JP5715396B2 - ナノ繊維製造装置及びナノ繊維製造装置における空気供給装置 - Google Patents

ナノ繊維製造装置及びナノ繊維製造装置における空気供給装置 Download PDF

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Description

本発明は、ナノ繊維製造装置及びナノ繊維製造装置における空気供給装置に関する。
従来、電界紡糸過程における紡糸条件(例えば、紡糸区域内における浮遊物の有無、ノズルブロックとコレクターとの間隔、コレクターの構造など。)を調整することにより均一な物性を有するナノ繊維を製造することが可能なナノ繊維製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
図7は、特許文献1に記載されたナノ繊維製造方法に用いるナノ繊維製造装置900を説明するために示す図である。図7中、符号910はノズルブロックを示し、符号912はノズルを示し、符号920は送風装置を示し、符号922は風向調整板を示し、符号924は縁部材を示し、符号926は吸入装置を示し、符号928はファンを示し、符号950はコレクターを示す。
特許文献1に記載されたナノ繊維製造方法は、図7に示すように、送風装置920、2つの縁部材924及び吸入装置926で画定される紡糸区域に空気流れを形成させて揮発した溶媒や浮遊不純物を除去することなどにより、電界紡糸過程における紡糸条件を調整し、それによって、均一な物性を有するナノ繊維不織布を製造することが可能であるとしている。
特開2008−274522号公報
しかしながら、均一な物性を有するナノ繊維不織布を製造するには、紡糸条件として、上記した紡糸区域(以下では、電界紡糸装置という。)における浮遊物の有無、ノズルブロックとコレクターとの間隔、コレクターの構造などだけではなく、電界紡糸装置における雰囲気湿度及び雰囲気温度も重要な紡糸条件である。すなわち、均一な物性を有するナノ繊維不織布を製造するには、雰囲気湿度及び雰囲気温度を適切な湿度及び温度に保持した状態(恒湿度及び恒温度の状態)とすることが好ましい。
特許文献1に記載されたナノ繊維製造方法においては、電界紡糸装置における雰囲気湿度及び雰囲気温度をどのように調整するかについては特に言及してはいない。このため、電界紡糸装置の雰囲気湿度及び雰囲気温度の変化が大きい場合などにおいては、均一な物性を有するナノ繊維不織布を製造することは困難である。特に、ナノ繊維不織布を連続的に大量生産するような場合においては、電界紡糸装置における雰囲気湿度及び雰囲気温度を長時間にわたって適切な状態に保持することが重要であるが、電界紡糸装置の雰囲気湿度及び雰囲気温度を長時間にわたって適切な状態に保持することは容易ではない。
そこで、本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、電界紡糸装置における雰囲気湿度及び雰囲気温度のうちの少なくとも雰囲気湿度を長時間にわたって適切な状態に保持可能なナノ繊維製造装置及びナノ繊維製造装置における空気供給装置を提供することを目的とする。
[1]本発明のナノ繊維製造装置は、雰囲気調整された空気を前記電界紡糸装置に供給する空気供給装置と、前記電界紡糸装置で発生する揮発性成分(以下、VOCという。)を燃焼して除去するVOC処理装置とを備えるナノ繊維製造装置であって、前記空気供給装置は、前記VOC処理装置で前記VOCを燃焼した際に生じる燃焼熱によって生成した温風により乾燥させた除湿剤を用いて除湿空気を生成する除湿装置を有することを特徴とする。
本発明のナノ繊維製造装置によれば、電界紡糸装置における雰囲気湿度及び雰囲気温度のうちの少なくとも雰囲気湿度を長時間にわたって適切な状態に保持することができる。すなわち、本発明のナノ繊維製造装置においては、VOCを燃焼した際に生じる燃焼熱によって生成した温風により乾燥させた除湿剤によって除湿空気を生成するようにしているため、除湿剤を長時間にわたって使用することができ、それによって、電界紡糸装置の雰囲気湿度を長時間にわたって適切に保持することが可能となる。
なお、本発明において、「除湿空気」というのは、湿度がすべて取り除かれた空気を意味するものではなく、除湿剤によって所定の湿度にまで除湿された空気を意味するものである。
[2]本発明のナノ繊維製造装置においては、前記除湿装置は、前記除湿剤を収納する除湿剤収納部と、前記除湿空気とするための空気を取り入れる空気取り入れ部と、前記除湿空気を送出する除湿空気送出部と、前記燃焼熱によって生成した温風を取り入れる温風取り入れ部と、温風取り入れ部から取り入れた前記温風を外部に排出する温風排出部とを有し、前記取り入れた空気を除湿する際に用いた除湿剤を、前記温風取り入れ部から取り入れた温風により乾燥させて再生することが好ましい。
このような構成とすることにより、除湿空気を生成して送出することができるとともに、除湿空気を生成することによって吸湿した除湿剤(以下、吸湿除湿剤という。)を、VOC処理を行う際に発生する燃焼熱によって生成した温風によって乾燥させて再生することができる。
[3]本発明のナノ繊維製造装置においては、前記空気供給装置は、前記除湿空気とするための空気が流通する空気流通路と、前記除湿空気送出部から送出される除湿空気が流通する雰囲気調整空気流通路と、前記雰囲気調整空気流通路とは離間して設けられ、前記燃焼熱によって生成した温風を前記温風取入れ部に導く温風流通路と、前記除湿装置を駆動させる除湿装置駆動部とを有し、前記除湿装置駆動部は、前記除湿装置の前記空気取り入れ部が、前記空気流通路を流通してくる空気の取り入れが可能で、かつ、前記温風取り入れ部が、前記温風流通路を流通してくる温風の取入れが可能となるように前記除湿装置を駆動することが好ましい。
このような構成とすることにより、除湿空気を生成する動作と、吸湿除湿剤を乾燥させて再生する動作とを繰り返して行うことができ、除湿剤を長時間使用することができる。
[4]本発明のナノ繊維製造装置においては、前記除湿装置は、一方の端面及び当該一方の端面に対向する他方の端面を有する箱体をなし、当該箱体の前記一方の端面及び他方の端面を貫く中心軸を中心に回転可能に設置されており、前記空気取り入れ部及び前記除湿空気送出部は、前記箱体の前記一方の端面及び他方の端面における前記中心軸から外れた位置にそれぞれが対向して存在し、前記温風取り入れ部及び前記温風排出部は、前記箱体の前記一方の端面及び他方の端面における前記中心軸から外れた位置で、かつ、前記空気取り入れ部及び前記除湿空気送出部とは異なる位置にそれぞれが対向して存在し、前記除湿装置駆動部は、前記除湿装置を前記中心軸を中心に回転駆動させることが好ましい。
このような構成とすることにより、取り入れた空気から除湿空気を生成する動作と、吸湿除湿剤を乾燥させて再生する動作とを円滑かつ効率よく行うことができる。なお、除湿装置を回転させる際は、除湿装置を連続的に回転させるようにしてもよく、所定角度ごとに間欠的に回転させるようにしてもよい。
除湿装置を連続的に回転させる場合には、除湿空気の生成に必要な時間と吸湿除湿剤の再生に必要な時間とを考慮して回転速度を設定することが好ましい。すなわち、除湿装置が回転して行く間に、空気取り入れ部から取り入れた空気を所定湿度にまで除湿可能とするとともに、温風によって吸湿除湿剤を十分に乾燥可能とする速度で回転させる。
また、除湿装置を所定角度ごとに間欠的に回転させる場合には、除湿空気の生成に必要な時間と吸湿除湿剤の再生に必要な時間とを考慮して、間欠的な回転における回転の停止時間を設定することが好ましい。すなわち、空気取り入れ部から取り入れた空気を所定湿度にまでに除湿するに要する時間及び吸湿除湿剤を十分に乾燥させるに要する時間だけ回転を停止させたのち、回転を再開して所定角度だけ回転させるという動作を繰り返す。
[5]本発明のナノ繊維製造装置においては、前記除湿装置は、当該除湿装置の内部全体が1つの除湿剤収納部として構成され、前記除湿剤収納部に前記除湿剤が充填されていることが好ましい。
このように、除湿装置の内部全体が1つの除湿剤収納部として構成され、当該除湿剤収納部に除湿剤が充填されるようにすることにより、除湿装置が中心軸を中心に回転することにより、取り入れた空気を除湿空気として送出することができるとともに、吸湿除湿剤を燃焼熱によって生成した温風によって乾燥させて再生することができる。
[6]本発明のナノ繊維製造装置においては、前記除湿装置は、前記中心軸を含む平面で当該除湿装置の内部をn分割(nは2以上の自然数)することによって形成されたn個の除湿剤収納部を有し、前記n個の除湿剤収納部それぞれに前記除湿剤が充填されていることもまた好ましい。
このような構成とすることにより、吸湿除湿剤の領域と、温風によって乾燥した除湿剤の領域とを明確に分離することができる。
[7]本発明のナノ繊維製造装置においては、前記雰囲気調整空気流通路には、前記除湿空気の湿度が前記電界紡糸装置の雰囲気湿度として適切な湿度となるように、前記除湿空気の湿度調整を行う湿度調整部が設けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、除湿空気の湿度を電界紡糸装置の雰囲気湿度として適切な湿度とすることができる。これは、除湿装置によって生成された除湿空気の湿度は、必ずしも、電界紡糸装置の雰囲気湿度として適切であるとは限らないからである。例えば、電界紡糸装置において適切な湿度が30%であって、除湿空気の湿度が20%であった場合には、除湿空気の湿度を高めて、30%とするといった湿度調整を行う。これにより、除湿空気の湿度を電界紡糸装置の雰囲気湿度として適切なものとすることができる。
[8]本発明のナノ繊維製造装置においては、前記雰囲気調整空気流通路には、前記除湿空気の温度が前記電界紡糸装置の雰囲気温度として適切な温度となるように、前記除湿空気の温度調整を行う温度調整部が設けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、除湿空気の温度を電界紡糸装置の雰囲気温度として適切な温度とすることができる。これにより、電界紡糸装置に供給する空気を湿度だけでなく、温度をも調整することができ、電界紡糸装置の雰囲気湿度及び雰囲気温度の両方を長時間にわたって適切に保持することができる。
[9]本発明のナノ繊維製造装置においては、前記温風流通路には、前記燃焼熱によって生成した温風の温度が前記除湿剤を乾燥させて再生するために適した温度となるように、前記温風の温度調整を行う温風温度調整部が設けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、温風の温度を、前記除湿剤を乾燥させる際において適切な温度とすることができる。これは、燃焼熱により生成される温風の温度は、必ずしも、吸湿除湿剤を再生するに適した温度であるとは限らず、吸湿除湿剤を除湿剤として再生可能とする温度に達していない場合もあるからである。このような場合には、温風の温度を上昇させることによって、吸湿除湿剤を再生可能とする温度とする。これにより、吸湿除湿剤を十分に乾燥させて再生することができる。
[10]本発明のナノ繊維製造装置においては、前記空気流通路には、前記除湿空気とするための空気の温度が、所定範囲の温度となるように温度調整を行う温度調整部が設けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、除湿空気とするための空気(空気取り入れ部が取り入れるべき空気)の温度を空気取り入れ部が取り入れる前の段階で所定の温度としておくことができる。これは、除湿空気とするための空気の温度は、季節など種々の状況に応じて変化する可能性があるからであり、当該空気の温度を温度調整部によって予め所定範囲の温度となるようにしておくことによって、除湿装置によって生成された除湿空気の温度調整を容易なものとすることができる。なお、除湿装置に送り込むべき空気の温度をこのように調整する場合、具体的には、除湿空気とするための空気の温度が、電界紡糸装置において適切とされる雰囲気温度にできるだけ近い温度ととなるようにすることが好ましい。
[11]本発明のナノ繊維製造装置においては、長尺シートを所定の搬送速度で搬送する搬送装置をさらに有し、前記電界紡糸装置として、前記長尺シートが搬送されていく搬送方向に沿って直列に配置された複数の電界紡糸装置を備えることが好ましい。
このように、搬送方向に沿って直列に配置された複数の電界紡糸装置を備えることによって、ナノ繊維不織布を連続的に大量生産が可能となる。このようなナノ繊維製造装置においては、雰囲気湿度や雰囲気温度などを適切に調整した空気(以下、雰囲気調整空気という。)を各電界紡糸装置に供給する必要があるため、雰囲気調整空気を効率よく大量に生成する必要がある。このようなナノ繊維製造装置において、上記したような空気供給装置を有することにより、雰囲気調整空気を効率よく生成して、生成した雰囲気調整空気を各電界紡糸装置に供給することができる。
また、複数の電界紡糸装置を備えることによって、複数の電界紡糸装置からは大量のVOCが発生するため、大量に発生したVOCを処理する必要がある。このようなナノ繊維製造装置において、本発明においては、VOC処理した燃焼熱によって生成した温風により吸湿除湿剤を乾燥させて再生するようにしているので、VOC処理によって得られるエネルギーを有効利用することができる。
[12]本発明のナノ繊維製造装置においては、前記電界紡糸装置は、前記長尺シートにおける所定の領域全体に渡ってポリマー溶液を吐出可能とするように複数のノズルが設けられているノズルブロック有することが好ましい。
このような構成を有するノズルブロック有することによって、ナノ繊維不織布を連続的に大量生産が可能となる。このように、ナノ繊維不織布を連続的に大量生産するためには、雰囲気調整空気を各電界紡糸装置に供給する必要があり、雰囲気調整空気を効率よく大量に生成する必要がある。このようなナノ繊維製造装置において、上記したような空気供給装置を有することにより、雰囲気調整空気を効率よく生成して、生成した雰囲気調整空気を各電界紡糸装置に供給することができる。
また、上記のような構成を有するノズルブロック有することによって、大量のVOCが発生するため、大量に発生したVOCを処理する必要がある。このようなナノ繊維製造装置において、本発明においては、VOC処理した燃焼熱によて生成した温風により吸湿除湿剤を乾燥させて再生するようにしているので、VOC処理によって得られるエネルギーを有効利用することができる。
[13]本発明のナノ繊維製造装置における空気供給装置は、ナノ繊維を紡糸する電界紡糸装置と、前記電界紡糸装置で発生するVOCを燃焼して除去するVOC処理装置とを備えるナノ繊維製造装置の前記電界紡糸装置に雰囲気調整された空気を供給するナノ繊維製造装置における空気供給装置であって、前記VOC処理装置で前記VOCを燃焼した際に生じる燃焼熱によって生成した温風により乾燥させた除湿剤を用いて除湿空気を生成する除湿装置を有し、前記除湿装置は、前記除湿剤を収納する除湿剤収納部と、前記除湿空気とするための空気を取り入れる空気取り入れ部と、前記除湿空気を送出する除湿空気送出部と、前記燃焼熱によって生成した温風を取り入れる温風取り入れ部と、温風取り入れ部から取り入れた前記温風を外部に排出する温風排出部とを有し、前記取り入れた空気を除湿する際に用いた除湿剤を、前記温風取り入れ部から取り入れた温風により乾燥させて再生することを特徴とする。
本発明の空気供給装置によれば、電界紡糸装置における雰囲気湿度及び雰囲気温度のうちの少なくとも雰囲気湿度を長時間にわたって適切な状態に保持することができる。すなわち、本発明空気供給装置においては、VOCを燃焼した際に生じる燃焼熱によって生成した温風により乾燥させた除湿剤によって除湿空気を生成するようにしているため、除湿剤を長時間にわたって使用することができ、それによって、電界紡糸装置の雰囲気湿度を長時間にわたって適切に保持することが可能となる。なお、本発明の空気供給装置においても、上記[2]〜[19]に記載の本発明のナノ繊維製造装置が有する各特徴を有することが好ましい。
なお、本発明のナノ繊維製造装置によれば、高機能・高感性テキスタイルなどの衣料品、ヘルスケア、スキンケアなど美容関連用品、ワイピングクロス、フィルターなど産業資材、二次電池のセパレーター、コンデンサーのセパレーター、各種触媒の担体、各種センサー材料などの電子・機械材料、再生医療材料、バイオメディカル材料、医療用MEMS材料、バイオセンサー材料などの医療材料、その他の幅広い用途に使用可能なナノ繊維を製造することができる。
実施形態1に係るナノ繊維製造装置1の正面図である。 実施形態1に係るナノ繊維製造装置1の平面図である。 空気供給装置70の構成を模式的に示す図である。 図3に示す空気供給装置70における除湿装置710を具体的に示す斜視図である。 実施形態2に係るナノ繊維製造装置2を説明するために示す図である。 電界紡糸装置20aの断面図である。 特許文献1に記載されたナノ繊維製造方法に用いるナノ繊維製造装置900を説明するために示す図である。
以下、本発明のナノ繊維製造装置及びナノ繊維製造装置における空気供給装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るナノ繊維製造装置1の正面図である。図2は、実施形態1に係るナノ繊維製造装置1の平面図である。なお、図1及び図2においては、ポリマー溶液供給部及びポリマー溶液回収部の図示を省略してある。
実施形態1に係るナノ繊維製造装置1は、図1及び図2に示すように、長尺シートWを所定の搬送速度で搬送する搬送装置10と、搬送装置10により搬送されていく長尺シートWにナノ繊維を堆積させる電界紡糸装置20と、ナノ繊維を堆積させた長尺シートWを加熱する加熱装置30と、電界紡糸装置20によりナノ繊維を堆積させた長尺シートWの通気度を計測する通気度計測装置40と、長尺シートWにナノ繊維を堆積させる際に発生する揮発性成分(以下、VOCという。)を燃焼して除去するVOC処理装置60と、電界紡糸装置20に雰囲気調整された雰囲気調整空気を供給する空気供給装置70と、搬送装置10、電界紡糸装置20、加熱装置30、通気度計測装置40、VOC処理装置60、空気供給装置70、図示しないポリマー供給装置及びポリマー回収装置の動作を制御する主制御装置80とを備える。
実施形態1に係るナノ繊維製造装置1においては、電界紡糸装置として、長尺シートWが搬送されていく所定の搬送方向aに沿って直列に配置された2台の電界紡糸装置20を備える。
搬送装置10は、長尺シートWを繰り出す繰り出しローラー11及び長尺シートWを巻き取る巻き取りローラー12並びに繰り出しローラー11と巻き取りローラー12との間に位置する補助ローラー13,18及び駆動ローラー14,15,16,17を備える。繰り出しローラー11、巻き取りローラー12及び駆動ローラー14,15,16,17は、図示しない駆動モーターにより回転駆動される構造となっている。
電界紡糸装置20は、筐体100に絶縁部材152を介して取り付けられ、長尺シートWにおける一方の面側に位置するコレクター150と、長尺シートWにおける他方の面側で、かつ、コレクター150に対向するように位置し、図示しないポリマー溶液供給部から供給されるポリマー溶液を長尺シートWに向けて噴射する複数のノズルを有するノズルブロック110と、コレクター150とノズルブロック110との間に高電圧(例えば10kV〜80kVに設定することができ、本発明においては50kV付近が好ましい。)を印加する電源装置160と、長尺シートWが搬送されるのを補助する補助ベルト装置170と、長尺シートWにナノ繊維を堆積させる際に発生する揮発性成分を排出させる揮発性成分排出口180と、空気供給装置70によって雰囲気調整された空気(雰囲気調整空気という。)を取り入れる雰囲気調整空気取り入れ口190と備える。
電源装置160の正極は、コレクター150に接続され、電源装置160の負極は、筐体100を介してノズルブロック110に接続されている。
なお、電界紡糸装置20側における揮発性成分排出口180の末端は、揮発性成分を排出することが可能な位置にあればよく、この条件を満たす限りにおいては、例えば、電界紡糸装置20のノズルブロック110近辺にあってもよいし、電界紡糸装置20の直上にあってもよいし、電界紡糸装置20が設置されている部屋の天井にあってもよい。
ノズルブロック110は、複数のノズルとして、ポリマー溶液を吐出口から上向きに吐出する複数の上向きノズルを有する。そして、ナノ繊維製造装置1は、複数の上向きノズルの吐出口からポリマー溶液をオーバーフローさせながら複数の上向きノズルの吐出口からポリマー溶液を吐出してナノ繊維を電界紡糸するとともに、複数の上向きノズルの吐出口からオーバーフローしたポリマー溶液を回収してナノ繊維の原料として再利用することが可能となるように構成されている。
なお、本発明のナノ繊維製造装置には様々な大きさ及び様々な形状を有するノズルブロックを用いることができるが、ノズルブロック110は、例えば、上面から見たときに一辺が0.5m〜3mの長方形(正方形を含む)に見える大きさ及び形状を有する。
なお、ノズルブロック110は、長尺シートWにおける所定の領域全体に渡ってポリマー溶液を吐出可能とするように、多数のノズルを有し、当該多数のノズルが例えばマトリクス上に配列されている。ノズルは、例えば、1.5cm〜6.0cmのピッチで配列されている。また、ノズルの数は、例えば、36個(縦横同数に配列した場合、6個×6個)〜21904個(縦横同数に配列した場合、148個×148個)である。
補助ベルト装置170は、長尺シートWの搬送速度に同期して回転する補助ベルト172と、補助ベルト172の回転を助ける5つの補助ベルト用ローラー174とを有する。5つの補助ベルト用ローラー174のうち1つ又は2つ以上の補助ベルト用ローラー174が駆動ローラーであり、残りの補助ベルト用ローラーが従動ローラーである。コレクター150と長尺シートWとの間に補助ベルト172が配設されているため、長尺シートWは、正の高電圧の印加されているコレクター150に引き寄せられることなくスムーズに搬送されるようになる。
加熱装置30は、電界紡糸装置20と通気度計測装置40との間に配置され、ナノ繊維を堆積させた長尺シートWを加熱する。加熱装置30は、長尺シートWやナノ繊維の種類によって異なるが、例えば、長尺シートWを50℃〜300℃の温度に加熱することができる。なお、長尺シートWとしては、各種材料からなる不織布、織物、編物などを用いることができる。また、長尺シートWの厚さは、例えば5μm〜500μmのものを用いることができる。長尺シートWの長さは、例えば10m〜10kmのものを用いることができる。
通気度計測装置40は、電界紡糸装置によりナノ繊維を堆積させた長尺シートWの通気度を計測するものである。計測された通気度は、単位面積当たりのナノ繊維の堆積量(厚み)を表すものであるため、当該通気度に基づいて、長尺シートWに堆積されたナノ繊維が均一の厚みとなっているか否かを検出することができる。なお、通気度の測定方法などは本発明の要旨ではないので、ここではその説明は省略する。
VOC処理装置60は、長尺シートWにナノ繊維を堆積させる際に発生する揮発性成分(VOC)を燃焼して除去するものであり、VOCを燃焼する際に生じる燃焼熱によって生成した温風を空気供給装置70に送出するための温風排出部(図示せず。)を有している。温風排出部によって排出される温風は、空気供給装置70に供給される。なお、VOC処理装置60から排出される温風の温度は、40℃〜140℃である。
空気供給装置70は、シリカゲルなどの除湿剤を用いて空気を除湿して除湿空気を生成する機能及び除湿することによって吸湿した除湿剤(吸湿除湿剤という。)を乾燥させて再生する機能を有する除湿装置710を有している。
図3は、空気供給装置70の構成を模式的に示す図である。空気供給装置70は、図3に示すように、除湿装置710と、除湿装置710に送り込むべき空気(除湿空気とするための空気)が流通する空気流通路720と、湿度及び温度などが適切に調整された雰囲気調整空気が流通する雰囲気調整空気流通路730と、VOC処理装置60でVOCを燃焼した際に生じる燃焼熱によって生成した温風が流通する温風流通路740と、除湿装置710を通過した温風を排出させるための温風排出路750と、除湿装置710を駆動するための除湿装置駆動部760とを有している。なお、除湿装置710の詳細は後述する。
空気流通路720は除湿空気とするための空気を除湿装置710に送り込むためのものであり、当該空気流通路720には、空気取り入れ口としてのダンパー721と、除湿装置710に空気を流入させる前の段階で当該空気が所定範囲の温度となるように温度調整を行う温度調整部722と、温度調整した空気を除湿装置710に送り込む送風機723とが設けられている。
温度調整部722は、冷却部722Cとヒーター722Hとを有しており、これら冷却部722Cとヒーター722Hとを適宜選択的に動作させることによって除湿装置710に送り込むべき空気が適切な温度となるように温度調整することができる。これは、空気流通路720を流通する空気はいわゆる外気であるため、季節など種々の状況に応じて温度が変化する可能性があるからである。このため、除湿装置710に送り込むべき空気の温度が高すぎる場合には、冷却部722Cを動作させることによって、除湿装置710に送り込むべき空気の温度が適温となるようにし、逆に、除湿装置710に送り込むべき空気の温度が低すぎる場合には、ヒーター722Hを動作させることによって、除湿装置710に送り込むべき空気の温度が適温となるようにする。
なお、除湿装置710に送り込むべき空気の温度をこのように調整する場合、具体的には、除湿装置710に送り込むべき空気の温度が、電界紡糸装置20において適切とされる雰囲気温度にできるだけ近い温度となるようにすることが好ましい。例えば、電界紡糸装置20において適切とされる雰囲気温度が25℃であるとすれば、除湿装置710に送り込むべき空気の温度が25℃に近い温度となるように温度調整する。
このように、除湿装置710に送り込むべき空気の温度を予め適切な温度としておくことによって、除湿装置710によって生成された除湿空気の温度を、雰囲気調整空気流通路730に設けられている温度調整部731(後述する。)で調整する際に、大幅な温度調整が不要となるため、除湿空気の湿度を同じく雰囲気調整空気流通路730に設けられている湿度調整部732(後述する。)で調整する際に、湿度を高精度に調整することができる。
雰囲気調整空気流通路730は、雰囲気調整空気を各電界紡糸装置20に送り込むためのものであり、当該雰囲気調整空気流通路730には、除湿装置710によって生成された除湿空気の温度が電界紡糸装置20において適切な温度となるように温度調整を行う温度調整部731と、当該除湿空気の湿度が電界紡糸装置20において適切な湿度となるように湿度調整を行う湿度調整部732と、雰囲気調整空気を電界紡糸装置20に送出するための送風機733とが設けられている。
温度調整部731は、冷却部731Cとヒーター731Hとを有しており、冷却部731C及びヒーター731Hを適宜選択的に動作させることによって、各電界紡糸装置20に送出する空気が適切な温度となるように温度調整することができる。
温風流通路740は、VOC処理装置60から排出される温風を除湿装置710に送り込むためのものであり、当該温風流通路740には、温風の温度調整を行うための温風温度調整のヒーター741が設けられている。ヒーター741は、VOC処理装置60から送られてくる温風の温度が除湿剤を再生させるために必要な温度に達していない場合に、温風を適切な温度にまで上昇させるためのヒーターである。なお、温風流通路740には、VOC処理装置60から送られてくる温風の不純物を除去するためのフィルター742を必要に応じて設けるようにしてもよい。
温風排出路750は、除湿装置710を通過した温風を排出するためのものであり、当該温風排出路750には、除湿装置710を通過した温風を外部に排出させるための送風機751が設けられている。
図3に示す空気供給装置70においては、空気流通路720、雰囲気調整空気流通路730、温風流通路740及び温風排出路750における空気の流れを矢印で示しているが、実際には、それぞれに空気流通用のダクトが設けられており、当該ダクト内を空気が流通するようになっている。
ところで、除湿装置710は、除湿剤を収納する除湿剤収納部711と、空気取り入れ部712と、除湿空気を送出する除湿空気送出部713と、VOC処理装置60から排出される温風を取り入れる温風取り入れ部714と、温風を外部に排出する温風排出部715とを有している。なお、実施形態1に係るナノ繊維製造装置1においては、除湿剤収納部711全体が1つの空間部となっており、当該空間部に除湿剤が充填されているものとする。
このように構成された除湿装置710は、除湿剤を用いて除湿空気を生成するとともに除湿空気を生成することによって吸湿した吸湿除湿剤を、温風取り入れ部714から取り入れた温風により乾燥させて再生し、再生した除湿剤を用いて除湿空気を生成するという動作を繰り返し行う。
図4は、図3に示す空気供給装置70における除湿装置710を具体的に示す斜視図である。図3及び図4により除湿装置710を詳細に説明する。除湿装置710の外観形状は、両端が円形の端面となっている円筒状の箱体をなし、一方の端面710L(図3においては左側の端面)及び他方の端面710R(図3においては右側の端面)の中心を貫く中心軸xを中心に回転可能となっている。除湿装置710は、除湿装置駆動部(モーターとする。)760に動力伝達ベルト761によって連結されており、除湿装置駆動部760によって例えば矢印c方向に回転する。
除湿装置710の内部には除湿剤収納部711が存在し、当該除湿剤収納部711には除湿剤(図示せず。)が充填されている。また、除湿装置710の一方の端面710L及び他方の端面710Rは、空気の流通が可能で、かつ、充填されている除湿剤が外部に流出することがないような素材で形成されている。
また、除湿装置710の一方の端面710Lには、空気を送り込むための空気取り入れ部712と、除湿装置710を通過した温風を排出させる温風排出部715とが中心軸xを挟んで存在し、除湿装置710の他方の端面710Rには、除湿空気を送出する除湿空気送出部713と、温風を取り込むための温風取り込み部714とが存在する。
空気取り入れ部712は、空気流通路720を流通する空気の取り入れが可能な位置に存在し、温風排出部715は、除湿剤を通過した温風を温風排出路750に排出可能な位置に存在している。また、除湿空気送出部713は、除湿空気を雰囲気調整空気流通路730に送出可能な位置に存在し、温風取り込み部714は、温風流通路740を流通してくる温風の取り込みが可能な位置に存在する。
そして、空気取り入れ部712及び除湿空気送出部713は、一方の端面710L及び他方の端面710Rにおける中心軸xから外れた位置にそれぞれが対向して存在している。また、温風取り入れ部714及び温風排出部715は、一方の端面710L及び他方の端面710Rにおける中心軸xから外れた位置で、かつ、空気取り入れ部712及び除湿空気送出部713とは異なる位置にそれぞれが対向して存在している。
なお、除湿装置710は、中心軸xを中心に回転するものであるため、空気取り入れ部712、温風排出部715、除湿空気送出部713及び温風取り込み部714は除湿装置710において固定的な位置に設けられているものではなく、除湿装置710の回転に伴って変化する。
すなわち、図3においては、現時点において、空気流通路720を流通する空気の取り入れが可能な位置に存在している部分を除湿装置710の空気取り入れ部712とし、除湿空気を雰囲気調整空気流通路730に送出可能な位置に存在している部分を除湿装置710の除湿空気送出部713とし、温風流通路740を流通してくる温風の取り込みが可能な位置に存在している部分を除湿装置710の温風取り込み部714とし、除湿剤を通過した温風を温風排出路750に排出可能な位置に存在している部分を除湿装置710の温風排出部715として示している。
ところで、除湿装置710を回転させる際は、除湿装置710を連続的に回転させるようにしてもよく、所定の回転角度ごとに間欠的に回転させるようにしてもよい。除湿装置710を連続的に回転させる場合には、除湿空気の生成に必要な時間と吸湿除湿剤の再生に必要な時間とを考慮して回転速度を設定することが好ましい。すなわち、除湿装置710が回転して行く間に、空気取り入れ部から取り入れた空気を所定湿度にまで除湿可能とするとともに、温風によって吸湿除湿剤を十分に乾燥可能とする速度で回転させる。
また、除湿装置710を所定角度ごとに間欠的に回転させる場合には、除湿空気の生成に必要な時間と吸湿除湿剤の再生に必要な時間とを考慮して、間欠的な回転における回転の停止時間を設定することが好ましい。すなわち、空気取り入れ部から取り入れた空気を所定湿度にまでに除湿するに要する時間及び吸湿除湿剤を十分に乾燥させるに要する時間だけ回転を停止させたのち、回転を再開して所定角度だけ回転させるという動作を繰り返す。
以上のように構成された実施形態1に係るナノ繊維製造装置1における電界紡糸の動作を説明する。まず、長尺シートWを搬送装置10にセットし、その後、長尺シートWを繰り出しローラー11から巻き取りローラー12に向けて所定の搬送速度で搬送させながら、各電界紡糸装置20において長尺シートWにナノ繊維を順次堆積させる。
その後、加熱装置30により、ナノ繊維を堆積させた長尺シートWを加熱する。これにより、ナノ繊維が堆積した長尺シートからなるナノ繊維不織布が製造される。なお、「ナノ繊維不織布」とは、ナノ繊維を堆積させた長尺シートのことをいう。ナノ繊維不織布は、これをこのまま製品としてもよいし、ナノ繊維不織布から長尺シートを除いて「ナノ繊維層のみからなる不織布」を製造し、これを製品としてもよい。また、「ナノ繊維」とは、ポリマーからなり、平均直径が数nm〜数千nmの繊維のことをいう。また、「ポリマー溶液」とは、ポリマーを溶媒に溶解させた溶液のことをいう。
ナノ繊維の原料となるポリマーとしては、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PUR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)、シルク、セルロース、キトサンなどを用いることができる。
ポリマー溶液に用いる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、クロロホルム、アセトン、水、蟻酸、酢酸、シクロヘキサン、THFなどを用いることができる。複数種類の溶媒を混合して用いてもよい。ポリマー溶液には、一般的な導電性向上剤を添加剤として含有させてもよい。
このようにして、ナノ繊維不織布を連続的に生産することが可能となる。このとき、均一な物性を有するナノ繊維不織布を連続的に製造するには、紡糸条件を長時間にわたって適切に保持することが重要である。紡糸条件として、各電界紡糸装置20における雰囲気湿度及び雰囲気温度を適切な湿度及び温度を長時間にわたって保持すること重要である。なお、以下では、電界紡糸装置20における雰囲気湿度及び雰囲気温度を単に湿度及び温度と表記する場合もある。
実施形態1に係るナノ繊維製造装置1においては、空気供給装置70によって、雰囲気調整された空気を各電界紡糸装置20に供給するようにしている。空気供給装置70は、図3及び図4に示すように、除湿装置710の空気取り入れ部712から取り入れた空気を除湿剤によって除湿空気としたのち、当該除湿空気を除湿空気送出部713から送出する。除湿空気送出部713から送出された除湿空気は、冷却部731C、湿度調整部732及びヒーター731Hを通過することにより、各電界紡糸装置20において最適な湿度及び温度となるように湿度調整及び温度調整がなされる。そして、当該湿度調整及び温度調整がなされた雰囲気調整空気が各電界紡糸装置20に供給される。
なお、各電界紡糸装置20において最適な湿度及び温度というのは、どのようなナノ繊維不織布を製造するかなどによっても異なるが、湿度については20%〜60%の範囲となるように湿度調整することが好ましく、温度については20℃〜40℃の範囲となるように温度調整することが好ましい。
そして、このような範囲のいずれかの湿度及び温度に調整された場合、当該湿度及び温度を保持した状態(恒湿度及び恒温度の状態)で電界紡糸を行うことが好ましい。例えば、各電界紡糸装置20において最適な湿度及び温度が、湿度については30%、温度については25℃であるとした場合、各電界紡糸装置20に送出すべき空気を当該湿度(30%)と当該温度(25℃)とに設定し、かつ、当該湿度及び温度を保持した状態で電界紡糸を行うことが好ましい。
一方、各電界紡糸装置20においては、電界紡糸を行う際、揮発性成分が高濃度で発生する。この揮発性成分は、VOC処理装置60に送出されて、VOC処理装置60によってVOCを燃焼させて除去する処理が行われる。そして、VOCを燃焼させて除去する際の燃焼熱によって生成した温風は、空気供給装置70に送出される。
VOC処理装置60から送出されてくる温風は、空気供給装置70における温風流通路740を通ってフィルター742を介してヒーター741に送られる。ヒーター741は、温風の温度が除湿剤を再生させるに必要な温度に達していない場合に、当該温風を適切な温度にまで上昇させるものであり、温風の温度が除湿剤を再生させるに適した温度であれば、特に動作せずに温風を通過させる。ヒーター741を通過した温風は、除湿装置710の温風取り入れ部714に供給され、除湿装置710に収納されている吸湿除湿剤を乾燥させて吸湿前の除湿剤に再生することができる。
ところで、除湿装置710は、除湿装置駆動部760によって回転しているため、除湿空気を生成することによって吸湿した状態の吸湿除湿剤は、除湿装置710が回転して行くことよって、温風取り入れ部714からの温風に晒される位置となる。また、温風取り入れ部714からの温風によって、すでに再生された状態の除湿剤は、除湿装置710が回転して行くことよって、空気取り入れ部712から取り入れた空気に晒される位置となる。このような動作を繰り返すため、除湿空気の生成と吸湿除湿剤の再生とが繰り返し行われることとなる。
また、除湿空気は、雰囲気調整空気流通路730を流通する過程で、湿度及び温度が所定湿度及び所定温度となるように湿度調整及び温度調整される。なお、湿度調整及び温度調整された湿度及び温度には、多少の誤差も許容される。例えば、湿度を30%とすべき場合においては、30%±5%程度が許容囲であり、温度を25℃とすべき場合においては、25℃±1.0℃度程度が許容囲である。
このように、実施形態1に係るナノ繊維製造装置1によれば、各電界紡糸装置20において最適な湿度及び温度に調整された空気(雰囲気調整空気)を各電界紡糸装置20に供給することができる。それによって、各電界紡糸装置20においては、均一な物性を有するナノ繊維不織布を連続的に大量生産することができる。
また、実施形態1に係るナノ繊維製造装置1によれば、除湿空気を生成することによって吸湿した吸湿除湿剤は、VOCを燃焼する際の燃焼熱によって生成した温風を用いて再生されるため、同じ除湿剤を繰り返し使用可能としている。このように、実施形態1に係るナノ繊維製造装置1においては、本来は廃棄されてしまうエネルギーを有効利用することができる。
また、実施形態1に係るナノ繊維製造装置1によれば、電界紡糸装置として、長尺シートWが搬送されていく所定の搬送方向aに沿って直列に配置された複数の電界紡糸装置20を備えているため、複数の電界紡糸装置20のそれぞれにおいて長尺シートW上にナノ繊維を次々と堆積させることが可能となり、均一な物性を有するナノ繊維不織布をより一層高い生産性で大量生産することが可能となる。
[実施形態2]
上記した実施形態1に係るナノ繊維製造装置1においては、除湿装置710は、当該除湿装置710の内部全体が1つの除湿剤収納部として構成され、当該1つの除湿剤収納部に除湿剤を充填するような構成としたが、中心軸xを含む平面で除湿装置710の内部をn分割(nは2以上の自然数)することによってn個の除湿剤収納室を形成するようにし、n個の除湿剤収納室それぞれに前記除湿剤が充填されているような構成としてもよい。
図5は、実施形態2に係るナノ繊維製造装置2を説明するために示す図である。なお、図5は除湿装置710を中心軸に沿った方向(図3及び図4における一方の端面710Lの側)から見た場合の内部構成を模式的に示す図である。
実施形態2に係るナノ繊維製造装置2が実施形態1に係るナノ繊維製造装置1と異なるのは、除湿装置710である。したがって、図5においては、実施形態2に係るナノ繊維製造装置2に用いられる除湿装置710のみが示されている。
実施形態2に係るナノ繊維製造装置2に用いられる除湿装置710は、図5に示すように、中心軸xを含む平面で除湿装置710の内部をn分割(n=6とする。)することによって6個の除湿剤収納部712a〜712fが形成されている。そして、各除湿剤収納部712a〜712fには、それぞれ除湿剤(図示せず。)が充填されている。
実施形態2に係るナノ繊維製造装置2においても、除湿装置710を回転させる際は、除湿装置710を連続的に回転させるようにしてもよく、所定角度ごとに間欠的に回転させるようにしてもよい。なお、除湿装置710を所定角度ごとに間欠的に回転させる場合には、一回の回転角度を60度に設定し、60度の回転角度ごとに間欠的な回転を行うようにする。
すなわち、現時点において、除湿剤収納部712aによって除湿空気の生成が行われており、同時に除湿剤収納部712dによって吸湿除湿剤の再生が行われているとする。また、このとき、除湿剤収納部712b,712cに収納されている除湿剤は既に吸湿除湿剤となっており、除湿剤収納部712e,712fに収納されている除湿剤は既に再生された除湿剤となっているとする。
このような状態において、除湿剤収納部712aによる除湿空気の生成が終了し、同時に除湿剤収納部712dによる吸湿除湿剤の再生が終了すると、除湿装置710が矢印c方向に60度回転する。これにより、今度は、除湿剤収納部712fによって除湿空気の生成が行われ、同時に除湿剤収納部712cによって吸湿除湿剤の再生が行われる状態となる。
このような動作を繰り返すことによって、除湿空気の生成と吸湿除湿剤の再生とを順次行うことができる。なお、上記のように除湿装置710を所定角度(この場合、60度)ごとに間欠的に回転させる場合には、除湿空気の生成と吸湿除湿剤の再生とを行っている間は、回転を停止させた状態とすることが好ましい。この場合における回転の停止時間は、除湿空気の生成に必要な時間と吸湿除湿剤の再生に必要な時間とを考慮して設定することができる。
また、除湿装置710を連続的に回転させるようにしてもよい。この場合、除湿装置710が回転している間に、除湿空気の生成と吸湿除湿剤の再生とを行うこととなるので、除湿空気の生成に必要な時間と吸湿除湿剤の再生に必要な時間とを考慮して回転速度を設定する。
除湿装置710を図5に示すような構成とすることによっても、実施形態1に係るナノ繊維製造装置1と同様の効果が得られる。また、除湿装置710を図5に示すような構成とすることにより、吸湿除湿剤の領域と、温風によって乾燥した除湿剤の領域とを明確に分離することができ、除湿空気の生成と吸湿除湿剤の再生とをより適切に行うことができる。
なお、図5においては、除湿装置710の内部を6分割した場合を例示したが、6分割に限られるものではなく、「n分割」の「n」を2以上の任意に数に設定することができる。
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形実施が可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
(1)上記各実施形態においては、電界紡糸装置として2台の電界紡糸装置を備えるナノ繊維製造装置を例にとって本発明のナノ繊維製造装置を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1台又は3台以上の電界紡糸装置を備えるナノ繊維製造装置に本発明を適用することもできる。
(2)上記各実施形態においては、空気供給装置70で生成した雰囲気調整空気は、個々の電界紡糸装置20に供給するような構成としたが、複数の電界紡糸装置が設置されている施設内に雰囲気調整空気を供給するようにし、施設内全体を雰囲気調整空気で満たすようにしてもよい。このように、複数の電界紡糸装置が設置されている施設内全体を雰囲気調整空気で満たすことに撚り、結果的に、各電界紡糸装置に雰囲気調整空気が供給されることとなる。
(3)上記各実施形態においては、上向きノズルを有する上向き式電界紡糸装置を用いて本発明のナノ繊維製造装置を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、下向きノズルを有する下向き式電界紡糸装置や横向きノズルを有する横向き式電界紡糸装置を備えるナノ繊維製造装置に本発明を適用することもできる。
(4)上記各実施形態においては、電源装置160の正極がコレクター150に接続され、電源装置160の負極がノズルブロック110に接続された電界紡糸装置を用いて本発明のナノ繊維製造装置を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電源装置の正極がノズルに接続され、電源装置の負極がコレクターに接続された電界紡糸装置を備えるナノ繊維製造装置に本発明を適用することもできる。
(5)上記各実施形態においては、除湿装置710の温風排出部715から排出した温風の処理については特に言及しなかったが、当該温風に含まれる不純物などを除去するようにすれば、暖房用としても利用することができる。
(6)上記各実施形態においては、冷却部731Cとヒーター731Hとを有する温度調整部731を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ナノ繊維製造装置を設置する場所の温度に合わせて構成を変更することができる。例えば、冷却部731Cを有しない温度調整部731としてもよく、ヒーター731Hを有しない温度調整部731としてもよい。
(7)上記実施形態においては、1つの電界紡糸装置に1つのノズルブロックが配設されたナノ繊維製造装置を用いて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図6は、電界紡糸装置20aの断面図である。例えば、図6に示すように、1つの電界紡糸装置20aに2つのノズルブロック110a1,110a2が配設されたナノ繊維製造装置に本発明を適用することもできるし、2つ以上のノズルブロックが配設されたナノ繊維製造装置に本発明を適用することもできる。
この場合、すべてのノズルブロックでノズル配列ピッチを同一にすることもできるし、各ノズルブロックでノズル配列ピッチを異ならせることもできる。また、すべてのノズルブロックでノズルブロックの高さ位置を同一にすることもできるし、各ノズルブロックでノズルブロックの高さ位置を異ならせることもできる。
(8)本発明のナノ繊維製造装置においては、長尺シートの幅方向に沿ってノズルブロックを所定の往復運動周期で往復運動させる機構を備えていてもよい。当該機構を用いてノズルブロックを所定の往復運動周期で往復運動させながら電界紡糸を行うことにより、長尺シートの幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することができる。この場合、ノズルブロックの往復運動周期や往復距離を、電界紡糸装置毎又はノズルブロック毎に独立して制御可能としてもよい。このような構成とすることにより、すべてのノズルブロックを同じ周期で往復運動させることもできるし、各ノズルブロックを異なる周期で往復運動させることもできる。また、すべてのノズルブロックで往復運動の往復距離を同一にすることもできるし、各ノズルブロックで往復運動の往復距離を異ならせることもできる。
1・・・ナノ繊維製造装置、10・・・搬送装置、11・・・繰り出しローラー、12・・・巻き取りローラー、13,18・・・補助ローラー、14,15,16,17・・・駆動ローラー、20,20a・・・電界紡糸装置、30・・・加熱装置、32・・・ヒーター、40・・・通気度計測装置、41,41a・・・通気度計測部、42・・・本体部、43・・・駆動部、43a・・・支持部、44・・・制御部、60・・・VOC処理装置、70・・・空気供給装置、80・・・主制御装置、100・・・筐体、110,110a1,110a2・・・ノズルブロック、150・・・コレクター、152・・・絶縁部材、160・・・電源装置、170・・・補助ベルト装置、172・・・補助ベルト、174・・・補助ベルト用ローラー、710・・・除湿装置、710L・・・一方の端面、710R・・・他方の端面、711,711a〜711f・・・除湿剤収納部、712・・・空気取り入れ部、713・・・除湿空気送出部、714・・・温風取り入れ部、715・・・温風排出部、720・・・空気流通路、722,731・・・温度調整部、730・・・雰囲気調整空気流通路、732・・・湿度調整部、740・・・温風流通路、750・・・温風排出部、760・・・除湿装置駆動部、761・・動力伝達ベルト、a・・・搬送方向、b・・・長尺シートの幅方向、c・・・除湿装置710の回転方向、W・・・長尺シート、x・・・中心軸

Claims (13)

  1. ナノ繊維を紡糸する電界紡糸装置と、
    雰囲気調整された空気を前記電界紡糸装置に供給する空気供給装置と、
    前記電界紡糸装置で発生する揮発性成分(以下、VOCという。)を燃焼して除去するVOC処理装置とを備えるナノ繊維製造装置であって、
    前記空気供給装置は、前記VOC処理装置で前記VOCを燃焼した際に生じる燃焼熱によって生成した温風により乾燥させた除湿剤を用いて除湿空気を生成する除湿装置を有することを特徴とするナノ繊維製造装置。
  2. 請求項1に記載のナノ繊維製造装置において、
    前記除湿装置は、
    前記除湿剤を収納する除湿剤収納部と、前記除湿空気とするための空気を取り入れる空気取り入れ部と、前記除湿空気を送出する除湿空気送出部と、前記燃焼熱によって生成した温風を取り入れる温風取り入れ部と、温風取り入れ部から取り入れた前記温風を外部に排出する温風排出部とを有し、
    前記取り入れた空気を除湿する際に用いた除湿剤を、前記温風取り入れ部から取り入れた温風により乾燥させて再生することを特徴とするナノ繊維製造装置。
  3. 請求項2に記載のナノ繊維製造装置において、
    前記空気供給装置は、
    前記除湿空気とするための空気が流通する空気流通路と、
    前記除湿空気送出部から送出される除湿空気が流通する雰囲気調整空気流通路と、
    前記雰囲気調整空気流通路とは離間して設けられ、前記燃焼熱によって生成した温風を前記温風取入れ部に導く温風流通路と、
    前記除湿装置を駆動させる除湿装置駆動部と、
    を有し、
    前記除湿装置駆動部は、
    前記除湿装置の前記空気取り入れ部が、前記空気流通路を流通してくる空気の取り入れが可能で、かつ、前記温風取り入れ部が、前記温風流通路を流通してくる温風の取入れが可能となるように前記除湿装置を駆動することを特徴とするナノ繊維製造装置。
  4. 請求項3に記載のナノ繊維製造装置において、
    前記除湿装置は、
    一方の端面及び当該一方の端面に対向する他方の端面を有する箱体をなし、当該箱体の前記一方の端面及び他方の端面を貫く中心軸を中心に回転可能に設置されており、前記空気取り入れ部及び前記除湿空気送出部は、前記箱体の前記一方の端面及び他方の端面における前記中心軸から外れた位置にそれぞれが対向して存在し、前記温風取り入れ部及び前記温風排出部は、前記箱体の前記一方の端面及び他方の端面における前記中心軸から外れた位置で、かつ、前記空気取り入れ部及び前記除湿空気送出部とは異なる位置にそれぞれが対向して存在し、
    前記除湿装置駆動部は、
    前記除湿装置を前記中心軸を中心に回転駆動させることを特徴とするナノ繊維製造装置。
  5. 請求項4に記載のナノ繊維製造装置において、
    前記除湿装置は、当該除湿装置の内部全体が1つの除湿剤収納部として構成され、前記除湿剤収納部に前記除湿剤が充填されていることを特徴とするナノ繊維製造装置。
  6. 請求項4に記載のナノ繊維製造装置において、
    前記除湿装置は、前記中心軸を含む平面で当該除湿装置の内部をn分割(nは2以上の自然数)することによって形成されたn個の除湿剤収納部を有し、前記n個の除湿剤収納部それぞれに前記除湿剤が充填されていることを特徴とするナノ繊維製造装置。
  7. 請求項3〜6のいずれかに記載のナノ繊維製造装置において、
    前記雰囲気調整空気流通路には、前記除湿空気の湿度が前記電界紡糸装置の雰囲気湿度として適切な湿度となるように、前記除湿空気の湿度調整を行う湿度調整部が設けられていることを特徴とするナノ繊維製造装置。
  8. 請求項3〜7のいずれかに記載のナノ繊維製造装置において、
    前記雰囲気調整空気流通路には、前記除湿空気の温度が前記電界紡糸装置の雰囲気温度として適切な温度となるように、前記除湿空気の温度調整を行う温度調整部が設けられていることを特徴とするナノ繊維製造装置。
  9. 請求項3〜8のいずれかに記載のナノ繊維製造装置において、
    前記温風流通路には、前記燃焼熱によって生成した温風の温度が前記除湿剤を乾燥させて再生するために適した温度となるように、前記温風の温度調整を行う温風温度調整部が設けられていることを特徴とするナノ繊維製造装置。
  10. 請求項〜9のいずれかに記載のナノ繊維製造装置において、
    前記空気流通路には、前記除湿空気とするための空気の温度が、所定範囲の温度となるように、温度調整を行う温度調整部が設けられていることを特徴とするナノ繊維製造装置。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載のナノ繊維製造装置において、
    長尺シートを所定の搬送速度で搬送する搬送装置をさらに有し、
    前記電界紡糸装置として、前記長尺シートが搬送されていく搬送方向に沿って直列に配置された複数の電界紡糸装置を備えることを特徴とするナノ繊維製造装置。
  12. 請求項11に記載のナノ繊維製造装置において、
    前記電界紡糸装置は、前記長尺シートにおける所定の領域全体にわたってポリマー溶液を吐出可能とするように複数のノズルが設けられているノズルブロックを有することを特徴とするナノ繊維製造装置。
  13. ナノ繊維を紡糸する電界紡糸装置と、前記電界紡糸装置で発生するVOCを燃焼して除去するVOC処理装置とを備えるナノ繊維製造装置の前記電界紡糸装置に雰囲気調整された空気を供給するナノ繊維製造装置における空気供給装置であって、
    前記VOC処理装置で前記VOCを燃焼した際に生じる燃焼熱によって生成した温風により乾燥させた除湿剤を用いて除湿空気を生成する除湿装置を有し、
    前記除湿装置は、前記除湿剤を収納する除湿剤収納部と、前記除湿空気とするための空気を取り入れる空気取り入れ部と、前記除湿空気を送出する除湿空気送出部と、前記燃焼熱によって生成した温風を取り入れる温風取り入れ部と、温風取り入れ部から取り入れた前記温風を外部に排出する温風排出部とを有し、前記取り入れた空気を除湿する際に用いた除湿剤を、前記温風取り入れ部から取り入れた温風により乾燥させて再生することを特徴とするナノ繊維製造装置における空気供給装置。
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