JP5716227B2 - 樹脂モールド装置 - Google Patents
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Description
一般にモールド樹脂の架橋反応を進めて加熱硬化するためのキュア炉は、ワークをキュア炉に対して搬入搬出する際の放熱が他の工程や環境に与える影響が大きいため、樹脂モールド装置に組み込まれて設けることは行われていない。また、限られた台数のプレス部で樹脂モールドされた成形品を順次キュア炉に搬入搬出する作業を樹脂モールドとは別の装置で行うことは作業効率が悪く成形品が冷えて反りが発生するおそれがある。
また、複数プレス部を備え、異なる製品についてワークの供給から樹脂モールドを行なって良品のみを加熱硬化させて収納するまでの一連の作業を効率良く行う装置構成については何ら開示がない。また、これら各工程を行なう装置を単に寄せ集めても設置面積が大きくなり組立作業やメンテナンスに手間がかかるうえに制御動作が複雑になるおそれもある。
ワークをモールド樹脂とともにプレス部に搬入して圧縮成形若しくはトランスファ成形による樹脂モールドが行われる樹脂モールド装置であって、前記モールド樹脂とともに搬入された前記ワークをクランプして樹脂モールドする前記プレス部と、樹脂モールド後のワークを保持する複数の保持部がその内部に設けられたキュア炉を備え、樹脂モールド後の前記ワークを前記保持部に保持させたまま当該キュア炉を密閉して前記モールド樹脂をポストキュアするポストキュア部と、前記ポストキュア部においてポストキュアされた樹脂モールド後の前記ワークを収納するワーク収納部と、を備え、前記ポストキュア部が前記プレス部から前記ワーク収納部に至るワーク搬送路の一部に設けられていることを特徴とする。
する。
図1は、本発明に係る樹脂モールド装置の一実施形態である平面レイアウト図である。本実施形態の樹脂モールド装置は、ワーク搬送機構Hに備えた多関節ロボットの移動範囲を囲んでワーク供給部A、樹脂供給部B、プレス部C、ワーク検査部D(冷却部)、ポストキュア部E及びワーク収納部Fのような各処理工程を行う処理部と、これらの処理部の動作を制御する制御部Gが配置されている。プレス部Cの近傍には情報読取り部Iが設けられている。また、樹脂供給部Bの近傍には、表示部J及び操作部Mが設けられている。このように多関節ロボットの移動範囲を囲んで各工程を配置したことにより、移動距離が短縮されて工程間で効率の良いワーク搬送が実現できる。特に樹脂モールド装置にポストキュア部Eを組み込まれているので、樹脂モールド後の成形品を迅速にキュア炉に搬入して加熱硬化させることができる。以下各部の構成について具体的に説明する。
図1に示すように、表示部L及び操作部Mは一体的に配置されている。作業者は、表示部Lに表示された情報を確認しながら、必要に応じて操作部Mを操作して装置内部における各部(例えば多関節ロボット2)の動作を制御可能となっている。また、後述する各種情報の入力や変更を行なうことも可能となっている。なお、通信回線を用いることで装置から離れた位置に表示部と操作部を設けて遠隔操作する構成としてもよい。
図2(A)において、ワーク搬送機構Hは、ワークWをロボットハンド1に保持して各工程間を搬送する回転及び直線移動可能な多関節ロボット2を備えている。多関節ロボット2は、折りたたみ可能な垂直リンク2aによる上下動可能な垂直多関節ロボットと、水平リンク2bを水平面内で回転と移動が可能な水平多関節ロボットとの組み合わせにより構成されている。水平リンク2bの先端にはロボットハンド1が設けられている。2箇所の水平リンク2bとロボットハンド1は各々垂直軸2c,2d,2eを中心に回転可能に軸支されている。上記各リンクは、図示しないサーボモータに備えたエンコーダにより回転量が検出されてフィードバック制御が行われる。
図1において、多関節ロボット2が往復動する直動ガイドレール4の手前側には、ワーク供給部Aとワーク収納部Fが併設されている。具体的には、ワークW(被成形品)を収納した供給マガジン9と、ワークW(成形品)を収納可能な収納マガジン10が2列ずつ併設されている。尚、供給マガジン9と収納マガジン10とは構造が同様であるので、以下では供給マガジン9の構造を代表して説明するものとする。また、2列設けられた供給マガジン9は、同じ種類のワークWを収納する場合でも、異なる種類のワークWを収納する場合でもいずれでも良い。収納マガジン10についても同様である。また、供給マガジン9及び収納マガジン10を1列ずつ設ける構成としてもよく、或いはそれぞれを3列以上設ける構成としてもよい。
図1において、情報読取り部Iには、コード情報読取り装置16とアライナ16aとが設けられており、供給マガジン9から搬送されたワークWを受け取ったアライナ16aを回転させることでワークWの情報コードをコード情報読取り装置16の直下に移動させる。この際に、ワークWは一定の方向に統一される。コード情報読取り装置16は、ワークWに付与された製品に関する情報コード(QRコード、バーコード等)を読み取る。この情報コードに対応して、記憶部47には、樹脂供給情報(樹脂種別、樹脂供給量、供給時間など)やモールド条件(プレス番号、プレス温度、プレス時間、成形厚など)、キュア情報(キュア温度、キュア時間など)、冷却情報(冷却時間)、などの成形条件が記憶されている。コード情報読取り装置16が読み取った情報コードに対応した成形条件情報に基づいて、搬送しているワークWに対して後述する各工程の処理を行う。多関節ロボット2は成形条件の読み取りが完了したワークWを樹脂供給部Bからワーク収納部Fに至る後の各処理工程へ順次搬送する。
図1において、ワーク供給部Aに隣接して樹脂供給部Bが設けられている。樹脂供給部Bには液状樹脂供給装置が設けられている。液状樹脂供給装置には、複数のシリンジ19を回転可能に保持したリボルバ式のシリンジ供給部17を挟んで両側に一対のディスペンスユニット18が設けられている。なお、樹脂供給部Bは、樹脂の冷却と除湿のために内部の温度と湿度を調節可能となっている。また、装置側面には扉が設けられており、作業者がシリンジを交換可能となっている。
次に図1及び図3を参照してプレス部Cの構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態では複数のプレス部Cが直動ガイドレール4より奥側に併設されている。一例としてプレス部Cを2台設けたが、1台であっても3台以上であっても良い。またプレス部Cは同じ製品を樹脂モールドするモールド金型を備えていても、異なる製品を樹脂モールドするモールド金型を備えていてもいずれでも良い。プレス部Cの搬送エリア11に臨む側には仕切り壁24が設けられており、該仕切り壁24には開口部(図示せず)が設けられている。開口部は開閉可能なシャッター25によって通常は閉塞されている。シャッター25は、シリンダ、ソレノイドなどの駆動源により開閉するように設けられる。
次にワーク検査部Dの構成について図1及び図4を参照して説明する。ベース部39には直動レール39aが設けられている。この直動レール39aには可動ステージ40がレール長手方向に往復動可能に設けられている。可動ステージ40は例えば公知の駆動機構、ナット部がボールねじに連繋し、該ボールねじをモータにより正逆回転駆動することにより直動レール39a上を往復動するようになっている。可動ステージ40は、加熱硬化後のワークWの冷却部を兼用している。
尚、異常(想定を上回る未充填など)が検出されたときには表示部Jにその旨を通知し、装置全体の動作を止めてメンテナンスすることで、不良品が連続生産されるのを防ぐことができる。
次にポストキュア部Eの構成について図1,図5を参照して説明する。ポストキュア部Eにはキュア炉43が設けられており、検査後のワークWをロボットハンド1によりキュア炉43に収納してモールド樹脂を120℃から150℃程度で加熱硬化(ポストキュア)することで加熱硬化を完了させる。キュア炉43内には、対向配置されたスリット(保持部)43aが高さ方向に所定ピッチで形成されこのピッチでワークWが保持されるようになっている。ワークWをキュア炉43に収納するときには、いずれかに形成されたスリット43aに沿ってワークWを挿入して保持するようになっている(図5参照)。
また、図5(A)及び図1に示すように、12段のスリット43aを平面視で2列備えることで、総数で24枚のワークWを並行してポストキュアすることが可能となっている。
図4に示すように冷却部Nは、ワーク検査部Dの上方における空間に、冷却用マガジン48が設けられている。冷却用マガジン48内の両側壁には、対向配置されたスリット48aが高さ方向に所定ピッチで形成されておりこのピッチでワークWを保持可能に構成されている。この場合、ロボットハンド1を任意の高さに移動可能な多関節ロボット2によって、所定のスリット48aに対してワークWを受渡し可能となっている。成形品の加熱硬化が完了したワークWはロボットハンド1により吸着保持されたまま冷却部Nのスリット48a(受け渡し位置)へ搬送されて吸着を解除されて受け渡される。この状態で所定時間放置することでワークWが自然冷却される。尚、冷却部は、ワーク検査部Dとは別個に設けることも可能であるが、ワーク検査部Dの空いているエリアを利用することで装置をコンパクトに構成することができる。
ワーク収納部Dの構成は前述したようにワーク供給部Aの構成と同様である。ロボットハンド1は、冷却部で冷却されたワークWを可動ステージ40より受け取って隣接する収納マガジン10へ搬送して収納する。
図1において、制御部Gは、CPU(中央演算処理装置)やROM、RAMなどの記憶部47を備え、前述した装置各部の動作を制御する。ROMには各種制御動作プログラムが記憶されているほかに、ワーク搬送対象候補リストや搬送順序情報やワークWに付されたコード情報が記憶されている。CPUは、ROMより必要な制御動作プログラムをRAMに読み出して実行させ、RAMを用いて入力情報を一次的に記憶させたり入力情報に応じた演算処理を行ったりして制御プログラムに基づいて各部にコマンドを出力する。
尚、制御部Gはワーク搬送機構Hを囲むように配置されているが、例えばコントローラのように有線若しくは無線により遠隔操作できるものであっても良い。
図6(A)に示すように、内扉44には開口部44aが縦方向に2列に配置され全部で12か所設けられている。各開口部は開閉扉46によって遮断されている。図6(B)に示すように、キュア炉43内には一つの開閉扉46を開放するとスリット43aが上下2段に設けられており、2枚分のワークWを保持することができるようになっている。上下一対のスリット43aの間隔は、ロボットハンド1が進退動できる間隔に設定されている。この実施形態の場合、全部のスリット43aにワークWを収納すると24枚分のワークWを加熱硬化(キュア)することができるようになっている。尚、スリット43aや開閉扉46の数は適宜増減することは可能である。また、一つの開閉扉46を開口したときに出し入れ可能なワークWの枚数は1枚でもよく、3枚以上でもよい。
図7(A)において、ロボットハンド1は、ワークWを吸着保持したまま搬送エリア11から内扉44に接近する。開閉扉46は開口部44aを遮断したままであり、キュア炉43内の下段のスリット43aには未だにワークWが搬入されていないものとする。
図7(D)に示すように、ロボットハンド1が開口部44aを通過して搬送エリア11に退避すると、制御部Gが図示しない駆動機構を制御して開閉扉46が水平姿勢から起立姿勢へ回転して開口部44aを遮断する。これにより、キュア炉43は密閉され、炉内の温度低下を防いで所定時間キュアが行われる。
また、プレス装置26は圧縮成形装置に限らずトランスファモールド装置であってもよく、減圧空間を形成してモールドを行っても良い。
D ワーク検査部 E ポストキュア部 F ワーク収納部
G 制御部 H ワーク搬送機構 I 情報読取り部
K キャリアプレート L 表示部 M 操作部
N 冷却部 W ワーク 1 ロボットハンド
2 水平多関節ロボット 3,39 ベース部 4 直動ガイドレール
5 液状樹脂 7 回動機構 8 保持アーム
9 供給マガジン 10 収納マガジン 11 搬送エリア
16 コード情報読取り装置 16a アライナ 17 シリンジ供給部
18,18f,18g ディスペンスユニット 19 シリンジ
21 捨て打ちカップ 22 ワーク載置部 22a 支持突起
23 重量計 24 仕切り壁 25 シャッター
26,26a,26b プレス装置 28 上型
28a キャビティ 29 下型プラテン 30 下型
32 ローダー 35 フィルム供給装置 36 リリースフィルム
39a 直動レール 40 可動ステージ 41 レーザー変位計
42 外観検査部 43 キュア炉 43a,48a スリット
44 内扉 45 外扉 46 開閉扉
47 記憶部 48 冷却用マガジン
Claims (4)
- ワークをモールド樹脂とともにプレス部に搬入して圧縮成形若しくはトランスファ成形による樹脂モールドが行われる樹脂モールド装置であって、
前記モールド樹脂とともに搬入された前記ワークをクランプして樹脂モールドする前記プレス部と、
樹脂モールド後のワークを保持する複数の保持部が内部に設けられたキュア炉を備え、樹脂モールド後の前記複数のワークを前記保持部に保持させたまま当該キュア炉を密閉して前記モールド樹脂をポストキュアするポストキュア部と、
前記ポストキュア部においてポストキュアされた樹脂モールド後の前記ワークを収納するワーク収納部と、を備え、
前記ポストキュア部が前記プレス部から前記ワーク収納部に至るワーク搬送路の一部に設けられていることを特徴とする樹脂モールド装置。 - ワーク搬送エリアに臨む搬入搬出側に複数の開口部を有する内扉が設けられた前記キュア炉が設けられており、前記内扉の内方には各開口部を常時遮断する開閉扉が個別に開閉可能に設けられ、前記開閉扉を個別に開放してキャリアプレートをスリットに挿入してワーク保持させたまま加熱硬化させ、加熱硬化が完了したワークは前記開閉扉を個別に開放して取り出される請求項1記載の樹脂モールド装置。
- ワーク搬送機構としてワークをロボットハンドに保持して各工程間を搬送する回転及び直線移動可能な多関節ロボットを備え、該多関節ロボットのロボットハンドにワークを保持したまま開閉扉を開閉してキュア炉内に進退動することでワークの搬入搬出動作が行われる請求項1又は請求項2記載の樹脂モールド装置。
- 前記多関節ロボットの移動範囲を囲んでワーク供給部、樹脂供給部、プレス部、ワーク検査部、ポストキュア部、冷却部、ワーク収納部及び制御部が各々配置され、前記ワーク検査部で樹脂モールド後の成形品の厚さ及び外観を検査して良品のみを前記ポストキュア部のキュア炉に搬入してモールド樹脂をポストキュアする請求項3記載の樹脂モールド装置。
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