JP5721240B2 - サッチ分解菌内包マイクロカプセルと、これを用いた芝生地の保全方法、及び該マイクロカプセルの製造方法 - Google Patents

サッチ分解菌内包マイクロカプセルと、これを用いた芝生地の保全方法、及び該マイクロカプセルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、芝生地に堆積するサッチを分解除去するのに好適なサッチ分解菌内包マイクロカプセルと、このマイクロカプセルを用いた芝生地の保全方法、及び該マイクロカプセルの製造方法に関する。
一般的に、ゴルフ場のグリーン、サッカーや野球、競馬等の競技場、庭園等の芝生地では、芝丈を揃えるために定期的に芝刈りを行うが、その際に発生する刈りかすが芝草の間に蓄積してサッチ(thatch) を生じる。このサッチは芝草の前記刈りかすや枯れた葉、茎、根等の堆積層であるが、その堆積が多くなると、土中や芝草の根に対して空気や水が浸透しにくくなると共に、散布した肥料や農薬がサッチに吸収されて効きにくくなり、また病原菌や害虫の繁殖や腐敗による有毒ガスの発生を招き易く、芝草の生育不良や枯死の要因になる。従って、芝生地を健全に保つための手入れとして、サッチの堆積が多くなる前に除去する必要がある。
従来、サッチの除去手段として、ゴルフ場や競技場等の広い芝生地ではバーチカルモアと称される自走式又は牽引式の機械のブレードによってサッチを掻き取る方法が採用され、また庭園等の狭い芝生地ではレーキや熊手を用いて人手でサッチを掻き出すのが普通である(非特許文献1)。しかるに、機械的作業と手作業のいずれにしても、サッチ除去作業には非常に手間が掛かる上、その作業で芝草を痛める懸念も多分にあった。
http://www.takii.co.jp/green/howto/howto5.html(2009/9/11) 「芝・緑化・緑肥|芝生なんでも百科.タキイ種苗」
本発明者らは、上述の事情に鑑みて、微生物を用いてサッチを分解・減容化する手段の可否について実験研究を重ねた結果、サッチ分解菌として高い活性を示す微生物が存在し、該微生物を一般的な培養手段によって容易に増殖でき、もって工業的規模での利用が充分に可能であることが判明した。しかるに、このようなサッチ分解菌を芝生地に直接に散布する方法では、日照、温度変化、降雨等の厳しい自然条件の影響を受けるため、該サッチ分解菌が芝生地に定着し難い上に短期間で失活し易く、安定したサッチ分解作用を長期にわたって発揮させることが困難であった。
そこで、本発明者らは、更なる実験研究の過程で、マイクロカプセルによる微生物の固定化に着目し、サッチ分解菌への応用について鋭意検討を重ねた。その結果、環境分解性ポリマーからなる多孔質のマイクロカプセルによれば、サッチ分解菌を安定的に担持させて芝生地に効率よく定着させることが可能であり、しかもサッチ分解菌を環境変化から保護できることに加え、マイクロカプセルの環境分解性ポリマーが食餌となるためにサッチ分解菌の失活が抑制され、散布した芝生地への環境負荷を与えることなく、その高いサッチ分解能力を長期間安定的に発揮させ得ることを見出し、本発明をなすに至った。
請求項1の発明に係るサッチ分解菌内包マイクロカプセルは、平均粒子径が10〜3,000μmの範囲にあるアルギン酸−キトサンゲルビーズからなる多孔質のマイクロカプセルであって、皮張り状の表面を有して内部全体が荒目のスポンジ状をなし、そのスポンジ状の空隙部にサッチ分解菌を含む内水相が充満してなるものとしている。
そして、上記請求項1のサッチ分解菌内包マイクロカプセルの好適態様として、請求項2の発明はサッチ分解菌がBacillus subtilis属菌であること、を特定している。
また、請求項の発明に係る芝生地の保全方法は、上記請求項1又は2のサッチ分解菌内包マイクロカプセルを芝生地に散布することを特徴としている。
一方、請求項の発明に係るサッチ分解菌内包マイクロカプセルの製造方法は、酸成分及び塩化カルシウムを含むキトサン水溶液からなる連続相に、サッチ分解菌を含むアルギン酸塩水溶液を分散相として滴下混合することにより、サッチ分解菌を内包したアルギン酸−キトサンゲルビーズを生成させたのち、ろ過・洗浄して得られたゲルビーズを凍結乾燥することを特徴としている。
そして、上記請求項のサッチ分解菌内包マイクロカプセルの製造方法の好適態様として、請求項の発明はキトサン水溶液の粘度が10mPa・s以下であること、を特定している。
請求項1の発明に係るサッチ分解菌内包マイクロカプセルは、アルギン酸−キトサンゲルビーズからなる多孔質のマイクロカプセルであって、皮張り状の表面を有して内部全体が荒目のスポンジ状をなし、そのスポンジ状の空隙部にサッチ分解菌を含む内水相が充満してなるものであるから、芝生地に散布することで効率よく定着させることができると共に、日照、温度変化、降雨等の厳しい自然条件に晒されても内包されたサッチ分解菌は環境変化から保護され、加えてマイクロカプセルを構成するアルギン酸−キトサンゲルビーズがサッチ分解菌の食餌となるためにサッチ分解菌の失活が抑制される。従って、該マイクロカプセルを散布した芝生地においては、長期にわたってサッチ分解菌が安定的に放出されて高いサッチ分解能力を持続的に発揮するから、サッチが厚く堆積して土中や芝草の根に対して空気や水が浸透しにくくなったり、散布した肥料や農薬がサッチに吸収されて効きにくくなったりすることがなく、また病原菌や害虫の繁殖や腐敗による有毒ガスの発生も防止され、もって芝草が長期間健全な状態に保持される上、マイクロカプセルを構成するアルギン酸−キトサンゲルは環境分解性ポリマーであって自然環境下で経時的に分解されて最終的に消失するから、該マイクロカプセルの散布によって芝生地及びその周辺に環境負荷を与えることもない。加えて、マイクロカプセルの平均粒子径が特定範囲にあるため、芝生地に散布後、降雨や撒水によって流失しにくく、且つ芝草の植生状況や土壌状況を変化させることもない。
請求項2の発明によれば、上記マイクロカプセルに内包するサッチ分解菌が、高いサッチ分解作用を発揮すると共に、マイクロカプセル内包状態で失活しにくく、且つ比較的に培養し易く安価に入手できるという利点がある。
請求項の発明に係る芝生地の保全方法によれば、上記のサッチ分解菌内包マイクロカプセルを芝生地に散布することから、長期にわたってサッチ分解菌が安定的に放出されて高いサッチ分解能力を持続的に発揮するから、サッチが厚く堆積して土中や芝草の根に対して空気や水が浸透しにくくなったり、散布した肥料や農薬がサッチに吸収されて効きにくくなったりすることがなく、また病原菌や害虫の繁殖や腐敗による有毒ガスの発生も防止され、もって芝草が長期間健全な状態に保持されると共に、散布された該マイクロカプセルによる環境負荷も生じない。
請求項の発明に係る製造方法によれば、上記のサッチ分解菌を内包したアルギン酸−キトサンゲルビーズからなるマイクロカプセルを容易に製造できる。
請求項の発明によれば、サッチ分解菌を内包した上記アルギン酸−キトサンゲルビーズとして特に高品位のものを確実に製出できるという利点がある。
サッチ分解菌の培養時間と培地中制菌数及び培地中pHとの関係を示し、(a)は培養1回目の相関特性図、(b)は培養2回目の相関特性図である。 サッチ分解菌の活性評価試験における震とう時間とセルロース分解率の相関特性図である。 本発明の実施例1におけるアルギン酸−キトサンゲルビーズの調製試験で得られたゲルビーズを示す走査型電子顕微鏡写真図である。 同実施例1で調製したサッチ分解菌内包アルギン酸−キトサンゲルビーズとその断面、ならびに前記調製試験で得られた菌なしアルギン酸−キトサンゲルビーズの断面を示す走査型電子顕微鏡写真図である。
本発明のサッチ分解菌内包マイクロカプセルは、アルギン酸−キトサンゲルビーズからなる多孔質のマイクロカプセルであって、皮張り状の表面を有して内部全体が荒目のスポンジ状をなし、そのスポンジ状の空隙部にサッチ分解菌を含む内水相が充満しており、該内水槽のサッチ分解菌の放出によって高いサッチ分解能力を発揮する。従って、このサッチ分解菌内包マイクロカプセルを散布した芝生地では、サッチが厚く堆積して土中や芝草の根に対して空気や水が浸透しにくくなったり、散布した肥料や農薬がサッチに吸収されて効きにくくなったりすることがなく、また病原菌や害虫の繁殖や腐敗による有毒ガスの発生も防止される結果、芝草が健全な状態で長期間安定的に保持される。そして、マイクロカプセル自体は、サッチ分解菌の担持性及び棲息適性に優れることに加え、これを構成するアルギン酸−キトサンゲルがサッチ分解菌の食餌となり、内包されたサッチ分解菌が盛んに増殖するため、マイクロカプセル外への放出による減少分が常時確実に補充され、もって高いサッチ分解能力を長期にわたって安定的に発揮できる上、自然環境下で経時的に分解されて最終的に消失するから、散布した芝生地及びその周辺に環境負荷を与えることもない。
本発明で用いるサッチ分解菌としては、サッチ分解能力を備えるものであれば特に制約はないが、所謂枯草菌として知られるBacillus subtilis 属菌が好適である。すなわち、Bacillus subtilis 属菌は、サッチ分解能力が高く、且つマイクロカプセル内包状態で失活しにくいことに加え、比較的に培養し易く安価に入手できるという利点がある。
サッチ分解菌内包マイクロカプセルのサイズは、平均粒子径として10〜3,000μmの範囲が好適であり、小さ過ぎては降雨や撒水によって流失し易く、逆に大き過ぎては芝草の植生状況や土壌状況を変化させる懸念がある。
このサッチ分解菌を内包したアルギン酸−キトサンゲルビーズからなる多孔質のマイクロカプセルを製造するには、キトサンを水に溶解させるための酸成分とアルギン酸のゲル化剤である塩化カルシウムとを含むキトサン水溶液からなる連続相に、サッチ分解菌を含むアルギン酸塩水溶液を分散相として滴下混合することにより、サッチ分解菌を内包したアルギン酸−キトサンゲルビーズを生成させたのち、ろ過・洗浄して得られるゲルビーズを凍結乾燥して回収すればよい。
この製造方法における上記連続相では、サッチ分解菌の活性を高めることと、アルギン酸とキトサンとの間の静電的相互作用による複合膜形成促進のために、水酸化ナトリウム等のアルカリ添加でpHを5〜5.5程度の弱酸性に調整することが望ましい。また、この連続相に分散相のサッチ分解菌を含むアルギン酸塩水溶液を滴下混合する際、サッチ分解菌を保護するのために液温を1〜20℃適度の低温に設定することが望ましい。
なお、キトサンとしては、市販のキトサン水溶液を使用できるが、その粘度によって製出するアルギン酸−キトサンゲルビーズの性状に差異を生じる。因みに、キトサン水溶液の市販品として代表的な和光純薬工業社製の商品名キトサン5,キトサン50,キトサン300の3種では、その粘度及びpHが次のように異なっている。
粘度(mPa・s) pH(10g/l水浸液,25℃)
キトサン5 ・・・・ 0〜10 ・・・・・・8.0〜10.0
キトサン50 ・・・・ 10〜100 ・・・・・・7.0〜 9.0
キトサン300・・・・ 100〜500 ・・・・・・6.0〜 8.0
しかして、これら3種のいずれのキトサンを用いてもアルギン酸−キトサンゲルビーズの調製は可能であるが、上記のアルカリ添加で連続相のpHを上げてゆくと、キトサン50及びキトサン300ではゲルビーズの生成と共に一部に凝集を生じ易いが、キトサン5ではpH5.4まで上昇させても凝集を生じないという結果が得られている。従って、pHを弱酸性に調整してサッチ分解菌の活性を高める上では、キトサン水溶液として粘度が10mPa・s以下のものを用いることが推奨される。
〔サッチ分解菌の培養〕
減菌処理した702 培地(蒸留水100mlに1gのポリペプトンと0.2gのYeast exract及び0.1g のMgSO4 ・7H2Oを溶解、PH7.0)に、サッチ分解菌としてBacillus su-btilis NBRC13719を添加し、インキュベーター内においてシェイカーで温度30℃、攪拌速度170rpmの条件で所定日数の培養を行い、培養後の702 培地の液0.1mlを採取して0.9重量%生理食塩水0.9mlに混合し、その混合液の0.1mlを採取して同様の生理食塩水0.9mlに混合する操作を繰り返すことで702 培地を1億容積倍まで希釈し、この希釈液0.1mlを802 寒天培地(蒸留水100mlに1gのポリペプトン、0.2gのYeast extract、0.1g のMgSO4 ・7H2O、1.5gの寒天を溶解、PH7.0)に添加し、インキュベーターで30℃にて静置し、1日、2日,3日後に形成したサッチ分解菌のコロニーをカウントして生菌数を計測すると共に、培地中のpHをpHメーターによって測定した。なお、この培養試験は、再現性を確認するために同一条件で2回行った。その結果、702 培地での培養時間(日数=day )と、1日〜3日の各カウント日における802 寒天培地中の生菌数(CFU/ml)及び培地中pHとの関係は、1回目の試験では図1(a)、2回目の試験では図1(b)に示す通りであった。
図1(a)(b)で示すように、サッチ分解菌の生菌数は2〜3日の培養でピークに達し、培養時間が長くなるに伴って培地中pHは上昇する傾向を示すが、やがてpH9未満で略一定になることが確認された。
〔サッチ分解菌の活性評価〕
0.9重量%生理食塩水10mlにセルロース0.25gを溶解させた試料液を試験管に収容して減菌処理し、その試料液中に前記培養試験(試験1回目の培養日数 日、寒天培地静置3日後)で得られたサッチ分解菌を湿潤重量で0.0967g添加混合して試験管を密栓し、これを30℃、150rpmで所定時間(0日、0.5日、1日、2日、3日、4日、5日 )震とうさせたのち、混合液をろ過して回収したセルロースを凍結乾燥させ、その乾燥重量を測定した。そして、震とう0日と震とうn日後の乾燥重量の差をセルロースの重量減少量として、各震とう時間によるセルロース分解率を求めたところ、図2に示す結果が得られた。この図2より、震とう時間(日数)と共にセルロース分解率が上昇し、震とう4日でセルロース分解率50%近くに達しており、このサッチ分解菌が高いサッチ分解能力を備えることが明らかである。
実施例1
既述キトサンの規格による3種のキトサンをそれぞれ用い、ウォータージャケットを備えた密閉式の攪拌槽内で、4g/L濃度のキトサン水溶液150mlに0.1重量%相当の塩酸0.417gと0.05M相当の塩化カルシウム0.833gを添加混合して連続相を調製すると共に、1M−水溶液ナトリウム水溶液を加えてpH調整を行い、この連続相を水冷によって液温4℃に維持しつつ、分散相として1.8w/v%のアルギン酸ナトリウム水溶液(粘度500〜600cp)20mlをシリンジによって滴下し、120rpmで緩やかに30分間攪拌してアルギン酸−キトサンゲルビーズを生成させたのち、ろ過・洗浄して得られるゲルビーズを凍結乾燥して回収した。
このゲルビーズの回収量及び回収率とゲルビーズ生成状況を、使用したキトサンの粘度及び連続相pHと共に表1に示す。また、図3に、キトサン種と連続相pHが異なる各調製条件で得られたゲルビーズの走査型電子顕微鏡写真図を示す。なお、回収率は、〔回収したゲルビーズ(凝集物を含む)の重量×100〕/(アルギン酸Na質量+キトサン質量)として算出した。なお、ゲルビーズ生成状況は次の5段階で評価した。
◎・・・最も良好な生成状況で、乾燥後の状態もよい。
○・・・良好なゲルビースが生成している。
△・・・ゲルビーズが生成するが、一部に凝集がみられる。
▲・・・ゲルビーズが生成するが、柔らかく脆い。
×・・・ゲルビーズが生成していない。
図3の電子顕微鏡写真図で示すように、3種のキトサン用いて各々連続相のpHを2.2と5.4のいずれに設定した場合でもゲルビーズが生成している。また、表2で示すように、キトサン種及び連続相pHの違いによるゲルビーズ回収量及び回収率の差は殆どない。しかるに、キトサン50,300を用いて水溶液ナトリウム水溶液による連続相のpH調整を行った場合、ゲルビーズの生成と共に一部に凝集を生じている。これに対し、キトサン5を用いた場合では、連続相のpHを5.4まで上昇させても上記凝集を生じていない。この結果から、次のサッチ分解菌内包アルギン酸−キトサンゲルビーズの調製ではキトサン5を使用した。
<サッチ分解菌内包アルギン酸−キトサンゲルビーズの調製>
キトサンとしてキトサン5を用いると共に、分散相のアルギン酸ナトリウム水溶液にサッチ分解菌として前記の培養した Bacillus su-btilis NBRC13719を湿潤重量で0.65g添加した以外は、前記アルギン酸−キトサンゲルビーズの調製試験と同様にしてサッチ分解菌内包アルギン酸−キトサンゲルビーズを調製した。
得られたサッチ分解菌内包ゲルビーズの回収量及び回収率を連続相pHと共に表2に示す。また、図4に、連続相pHが2.2及び5.4の場合の得られたサッチ分解菌内包ゲルビーズの走査型電子顕微鏡写真図(a)(b)と、連続相pH2.2で得られたサッチ分解菌内包ゲルビーズの断面の走査型電子顕微鏡写真図(c)と、前記調製試験でキトサン5を用いて連続相pH2.2の条件で調製した菌なしのゲルビーズの断面の走査型電子顕微鏡写真図(d)を示す。なお、回収率は、〔回収したゲルビーズ(凝集物を含む)の重量×100〕/(アルギン酸Na質量+キトサン質量+菌重量)として算出した。
図4の電子顕微鏡写真から、調製したサッチ分解菌内包アルギン酸−キトサンゲルビーズは、皮張り状の表面を有して内部全体が荒目のスポンジ状をなし、そのスポンジ状の空隙部にサッチ分解菌を含む内水相が充満したゲルビーズ形態であることが判る。また、表2の結果から、サッチ分解菌内包ゲルビーズの回収率が菌なしゲルビーズの回収率(表1参照)よりも若干低下している。これは、分散相のアルギン酸ナトリウム水溶液がサッチ分解菌を含むことで、連続相に対する分散性が低下する傾向を示している。
参考例
既述キトサンの規格による3種のキトサンをそれぞれ用い、その1w/w%濃度のキトサン水溶液10mlに1v/v%相当の酢酸を添加混合して分散相を調製すると共に、ウォータージャケットを備えた密閉式の攪拌槽内に4w/w濃度のポリリン酸水溶液100mlを収容し、1M−水溶液ナトリウム水溶液を加えてpH調整を行い、この連続相を水冷によって液温4℃に維持しつつ、前記分散相のキトサン水溶液をシリンジによって滴下し、120rpmで緩やかに30分間攪拌してポリリン酸−キトサンゲルビーズを生成させたのち、ろ過・洗浄して得られるゲルビーズを凍結乾燥して回収した。
このゲルビーズの回収量及び回収率とゲルビーズ生成状況を、使用したキトサンの粘度及び連続相pHと共に表3に示す。なお、回収率(%)は、〔回収したゲルビーズ(凝集物を含む)の重量×100〕/(ポリリン酸質量+キトサン質量)として算出した。また、ゲルビーズ生成状況は前記アルギン酸−キトサンゲルビーズの場合と同じ5段階で評価した。
表3に示すように、キトサン50,300を用いて連続相のpHを5.4に調整した場合はゲルビーズが生成するが、キトサン5を用いた場合やキトサン50,300を用いても連続相のpHが未調整(pH2.2)である場合は良好なゲルビーズを生成できない。そこで、キトサン50,300を用いて連続相のpHを5.4に調整する条件で、分散相のキトサン水溶液にサッチ分解菌を添加混合し、前記同様にしてポリリン酸−キトサンゲルビーズを調製することを試みたが、連続相に分散相を分散させることが困難であり、良好なサッチ分解菌内包ゲルビーズを調製できなかった。

Claims (5)

  1. 平均粒子径が10〜3,000μmの範囲にあるアルギン酸−キトサンゲルビーズからなる多孔質のマイクロカプセルであって、皮張り状の表面を有して内部全体が荒目のスポンジ状をなし、そのスポンジ状の空隙部にサッチ分解菌を含む内水相が充満してなるサッチ分解菌内包マイクロカプセル。
  2. サッチ分解菌がBacillus subtilis属菌である請求項1に記載のサッチ分解菌内包マイクロカプセル。
  3. 前記請求項1又は2に記載のサッチ分解菌内包マイクロカプセルを芝生地に散布することを特徴とする芝生地の保全方法。
  4. 酸成分及び塩化カルシウムを含むキトサン水溶液からなる連続相に、サッチ分解菌を含むアルギン酸塩水溶液を分散相として滴下混合することにより、サッチ分解菌を内包したアルギン酸−キトサンゲルビーズを生成させたのち、ろ過・洗浄して得られたゲルビーズを凍結乾燥することを特徴とするサッチ分解菌内包マイクロカプセルの製造方法。
  5. 前記キトサン水溶液の粘度が10mPa・s以下である請求項4に記載のサッチ分解菌内包マイクロカプセルの製造方法。
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