JP5723145B2 - 磁気軸受式チューブラー型撚線機 - Google Patents
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Description
このため、出願人は、振動に起因する素線の断線を低減し、高速回転化による生産性の向上を図るため、重量の大きい集合ダイス側の軸受に非接触式の静圧式空気軸受を使用し、チューブ回転数6500rpm(最大8000rpm)で、チューブの回転軸の機械振動値が変位10μm以下のチューブラー型撚線機を実用化している。
また、この発明によれば、チューブの回転軸を回転駆動する駆動装置として、チューブの回転軸を非接触で回転駆動するビルトインモータを用い、チューブの同一回転軸に対して、非接触で回転駆動するビルトインモータと非接触で軸承するラジアル磁気軸受を配備するようにしたので、ラジアル磁気軸受により所定の回転中心に位置決めされたチューブの回転軸に対して、従来のベルトドライブのように径方向に変位させる力が発生せず、より安定にチューブの回転軸の振動が低減される。
また、この発明によれば、チューブの回転軸の径方向の軸受とともに軸方向の軸受を磁気軸受化し、チューブの同一回転軸に対して、非接触で回転駆動するビルトインモータと非接触で径方向を軸承するラジアル磁気軸受と非接触で軸方向を軸承するアキシャル磁気軸受を配備するようにしたので、運転中にチューブは完全に筐体と非接触の状態に保持され、筐体に伝達される機械振動が抑制され、騒音が大幅に低減される。
また、チューブの外周部の外表面を黒色コーティングし、断線検出センサに、反射板からの反射パルスのうちチューブの窓の通過によって生ずる疑似反射パルスをマスクするマスク手段を備えるので、チューブが回転しているときのチューブの外周部の外表面からの外乱が抑制されるとともに、反射板が断線検出センサからの光ビームを反射する位置で停止した場合においてもチューブの回転によって生ずる疑似反射パルスが抑制され、素線切れを正しく判断することができる。
前記従動側キャプスタンは、前記撚線の周回ターン毎にそれぞれ独立の回転ホイールを備え、前記各回転ホイールにはそれぞれ独立の回転軸受を備えたものであることが好ましい。
また、この発明によれば、素線ガイドパイプのうちチューブの外周部を長手方向に素線を導く部分は、チューブの外周肉厚部に設けられた挿通穴に装着されるので、チューブの外周部分に突起物が形成されず、素線ガイドパイプによる風切り音が発生せず、騒音が抑制される。
また、この発明によれば、チューブの外周肉厚部に設けられた挿通穴に装着される素線ガイドパイプは、着脱自在および/または回転可能に装着されるので、素線を繰り返し通過させた場合でもチューブの挿通穴に直接損傷を与えることがなく、素線ガイドパイプに損傷を生じた場合でも素線ガイドパイプを交換または回転することによって簡便に対応することができ、メンテナンスコストが低減される。
また、万一タッチダウン軸受が損傷した場合でも、損傷した小径の転がり軸受部分のみを交換すれば足り、補修時間や補修コストを大幅に低減できる。
本願発明の一実施形態にかかる磁気軸受式チューブラー撚線機100は、長手方向がほぼ水平に載置され、長手方向の回転軸の廻りに回転駆動される筒状のチューブ10と、チューブ10内に装着され、撚り合わされる素線が巻き取られた複数の素線ボビン20と、複数の素線ボビン20の各々を、巻き取られた素線を引き出し可能に、チューブ10内の長手方向に配列して装着する素線ボビン装着機構であって、チューブ10の回転に伴って素線ボビン装着機構が回転しないようにチューブ10の回転軸に軸承される軸受をそれぞれ有する複数のクレードル30と、各クレードル30に装着された各素線ボビン20から引き出されてチューブ10の外周部を介してチューブ10の長手方向の一端側に導かれた各素線を集合する集合ダイス50と、チューブ10の回転によって集合ダイス50に集合された各素線が撚り合わされて形成される撚線を引き取る引取装置60と、チューブ10の回転を非常停止させるブレーキ90を、本体架台1上に備える。
チューブ10の回転軸の一端側においてチューブの回転軸の軸方向を軸承するアキシャル軸受として、後部チューブロータ軸12bに後部アキシャル磁気軸受70cを備える。
また、チューブ10の回転軸を回転駆動する駆動装置として、後部チューブロータ軸12bにはベルトを介さずに後部チューブロータ軸12bを非接触で直接回転駆動するビルトインモータ80を備える。
前部ラジアル磁気軸受70aは、本体架台1に固定され、前部チューブロータ軸12aの径方向の外周を囲うように設置される前部ラジアルステータ72aと、前部ラジアルステータ72aの内側において前部チューブロータ軸12aの外周面に対して所定のギャップを持って等間隔に配備された32個のラジアル電磁石73aと、前部ラジアルステータ72aに固定され、前部チューブロータ軸12aの径方向の対向する位置において前部チューブロータ軸12aの外周面との距離の変位を計測する一対の変位センサを前部チューブロータ軸12aの径方向の直行する2方向に設けた前部ラジアル変位センサ74aと、前部ラジアルステータ72aに固定され、前部ラジアル磁気軸受の制御に異常が発生した場合に前部ラジアル電磁石73aを保護するように、前部ラジアル電磁石73aの内径面より内側に接触面を有する前部ラジアルタッチダウン軸受76aとを備える。
ブレーキ90は、後部チューブロータ軸12bに固定され、後部チューブロータ軸12bとともに回転するブレーキディスク92と、本体架台1に固定され、空圧によりブレーキディスク92をブレーキパッドで挟み込んで制動する空圧キャリパ94とを備える。
図3は、前部ラジアル磁気軸受70aの前部ラジアルタッチダウン軸受76aの断面図解図を示すものであるが、後部ラジアル磁気軸受70bの後部ラジアルタッチダウン軸受76bについても同様である。
図3において、(a)は前部ラジアル磁気軸受70a全体の断面図解図であり、(b)は(a)を右方向から見た断面図解図である。
前部ラジアル磁気軸受70aは、前部ラジアルステータ72aを収容するハウジングに対して、前部ラジアル変位センサ74aを収容する前部センサハウジング77aと、前部ラジアルタッチダウン軸受76aを収容する前部ラジアルタッチダウンハウジング78aが固定されている。
クレードル30は、素線ボビン20を装着する筐体となるクレードル筐体31を備え、クレードル筐体31は、チューブ10の回転によって筐体が回転しないように、前方回転軸32はチューブ10に固定された前方軸受33により軸承され、後方回転軸34はチューブ10に固定された後方軸受35により軸承される。
前方回転軸32は、素線ボビン20から繰り出された素線を通過させるため、テーパ加工された中空穴を備える。
また、素線ボビンの装着穴に対して上方から挿入するものであって、下部ボビン支持部材37と嵌合する嵌合部を有する上部ボビン支持部材39を備え、下部ボビン支持部材と同様に、素線ボビンの装着穴径に対応して下方に向かってテーパ加工された上部ボビンガイド部40を備える。
上部ボビン支持部材39の上部には、素線ボビンの装着後に上部ボビン支持部材39に付勢を与えるバネ材41と、バネ材41を下方に押し下げるセットカラー42と、セットカラー42を下部ボビン支持部材37にロックするロック機構43とを有する。
また、下部ボビン支持部材37の下部ボビンガイド部38と、上部ボビン支持部材39の上部ボビンガイド部40とには、装着穴径の異なる素線ボビンを装着させるためのテーパ加工が施されており、複数種類の素線ボビンに対して、同一の素線ボビン支持機構を用いてワンタッチで精度よく心出しして装着することができる。
この固定の素線ボビン装着機構に装着された素線ボビンから引き出された素線は、後部チューブロータ軸12bの中空穴を通して後部チューブロータ軸12bの右端側に導かれ、後部チューブロータ軸12bの中空穴からチューブの開口部16までの間に配備された素線ガイドパイプ22と、チューブ10の外周肉厚部において開口部16からチューブ10の前方端までに設けられた挿通穴18に装着された素線ガイドパイプ22と、チューブ10の前方端から集合ダイス50付近までの間に配備された素線ガイドパイプ22とを通して、集合ダイス50まで導かれる。
引取装置60は、駆動モータ62により回転駆動される駆動側キャプスタン63と、自由回転する従動側キャプスタン64とを有し、集合ダイス50から引き出された撚線を従動側キャプスタン64と駆動側キャプスタン63の間で複数回巻き付けることで引取動作を行う。
これにより、従動側キャプスタン64と駆動側キャプスタン63の間で複数回周回する撚線が、各ターンにおける駆動側キャプスタンから受ける引取テンションの差異や、撚線とキャプスタンとの摩擦状態の変化等によって、ターン毎に撚線の引取速度が異なるような場合においても、各ターンの引取速度に応じて対応する回転ホイール65が独立に回転するので、撚線に過度のテンションが発生することを防止でき、撚線の断線や素線の損傷を抑制することができる。
これにより、撚線を従動側キャプスタン64の各回転ホイール65に架ける際に撚線を各回転ホイールの間の隙間に巻き込むことが防止され、操作性が向上するとともに、引取動作中に撚線が各回転ホイールの間の隙間に挟みこまれることが防止され、稼働率を更に向上させることができる。
本体架台1の上には、チューブ10を囲うように本体カバー2が設けられ、本体カバー2は、チューブにアクセスするための開閉機構3を備える。
ここで、本体カバー2は、図6(b)に示すように、チューブ10の下部外周面に対して断面がチューブ10と略同心円となる半割れの下部チューブカバー4を備え、開閉機構3は、チューブ10の上部外周面に対して断面がチューブ10と略同心円となる半割れの上部チューブカバー5を備え、開閉機構3を閉止したときに、下部チューブカバー4と上部チューブカバー5とが密接し、下部チューブカバー4と上部チューブカバー5とにより形成される断面がチューブ10と略同心円の円筒状のカバーによってチューブ10の外周面の全面が覆われるようにしている。
これにより、高速回転中のチューブの窓等による風切り音が抑制され、運転中の騒音が低減される。
なお、上部チューブカバー4と下部チューブカバー5は、必要に応じて表面に吸音材を配設するようにしもよい。
また、後部ロータ軸12bの左端の固定の素線ボビン装着機構に装着された素線ボビンの素線切れを検出する断線検出センサ49は、図6(b)に示すように、固定の素線ボビン装着機構の下面の反射板48の直下に設けられている。
ここで、チューブ10内の各クレードルの反射板48からの反射パルスの検出は、チューブ10の円周方向の3箇所に設けられた窓14を通して行うことになるので、断線検出センサ49の光ビームのチューブ10の外周部の外表面での反射が外乱とならないように、チューブ10の外周部の外表面には塗装による黒色コーティングが施されている。
従って、反射板が光ビームを反射しない位置で停止した場合は、断線検出センサ49において、チューブの窓部分においても窓以外の部分においても反射光が検出されないので、反射板48による反射パルスが生成されず、正しく素線切れを判断することができる。
一方、反射板が光ビームを反射する位置で停止した場合は、断線検出センサ49において、チューブの窓部分では反射光を検出するが、窓以外の部分では反射光が検出されないので、チューブの回転による疑似反射パルスが生成される。
このようなチューブの回転による疑似反射パルスによって素線ボビンが回転していると誤判定することを防止するため、断線センサ49には、チューブの回転による窓の通過周期に対応する短時間パルスをマスクするオフディレイタイマが設定されている。これにより、反射板が光ビームを反射しない位置で停止した場合における疑似反射パルスの発生が抑制され、正しく素線切れを検出することができる。
磁気軸受式チューブラー型撚線機の制御システム200は、前部ラジアル磁気軸受70aと後部ラジアル磁気軸受70bとアキシャル磁気軸受70c(図示省略)に接続され、各磁気軸受70a,70b,70cを制御してチューブ10のロータ軸を浮上させる磁気軸受コントローラ210と、ビルトインモータ80に接続され、主軸ユニット84を駆動して後部ロータ軸12bの周りに回転磁界を発生させるインバータ220と、引取装置60の駆動モータ62に接続され、駆動側キャプスタン63の回転速度を制御するサーボコントローラ230と、磁気軸受コントローラ210とインバータ220とサーボコントローラ230に接続され、それぞれに対して所定の指令を与えるプログラマブルコントローラ240とを備え、プログラマブルコントローラ240は、装置の動作状態の表示や設定変更を行うタッチパネル250と、装置の運転を始動する運転釦・装置の運転を停止する停止押釦・装置を非常停止させる非常停止釦等を備える操作盤260に接続されている。
前部ラジアル磁気軸受70aの制御は、一対の前部ラジアル変位センサ74aの信号の差分をとり、それが目標値となるように対応する前部ラジアル電磁石73aに対して励磁電流を与えるフィードバック制御をすべての前部ラジアル変位センサ74aと前部ラジアル電磁石73aに対して行う。
同様に、後部ラジアル磁気軸受70bの制御は、一対の後部ラジアル変位センサ74bの信号の差分をとり、それが目標値となるように対応する後部ラジアル電磁石73bに対して励磁電流を与えるフィードバック制御をすべての前部ラジアル変位センサ74bと前部ラジアル電磁石73bに対して行う。
また、アキシャル磁気軸受70cの制御は、一対のアキシャル変位センサ74cの信号の差分をとり、それが目標値となるように対応するアキシャル電磁石73cに対して励磁電流を与えるフィードバック制御をすべての前部ラジアル変位センサ74cと前部ラジアル電磁石73cに対して行う。
なお、アキシャル磁気軸受70cには回転検出センサ75cを備えており、上記各磁気軸受の制御において、回転検出センサ75cの信号に基づいて、各磁気軸受の変位センサの差分信号から回転に同期した変位成分を除去する処理が行われ、チューブ10のロータ軸の静バランスや動バランスの不釣合いに基づく振動が自動的に抑制される。
以上のような磁気軸受コントローラ210の制御により、クレードルという可動体を内部に有するチューブラー型撚線機において、装置の組立時にチューブの動バランスを厳密に調整する必要がなくなり、簡易な動バランスの調整を行うだけで高速回転時のチューブの振動を低減化させることができる。
なお、後部チューブロータ軸12bの左端にはエンコーダ86を備えており、エンコーダ86による回転パルスがプログラマブルコントローラ240に取り込まれ、チューブの回転速度が常時モニタされている。
プログラマブルコントローラ240は、操作盤260において運転押釦が押されると、最初に磁気軸受コントローラ210に対する浮上指令をONとし、すべての磁気軸受の浮上完了が確認されたら(図示省略)、インバータ220に対する本体回転指令をONとする。これにより本体チューブの回転速度は増加し、加速期間が経過すると設定回転数に到達して定常運転期間に入る。
そして、操作盤260において停止押釦が押されると、インバータ220に対する本体回転指令をOFFとする。これにより本体チューブの回転速度は減少し、減速期間が経過すると本体回転速度がゼロとなり、本体チューブの回転が停止していることが確認されたら(図示省略)、磁気軸受コントローラに対する浮上指令をOFFとする。
本体チューブの回転中は、エンコーダ86より得られる回転パルスから本体チューブの回転速度を常時検出し、検出された本体回転速度と設定された撚線の撚ピッチとから引取装置に指定する回転数指令を常時演算し、サーボコントローラ230に対して引取装置回転数指令を随時提供する。
また、図面では省略されているが、引取装置60の回転検出センサ67と導通検出センサ68により撚線の断線が検出された場合においても、同様に本体チューブの回転を緊急停止する。
また、従来の空気軸受式チューブラー型撚線機の消費電力が3.7KWであったのに対し、上記本願発明の一実施形態の磁気軸受式チューブラー型撚線機の消費電力は270Wとなり、消費電力が10分の1に低減されることが確認された。
1 本体架台
2 本体カバー
3 開閉機構
4 下部チューブカバー
5 上部チューブカバー
10 チューブ
12a 前部チューブロータ軸
12b 後部チューブロータ軸
14 窓
16 開口部
18 挿通穴
19 素線ガイドパイプ固定ネジ
20 素線ボビン
22 素線ガイドパイプ
30 クレードル
31 クレードル筐体
32 前方回転軸
33 前方軸受
34 後方回転軸
35 後方軸受
36 ボビン支持軸受
37 下部ボビン支持部材
38 下部ボビンガイド部
39 上部ボビン支持部材
40 上部ボビンガイド部
41 バネ
42 セットカラー
43 ロック機構
44 ボビン支持軸歯車
45 トルク調整器歯車
46 トルク調整器
47 トルク調節ネジ
48 反射板
49 断線検出センサ
50 集合ダイス
60 引取装置
62 引取駆動モータ(エンコーダ付)
63 駆動側キャプスタン
64 従動側キャプスタン
65 回転ホイール
66 回転軸受
67 回転検出センサ
68 導通検出センサ
70a 前部ラジアル磁気軸受
72a 前部ラジアルステータ
72a 前部ラジアル電磁石
74a 前部ラジアル変位センサ
76a 前部ラジアルタッチダウン軸受
77a センサハウジング
78a タッチダウン軸受ハウジング
79a 小径転がり軸受
70b 後部ラジアル磁気軸受
72b 後部ラジアルステータ
73b 後部ラジアル電磁石
74b 後部ラジアル変位センサ
76b 後部ラジアルタッチダウン軸受
70c アキシャル磁気軸受
71c アキシャルディスク
72c アキシャルステータ
73c アキシャル電磁石
74c アキシャル変位センサ
75c 回転検出センサ
76c アキシャルタッチダウン軸受
80 ビルトインモータ
82 ステータハウジング
84 主軸ユニット
86 エンコーダ
90 ブレーキ
92 ブレーキディスク
94 空圧キャリパ
96 ソレノイドバルブ
200 本願発明の一実施形態にかかる磁気軸受式チューブラー型撚線機の制御システム
210 磁気軸受コントローラ
220 ビルトインモータインバータ
230 引取装置サーボコントローラ
240 プログラマブルコントローラ
250 タッチパネル
260 操作盤
Claims (9)
- 長手方向がほぼ水平に載置され、前記長手方向の回転軸の廻りに回転駆動される筒状のチューブと、
前記チューブ内に装着され、撚り合わされる素線が巻き取られた複数の素線ボビンと、
前記複数の素線ボビンの各々を、巻き取られた素線を引き出し可能に、前記チューブ内の長手方向に配列して固定する素線ボビン固定機構であって、前記チューブの回転に伴って前記素線ボビン固定機構が回転しないように前記チューブの回転軸に軸承される軸受をそれぞれ有する複数のクレードルと、
前記各クレードルに固定された各素線ボビンから引き出され、前記チューブの外周部を介して前記チューブの長手方向の一端側に導かれた各素線を集合する集合ダイスと、
前記チューブの回転によって前記集合ダイスに集合された各素線が撚り合わされて形成された撚線を引き取る引取装置とを備え、
前記チューブの回転軸の両端側において回転軸の径方向を軸承するラジアル軸受として、前記チューブの回転軸の径方向の周囲に配備された複数のラジアル電磁石と、前記チューブの回転軸の少なくとも2つの径方向の変位量を検出するラジアル変位センサを有し、前記ラジアル変位センサにより検出されたチューブの回転軸の径方向の変位量に基づいて前記複数のラジアル電磁石を励磁し、前記チューブの回転軸の径方向の位置を所定の回転中心に位置決めするラジアル磁気軸受を用い、
前記チューブの回転軸を回転駆動する駆動装置として、前記チューブの回転軸を非接触で回転駆動するビルトインモータを用い、
前記チューブの同一回転軸に対して、非接触で回転駆動するビルトインモータと非接触で軸承するラジアル磁気軸受を配備することによって前記チューブの回転中の機械振動を低減させた、磁気軸受式チューブラー型撚線機であって、
前記引取装置は、駆動モータにより回転駆動される駆動側キャプスタンと、自由回転する従動側キャプスタンとを有し、前記集合ダイスから引き出された撚線を、前記従動側キャプスタンと前記駆動側キャプスタンの間で複数回周回させて引き取るものであって、
前記従動側キャプスタンは、前記撚線の周回ターン毎にそれぞれ独立の回転ホイールを備え、前記各回転ホイールにはそれぞれ独立の回転軸受を備え、
前記従動側キャプスタンの各回転ホイールは、ホイールの外周側の一方の山の全周に亘って、隣接するホイールの外周部の手前側の山を覆う鍔を備えた、
ことを特徴とする、磁気軸受式チューブラー型撚線機。 - 前記引取装置は、前記駆動側キャプスタンの回転速度を、指定された回転数指令に常時追従させるように前記駆動モータを制御するサーボ手段を有し、
前記チューブの回転開始から回転終了までの全期間に亘って、前記チューブの回転速度を回転速度検出手段により常時検出し、前記回転速度検出手段により検出された前記チューブの回転速度と一定の比率となる駆動側キャプスタンの回転数指令を常時演算し、前記演算された駆動側キャプスタンの回転数指令を前記サーボ手段に随時提供する制御手段を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の磁気軸受式チューブラー型撚線機。 - 前記チューブの回転軸の軸方向を軸承するアキシャル軸受として、前記チューブの回転軸の一端側に固定され、径方向に円盤状に形成されたアキシャルディスクと、前記アキシャルディスクの径方向周辺部において軸方向の両側に配備された少なくとも一対のアキシャル電磁石と、前記アキシャルディスクの軸方向の変位を検出するアキシャル変位センサを有し、前記アキシャル変位センサにより検出されたチューブの回転軸の軸方向の変位量に基づいて前記アキシャル電磁石を励磁し、前記チューブの回転軸を軸方向の位置を所定位置に位置決めするアキシャル磁気軸受を用いたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の磁気軸受式チューブラー型撚線機。
- 前記クレードルは、前記素線ボビンの装着穴を上方から挿入し、前記素線ボビンを軸廻りに所定のトルクで回転可能に支持する下部ボビン支持部材であって、上方に向かってテーパ加工された下部ボビンガイド部を備えた下部ボビン支持部材と、前記素線ボビンを前記下部ボビン支持部材に挿入した後に、前記素線ボビンの装着穴の上方より挿入して前記下部ボビン支持部材に嵌合させて前記素線ボビンを固定する上部ボビン支持部材であって、下方に向かってテーパ加工された上部ボビンガイド部を備えた上部ボビン支持部材と、前記上部ボビン支持部材を下方に押し下げる付勢手段と、前記付勢手段により前記上部ボビン支持部材を押し下げた後に前記付勢手段を前記下部支持部材に固定するロック手段とを有し、前記素線ボビンを前記クレードルにワンタッチで精度よく心出しして装着できるようにしたことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の磁気軸受式チューブラー型撚線機。
- 前記クレードルは、装着された素線ボビンとともに回転する反射板であって、回転方向に光ビームを反射する部分と反射しない部分とを含む反射板を有し、
前記反射板に対して光ビームを照射し、前記反射板からの反射パルスを検出することによって素線ボビンの回転を検出し、前記反射パルスが検出されないときに素線切れが発生したと判断する断線検出センサを前記チューブ周辺の前記各クレードルの前記反射板に対応する位置に備え、前記チューブの外周肉厚部の各クレードルの素線ボビンに対応して設けられた窓を通して前記反射板からの反射パルスを検出するものであって、
前記チューブの外周部の外表面を黒色コーティングし、
前記断線検出センサは、前記反射板からの反射光を前記チューブの窓以外の部分が遮蔽することによって生ずる疑似反射パルスをマスクするマスク手段を備えたことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の磁気軸受式チューブラー型撚線機。 - 前記各クレードルの各素線ボビンから引き出され、前記チューブの外周部を介して前記集合ダイスまで導かれる各素線は、前記各クレードルの素線引出部から前記集合ダイスの近傍に至るまで、素線をガイドする素線ガイドパイプ内を通過させるようにしたものであって、
前記チューブの外周肉厚部には、前記素線ガイドパイプを挿通させる挿通穴を有し、前記素線ガイドパイプのうち前記チューブの外周部を長手方向に素線を導く素線ガイドパイプは、前記挿通穴に対して着脱自在および/または回転可能に装着されたことを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の磁気軸受式チューブラー型撚線機。 - 前記チューブは、総削りにより外周表面に突起を有しないように形成したことを特徴とする、請求項6に記載の磁気軸受式チューブラー型撚線機。
- 開閉機構を有し、前記チューブを収容する本体カバーを備え、
前記本体カバーは、前記チューブの下部外周面に対して断面が前記チューブと略同心円となる半割れの下部チューブカバーを備え、前記開閉機構は、前記チューブの上部外周面に対して断面が前記チューブと略同心円となる半割れの上部チューブカバーを備え、前記開閉機構を閉止したときに、前記下部チューブカバーと前記上部チューブカバーとが密接し、前記下部チューブカバーと前記上部チューブカバーとにより形成される断面が前記チューブと略同心円の円筒状カバーによって前記チューブの外周面が覆われるようにしたことを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の磁気軸受式チューブラー型撚線機。 - 前記ラジアル磁気軸受は、制御異常が発生した際に前記チューブの回転軸の径方向を軸承するタッチダウン軸受を備え、
前記タッチダウン軸受は、前記チューブの回転軸の径方向の周囲に小径の複数の転がり軸受を配備したことを特徴とする、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の磁気軸受式チューブラー型撚線機。
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