JP5711793B2 - 曲げ加工方法及び装置 - Google Patents
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Description
放熱板の性能は熱抵抗によって表され、その値が小さいほど高性能となる。そして熱抵抗は、材質・大きさ・構造等によって決まるとされており、原板を折り曲げて製作する蛇腹タイプの放熱板の場合には、原板の材質・厚み、そして個々のフィンの高さ、フィン同士の間隔(離反距離)によって決定されることになる。
なお、本明細書における「蛇腹構造」は、原板をジグザグに折り、山折り・谷折りを交互に繰り返す構造を指すのではなく、谷折り部(本来は1本の稜線)に相当する部分に平坦部を形成させた構造を指すものとする。従って、山折りに二つ折りされた部分と、これと隣接ずる二つ折りされた部分との間には、一定の離反距離(ピッチ)がある。
空気の粘性は存外に大きいので、例えば自然冷却(ファンレスとも呼ばれる)の場合、フィンにまとわりついた空気が自然通風によっては置換できず、かえって熱効率が低下するということもあり得る。そこで設計に当たっては、設置箇所における排熱効率(空気の流通はどの程度であるのか、筺体放熱がどれ程期待できるのか、等々)を勘案した上で、適切な構造を求める必要があるといえる。
これらは、原板上に固定クランプと可動クランプとを「適宜間隔」をおいて配置した状態でこれらのクランプで原板を把持し、把持状態を維持したまま可動クランプを固定クランプ側に移動させることで一つのフィン(蛇腹)を作るというものであり、該「適宜距離」を二つ折りするためにその中央線部分に山部成形用ブレードを配置しておき、可動クランプが固定クランプ側に移動する際には該ブレードは原板を変形させる方向に移動してゆくことになる。
山部成形用ブレードの動きについて述べると、可動クランプが原板を把持した後水平移動を開始する段階では、ブレードの先端は二つ折りされ頂点となる部分に位置していなければならない。可動クランプが水平移動を開始した後この「頂点をなる部分」は、上昇しながら固定クランプに接近してゆくことになる。そしてブレードの先端は、原板を適切に折曲させるべくこの「頂点となる部分」の移動に正確に追従していなければ、設計通りのフィンが得られない。
従って、装置の複雑化、制御の困難性は避けられなかった。
まず本発明方法は、原板に対して垂直上下動する固定クランプと、該原板に対して垂直上下動しつつ平行方向に前後動する可動クランプとによって、該原板を蛇腹状に折り畳む曲げ加工方法であって、該可動クランプは該原板を介して上下に分割されており、且つこれらの対向面の一方側は可回動であって、無負荷時には該原板の水平方向から曲げ方向側に傾斜するようバネによって付勢されており、他方側は、フローティングジョイントを介して接続された鉛直シリンダにより上下動し、また該鉛直シリンダの軸芯を、該可回動であるところの一方側の回動軸芯よりも後方に配置させておくことで、原板を挟持した時にこれを水平方向から曲げ方向側に傾斜させ、その後固定クランプで該原板を把持することによって、原板にたわみを生じさせ、両クランプが原板を把持している状態で可動クランプを固定クランプ側に移動させることを特徴とするものである。
山部成形用ブレードには、可動クランプを固定クランプ側に移動(接近)させる際に、原板の曲げ始めのきっかけを作るという機能がある。また山部成形用ブレードには、原板を折曲変形させる力の一部を担うという機能もある。
この点について本発明者らは、硬くて厚い原板でないのであれば、ブレードに依存しなくても、即ち可動クランプを移動させる力のみで、折曲が可能であるという判断の下、研究開発に着手した。
その結果、単にブレードを省略しただけの装置の場合、原板が常に山折りされる(又は谷折りされる)ことが保証されないことが確認できた。
そこで更に研究を進め当初は、従来のブレードが有する機能を持つものの、機構がシンプルな代替構造を求めて種々模索していた。
そうした模索の中、原板が山折りされるのか谷折りされるのかは、変形の初期段階で決定されること、従ってその段階までに原板に対して「曲がりのきっかけ」を与えてやれば良いということに気付いた。
そして、きっかけを作る方策として、原板に「小さなたわみ」を設けてやれば良いという結論に達した。
本発明を極論すれば、たわみ形成の手段として「可動クランプによる原板把持」の形態に工夫を凝らしたということになる。
この中「原板の把持」は、原板を介して上下に分割されたもの(上ブロックと下ブロック)を接近させることで行なう。もっともこの点に関しては、従来の装置も基本的に同様である。
但し従来は上ブロックと下ブロックの対向面は、いずれも原板に対して平行であった。これを本発明においては、原板の水平方向から曲げ方向側に「傾斜」させている。
この傾斜のあり方は、単純に上ブロックと下ブロックの双方を予め傾けておくのではなく、いずれも回動自在なものとしている。そこで、たとえ常時は原板に対して平行であったとしても、挟持時には傾いて原板を把持するという構造を採用した。
即ち、上ブロックと下ブロックそれぞれの回動の軸芯を同一鉛直線上に配置せずに、敢えてずらし、これらを接近させれば自動的に傾斜するようにしたものがそれである。これにより、「たわみ」の出現を確実にしている。
但し、上下双方のブロックの対向面のいずれもが原板に対して平行である場合には、クランプが原板を把持していない状態で、下ブロックが傾斜しているのか否か確定的でないと、原板を把持した瞬間がどの状態か不明なため、平行状態で把持するときとそうでないときに加工条件・加工寸法にバラツキが生じる恐れがある。また、水平状態で原板を把持しその状態で傾斜すると原板を後方に引っ張る力が働く可能性がある。そこで、上下双方のブロックの対向面のいずれもを原板に対して平行とする手法は、本発明においては採用しない。即ち、無負荷時には該原板の水平方向から曲げ方向側に傾斜するようバネによって付勢しておく必要がある。
(2)原板を曲げるきっかけとなるたわみは、上下に分割された可動クランプを合体させるだけで自動的に発生するので、制御が非常に容易である。
本発明装置1は、前後方向に出入りする水平シリンダ2、可動クランプ3、固定クランプ4を有しており、可動クランプ3には鉛直シリンダ5が、固定クランプ4には鉛直シリンダ6が取設されそれぞれのクランプを上下動させる。
被加工物である原板Cとして本例では、幅5cm、厚さ0.2mmの銅板をロール状に巻いたものを用いた。なお原板Cは、図の左側から供給され、曲げ加工が施されたのちは右に移動するものであるので、右方向を前方、左方向を後方と呼ぶ。
なお、曲げ加工前の可動クランプ3と固定クランプ4との離反距離をDとすると、曲げ加工によって得られる蛇腹の高さは約D/2となる。
図2は、この可動クランプ3の構造を示すものであり、可動クランプ3は、クランプブロック31と、クランプブロック32とに分かれており、上方にあるクランプブロック31は、フローティングジョイント8によって鉛直シリンダ5に接続されている。このような接続機構を採用しているので、鉛直シリンダ5の動作に従ってクランプブロック31が滑動レール9上を移動する際に、クランプブロック31が鉛直から多少ずれる揺動をしても該シリンダ5の動作は支障なく伝達されることになる。この揺動を円滑に行なわせるために、クランプブロック31の滑動レール9対向面は、「く」字状に折曲しており、鉛直状態では上端が離反、回動して傾斜した状態では下端が離反するよう構成されている。
なお、傾斜角度は実施例においては1.5°として試作・実験をしたが、これに限るものではない。また本図に限らず図面全般で、この角度を相当誇張して描出している。
可動クランプ3が先に把持することでたわみが発生する理由は、恐らく図3或いは図4で示すような挙動となるからであろうと推測する。
即ち、固定クランプ4による把持動作を、可動クランプによる把持の後に行なうことによって、原板Cにたわみが間違いなく発生することになる。
この状態で原板CはたわみXを起点に曲がり始めて山折りされ、やがては二つ折りにされてゆくが、その際たわみXの位置が両クランプの中央位置から外れていても、クランプ接近につれてたわみXの頂点が中心位置に移動してゆくことになる。
本発明装置1によって得られる蛇腹構造は、蛇腹F同士が一定距離dだけ離反しているので、一つの蛇腹Fが完成した後に、この距離dに相当する距離だけ離反させてから次の蛇腹を形成することになる。
これは固定クランプ4を、その下端が蛇腹Fの上端より高い位置になるまで上昇させ、続いて水平シリンダ2により可動クランプ3を距離dだけ前方に移動させれば良いわけであるので、まずは固定クランプ4が原板Cを把持し、可動クランプ3は把持していない状態で、可動クランプ3を、D(最初の可動クランプ3と固定クランプ4との離反距離)+d(蛇腹同士の離反距離)に相当する距離分だけ、後方に移動させる。この状態を図6に示す。
次に水平シリンダ2にて可動クランプ3を距離d相当距離分だけ前進(ピッチ送り)させる (なお、原板Cが傾斜していたり既にたわみが形成されている等々の理由で、この距離dとピッチ送り距離とが一致しない場合もあるので、距離d相当距離という)。この状態を図7で示す。
ここでDやdは、製品毎に変更可能であることは勿論、工程毎に逐次設定変更することも可能である。同図(b)はDやdの数値が、蛇腹F作成工程毎に変更した例を示すものである。図示した例は、Dd双方を変更しているが、D・dの片方のみを変更するようにしても良い(図示せず)。
従って本発明によって得られる蛇腹構造体の用途は、当然ながら放熱板に限られるものではなく、建築材料、工芸品、おもちゃ、等々様々な用途に適用し得る。
2 水平シリンダ
3 可動クランプ
31 クランプブロック(上側)
32 クランプブロック(下側)
33 ばね
4 固定クランプ
5 鉛直シリンダ(可動クランプ用)
6 鉛直シリンダ(固定クランプ用)
7 台座
8 フローティングジョイント
9 滑動レール
C 原板
X たわみ
F 蛇腹
D 初期位置における可動クランプ3と固定クランプ4との離反距離
d 蛇腹同士の離反距離
M 蛇腹構造体
A クランプブロック32の軸芯
B 鉛直シリンダ5の軸芯
Claims (2)
- 原板に対して垂直上下動する固定クランプと、該原板に対して垂直上下動しつつ平行方向に前後動する可動クランプとによって、該原板を蛇腹状に折り畳む曲げ加工方法であって、該可動クランプは該原板を介して上下に分割されており、且つこれらの対向面の一方側は可回動であって、無負荷時には該原板の水平方向から曲げ方向側に傾斜するようバネによって付勢されており、他方側は、フローティングジョイントを介して接続された鉛直シリンダにより上下動し、また該鉛直シリンダの軸芯を、該可回動であるところの一方側の回動軸芯よりも後方に配置させておくことで、原板を挟持した時にこれを水平方向から曲げ方向側に傾斜させ、その後固定クランプで該原板を把持することによって、原板にたわみを生じさせ、両クランプが原板を把持している状態で可動クランプを固定クランプ側に移動させることを特徴とする曲げ加工方法。
- 原板に対して垂直上下動する固定クランプと、該原板に対して垂直上下動しつつ平行方向に前後動する可動クランプとを有する曲げ加工装置であって、該可動クランプは該原板を介して上下に分割されており、且つこれらの対向面の一方側は可回動であって、無負荷時には該原板の水平方向から曲げ方向側に傾斜するようバネによって付勢されており、他方側は、フローティングジョイントを介して鉛直シリンダに接続され、また該鉛直シリンダの軸芯は、該可回動であるところの一方側の回動軸芯よりも後方に配置されており、原板を挟持した時にこれを水平方向から曲げ方向側に傾斜させ、その後固定クランプで該原板を把持することによって、原板にたわみを生じさせることを特徴とする曲げ加工装置。
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