JP5718548B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、音波診断装置に係り、特に、被検体の心臓領域から収集される時系列的なボリュームデータに基づいて組織画像データの生成や心機能パラメータの計測を行なう音波診断装置に関する。
超音波診断装置は、超音波プローブに設けられた振動素子から発生する超音波を被検体内に放射し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる反射波を前記振動素子により受信して生体情報を収集するものであり、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作で超音波画像データのリアルタイム表示が可能となるため、各種臓器の形態診断や機能診断に広く用いられている。
特に、複数の振動素子が一次元配列された超音波プローブを機械的に移動させる方法や複数の振動素子が二次元配列された超音波プローブを用いる方法により被検体の三次元データ(ボリュームデータ)を収集する3次元超音波診断装置が開発され、このボリュームデータに基づいて得られる3次元画像データ、MPR(Multi Planar Reconstruction)画像データ、投影画像データ等(以下では、これらを纏めて組織画像データと呼ぶ。)の観察により更に高度な診断や治療が可能となっている。
又、近年の心臓領域における超音波診断では、ボリュームデータのスペックルをトラッキング処理することにより拍動する心筋組織の時間的変化や「歪み(ストレイン)」等によって代表される心機能パラメータを3次元的に捉えることが可能となった。
心機能パラメータの計測では、被検体に対する3次元走査により得られた受信信号に基づいてボリュームデータを時系列的に収集し、基準心拍時相(例えば拡張末期)のボリュームデータにACT法等を適用して心筋組織の心内膜輪郭面や心外膜輪郭面を検出する。そして、基準心拍時相のボリュームデータと他の心拍時相のボリュームデータとの3次元トラッキング処理により、心内膜輪郭面や心外膜輪郭面の各部における「変位」等を心機能パラメータとして計測する。
又、上述の方法によって計測された心機能パラメータの分布を表示する際、先ず、各心拍時相の心内膜輪郭面や心外膜輪郭面の位置を示すワイヤフレームを形成し、次いで、心機能パラメータの計測結果に所定の色相を設定して生成した心機能パラメータデータを前記ワイヤフレームに重畳させて表示する方法が一般に行われている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、心内膜輪郭面や心外膜輪郭面の運動状態は、ワイヤフレームを示す3次元的なメッシュパターンの動きによって把握することができる。即ち、ワイヤフレームのメッシュパターンに心機能パラメータデータを重畳して表示することにより、心筋組織の運動状態と各種心機能パラメータの同時観測が可能となる。
一方、当該被検体の3次元走査によって収集された心臓領域のボリュームデータの中から、所望関心領域のボリュームデータを切り出すことにより心筋組織等の3次元的な形態観察を容易に行なう方法も開発され、例えば、心臓領域のボリュームデータを所定サイズの直方体表面や任意閉曲面等に基づいて切出す方法が実用化されている。
特開2002−306483号公報
上述したワイヤフレームのメッシュパターンに心機能パラメータデータを重畳させて表示する従来の方法では組織画像データの表示は行なわれないため、トラッキング状態の把握において現実感が損なわれ、又、前記メッシュパターンにMPR画像データ等の組織画像データを重畳させて表示する場合には、心筋組織の変位をトラッキングしているにもかかわらずトラッキング状態を示すメッシュパターンと組織画像データを同時に観察することができない。このため、トラッキング状態の全体像を捉えることが困難となり、更に、心筋組織の変位とメッシュパターンの移動に基づくトラッキングとの関連を表示部において直接観察することができないという問題点を有していた。
又、動きの激しい心臓領域から収集されたボリュームデータの中から心筋組織のボリュームデータを切出して3次元画像データ等の組織画像データや心機能パラメータデータ等を生成する場合、心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を含む閉曲面を基準心拍時相にて収集されたボリュームデータの心筋組織に設定しても、前記基準心拍時相に後続する他の心拍時相にて収集されたボリュームデータの心筋組織と前記閉曲面との間に顕著な位置ズレが発生するため、心筋組織のボリュームデータを全ての心拍時相において正確に切出すことが困難となる。このため、所望心拍周期における心筋組織の組織画像データや心機能パラメータデータを正確に収集することができないという問題点を有していた。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検体の心臓領域に対する3次元走査によって収集された時系列的なボリュームデータに基づいて心筋組織の組織画像データや心機能パラメータデータを収集する際、心拍動に伴なって変動する前記ボリュームデータをトラッキング処理することにより、心臓の心内膜輪郭面や心外膜輪郭面、あるいは、心内膜輪郭面と心外膜輪郭面に囲まれた心筋組織の組織画像データや心機能パラメータデータを安定かつ正確に収集することが可能な3次元超音波診断装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、超音波診断装置は、被検体の心臓領域に放射される超音波によって得られた受信信号に基づいて複数の心拍時相におけるボリュームデータを時系列的に生成するボリュームデータ生成手段と、基準心拍時相のボリュームデータにおける心筋組織の輪郭面を検出し、前記基準心拍時相のボリュームデータと他の心拍時相のボリュームデータとのトラッキング処理により前記他の心拍時相のボリュームデータにおける心筋組織の輪郭面を検出する輪郭面検出手段と、同一の心拍時相におけるボリュームデータと輪郭面について、前記ボリュームデータのボクセルを前記輪郭面あるいは前記輪郭面を含む閉曲面で切り出し、切り出された部分の前記ボリュームデータを用いた組織画像データを生成する組織画像データ生成手段と、前記輪郭面検出手段によって検出される輪郭面に配置された複数の追跡点における心拍時相間の変位に基づいて心機能パラメータを計測し、この計測結果を用いて心機能パラメータデータを生成する心機能パラメータ計測手段と、前記組織画像データにおける前記心機能パラメータデータと前記組織画像データの不透明度を設定する不透明度設定手段と、前記組織画像データと、前記心機能パラメータデータとを重畳して表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、被検体の心臓領域に対する3次元走査によって収集された時系列的なボリュームデータに基づいて心筋組織の組織画像データや心機能パラメータデータを収集する際、心拍動に伴なって変動する前記ボリュームデータをトラッキング処理することにより、心臓の心内膜輪郭面や心外膜輪郭面、あるいは、心内膜輪郭面と心外膜輪郭面に囲まれた心筋組織の組織画像データや心機能パラメータデータを安定かつ正確に収集することができる。このため、前記被検体に対する診断精度と診断効率を大幅に向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
本発明の第1の実施例における3次元超音波診断装置は、被検体の心臓領域に対する3次元走査によって収集された時系列的なボリュームデータをトラッキング処理することにより各心拍時相における心筋組織の心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を検出し、これらの輪郭面に配置した複数の追跡点における心拍時相間の変位を計測することによって得られた心機能パラメータデータと前記輪郭面において形成したワイヤフレームのメッシュパターンと前記輪郭面における前記ボリュームデータのボクセルを切り出して生成した組織画像データとしてのMPR画像データを重畳して診断用画像データを生成し、得られた各心拍時相の診断用画像データを表示部において動画像表示する。
(装置の構成と機能)
本発明の第1の実施例における3次元超音波診断装置の構成と機能につき図1乃至図6を用いて説明する。尚、図1は、3次元超音波診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2及び図4は、この3次元超音波診断装置が備える送受信部/受信信号処理部及びボリュームデータ生成部の具体的な構成を示すブロック図である。
図1に示す3次元超音波診断装置100は、被検体の3次元的な心臓領域に対し超音波パルス(送信超音波)を送信し、この送信によって得られた超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する複数個の振動素子が2次元配列された超音波プローブ3と、前記被検体の所定方向に対し超音波パルスを送信するための駆動信号を前記振動素子に供給し、これらの振動素子から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算する送受信部2と、整相加算後の受信信号を処理してBモードデータを生成する受信信号処理部4と、前記心臓領域に対する3次元走査によって得られたBモードデータを超音波送受信方向に対応させて配列することによりボリュームデータを生成し、更に、当該被検体の、例えば、1心拍周期にて生成された心拍時相P1乃至Pnのボリュームデータを保存するボリュームデータ生成部5を備えている。
又、3次元超音波診断装置100は、後述の入力部12から供給される心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線の設定情報に基づいて基準心拍時相(例えば、心拍時相P1)のボリュームデータにおける心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を検出し、更に、基準心拍時相のボリュームデータと心拍時相P2乃至Pnのボリュームデータとのトラッキング処理によりこれらの心拍時相における心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を検出する輪郭面検出部6と、輪郭面検出部6において検出された心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面に対してワイヤフレームを形成するワイヤフレーム形成部7と、輪郭面検出部6において検出された心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面の位置情報に基づき、前記ボリュームデータ生成部5が生成した前記心臓領域のボリュームデータの中から心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面に対応したボリュームデータのボクセルを切り出して心拍時相P1乃至PnのMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データを組織画像データとして生成する組織画像データ生成部8と、上述の心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面に配置された複数の追跡点(トラッキングポイント)において心機能評価に有効な「歪み(ストレイン)」等の心機能パラメータを計測する心機能パラメータ計測部9を備えている。
更に、3次元超音波診断装置100は、ワイヤフレーム形成部7にて形成されたワイヤフレームのメッシュパターンと心機能パラメータ計測部9にて得られた心機能パラメータデータを組織画像データ生成部8から供給されるMPR画像データに重畳して心拍時相P1乃至Pnの診断用画像データを生成する診断用画像データ生成部10と、得られたこれらの診断用画像データを心拍時相に対応させて繰り返し(ループ)表示する表示部11と、被検体情報の入力、ボリュームデータ生成条件の設定、ボリュームデータに対するMPR断面の設定、前記MPR断面にて収集されたMPR画像データに対する心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線の設定、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部12と、心臓領域に対する3次元走査を制御する走査制御部13と、当該被検体の心拍時相を計測する心拍時相計測ユニット14と、3次元超音波診断装置100が有する上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部15を備えている。
超音波プローブ3は、2次元配列されたM個の図示しない振動素子をその先端部に有し、前記先端部を被検体の体表に接触させて超音波の送受信を行なう。振動素子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルス(駆動信号)を超音波パルス(送信超音波)に変換し、又、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気的な受信信号に変換する機能を有している。そして、これら振動素子の各々は、図示しないMチャンネルの多芯ケーブルを介して送受信部2に接続されている。尚、本実施例では、M個の振動素子が2次元配列されたセクタ走査用の超音波プローブ3を用いた3次元超音波診断装置100について述べるが、リニア走査やコンベックス走査等に対応した超音波プローブを用いても構わない。
次に、図2に示す送受信部2は、超音波プローブ3の振動素子に対して駆動信号を供給する送信部21と、振動素子から得られた受信信号に対して整相加算(所定方向から得られる受信信号の位相を一致させて加算)を行なう受信部22を備えている。
送信部21は、レートパルス発生器211、送信遅延回路212及び駆動回路213を備え、レートパルス発生器211は、送信超音波の繰り返し周期を決定するレートパルスを生成して送信遅延回路212に供給する。送信遅延回路212は、送信に使用されるMt個の振動素子と同数の独立な遅延回路から構成され、送信超音波を撮影領域内の所定の深さに集束するための集束用遅延時間と所定方向(θp、φq)に送信するための偏向用遅延時間を上記レートパルスに与えて駆動回路213へ供給する。駆動回路213は、送信遅延回路212と同数の独立な駆動回路を有し、超音波プローブ3にて2次元配列されたM個の振動素子の中から送信用として選択されたMt(Mt≦M)個の振動素子を駆動し、被検体の体内に送信超音波を放射する。
一方、受信部22は、超音波プローブ3に内蔵されたM個の振動素子の中から受信用として選択されたMr(Mr≦M)個の振動素子に対応するMrチャンネルのA/D変換器221及び受信遅延回路222と加算器223を備えており、受信用の振動素子から供給されたMrチャンネルの受信信号は、A/D変換器221にてデジタル信号に変換され、受信遅延回路222に送られる。
受信遅延回路222は、撮影領域内の所定深さにて反射した受信超音波を集束するための集束用遅延時間と、所定方向(θp、φq)に対して受信指向性を設定するための偏向用遅延時間をA/D変換器221から出力されるMrチャンネルの受信信号の各々に与え、加算器223は、受信遅延回路222からの受信信号を加算する。即ち、受信遅延回路222と加算器223により、所定方向から得られた受信信号は整相加算される。又、受信部22の受信遅延回路222及び加算器223は、その遅延時間の制御によって複数方向に対する受信指向性を同時に形成する所謂並列同時受信を可能とし、並列同時受信の適用により3次元走査に要する時間は大幅に短縮される。尚、上述の送受信部2が備える送信部21及び受信部22の一部は超音波プローブ3の内部に設けられていても構わない。
図3は、超音波プローブ3の中心軸をz軸とした直交座標(x−y−z)における超音波送受信方向(θp、φq)を示したものであり、振動素子はx軸方向及びy軸方向に2次元配列され、θp及びφqは、x−z平面及びy−z平面に投影された超音波送受信方向のz軸に対する角度を示している。そして、走査制御部13から供給される走査制御信号に従って送信部21の送信遅延回路212及び受信部22の受信遅延回路222における遅延時間が制御され、被検体内の心臓領域に対する3次元走査が行なわれる。
図2へ戻って、受信信号処理部4は、超音波データとしてのBモードデータを生成する機能を有し包絡線検波器41と対数変換器42を備えている。包絡線検波器41は、受信部22の加算器223から供給される整相加算後の受信信号を包絡線検波し、対数変換器42は、包絡線検波された受信信号の振幅を対数変換してBモードデータを生成する。尚、包絡線検波器41と対数変換器42は順序を入れ替えて構成してもよい。
次に、図1に示したボリュームデータ生成部5の具体的な構成につき図4のブロック図を用いて説明する。
ボリュームデータ生成部5は、図4に示すように、超音波データ記憶部51、補間処理部52及びボリュームデータ記憶部53を備え、超音波データ記憶部51には、当該被検体に対する3次元走査によって得られた受信信号に基づき受信信号処理部4が生成した所定心拍時相のBモードデータが超音波送受信方向(θp、φq)を付帯情報として順次保存される。
一方、補間処理部52は、超音波データ記憶部51から読み出したBモードデータを超音波送受信方向(θp、φq)に対応させて配列することにより3次元Bモードデータを生成し、更に、この3次元Bモードデータを構成する不等間隔のボクセルを補間処理して、例えば、図3のx方向、y方向及びz方向に対し等方的なボクセルで構成されるボリュームデータを生成する。そして、心拍時相P1乃至Pnにおいて得られた超音波ボリュームデータは、心拍時相計測ユニット14から供給される当該被検体の心拍時相(即ち、心拍時相P1乃至Pn)を付帯情報としてボリュームデータ記憶部53に保存される。
再び図1へ戻って、輪郭面検出部6は、図示しない補間処理部、追跡点設定部及びトラッキング処理部を備え、心拍時相P1のボリュームデータを用いて組織画像データ生成部8が生成し表示部11において表示されたMPR画像データに対し入力部12が設定した心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線の位置情報を受信する。この場合、例えば、心臓の2腔断面に対応したMPR断面や4腔断面に対応したMPR断面においてMPR画像データが生成され、これらMPR画像データの心内膜及び心外膜に対して入力部12が設定した心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線の位置情報がシステム制御部15を介して輪郭面検出部6に供給される。そして、輪郭面検出部6の前記補間処理部は、ボリュームデータ生成部5のボリュームデータ記憶部53から供給される心拍時相P1(基準心拍時相)のボリュームデータに上述の輪郭線を設定し、これら輪郭線の各々に対してスプライン補間等の補間処理を行なうことにより心拍時相P1のボリュームデータにおける心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を検出する。
一方、前記追跡点設定部は、上述の心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面に複数の追跡点を配置し、前記トラッキング処理部は、これら追跡点の各々を中心とした3次元関心領域における心拍時相P1のボリュームデータと心拍時相P2のボリュームデータとをトラッキング処理することによって心拍時相P2のボリュームデータにおける心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を検出する。更に、前記トラッキング処理部は、同様の手順により心拍時相P1のボリュームデータと心拍時相P3乃至Pnのボリュームデータとのトラッキング処理により心拍時相P3乃至Pnのボリュームデータにおける心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を検出する。
但し、心拍時相P1のボリュームデータと心拍時相P3乃至Pnのボリュームデータとのトラッキング処理の替わりに、隣接する心拍時相のボリュームデータに対してトラッキング処理を行なうことによって心拍時相P3乃至Pnのボリュームデータにおける心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を検出してもよい。尚、上述のトラッキング処理としてボリュームデータ間のパターンマッチングが通常行なわれるが他の方法であってもよく、特に限定されない。
次に、相互相関処理を適用したパターンマッチングの具体例につき図5を用いて説明する。図5において、図示しない心内膜輪郭面あるいは心外膜輪郭面の追跡点Ptを中心に設定された3次元関心領域Roにおける心拍時相PaのボリュームデータVaが有するボクセル値をA(f、g、h)(f=1〜F,g=1〜G、h=1〜H)、心拍時相Paに後続する心拍時相PbのボリュームデータVbが有するボクセル値をB(f、g、h)(f=j+1〜j+F,g=k+1〜k+G、h=s+1〜s+H)、とすれば、心拍時相Paから心拍時相Pbまでの間に追跡点Ptが変位する方向と距離は次式(1)の変位評価関数γAB(j、k、s)によって計測される。
そして、3次元関心領域RoのボリュームデータVaをボリュームデータVbに対しp方向、q方向及びh方向に逐次移動させながら上式(1)の変位評価関数γAB(j、k、s)を算出し、j=jx、k=kx及びs=sxにおいてγAB(j、k、s)がピーク値を示した場合、心拍時相Paにおける追跡点Ptは心拍時相Pbにおいてf方向にjxボクセル分、g方向にkxボクセル分、h方向にsxボクセル分だけ変位したものとして検出される。但し、上式(1)におけるNは、3次元関心領域Roにおけるf方向のボクセル数F、g方向のボクセル数G及びh方向のボクセル数Hの積を示している。
一方、ワイヤフレーム形成部7は、心拍時相P1乃至Pnのボリュームデータにおける心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面に対して配置された上述の追跡点を所定間隔で抽出して結線することによりワイヤフレームを形成する。図6は、ワイヤフレーム形成部7によって形成されたワイヤフレームの具体例を示したものであり、このワイヤフレームWfは、心内膜輪郭面あるいは心外膜輪郭面Cpにおいて配置された図示しない複数の追跡点の中から所定間隔で抽出した追跡点Tpを交点として形成される。例えば、心機能パラメータの計測を目的として上述の輪郭面に配置された複数の追跡点の中から所定間隔で間引かれた数分の1乃至数十分の1の追跡点を結線することによってワイヤフレームWfが形成される。
図1へ戻って、組織画像データ生成部8は、ボリュームデータ生成部5のボリュームデータ記憶部53から供給される基準心拍時相(心拍時相P1)のボリュームデータに入力部12から供給される心臓の2腔断面や4腔断面に対応したMPR断面の位置情報を設定し、これらのMPR断面に対応する前記ボリュームデータのボクセルを切り出して心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線の設定を目的としたMPR画像データを生成する。
更に、組織画像データ生成部8は、ボリュームデータ記憶部53から供給された心拍時相P1乃至Pnのボリュームデータに輪郭面検出部6から供給された心拍時相P1乃至Pnにおける心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面の位置情報を設定し、心内膜輪郭面あるいは心外膜輪郭面に対応する前記ボリュームデータのボクセルを切り出して曲面状のMPR画像データを生成する。尚、この場合、心内膜輪郭面あるいは心外膜輪郭面に垂直な方向に対しても所定の厚み範囲で複数のボクセルを切り出し、これらのボクセルが有するボクセル値を厚み方向に演算処理(例えば、加算平均処理)して心内膜輪郭面や心外膜輪郭面におけるMPR画像データを生成してもよい。
次に、心機能パラメータ計測部9は、図示しない演算処理部と不透明度・色相設定部を有し、前記演算処理部は、輪郭面検出部6から供給された心拍時相P1乃至Pnの心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面における追跡点の位置情報に基づいて心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面における「変位」を計測し、更に、単位長さ当たりの変位で定義される「歪み(ストレイン)」を心機能パラメータとして計測する。一方、前記不透明度・色相設定部は、前記心機能パラメータの計測結果に対し所定の色相と不透明度を設定して心機能パラメータデータを生成する。尚、心機能パラメータ計測部9の演算処理部が追跡点の位置情報に基づいて計測する心機能パラメータは上述の「歪み(ストレイン)」に限定されるものではなく、例えば、「変位」、「回転」、「捻れ(torsion)」、「速度」等を心機能パラメータとして計測してもよく、これらの時間的変化を示す「歪みレート」、「回転レート」、「捻れレート」、「加速度」等であっても構わない。
一方、診断用画像データ生成部10は、図示しない画像データ合成部と画像データ記憶部を備え、前記画像データ合成部は、心拍時相P1乃至Pnにて収集されたボリュームデータに基づきワイヤフレーム形成部7が形成したワイヤフレームのメッシュパターンと心機能パラメータ計測部9にて得られた心機能パラメータデータを組織画像データ生成部8が生成したMPR画像データに重畳して心拍時相P1乃至Pnの診断用画像データを生成する。この場合、心機能パラメータの計測結果に所定の色相と透明度を設定して生成された心機能パラメータデータをMPR画像データに重畳することにより組織画像データ及び心機能パラメータデータの各々を分離して観察することが可能となる。そして、得られたこれらの診断用画像データは、心拍時相を付帯情報として前記画像データ記憶部に保存される。
表示部11は、図示しない表示制御部、画像データ変換部及びモニタを備え、前記表示制御部は、診断用画像データ生成部10の画像データ記憶部に保存された診断用画像データを心拍時相に対応させて順次読み出し、前記画像データ変換部は、これらの診断用画像データに対し所定の表示フォーマットに基づいた座標変換やD/A変換等の変換処理を行なって前記モニタに表示する。即ち、前記モニタには、変換処理された心拍時相P1乃至Pnの診断用画像データが繰り返し(ループ)表示される。
入力部12は、操作パネル上にキーボード、トラックボール、マウス、選択ボタン、入力ボタン等の入力デバイスや表示パネルを備え、心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線の設定を目的としたMPR画像データの収集断面(MPR断面)を設定するMPR断面設定機能121や前記MPR画像データに対して心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線を設定する輪郭設定機能122を有している。又、被検体情報の入力、ボリュームデータ生成条件の設定、更には、各種コマンド信号の入力等も上述の表示パネルや入力デバイスを用いて行なわれる。
走査制御部13は、当該被検体の心臓領域に対し超音波による3次元走査を行なうための遅延時間制御を送信部21の送信遅延回路212及び受信部22の受信遅延回路222に対して行なう。心拍時相計測ユニット14は、被検体の心電波形に基づいて心拍時相情報を発生する機能を有し、被検体体表面に装着され心電波形を計測する計測用電極と、この計測用電極によって計測された心電波形を所定の振幅に増幅する増幅回路と、増幅された心電波形をデジタル信号に変換するA/D変換器と、デジタル変換された心電波形に基づいて、例えば、心臓の拡張末期を基準とする1心拍周期に対して心拍時相P1乃至Pnを設定する心拍時相設定部(何れも図示せず)を備えている。
そして、システム制御部15は、図示しないCPUと記憶回路を備え、入力部12において入力/設定された各種の情報は前記記憶回路に保存される。そして、前記CPUは、入力部12から入力された上述の入力/設定情報や自己の記憶回路に予め保管された各種の入力/設定情報に基づいて3次元超音波診断装置100の各ユニットを統括的に制御し、心機能パラメータデータやワイヤフレームのメッシュパターンが重畳されたMPR画像データを診断用画像データとして動画像表示する。
(診断用画像データの生成/表示手順)
次に、本実施例における診断用画像データの生成/表示手順につき図7のフローチャートを用いて説明する。
診断用画像データの生成に先立ち、3次元超音波診断装置100の操作者は、心拍時相計測ユニット14が備えた計測用電極を被検体の胸部体表面に装着した後、入力部12において被検体情報の入力、ボリュームデータ生成条件の設定、診断用画像データ生成条件の設定等を行なう。そして、これらの入力情報や設定情報は、システム制御部15の記憶回路に保存される(図7のステップS1)。
上述の初期設定が終了したならば、操作者は、心拍時相計測ユニット14を動作状態に切り替えることによって当該被検体に対する心拍時相の計測が開始され(図7のステップS2)、更に、入力部12においてボリュームデータの収集開始コマンドを入力することによって当該被検体の心臓領域に対するボリュームデータの収集が開始される(図7のステップS3)。
ボリュームデータの収集に際し、走査制御部13は、送受信部2の送信遅延回路212及び受信遅延回路222に対し当該被検体の心臓領域を3次元走査するための走査制御信号を供給する。
一方、被検体から得られた心電波形に基づいて心拍時相計測ユニット14が発生した最初の心拍時相(心拍時相P1)の同期信号を、システム制御部15を介して受信した送信部21のレートパルス発生器211は、予め設定された繰り返し周期(レート周期)を有するレートパルスを前記同期信号に基づいて生成し送信遅延回路212へ供給する。
送信遅延回路212は、走査制御部13から供給された走査制御信号に基づいて当該被検体の心臓領域を含む3次元領域の所定の深さに超音波を集束するための集束用遅延時間と、最初の超音波送受信方向(θ1、φ1)に超音波を送信するための偏向用遅延時間を前記レートパルスに与え、このレートパルスをMtチャンネルの駆動回路213へ供給する。
次いで、駆動回路213は、送信遅延回路212から供給されたレートパルスに基づいて駆動信号を生成し、この駆動信号を超音波プローブ3に設けられたMt個の送信用振動素子に供給して被検体内に送信超音波を放射する。放射された送信超音波の一部は、音響インピーダンスの異なる臓器境界面や組織にて反射し、超音波プローブ3に設けられたMr個の受信用振動素子によって受信されてMrチャンネルの電気的な受信信号に変換される。次いで、この受信信号は、受信部22のA/D変換器221においてデジタル信号に変換され、更に、Mrチャンネルの受信遅延回路222において所定の深さからの受信超音波を収束するための集束用遅延時間と超音波送受信方向(θ1、φ1)からの受信超音波に対し強い受信指向性を設定するための偏向用遅延時間が走査制御部13から供給された上述の走査制御信号に基づいて与えられた後加算器223にて整相加算される。そして、整相加算後の受信信号が供給された受信信号処理部4の包絡線検波器41及び対数変換器42は、この受信信号に対して包絡線検波と対数変換を行なってBモードデータを生成し、得られたBモードデータは、超音波送受信方向(θ1、φ1)を付帯情報としてボリュームデータ生成部5の超音波データ記憶部51に保存される。
次いで、走査制御部13は、送受信部2の送信遅延回路212及び受信遅延回路222における遅延時間を制御してθ方向にΔθ、φ方向にΔφずつ順次更新された超音波送受信方向(θp、φq)(θp=θ1+(p−1)Δθ(p=1〜P)、φq=φ1+(q−1)Δφ(q=1〜Q)、但し、超音波送受信方向(θ1、φ1)を除く)の各々に対し同様の手順で超音波を送受信して3次元走査を行なう。そして、各々の送受信方向にて得られたBモードデータも上述の超音波送受信方向を付帯情報として超音波データ記憶部51に保存される。
心拍時相P1の心臓領域に対するBモードデータの収集と保存が終了したならば、ボリュームデータ生成部5の補間処理部52は、超音波データ記憶部51から読み出した複数のBモードデータを超音波送受信方向(θp、φq)に対応させて配列することにより3次元Bモードデータを生成し、更に、この3次元Bモードデータを構成する不等間隔のボクセルを補間処理して等方的なボクセルで構成されるボリュームデータを生成する。そして、得られたボリュームデータは、心拍時相計測ユニット14からシステム制御部15を介して供給される心拍時相P1を付帯情報としてボリュームデータ生成部5のボリュームデータ記憶部53に保存される(図7のステップS4)。
同様にして、心拍時相P2乃至Pnの各々に同期した3次元走査によって収集されたボリュームデータも心拍時相P2乃至Pnを付帯情報としてボリュームデータ記憶部53に保存される(図7のステップS2乃至S4)。即ち、ボリュームデータ記憶部53には、当該被検体の、例えば、拡張末期を基準とする1心拍周期において収集された心拍時相P1乃至Pnのボリュームデータが夫々の心拍時相を付帯情報として保存される。
当該被検体の1心拍周期を構成する心拍時相P1乃至Pnのボリュームデータが保存されたならば、組織画像データ生成部8は、ボリュームデータ生成部5のボリュームデータ記憶部53から読み出した基準心拍時相(心拍時相P1)のボリュームデータに対し入力部12から供給された心臓の2腔断面や4腔断面に対応するMPR断面の位置情報を設定し、これらのMPR断面に対応する前記ボリュームデータのボクセルを切り出してMPR画像データを生成する。そして、診断用画像データ生成部10は、これらのMPR画像データを合成して表示部11のモニタに表示する(図7のステップS5)。
次いで、操作者は、入力部12に備えられた入力デバイスを用い表示部11に表示されている複数からなるMPR画像データの心内膜及び心外膜に対して心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線を設定する(図7のステップS6)。そして、入力部12から心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線の位置情報を受信した輪郭面検出部6の補間処理部は、ボリュームデータ生成部5のボリュームデータ記憶部53から供給された心拍時相P1のボリュームデータに心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線を設定し、これらの輪郭線に対してスプライン補間等の補間処理を行なうことにより心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を検出する。
一方、輪郭面検出部6の追跡点設定部は、検出された心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面の面上に複数の追跡点を配置し、輪郭面検出部6のトラッキング処理部は、これら追跡点の各々を中心とした3次元関心領域における心拍時相P1のボリュームデータと心拍時相P2のボリュームデータとのトラッキング処理によって心拍時相P2のボリュームデータにおける心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を検出する。更に、前記トラッキング処理部は、同様の手順により前記心拍時相P1のボリュームデータと心拍時相P3乃至Pnのボリュームデータとのトラッキング処理により心拍時相P3乃至Pnのボリュームデータにおける心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を検出する(図7のステップS7)。
次に、ワイヤフレーム形成部7は、心拍時相P1乃至Pnのボリュームデータにおける心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面に配置された複数からなる追跡点を所定間隔で抽出し、抽出された追跡点を結線することによりワイヤフレームを形成する(図7のステップS8)。一方、組織画像データ生成部8は、ボリュームデータ記憶部53から供給された心拍時相P1乃至Pnのボリュームデータに上述の心拍時相P1乃至Pnの心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を設定し、心内膜輪郭面あるいは心外膜輪郭面に対応する前記ボリュームデータのボクセルを切り出して曲面状のMPR画像データを組織画像データとして生成する(図7のステップS9)。又、心機能パラメータ計測部9は、輪郭面検出部6から供給された心拍時相P1乃至Pnの心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面における追跡点の位置情報に基づいて心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面における「変位」を計測し、更に、単位長さ当たりの変位で定義される「歪み(ストレイン)」を心機能パラメータとして計測する(図7のステップS10)。
次に、診断用画像データ生成部10の画像データ合成部は、心拍時相P1乃至Pnにて収集されたボリュームデータに基づいてワイヤフレーム形成部7が形成したワイヤフレームのメッシュパターンと心機能パラメータ計測部9にて得られた心機能パラメータデータを組織画像データ生成部8が生成したMPR画像データに重畳して心拍時相P1乃至Pnの診断用画像データを生成する。そして、得られたこれらの診断用画像データは心拍時相を付帯情報として自己の画像データ記憶部に保存される(図7のステップS11)。
次いで、表示部11は、診断用画像データ生成部10の画像データ記憶部に保存された診断用画像データを心拍時相に対応させて順次読み出し、所定の変換処理を行なって自己のモニタに繰り返し(ループ)表示する(図7のステップS12)。
以上述べた第1の実施例によれば、被検体の心臓領域に対する3次元走査によって収集された時系列的なボリュームデータに基づいて心筋組織のMPR画像データや心機能パラメータデータを収集する際、心拍動に伴なって変動する前記ボリュームデータをトラッキング処理することにより、心臓の心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面におけるMPR画像データや心機能パラメータデータを安定かつ正確に収集することができる。このため、前記被検体に対する診断精度と診断効率を大幅に向上させることができる。
又、上述の実施例によれば、同一の心拍時相において収集された心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面における心機能パラメータデータと組織画像データとしてのMPR画像データを重畳させて動画像表示しているため、心筋表面の状態と心筋表面における心機能パラメータを同時に観察することができる。特に、心機能パラメータの計測結果に対し好適な色相と透明度を設定して生成された心機能パラメータデータをMPR画像データに重畳することによりMPR画像データと心機能パラメータデータの各々を分離させて観察することが可能となる。
更に、心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面において形成されたワイヤフレームのメッシュパターンを上述の心機能パラメータやMPR画像データに重畳させて動画像表示しているため、トラッキング時における心筋組織の運動状態をMPR画像データにおいて把握することができ、メッシュパターンとMPR画像データとの比較観察によりボリュームデータ間のトラッキング処理が正確に行なわれているか否かを容易に確認することができる。
尚、上述の第1の実施例における組織画像データ生成部8は、ボリュームデータ記憶部53から供給されたボリュームデータに輪郭面検出部6から供給された心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面の位置情報を設定し、これらの輪郭面に対応する前記ボリュームデータのボクセルを切り出して曲面状のMPR画像データを生成する場合について述べたが、図8に示すように、ワイヤフレーム形成部7が形成したワイヤフレームWf(図6参照)の追跡点Tpによって囲まれた複数からなる微小平面Pfの位置情報を前記ボリュームデータに設定し、微小平面Pfに対応した前記ボリュームデータのボクセルを切り出して生成した微小MPR画像データDmをワイヤフレームWfの微小平面Pfに貼付してもよい。
又、第1の実施例及び上述の変形例におけるMPR画像データの生成に際し、MPR画像データをフィルタリング処理することによりこの画像データに含まれたスペックルの強調表示を可能とする画像処理部を組織画像データ生成部8に備えてもよい。スペックルが強調されたMPR画像データに心機能パラメータデータやワイヤフレームのメッシュパターンを重畳することにより心筋組織の運動状態やトラッキング状態の把握が更に容易となる。この場合のフィルタリング処理の選択やフィルタリング特性の設定は入力部12によって行なうことが可能であるが特に限定されない。
次に本発明の第2の実施例について説明する。上述の第1の実施例では、組織画像データとして心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面に沿ったMPR画像データを生成する場合について述べたが、本実施例では、心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面によって囲まれたボリュームデータをレンダリング処理して3次元画像データを生成する場合について述べる。
即ち、本実施例における3次元超音波診断装置は、被検体の心臓領域に対する3次元走査によって収集された時系列的なボリュームデータをトラッキング処理することにより各心拍時相における心筋の心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を検出し、これらの輪郭面に配置した複数の追跡点における心拍時相間の変位を計測することによって得られる心機能パラメータデータと前記輪郭面において形成されるワイヤフレームのメッシュパターンと前記輪郭面を含む閉曲面を用いて切出したボリュームデータのレンダリング処理によって得られる3次元画像データを重畳して診断用画像データを生成し、得られた各心拍時相の診断用画像データを表示部において動画像表示する。
(装置の構成と機能)
本実施例における3次元超音波診断装置200の構成と機能につき図9及び図10を用いて説明する。但し、3次元超音波診断装置200の全体構成を示す図9のブロック図において、図1に示した3次元超音波診断装置100が備えるユニットと同様な構成と機能を有するユニットは同一の符号を付加し詳細な説明は省略する。
即ち、図9に示す本実施例の3次元超音波診断装置200は、3次元超音波診断装置100と同様な送受信部2、超音波プローブ3、受信信号処理部4、ボリュームデータ生成部5、表示部11、入力部12、走査制御部13、心拍時相計測ユニット14及びシステム制御部15を備え、更に、入力部12から供給される心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線の設定情報に基づき、基準心拍時相(心拍時相P1)のボリュームデータに対し心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を含んだ閉曲面を輪郭面として検出し、更に、前記基準心拍時相に後続する心拍時相P2乃至Pnのボリュームデータをトラッキング処理することにより前記ボリュームデータにおける閉曲面を検出する輪郭面検出部6aと、輪郭面検出部6aにおいて検出された閉曲面に対してワイヤフレームを形成するワイヤフレーム形成部7aと、前記ボリュームデータ生成部5が生成した心臓領域のボリュームデータの中から上述の閉曲面によって囲まれたボリュームデータを切り出して心拍時相P1乃至Pnにおける3次元画像データを組織画像データとして生成する組織画像データ生成部8aと、前記閉曲面の面上に配置された複数の追跡点において心機能評価に有効な「歪み(ストレイン)」等の心機能パラメータを計測する心機能パラメータ計測部9aを備えている。
又、3次元超音波診断装置200は、ワイヤフレーム形成部7aにおいて形成されたワイヤフレームのメッシュパターンと心機能パラメータ計測部9aにおいて得られた心機能パラメータデータを組織画像データ生成部8aから供給される3次元画像データに重畳して心拍時相P1乃至Pnにおける診断用画像データを生成する診断用画像データ生成部10aを備えている。
輪郭面検出部6aは、図示しない補間処理部、追跡点設定部及びトラッキング処理部を備え、前記補間処理部は、ボリュームデータ生成部5のボリュームデータ記憶部53から供給される心拍時相P1のボリュームデータに入力部12から供給される複数の輪郭線情報を設定し、これらの輪郭線を補間処理してボリュームデータにおける心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面とその端部によって形成される閉曲面を検出する。
一方、前記追跡点設定部は、上述の閉曲面に複数の追跡点を配置し、前記トラッキング処理部は、これら追跡点の各々を中心とした3次元関心領域における心拍時相P1のボリュームデータと心拍時相P2のボリュームデータとのトラッキング処理によって心拍時相P2のボリュームデータにおける閉曲面を検出する。更に、前記トラッキング処理部は、同様の手順により心拍時相P1のボリュームデータと心拍時相P3乃至Pnのボリュームデータとのトラッキング処理により心拍時相P3乃至Pnのボリュームデータにおける閉曲面を検出する。
ワイヤフレーム形成部7aは、心拍時相P1乃至Pnのボリュームデータにおける閉曲面に対して配置された上述の追跡点を所定間隔で抽出して結線することによりワイヤフレームを形成する。一方、組織画像データ生成部8aは、図1に示した組織画像データ生成部8と同様にボリュームデータ生成部5のボリュームデータ記憶部53から供給される基準心拍時相(心拍時相P1)のボリュームデータに入力部12から供給されるMPR断面の位置情報を設定し、これらMPR断面に対応する前記ボリュームデータのボクセルを切り出して心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線の設定を目的としたMPR画像データを生成する。
更に、組織画像データ生成部8aは、ボリュームデータ記憶部53から供給される心拍時相P1乃至Pnのボリュームデータに輪郭面検出部6aが検出した心拍時相P1乃至Pnの閉曲面を設定し、閉曲面の内部から切り出した前記ボリュームデータのボクセルをレンダリング処理して3次元画像データを生成する機能を有している。この組織画像データ生成部8aは、図示しない不透明度・色相設定部とレンダリング処理部を備えている。そして、前記不透明度・色相設定部は、閉曲面の内部から切り出したボリュームデータのボクセルが有するボクセル値及び前記ボクセルから閉曲面までの距離に基づいて各ボクセルの不透明度を設定し、前記レンダリング処理部は、前記不透明度・色相設定部によって設定された不透明度の情報に基づいて閉曲面内のボリュームデータをレンダリング処理し3次元画像データを生成する。
通常のレンダリング処理では、ボクセル値に基づいて3次元画像データの明度(輝度)や不透明度が設定され、奥行き情報や影付け情報等に基づいて3次元画像データの色相が設定されるが、3次元画像データと心機能パラメータを重畳させて表示する本実施例では、ボリュームデータのボクセル値に基づいて3次元画像データの明度や不透明度を設定し、心機能パラメータの計測値に基づいて心機能パラメータデータの色相を設定する方法が好適である。但し、色相情報を有した3次元画像データと心機能パラメータデータとを重畳させても構わない。
図10は、閉曲面からボクセルまでの距離に基づいて前記不透明度・色相設定部が設定する不透明度特性の具体例を示したものであり、前記不透明度・色相設定部は、心筋組織の表層を示す閉曲面から深部に向って不透明度特性を任意に設定する機能を有し、この不透明度特性の設定は、システム制御部15の記憶回路に予め保管された設定情報あるいは入力部12から供給される設定情報に基づいて行なわれる。
例えば、前記不透明度・色相設定部は、図10(a)に示すように心内膜側の閉曲面Ci及び心外膜側の閉曲面Ceから深部に向って所定間隔で領域R1乃至Rmを形成し、各々の領域におけるボクセル値に対し図10(b)に示すような不透明度特性を設定する。具体的には、同一のボクセル値に対し、閉曲面Ci及びCeに近い領域ほど低い不透明度を設定し、深部の領域に対しては高い不透明度を設定する。組織画像データ生成部8aの前記不透明度・色相設定部にこのような不透明度特性の設定機能をもたせることにより、閉曲面が心筋組織の心内膜あるいは心外膜を正確に捉えていない場合においても閉曲面を多少厚めに設定しておけば閉曲面近傍の不透明度を低く設定することができるため、前記閉曲面の内部から切り出されたボリュームデータに基づいて生成される3次元画像データにおいて心筋組織の表面(即ち、心内膜及び心外膜)を確実に捉えることが可能となる。
図9に戻って、心機能パラメータ計測部9aは、図示しない演算処理部と不透明度・色相設定部を有し、前記演算処理部は、輪郭面検出部6aから供給された心拍時相P1乃至Pnの閉曲面における追跡点の位置情報に基づいて心筋の心内膜及び心外膜における「変位」を計測し、更に、単位長さ当たりの変位で定義される「歪み(ストレイン)」を心機能パラメータとして計測する。一方、前記不透明度・色相設定部は、前記心機能パラメータの計測結果に所定の色相と不透明度を設定して心機能パラメータデータを生成する。尚、上述の不透明度や色相の設定は、システム制御部15の記憶回路に予め保管された設定情報あるいは入力部12から供給される設定情報に基づいて行なわれる。
次に、診断用画像データ生成部10aは、心拍時相P1乃至Pnの各々において収集されたボリュームデータに基づいてワイヤフレーム形成部7aが形成したワイヤフレームと心機能パラメータ計測部9aが生成した心機能パラメータデータを組織画像データ生成部8aが生成した3次元画像データに重畳して心拍時相P1乃至Pnにおける診断用画像データを生成し、前記心拍時相を付帯情報として自己の画像データ記憶部に保存する。
(診断用画像データの生成/表示手順)
次に、本実施例における診断用画像データの生成/表示手順につき図11のフローチャートを用いて説明する。但し、図11のフローチャートにおいて、図7に示した第1の実施例と同一のステップは同一の符号を付加し詳細な説明は省略する。
表示部11に表示されたMPR画像データの心内膜及び心外膜に対する心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線の設定が図11のステップS6において終了したならば、これら輪郭線の位置情報を受信した輪郭面検出部6aの補間処理部は、ボリュームデータ生成部5のボリュームデータ記憶部53から供給された心拍時相P1のボリュームデータに上述の輪郭線を設定し、これらの輪郭線に対しスプライン補間等の補間処理を行なうことにより心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面とその端部によって形成される閉曲面を検出する。
一方、輪郭面検出部6aの追跡点設定部は、上述の閉曲面に複数の追跡点を配置し、輪郭面検出部6aのトラッキング処理部は、これら追跡点の各々を中心とした3次元関心領域における心拍時相P1のボリュームデータと心拍時相P2のボリュームデータとのトラッキング処理により心拍時相P2のボリュームデータにおける閉曲面を検出する。更に、前記トラッキング処理部は、同様の手順により心拍時相P1のボリュームデータと心拍時相P3乃至Pnのボリュームデータとのトラッキング処理により心拍時相P3乃至Pnのボリュームデータにおける閉曲面を検出する(図11のステップS7a)。
次に、ワイヤフレーム形成部7aは、心拍時相P1乃至Pnのボリュームデータにおける上述の閉曲面に配置された複数からなる追跡点を所定間隔で抽出し、抽出した追跡点を結線することによりワイヤフレームを形成する(図11のステップS8a)。一方、組織画像データ生成部8aの不透明度・色相設定部は、前記閉曲面の内部から切り出されたボリュームデータのボクセルが有するボクセル値及び前記ボクセルから閉曲面までの距離に基づいて各ボクセルの不透明度や色相を設定し、組織画像データ生成部8aのレンダリング処理部は、前記不透明度・色相設定部によって設定された不透明度や色相の情報に基づいて閉曲面内のボリュームデータをレンダリング処理し3次元画像データを組織画像データとして生成する(図11のステップS9a)。
又、心機能パラメータ計測部9aは、輪郭面検出部6aから供給された心拍時相P1乃至Pnの閉曲面における追跡点の位置情報に基づいて心筋の心内膜及び心外膜における「変位」を計測し、更に、単位長さ当たりの変位で定義される「歪み(ストレイン)」を心機能パラメータとして計測する(図11のステップS10a)。
次に、診断用画像データ生成部10aは、心拍時相P1乃至Pnの各々において収集されたボリュームデータに基づいてワイヤフレーム形成部7aが形成したワイヤフレームのメッシュパターンと心機能パラメータ計測部9aが生成した心機能パラメータデータを組織画像データ生成部8aが生成した3次元画像データに重畳して心拍時相P1乃至Pnにおける診断用画像データを生成し、得られたこれらの診断用画像データを、心拍時相を付帯情報として自己の画像データ記憶部に保存する((図11のステップS11a)。そして、前記画像データ記憶部に保存された診断用画像データは、図7のステップS12と同様に心拍時相に対応させて順次読み出され、表示部11に繰り返し(ループ)表示される(図11のステップS12)。
以上述べた第2の実施例によれば、被検体の心臓領域に対する3次元走査によって収集された時系列的なボリュームデータに基づいて心筋組織の組織画像データや心機能パラメータデータを収集する際、心拍動に伴なって変動する前記ボリュームデータをトラッキング処理することにより、心臓の心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を含む閉曲面によって囲まれた心筋組織の組織画像データや心機能パラメータデータを安定かつ正確に収集することができる。このため、前記被検体に対する診断精度と診断効率を大幅に向上させることができる。
又、上述の実施例によれば、同一の心拍時相において収集された前記心筋組織の心機能パラメータデータと組織画像データとしての3次元画像データを重畳させて動画像表示しているため、心筋組織の状態と「歪み(ストレイン)」等の心機能パラメータを同時に観察することができる。特に、本実施例では、閉曲面に囲まれた心筋組織のボリュームデータを切出して3次元画像データを生成しているため、心筋組織の動態観測を詳細に観察することが可能となる。又、閉曲面に近い領域ほど低い不透明度を設定し、深部の領域に対しては高い不透明度を設定しているため、閉曲面が心筋組織の心内膜あるいは心外膜を正確に捉えていない場合においてもこの閉曲面の内部から切り出したボリュームデータに基づいて生成される3次元画像データにおいて心筋組織の表面を確実に捉えることが可能となる。
更に、心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面において形成されたワイヤフレームのメッシュパターンを上述の心機能パラメータや3次元画像データに重畳させて動画像表示しているため、トラッキング時における心筋組織の運動状態を3次元画像データにおいて詳細に把握することができ、メッシュパターンと3次元画像データとの比較観察によりボリュームデータ間のトラッキング処理が正確に行なわれているか否かを容易に確認することができる。
以上、本発明の実施例(第1の実施例及び第2の実施例)について述べてきたが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施例では、心拍時相P1のボリュームデータに基づいて生成されたMPR画像データの心内膜及び心外膜に対して心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線を設定し、これらの輪郭線を補間処理して心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を検出する場合について述べたが、前記MPR画像データの心内膜及び心外膜に対して離散的な複数の輪郭点を設定し、これらの輪郭点を補間処理して心内膜輪郭線及び心外膜輪郭線と心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面を検出してもよい。又、特開2004−73850号公報等に記載されたACT(Automated Contour Tracking)法等を適用して心内膜輪郭線あるいは心内膜輪郭面を自動検出し、更に、心内膜輪郭面から所定間隔離れた位置に心外膜輪郭面を自動設定してもよい。
又、上述の実施例では、心拍時相P1のボリュームデータと心拍時相P2乃至Pnのボリュームデータとのトラッキング処理によって各心拍時相における心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面やこれらの輪郭面を含む閉曲面を検出する場合について述べたが、隣接する心拍時相のボリュームデータをトラッキング処理して心拍時相P2乃至Pnにおける心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面や閉曲面を検出してもよい。又、上述のトラッキング処理は、ボリュームデータ間のパターンマッチングによって行なう場合について述べたが他の方法を適用してもよく、特に限定されない。
更に、心機能パラメータ計測部9あるいは心機能パラメータ計測部9aが追跡点の位置情報に基づいて計測する心機能パラメータは上述の「歪み(ストレイン)」に限定されるものではなく、例えば、「変位」、「回転」、「捻れ(torsion)」、「速度」等を心機能パラメータとして計測してもよく、これらの時間的変化を示す「歪みレート」、「回転レート」、「捻れレート」、「加速度」等であっても構わない。
一方、閉曲面内のボリュームデータに基づいて組織画像データ生成部8あるいは組織画像データ生成部8aが生成する組織画像データは3次元画像データに限定されるものではなく投影画像データであっても構わない。
又、複数の振動素子が二次元配列された超音波プローブ3を用いてボリュームデータを収集する場合について述べたが、複数の振動素子が一次元配列された超音波プローブを機械的に移動あるいは回動させることによって上述のボリュームデータを収集してもよい。更に、整相加算後の受信信号を処理して得られたBモードデータを用いてボリュームデータを生成する場合について述べたが、ボリュームデータは、カラードプラデータ等の他の超音波データに基づいて生成しても構わない。
又、上述の実施例における入力部12に心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面の位置や閉曲面の厚み(即ち、心内膜輪郭面と心外膜輪郭面の間隔)を更新する機能をもたせ、操作者は、表示部11に表示された診断用画像データあるいはMPR画像データや3次元画像データの観察下にて入力部12の入力デバイスを操作することにより輪郭面や閉曲面の最適化を行なってもよい。
更に、ワイヤフレームのメッシュパターンの替わりに心内膜輪郭面及び心外膜輪郭面の変位(移動方向と移動量)を示す移動ベクトルや移動成分ベクトルを組織画像データや心機能パラメータデータと共に表示しても構わない。
又、上述の実施例では、受信信号処理部4によって生成された3次元Bモードデータを補間処理してボリュームデータを生成する場合について述べたが、前記3次元ボリュームデータそのものをボリュームデータとして用いても構わない。
本発明の第1の実施例における3次元超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。 同実施例の3次元超音波診断装置が備える送受信部及び受信信号処理部の具体的な構成を示すブロック図。 同実施例の3次元走査における超音波送受信方向を説明するための図。 同実施例の3次元超音波診断装置が備えるボリュームデータ生成部の具体的な構成を示すブロック図。 同実施例のトラッキング処理に用いられるパターンマッチングの具体例を示す図。 同実施例のワイヤフレーム形成部において形成されるワイヤフレームの具体例を示す図。 同実施例における診断用画像データの生成/表示手順を示すフローチャート。 同実施例の組織画像データ生成部が生成するMPR画像データの変形例を示す図。 本発明の第2の実施例における3次元超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。 同実施例の組織画像データ生成部において設定される不透明度特性を示す図。 同実施例における診断用画像データの生成/表示手順を示すフローチャート。
符号の説明
2…送受信部
21…送信部
22…受信部
3…超音波プローブ
4…受信信号処理部
5…ボリュームデータ生成部
6、6a…輪郭面検出部
7、7a…ワイヤフレーム形成部
8、8a…組織画像データ生成部
9、9a…心機能パラメータ計測部
10、10a…診断用画像データ生成部
11…表示部
12…入力部
121…MPR断面設定機能
122…輪郭設定機能
13…走査制御部
14…心拍時相計測ユニット
15…システム制御部
100、200…3次元超音波診断装置

Claims (15)

  1. 被検体の心臓領域に放射される超音波によって得られた受信信号に基づいて複数の心拍時相におけるボリュームデータを時系列的に生成するボリュームデータ生成手段と、
    基準心拍時相のボリュームデータにおける心筋組織の輪郭面を検出し、前記基準心拍時相のボリュームデータと他の心拍時相のボリュームデータとのトラッキング処理により前記他の心拍時相のボリュームデータにおける心筋組織の輪郭面を検出する輪郭面検出手段と、
    同一の心拍時相におけるボリュームデータと輪郭面について、前記ボリュームデータのボクセルを前記輪郭面あるいは前記輪郭面を含む閉曲面で切り出し、切り出された部分の前記ボリュームデータを用いた組織画像データを生成する組織画像データ生成手段と、
    前記輪郭面検出手段によって検出される輪郭面に配置された複数の追跡点における心拍時相間の変位に基づいて心機能パラメータを計測し、この計測結果を用いて心機能パラメータデータを生成する心機能パラメータ計測手段と、
    前記組織画像データにおける前記心機能パラメータデータと前記組織画像データの不透明度を設定する不透明度設定手段と、
    前記組織画像データと、前記心機能パラメータデータとを重畳して表示する表示手段と、
    を備えることを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記組織画像データに前記心機能パラメータデータを重畳して診断用画像データを生成する診断用画像データ生成手段を備え、
    前記表示手段は、前記診断用画像データを表示することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 前記輪郭面に対してワイヤフレームを形成するワイヤフレーム形成手段を備え、
    前記ワイヤフレーム形成手段によって形成されたワイヤフレームのメッシュパターンを前記組織画像データに重畳して表示することを特徴とする請求項1に記載した超音波診断装置。
  4. 前記基準心拍時相のボリュームデータを用いて生成された所定断面のMPR画像データにおける心筋組織に対し輪郭点あるいは輪郭線を設定する輪郭設定手段を備え、前記輪郭面検出手段は、心筋組織に設定された複数からなる前記輪郭点あるいは前記輪郭線を補間処理して前記基準心拍時相のボリュームデータにおける前記心筋組織の輪郭面を検出することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  5. 前記輪郭設定手段は、心筋組織の心内膜及び心外膜の少なくとも何れかに対し前記輪郭線あるいは前記輪郭点を設定することを特徴とする請求項4記載の超音波診断装置。
  6. 前記輪郭設定手段は、前記輪郭面検出手段が検出した前記心筋組織の輪郭面を所望の位置に更新することを特徴とする請求項4記載の超音波診断装置。
  7. 前記輪郭面検出手段は、前記基準心拍時相のボリュームデータにおける前記心筋組織の輪郭面に複数の追跡点を配置し、前記追跡点の各々を中心とした3次元関心領域における前記基準心拍時相のボリュームデータ及び他の心拍時相のボリュームデータに対するトラッキング処理により前記他の心拍時相のボリュームデータにおける心筋組織の輪郭面を検出することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  8. 前記組織画像データ生成手段は、前記輪郭面から切り出した前記ボリュームデータのボクセルに基づいてMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データを、前記組織画像データとして生成することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  9. 前記組織画像データ生成手段は、前記閉曲面によって切り出した前記ボリュームデータのボクセルを処理して3次元画像データあるいは投影画像データを、前記組織画像データとして生成することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  10. 前記不透明度設定手段は、前記閉曲面によって切り出した前記ボリュームデータのボクセルが有するボクセル値及び前記ボクセルから前記閉曲面までの距離に基づいて前記ボクセルの不透明度を設定することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  11. 前記心機能パラメータ計測手段は、前記心機能パラメータの計測結果に対し所定の色相と不透明度を設定して前記心機能パラメータデータを生成することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  12. 前記心機能パラメータ計測手段は、前記輪郭面における心拍時相間の変位に基づいて、歪み(ストレイン)、回転、捻れ(torsion)、速度、歪みレート、回転レート、捻れレート及び加速度の少なくとも何れかを前記心機能パラメータとして計測することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  13. 前記ワイヤフレーム形成手段は、前記輪郭面に配置された前記複数の追跡点を結線することによって前記ワイヤフレームを形成することを特徴とする請求項3記載の超音波診断装置。
  14. 前記組織画像データ生成手段は、前記追跡点によって囲まれた前記ワイヤフレームの微小平面に対応する前記ボリュームデータのボクセルを切り出して微小MPR画像データを生成し、この微小MPR画像データを前記微小平面に貼付してMPR(Multi Planar Reconstruction)画像データを、前記組織画像データとして生成することを特徴とする請求項13記載の超音波診断装置。
  15. 前記組織画像データ生成手段は、前記MPR画像データに対しスペックルの強調を目的としたフィルタリング処理を行なうことを特徴とする請求項8又は請求項14に記載した超音波診断装置。
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