{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係る医療用診療装置について説明する。図1は第1実施形態に係る医療用診療装置10を示す概略図である。
この医療用診療装置10は、医療診療のため、例えば、歯科医療における診療のために用いられる装置であり、診療器具90と、接眼タイプの顕微鏡40とを備える。以下の各実施形態では、歯科医療における診療想定を想定した例で説明する。もっとも、本医療用診療装置10は、その他、顕微鏡を用いた耳鼻科用等の各種診療装置にも適用できる。
診療器具90は、診療データ出力部を含む診療器具である。かかる診療器具の一例としては、根管治療工具が想定される。上記診療器具90は、不使用状態では、診療器具ホルダユニット35にセットされている。また、診療器具90を用いて診療を行う際には、術者の指令に基づいて駆動し、術者の取扱下、診療箇所に対する診療に供される。
ここで、診療器具90による診療対象となる生体の一例である歯の構成及び当該歯に対する診療器具90の診療内容等について説明しておく。
図2は人間の歯の構造を示す断面図である。人間の歯500は、口腔内に露出する歯冠部502と歯冠部502から延出する歯根部510とを含む。歯根部510の表面は、図示省略の歯根膜で覆われている。歯冠部502は、エナメル質503及び象牙質504等で構成されている。またこの歯冠部502内には、髄室507が形成されている。歯根部510は、象牙質504及びセメント質506等で構成されており、歯槽骨520及び歯肉522で支えられている。歯根部510内には、その延在方向に沿って延びる根管512が形成されている。上記歯冠部502及び歯根部510内の歯髄508及び514は、歯槽骨520下の血管や神経に繋がっている。歯根部510のうち歯槽骨520側の最先端部が根尖511(APEX)と呼ばれ、根尖511の歯槽骨520側の開口が根尖孔と呼ばれる。
このような歯に対する診療としては、例えば、根管拡大等の種々の作業が行われる。このような作業は、診療対象となる歯と診療用の器具との相互関係を観察しつつ、当該器具の姿勢、当該器具を操作する力加減等を適宜調整して行われる。
また、上記のような歯に対する診療を行う際には、診療対象箇所を目視するだけでは得られない又は得ることが困難な情報をも必要とする場合がある。
例えば、根管内位置測定機能付の根管治療工具で根管拡大を行う際には、根管拡大用の工具であるファイルやリーマと上記根尖511との相互関係を確認しつつ、測定された根管内における工具先端の位置を確認して作業を行う必要がある。
また、診療中には、上記のように測定された根管内位置に限られず、行う作業内容に応じて、根管拡大装置の駆動状態、根管洗浄機の駆動状態、出血の状態、根管充填器の先端チップの温度、根管拡大に要している時間等、等種々の情報も認識することが必要となる。
上記診療器具90は、診療箇所に対する診療器具90の位置、診療器具90自体の作動状況等の少なくとも1つの情報を出力可能に構成されている。
接眼タイプの顕微鏡40は、診療台20に支持された患者P1の患部(ここでは、口腔内)の拡大像を術者P2に対して視認可能に提示するように構成されている。
診療台20は、患者P1を支持する部分である。診療台20は、患者P1を診療に適した姿勢で支持することが好ましい。ここでは、歯科医療を想定しているため、診療台20は、患者P1を仰向けに寝かせた姿勢で支持できるように構成されている。診療台20は、本医療用診療装置10の構成要素として含まれる場合もあるし、含まれない場合もある。後者の場合、本医療用診療装置10は、診療台20を既に購入されている術者にも提供できるように、診療台20を省略した形態で製造、販売等されるが、最終的には、診療台20に適用された形態で使用される。
顕微鏡40は、光学的に拡大された像を直接的に術者に対して視認可能に提示するものであってもよいし、或は、撮像素子等で撮像された像を、液晶表示装置等の表示部に表示して、患部の像を術者に対して視認可能に提示するものであってもよい。
もっとも、顕微鏡40は、対物ユニット42Uと接眼ユニット46Uとが一体化され、対物ユニット42Uを患部に対向配置させつつ、術者P2が眼を近づけて又は接触させて接眼ユニット46Uを覗き込むようにすることによって、上記患部の拡大像を視認することが可能となる接眼タイプの構成とされている。ここで、対物ユニット42Uと接眼ユニット46Uとが一体化されているとは、対物ユニット42Uと接眼ユニット46Uとが、相対的な位置関係が一定に保たれる態様で一体化されていることをいう。
術者P2が、かかる顕微鏡40を用いて観察する場合、視野のうちその中心周りの多くの範囲が顕微鏡40により提示される像及びその周辺部分(接眼ユニット46Uのアイキャップ等)によって占められる。このため、術者P2は、顕微鏡40による提示像以外の状況を把握することは困難となる。特に、上記診療器具90から出力される情報等、診療中に変動する診療情報は、事前に把握しておくことができない情報故、顕微鏡40による観察中に、診療中に変動する診療情報を認識できるようにする重要性は大きい。
そこで、本実施形態及び以下の各実施形態では、顕微鏡40による拡大像の少なくとも一部を顕微鏡40の視野内で視認可能な状態にしたままで、診療中に変動する診療情報を含む診療データに基づく診療情報画像を顕微鏡40の視野内に表示させるようにしている。
これにより、術者P2は、同一視野範囲内で、顕微鏡40による患部の拡大像とは別に、診療中に変動する診療情報に基づく診療情報画像を視認することができるため、顕微鏡40を用いて診療を行う際に、顕微鏡40を覗き込んだ状態のまま、診療中に変動する診療情報を容易に把握できることとなる。
以下、第1実施形態を前提として,より具体的な第2、第3実施形態を説明する。
{第2実施形態}
以下、第2実施形態に係る医療用診療装置について説明する。
図3は医療用診療装置を含む医療用診療システムの全体構成を示す斜視図であり、図4は同医療用診療システムの使用状態例を示す説明図である。図4では、診療台120に支持された患者P1が仰向け状態で寝ており、術者P2が患者P1の患部である口腔を、顕微鏡140を用いて診療している様子を示している。
医療用診療装置100は、診療器具190と、顕微鏡140と、制御ユニット150の重ね合せ画像出力部158とを備え、任意的に、診療台120等をさらに備える。
診療台120は、基台121と、シート部122とを備えている。基台121は床面上に設定され、シート部122を床面の上方位置で支持している。シート部122は、患者P1を着座姿勢又は仰向けに寝かせた姿勢で支持する部分であり、座部122aと背部122bとヘッドレスト122cとを備えている。座部122aは基台121上に支持され、背部122bは座部122aの一側に姿勢変更可動に連結されている。ヘッドレスト122cは背部122bの上端部に姿勢変更及び伸縮可能に設けられている。
この診療台120には、患者P1に対する診療状態に応じて診療台120を動かすための診療台駆動機構部124が設けられている(図7参照)。ここでは、診療台駆動機構部124は、昇降駆動機構部と背部傾動駆動機構部とを含む。昇降駆動機構部は、基台121に組込まれており、この昇降駆動機構の駆動によりシート部122が昇降する。また、背部傾動駆動機構部は、シート部122に組込まれており、背部122bの傾き姿勢を変更させる。その他、診療台駆動機構部124は、シート部122に組込まれ、ヘッドレスト122cの傾き姿勢を変更させるヘッドレスト傾動駆動機構等を含んでいてもよい。
また、診療台120には、フートコントローラ126が設けられている。フートコントローラ126は、術者P2の足により操作され、診療台120に対する諸動作指示等のための操作を受付ける操作部である。本実施形態では、フートコントローラ126は、6つの操作受付部126aを含んでおり、各操作受付部126aを通じて術者からの諸指示を受付ける。ここでは、フートコントローラ126は、後述する各種診療器具への動作指示をも受付可能に構成されている。そして、フートコントローラ126で受付けられた指示は、上記制御ユニット150に入力される。そして、上記制御ユニット150が当該指示に基づいて診療台駆動機構部124の動作制御を行い、また、各種診療器具に対して動作指示を与える。
また、診療台120の周囲には、トレーテーブル128とベースンユニット130とが設けられている。
トレーテーブル128は、テーブル128aと、タッチパネル128bとを含む。テーブル128aは、診療台120にアームを介して位置変更可能に支持されている。タッチパネル128bは、テーブル128aの前方(術者P2が立つ側)に取付固定されている。タッチパネル128bは、液晶表示装置と接触位置検知装置等との組合わせにより構成されており、表示された画面に応じた押された位置を検出することで、術者からの諸指示を受付ける、つまり、術者の手指によって操作される操作パネルである。このタッチパネル128bで受付けられた指示も上記制御ユニット150に入力される。勿論、トレーテーブル128には、タッチパネル128bに代えて又は追加して、複数のスイッチを含み、各スイッチに対する手指による操作によって諸指示を受付ける操作部が設けられていてもよい。
ベースンユニット130は、スピットン132と、アシスタントハンガー137と、ポール134aとを備える。
ここでは、ベースンユニット130は、診療台120を挟んで、トレーテーブル128の反対側に設けられている。
スピットン132は、口腔内を濯ぐ際等に給水する給水栓と排唾鉢とを備える。
ポール134aは、ベースンユニット130に隣接して立設されており、複数(ここでは2つ)のアーム134b、134cを備えている。ポール134aの途中には、液晶表示装置等によって構成される表示部135aが設けられている。
表示部135aには、制御ユニット150から出力される画像信号に基づいて、諸情報が表示される。ここでは、制御ユニット150からの画像信号に基づいて、顕微鏡140の視野内に表示される画像と同内容を表示部135aに表示させることができるようになっている。表示部135aは、診療台120近傍に立っている診療補助者に対する情報提示用として設けられていること、即ち、立っている人の目と同じ程度の高さ位置に設けられていることが好ましい。もっとも、表示部135aは、患者P1による視認に適した場所等、他の箇所に設けられていてもよい。
複数のアーム134b、134cは、ポール134aの上端部から2方向に分岐するように延出している。各アーム134b、134cは、姿勢変更可能なアームである。アーム134bの先端部には無影灯等の照明装置135bが設けられている。また、アーム134cの先端部には顕微鏡140が設けられている。そして、アーム134b、134cをそれぞれ別々の方向に姿勢変更させることによって、顕微鏡140の配設位置とは別箇所から照明装置135bによる照明を行える。
勿論、これらのベースンユニット130及びポール134aは、診療台120の一部や壁面などの他の箇所に設けられてもよい。
顕微鏡140は、上記第1実施形態で説明したように、対物ユニット142Uと接眼ユニット146Uとが一体化され、患部の拡大像を術者P2に対して視認可能に提示する接眼タイプの顕微鏡である。
より具体的には、顕微鏡140は、対物光学系142を含む対物ユニット142Uと、接眼光学系146を含む接眼ユニット146Uとを備える。この顕微鏡140は、対物ユニット142Uを下向きにすると共に、接眼ユニット146Uを横方向に向けた姿勢で、対物ユニット142Uと接眼ユニット146Uとが一体化されて、上記アーム134cの先端部に支持されている。顕微鏡140は、診療台120に支持された患者P1の患部(口腔)の上方に配設した状態で用いられる。この状態で、術者P2が横方向から接眼光学系146を覗き込むことで、術者P2に対して拡大された像が提示される。なお、顕微鏡140には、ハンドル140hが設けられており、術者P2は、本ハンドル140hを握ることで、容易に顕微鏡140の位置変更等を行える。特に、対物ユニット142Uと接眼ユニット146Uとが一体化されているため、接眼ユニット146Uを覗き込む術者P2の顔の移動と、対物ユニット142Uの移動とが連動して行われ、術者P2による視野の変更を自然な感覚で容易に行うことができる。
なお、顕微鏡140は、他の支持部材によって支持されていてもよいし、また、術者P2自体によって支持されてもよい。
また、ここでは、顕微鏡140には、音声入力部としてマイク188が設けられている。マイク188は、術者P2による発声を集音可能に構成されている。マイク188は、術者P2による音声を集音できる位置であれば、他の位置、例えば、診療台120、ベースンユニット130等に設けられていてもよい。
また、本医療用診療システムでは、周辺画像を撮像する周辺画像撮像部138が設けられている。周辺画像撮像部138は、固体撮像素子等を含む撮像カメラであり、顕微鏡140とは別に設けられた外部撮像部の1つである。この周辺画像撮像部138は、診療台120に支持された患者P1の一部であって患部以外の部分を撮像可能に構成されている。ここでは、周辺画像撮像部138は、アーム134bの先端部に設けられた照明装置135bに(ここでは上部に)設けられている。そして、患者の上記少なくとも一部を撮影できるようになっている。ここで、周辺画像撮像部138は照明装置135bに設けられているため、照明された明るい画像を容易に撮像することができる。もっとも、照明装置135bによる照明先と、周辺画像撮像部138によって撮像すべき領域とは必ずしも一致しないので、照明装置135bに対して周辺画像撮像部138は、姿勢変更可能(つまり、撮像領域の変更が可能)とされていることが好ましい。また、周辺画像撮像部138は、照明装置135bとは別箇所に設けられていてもよい。
また、本医療用診療システムは、器具ホルダユニット135を備えている。器具ホルダユニット135は、複数の診療器具190を収納及び取出し可能に支持可能に構成されている。ここでは、器具ホルダユニット135は、器具ホルダ136、137を備えている。器具ホルダ136、137は、それぞれ診療に用いられる診療器具190を収納及び取出し可能に支持可能に構成されている。
ここでは、上記テーブル128aの前方及び一側方に器具ホルダ136が設けられている。また、器具ホルダ137は、ベースンユニット130にアームを介して支持されている。器具ホルダ136、137は、複数の診療器具190に対応するセット部136a、137aを含み、各診療器具190は、それぞれに対応するセット部136a、137aに収容される。また、各セット部136a、137aには、診療器具190のセット状態を検知し、複数の診療器具190のなかから使用中の診療器具190を特定するための診療器具特定部としてのセンサ136S(図3において一部のみ図示、図7参照)が設けられている。センサ136Sとしては、診療器具190が存在する場合に遮光され或は反射される検査光を利用した光センサ、診療器具190が存在する場合に押されることによってオン又はオフ状態になるスイッチを利用したセンサ、或いは、診療器具190に設けた永久磁石等の磁界の変化によって診療器具190が存在するかを検出する磁気センサ等を用いることができる。これらの各セット部136a、137aに設けられたセンサ136Sの出力は、上記制御ユニット150に与えられる。これにより、制御ユニット150では、各センサ136Sの出力に基づいて、各診療器具190の取出し及び収納タイミングを認識し、また、どの診療器具190が器具ホルダ136、137から取出されて使用されているかを判別できるようになっている。
勿論、器具ホルダ136、137は他の箇所、例えば、診療台120に設けられていてもよい。
なお、診療器具190としては、例えば、エアータービンハンドピース或は根管治療工具として用いられるマイクロモータハンドピース等の切削工具やスケーラ、スリーウエイシリンジ、バキュームシリンジ、口腔カメラ、光重合照射器等が想定される。これらの診療器具190は、患者P1に対する診療行為に供され、術者P2による駆動指示又は取扱い操作等に基づいて動作する。
診療器具190のうちの少なくとも1つは、診療中に変動する診療情報を含む診療データを出力可能に構成されている。
図5は、診療中に変動する診療情報を含む診療データを出力可能な診療器具190の一例としての根管治療器具190Aを示す斜視図であり、図6は当該根管治療器具190Aの機能ブロック図である。なお、以下では、診療器具を個別に区別せずに説明する場合には、診療器具190と表記し、特定の根管治療器具に着目した説明を行う場合には根管治療器具190Aと表記する。
根管治療器具190Aは、歯科用インストルメントとも呼ばれる器具であり、歯に対する診療として根管512拡大を行うと共に、当該根管拡大作業中に診療データとして根管内位置測定データ及び駆動状態データを出力可能に構成されている。
すなわち、この根管治療器具190Aは、片手で保持可能な長尺棒状の外観形状を有しており、インスツルメント本体部191の先端部にファイル192が設けられている。そして、図示省略のアクチュエータ及びその駆動回路等を含む診療器具駆動部195によってファイル192を回転させることによって、ファイル192で根管512内を切削して当該根管512の拡大作業を行う。
この診療器具駆動部195は、自己の駆動状態を示す駆動状態データを取得可能に構成されている。駆動状態データは、診療中に変動する診療情報を含む診療情報データの一種であり、例えば、駆動出力値、トルク値、回転数のうち少なくとも1つを含んでいる。駆動出力値、トルク値、回転数は、モータに関する周知技術を含む種々の構成により求められる。例えば、モータがDCマイクロモータである場合、作業中にファイル192に印加されるトルク値(負荷トルク値)は、当該DCマイクロモータに印加される電圧にトルク定数を乗じた値として求められ、回転数はDCマイクロモータに流れる電流に回転数定数を乗じた値として求められ、駆動出力値はこれらのトルク値及び回転数の乗算値に定数を乗じた値として求められる。これらの値は、根管512の拡大作業の状態に応じて、即ち、診療中に変動する値でもある。特に、ファイル192の回転数が変動する診療データとして検出され、表示されるように構成した場合、ファイル192の回転数を把握して切削位置、症状等に応じて適切な回転数で診療を行うことができる。また、ファイル192にかかるトルクが変動する診療データとして検出され、表示されるように構成した場合、ファイル192に過負荷がかかった状態を素早く検知することができるため、ファイル192の破断、破折を未然に防ぐことも可能となり、治療の停滞を避けることができる。
また、この根管治療器具190Aは、患者の口腔内に配設可能な口腔電極193と、根管内位置測定部196とを含む。そして、根管内位置測定部196が、根管512内に挿入された上記ファイル192を測定電極として、当該ファイル192と口腔電極193との間で電流値又は電位等の電気的特性値を測定し、当該測定された電気的特性値から根管512内でのファイル192の先端部の位置を求める。なお、上記根管内位置は、根尖相当位置或は根管内での所定の基準位置(例えば、根管内での根尖狭窄部)に対する離間距離或は予め測定された根管長における相対位置として求められる。かかる根管内位置データも、診療中に変動する診療情報を含む診療情報データの一種である。
上記診療器具駆動部195で取得された駆動状態データ及び根管内位置測定部で求められた根管内位置データは、診療データとして診療データ出力部197を通じて外部に出力され、制御ユニット150に入力される。
なお、診療中に変動する診療データは、上記例に限られず、他の診療器具190から出力されるデータ等、診療中に変動する情報を含むデータであればよい。
また、この根管治療器具190Aは、外部撮像部として患部周辺撮像部198を含む。
すなわち、根管治療器具190Aの先端部であって、ファイル192の固定箇所周りに、CCD等の撮像素子及びレンズ等の光学系を含む患部周辺撮像部198が取付けられている。この患部周辺撮像部198も、上記顕微鏡140とは別に設けられた外部撮像部である。患部周辺撮像部198の撮影方向は、ファイル192の軸と略一致している。そして、本根管治療器具190Aを用いて根管拡大作業等を行う場合、患部周辺撮像部198による撮像範囲に、ファイル192による歯500の接触部位が含まれるようになっている。かかる患部周辺撮像部198による撮像画像データは、制御ユニット150に入力される。
医療用診療装置は、顕微鏡140と、当該顕微鏡140に、診療データに基づく診療情報画像を重ね合せ画像として視野内に表示させる要素とを含む。本第2実施形態では、前記要素が、診療データに基づいて診療情報画像を出力する画像出力部158と、顕微鏡140において、重ね合せ画像出力部158からの出力に基づく診療情報画像(重ね合せ画像)を拡大像に重ね合せるように表示する重ね合せ表示部144Rとを含む構成によって実現されている例で説明する。
図7は本医療用診療システムの全体構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、フートコントローラ126及びタッチパネル128bは、制御ユニット150に接続されており、フートコントローラ126及びタッチパネル128bを通じて入力された指示が制御ユニット150に与えられる。また、音声認識部189が制御ユニット150に接続されている。音声認識部189は、マイク188を通じて取得された術者P2の音声データに基づいてパターン認識等を行って、音声認識処理を行い、認識されたフレーズに応じた操作指令を制御ユニット150に与える。例えば、認識された音声フレーズが、「根管内位置画像表示ON」(根管内位置画像の例については後述する)であると認識された場合には、当該根管内位置画像をONする指令を制御ユニット150に与える。勿論、本音声認識部189が行う音声認識処理は、制御ユニット150の一機能として組込まれていてもよい。
また、各診療器具190及びこれらに対応するセット部136a、137aに設けられた各センサ136Sも制御ユニット150に接続されている。そして、制御ユニット150の制御下、各診療器具190が動作する。また、各センサ136Sの出力が制御ユニット150に与えられることで、制御ユニット150において各診療器具190の取出し状態が判別される。図7では、第1診療器具190に対して第1センサ136Sが対応付けられ、第2診療器具190に対して第2センサ136Sが対応付けられる様子を示している。また、診療台駆動機構部124も制御ユニット150に接続されており、制御ユニット150の制御下、診療台駆動機構部124が動作して診療台120が昇降動作或は傾き動作する。周辺画像撮像部138も制御ユニット150に接続されており、周辺画像撮像部138で撮像された撮像画像データが制御ユニット150に与えられる。また、表示部135aも制御ユニット150に接続されており、当該表示部135aから出力された画像信号に基づいて表示を行う。
また、ここでは、医療用診療システムは、患者情報記憶部139aを含むサーバ139を備えており、このサーバ139が制御ユニット150に通信可能に接続されている。患者情報記憶部139aは、ハードディスク装置等の記憶装置によって構成されており、事前に取得された患者情報を記憶している。患者情報は、各患者に対応付けて事前に取得された診療に関する情報であり、患者の名称、病状等を含むカルテ情報の他、事前に撮影された患部のレントゲン画像(CT画像等、X線を用いて得られた各種画像を含む)、事前に撮影された患部の蛍光画像、事前に測定された歯周ポケットの測定結果を示す画像等が含まれる。制御ユニット150は、必要に応じて、患者情報記憶部139aに記憶された患者情報を取得することができる。
また、制御ユニット150と顕微鏡140とは、それらの間で画像信号を入出力可能に接続されている。
顕微鏡140は、対物光学系142と、接眼光学系146と、介在部144とを備える。ここでは、顕微鏡140は、両眼顕微鏡であり、従って、対物光学系142は、右対物光学系142Rと左対物光学系142Lとを含み、接眼光学系146は、右接眼光学系146Rと左接眼光学系146Lとを含む。かかる両眼顕微鏡は、患部を立体視し易いという利点がある。
右対物光学系142Rは、少なくとも1つの光学レンズを含む。この右対物光学系142Rは、患部に対向して配設され、患部の反対側で観察対象部分Pの実像を結ぶ。右接眼光学系146Rも少なくとも1つの光学レンズを含む。この右接眼光学系146Rは、術者P2の右目に対向して配設される部分であり、上記右対物光学系142Rで生成された実像を拡大して術者P2の眼(右眼)に提供する。これらの右対物光学系142Rと右接眼光学系146Rとは、全体として、観察対象部分Pを拡大して術者に提示する右眼用の光学系を構成している。
左対物光学系142Lは、少なくとも1つの光学レンズを含む。この左対物光学系142Lは、患部に対向して配設され、患部の反対側で観察対象部分Pの実像を結ぶ。左接眼光学系146Lも少なくとも1つの光学レンズを含む。この左接眼光学系146Lは、術者P2の左目に対向して配設される部分であり、上記左対物光学系142Lで生成された実像を拡大して術者P2の眼(左眼)に提供する。これらの左対物光学系142Lと左接眼光学系146Lとは、全体として、観察対象部分Pを拡大して術者に提示する左眼用の光学系を構成している。
介在部144は、重ね合せ表示部144Rと、介在撮像部144Lとを含む。
重ね合せ表示部144Rは、上記右眼用の光学系に設けられ、後述する重ね合せ画像出力部158からの出力に基づく重ね合せ画像を、光学的な拡大像に重ね合せるように表示可能に構成されている。かかる重ね合せ表示部144Rとしては、例えば、光学系の途中に介挿された透過型の液晶表示装置に前記重ね合せ画像を表示する構成、光学系の途中に介挿されたハーフミラーに前記重ね合せ画像を投影する構成等を採用することができる。そして、本重ね合せ表示部144Rによって光学的拡大像に重ね合せ画像が重ね合された状態では、術者P2は、重ね合せ表示部144Rを透過する光学的な拡大像を視認しつつ、重ね合せ表示部144Rで表示された重ね合せ画像を視認できる。
介在撮像部144Lは、本顕微鏡で観察された観察対象部分Pの画像を撮像する部分である。介在撮像部144Lとしては、例えば、光学系の途中にハーフミラーを介挿し、このハーフミラーで側方に向けて反射された像を撮像素子で撮像する構成を採用することができる。この介在撮像部144Lで撮像された画像は、フラッシュメモリ、ハードディスク装置等で構成された録画部144Laに記録される。また、介在撮像部144Lで撮像された画像信号は、制御ユニット150にも与えられる。
もっとも、顕微鏡が、上記のように両眼用の光学系を備えることは必須ではない。また、介在撮像部144Lが設けられていることも必須ではない。
図8は上記制御ユニット150のハードウエア構成例を示すブロック図である。制御ユニット150は、CPU151、ROM(Read Only Memory)152、主記憶部としてのRAM(Randam Access Memory)153、外部記憶装置154,入出力回路部155、画像入力部156a、156b、画像出力部157a、157b等がバスラインを介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成されている。ROM152には、本制御ユニット150の起動用のプログラム等が格納されている。RAM153は、CPU151がプログラムの記述に従った処理を行う際の作業領域として供される。外部記憶装置154には、基本プログラムに加えて、上記重ね合せ表示部144Rに表示する重ね合せ画像を制御する重ね合せ画像制御プログラム154a、フートコントローラ126等で受付けられた指示に従って診療台駆動機構部124の駆動を制御する診療台制御プログラム154b、フートコントローラ126等で受付けられた指示に従って診療器具190に指示を出力する診療器具指示プログラム等が記憶されている。なお、外部記憶装置154は、一時的ではない不揮発性の記憶装置(ハードディスク装置、フラッシュメモリ等)によって構成されていればよい。
また、制御ユニット150は、入出力回路155を介して、診療台駆動機構部124、フートコントローラ126、タッチパネル128b、音声認識部189、診療器具190、センサ136Sに接続されている。また、制御ユニット150は、画像入力部156aを介して周辺画像撮像部138に接続され、画像入力部156bを介して介在撮像部144Lに接続され、画像出力部157aを介して重ね合せ表示部144Rに接続され、画像出力部157bを介して表示部135aに接続されている。
そして、主制御部としてのCPU151が、上記外部記憶装置154に記憶された各プログラム154a、154bを相互に連携しつつ実行し、外部からの指示に応じて各プログラム154a、154bに記述された手順に従って演算処理を実行することにより、診療台120の動作制御、診療器具190の動作制御に加えて、上記重ね合せ表示部144Rに表示する重ね合せ画像を制御する諸処理機能が実現される。重ね合せ表示部144Rに表示する重ね合せ画像を制御する重ね合せ画像出力部としての処理については後でさらに詳述する。なお、各プログラム154a、154bは、1つのプログラムとして記述されていてもよい。また、本制御ユニット150が行う一部又は全部の機能が、専用の論理回路等でハードウエア的に実現されてもよい。
図9は制御ユニット150において、上記重ね合せ画像制御プログラム154aの実行により実現される機能を示すブロック図である。
すなわち、制御ユニット150は、重ね合せ画像出力部158としての機能、診療台情報画像生成部159aとしての機能、及び、診療情報画像生成部159bとしての機能を含んでいる。
この重ね合せ画像出力部158に対しては、サーバ139の患者情報記憶部139aの患者情報と、周辺画像撮像部138で撮像された周辺撮像画像のデータと、患部周辺撮像部198による患部周辺撮像画像データと、顕微鏡140の介在撮像部144Lによる顕微鏡撮像画像データとが与えられる。本実施形態では、患者情報が、患部のX線画像、患部の蛍光画像、歯周ポケットの測定結果を示す画像(以下、単にポケット画像と記述する)である場合を想定する。また、周辺画像撮像部138は、患者P1の上半身を上方から撮像している場合を想定する。
また、診療台情報が診療台情報画像生成部159aに与えられると、診療台情報画像生成部159aは、診療台情報に基づいて、当該診療台情報を術者P2に視認させるための診療台情報画像を生成し、これを重ね合せ画像出力部158に与える。診療台情報は、診療台120に関する情報であり、特に、術者P2が顕微鏡140を覗き込んでいる状態で術者が把握すべき情報であることが好ましい。ここでは、診療台情報は、診療台駆動機構部124による動作モードが顕微鏡モードであるか否かという情報、診療台120の動きをロックした状態かどうかという情報である場合を想定して説明する。
なお、上記は、診療台駆動機構部124による動作モードが、通常モード、顕微鏡モード、停止モードの少なくとも3つあることを前提としている。通常モードは、非治療中で、かつ、術者P2が顕微鏡140を覗き込まない状態で使用されることを想定したモードであり、フートコントローラ126への操作に応じて、診療台駆動機構部124は、診療台120を素早く動作させる。顕微鏡モードは、非治療中で、かつ、術者P2が顕微鏡140を覗き込んだ状態で使用されることを想定したモードであり、フートコントローラ126への操作に応じて、診療台駆動機構部124は、診療台120をゆっくりと動作させる。これにより、術者P2は、顕微鏡140の焦点合わせ等を容易に行える。すなわち、顕微鏡140の使用に適した動作で診療台120を動かせるモードである。停止モードは、治療中に使用されることを想定したモードであり、診療台120はロック状態に維持される。従って、誤ってフートコントローラ126を操作してしまっても、診療台駆動機構部124は診療台120を動作させず、診療台120は停止状態を維持する。上記モードの切替は、フートコントローラ126或はタッチパネル128bへの操作によって切替えられる。
診療台情報画像生成部159aは、診療台120の動作を司る診療台制御プログラム154bからいずれのモードであるかという診療台情報を受取ると、顕微鏡モード或は停止モードに応じた診療台情報画像を生成する。この診療台情報画像の一例については後で説明する。診療台情報画像は、術者P2にとって当該診療台120の状況を視認可能な表示図形として生成されるものであれば、特に限定はされない。例えば、いずれかのモードを示す象徴的な図形であってもよいし、文字自体であってもよい。診療台情報画像の元となる画像は、予め画像として外部記憶装置154に記憶されており、各モードに応じて当該画像が呼出され、当該画像に基づいて診療台情報画像が生成されるようにするとよい。そして、この診療台情報画像生成部159aによって生成された診療台情報画像が重ね合せ画像出力部158に与えられる。
また、診療器具190からの診療情報を含む診療データが診療情報画像生成部159bに与えられると、診療情報画像生成部159bは、診療情報に基づいて、当該診療情報を術者P2に視認させるための診療情報画像を生成し、これを重ね合せ画像出力部158に与える。診療情報画像は、上記したように診療中に変動する情報であり、特に、術者P2が顕微鏡140を覗き込んでいる状態で術者が把握すべき情報である。診療器具190の種類によって、診療データが出力される場合と出力されない場合とがあり、本出力が無い場合には診療情報画像は生成されない。
ここでは、上記したように、主に、診療器具190が根管治療器具190Aであり、診療情報として、その回転数と、根管における回転工具の先端部の位置情報とを出力する場合を想定して説明する。
診療情報画像生成部159bは、診療情報を受取ると、診療情報に応じた診療情報画像を生成する。この診療情報画像としては、例えば、上記回転数又は位置情報を数値で表す図形、目盛の側方に回転数又は位置情報を示すレベルインジケータ等を示す図形等が想定される。この診療情報画像の元となる画像も、予め画像として外部記憶装置154に記憶されており、当該元となる画像に基づいて、診療情報に応じた診療情報画像が生成されるようにするとよい。この診療情報画像の一例については後で説明する。そして、この診療情報画像生成部159bによって生成された診療情報画像が重ね合せ画像出力部158に与えられる。
また、重ね合せ画像出力部158は、後述する選択画像176、177、割当情報画像172等をも出力可能に構成されている。これらの選択画像176、177、割当情報画像172等の元となる画像も予め画像として外部記憶装置154に記憶されており、当該元となる画像に基づいて、操作状況等に基づいて、選択画像176、177、割当情報画像172が生成される。特に、割当情報画像172としては、診療台駆動機構部124の操作に指摘した割当を示す画像の他、各診療器具190に適した割当を示す画像等も生成され、後者の各診療器具190に適した割当を示す画像は、診療器具190に関連する情報を示す画像として生成されるものである。割当情報画像のうち各診療器具190に適した割当を示す画像は、器具関連情報画像の一種として生成されるのである。
また、上記重ね合せ画像出力部158には、画像切替を制御するためのデータとして、診療器具190からの器具作動状況情報、フートコントローラ126、タッチパネル128b、音声認識部189等で受付けられた操作指示及びセンサ136Sの出力結果が与えられる。
重ね合せ画像出力部158は、操作指示及びセンサ136Sの出力結果に基づいて、患者情報画像、診療台情報画像、診療情報画像、周辺撮像画像、患部撮像画像のうちの1つ又は複数を重ね合せ画像データとして、必要に応じて出力し、重ね合せ表示部144Rに与える。また、重ね合せ画像出力部158は、所定のタイミングで、選択画像、割当情報画像のデータを必要に応じて出力し、重ね合せ表示部144Rに与える。また、重ね合せ画像出力部158は、当該重ね合せ画像を顕微鏡画像に重ね合せた表示部用画像信号をも出力し、表示部135aに与える。従って、表示部135aには、介在撮像部144Lで撮像された顕微鏡画像に、重ね合せ画像出力部158より出力される重ね合せ画像を重ね合せた画像が表示され、診療補助者は、顕微鏡140の視野範囲で観察可能な表示と同内容の表示を、表示部135aを通じて視認することができる。
図10及び図11は、重ね合せ画像出力部158における処理を示すフローチャートである。
同図に示すように、術者P2が顕微鏡140の使用開始スイッチを操作し、顕微鏡140の使用を開始すると、ステップS1に示すように、重ね合せ画像出力部158は、初期画面信号を出力し、初期画面を顕微鏡140の重ね合せ画像出力部158に表示させる。初期画面としては、上記撮像画像及び診療台情報画像の少なくとも1つを含むことが好ましく、ここでは、周辺撮像画像を含む例で説明する。術者P2が顕微鏡140を覗き込むと、図12に示すように、重ね合せ画像出力部158からの出力に応じた画像(ここでは周辺撮像画像178)を認識することができ、また、重ね合せ画像出力部158からの出力に応じた画像が表示されていない領域では、患部(ここでは、口腔内の歯)の拡大像160を認識することができる。
上記初期画面を表示した後、ステップS2では、画像の切替指示の有無が判定される。すなわち、フートコントローラ126を通じて与えられる操作指示に基づいて、画像の切替指示の有無が判定される。ここでは、フートコントローラ126を通じて、上記選択画像176中の選択マーク176aのうち、表示中のものを選択して決定し、表示中ではないものを選択して決定することで、画像の切替指示が入力される。勿論、本ステップ及び以下の下記ステップにおいて、フートコントローラ126を通じた指示以外に、タッチパネル128bを通じた切替指示又は音声認識部189を通じた音声による切替指示を行うこともできる。
ステップS2において、画像の切替指示無しと判定された場合、ステップS3に進み、画像の切替指示有りと判定された場合、ステップS10に進む。
ステップS10では、画像の切替を行う。図13は、周辺撮像画像178が、フートコントローラ126の画像(割当情報画像172及び診療台情報画像170を含む)に切替えられた例を示している。この後、ステップS3に進む。
ここでは、切替えられた画面には、診療台情報画像170(ここでは、”顕微鏡ON”という表示)が含まれる。術者P2は、診療台情報画像170を観察することにより、顕微鏡ON、つまり、顕微鏡モードであることを認識することができる。
また、診療台情報画像170は、フートコントローラ126の操作受付部126aの割当情報画像172に重畳された状態で表示されている。割当情報画像172では、各操作受付部126aが模式的に表されている。左上の操作受付部126aの上向き操作に対しては診療台120の背部122bの傾き指令が、左上の操作受付部126aの下向き操作に対しては背部122bの起立指令が割当てられている。右上の操作受付部126aの上向き操作に対しては診療台120のシート部122の上昇指令が、右上の操作受付部126aの下向き操作に対してはシート部122の下降指令が割当てられている。そして、術者P2は、これらの操作受付部126aを操作することによって、顕微鏡モードでゆっくりと、診療台120を操作することができる。
また、中央上の操作受付部126aには選択が割当てられており、当該操作受付部126aを操作することにより、画面中の選択肢を選ぶことができる。ここでは、重ね合せ表示部144Rに選択画像176が表示されている。選択画像176は、複数の選択マーク176aを含む。複数の選択マーク176aは、重ね合される画像を選択するためのマークであり、周辺撮像画像を示す”患者状態”というマークと、患者情報画像の1つであるレントゲン画像を示す”レントゲン”というマークと、患者情報画像の1つである蛍光画像を示す”蛍光”というマークと、患者情報画像の1つである、歯周ポケットの測定結果を示す画像を示す”ポケット”というマークと、フートコントローラ126の割当情報画像172を示す”フートコントローラ”というマークとを含む。ここではマークは、文字を含んでいるが、図案化されたマーク等であってもよい。本画面では、中央上の操作受付部126aによって、選択画像176中の複数の選択マーク176aの中から選択を行うことができる。
また、中央下の操作受付部126aには決定が割当てられており、上記選択後に、本操作受付部126aを押すことで、その選択を決定することができる。ここでは、表示中又は選択された画像に対応する操作受付部126aは、太枠囲みで表示される。
なお、上記場合、また、下記の各場合において、顕微鏡140にて術者P2に観察される視野内で、患部の拡大像160が、それに重ね合される画像(ここでは、重ね合せ表示部144Rによって表示される画像、複数ある場合にはその総和)よりも大きい領域として認識されるように、各重ね合せ用の画像の大きさが設定されている。
ステップS3では、画像の追加指示の有無が判定される。すなわち、フートコントローラ126等を通じて与えられる操作指示に基づいて、画像の追加指示の有無が判定される。ここでは、フートコントローラ126を通じて、上記選択画像176中の選択マーク176aのうち、表示中のもの以外を選択して決定することで、画像の追加指示が入力される。ステップS3において、画像の追加指示無しと判定された場合、ステップS4に進み、画像の追加指示有りと判定された場合、ステップS11に進む。
ステップS11では、画像の追加を行う。図14は、診療台情報画像170、診療台情報画像172、周辺撮像画像178を表示した例を示している。この後、ステップS4に進む。
ステップS2、S10、S3、S11の各処理によって、フートコントローラ126等を通じた指示に応じて複数の前記重ね合せ画像を変更することができる。
ステップS4では、センサ136Sの出力結果に応じて、診療器具190の取出しの有無が判定される。診療器具190の取出しが無いと判定されると、ステップS2に戻り、診療器具190の取出しが有りと判定されると、次ステップS5に進む。
ステップS5では、取出された診療器具190に応じた重ね合せ画像表示処理がなされる。そして、ステップS6において、センサ136Sの出力結果に応じて、診療器具190が格納されたと判定されると、処理を終了する。
取出された診療器具190に応じた重ね合せ画像表示処理の一例について説明する。ここでは、診療器具190が根管治療器具190Aである例について説明するが、その他の診療器具190に対してもそれぞれ当該診療器具190を用いた診療に適した重ね合せ画像が表示されるようにするとよい。
まず、センサ136Sの出力結果に基づいて診療器具190の取出し有りが判定されると、図11に示すように、ステップS21において、センサ136Sの出力結果に基づいて、選択取出しされた(つまり、使用中の)診療器具190が特定され、その取出された診療器具190に応じた初期画面が表示される。
ここでは、診療器具190として、根管治療器具190Aを想定しており、図15では、診療情報画像180として、回転数を数値で示す図形(駆動状態画像)180aと、根尖(APEX)に至る迄の距離を表示する図形(根管内位置画像)180bとが表示された例を示している。駆動状態画像である図形180aと、根管内位置画像である図形180bとは、根管治療器具190Aからの駆動状況データ又は根管内位置測定データに基づいて生成される値であり、本根管治療器具190Aの使用中においては根管治療器具190Aから出力されるそれらのデータに基づいて逐次変更された画像として表示される。
なお、根管治療器具190Aを想定した場合、顕微鏡140の視野範囲には、患部周辺撮像部198で撮像された患部周辺画像も重ね合せ画像として表示可能である(図18参照)。
なお、図15では、診療台情報画像170として、診療台120がロック状態であることを示す図形(鍵を模式化した図形)が表示されている。この図形は、術者P2がタッチパネル128b等を通じて行うロック状態の操作入力や、根管治療器具190Aを取出した時のセンサ136Sの出力結果等により、表示される図形である。この図形の元となる画像も、予め画像として外部記憶装置154に記憶されており、当該元となる画像に基づいて、上記操作入力に応じて生成され、重ね合せ画像出力部158から出力されて重ね合せ表示部144Rに表示される。
また、図15では、周辺撮像画像178及び割当情報画像172も含まれている。フートコントローラ126の割当情報画像172は、センサ136Sの出力に基づいて、取出された根管治療器具190Aに適したものに変更されている。すなわち、センサ136Sの出力結果に基づいて選択取出しされた根管治療器具190Aが特定されるので、当該診療器具に応じた割当情報画像172に切替えられる。ここでは、根管治療器具190Aに診療箇所を照明するライトが設けられており、左上の操作受付部126aの上向き操作に対してはライトのON指令が、左上の操作受付部126aの下向き操作に対してはライトのOFF指令が割当てられている。右上の操作受付部126aの上向き操作に対しては注水ON指令が、右上の操作受付部126aの下向き操作に対しては注水OFF指令が割当てられている。また、中央下側の操作受付部126aに対しては、根管治療器具190Aの駆動ON指令が割当てられている。
さらに、図15では、選択画像177が表示されている。選択画像177は、複数の選択マーク177aを含む。複数の選択マーク177aは、重ね合される画像を選択するためのマークであり、患部周辺撮像部198による撮像画を示す”患部周辺”というマークと、回転数画像を示す”回転数”というマークと、根尖(APEX)に至る迄の距離の画像を示す”根尖位置”というマークとを含む。ここではマークは、文字を含んでいるが、図案化されたマーク等であってもよい。本画面では、フートコントローラ126の中央上の操作受付部126aを操作することによって、選択画像177中の複数の選択マーク177aの中から選択を行うことができる。なお、タッチパネル128bによる場合には、タッチパネル128bに本選択画像177と同様の画面が表示され、当該選択画面に触れることで指示が行われてもよい。また、音声認識部189による場合、上記各画面の名称に続けて”表示オン”又は”表示オフ”等が発声されることで、指示が行われてもよい。
上記初期画面が表示された後、ステップS22において、画像表示切替指示の有無が判定される。ここでの画像表示切替指示は、例えば、フートコントローラ126の中央上の操作受付部126aを操作することによって、選択画像176中の選択マーク176aに対する選択指示、或は、選択画像177中の複数の選択マーク177aに対する選択指示を受付けることによって行われる。勿論、タッチパネル128b又は音声認識部189を通じて指示が受付けられてもよい。
ステップS22において、画像表示切替指示の有りと判定されると、ステップS23に進み、その指示内容に応じて、診療情報画像180、診療台情報画像170、周辺撮像画像178及び割当情報画像172の非表示処理、または、レントゲン画像、蛍光画像、ポケット画像等の追加表示処理等がなされる。図16及び図17では、診療台情報画像170、周辺撮像画像178及び割当情報画像172が非表示された例を示している。
なお、フートコントローラ126、タッチパネル128b、音声認識部189を通じた指示に応じて、上記各画像の大きさ、色、表示位置等の表示態様が切替えられてもよい。
ステップS22において画像表示切替指示無しと判定された場合、又は、ステップS23の処理が終了した後、ステップS24に進む。
ステップS24では、根管治療器具190Aからの出力に応じて、根管治療器具190Aの駆動開始の有無が判定される。本ステップS24において、根管治療器具190Aの駆動開始無しと判定されると、ステップS22に戻り、根管治療器具190Aの駆動開始有りと判定されると、ステップS25に進む。
ステップS25では、選択画像176、177の表示がオフされる。なお、根管治療器具190Aの駆動開始後も、画像表示の切替えが受付けられて、画像表示の切替指示があった場合に、上記と同様に、画像表示の切替えがなされてもよい。この状態では、図16に示すように、患部の拡大像の少なくとも一部を顕微鏡140の視野内で視認可能な状態にしたままで、診療情報画像180が視野内に表示される。従って、術者P2は、患部の拡大像と、診療情報画像180に含まれる図形(回転数を示す画像)180aと図形(根管内位置画像)180bとを視認することができる。なお、図18は、患部周辺画像181を表示させた例を示しており、図19は全ての重ね合わせ表示画像をオフにした場合を示している。
ステップS25に続いて、根管内位置画像拡大表示処理(ステップS26、S27参照)、駆動状態画像拡大表示処理(ステップS28、S29参照)が並列的に処理される。並列的な処理は、複数のCPUが別々に並列処理するものであっても、単一のCPUが順次処理を行って擬似的に並列処理するものであってもよい。
根管内位置画像拡大表示処理では、ステップS26において、根管治療器具190Aからの出力に基づいて、根管内位置測定データが所定の切替条件を満たすか否かが判定される。ここでの所定の切替条件は、根管治療器具190Aの作動状況情報に応じて診療情報画像の少なくとも一部を拡大表示させるべき条件であり、ここでは、根管治療器具190Aの切削具の先端が根尖に達する迄の距離(例えば、距離が”1”)として設定される。所定の条件は、タッチパネル128b等を通じて事前に設定され、外部記憶装置154に記憶された値であってもよいし、本根管治療器具190Aの使用を開始するにあたってその都度設定される値であってもよい。本ステップS26において、根管内位置測定データと所定の距離とが同じである場合には、YES、NOのいずれに判定してもよい。
ステップS26において、根管内位置測定データが所定の切替条件を満たす、即ち、根管治療器具190Aの切削具の先端が根尖に所定距離まで近づいたと判定されると、ステップS27に進む。ステップS27では、根管内位置画像である図形180bを拡大する。図17は、図形180bを拡大した図である。ここでは、図形180bの一部、即ち、スケールのうち根尖(APEX)に近い部分を拡大して図形180baとして表示させている。根管内位置画像を拡大する態様は、本例のように、その一部を拡大する態様であってもよいし、根管内位置画像である図形180bの全体を拡大する態様であってもよい。
なお、ステップS26においてYESと判定された場合、根管内位置画像である図形180bの図形の表示態様を変更してもよい。例えば、図形180bの色を変える(例えば、目立ちやすい赤に変更する)、点滅表示させる、大きさを変える、文字フォントを変更する等してもよい。
また、根管治療器具190Aが歯500から抜かれ、その切削具の先端が根尖から遠ざかった場合、例えば、根管治療器具190Aの切削具の先端が根尖に所定距離より遠ざかったと判定された場合等には、根管内位置画像である図形180bを縮小(つまり、元の図形180bに戻す)してもよい。
駆動状態画像拡大表示処理では、ステップS28において、根管治療器具190Aからの出力に基づいて、駆動状況データである回転数のデータが所定の切替条件を満たすか否かが判定される。ここでの所定の切替条件も、根管治療器具190Aの作動状況情報に応じて診療情報画像の少なくとも一部を拡大表示させるべき条件であり、ここでは、根管治療器具190Aの回転数(例えば、100rpm)として設定される。所定の条件は、タッチパネル128b等を通じて事前に設定され、外部記憶装置154に記憶された値であってもよいし、本根管治療器具190Aの使用を開始するにあたってその都度設定される値であってもよい。本ステップS28において、回転数と所定の条件として設定された回転数とが同じである場合には、YES、NOのいずれに判定してもよい。
ステップS28において、回転数が所定の切替条件を満たす、即ち、根管治療器具190Aの回転数が切替条件として設定された所定の回転数を超えたと判定された場合、ステップS29に進む。ステップS29では、回転数を示す図形180aの表示態様を変更する。例えば、図形180aの色を変える(例えば、目立ちやすい赤に変更する)、或は、点滅表示させる。大きさを変える、文字フォントを変更する等するとよい。
なお、上記条件となる回転数に達する前に当該条件となる回転数の80%の値を超えた時に、他の色(例えば、黄色)で表示するなど、段階的に表示態様を変化させてもよい。
また、根管治療器具190Aの回転数が低下し、切替条件として設定された所定の回転数を下回った場合、図形180aを元に戻す(つまり、元の黒色表示、非点滅画像に戻す等)とよい。
なお、診療情報画像180としては、上記例の他、図20に示すように、回転数を示す図形、根尖に至る迄の距離を示す図形の他、モータのトルク、回転方向等の各種情報を示す図形を含む画像180Bであってもよい。
以上のように構成された医療用診療装置100によると、拡大像の少なくとも一部を顕微鏡140の視野内で視認可能な状態にしたままで、診療データに基づく診療情報画像180が前記視野内に表示される。このため、術者P2は、顕微鏡140を用いて診療を行う際に、診療中に変動した状況を容易に把握できる。
特に、顕微鏡140から眼を離すと、再度、焦点を合わせるのに時間がかかってしまうという問題があったが、本実施形態では、顕微鏡140を覗き込んだまま、使用中の根管治療器具190Aに関する状況把握を行うことができるため、極力顕微鏡140を覗き込んだまま諸診療を行い易いという利点もある。
また、重ね合せ表示部144Rは、顕微鏡140の光学系の途中に設けられているため、術者P2は、患部については直接的な拡大像160を視認しつつ、根管治療器具190Aに関する情報を容易に把握できる。
また、診療情報画像180の表示の有無及び表示態様の少なくとも一方が切替可能とされているため、顕微鏡140の視野内に各種状況に応じて適切な表示を行わせることができる。
なお、上記実施形態では、根管治療器具190Aが診療器具ホルダユニット135から取出されると、診療情報画像180を表示させるようにしているが、根管治療器具190Aが駆動されると、診療情報画像180が表示されるようにしてもよい。
具体的には、フートコントローラ126、タッチパネル128b、音声認識部189を通じて術者P2が指示することで、診療情報画像180の上記切替がなされるため、術者P2の指示に応じて適切な表示を行わせることができる。
また、診療情報画像180には、根管内位置画像である図形180bが含まれているため、術者P2は、顕微鏡140による拡大像と共に根管内位置を認識しつつ診療を行うことができる。
また、根管内位置データに基づいて根管内位置画像である図形180bが拡大又は縮小されるため、画像の注目度合を適宜変更できる。これにより、より慎重な取扱いを促すことができる。
また、診療情報画像180には、根管治療器具190Aの駆動状況を示す回転数を示す図形180aを含むため、術者P2は、顕微鏡140による拡大像と共にその駆動状況を認識しつつ診療を行うことができる。
しかも、根管治療器具190Aの駆動状況を示す回転数を示す図形180aの表示態様が、駆動状況データの変化に応じて、変化するため、画像の注目度合を適宜変更できる。これにより、より慎重な取扱いを促すことができる。
また、表示部135aにも、介在撮像部144Lで撮像された顕微鏡画像に、重ね合せ画像出力部158より出力される重ね合せ画像を重ね合せた画像が表示されるため、診療補助者等も、顕微鏡140の視野範囲で観察可能な表示と同内容の表示を視認することができる。
表示部135aに対する上記表示の有無は、タッチパネル128b等を通じた指示に応じて、切替えられてもよい。
また、顕微鏡140の視野内には、周辺撮像画像178及び患部周辺画像181の少なくとも一方が表示されるため、術者P2は、顕微鏡140を覗き込みながら顕微鏡140による拡大像とは異なる別の画像、即ち、撮像方向及び撮影範囲の少なくとも一方が顕微鏡による拡大像とは異なる画像を認識することもできる。顕微鏡140の視野内には、別の撮影用ハンドピースで撮像された画像が表示されてもよい。別の撮像画像は、必ずしも動画である必要はなく、ある特定時点の静止画像であってもよい。
なお、上記画像の切替えを行う処理は、必ずしも制御ユニット150で行われる必要はない。別途、画像の切替え制御を行う制御ユニットが設けられ、当該制御ユニットが診療台120の動作制御を行う制御ユニット等と連携しつつ、上記切替え制御を行ってもよい。この場合に、画像の切替え制御を行う制御ユニットは、トレーテーブル128に組込まれていてもよいし、顕微鏡140に組込まれていてもよい。
{第3実施形態}
第3実施形態に係る医療用診療装置について説明する。
図21は医療用診療装置を含む医療用診療システムの全体構成を示す機能ブロック図である。なお、本実施の形態の説明において、第2実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略し、第2実施形態との相違部分を中心に説明する。
この医療用診療システムが、第2実施形態の医療用診療システムと異なる第1の部分は、顕微鏡240である。
すなわち、顕微鏡240は、対物ユニットとしての撮像ユニット242と、接眼ユニットとしての表示ユニット248とを備える。
撮像ユニット242は、撮像光学系244と、撮像部246とを備える。
撮像光学系244は、右撮像光学系244Rと左撮像光学系244Lとを含み、撮像部246は、右撮像部246Rと左撮像部246Lとを含む。
右撮像光学系244Rは、少なくとも1つの光学レンズを含む。この右撮像光学系244Rは、患部に対向して配設され、患部を拡大する。右撮像部246Rは、撮像素子等を含み、上記右撮像光学系244Rで拡大された像を撮像して、画像信号を出力する。
左撮像光学系244Lは、少なくとも1つの光学レンズを含む。この左撮像光学系244Lは、患部に対向して配設され、患部を拡大する。左撮像部246Lは、撮像素子等を含み、上記左撮像光学系244Lで拡大された像を撮像して、画像信号を出力する。
従って、撮像ユニット242からは右眼用及び左眼用に別々の、各撮像画像データが出力される。左右眼用の各撮像画像データは、重ね合せ画像出力部258に入力される。
表示ユニット248は、右表示部248Rと左表示部248Lとを含む。右表示部248Rと左表示部248Lは、液晶表示装置等によって構成されており、それぞれ右眼用及び左眼用の観察に適した位置に配設される。そして、重ね合せ画像出力部258から出力される左右眼用の表示画像データが、右表示部248Rと左表示部248Lとに別々に表示される。そして、術者P2は、右眼で右表示部248Rを視認し、左眼で左表示部248Lを視認することで、患部を観察できる。
表示ユニット248は、上記と同様に接眼タイプの表示ユニットであり、従って、術者P2が本表示ユニット248を覗き込むと、その周囲を直接的には観察困難となっている。
なお、ここでも、上記撮像ユニット242と表示ユニット248とは一定の位置関係で一体化されている。
また、制御ユニット250は、第2実施形態における制御ユニット150から重ね合せ画像出力部158の機能が削除された構成とされ、代りに、顕微鏡240に、重ね合せ画像出力部258が組込まれている。
重ね合せ画像出力部258は、CPU、ROM、RAM、外部記憶装置154等を備える一般的なコンピュータによって構成されている。この重ね合せ画像出力部258に、周辺画像撮像部138の撮像画像が入力され、また、重ね合せ画像の切替え処理に必要な各種情報が与えられる。
この重ね合せ画像出力部258は、上記第2実施形態における重ね合せ画像出力部158の処理機能に加えて、当該重ね合せ画像出力部158から出力されるべき画像と、上記撮像ユニット242から入力される左右眼用の画像データとを合成し、撮像ユニット242によって撮像された画像に、器具関連情報等を示す画像を重畳した画像を出力する処理機能(重畳画像処理部)を備えている。なお、重ね合せ画像は、左右両眼用の画像に重畳されてもよいし、或は、一方のみの画像に重ね合されてもよい。
この重ね合せ画像出力部258からの画像信号は、表示部135aにも与えられる。
なお、重ね合せ画像出力部258からの一方の撮像データが録画部244Laに入力されて記録される。
そして、上記表示ユニット248には、患部の観察画像に、上記第2実施形態と同様の重ね合せ画像が重畳された画像が表示される。これにより、術者P2は、患部の観察画像に加えて、診療器具関連情報を示す画像等の重ね合せ画像を認識することができる。
また、同画像は、表示部135aにも表示されるため、診療補助者等も、表示部135aを通じて上記と同画像を認識することができる。
以上のように構成された医療用診療装置によっても、上記各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、両画像を画像処理によって合成しているため、拡大撮像画像と表示用画像との位置関係等を自由に調整し易いという利点もある。
更に、録画部により重ね合わせ画像を記録することで、診療後の患者への説明や、処置の確認及び指導等にも使用することができる。
{変形例}
なお、上記各実施形態等及びその変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
また、重ね合わせ画像としては、上記各実施形態で説明した各構成以外にも、血圧や心拍等の生体情報を監視する外部の診断装置や、顕微鏡を使用している時間を示すタイマーや、患者のカルテ情報等を表示するようにしても良い。
また、トレーテーブル後方に設けられたアームを介して、トレーテーブルの上方から診療器具190を取り上げて使用するフライングアームタイプのトレーテーブルであっても良い。この場合、センサ136Sをアーム部分の動きを検出するタイプのセンサとしても良い。
更に、本実施形態で説明した医療用診療装置において、顕微鏡、診療台、フートコントローラ等の間の通信は有線であってもよいし、無線であってもよい。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。