JP5722507B2 - 撮像レンズおよび撮像レンズを備えた撮像装置 - Google Patents

撮像レンズおよび撮像レンズを備えた撮像装置 Download PDF

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Description

本発明は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子上に被写体の光学像を結像させる固定焦点の撮像レンズ、およびその撮像レンズを搭載して撮影を行うデジタルスチルカメラやカメラ付き携帯電話機、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistance)、スマートフォン、タブレット型端末および携帯型ゲーム機等の撮像装置に関する。
近年、パーソナルコンピュータの一般家庭等への普及に伴い、撮影した風景や人物像等の画像情報をパーソナルコンピュータに入力することができるデジタルスチルカメラが急速に普及している。また、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末に画像入力用のカメラモジュールが搭載されることも多くなっている。このような撮像機能を有する機器には、CCDやCMOSなどの撮像素子が用いられている。近年、これらの撮像素子のコンパクト化が進み、撮像機器全体ならびにそれに搭載される撮像レンズにも、コンパクト性が要求されている。また同時に、撮像素子の高画素化も進んでおり、撮像レンズの高解像、高性能化が要求されている。例えば5メガピクセル以上、よりさらに好適には8メガピクセル以上の高画素に対応した性能が要求されている。
このような要求に対しては、例えば全長の短縮化および高解像化を図るために撮像レンズをレンズ枚数が比較的多い5枚構成とすることが考えられる。例えば、特許文献1ないし4には、物体側から順に正の屈折力を有する第1レンズ、負の屈折力を有する第2レンズ、負の屈折力を有する第3レンズ、正の屈折力を有する第4レンズ、負の屈折力を有する第5レンズから構成される撮像レンズが提案されている。
中国実用新案第201903684号明細書 国際公開第2011/118554号 特開2010−152042号公報 米国特許出願公開第2013/0021680号明細書
ここで、上述したように比較的多いレンズ枚数から構成され、特に携帯端末、スマートフォン、タブレット型端末などに用いられるようなレンズ全長の短縮化が要求される撮像レンズにおいて、より小さなFナンバーを有し、かつ、所望の解像度に対応できるように、例えば、従来使用されていたものと同程度のサイズの撮像素子にも対応可能な大きいイメージサイズを有する撮像レンズの実現が求められている。
これら全ての要求に応えるために、特許文献1および2に記載の5枚構成の撮像レンズは、収差の補正が十分でない、または、Fナンバーが十分小さなものとはなっていないため、小さなFナンバーと高性能化の両方を実現することが求められる。特許文献3に記載のレンズは、収差の補正が十分ではないため、やはりさらに高性能化することが求められる。また、特許文献4に記載のレンズは、全長の短縮化が十分ではないため、さらに全長の短縮化が求められる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、小さなFナンバーを有し、かつ、所望の解像度を実現可能な大きいイメージサイズを維持しつつ、全長を短縮化し、中心画角から周辺画角まで高い結像性能を実現することができる撮像レンズ、およびその撮像レンズを搭載して高解像の撮像画像を得ることができる撮像装置を提供することにある。
本発明の撮像レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有し、メニスカス形状であり、物体側に凸面を向けた第1レンズと、両凹形状である第2レンズと、両凹形状である第3レンズと、メニスカス形状であり、像側に凸面を向けた第4レンズと、両凹形状であり、像側の面に少なくとも1つの変曲点を有する第5レンズとから構成される実質的に5個のレンズからなり、下記条件式を満足することを特徴とする。
−0.6<f/f3<0 (2)
1.5<f/f4<2.3 (5−1)
ここで、
f:全系の焦点距離
f3:第3レンズの焦点距離
f4:第4レンズの焦点距離
とする。
本発明の撮像レンズによれば、全体として5枚というレンズ構成において、第1レンズから第5レンズの各レンズ要素の構成を最適化したので、全長を短縮化しながらも、高解像性能を有するレンズ系を実現することができる。また、条件式(2)を満たすことで、好適に色収差など諸収差を補正しつつ、小さなFナンバーと全長の短縮化を実現することができる。
なお、本発明の撮像レンズにおいて、「実質的に5個のレンズからなり、」とは、本発明の撮像レンズが、5個のレンズ以外に、実質的にパワーを有さないレンズ、絞りやカバーガラス等レンズ以外の光学要素、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、手振れ補正機構等の機構部分、等を持つものも含むことを意味する。また、上記のレンズの面形状や屈折力の符号は、非球面が含まれているものについては近軸領域で考えるものとする。
本発明の撮像レンズにおいて、さらに、次の好ましい構成を採用して満足することで、光学性能をより良好なものとすることができる。
本発明の撮像レンズにおいて、第4レンズが正の屈折力を有することが好ましい。
本発明の撮像レンズは、以下の条件式(1)から(6−1)のいずれかを満足することが好ましい。なお、好ましい態様としては、条件式(1)から(6−1)のいずれか一つを満たすものでもよく、あるいは任意の組合せを満たすものでもよい。
0.9<f/f1<3 (1)
1<f/f1<2.3 (1−1)
1.1<f/f1<2 (1−2)
−0.5<f/f3<−0.1 (2−1)
−3<f/f5<−1.2 (3)
−2.5<f/f5<−1.3 (3−1)
−2<f/f2<−0.2 (4)
−1.5<f/f2<−0.25 (4−1)
νd3<30 (6)
νd3<26 (6−1)
ただし、
f1:第1レンズの焦点距離
f2:第2レンズの焦点距離
f3:第3レンズの焦点距離
f5:第5レンズの焦点距離
νd3:第3レンズのd線に関するアッベ数
とする。
本発明による撮像装置は、本発明の撮像レンズを備えたものである。
本発明による撮像装置では、本発明の撮像レンズによって得られた高解像の光学像に基づいて高解像の撮像信号を得ることができる。
本発明の撮像レンズによれば、全体として5枚というレンズ構成において、各レンズ要素の構成を最適化し、特に第1レンズと第5レンズの形状を好適に構成したので、小さなFナンバーを有し、全長を短縮化しながらも、イメージサイズが大きく、さらに中心画角から周辺画角まで高い結像性能を有するレンズ系を実現できる。
また、本発明の撮像装置によれば、本発明の高い結像性能を有する撮像レンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力するようにしたので、高解像の撮影画像を得ることができる。
本発明の一実施の形態に係る撮像レンズの第1の構成例を示すものであり、実施例1に対応するレンズ断面図である。 本発明の一実施の形態に係る撮像レンズの第2の構成例を示すものであり、実施例2に対応するレンズ断面図である。 本発明の一実施の形態に係る撮像レンズの第3の構成例を示すものであり、実施例3に対応するレンズ断面図である。 本発明の一実施の形態に係る撮像レンズの第4の構成例を示すものであり、実施例4に対応するレンズ断面図である。 本発明の一実施の形態に係る撮像レンズの第5の構成例を示すものであり、実施例5に対応するレンズ断面図である。 本発明の一実施の形態に係る撮像レンズの第6の構成例を示すものであり、実施例6に対応するレンズ断面図である。 図1に示す撮像レンズの光線図である。 本発明の実施例1に係る撮像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差(像面湾曲)、(C)は歪曲収差、(D)は倍率色収差を示す。 本発明の実施例2に係る撮像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差(像面湾曲)、(C)は歪曲収差、(D)は倍率色収差を示す。 本発明の実施例3に係る撮像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差(像面湾曲)、(C)は歪曲収差、(D)は倍率色収差を示す。 本発明の実施例4に係る撮像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差(像面湾曲)、(C)は歪曲収差、(D)は倍率色収差を示す。 本発明の実施例5に係る撮像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差(像面湾曲)、(C)は歪曲収差、(D)は倍率色収差を示す。 本発明の実施例6に係る撮像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差(像面湾曲)、(C)は歪曲収差、(D)は倍率色収差を示す。 本発明に係る撮像レンズを備えた携帯電話端末である撮像装置を示す図。 本発明に係る撮像レンズを備えたスマートフォンである撮像装置を示す図。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る撮像レンズの第1の構成例を示している。この構成例は、後述の第1の数値実施例(表1、表2)のレンズ構成に対応している。同様にして、後述の第2乃至第6の実施形態に係る数値実施例(表3〜表12)のレンズ構成に対応する第2乃至第6の構成例の断面構成を、図2〜図6に示す。図1〜図6において、符号Riは、最も物体側のレンズ要素の面を1番目として、像側(結像側)に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目の面の曲率半径を示す。符号Diは、i番目の面とi+1番目の面との光軸Z1上の面間隔を示す。なお、各構成例共に基本的な構成は同じであるため、以下では、図1に示した撮像レンズの構成例を基本にして説明し、必要に応じて図2〜図6の構成例についても説明する。また、図7は図1に示す撮像レンズLにおける光路図であり、無限遠の距離にある物点からの軸上光束2および最大画角の光束3の各光路を示す。
本発明の実施の形態に係る撮像レンズLは、CCDやCMOS等の撮像素子を用いた各種撮像機器、特に、比較的小型の携帯端末機器、例えばデジタルスチルカメラ、カメラ付き携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末およびPDA等に用いて好適なものである。この撮像レンズLは、光軸Z1に沿って、物体側から順に、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4と、第5レンズL5とを備えている。
図14に、本発明の実施の形態にかかる撮像装置1である携帯電話端末の概観図を示す。本発明の実施の形態に係る撮像装置1は、本実施の形態に係る撮像レンズLと、この撮像レンズLによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力するCCDなどの撮像素子100(図1参照)とを備えて構成される。撮像素子100は、この撮像レンズLの結像面(像面R14)に配置される。
図15に、本発明の実施の形態にかかる撮像装置501であるスマートフォンの概観図を示す。本発明の実施の形態に係る撮像装置501は、本実施の形態に係る撮像レンズLと、この撮像レンズLによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力するCCDなどの撮像素子100(図1参照)とを有するカメラ部541を備えて構成される。撮像素子100は、この撮像レンズLの結像面(撮像面)に配置される。
第5レンズL5と撮像素子100との間には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、種々の光学部材CGが配置されていても良い。例えば撮像面保護用のカバーガラスや赤外線カットフィルタなどの平板状の光学部材が配置されていても良い。この場合、光学部材CGとして例えば平板状のカバーガラスに、赤外線カットフィルタやNDフィルタ等のフィルタ効果のあるコートが施されたものを使用しても良い。
また、光学部材CGを用いずに、第5レンズL5にコートを施す等して光学部材CGと同等の効果を持たせるようにしても良い。これにより、部品点数の削減と全長の短縮を図ることができる。
この撮像レンズLはまた、第1レンズL1の物体側の面より物体側に配置された開口絞りStを備えることが好ましい。このように、開口絞りStを第1レンズの物体側の面よりも物体側に配置したことにより、特に結像領域の周辺部において、光学系を通過する光線の結像面(撮像素子)への入射角が大きくなるのを抑制することができる。なお、「第1レンズの物体側の面より物体側に配置」とは、光軸方向における開口絞りの位置が、軸上マージナル光線と第1レンズL1の物体側の面の交点と同じ位置かそれより物体側にあることを意味する。本実施の形態において、第1乃至第6の構成例のレンズ(図1〜図6)が、開口絞りStが第1レンズL1の物体側の面より物体側に配置された構成例である。
また、本実施の形態において、開口絞りStは第1レンズL1の面頂点よりも像側に配置されているが、これに限定されず、開口絞りStを第1レンズL1の面頂点よりも物体側に配置されていてもよい。開口絞りStが第1レンズL1の面頂点よりも物体側に配置されている場合には、開口絞りStが第1レンズL1の面頂点よりも像側に配置されている場合より周辺光量の確保の観点からはやや不利であるが、結像領域の周辺部において、光学系を通過する光線の結像面(撮像素子)への入射角が大きくなるのをさらに好適に抑制することができる。
この撮像レンズLにおいて、第1レンズL1は、光軸近傍で物体側に凸面を向け、光軸近傍でメニスカス形状であり、光軸近傍において正の屈折力を有している。このことにより、全長を好適に短縮化できる。
第2レンズL2は、光軸近傍において両凹形状である。第2レンズL2が光軸近傍において負の屈折力を有することにより、色収差を良好に補正することができる。また、光軸近傍において正の屈折力を有し、光軸近傍においてメニスカス形状であり、光軸近傍において物体側に凸面を向けた第1レンズL1の像側に、光軸近傍で両凹形状の第2レンズL2を配置することにより、球面収差の補正が容易となる。
第3レンズL3は、光軸近傍において両凹形状である。光軸近傍において正の屈折力を有し、光軸近傍においてメニスカス形状であり、光軸近傍において物体側に凸面を向けた第1レンズL1の像側に、光軸近傍において両凹形状である第2レンズと、光軸近傍において両凹形状である第3レンズL3を隣接して配置することにより、光軸近傍においてメニスカス形状であり、光軸近傍において物体側に凸面を向けた第1レンズL1によって発生しやすい球面収差と色収差を好適に補正することができる。
第4レンズL4は、光軸近傍でメニスカス形状であり、光軸近傍において像側に凸面を向けている。このことにより、非点収差を好適に補正することができる。また、第4レンズL4は、光軸近傍において正の屈折力を有していることが好ましい。このことより、結像領域の周辺部において、光学系を通過する光線の結像面(撮像素子)への入射角が大きくなるのを好適に抑制することができる。
第5レンズL5は、光軸近傍において両凹形状である。第1レンズから第4レンズまでを1つの正の光学系とみなすと、第5レンズL5が光軸近傍において負の屈折力を有することにより、撮像レンズを全体としてテレフォト型の構成とすることができるため、撮像レンズ全体の後側主点位置を物体側に寄せることができ、全長を好適に短縮化することができる。また、第5レンズL5を光軸近傍において両凹形状とすることにより、第5レンズL5の各面の曲率の絶対値が大きくなりすぎることを抑制しつつ、第5レンズL5の負の屈折力を十分強めることができる。また、第5レンズL5を光軸近傍において両凹形状とすることにより、像面湾曲を好適に補正することができる。
また、第5レンズL5は、像側の面の有効径内に少なくとも1つの変曲点を有する。第5レンズL5の像側の面における「変曲点」とは、第5レンズL5の像側の面形状が像側に対して凸形状から凹形状(または凹形状から凸形状)に切り替わる点を意味する。変曲点の位置は、第5レンズL5の像側の面の有効径内であれば光軸から半径方向外側の任意の位置に配置することができ、好ましくは、周辺部に配置することが好ましい。第5レンズL5の像側の面を少なくとも1つの変曲点を有する形状とすることにより、特に結像領域の周辺部において、光学系を通過する光線の結像面(撮像素子)への入射角が大きくなるのを抑制することができる。なお、ここでいう周辺部は、最大有効半径の略4割より半径方向外側を意味する。
上記撮像レンズLによれば、全体として5枚というレンズ構成において、第1ないし第5レンズの各レンズ要素の構成を最適化したので、小さなFナンバーを有し、全長を短縮化しながらも、イメージサイズが大きく、高解像性能を有するレンズ系を実現できる。
また、例えば図1〜6に示す各実施形態のように全画角2ωが60度以上となるように、上記撮像レンズLの第1〜第5レンズの各レンズ構成を設定した場合には、全画角2ωが適切な値となっているため、近距離撮影の機会が多い携帯電話端末などに撮像レンズLを好適に適用することができる。
この撮像レンズLは、高性能化のために、第1レンズL1乃至第5レンズL5のそれぞれのレンズの少なくとも一方の面に、非球面を用いることが好適である。
また、撮像レンズLを構成する各レンズL1乃至L5は接合レンズでなく単レンズとすることが好ましい。各レンズL1乃至L5のいずれかを接合レンズとした場合よりも、非球面数が多いため、各レンズの設計自由度が高くなり、好適に全長の短縮化を図ることができるからである。
次に、以上のように構成された撮像レンズLの条件式に関する作用および効果をより詳細に説明する。
まず、第1レンズL1の焦点距離f1および全系の焦点距離fは、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
0.9<f/f1<3 (1)
条件式(1)は、第1レンズL1の焦点距離f1に対する全系の焦点距離fの比の好ましい数値範囲を規定するものである。条件式(1)の下限を下回る場合には、全系の屈折力に対して第1レンズL1の正の屈折力が弱くなりすぎて、諸収差を十分に補正しにくく、小さなFナンバーを維持しつつ全長を短縮化することが難しくなる。条件式(1)の上限を上回る場合には、全系の屈折力に対して第1レンズL1の正の屈折力が強くなりすぎて、特に球面収差の補正が難しくなる。このため、条件式(1)の範囲を満たすことで、小さなFナンバーを維持し、球面収差を良好に補正しつつ、好適にレンズ系全体の長さを短縮化できる。この効果をより高めるために、条件式(1−1)を満たすことがより好ましく、条件式(1−2)を満たすことがさらに好ましい。
1<f/f1<2.3 (1−1)
1.1<f/f1<2 (1−2)
また、第3レンズL3の焦点距離f3および全系の焦点距離fは、以下の条件式(2)を満足する。
−0.6<f/f3<0 (2)
条件式(2)は、第3レンズL3の焦点距離f3に対する全系の焦点距離fの比の好ましい数値範囲を規定するものである。条件式(2)の下限を下回る場合には、全系の屈折力に対して第3レンズL3の屈折力が強くなりすぎて、諸収差を十分に補正しにくく、小さなFナンバーを維持しつつ全長を短縮化することが難しくなる。条件式(2)の上限を上回る場合には、全系の屈折力に対して第3レンズL3の屈折力が弱くなりすぎて、色収差の補正が難しくなる。このため、条件式(2)の範囲を満たすことで、小さなFナンバーを維持し、全長を短縮化しつつ、好適に色収差など諸収差を補正することができる。この効果をより高めるために、条件式(2−1)を満たすことがより好ましい。
−0.5<f/f3<−0.1 (2−1)
また、第5レンズL5の焦点距離f5および全系の焦点距離fは、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
−3<f/f5<−1.2 (3)
条件式(3)は、第5レンズL5の焦点距離f5に対する全系の焦点距離fの比の好ましい数値範囲を規定するものである。条件式(3)の下限を満足することにより、全系の屈折力に対して第5レンズL5の屈折力が強くなりすぎず、結像領域の周辺部において、光学系を通過する光線の結像面(撮像素子)への入射角が大きくなるのを好適に抑制することができる。条件式(3)の上限を上回る場合には、全系の屈折力に対して第5レンズL5の屈折力が弱くなりすぎて、像面湾曲の補正が難しくなる。このため、条件式(3)の範囲を満たすことで、結像領域の周辺部において、光学系を通過する光線の結像面(撮像素子)への入射角が大きくなるのを好適に抑制しつつ、好適に像面湾曲を補正することができる。この効果をより高めるために、条件式(3−1)を満たすことが好ましい。
−2.5<f/f5<−1.3 (3−1)
また、第2レンズL2の焦点距離f2および全系の焦点距離fは、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
−2<f/f2<−0.2 (4)
条件式(4)は、第2レンズL2の焦点距離f2に対する全系の焦点距離fの比の好ましい数値範囲を規定するものである。条件式(4)の下限を下回る場合には、全系の正の屈折力に対して第2レンズL2の屈折力が強くなりすぎて、諸収差を十分に補正しにくく、小さなFナンバーを維持しつつ、全長を短縮化することが難しくなる。条件式(4)の上限を上回る場合には、全系の屈折力に対して第2レンズL2の屈折力が弱くなりすぎて、色収差の補正が難しくなる。このため、条件式(4)の範囲を満たすことで、小さなFナンバーを維持し、全長を短縮化しつつ、好適に色収差など諸収差を補正することができる。この効果をより高めるために、条件式(4−1)を満たすことがより好ましい。
−1.5<f/f2<−0.25 (4−1)
また、第4レンズL4の焦点距離f4および全系の焦点距離fは、以下の条件式(5)を満足することが好ましい。
1<f/f4<3 (5)
条件式(5)は、第4レンズL4の焦点距離f4に対する全系の焦点距離fの比の好ましい数値範囲を規定するものである。条件式(5)の下限を満足することにより、全系の屈折力に対して第4レンズL4の屈折力が弱くなりすぎず、結像領域の周辺部において、光学系を通過する光線の結像面(撮像素子)への入射角が大きくなるのを好適に抑制することができる。条件式(5)の上限を上回る場合には、全系の屈折力に対して第4レンズL4の屈折力が強くなりすぎて、像面湾曲の補正が難しくなる。このため、条件式(5)の範囲を満たすことで、結像領域の周辺部において、光学系を通過する光線の結像面(撮像素子)への入射角が大きくなるのを好適に抑制しつつ、好適に像面湾曲を補正することができる。この効果をより高めるために、条件式(5−1)を満たすことがより好ましい。
1.5<f/f4<2.3 (5−1)
また、第3レンズL3のd線に関するアッベ数νd3は、以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
νd3<30 (6)
条件式(6)は、第3レンズL3のd線に関するアッベ数νd3の好ましい数値範囲をそれぞれ規定する。条件式(6)の上限を上回ると、軸上色収差と倍率色収差の補正が困難となる。条件式(6)を満足することで、第3レンズL3を高分散の材質により構成することにより、軸上色収差と倍率色収差を良好に補正することができる。この観点から、下記条件式(6−1)を満たすことがより好ましい。
νd3<26 (6−1)
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る撮像レンズによれば、全体として5枚というレンズ構成において、各レンズ要素の構成を最適化したので、小さなFナンバーを有し、全長を短縮化しながらも、イメージサイズが大きく、高解像性能を有するレンズ系を実現できる。
なお、これに対し、特許文献1は、Fナンバーが大きい撮像レンズ、または、比較的小さなFナンバーを有するものの、球面収差の補正が十分でない撮像レンズを開示している。また、特許文献2に開示された撮像レンズは、Fナンバーが大きく、球面収差が十分に補正されていない。また、特許文献3に記載の撮像レンズは、軸上色収差または球面収差が十分に補正されておらず、十分に高解像性能を有しているとはいえない。また、特許文献4に記載された撮像レンズは、特に携帯端末、スマートフォン、タブレット型端末などに要求される仕様を満足するためには、十分に全長の短縮化が実現されていない。
また、適宜好ましい条件を満足することで、より高い結像性能を実現できる。また、本実施の形態に係る撮像装置によれば、本実施の形態に係る高性能の撮像レンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力するようにしたので、中心画角から周辺画角まで高解像の撮影画像を得ることができる。
次に、本発明の実施の形態に係る撮像レンズの具体的な数値実施例について説明する。以下では、複数の数値実施例をまとめて説明する。
後掲の表1および表2は、図1に示した撮像レンズの構成に対応する具体的なレンズデータを示している。特に表1にはその基本的なレンズデータを示し、表2には非球面に関するデータを示す。表1に示したレンズデータにおける面番号Siの欄には、実施例1に係る撮像レンズについて、最も物体側のレンズ要素の面を1番目(開口絞りStを1番目)として、像側に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目の面の番号を示している。曲率半径Riの欄には、図1において付した符号Riに対応させて、物体側からi番目の面の曲率半径の値(mm)を示す。面間隔Diの欄についても、同様に物体側からi番目の面Siとi+1番目の面Si+1との光軸上の間隔(mm)を示す。Ndjの欄には、物体側からj番目の光学要素のd線(587.56nm)に対する屈折率の値を示す。νdjの欄には、物体側からj番目の光学要素のd線に対するアッベ数の値を示す。なお、各レンズデータには、諸データとして、全系の焦点距離f(mm)とバックフォーカスBf(mm)の値をそれぞれ示す。なお、このバックフォーカスBfは空気換算した値を表している。
この実施例1に係る撮像レンズは、第1レンズL1乃至第5レンズL5の両面がすべて非球面形状となっている。表1の基本レンズデータには、これらの非球面の曲率半径として、光軸近傍の曲率半径(近軸曲率半径)の数値を示している。
表2には実施例1の撮像レンズにおける非球面データを示す。非球面データとして示した数値において、記号“E”は、その次に続く数値が10を底とした“べき指数”であることを示し、その10を底とした指数関数で表される数値が“E”の前の数値に乗算されることを示す。例えば、「1.0E−02」であれば、「1.0×10-2」であることを示す。
非球面データとしては、以下の式(A)によって表される非球面形状の式における各係数Ai,KAの値を記す。Zは、より詳しくは、光軸から高さhの位置にある非球面上の点から、非球面の頂点の接平面(光軸に垂直な平面)に下ろした垂線の長さ(mm)を示す。
Z=C・h2/{1+(1−KA・C2・h21/2}+ΣAi・hi ……(A)
ただし、
Z:非球面の深さ(mm)
h:光軸からレンズ面までの距離(高さ)(mm)
C:近軸曲率=1/R
(R:近軸曲率半径)
Ai:第i次(iは3以上の整数)の非球面係数
KA:非球面係数
とする。
以上の実施例1の撮像レンズと同様にして、図2に示した撮像レンズの構成に対応する具体的なレンズデータを実施例2として、表3および表4に示す。また同様にして、図3〜図6に示した撮像レンズの構成に対応する具体的なレンズデータを実施例3乃至実施例6として、表5〜表12に示す。これらの実施例1〜6に係る撮像レンズでは、第1レンズL1乃至第5レンズL5の両面がすべて非球面形状となっている。
図8(A)〜(D)はそれぞれ、実施例1の撮像レンズにおける球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差(倍率の色収差)図を示している。球面収差、非点収差(像面湾曲)、歪曲収差を表す各収差図には、d線(波長587.56nm)を基準波長とした収差を示す。球面収差図、倍率色収差図には、F線(波長486.1nm)、C線(波長656.27nm)についての収差も示す。また、球面収差図には、g線(波長435.83nm)についての収差も示す。非点収差図において、実線はサジタル方向(S)、破線はタンジェンシャル方向(T)の収差を示す。また、Fno.はFナンバーを、ωは半画角をそれぞれ示す。
同様に、実施例2乃至実施例6の撮像レンズについての諸収差を図9(A)〜(D)乃至図13(A)〜(D)に示す。
また、表13には、本発明に係る各条件式(1)〜(6)に関する値を、各実施例1〜6についてそれぞれまとめたものを示す。
以上の各数値データおよび各収差図から分かるように、各実施例について、全長を短縮化しながらも高い結像性能が実現されている。
なお、本発明の撮像レンズには、実施の形態および各実施例に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、非球面係数の値などは、各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。
また、各実施例では、すべて固定焦点で使用する前提での記載とされているが、フォーカス調整可能な構成とすることも可能である。例えばレンズ系全体を繰り出したり、一部のレンズを光軸上で動かしてオートフォーカス可能な構成とすることも可能である。また、本発明の撮像レンズは、光軸近傍でメニスカス形状とされた各レンズにおいて、光軸近傍でメニスカス形状の曲率半径の絶対値が大きい面を、光軸近傍で平面として構成してもよい。言い換えると、光軸近傍でメニスカス形状とされたレンズを、該レンズのメニスカス形状の曲率半径の絶対値が大きい面を光軸近傍で平面とした平凸形状のレンズまたは平凹形状のレンズとしてもよい。
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Claims (13)

  1. 物体側から順に、
    正の屈折力を有し、メニスカス形状であり、物体側に凸面を向けた第1レンズと、
    両凹形状である第2レンズと、
    両凹形状である第3レンズと、
    メニスカス形状であり、像側に凸面を向けた第4レンズと、
    両凹形状であり、像側の面に少なくとも1つの変曲点を有する第5レンズと、
    から構成される実質的に5個のレンズからなり、下記条件式を満足することを特徴とする撮像レンズ。
    −0.6<f/f3<0 (2)
    1.5<f/f4<2.3 (5−1)
    ここで、
    f:全系の焦点距離
    f3:前記第3レンズの焦点距離
    f4:前記第4レンズの焦点距離
    とする。
  2. さらに以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
    0.9<f/f1<3 (1)
    ここで、
    f:全系の焦点距離
    f1:前記第1レンズの焦点距離
    とする。
  3. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像レンズ。
    −3<f/f5<−1.2 (3)
    ここで、
    f:全系の焦点距離
    f5:前記第5レンズの焦点距離
    とする。
  4. さらに以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
    ここで、
    −2<f/f2<−0.2 (4)
    ここで、
    f:全系の焦点距離
    f2:前記第2レンズの焦点距離
    とする。
  5. 前記第4レンズは正の屈折力を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の撮像レンズ。
  6. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の撮像レンズ。
    νd3<30 (6)
    ここで、
    νd3:前記第3レンズのd線に関するアッベ数
    とする。
  7. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の撮像レンズ。
    1<f/f1<2.3 (1−1)
    ただし、
    f:全系の焦点距離
    f1:前記第1レンズの焦点距離
    とする。
  8. さらに以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の撮像レンズ。
    −0.5<f/f3<−0.1 (2−1)
    ただし、
    f:全系の焦点距離
    f3:前記第3レンズの焦点距離
    とする。
  9. さらに以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の撮像レンズ。
    −2.5<f/f5<−1.3 (3−1)
    ただし、
    f:全系の焦点距離
    f5:前記第5レンズの焦点距離
    とする。
  10. さらに以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の撮像レンズ。
    −1.5<f/f2<−0.25 (4−1)
    ただし、
    f:全系の焦点距離
    f2:前記第2レンズの焦点距離
    とする。
  11. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から1のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
    νd3<26 (6−1)
    ただし、
    νd3:前記第3レンズのd線に関するアッベ数
    とする。
  12. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1もしくは1のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
    1.1<f/f1<2 (1−2)
    ただし、
    f:全系の焦点距離
    f1:前記第1レンズの焦点距離
    とする。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載された撮像レンズを備えたことを特徴とする撮像装置。
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