孔を有しない。さらに、他方のピース15の本体25の穴29内に配置された永久磁石19も貫通孔を有しない。
図2〜図4に示す軸47及びその受入孔49の代わりに、図9〜図12に示す例では、一方のピース13の本体23と他方のピース15の本体25とに突起81と該突起を受け入れる溝83とが設けられている。また、他方のピース15の本体25と一方のピース13の本体23とに突起85と溝87とが設けられている。突起81と突起85とは同一の形状を有し、また、溝83と溝87とは同一の形状を有する。
一組の突起81及び溝83と他の一組の突起85及び溝87とは、両ピース13,15が組み合わされるときに相対しかつ当接する両本体23,25の当接面89,91に設けられている。突起81及び溝87は、一方のピース13の本体23の穴27の周りに互いに相対して配置され、軸線Lの周りにその周方向へ伸びている。また、突起85及び溝83は、他方のピース15の本体25の穴29の周りに互いに相対して配置され、軸線Lの周りにその周方向へ伸びている。さらに、各突起81,85は、軸線Lの前記周方向に関する中央部93と両端部95とを有し、中央部93から各端部95に向けて漸減する厚さ寸法を有する。また、各溝83,87は、軸線Lの前記周方向に関する中央部97と両端部99とを有し、中央部97から各端部99に向けて漸減する深さ寸法を有する。
これらのことから、互いに組み合わされ結合状態にある両ピース13,15の一方に回転外力が加えられるとき、前記溝に受け入れられている前記突起が前記溝の案内作用を受けて前記溝内を該溝の両端部の一方から他方に向けて移動する。その結果、両ピース13,15の一方がその他方に対して共通軸線Lの周りに回転する。このとき、前記突起が前記溝の浅い端部に乗り上がり、両ピース13,15の相互間隔が漸増する。また、前記溝とこれに受け入れられた前記突起とは、互いに結合された両ピース13,15に対して作用する、軸線Lに直交する外力に抵抗し、両ピース13,15の結合状態を維持する働きをなす。
最後に、図13〜図18にさらに他の例のクラスプ1を示す。このクラスプ1は、その構成上、次に述べる2点において、図2〜図4に示すクラスプ1と相違する。
第1に、図2〜図4に示す手掛り部57及び該手掛り部が設けられた受け皿59を有しない。手掛り部57を設けることに代えて、図13〜図18に示す例では、両ピース13,15のカン65,67が共に両ピースの本体23,25に固定されており、両カン65,67を介して、両ピース13,15の一方に対してその他方を共通軸線Lの周りに相対的に回転させることができる。また、受け皿59を設けることに代えて、図13〜図18に示す例では、他方のピース15の本体25が装飾体の機能を兼ね備えるようにその外形が整えられている。なお、一方のピース13の本体23についてもこれが装飾体の機能を兼ね備えるようにその外形が整えられている。
第2に、図2〜図4に示す軸47及びその受入孔49を有しない。このため、図13〜図18に示す例では、一方のピース13の本体23の穴27内に配置された永久磁石17が貫通孔を有せず、また、2つのバックヨーク39,41も貫通孔を有しない。さらに、他方のピース15の本体25の穴29内に配置された永久磁石19も貫通孔を有しない。
図13〜図18に示す例では、図2〜図4に示す軸47及びその受入孔49の代わりに、一方のピース13の本体23と他方のピース15の本体25とが、これらが組み合わされた状態で見て、互いに相対する凸部101と該凸部を受け入れる凹部103とを備える。凸部101及び凹部103は、両ピース13,15の共通軸線Lの周りに滑動可能に接する円筒面からなる周面105,107を有し、また本体23,25同士の当接面89,91を規定する端面を有する。
これらのことから、互いに組み合わされ結合状態にある両ピース13,15の一方に回転外力が加えられるとき、凹部103とこれに受け入れられている凸部101とがこれらの周面105,107において滑動する。その結果、両ピース13,15の一方がその他方に対して共通軸線Lの周りに回転する。また、凹部103とこれに受け入れられた凸部101とは、互いに結合された両ピース13,15に対して作用する、軸線Lに直交する外力に抵抗し、両ピース13,15の結合状態を維持する働きをなす。
1 クラスプ
13,15 ピース
17,19 永久磁石
31,33,35,37 永久磁石の表裏面
39,41,43,45 バックヨーク
47 軸
49 孔
51,55 永久磁石の貫通孔
53 バックヨークの貫通孔
57,79 手掛り部
81,85 突起
83,87 溝
101 凸部
103 凹部

Claims (6)

  1. 互いに組み合わされる一対のピースからなり、
    前記一対のピースは組み合わされたときに両ピースの共通の軸線の周りに互いに回転可能であり、
    両ピースは表裏面それぞれに多極着磁を施された一対の永久磁石を保持し、両ピースが組み合わされたときに両永久磁石の表面が対向する_
    ことを特徴とするクラスプ。
  2. さらに、各ピースに保持され各永久磁石の裏面に接するバックヨークを備えることを特徴とする請求項1に記載のクラスプ。
  3. 両ピースがこれらの共通軸線の周りに形成されその周方向へ伸びる突起及び該突起を受け入れ、前記突起に対して前記共通軸線の周方向への案内作用を及ぼす溝を備え、
    前記突起が前記共通軸線の周方向に関する中央部及び両端部を有し、前記中央部から各端部に向けて漸減する厚さ寸法を有し、また、
    前記溝が前記共通軸線の周方向に関する中央部及び両端部を有し、前記中央部から各端部に向けて漸減する深さ寸法を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のクラスプ。
  4. 両ピースが互いに相対する凸部及び該凸部を受け入れる凹部を備え、前記凸部及び前記凹部が両ピースの共通軸線の周りに滑動可能に接する円筒面からなる周面を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のクラスプ。
  5. 一方のピースに該ピースの周囲を回転可能であるように取り付けられたカンと、他方のピースに固定されたカンとを備える
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のクラスプ。
  6. 各ピースが各永久磁石を保持するための多角形の穴を有し、各永久磁石は前記穴とほぼ同形の平面形状を有する
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のクラスプ。
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