最初に、本発明の実施の形態に係る情報処理システムについてその概略を説明する。ある組織やグループに属する人員である組織内人員は、それぞれセンサノードを装着している。センサノードは、赤外線送受信部、照度センサ、加速度センサ、音センサ、温度センサ等を備え、電池駆動により、センサノード単体でデータ収集および蓄積が可能に構成される。このセンサノードを組織内の各人員が装着する事により、組織内人員間の物理的対面に加え、各人員の居た場所や動きの活発度、そして発話の履歴等を検出することができる。以下では、センサノードを装着する人員をユーザと称する。物理的対面とは、お互いが程よい距離に接近してコミュニケーションを図ることを意味する。
ユーザが物理的対面をしている間、各ユーザに装着されるセンサノードは相互通信してお互いのセンサIDを取得するとともに、ユーザ間のコミュニケーションの量や緊密さを音センサや加速度センサ等によって検出することができる。また、各センサノードは、それらのセンサノードを装着するユーザ自身の行動評価を、当該ユーザの主観に基づいて入力可能に構成される。これらの詳細については後で説明する。
情報処理システムは、各センサノードから得られる上記検出結果およびユーザによる行動評価の入力結果をもとにユーザの行動の指標を導出する。あるユーザの行動の指標を導出するにあたり、そのユーザとつながりのある他のユーザの行動も参照される。導出された指標に基づいて表示コンテンツが生成され、ユーザが観視する表示装置に表示される。表示コンテンツとしては、ユーザの行動を日ごとに評価した結果の推移、今後行動するにあたって留意すべき点などがある。ユーザがこの表示内容を参考に行動することにより、ユーザ個人はもとより、そのユーザが属する組織全体としての生産性を高めることが可能となる。
− 第1の実施の形態 −
最初に、本発明が適用される情報処理システムの構成について説明する。本システムは、ビジネス顕微鏡(登録商標)と称される。ここで、ビジネス顕微鏡とは、人(ユーザ)が装着したセンサノードを用いてユーザの行動を観測し、ユーザ間の関係性と、当該ユーザの属する組織の状態を組織アクティビティとして可視化して示すことで組織の改善に役立てるためのシステムである。以下ではセンサノードで取得される、対面検出、行動、音声等に関するデータを組織ダイナミクスデータと総称する。
図1に、情報処理システムの概要を示す。図1を参照しての説明ではシステムの概略について触れ、後に他の図を参照して、システムを構成する個々の要素と、各要素間で行われる処理の流れについて詳細に説明する。ユーザ1〜ユーザ6(US1〜US6)は、組織に属する人員であり、ユーザ(US1〜US6)はそれぞれに対応してセンサノード1〜センサノード6(TR1〜TR6)を装着する。以下ではユーザおよびセンサノードを個々に識別する必要の無い場合、ユーザ(US)、センサノード(TR)と表記する。センサノード(TR)は、例えばバッジのような形態で胸元等に取り付け可能に構成される。あるいは、ストラップ等を用いて首から下げ、胸元に位置するようにしてもよい。
端末(TR)によって各ユーザ(US)の動きやユーザ間の交流(インタラクション)に関するセンサデータが取得される。このうち、インタラクションについては、ユーザ(US)同士が対面した際に、各ユーザ(US)に装着されるセンサノード(TR)間で赤外線信号を送受信することで対面が検出され、この対面の回数、頻度、時間等に基づいて取得される。
センサノード(TR)は、無線または有線で基地局(GW)と接続される。例えば、ユーザ(US)が組織内を移動しているときには基地局(GW)と無線により接続され、ユーザが自席に戻ってセンサノード(TR)をクレードル等に装着したときには無線および有線のいずれかにより基地局(GW)と接続される。
取得した組織ダイナミクスデータは、センサノード(TR)から基地局(GW)に送信され、ネットワーク(NW)を通じてセンサネットサーバ(SS)に格納される。センサネットサーバ(SS)は、格納したセンサデータを定期的に下処理し、二次データとして保管する。
アプリケーションサーバ(AS)は、センサネットサーバ(SS)から上記二次データを定期的に取得して解析を行い、相互作用評価結果を保管する。
クライアント(CL)は、閲覧者検出器(CLBD)とディスプレイ(CLOD)を備える。閲覧者検出器(CLBD)は、端末(TR)から発信されたユーザIDを含む赤外線情報を受信することで、ディスプレイを閲覧しているユーザ(US)を検出する。閲覧者を検出する方法は、赤外線センサ以外にも、無線送受信機やRFID、カメラによる顔認識などを用いてもよい。閲覧者が検出された場合、クライアント(CL)はアプリケーションサーバ(AS)に検出された閲覧者の情報(閲覧者情報)を送る。アプリケーションサーバ(AS)は、閲覧者情報で特定される閲覧者向けの情報を生成し、クライアント(CL)に返す。クライアント(CL)は、アプリケーションサーバ(AS)から受け取った情報をもとに、ユーザ(US)に提示するためのコンテンツデータを生成し、ディスプレイ(CLOD)上にコンテンツ(K)として表示する。コンテンツは、多くの場合画像であるが、動画やテキストデータ、音声データなど他のデータでもよい。
コンテンツ(K)中では、現在の閲覧者に関する部分が強調表示される。これによって、閲覧者が強い関心を持つであろう情報、もしくは閲覧者に関心を持ってもらいたい情報を優先的に気づかせることができる。また、閲覧者検出器(CLBD)を持たないクライアントである個人用クライアント(CP)にもコンテンツ(K)を表示可能である。この場合、個人用クライアント(CP)の所有主である特定のユーザ、図1の例ではユーザ3(US3)のIDを個人用クライアント(CP)に設定しておき、その情報をアプリケーションサーバ(AS)に送出する。アプリケーションサーバ(AS)からは、そのユーザに対応する情報が個人用クライアント(CP)に送信されてコンテンツが生成され、表示される。このとき、コンテンツ(K)を個人用クライアント(CP)に表示する際には、その個人用クライアント(CP)の所有主であるユーザが閲覧しているとみなして、そのユーザに関連する部分の表示を強調することも可能である。また、後の説明で明らかになるように、本システムではユーザ(US)によるコメントの入力と、入力されたコメントの表示も可能に構成される。コメントの入力を必要とする際には、個人用クライアント(CP)を用いて、ユーザ(US)が電子メールを送受信することもできる。つまり、コメント入力を求める通知をユーザ(US)は電子メールで受信し、その通知に応答してユーザ(US)はコメントを入力することもできる。
図2A、図2B、図2C、図2D、図2Eは、本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成を説明するブロック図である。図示の都合上、各構成要素は複数の図に分割して示してあるが、各々の図に示される構成要素は互いに連携して動作を行う。また、図内のそれぞれの機能はハードウェアまたはソフトウェア、あるいはその組み合わせによって実現されるものであり、必ずしも各機能ブロックがハードウェア実態を伴うとは限らない。さらに、各構成要素については、本システムが運用される組織の規模の大きさ等に応じて一部または全部の要素が複数台ずつ備えられていてもよい。あるいは、複数の要素による処理を一台の情報処理装置で行うようにしてもよい。本システムが運用される組織やグループとしては、オフィス、製造現場、研究機関、教育機関、医療施設、公共施設、商業施設等、様々なものが想定される。
情報処理システムは、センサノード(TR)、基地局(GW)、センサネットサーバ(SS)、アプリケーションサーバ(AS)、クライアント(CL)、診断サーバ(DS)、そして管理システム(AM)を備える。以下ではこれらの要素が独立して設けられるものとして説明する。各要素は、制御部、記憶部、送受信部を備える。各要素に備えられる制御部は、通常のコンピュータ等の処理部である中央処理部(Central Processing Unit:CPU、図示省略)などで構成され、記憶部は半導体記憶装置や磁気記憶装置等のメモリ装置で構成され、送受信部は有線・無線等のネットワークインターフェースを備えて構成される。その他、必要に応じて時計(RTC:Real Time Clock)等を備えている。
− アプリケーションサーバ(AS)−
図2Aに示すアプリケーションサーバ(AS)は、センサネットサーバ(SS)から受信した組織ダイナミクスデータを解析及び処理する。図2Bに示すクライアント(CL)から要求が発せられたとき、又は、設定された時刻に自動的に、あるいは手動にて、組織ダイナミクスデータを解析および処理する解析アプリケーションが起動する。
アプリケーションサーバ(AS)は、送受信部(ASSR)、記憶部(ASME)及び制御部(ASCO)を備える。
送受信部(ASSR)は、図2Cに示すセンサネットサーバ(SS)及び図2Bに示すクライアント(CL)との間で通信を行い、情報の送受信を行う。具体的には、送受信部(ASSR)は、クライアント(CL)から送られてきたコマンドを受信する。送受信部(ASSR)はまた、組織ダイナミクスデータの出力を要求する信号をセンサネットサーバ(SS)へ随時送信する。この要求に応じてセンサネットサーバ(SS)から出力された組織ダイナミクスデータを送受信部(ASSR)は受信する。そして、クライアント(CL)からのコマンドに応じてアプリケーションサーバ(AS)内で解析した結果を、送受信部(ASSR)はクライアント(CL)に送信する。
記憶部(ASME)は、ハードディスク、メモリ、SDメモリカード(登録商標)等のリムーバブルストレージ装置等を備えて構成される。記憶部(ASME)は、解析のための設定条件、解析アルゴリズム及び解析結果を格納する。具体的には、記憶部(ASME)は、ユーザ/場所情報データベース(D)、有効性判定データベース(E)、基本特徴量データベース(F)、相互要素データベース(G)、評価係数データベース(H)、相互作用評価結果データベース(I)、解析アルゴリズム(L)を格納する。
ユーザ/場所情報データベース(D)は、ユーザの氏名、属性、ユーザIDなどの各ユーザ個人の情報と、ユーザが属する組織内における他のユーザとの関連性に関する情報と、会議室、応接室、喫煙室、ラウンジなどの場所の情報とが格納されているデータベースである。ユーザの属性としては、組織が企業であれば職位とすることが可能である。組織が学校であれば教師、学生などとすることが可能である。ユーザ/場所情報データベース(D)に格納される情報の例については後で図6A、図6Bを参照して説明する。
有効性判定データベース(E)は、アプリケーションサーバ(AS)で組織ダイナミクスデータを解析した結果の有効性を判定する際のよりどころとなる、観測要素、判定内容(判定の指針)等の情報を格納するデータベースである。有効性判定データベース(E)に格納される情報の例については後で図8を参照して説明する。
基本特徴量データベース(F)は、基本特徴量(CA1A)で組織ダイナミクスデータを分析した結果を格納するデータベースである。基本特徴量データベース(F)に格納されるデータについては後で図7A、図7Bを参照して説明する。
相互要素データベース(G)は、指標抽出(CA1C)で組織ダイナミクスデータを分析した結果を格納するデータベースである。相互要素データベース(G)に格納されるデータについては後で図9を参照して説明する。
評価係数データベース(H)は、相互作用評価(CA2A)で相互作用の指標を求める際に参照される評価係数、式を格納しているデータベースである。評価係数データベース(H)に格納されるデータについては後で図10を参照して説明する。
相互作用評価結果データベース(I)は、相互作用評価(CA2A)で分析して得られた相互作用の指標を格納するデータベースである。相互作用評価結果データベース(I)に格納されるデータについては後で図11A、図11B等を参照して説明する。
解析アルゴリズム(L)には、組織ダイナミクスデータの解析に際して用いられるプログラムが格納されている。クライアント(CL)からの依頼に従って、適切なプログラムが選択され、制御部(ASCO)で実行されて組織ダイナミクスデータの解析が行われる。
制御部(ASCO)は、中央処理部、すなわちCPU(図示省略)を備え、記憶部(ASME)に格納されたプログラムを実行することによってデータの送受信の制御及びセンサデータの解析を行う。具体的には、通信制御(ASCC)、組織相互作用評価(CA)の処理がCPUによって実行される。
通信制御(ASCC)は、センサネットサーバ(SS)及びクライアント(CL)との間で行われる有線又は無線による通信の制御をする。通信制御(ASCC)はさらに、データの形式変換、及び、データの種類別に行き先を振り分ける処理を行う。
組織相互作用評価(CA)は、相互要素抽出(CA1)と、相互作用評価解析(CA2)と、クライアントアクセス(CA3)とを備える。組織相互作用評価(CA)は、取得した組織ダイナミクスデータをもとに、組織相互作用を考慮しつつ、組織やキーパーソン等のメンバーの行動を解析する処理を行う。組織相互作用とは、組織内における人と人との関係に基づく作用を意味する。会社内の組織を例に説明すると、上司と部下、つまり、指示を出す人と、指示を受けて行動する人との間の相互作用と考えることができる。この場合、上司がキーパーソンとなる。ある組織の中において、キーパーソンは、組織内の他のメンバーに影響を及ぼしながら行動をする。したがって、キーパーソンの行動を解析する際に、キーパーソンの影響を受けて行動する人の動きも参照することにより、キーパーソンそのものの行動をより的確に解析することが可能となる。解析した結果は、相互作用評価結果データベース(I)に逐次格納される。
相互要素抽出(CA1)は、基本特徴量(CA1A)と、有効性(CA1B)と、指標抽出(CA1C)と、関係性選択(CA1D)とを備える。これらの構成要素が以下に説明する処理を行うことにより、相互要素抽出(CA1)は、センサネットサーバ(SS)から二次データに加工された組織ダイナミクスデータを入力して処理し、生成されたデータを相互要素データベース(G)に格納する。
基本特徴量(CA1A)は、センサネットサーバ(SS)から二次データに加工された組織ダイナミクスデータを定期的に入力して処理し、基本特徴量を導出する。導出した基本特徴量は、図7A、図7Bを参照して後で説明する対面テーブル(FA)、身体リズムテーブル(FB)に格納される。
有効性(CA1B)は、基本特徴量(CA1A)によって生成された基本特徴量について、有効性判定データベース(E)で特定される判定内容(判断基準)に照らして、有効なデータであるか否かを判定する処理を行う。
指標抽出(CA1C)は、有効性(CA1B)で「有効」と判定されたデータについて、組織相互作用を考慮した解析を行い、後で図9を参照して説明する自立性要素テーブル(GA)、スピード要素テーブル(GB)に格納する要素を抽出する。
関係性選択(CA1D)は、指標抽出(CA1C)での処理に際して、ユーザ/場所情報データベース(D)内の、図6Bに例示される関連性リスト(DC)にアクセスして組織内の人員(ユーザ)間の関係を規定する情報を参照する。そして、関係性のあるユーザを選択する。
以上に説明した相互要素抽出(CA1)の処理については後で図5を参照して再度説明する。
相互作用評価解析(CA2)は、相互要素抽出(CA1)によって抽出された要素(データ)が格納された、相互要素データベース(G)内の自立性要素テーブル(GA)およびスピード要素テーブル(GB)を参照し、組織内の人員や、その人員をとりまとめるキーパーソン等の行動の指標を導出する。
相互作用評価(CA2A)は、上記相互要素抽出(CA1)で抽出された情報が格納される相互要素データベース(G)を参照し、解析対象の組織内人員およびキーパーソンの行動の指標を求める。このとき、相互作用評価(CA2A)は、評価係数データベース(H)内の、図10に例示される評価係数データベース(HA)から読み出した評価係数、式を用いて行動の指標を導出する。導出結果は、相互作用評価結果データベース(I)内の、図11A、図11Bに例示される部下自立性指標テーブル(IA)、部下スピード指標テーブル(IB)、上司自立性指標テーブル(IC)、上司スピード指標テーブル(IE)に格納される。
クライアントアクセス(CA3)は、要素選択(CA3A)と、Webサーバ(CA3B)とを備える。これらの要素選択(CA3A)、Webサーバ(CA3B)が以下に説明する動作を行うことにより、クライアント(CL)からの要求に基づいて、データが相互作用評価結果データベース(I)から抽出されてクライアント(CL)側に提供される。
要素選択(CA3A)は、クライアント(CL)からの要求に対応する情報を相互作用評価結果データベース(I)から抽出する処理を行う。Webサーバ(CA3B)は、クライアント(CL)からのアクセスを制御する処理を行なう。クライアント(CL)は、Webサーバ(CA3B)に要求を送信し、要求に対応する情報はWebサーバ(CA3B)からクライアント(CL)に送信される。
− 管理システム(AM)および診断サーバ(DS) −
図2Aにおいて、ネットワーク(NW)に接続されている管理システム(AM)および診断サーバ(DS)について、説明する。診断サーバ(DS)は、システムが正常に動作しているか診断を行う。管理システム(AM)からの依頼を受け、又は、設定された時刻に自動的に、診断アプリケーションが診断サーバ(DS)上で起動する。管理システム(AM)は、システムの診断結果や状態を表示する機能を有し、システム管理者とのインターフェースとして機能する。
− クライアント(CL) −
図2Bに示すクライアント(CL)は、ユーザとの接点として機能する。クライアント(CL)は、入出力部(CLIO)、送受信部(CLSR)、記憶部(CLME)及び制御部(CLCO)を備える。
入出力部(CLIO)は、ユーザインターフェースとして機能する部分である。入出力部(CLIO)は、閲覧者検出器(CLBD)、ディスプレイ(CLOD)、キーボード(CLIK)及びマウス(CLIM)等を備える。必要に応じて外部入出力(CLIU)に他の入出力装置を接続することもできる。
閲覧者検出器(CLBD)は、図2Eに示すセンサノード(TR)から発信されたユーザIDを含む赤外線信号を受信することで、ユーザがディスプレイを閲覧していることを検知し、閲覧している個々のユーザを特定する。閲覧しているユーザを特定する方法としては、赤外線センサを用いて赤外線信号を受信する以外に、無線送受信機やRFID、バーコードリーダ等を用いてユーザIDを取得してもよい。あるいは、カメラや他のセンサ等を用いて顔認識や生体認証等を行い、ユーザを個々に特定してもよい。また、キーボード(CLICK)やマウス(CLIM)等をユーザが操作してパスワードやユーザIDを入力するようにしてもよい。
ディスプレイ(CLOD)は、CRT(CATHODE-RAY TUBE)又はフラットパネルディスプレイ等の画像表示装置である。ディスプレイ(CLOD)は、プリンタ等を含んでもよい。
送受信部(CLSR)は、アプリケーションサーバ(AS)との間でデータの送信及び受信を行う。具体的には、送受信部(CLSR)は、解析条件(CLMP)をアプリケーションサーバ(AS)に送信し、解析結果をアプリケーションサーバ(AS)から受信する。
記憶部(CLME)は、ハードディスク、メモリ又はSDメモリカードのようなリムーバブルストレージ装置等を備えて構成される。記憶部(CLME)は、解析条件(CLMP)及び描画設定情報(CLMT)等の、描画に必要な情報を記録する。記憶部(CLME)にはまた、制御部(CLCO)のCPU(図示省略)によって実行されるプログラムが記憶される。
解析条件(CLMP)は、ユーザから設定された解析対象のメンバーの数及び解析方法の選択等の条件を記録する。解析条件(CLMP)にはまた、閲覧者検出器(CLBD)で検出されたユーザのユーザIDも記憶される。描画設定情報(CLMT)は、表示画面中のどの位置に何を描画するかといった表示レイアウト等に関する情報を記憶する。
制御部(CLCO)は、CPU(図示省略)を備え、通信の制御、クライアント(CL)の前に居るユーザ(US)による解析条件の入力、及び、解析結果をクライアントユーザ(US)に提示するための描画処理等を実行する。具体的には、CPUは、記憶部(CLME)に格納されたプログラムを実行することによって、通信制御(CLCC)、解析条件設定(CLIS)、描画設定(CLTS)、表示処理(J)を実行する。
通信制御(CLCC)は、有線又は無線によってアプリケーションサーバ(AS)との間で行われる通信のタイミングを制御する。また、通信制御(CLCC)は、データの形式を変換し、データの種類別に転送先を振り分ける。
解析条件設定(CLIS)は、ユーザから入出力部(CLIO)を介して指定される解析条件を受け付け、記憶部(CLME)の解析条件(CLMP)に記録する。ユーザにより設定される解析条件としては、解析に用いるデータの期間、メンバー、解析の種類及び解析のためのパラメータ等がある。クライアント(CL)は、これらの解析条件に対応する解析をするのに必用なデータをアプリケーションサーバ(AS)に要求する。この要求に対応してアプリケーションサーバ(AS)からクライアント(CL)にデータが出力される。クライアント(CL)では、アプリケーションサーバ(AS)から受信したデータが解析され、解析結果を表示するために描画設定(CLTS)が実行される。
描画設定(CLTS)は、解析条件(CLMP)に基づいて解析結果を表示する方法を決定する。描画設定(CLTS)ではまた、文字情報や図表等の画像をディスプレイ(CLOD)上に表示する際の表示位置を導出する。この処理の結果は、記憶部(CLME)の描画設定情報(CLMT)に記録される。
表示処理(J)は、アプリケーションサーバ(AS)から取得した解析結果と、描画設定情報(CLMT)に記憶される情報とにもとづいて表示用の画像を生成する。表示処理(J)が描画設定情報(CLMT)に基づいて生成する表示用の画像は、図1に例示されるコンテンツ(K)である。また、図3Dには、リーダー表示コンテンツ(KA)がリーダー指標コンテンツ生成(JA)によって生成される例が示されるが、このリーダー指標コンテンツ生成(JA)は表示処理(J)に含まれる。表示処理(J)はまた、表示されている人物の氏名等の属性に関する情報も必要に応じて表示画面上に表示するように動作可能である。
表示処理(J)で生成された表示画像は、ディスプレイ(CLOD)等の出力装置を介してユーザ(US)に提示される。例えば、ディスプレイ(CLOD)には、図3Dに示されるリーダー指標コンテンツ(KA)の様な画面が表示される。マウスやタッチパネル等のポインティングデバイスを操作することによって、ユーザ(US)は画面上の表示位置を調整することもできる。個人用クライアント(CP)もまた、以上に説明したクライアント(CL)と同様の構成を備えることが可能である。そして、個人用クライアント(CP)のユーザに対応するコンテンツを個人要クライアント(CP)の表示装置上に表示可能に構成される。
− センサネットサーバ(SS)、基地局(GW)およびセンサノード(TR) −
図2Cに示されるセンサネットサーバ(SS)、図2Dに示される基地局(GW)、図2Eに示されるセンサノード(TR)の内部構成については、米国特許出願公開第2008/0297373号明細書、特開2008−301071号公報、特願2010−180408号に詳しく開示されているので説明を省略する。
図3A、図3B、図3C、図3Dを参照し、本発明の一実施の形態としてのビジネス顕微鏡システムにおいて実行される処理の全体の流れを説明する。図示の都合上、分割して示してあるが、各々の図に示されたそれぞれの処理は相互に連携して行われる。図3Aは、センサノード(TR)で取得されセンサデータや、ユーザ(US)による入力操作に基づくデータを主体とした情報の流れを示す。図3B、図3Cは、センサネットサーバ(SS)で行われる組織ダイナミクスデータ収集(B)で収集されたデータが格納されるパフォーマンステーブル(BB)、データテーブル(BA)を、それぞれ示す。図3Dは、センサノード(TR)で取得された組織ダイナミクスデータがセンサネットサーバ(SS)を介してアプリケーションサーバ(AS)に送られ、組織相互作用評価(CA)で解析された結果がクライアント(CL)に送られてリーダー指標コンテンツ生成(JA)が行われてリーダー指標コンテンツ(KA)が生成されるまでの処理の流れを概略的に示す。
図3Aを参照し、複数のセンサノード(TR1、TR2、…、TR6)のそれぞれで行われる組織ダイナミクスデータ取得(A)について説明する。ここではセンサノード1(TR1)で行われる組織ダイナミクスデータ取得(A)について説明する。
センサノード(TR)は、以下に説明するセンサやスイッチ等によってセンシングやユーザによる入力操作を受け付け可能に構成される。これらのセンサによるセンシング結果と、ユーザによるスイッチの入力操作の結果得られるデータとを本明細書では組織ダイナミクスデータと総称する。センサノード(TR)は、赤外線送受信器(AB)、加速度センサ(AC)、マイク(AD)、温度(AE)等のセンサ類を備える。図3Aに示されるセンサは一部であり、その他のセンサについては図2Eに示される。
図3Aに示されるセンサの機能についてのみ、ここで簡単に説明する。加速度センサ(AC)は、センサノード(TR)の加速度(すなわち、センサノード(TR)を装着しているユーザ(US)の加速度)を検出する。赤外線送受信器(AB)は、他のセンサノード(TR)との間で赤外線通信を試み、センサノード(TR)が他のセンサノード(TR)と対面している状態を検出する。つまり、赤外線通信に成功するということは、センサノード(TR)が他のセンサノード(TR)と対向していることを意味し、それはセンサノード(TR)を装着した人物が、他のセンサノード(TR)を装着した人物と対面していると云うことを意味する。マイク(AD)は、センサノード(TR)の周囲の音を、温度(AE)は、センサノード(TR)の周囲の温度を検出する。これらのセンサによる検出動作は、検出する物理量に適した形態で連続的、あるいは断続的に行われる。例えば加速度センサ(AC)やマイク(AD)からの信号は比較的短いサンプリング周期で検出動作を行い、温度(AE)からの信号は比較的長いサンプリング周期で検出動作を行うことが可能である。
表示装置(LCDD)上には、各センサで検出された結果が表示される。図3Aでは、赤外線送受信機(AB)で得られた対面情報を示す表示(AG)が行われる例が示されている。図3Aの例では、現在の日時、バッテリ残量、温度、センサノード(TR)の動作ステータス(Beep off)に加えて、所定の時間の間で対面が検出された相手の名前と対面回数とが対面履歴として表示される例が示される。
センサノード(TR)はまた、ボタン1〜3(BTN1〜BTN3)を備える。これらのボタン1〜3(BTN1〜BTN3)を表示装置(LCDD)の近傍に設け、各ボタン(BTN1〜BTN3)に対応する機能を表示装置(LCDD)上に表示することにより、これらのボタン(BTN1〜BTN3)にさまざまな入力機能を割り当てることができる。
本例では、これらのボタン(BTN1〜BTN3)に「正味」、「気づき」、「感謝」の入力機能を割り当てるものとする。以下ではこれらの入力機能が割り当てられたボタンをボタン(AF)と総称し、これらのボタンを個別に参照する場合には正味ボタン(AFA)、気づきボタン(AFB)、感謝ボタン(AFC)と称する。ボタン(AF)としては、図2Eに示されるボタン1〜3(BTN1〜BTN3)を用いるだけでなく、表示装置(LCDD)の表示部上にタッチパネルを設けてユーザ操作を検出するようにしてもよい。ホタン(AF)は、センサノード(TR)を装着するユーザの主観的な視点からの入力を行なうためのものである。これらの正味(AFA)、気づき(AFB)、感謝(AFC)の各ボタンは、以下のように操作される。
センサノード(TR)は、正味ボタン(AFA)の操作を求める要求をユーザ(US)に対して発する。要求を発するタイミングは、ランダムに設定される。あるいは、定期的に要求が発せられるようにしてもよい。センサノード(TR)から正味ボタン(AFA)の操作を求める要求が発せられた時点で、仕事が進んでいる、あるいは自らにとって価値のある仕事ができた時間であると感じられるとき、ユーザ(US)は「正味」を肯定する操作をする。一方、長い会議に参加して自身の発言が少なかったり、よい結論が導き出せていないと感じられたりする場合、あるいは仕事がうまく進んでいると感じられない場合、ユーザ(US)は「正味」を否定する操作をする。あるいは、正味ボタン(AFA)の操作をしないことにより「正味」を否定することが可能である。正味ボタン(AFA)はまた、ユーザ(US)が会議を終えた後のタイミング等において、ユーザ(US)自ら操作することも可能である。
気づきボタン(AFB)は、ユーザ(US)が業務等に従事しているときに、何かよいアイデアがひらめいたときや、何かに気づいたときに、その時点でユーザ(US)が操作する。
感謝ボタン(AFC)は、ユーザ(US)が組織内の他のメンバーの言動、アドバイス、協力等に感謝の念を抱いたときに、その都度ユーザ(US)が操作する。
センサノード(TR)はさらに、ユーザインターフェースを備えており、ユーザ(US)操作によるレイティング入力(AA)を可能とする。このユーザインターフェースは一例として、表示装置(LCDD)と、この表示装置(LCDD)の表示部上に設けたタッチパネルとによって構成可能である。図3Aでは、「Social」、「Intellectual」、「Spiritual」、「Physical」、「Executive」の五項目について1から5の五段階評価で入力する例が示されている。これらの評価の入力は、正味ボタン(AFA)と同様、センサノード(TR)から入力要求が発せられたときにユーザ(US)が入力する。あるいは業務の区切りがついたときにユーザが自発的に入力するようにしてもよい。センサノード(TR)においてユーザ(US)操作によるレイティング入力(AA)を受け付ける処理を行うのがパフォーマンス入力(C)である。
上記の各項目は、以下に説明する観点からユーザ(US)自身により評価される。すなわち、「Social」は、「人」であり、他のメンバーと協力、共感して仕事をすることができたかの評価である。「Intellectual」は「知」であり、思考を巡らして良いアイデアや気づきを得ることができたかの評価である。「Spiritual」は「心」であり、感謝、誠実、志を持つことができたかの評価である。「Physical」は「体」であり、業務時間外に十分な休養、栄養、運動を取ることができているかの評価である。そして、「Executive」は、「行」であり、行うべきことを行動に移すことができたか、そして遂行することができたかの評価である。
センサノード(TR)は、センサで検出して得られたデータ(センサデータ)と、上記のボタン(AF)、ユーザインターフェース(AA)を介してユーザ(US)により入力された結果とを組織ダイナミクスデータとして所定の間隔で無線によって基地局(GW)に送信する。このとき送信されるデータには、センシングが行われた時刻と、センシングを行ったセンサノード(TR)に固有の識別子(センサID)が付加される。このセンサIDに代えて、あるいはセンサIDに加えて、ユーザIDが付加されてもよい。また、データが上記ユーザ操作によるものである場合、ユーザ操作の行われた時刻がデータに付加される。
データを送信する際の時間間隔は、センサでセンシング動作が行われる際の時間間隔と同じであってもよいし、それよりも大きい時間間隔であってもよい。このとき、センシング動作が行われる際の時間間隔よりも長い時間間隔でデータ送信動作を行う(複数回のセンシング動作につき1回のデータ送信動作が行われるようにする)事により、センサノード(TR)の電力消費を抑制することが可能となる。結果として、センサノード(TR)の一充電あたりの可使用時間を延ばすことが可能となる。また、各センサノード(TR)でセンシングが行われる際には、全てのセンサノード(TR)において、同一のタイミングでセンシングが行われることが、後工程で行われる解析のためには望ましい。例えば、複数のユーザ(US)間の、時間経過を追っての動きの相関を解析する、といったことが容易となる。
センサノード(TR)と基地局(GW)との間で接続が確立できない場合には、センサノード(TR)の記憶部(STRG)にデータを纏め送りデータ(CMBD)として蓄積しておき(図2E)、基地局(GW)との接続が再開したとき、あるいはセンサノード(TR)が充電クレードルに設置されたときや外部電源(EPOW)の接続が検出されたときに、データを無線通信または有線通信によって纏め送りするようにしてもよい。
図3B、図3Cを参照し、センサネットサーバ(SS)の組織ダイナミクスデータ収集(B)で収集されたデータが格納されるパフォーマンステーブル(BB)、データテーブル(BA)について説明する。各センサノード(TR)からセンサネットサーバ(SS)に、基地局(GW)を介して送信された組織ダイナミクスデータはセンサネットサーバ(SS)の組織ダイナミクスデータ収集(B)で収集されて分類、加工され、二次データとして記憶部(SSME)に記憶される。このとき、データは、図3Bに示されるパフォーマンステーブル(BB)、図3Cに示されるデータテーブル(BA)に分けて格納される。
パフォーマンステーブル(BB)、データテーブル(BA)のいずれにも、組織ダイナミクス収集(B)で収集した時間順に従って格納される。例えば、あるセンサノード(TR)で組織ダイナミクスデータが取得されたものの、センサノード(TR)と基地局(GW)との間で接続を確立(本明細書ではこれをアソシエイトと称する)することができない場合、データは後で纏め送りされる場合がある。そのような場合、データは、当該データを取得した時間の順序には従わずにパフォーマンステーブル(BB)、データテーブル(BA)に格納されることになる。
まず、図3Bに示されるパフォーマンステーブル(BB)について説明する。パフォーマンステーブル(BB)には、センサノード(TR)のパフォーマンス入力(C)で検出された、ユーザ(US)によるレイティング入力(AA)の結果(BBC、BBD、BBE、BBF、BBG)がユーザID(BBA)、取得日時(BBB)、センサID(BBH)、格納日時(BBI)とともに格納される。図3Bの表中、列方向(縦方向)に並ぶ一連のデータが一つのセンサノード(TR)から1回のタイミングで送出される1セットのデータに対応する。つまり、図3Bには、3セット分のデータがパフォーマンステーブル(BB)に格納される様子が例示されている。
ユーザID(BBA)は、センサノード(TR)を装着するユーザ(US)を一意に特定可能な情報である。取得日時(BBB)は、各センサノード(TR)でレイティング入力(AA)が行われた日時を示す。Social(BBC)、Intellectual(BBD)、Spiritual(BBE)、Physical(BBF)、Executive(BBG)の各情報はユーザ(US)によるレイティング入力(AA)の結果を示す。センサID(BBH)は、当該情報を送信したセンサノード(TR)を一意に特定可能な情報である。格納日時(BBI)は、情報をパフォーマンステーブル(BB)に格納した日時を示す。
図3Cを参照してデータテーブル(BA)について説明する。データテーブル(BA)には、センサノード(TR)に備えられる各センサによる検出結果(BAD、BAE、BAF、BAG、BAH)と、ユーザ(US)によるボタン(AF)の操作結果(BAI、BAJ、BAK、BAL)とがユーザID(BAA)、取得日時(BAB)、基地局(BAC)、センサID(BAL)、格納日時(BAM)、チェッカフラグ(BAN)とともに格納される。図3Bに示されるのと同様、図3Cの表中、列方向(縦方向)に並ぶ一連のデータが一つのセンサノード(TR)から1回のタイミングで送出される1セットのデータに対応する。
ユーザID(BAA)、取得日時(BAB)、センサID(BAL)、格納日時(BAM)は、図3Bを参照して説明したユーザID(BBA)、取得日時(BBB)、センサID(BBH)、格納日時(BBI)と、それぞれ同様であるので説明を省略する。基地局(BAC)は、各センサノード(TR)のデータが、どの基地局(GW)を経由して送られてきたかを特定可能な情報である。加速度センサ(BAD)は、三次元方向の加速度を検出可能な加速度センサ(AC)において例えば20ミリ秒(=1/50Hz)のサンプリング周期で例えば10秒間に検出された加速度の値(50×10×3=1,500セット)を含む。つまり、毎秒50回の計測が10秒間、三次元方向について行われると1,500セットの値が生成される。赤外線センサ(BAE)は、例えば10秒の間に検出された赤外線信号から検出された対面相手のIDと、検出された対面の回数とを含む。
音センサ(BAF)は、マイク(AD)において例えば0.125ミリ秒(=1/8,000Hz)のサンプリング周期で例えば10秒間に検出された音の強度(振幅)の値を含む。あるいは、このようにして得られた音声データがセンサノード(TR)内でFFT(Fast Fourier Transform)処理されて、例えば10秒間における周波数スペクトルの推移等が抽出され、その情報を音センサ(BAF)が含んでいてもよい。温度センサ(BAG)は、ユーザ(US)の居る環境の温度を例えば10秒間に1回計測した結果を含む。照度センサ(BAH)は、ユーザ(US)の居る環境の照度を例えば0.5秒のサンプリング周期で例えば10秒間に検出した結果の平均値や最頻値等を求めたものとすることが可能である。
気づき(BAI)、感謝(BAJ)、正味(BAK)はそれぞれ、例えば10秒の間におけるボタン(AF)のユーザ操作の有無を検出した結果を示す。あるいは、ユーザ(US)の操作した日時や回数を示すものであってもよい。チェッカフラグ(BAN)は、各センサノード(TR)においてデータが取得されているか否かを判定するためのフラグである。例えば、各センサ(TR)での検出結果が変化に乏しい場合等、ユーザ(US)がセンサノード(TR)を装着していないことが予想される場合にチェッカフラグ(BAN)として例えば1がセットされる。この場合、そのセンサノード(TR)のデータは「Null」に置き換えられる。
図3B、図3Cを参照して以上に説明したパフォーマンステーブル(BB)、データテーブル(BA)は一例であり、各センサで検出された値ごと、ユーザ(US)による入力操作ごとに分けて情報が格納されてもよい。例えば、照度センサのデータであれば、ユーザID、センサIDに続き、取得日時、格納日時、センサ検出結果からなる三つの情報が順次配列されるように情報が格納されてもよい。
図3Dは、以上で説明したパフォーマンステーブル(BB)、データテーブル(BA)をアプリケーションサーバ(AS)が参照して組織相互作用評価(CA)を行う際の情報の流れを示す。図3Dはまた、アプリケーションサーバ(AS)で組織相互作用評価(CA)を行った結果がクライアント(CL)に送られて、クライアントでリーダー指標コンテンツ(KA)が生成されるまでの情報の流れを示す。個々の処理については後で詳しく説明するので、ここでは簡単に説明をする。
組織ダイナミクスデータ収集(B)によって生成されたパフォーマンステーブル(BB)、データテーブル(BA)のうち、以下ではデータテーブル(BA)が参照される例について説明する。
データテーブル(BA)には、多くのユーザ(US)のデータが格納されている。組織要素抽出(CA1)は、これらのデータについて、ユーザ/場所情報データベース(D)を参照した結果に基づいて分類する。分類された情報は、基本特徴量データベース(F)に格納される。基本特徴量データベース(F)に格納されるデータとしては、個々のユーザ(US)について、センサノード(TR)に備えられるセンサ中の一つから得られたデータを、1分、5分と云った時間分解能で区切って、一日分を並べたようなものとすることができる。このようにデータが整理されることにより、例えば同じ職場に属するユーザA、ユーザBの行動の関連性を解析することが容易となる。
有効性判定データベース(E)には、基本特徴量データベース(F)に格納されている個々のデータの有効性を判定する際の判定基準が格納されている。相互要素抽出(CA1)は、有効性判定データベース(E)を参照した結果に基づいて、基本特徴量データベース(F)に格納される個々のデータについて有効性を判定する。相互要素抽出(CA1)は、有効性ありと判定されるデータを、予め定められた観測要素(この観測要素については後で図4A、図4Bを参照して説明する)に基づいて解析する。解析結果は、相互要素データベース(G)に格納される。
相互作用評価(CA2A)は、相互要素データベース(G)に格納されるデータと、評価係数データベース(H)に格納される評価係数とに基づき、特定のユーザ(US)の相互作用を評価する。ここで、特定のユーザとは、クライアント(CL)から送出される閲覧者情報で特定されるユーザである。相互作用評価(CA2A)は、この評価結果を相互作用評価結果データベース(I)に格納する。
クライアントアクセス(CA3)の要素選択(CA3A)は、クライアント(CL)からの要求に基づき、必要な情報を相互作用評価結果データベース(I)から抽出する。この情報はWebサーバ(CA3B)を経由してクライアント(CL)に送出される。
リーダー指標コンテンツ(JA)は、アプリケーションサーバ(AS)から送出された情報を用いてリーダー指標コンテンツ(KA)を生成し、ディスプレイ(CLOD)に表示する等の形態でクライアント(CL)の近傍に居るユーザ(US)にコンテンツを提示する。
以下では、組織に属するユーザ(US)の行動を解析して生成されるコンテンツの一つとして、リーダー指導コンテンツが生成される場合を例にとり、説明をする。リーダー指導コンテンツは、リーダーによって統率される組織が機能するようになるためにリーダーのとるべき行動を指導するコンテンツである。
図4A、図4Bは、上記のリーダー指導コンテンツの生成に際して必要となるデータを抽出するため、基本特徴量データベース(F)に格納されるデータを相互要素抽出(CA1)で解析するときに参照される観測要素を概念的に示す図である。図4Aには、組織に「自立性」を生むために必要なリーダー行動モデルに基づく観測要素である観測要素Aが示されている。図4Bには、組織に「スピード」を生むために必要なリーダー行動モデルに基づく観測要素である観測要素Bが示されている。
図4A、図4Bには、各行動モデルを構成する構成要素が示され、各構成要素に対応する評価値を得るために観測する実際の行動が観測要素として示されている。図4A、図4Bに示されるリーダー行動モデルは一例であり、組織の形態等に応じて様々なモデルを作成可能である。このようなモデルを作成する際に、相関分析や共分散構造分析等を用いることが可能である。
図4Aを参照し、組織に「自立性」を生むリーダー行動モデル(M1)について説明する。組織に「自立性」を生む行動モデルは、「深い対話の場づくり(量)」、「建設的な対話の場づくり(質)」、「部下のコミュニケーション負荷の制御」の三つの構成要素を有する。つまり、これらの三つの構成要素に対応する評価結果が改善方向に向かって変化するとき、組織に「自立性」が醸成されつつあり、リーダーとして望ましい行動が行われていると評価される。図4Aにおける、組織に「自立性」を生むリーダー行動モデルに対応する評価値を得る際には、「深い対話の場作り(量)」、「建設的な対話の場作り(質)」、「部下のコミュニケーション付加の制御」それぞれの評価値に重み付けをして加算する。その具体例については後で図10を参照して説明する。
図4Aにおいて、「深い対話の場作り(量)」に対応する観測要素は、<リーダー>部下との対面時間、<部下>部署の相手一人あたりの対面時間および<部下>N 個人作業の安静率である。これら三つの観測要素に対応する評価値に基づいて「深い対話の場づくり(量)」に関する評価値が導出される。
「建設的な対話の場づくり(質)」に対応する観測要素は、<リーダー>部下との双方向率、<部下>N 上司へのピッチャー比率、<部下>N 部署内へのピッチャー比率、<部下>部署内の平均双方向率である。これら四つの観測要素に対応する評価値に基づいて、「建設的な対話の場づくり(質)」に関する評価値が導出される。
「部下のコミュニケーション負荷の制御」に対応する観測要素は、<部下>N 部署内との対面時間×人数と<部下>N 週あたりの部署内対面人数である。これら二つの観測要素に対応する評価値に基づいて、「部下のコミュニケーション負荷の制御」に関する評価値が導出される。
上記の九つの観測要素に共通する事項の意味について説明する。<リーダー>とは、ある組織に属するユーザ(US)のうち、リーダーの属性を有するユーザ(US)の組織ダイナミクスデータが参照されることを意味する。<部下>とは、ある組織に属するユーザ(US)のうち、部下の属性を有するユーザ(US)の組織ダイナミクスデータが参照されることを意味する。記号Nは負の相関を示している。つまり、組織ダイナミクスデータから導出される値が大きくなるほど、観測要素の寄与率が減少する(構成要素に対してネガティブに作用する)ことを意味する。
ここでは一日の組織ダイナミクスデータが集められて処理されるものとして、図4Aに示される観測要素について上から順に説明をする。<リーダー>部下との対面時間は、リーダーであるユーザ(US)が、組織内の部下である各ユーザ(US)と一日の中でどれだけ長く対面したかが観測要素となることを意味する。<部下>部署の相手一人あたりの対面時間は、部下である個々のユーザ(US)が、部署内のひとり一人とどれだけ落ち着いて密接な対面をしたかが指標となることを意味する。一日の中で、組織内の複数の相手と対面する可能性があるので、この指標は、一日の中で最も長く対面した相手との対面時間、あるいは、複数の対面相手それぞれとの対面時間の最頻値、平均値、中央値等に対するものとすることが可能である。<部下>N個人作業の安静率は、組織内の部下であるユーザ(US)がどれだけ安静状態にあったかが負の相関の観測要素となることを意味する。
<リーダー>部下との双方向率は、リーダーであるユーザ(US)と部下であるユーザ(US)との間で行われたコミュニケーション量に対する、双方向のコミュニケーションが行われた量の比率が観測要素となることを意味する。ここでコミュニケーションの方向は、例えば人物Aと人物Bとの間でコミュニケーションが行われているものとして、人物A、人物Bの発言量のバランスに基づいて導出される。両者が交互に発言を交わし、その発言量のバランスがとれている場合、双方向のコミュニケーションが行われているとみなすことができる。
例えば、人物Aと人物Bとの対面が検出されているときに検出される人物A、人物Bの発言の長さをそれぞれA、Bで表すと、(A−B)/(A+B)が0に近いほど、双方向率はより高いと評価される。また、(A−B)/(A+B)が1に近づくほど、人物Aから人物Bに向けての発言が多いと評価される。このようなコミュニケーションを、野球のピッチャーとキャッチャーとの間の関係になぞらえて表現すると、(A−B)/(A+B)が1に近づくほど、人物Aのピッチャー比率は高いと評価される。あるいは、人物Bのキャッチャー比率が高いと評価することも可能である。
<部下>N上司へのピッチャー比率は、組織内の部下であるユーザ(US)とリーダーであるユーザ(US)との間のコミュニケーションにおける部下のピッチャー比率の高さが負の相関の観測要素となることを意味する。<部下>N部署内へのピッチャー比率は、組織内の部下である第1のユーザ(US)と、組織内の同じく部下である第2のユーザ(US)との間のコミュニケーションにおける第1のユーザのピッチャー比率の高さが負の相関の観測要素となることを意味する。<部下>部署内の平均双方向率は、組織内の部下である複数のユーザ(US)の間で行われるコミュニケーションの双方向率の平均が観測要素となることを意味する。
<部下>N部署内との対面時間×人数は、組織内の部下であるユーザ(US)の間で行われた対面と、対面に関わったユーザ(US)の人数との積が負の相関の観測要素となることを意味する。<部下>N週あたりの部署内対面人数は、直近の一週間の間に組織内の部下であるユーザ(US)の間で行われた対面に関わった人の延べ人数が負の相関の観測要素となることを意味する。
図4Bを参照し、組織に「スピード」を生むリーダー行動モデル(M2)について説明する。組織に「スピード」を生む行動モデルは、「リーダーが外を動かす」、「リーダーによる部下のドライブ」、「リーダー自ら手を動かす」の三つの構成要素を有する。つまり、これらの三つの構成要素に対応する評価結果が改善方向に向かって変化するとき、組織に「スピード」が醸成されつつあり、リーダーとして望ましい行動が行われていると評価される。図4Bにおける、組織に「スピード」を生むリーダー行動モデルに対応する評価値を得る際には、「リーダーが外を動かす」、「リーダーによる部下のドライブ」、「リーダー自ら手を動かす」それぞれの評価値に重み付けをして加算する。その具体例については後で図10を参照して説明する。
図4Bにおいて、「リーダーが外を動かす」に対応する観測要素は、<リーダー>外出時間である。この観測要素に対応する評価値に基づいて、「リーダーが外を動かす」に関する評価値が導出される。「リーダーによる部下のドライブ」に対応する観測要素は、<部下>週次の上司との対面日数、<部下>部署内の一人あたりの対面日数、<部下>N個人作業時の安静率である。これら三つの観測要素に対応する評価値に基づいて、「リーダーによる部下のドライブ」に関する評価値が導出される。「リーダー自ら手を動かす」に対応する観測要素は、<リーダー>個人作業時の安静率である。この観測要素に対応する評価値に基づいて、「リーダー自ら手を動かす」に関する評価値が導出される。
図4Aについて説明したときの前提と同様に、一日の組織ダイナミクスデータが集められて処理されるものとして、図4Bに示される五つの観測要素について上から順に説明をする。<リーダー>外出時間は、リーダーであるユーザ(US)の外出時間が観測要素となることを意味する。外出時間は、例えば、リーダーであるユーザ(US)にセンサノードが装着されていない時間(例えば業務時間中の時間帯に加速度センサ(AC)で動きが検出されない時間)等をもとに推定することが可能である。あるいは、出張届け等の業務データが格納されるデータベースを参照することにより外出時間を導出してもいし、ユーザ(US)自身によって外出時間が入力されてもよい。
<部下>週次の上司との対面日数は、直近の一週間において、組織内の部下であるユーザ(US)がリーダーであるユーザ(US)との対面の延べ時間数を日単位で表したものが観測要素となることを意味する。このとき、24時間を一日とみなしても、一日の標準的な稼働時間、たとえば8時間を基準として日数を導出してもよい。例えば、直近の一週間の延べ時間数が20時間であるとき、20を8で除して、2.5日とすることが可能である。<部下>部署内の一人あたりの対面日数は、直近の一週間における、組織内の部下である個々のユーザ(US)の対面時間の積算値の平均を日単位で表したものが観測要素となることを意味する。時間から日への換算に際しては、先に説明したのと同様、24時間を一日とみなしても、一日の標準的な稼働時間相当分を一日とみなしてもよい。<部下>N個人作業時の安静率は、組織内の部下であるユーザ(US)がどれだけ非活発的であったかが負の相関の観測要素となることを意味する。
<リーダー>個人作業時の安静率は、組織内のリーダーであるユーザ(US)がどれだけ安静状態にあったか、つまり、どれだけリーダーが自ら手を動かして業務に集中していたかが観測要素となることを意味する。
以上、図4A、図4Bを参照して説明した観測要素A、観測要素Bは、アプリケーションサーバ(AS)中の解析アルゴリズム(L)に組み込まれている。基本特徴量データベース(F)に格納されるデータを相互要素抽出(CA1)で解析する際に、これらの観測要素A、観測要素Bを参照する。相互要素抽出(CA1)が基本特徴量データベース(F)に格納されるデータを解析し、生成したデータは、後で図9を参照して説明する相互要素データベース(G)内の自立性要素テーブル(GA)、スピード要素テーブル(GB)に格納される。
次に、アプリケーションサーバ(AS)の相互要素抽出(CA1)内で行われる処理の手順について図5を参照して説明する。図5は、相互要素抽出(CA1)で行われる、相互要素データベース(G)に格納するデータを抽出する処理の手順を説明する図である。
相互要素抽出(CA1)の処理は、大きく分けて二つの処理からなる。一つは定常的に行われる処理で、基本特徴量を抽出する処理である。もう一つは、クライアント(CL)から閲覧者情報が送られてきたときに行われる要素テーブル生成処理である。図5において、センサデータ(CA11)、基本特徴量(CA12)が基本特徴量を抽出する処理であり、図2Aに示される基本特徴量(CA1A)で行われる処理に相当する。それ以外の処理が要素テーブル生成処理であり、図2Aに示される有効性(CA1B)、指標抽出(CA1C)、関係性選択(CA1D)で行われる処理に相当する。
CA11では、センサデータの抽出が行われる。各センサノード(TR)から送信される組織ダイナミクスデータは基地局(GW)を介してセンサネットサーバ(SS)で受信され、データテーブル(BA)、パフォーマンステーブル(BB)に格納されることは図3A、図3B等を参照して既に説明した。CA11では、データテーブル(BA)、パフォーマンステーブル(BB)から必要なデータを抽出する処理である。
基本特徴量(CA12)では、センサデータ(CA11)で抽出されたデータから、ユーザ(US)ごとの一日分の基本特徴量を抽出して基本特徴量データベース(F)に格納する処理が行われる。CA11、CA12の処理は、一日の中で随時行われてもよいし、一日の終わりや設定された時刻等にまとめて行われるようにしても良い。
図7A、図7Bには、基本特徴量データベース(F)に格納されるデータテーブルの例として対面テーブル(FA)、身体リズムテーブル(FB)が示される。図7A、図7Bに例示されるテーブル中では列方向(縦方向)に001、002、003、…のユーザIDが配列される。そして、行方向には各ユーザIDに対応する一日分のデータが格納される。図7A、図7Bに示される例では、ある日に対応するデータとして1分の時間分解能、5分の時間分解能でまとめられたものが別のテーブル(FA3、FA4、FA4、FB3、FB4、FB6)として生成されている。このように、日ごとに異なる時間分解能でまとめられたテーブルを別テーブルとして格納しておくことにより、後処理で必要となるデータを、再抽出処理等を行う必要なしに、即座に読み出すことが可能となる。
一般に、組織に属する人員はグループ分けされて与えられた職務を遂行する。例えば企業であれば、その企業には事業部、事業所、部、課、係などといった区分けがなされて、その中で形成されるグループのいずれかに各ユーザ(US)は所属して日々の業務を遂行する。基本特徴量(CA12)では、組織ごとに各ユーザ(US)を区分けし、上述した処理を行う。つまり、図7A、図7Bに例示されるテーブル(FA3、FA4、FA4、FB3、FB4、FB6)は、日ごとに異なる時間分解能で纏められるのに加えて、一つのテーブルには一つの組織に属するユーザ(US)のデータが格納される。このようにすることにより、所与のグループに属するユーザ(US)の情報を抽出して解析等をするような場合に、情報へのアクセスが容易となり、処理を高速化することが可能となる。
図7Aに示される対面テーブル(FA)には、所定の時間帯の中で検出された対面(対面人数および対面相手のユーザID)に関する情報が、1ユーザの一日分の情報を1レコードとして格納される。例示される対面テーブル(FA3)では、ユーザID001、002、003に対応して1分ごとに一日分の対面検出結果が記録される。つまり、図7Aに示される例では、2011年7月26日の0時00分から始まる1分間、0時01分から始まる1分間、…というように時間を区切り、最終的にはその日の23時59から始まる1分間の間に検出された対面が記録される。
対面テーブル(FA3)中、「未装着」とあるのは、センサノード(TR)が基地局(GW)との通信が可能な状態にあるけれども、センサノード(TR)から出力される組織ダイナミクスデータの推移等から、当該センサノード(TR)をユーザ(US)が装着していないと推定されることを意味する。また、対面テーブル(FA3)中、「不明」とあるのは、センサノード(TR)の装着を判断できないことを意味する。例えば、センサノード(TR)の故障、電池切れ、基地局(GW)との通信可能範囲外への持ち出し等があると、「不明」となる。対面テーブル(FA)には、各ユーザ(US)に対応する対面データが時系列に配列されているので、あるユーザ(US)と別のユーザ(US)との間の対面状況を相互に参照することが容易となる。
図7Bに示される身体リズムテーブル(FB)には、所定の時間帯の中で検出された身体リズム、すなわち加速度センサ(AC)で検出されたユーザ(US)の動きに関する情報が格納される。例示される身体リズムテーブル(FB3)では、ユーザID001、002、003に対応して1分ごとに一日分の身体リズム検出結果が記録される。対面テーブル(FA)と同様、1ユーザの一日分の対面情報を1レコードとして格納されている。身体リズムテーブル(FB3)中に記載されている数値の単位は、本例ではHzであるものとする。本例では、2011年7月26日の0時00分から始まる1分間、0時01分から始まる1分間、…というように時間を区切り、最終的にはその日の23時59から始まる1分間の間に検出された身体リズムが記録される。
身体リズムテーブル(FB3)中、「未装着」、「不明」とあるのは、図7Aを参照して説明したものと同じである。身体リズムテーブル(FB)には、各ユーザ(US)に対応する身体リズムデータが時系列に配列されているので、あるユーザ(US)と別のユーザ(US)との間で身体リズムの時間的推移を比較することが容易となる。例えば、複数のユーザ(US)の間で対面が検出されているものとして、これらのユーザ(US)の身体リズムが互いに呼応しているかのような様相を呈しているとき、活発なコミュニケーションが行われているものと推定することが可能となる。
図5を参照しての説明に戻り、センサデータ(CA11)および基本特徴量(CA12)での処理により、図7A、図7Bに例示されるデータが基本特徴量データベース(F)内に日々格納される。基本特徴量データベース(F)に格納されるデータとしては、図7A、図7Bに例示されるものに限られない。すなわち、センサネットサーバ(SS)のデータテーブル(BA)、パフォーマンステーブル(BB)に格納される組織ダイナミクスデータの中から、任意のデータを抽出して、図7A、図7Bに例示されるものとは異なるデータテーブルを生成することが可能である。
閲覧者情報取得(CA13)は、クライアント(CL)から送信された閲覧者情報を受信する。閲覧者情報は、クライアント(CL)のディスプレイ(CLOD)の近傍に位置するユーザ(US)のユーザIDを含む。以下では閲覧者情報に含まれるユーザIDが002、003、004であり、002のユーザIDが割り当てられるユーザ(US)は、003、004のユーザIDが割り当てられているユーザ(US)の共通の上司であるものとして説明をする。また、002、003、004のユーザIDが割り当てられるユーザを以下ではユーザ002、ユーザ003、ユーザ004とそれぞれ称する。つまり、ユーザ002は、ユーザ003、ユーザ004の共通の上司であるものとして以下の説明をする。
ユーザID表(CA14)では、アプリケーションサーバ(AS)のユーザ/場所情報データベース(D)にアクセスして、閲覧者情報に含まれるユーザIDで特定されるユーザ、本例ではユーザ002、ユーザ003、ユーザ004の職位に関する情報を取得する。
図6A、図6Bは、ユーザ/場所情報データベース(D)中に格納されるデータテーブルの例を示す。これらのうち、ユーザID表(DA)は、ユーザIDと氏名やチーム名などの情報を関連付けるためのテーブルである。ユーザID表(DA)には、一つの組織、本例では「海山商事」という会社名(DA7)の企業に属するユーザ(US)のユーザID(DA1)、ユーザ名(DA2)、チーム名(DA3)、職位(DA4)、組織(DA5)、開始日付(DA6)が登録されている。このうち、チーム名(DA3)は、ユーザ(US)の所属する組織の名前、または組織名を特定可能な情報が登録される。職位(DA4)には、各ユーザ(US)に割り当てられる職務上の役割、本例では担当、課長、部長等またはそれらを特定可能な情報が登録される。
組織(DA5)には、各ユーザ(US)が属する組織の名称、または組織名を特定可能な情報が登録される。開始日時(DA6)は、ユーザID表(DA)に情報を登録した日を特定可能な情報が登録される。あるいは、人事異動等によって新たなユーザ(US)が配属されることが事前に判っている場合には、当該ユーザ(US)の情報を事前に登録しておき、開始日付(DA6)に人事発令日を登録することができる。組織から出る予定のユーザ(US)が存在する場合も同様である。
場所ID表(DB)は、場所IDと場所名と赤外線IDとを関連付けるためのテーブルである。図6Aに示す例では、場所ID表(DB)は、場所ID(DB1)、場所名(DB2)、赤外線ID(DB3)、開始日時(DB4)が登録される。ここでの説明の前提として、職場内の要所に赤外線ビーコンが設置されているものとする。例えば、会議室Aには011、012の赤外線IDを発する赤外線ビーコンが設置されているものとする。ユーザ(US)が会議室Aに入室すると、ユーザ(US)が装着するセンサノード(TR)と赤外線ビーコンとの間で赤外線通信が行われる。センサノード(TR)にはそのときの履歴が記憶される。一つの場所に複数の赤外線ビーコンが設置される場合、センサノード(TR)が赤外線通信を行った赤外線ビーコンのIDから、ユーザ(US)がその場所内のどこに位置していたかを後で推定することも可能となる。
場所ID(DB1)には、個々の場所に割り当てられるIDが登録される。場所名(DB2)には、それぞれの場所に付与されている名称、またはその名称を特定可能な情報が登録される。赤外線ID(DB3)には、それぞれの場所に設置されている赤外線ビーコンに割り当てられている固有のIDが登録されている。上述したように、一つの場所に複数の赤外線ビーコンが設置される場合があるので、一つの場所に対応して登録される赤外線ID(DB3)は複数の赤外線ID情報を含む場合がある。開始日時(DB4)は、赤外線ビーコンの運用が開始された日を特定可能な情報が登録される。図6Aに例示される場所ID表(DB)では、赤外線ビーコンの設置されない場所は「特定場所以外」とされ、場所IDとして00Fが割り当てられている。以上では、各場所に赤外線ビーコンが設置されるものとして説明をしたが、電波や超音波等を用いてビーコンとセンサノード(TR)との間で通信が行われるようにしてもよい。
図6Bに示される関連性リスト(DC)には、組織に属する複数のユーザ(US)間の関連性を特定可能な情報が登録される。図6Bでは、関連性リスト(DC)として上司部下の関連性リスト(DC1)が登録される例が示される。上司部下の関連性リスト(DC1)は、ある組織における上司と部下の組み合わせを特定可能とするリストであり、関連性ID(DC11)、部下ユーザID(DC12)、上司(リーダー)ユーザID(DC13)が登録される。関連性ID(DC11)は、関連性リスト(DC)に登録される関連性それぞれに対して付与されるIDであり、関連性を識別する際に用いられる。部下ユーザID(DC12)は、組織内における部下としてのユーザ(US)のユーザIDである。上司(リーダー)ユーザID(DC13)は、部下ユーザID(DC12)で特定されるユーザ(US)の上司にあたるユーザ(US)のユーザIDである。
ある組織に属するユーザ(US)がどのような職位を有するかを特定する必要があるときには、図6Aに例示されるユーザID表(DA)が参照される。また、複数のユーザ(US)間の関連性を特定する必要があるときには図6Bに例示される上司部下の関連性リスト(DC1)が参照される。
ユーザ(US)間の関連性を参照することにより、リーダー指標コンテンツを作成していく上で、上司の分析を行う際に部下のセンサデータも活用することができる。以上では上司部下の関連性リスト(DC1)によって上司部下の関連性について特定する例について説明したが、他の関連性を特定できるようにしてもよい。例えば、上司部下の関連性に、さらにその上司の上司を追加することも可能である。また、ある業務が遂行される際の担当者間の関連性や、顧客と営業担当との関連性を特定することもできる。さらに、教育機関等における指導者と被指導者、医療機関における医師、看護師、患者の間の関連性など、組織の形態に応じて様々な関連性を定義しておき、分析に際してそれらの関連性を参照することが可能である。
図5を参照しての説明に戻り、ユーザID表(CA14)の処理においては、図6Aに例示されるユーザID表(DA)にアクセスして、閲覧者情報に含まれるユーザIDで特定されるユーザ、本例ではユーザ002、ユーザ003、ユーザ004の職位に関する情報が取得される。そして、特定の職位を有するユーザが抽出される。本例では、「担当者」の職位を有するユーザ003、ユーザ004が抽出され、CA15、CA16、CA17で行われる以降の処理においてはユーザ003、ユーザ004のデータに対して処理が行われる。
有効性判定(CA15)では、図7A、図7Bに例示される基本特徴量データベース(F)中から、閲覧者情報で特定されるユーザ(US)、本例ではユーザ003、ユーザ004の、所定の期間に対応するデータ、すなわち基本特徴量が抽出される。そして、抽出されたデータに対して有効性判定の処理が行われる。有効性判定の処理は、抽出されたデータの有効性について判定を行う処理である。
例えば、センサデータ量が少ないと分析の精度が低下することが予想される。これに対応して、抽出されたセンサデータの蓄積率(実際に抽出されたデータ量の、本来得られるべきデータ量に対する比率)に基づいて有効性を判定することができる。また、何らかの原因によって、組織内の一部の人員のセンサデータしか得られない状況が発生した場合、抽出されるセンサデータの有効性が低下する場合がある。このような場合に対応して、組織内におけるセンサデータの収集率(データを得ることができた人員数の、組織構成人員数に対する比率)に基づいて有効性を判定することができる。また、各ユーザ(US)に装着されるセンサノード(TR)の仕様が異なっていて、各センサノード(TR)で計測可能な物理量が異なっている、あるいは同じ物理量は計測可能であるものの、特性が異なっているということも生じうる。そのような場合には、図4A、図4Bを参照して説明した観測要素それぞれに対応して有効性の判定基準を設定することが望ましい。
有効正判定(CA15)の処理に際し、相互要素抽出(CA1)は、図8に例示される有効性判定データベース(E)を参照する。この有効性判定データベース(E)には有効性判定テーブル(EA)が格納される。有効性判定テーブル(EA)中、有効判定ID(EA1)は、判定要素の識別をするためのIDである。観測要素(EA2)は、図4A、図4Bを参照して説明した観測要素のいずれかを特定する情報である。判定内容(EA3)は、観測要素(EA2)で特定される観測要素について有効性を判定する際の判定基準(判定方法)を定義する情報を含む。この判定基準は、例えば判定対象のデータの収集状況に基づいて定められる。
図8には二つの例が示されている。一つは、「<リーダー>部下との対面時間」に対応するデータに関して、あるユーザ(US)のデータの収集量が基準に達していない週についてはそのユーザ(US)のデータを用いない、というものである。もう一つは、「<リーダー>部下との対面時間」に対応するデータに関して、ユーザの属するグループにおいてセンサノード(TR)の装着率が2割以下の日のデータは使用しない、というものである。CA15で行われる有効性判定の処理は、解析の精度を向上させるための処理である。状況によっては、有効性判定処理の結果、後処理で必要となるデータを十分に確保することができない場合もある。そのような場合、精度は問わずに解析結果を見たい、といった要望にも応えられるように、CA15の有効性判定の処理をする/しないの選択をすることが可能に構成されることが望ましい。
関連性リスト(CA16)では、ユーザID表(CA14)の処理で抽出されたユーザ(US)に共通して関連性を有するユーザ(US)を特定する処理が行われる。このときに、図6Bに示される関連性リスト(DC)が参照される。本例では、図6Bに例示される上司部下の関連性リスト(DC1)が参照されて、ユーザ003、ユーザ004に共通する上司(ユーザ002)が特定される。その結果は有効性判定(CA18)の処理で参照される。
有効性判定(CA18)では、図7A、図7Bに例示される基本特徴量データベース(F)中から、関連性リスト(CA16)で特定されるユーザ(US)、本例ではユーザ002の、所定の期間に対応するデータ、すなわち基本特徴量が抽出される。そして、抽出されたデータに対して有効性判定の処理が行われる。有効性判定の処理は、CA15の処理で説明したものと同様である。
要素1(CA17)では、有効性判定(CA15)で抽出され、有効性ありと判定されたデータ(基本特徴量)に対して、図4A、図4Bに例示される観測要素A、観測要素Bに基づく解析処理が行われる。本例ではユーザ003、ユーザ004の基本特徴量に対して解析処理が行われる。このとき、本例では観測要素A、観測要素B中で<部下>と記されている観測要素に基づく解析処理が要素1(CA17)で行われる。
要素2(CA19)では、有効性判定(CA18)で抽出され、有効性ありと判定されたデータ(基本特徴量)に対して、図4A、図4Bに例示される観測要素A、観測要素Bに基づく解析処理が行われる。本例ではユーザ002の基本特徴量に対して解析処理が行われる。このとき、本例では観測要素A、観測要素B中で<リーダー>と記されている観測要素に基づく解析処理が要素2(CA19)で行われる。
要素テーブル(CA20)においては、要素1(CA17)、要素2(CA19)での解析処理結果をもとにデータテーブルを生成して相互要素データベース(G)中に格納する処理が行われる。本例では図4A、図4Bに示されるように、組織に自立性、スピードを生むという観点で解析が行われる。その結果、図9に例示されるような自立性要素テーブル(GA)、スピード要素テーブル(GB)が生成される。
図9の自立性要素テーブル(GA)について説明する。部下ユーザID(GA1)は、部下の属性を有する解析対象ユーザ(本例ではユーザ003、ユーザ004)のユーザIDである。以下では部下の属性を有する解析対象ユーザを部下ユーザと称する。上司ユーザID(GA2)は、上司の属性を有する解析対象ユーザ(本例ではユーザ002)のユーザIDである。以下では上司の属性を有する解析対象ユーザを上司ユーザと称する。日付(GA3)は、解析対象のデータが収集された日付である。
<リーダー>部下との対面時間(GA4)、<部下>部署の相手一人あたりの対面時間(GA5)、<部下>N 個人作業の安静率(GA6)、<リーダー>部下との双方向率(GA7)、<部下>N 上司へのピッチャー比率(GA8)、<部下>N 部署内へのピッチャー比率(GA9)、<部下>部署内の平均双方向率(GA10)、<部下>N 部署内との対面時間×人数(GA11)、そして<部下>N 週あたりの部署内対面人数(GA12)は、図4Aに示す観測要素A中の各観測要素に対応する評価結果である。
<リーダー>部下との対面時間(GA4)、<部下>部署の相手一人あたりの対面時間(GA5)の単位は分、<部下>N 個人作業の安静率(GA6)の単位は%である。<リーダー>部下との双方向率(GA7)、<部下>N 上司へのピッチャー比率(GA8)、<部下>N 部署内へのピッチャー比率(GA9)、<部下>部署内の平均双方向率(GA10)は、1を最大値とする比率である。また、<部下>N 部署内との対面時間×人数(GA11)の単位は分・人、そして<部下>N 週あたりの部署内対面人数(GA12)の単位は分である。
スピード要素テーブル(GB)について説明する。部下ユーザID(GB1)は、部下ユーザのユーザIDである。上司ユーザID(GB2)は、上司ユーザのユーザIDである。日付(GB3)は、解析対象のデータが収集された日付である。なお、スピード要素テーブル(GB)には、直近の一週間に収集されたデータを解析した結果も含まれるが、当該の一週間のうち、最後の日が日付(GB3)に対応する。
<リーダー>外出時間(GB4)、<部下>週次の上司との対面日数(GB5)、<部下>部署内の一人あたりの対面日数(GB6)、<部下>N 個人作業時の安静率(GB7)、そして<リーダー>個人作業時の安静率(GB8)は、図4Bに示す観測要素B中の各観測要素に対応する評価結果である。
<リーダー>外出時間(GB4)の単位は時間、<部下>週次の上司との対面日数(GB5)の単位は日、<部下>部署内の一人あたりの対面日数(GB6)の単位は日、そして<部下>N 個人作業時の安静率(GB7)、<リーダー>個人作業時の安静率(GB8)の単位は%である。
以上では、図4A、図4Bに例示される、組織に「自立性」を生むリーダー行動モデル、組織に「スピード」を生むリーダー行動モデルに基づき、相互要素データベース(G)に自立性要素テーブル(GA)、スピード要素テーブル(GB)が生成されて格納される例について説明したが、これらは一例である。つまり、観測要素が変われば自立性要素テーブル(GA)、スピード要素テーブル(GB)の構成も変わる。また、本システムが運用される組織が変われば作成されるモデルも変わり、相互要素データベース(G)に格納されるデータテーブルもまた変わる。
また、相互要素データベース(G)に格納されるデータテーブルを生成する際に、図3Bに示されるパフォーマンステーブル(BB)内のデータを参照することも可能である。例えば、パフォーマンステーブル(BB)中の五つの項目、すなわち「Social」、「Intellectual」、「Spiritual」、「Physical」、「Executive」に対応する各値に所定の計算式を適用して求めた結果を相互要素データベース(G)に格納することができる。ボタン(AF)を用いてのユーザ(US)による入力結果についても同様である。
図2Aを再び参照して説明する。以上のように、相互要素抽出(CA1)で生成されて相互要素データベース(G)に格納されたデータは、相互作用評価解析(CA2)の相互作用評価(CA2A)でさらに処理されて、組織内のメンバーや、メンバーをとりまとめるキーパーソンの相互作用を考慮した指標、すなわち相互作用の指標を導出する処理が行われる。
相互作用評価(CA2A)は、相互要素データベース(G)に格納されるデータに対し、評価係数データベース(H)に格納される評価係数、式を用いて計算処理を行い、相互作用の指標を導出する。図10に、評価係数データベース(H)に格納される評価係数、式の例として評価係数テーブル(HA)を示す。この評価係数テーブル(HA)は、評価(解析)対象のユーザ(US)の行動の、図4A、図4Bに示す行動モデルへの合致度が高くなるほど評価値が増すように係数および計算方法が設定されている。
図10において、大カテゴリ(HA1)は、図4A、図4Bに示される、組織に「自立性」を生むリーダー行動モデル(M1)および組織に「スピード」を生むリーダー行動モデル(M2)のうち、どの行動モデルに対応するものであるのかを示しており、前者に対応するものが自立性(HA4)であり、後者に対応するものがスピード(HA5)である。
中カテゴリ(HA2)には、各行動モデルを構成する構成要素の名称が記載されている。評価係数・式(HA3)には、各構成要素に対応する評価値を算出する際に用いられる評価係数および計算式が格納されている。自立性(HA4)に対しては、メンバーの自立性(HA4A)、深い対話の場づくり(量)(HA4B)、建設的な対話の場づくり(質)(HA4C)、部下のコミュニケーション負荷の制御(HA4D)のそれぞれに対応して評価係数、式が定義されている。スピード(HA5)に対しては、組織のスピード感(HA5A)、リーダーが外を動かす(HA5B)、リーダーによる部下のドライブ(HA5C)、リーダー自ら手を動かす(HA5D)のそれぞれに対応して評価係数、式が定義されている。相互作用評価(CA2A)は、評価係数テーブル(HA)に格納される評価係数および計算式を参照して相互作用の指標を求め、その結果を相互作用評価結果データベース(I)に格納する。
図11Aおよび図11Bは、相互作用評価結果データベース(I)に格納されるテーブルの例を示す。図11Aには、部下ユーザについて導出した指標のテーブル例、すなわち部下自立性指標テーブル(IA)、部下スピード指標テーブル(IB)が示される。図11Bには、上司ユーザについて導出した指標のテーブル例、すなわち上司自立性指標テーブル(IC)、上司スピード指標テーブル(IE)が示される。
図11Aに示される部下自立性指標テーブル(IA)、部下スピード指標テーブル(IB)について説明する。部下ユーザID(IA1、IB1)には、評価対象の部下ユーザのユーザIDが格納される。上司ユーザID(IA2、IB2)には、上記部下ユーザの上司である上司ユーザのユーザIDが格納される。この上司ユーザID(IA2、IB2)に格納される情報は、図6Bに示される上司部下の関連性リスト(DC1)を参照して抽出されたものである。日付(IA3、IB3)には、分析の対象となった組織ダイナミクスデータが収集された日の情報が格納される。また、直近の一週間と云うように、ある期間のデータが分析の対象となっているときには、当該の期間のうちの最後の日が日付(IA3、IB3)で特定される。
深い対話の場づくり(量) (IA4)、建設的な対話の場づくり(質) (IA5)、部下のコミュニケーション負荷の制御(IA6)、メンバーの自立性(IA7)には、図10に示される評価係数テーブル(HA)で規定される、深い対話の場づくり(量) (HA4B)、建設的な対話の場づくり(質) (HA4C)、部下のコミュニケーション負荷の制御(HA4D)、メンバーの自立性(HA4A)のそれぞれに対応する評価係数・式(HA3)を用いて導出した部下ユーザに関する評価値が格納される。これらの評価値は、図4Aに示す、組織に「自立性」を生むリーダー行動モデル(M1)の四つの構成要素それぞれに対応する評価値である。
リーダーが外を動かす(IB4)、リーダーによる部下のドライブ(IB5)、リーダー自ら手を動かす(IB6)、組織のスピード感(IB7)には、図10に示される評価係数テーブル(HA)で規定される、リーダーが外を動かす(HA5B)、リーダーによる部下のドライブ(HA5C)、リーダー自ら手を動かす(HA5D)、組織のスピード感(HA5A)のそれぞれに対応する評価係数・式(HA3)を用いて導出した部下ユーザに関する評価値が格納される。これらの評価値は、図4Bに示す、組織に「スピード」を生むリーダー行動モデル(M2)の四つの構成要素それぞれに対応する評価値である。
図11Bに示される上司自立性指標テーブル(IC)、上司スピード指標テーブル(IE)について説明する。上司ユーザID(IC1、IE1)には、評価対象の上司ユーザのユーザIDが格納される。日付(IC2、IE2)には、分析の対象となった組織ダイナミクスデータが収集された日の情報が格納される。また、直近の一週間のデータが分析の対象となっているときには、当該一週間のうちの最後の日が日付(IC2、IE2)で特定される。
深い対話の場づくり(量) (IC3)、建設的な対話の場づくり(質) (IC4)、部下のコミュニケーション負荷の制御(IC5)、メンバーの自立性(IC6)には、図10に示される評価係数テーブル(HA)で規定される、深い対話の場づくり(量) (HA4B)、建設的な対話の場づくり(質) (HA4C)、部下のコミュニケーション負荷の制御(HA4D)、メンバーの自立性(HA4A)のそれぞれに対応する評価係数・式(HA3)を用いて導出した上司ユーザに関する評価値が格納される。これらの評価値は、図4Aに示す、組織に「自立性」を生むリーダー行動モデル(M1)の四つの構成要素それぞれに対応する評価値である。
リーダーが外を動かす(IE3)、リーダーによる部下のドライブ(IE4)、リーダー自ら手を動かす(IE5)、組織のスピード感(IE6)には、図10に示される評価係数テーブル(HA)で規定される、リーダーが外を動かす(HA5B)、リーダーによる部下のドライブ(HA5C)、リーダー自ら手を動かす(HA5D)、組織のスピード感(HA5A)のそれぞれに対応する評価係数・式(HA3)を用いて導出した評価値が格納される。これらの評価値は、図4Bに示す、組織に「スピード」を生むリーダー行動モデル(M2)の四つの構成要素それぞれに対応する評価値である。
図11Aには、部下ユーザとしてユーザ003、ユーザ004の評価結果が例示されている。図11Aに例示される評価値、例えば部下自立性指標テーブル(IA)中、深い対話の場作り(量)(IA4)という評価指標に関するユーザ003、ユーザ004の評価値はそれぞれ59、53となっている。これらの評価値は、図9の相互要素データベース(G)に格納されるデータに、図10の評価係数データベース(H)中の評価係数・式(HA3)を適用して求めた評価値を統計処理し、偏差値で表したものとなっている。例えば、ある評価値について、組織内の部下ユーザの間で平均値および標準偏差を求める。ある部下ユーザの評価値をEi、当該評価値の平均値をEmean、標準偏差をSとすると、偏差値DVは以下の式を用いて導出することができる。
偏差値 DV=50+(Ei−Emean)/S×10 … 式(1)
すなわち、偏差(Ei−Emean)を標準偏差Sで除して係数10を乗じ、それに50を加算して得た値が偏差値である。組織に属する部下ユーザの数が少ない場合、それらのユーザの過去の評価値を母集団として統計処理をしてもよい。図11Aに示される例において、ユーザ003、ユーザ004に共通する上司は、先にも説明したようにユーザ002である。
図11Bには、上司ユーザとしてユーザ002、ユーザ006の評価結果が例示されている。例えば、ユーザ002の、深い対話の場づくり(量)(IC3)という評価指標に対する評価結果(評価値)は56となっている。この値は、ユーザ002の管轄下にある部下ユーザであるユーザ003、ユーザ004の、当該評価指標に対する評価値である59、53(図11A参照)の平均をとって求めたものである。上司ユーザ002の管轄下にある部下ユーザの数によっては、それらの部下ユーザの評価値の中央値や最頻値を上司ユーザの評価値としてもよい。また、部下ユーザの経験年数等に応じて、部下ユーザの評価値の加重平均等を導出したものを上司ユーザの評価値としてもよい。その他の評価指標に対応する評価値も同様にして導出されたものである。すなわち、上司ユーザの各評価指標に対する評価値は、当該上司ユーザの管轄下にある部下ユーザの、各評価指標に対する評価値から導出される。
相互作用評価結果データベース(I)に格納される部下自立性指標テーブル(IA)、部下スピード指標テーブル(IB)、上司自立性指標テーブル(IC)、上司スピード指標テーブル(IE)中の評価値を用いてコンテンツを生成するまでの手順と、生成されるコンテンツの例とを以下に説明する。
まず、図3Dを参照して説明すると、要素選択(CA3A)は、クライアント(CL)から要求されたデータを相互作用評価結果データベース(I)から抽出する。本例では、上述した部下自立性指標テーブル(IA)、部下スピード指標テーブル(IB)、上司自立性指標テーブル(IC)、上司スピード指標テーブル(IE)からデータが抽出される。抽出されたデータはWebサーバ(CA3B)を介してクライアント(CL)のリーダー指標コンテンツ生成(JA)に送られる。
リーダー指標コンテンツ生成(JA)は、アプリケーションサーバ(AS)から送られたデータを用いてリーダー指標コンテンツ(KA)を生成する。リーダー指標コンテンツ(KA)には、トレンドグラフ(KA1)、他者比較(KA2)、レコメンド(KA3)が表示される。
トレンドグラフ(KA1)には,組織に「スピード」を生む行動、組織に「自立性」を生むリーダー行動という観点からリーダーの行動を評価した結果の日ごとの推移がトレンドグラフとして示される。このグラフを見ることにより、上司ユーザの行動の改善の傾向を把握することが可能となる。
他者比較(KA2)は、上司ユーザの行動が、他の上司ユーザと比較する形で表示が行われる。このとき、他の上司ユーザの評価値については匿名でアプリケーションサーバ(AS)から取得される。図3Dでは、縦軸に、組織に「スピード」を生む行動の評価値を、横軸に、組織に「自主性」を生む行動の評価値をとり、散布図で示す例が示されている。本例では、縦軸、横軸、双方の値が偏差値で示されている。また、図3Dに示される他者比較(KA2)の例では、当該上司ユーザのデータ収集が開始された日の評価値と、現在の評価値とがプロットされる。このグラフにより、他の上司ユーザとの比較が可能となり、より改善された行動を行うように動機付けることが可能となる。
レコメンド(KA3)には、リーダーとしての行動の評価値が上向くようにするために望ましい行動が表示される。この表示を行うためには、過去の知見に基づき、リーダーとしての行動の評価値が上向くようにするために望ましい行動を予め規定して記録したデータベースにアクセスして、現状の行動の評価値に対応するものを抽出すればよい。
以上に説明した本発明の第1の実施の形態によれば、評価の対象となるユーザ(US)、すなわち評価対象ユーザの組織ダイナミクスデータに加えて、評価対象ユーザと関連性を有するユーザの組織ダイナミクスデータを参照することにより、組織に属するメンバー間の相互作用が評価に反映されるので、評価対象ユーザの組織内における行動をより的確に評価することが可能となる。また、評価結果の時間的推移や、他の評価対象ユーザとの比較結果を評価対象ユーザに提示することにより、評価対象ユーザは今後とるべき自身の行動をより的確に決定することが可能となる。
− 第2の実施の形態 −
図12は、クライアント(CL)の表示(J)(図2B参照)がリーダー指標変化コンテンツ生成(JB)を備え、リーダー指標変化コンテンツ(KB)が生成される様子を示す。第1の実施の形態と異なるのは、クライアント(CL)におけるリーダー指標変化コンテンツ生成(JB)と、このリーダー指標変化コンテンツ生成(JB)で生成されるリーダー指標変化コンテンツ(KB)である。その他、センサノード(TR)、基地局(GW)、センサネットサーバ(SS)、およびアプリケーションサーバ(AS)の構成は第1の実施の形態で説明したものと同様であるので図示および説明を省略する。また、センサノード(TR)で収集されるデータ、センサネットサーバ(SS)、アプリケーションサーバ(AS)での処理内容や生成されるデータも第1の実施の形態で説明したものと同様であるので説明を省略する。
リーダー指標変化コンテンツ(KB)では、第1の実施の形態で図3Dを参照して説明したリーダー指標に関して、そのリーダー指標を変化させる要因を詳細に提示することによって、今後リーダー指標を改善するために必要な行動の目安を示すものである。そのために、リーダー指標変化の支配的な要因に対応する評価結果を一定期間前の評価結果と比較し、評価結果が改善している場合には当該の評価指標が「改善しています」の表示をする。同様に、評価結果が悪化している場合には「気をつけましょう」の表示をする。変化が無い場合には「変化なし」の表示をする。
リーダー指標変化コンテンツ(KB)を生成する際、クライアント(CL)は閲覧者情報とともにリーダー指標変化コンテンツ(KB)を生成するのに必要なデータを要求する信号をアプリケーションサーバ(AS)に送信する。アプリケーションサーバ(AS)は、クライアント(CL)から送信された情報をもとに相互作用評価(CA2A)を行って評価値を生成し、相互作用評価結果データベース(I)内の部下自立性指標テーブル(IA)、部下スピード指標テーブル(IB)、上司自立性指標テーブル(IC)、上司スピード指標テーブル(IE)に格納する。要素選択(CA3A)は、相互作用評価結果データベース(I)中から必要な情報を選択し、その情報はWebサーバ(CA3B)を介してクライアント(CL)に送られる。リーダー指標変化コンテンツ生成(JB)は、アプリケーションサーバ(AS)から受信したデータに基づき、図12に例示されるリーダー指標変化コンテンツ(KB)を生成する。
図13に、リーダー指標変化コンテンツ(KB)の詳細を示す。図13には、図4Aに示される、組織に「自立性」を生むリーダー行動モデル(M1)を模した表示例が示される。そして、この行動モデルの各構成要素、各観測要素に対応する評価値の、一定期間前の評価値と現状の評価値との比較結果に基づく表示が行われる。つまり、上記構成要素、観測要素についてそれぞれ一定期間前の評価値と現状の評価値とを比較し、組織に「自立性」を生むという観点から改善しているもの、変化の無いもの、悪化しているものに分類し、各分類に対応した表示が行われる。改善しているものに対しては「改善しています」、変化の無いものには「変化なし」、悪化しているものに対しては「気をつけましょう」という主旨の表示が行われる。このとき、上記各分類に対応して色や図柄等を変化させることにより、何が改善していて、何が要改善であるのかをユーザ(US)は直観的に把握することが可能となる。
上記説明中の一定期間前、現状については、任意に設定可能である。予め用意されている選択肢の中からユーザ(US)が選択してもよいし、一定期間前、現状に対応する具体的な日をユーザ(US)が任意に設定可能に構成されていてもよい。以上では、組織に「自立性」を生むリーダー行動モデルに対応するコンテンツ表示例について説明したが、図4を参照して説明した、組織に「スピード」を生むリーダー行動モデル(M2)に対応するコンテンツを表示することも可能である。
以上のように、本発明の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明したのと同様、評価対象ユーザの組織ダイナミクスデータに加えて、評価対象ユーザと関連性を有するユーザの組織ダイナミクスデータが参照される。従って、組織に属するメンバー間の相互作用が評価に反映されるので、評価対象ユーザの組織内における行動をより的確に評価することが可能となる。加えて、組織全体としてのパフォーマンスを向上させる、という観点から評価して、リーダーの行動が改善しているのか、変化が無いのか、悪化しているのかを分析可能で、その分析結果をユーザ(US)が容易に把握可能となる。その結果、今後とるべき行動を容易に決定することが可能となる。
− 第3の実施の形態 −
図14は、クライアント(CL)の表示(J)(図2B参照)がおすすめ施策レシピコンテンツ生成(JC)を備え、おすすめ施策レシピコンテンツ(KC)が生成される様子を示す。第1の実施の形態と異なるのは、クライアント(CL)におけるおすすめ施策レシピコンテンツ生成(JC)と、このおすすめ施策レシピコンテンツ生成(JC)で生成されるおすすめ施策コンテンツ(KC)である。その他、センサノード(TR)、基地局(GW)、センサネットサーバ(SS)、およびアプリケーションサーバ(AS)の構成は第1の実施の形態で説明したものと同様であるので図示および説明を省略する。また、センサノード(TR)で収集されるデータ、センサネットサーバ(SS)、アプリケーションサーバ(AS)での処理内容や生成されるデータも第1の実施の形態で説明したものと同様であるので説明を省略する。
第1の実施の形態では、図3Dを参照して説明したようにリーダー指標の推移を表示する例について説明した。第3の実施の形態では、このリーダー指標を改善するための具体的な施策が提示される。図15は、アプリケーションサーバ(AS)の相互作用評価結果データベース(I)に格納されるレシピテーブル(IF)、およびレシピ実行テーブル(IG)の例を示す。これらのレシピテーブル(IF)およびレシピ実行テーブル(IG)は、相互作用評価(CA2A)により管理、参照される
レシピテーブル(IF)には、リーダー指標を向上させるための施策をユーザ(US)に対して提示するための情報が格納される。このレシピテーブル(IF)には、レシピID(IF1)、タイトル(IF2)、登録者(IF3)、ラベル(IF4)、内容(IF5)、登録日(IF6)、効果(IF7)が記録される。レシピID(IF1)には、レシピを管理するためのIDが記録される。タイトル(IF2)には、レシピのタイトルが記録される。登録者(IF3)には、当該のレシピを登録した人を特定可能な情報、例えば名前が記録される。なお、レシピの登録ができる人として、本システムの運営に際して任意の人を事前に設定することが可能である。
例えば、組織の上長や、当該組織に対してサービスを提供するコンサルタント会社の担当者等をレシピ登録可能な人として事前に設定することが可能である。ラベル(IF4)には、レシピを分類するための情報が記録される。ラベル(IF4)に記録される情報としては、図15に例示される会議、判断の他、部下、態度、人事、資金等がある。また、ラベル(IF4)には、新たな分類を登録することも可能である。
内容(IF5)には、レシピの内容が記録される。この情報は、おすすめ施策コンテンツ(KC)内で表示される。登録日(IF6)には、レシピを登録した日を特定可能な情報が記録される。効果(IF7)には、当該レシピを実行することにより期待される効果(期待効果)が記録される。効果(IF7)は、自立性(IF71)、スピード(IF72)の二つに分けて登録される。自立性(IF71)は、組織に「自立性」を生むリーダー行動モデル(M1)に基づく期待効果が、スピード(IF72)は、組織に「スピード」を生むリーダー行動モデル(M2)に基づく期待効果が登録される。以上に説明したレシピテーブル(IF)は一例であり、テーブルの形式や、テーブルに登録される項目は図15に例示されるもの以外であってもよい。また、レシピの管理に必要な項目を新たに生じた場合、後からそれらの項目を追加可能に構成されていてもよい。
レシピ実行テーブル(IG)には、レシピをグループ内の各ユーザ(US)が実行した実績が記録される。レシピ実行テーブル(IG)には、実行ユーザID(IG1)、実行日(IG2)、レシピID(IG3)、コメント(IG4)、おすすめ(IG5)、登録日(IG6)が記録される。実行ユーザID(IG1)には、当該レシピを実行したユーザ(US)を特定可能な情報、例えばユーザIDが記録される。実行日(IG2)には、当該レシピを実行した日を特定可能な情報が記録される。実行日(IG2)に、レシピを実行した日に加えて時刻を記録してもよい。レシピID(IG3)には、実行したレシピを特定可能な情報が記録される。このレシピID(IG3)に登録される情報としては、レシピテーブル(IF)中に記録されるレシピID(IF1)と同じものとすることが可能である。コメント(IG4)には、当該レシピを実行したユーザのコメントが事後に記録される。おすすめ(IG5)には、当該レシピを実行したユーザによる、当該レシピの推奨度が記録される。
登録日(IG6)には、レシピ実行テーブル(IG)に、当該レシピ実行の実績を登録した日を特定可能な情報が記録される。レシピ実行テーブル(IG)には、一人のユーザによって一つのレシピが実行されると、それに対応して一つのレコードが生成されて記録される。つまり、図15に例示されるレシピ実行テーブル(IG)には、R01のレシピIDの付与された施策が、ユーザ002、ユーザ003によって実行されたことが示されている。以上に説明したレシピ実行テーブル(IG)は一例であり、テーブルの形式や、テーブルに登録される項目は図15に例示されるもの以外であってもよい。また、レシピの管理に必要な項目を新たに生じた場合、後からそれらの項目を追加可能に構成されていてもよい。
図16は、図14に示されるおすすめ施策レシピコンテンツ(KC)の表示例を詳細に示す図である。所与のユーザ(US)がクライアント(CL)のディスプレイ(CLOD)前に近づくと、あるいは上記ユーザがクライアント(CL)を操作すると、おすすめ施策レシピコンテンツ生成(JC)が起動する。そして、上記ユーザ(US)に対するおすすめ施策レシピコンテンツ(KC)を表示する。以下ではディスプレイ(CLOD)の近傍に居るユーザ(US)を対象ユーザと称する。
おすすめ施策レシピコンテンツ(KC)の生成処理にあたり、クライアント(CL)は、対象ユーザのユーザIDを含む閲覧者情報とともにおすすめ施策レシピコンテンツ(KC)を生成するのに必要なデータを要求する信号をアプリケーションサーバ(AS)に送信する。アプリケーションサーバ(AS)は、クライアント(CL)から送信された情報をもとに抽出、生成した情報をクライアント(CL)に送信する。おすすめ施策レシピコンテンツ生成(JC)は、アプリケーションサーバ(AS)から送信された情報をもとにおすすめ施策レシピコンテンツ(KC)を生成し、ディスプレイ(CLOD)に表示する。
図16に示されるように、おすすめ施策レシピコンテンツ(KC)中には三つのコンテンツ(KC1、KC2、KC3)が提示される。コンテンツ(KC3)には、対象ユーザの、過去の行動に対する評価結果をもとに、この対象ユーザが実行することの推奨されるレシピの一覧が表示される。この一覧中では、推奨度の高さをもとにソートされた順で複数のレシピが表示される。図16の例では、レシピ名、登録者、ラベル、回数(あなた)、回数(みんな)、おすすめ、登録日等の項目が表示される。レシピ名には、図15を参照して説明したレシピテーブル(IF)中の内容(IF5)が表示される。
同様に、登録者には登録者(IF3)の内容が、ラベルにはラベル(IF4)の内容が、それぞれ表示される。回数(あなた)には、対象ユーザが当該レシピを過去に実行した回数が、回数(みんな)には、対象ユーザが属するグループのメンバーが当該レシピを過去に実行した回数の合計が、それぞれ表示される。おすすめには、以下で説明する方法によって導出した推奨度の高さに応じた数の星印が示される。星印の数に代えて、推奨度の高さに応じたバーグラフ、数値、色、図柄等を表示してもよい。登録日には、レシピテーブル(IF)中の登録日(IF6)の内容が表示される。
おすすめ施策レシピの推奨度の導出例について説明する。ここでは図4A、図4Bを参照して説明した、組織に「自立性」生む行動モデル、組織に「スピード」を生む行動モデルに基づいて、メンバーの自立性、組織のスピード感が増すようにするためのおすすめ施策レシピの推奨度を導出する例について説明する。第1の実施の形態で、図11A、図11Bを参照して、部下自立性指標テーブル(IA)、部下スピード指標テーブル(IB)、上司自立性指標テーブル(IC)、上司スピード指標テーブル(IE)について説明した。おすすめ施策レシピは、これらのテーブルにおける、メンバーの自立性(IA7、IC6)、組織のスピード感(IB7、IE7)増すのに有効な施策を推奨するためのものである。
おすすめ施策レシピは、上記のとおり、「メンバーの自立性」、「組織のスピード感」を増すのに有効な施策を推奨するためのものである。そこで、これら「メンバーの自立性」、「組織のスピード感」の目標値をそれぞれ1と設定する。これら二つの要素(以下では自立性要素、スピード要素と称する)を成分とするベクトルで表したものを目標ベクトルと称する。
以下では具体例として図11Bに示されるユーザ002(ユーザ002は上司ユーザである)を例に説明する。ユーザ002の自立性指標は61、スピード指標は50である。これらの指標について、最大値が1となるように規格化する。例えば、偏差値が80のとき、対応する値が1となるように規格化することが可能である。この場合、自立性指標の61に対しては61/80=0.7625、スピード指標の50に対しては50/80=0.625となる。これら二つの要素を成分とするベクトルで表したものを現状ベクトルと称する。
図15を参照して説明した相互作用評価結果データベース(I)中のレシピテーブル(IF)には、各レシピを実行することにより期待できる効果として、自立性、スピードに関する期待効果(IF71、IF72)が記録される。各レシピに対応する期待効果(IF71、IF72)は、1から5の値で表される旨、説明したが、これらの期待効果(IF71、IF72)について、最大値が1となるように正規化する。これら二つの要素を成分とするベクトルで表したものを効果ベクトルと称する。
以上に説明した三つのベクトル、すなわち目標ベクトル、現状ベクトル、効果ベクトルについて考えると、現状ベクトルと効果ベクトルとの和が目標ベクトルに近い程、該当するレシピの効果が期待できる、ということになる。そこで、複数のレシピについて、現状ベクトルと効果ベクトルとの和と、目標ベクトルとの間の距離を求め、その距離が近いレシピほど推奨度が高いものとして、これら複数のレシピの順序づけを行う。ところで
、レシピを実行する前の状況において現状ベクトルが(1,1)に近く、それに効果ベクトルを加えると、目標ベクトルの(1,1)から大きく外れてしまう場合も想定される。その場合には、上記距離が大きくなるので、推奨度は低くなる、という判断が可能である。上記の説明は、施策レシピの推奨度の導出の一例であり、他の手法を用いてもよい。
コンテンツ(KC1)には、コンテンツ(KC3)に表示されるおすすめ施策レシピのリスト中の一つが詳細に表示される。例えば、デフォルトの状態では、推奨度の最も高い施策レシピの詳細がコンテンツ(KC1)として表示される。また、対象ユーザがマウスやタッチパネル等のポインティングデバイスを操作してコンテンツ(KC3)中のリストから一つを選択すると、対応するおすすめ施策レシピがコンテンツ(KC1)として表示される。
コンテンツ(KC2)には、コンテンツ(KC1)に表示されているおすすめ施策レシピを対象ユーザが過去に実行した履歴がグラフ表示される。コンテンツ(KC2)にはまた、コンテンツ(KC1)に表示されているおすすめ施策レシピを、対象ユーザの属する組織内メンバーが過去に実行した履歴を表示することも可能に構成される。
本発明の第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明したのと同様の効果を得ることが可能であることに加えて以下のような効果を奏することが可能となる。すなわち、対象ユーザの行動の解析結果に基づき、組織全体としてのパフォーマンスを向上させる上で効果的な施策レシピを定量的な判定によって決定し、それをユーザ(US)に対して具体的に提示することが可能となるので、今後の行動の指針を的確に示すことが可能となる。また、それらの施策をユーザ(US)が実行したときの記録も残されるので、各施策を行ったときに得られた実際の効果の測定も可能となる。その測定結果をフィードバックすることにより、おすすめレシピをより的確に決定することが可能となる。
− 第4の実施の形態 −
図17は、クライアント(CL)の表示(J)がイベントフィードコンテンツ生成(JD)を備え、イベントフィードコンテンツ(KD)が生成される様子を示す。第1の実施の形態と異なるのは、クライアント(CL)におけるイベントフィードコンテンツ生成(JD)と、このイベントフィードコンテンツ(JD)で生成されるイベントフィードコンテンツ(KD)である。その他、センサノード(TR)、基地局(GW)、センサネットサーバ(SS)、およびアプリケーションサーバ(AS)の構成は第1の実施の形態で説明したものと同様であるので図示および説明を省略する。また、センサノード(TR)で収集されるデータ、センサネットサーバ(SS)、アプリケーションサーバ(AS)での処理内容や生成されるデータも第1の実施の形態で説明したものと同様であるので説明を省略する。
第4の実施の形態では、第1の実施の形態で説明したリーダー指標を導出する際の元となっているデータを用いて、対象ユーザがどのような行動をしたかがイベント別に表示される。図18、図19に、アプリケーションサーバ(AS)の相互作用評価結果データベース(I)に格納されるイベントフィードテーブル(IH)および促進施策リストテーブル(II)を示す。これらのイベントフィードテーブル(IH)および促進施策リストテーブル(II)は、相互作用評価(CA2A)により管理、参照される。
イベントフィードテーブル(IH)には、一人のユーザー(US)の一日分のイベントが1レコードとしてまとめられ、グループに属する全メンバーのイベントが記録される。イベントフィードテーブル(IH)に格納されるデータは、第1の実施の形態で図9を参照して説明した自立性要素テーブル(GA)、スピード要素テーブル(GB)から抽出される。イベントフィードテーブル(IH)には、部下ユーザID(IH1)、上司ユーザID(IH2)、日付(IH3)、部下業務時間(IH4)、上司業務時間(IH5)が記録される。
上述の情報に続いて、イベントフィードテーブル(IH)には、図9に示す自立性要素テーブル(GA)、スピード要素テーブル(GB)から抽出した様々なデータが記録される。一例として、図18には、図9に示す自立性要素テーブル(GA)中の<リーダー>部下との対面時間(GA4)から抽出される、<リーダー>部下との対面時間(IH6)が記録される様子が示される。この<リーダー>部下との対面時間(IH6)として、値(IH61)、偏差値(IH62)、題名(IH63)、場所(IH64)、コメント(IH65)が記録される。
部下ユーザID(IH1)には、当該レコードに記録されるイベントフィードを実行したユーザ(US)を特定可能な情報が記録される。上司ユーザID(IH2)には、ユーザ(US)の上司を特定可能な情報が記録される。日付(IH3)には、記録対象の日を特定可能な情報が記録される。部下業務時間(IH4)には、記録対象の日におけるユーザ(US)の業務時間を特定可能な情報が記録される。上司業務時間(IH5)には、記録対象の日における、ユーザ(US)の上司である上司ユーザの業務時間を特定可能な情報が記録される。これらの部下業務時間(IH4)、上司業務時間(IH5)は、各ユーザ(US)が装着するセンサノード(TR)で取得された組織ダイナミクスデータから導出することが可能である。
値(IH61)には、記録対象の日にユーザ(US)と当該ユーザ(US)の上司との間で行われた対面時間が分を単位として記録される。この情報は、図9に示す自立性要素テーブル(GA)中の、<リーダー>部下との対面時間(GA4)の情報を抽出して得たものである。偏差値(IH62)には、上記値(IH61)を偏差値に変換した値が記録される。偏差値に変換する際には、記録対象の日における、グループに属するユーザ全員の値(IH61)をもとにすることが可能である。題名(IH63)には、当該の対面が行われたときに何が行われたかを特定可能な情報が記録される。場所(IH64)には、当該の対面が行われた場所を特定可能な情報が記録される。これらの題名(IH63)、場所(IH64)に関する情報は、ユーザ(US)により入力される。コメント(IH65)は、ユーザ(US)またはユーザ(US)の上司により、当該の対面に関して入力されたコメントが記録される。これらの題名(IH63)、場所(IH64)、コメント(IH65)については、ユーザ(US)による入力が行われていないときには「未設定」とされる。
以上に説明したイベントフィードテーブル(IH)は一例であり、テーブルの形式や、テーブルに登録される項目は図18に例示されるもの以外であってもよい。例えば、図18では一人のユーザ(US)の一日分のデータが一つのレコードとして記録される例が示されるが、1時間ごと、2時間ごと、半日ごとといった区切りで記録されてもよい。あるいは、1週間、一月といった、複数の日にまたがるデータが記録されてもよい。また、イベントフィードの管理に必要な項目を新たに生じた場合、後からそれらの項目を追加可能に構成されていてもよい。
促進施策リストテーブル(II)は、イベントフィードテーブル(IH)中に記録される各イベントに対応する促進施策を記録するテーブルである。<リーダー>部下との対面時間(II1)は、図18のイベントフィードテーブル(IH)中の<リーダー>部下との対面時間(IH6)に対応する促進施策であり、これを増加させる施策として増加施策(II11)が、減少させる施策として減少施策(II12)が記録される。また、図18には図示されないが、イベントフィードテーブル(IH)中には図9のスピード要素テーブル(GB)中の<リーダー>個人作業時の安静率(GB8)に対応するイベントが記録されおり、それに対応する促進施策が図19中の<リーダー>個人作業時時の安静率(II2)である。これを増加させる施策として増加施策(II21)が、減少させる施策として減少施策(II22)が記録される。以上に説明した促進施策リストテーブル(II)は一例であり、テーブルの形式や、テーブルに登録される項目は図19に例示されるもの以外であってもよい。また、新たな促進施策を、必要に応じて追加可能に構成されていてもよい。
図20は、図17に示されるイベントフィードコンテンツ(KD)の表示例を詳細に示す図である。所与のユーザ(US)がクライアント(CL)のディスプレイ(CLOD)前に近づくと、あるいは上記ユーザがクライアント(CL)を操作すると、イベントフィードコンテンツ生成(JD)が起動する。そして、上記ユーザ(US)に対するイベントフィードコンテンツ(KD)を表示する。
イベントフィードコンテンツ(KD)の生成処理にあたり、クライアント(CL)は、対象ユーザのユーザIDを含む閲覧者情報とともにイベントフィードコンテンツ(KD)を生成するのに必要なデータを要求する信号をアプリケーションサーバ(AS)に送信する。アプリケーションサーバ(AS)は、クライアント(CL)から送信された情報をもとに抽出、生成した情報をクライアント(CL)に送信する。イベントフィードコンテンツ生成(JD)は、アプリケーションサーバ(AS)から送信された情報をもとにイベントフィードコンテンツ(KD)を生成し、ディスプレイ(CLOD)に表示する。
図20では四つのイベントフィードが表示される例が示される。これらのイベントフィードの表示順、表示方法等については以下のようにすることが可能である。例えば、対象ユーザの所与の日におけるデータがイベントフィードテーブル(IH)から抽出され、図18に例示した<リーダー>部下との対面時間(IH6)とそれに続く全ての項目中で、偏差値50を基準値とし、偏差値が基準値から大きく外れている項目を優先的に表示することが可能である。
イベントフィードの優先順位の決め方については他の方法によってもよい。例えば、図9中でNの付されている項目(負の相関を有する項目)については偏差値の大きい物から順に、それ以外の正の相関を有する項目については偏差値の小さいものから順に、優先順位を決定してもよい。あるいは、各項目の偏差値それぞれについて、所定の日数にわたるデータを抽出して平均値を導出し、これらの平均値からの差の大きい項目に対応するイベントフィードを優先的に表示してもよい。
図20に示すイベントフィードコンテンツ(KD)中、破線で囲われた項目については、クライアント(CL)のポインティングデバイスを操作して指定すると文字入力ウィンドウがディスプレイ(CLOD)に表示され、対象ユーザは必要な情報を入力することができる。入力された内容はイベントフィードテーブル(IH)中に記録される。図20中、「未設定」と表示されているのは、当該の情報がまだ入力されていないことを意味する。
表示されているイベントフィード中、対象ユーザが注目するイベントフィードの[増やすおすすめ]、または[減らすおすすめ]をマウスでクリック、あるはタッチパネルでタップすると、図19を参照して説明した促進施策リストテーブル(II)中に記録されている情報中の該当する内容が表示される。ところで、図19中、ある項目に対応する増加施策、減少施策として複数のものが記録される例が示されているが、これら複数の施策を同時に表示してもよいし、一つだけを表示してもよい。複数の施策中、一つだけが表示される場合には、複数の施策の中からランダムに抽出された一つが表示されてもよい。その場合、[さらに見る]というボタンを表示して、対象ユーザがそのボタンをクリックまたはタップする度に複数の施策のうちの一つが次々と切り換えられて表示されてもよい。
図20に示すイベントフィードコンテンツ(KD)中、上から二番目のイベントフィードの下部([増やすおすすめ]、[減らすおすすめ]の下方)に、「K社案件の対応について…」というコメントが表示される例が示されている。このコメントは、[コメントする]をクリックまたはタップすると文字入力ウィンドウがディスプレイ(CLOD)に表示され、対象ユーザが入力することができる。このようにして入力されたコメントは、イベントフィードテーブル(IH)中の該当項目に対応するフィールド、例えばコメント(IH65)のフィールドに記録される。過去にコメントが入力されていれば、このコメントはイベントフィールドテーブル(IH)中に記録される。イベントフィールドテーブル(IH)にコメントが記録されている場合、該当するイベントフィードにコメントが表示される。
本発明の第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明したのと同様の効果を得ることが可能であることに加えて以下のような効果を奏することが可能となる。すなわち、対象ユーザのイベントフィードを表示する際に、各イベントフィードに対応する行動を定量化した値が標準的な値から外れる程、高い優先順位で表示が行われることにより、対象ユーザに対して気づきを与え、組織全体としてのパフォーマンスを向上させる上で効果的な施策の実行を促すことが可能となる。
以上に説明した本発明の第1から第4の実施の形態において、クライアント(CL)でコンテンツ生成の処理(JA、JB、JC、JD)が行われる例について説明したが、アプリケーションサーバ(AS)内で生成されてもよい。その場合、閲覧者情報や、閲覧者の希望するコンテンツに関する情報がクライアント(CL)や個人用クライアント(CP)からアプリケーションサーバ(AS)に送信され、その情報に基づくコンテンツがアプリケーションサーバ(AS)で生成される。
生成されたコンテンツはWebサーバ(CA3B)を介してクライアント(CL)や個人用クライアント(CP)に送信される。また、先にも説明したように、本発明の実施の形態で説明したビジネス顕微鏡システムを構成する各構成要素については、運用される組織の規模や応用形態等に応じて一つの構成要素が複数の情報処理装置を含んでいてもよいし、複数の構成要素が1台の情報処理装置で構成されていてもよい。例えば、クライアント(CL)とアプリケーションサーバ(AS)とが一つの情報処理装置によって構成されていてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形実施可能であり、上述した各実施の形態を適宜組み合わせることが可能であることは、当業者に理解されよう。