JP5727173B2 - 皮膚貼付材および皮膚貼付用テープ材 - Google Patents

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Description

本発明は、スポーツテーピング用、テーピング治療用等のスポーツ分野および医療分野等に使用される皮膚貼付材および皮膚貼付用テープ材に関するものである。
従来からスポーツ分野および医療分野等において用いられる皮膚貼付材は、人の皮膚に貼り付けられ、または巻き付けられることにより、対象部位の怪我の予防や治療等の効果を発揮するものである(非特許文献1、2参照)。
一般に、皮膚貼付材は、基材の片面に粘着剤層が設けられ、さらにその粘着剤層に被せるように剥離ライナーが貼り合わされたものであり、使用の際にはこの剥離ライナーを剥がして、露出した粘着剤層を皮膚に貼り付けて使用するものである。
上記皮膚貼付材に用いられる基材として、例えば、基材にエーテル系ウレタン樹脂からなる皮膚貼付材用フィルムが提案されている(特許文献1参照)。
さらに、従来の皮膚貼付材において、例えば、皮膚貼付材に鋭角を有する形状からなる貫通孔を設けたものがあり、上記貫通孔を形成することによって所望の大きさに皮膚貼付材を切断する際に、手で簡単に切断できるハンドカット性を向上する効果を有するものがある(特許文献2参照)。
特開2005−218496号公報 特開2007−75132号公報
http://ntmed.co.jp/taping/index.html http://ntmed.co.jp/medical/index.html
従来のスポーツ分野および医療分野等において用いられる皮膚貼付材は、使用時に軽く引っ張りながら皮膚面の対象部位に貼付するものである。従って、例えば筋力の弱った箇所や、あるいは痛めた関節などの対象部位に皮膚貼付材を引っ張りながら貼付すると、皮膚貼付材に発生する収縮力(キックバック)により対象部位を適切に補助することができるので、対象部位の怪我の予防や治療に効果を発揮することができる。
しかし、皮膚貼付材に用いられる基材として薄いフィルムを使用した場合には、基材自体に腰が無いため、例えば老人や子供、あるいは怪我をした人などの手先の不自由な人がテーピングを行う際に、適切に貼付することが難しい場合があった。
また、皮膚貼付材に用いられる基材の収縮力(キックバック)があまりにも大きすぎると、このような基材を使用した皮膚貼付材を対象部位へ貼付した場合には対象部位に過大な負荷がかかり、かえって対象部位を悪化させてしまうという問題があった。
さらに、皮膚貼付材のハンドカット性を向上するために、従来より、鋭角を有する形状からなる貫通孔を設けた皮膚貼付材が提案されているが、このような皮膚貼付材を引っ張りながら対象部位へ貼付すると、貫通孔の箇所から簡単に皮膚貼付材が破断し、適切なテーピングを行うことができない場合があった。
そして、皮膚貼付材を貼付する際には、皮膚面に貼付するだけでなく、皮膚貼付材の基材背面上に重ね貼りして、より強固に固定する場合があるので、皮膚面に対する粘着力だけでなく、皮膚貼付材の基材背面における粘着力の向上も望まれている。
本発明は、上記の課題を解決するために鋭意検討して見出したものであり、下記に示すとおりである。
(1)基材の片面に粘着剤層、剥離ライナーがこの順に積層されてなる皮膚貼付材であって、前記基材がポリウレタン製布帛であり、前記基材および粘着剤層を貫通する細孔が皮膚貼付材の引張方向および/または幅方向に一定間隔にて複数形成されていることを特徴とする皮膚貼付材。
(2)前記ポリウレタン製布帛の坪量が10〜200g/m2で、且つ前記ポリウレタン製布帛の50%モジュラスが1〜8N/25mm幅である請求項1に記載の皮膚貼付材。
(3)前記細孔の孔径において、皮膚貼付材の引張方向および幅方向の孔径をそれぞれXMDmm、XTDmmとするとき、前記細孔の形状が式(1)〜(3)を全て満足する円形状、または全ての角が全て鈍角からなる多角形状である請求項1又は2記載の皮膚貼付材。
(4)皮膚貼付材の引張方向において、隣接する前記細孔同士の中心点間距離をLMDmmとするとき、2≦LMD/XMD≦20、を満足するように前記細孔が形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の皮膚貼付材。
(5)前記基材の粘着剤層形成面の他面が印刷されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の皮膚貼付材。
(6)請求項1〜5のいずれか一項に記載の皮膚貼付材をロール状に巻回してなる皮膚貼付用テープ材。
本発明は、上記のように特定の材料からなる基材に粘着剤層を設け、さらに基材と粘着剤層を貫通する細孔を設けることを特徴とする発明である。つまり、本発明によると、上記粘着剤を有する基材に、細孔を設けることによって、基材を適切な物性に調整することが可能となるので、例えば、皮膚貼付材を皮膚面に貼付する際に、過度の基材の収縮力(キックバック)を抑えるなどの優れた効果を発揮する。
また、本発明に用いられる基材として、ポリウレタン製布帛という伸縮性を有する基材を採用しているので、細孔を有する皮膚貼付材を引っ張りながら皮膚面に貼付しても、伸縮性を有する本発明の基材によって細孔部に加わる引張応力が分散され、皮膚貼付材の破断を防止することができる。さらに、本発明に用いられる基材の粘着剤層形成面の他面を印刷することによって、皮膚貼付材の基材背面に重ね貼りして固定する際にも優れた粘着性を発揮するものである。また、皮膚貼付材に形成する細孔によって基材背面に凹凸が形成されることから、皮膚貼付材の基材背面に重ね貼りする際の自背面への粘着性をさらに向上させる効果もある。
本発明の皮膚貼付材の一実例を示した平面図である。 本発明の皮膚貼付材の他の実例を示した平面図である。 本発明の皮膚貼付材の他の実例を示した平面図である。
以下、本発明の皮膚貼付材および皮膚貼付用テープ材について、具体的に説明する。
本発明の皮膚貼付材は、基材にポリウレタン製布帛を用いる。上記ポリウレタン製布帛は、例えばポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタンなどから構成される。
また、上記ポリウレタン製布帛は、スパンボンド法、メルトブロー法などの公知の製造方法によって作製される。
本発明に適したポリウレタン製布帛の坪量は、好ましくは10〜200g/m2であり、より好ましくは50〜100g/m2である。坪量が10g/m2未満では、布帛の強度が弱く腰がないため実用上問題となる場合があり、坪量が200g/m2を超えると、布帛が硬くなるため柔軟性に欠け、適度な伸縮性が発現しない場合がある。
また、本発明に好適なウレタン製布帛の50%モジュラスは、好ましくは1〜8N/25mm幅であり、より好ましくは2〜5N/25mm幅である。前記ウレタン製布帛の50%モジュラスが1N/25mm幅未満では、皮膚貼付材に発生する収縮力が小さすぎるため、対象部位を適切に補助することができない場合があり、50%モジュラスが8N/25mm幅を超えると対象部位に過大な負荷がかかるため、かえって対象部位を悪化させてしまう可能性がある。さらに、本発明に用いるウレタン製布帛の引張強度は、好ましくは10〜30N/25mm幅であり、より好ましくは15〜20N/25mm幅である。さらにそのときの最大伸びとしては、好ましくは100〜800%であり、より好ましくは300〜500%である。上記のような特性を有するウレタン製布帛を本発明の皮膚貼付材に用いることによって、優れた伸縮性を発揮することができる。
上記ポリウレタン製布帛を用いた本発明の皮膚貼付材は伸縮性を有することから、関節部位のような伸び縮みの大きい屈曲部に貼付しても皮膚貼付材の脱落を防止する効果を有する。そして、皮膚貼付材を引っ張ることにより収縮力(キックバック)が発現することから、例えば筋肉のサポートや、関節の曲げ伸ばしをサポートするなどに好適に用いることができる。
しかしながら、上記ポリウレタン製布帛をそのまま皮膚貼付材の基材として用いると、収縮力が大きくなり過ぎるので、本発明のように基材に細孔を複数形成することにより、基材の収縮力(キックバック)を適切に調整することができる。
なお、従来の伸縮性の小さい布帛(例えば、ポリエステル製布帛、ポリオレフィン製布帛など)に本発明のような細孔を設けてなる皮膚貼付材を、引っ張りながら皮膚面に貼り付けると、引張応力が分散されずに直接細孔部に加わるため、容易に基材が破断し、皮膚貼付材として使えないものであった。これに対し、本発明に用いる基材は伸縮性を有することから、細孔を設けても、引張応力が分散するため、簡単に基材が破断することがないのである。
ここで、本発明における布帛とは、織布、不織布、編布等の布状のものを指し、表面に凹凸を有したものであり、このような布帛に粘着剤層を設けることによって、粘着剤層が布帛表面から内部にくい込んで一般的に良好な投錨性が期待できるものである。さらに、上記布帛のうち、不織布は繊維を熱・機械的または化学的な作用によって接着または絡み合わせることで布にしたものであるため、細孔を形成してもほつれの発生が少なく、好適に用いられる。
皮膚貼付材に形成する細孔は、貼付時における基材の収縮力(キックバック)や基材が破断しない条件等を考慮して適切に設定されるものである。
皮膚貼付材に形成する細孔の大きさは、皮膚貼付材の引張方向における孔径XMDおよび幅方向における孔径XTDで設定され、孔径XMDおよび孔径XTDは、好ましくはそれぞれ0.1mm≦XMD≦1mm、0.1mm≦XTD≦1mmの範囲であり、さらに好ましくはそれぞれ0.2mm≦XMD≦0.5mm、0.2mm≦XTD≦0.5mmの範囲である。細孔の孔径XMDおよびXTDが0.1mm未満では、基材の収縮力(キックバック)が大きいため、対象部位に過大な負荷がかかり、対象部位を悪化させる恐れがある。一方、細孔の孔径XMDおよびXTDが1mmを超えると、細孔を介して外部から簡単に水が進入する場合があるため、場合によっては貼付中に剥がれが発生してしまう恐れがある。
なお、本発明における引張方向とは皮膚貼付材を貼付する際に引っ張る方向を指し、幅方向とは引張方向に対して直交する方向のことである。
上記細孔の形状としては、基材の破断の恐れが少ないという観点から、円形状、または全ての角が全て鈍角からなる多角形状に形成するのが好ましい。さらに詳細には、上記細孔の形状は、引張方向の孔径XMDに対する幅方向の孔径XTDの比率(XTD/XMD)で設定され、好ましくは0.5≦XTD/XMD≦5を満足し、より好ましくは0.7≦XTD/XMD≦2.5を満足する円形状、または全ての角が全て鈍角からなる多角形状が望ましいのである。XTD/XMDが上記範囲を外れると、皮膚貼付材を引っ張った場合に細孔の両端部に応力がかかりやすくなるため、そこがきっかけとなって皮膚貼付材が破断する恐れがある。さらに、細孔の形状が鋭角を有する形状の場合には、皮膚貼付材を引っ張って貼付する際に細孔の鋭角部分に応力が集中するため、皮膚貼付材が破断しやすくなるため、実用上問題になる場合がある。
なお、本発明における円形状とは、真円形状および楕円形状を含む形状のことである。
本発明における細孔の配置は、細孔の孔径と隣接する細孔同士の中心点間距離との関係から適切に設定されるものである。すなわち、皮膚貼付材の引張方向において、隣接する前記細孔同士の中心点間距離をLMDmmとするとき、隣接する細孔同士の中心点間距離に対する細孔の孔径の比率(LMD/XMD)は、好ましくは2≦LMD/XMD≦20、であり、より好ましくは2.5≦LMD/XMD≦15、である。LMD/XMDが2未満では、本発明に用いられる基材の強度が充分でないため、引っ張って貼付する際に基材の破断を引き起こす恐れがある。一方、LMD/XMDが20を超えると、皮膚貼付材を引っ張って貼付する際に、基材の収縮力(キックバック)が大き過ぎて、適切なテーピングが困難になる。
つまり、皮膚貼付材に形成する細孔の孔径や隣接する細孔同士の中心点間距離を上記のように調整することにより、本発明に用いられる基材の収縮力(キックバック)を適切に制御することができ、所望の物性を有する皮膚貼付材を得ることができる。
さらに、皮膚貼付材に上記細孔を形成することによって、皮膚貼付材の基材背面に凹凸が形成されていることから、皮膚貼付材の基材背面に皮膚貼付材を重ね貼りすると、皮膚貼付材の粘着剤層が上記凹凸へくい込み、自背面粘着性を向上させる効果がある。
本発明の細孔は、金属ロール、穿孔機、レーザー照射などによる穿孔形成等によって形成される。具体的に金属ロールを用いて細孔を形成する場合には、細孔の形状の突起を有する金属ロール(穿孔ロール)と、加圧ロール(表面が滑らかな金属ロール)とを対向して配置し、両ロールの接触面の間に本発明の皮膚貼付材を挟んで通過させることによって、皮膚貼付材に細孔を形成することができる。金属ロールには、細孔を形成するための突起が一定間隔で配置されており、突起の先端部は尖っていても、あるいは突起先端部が平坦な形状でも良い。なお、金属ロールの突起の形状は、本発明の皮膚貼付材に形成する細孔の形状に対応するように円形状、または全ての角が全て鈍角からなる多角形状が好ましい。
穿孔時にかかる温度、金属ロールと加圧ロールとの間にかかる圧力(圧着力)、および、皮膚貼付材を通す速度(流れ速度)は、突起の形状、突起の温度、皮膚貼付材を構成する材料の厚み等を考慮して、本発明の皮膚貼付材に適した細孔が形成されるように設定することが好ましいが、一般的には、温度が約100℃〜約250℃であることが好ましく、圧力が、約2Pa・s〜約10Pa・sであることが好ましく、皮膚貼付材を通す速度が約1m/分〜約50m/分であることが好ましい。
加圧ロールとしては、表面が平滑なステンレスロール、芯金上にシリコーンゴムを被覆した表面が平滑なゴムロール等を用いることができる。
本発明における細孔は、基材に粘着剤層を形成した後に上記方法を用いて基材と粘着剤層とを貫通する細孔を形成させる。基材と粘着剤層とを貫通する細孔を設けることによって、皮膚貼付材の透湿性が向上し、貼付中の皮膚面の蒸れを軽減させ、皮膚のカブレや発赤などの皮膚刺激の発生を抑える効果を発揮する。
本発明の皮膚貼付材を構成する基材の粘着剤層形成面の他面には、皮膚に貼付した際に目立ちにくくするために、肌色に近い色相に印刷されていることが好ましい。そして、上記印刷により、皮膚貼付材の上に重ね貼りしてもズレなく密着固定できるという優れた粘着性を発揮するものである。このような本発明の印刷は、基材に粘着剤層を形成した後に行っても良いし、あるいは、基材に印刷してから粘着剤層を形成しても良い。
本発明の印刷は、通常一般的に行なわれるフレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等により行う。また、本発明の印刷に用いられる印刷用インクは、通常、顔料と、油脂類、天然樹脂、合成樹脂等を溶剤に溶かしてなるワニスを主剤とし、これに若干の滑剤や硬化剤などの添加物を加えたものである。本発明に用いられる印刷用インクは、皮膚に貼付した際に目立ちにくい肌色に近い色相を有するものや、基材背面の粘着性を向上させるものであれば、限定されるものではない。前記印刷用インクの使用量は、基材によって異なるので一概には決定することはできないが、通常固形分量で好ましくは0.5〜10g/m2であり、より好ましくは1〜5g/m2である。
本発明の皮膚貼付材に用いられる粘着剤は、スポーツ分野および医療分野等の皮膚貼付材において使用される一般的なものを適用することができる。具体的には、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系、シリコーン系などを使用することができる。
本発明の皮膚貼付材を構成する粘着剤層の厚みとしては、使用部位や粘着剤種によって適宜決定することができるが、好ましくは20〜200μmであり、より好ましくは40〜80μmである。粘着剤層の厚みが20μm未満だと皮膚面の粘着力不足により貼付中に皮膚貼付材が剥がれる恐れがある。一方、粘着剤層の厚みが200μmを超えると皮膚貼付材の端部から粘着剤がはみ出して糊汚れが生じる可能性がある。
粘着剤層の塗布形状としては、上記基材の片面に全面に設けるか、或いは部分的に設けても良い。通気性を向上させて皮膚面の蒸れを軽減させるために粘着剤層を部分的に設ける場合は、ドット形状又は条状等の塗布形状が設けられる。粘着剤層に条間空間を設ける場合には、直線状、波状、山状、鋸歯状などのいずれの塗布形状であっても良い。一般的に塗布形状としては、条間空間の断面積の経時的な変化が少ないという理由で、波状が好ましいが、使用する粘着剤の特性や本発明の皮膚貼付材の用途によって適宜決定することができる。
本発明の皮膚貼付材は、粘着剤層の表面の汚染を防止するために、使用前には粘着剤層を剥離ライナーにて被覆しておくことが好ましい。粘着剤層を被覆する際に用いる剥離ライナーは一般的に用いられるものを適用することができる。具体的には上質紙、グラシン紙、パーチメント紙の表面に、シリコーン樹脂等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングしたものや、上質紙にレジンをアンカーコートしたもの、またはポリエチレンをラミネートしたものの表面に、シリコーン樹脂等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングしたものなどである。
また、本発明の剥離ライナーには、皮膚貼付材の引張方向に対しほぼ直交するように所定の間隔で複数のミシン目を形成しても良い。このようなミシン目を形成することによる効果として、皮膚貼付材を貼付する際に、特定のミシン目を破断し、剥離ライナーを一部剥がして粘着剤層を露出させ、露出させた粘着剤層を皮膚へ貼付後、残りの剥離ライナーを完全に取り除くことで、粘着剤層同士がくっつくことなく簡単に貼付することができる。
さらに、本発明の皮膚貼付材をロール状に巻回することによって、コンパクトに収納でき持ち運びに便利な皮膚貼付用テープ材を提供することができる。
以下に本発明の実施例を示し、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
(実施例1)
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えた反応容器内に、蒸留水94重量部、乳化剤0.88重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル93重量部、アクリル酸2重量部、メタクリル酸メチル10重量部、連鎖移動剤0.05重量部、重合開始剤0.1重量部の配合にて、重合温度70℃で乳化モノマー逐次添加法により約4.5時間反応させ、その後86℃で2時間熟成させることにより反応を完結させ、水分散型の共重合体組成物を得た。
片面にシリコーン処理を施した剥離紙のシリコーン処理面に、上記共重合体組成物を使用して波条を複数形成するように塗布し(乾燥後の粘着剤層の厚み:60μm、条間空間の幅:1mm、波条周期:100mm、波条振幅:50mm)、乾燥した後に、基材としてエステル系ポリウレタン不織布(坪量:75g/m2、50%モジュラス:4N/25mm幅、引張強度:18N/25mm幅、伸び:400%)を貼り合わせて、粘着シートを得た。次に、上記粘着シートの剥離紙を剥がし、粘着剤層を有する基材に引張方向における孔径0.5mm、幅方向における孔径0.5mm、隣接する細孔同士の引張方向における中心点間距離2mmになるよう真円形状の細孔を形成した後、シリコーン処理を施したミシン目入り剥離紙を貼り合わせ、さらに上記基材の粘着剤形成面の反対面に肌色印刷して、図1に示す本発明の皮膚貼付材を得た。
なお、基材の50%モジュラス、引張強度および伸びは、後述する実験例3、4に記載の方法によって測定した。
(実施例2)
実施例1において、粘着剤層を有する基材に引張方向における孔径0.4mm、幅方向における孔径0.3mm、隣接する細孔同士の引張方向における中心点間距離1mmになるよう楕円形状の細孔を形成した以外は実施例1と同様にして、図2に示す本発明の皮膚貼付材を得た。
(実施例3)
実施例1において、粘着剤層を有する基材に引張方向における孔径0.2mm、幅方向における孔径0.2mm、隣接する細孔同士の引張方向における中心点間距離3mmになるよう正八角形状の細孔を形成した以外は実施例1と同様にして、図3に示す本発明の皮膚貼付材を得た。
(実施例4)
実施例1において、粘着剤層を有する基材に引張方向における孔径0.2mm、幅方向における孔径0.8mm、隣接する細孔同士の引張方向における中心点間距離2mmになるよう楕円形状の細孔を形成し、基材の粘着剤未形成面を印刷しなかった以外は実施例1と同様にして、本発明の皮膚貼付材を得た。
(実施例5)
実施例1において、粘着剤層を有する基材に引張方向における孔径1.2mm、幅方向における孔径0.5mm、隣接する細孔同士の引張方向における中心点間距離2mmになるよう楕円形状の細孔を形成した以外は実施例1と同様にして、図2に示す本発明の皮膚貼付材を得た。
(実施例6)
実施例1において、粘着剤層を有する基材に引張方向における孔径0.08mm、幅方向における孔径0.08mm、隣接する細孔同士の引張方向における中心点間距離2mmになるよう真円形状の細孔を形成した以外は実施例1と同様にして、図1に示す本発明の皮膚貼付材を得た。
(比較例1)
実施例1において、基材としてエーテル系ウレタン樹脂からなるポリウレタンフィルム(厚み:25μm、50%モジュラス:0.9N/25mm幅、引張強度:21N/25mm幅、伸び:750%)を用いた以外は実施例1と同様にして、皮膚貼付材を得た。
(比較例2)
実施例1において、基材としてポリプロピレン不織布(坪量:40g/m2、50%モジュラス:20N/25mm幅、引張強度:36N/25mm幅、伸び:140%)を用い、基材の粘着剤形成面の反対面を印刷しなかった以外は実施例1と同様にして、皮膚貼付材を得た。
(比較例3)
実施例1において、粘着剤層を有する基材に細孔を形成せず、さらに基材の粘着剤形成面の反対面を印刷しなかった以外は実施例1と同様にして、細孔と印刷の無い皮膚貼付材を得た。
(実験例1)取り扱い性、破れ、固定性
皮膚貼付材を健常ボランティアのひじ関節に貼付した際のテーピングのし易さ、皮膚貼付材の破れ、および対象部位の固定具合を目視で判定した。テーピングのし易さの判定は皮膚貼付材同士がくっつくことなく適切に貼付できた場合を〇とし、それ以外を×とした。破れの判定は、皮膚貼付材に破れが全く生じなかった場合を〇、一部破れが生じたが使用できた場合を△、破れが生じて使用できなかった場合を×とした。固定具合の判定は皮膚貼付材によってひじ関節を適切に固定できた場合を〇とし、それ以外を×とした。
(実験例2)接着性
皮膚貼付材を健常ボランティアのひじ関節に貼付し、貼付した皮膚貼付材の背面に重ねるようにさらに皮膚貼付材を貼付し、12時間経過後の皮膚面および皮膚貼付材の背面の接着状態を目視によって判定した。判定は接着面積が80%超える場合を〇、40〜80%の場合を△、40%未満の場合を×とした。
(実験例3)基材の50%モジュラス
25mm幅、長さ150mmに裁断した基材に、50mmの長さ地点に標線を入れた(チャック間50mm)。この基材を引張速度300mm/分で引っ張り、基材を50%引っ張った時の引張応力(N/25mm幅)を測定した。
(実験例4)基材の引張強度および伸び
25mm幅、長さ150mmに裁断した基材に、50mmの長さ地点に標線を入れた(チャック間50mm)。この基材を引張速度300mm/分で引っ張り、その際、破断時の最大応力を引張強度(N/25mm幅)とし、さらに、破断時の伸びを下式により算出した。
伸び(%)={(破断時の標線の長さ(mm)−50mm)/50mm}×100
以上説明した通り、基材の片面に粘着剤層、剥離ライナーが順に積層されてなる皮膚貼付材において、前記基材がポリウレタン製布帛であり、前記基材および粘着剤層を貫通する細孔が形成されていることにより、基剤の収縮力(キックバック)を適切に制御することができ、所望の物性を有する皮膚貼付材および皮膚貼付用テープ材を得ることができる。
1 皮膚貼付材
2 細孔

Claims (3)

  1. 基材の片面に粘着剤層、剥離ライナーがこの順に積層されてなる皮膚貼付材であって、前記基材がポリウレタン製布帛であり、
    前記ポリウレタン製布帛の坪量が50〜200g/m2で、且つ前記ポリウレタン製布帛の50%モジュラスが1〜8N/25mm幅であり、
    前記基材および粘着剤層を貫通する細孔が皮膚貼付材の引張方向および/または幅方向に一定間隔にて複数形成されており、
    前記細孔の孔径において、皮膚貼付材の引張方向および幅方向の孔径をそれぞれX MD mm、X TD mmとするとき、前記細孔の形状が式(1)〜(3)を全て満足する円形状、または全ての角が全て鈍角からなる多角形状であり、
    皮膚貼付材の引張方向において、隣接する前記細孔同士の中心点間距離をL MD mmとするとき、2≦L MD /X MD ≦20、を満足するように前記細孔が形成されている
    ことを特徴とする皮膚貼付材。
  2. 前記基材の粘着剤層形成面の他面が印刷されている請求項に記載の皮膚貼付材。
  3. 請求項1又は2に記載の皮膚貼付材をロール状に巻回してなる皮膚貼付用テープ材。
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