JP5728488B2 - 心筋梗塞のリスクファクターおよび予測 - Google Patents

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Description

関連出願の引用
本願は、2009年11月13日に出願した米国仮出願第61/261,155号に対する優先権およびその利益を主張する。米国仮出願第61/261,155号の内容全体は本明細書中に参考として援用される。
背景
心筋梗塞(MI)は、一般的には心臓発作として知られており、修正可能なリスクファクターと関係しているが、それにも関らず、依然、世界中で死亡および重度の身体障害の第1位の原因である。(非特許文献1)。予防に向けて、現代の米国および欧州の指針は、統合された2工程のアプローチを推奨しており、ここでは、リスク評価(予測)に続いて、必要に応じて、個別化されたリスク軽減(治療)が行われる。リスクが高ければ高いほど、処方される予防的ケアはより積極的なものとなる(非特許文献2;非特許文献3)。
MIの一次予防におけるリスク評価は、最近40年間では劇的には変化していない。これは依然、1960年代のフラミンガムの心臓研究により導入されたリスクファクターの概念に基づく(非特許文献4)。血漿コレステロールおよび血圧のような個々のリスクファクターは、低い独立した予測能力を有している(非特許文献5)ので、これらは、フラミンガムのリスク点数(FRS)および欧州のSCORE(Systematic Coronary Risk Evaluation)のような全体的なリスク評価の測定を得るために組み合わせられている(非特許文献2;非特許文献3)。
これらの多変数のリスク予測モデルは、10年の絶対リスクと相対リスクの概算を提供する。絶対リスクは、薬理学的リスクの軽減の必要性を評価するために主に使用されるが、相対リスクは、別の方法でそれらの高い生涯リスクを軽減するためのライフスタイルの改善のための若い個体を同定することにおいてより有用である。
この2工程の予防的アプローチが妥当であるが、確立されているリスクファクターは、組み合わせられた場合にもなお、限定された予測力しか有さないので、その現在の形態は完全からは程遠く(非特許文献6)、そして無症候性疾患の臨床的MI事象への進行が、推奨される「最適な」治療が開始されてもなお起こる(非特許文献7)。ほとんどのMI事象は、FRS/SCOREが低リスクおよび中程度のリスクのカテゴリーに分類された個体において(すなわち、誤って分類された個体の間で)起こる。さらに、実質的な残存リスクは、利用可能な最善の内科的治療を行ってもなお持続する(非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9)。
したがって、MI事象について最も高いリスクがある個体の検出と処置の両方を改善する必要がある。
Yusuf S,Hawken S,Ounpuu S,ら、Effect of potentially modifiable risk factors associated with MI in 52 countries(the INTERHEART study):case−control study.Lancet.364:937−52(2004) Third Report of the National Cholesterol Education Program(NCEP)Expert Panel on Detection,Evaluation,and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults(Adult Treatment Panel III)final report.Circulation 106:3143−421(2002) European guidelines on cardiovascular disease prevention in clinical practice:executive summary.Eur.Heart J.28:2375−414(2007) Kannel WB,Dawber TR,Kagan A,Revotskie N,Stokes J,3rd.Factors of risk in the development of coronary heart disease−−six year follow−up experience.The Framingham Study.Ann.Intern.Med.55:33−50(1961) Ware JH.The limitations of risk factors as prognostic tools.N.Engl.J.Med.355:2615−7(2006) Wald NJ,Morris JK,Rish S.The efficacy of combining several risk factors as a screening test.J.Med.Screen.12:197−201(2005) Koenig W.Treating residual cardiovascular risk:will lipoprotein−associated phospholipase A2 inhibition live up to its promise? J.Am.Coll.Cardiol.51:1642−4(2008) Naghavi M,Falk E,Hecht HSら、From vulnerable plaque to vulnerable patient−−Part III:Executive summary of the Screening for Heart Attack Prevention and Education(SHAPE)Task Force report.Am.J.Cardiol.98:2H−15H(2006) Lauer MS.Primary prevention of atherosclerotic cardiovascular disease:the high public burden of low individual risk.JAMA.297:1376−8(2007)
個体が将来、MI、すなわち心臓発作を経験するリスクの予測となる生体マーカーのセットが発見されている。特に、本明細書中で同定された生体マーカーのセットは、個体がMIを経験するかどうかを予測することについて、従来の臨床的リスクファクター(例えば、年齢、喫煙状況、およびコレステロール値)と比較して、優れた識別力を提供する。さらに具体的には、本教示の様々な実施形態では、生体マーカーのセットに癌胎児性抗原とβ−2ミクログロブリンが含まれる。特定の実施形態では、生体マーカーのセットにはさらに、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α−1抗トリプシン、およびC反応性タンパク質のうちの少なくとも1つが含まれる。加えて、個体がMIを経験する可能性を予測するために本明細書中で同定された1つ以上の生体マーカーを測定するためのキットが提供される。
したがって、様々な実施形態において、個体におけるMIのリスクを診断するための方法には、一般的に、個体由来の試料中の1セットの生体マーカーのレベルを測定する工程;例えば、生体マーカーの測定したレベルを重みづけすることにより、個体についてリスク点数を計算する工程;および、個体が心筋梗塞を経験する可能性を同定するために、リスク点数を使用する工程が含まれる。試料には血液が含まれ得、個体はヒトであり得る。この方法には、個体の心筋梗塞の可能性に関連する情報を、送信する、表示する、記憶する、または印刷する、あるいはユーザーインターフェースデバイス、コンピューターで読み取り可能な記憶媒体、ローカルコンピューターシステム、またはリモートコンピューターシステムに出力する工程が含まれ得る。本教示の方法の様々な特徴および工程を、そのために特別に設計されたおよび/または構築された適切にプログラムされたコンピューターを用いて行うことができるか、あるいは、本教示の方法の様々な特徴および工程は、そのようなコンピューターに支援され得る。
本教示の方法においては、生体マーカーのレベルを、当該分野で公知の様々な技術により、例えば、免疫測定法、比色分析法、比濁分析、およびフローサイトメトリーのうちの少なくとも1つにより決定することができる。もちろん、使用する特別な技術は、測定しようとする生体マーカーの性質に一部依存する。
本教示の特定の実施形態においては、リスク点数を計算する工程に、測定した生体マーカーのレベルを対数変換して、それぞれの測定した生体マーカーについて変換した値を得ること;変換したそれぞれの生体マーカーの値に生体マーカー定数を掛け算して、それぞれの生体マーカーについて掛け算した値を得ること;および掛け算したそれぞれの生体マーカーの値を合計してリスク点数を得ることが含まれる。リスク点数は、標準値または参照リスク点数と比較することができる。参照リスク点数は標準値または閾値であり得る。
同定された生体マーカー(すなわち、本教示の生体マーカーのセットに含まれる生体マーカー)には、広く、アルカリホスファターゼ、α−1抗トリプシン、α−フェトプロテイン、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、アポリポタンパク質E、β−2ミクログロブリン、癌胎児性抗原、補体第3成分、クレアチニン、フィブリノーゲン、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、C反応性タンパク質(高感度C反応性タンパク質を含む)、鉄、リンパ球数、好中球数、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(B型ナトリウム利尿ペプチドを含む)、トランスフェリン飽和度、および血管内皮増殖因子Aが含まれる。これらの生体マーカーのうちの2つ以上の任意の組み合わせを、本教示にしたがって使用することができる。例えば、生体マーカーの1つのセットには、これらの生体マーカーのうちの少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、または少なくとも19個が含まれ得る。
特定の実施形態では、上記方法は、3つの生体マーカーを含む1セットの生体マーカーを使用する。3つの生体マーカーを含む生体マーカーのセットの例は、癌胎児性抗原、β−2ミクログロブリン、およびα−1抗トリプシン;癌胎児性抗原、β−2ミクログロブリン、およびC反応性タンパク質;ならびに、癌胎児性抗原、β−2ミクログロブリン、およびN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドである。
生体マーカーのセットに3つの生体マーカー:癌胎児性抗原、β−2ミクログロブリン、およびα−1抗トリプシンが含まれる場合は、本教示の方法の様々な実施形態では、それらの3つの生体マーカーに加えて複数の生体マーカーを含む1つのセットが使用される。例えば、特定の実施形態では、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドをさらに含む、1セットの4つの生体マーカーが使用される。いくつかの実施形態では、アポリポタンパク質A1とアポリポタンパク質Bをさらに含む、1セットの5つの生体マーカーが使用される。特定の実施形態では、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、α−フェトプロテインと、トランスフェリンをさらに含む、1セットの7つの生体マーカーが使用される。そして、様々な実施形態では、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、α−フェトプロテイン、トランスフェリンと、血管内皮増殖因子Aをさらに含む、1セットの8個の生体マーカーが使用される。
生体マーカーのセットに3つの生体マーカー:癌胎児性抗原、β−2ミクログロブリン、およびC反応性タンパク質が含まれる場合は、本教示の方法の様々な実施形態では、すぐ上に列挙した3つに加えて、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質Bと、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドをさらに含む、1セットの6つの生体マーカーが使用される。
特定の実施形態では、7つの生体マーカー(すなわち、α−1抗トリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼと、トランスフェリン飽和度)を含む1セットの生体マーカーが使用される。関連して、本教示の方法の様々な実施形態では、すぐ上に列挙した7つに加えて、アポリポタンパク質E、フィブリノーゲン、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、補体第3成分、好中球数と、リンパ球数をさらに含む、1セットの13個の生体マーカーが使用される。
別の態様では、個体におけるMIのリスクを診断するためのキットが提供される。このキットには、個体由来の試料中の1セットの生体マーカーのレベルを特異的に測定する1セットの試薬と、心筋梗塞のリスクを診断するためにこのキットを使用することについての説明書が含まれ得る。いくつかの実施形態では、複数の試薬によりタンパク質レベルを測定する。
本明細書中に記載する本教示は、添付の図面とともに読まれれば、様々な例示的な実施形態についての以下の説明からより完全に理解されるであろう。以下に記載する図面は説明の目的のためのものにすぎず、いかなる方法でも本教示の範囲を限定するようには意図されないことが理解されるものとする。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
個体における心筋梗塞のリスクを診断する方法であって:
個体由来の試料中の生体マーカーのセットのレベルを測定する工程であって、ここでは、該生体マーカーのセットは:
(i)癌胎児性抗原およびβ−2ミクログロブリン;ならびに
(ii)N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α−1抗トリプシン、およびC反応性タンパク質のうちの少なくとも1つ
を含む、工程;
該測定した生体マーカーのレベルを重みづけすることにより該個体についてリスク点数を計算する工程;ならびに、
該リスク点数を使用して、該個体が心筋梗塞を経験する可能性を同定する工程
を含む、方法。
(項目2)
前記生体マーカーのセットはN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記生体マーカーのセットはα−1抗トリプシンを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記生体マーカーのセットはC反応性タンパク質を含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記生体マーカーのセットはN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドを含む、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記生体マーカーのセットはさらに、アポリポタンパク質A1およびアポリポタンパク質Bを含む、項目3に記載の方法。
(項目7)
前記生体マーカーのセットはさらに、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、アポリポタンパク質A1、およびアポリポタンパク質Bを含む、項目4に記載の方法。
(項目8)
前記生体マーカーのセットはさらに、α−フェトプロテインおよびトランスフェリン飽和度を含む、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記生体マーカーのセットはさらに、血管内皮増殖因子を含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記リスク点数を計算する工程が:
前記生体マーカーの測定したレベルを対数変換して、それぞれの測定した生体マーカーについて変換した値を得ること;
それぞれの生体マーカーについての該変換した値に生体マーカー定数を掛け算して、それぞれの生体マーカーについて掛け算した値を得ること;および
それぞれの生体マーカーについての掛け算した値を足し算してリスク点数を得ること
を含む、項目1〜9のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記個体の心筋梗塞の可能性に関連する情報を、送信する、表示する、記憶する、または印刷する、あるいはユーザーインターフェースデバイス、コンピューターで読み取り可能な記憶媒体、ローカルコンピューターシステム、またはリモートコンピューターシステムに出力する工程を含む、項目1〜10のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
前記情報がリスク点数またはその等価物である、項目11に記載の方法。
(項目13)
個体が心筋梗塞について増大した可能性を有していると同定された場合に、処置を推奨する、承認する、または投与する工程を含む、項目1〜12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記リスク点数が参照リスク点数よりも大きい場合に、心筋梗塞事象を有する増大した可能性を有しているとして前記個体を同定する工程、および前記リスク点数が参照リスク点数未満である場合に、心筋梗塞事象を有する可能性が低下しているとして前記個体を同定する工程を含む、項目1〜13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記参照リスク点数が標準値または閾値である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記計算する工程が、適切にプログラムされたコンピューターを使用して行われる、項目1〜15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記測定された生体マーカーのレベルが、免疫測定法、比色分析法、比濁分析、およびフローサイトメトリーのうちの少なくとも1つにより決定される、項目1〜16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記試料が血液を含む、項目1〜17のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
前記個体がヒトである、項目1〜18のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記心筋梗塞のリスクが近い将来のリスクである、項目1〜19のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記リスク点数が、前記個体の年齢の重みづけしたメトリックを含む、項目1〜20のいずれか1項に記載の方法。
(項目22)
前記リスク点数が、前記個体についての1つ以上の臨床的リスクファクターの重みづけしたメトリックを含む、項目1〜21のいずれか1項に記載の方法であって、ここでは、前記1つ以上の臨床的リスクファクターが、喫煙状況、真性糖尿病、若年性心筋梗塞の家族歴、ボディーマス指数、身体活動性、非空腹時総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、およびトリグリセリドからなる群より選択される、方法。
(項目23)
個体における心筋梗塞のリスクを診断する方法であって:
個体由来の試料中の生体マーカーのセットのレベルを測定する工程であって、ここでは、該生体マーカーのセットは、α−1抗トリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、およびトランスフェリン飽和度を含む、工程;
該生体マーカーの測定したレベルを重みづけすることにより該個体についてリスク点数を計算する工程;ならびに、
該リスク点数を使用して、該個体が心筋梗塞を経験する可能性を同定する工程
を含む、方法。
(項目24)
前記生体マーカーのセットはさらに、アポリポタンパク質E、フィブリノーゲン、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、補体第3成分、好中球数、およびリンパ球数を含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記トランスフェリン飽和度が、血清中鉄値を、トランスフェリンレベルの2倍の値で割り算することにより計算される、項目23または項目24に記載の方法。
(項目26)
個体における心筋梗塞のリスクを診断するためのキットであって:
個体由来の試料中の生体マーカーのセットのレベルを特異的に測定する試薬セットであって、ここでは、該生体マーカーのセットは:
(i)癌胎児性抗原およびβ−2ミクログロブリン;ならびに
(ii)N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α−1抗トリプシン、および高感度C反応性タンパク質のうちの少なくとも1つ;
を含む、試薬セット;ならびに、
該個体における心筋梗塞のリスクを診断するために該キットを使用するための説明書
を含む、キット。
(項目27)
参照リスク点数を含む、項目26に記載のキット。
(項目28)
前記参照リスク点数が標準値または閾値である、項目27に記載のキット。
(項目29)
前記試薬がタンパク質レベルを測定する、項目26〜28のいずれか1項に記載のキット。
図1は、具体例による、推定される生体マーカーのベースラインレベルの五分位値にしたがう4年間の経過観察の間のオッズ比を示している表である。 図1は、具体例による、推定される生体マーカーのベースラインレベルの五分位値にしたがう4年間の経過観察の間のオッズ比を示している表である。 図1は、具体例による、推定される生体マーカーのベースラインレベルの五分位値にしたがう4年間の経過観察の間のオッズ比を示している表である。 図2は、具体例による、何も起きなかった(対照)被験体の間での、選択したリスクファクター間のSpearman相関係数を示している表である。 図3は、具体例による、確立されているリスクファクターだけを含むリスクのモデルと、確立されているリスクファクターと13個の推定される生体マーカーを含むリスクのモデルに基づくMIの罹患についての受信者動作特性曲線を示す。 図4は、具体例による、確立されているリスクファクターだけを含むモデルによりそれぞれの被験体についての近い将来のMIについて計算した対照−症例確率(case−control probability)(左軸)と、確立されているリスクファクターと13個の推定される生体マーカーを含むモデルによりそれぞれの被験体についての近い将来のMIについて計算した対照−症例確率(下の軸)の散布図である。 図5は、具体例による、13個の推定される生体マーカーである複合マルチマーカースコアのベースライン度数分布と、MI症例の被験体と対照被験体の間での、C反応性タンパク質についての類似する度数分布を示す。(a)C反応性タンパク質のベースライン度数分布を示し、そして(b)13個の生体マーカーを含むマルチマーカースコアのベースライン度数分布を示す。 図6は、具体例による、751人の被験体において将来のMIを予測するためのモデルリスク分析の実行を示している受信者動作特性曲線である。 図7は、具体例による、751人の被験体において将来のMIを予測するためのモデルリスク分析の実行を示している受信者動作特性曲線である。 図8は、具体例による、751人の被験体において将来のMIを予測するためのモデルリスク分析の実行を示している受信者動作特性曲線である。 図9は、具体例による、本教示にしたがって導いたリスク点数と4年以内にMIを経験する条件付き確率との間の関係の曲線である。 図10Aは、具体例による、751人(そのうちの252人は血液検査から4年以内にMIを経験した)の研究から得た、症例と対照の間でのリスク点数の分布のグラフである。図10Bは、具体例による、751人(そのうちの252人は血液検査から4年以内にMIを経験した)の研究における被験体についての、各被験体のリスク点数値に基づいて予測した4年以内のMIの条件付き確率の分布のグラフである。
個体が将来、心筋梗塞(MI)すなわち心臓発作に罹患するリスクの予測となる生体マーカーのセットが発見された。「生体マーカー」は、個体(例えば、ヒト)の生物学的システムにおけるその定性的もしくは定量的存在、非存在、またはレベルが、そのシステムの生物学的状態の指標となる、任意の生物学的特徴または変数であり得る。したがって、生体マーカーは、個体の健康状態または状況を評価するために有用であり得る。例えば、多数の生体マーカーのレベルを、個体についてのリスク点数を得るための重みづけされた分析またはアルゴリズムを使用して分析することができる。リスク点数は、個体が将来MI事象に罹患する可能性の指標となり得る。いくつかの実施形態では、リスク点数の大きさを、その個体についてのリスクのレベルと相関させることができる。例えば、リスク点数が高ければ高いほど、将来のMI事象の可能性がより高いことの指標となり得、一方、リスク点数が低ければ低いほど、将来のMI事象の可能性がより低いことの指標となり得る。
実施例で詳細に記載するように、本教示は、健康に見えるが、将来MIを経験するリスクがあり得る個体を同定するために使用することができる。この情報から、リスクがある個体を、将来MIに罹患する可能性を低減するために、事前措置(例えば、運動、食事療法、および/または医療介入の模索)を行うことができる。したがって、本教示は、将来のMIをより正確に予測し、そして可能であれば命を救うために使用することができる。加えて、本教示は、個体における疾患の状況または疾患の進行をモニターするためにも使用することができる。
本明細書中に記載する生体マーカーのセットは、単独で有用であり得るか、あるいは、開始、進行、重篤度、病状、攻撃性、悪性度、活動性、能力障害、死亡率、罹患率、疾患の細分類、または1つ以上の生物学的プロセス、病理学的プロセス、疾患もしくはMIと関係がある治療的介入に対する反応の他の根底にある特徴を測定するための、他の生体マーカーおよび/または臨床的リスクファクターとの組み合わせにおいて有用であり得る。試料中に存在し、そして単離された形態であり得るか、または試料中で測定され得る実質的に任意の生物学的化合物を、生体マーカーとして使用することができる。生体マーカーのクラスの限定ではない例としては、ポリペプチド、タンパク質、プロテオグリカン、糖タンパク質、リポタンパク質、炭水化物、脂質、核酸、有機または無機化合物、天然高分子、代謝物質、および低分子が挙げられる。生体マーカーにはまた、ヒトの体の物理学的測定値(例えば、血圧および血球数)、ならびに2つ以上の生物学的特徴もしくは変数の比または割合も含まれ得る。いくつかの実施形態では、様々な生物学的カテゴリーに由来する生体マーカーを、リスク点数を得るために選択することができる。様々な生物学的カテゴリーの限定ではない例として、炎症感受性(inflammation−sensitive)血漿タンパク質、アポリポタンパク質、鉄過剰のマーカー、成長因子、および白血球数が挙げられる。
生体マーカーの「レベル」または「量」は、任意の当該分野で公知の方法により決定することができ、これらは、生体マーカーの性質に一部依存するであろう。例えば、生体マーカーのレベルは、免疫測定法、比色分析法、比濁分析、およびフローサイトメトリーのうちの1つ以上により測定することができる。生体マーカーの量が絶対的に決定されることは必ずしも必要ではなく、相対的に決定することができることが理解される。加えて、生体マーカーの量は、生物学的試料中でのその濃度により、その生体マーカーに結合する抗体の濃度により、または生体マーカーの機能的活性(すなわち、結合もしくは酵素活性)により表わすことができる。
本明細書中で使用される場合は、「参照」または「対照」または「標準物」はそれぞれ、健康な個体または対照集団中の生体マーカーの量、あるいは、健康な個体または対照集団中の1つ以上の生体マーカーから導いたリスク点数を意味し得る。生体マーカーの量は、健康な個体の試料から決定することができ、また、対照集団の試料から決定することもできる。
本明細書中で使用される場合は、「試料」は、個体から採取された任意の生物学的試料をいう。これには、血液、血漿、血清、脳脊髄液、胆汁酸、唾液、滑液、胸膜液、心膜液、腹腔液、汗、糞便、鼻腔液、眼内液、細胞内液、間質液、リンパ液、尿、組織、肝細胞、上皮細胞、内皮細胞、腎臓細胞、前立腺細胞、血球、肺細胞、脳細胞、脂肪細胞、腫瘍細胞、および乳腺細胞が含まれる。生物学的試料のタイプの供給源は、異なる被験体;様々な時点での同じ被験体;様々な状態にある(例えば、薬物による処置の前と薬物による処置の後)同じ被験体;異なる性別;異なる種(例えば、ヒトおよびヒト以外の哺乳動物);ならびに様々な他の順列(permutations)であり得る。さらに、生物学的試料のタイプは、例えば、様々なワークアッププロトコールを使用して、評価する前に様々に処理され得る。
本教示は、一般的には、個体(例えば、ヒトまたは患者)においてMIのリスク(例えば、近い将来のMIのリスク)を診断するための方法を提供する。本明細書中で使用される場合は、「近い将来」は、ベースラインからおよそ0年〜およそ6年以内を意味する。ここでは、ベースラインは、個体から分析用の試料が採取された日と定義される。例えば、近い将来には、ベースラインから約1週間、約1カ月、約2カ月、約3カ月、約6カ月、約9カ月、約1年、約2年、約3年、約4年、約5年、または約6年以内が含まれる。本明細書中で使用される場合は、「近い将来のリスク」は、個体が近い将来にMI事象を経験するリスクを意味する。
様々な実施形態において、上記方法には一般的に、個体由来の試料中の複数の生体マーカー(例えば、1セットの生体マーカー)のレベルを測定する工程(または測定したレベルを使用する工程);例えば、測定した生体マーカーの測定したレベルを重みづけすることにより、個体についてリスク点数を計算する工程;および個体が心筋梗塞を経験する可能性を同定するために、リスク点数を使用する工程(例えば、個体におけるMI事象の可能性を、リスク点数に基づいて同定する工程)が含まれる。いくつかの実施形態では、上記方法には、測定した1つ以上の生体マーカーのレベルに基づいて、適切にプログラムされたコンピューターを使用してリスク点数を計算する工程が含まれる。特定の実施形態においては、上記方法に、個体のMIの可能性に関する情報を送信する、表示する、記憶する、または印刷する、あるいはユーザーインターフェースデバイス、コンピューターで読み取り可能な記憶媒体、ローカルコンピューターシステム、またはリモートコンピューターシステムに出力する工程が含まれる。
様々な実施形態においては、上記方法では、1セットの生体マーカーが使用される。セットには、以下が含まれるがこれらに限定されない、:癌胎児性抗原、β−2ミクログロブリン、およびα−1抗トリプシン;癌胎児性抗原、β−2ミクログロブリン、およびC反応性タンパク質;ならびに、癌胎児性抗原、β−2ミクログロブリン、およびN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド;癌胎児性抗原、β−2ミクログロブリン、およびα−1抗トリプシン、およびN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド;癌胎児性抗原、β−2ミクログロブリン、およびα−1抗トリプシン、アポリポタンパク質A1、およびアポリポタンパク質B;癌胎児性抗原、β−2ミクログロブリン、α−1抗トリプシン、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、α−フェトプロテイン、およびトランスフェリン;癌胎児性抗原、β−2ミクログロブリン、α−1抗トリプシン、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、α−フェトプロテイン、トランスフェリン、および血管内皮増殖因子A;癌胎児性抗原、β−2ミクログロブリン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、およびN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド;α−1抗トリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、およびトランスフェリン飽和度;ならびに、α−1抗トリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、トランスフェリン飽和度、アポリポタンパク質E、フィブリノーゲン、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、補体第3成分、好中球数、およびリンパ球数。特定の実施形態では、生体マーカーのセットに、α−1抗トリプシン、鉄、C反応性タンパク質、クレアチニン、およびフィブリノーゲンより選択される2つ以上の生体マーカーが含まれる。特定の実施形態では、生体マーカーのセットに、α−1抗トリプシン、鉄、C反応性タンパク質、クレアチニン、およびフィブリノーゲンより選択される、3個以上、4個以上、または5個以上の生体マーカーが含まれる。
生体マーカーのレベルは、生体マーカーの性質に一部依存する、当該分野で公知の様々な技術により決定することができる。例えば、生体マーカーのレベルは、免疫測定法,分光測定法、酵素的測定法、紫外線測定法、反応速度アッセイ、電気化学的測定法、比色分析法、比濁分析、原子吸光分析法、およびフローサイトメトリーのうちの少なくとも1つにより決定することができる。質量分析法、液体クロマトグラフィー(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー、核磁気共鳴分析法、それらの関連する技術および組み合わせおよびハイブリッド(例えば、タンデム液体クロマトグラフィー−質量分析法(LC−MS)機器)のような他の分析技術を、必要に応じて使用することができる。
いくつかの実施形態では、リスク点数を計算する工程に、生体マーカーの測定したレベルを対数変換して、測定したそれぞれの生体マーカーについて変換した値を得ること;変換したそれぞれの生体マーカーの値に生体マーカー定数を掛け算して、それぞれの生体マーカーについて掛け算した値を得ること;および、掛け算したそれぞれの生体マーカーの値を合計してリスク点数を得ることが含まれる。もちろん、当業者に公知の他の手段を、生体マーカーのセットの測定したレベルに基づいてリスクまたは類似するスコアを計算するために使用することができ、このスコアは、個体がMI事象を経験する可能性の予測となり得る。
リスク点数は、標準値または参照リスク点数に対して比較することができる。参照リスク点数は、標準値(例えば、数値)または閾値(例えば、グラフ上の線)であり得る。特定の実施形態では、リスク点数が参照リスク点数より大きい場合に、個体は、MI(例えば、将来のMI事象)を経験する高い可能性を有し得る。いくつかの実施形態では、リスク点数が参照リスク点数未満である場合には、個体は、MI(例えば、将来のMI事象)を経験する低い可能性を有し得る。いくつかの実施形態では、個体のリスク点数の大きさ、またはそれが参照リスク点数を上回っている量が、その個体のリスクのレベルの指標となり得るか、またはその個体のリスクのレベルと相関させることができる。例えば、より高いリスク点数が、将来のMI事象のより高い可能性の指標となり得、一方、より低いリスク点数が、将来のMI事象のより低い可能性の指標となり得る。逆に、個体のリスク点数が参照リスク点数を下回る場合は、個体は、将来のMI事象を経験することについて有意なリスクはないかもしれない。
生体マーカーの特定のセットについて、参照リスク点数、標準値、閾値、決定境界、または「カットオフ」スコア(まとめて、「参照リスク点数」)を確立することは当該分野で公知である(Szklo,Moyses and Nieto,F.Javier.Epidemiology:beyond the basics.第2版,Sudbury,MA:Jones and Bartlett Publishers(2007);Schlesselman,James J.Case−Control Studies.New York:Oxford University Press(1982);Anderson KM,Odell PM,Wilson PW,Kannel WB.Cardiovascular disease risk profiles.Am Heart J.121:293−8(1991);Eichler K,Puhan MA,Steurer J,Bachmann LM.Prediction of first coronary events with the Framingham score:a systematic review.Am Heart J.153(5):722−31,731.e1−8(2007);Hoffmann U,Massaro JM,Fox CS,Manders E,O’Donnell CJ.Defining normal distributions of coronary artery calcium in women and men from the Framingham Heart Study.Am J.Cardiol.102(9):1136−41,1141.e1.(2008))。
本教示の方法は、将来のMI事象(例えば、近い将来のMI事象)の可能性またはリスクの診断を可能にするだけではなく、本教示の方法には、個体が心筋梗塞の増大した可能性を有していると同定された場合には、処置を推奨すること、承認すること、または投与することも含まれ得る。上記方法のいくつかの実施形態では、個体のMIの罹患の可能性と関連する情報を、医療産業にいる人、医療保険供給者、医療供給者に、または医師に送信することができる。
さらに、MIを経験する高い可能性がある個体を同定するために使用した同じ方法論を、他の用途のために採用することができる。例えば、リスク点数を、MIにつながる原因因子を緩和する候補の薬物をスクリーニングするために使用することができる。この場合、候補の薬物での処置は、生体マーカーのレベルおよび/またはリスク点数をモニタリングすることにより、モニターすることができる。さらに、将来のMIの可能性を低減させるために有効であることがすでに明らかになっている任意の薬物を用いて、特定の個体がレスポンダーであり得、一部が非レスポンダーであり得るということが起こり得る。したがって、個体のリスク点数は、その薬物が有効であるかどうかを決定するために、処置の間にモニターすることができる。例えば、個体のリスク点数が処置に反応して小さくなる場合は、その個体は、その処置に対して反応し得、したがって、将来に事象を経験することについてのリスクを下げることができる。もちろん、既知のレスポンダー集団および非レスポンダー集団が全く存在しないかもしれず、そのため、個体における任意の将来のMI事象に関する薬物処置の有効性は、経時的にモニターされるべきであり、そして経時的にモニターすることができる。薬物が有効ではない限りは、その使用を中断することができ、代わりに別の薬物を提供することができる。
リスク点数は、他の電子デバイスを含めることができる、適切にプログラムされたコンピューターを使用して本明細書中に記載するように計算することができる。加えて、その適切にプログラムされたコンピューターまたは別の適切にプログラムされたコンピューターにより、個体がMIを経験する可能性を決定する目的のために、そのリスク点数を参照リスク点数に対して比較することができる。適切なプログラミングには、例えば、ソフトウェア、ファームウェア、あるいは、コンピューターが、測定された生体マーカーのレベルを処理する、分析する、および/またはリスク点数に変換すること、ならびに、そのリスク点数に基づいてMIの可能性を解釈することができる他のプログラムコードが含まれ得る。そのようなプログラミングはコンピューターに含めることができ、また、コンピューターで読み取り可能な媒体(例えば、携帯用のコンピューターで読み取り可能な媒体)上に取り込ませることもできる。もちろん、本教示の他の工程またはプロセス(例えば、生体マーカーのレベルの測定、リスク点数の使用、処置の推奨および/または承認、ならびに、情報の送信、表示、記憶、印刷、および/または出力)を、適切にプログラムされたコンピューターを使用して行うことができ、また、本教示の他の工程またはプロセスは、適切にプログラムされたコンピューターにより支援され得る。
MIのリスク点数および/または可能性が決定された後、個体における将来のMIのリスク点数および/または可能性についての情報が、表示され得るか、あるいはユーザーインターフェースデバイス、コンピューターで読み取り可能な記憶媒体、またはローカルコンピューターシステムもしくはリモートコンピューターシステムに出力され得る。そのような情報としては、例えば、1つ以上の生体マーカーの測定したレベル、リスク点数、またはその等価物(例えば、グラフ、図、記号など)、および本明細書中に記載する方法に関連する任意の他のデータを挙げることができる。情報の表示または出力は、その情報を、任意の媒体を使用して(例えば、口頭で、書面で、プリントアウトで、コンピューターで読み取り可能な媒体、コンピューターシステム、もしくは他の電子デバイス(例えば、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、ノート型コンピューターなど)に視覚的に表示することにより)ユーザーに伝えることを意味する。情報の出力が、ユーザーあるいはリンクしている外部コンポーネント(単数または複数)(例えば、コンピューターシステムまたはコンピューターメモリ)への出力に限定されず、その代わりに、またはそれに加えて、内部コンポーネント(例えば、任意のコンピューターで読み取り可能な媒体)に出力することもできることは当業者に明らかであろう。
コンピューターで読み取り可能な媒体としては、ハードドライブ、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、DVD、およびDATを挙げることができるが、これらに限定されない。コンピューターで読み取り可能な媒体には、搬送波またはデータ伝送のための他の波形は含まれない。本明細書中に開示し、特許請求する様々な試料の評価および診断方法は、コンピューターにより実行することができるが、これは必ずしもそうである必要はなく、例えば、表示または出力工程は、例えば、口頭でまたは書面で(例えば、手書きで)人に伝えることによっても行われ得ることは、当業者に明らかであろう。
様々な実施形態に従うと、リスク点数、MIの可能性、測定された生体マーカーのレベル、参照リスク点数、およびそれらの等価物のうちの少なくとも1つが、スクリーンまたは有形的表現媒体上に表示され得る。特定の実施形態では、そのような情報は、医療産業にいる人、医療保険供給者、医療供給者に、または医師に送信することができる。
本教示にはまた、本明細書中に記載する診断方法を実行するために有用なキットとシステムが含まれる。本明細書中に記載する方法は、例えば、診断用の研究室(diagnostic laboratories)、サービスプロバイダー、実験室、および個人により実行され得る。このキットは、特に、これらの設定において有用であり得る。
キットには、個体由来の試料中の1つ以上の生体マーカーのレベルを測定するため、測定したレベルを分析するため、および個体にMIのリスクがあるかどうかを同定するための試薬と材料が含まれ得る。例えば、いくつかの実施形態では、キットには、個体から試料を得るため、および/または個体由来の試料を含めるための、針、注射器、バイアル、または他の器具が含まれ得る。いくつかの実施形態では、キットには、本明細書中に開示する生体マーカーを検出または定量化するために特異的に使用される、少なくとも1種類の試薬が含まれ得る。すなわち、これらの生体マーカーを検出または定量化するためのキットに含めるのに適している試薬と技術が、当業者により容易に選択され得る。
例えば、生体マーカーがタンパク質である場合は、キットには、例えば、免疫測定法(例えば、化学発光免疫測定法)、比色分析法、または比濁分析を使用してタンパク質を検出するために適している試薬(例えば、抗体)が含まれ得る。生体マーカーが細胞である場合は、キットには、例えば、フローサイトメトリーを使用して細胞を検出するために適している試薬が含まれ得る。生体マーカーが有機化合物もしくは無機化合物、脂質、または低分子である場合は、キットに、例えば、HPLC、酵素的測定法、分光測定法、紫外線測定法、反応速度アッセイ、電気化学的測定法、比色分析法、原子吸光分析法、および質量分析法を使用して、そのような生体マーカーを検出するために適している試薬が含まれ得る。生体マーカーが核酸(例えば、RNA)または核酸によりコードされるタンパク質である場合は、キットに、例えば、PCR、ハイブリダイゼーション技術、およびマイクロアレイを使用して核酸を検出するために適している試薬が含まれ得る。
測定される生体マーカーに応じて、キットには、以下が含まれ得る:抽出緩衝液または試薬、増幅緩衝液または試薬、反応緩衝液または試薬、ハイブリダイゼーション緩衝液または試薬、免疫検出緩衝液または試薬、標識化緩衝液または試薬、および検出手段。
キットにはまた、対照も含まれ得る。対照は、対照試料、参照試料、内部標準物、または事前に作製した実験によって得られたデータであり得る。対照は、正常な健康な個体、またはMI疾患の状態がわかっている個体に対応し得る。加えて、それぞれの生体マーカーについての対照が提供される場合があり、また、対照が参照リスク点数である場合もある。
キットには、それぞれの個々の試薬について1つ以上の容器が含まれ得る。キットにはさらに、本明細書中に記載する方法を実行する、および/または任意の規定要件にしたがって結果を解釈するための説明書が含まれ得る。加えて、検出した生体マーカーのレベルを分析し、リスク点数を計算し、および/またはMIの可能性を決定するためのソフトウェアが、キットに含まれ得る。好ましくは、キットは、商品流通、販売、および/または使用に適している容器の中にパッケージされる。
本明細書中に開示する方法を実行するためのシステムには、上記方法の1つ以上の工程を実行するための適切にプログラムされたコンピューターと一緒に、1セットの生体マーカーのレベルを測定するために使用される分析機器が含まれ得る。例えば、適切にプログラムされたコンピューターは、個体由来の試料中の1セットの生体マーカーのレベルを測定する工程;本明細書中で教示するかまたは当該分野で公知である様々な技術によりリスク点数を計算する工程;個体が心筋梗塞を経験する可能性を同定するためにリスク点数を使用する工程;および、MIの可能性と関係がある情報(例えば、測定した生体マーカーのレベル、リスク点数、MIの可能性、参照リスク点数、およびそれらの等価物)を表示する工程のうちの1つ以上を実行する、あるいは支援することができる。
以下の実施例を、限定ではなく説明のために提供する。
(実施例1)
推定される生体マーカーの同定
(方法)
(研究対象集団)
本研究の目的は、リスク評価後、4年以内にMIを発症する個体に注目することにより、最も高いリスクがある個体の検出を改善することであった。そのような近い将来のMIについてのリスクファクターと予測変数は、ほとんどの研究が十分な数の近い将来のMI事象を蓄積するには少なすぎることが大きな理由で、これまでは報告されていない。明らかに、炎症を起こし、破裂したアテローム斑の上に重なった血栓症に占められる、近い将来のMI様の事象についてのリスクファクターは、アテローム性動脈硬化症のゆっくりとした発症に占められる長期的事象についてのリスクファクターとは異なり得る。この目的のために、45,735人の男性および女性について行った、大集団に基づく、予期される、ネストした症例対照研究、すなわち、Copenhagen General Population Studyと組み合わせたCopenhagen City Heart Studyを使用した。
参加者は、Copenhagen City Heart Studyの2001年〜2003年の試験から、そしてCopenhagen General Population Studyの2003年〜2007年の試験からであった。Copenhagen City Heart Studyは、1回または数回の試験を受けたデンマーク人の白人男性および女性を含む、1976年に開始されたデンマーク人の一般的な集団の心臓血管の集団の予測試験である(Nordestgaard BG,Benn M,Schnohr P,Tybjaerg−Hansen A.Nonfasting triglycerides and risk of MI,ischemic heart disease,and death in men and women.JAMA.298:299−308(2007))。2001年〜2003年の試験の間に、5907人から血液試料を採取した(50%の参加率)。Copenhagen General Population Study(CGPS)は、2003年に開始され、なおも集められている、デンマーク人の一般的な集団の予測試験である(Nordestgaard BG,Benn M,Schnohr P,Tybjaerg−Hansen A.Nonfasting triglycerides and risk of MI,ischemic heart disease,and death in men and women.JAMA.298:299−308(2007);Frikke−Schmidt R,Nordestgaard BG,Stene MCら、Association of loss−of−function mutations in the ABCA1 gene with high−density lipoprotein cholesterol levels and risk of ischemic heart disease.JAMA.299:2524−32(2008))。目標は、全部で100,000人の参加者がCopenhagen City Heart Studyにおいて正確に確認されることである。2003年〜2007年の間に、Copenhagen General Population Studyによる39,828人が血液試料を送り返してきた(45%の参加率)。この複合研究における採血から4年以内に、非致死または致死性のMIを有していた252人の参加者を同定した。対照は、同じ研究による症例に適合させ、血液試料があり、MIの病歴がなく(しかし、他の心臓血管疾患または血管再生の処置をこれまでに受けていてもよい)、年齢(1年以内)、性別、試験および採血の年度(1年以内)、ならびにHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の使用(有無)が一致する参加者から、2:1の割合で無作為に選択した。
MIの診断についての情報(World Health Organization;International Classification of Diseases,第8版:codes 410;第10版:codes I21−I22)を収集し、国のデンマーク人の患者レジストリー(Danish Patient Registry)に登録さている全ての入院と診断を全てまとめることにより確認した;病院と一般開業医によるカルテを、以下の基準のうちの少なくとも2つの存在が必要であるMIの診断を確認するために使用した:特徴的な胸部痛、心筋酵素の増加、およびMIの指標である心電図上の変化。5つの症例に限っては、2つどころか1つの対照にしか一致させることができなかった。したがって、全部で252の症例と499の対照を、分析に利用することができた。
これらの研究は、Herlev Hospitalにより、そしてデンマークの倫理委員会により承認された。参加者には書面でのインフォームドコンセントを行った。
(確立されているリスクファクター)
非絶食時総コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール、およびトリグリセリドを、新鮮血漿について測定した(Boehringer Mannheim,Mannheim,Germany)。低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールは、トリグリセリドが4mmol/L未満であった場合にはFriedewaldにしたがって計算したが、それより高いトリグリセリドレベルでは直接測定した。喫煙状況は、非喫煙、喫煙歴あり、または喫煙者として定義した。真性糖尿病は、自己申告の疾患であり、インスリンもしくは経口血糖降下薬の使用、および/または11mmol/Lより高い非絶食時血漿グルコースとした。運動不足は、1週間に4時間未満のレジャー活動と主に座業であった。ボディーマス指数は、身長の二乗(m)で割り算した体重(kg)であった。血圧は、5分間の休息後に、座位で被験体から測定した。若年性MIの家族歴は、55歳以前の一親等の男性におけるMI、または65歳以前の一親等の女性におけるMIと定義した。
(推定される生体マーカー)
非絶食時新鮮血液試料から、14個の生体マーカーを、比色分析と比濁分析(Konelab,Helsinki,Finland,Dade Behring,Deerfield,Illinois.,USA,ILS Laboratories Scandinavia,Allerod,Denmark or Dako,Glostrup,Denmark)、またはフローサイトメトリー(Bayer,Germany)を使用して、すなわち、高感度C反応性タンパク質(CRP)、フィブリノーゲン、α−1抗トリプシン、補体第3成分(補体第3成分)、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、アポリポタンパク質E、鉄、トランスフェリン(トランスフェリン飽和度)、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、リンパ球数、および好中球数を測定した。トランスフェリン飽和度(%)は、血清中鉄値(μmol/L)をトランスフェリンレベル(μmol/L)の2倍の値で割り算することにより計算した。本明細書中で使用される場合は、「高感度C反応性タンパク質」と「C反応性タンパク質」(および「CRP」)は互換的に使用され、別のように理解されない限りは、同じタンパク質をいう。
751人の被験体由来の血液試料を、その後の分析のために凍結させた。これらの凍結させた血漿試料を、続いて、以下のようなさらなるタンパク質の測定と他の生化学的測定のために解凍した。以下のタンパク質を、751個の血漿試料のそれぞれにおいて、Rules Based Medicine,Inc.(Austin,TX)によるHumanMAPバージョン1.6 Luminexマルチ免疫測定技術(multiplex immunoasssay technology)を使用して測定した:α−フェトプロテイン、β−2ミクログロブリン、癌胎児性抗原、および血管内皮増殖因子A。タンパク質N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT−プロBNP)は、SearchLight(登録商標)SearchLight化学発光免疫測定技術(Thermo Scientific,Rockford,IL)を使用して、751個の血漿試料のそれぞれにおいて測定した。本明細書中で使用される場合は、「N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド」と「B型ナトリウム利尿タンパク質」(および「NT−プロBNP」)は互換的に使用され、別の意味で理解されない限りは、同じタンパク質をいう。
(統計分析)
変数を、連続測定についてはStudentの独立t検定を使用し、そして割合についてはFisherの直接確率法を使用して、症例と対照被験体間でベースラインで比較した。ベースラインは、それぞれの被験体について採血した日と定義する。複数の変数間の相関関係を、Spearmanの相関を使用して計算した。
連続変数のレベルを、対照被験体間でのそれらの分布に基づいて、五分位値にカテゴリー化した。条件付きロジスティック回帰を、ベースライン変数のレベルとMIの罹患との間の関係を試験するために使用した。17個のベースライン生体マーカー変数を評価した:α−1抗トリプシン、アルカリホスファターゼ、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、アポリポタンパク質E、補体第3成分、クレアチニン、フィブリノーゲン、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、鉄、トランスフェリン、トランスフェリン飽和度、C反応性タンパク質、リンパ球数、好中球数、リンパ球数に対する好中球数の比、およびアポリポタンパク質A1に対するアポリポタンパク質Bの比。
2つの統計モデルを構築した。1つのモデルでは、他のリスクファクターについて調整を行わずに、評価段階にある変数を検討した。第2のモデルは多変数であり、以下の9個の確立されているベースラインリスクファクターについて調整した:総コレステロール(対照被験体に基づく五分位値にある)、HDLコレステロール(対照被験体に基づく五分位値にある)、トリグリセリド(対照被験体に基づく五分位値にある)、5つの血圧についてのカテゴリー(収縮期血圧/拡張期血圧:120/80mmHg未満、≧120/80mmHgかつ<130/85mmHg、≧130/85mmHgかつ<140/90mmHg、≧140/90mmHgかつ<160/100mmHg、または≧160/100mmHg、あるいは降圧療法の使用)、喫煙状況(非喫煙、喫煙者、喫煙歴あり)、真性糖尿病(有/無)、若年性MIの家族歴(有/無)、ボディーマス指数(連続変数として処理した)、および身体活動性(2分割した:1週間に4時間未満の運動および座業、または1週間に4時間を超える運動および/もしくは非座業)。いずれの生体マーカーも検討しない、上記のようにカテゴリー化した9個の確立されたベースラインリスクファクターだけからなる異なる統計モデルもまた評価した。尤度比検定を使用して、目的の変数を含むロジスティック回帰モデルが、変数を含まないロジスティック回帰モデルよりも優れたフィットを提供するかどうかを決定した。複数のカテゴリーにまたがる線形傾向を試験するために、五分位値内の中央値を連続測定として使用した。
別に、上に列挙した9個の確立されているベースラインリスクファクターと17個の生体マーカーのうちの13個を含む、二次分析である条件付きロジスティック回帰モデルを、結果としてのMIの罹患とともに評価した。4個の生体マーカーは、他の生体マーカーとの高い相関関係の理由から、この分析には含めなかった:血清鉄とトランスフェリンを捨ててトランスフェリン飽和度を選び、リンパ球数に対する好中球数の比を捨てて、好中球数とリンパ球数を別々に残し、そしてアポリポタンパク質A1に対するアポリポタンパク質Bの比を捨てて、アポリポタンパク質Bとアポリポタンパク質A1を別々に残した。確立されているリスクファクターを、先に記載したようにカテゴリー化し、この分析についての生体マーカーのレベルを対数変換し、連続変数と見なした。条件付きロジスティック回帰モデルと、それぞれの被験体について計算したMIについての関連する確率を使用して、MIの発症についての2つの結果(binary outcome)を用いて受信者動作特性(ROC)曲線を構築した。リスクモデルの性能の改善を評価するためのROC曲線下面積の補完として、統合識別改善度(integrated discrimination improvement)、すなわち、IDI、統計量、および相対的なIDI統計量を計算した(AHA Scientific Statement.Criteria for evaluation of novel markers of cardiovascular risk.Circulation 119:2408−2416(2009);Pencina MJ,D’Agostino RB Sr,D’Agostino RB Jr,Vasan RS.Evaluating the added predictive ability of a new marker:from area under the ROC curve to reclassification and beyond.Stat Med.Jan 30;27(2):157−72(2008))。IDI試験は、リスク予測モデルの性能の測定であり、ROC曲線下面積の補足である。相対的IDIは、事象を発症した個体の予測したリスクの平均と、事象を発症しなかった個体の予測したリスクの平均との間での差の改善と等価である。
加えて、以下のようにして13個の生体マーカーの対数変換したレベルを含む「マルチマーカースコア」を、構築した:マルチマーカースコア=(β×生体マーカー)+(β×生体マーカー)+(β×生体マーカー)など。式中、βは、9個の確立されているリスクファクターもまた含む条件付きロジスティック回帰モデルのi番目の生体マーカーに関するβ係数の推定値を示す。
目的の17個の血液に基づく生体マーカー変数のうちのいずれか、または9個の確立されているベースラインリスクファクターのいずれかの測定が欠けている被験体は除外した。したがって、統計分析のための最終的なデータセットは、236の症例と463の適合する対照を含む、699人の被験体から構成されていた。
全てのP値は、両側性であった。0.05未満の確率値を有意と見なした。全ての信頼区間を95%のレベルで計算した。統計分析は、SASソフトウェア、バージョン9.1(SAS Institute)とRソフトウェア、バージョン2.6を使用して行った。
(結果)
Framingham Heart Study(Wilson PW,D’Agostino RB,Levy D,Belanger AM,Silbershatz H,Kannel WB.Prediction of coronary heart disease using risk factor categories.Circulation 97:1837−47(1998))により公開されている6つの性別特異的リスク方程式を使用して、ベースラインでの研究対象集団全体についての10年の絶対リスクを計算した。全ての近い将来にMI事象を生じたもののうちのわずか36%しか、高いリスクとしてカテゴリー化されなかった(表1)。言い換えると、実際に近い将来にMI事象を経験した個体のうちの64%は、高いリスクがあると同定されなかった。
(リスクファクター)
表1は、長期間の研究において同定された主な心臓血管のリスクファクターのうちのいくつかを含む、研究対象集団についてのベースラインでの特徴を示す。これらの9個の確立されているリスクファクターを含むモデルにおいては、HDLコレステロール、喫煙状況(喫煙者)と糖尿病の存在が、近い将来のMIの罹患と有意な関係にあった(表2)。症例と対照は、本研究においては年齢と性別を一致させた。それゆえ、年齢と性別はモデルには含めない。
Figure 0005728488
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確立されているリスクファクターの調整後も、17個の推定される生体マーカーのうちの5個はなおも、MIの4年リスクと個別に関係していた(最も高い五分位値と最も低い五分位値の比較の統計的有意性、尤度比検定、および複数の五分位値にまたがる傾向の単調性に基づく):最も高い五分位値と最も低い五分位値を比較するオッズ比は、α−抗トリプシンについては2.85(95%のCI:1.51〜5.41;P=0.001)、C反応性タンパク質については2.76(1.35〜5.28;p=0.005)、クレアチニンについては2.12(1.18〜3.82;p=0.01)、フィブリノーゲンについては2.11(1.16〜3.85、P=0.01)、そして鉄については0.33(0.17〜0.66;P=0.002)であった(表3、図1)。2つの他の生体マーカー(アポリポタンパク質A1とトランスフェリン飽和度)は、最も高い五分位値と最も低い五分位値の比較に基づくと統計的に有意であった。
マルチマーカースコアの五分位値と関係があるオッズ比は、未調整のモデルおよび調整済みのモデルのいずれにおいても有意であり、11.8(95%のCI:6.00〜23.3;P<0.001)および8.56(3.91〜18.7;P<0.001)の、最も低い五分位値と比較した最も高い五分位値についての、一変量および多変数の調整済みオッズ比を有していた(表4)。このマルチマーカースコアは、以下の13個の生体マーカーの線形結合からなる:α−1抗トリプシン、アルカリホスファターゼ、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、アポリポタンパク質E、補体第3成分、クレアチニン、フィブリノーゲン、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、トランスフェリン飽和度、C反応性タンパク質、リンパ球数、および好中球数。
C反応性タンパク質、フィブリノーゲン、およびα−抗トリプシンのレベルは、C反応性タンパク質とボディーマス指数がそうであったように、互いに中程度の相関を示した(図2)。多数の他の確立されているリスクファクターと推定される生体マーカーのレベルもまた関係があった。
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マルチマーカースコアは、以下の13個の生体マーカーの測定値を含む:α−1抗トリプシン、アルカリホスファターゼ、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、アポリポタンパク質E、補体第3成分、クレアチニン、フィブリノーゲン、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、トランスフェリン飽和度、C反応性タンパク質、リンパ球数、および好中球数。
(リスクの予測)
図3に関して、図3は、具体例にしたがって、確立されているリスクファクターだけを含むリスクのモデルと、確立されているリスクファクターと13個の推定される生体マーカーを含むリスクのモデルとに基づく、MIの罹患についての受信者動作特性曲線(ROC)を示す。含めた推定される生体マーカーは、α−1抗トリプシン、アルカリホスファターゼ、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、アポリポタンパク質E、補体第3成分、クレアチニン、フィブリノーゲン、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、トランスフェリン飽和度、C反応性タンパク質、リンパ球数、および好中球数である。確立されているリスクファクターだけを含み、生体マーカーを含まないROC曲線(95%のCI)下面積は、0.69(0.65〜0.73)であり、確立されているリスクファクターと生体マーカーを含むROC曲線下面積は、0.74(0.70〜0.78)である。9個の確立されているリスクファクターに多数の生体マーカーを加えた場合には(図3)、ROC曲線下面積は0.69から0.74に増大した(表5);しかし、この増大は、統計的有意性には到達しなかった。対照的に、統合識別改善度の試験により、リスクモデルに生体マーカーを組み込んだ場合には、統計学的に有意な改善が明らかとなり、13個の生体マーカーを組み込んだ場合には、生体マーカーを含まないモデルと比較して、4.3%の改善に達した(P<0.001)。個々の症例と対照についての改善を図4に説明する。
図4に関して、図4は、具体例にしたがって、確立されているリスクファクターだけを含むモデルから(左軸)、および確立されているリスクファクターと13個の推定される生体マーカーを含むモデルから(下の軸)、それぞれの被験体について近い将来のMIについて計算した症例−対照確率の散布図を示す。確立されているリスクファクターは、総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド、高血圧、喫煙状況、糖尿病、若年性MIの家族歴、ボディーマス指数、および身体活動性である。含めた推定される生体マーカーは、α−1抗トリプシン、アルカリホスファターゼ、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、アポリポタンパク質E、補体第3成分、クレアチニン、フィブリノーゲン、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、トランスフェリン飽和度、C反応性タンパク質、リンパ球数、および好中球数である。それぞれ、0.3および0.7の値である垂直方向の線と水平方向の線は、視覚的なガイドにすぎない。対角線は、単位元の傾きを示す。症例が右側に移動し、対照が左側に移動している、症例と対照の分離は、13個の推定される生体マーカーを含めることによるリスク評価の改善を示す。
MIを発症した人とMIを発症しなかった人における、個々の確立されているリスクファクターと生体マーカーの度数分布には、相当の重複があった。図5aは、一例としてのC反応性タンパク質の度数分布を示す。マルチマーカースコアは、事象が起こった場合と事象が起こらなかった場合の間での度数分布において比較的重複が少ないことを示した(図5b)。さらに具体的に言うと、図5は、具体例にしたがって、MI症例の被験体と対照被験体の間での、13個の推定される生体マーカーの複合マルチマーカースコアのベースライン度数分布と、C反応性タンパク質の類似する度数分布を示す。(a)C反応性タンパク質のベースライン度数分布と(b)13個の生体マーカー(分析物)を含むマルチマーカースコアのベースライン度数分布を示す。左側のパネルは柱状図を示し、右側のパネルはフィットさせた分布関数を示す。
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(考察)
見かけ上は健康である男性および女性における本研究は、MIについての10年リスクおよび生涯リスクについてのいくつかの確立されているリスクファクターも、MIの近い将来の(4年)リスクと関係があることを示す。加えて、17個の推定される生体マーカーのうちの5個が、近い将来のMIとそれぞれが独立して関係しており、確立されているリスクファクターについての調整後にリスクモデルのフィットが改善されたことが明らかになった。ほとんどの事象は、特に女性の、低いまたは中程度のFraminghamリスクのカテゴリーに属している人において起こった。
(リスクファクター)
MIの最も一般的な原因は、冠状動脈血栓症を導く不安定プラークの炎症を起こした線維性被膜の破裂である(Thim T,Hagensen MK,Bentzon JF,Falk E.From vulnerable plaque to atherothrombosis.J.Intern.Med.263:506−16(2008))。炎症および/または血栓形成促進性の状態についての全身性マーカーが、特に、そのような局所の炎症と関係があるアテローム性血栓症の事象についての予測となるであろうと示唆されている(Koenig W,Khuseyinova N.Biomarker s of atherosclerotic plaque instability and rupture.Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.27:15−26(2007))。この仮説を評価するために、いくつかの炎症感受性血漿タンパク質を、推定される生体マーカーパネルに含めた(CRP、フィブリノーゲン、α−抗トリプシン、および補体第3成分)。これらの一部は、血栓症を促進する可能性もある。これらの炎症と関係がある生体マーカーのうちの3つは、近い将来のMIの高いリスクとそれぞれ独立して関係していた。
CRPと近い将来のMIとの関係は、短期間の研究(Ridker PM,Cushman M,Stampfer MJ,Tracy RP,Hennekens CH.Inflammation,aspirin,and the risk of cardiovascular disease in apparently healthy men.N.Engl.J.Med.336:973−9(1997))および長期間の研究(Ridker PM.C−reactive protein and the prediction of cardiovascular events among those at intermediate risk:moving an inflammatory hypothesis toward consensus.J.Am.Coll.Cardiol.49:2129−38(2007))の両方においてこれまでに報告された関係と実質的に同じであり、CRPがマーカーでもアテローム性血栓症の媒介因子でもないことを示している観察と一致している(Pepys MB.C−reactive protein is neither a marker nor a mediator of atherosclerosis.Nat.Clin.Pract.Nephrol.4:234−5(2008))。これまでには、外科手術により切除された症候性頸動脈プラーク中の局所炎症(マクロファージ密度)と血液中のCRPレベルとの間では関係性は見られておらず(Gronholdt ML,Nordestgaard BG,Bentzon Jら、Macrophages are associated with lipid−rich carotid artery plaques,echolucency on B−mode imaging,and elevated plasma lipid levels.J.Vasc.Surg.35:137−45(2002))、1つの高いリスク(不安定)または症候性プラークにおける炎症と循環中のCRPとの間での直接の結びつきに異議を唱えている。さらに、メンデルランダム化の原理に基づく大規模な遺伝疫学的研究は、アテローム性血栓症およびMIにおけるCRPの因果的役割についてのサポートを提供しなかった(Zacho J,Tybjaerg−Hansen A,Jensen JS,Grande P,Sillesen H,Nordestgaard BG.Genetically elevated C−reactive protein and ischemic vascular disease.N.Engl.J.Med.359:1897−908(2008))。それにも関らず、CRPはなおも、リスク評価、およびMIのリスクがある個体の管理において臨床的に有用であり得る(Ridker PM,Danielson E,Fonseca FAら、Rosuvastatin to prevent vascular events in men and women with elevated C−reactive protein.N.Engl.J.Med.359:2195−207(2008))。
本研究において評価した他の全身性の炎症感受性タンパク質のうち、フィブリノーゲンは、炎症、血漿粘度、凝固、および血小板凝集におけるその多機能性の役割が原因で、特に注目を集めている(Koenig W.Fibrin(ogen)in cardiovascular disease:最新版.Thromb.Haemost.89:601−9(2003))。フィブリノーゲンと近い将来のMIとの関係の強さは、長期間の研究においてこれまでに報告された関係の強さと類似していた。しかし、アテローム性血栓症およびMIにおけるフィブリノーゲンの考えられる因果的役割は、遺伝疫学研究(メンデルランダム化)においては実証されておらず、依然、仮説である(Tybjaerg−Hansen A,Agerholm−Larsen B,Humphries SE,Abildgaard S,Schnohr P,Nordestgaard BG.A common mutation(G−455−−>A)in the beta−fibrinogen promoter is an independent predictor of plasma fibrinogen、but not of ischemic heart disease.A study of 9,127 individuals based on the Copenhagen City Heart Study.J Clin Invest.99:3034−9(1997))。
長期間の研究においてこれまでに報告されたように(Engstroem G,Lind P,Hedblad B,Stavenow L,Janzon L,Lindgaerde F.Effects of cholesterol and inflammation−sensitive plasma proteins on incidence of MI and stroke in men.Circulation 105:2632−7(2002))、α1−抗トリプシンもまた、極めて近くMIの状態に至るリスクと関係があり、その強さは、CRPおよびフィブリノーゲンの強さに匹敵する。実際、これらの3つの炎症感受性血漿タンパク質は、本研究においては互いにポジティブな相関関係にある。α−抗トリプシンは、肝臓ならびに好中球および単球/マクロファージの中で主に合成される、ヒト血漿中の主要なプロテアーゼ阻害剤である。その濃度は、ヒトのアテローム性動脈硬化症の病変において比較的高いことが報告されている(Smith EB.Molecular interactions in human atherosclerotic plaques.Am J.Pathol.86:665−74(1977))。遺伝的なα−抗トリプシン欠損は、MIの低いリスクと関係があるが、これはまた低い血圧とも関係がある(Dahl M,Tybjaerg−Hansen A,Sillesen H,Jensen G,Steffensen R,Nordestgaard BG.Blood pressure,risk of ischemic cerebrovascular and ischemic heart disease,and longevity in alpha(1)−antitrypsin deficiency:the Copenhagen City Heart Study.Circulation 107:747−52(2003))。後者は、アテローム性血栓症およびMIにおけるα−抗トリプシンの考えられる因果的役割に関する交絡因子である。
鉄過剰のマーカー(高い血清鉄およびトランスフェリン飽和度)は、近い将来のMIの低いリスクと関係がある。長期間の疫学研究による結果は矛盾しているが、全体としては、鉄の状況とMIとの間に強い関係が存在することをサポートしていない(Danesh J,Appleby P.Coronary heart disease and iron status:meta−analyses of prospective studies.Circulation 99:852−4(1999))。ヘモクロマトーシス遺伝子中の突然変異により起こる鉄過剰は、MIのリスクに実質的な影響を及ぼすようには見えない(van der A DL,Rovers MM,Grobbee DEら、Mutations in the HFE Gene and Cardiovascular Disease Risk:An Individual Patient Data Meta−Analysis of 53 880 Subjects.Circ Cardiovasc Genet.1;43−50(2008))。それにも関らず、低い血清鉄およびトランスフェリン飽和度と、見かけ上は健康な集団における近い将来のMIの高いリスクとの間で観察された関係は、さらに調べる価値がある。
慢性腎不全は、CVDの顕著に増大したリスクと関係がある(Sarnak MJ,Levey AS,Schoolwerth ACら、American Heart Association Councils on Kidney in Cardiovascular Disease,High Blood Pressure Research,Clinical Cardiology,and Epidemiology and Prevention.Kidney disease as a risk factor for development of cardiovascular disease:a statement from the American Heart Association Councils on Kidney in Cardiovascular Disease,High Blood Pressure Research,Clinical Cardiology,and Epidemiology and Prevention.Circulation 108:2154−69(2003))が、矛盾している結果が、一般的な集団において、クレアチニンと長期間のMIのリスクとの間での関係が公開されている。本発明者らの研究では、血圧と降圧薬の服用を含む確立されているリスクファクターについての調整後、最も高い五分位値にある人は、最も低い五分位値と比較して、近い将来のMIについて2倍のリスクがあった。さらに、クレアチニンは、炎症感受性タンパク質(CRP、フィブリノーゲン、α−抗トリプシン)のいずれとも相関関係がなかった。高い血清クレアチニンレベルとともに見られるCVDの増大したリスクについて考えられる説明は、これまでに議論されている。(同書。)
(リスクの予測)
MIの予防においては、修正可能なリスクファクターの重要性を誇張することはできない。これらは、世界中のアテローム動脈硬化性CVDのリスクのほとんどを占める(Yusuf S,Hawken S,Ounpuu Sら、Effect of potentially modifiable risk factors associated with MI in 52 countries(the INTERHEART study):case−control study.Lancet.364:937−52(2004))。しかし、大きな問題は、年齢と性別を除き、確立されているリスクファクターが、リスクについて芳しくない予測変数であることである。1回目の心臓発作または脳卒中になる運命にあるほとんどの人は、それらの確立されているリスクファクターのレベルが通常は高くないために、そのリスクに気づいていない(Lauer MS.Primary prevention of atherosclerotic cardiovascular disease:the high public burden of low individual risk.JAMA.297:1376−8(2007))。逆に、明らかに悪いリスクファクタープロフィールを有している多くの人は、依然、無症候性である。
本研究では、全ての近い将来にMIを発症した女性のうちのわずか13%しか、Framinghamリスク点数によりベースラインで高いリスクとカテゴリー化されなかった。男性においては、近い将来のMIを発症したうちの約50%が、高いリスクのカテゴリーにカテゴリー化された。そのような気が滅入るような図は、多くの場合は直接は報告されないが、これらは、公開されているデータからコンピューターで計算することができ、現実を反映するとみることができる。Framingham Heart Study(Wilson PWF,Pencina M,Jacques P,Selhub J,D’Agostino R,O’Donnell CJ.C−reactive protein and reclassification of cardiovascular risk in the Framingham Heart Study.Circ Cardiovasc Qual Outcomes.1:92−7(2008))、Physicians’ Health Study(Ridker PM,Paynter NP,Rifai N,Gaziano JM,Cook NR.C−reactive protein and Parental History Improve Global Cardiovascular Risk Prediction.The Reynolds Risk Score for Men.Circulation 118:2243−51(2008))、Women’Health Study(Ridker PM,Buring JE,Rifai N,Cook NR.Development and validation of improved algorithms for the assessment of global cardiovascular risk in women:the Reynolds Risk Score.JAMA.297(6):611−9(2007))、およびNorthwick Park Heart Study(Shah T,Casas JP,Cooper JAら、Critical appraisal of CRP measurement for the prediction of coronary heart disease events:new data and systematic review of 31 prospective cohorts.Int J Epidemiol.38:217−31(2009))においては、全ての激しい冠状動脈性の事象のうちの75%以上が、低いリスクまたは中程度のリスクとして分類された人において起こった。リスク評価は、女性においては特に難しく、あてにならない。
一次予防において確立されているリスクファクターに基づくアプローチを用いると、近い将来に心臓発作または脳卒中の運命にあるほとんどの個体は、誤って分類され、高いリスクがあるとは同定されない(Lauer MS.Primary prevention of atherosclerotic cardiovascular disease:the high public burden of low individual risk.JAMA.297:1376−8(2007))。結果として、彼らは、利用可能な最善の予防的治療を受けられない。アテローム動脈硬化性CVDには長い潜伏期間があり、これが、その前臨床(無症候性)段階での血管疾患の検出と処置の唯一の機会を提供する。血管造影は、プラーク面積率、プラークの不安定性、および疾患活動性の検出を含む、無症状のアテローム性動脈硬化症の統合的評価を提供する可能性がある。(Naghavi M,Falk E,Hecht HSら、From vulnerable plaque to vulnerable patient−−Part III:Executive summary of the Screening for Heart Attack Prevention and Education(SHAPE)Task Force report.Am J Cardiol.98:2H−15H(2006))。そのような努力は、High Risk Plaque Initiative(http://www.hrpinitiative.com.The High Risk Plaque Initiative(2009))を含み、現在も進行中である。近い将来のMIの予測のための本研究の目的において、非侵襲的な画像化法および/または組み合わせたいくつかの循環している生体マーカーによる無症状のアテローム性動脈硬化症の検出により、アテローム動脈硬化性CVDの一次予防におけるリスク評価を改善することができ、よってこれは、近い将来に医療となる可能性がある。
(結論)
5つの生体マーカーのそれぞれが、確立されているリスクファクターからは独立して、増大したMIの近い将来(4年)のリスクと関係があった。さらに、組み合わせた13個の生体マーカーのセットは、近い将来のMIの予測リスクにおいて9倍の増大を提供した。したがって、近い将来のMIを予測するためのリスクファクターは、おそらく、少なくともこのCopenhagenの集団においては、長期間のCVD事象を予測するためのものとは全く異なる。
(実施例2)
研究対象集団、確立されているリスクファクター、および推定される生体マーカーは実施例1に記載したとおりである。確立されているリスクファクターを示す変数は、実施例1に記載したように処理し、推定される生体マーカーを示す変数は連続変数として処理した。
ロジスティック回帰モデルを、ベースライン変数のレベルとMIの罹患との間の関係を試験するために使用した。このモデルには、実施例1において同定し、表6に列挙する13個の生体マーカーを含めた。
人についてMIを発症するリスクの指標となるリスク点数を決定するための例示的な方程式は、リスクに対するその相対的な寄与を反映している係数を、それぞれの生体マーカーの測定レベルに掛け算し、そしてそれぞれの掛け算の結果を線形的に足し算して、リスク点数を得ることにより計算される。それぞれの生体マーカーの測定レベルは、係数を掛け算する前に自然対数に変換される(すなわち、底eを使用し、ここでは、eは、およそ2.71828183である)。当業者が理解しているように、観察したリスクに対して計算したリスク確率を較正するために、掛け算の結果のこの和に定数項を足し算することができる。
この例およびモデルについては、実施例1および表6において同定した13個の生体マーカーを使用した。ロジスティック回帰モデルを使用して、13個のマーカーのそれぞれに関連する係数を決定した。
Figure 0005728488
表6の生化学的マーカーのそれぞれについての測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数は以下のように決定することができる:
b1ln(好中球数)+b2ln(リンパ球数)+b3ln(フィブリノーゲン)+b4ln(クレアチニン)+b5ln(γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)+b6ln(アルカリホスファターゼ)+b7ln(アポリポタンパク質B)+b8ln(アポリポタンパク質A1)+b9ln(アポリポタンパク質E)+b10ln(α−1抗トリプシン)+b11ln(補体第3成分)+b12ln(高感度C反応性タンパク質)+b12ln(トランスフェリン飽和度)
式中、b1〜b13は、表6に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。
図6は、これらの751人の被験体において将来のMIを予測することにおけるこの分析の性能を示しているROC曲線である。図6において見ることができるように、表6に列挙した13個の生体マーカーを使用したこの分析は、近い将来のMIリスクの統計学的に有意な予測変数であり、ROC曲線中のフティルティライン(futilty line)と比較すると、<0.05のp値を有している。
(実施例3)
研究対象集団、確立されているリスクファクター、および推定される生体マーカーは実施例1に記載したとおりである。確立されているリスクファクターを示す変数は、実施例1に記載したように処理し、推定される生体マーカーを示す変数は連続変数として処理した。
ロジスティック回帰モデルを、ベースライン変数のレベルとMIの罹患との間の関係を試験するために使用した。本実施例は、最初に、実施例1において同定した13個の生体マーカー(上記の実施例2において使用したものと同じ出発セット)を検討した。
逐次的変量減少法(backward stepwise variable selection technique)を、これらの最初の13個の生体マーカーの中から有益な情報をもたらす生体マーカーのサブセットを選択するために使用した。それぞれの逐次的選択工程で、その係数と関係があるp値がp<0.05であった場合に、その生体マーカーを保持し続けた。この様式で、7個の生体マーカーを最終的なモデルについて保持した。表8はそれらの係数を列挙する:
Figure 0005728488
これらの生体マーカーについての測定単位は、実施例2の表7に示したとおりである。
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(クレアチニン)+b2ln(アルカリホスファターゼ)+b3ln(アポリポタンパク質B)+b4ln(アポリポタンパク質A1)+b5ln(α−1抗トリプシン)+b6ln(高感度C反応性タンパク質)+b7ln(トランスフェリン飽和度)
式中、b1〜b7は表8に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。
図7は、これらの751人の被験体において将来のMIを予測することにおけるこの分析の性能を示しているROC曲線である。図7において見ることができるように、表8に列挙した7個の生体マーカーを使用したこの分析は、近い将来のMIのリスクの統計学的に有意な予測変数であり、ROC曲線中のフティルティラインと比較して、<0.05のp値を有している。
(実施例4)
研究対象集団、確立されているリスクファクター、および推定される生体マーカーは、実施例1に記載したとおりである。確立されているリスクファクターを示す変数は、実施例1に記載したように処理し、推定される生体マーカーを示す変数は連続変数として処理した。
本実施例では、以下の9個の確立されている臨床的リスクファクターと組み合わせて、実施例3において同定した7個の生体マーカーを検討した:喫煙状況、糖尿病の状況、高血圧、総コレステロール値、HDLコレステロール値、ボディーマス指数、運動不足の状況、若年性MIの家族歴、およびトリグリセリドレベル。
9個の確立されている臨床的リスクファクターは、実施例1において上記に記載したように決定し、そして/または定義した。
9個の確立されている臨床的リスクファクター変数は、以下のように統計学的に処理した。総コレステロールは5つのレベルに分け(4.8mM未満、4.8mM〜5.4mM、5.4mM〜6.0mM、6.0mM〜6.6mM、6.6mMを上回る)、HDLコレステロールは5つのレベルに分け(1.14mM未満、1.14mM〜1.40mM、1.40mM〜1.65mM、1.65mM〜2.00mM、2.00mMを上回る)、トリグリセリドレベルは連続変数として処理し(mMの測定単位で)、5つの血圧のカテゴリー(収縮期血圧/拡張期血圧:<120/80mmHg、≧120/80mmHgかつ<130/85mmHg、≧130/85mmHgかつ<140/90mmHg、≧140/90mmHgかつ<160/100mmHg、または≧160/100mmHgもしくは降圧療法の使用)、喫煙状況(非喫煙、喫煙者、喫煙歴あり)、真性糖尿病(有/無)、若年性MIの家族歴(有/無)、ボディーマス指数(連続変数として処理した)、ならびに、身体活動性(2分割した:1週間に4時間未満の運動および座業、あるいは1週間に4時間を超える運動および/または非座業)に分けた。
ロジスティック回帰モデルを、ベースライン変数のレベルとMIの罹患との間の関係を試験するために使用した。このモデルには、7個の生体マーカーと9個の確立されている臨床的ファクターを含めた。
ロジスティック回帰モデルを使用して、これらの変数のそれぞれと関係がある係数を決定した。
Figure 0005728488
Figure 0005728488
このモデルを使用した個体についてのリスク点数は、リスクに対するその相対的な寄与を反映している係数を、それぞれの変数の測定レベルまたは測定値に掛け算し、それぞれの掛け算の結果を線形的に足し算してリスク発生確率を得ることにより、計算した。上記の表において連続変数として処理した変数(すなわち、ボディーマス指数、トリグリセリドレベル、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、アポリポタンパク質B、アポリポタンパク質A1、α−1抗トリプシン、高感度C反応性タンパク質、およびトランスフェリン飽和度)の測定レベルは、係数を掛け算する前に自然対数に変換する(すなわち、底eを使用し、ここでは、eは、およそ2.71828183である)。カテゴリー変数については、個々のカテゴリーと関係がある係数に、単位元を掛け算する(例えば、1.5mMのHDLコレステロールは、最終的なリスク点数に対して−0.0671寄与することになる)。当業者に理解されているように、定数項は、計算したリスク発生確率を観察したリスクに対して較正するために、掛け算の結果のこの和に加えることができる。
図8は、これらの751人の被験体において将来のMIを予測することにおけるこの分析の性能を示しているROC曲線である。図8において見ることができるように、従来のリスクファクターとともに表8に列挙した7個の生体マーカーを使用した(まとめて表9に列挙した)この分析は、近い将来のMIのリスクの統計学的に有意な予測変数であり、ROC曲線中のフティルティラインと比較して、<0.05のp値を有している。
(実施例5)
研究対象集団、確立されているリスクファクター、および推定される生体マーカーは、実施例1に記載したとおりである。血圧(5つのカテゴリーにカテゴリー化した(収縮期血圧/拡張期血圧:120/80mmHg未満、≧120/80mmHgかつ<130/85mmHg、≧130/85mmHgかつ<140/90mmHg、≧140/90mmHgかつ<160/100mmHg、または≧160/100mmHgもしくは降圧療法の使用)、喫煙状況(非喫煙、喫煙者、喫煙歴あり)、真性糖尿病(有/無)、若年性MIの家族歴(有/無)、ボディーマス指数(連続変数として処理した)、ならびに身体活動性(2分割した:1週間に4時間未満の運動および座業、または1週間に4時間を超える運動および/もしくは非座業)を除き、確立されているリスクファクターと推定される生体マーカーを示している変数は、連続変数として処理した。
ロジスティック回帰モデルを、ベースライン変数のレベルとMIの罹患との間の関係を試験するために使用した。このモデルには、実施例1において同定し、以下の表10に列挙する8個の生体マーカーを含めた。
ロジスティック回帰モデルを使用して、8個の生体マーカーのそれぞれと関係がある係数を決定した。
Figure 0005728488
表10のそれぞれの生体マーカーについての測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(アポリポタンパク質B)+b2ln(アポリポタンパク質A1)+b3ln(トランスフェリン)+b4ln(α−1抗トリプシン)+b5ln(α−フェトプロテイン)+b6ln(β−2−ミクログロブリン)+b7ln(癌胎児性抗原)+b8ln(血管内皮増殖因子)
式中、b1〜b8は、表10に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。
このモデルの性能を以下のように評価した。このモデルによるスコアを個々の個体について計算した。さらに、9個の確立されている臨床的リスクファクター(喫煙状況、糖尿病の状況、高血圧、総コレステロール値、HDLコレステロール値、ボディーマス指数、運動不足の状況、若年性MIの家族歴、およびトリグリセリドレベル)だけを検討するロジスティック回帰分析によるスコアもまた、コンピューターにより計算した(これらの9個の確立されている臨床的リスクファクターのカテゴリー分類および定義の詳細については、実施例1および3を参照のこと)。続いて、ROC曲線下面積(「AUC」)を、スコアに基づく8個の生体マーカーを含むモデルについて、そして9個の確立されている臨床的リスクファクターだけを含むモデルについて計算した。加えて、純再分類改善度(「NRI」)、統合識別改善度(「IDI」)、および相対的統合識別改善度(「相対的IDI」)を、9個の確立されている臨床的リスクファクターだけを含むモデルと比較して、このスコアに基づいて8個の生体マーカーを含むモデルについて計算した。結果は以下のとおりである:
8個の生体マーカーのモデルについてのAUC:0.73(95%の信頼区間(CI):0.69〜0.77)
9個の確立されているリスクファクターのモデルについてのAUC:0.68(95%のCI:0.63〜0.72)
2つのモデル間でのAUCの差についてのp値:p=0.027
NRI=15.1%(p<0.01)
IDI=6.8%(p<0.01)
相対的IDI=4.7%(p<0.01)
(NRI、IDI、および相対的IDI、ならびにそれぞれのP値は以下に議論されているように計算する:Pencina MJ,D’Agostino RB Sr,D’Agostino RB Jr,Vasan RS.Evaluating the added predictive ability of a new marker:from area under the ROC curve to reclassification and beyond.Stat Med 2008 Jan.30;27(2):157−72)。
このように、表10に列挙した8個の生体マーカーを使用したこの分析は、従来のリスクファクターよりも優れた、近い将来のMIのリスクの予測変数である。
(実施例6)
研究対象集団、確立されているリスクファクター、および推定される生体マーカーは、実施例1に記載したとおりである。確立されているリスクファクターと推定される生体マーカーを示す変数は、血圧(5つのカテゴリーにカテゴリー化した(収縮期血圧/拡張期血圧:120/80mmHg未満、≧120/80mmHgかつ<130/85mmHg、≧130/85mmHgかつ<140/90mmHg、≧140/90mmHgかつ<160/100mmHg、または≧160/100mmHgもしくは降圧療法の使用)、喫煙状況(非喫煙、喫煙者、喫煙歴あり)、真性糖尿病(有/無)、若年性MIの家族歴(有/無)、ボディーマス指数(連続変数として処理した)、ならびに身体活動性(2分割した:1週間に4時間未満の運動および座業、または1週間に4時間を超える運動および/もしくは非座業)を除き、連続変数として処理した。
ロジスティック回帰モデルを、ベースライン変数のレベルとMIの罹患との間の関係を試験するために使用した。本実施例のモデルには、実施例5のモデルにおいて使用した8個の生体マーカーのうちの7個、すなわち、アポリポタンパク質B、アポリポタンパク質A1、トランスフェリン、α−1抗トリプシン、α−フェトプロテイン、β−2−ミクログロブリン、および癌胎児性抗原を含める。このモデルから血管内皮増殖因子を排除することによっては、MIのリスクの予測におけるその性能は低下しなかったことが明らかになった。
Figure 0005728488
それぞれの生体マーカーの測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(アポリポタンパク質B)+b2ln(アポリポタンパク質A1)+b3ln(トランスフェリン)+b4ln(α−1抗トリプシン)+b5ln(αフェトプロテイン)+b6ln(β−2−ミクログロブリン)+b7ln(癌胎児性抗原)
式中、b1〜b7は表12に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。
このモデルによるスコアを、それぞれの個体について計算した。加えて、9個の確立されている臨床的リスクファクター(喫煙状況、糖尿病の状況、高血圧、総コレステロール値、HDLコレステロール値、ボディーマス指数、運動不足の状況、若年性MIの家族歴、およびトリグリセリドレベル)だけを検討するロジスティック回帰分析から導いたスコアもまたコンピューターにより計算した(これらの9個の確立されている臨床的リスクファクターのカテゴリー化および定義の詳細については、実施例1および3を参照のこと)。続いて、ROC曲線下面積(「AUC」)を、スコアに基づく7個の生体マーカーを含むモデルについて、そして9個の確立されている臨床的リスクファクターだけを含むモデルについて計算した。加えて、純再分類改善度(「NRI」)、統合識別改善度(「IDI」)、および相対的統合識別改善度(「相対的IDI」)を、9個の確立されている臨床的リスクファクターだけを含むモデルと比較して、スコアに基づく7個の生体マーカーを含むモデルについて計算した。結果は以下のとおりである:
7個の生体マーカーのモデルについてのAUC:0.74(95%の信頼区間(CI):0.71〜0.78)
9個の確立されているリスクファクターのモデルについてのAUC:0.68(95%のCI:0.63〜0.72)
2つのモデル間でのAUCの差についてのp値:p=0.007
NRI=20.9%(p<0.01)
IDI=8.2%(p<0.01)
相対的IDI=5.6%(p<0.01)
NRI、IDI、および相対的IDI、ならびにそれぞれのP値は、実施例5と同様に計算する。
このように、表12に列挙した7個の生体マーカーを使用したこの分析は、従来のリスクファクターよりも優れた、近い将来のMIのリスクの予測変数である。
(実施例7)
研究対象集団、確立されているリスクファクター、および推定される生体マーカーは、実施例1に記載したとおりである。推定される生体マーカーを示す変数は、連続変数として処理した。
ロジスティック回帰モデルを、ベースライン変数とMIの罹患との間の関係を評価するために評価した。本実施例のモデルは、以下の4種類の血漿分析物(すなわち、4個の生体マーカー:α−1抗トリプシン、癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、およびN末端B型ナトリウム利尿ペプチド(NT−プロBNP))を含む。
(モデル1)
4種類の血漿分析物(すなわち、4個の生体マーカー:α−1抗トリプシン、癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、およびN末端B型ナトリウム利尿ペプチド)だけを予測変数として含む非条件付きロジスティック回帰モデルをフィットさせた。統計ソフトウェア(Rソフトウェア、バージョン2.6)を使用して、4種類の分析物のそれぞれの係数を以下にように推定した:
Figure 0005728488
それぞれの生体マーカーの測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(α−1抗トリプシン)+b2ln(癌胎児性抗原)+b3ln(β−2−ミクログロブリン)+b4ln(NT−プロBNP)
式中、b1〜b4は上記表に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。このモデルによるスコアを、それぞれの個体について計算した。加えられる定数項が、それぞれの個体のリスク点数に対して同じ様式で加えられるという条件で、さらなる定数値(「切片項」としても知られている)を、そのような様式で計算したリスク点数に加えることができることが当業者に理解されるであろう。より高いリスク点数は、試験から4年以内のMIの高い可能性を示す。図9は、上記の方程式から導いたリスク点数と、4年以内のMIの条件付き確率との間での関係を説明する。図9においては、十字記号は、4年以内にはMIを経験しなかった個体を示し、円形記号は、4年以内にMIを経験した個体を示す。−2.55の定数切片値(constant intercept value)をそれぞれの個体のリスク点数に加えたことに留意されたい。データは、751人の個体(そのうちの252人は血液検査の4年以内にMIを経験した)の研究により得た。図9による1つの可能性のある閾値は、1以上の値のリスク点数が高いリスクのグループを定義し、一方、−1以下のリスク点数値が低いリスクのグループを定義し、−1〜1の間のリスク点数が中程度のリスクのグループを示す閾値である。当業者は、そのような閾値が、様々な臨床的に関連する要因(例えば、所望される感度、特異性、正および負の予測値、様々な年齢、性別、または民族もしくは人種など)に基づいて異なり得ることを理解するであろう。
図10Aは、本研究の被験体についての、症例と対照の間でのリスク点数の分布を説明し、図10Bは、各被験体のリスク点数に基づく、予測した4年以内のMIの条件付き確率の分布を説明する。
当業者は、それぞれの分析物と関係がある係数が、例えば、測定技術、研究室の環境条件、および血液検体の収集、保存、および処理手順、ならびに測定単位のような様々な要因により異なり得ることを理解するであろう。それぞれの分析物と関係がある上記係数は、1つの特定の実施形態を示す。
図10Aは、近い将来にMIを経験した個体について、および本研究において近い将来にMIを経験しなかった個体について、上記の方程式にしたがって計算したリスク点数の分布のグラフによる表示である。図10Bは、各被験体のリスク点数値に基づく、予測した4年以内のMIの条件付き確率の分布を説明する。
受信者動作特性(ROC)曲線下の面積「AUC」を、4個の生体マーカーから導いた上記リスク点数の方程式に基づいて計算した。AUCと、それに付随する95%の信頼区間(CI)が0.674(95%のCI:0.631〜0.715)であることが明らかになった。これが、予測または予後について正確さを示さない0.5のfutility AUC値(p<0.05の有意性のレベルで)とはかなり異なることが明らかになった。よって、表14に列挙した4個の生体マーカーに基づくリスク点数が、近い将来のMIのリスクの有意な予測変数であると結論付けられる。
(モデル2)
4種類の血漿分析物(すなわち、4個の生体マーカー:α−1抗トリプシン、癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、およびN末端B型ナトリウム利尿ペプチドと、年齢を予測変数として含む非条件付きロジスティック回帰モデルをフィットさせた。統計ソフトウェア(Rソフトウェア、バージョン2.6)を使用して、5個の変数のそれぞれの係数を以下のように推定した:
Figure 0005728488
それぞれの生体マーカーの測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(α−1抗トリプシン)+b2ln(癌胎児性抗原)+b3ln(β−2−ミクログロブリン)+b4ln(NT−プロBNP)+b5(年齢)
式中、b1〜b5は上記の表に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。このモデルによるスコアを、それぞれの個体について計算した。さらなる定数値(「切片項」としても知られている)を、そのような様式で計算したリスク点数に加えることができることが当業者に理解されるであろう。より高いリスク点数は、試験後4年以内のMIの高い可能性を示す。
受信者動作特性(「ROC」)曲線について、「AUC」を、4個の生体マーカーから導いた上記リスク点数の方程式に基づいて計算した。AUCとそれに付随する95%の信頼区間(CI)が、0.704(95%のCI:0.661〜0.745)であることが明らかになった。これが、0.5のfutility AUC値とはかなり異なることが明らかになった(p<0.05)。よって、表16に列挙した5個の生体マーカーに基づくリスク点数が、近い将来のMIのリスクの有意な予測変数であると結論付ける。
(付加した予測値)
血漿分析物の測定から導いたこのスコアの付加により、MIの発症についての付加した予測値が従来のリスクファクターのシンプルな評価を上回るかどうかを決定するために、以下の演習も行った。4種類の血漿分析物の変数ならびに従来のリスクファクターを示す9個のさらなる変数を含むロジスティック回帰モデル(例えば、Wilson PW,D’Agostino RB,Levy D,Belanger AM,Silbershatz H,Kannel WB.Prediction of coronary heart disease using risk factor categories.Circulation 97:1837−47(1998)を参照のこと)を評価した。その後、13個の変数を含むこのモデルを、従来のリスクファクターを示す9個の変数だけを含むモデルに対して比較し、4種類の血漿生体マーカーを付加した際のリスク予測の改善についての証拠を探した。検討した9個の従来のリスクファクターは、医学界でコンセンサスが得られており、以下のとおりである(全てが、採血時に評価される):(i)喫煙(非喫煙、喫煙歴あり、または喫煙者)、(ii)血圧(以下のような5つのカテゴリーにカテゴリー化する:血圧;<120/80mmHg、≧120/80mmHgかつ<130/85mmHg、≧130/85mmHgかつ<140/90mmHg、≧140/90mmHgかつ<160/100mmHg、および≧160/100mmHgまたは降圧療法の使用、ここでは、分子が収縮期血圧であり、分母が拡張期血圧である)、(iii)総コレステロール(未変換の連続変数として処理する)、(iv)高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール(未変換の連続変数として処理する)、(v)糖尿病の状況(有/無)、(vi)年齢(未変換の連続変数として処理する)、(vii)性別、(viii)スタチン治療の使用(有/無)、(ix)採血した年度(2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、または2006年)。
続いて、ROC曲線下面積(「AUC」)を、スコアに基づく4個の生体マーカーと9個の従来のリスクファクター変数を含むモデルについて、そして上記に列挙した9個の確立されている臨床的リスクファクターだけを含む(4個の生体マーカーを含まない)モデルについて計算した。加えて、統合識別改善度(「IDI」)を、これらの2つのモデルを比較することにより計算した(per Pencina MJ,D’Agostino RB Sr,D’Agostino RB Jr,Vasan RS.Evaluating the added predictive ability of a new marker:from area under the ROC curve to reclassification and beyond.Stat Med 2008 Jan.30;27(2):157−72)。結果は以下のとおりである:
4個の生体マーカーのモデル+9個の従来のリスクファクターについてのAUC:0.754(95%の信頼区間(CI):0.714〜0.790)
9個の確立されているリスクファクターだけについてのAUC:0.682(95%のCI:0.639〜0.722)
2つのモデル間でのAUCの差についてのp値:p<0.001
IDI=7.9%(95%のCI:5.7%〜10.0%)、p<0.001。
したがって、4個の生体マーカー(すなわち、α−1抗トリプシン、癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、およびN末端B型ナトリウム利尿ペプチド)を従来のリスクファクターに加えることにより、従来のリスクファクターだけよりも優れた、近い将来のMIのリスク予測のための生体マーカーのセットが得られる。
(実施例8)
研究対象集団、確立されているリスクファクター、および推定される生体マーカーは、実施例1に記載したとおりである。推定される生体マーカーを示す変数は連続変数として処理する。
ロジスティック回帰モデルを、ベースライン変数とMIの罹患との間の関係を評価するために評価した。本実施例のモデルには、以下の3種類の血漿分析物(すなわち、3個の生体マーカー:α−1抗トリプシン、癌胎児性抗原、およびβ−2−ミクログロブリン)を含める。
(モデル1)
3種類の血漿分析物(すなわち、3種類の生体マーカー:α−1抗トリプシン、癌胎児性抗原、およびβ−2−ミクログロブリン)だけを予測変数として含めた非条件付きロジスティック回帰モデルをフィットさせた。統計ソフトウェア(Rソフトウェア、バージョン2.6)を使用して、3個の分析物のそれぞれの係数を、以下のように推定した:
Figure 0005728488
それぞれの生体マーカーの測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(α−1抗トリプシン)+b2ln(癌胎児性抗原)+b3ln(β−2−ミクログロブリン)
式中、b1〜b3は上記の表に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。このモデルによるスコアを、それぞれの個体について計算した。さらなる定数値(「切片項」としても知られている)を、そのような様式で計算したリスク点数に加えることができることが当業者に理解されるであろう。より高いリスク点数は、試験後4年以内のMIの高い可能性を示す。
受信者動作特性(「ROC」)曲線下面積、「AUC」を、3個の生体マーカーから導いた上記リスク点数の方程式に基づいて計算した。AUCとそれに付随する95%の信頼区間(CI)が、0.67(95%のCI:0.63〜0.71)であることが明らかになった。これが、0.5のfutility AUC値とはかなり異なることが明らかになった(p<0.05)。よって、表18に列挙した3個の生体マーカーに基づくリスク点数が、近い将来のMIのリスクの有意な予測変数であると結論付けられる。
(モデル2)
3種類の血漿分析物(すなわち、3個の生体マーカー:α−1抗トリプシン、癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン)および年齢を予測変数として含む非条件付きロジスティック回帰モデルをフィットさせた。統計ソフトウェア(Rソフトウェア、バージョン2.6)を使用して、5個の変数のそれぞれの係数を以下のように推定した:
Figure 0005728488
それぞれの生体マーカーの測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(α−1抗トリプシン)+b2ln(癌胎児性抗原)+b3ln(β−2−ミクログロブリン)+b4(年齢)
式中、b1〜b4は上記の表に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。このモデルによるスコアを、それぞれの個体について計算した。さらなる定数値(「切片項」としても知られている)を、そのような様式で計算したリスク点数に加えることができることが当業者に理解されるであろう。より高いリスク点数は、試験後4年以内のMIの高い可能性を示す。
受信者動作特性(「ROC」)曲線下面積、「AUC」を、3個の生体マーカーから導いた上記リスク点数の方程式に基づいて計算した。AUCとそれに付随する95%の信頼区間(CI)が、0.70(95%のCI:0.65〜0.74)であることが明らかになった。これが、0.5のfutility AUC値とはかなり異なることが明らかになった(p<0.05)。よって、表20に列挙した4個の生体マーカーに基づくリスク点数が、近い将来のMIのリスクの有意な予測変数であると結論付けられる。
(付加した予測値)
血漿分析物の測定から導いたこのスコアの付加により、MIの発症についての付加した予測値が従来のリスクファクターのシンプルな評価を上回るかどうかを決定するために、以下の演習も行った。3種類の血漿分析物の変数ならびに従来のリスクファクターを示す9個のさらなる変数を含むロジスティック回帰モデル(例えば、Wilson PW,D’Agostino RB,Levy D,Belanger AM,Silbershatz H,Kannel WB.Prediction of coronary heart disease using risk factor categories.Circulation 97:1837−47(1998)を参照のこと)を評価した。その後、12個の変数を含むこのモデルを、従来のリスクファクターを示す9個の変数だけを含むモデルに対して比較し、3種類の血漿生体マーカーを付加した際のリスク予測の改善についての証拠を探した。検討した9個の従来のリスクファクターは、医学界でコンセンサスが得られており、以下のとおりである(全てが、採血時に評価される):(i)喫煙(非喫煙、喫煙歴あり、または喫煙者)、(ii)血圧(以下のような5つのカテゴリーにカテゴリー化する:血圧;<120/80mmHg、≧120/80mmHgかつ<130/85mmHg、≧130/85mmHgかつ<140/90mmHg、≧140/90mmHgかつ<160/100mmHg、および≧160/100mmHgまたは降圧療法の使用、ここでは、分子が収縮期血圧であり、分母が拡張期血圧である)、(iii)総コレステロール(未変換の連続変数として処理する)、(iv)高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール(未変換の連続変数として処理する)、(v)糖尿病の状況(有/無)、(vi)年齢(未変換の連続変数として処理する)、(vii)性別、(viii)スタチン治療の使用(有/無)、(ix)採血した年度(2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、または2006年)。
続いて、ROC曲線下面積(「AUC」)を、スコアに基づく3個の生体マーカーと9個の従来のリスクファクター変数を含むモデルについて、および上記に列挙した9個の確立されている臨床的リスクファクターだけを含む(3個の生体マーカーを含まない)モデルについて計算した。加えて、統合識別改善度(「IDI」)を、これらの2つのモデルを比較することにより計算した(per Pencina MJ,D’Agostino RB Sr,D’Agostino RB Jr,Vasan RS.Evaluating the added predictive ability of a new marker:from area under the ROC curve to reclassification and beyond.Stat Med 2008 Jan.30;27(2):157−72)。結果は以下のとおりである:
3個の生体マーカーのモデル+9個の従来のリスクファクターについてのAUC:0.75(95%の信頼区間(CI):0.71〜0.78)
9個の確立されているリスクファクターだけについてのAUC:0.68(95%のCI:0.64〜0.72)
2つのモデル間でのAUCの差についてのp値:p<0.001
IDI=6.6%(95%のCI:4.6%〜8.6%)、p<0.001。
このように、3個の生体マーカー(すなわち、α−1抗トリプシン、癌胎児性抗原、およびβ−2−ミクログロブリン)を従来のリスクファクターに加えることにより、従来のリスクファクターだけよりも優れた、近い将来のMIのリスク予測のための生体マーカーのセットが得られる。
(実施例9)
研究対象集団、確立されているリスクファクター、および推定される生体マーカーは、実施例1に記載したとおりである。推定される生体マーカーを示す変数は連続変数として処理する。
ロジスティック回帰モデルを、ベースライン変数とMIの罹患との間の関係を評価するために評価した。本実施例のモデルには、以下の3種類の血漿分析物(すなわち、3個の生体マーカー:C反応性タンパク質、癌胎児性抗原、およびβ−2−ミクログロブリン)を含める。
(モデル1)
3種類の血漿分析物(すなわち、3個の生体マーカー:C反応性タンパク質、癌胎児性抗原、およびβ−2−ミクログロブリン)だけを予測変数として含む非条件付きロジスティック回帰モデルをフィットさせた。統計ソフトウェア(Rソフトウェア、バージョン2.6)を使用して、3種類の分析物のそれぞれの係数を以下のように推定した:
Figure 0005728488
それぞれの生体マーカーの測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(C反応性タンパク質)+b2ln(癌胎児性抗原)+b3ln(β−2−ミクログロブリン)
式中、b1〜b3は上記の表に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。このモデルによるスコアを、それぞれの個体について計算した。さらなる定数値(「切片項」としても知られている)を、そのような様式で計算したリスク点数に加えることができることが当業者に理解されるであろう。より高いリスク点数は、試験後4年以内のMIの高い可能性を示す。
受信者動作特性(「ROC」)曲線下面積、「AUC」を、3個の生体マーカーから導いた上記リスク点数の方程式に基づいて計算した。AUCとそれに付随する95%の信頼区間(CI)が、0.66(95%のCI:0.62〜0.70)であることが明らかになった。これが、0.5のfutility AUC値とはかなり異なることが明らかになった(p<0.05)。よって、表22に列挙した3個の生体マーカーに基づくリスク点数が、近い将来のMIのリスクの有意な予測変数であると結論付けられる。
(モデル2)
3種類の血漿分析物(すなわち、3個の生体マーカー:C反応性タンパク質、癌胎児性抗原、およびβ−2−ミクログロブリン)と年齢を予測変数として含む非条件付きロジスティック回帰モデルをフィットさせた。統計ソフトウェア(Rソフトウェア、バージョン2.6)を使用して、5個の変数のそれぞれの係数を以下のように推定した:
Figure 0005728488
それぞれの生体マーカーの測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(C反応性タンパク質)+b2ln(癌胎児性抗原)+b3ln(β−2−ミクログロブリン)+b4(年齢)
式中、b1〜b4は上記の表に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。このモデルによるスコアを、それぞれの個体について計算した。さらなる定数値(「切片項」としても知られている)を、そのような様式で計算したリスク点数に加えることができることが当業者に理解されるであろう。より高いリスク点数は、試験後4年以内のMIの高い可能性を示す。
受信者動作特性(「ROC」)曲線下面積、「AUC」を、3個の生体マーカーから導いた上記リスク点数の方程式に基づいて計算した。AUCとそれに付随する95%の信頼区間(CI)が、0.69(95%のCI:0.65〜0.72)であることが明らかになった。これが、0.5のfutility AUC値とはかなり異なることが明らかになった(p<0.05)。よって、表24に列挙した4個の生体マーカーに基づくリスク点数が、近い将来のMIのリスクの有意な予測変数であると結論付けられる。
(付加した予測値)
血漿分析物の測定から導いたこのスコアの付加により、MIの発症についての付加した予測値が従来のリスクファクターのシンプルな評価を上回るかどうかを決定するために、以下の演習も行った。3種類の血漿分析物の変数ならびに従来のリスクファクターを示す9個のさらなる変数を含むロジスティック回帰モデル(例えば、Wilson PW,D’Agostino RB,Levy D,Belanger AM,Silbershatz H,Kannel WB.Prediction of coronary heart disease using risk factor categories.Circulation 97:1837−47(1998)を参照のこと)を評価した。その後、12個の変数を含むこのモデルを、従来のリスクファクターを示す9個の変数だけを含むモデルに対して比較し、3種類の血漿生体マーカーを付加した際のリスク予測の改善についての証拠を探した。検討した9個の従来のリスクファクターは、医学界でコンセンサスが得られており、以下のとおりである(全てが、採血時に評価される):(i)喫煙(非喫煙、喫煙歴あり、または喫煙者)、(ii)血圧(以下のような5つのカテゴリーにカテゴリー化する:血圧;<120/80mmHg、≧120/80mmHgかつ<130/85mmHg、≧130/85mmHgかつ<140/90mmHg、≧140/90mmHgかつ<160/100mmHg、および≧160/100mmHgまたは降圧療法の使用、ここでは、分子が収縮期血圧であり、分母が拡張期血圧である)、(iii)総コレステロール(未変換の連続変数として処理する)、(iv)高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール(未変換の連続変数として処理する)、(v)糖尿病の状況(有/無)、(vi)年齢(未変換の連続変数として処理する)、(vii)性別、(viii)スタチン治療の使用(有/無)、(ix)採血した年度(2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、または2006年)。
続いて、ROC曲線下面積(「AUC」)を、スコアに基づく3個の生体マーカーと9個の従来のリスクファクター変数を含むモデルについて、および上記に列挙した9個の確立されている臨床的リスクファクターだけを含む(3個の生体マーカーは含まない)モデルについて計算した。加えて、統合識別改善度(「IDI」)を、これらの2つのモデルを比較することにより計算した(per Pencina MJ,D’Agostino RB Sr,D’Agostino RB Jr,Vasan RS.Evaluating the added predictive ability of a new marker:from area under the ROC curve to reclassification and beyond.Stat Med 2008 Jan.30;27(2):157−72)。結果は以下のとおりである:
3個の生体マーカーのモデル+9個の従来のリスクファクターについてのAUC:0.73(95%の信頼区間(CI):0.69〜0.77)
9個の確立されているリスクファクターだけについてのAUC:0.68(95%のCI:0.64〜0.72)
2つのモデル間でのAUCの差についてのp値:p<0.001
IDI=5.0%(95%のCI:3.3%〜6.8%)、p<0.001
このように、3個の生体マーカー(すなわち、C反応性タンパク質、癌胎児性抗原、およびβ−2−ミクログロブリン)を従来のリスクファクターに加えることにより、従来のリスクファクターだけよりも優れた、近い将来のMIのリスク予測のための生体マーカーのセットが得られる。
(実施例10)
研究対象集団、確立されているリスクファクター、および推定される生体マーカーは、実施例1に記載したとおりである。推定される生体マーカーを示す変数は連続変数として処理する。
ロジスティック回帰モデルを、ベースライン変数と心筋のMIの罹患との間の関係を評価するために評価した。本実施例のモデルには、以下の5種類の血漿分析物(すなわち、5個の生体マーカー:α−1抗トリプシン、癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、アポリポタンパク質B、およびアポリポタンパク質A1)を含める。
(モデル1)
5種類の血漿分析物(すなわち、5個の生体マーカー:α−1抗トリプシン、癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、アポリポタンパク質B、およびアポリポタンパク質A1)だけを予測変数として含む非条件付きロジスティック回帰モデルをフィットさせた。統計ソフトウェア(Rソフトウェア、バージョン2.6)を使用して、5個の分析物のそれぞれの係数を以下のように推定した:
Figure 0005728488
それぞれの生体マーカーの測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(α−1抗トリプシン)+b2ln(癌胎児性抗原)+b3ln(β−2−ミクログロブリン)+b4ln(アポリポタンパク質B)+b5ln(アポリポタンパク質A1)
式中、b1〜b5は上記の表に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。このモデルによるスコアを、それぞれの個体について計算した。さらなる定数値(「切片項」としても知られている)を、そのような様式で計算したリスク点数に加えることができることが当業者に理解されるであろう。より高いリスク点数は、試験後4年以内のMIの高い可能性を示す。
受信者動作特性(「ROC」)曲線下面積、「AUC」を、5個の生体マーカーから導いた上記リスク点数の方程式に基づいて計算した。AUCとそれに付随する95%の信頼区間(CI)が、0.72(95%のCI:0.68〜0.76)であることが明らかになった。これが、0.5のfutility AUC値とはかなり異なることが明らかになった(p<0.05)。よって、表26に列挙した5個の生体マーカーに基づくリスク点数が、近い将来のMIのリスクの有意な予測変数であると結論付けられる。
(モデル2)
5種類の血漿分析物(すなわち、5個の生体マーカー:C反応性タンパク質、癌胎児性抗原、およびβ−2−ミクログロブリン)と年齢を予測変数として含む非条件付きロジスティック回帰モデルをフィットさせた。統計ソフトウェア(Rソフトウェア、バージョン2.6)を使用して、5個の変数のそれぞれの係数を以下のように推定した:
Figure 0005728488
それぞれの生体マーカーの測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(α−1抗トリプシン)+b2ln(癌胎児性抗原)+b3ln(β−2−ミクログロブリン)+b4ln(アポリポタンパク質B)+b5ln(アポリポタンパク質A1)+b6(年齢)
式中、b1〜b6は上記の表に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。このモデルによるスコアを、それぞれの個体について計算した。さらなる定数値(「切片項」としても知られている)を、そのような様式で計算したリスク点数に加えることができることが当業者に理解されるであろう。より高いリスク点数は、試験後4年以内のMIの高い可能性を示す。
受信者動作特性(「ROC」)曲線下面積、「AUC」を、5個の生体マーカーから導いた上記リスク点数の方程式に基づいて計算した。AUCとそれに付随する95%の信頼区間(CI)が、0.73(95%のCI:0.69〜0.77)であることが明らかになった。これが、0.5のfutility AUC値とはかなり異なることが明らかになった(p<0.05)。よって、表28に列挙した6個の生体マーカーに基づくリスク点数が、近い将来のMIのリスクの有意な予測変数であると結論付けられる。
(付加した予測値)
血漿分析物の測定から導いたこのスコアの付加により、MIの発症についての付加した予測値が従来のリスクファクターのシンプルな評価を上回るかどうかを決定するために、以下の演習も行った。5種類の血漿分析物の変数ならびに従来のリスクファクターを示す9個のさらなる変数を含むロジスティック回帰モデル(例えば、Wilson PW,D’Agostino RB,Levy D,Belanger AM,Silbershatz H,Kannel WB.Prediction of coronary heart disease using risk factor categories.Circulation 97:1837−47(1998)を参照のこと)を評価した。その後、12個の変数を含むこのモデルを、従来のリスクファクターを示す9個の変数だけを含むモデルに対して比較し、5種類の血漿生体マーカーを付加した際のリスク予測の改善についての証拠を探した。検討した9個の従来のリスクファクターは、医学界でコンセンサスが得られており、以下のとおりである(全てが、採血時に評価される):(i)喫煙(非喫煙、喫煙歴あり、または喫煙者)、(ii)血圧(以下のような5つのカテゴリーにカテゴリー化する:血圧;<120/80mmHg、≧120/80mmHgかつ<130/85mmHg、≧130/85mmHgかつ<140/90mmHg、≧140/90mmHgかつ<160/100mmHg、および≧160/100mmHgまたは降圧療法の使用、ここでは、分子が収縮期血圧であり、分母が拡張期血圧である)、(iii)総コレステロール(未変換の連続変数として処理する)、(iv)高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール(未変換の連続変数として処理する)、(v)糖尿病の状況(有/無)、(vi)年齢(未変換の連続変数として処理する)、(vii)性別、(viii)スタチン治療の使用(有/無)、(ix)採血した年度(2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、または2006年)。
続いて、ROC曲線下面積(「AUC」)を、スコアに基づく5個の生体マーカーと9個の従来のリスクファクター変数を含むモデルについて、および上記に列挙した9個の確立されている臨床的リスクファクターだけを含む(5個の生体マーカーは含まない)モデルについて計算した。加えて、統合識別改善度(「IDI」)を、これらの2つのモデルを比較することにより計算した(per Pencina MJ,D’Agostino RB Sr,D’Agostino RB Jr,Vasan RS.Evaluating the added predictive ability of a new marker:from area under the ROC curve to reclassification and beyond.Stat Med 2008 Jan.30;27(2):157−72)。結果は以下のとおりである:
5個の生体マーカーのモデル+9個の従来のリスクファクターについてのAUC:0.75(95%の信頼区間(CI):0.71〜0.78)
9個の確立されているリスクファクターだけについてのAUC:0.68(95%のCI:0.64〜0.72)
2つのモデル間でのAUCの差についてのp値:p<0.001
IDI=7.4%(95%のCI:5.3%〜9.4%)、p<0.001。
このように、5個の生体マーカー(すなわち、α−1抗トリプシン、癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、アポリポタンパク質B、およびアポリポタンパク質A1)を従来のリスクファクターに加えることにより、従来のリスクファクターだけよりも優れた、近い将来のMIのリスク予測のための生体マーカーのセットが得られる。
(実施例11)
研究対象集団、確立されているリスクファクター、および推定される生体マーカーは、実施例1に記載したとおりである。推定される生体マーカーを示す変数は連続変数として処理する。
ロジスティック回帰モデルを、ベースライン変数とMIの罹患との間の関係を評価するために評価した。本実施例のモデルには、以下の6種類の血漿分析物(すなわち、6個の生体マーカー:アポリポタンパク質B、アポリポタンパク質A1、N末端B型ナトリウム利尿ペプチド(NT−プロBNP)、癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、およびC反応性タンパク質)を含める。
(モデル1)
6種類の血漿分析物(すなわち、6個の生体マーカー:アポリポタンパク質B、アポリポタンパク質A1、N末端B型ナトリウム利尿ペプチド(NT−プロBNP)、癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、およびC反応性タンパク質)だけを予測変数として含む非条件付きロジスティック回帰モデルをフィットさせた。統計ソフトウェア(Rソフトウェア、バージョン2.6)を使用して、6種類の分析物のそれぞれの係数を以下のように推定した:
Figure 0005728488
それぞれの生体マーカーの測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(C反応性タンパク質)+b2ln(癌胎児性抗原)+b3ln(β−2−ミクログロブリン)+b4ln(アポリポタンパク質B)+b5ln(アポリポタンパク質A1)+b6ln(NT−プロBNP)
式中、b1〜b6は上記の表に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。このモデルによるスコアを、それぞれの個体について計算した。さらなる定数値(「切片項」としても知られている)を、そのような様式で計算したリスク点数に加えることができることが当業者に理解されるであろう。より高いリスク点数は、試験後4年以内のMIの高い可能性を示す。
受信者動作特性(「ROC」)曲線下面積、「AUC」を、6個の生体マーカーから導いた上記リスク点数の方程式に基づいて計算した。AUCとそれに付随する95%の信頼区間(CI)が、0.71であることが明らかになった(95%のCI:0.67〜0.75)。これが、0.5のfutility AUC値とはかなり異なることが明らかになった(p<0.05)。よって、表30に列挙した6個の生体マーカーに基づくリスク点数が、近い将来のMIのリスクの有意な予測変数であると結論付けられる。
(モデル2)
6種類の血漿分析物(すなわち、6個の生体マーカー:アポリポタンパク質B、アポリポタンパク質A1、N末端B型ナトリウム利尿ペプチド(NT−プロBNP)、癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、およびC反応性タンパク質)と年齢を予測変数として含む非条件付きロジスティック回帰モデルをフィットさせた。統計ソフトウェア(Rソフトウェア、バージョン2.6)を使用して、6個の変数のそれぞれの係数を以下のように推定した:
Figure 0005728488
それぞれの生体マーカーの測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(C反応性タンパク質)+b2ln(癌胎児性抗原)+b3ln(β−2−ミクログロブリン)+b4ln(アポリポタンパク質B)+b5ln(アポリポタンパク質A1)+b6ln(NT−プロBNP)+b7(年齢)
式中、b1〜b7は上記の表に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。このモデルによるスコアを、それぞれの個体について計算した。さらなる定数値(「切片項」としても知られている)を、そのような様式で計算したリスク点数に加えることができることが当業者に理解されるであろう。より高いリスク点数は、試験後4年以内のMIの高い可能性を示す。
受信者動作特性(「ROC」)曲線下面積、「AUC」を、6個の生体マーカーから導いた上記リスク点数の方程式に基づいて計算した。AUCとそれに付随する95%の信頼区間(CI)が、0.73(95%のCI:0.69〜0.76)であることが明らかになった。これが、0.5のfutility AUC値とはかなり異なることが明らかになった(p<0.05)。よって、表32に列挙した7個の生体マーカーに基づくリスク点数が、近い将来のMIのリスクの有意な予測変数であると結論付けられる。
(付加した予測値)
血漿分析物の測定から導いたこのスコアの付加により、MIの発症についての付加した予測値が従来のリスクファクターのシンプルな評価を上回るかどうかを決定するために、以下の演習も行った。6種類の血漿分析物の変数ならびに従来のリスクファクターを示す9個のさらなる変数を含むロジスティック回帰モデル(例えば、Wilson PW,D’Agostino RB,Levy D,Belanger AM,Silbershatz H,Kannel WB.Prediction of coronary heart disease using risk factor categories.Circulation 97:1837−47(1998)を参照のこと)を評価した。その後、12個の変数を含むこのモデルを、従来のリスクファクターを示す9個の変数だけを含むモデルに対して比較し、6種類の血漿生体マーカーを付加した際のリスク予測の改善についての証拠を探した。検討した9個の従来のリスクファクターは、医学界でコンセンサスが得られており、以下のとおりである(全てが、採血時に評価される):(i)喫煙(非喫煙、喫煙歴あり、または喫煙者)、(ii)血圧(以下のような6つのカテゴリーにカテゴリー化する):血圧;<120/80mmHg、≧120/80mmHgかつ<130/85mmHg、≧130/85mmHgかつ<140/90mmHg、≧140/90mmHgかつ<160/100mmHg、および≧160/100mmHgまたは降圧療法の使用、ここでは、分子が収縮期血圧であり、分母が拡張期血圧である)、(iii)総コレステロール(未変換の連続変数として処理する)、(iv)高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール(未変換の連続変数として処理する)、(v)糖尿病の状況(有/無)、(vi)年齢(未変換の連続変数として処理する)、(vii)性別、(viii)スタチン治療の使用(有/無)、(ix)採血した年度(2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、または2006年)。
続いて、ROC曲線下面積(「AUC」)を、スコアに基づく6個の生体マーカーと9個の従来のリスクファクター変数を含むモデルについて、および上記に列挙した9個の確立されている臨床的リスクファクターだけを含む(6個の生体マーカーを含まない)モデルについて計算した。加えて、統合識別改善度(「IDI」)を、これらの2つのモデルを比較することにより計算した(per Pencina MJ,D’Agostino RB Sr,D’Agostino RB Jr,Vasan RS.Evaluating the added predictive ability of a new marker:from area under the ROC curve to reclassification and beyond.Stat.Med.27(2):157−72(2008))。結果は以下のとおりである:
6個の生体マーカーのモデル+9個の従来のリスクファクターについてのAUC:0.75(95%の信頼区間(CI):0.71〜0.79)
9個の確立されているリスクファクターだけについてのAUC:0.68(95%のCI:0.64〜0.72)
2つのモデル間でのAUCの差についてのp値:p<0.001
IDI=7.3%(95%のCI:5.3%〜9.4%)、p<0.001
このように、6個の生体マーカー(すなわち、アポリポタンパク質B、アポリポタンパク質A1、N末端B型ナトリウム利尿ペプチド、癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、およびC反応性タンパク質)を従来のリスクファクターに加えることにより、従来のリスクファクターだけよりも優れた、近い将来のMIのリスク予測のための生体マーカーのセットが得られる。
(実施例12)
研究対象集団、確立されているリスクファクター、および推定される生体マーカーは、実施例1に記載したとおりである。推定される生体マーカーを示す変数は連続変数として処理する。
ロジスティック回帰モデルを、ベースライン変数とMIの罹患との間の関係を評価するために評価した。本実施例のモデルには、以下の3種類の血漿分析物(すなわち、3個の生体マーカー:癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、およびN末端B型ナトリウム利尿ペプチド(NT−プロBNP))を含める。
(モデル1)
3種類の血漿分析物(すなわち、3個の生体マーカー:癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、およびN末端B型ナトリウム利尿ペプチド(NT−プロBNP))だけを予測変数として含む非条件付きロジスティック回帰モデルをフィットさせた。統計ソフトウェア(Rソフトウェア、バージョン2.6)を使用して、3種類の分析物のそれぞれの係数を以下のように推定した:
Figure 0005728488
それぞれの生体マーカーの測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(癌胎児性抗原)+b2ln(β−2−ミクログロブリン)+b3ln(NT−プロBNP)
式中、b1〜b3は上記の表に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。このモデルによるスコアを、それぞれの個体について計算した。さらなる定数値(「切片項」としても知られている)を、そのような様式で計算したリスク点数に加えることができることが当業者に理解されるであろう。より高いリスク点数は、試験後4年以内のMIの高い可能性を示す。
受信者動作特性(「ROC」)曲線下面積、「AUC」を、3個の生体マーカーから導いた上記リスク点数の方程式に基づいて計算した。AUCとそれに付随する95%の信頼区間(CI)が、0.66(95%のCI:0.61〜0.70)であることが明らかになった。これが、0.5のfutility AUC値とはかなり異なることが明らかになった(p<0.05)。よって、表34に列挙した3個の生体マーカーに基づくリスク点数が、近い将来のMIのリスクの有意な予測変数であると結論付けられる。
(モデル2)
3種類の血漿分析物(すなわち、3個の生体マーカー:癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、およびN末端B型ナトリウム利尿ペプチド(NT−プロBNP))と年齢を予測変数として含む非条件付きロジスティック回帰モデルをフィットさせた。統計ソフトウェア(Rソフトウェア、バージョン2.6)を使用して、3個の変数のそれぞれの係数を以下のように推定した:
Figure 0005728488
それぞれの生体マーカーの測定単位は以下のとおりである:
Figure 0005728488
したがって、このモデルを使用して、個体についてのリスク点数を以下のように決定することができる:
b1ln(癌胎児性抗原)+b2ln(β−2−ミクログロブリン)+b3ln(NT−プロBNP)+b4(年齢)
式中、b1〜b4は上記の表に列挙した係数であり、ln(x)は、底eを使用して対数変換したxの値を示す。このモデルによるスコアを、それぞれの個体について計算した。さらなる定数値(「切片項」としても知られている)を、そのような様式で計算したリスク点数に加えることができることが当業者に理解されるであろう。より高いリスク点数は、試験後4年以内のMIの高い可能性を示す。
受信者動作特性(「ROC」)曲線下面積、「AUC」を、3個の生体マーカーから導いた上記リスク点数の方程式に基づいて計算した。AUCとそれに付随する95%の信頼区間(CI)が、0.70(95%のCI:0.66〜0.74)であることが明らかになった。これが、0.5のfutility AUC値とはかなり異なることが明らかになった(p<0.05)。よって、表36に列挙した4個の生体マーカーに基づくリスク点数が、近い将来のMIのリスクの有意な予測変数であると結論付けられる。
(付加した予測値)
血漿分析物の測定から導いたこのスコアの付加により、MIの発症についての付加した予測値が従来のリスクファクターのシンプルな評価を上回るかどうかを決定するために、以下の演習も行った。3種類の血漿分析物の変数ならびに従来のリスクファクターを示す9個のさらなる変数を含むロジスティック回帰モデル(例えば、Wilson PW,D’Agostino RB,Levy D,Belanger AM,Silbershatz H,Kannel WB.Prediction of coronary heart disease using risk factor categories.Circulation 97:1837−47(1998)を参照のこと)を評価した。その後、12個の変数を含むこのモデルを、従来のリスクファクターを示す9個の変数だけを含むモデルに対して比較し、3種類の血漿生体マーカーを付加した際のリスク予測の改善についての証拠を探した。検討した9個の従来のリスクファクターは、医学界でコンセンサスが得られており、以下のとおりである(全てが、採血時に評価される):(i)喫煙(非喫煙、喫煙歴あり、または喫煙者)、(ii)血圧(以下のような3つのカテゴリーにカテゴリー化する:血圧;<120/80mmHg、≧120/80mmHgかつ<130/85mmHg、≧130/85mmHgかつ<140/90mmHg、≧140/90mmHgかつ<160/100mmHg、および≧160/100mmHgまたは降圧療法の使用、ここでは、分子が収縮期血圧であり、分母が拡張期血圧である)、(iii)総コレステロール(未変換の連続変数として処理する)、(iv)高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール(未変換の連続変数として処理する)、(v)糖尿病の状況(有/無)、(vi)年齢(未変換の連続変数として処理する)、(vii)性別、(viii)スタチン治療の使用(有/無)、(ix)採血した年度(2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、または2006年)。
続いて、ROC曲線下面積(「AUC」)を、スコアに基づく3個の生体マーカーと9個の従来のリスクファクター変数を含むモデルについて、および上記に列挙した9個の確立されている臨床的リスクファクターだけを含む(3個の生体マーカーは含まない)モデルについて計算した。加えて、統合識別改善度(「IDI」)を、これらの2つのモデルを比較することにより計算した(per Pencina MJ,D’Agostino RB Sr,D’Agostino RB Jr,Vasan RS.Evaluating the added predictive ability of a new marker:from area under the ROC curve to reclassification and beyond.Stat Med 2008 Jan.30;27(2):157−72)。結果は以下のとおりである:
3個の生体マーカーのモデル+9個の従来のリスクファクターについてのAUC:0.75(95%の信頼区間(CI):0.71〜0.78)
9個の確立されているリスクファクターだけについてのAUC:0.68(95%のCI:0.64〜0.72)
2つのモデル間でのAUCの差についてのp値:p<0.001
IDI=6.7%(95%のCI:4.7%〜8.6%)、p<0.001。
このように、3個の生体マーカー(すなわち、癌胎児性抗原、β−2−ミクログロブリン、およびN末端B型ナトリウム利尿ペプチド)を従来のリスクファクターに加えることにより、従来のリスクファクターだけよりも優れた、近い将来のMIのリスク予測のための生体マーカーのセットが得られる。
本出願の見出しおよびセクションの使用が本教示を限定するようには意味されないことが理解されるものとする。各セクションは、本教示の任意の態様、実施形態、または特徴に適用することができる。
本出願を通じて、組成物が特定の成分を有している、含む、または含有していると記載される場合、あるいは、プロセスが、特定の処理工程を有している、含む、または含有していると記載される場合は、本教示の組成物がまた、原則として記載される成分からなるかまたは記載される成分からなること、および本教示のプロセスもまた、原則として記載されるプロセスの工程からなるかまたは記載されるプロセスの工程からなることが意図される。
本出願において、要素もしくは成分が、記載される要素もしくは成分のリストに含まれるおよび/または記載される要素もしくは成分のリストより選択されるといわれる場合には、要素もしくは成分は、記載される要素もしくは成分のうちの任意の1つであり得、また、記載される要素もしくは成分のうちの2つ以上からなる群より選択されてもよいことが理解されるものとする。さらに、本明細書中に記載される組成、器具、もしくは方法の実施形態の要素および/もしくは特徴が、本明細書中で説明されているか暗に意味されているかにはかかわらず、本教示の精神および範囲から逸脱することなく様々な方法において組み合わせることができることが理解されるものとする。
用語「含む(include)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、または「有している(having)」の使用は、一般的には、別の場所に具体的に記載されていない限りは、開かれており、限定ではないと理解されるものとする。
本明細書中での単数形の使用には、別の場所に具体的に記載されない限りは複数形が含まれる(その逆もまた含まれる)。さらに、単数形「a」、「an」、および「the」にも、その状況が別の場所に具体的に記載されていない限りは、複数形が含まれる。加えて、量的値の前に用語「約」が使用される場合は、本教示にはまた、別の場所に具体的に記載されていない限りは、特定の量的値自体もまた含まれる。本明細書中で使用される場合は、用語「約」は、他の場所に示されているかまたは推測されない限りは、その名目上の値からの±10%のばらつきをいう。
複数の工程の順序または特定の行動を実行するための順序が、本教示が依然、実施可能である限りは重要ではないことが理解されるものとする。さらに、2つ以上の工程または行動が同時に行われる場合もある。
値の範囲またはリストが提供されている場合は、その範囲または値のリストの上限と下限の間にある値のそれぞれが個別に考えられ、あたかも、それぞれの値が本明細書中で具体的に列挙されているかのように、本教示に含まれる。加えて、所定の範囲の間にあり、所定の範囲の上限と下限を含む小さい範囲が考えられ、本教示に含まれる。例示的な値または範囲のリストは、所定の範囲の上限と下限の間にあり、上限と下限を含む他の値あるいは範囲を放棄しない。
本明細書中に記載したものについてのバリエーション、改変、および他の具体化を、本発明の精神および基本的な特徴から逸脱することなく、当業者は思い浮かべるであろう。したがって、本教示の範囲は、上記の説明のための記載によっては定義されず、代わりに以下の特許請求の範囲により定義され、特許請求の範囲と同等の意味および範囲に入る全ての変更が、本明細書中に含まれるように意図される。

Claims (26)

  1. リスク点数を、個体における心筋梗塞のリスクの指標とする方法であって:
    個体由来の試料中の生体マーカーのセットのレベルを測定する工程であって、ここでは、該生体マーカーのセットは:
    (i)癌胎児性抗原およびβ−2ミクログロブリン;ならびに
    (ii)N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α−1抗トリプシン、およびC反応性タンパク質のうちの少なくとも1つ
    を含む、工程;ならびに
    該測定した生体マーカーのレベルを重みづけすることにより該個体についてリスク点数を計算する工程;を含み、ここで、
    該リスク点数は、該個体が心筋梗塞を経験する可能性を示す、方法。
  2. 前記生体マーカーのセットはN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記生体マーカーのセットはα−1抗トリプシンを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記生体マーカーのセットはC反応性タンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記生体マーカーのセットはN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドを含む、請求項3に記載の方法。
  6. 前記生体マーカーのセットはさらに、アポリポタンパク質A1およびアポリポタンパク質Bを含む、請求項3に記載の方法。
  7. 前記生体マーカーのセットはさらに、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、アポリポタンパク質A1、およびアポリポタンパク質Bを含む、請求項4に記載の方法。
  8. 前記生体マーカーのセットはさらに、α−フェトプロテインおよびトランスフェリン飽和度を含む、請求項6に記載の方法。
  9. 前記生体マーカーのセットはさらに、血管内皮増殖因子を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記リスク点数を計算する工程が:
    前記生体マーカーの測定したレベルを対数変換して、それぞれの測定した生体マーカーについて変換した値を得ること;
    それぞれの生体マーカーについての該変換した値に生体マーカー定数を掛け算して、それぞれの生体マーカーについて掛け算した値を得ること;および
    それぞれの生体マーカーについての該掛け算した値を足し算して該リスク点数を得ること
    を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記個体心筋梗塞を経験する可能性に関連する情報を、送信する、表示する、記憶する、または印刷する、あるいはユーザーインターフェースデバイス、コンピューターで読み取り可能な記憶媒体、ローカルコンピューターシステム、またはリモートコンピューターシステムに出力する工程を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記情報がリスク点数またはその等価物である、請求項11に記載の方法。
  13. 個体心筋梗塞増大した可能性該個体において処置が推奨されること該個体において処置が承認されること、または該個体において薬物が投与されるべきであることを示す、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 参照リスク点数よりも大きいリスク点数は、前記個体が、心筋梗塞事象を有する増大した可能性を有していることを示し、および参照リスク点数未満であるリスク点数は、前記個体が、心筋梗塞事象を有する可能性が低下していることを示す、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記参照リスク点数が標準値または閾値である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記計算する工程が、適切にプログラムされたコンピューターを使用して行われる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記測定された生体マーカーのレベルが、免疫測定法、比色分析法、比濁分析、およびフローサイトメトリーのうちの少なくとも1つにより決定される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記試料が血液を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記個体がヒトである、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記心筋梗塞のリスクが近い将来のリスクである、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記リスク点数が、前記個体の年齢の重みづけしたメトリックを含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記リスク点数が、前記個体についての1つ以上の臨床的リスクファクターの重みづけしたメトリックを含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法であって、ここでは、前記1つ以上の臨床的リスクファクターが、喫煙状況、真性糖尿病、若年性心筋梗塞の家族歴、ボディーマス指数、身体活動性、非空腹時総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、およびトリグリセリドからなる群より選択される、方法。
  23. 個体における心筋梗塞のリスクを診断するためのキットであって:
    個体由来の試料中の生体マーカーのセットのレベルを特異的に測定する試薬セットであって、ここでは、該生体マーカーのセットは:
    (i)癌胎児性抗原およびβ−2ミクログロブリン;ならびに
    (ii)N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α−1抗トリプシン、および高感度C反応性タンパク質のうちの少なくとも1つ;
    を含む、試薬セット;ならびに、
    該個体における心筋梗塞のリスクを診断するために該キットを使用するための説明書
    を含む、キット。
  24. 参照リスク点数を含む、請求項2に記載のキット。
  25. 前記参照リスク点数が標準値または閾値である、請求項2に記載のキット。
  26. 前記試薬がタンパク質レベルを測定する、請求項2〜2のいずれか1項に記載のキット。
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