JP5724082B2 - 研磨ブラシ用毛材および研磨ブラシ - Google Patents

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Description

本発明は、一般鋼材やステンレス・アルミ等の金属部品加工後のバリ取りや研磨仕上げ、自動車用鋼板の表面処理等に利用される研磨ブラシ用毛材およびその毛材を用いた研磨ブラシに関するものである。
近年、環境への意識向上に伴い、非石油由来の樹脂の開発が加速されている。従来の汎用プラスチックは、石油資源を主原料としているため、石油資源が将来枯渇すること、また石油資源の大量消費により生じる地球温暖化の原因となり得ることなど、環境負荷が高いことが問題視されている。そこで、植物資源を出発点とするプラスチック、すなわちバイオマスプラスチックが注目されている。バイオマスプラスチックは、二酸化炭素を大気中から取り込み成長する植物資源を原料とすることで、二酸化炭素の循環により地球温暖化の抑制が期待される、いわゆるカーボンニュートラルであるとともに、資源枯渇の問題をも解消できる可能性がある。
このようなバイオマスプラスチックとしては、ポリ乳酸(融点:180℃)等の脂肪族ポリエステルやナイロン11(融点:187℃)等が従来から研究・開発されてきている。しかしながら、これらの樹脂は従来の樹脂に比べて耐熱性が低く、用途が限定されるものであった。
特に、鋼板などの金属の表面および端面の研磨加工において用いられる研磨ブラシ用毛材には、優れた研磨力と共に、研磨面を清浄化することを目的としてブラシが研磨面に接触する箇所に水、温水、各種エマルション、弱アルカリ性液などの液体を散布しつつ作業をする際の耐湿熱性に優れること、研磨工程で発生する摩擦熱によりブラシ同士が溶着しないこと、特に高温で使用する際に折れにくく折損耐久性が優れること、および研磨性能を上げるためにブラシ毛材を強く押圧して使用する際の耐屈曲疲労性に優れることなどの性能が要求されるため、バイオマスプラスチックの利用は困難であった。
具体的には、従来の研磨ブラシ用毛材として、耐湿熱性を改善したポリアミド系熱可塑性高分子樹脂モノフィラメントから成る研磨用繊維(例えば、特許文献1参照)や、屈曲疲労性および折損耐久性に優れるポリアミド樹脂を主成分とした研磨ブラシ用毛材(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかし、これらの文献に例示されているポリアミド樹脂のうち、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン612、およびナイロン12は、石油由来の樹脂であるため上記の通り環境負荷が高く、製造時や廃棄時の環境への影響が懸念される。さらに、ナイロン6およびナイロン66は吸水率が高い樹脂であり、耐湿熱性の面でも満足できるものではなかった。
一方、ナイロン11は上述の通り環境負荷は小さいものの、耐熱性の面で他の樹脂に劣り、耐溶着性の面でも十分満足できるものではなかった。
また、一部がバイオマスであるナイロン610(バイオマス炭素濃度:最大63%)は、従来のポリアミド樹脂に比べれば環境負荷を低減できる可能性があるが、バイオマスの部分的な使用のため十分とはいえなかった。
したがって、低環境負荷、耐湿熱性および耐溶着性の全てを満足する研磨ブラシ用毛材の実現が、従来から大いに期待されていたのが実情である。
特開平4−41183号公報 特開2002−283242号公報
本発明は、上述した従来の研磨ブラシ用毛材の問題点を解決するために検討した結果、達成されたものである。
すなわち本発明の目的は、廃棄時の環境負荷を低減し、かつ耐湿熱性および耐溶着性に優れた研磨ブラシ用毛材を提供することである。
上記目的を達成するために本発明によれば、ASTM D6866/MethodBに準拠して測定されたバイオマス炭素濃度が70〜100%であり、融点200℃以上のポリアミド樹脂100重量部に対し、研磨砥材粒子を10〜50重量部含有せしめた組成物を溶融紡糸したモノフィラメントからなることを特徴とする研磨ブラシ用毛材が提供される。
また、樹脂として、ポリアミドのみからなり、以下に定義される耐湿熱性が62%以上であるものが好ましい。
[耐湿熱性]
研磨ブラシ用毛材を加圧釜を使用し、121℃の飽和水蒸気中でモノフィラメントを2日間(48時間)湿熱処理し、当該湿熱処理後のサンプル及び未処理のサンプルを用いて、JIS P8115記載のMIT試験機を用いて、荷重15.7N、毎分175±10回の速度で、270°折り曲げ、試験片が切れるまでの往復折り曲げ回数を測定する折損耐久性試験を行い、下記式により求める。
耐湿熱性[%]=(湿熱処理後の往復切断回数)/(未処理の往復切断回数)×100
なお、本発明のポリアミドモノフィラメントにおいては、
前記ポリアミド樹脂が、ポリペンタメチレンセバカミド(ナイロン510)樹脂100〜20重量部と、ポリペンタメチレンセバカミド以外のポリアミド樹脂0〜80重量部とからなる樹脂または樹脂組成物であること、
前記研磨砥材粒子の番手が#36〜#3000であること、および
前記モノフィラメントの直径が0.2〜3.5mmであること、
がいずれも好ましい条件であり、これらの条件を適用した場合には、さらに優れた効果の取得を期待することができる。
また、本発明の研磨ブラシは、上記の研磨ブラシ用毛材を使用したことを特徴とする。
本発明の研磨ブラシ用毛材によれば、以下に説明するとおり、70%以上がバイオマス由来でありながら、耐湿熱性、耐溶着性に優れているため、焼却時に大気中の二酸化炭素増加量を減少できる上、長寿命で廃棄量をも減少できることから環境負荷を低減することができる。したがって、鋼板などの金属の表面および端面の研磨加工等に用いられる研磨ブラシ、とりわけ湿環境で使用される研磨ブラシに有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の研磨ブラシ用毛材に使用するポリアミド樹脂は、ASTM D6866/MethodBに準拠して測定されたバイオマス炭素濃度が70〜100%であり、融点200℃以上であることが必要である。
ここで、バイオマス炭素濃度の測定は、ASTM D6866/MethodBに準拠して、以下の方法にて行った。まず、試料の前処理として、研磨ブラシ用毛材を嫌気性雰囲気下で石英管に封入後、完全酸化処理してCO化し、その後鉄粉を触媒として完全還元処理してグラファイト化処理し、加速器質量分析装置(AMS、NEC製Pelletron 9SDH−2.3MVタンデム加速器ベース)に投入し、12C、13C及び14Cを計測してpMC(Parcent Modern Carbon)を算出した。標準物質(シュウ酸(SRM4990C))のpMCとの比からポリアミド樹脂中のバイオマス炭素濃度[%]を決定した。
バイオマス炭素濃度[%]=pMC(試料)/pMC(標準物質)×100
融点は、JIS K7121の規定に準じてセイコー電子工業社製DSC22を使用して、5.00mgのサンプルを昇温速度10℃/分で常温から300℃まで上昇させ、10分間保持した後、冷却し、再度昇温速度10℃/分で常温から300℃まで上昇させたときの二回目(2ndラン)の融解ピーク温度を求める。
上記の条件を満たすポリアミド樹脂であればその種類は限定されないが、例えば、ポリペンタメチレンセバカミド(ナイロン510)やポリテトラメチレンセバカミド(ナイロン410)、さらにポリペンタメチレンセバカミドおよび/またはポリテトラメチレンセバカミドとその他のポリアミド樹脂の混合物および共重合体が挙げられる。その他のポリアミド樹脂としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリノメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)およびこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でもポリペンタメチレンセバカミド樹脂100〜20重量部と、ポリペンタメチレンセバカミド以外のポリアミド樹脂0〜80重量部とからなる樹脂または樹脂組成物であることが好ましい。
ここで、ポリペンタメチレンセバカミド樹脂は、1,5−ジアミノペンタンを主成分として含有する脂肪族ジアミンと、セバシン酸を主成分として含有するジカルボン酸とを重縮合して得られるポリアミド樹脂であり、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分からなるポリアミド樹脂を混合したり、また他のモノマー成分を共重合させたりして2元、または3元以上の共重合ポリアミド樹脂としてもよい。本発明に用いるポリペンタメチレンセバカミド樹脂のうち、1,5−ジアミノペンタンおよびセバシン酸以外のこの様な混合成分や共重合成分等の含有量は、脂肪族ジアミンとジカルボン酸のうち、それぞれ10重量%未満、中でも5重量%未満とすることが好ましい。
この様な他の成分としては、モノマー成分としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸のような脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン等の脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノヘキシル)メタンのような脂環式ジアミン、キシリレンジアミンのような芳香族ジアミンなどが挙げられる。またポリアミド樹脂として混合する場合は、これらを単独又は任意に組み合わせて得られるポリアミド樹脂が挙げられる。
また、本発明を構成する1,5−ジアミノペンタンの製法に制限はないが、例えば、2−シクロヘキセン−1−オンなどのビニルケトン類を触媒としてアミノ酸の一種であるリシンから合成する方法(Chemistry Letters,893(1986)、特公平4−10452)や、リシン脱炭酸酵素を用いてリシンから転換する方法(特願2001−25489)などが知られている。原料としては後者の方法によって得られた1,5−ジアミノペンタンを用いることが好ましい。これは、耐熱性を低下させる原因となる不純物である2,3,4,5−テトラヒドロピリジンやピペリジンが後者の方法で生成しにくいためである。
後者の方法で使用するリシン脱炭酸酵素は、リシンを1,5−ジアミノペンタンに転換させる酵素であり、Escherichia coli(以下E.coliという)K12株をはじめとするエシェリシア属微生物のみならず、多くの生物に存在することが知られている。
本発明において使用するのが好ましいリシン脱炭酸酵素は、これらの生物に存在するものを使用することができ、リシン脱炭酸酵素の細胞内での活性が上昇した組換え細胞由来のものも使用できる。
組換え細胞としては、微生物、動物、植物、または昆虫由来のものが好ましく使用できる。例えば動物を用いる場合、マウス、ラットやそれらの培養細胞などが用いられる。植物を用いる場合、例えばシロイヌナズナ、タバコやそれらの培養細胞が用いられる。また、昆虫を用いる場合、例えばカイコやその培養細胞などが用いられる。また、微生物を用いる場合、例えば、大腸菌などが用いられる。
また、リシン脱炭酸酵素を複数種組み合わせて使用しても良い。
このようなリシン脱炭酸酵素を持つ微生物としては、バシラス・ハロドゥランス(Bacillus halodurans)、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、エシェリシア・コリ(Escherichia coli)、セレノモナス・ルミナンチウム(Selenomonas ruminantium)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)、ストレプトマイセス・コエリカーラ(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・ピロサス(Streptomyces pilosus)、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens)、イユバクテリウム・アシダミノフィルム(Eubacterium acidaminophilum)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、ハフニア・アルベイ(Hafnia alvei)、ナイセリア・メニンギチデス(Neisseria meningitidis)、テルモプラズマ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum)、ピロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)またはコリネバクテリウム・グルタミカス(Corynebacteriumglutamicum)等が挙げられる。
リシン脱炭酸酵素を得る方法に特に制限はないが、例えば、リシン脱炭酸酵素を有する微生物や、リシン脱炭酸酵素の細胞内での活性が上昇した組換え細胞などを適当な培地で培養し、増殖した菌体を回収し、休止菌体として用いることも可能であり、また当該菌体を破砕して無細胞抽出液を調製して用いることも可能であり、また必要に応じて精製して用いることも可能である。
リシン脱炭酸酵素を抽出するために、リシン脱炭酸酵素を有する微生物や組換え細胞を培養する方法に特に制限はないが、例えば微生物を培養する場合、使用する培地は、炭素源、窒素源、無機イオンおよび必要に応じその他有機成分を含有する培地が用いられる。例えば、E.coliの場合しばしばLB培地が用いられる。炭素源としては、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラクトース、アラビノース、マルトース、キシロース、トレハロース、リボースや澱粉の加水分解物などの糖類、グリセロール、マンニトールやソルビトールなどのアルコール類、グルコン酸、フマール酸、クエン酸やコハク酸等の有機酸類を用いることができる。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、大豆加水分解物などの有機窒素、アンモニアガス、アンモニア水等を用いることができる。有機微量栄養素としては、各種アミノ酸、ビタミンB1等のビタミン類、RNA等の核酸類などの要求物質または酵母エキス等を適量含有させることが望ましい。それらの他に、必要に応じて、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、鉄イオン、マンガンイオン等が少量添加される。
培養条件にも特に制限はなく、例えばE.coliの場合、好気条件下で16〜72時間程度実施するのが良く、培養温度は30℃〜45℃に、特に好ましくは37℃に、培養pHは5〜8に、特に好ましくはpH7に制御するのがよい。なおpH調整には無機あるいは有機の酸性あるいはアルカリ性物質、さらにアンモニアガス等を使用することができる。
増殖した微生物や組換え細胞は、遠心分離等により培養液から回収することができる。回収した微生物や組換え細胞から無細胞抽出液を調整するには、通常の方法が用いられる。すなわち、微生物や組換え細胞を超音波処理、ダイノミル、フレンチプレス等の方法にて破砕し、遠心分離により菌体残渣を除去することにより無細胞抽出液が得られる。
無細胞抽出液からリシン脱炭酸酵素を精製するには、硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、等電点沈殿、熱処理、pH処理等酵素の精製に通常用いられる手法が適宜組み合わされて用いられる。精製は、完全精製である必要は必ずしもなく、リシン脱炭酸酵素以外のリシンの分解に関与する酵素、生成物である1,5−ジアミノペンタンの分解酵素等の夾雑物が除去できればよい。
リシン脱炭酸酵素によるリシンから1,5−ジアミノペンタンへの変換は、上記のようにして得られるリシン脱炭酸酵素を、リシンに接触させることによって行うことができる。
反応溶液中のリシンの濃度については、特に制限はない。
リシン脱炭酸酵素の量は、リシンを1,5−ジアミノペンタンに変換する反応を触媒するのに十分な量であればよい。
反応温度は、通常、28〜55℃、好ましくは40℃前後である。
反応pHは、通常、5〜8、好ましくは、約6である。1,5−ジアミノペンタンが生成するにつれ、反応溶液はアルカリ性へ変わるので、反応pHを維持するために無機あるいは有機の酸性物質を添加することが好ましい。好ましくは塩酸を使用することができる。
反応には静置または攪拌のいずれの方法も採用し得る。
リシン脱炭酸酵素は固定化されていてもよい。
反応時間は、使用する酵素活性、基質濃度などの条件によって異なるが、通常、1〜72時間である。また、反応は、リシンを供給しながら連続的に行ってもよい。
このように生成した1,5−ジアミノペンタンを反応終了後、反応液から採取する方法としては、イオン交換樹脂を用いる方法や沈殿剤を用いる方法、溶媒抽出する方法、単蒸留する方法、その他通常の採取分離方法が採用できる。
ここで、本発明において1,5−ジアミノペンタンやセバシン酸の原料については、石油資源由来の原料に比べて製造・廃棄時の環境負荷を低減できるバイオマス由来の原料を50重量%以上用いることが好ましい。より好ましくは75重量%以上であり、最も好ましくは100重量%である。例えば、1,5−ジアミノペンタンの原料となるリシンはサトウキビや大豆を、セバシン酸はヒマ(トウゴマ)を原料として作ることが可能である。
本発明のモノフィラメントに用いるポリアミド樹脂の重合方法は特に制限はなく、従来公知の任意の方法から適宜選択、決定し、使用することが出来る。例えば製造方法の一例としては、1,5−ジアミノペンタンとセバシン酸との水溶液を高温高圧で加熱し、脱水反応を進行させる加熱重合法や、1,5−ジアミノペンタンとセバシン酸を加圧加熱重合して低次縮合物を得た後、その低次縮合物を高分子量化する方法等が挙げられる。また、1,5−ジアミノペンタンを溶解した水等の水性溶媒と、セバシン酸クロリド等のセバシン酸塩を水性溶媒と相溶性の低い有機溶媒に溶解させた溶液とを接触させ、これらの界面で重縮合させる方法(界面重合法)等も挙げられる。中でも、化学工業的に製造する為には加熱重合法による製造方法が好ましい。
本発明のモノフィラメントに用いるポリアミド樹脂の重合度は、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択し、決定すればよい。一般的には相対粘度が低すぎると実用的強度が不十分である場合があり、また高すぎてもポリアミド樹脂の流動性が低下し、成形加工性が損なわれる場合があるので、その相対粘度としてポリアミド樹脂含有量を0.01g/mLとした98%硫酸溶液の25℃における相対粘度が、1.5〜8であることが好ましく、中でも1.8〜5であることが好ましい。
次に、本発明に使用する研磨砥材粒子は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の酸化物、炭化珪素等の炭化物、窒化珪素等の窒化物、及び人工ダイヤモンド等の人造研磨材又はダイヤモンド、コランダム、エメリー、ざくろ石等の天然研磨材が挙げられ、これらを単独もしくは2種類以上混合して用いてもよい。研磨砥材粒子の粒度は、研磨力および紡糸性の面から#36〜#3000、特に#60〜#1000が好ましい。
研磨砥材粒子の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し、研磨砥材粒子を10〜50重量部であることが必要であり、さらに15〜40重量部であることが好ましい。研磨砥材粒子の添加量が上記の範囲未満では研磨力が不十分となり、また上記の範囲を超えるとモノフィラメントの強力が低下し、折損耐久性が低下する傾向となるため好ましくない。
なお、本発明においては、研磨砥材粒子の脱落を低減させるために、使用する研磨砥材粒子の表面に予めシランカップリング処理を施すことが好ましい。
なお、本発明の研磨ブラシ用毛材には、本発明の効果を損なわない範囲で、諸機能を向上させる添加剤を含んでいても良い。例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン、アニリンブラック等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体(他のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂、SAN樹脂、ポリスチレン等)が挙げられる。これらの中でも特に、ヨウ化第一銅0.2〜2重量部および2−メルカプトベンズイミダゾール0.02〜2重量部を添加した場合には、特開2002−283242に記載の通り、耐屈曲疲労性および折損耐久性に優れるため好ましい。これら添加剤は、ポリアミド樹脂を製造する工程や、ポリアミドモノフィラメントの成型工程など、添加量、添加工程等を適宜選択、決定して添加すればよい。
本発明の研磨ブラシ用毛材としてのモノフィラメントは、上記ポリアミド樹脂に必要量の研磨砥材粒子を混合せしめてから、溶融紡糸機に供し、紡糸せしめた後冷却し、さらに必要に応じて延伸することによって得られる。
このようにして得られるモノフィラメントの平均直径は、0.2〜3.5mm、特に0.4〜3.0mmが好適である。ここで、モノフィラメントの直径が上記の範囲未満では、毛腰が弱すぎて研磨効果が小さくなり、また上記範囲を超えると毛腰が強すぎて硬く曲げにくくり、例えばディスク板などに対して折り曲げての植毛が困難になるため好ましくない。
また、モノフィラメントの断面形状は、円形以外にも楕円形、三角形、矩形およびその他の異形にすることができる。
さらに、本発明の研磨ブラシ用毛材には、研磨ブラシの用途に応じて、その側面長手方向に波形状を付与することもできる。
かくしてなる本発明の研磨ブラシ用毛材は、低環境負荷でありながら、同時に耐湿熱性および耐溶着性をも満足するという好ましい性能を発揮する。
したがって、本発明の研磨ブラシ用毛材は、これを所定の長さに切り揃え、チャンネルおよびディスクロールなどに植毛することにより、カップブラシ、筒状ブラシおよび回転ブラシなどの研磨ブラシとして、特に湿環境での研磨加工に有効に利用することができる。
以下に例を挙げて本発明の構成および効果をさらに説明する。
なお、以下の実施例および比較例におけるバイオマス炭素濃度、融点、折損耐久性、耐湿熱性、湿曲げ硬さ、耐溶着性、研磨性能および環境負荷の評価は、以下に記載の方法により行った。
[バイオマス炭素濃度]
ASTM D6866/MethodBに準拠して、以下の方法にてバイオマス炭素濃度を測定した。まず、試料の前処理として、研磨ブラシ用毛材を嫌気性雰囲気下で石英管に封入後、完全酸化処理してCO化し、その後鉄粉を触媒として完全還元処理してグラファイト化処理し、加速器質量分析装置(AMS、NEC製Pelletron 9SDH−2.3MVタンデム加速器ベース)に投入し、12C、13C及び14Cを計測してpMC(Parcent Modern Carbon)を算出した。標準物質(シュウ酸(SRM4990C))のpMCとの比からポリアミド樹脂中のバイオマス炭素濃度[%]を決定した。
バイオマス炭素濃度[%]=pMC(試料)/pMC(標準物質)×100
なお、ポリアミド樹脂中のバイオマス炭素濃度を測定するため、炭素元素を含む研磨砥材粒子(ダイヤモンド、炭化珪素など)を含有する研磨ブラシ用毛材の場合、研磨用ブラシを酸に溶解し、不溶の研磨砥材粒子を除去した後の樹脂溶液を使用して測定を行った。
[融点]
JIS K7121の規定に準じてセイコー電子工業社製DSC22を使用して、5.00mgの試料を昇温速度10℃/分で常温から300℃まで上昇させ、10分間保持した後、冷却し、再度昇温速度10℃/分で常温から300℃まで上昇させたときの二回目(2ndラン)の融解ピーク温度を求める。
[折損耐久性]
JIS P8115記載のMIT試験機を用いて、荷重15.7N、毎分175±10回の速度で、270°折り曲げ、試験片が切れるまでの往復折り曲げ回数、すなわち耐屈曲疲労性を5回測定し、その平均値を求めた。
[耐湿熱性]
研磨ブラシ用毛材を加圧釜を使用し、121℃の飽和水蒸気中でモノフィラメントを2日間(48時間)湿熱処理した。処理後のサンプルを用いて、上記折損耐久性試験を行い、(湿熱処理後の往復切断回数)/(未処理の往復切断回数)×100にて耐湿熱性[%]を評価した。
[湿曲げ硬さ]
予め16時間以上水に浸漬させたモノフィラメントを用いて測定した。 水平方向に10mm間隔で2本設置された直径2mmのステンレス棒の下に長さ約4cmにカットしたモノフィラメント試料が接触するようにセットし、ステンレス棒の中間で試料に直径1mmのステンレス製フックを掛け、(株)メネベア製「TCM−200型万能引張・圧縮試験機」を使用して、ステンレス製フックを速度50mm/分で引き上げ、この時生じる最大応力を曲げ硬さとした。
[耐溶着性]
研磨ブラシ用毛材を内径45mm、外径70mm、毛丈30mmに植毛したカップ状ブラシを作成した。このカップ状ブラシを用いて、JIS G3101(1976)に規定される圧延鋼材SS41の厚さ2mmの鋼板を、ブラシ毛材のほぼ垂直方向に約120g/cmの面圧をかけて、80℃の定量温水を散布しつつ、12000rpmで回転させながら、表面の研磨加工を30分間行った。加工後の鋼板表面に対する研磨ブラシ用毛材の溶着物の付着状況(汚れ)を目視観察して、次の四規準に評価分類した。
◎:溶着物の付着がない、
○:溶着物の付着は僅かにあるが、殆ど目立たない、
△:溶着物の付着が少しある、
×:溶着物の付着が多い。
[研磨性能]
上記耐溶着性の試験にて削り取られた鋼材の質量を測定した。この削り取られた鋼材の質量が大きいほど研磨性に優れていることを示す。この作業を引き続き5回繰り返し行い、削り取られた真鍮金属の質量の平均値を算出した。
[環境負荷]
使用後の廃棄において、焼却処分された場合の大気中の二酸化炭素増加量について、評価した。研磨用毛材100gを焼却したときに発生する二酸化炭素のうち大気中の二酸化炭素を増加させる、すなわちバイオマス由来でない二酸化炭素量を算出し、ナイロン6のみからなるモノフィラメントを100gを焼却した場合を100%として、割合を求めた。
[ポリペンタメチレンセバカミド樹脂の合成]
まず、リシン脱炭酸酵素の調整および1,5−ジアミノペンタンの合成を以下の方法で行った。E.coli JM109株をLB培地5mLに1白金耳植菌し、30℃で24時間振とうして前培養を行った。次に、LB培地50mLを500mLの三角フラスコに入れ、予め115℃、10分間蒸気滅菌した。この培地に前培養した上記菌株を植え継ぎ、振幅30cmで、180rpmの条件下で、1N塩酸水溶液でpHを6.0に調整しながら、24時間培養した。こうして得られた菌体を集め、超音波破砕および遠心分離により無細胞抽出液を調製した。リシンを基質とした場合、本来の主経路と考えられるリシンモノオキシゲナーゼ、リシンオキシダーゼおよびリシンムターゼによる転換が起こり得るので、この反応系を遮断する目的で75℃で5分間、E.coli JM109株の無細胞抽出液を加熱した。さらにこの無細胞抽出液を40%飽和および55%飽和硫酸アンモニウムにより分画して粗精製リシン脱炭酸酵素を得た。
次に、50mM リシン塩酸塩(和光純薬工業製)、0.1mM ピリドキサルリン酸(和光純薬工業製)、40mg/L−粗精製リシン脱炭酸酵素(上記の方法で調製)となるように調製した水溶液1000mLを、0.1N塩酸水溶液でpHを5.5〜6.5に維持しながら、45℃で48時間反応させ、1,5−ジアミノペンタン塩酸塩を得た。この水溶液に水酸化ナトリウムを添加することによって1,5−ジアミノペンタン塩酸塩を1,5−ジアミノペンタンに変換し、クロロホルムで抽出して、減圧蒸留(10mmHg、60℃)することにより、1,5−ジアミノペンタンを得た。
この1,5−ジアミノペンタンを用いてポリペンタメチレンセバカミド(以下、ナイロン510)樹脂の合成を以下の方法で行った。1,5−ジアミノペンタンとセバシン酸の等モル塩の50重量%水溶液と、フェニルホスホン酸を等モル塩に対してリン原子換算で70ppm仕込み、重合缶内を窒素パージしながら熱媒温度を200℃に設定し加熱を開始し、缶内圧力を0.2MPaに制圧しながら、缶内温度が160℃到達まで1,5−ジアミノペンタンとセバシン酸の等モル塩を濃縮した。その後、重合釜を密閉し、熱媒温度を245℃に設定し、加熱を開始した。缶内圧力が1.7MPaに到達した後、缶内圧力を1.7MPaで制圧し、缶内温度が245℃となるまで維持した。そして熱媒温度を255℃に設定し、1時間かけて缶内圧力を常圧に放圧した後、缶内圧力が0.088MPaまで減圧して、20分間保ち、加熱を停止してポリマーを吐出し、水冷してナイロン510樹脂を得た。
[実施例1]
ポリアミド樹脂として上記の方法にて得られたナイロン510樹脂を用い、この樹脂100重量部に対して、シランカップリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製SH6020)を0.2重量%被覆処理した粒度番手#320の炭化ケイ素研磨砥材粒子(昭和電工(株)社製)20重量部添加した組成物を二軸押出紡糸機に供し、押出温度255℃の条件で孔径2.5mmの紡糸ノズルから溶融紡糸した後、200℃で3.0倍に延伸することにより、直径が1.00mmのモノフィラメントを製造し、これを研磨ブラシ用毛材として使用した。
[実施例2、3]
炭化ケイ素研磨砥材粒子の含有量をそれぞれ15重量部、40重量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件で直径が1.00mmのモノフィラメントを製造し、これを研磨ブラシ用毛材として使用した。
[実施例4]
炭化ケイ素研磨砥材粒子の粒度番手を#36とし、孔径3.0mmの紡糸ノズルを使用した以外は、実施例1と同様の条件で直径が2.00mmのモノフィラメントを製造し、これを研磨ブラシ用毛材として使用した。
[実施例5]
炭化ケイ素研磨砥材粒子の粒度番手を#1000とした以外は、実施例1と同様の条件で直径が0.600mmのモノフィラメントを製造し、これを研磨ブラシ用毛材として使用した。
[実施例6〜9]
ポリアミド樹脂を表1に示した樹脂組成物B〜Eにそれぞれ変更した。すなわち、上記の方法にて得られたナイロン510樹脂20重量部とナイロン610樹脂(東レ(株)製“アミラン”CM2021)80重量部の混合物(樹脂B)、ナイロン510樹脂95重量部とナイロン6樹脂(東レ(株)製“アミラン”CM1010)5重量部の混合物(樹脂C)、ナイロン510樹脂95重量部とナイロン56樹脂(特開2004−075932の方法で合成したもの)5重量部の混合物(樹脂D)、ナイロン510樹脂95重量部とナイロン11樹脂(アルケマ(株)製“RilsanB”)5重量部の混合物(樹脂E)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で直径が1.00mmのモノフィラメントを製造し、これを研磨ブラシ用毛材として使用した。
[比較例1〜5]
ポリアミド樹脂を表1に示した樹脂組成物F〜Jにそれぞれ変更した。すなわち、ナイロン610樹脂100重量部(樹脂F)、ナイロン6樹脂100重量部(樹脂G)、ナイロン11樹脂100重量部(樹脂H)、ナイロン510樹脂10重量部とナイロン610樹脂90重量部の混合物(樹脂I)、ナイロン510樹脂30重量部とナイロン6樹脂70重量部の混合物(樹脂J)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で直径が1.00mmのモノフィラメントを製造し、これを研磨ブラシ用毛材として使用した。
[比較例6、7]
炭化ケイ素研磨砥材粒子の含有量をそれぞれ60重量部、5重量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件で直径が1.00mmのモノフィラメントを製造し、これを研磨ブラシ用毛材として使用した。
以上の研磨ブラシ用毛材のポリアミド樹脂原料組成を表1に、原料および毛材の特性を表2に示す。
Figure 0005724082
Figure 0005724082
表2の結果から明らかなように、本発明の研磨ブラシ用毛材(実施例1〜9)は、バイオマス炭素濃度が70%以上でありながら、耐湿熱性および耐溶着性に優れており、廃棄時の環境負荷も低い。
一方、ポリアミド樹脂としてナイロン610樹脂100重量部を用いた研磨ブラシ用毛材(比較例1)は、バイオマス炭素濃度が低く、廃棄時の環境負荷が高い。また、ナイロン6樹脂100重量部を用いた研磨ブラシ用毛材(比較例2)は、バイオマス炭素濃度が低く、環境負荷が高いばかりか、耐湿熱性に劣る。ナイロン11樹脂100重量部を用いた研磨ブラシ用毛材(比較例3)は、バイオマス炭素濃度が100%であり環境負荷は小さいものの、融点が低く、耐溶着性に劣る。ナイロン510樹脂10重量部とナイロン610樹脂90重量部の混合物を用いた研磨ブラシ用毛材(比較例4)は、樹脂のバイオマス炭素濃度が低いため環境負荷が高く、ナイロン510樹脂30重量部とナイロン6樹脂70重量部の混合物を用いた研磨ブラシ用毛材(比較例5)は、樹脂のバイオマス炭素濃度がかなり低いため環境負荷が極めて高いばかりか、耐湿熱性および耐溶着性にも劣るものであった。
研磨砥材粒子を多量に含有する研磨ブラシ用毛材(比較例6)は、折損耐久性や耐溶着性に劣り、逆に研磨砥材粒子を少量しか含有していない研磨ブラシ用毛材(比較例7)は、研磨性能が低く、使用に適さないものであった。
本発明の研磨ブラシ用毛材は、低環境負荷でありながら、同時に耐湿熱性および耐溶着性をも満足するという好ましい性能を発揮する。
したがって、本発明の研磨ブラシ用毛材は、これを所定の長さに切り揃え、チャンネルおよびディスクロールなどに植毛することにより、カップブラシ、筒状ブラシおよび回転ブラシなどの研磨ブラシとして、特に湿環境での研磨加工に有効に利用することができる。

Claims (4)

  1. 樹脂としてポリアミドのみからなり、ASTM D6866/MethodBに準拠して測定されたバイオマス炭素濃度が70〜100%であり、融点200℃以上のポリアミド樹脂100重量部に対し、
    研磨砥材粒子を10〜50重量部含有せしめた組成物を
    溶融紡糸した、以下に定義される耐湿熱性が62%以上であるモノフィラメントからなり、
    前記ポリアミド樹脂が、ポリペンタメチレンセバカミド樹脂100〜20重量部と、ポリペンタメチレンセバカミド以外のポリアミド樹脂0〜80重量部とからなる樹脂または樹脂組成物であることを特徴とする研磨ブラシ用毛材。
    [耐湿熱性]
    研磨ブラシ用毛材を加圧釜を使用し、121℃の飽和水蒸気中でモノフィラメントを2日間(48時間)湿熱処理し、当該湿熱処理後のサンプル及び未処理のサンプルを用いて、JIS P8115記載のMIT試験機を用いて、荷重15.7N、毎分175±10回の速度で、270°折り曲げ、試験片が切れるまでの往復折り曲げ回数を測定する折損耐久性試験を行い、下記式により求める。
    耐湿熱性[%]=(湿熱処理後の往復切断回数)/(未処理の往復切断回数)×100
  2. 前記研磨砥材粒子の番手が#36〜#3000であることを特徴とする請求項1に記載の研磨ブラシ用毛材。
  3. 前記モノフィラメントの直径が0.2〜3.5mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨ブラシ用毛材。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の研磨ブラシ用毛材を使用したことを特徴とする研磨ブラシ。
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