JP5720081B2 - 樹脂組成物および直流ケーブル - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物および直流ケーブルに関し、特に無機充填剤を配合した樹脂組成物および直流ケーブルに関する。
導電部と、導電部の外周を覆い、架橋ポリエチレン等の樹脂組成物からなる絶縁層と、を備える固体絶縁ケーブルは、例えば交流電力を送電する電力ケーブルとして広く用いられている。このような電力ケーブルを直流電力の送電に用いた場合には、絶縁耐力の不足が懸念される。
電力ケーブルにおける絶縁耐力の不足や絶縁性能のばらつきは、電力ケーブルに直流電力を印加すると絶縁層中に空間電荷が蓄積されてしまうことによる。これにより、絶縁層中に局部的に高電界が発生し、低電圧破壊等の原因となってしまう。また、極性反転の際や、逆極性インパルスの侵入の際に、絶縁破壊が生じてしまう。
このような絶縁耐力の不足を補うため、絶縁層に酸化マグネシウムやカーボンブラック等の有極性の無機充填剤を加えた直流ケーブルが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。無機充填剤が絶縁層中に分散することで、絶縁層中の空間電荷がキャンセルされ、空間電荷の蓄積を抑制することができる。
また、無機充填剤がより確実に絶縁層中に分散するよう、低分子量の架橋ポリエチレンを含まない絶縁層としたり(例えば、特許文献4)、微細な無機充填剤を用いたり(例えば、特許文献5)することが提案されている。また、微細な無機充填剤をジェット粉砕により実現することが提案されている(例えば、特許文献6、7)。
特公昭57−021805号公報 特許第3602297号公報 特開2010−121056号公報 特開平10−269852号公報 特許第3430875号公報 特開2006−291022号公報 特開平11−086634号公報
本発明は、上記の既存技術を踏まえたうえで、酸化マグネシウム等の無機充填剤を配合した絶縁層の空間電荷特性および直流破壊強度等の直流電気特性を更に向上させることを目的としてなされたものである。
本発明の目的は、優れた直流電気特性を備える樹脂組成物および直流ケーブルを提供することである。
本発明の第1の態様によれば、
少なくとも導電部と前記導電部の外周を覆う絶縁層とを有する直流ケーブルの、前記絶縁層に用いられる樹脂組成物であって、
ポリエチレンに、少なくとも、
酸化マグネシウム又はカーボンブラックの無機充填剤と、
前記ポリエチレンを100重量部として0.01重量部以上0.50重量部以下の脂肪酸金属塩と、が配合されている
樹脂組成物が提供される。
本発明の第2の態様によれば、
前記脂肪酸金属塩は金属塩として、
マグネシウム、亜鉛、アルミニウムのうち1種類以上を含む
第1の態様に記載の樹脂組成物が提供される。
本発明の第3の態様によれば、
前記脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸は、
炭素数が12以上からなる
第1又は第2の態様に記載の樹脂組成物が提供される。
本発明の第4の態様によれば、
前記脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸は、
前記脂肪酸が有するカルボキシル基以外には極性基を有さない
第1〜第3の態様のいずれかに記載の樹脂組成物が提供される。
本発明の第5の態様によれば、
前記無機充填剤は、
前記ポリエチレンを100重量部として0.5重量部以上5.0重量部以下、配合されている
第1〜第4の態様のいずれかに記載の樹脂組成物が提供される。
本発明の第6の態様によれば、
前記ポリエチレンの少なくとも一部は架橋ポリエチレンである
第1〜第5の態様のいずれかに記載の樹脂組成物が提供される。
本発明の第7の態様によれば、
導電部と、
前記導電部の外周を覆う絶縁層と、を備え、
前記絶縁層は、第1〜第6の態様のいずれかに記載の樹脂組成物を主成分とする
直流ケーブルが提供される。
本発明の第8の態様によれば、
前記絶縁層の厚さは、1mm以上35mm以下である
第7の態様に記載の直流ケーブルが提供される。
本発明によれば、優れた直流電気特性を備える樹脂組成物および直流ケーブルが提供される。
本発明の一実施形態に係る直流ケーブルの軸方向と直交する断面図である。 本発明の実施例および比較例に係る樹脂組成物の直流破壊強度を示すグラフである。
<本発明の一実施形態>
(1)直流ケーブルの構造
本発明の一実施形態に係る直流ケーブルについて、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る直流ケーブル1の軸方向と直交する断面図である。
(構造概要)
図1に示されているように、直流ケーブル1は、導電部10と、導電部10の外周を覆う絶縁層20と、を備える。また、直流ケーブル1は、絶縁層20の外周を覆う遮蔽層30と、遮蔽層30の外周を覆う被覆層40と、を備える。
導電部10は、例えば純銅(Cu)または銅合金等からなる複数の導電芯線を撚り合わせてなる銅導体等である。絶縁層20は、例えばポリエチレン等の樹脂組成物を主成分とする。導電部10と絶縁層20との間には、内部半導電層11が形成されている。
遮蔽層30は、例えば絶縁層20の外周に巻かれた銅テープや、複数の軟銅線等の導電素線が被覆されたワイヤシールド等である。絶縁層20と遮蔽層30との間には、外部半導電層21が形成されている。また、被覆層40は、例えば塩化ビニル製の被覆材(シース)からなる。
以上のように構成される直流ケーブル1は、例えば直流電力の送電に用いられるよう構成されている。
(絶縁層)
上述のように、絶縁層20の主成分である樹脂組成物は、例えばポリエチレン等を主成分とする。絶縁層20となった状態の樹脂組成物中では、ポリエチレンは少なくとも一部または全部が架橋されて、架橋ポリエチレンとなっている。架橋ポリエチレンを架橋させる架橋剤としては、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等が挙げられる。
なお、本明細書において、「樹脂組成物」には、架橋前のもの、つまり、架橋されていないポリエチレンを主成分とする樹脂組成物が含まれる。また、本明細書において、「樹脂組成物」には、架橋後のもの、つまり、架橋ポリエチレンを主成分とする樹脂組成物が含まれる。係る架橋ポリエチレンには未架橋のポリエチレンが含まれていてもよい。
樹脂組成物中のポリエチレンには、酸化マグネシウム(MgO)又はカーボンブラック(C)等の無機充填剤、およびステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩が配合されている。このうち、脂肪酸金属塩については後述する。
ポリエチレンに配合される無機充填剤は、ポリエチレンを100重量部として、0.1重量部以上5.0重量部以下、より好ましくは0.5重量部以上5.0重量部以下、配合されていることが望ましい。また、無機充填剤の平均粒径は、例えば2000nm以下であることが望ましい。これにより、無機充填剤を樹脂組成物中で分散させ、優れた直流電気特性の樹脂組成物が得られる。
具体的には、配合量を0.10重量部以上などとすることで、無機充填剤により直流電気特性を向上させる効果が充分に現れる。また、配合量を5.0重量部以下とすることで、樹脂組成物を加熱溶融した際の粘度が高くなりすぎず、樹脂組成物の成形性を良好に維持することができる。特に、押出成形により樹脂組成物を成形する際は、樹脂組成物の吐出量が充分に得られ、生産性が向上し、製造コストを抑えることができる。
また、無機充填剤として酸化マグネシウムを用いる際には、シランカップリング剤により酸化マグネシウムを表面処理してもよい。これにより、ポリエチレンとの界面の密着性が向上し、機械特性や低温特性が向上する。
シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン等が挙げられる。または、これらのうち1種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリエチレンには、酸化防止剤等を加えて耐熱老化性を向上させてもよい。酸化防止剤としては、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス−[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ビス[2−メチル−4−{3−n−アルキル(但し炭素数12あるいは14)チオプロピオニルオキシ}−5−t−ブチルフェニル]スルフィドおよび4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。または、これらのうち1種類以上を組み合わせて用いてもよい。
更に、ポリエチレンには、公知の滑剤や、着色剤等を添加してもよい。
(脂肪酸金属塩)
上述のように、本実施形態に係る樹脂組成物のポリエチレンには、脂肪酸金属塩が配合されている。本発明者等によれば、脂肪酸金属塩を配合した樹脂組成物を主成分として直流ケーブル1の絶縁層20を構成することで、より薄い絶縁層20にて充分な性能を備える直流ケーブル1を得ることができる。
具体的には、上記ポリエチレンには、ポリエチレンを100重量部として0.01重量部以上0.50重量部以下の脂肪酸金属塩が配合されている。
脂肪酸金属塩は、金属塩として、例えばマグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)等のうち1種類以上を含む。
また、脂肪酸金属塩は、炭素数が12以上からなる脂肪酸から構成されることが好ましく、例えばステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘン酸、モンタン酸、ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。但し、脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸は、脂肪酸自身が有するカルボキシル基以外には、ヒドロキシル基(−OH基)などの極性基を有していないことがより好ましい。
したがって、脂肪酸金属塩としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、モンタン酸マグネシウム等が挙げられる。または、これらのうち1種類以上を組み合わせて用いてもよい。
以上のような樹脂組成物を用いることで、充分な空間電荷特性および直流破壊強度を維持しつつ、絶縁層20の厚さを例えば1mm以上35mm以下に構成することができる。このように薄い絶縁層20であっても、充分な性能を備える直流ケーブル1が得られる。
なお、上記絶縁層20の厚さ範囲においては、インパルス試験によって決まる絶縁厚をAとし、直流性能によって決まる絶縁厚をBとしたとき、これらA,Bの値のうち高い方を絶縁層20の厚さとしている。例えば、インパルス試験によって決まる絶縁厚Aが14mm、直流性能によって決まる絶縁厚Bが15mmのとき、絶縁層の厚さを15mmとすればよい。このように、例えばBがAより大きい場合には、Bの性能を向上させることで絶縁層20の厚さをより小さくすることができる。
(脂肪酸金属塩の作用)
上述のように、導電部と絶縁層とを備える固体絶縁ケーブルは、例えば交流電力を送電する電力ケーブルとして用いられてきた。このような固体絶縁ケーブルにおいては、水トリー劣化を抑制するため、絶縁層を構成する樹脂に金属イオン等を含む添加剤を加えることは避けられてきた。水トリー劣化とは、外部から絶縁層中に浸入した水分とケーブル内の電界との作用により、樹脂状の亀裂が絶縁層中に成長してしまうことである。絶縁層中に金属イオン等が存在すると、ケーブル内の電界に影響を与え、水トリー劣化が一層促進されてしまうことがあると考えられる。
しかしながら、本発明者等は、上述のように、直流ケーブル1の絶縁層20に脂肪酸金属塩を配合することで、絶縁層20の空間電荷特性および直流破壊強度等の直流電気特性を向上させることができることを見いだした。また、直流電力用途に用いる直流ケーブル1であれば、上述のような水トリー劣化の懸念も生じない。
本発明者等は、脂肪酸金属塩により樹脂組成物の電気的な特性が向上するのは、脂肪酸金属塩が、樹脂組成物中での無機充填剤の分散を促進するためであると推測している。
上述のように、酸化マグネシウム等の無機充填剤は、空間電荷特性や、直流破壊電圧特性、つまり、直流破壊強度を向上させる。これは、絶縁層中を移動するキャリアを無機充填剤が補足(トラップ)し、キャリアの移動度を低下させるためである。また、直流ケーブルに電力を印加する電極の近傍にてトラップされたキャリアが、電極からそれ以上の電子注入が起こるのを抑制し(電子トラップ)、空間電荷特性や直流破壊強度は更に向上すると考えられる。このとき、キャリアがトラップされる無機充填剤の表面の面積を大きくし、絶縁層の内部キャリアを抑制することが有効である。つまり、無機充填剤は微粒子の形態をとることが好ましい。
しかしながら、無機充填剤の粒子径を小さくすると、無機充填剤の微粒子を一次粒子とする凝集が発生し易く、粗大な二次粒子を形成してしまうことがある。凝集により粗大となった無機充填剤の二次粒子は分散性が低下し、個々の微粒子の合計の表面積が大きいにも関わらず、キャリアや電子のトラップ効果が低下するおそれがある。また、樹脂組成物は内部キャリアを発生し易いため、樹脂組成物中における空間電荷の蓄積が促進され、樹脂組成物の絶縁破壊強度(直流破壊強度)を低下させてしまう。
本発明者等によれば、脂肪酸金属塩を配合することで、このような無機充填剤の凝集を抑制し、ポリエチレン中での無機充填剤の分散を促進させることができると考えられる。よって、無機充填剤による樹脂組成物の空間電荷特性や直流破壊強度を向上させる効果が高まり、優れた直流電気特性を有する樹脂組成物が得られる。
(2)直流ケーブルの製造方法
本実施形態に係る直流ケーブル1は、以下の製造方法により製造することができる。
まずは、上記所定量の酸化マグネシウム又はカーボンブラック等の無機充填剤と、上記所定量の脂肪酸金属塩と、ジクミルパーオキサイド等の架橋剤と、を未架橋のポリエチレンに配合する。無機充填剤には、シランカップリング剤による表面処理が施されていてもよい。ポリエチレンには、更に酸化防止剤や滑剤、着色剤等を配合してもよい。
ポリエチレンに配合する脂肪酸金属塩としては、例えば上記に挙げたステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、モンタン酸マグネシウム等を用いることができる。または、これらのうち1種類以上を組み合わせてもよい。
無機充填剤や脂肪酸金属塩等が配合されたポリエチレンを混練し、無機充填剤や、その他の成分をポリエチレン中に分散させる。
以上により、樹脂組成物が製造される。すなわち、ここでは、架橋前の樹脂組成物であって、架橋されていないポリエチレンを主成分とする樹脂組成物が得られる。
一方で、例えば純銅または銅合金等からなる複数の導電芯線を撚り合わせて導電部10を形成する。この導電部10の外周を覆うように、内部半導電層11、絶縁層20、外部半導電層21の原材料を順次、押出成形する。或いは、これら3層を同時に押出成形してもよい。
絶縁層20の原材料としては、上記の樹脂組成物を用いる。また、内部半導電層11および外部半導電層21の原材料としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体等からなる半導電性組成物を用いることができる。
架橋ポリエチレンを得るためには、所定の架橋温度で上記の押出成形物を加熱し、樹脂組成物中のポリエチレンを架橋させる。これにより、導電部10の外周に、内部半導電層11、絶縁層20、外部半導電層21が形成される。すなわち、ここでは、絶縁層20の主成分として、架橋後の樹脂組成物であって、架橋ポリエチレンを主成分とする樹脂組成物が得られる。
その後、外部半導電層21を介して絶縁層20の外周に銅テープや軟銅線等を巻き付けて遮蔽層30を形成し、例えば塩化ビニル製の被覆層40を更に形成する。
以上により、本実施形態に係る直流ケーブル1が製造される。
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、脂肪酸金属塩を配合した樹脂組成物を直流ケーブル1の絶縁層20として用いたが、他の電力ケーブルの絶縁層に上述の実施形態の樹脂組成物を用いてもよい。また、その他の絶縁体としての用途に上述の実施形態の樹脂組成物を適用してもよい。
また例えば、上述の実施形態では、樹脂組成物がポリエチレンや架橋ポリエチレンを主成分とするものとしたが、他のポリオレフィン類であってもよい。また、樹脂組成物の主成分としては、例えば低密度、中密度、高密度のポリオレフィン類や、直鎖状、分枝状のポリオレフィン類等であってもよい。また、樹脂組成物の主成分としては、ポリオレフィン類の共重合体やグラフト体等であってもよい。
次に、本発明に係る実施例について比較例と共に説明する。
(1)樹脂組成物の合成
以下の表1に示す各種の樹脂組成物を合成した。
なお、表1の試料名(サンプル名)には、脂肪酸金属塩等の成分名を示した。表1に示される「ポリエチレン組成物」とは、接着性ポリマである「無水マレイン酸変性ポリエチレン」のことである。但し、係る接着性ポリマは必須の構成ではない。また、無機充填剤としては酸化マグネシウム或いはカーボンブラックの何れかを用い、各無機充填剤の平均粒径をそれぞれ50nmとした。このうち、脂肪酸金属塩にステアリン酸マグネシウムを用い、無機充填剤としてカーボンブラックを用いたものを「ステアリン酸マグネシウム(C)」と表記した。また、表1の各数値は、ポリエチレンを100重量部としたときの各配合成分の配合量(重量部)を示している。
表1に示されているように、従来より滑剤として使用されているオレイン酸アミドを、本実施例に係る脂肪酸金属塩の代わりに配合した樹脂組成物を調合し、これを比較例とした。
具体的には、これら実施例、比較例に係る樹脂組成物の合成は、表1に示される各成分を配合したものをロール混合することで行った。この後、各種評価を行うため、得られた各種の樹脂組成物を、プレス機を用いて加圧しつつ、180℃、40分間の加熱成形を行って約0.25mmの厚さのシートサンプルに成形した。
(2)樹脂組成物の試験
(直流破壊試験)
上記のようにシートサンプルに成形された樹脂組成物を用いて直流破壊試験を実施した。各樹脂組成物には、脂肪酸金属塩の配合量が0.2重量部、無機充填剤の配合量が1重量部のものを用いた。試験では、温度90℃のシリコン油にシートサンプルに成形した樹脂組成物を浸漬し、平板電極を用いて樹脂組成物に直流電界を印加し、一定の時間間隔で昇圧した。これにより、直流破壊強度(kV/mm)を求めた。結果を図2に示す。
図2は、実施例および比較例に係る樹脂組成物の直流破壊強度を示すグラフである。グラフの縦軸は直流破壊強度(kV/mm)を示しており、横軸は測定に係る各樹脂組成物を示している。
図2によれば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛が配合された樹脂組成物が、最も高い直流破壊強度を示した。次いで、直流破壊強度が高かったのは、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸マグネシウム、ベヘン酸マグネシウムであった。また、ステアリン酸マグネシウム(C)(上述の通り、無機充填剤にカーボンブラックを用いたステアリン酸マグネシウムの意)や、極性基である−OH基を有するヒドロキシステアリン酸マグネシウムが配合された樹脂組成物においても、直流破壊強度は許容値内であった。しかしながら、比較例に係るオレイン酸アミドが配合された樹脂組成物は、最も直流破壊強度が低く、許容値を外れていたかった。
上述のように、図2に係る評価においては、無機充填剤の配合量が1重量部の樹脂組成物を用いた。本発明者等によれば、無機充填剤の配合量を例えば5重量部とすると、直流破壊強度が10%程度向上することがわかっている。
(空間電荷測定)
続いて、上記の各樹脂組成物を用い、パルス静電応力法(PEA法)により空間電荷特性を評価した。空間電荷の測定では、温度30℃、大気圧下で、1時間に亘って50kV/mmの直流電界をシートサンプルに成形した樹脂組成物に連続印加した。
得られた空間電荷の測定結果から、電界強調係数(FEF:Field Enhancement Factor)を以下の式(1)により求めた。
FEFを指標とすることで、各樹脂組成物における電界への影響を具体的に数値化し、比較することができる。すなわち、FEFが小さいほど、電界への影響が小さいことを示している。以上の結果を表2に、表2における「総合評価」の判定基準を表3に、それぞれ示す。
なお、表2の配合量は、ポリエチレンを100重量部としたときの各配合成分の配合量(重量部)を示している。また、「MgO 5重量部」の表記があるものを除き、加えた無機充填剤の配合量は1重量部である。また、表2において、FEFを実数で、空間電荷の蓄積量を「大」「中」「小」で示した。但し、FEFについては、FEF値が1.10以下、特に1.00近傍において誤差が大きくなる傾向にある。また、FEFは、空間電荷の蓄積量のみならず空間電荷の蓄積状態・蓄積形態等にも影響を受けることがある。よって、FEF値の増減は、各配合成分の配合量や空間電荷の蓄積量の多寡に沿わない場合がある。そこで、表3に示すように、FEFの値が1.14以下のものを良、1.14超1.20未満のものを可、1.20以上のものを不可として、これらFEF値および空間電荷の蓄積量を総合的に評価した結果を、A〜D判定で示した。このうち、本評価においては、AまたはB判定だったものを良、つまり、実施例の範囲に含めることとし、C判定以下だったものを不良、つまり、比較例の範囲に含めることとした。
表2によれば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムが配合された樹脂組成物が、空間電荷の蓄積量、電界強調係数等、最も優れた直流電気特性を示した。次いで、直流電気特性が優れていたのは、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸マグネシウム、ベヘン酸マグネシウムであった。また、無機充填剤にカーボンブラックを用いたステアリン酸マグネシウム(C)や、極性基である−OH基を有するヒドロキシステアリン酸マグネシウムが配合された樹脂組成物においても、直流破壊強度が許容値内となる配合量が見いだされた。すなわち、上記に挙げた各配合成分においては、配合量が0.50重量部以下の範囲内であれば、少なくともB判定以上が得られることがわかった。しかしながら、比較例に係るオレイン酸アミドが配合された樹脂組成物は、最も直流電気特性が劣っており、いずれの配合量においても許容値を外れていた。
図2、表2の結果から、脂肪酸金属塩をポリエチレン中に配合することで、樹脂組成物の電気的特性が向上することがわかる。また、極性基を有さない脂肪酸により構成される脂肪酸金属塩において、よりいっそう直流電気的特性が向上することがわかる。
以上のように、実施例に係る脂肪酸金属塩には、例えば比較例に係るオレイン酸アミドと比較して、樹脂組成物の電気的特性を向上させる顕著な効果が認められた。
(2)直流ケーブルの実施例
次に、本発明の実施例に係る直流ケーブルについて述べる。
図1における導電部10に相当する構成として、直径12mmの希薄銅合金を撚り合わせた導電部を用意した。
一方で、ポリエチレン100重量部に対し、脂肪酸金属塩として無水マレイン酸変性ポリエチレンを3重量部含有した混合物を攪拌しながらステアリン酸マグネシウムを上記重量に対し1重量部投入し、さらに攪拌し分散させて樹脂組成物を合成した。
続いて、図1における内部半導電層11に相当する構成として、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる半導電性組成物を1mmの厚さで押出成形し、上記導電部の周囲に内部半導電層を形成した。また、上記の樹脂組成物を3mmの厚さで導電部の周囲に押出成形した。このように、上記の樹脂組成物を押出成形することにより、図1における絶縁層20に相当する構成を得た。更に、図1における外部半導電層21に相当する構成として、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる半導電性組成物を1mmの厚さで押出成形し、樹脂組成物から構成される絶縁層の周囲に外部半導電層を形成した。以上により、本実施例に係る直流ケーブルを得た。
1 直流ケーブル
10 導電部
20 絶縁層
30 遮蔽層
40 被覆層

Claims (8)

  1. 少なくとも導電部と前記導電部の外周を覆う絶縁層とを有する直流ケーブルの、前記絶縁層に用いられる樹脂組成物であって、
    ポリエチレンに、少なくとも、
    酸化マグネシウム又はカーボンブラックの無機充填剤と、
    前記ポリエチレンを100重量部として0.01重量部以上0.50重量部以下の脂肪酸金属塩と、が配合されており、
    前記脂肪酸金属塩は金属塩として、
    マグネシウム、亜鉛、アルミニウムのうち1種類以上を含み、
    前記脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸は、
    前記脂肪酸が有するカルボキシル基以外には極性基を有さない
    ことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸は、
    炭素数が12以上からなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記脂肪酸金属塩は、
    ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、モンタン酸マグネシウム、およびベヘン酸マグネシウムの少なくともいずれかを含む
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記無機充填剤は、
    前記ポリエチレンを100重量部として0.5重量部以上5.0重量部以下、配合されている
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリエチレンの少なくとも一部は架橋ポリエチレンである
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. パルス静電応力法により、厚さ0.25mmの試料に温度30℃大気圧下で1時間に亘って50kV/mmの直流電界を印加したときの、下記の式(1)により求められる電界強調係数FEFは、1.14以下である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 導電部と、
    前記導電部の外周を覆う絶縁層と、を備え、
    前記絶縁層は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を主成分とする
    ことを特徴とする直流ケーブル。
  8. 前記絶縁層の厚さは、1mm以上35mm以下である
    ことを特徴とする請求項7に記載の直流ケーブル。
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