JP5726954B2 - 非水電解質二次電池および組電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質二次電池および組電池に関する。
リチウム金属、リチウム合金、リチウム化合物または炭素材料を負極に用いた非水電解質電池は、高エネルギー密度電池、高出力密度電池として期待され、盛んに研究開発が進められている。これまでに、LiCoO2またはLiMn24を活物質として含む正極とリチウムを吸蔵・放出する炭素材料を含む負極とを具備したリチウムイオン電池が広く実用化されている。また、負極においては前記炭素材料に代わる金属酸化物あるいは合金等の検討がなされている。
これらの負極の集電体には銅箔、リードやこのリードが接続される端子には銅またはニッケルが一般的に使用されていた。銅箔の集電体を含む負極を備えた二次電池を過放電状態にすると、負極の電位が上昇するため、銅箔の負極の溶解反応が促進し、放電容量が急激に低下する。また、組電池で長期サイクルを継続すると電池容量バランスが崩れて過放電状態になる電池が発生するため、その電池の銅箔からなる集電体が溶解する問題を生じる。このため、前記二次電池には過放電状態になるのを防止するための保護回路が装着されている。しかしながら、このような二次電池は保護回路が装着されている分、エネルギー密度が低減される。また、電池軽量化のために肉厚の薄い金属缶を有する外装容器を用いる場合は、例えば過放電サイクル時に負極の集電体、リードおよび端子を構成する銅が溶解し、電池の膨れが大きくなる問題点がある。
このようなことから、特許文献1には特定の電位でリチウムイオンを吸蔵する負極活物質の使用において、負極集電体にアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔を用いる非水電解質電池が開示されている。このような構成により、エネルギー密度および過放電サイクル性能が向上した非水電解質二次電池を実現することが可能になった。
前記構造を持つ非水電解質二次電池は、放電容量を数Ah以上、特に数十Ah以上にすることが可能であるため、電力貯蔵、非常用電源(UPS)、エレベータ、アシスト自転車、電動スクータ、電気自動車、フォークリフト、ハイブリッド車、電車等の電源として有望視されている。特に、大容量を必要とする電気自動車、電力貯蔵、非常用電源などは、電池容量を大容量化または組電池の並列接続による大容量電源が求められる。このような大容量の非水電解質二次電池は、電池外部短絡や並列接続時の内部短絡において大電流が集中し急激な発熱、温度上昇が起き熱暴走が起きる恐れがある。
このような背景から、電池外部に電流遮断機構を備えるPTC(Positive Temperature Coefficient)素子のような保護素子を装着して大電流が流れることを防いでいる。しかしながら、保護素子を装着すると抵抗が増大するため電池および組電池で高出力性能を取り出すことが困難となる。
特開2004−296256号公報
本発明によると、金属の外装容器;
前記外装容器内に収納され、正極と、負極と、前記負極と前記正極の間に介在されたセパレータとを有する電極群;
前記外装容器内に収納された非水電解質;
前記正極および負極にそれぞれ電気的に接続されたリード;および
前記外装容器に取り付けられ、前記各リードの他端にそれぞれ電気的に接続された端子;
を備え、
前記負極は、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔から作られる集電体と、この集電体の片面または両面に担持され、かつリチウムの電極電位に対して0.4V以上の電位でリチウムイオンを吸蔵する活物質を含む負極層を有し、
前記負極リードは、アルミニウムまたはアルミニウム合金から作られ、
前記負極リードと前記負極端子とは、導電膜を介在して電気的に接続し、
前記導電膜は、外部短絡時または内部短絡時に前記負極リードと前記負極端子間で発生するジュール発熱で溶融し、かつ
前記負極の活物質は、一次粒子の平均粒径が1μm以下であることを特徴する非水電解質二次電池が提供される。
また本発明によると、前記非水電解質二次電池を複数接続したことを特徴とする組電池が提供される。
本発明によれば、過大電流が流れた時に電流遮断機構を有する高出力な非水電解質二次電池および組電池を提供することができる。
実施形態に係る角型非水電解質二次電池を示す断面図。 図1の二次電池の負極端子を横切る断面図。 図1の外装容器に収納される積層電極群を示す斜視図。 実施形態に係る角型非水電解質二次電池に用いられる負極端子の他の形態を示す正面図。 実施形態に係る角型非水電解質二次電池に用いられる負極リードの他の形態を示す斜視図。 実施形態に係る組電池を示す斜視図。
以下、本発明の実施形態に係る非水電解質二次電池および組電池を詳細に説明する。
実施形態に係る非水電解質二次電池は、金属の外装容器を備えている。正極とリチウムの電極電位に対して0.4V以上の電位でリチウムイオンを吸蔵する活物質を有する負極と前記負極と前記正極の間に介在されたセパレータとを有する電極群は、外装容器内に収納されている。非水電解質は外装容器内に収納されている。このような二次電池の内部抵抗は、1kHzの交流インピーダンス値が10mΩ以下である。すなわち、この二次電池は例えば2Ah以上の大きな放電容量を有する。負極端子は、外装容器に好ましくは電気的に絶縁して取付けられている。負極リードと負極端子とは、負極リードと負極端子間で発生するジュール発熱で溶融する導電膜を介在して電気的に接続している。
好ましい実施形態において、前記負極リードと前記負極端子とはSnと少なくともZn、Pb、Ag、Cu、In、Ga、Bi、Sb、Mg、Alから選らばれる少なくとも一つ以上の金属成分を含有するSn合金膜を介在して電気的に接続されている。
以下、負極、正極、セパレータ、非水電解質及び外装容器について詳細に説明する。
1)負極
負極は、負極集電体と、前記負極集電体の片面もしくは両面に担持され、負極活物質、導電剤および結着剤を含む負極層とを有する。
負極集電体は、例えば純度99.99%以上のアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔から作られる。アルミニウム合金としては、例えばMg,Zn,Mn,Si等の金属成分を含む合金が好ましい。このアルミニウム合金には、前記金属成分の他にFe,Cu,Ni,Crのような遷移金属を100ppm以下の量で含有されることが好ましい。
アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔は、結晶粒子の平均径が50μm以下であることが好ましい。より好ましい結晶粒子の平均径は、10μm以下である。ここで、アルミニウムおよびアルミニウム合金の結晶粒子の平均径dはその粒子の平均直径を示し、対象物質表面の組織を金属顕微鏡観察し、1mm×1mm内に存在する結晶粒子数nをカウントし、結晶粒子の平均面積SをS=(1×106)/n(μm2)から求める。すなわち、金属顕微鏡観察において5箇所について結晶粒子をそれぞれカウントし、結晶粒子の平均面積を下記式(1)に代入すると共に、その平均値を算出することにより結晶粒子の平均径d(μm)を求めた。なお、想定誤差は約5%である。
d=2(S/π)1/2 …(1)
アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔の結晶粒子の大きさは、材料組成、不純物、加工条件、熱処理履歴ならび焼なましの加熱条件および冷却条件など多くの因子に複雑に影響されるが、製造工程の中での前記諸因子を有機的に組み合わせて調整することにより結晶粒子の平均径が50μm以下のアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔を作製することが可能になる。なお、日本製箔社製のPACAL21(商標名)から負極集電体を作製してもよい。
このような結晶粒子の平均径が50μm以下のアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔は、強度を飛躍的に増大させることができる。負極集電体の強度の増大により、物理的および化学的耐性が向上して、負極集電体の破断が生じ難くなる。特に、高温環境下(40℃以上)での過放電長期サイクルにおいて負極集電体の溶解・腐食による劣化を顕著に防ぐことができ、負極の抵抗増大を抑制できる。さらに、負極の抵抗増大の抑制によりジュール発熱が低下し、負極の発熱を抑制することができる。
また、結晶粒子の平均径が50μm以下のアルミニウム箔またはアルミニウム合金からなる負極集電体を使用することにより、高温高湿下(40℃以上、湿度80%以上)の長期サイクルにおける水の進入による負極集電体の溶解・腐食による劣化を抑制することができる。
さらに、負極集電体の強度増大により、負極活物質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体に塗布、乾燥し、プレスを施して負極を作製する際、前記プレス圧を高くしても集電体の破断を防止できる。その結果、高密度の負極を作製することが可能となり、容量密度を向上することができる。また、負極の高密度化により、熱伝導率が増加し、負極の放熱性を向上できる。その上、電池の発熱の抑制と電極の放熱性向上の相乗効果により、電池温度の上昇を抑制することが可能になる。
負極集電体の厚さは、20μm以下にすることが好ましい。
負極活物質は、リチウムの電極電位に対して0.4V以上の電位でリチウムイオンを吸蔵するものである。すなわち、負極活物質のリチウムイオンを吸蔵する開回路電位はリチウム金属の開回路電位に対して0.4Vである。このような負極活物質を用いることにより、集電体、リード、端子のような負極周りを材料としてアルミニウム(またはアルミニウム合金)を用いても、このアルミニウム(またはアルミニウム合金)とリチウムとが合金化反応して微紛化するのを抑制できる。また、電池電圧をより一層向上することができる。特に、負極活物質のリチウムイオンを吸蔵する開回路電位はリチウム金属の開回路電位に対して0.4〜3V、さらに好ましくは0.4〜2Vの範囲であることが望ましい。
負極活物質は、例えば前記特定の電位でリチウムイオンを吸蔵する金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、金属合金等を挙げることができる。具体的には、金属酸化物としてタングステン酸化物(WO3)、SnB0.40.63.1のようなアモルファススズ酸化物、スズ珪素酸化物(SnSiO3)、酸化珪素(SiO)等が、金属硫化物としては硫化リチウム(TiS2)、硫化モリブデン(MoS2)、硫化鉄(FeS,FeS2,LixFeS2)等が、金属窒化物としてはリチウムコバルト窒化物(LixCoyN、0<x<4.0,0<y<0.5)等が、挙げられる。
特に、負極活物質はチタン含有金属複合酸化物またはチタン系酸化物のようなチタン含有酸化物であることが好ましい。
チタン含有金属複合酸化物は、例えば酸化物合成時はリチウムを含まないチタン系酸化物、リチウムチタン酸化物、リチウムチタン酸化物の構成元素の一部を異種元素で置換したリチウムチタン複合酸化物などを挙げることができる。リチウムチタン酸化物は、例えばスピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi4+xTi512(xは0≦x≦3))、ラムステライド型のチタン酸リチウム(例えばLi2+yTi37(yは0≦y≦3)などを挙げることができる。これらのチタン酸リチウムは、リチウムの電極電位に対して約1.5Vの電位でリチウムイオンを吸蔵し、アルミニウム箔もしくはアルミニウム合金箔の集電体に対して電気化学的に非常に安定な材料であるため好ましい。
チタン系酸化物は、TiO2、TiとP、V、Sn、Cu、Ni、Co及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物等が挙げられる。TiO2は、TiO2(B)やアナターゼ型で熱処理温度が300〜500℃の低結晶性のものが好ましい。TiとP、V、Sn、Cu、Ni、Co及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物としては、例えば、TiO2−P25、TiO2−V25、TiO2−P25−SnO2、TiO2−P25−MeO(MeはCu、Ni、Co及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素)などを挙げることができる。この金属複合酸化物は、結晶相とアモルファス相が共存もしくは、アモルファス相単独で存在したミクロ構造であることが好ましい。このようなミクロ構造であることによりサイクル性能が大幅に向上することができる。中でも、リチウムチタン酸化物、TiとP、V、Sn、Cu、Ni、Co及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物が好ましい。
負極活物質は、一次粒子の平均粒径が1μm以下、より好ましくは0.3μm以下であることが望ましい。ここで、負極活物質の粒径はレーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製;SALD−300)を用いて次のような方法により測定することができる。すなわち、ビーカーに試料を約0.1gと界面活性剤と1〜2mLの蒸留水を添加して十分に攪拌した後、攪拌水槽に注入し、前記レーザ回折式粒度分布測定装置により2秒間隔で64回光強度分布を測定し、粒度分布データを解析する方法にて負極活物質の一次粒子の平均粒径を測定する。
前記一次粒子径の平均粒子径が1μm以下の負極活物質は、例えば活物質原料を反応合成する際の活物質プリカーサーとして1μm以下の粉末にすることが好ましく、焼成処理後の粉末をボールミルやジェトミルなどの粉砕機を用いて1μm以下に粉砕処理を施すことにより得られる。
このような平均粒径1μm以下の一次粒子からなる負極活物質を使用することにより、サイクル性能を向上することができる。特に、急速充電時および高出力放電時においてこの効果は顕著となるため、高い入出力性能を有する車両用二次電池として最適である。これは、例えばリチウムイオンを吸蔵放出する負極活物質は粒子径が微小になるほど、一次粒子が集合された二次粒子の比表面積が大きくなって活物質内部でのリチウムイオンの拡散距離が短くなり、リチウムイオンを速やかに吸蔵放出できるためである。
また、前述したプレス工程を有する負極の作製に際し、負極活物質の一次粒子の平均粒径が小さくなるほど負極集電体への負荷は大きくなる。このため、アルミニウム箔もしくはアルミニウム合金箔を負極集電体として用いると、プレス工程において集電体に破断が生じ、負極性能が低下する。ただし、前述した結晶粒子の平均径が50μm以下のアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔から負極集電体を作ることによって、その集電体の強度を向上できるために、一次粒子の平均粒径1μm以下の負極活物質を用いて負極を作製しても、そのプレス工程で集電体が破断されるのを回避して信頼性の向上、急速充電時および高出力放電時のサイクル特性の向上を図ることが可能になる。
導電剤は、例えば炭素材料を用いることができる。炭素材料は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛等を挙げることができる。
結着剤は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴムなどが挙げられる。
負極の活物質、導電剤および結着剤の配合比は、負極活物質80〜95重量%、導電剤3〜20重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
負極の集電体と電気的に接続されたリードは、純度99%以上のアルミニウムまたはアルミニウム合金から作られることが好ましい。特に、アルミニウムは純度が99.9%以上であることが好ましい。アルミニウム合金は、例えばMg,Fe,Siが総量で0.7重量%以下、残部が実質的にアルミニウムである組成を有することが好ましい。
リードは、厚さ100〜500μm、幅2〜20mmの柔軟性を有する箔または板であることが好ましい。このようなリードは、過放電状態での電解液中へ溶解反応せず、かつ長期間の振動においても断線することなく大電流を流すことができるため、二次電池の長期信頼性と高出力を維持することが可能になる。
負極端子は、例えばCu、Fe、Al、NiおよびCrの群から選ばれる少なくとも1つの金属から作られる。負極端子は、好ましくは銅もしくは他の金属成分を含む純度が99%未満であるアルミニウム合金から作られる。銅は抵抗が小さく好ましい。アルミニウム合金は、純度99%以上のアルミニウムまたはアルミニウム合金に比べて強度および耐食性を向上することが可能になる。前記金属成分のうち、Mg,Crはアルミニウム合金の耐食性をより向上し、Mn,Cu,Si,FeおよびNiはアルミニウム合金の強度をより向上する。
負極リードと負極端子の間に介在する導電膜は、負極リードと負極端子間で発生するジュール発熱で溶融するものであればいかなるものでもよい。導電膜は、例えばSn合金、Pd合金またはIn合金から作ることができる。このような導電膜で負極リードと負極端子間を接続することにより、それらの間に発生するジュール発熱で導電膜が溶融し、負極リードと負極端子の間の接合が解除される。
好ましい導電膜は、Snと少なくともZn、Pb、Ag、Cu、In、Ga、Bi、Sb、Mg、Alから選らばれる少なくとも一つ以上の金属成分を含有するSn合金から作られる。より好ましいSn合金は、融点が250℃以下で、例えばSn−Pb,Sn−Zn−Al合金,Sn−Zn−Bi合金,Sn−Ag−Cu合金などが挙げられる。
導電膜に用いられる合金(例えばSn合金)は、負極活物質をして炭素を含む従来の負極を用いた場合、電気化学的にリチウムと合金化するため負極リードと負極端子を電気的に良好に接続することが困難となる。実施形態に係る非水電解質二次電池は、リチウムの電極電位に対して0.4V以上の電位でリチウムイオンを吸蔵する活物質を有する負極を用いているため、前記合金からなる導電膜の使用において電気化学的にリチウムと合金化することなく、負極リードと負極端子を電気的に良好に接続することが可能になる。
前記導電膜、例えばSn合金膜は、以下の形態で負極リードと負極端子の間に介在される。
1)Sn合金膜は、Sn合金箔で、負極リードと負極端子の間に挟んで接合される。これら負極リード、Sn合金箔および負極端子の接合は、溶接、好ましくは超音波溶接によりなされる。
2)Sn合金膜は、負極リードの負極端子との接続部および前記負極端子の前記負極リードとの接続部の少なくとも一方に形成される。Sn合金膜の形成手段は、例えばめっき法またはスパッタ法を採用することができる。このような負極リードの接続部に形成されたSn合金膜は、負極端子と溶接、好ましくは超音波溶接により接合される。同様に、負極端子の接続部に形成されたSn合金膜は、負極リードと溶接、好ましくは超音波溶接により接合される。
超音波溶接は、負極リードおよび負極端子の材質をアルミニウムまたはアルミニウム合金にした場合、それらの部材とSn合金膜の接合が良好となって接続抵抗を低減することが可能になる。
Sn合金膜のような導電膜は、厚さが0.01mm以上1mm以下であることが好ましい。導電膜の厚さが1mmを超えると、溶融時間が長くなる虞がある。導電膜の厚さを0.01mm未満にすると、負極リードと負極端子の間での接合において機械的強度が低下する虞がある。
負極端子は、好ましくは外装容器に電気的に絶縁して取付けられる。このような形態において、正極端子は外装容器に一体的に形成され、正極リードの他端が外装容器を通して正極端子に電気的に接続されることが好ましい。このような構成において、過大電流が負極端子から流れ込んだ時(外部短絡時、並列接続組電池の内部短絡時)、負極端子と負極リード間および外装容器に直接接続された正極リードがジュール発熱を生じる。正極リードでのジュール発熱はこのリードが直接接続された比較的大きな面積の外装容器で生じるため、熱が拡散し易い。一方、負極端子と負極リード間でのジュール発熱は局所的に生じるため、熱が滞留する傾向がある。このため、ジュール発熱に伴う負極端子と負極リード間の熱影響は外装容器と正極リード間のそれに比べて非常に大きくなる。その結果、負極リードと負極端子間に介在した導電膜、例えばSn合金膜がより溶融し易い状況に置かれるため、負極リードと負極端子の接合が迅速に解除されて電流遮断なされ、温度上昇を速やかに緩和することが可能になる。
なお、正極リードを外装容器に電気的に直接接続する場合、正極リードは外装容器のいかなる位置にも接続することが可能である。
負極端子の形状は、直径3〜30mmのボルトであることが好ましい。
2)正極
正極は、正極集電体と、この正極集電体の片面もしくは両面に担持され、正極活物質、導電剤および結着剤を含む正極層とを有する。
集電体は、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔から作られ、前述した負極の集電体と同様に結晶粒子の平均径が50μm以下、より好ましくは、10μm以下であることが望ましい。このような結晶粒子の平均径が50μm以下のアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔は、強度を飛躍的に増大することができるため、正極活物質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を前記集電体に塗布、乾燥し、プレスを施して正極を作製する際、前記プレス圧を高くしても前記集電体の破断を防止できる。その結果、高密度の正極を作製することが可能となり、容量密度を向上することができる。
集電体は、20μm以下の厚さを有することが好ましい。
正極活物質は、酸化物、硫化物、ポリマーなどが挙げられる。
酸化物は、例えば二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24またはLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2)、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixCo1-y-zMnyNiz2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(LixMn2-yNiy4)、オリピン構造を有するリチウムリン酸(例えばLixFePO4,LixFe1-yMnyPO4,LixCoPO4)、硫酸鉄(Fe2(SO43)、バナジウム酸化物(例えばV25)などが挙げられる。なお、x,y,zは、特に記載がない限り、0〜1の範囲であることが好ましい。前記リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物は、特にその組成がLiaNibCocMnd2(但し、モル比a,b,cおよびdは0≦a≦1.1、0.1≦b≦0.5、0≦c≦0.9、0.1≦d≦0.5)で表されることが好ましい。
ポリマーは、例えばポリアニリンやポリピロールなどの導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料などが挙げられる。その他に、イオウ(S)、フッ化カーボンなども使用できる。
好ましい正極活物質は、電池電圧が高いリチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、リチウムリン酸鉄、層状結晶構造を有するリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物である。
導電剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
結着剤は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴムなどが挙げられる。
正極活物質、導電剤および結着剤の配合比は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜20重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
3)セパレータ
このセパレータは、例えばセルロースや合成樹脂製の不織布、ポリエチレン多孔質フィルム、ポリプロピレン多孔質フィルム、アラミド多孔質フィルムなどを挙げることができる。前記セルロースの不織布は、160℃以上の高温下でも収縮することがなく安定であるため好ましい。
4)非水電解質
この非水電解質としては、電解質を有機溶媒に溶解することにより調製される液状非水電解質、前記液状電解質と高分子材料を複合化したゲル状非水電解質、またはリチウム塩電解質と高分子材料を複合化した固体非水電解質が挙げられる。また、非水電解質はリチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)を使用してもよい。
前記液状非水電解質は、電解質を0.5〜3モル/Lの濃度で有機溶媒に溶解することにより調製される。
前記電解質としては、例えばLiBF4、LiPF6,LiAsF6,LiClO4,LiCF3SO3,LiN(CF3SO22,LiN(C25SO23C,LiB[(OCO)22から選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。これらの電解質の中でLiBF4は腐食性が高いものの、熱的、化学的安定性に優れ、分解し難い性質を有するために好ましい。
前記有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などの環状カーボネートや、ジエチレルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)などの鎖状カーボネートや、ジメトキシエタン(DME)、ジエトエタン(DEE)などの鎖状エーテルや、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソラン(DOX)などの環状エーテルや、γ-ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)、スルホラン(SL)等を挙げることができる。これらの有機溶媒は単独または混合物の形態で用いることができる。
前記高分子材料としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等を挙げることができる。
前記常温溶融塩(イオン性融体)は、リチウムイオン、有機物カチオンおよび有機物アニオンから構成され、100℃以下、場合によっては室温以下でも液体の状態になる。
5)外装容器
外装容器は、軽量化、耐食性の観点からアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属製容器であること好ましい。アルミニウムまたはアルミニウム合金は、結晶粒子の平均径が50μm以下、より好ましくは10μm以下であることが望ましい。このような結晶粒子の平均径を50μm以下のアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属製容器は、強度を飛躍的に増大できるため、肉厚を薄くすることができる。その結果、放熱性を向上できるため、電池温度の上昇を抑制できる。また、金属製容器の肉厚を薄くでき、収納される正極、セパレータおよび負極を有する電極群の体積を実効的に増大できるため、エネルギー密度の向上、これに伴う電池の軽量化および小型化も可能になる。これらの特徴は、高温条件、高エネルギー密度等が求められる電池、例えば車載用二次電池に好適である。
外装容器に用いられるアルミニウム合金は、Mg,MnおよびFeから選らばれる少なくとも一つの金属成分を含有することが好ましい。このようなアルミニウム合金からなる外装容器は、強度がさらに高められ、肉厚を0.3mm以下に薄くすることが可能になる。
実施形態に係る角型非水電解質二次電池において、例えば負極端子および正極端子はそれぞれ外装容器に電気的に絶縁して取付けてもよい。
次に、実施形態に係る角型非水電解質二次電池を図1〜図3を参照して具体的に説明する。
角型非水電解質二次電池20は、例えばアルミニウム合金からなる外装容器1を備えている。この外装容器1は、有底矩形筒状の金属缶2とこの金属缶2の上端開口部に例えばレーザ溶接により気密に接合された矩形板状の蓋体3とから構成されている。この蓋体3には、後述する負極端子を保持するための穴4がそれぞれ開口されている。
積層電極群5は、前記外装容器1の金属缶2内に収納されている。この積層電極群5は、図3に示すように九十九状に折り込んだセパレータ6の折り曲げ部に複数の負極7および正極8を交互に挿入して積層し、前記セパレータ6の端部を矩形柱状の積層物の外周側面を覆うように巻装した構造を有する。このような積層電極群5は、九十九状に折り込んだセパレータ6の面が上下端面になるように前記金属缶2内に挿入して収納される。絶縁板9は、前記金属缶2底部内面と前記積層電極群5の下端面の間に配置されている。非水電解質は、前記積層電極群5が位置する前記金属缶2内に収容されている。
両端に円板状の鍔を有する筒状絶縁部材10、前記蓋体3の穴4に嵌着されている。例えばボルト状の負極端子11は、前記筒状絶縁部材10にその頭部が金属缶2内に位置するように挿入され、そのねじ部が蓋体3から外部に突出されている。例えばアルミニウム合金からなるナット12は、前記負極端子11の突出したねじ部に図示しないアルミニウム合金からなるワッシャを介して螺合され、負極端子11を蓋体3に絶縁して固定している。前記負極端子11は、例えばMg,Cr,Mn,Cu,Si,FeおよびNiから選ばれる少なくとも一つ以上の金属成分を含有するアルミニウム純度が99重量%未満のアルミニウム合金から作られている。
例えばアルミニウム合金から作られる円柱状の正極端子13は、負極端子11と離間した蓋体3の上面に一体的に突出している。
複数の箔または板からなる負極リード14は、一端が積層電極群5の各負極7に例えば超音波溶接によりそれぞれ接続され、他端が集合して負極端子12の下端面にSn合金箔15を挟んで例えば超音波溶接により接続されている。複数の箔または板からなる正極リード16は、負極リード14と同様、一端が積層電極群5の各正極8に例えば抵抗溶接によりそれぞれ接続され、他端が集合して正極端子13に位置する蓋体3下面に例えば抵抗溶接により接続されている。負極リード14および正極リード16は、純度99重量%以上のアルミニウムまたは純度99重量%以上のアルミニウム合金から作られる。
なお、負極端子11は前記組成のアルミニウム合金から作る形態に限定されない。例えば、負極端子11は銅、鉄およびニッケルから選ばれる少なくとも1つの金属からなるボルト状の母材(端子本体)の外周全面にMg,Cr,Mn,Cu,Si,FeおよびNiの群から選らばれる少なくとも1つの金属成分を含有するアルミニウム純度が99%未満のアルミニウム合金層を被覆した構造、同ボルト状の母材(端子本体)のリード接続面(下端面)に同アルミニウム合金層を被覆した構造にしてもよい。
負極リード14と負極端子11との接続において、例えば図4に示すように予め負極端子11の負極リードとの接続部、つまり負極端子11下面にめっき法またはスパッタ法でSn合金膜17を形成し、負極リードをこのSn合金膜17を挟んで負極端子11に例えば超音波溶接により接続してもよい。また、負極端子11と負極リード14との接続において、例えば図5に示すように予め負極リード14の負極端子との接続部、つまり負極リード14の上端付近の面にめっき法またはスパッタ法でSn合金膜17を形成し、負極リード14をこのSn合金膜17を挟んで負極端子に例えば超音波溶接により接続してもよい。
なお、電極群は九十九折したセパレータの折り曲げ部に複数の負極および正極を交互に挿入して積層した構造にしたが、このような構造に限定されない。例えば、帯状の負極、正極間に帯状のセパレータを介在し、渦巻状に捲回した後、プレス成形した扁平渦巻状の構造を有する電極群にしてもよい。
次に、本発明の実施形態に係る組電池を説明する。
実施形態に係る組電池は、前述した角型非水電解質二次電池を複数接続した構造を有する。
前記二次電池の接続は、直列接続、並列接続、または直列と並列を組み合わせた接続を採用することができる。
このような実施形態に係る組電池を図6を参照して具体的に説明する。この組電池は、前述した図1、図2に示す複数、例えば5個の角型非水電解質二次電池20を一方向に隣接して配列し、それら二次電池の正負極の端子13,11を例えばCuからなる接続リード21〜24で相互に直列接続した構造を有する。左端の二次電池20の正極端子13は正極取り出しリード25が接続され、右端の二次電池20の負極端子11は負極取り出しリード26が接続されている。
以上、実施形態に係る角型非水電解質二次電池は、負極リードと負極端子とを負極リードと負極端子間で発生するジュール発熱で溶融する導電膜を介在して電気的に接続しているため、例えば過大電流が負極端子から流れ込んだ時(外部短絡時、並列接続組電池の内部短絡時)に導電膜を溶融して負極リードと負極端子の接合を解除して電流遮断がなされる。その結果、外装容器の内部温度の上昇を速やかに緩和することが可能になる。
特に、特定組成のSn合金膜は例えば過大電流が負極端子から流れ込んで負極リードと負極端子間が180〜220℃の範囲に発熱した時に溶融するため、前記負極リードと前記負極端子の接合を迅速に解除して電流遮断を達成できる。
このような負極リードと負極端子間で電流遮断機構を備えた非水電解質二次電池において、リチウムの電極電位に対して0.4V以上の電位でリチウムイオンを吸蔵する活物質を含む負極を用いることによって、負極リードと負極端子間に介在したSn合金膜のような導電膜がリチウムとの合金化反応により微紛化するのを抑制できるため、長期間の負極リードと負極端子の間での低抵抗接続、接続信頼性を保持することができる。
また、特定電位でリチウムイオンを吸蔵する活物質を有する負極を用いることによって、負極周りの集電体、リード、端子を低抵抗のアルミニウム(またはアルミニウム合金)で作っても、リチウムと合金化反応して微紛化するのを抑制できるため、それら部材間を低抵抗接続することが可能になる。
したがって、簡単な構造の電流遮断機構を有し、従来の保護回路を備えた電池に比べて小型化および低コスト化が可能で、かつ振動、衝撃を受けても負極リードと負極端子との接続部での断線を抑制した高い信頼性と負極周りの集電体、リード、端子の間の低抵抗接続により大電流特性の優れた非水電解質二次電池を提供できる。
さらに、前述した特性を有する複数の角型非水電解質二次電池を接続して組み合わせることによって、安全性、信頼性の高い組電池を提供できる。
以下、本発明の実施例を前述した図面を参照して説明する。なお、本発明の主旨を超えない限り、本発明は以下に掲載される実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<負極の作製>
活物質として一次粒子の平均径0.5μm、N2ガスによるBETの比表面積が20m2/gのチタン酸リチウム(Li4Ti512)と導電剤として平均粒子径4μmの炭素粉末と結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を重量比で90:7:3になるように配合し、n−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散してスラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μm、結晶粒子の平均径50μm、純度99%のアルミニウム合金箔(集電体)に塗布、乾燥、プレスし、さらに裁断して寸法55m×86mm、電極密度2.4g/cm3の負極を83枚作製した。幅5mm、長さ30mm、厚さ20μm、純度99.9%のアルミニウム箔からなるリードを前記負極の集電体の一端にそれぞれ超音波溶接により接合した。
<正極の作製>
活物質としてスピネル型リチウムマンガン酸化物(LiMn24)、導電剤として黒鉛粉末、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を重量比で87:8:5となるように配合し、n−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散してスラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μm、結晶粒子の平均径10μm、純度99%のアルミニウム合金箔(集電体)に塗布、乾燥、プレスし、さらに裁断して寸法56mm×87mm、電極密度2.9g/cm3の正極を84枚作製した。幅5mm、長さ30mm、厚さ20μm、純度99.9%のアルミニウム箔からなるリードを前記正極の集電体の一端にそれぞれ超音波溶接により接合した。
<蓋体の作製>
長さ約62mm、幅約13mm、厚さ0.5mmの寸法を有し、円柱状の正極端子が一体的に突出した蓋体を用意した。蓋体および正極端子は、Mg1.6、Mn1重量%、Fe0.4、残部が実質的にAlであるアルミニウム合金から作った。この蓋体に負極端子を保持するための穴を正極端子と離間して開口した。両端に円板状の鍔を有する筒状絶縁部材を前記穴に嵌着した。頭部の直径が5mmのボルト状負極端子を前記蓋体の筒状絶縁部材に挿入し、そのねじ部を頭部と反対側の蓋体側に突出させた。このねじ部にアルミニウム合金製のナットをアルミニウム合金製のワッシャを介して螺合することにより前記負極端子を筒状絶縁部材を介して蓋体に固定した。負極端子は、Mg1重量%、Si0.6重量%、Cu0.25重量%、残部が実質的にAlからなるアルミニウム合金から作った。前記ナットおよびワッシャは、Mg1重量%、Si0.6重量%、Cu0.25重量%、残部が実質的にAlの組成を有するアルミニウム合金から作った。
<二次電池の組立て>
九十九状に折り込んだ厚さ25μmのセルロース不織布からなるセパレータの折り曲げ部に前記リードが接合された83枚の負極および前記リードが接合された84枚の正極を交互に挿入して積層し、前記セパレータの端部を矩形柱状の積層物の外周側面を覆うように巻装することにより前述した図3に示す電極群5を作製した。この積層電極群をさらにプレス成形した後、有底矩形筒状体(矩形金属缶)内に挿入した。この金属缶は、Mg1.6重量%、Mn1重量%、Fe0.4重量%、残部が実質的にAlであるアルミニウム合金からなり、高さ95mm、長さ62mm、幅13mm、肉厚0.4mmの寸法を有する。つづいて、金属缶内に非水電解質としてリチウム塩のLiBF4をエチレンカーボネート(EC)とγ−ブチロラクトン(GBL)の混合溶媒(体積比1:2)に1.5モル/L溶解した電解質を注入した。ひきつづき、前記蓋体をその負極端子の頭部が前記金属缶の開口側に位置させ、金属缶内の積層電極群の各負極に接続したリードを束ねた先端にSn合金箔を挟み負極端子の頭部下面に超音波溶接すると共に、積層電極群の各正極に接続したリードの先端を前記正極端子の直下に位置する蓋体下面に集合して超音波溶接した。なお、Sn合金箔はSn−8wt%Zn−3wt%Biの組成を有し、融点が約200℃、厚さが50μmのものを用いた。その後、蓋体を金属缶の開口部に嵌合させ、蓋体の外周縁と金属缶の開口部とをレーザ溶接することにより、前述した図1および図2に示す高さ95mm、長さ62mm、幅13mm、放電容量4Ahの角型非水電解質二次電池を製造した。この二次電池は、1kHzの交流インピーダンスの抵抗値が1.5mΩであった。
(実施例2〜7)
下記表1に示す組成のSn合金、In合金と、同表1に示す組成の負極端子を用いた以外、実施例1と同様な構成の角型非水電解質二次電池を製造した。
(実施例8)
実施例1と同様な角型非水電解質二次電池を銅製の接続リードで5並列に接続することにより組電池を製造した。
(比較例1〜5)
負極リードと負極端子間に下記表1に示す金属箔を介在させるか、または介在させず、かつ同表1に示す組成の負極端子を用いた以外は、実施例1と同様な構成の角型非水電解質二次電池を製造した。
(比較例6)
比較例1と同様な角型非水電解質二次電池を銅製の接続リードで5並列に接続することにより組電池を製造した。
得られた実施例1〜7および比較例1〜5の角型非水電解質二次電池および実施例8および比較例6の組電池について、5mΩの外部抵抗に接続し外部短絡試験を行い、電池中央の表面の最高温度を測定した。その結果を下記表1に示す。
Figure 0005726954
前記表1から明らかなように、Sn合金、In合金を負極リードと負極端子の間に介在して接続した実施例1〜7の角型非水電解質二次電池は、負極リードと負極端子に介在したSn合金、In合金が溶解して電気的接続を解除するため、比較例1〜5の角型非水電解質二次電池に比べて電池中央の表面最高温度が120℃以下と低く、形状変化もなく外部短絡性能に優れていることがわかる。同様にSn合金を負極リードと負極端子の間に介在して接続した角型非水電解質二次電池を複数組合わせた実施例8の組電池は、比較例5の組電池に比べて電池中央の表面最高温度が130℃以下と低く、形状変化もなく外部短絡性能に優れていることがわかる。なお、比較例1〜5の二次電池および比較例6の組電池はいずれの膨れが顕著となった。
本発明によれば、負極リードと負極端子の間にSn合金膜のような負極リードと負極端子間で発生するジュール発熱で溶融する導電膜を介在させることによって、長期間の高温高湿環境、急速充電、過放電および高出力放電という条件下での過大電流が流れた時に導電膜を溶融して負極リードと負極端子間の接続を解除して電流遮断をなすことができるため、過剰発熱、熱暴走を緩和して安全性の高い電力貯蔵、非常用電源、アシスト自転車、電動スクータ、フォークリフト、電気自動車、ハイブリッド車、電車等の非水電解質二次電池および組電池を提供することができる。
1…外装容器、2…金属缶、3…蓋体、5…積層電極群、6…セパレータ、7…負極、8…正極、11…負極端子、13…正極端子、14…負極リード、15…Sn合金箔、16…正極リード、17…Sn合金膜、20…角型非水電解質二次電池、21〜24…接続リード。

Claims (7)

  1. 金属の外装容器;
    前記外装容器内に収納され、正極と、負極と、前記負極と前記正極の間に介在されたセパレータとを有する電極群;
    前記外装容器内に収納された非水電解質;
    前記正極および負極にそれぞれ電気的に接続されたリード;および
    前記外装容器に取り付けられ、前記各リードの他端にそれぞれ電気的に接続された端子;
    を備え、
    前記負極は、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔から作られる集電体と、この集電体の片面または両面に担持され、かつリチウムの電極電位に対して0.4V以上の電位でリチウムイオンを吸蔵する活物質を含む負極層を有し、
    前記負極リードは、アルミニウムまたはアルミニウム合金から作られ、
    前記負極リードと前記負極端子とは、導電膜を介在して電気的に接続し、
    前記導電膜は、外部短絡時または内部短絡時に前記負極リードと前記負極端子間で発生するジュール発熱で溶融し、かつ
    前記負極の活物質は、一次粒子の平均粒径が1μm以下であることを特徴する非水電解質二次電池。
  2. 前記導電膜は、Sn合金膜であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記Sn合金膜は、SnとZn、Ag、Cu、In、Ga、Sb、MgおよびAlから選らばれる少なくとも一つ以上の金属成分とを含有することを特徴とする請求項2記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記負極端子は、Cu、Fe、Al、NiおよびCrの群から選ばれる少なくとも1つ金属から作られることを特徴する請求項1〜3いずれか記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記負極端子は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から作られることを特徴する請求項1〜3いずれか記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記導電膜の厚さは、0.01mm以上1mm以下であることを特徴する請求項1〜5いずれか記載の非水電解質二次電池。
  7. 前記負極の活物質は、チタン含有金属酸化物であることを特徴する請求項1〜6いずれか記載の非水電解質二次電池。
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