JP5723531B2 - チューブ内に保持された凍結乾燥製剤 - Google Patents
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Description
これらの製剤はいずれも凍結乾燥製剤であり含量均一性には問題ないと思われるものの、凍結乾燥するには微量の薬剤溶液を個々の薬剤容器毎に充填する必要があり、工業的な大量生産には向かない製造形態である。
そこで本発明は、薬効成分、特にインターフェロンなどのような微量活性成分を一定量正確に投与するのに適した、かつ1回の投与で使い切りとなる口腔内または経口投与が可能な凍結乾燥製剤およびその製法を提供することを目的としている。
[項1]口腔内投与、経口投与または鼻腔内投与が可能なチューブ内に保持されていることを特徴とする、薬効成分および水溶性高分子を含む凍結乾燥製剤。
また、該チューブを製造する場合も、従来のような個々の容器に薬液を分注してから凍結し、凍結乾燥するという煩雑な操作をせずに製造できるため、大量生産が可能となる。
本発明において、薬効成分の種類については、口腔内投与、経口投与または鼻腔内投与が可能で、凍結乾燥が可能な薬物であれば特に制限はない。本発明は、微量で活性が強く熱に不安定な薬物、例えば、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、ビタミン、ステロイド、蛋白またはペプチド等の生理活性物質を薬効成分として使用する場合に特に有用である。蛋白またはペプチドの具体例としては、インターフェロン、コロニー形成刺激因子、成長ホルモン、成長ホルモン放出因子、インシュリン様成長因子、プラスミノーゲン活性化因子、エリスロポエチン、インターロイキンなどのサイトカインが挙げられる。インターフェロンとしては例えば、インターフェロン−α、インタフェロン−β、インタフェロン−γ等が挙げられる。本発明の凍結乾燥製剤中の薬効成分の量は、凍結乾燥が可能な量であれば特に制限はなく、1つのチューブ内に1回投与量が保持されていることが好ましい。1回投与量の2分の1、3分の1などの量を保持した製剤として、一度に2回、3回など投与してもよい。また、単位長さあたりの薬効成分の量を基に、使用時に必要な量の薬効成分の量になるようにチューブを切断して使用してもよい。
例えば、薬効成分がインターフェロンの場合、1つのチューブあたり、1回の投与量として、インターフェロンが10〜1000IU、好ましくは20〜200IU含まれる。
より好ましくは、コラーゲンおよび/またはゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ジェランガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カルボキシビニルポリマーおよびデキストリンからなる群から選ばれる水溶性高分子であり、
さらに好ましくは、コラーゲンおよび/またはゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ジェランガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カルボキシビニルポリマーおよびデキストリンからなる群から選ばれる水溶性高分子であり、
特に好ましくは、コラーゲンおよび/またはゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ジェランガム、カルボキシビニルポリマーおよびデキストリンからなる群から選ばれる水溶性高分子である。これらの水溶性高分子は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
凍結乾燥製剤中の水溶性高分子の量は、チューブ内のケーキ形状保持の観点から0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であり、一方、使用時の溶解性や吐出性を考慮すると10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
本発明製剤の製造方法は、薬効成分および水溶性高分子の水溶液を、チューブ内に注入し、凍結後、所定の長さに切断して凍結乾燥することを特徴とすることから、極微量の薬効成分を充てんするのに適しており、かつ含量均一性に優れた製剤を得るのに特に有用である。
すなわち、水溶性高分子の粘稠な水溶液を調製し、これに薬効成分を添加、攪拌する。この際薬学上許容される賦形剤、安定剤、甘味剤、pH調節剤などやチューブ内壁への吸着を防止するための添加剤、例えばポリソルベート80などを必要に応じて加えることができる。
この混合物をディスポシリンジに分注し、必要に応じて遠心脱泡する。遠心脱泡する際の遠心分離は、例えば、2000〜3000rpmで5〜10分程度の条件で行われる。このようにして得られたものをチューブ内に押出注入し、凍結する。注入するチューブの長さは任意であるが、あまり長くすると押圧が高くなるため、チューブの長さとしては300〜1200mmが好ましい。また、凍結方法としてはドライアイス、液体窒素および冷凍庫などが利用できる。
凍結後、凍結されたチューブをカッターで所定の長さに切断し、トレイに入れ、常法にて凍結乾燥することによって、チューブ内に保持された凍結乾燥製剤を得ることができる。
得られた製剤は、シリカゲルなどの乾燥剤と共にアルミ袋詰めするのが活性および品質を安定に保つ上でも望ましい。
本発明の製剤はヒトに適応するほか、ウシ、ウマ、ブタ、ニワトリおよび他の小動物、例えば、イヌ、ネコなどに薬効成分、特に微量活性成分を一定量正確に投与することが可能である。
実施例1
表1記載の処方になるように、以下の手順で溶液を調製した。精製水にカルボキシビニルポリマー、スクロースを添加し、攪拌溶解した。次に、水酸化ナトリウムまたは塩酸を用いてpH調整した。pH調整後、ポリソルベート80およびインターフェロン−αを加えて攪拌し、精製水を用いて全量調整した。
調製した溶液を、20mLディスポシリンジに分注して遠心脱泡(2500rpm、5分)し、外径3mm、内径2mm、長さ330mmのPFAチューブ内に充てんした。充てんしたPFAチューブを冷凍庫内で凍結した。凍結後、凍結したチューブをカッターを用いて長さ30mmに切断した。切断したチューブをトレイに入れて凍結乾燥し、チューブ凍結乾燥製剤を得た。
表2記載の処方になるよう以下の手順で溶液を調製した。精製水にアテロコラーゲン、ゼラチン、スクロースを添加し、攪拌溶解した。次に、pHを確認後、ポリソルベート80およびインターフェロン−αを加えて攪拌し、精製水を用いて全量調整した。
調製した溶液を、20mLディスポシリンジに分注して遠心脱泡(2000rpm、5分)し、外径3mm、内径2mm、長さ330mmのPFAチューブ内に充てんした。充てんしたPFAチューブを冷凍庫内で凍結した。凍結後、凍結したチューブをカッターを用いて長さ30mmに切断した。切断したチューブをトレイに入れて凍結乾燥し、チューブ凍結乾燥製剤を得た。
表6に示す水溶性高分子を用いて、100g中の配合量が表6の割合になるような水溶液を調製した。溶液のpHは、塩酸または水酸化ナトリウムを用いてpH6〜7の範囲に入るよう調整した。調製した溶液を、実施例1と同様に処理し、参考例1〜5を得た。
実施例1と実施例2で得たチューブ凍結乾燥製剤を、シリカゲル1gと一緒にプラスチック瓶に入れ密栓しアルミ袋に入れた後、40℃/75%RHで2週間ならびに1箇月保存し、安定性を評価した。表7にチューブ凍結乾燥製剤のインターフェロン−α含有量を、ELISA(エンザイム リンクド イムノソルベント アッセイ)法で測定した結果を示す。表7より、実施例1と実施例2のチューブ凍結乾燥製剤は長期保存後も安定であることが分かる。
実施例1〜13および参考例1〜5の凍結乾燥製剤の凍結乾燥直後の外観(ケーキ形状)の観察結果と、投与器によるチューブ内の薬物の吐出性について評価した結果を表8に示す。投与器は市販の150mL分注瓶(ポンプ式)を用いた。溶剤は精製水、吐出液量は1mLである。また、吸湿性試験として、凍結乾燥製剤を室温/75%RHの環境下で1時間保存後の外観(ケーキ形状)の観察結果を示す。表8より、カルボキシビニルポリマー単独を用いた実施例1では吸湿性があるものの、他の水溶性高分子と組み合わせた参考例1〜5では吸湿性が改善されていることが分かる。
Claims (8)
- 口腔内投与、経口投与または鼻腔内投与が可能なスプレー投与器装着用カートリッジチューブ内に保持されていることを特徴とする、薬効成分、水溶性高分子およびポリソルベート80を含む凍結乾燥製剤であって、
薬効成分、水溶性高分子およびポリソルベート80の水溶液を、チューブに注入し、凍結後、所定の長さに切断して凍結乾燥して得られた凍結乾燥製剤。 - 水溶性高分子が、コラーゲンおよび/またはゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ジェランガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カルボキシビニルポリマー、ポリペプチド、デキストリン、シクロデキストリン、プルラン、アラビアゴム、カラギーナン、グァーガム、寒天、高重合ポリエチレングリコールおよびメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体からなる群より選ばれた少なくとも一種以上である、請求項1に記載の凍結乾燥製剤。
- 水溶性高分子が、コラーゲンおよび/またはゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ジェランガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カルボキシビニルポリマーおよびデキストリンからなる群より選ばれた少なくとも一種以上である、請求項1に記載の凍結乾燥製剤。
- 薬効成分が、生理活性物質である、請求項1〜3のいずれかに記載の凍結乾燥製剤。
- 生理活性物質が、サイトカインである、請求項4に記載の凍結乾燥製剤。
- サイトカインが、インターフェロンである、請求項5に記載の凍結乾燥製剤。
- 薬効成分、水溶性高分子およびポリソルベート80を含む水溶液を、チューブに注入し、凍結後、所定の長さに切断して凍結乾燥することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の凍結乾燥製剤の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の凍結乾燥製剤をスプレー投与器の噴射口に装着して、スプレー投与器から溶剤を噴射することによって、薬物をヒト以外の動物に口腔内投与、経口投与または鼻腔内投与する方法。
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