JP5715427B2 - プロピレンガスの分離回収方法 - Google Patents

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本発明は、吸着剤を用いて、プロピレンガスとプロパンガスを含んだガス混合物からプロピレンガスを吸着し分離回収するプロピレンガスの分離回収方法に関するものである。
エチレンやプロピレン等のアルケン、ブタジエン等のアルキンのような不飽和炭化水素(総称して、「オレフィン」とも言う)は、石油化学工業においてクラッキング法によりナフサを分解して製造されるが、これらオレフィン類は石油化学基礎製品として様々な最終原料の中間原料をして重要な化合物である。
工業的には飽和炭化水素とオレフィン類は蒸留法により分離されることが多いが、同じ炭素数を持つ飽和炭化水素とオレフィンは、その分子量、蒸気圧が近いことから、例えば化学工場で発生する飽和炭化水素を含むオレフィンのオフガスなどは有効利用されずに燃焼処理されている場合が多い。
一方、ガスの分離精製技術としては、圧力スイング吸着(以下、単に「PSA」と称す)によりガスを分離、回収する手法があり、この手法は経済性の観点から比較的小風量のガスにも適用可能である。飽和炭化水素ガスを含むオレフィンガスから、PSAにより効率的にオレフィンガスを分離回収できれば、石油化学工業で発生するオフガスなどへの適用が可能となり、その有用性は高い。
上記PSAにより飽和炭化水素ガスを含むオレフィンガスを分離、回収する技術として、例えば、飽和炭化水素とオレフィンの分子サイズの違いを利用し、細孔径が制御されたAIPO−34などの多孔質結晶物質を使って、飽和炭化水素とオレフィンの吸着速度の差を利用して速度分離する方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、ホージャサイト型(Y型)ゼオライトを用い、PSAによりオレフィンガス(特に、エチレンガス)を分離回収する技術が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
さらに、4A型ゼオライトを用い、アルカンとアルケンの混合ガス(特に、プロパンガスとプロピレンガスの混合ガス)からPSAによりプロピレンガスを分離回収する技術が開示されている(例えば、特許文献3を参照)。
特表2006−508020号公報 特開昭60−179135号公報 特開平6−79123号公報
上記特許文献1に開示された技術では、吸着剤の飽和吸着量の違いではなく、飽和炭化水素とオレフィンの吸着速度の差を利用するため、両者の間に吸着速度の差が十分大きくないと目的とする回収成分(オレフィン)の純度を高くすることが難しいという課題がある。また、吸着速度の差を利用したPSAでは、吸着塔の吸着と再生のサイクル時間が短くなり、設備の大型化に対して対応が難しいという課題もある。
また、特許文献2および3に開示された技術では、いずれもカチオン種が一価銅のカチオンに交換されたゼオライトからなる吸着剤を用いたことで、飽和炭化水素ガスを含むオレフィンガス中のオレフィンガスの吸着容量を増加させている。しかしながら、両技術ともゼオライトからなる吸着剤を用いて、オレフィンガス{例えば、プロピレン(C)ガス}と飽和炭化水素ガス{例えば、プロパン(C)ガス}を含んだガス混合物よりプロピレンガスを吸着分離しているので、プロパンガスに対するプロピレンガスの分離性能を十分に高めることが難しいという課題がある(前記吸着剤の単位質量当りで換算したプロパンガスに対するプロピレンガスの分離係数は、2.1〜3.8程度である)。このプロパンガスに対するプロピレンガスの分離性能は、プラントの設備コストやランニングコストに影響するため、さらに高い分離性能が求められる。
本発明の目的は、プロピレンガスとプロパンガスを含んだガス混合物から所定の高い純度で、かつ、所定収率のプロピレンガスを回収可能なプロピレンガスの分離回収方法を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、
吸着剤を用いて、プロピレンガスとプロパンガスを含んだガス混合物からプロピレンガスを吸着し分離回収するプロピレンガスの分離回収方法であって、
前記吸着剤は、アルミナよりなる担体にハロゲン化銅(I) を担持させた吸着剤、または前記担体にハロゲン化銅(II)とともに還元剤を担持させて還元処理した吸着剤であり、60℃〜150℃の温度範囲で吸着処理する吸着工程を有したことを特徴とするプロピレンガスの分離回収方法である。
以上のように、本発明に係るプロピレンガスの分離回収方法によれば、
吸着剤を用いて、プロピレンガスとプロパンガスを含んだガス混合物からプロピレンガスを吸着し分離回収するプロピレンガスの分離回収方法であって、
前記吸着剤は、アルミナよりなる担体にハロゲン化銅(I) を担持させた吸着剤、または前記担体にハロゲン化銅(II)とともに還元剤を担持させて還元処理した吸着剤であり、60℃〜150℃の温度範囲で吸着処理する吸着工程を有しているため、
プロピレンガスとプロパンガスを含んだガス混合物から所定の高い純度で、かつ、所定収率のプロピレンガスを回収可能である。
本発明の一実施形態で用いられる吸着剤の40℃における吸着等温線図である。 同吸着剤の60℃におけるプロパンガス/プロピレンガスの吸着破過曲線図である。 同吸着剤の60℃におけるプロパンガス/プロピレンガスの吸着経過時間と吸着量の関係を示す特性図である。 本発明の一実施例に係るプロピレンガスの分離回収装置の模式図である。 同装置における吸着温度と回収ガス中のプロピレンガス濃度の関係を示す特性図である。 同装置における吸着温度と吸着剤単位体積当たりのプロピレンガス含有の回収ガス量の関係を示す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態で用いられる吸着剤の40℃における吸着等温線図である。図1に示す吸着等温線図は、担体としての多孔質アルミナにハロゲン化銅(II) としての塩化銅(II)と還元剤としての糖を同時に担持し、不活性雰囲気で焼成する(還元処理する)ことにより、前記担体上にハロゲン化銅(I) としての塩化銅(I)を担持させた吸着剤(当社と関西熱化学の共同開発品)を用いて、4種類{エチレン(C)、プロピレン(C)、ブタジエン(C)、プロパン(C)}のガスに対して試験を行った(平衡圧力と平衡吸着量の関係を求めた)ものである。測定には、BELSORP{日本ベル(株)}を用いた。
図1において、プロパンとプロピレンは分子量が近く、蒸気圧も近いにもかかわらず、プロパンガスの吸着容量と比べて高いプロピレンガスの吸着容量が得られる。また、プロピレンガスと同様に他のオレフィンガスであるエチレンガス、ブタジエンガスに対しても高い吸着容量が得られる。
次に、下記表1に示すように、図1に示す試験に比べて温度をさらに20℃上昇させた60℃において、プロパンガス/プロピレンガスの吸着破過試験を実施した。すなわち、プロパンガスとプロピレンガスの混合ガスを吸着カラムに流通させて、プロパンガス、プロピレンガスの分離性能を評価した。
Figure 0005715427
上記表1に示すように、吸着破過試験には、内径φ=19.3mm、高さH=1,000mmの吸着カラムを用い、この吸着カラムに150g{178.6mL(Lはリットルを示す)}の吸着剤(図1に示す試験に用いたものに同じ)を充填したものを用いた。吸着温度は60℃、吸着圧力は0.3MPa−G(絶対圧で0.4MPa)、ガス流量は0.596NL/min、ガス成分の成分比は窒素50vol%、プロピレン20vol%、プロパン30vol%の条件で行った。その結果を図2に示す。
図2において、横軸は吸着させる時間(min)、縦軸は吸着カラムにおけるプロパン(C)ガス、プロピレン(C)ガスのそれぞれ出口濃度(C)と入口濃度(C0)の比である。図2より、吸着試験を開始した後約6分後に吸着カラム出口からプロパンガスが先に漏れだし(破過し)、その後吸着試験を開始した後約18分(min)後にプロピレンガスが破過し始めるのが分かる。なお、吸着開始後10〜20分の間、吸着カラムの入口側よりも高い濃度のプロパンガスが出口側より流出するが、これは置換脱着によるものであり、プロパンガスに対するよりもプロピレンガスに対しての吸着剤の吸着力が強いために起こる現象で、一度吸着剤に吸着したプロパンガスが、後方より移動してくるプロピレンガスにより追い出されるために起こるものである。これより、プロパンガスとプロピレンガスの混合ガスに対し、吸着剤は高い分離性能を有することが分かる。
また、上述した吸着破過試験の結果を吸着させる時間に対する吸着剤1mL当りのプロパンガス、プロピレンガスの各吸着量(NmL)で整理したのが図3である。図3において、横軸は吸着させる時間(min)、縦軸は吸着カラムにおけるプロパン(C)ガス、プロピレン(C)ガスの各吸着量[NmL/mL-吸着剤]である。図3に示すように、十分に吸着させる時間をとり、プロパンガス、プロピレンガスともに完全破過させると、プロパンガスの吸着量は5.6[NmL/mL-吸着剤]、プロピレンガスの吸着量は14.6[NmL/mL-吸着剤]となる。したがって、前記吸着剤の単位体積当りで換算したプロパンガスに対するプロピレンガスの分離係数は、約3.9倍{(14.6[NmL/mL-吸着剤]/5.6[NmL/mL-吸着剤])/(20[vol%]/30[vol%])}となる。また、この分離係数(約3.9倍)を前記吸着剤の単位質量当りで換算したプロパンガスに対するプロピレンガスの分離係数について、再度熟考すると、約4.8倍{(17.4[mL/g−吸着剤]/5.4[mL/g−吸着剤])/(20[vol%]/30[vol%])}となり、上述した従来技術(2.1〜3.8程度)に比べてプロパンガスに対する高いプロピレンガスの分離係数が得られていることが分かる。
これまでは、プロピレンガスのようなオレフィンガスを吸着剤に化学吸着させる場合、温度を上げると吸着性能が低下するため好ましくないと考えられていた。しかし、本発明者達は、上述したような吸着剤(すなわち、多孔質アルミナにハロゲン化銅(II) としての塩化銅(II)と還元剤としての糖を同時に担持し、不活性雰囲気で焼成する(還元処理する)ことにより、前記担体上にハロゲン化銅(I) としての塩化銅(I)を担持させた吸着剤)を用い、上記吸着させる温度を上げる実験をした結果、プロパンガスに対するプロピレンガスの分離係数がむしろ上昇することを初めて見出した。この傾向は、吸着させる温度をさらに上昇させるとより顕著になった(後述する)。このような高い分離係数が得られる理由は、ハロゲン化銅(I)を多孔質アルミナに担持した効果である。すなわち、本実施形態に係る吸着剤を用いた場合、従来技術に示された吸着剤(すなわち、カチオン種が一価銅のカチオンに交換されたゼオライトからなる吸着剤)と異なり、温度上昇とともにプロピレンガスの吸着容量がプロパンガスの吸着量に対して相対的に増加するという作用効果を生ずる。
また、本実施形態に係る吸着剤は、吸着剤の形成にあたって、多孔質アルミナに還元剤としての糖を同時に担持させているため、カチオン種としての銅の形態を一価の状態により安定的に維持できることから、不純物として酸化性のガス(例えば酸素)や水分等を含む処理ガスに対しても銅の形態が保たれ、長期の運転においても吸着剤の性能が劣化することなく、高い耐久性が得られる。したがって、長期間稼動してもプロピレンガスとプロパンガスを含んだガス混合物からプロピレンガスを安定的に分離可能で、かつ、所定の高い純度でプロピレンガスを回収可能であり、より好ましい。
なお、本実施形態においては、吸着剤を構成する担体として、多孔質アルミナを用いる例について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、シリカ、アルミナ、およびシリカアルミナよりなる群から選択される1種以上の担体を用いることが可能である。また、これら担体として、多孔質のものが市販されているため、安価に、かつ、より高い分離性能を実現可能である。また、これら担体は、吸着分離装置を構成する吸着塔に充填して用いるため、平均粒径が1〜7mm程度のものが好適である。
また、本実施形態においては、吸着剤として、多孔質アルミナにハロゲン化銅(II) としての塩化銅(II)と還元剤としての糖を同時に担持し、不活性雰囲気で焼成する(還元処理する)ことにより、前記担体上にハロゲン化銅(I) としての塩化銅(I)を担持させた吸着剤を用いる例について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。吸着剤としては、シリカ、アルミナ、およびシリカアルミナよりなる群から選択される1種以上の担体にハロゲン化銅(I) を担持させた吸着剤、または前記担体にハロゲン化銅(II)とともに還元剤を担持させて還元処理した吸着剤であればよい。また、用いるハロゲン化銅としては、フッ化物や塩化物、臭化物などが利用できる。また、ハロゲン化銅(II)とともに担持する還元剤としては、各種の還元剤が利用でき、例えばアルデヒド類や糖類、有機酸などが使用できる。還元処理は、還元剤とハロゲン化銅(II)を担持した吸着剤を、不活性ガス雰囲気、あるいは水素などの還元ガス雰囲気で焼成することにより行われる。この焼成後の吸着剤には、担体にハロゲン化銅(I)と焼成後も一部残存する還元剤が担持された状態となる。
本発明に係るプロピレンガスの分離回収方法は、プロピレンガスと少なくとも1種類以上の飽和炭化水素ガス(例えば、プロパンガス)を含んだガス混合物からプロピレンガスを吸着し分離回収するプロピレンガスの分離回収方法であって、上述した吸着剤を用いて60℃以上の温度で吸着処理するため、飽和炭化水素ガスに対する高いプロピレンガスの分離係数が得られ、前記ガス混合物から所定の高い純度(例えば、90%以上)でプロピレンガスを回収可能である。なお、本実施形態においては、プロピレンガスとプロパンガスを含んだガス混合物からプロピレンガスを吸着し分離回収する例について詳述したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、本発明の原理に照らすと、プロピレンガスと少なくとも1種類以上の飽和炭化水素ガスを含んだガス混合物からプロピレンガスを吸着し分離回収するプロピレンガスの分離回収方法に適応可能である。また、上述したように、本発明の場合には、吸着処理する温度を上昇させると、飽和炭化水素ガスに対するプロピレンガスの分離係数がさらに向上する。例えば、吸着処理する温度を80℃以上にすると、純度95%以上のプロピレンガスを回収可能であるため、このような温度で吸着処理するのがより好ましい(詳細は、後述する)。また、吸着処理する温度が150℃を超えても、飽和炭化水素ガスに対するプロピレンガスの高い分離性能が得られるが、プロピレンガスの吸着容量(すなわち、収率)が低下し、本発明に係る吸着剤の単位体積当りの回収できるプロピレンガス量が60℃で吸着処理する場合の1/3に減少し、結果として装置の大型化を招く。よって、所定収率のプロピレンガスを確保するためには、吸着処理する温度は150℃以下であることが好ましい(詳細は、後述する)。さらに、吸着処理する温度を120℃以下にすることで、前記回収できるプロピレンガス量が60℃で吸着処理する場合の1/2以上の吸着容量が得られるため、このような温度で吸着処理するのがより好ましい(詳細は、後述する)。
本発明の効果を確認するために、例えば図4に示すような試験装置(プロピレンガスの吸着分離回収装置)を用いて、実際の圧力スイング吸着「PSA」(Pressure Swing Adsorption)運転を模擬した試験を行い、PSA運転の結果得られるプロピレンガスの純度および回収量の評価を行った。その評価結果を図5、図6にそれぞれ示す。また、試験条件は下記表2に示す通りであり、吸着温度をパラメータとして実験を行った。なお、吸着剤は、上記表1に示したもの(すなわち、図1に示す試験に用いたもの)に同じである。
Figure 0005715427

また、試験手順は以下の通りである。なお、吸着、減圧、洗浄、真空回収工程とも、吸着塔1に付設された加熱ヒータ(図示せず)を用いて、一定温度に制御された条件下で行った。
1)[吸着準備]:吸着塔1内を窒素ガスで置換した後、弁3、4、5と保圧弁8を閉じた状態で弁2を開けて、弁2を介して吸着塔1に窒素ガスを圧力計6が0.3MPa−Gの圧力となるまで導入した。
2)[吸着工程]:窒素が充填され、圧力0.3MPa−Gの吸着塔1に原料ガスを、流量コントローラ(MFC)7を介して導入する。この際吸着塔1内の圧力が0.3MPa−Gよりも上昇しないように保圧弁8を調整し、吸着オフガスを排出する。吸着時間は、吸着オフガス中のプロパンガスおよびプロピレンガスの濃度が原料ガスと同じになる時間、すなわち完全破過する時間とした。したがって、上記表1に示したように、吸着時間は30分である。
3)[減圧工程]:原料ガスを止め、保圧弁8を閉じ、弁3を開放することで、減圧オフガスを排出させ、吸着塔1内を0.3MPa−Gから0.0MPa−Gに減圧した。
4)[洗浄工程]:吸着塔1内に充填された吸着剤の間隙に存在するプロパンガス成分を追い出すため、弁2を介して、充填した吸着剤1mLあたり3NmLの洗浄ガスを流し、洗浄オフガスを、弁3を通じて排出した。
5)[真空回収工程]:弁4以外の弁2、3、5と保圧弁8を閉じた状態で、真空ポンプ9を運転しながら、弁4を開け、吸着塔1を−93kPaまで減圧し、プロピレン濃縮ガスを回収ガスとして回収し、この回収ガスの容量を測定すると同時に、回収ガス中のプロピレン(C)ガス濃度(以下、「純度」とも称す)をガスクロマトグラフ(GC)10により分析した。
上記試験により得られた吸着温度と回収ガス中のプロピレンガス濃度(すなわち、純度)の関係を図5に示した。回収ガス中のプロピレンガス純度は、吸着温度が上がるに従いその純度が上がる傾向にある。このように、吸着温度が高くなるに従い、プロピレンガス純度が上がる原因は、前述したように温度が低くなるとプロパンガスの吸着剤に対する物理吸着量が増加するのに対して、温度を上げてゆくことでプロパンガスの物理吸着量が減少し、プロピレンガスの吸着剤への化学吸着が相対的に急激に上昇したことによるものであると考えられる。図5に示したように、プロピレンガス純度は、吸着温度40℃では86%程度であるが吸着温度60℃以上とすることで90%以上の純度が得られ、さらに80℃以上で95%以上の純度のプロピレンガスが精製できる。
上記試験により得られた吸着温度と吸着剤単位体積当りのプロピレンガス含有の回収ガス量の関係を図6に示した。吸着温度が高くなるに従い、プロピレンガスの吸着量が減少するため、回収できるガス量も減少することになる。したがって、設備サイズを考えた場合、吸着剤単位体積当たりの回収ガス量(製品ガス量)が減少すると、必要な吸着剤量が増加し、結果として吸着、分離設備が大型化するため好ましくない。上記試験における洗浄ガス量が3NmL/mL−吸着剤であることを考えると、吸着温度は少なくとも所定収率(例えば、3NmL/mL−吸着剤)以上の回収ガスが得られる吸着温度、すなわち吸着温度150℃以下が好ましく、さらには吸着温度60℃における回収プロピレンガス量(7.2NmL/mL−吸着剤)の1/2以上の回収プロピレンガス量が得られる120℃以下の吸着温度での操作がさらに好ましい。
なお、本実施例においては、吸着剤を構成する担体として、前述した図1に示す試験に用いたものに同じ多孔質アルミナを用いる例について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、シリカ、アルミナ、およびシリカアルミナよりなる群から選択される1種以上の担体を用いることが可能である。また、これら担体として、多孔質のものが市販されているため、安価に、かつ、より高い分離性能を実現可能である。また、これら担体は、吸着分離装置を構成する吸着塔に充填して用いるため、平均粒径が1〜7mm程度のものが好適である。
また、本実施例においては、吸着剤として、前述した図1に示す試験に用いたものに同じ多孔質アルミナにハロゲン化銅(II) としての塩化銅(II)と還元剤としての糖を同時に担持し、不活性雰囲気で焼成する(還元処理する)ことにより、前記担体上にハロゲン化銅(I) としての塩化銅(I)を担持させた吸着剤を用いる例について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。吸着剤としては、シリカ、アルミナ、およびシリカアルミナよりなる群から選択される1種以上の担体にハロゲン化銅(I) を担持させた吸着剤、または前記担体にハロゲン化銅(II)とともに還元剤を担持させて還元処理した吸着剤であればよい。また、用いるハロゲン化銅としては、フッ化物や塩化物、臭化物などが利用できる。また、ハロゲン化銅(II)とともに担持する還元剤としては、各種の還元剤が利用でき、例えばアルデヒド類や糖類、有機酸などが使用できる。還元処理は、還元剤とハロゲン化銅(II)を担持した吸着剤を、不活性ガス雰囲気、あるいは水素などの還元ガス雰囲気で焼成することにより行われる。この焼成後の吸着剤には、担体にハロゲン化銅(I)と焼成後も一部残存する還元剤が担持された状態となる。したがって、長期の運転においても吸着剤の性能が劣化することなく、高い耐久性が得られる。よって、長期間稼動してもプロピレンガスと少なくとも1種類以上の飽和炭化水素ガスを含んだガス混合物からプロピレンガスを安定的に分離可能である。また、このように吸着剤の耐久性が増すため、吸着剤の劣化による交換が不要となる。このような本願発明の作用効果は、プラントとしての経済的効果にも非常に大きな寄与を齎す。
なお、本実施例においては、プロピレンガスとプロパンガスを含んだガス混合物からプロピレンガスを吸着し分離回収する例について詳述したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、本発明の原理に照らすと、プロピレンガスと少なくとも1種類以上の飽和炭化水素ガスを含んだガス混合物からプロピレンガスを吸着し分離回収するプロピレンガスの分離回収方法に適応可能である。
1:吸着塔
2、3、4、5:弁
6:圧力計
7:流量コントローラ(MFC)
8:保圧弁
9:真空ポンプ
10:ガスクロマトグラフ(GC)

Claims (1)

  1. 吸着剤を用いて、プロピレンガスとプロパンガスを含んだガス混合物からプロピレンガスを吸着し分離回収するプロピレンガスの分離回収方法であって、
    前記吸着剤は、アルミナよりなる担体にハロゲン化銅(I) を担持させた吸着剤、または前記担体にハロゲン化銅(II)とともに還元剤を担持させて還元処理した吸着剤であり、60℃〜150℃の温度範囲で吸着処理する吸着工程を有したことを特徴とするプロピレンガスの分離回収方法。
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