JP5721043B2 - マグネシウム合金、及び制振材 - Google Patents

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本発明は、制振性が望まれる部材の素材に適したマグネシウム合金、及びマグネシウム合金からなる制振材に関するものである。特に、制振性に優れ、高強度なマグネシウム合金に関するものである。
マグネシウムは、アルミニウムよりも軽く、比強度、比剛性が鋼よりも優れており、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータといった携帯用電気・電子機器類の筐体や自動車部品などの各種の部材の構成材料に利用されてきている。
マグネシウムは、更に、制振性にも優れ、振動の抑制・吸収(減衰)を望まれる各種の部材の構成材料に利用することが提案されている。例えば、特許文献1には、コイルと、コイルが配置された磁性コアとを具えるリアクトルを収納するケースの材料にマグネシウム合金を利用することが開示されている。
特開2008-098204号公報
しかし、従来、制振性と強度との双方に優れるマグネシウム合金が開発されていない。
特許文献1では、振動減衰率が高いマグネシウム合金として、Mg-Zr合金を開示している。また、マグネシウム合金は、種々の用途の規格合金(例えば、ASTM規格のAZ,AM,ZK,QE,WEなど)が提案されている。これらの規格合金は、市販されており、入手し易く、かつ塑性加工性などの加工性や強度に優れる合金が多い。しかし、本発明者らが調べたところ、これら規格合金や上記特許文献1に記載されるZrなどの特定の元素を含むマグネシウム合金は、制振性と強度との双方に十分に優れているとは言えなかった。また、Cu、その他Fe,Niといった鉄族金属を含む合金は、耐食性の向上が期待できない。
その他、マグネシウム合金にセラミックスやプラスチックなどの異種材料を混合した複合材料を制振材に利用することが提案されている。しかし、複合化すると、制振性以外の特性(例えば、熱伝導性など)が低下する傾向にある。また、複合材料は、代表的には粉末の押出成形や加圧成形により製造されることから、金属溶湯を凝固して金属材を形成する溶製法が利用可能な金属材料に比較して、生産性に劣る。
そこで、本発明の目的の一つは、制振性に優れる上に高強度なマグネシウム合金を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記マグネシウム合金からなり、制振性に優れる上に高強度な制振材を提供することにある。
本発明者らは、溶製法により製造可能な制振材の構成材料として、マグネシウム合金を対象として、制振性に優れると共に高強度な組成を検討した。まず、基準値となる純マグネシウムの特性を調べた。具体的には、強度の指標としてビッカース硬さHV、制振性の指標として内部摩擦を調べたところ、純マグネシウムは、内部摩擦が高く、優れた制振性を有するものの、ビッカース硬さHVが低かった。そこで、純マグネシウムと同等、或いは同等以上の制振性を有しながら、強度がより高いマグネシウム合金の組成を検討した結果、特定の元素を含み、かつ特定の元素を実質的に含まない組成とすることが好ましい、との知見を得た。本発明は上記知見に基づくものである。
本発明のマグネシウム合金は、Y,Nd,及びSrからなる群から選ばれる1種以上の第一元素を含有し、Al,Zr,Ca,及びSnのいずれの元素の含有量も0.1質量%未満であり、残部がMg及び不可避的不純物からなる。そして、上記各第一元素の含有量が0.01質量%以上6質量%以下である。また、本発明の制振材は、上記本発明マグネシウム合金から構成される。
本発明マグネシウム合金は、上述の特定の第一元素を特定の範囲で含有すると共に、特定の元素を実質的に含まない組成であることで振動の減衰能が高く、純マグネシウムと同等、或いは同等以上の制振性を有する上に、純マグネシウムよりも高強度である。従って、本発明マグネシウム合金は、優れた制振性と高強度とを両立する。また、本発明マグネシウム合金を利用すると、溶製法により所望の形状の制振材を製造可能であることで、連続的な工程で制振材を製造可能であり、粉末の押出成形や加圧成形、焼結などのバッチ処理工程で製造する場合と比較して、制振材の生産性に優れる。従って、本発明マグネシウム合金は、制振性及び強度の双方に優れる制振材の量産に寄与することができ、工業的意義が高い。このような本発明マグネシウム合金から構成される制振材は、制振性に優れる上に高強度であり、生産性にも優れる。
本発明の一形態として、以下の第二元素を含む形態が挙げられる。具体的には、Y,Nd,及びSrからなる群から選ばれる1種以上の第一元素と、Si及び希土類元素(Y,Ndを除く)からなる群から選ばれる1種以上の第二元素をと含有し、Al,Zr,Ca,及びSnのいずれの元素の含有量も0.1質量%未満であり、残部がMg及び不可避的不純物からなる形態が挙げられる。上記各第一元素の含有量が0.01質量%以上6質量%以下、上記各第二元素の含有量が0.01質量%以上4質量%以下である。
上記形態によれば、第一元素を特定の範囲で含有し、かつ特定の元素を実質的に含まない組成であることで、上述のように制振性及び強度に優れると共に、制振材の生産性にも優れる。更に、上記形態によれば、第二元素を特定の範囲で含有することで、機械的特性、鋳造性、耐食性などを改善することができる。
本発明の一形態として、Mnの含有量が0.1質量%未満である形態が挙げられる。
上記形態によれば、Al,Zr,Ca,Snに加えて、Mnも実質的に含有しないことで、制振性に優れる。規格合金では、Zr,Al,Mnを含有する合金が多く存在する(例えば、ASTM規格のAZ系合金、ZK系合金、AM系合金、AS系合金など)。これに対し、本発明マグネシウム合金は、規格合金では必須とする元素を実質的に含まず、特定の第一元素や第二元素を含有することで、制振性に優れる上に、高強度である。
本発明の一形態として、以下の制振特性を満たす形態が挙げられる。
[制振特性]
横軸がビッカース硬さ、縦軸が内部摩擦であるグラフに、スリーナインの純マグネシウムの座標点、及びSiを9.6質量%〜12質量%含有するアルミニウム合金(ADC12相当合金)の座標点をとり、両座標点を結ぶ直線を閾値線とするとき、本発明マグネシウム合金の座標点は、当該閾値線以上の領域に存在する。
本発明マグネシウム合金は、上述のように純マグネシウムと同等、或いはそれ以上の制振性を有する上に、強度にも優れ、純マグネシウムよりも高硬度である。特に、本発明マグネシウム合金は、軽量な部材の構成材料に汎用されているアルミニウム合金、具体的にはAl-Si-Cu系合金:ADC12(JIS H 5302(2006年))相当のSiを含有するアルミニウム合金(Si:9.6質量%〜12質量%)よりも高強度である。また、本発明マグネシウム合金は、アルミニウム合金よりも軽量である。従って、本発明マグネシウム合金は、制振性に優れて高強度である上に、軽量化が望まれる分野(例えば、自動車部品など)の構成材料に好適に利用できる。なお、上記Siを含有するアルミニウム合金は、市販のADC12、及び上記範囲のSiを含有し、残部がAl及び不純物からなるものが利用できる。
本発明マグネシウム合金及び制振材は、制振性及び強度の双方に優れる。
図1は、マグネシウム合金において、ビッカース硬度(HV)と内部摩擦(×10-4)との関係を示すグラフである。
以下、本発明をより詳細に説明する。
[マグネシウム合金]
(組成)
本発明マグネシウム合金は、添加元素として、Y,Nd,及びSrから選択される少なくとも1種の第一元素を1元素あたり0.01質量%以上6質量%以下含む、或いは、上記第一元素に加えてSi及び希土類元素(Y,Ndを除く)から選択される少なくとも1種の第二元素を1元素あたり0.01質量%以上4質量%以下含む。Y,Nd,Srは、制振性を向上させると共に、強度を向上させる効果があり、各元素の含有量が0.01質量%以上であることで制振性を十分に向上させられる。各元素とも含有量が多いほど、制振性を高められる傾向にある。また、各元素の含有量を6質量%以下とすることで、第一元素の過剰含有による鋳造性の低下を抑制し、制振材の生産性を高められる。上記第一元素の1元素あたりの含有量は、1.5質量%以上5.7質量%以下がより好ましい。
第一元素は、Y,Nd,Srのうちの1種類でも、2種以上でもよい。第一元素を2種以上含有する場合、合計の含有量は、3質量%以上11.4質量%以下が好ましい。Y及びNdの少なくとも一方、特に、YとNdとの双方を含有すると、フォーナインの純マグネシウムよりも優れた制振性を有する上に、高硬度で強度にも優れて好ましい。
Siや希土類元素は、強度や耐力、クリープ特性といった機械的特性、鋳造性、耐食性の向上に効果がある。特に、Siの含有量は、0.01質量%以上2質量%以下がより好ましい。希土類元素の1元素あたりの含有量は、0.01質量%以上2質量%以下がより好ましい。希土類元素は、例えば、La,Ceが挙げられる。
そして、本発明マグネシウム合金は、Al,Zr,Ca,Snのいずれの元素も、好ましくはZr,Ca,Sn,Al,Mnのいずれの元素も、その含有量を0.1質量%以下とする。これらの元素は単独で添加した場合、制振性を向上させる効果が高い上記第一元素と組み合せて添加した場合のいずれも制振性を低下させる。これらの元素は、その含有量が少ないほど制振性の低下を抑制でき、制振性に優れるマグネシウム合金が得られる傾向にある。従って、いずれの元素も、0.05質量%以下がより好ましく、特に下限を設けない。但し、これらの元素を含むマグネシウム合金は、耐熱性、耐食性、難燃性、強度などに優れる傾向にあるため、0.1質量%未満の範囲で含有することを許容する。
Zr,Ca,Sn,Al,Mnの含有量をいずれも0.1質量%以下にするには、本発明マグネシウム合金の製造にあたり、原料に、Al,Zr,Ca,Sn、好ましくは更にMnを用いないことが好ましい。この場合、Zr,Ca,Sn,Al,Mnの含有量はそれぞれ、不可避不純物レベル(200質量ppm(0.02質量%)以下)となる。
本発明マグネシウム合金は、上記第一元素や第二元素と、残部がMg及び不可避的不純物で構成される。不可避的不純物には、例えば、Fe,Niなどが挙げられる。これらの元素は耐食性の低下を招くため、含有されていないことが好ましい。不可避的不純物全体(但し、Zr,Ca,Sn,Al,Mnを含まない)の合計量は0.02質量%以下が好ましい。
なお、マグネシウム合金中の各元素の含有量の測定には、代表的には、ICP発光分光分析法(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometry:ICP-AES)を好適に利用することができる。
(形態)
本発明マグネシウム合金の具体的な形態は、鋳造材が挙げられる。その他、鋳造材に各種の塑性加工を施した加工材が挙げられる。これら鋳造材や加工材に更に熱処理、研磨や塗装、防食処理などを施してもよい。用途に応じて、適宜な形状を選択でき、形状に応じて、製造方法を選択するとよい。具体的な形状は、複雑な立体形状(例えば、用途が筐体やケースでは、底面と側面とを具える箱体、用途がバネでは、線状体がコイル状に巻回されてなる筒状体、用途がボルトでは、表面にねじ溝が設けられた線状体など)の他、棒状・線状やブロック状といった単純な立体形状、板状などが挙げられる。また、厚さなどの寸法も用途に応じて適宜選択することができる。
[製造方法]
本発明マグネシウム合金の製造方法は、上記第一元素や第二元素を含有する特定の組成のマグネシウム合金の溶湯を用意し、この溶湯を凝固する溶製法を利用する。例えば、各種の材質(代表的には、砂、石膏、カーボン、金属など)からなる中空鋳型に溶湯を注ぎ込む鋳造法、溶湯を注ぎ込む際に加圧する鋳造法(代表的にはダイカスト法など)、溶湯を中空ではない鋳型に接触又は冷却媒体中を通過させて凝固させる鋳造法(代表的には押出法など)、同一断面形状の長尺体を連続的に鋳造する鋳造法(代表的には双ロール連続鋳造法、ベルトアンドホイール連続鋳造法など)などを利用することができる。これら鋳造法による製造条件は、公知のマグネシウム合金に利用されている製造条件を利用することができる。これらの鋳造法により、本発明マグネシウム合金からなる鋳造材が得られる。
上記鋳造材に、更に押出、鍛造、圧延、引抜きといった塑性加工を施して、所望の形状に成形することができる。更に、得られた塑性加工材(例えば、押出材や圧延材、引抜き材など)を1次加工材として、更に、押出、引抜き、鍛造、転造、圧造、圧延、プレス加工、曲げ加工、絞り加工などといった塑性加工を単独で又は組み合わせて施して、2次加工材とすることができる。鋳造材に上記塑性加工を施すことで、形状を調整して寸法精度に優れる制振材が得られる。また、鋳造材に上記塑性加工を施すことで、特性などを調整して、具体的には平均結晶粒径を小さくしたり、鋳造時の欠陥を低減或いは消滅させたりして強度や靭性、耐力といった機械的特性の向上を図り、機械的特性に優れる制振材が得られる。上記塑性加工を施すことで、本発明マグネシウム合金からなる塑性加工材(押出材、鍛造材、圧延材、プレス加工材など)が得られる。
上記鋳造材や塑性加工材に更に熱処理を施すことができる。熱処理は、溶体化処理、時効処理、均質化処理が挙げられ、これらのうち、少なくとも一つを施すことができる。溶体化処理の条件は、温度:350℃〜550℃、保持時間:1時間〜50時間、時効処理の条件は、温度:100℃〜350℃、保持時間:1時間〜100時間、均質化処理の条件は、温度:100℃〜450℃、保持時間:0.5時間〜30時間が挙げられる。溶体化処理後に時効処理を行うことで、添加した第一元素や第二元素を析出させて、マグネシウム合金の強度を調整できると期待される。また、溶体化処理や均質化処理を行うことで、熱処理材に更に塑性加工や矯正、研磨、防食処理などの加工や処理を施す場合、これらの加工や処理を容易に施せると期待される。溶体化、時効、均質化の各処理条件は、マグネシウム合金の組成や所望の特性に応じて適宜選択することができる。上記熱処理を施すことで、本発明マグネシウム合金からなる熱処理材が得られる。
上記鋳造材や塑性加工材、熱処理材に、更に、矯正、研磨、化成処理や陽極酸化処理といった防食処理、塗装などを施してもよい。板材などは、矯正を施すことで平坦性を高められる。研磨や防食処理、塗装(着色、模様の付与)を施すことで、耐食性を高めたり、表面性状を向上したり、制振材の商品価値を高められる。矯正には、ロールレベラ装置、研磨には、ベルト研磨装置(湿式)を好適に利用することができる。防食処理を行う場合、脱脂、酸エッチング、脱スマット及び表面調整といった前処理を施すことが好ましい。塑性加工を行う場合は、防食処理や塗装は、塑性加工後に施すと、塑性加工時に防食層や塗装層が損傷し難い。
表1に示す種々の組成(質量%)のマグネシウム合金材を作製して、ビッカース硬さHV、及び内部摩擦(×10-4)を調べた。
Figure 0005721043
試料No.101は、ASTM規格のWE54合金、試料No.102はASTM規格のAZ91合金、試料No.103はASTM規格のZK60合金、試料No.201〜203はいずれも純マグネシウムであり、純度が異なるもの(3N:スリーナイン(Mg:99.9質量%以上)、4N:フォーナイン(Mg:99.99質量%以上)、5N:ファイブナイン(Mg:99.999質量%以上))、試料No.210は、JIS規格のADC12相当のSiを含有するアルミニウム合金である。
各試料は、表1に示す組成の金属溶湯を作製し、この溶湯をマグネシウムやその合金、アルミニウム合金に利用されている一般的な条件でダイカスト法により鋳造材を作製した。表2に示す形態が「鋳造」である各試料は、得られた鋳造材から長さ60mm×幅10mm×厚さ1.5mmの板状の試験片を作製し、この試験片に表2に示す熱処理を適宜施した試料である。
一方、表2に示す形態が「押出」である各試料は、得られた鋳造材をマグネシウムやその合金に利用されている一般的な条件により押出し、得られた押出材から長さ60mm×幅10mm×厚さ1.5mmの板状の試験片を作製し、この試験片に表2に示す熱処理を施した試料である。
表2の熱処理:「時効」では、溶体化処理:530℃×6時間(不活性雰囲気)を施した後、直ちに水冷し(冷却速度:1℃/sec以上)、引き続いて時効処理:200℃×72時間(オイル内)を施し、「均質」では、400℃×25時間(不活性雰囲気)を施した後、直ちに水冷した(冷却速度:1℃/sec以上)。なお、上記熱処理は必須ではなく、施さなくてもよい。
作製した各試料の試験片を用いて、市販のビッカース硬度計でビッカース硬さ(HV)を測定した。ビッカース硬さの測定条件は、温度:室温(25℃程度)、雰囲気:大気、荷重:50gf、時間:10secとした。また、作製した各試料の試験片を用いて、自由曲げ共振法により内部摩擦を測定した。内部摩擦の測定条件は、温度:室温(25℃程度)、雰囲気:大気、周波数:2.6kHz〜2.9kHz、歪み:10-6〜10-5とし、市販の装置(日本テクノプラス株式会社製 JE-RT)により測定した。測定結果を表2及び図1のグラフに示す。
Figure 0005721043
表2に示すように、純マグネシウムは内部摩擦が高く、特に、4N,5Nといった高純度な純マグネシウムは内部摩擦が非常に高いことが分かる。即ち、純マグネシウムは、振動といった変形エネルギーを受けた際、振動を減衰させ易く、制振性に優れることが分かる。しかし、いずれの純マグネシウムもビッカース硬さHVが低い。一方、代表的な規格合金(マグネシウム合金及びアルミニウム合金)はいずれも、硬度が純マグネシウムより高いものの、内部摩擦が純マグネシウムの半分以下程度と低く、制振性に劣ることが分かる。
これに対して、Y,Nd,Sr、適宜Siを特定の範囲で含有し、かつAl,Zr,Ca,Sn、及びこの試験例ではMnをも実質的に含有しておらず、Zr,Ca,Sn,Al,及びMnのいずれも0.1質量%以下(この試験では0.03質量%以下)である試料No.1〜4は、純マグネシウムと同等、或いは同等以上の制振性を有することが分かる。かつ、試料No.1〜4はいずれも、ビッカース硬さHVが純マグネシウムよりも高いことが分かる。
図1に示す横軸がビッカース硬さ、縦軸が内部摩擦であるグラフにおいて、右下がりの直線は、3Nの純マグネシウムの座標点(35,5.0):□、ADC12相当のアルミニウム合金の座標点(119,2.2):△をとり、これらの座標点を結ぶ直線である。この直線を閾値線とするとき、試料No.1〜4はいずれもこの閾値線以上の領域に存在することが分かる。
上述のように、Y,Nd,Sr、及び適宜Si,希土類元素(Y,Ndを除く)を特定の範囲で含み、かつAl,Zr,Ca,Sn、より好ましくはZr,Ca,Sn,Al,Mnのいずれの元素も実質的に含有しないマグネシウム合金は、内部摩擦が高く制振性に優れる上に、高硬度であり、強度にも優れると言える。従って、このマグネシウム合金は、制振性に優れると共に、強度にも優れることが望まれる各種の分野の構成材料に好適に利用できると期待される。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、マグネシウム合金の組成(第一元素や第二元素の種類及び含有量)などを適宜変更することができる。
本発明制振材は、振動やこの振動に伴う騒音を低減するための部材といった制振性が求められる各種の装置部品や構造部材、例えば、リアクトルのケース、スピーカーの構成部材(例えば、制動板)、電子回路基板を収納する筐体、ステアリング装置の構成部材(例えば、サポートヨーク)、防振装置の連結金具(例えば、車両用エンジンマウント、車両用サスペンションアーム、車両用ブッシュ、その他原動機マウント)、車両用ドアミラーのベース材、切削工具のシャンクの芯材やチップ保持治具、マシニングセンターや超精密研削盤などの工作機械の駆動用ステージ部材、半導体製造装置の駆動用ステージ部材、スロットマシンやパチンコ機といったリールユニットに具えるモータの支持板や当該モータのベース部材などに好適に利用することができる。本発明マグネシウム合金は、上記本発明制振材の素材に好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. Y及びNdから選ばれる1種以上の第一元素を含有し、
    Al,Zr,Ca,及びSnのいずれの元素の含有量も0.1質量%未満であり、
    残部がMg及び不可避的不純物からなり、
    前記各第一元素の含有量が1.5質量%以上5.7質量%以下であり、
    以下の制振特性を満たすマグネシウム合金。
    [制振特性]
    横軸がビッカース硬さ、縦軸が内部摩擦であるグラフに、スリーナインの純マグネシウムの座標点、及びSiを9.6質量%〜12質量%含有するアルミニウム合金(ADC12相当合金)の座標点をとり、両座標点を結ぶ直線を閾値線とするとき、前記マグネシウム合金の座標点は、当該閾値線以上の領域に存在する。
  2. Y及びNdから選ばれる1種以上の第一元素と、
    Si及び希土類元素(Y,Ndを除く)からなる群から選ばれる1種以上の第二元素とを含有し、
    Al,Zr,Ca,及びSnのいずれの元素の含有量も0.1質量%未満であり、
    残部がMg及び不可避的不純物からなり、
    前記各第一元素の含有量が1.5質量%以上5.7質量%以下
    前記各第二元素の含有量が0.01質量%以上4質量%以下であり、
    以下の制振特性を満たすマグネシウム合金。
    [制振特性]
    横軸がビッカース硬さ、縦軸が内部摩擦であるグラフに、スリーナインの純マグネシウムの座標点、及びSiを9.6質量%〜12質量%含有するアルミニウム合金(ADC12相当合金)の座標点をとり、両座標点を結ぶ直線を閾値線とするとき、前記マグネシウム合金の座標点は、当該閾値線以上の領域に存在する。
  3. Mnの含有量が0.1質量%未満である請求項1又は請求項2に記載のマグネシウム合金。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のマグネシウム合金からなる制振材。
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