はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明を、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
なお、下記の各手段群に記載された発明は、「遊技機の一種であるパチンコ機は、外枠に対して開閉可能に取り付けられた本体枠と、本体枠に対して開閉可能に取り付けられた前面扉とを備えている。また、パチンコ機には、制御装置が設けられているとともに、外枠に対する本体枠の開放や本体枠に対する前面扉の開放を検知する開放スイッチが設けられている。そして、前面扉や本体枠が開放された場合には、それらの開放が開放スイッチにより検知され、その検知結果が制御装置に入力される。制御装置では、開放スイッチからの検知結果に基づいて前面扉や本体枠が開放されたと判断した場合、スピーカ部やランプ部を用いてその旨の報知などを実行する(例えば、特許文献1参照)。ここで、パチンコ機においては、前面扉を開放し、本体枠の前面側に設けられた遊技領域に対して不正を行う行為が想定される。また、本体枠を開放し、本体枠の背面側に搭載された制御装置に対して不正を行う行為も想定される。これに対して、パチンコ機の電源が投入されている状況では、上記のとおり、前面扉や本体枠の開放が制御装置において把握され、それに対して報知処理などが実行されるため、遊技ホールの管理者等は上記不正行為に対処することができる。」という背景技術について、「しかしながら、遊技ホールでは通常、パチンコ機の継続的な通電に起因した遊技部品等の劣化を抑制したり省エネルギ化を実現したりするために、閉店後にはパチンコ機の電源を遮断している。パチンコ機の電源遮断後には、制御装置への電力の供給が停止され、前面扉や本体枠が開放されたことを制御装置にて把握することができず、それに伴って上記のような報知処理などは実行されない。したがって、従来のパチンコ機では、電源遮断中における上記不正行為に対処することが困難であった。なお、上記問題は、パチンコ機に限って発生するものではなく、前面扉や本体枠などの開閉体を有する他の遊技機、例えばスロットマシンやパロット等にも同様に発生し得る。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
手段1.支持対象(外枠11や本体枠13)に対して開閉可能に支持された開閉体(遊技機主部12や前扉枠14)と、
当該開閉体の背面側又は後方に設けられ、外部電源から供給される電力に基づいて動作する電気機器(主制御装置162や払出制御装置242等)と、
供給される電荷の蓄積及び蓄えている電荷の放出が可能な蓄電手段(ソースコンデンサ353,363等)と、
前記開閉体及び前記支持対象の少なくともいずれかに設けられ、前記外部電源からの電力供給が遮断されている状態での前記開閉体の開動作及び閉動作の少なくともいずれかに基づき、前記蓄電手段の電荷量を変化させる電荷量可変手段(監視装置250,290やMOSFET354,364等)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
手段1の遊技機では、開閉体の開動作及び閉動作の少なくともいずれかに基づき、蓄電手段の電荷量が変化する。詳細には、夜間等で電力供給が遮断されている状態において開閉体が開放された場合、開閉体の開閉前及び開閉後における蓄電手段の電荷量に差が生じることとなる。具体的には蓄電手段の電荷量が増加又は減少する。すなわち、電力供給が遮断されている間に開閉体が開放された事実を、電荷量の変化として記憶することができる。この電荷量の変化に基づいて開閉体の開放事実を発見することが可能である。故に、夜間等に電力の供給を継続して行うことことを回避しつつ、すなわちエネルギの節約(省エネ)に貢献しつつ、防犯性の向上を図ることができる。
手段2.前記蓄電手段は、前記外部電源から電力が供給されている状態で電荷を蓄え、
前記電荷量可変手段は、前記外部電源からの電力供給が遮断されている状態での前記開閉体の動作に基づき、前記蓄電手段の電荷量を低減させることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
手段2によれば、蓄電手段は、外部電源からの電力が供給されている状態で電荷が蓄えられ、電力供給が遮断された状態においては、開閉体の動作に基づいて蓄えられている電荷が減少する。すなわち、電力供給中に自身に蓄えられた電荷を用いて(具体的には放出することで)電力供給が遮断されている状態における電荷量の変化を実現するために、電力の追加供給等によって電荷量を増やす必要はない。このため、電力供給が遮断された状態における、蓄電手段の電荷量の変化を好適に実現することができる。
また、仮に蓄電手段の電荷量の増加により開閉体の開放を検知する構成とした場合、蓄電手段の電荷が自然放電等に起因して減少することで、開閉検知が困難なものとなる可能性がある。具体的には、開閉体の動作に基づき蓄電された後、電荷量が自然放電等により蓄電前の状態と同一となるまで減少した場合、電荷量の変化がなかったものと誤認される可能性がある。かかる場合、開閉体が開放されたにもかかわらず、その開放事実を把握できない可能性が生じ得る。一方、本手段に示すように、蓄電手段の電荷量の減少により開閉体の開放を検知する構成とした場合には、自然放電等により電荷量が所定量以下まで減少した場合であっても、元の電荷量との間に差が生じることとなる。このため、電荷量の変化を容易に把握することができる。かかる場合、電荷量の変化の要因が開閉体の開放に起因するか否かを特定することは困難となるが、少なくとも開閉体が開放された可能性があることを示唆し、不正に対する注意を促がすことはできる。これにより、開閉体を開放することで遊技機に対して不正が行われた場合であっても、これが見逃されるといった不都合を抑制することができる。
なお、一般的には、電荷量の変化の判定を行う場合、電力遮断時の初期電荷量と電源投入時の終期電荷量とを比較したり、終期電荷量と所定の閾値とを比較したりすると考えられる。また、これらの電荷量の情報は信号線等を介して判定装置(例えば主制御装置162)等に送られる等すると想定される。かかる場合、それら信号線等の切断等により情報の供給が遮断されると、判定装置における蓄電量は0と判断され得る。上述の如く、電荷量が減少することで不正開放を記憶する構成とすれば、情報供給が途絶えた場合であっても、これを不正開放が行われたものとみなして把握することが可能となる。すなわち、電荷量が0と判断された場合、少なくとも終期電荷量や閾値よりも電荷量が減少しているとみなし、不正開放が行われた可能性があることを示唆することが可能となる。以上のことからも、蓄電手段の電荷量の増加に基づいて不正検知を行うよりも、電荷量の減少に基づいて不正検知を行う方が、防犯性の向上に対してより好適に貢献し得ると考えられる。
手段3.前記蓄電手段と前記外部電源とを繋ぐ電力供給経路に、当該電力供給経路を開閉する供給制御スイッチ手段(遅延スイッチ351,361等)を備え、
前記供給制御スイッチ手段は、外部電力の供給が停止した場合には電力供給経路を開いた状態に保持するとともに、電源供給が開始された場合に、所定条件の成立後、電力供給経路を閉じた状態に保持する構成としたことを特徴とする手段2に記載の遊技機。
手段3によれば、外部電源からの電力供給が開始されることで蓄電手段への電力の備蓄が開始され、開閉検知の記録(すなわち蓄電手段の電荷量)が変わってしまうといった不都合を抑制することができる。換言すれば、電力の供給を開始した後に、蓄電手段の電荷量を確認することが容易となる。
一般的に、蓄電手段の電荷量の変化を判断するためには、電気機器(例えば主制御装置)等を用いて、蓄電手段からの情報の読み込み及び比較等を行う必要があると想定される。このような各種処理を実行するためには、電気機器等への電力の供給が必要になると考えられる。そこで、外部電源からの電力の供給が開始された後に、蓄電手段にて保持された電荷情報の読み込み等を行うことで、夜間の電力供給を必要としない実用上好ましい構成を実現できる。かかる場合、上述した供給制御スイッチ手段を設けることが望ましい。
なお、「所定条件の成立」とは、例えば、予め設定された所定の期間の経過や、蓄電手段の電荷量のチェック処理の完了等を示す。
手段4.前記開閉体及び前記支持対象の少なくともいずれかに設けられ、前記外部電源からの電力供給が遮断されている状態での前記開閉体の開動作及び閉動作の少なくともいずれかに基づいて信号を発生する信号発生手段(監視装置250,290等)と、
前記電荷量可変手段に設けられ、前記蓄電手段の電荷を放出する電荷放出経路、及び前記信号に基づいて前記電荷放出経路を開閉する放電制御スイッチ手段(MOSFET354,364等)と
を備えていることを特徴とする手段3に記載の遊技機。
手段4の遊技機では、開閉体の開動作及び閉動作の少なくともいずれかに基づいて信号出力手段から信号が出力される。この信号が放電制御スイッチ手段に入力されることで、電荷放出経路が閉じた状態となり、蓄電手段の電荷が放出される。なお、放電制御スイッチに信号出力手段からの信号が入力されることで、電荷放出経路は蓄電手段の電荷がほぼゼロになるまで閉じた状態で保持される構成とするとよい。かかる構成においては、電荷の放出は、蓄電手段の電荷量がほぼゼロになるまで継続される。
仮に信号の入力されている間だけ電荷を放電する構成とした場合、信号の入力回数や信号の長さ等の諸条件により放電される電荷量がばらつき、所望とする電化量の変化が得られない可能性がある。また、通常、蓄電手段に蓄えられた電荷は時間とともに徐々に放出されるものである(いわゆる自然放電)。このため、自然放電と信号発生手段からの信号に基づいた人為的な放電との差が不明瞭になるおそれがあり、電荷の変化量を基にした開閉の判定が困難なものとなり得る。
本手段に示すように、信号発生手段からの信号が一度入力されることで、放電経路が閉じた状態で保持される構成とすれば、蓄電手段の放電は電荷量が所定量(例えばゼロ)になるまで継続される。これにより、例えば微小な信号や少ない入力回数であっても蓄電状態との間に明確な差を生み出すことができる。故に、電荷量の差異の確認を容易なものとし、ひいては開閉検知精度の向上に貢献することが可能となる。
手段5.少なくとも前記開閉体が閉じられた場合に、前記電荷量可変手段によって前記蓄電手段の電荷量が変化することを特徴とする手段1乃至手段4のいずれか1つの手段に記載の遊技機。
手段5によれば、蓄電手段の電荷量は、少なくとも開閉体が閉じられた場合に変化する。仮に、開閉体が開放された場合にのみ電荷量が変化する構成とすると、電荷量が変化した状態では開閉体が開放されているため遊技機内部(例えば電気機器)へのアクセスが容易となる。かかる場合、電源や蓄電手段等へアクセスされ電荷量が不当に操作される可能性が生じる。仮に、このような不正なアクセス等が行われると、開閉体の開放事実の隠蔽が図られる可能性がある。
しかしながら、本手段に示すように、開閉体が閉じた際に電荷量が変化する構成とすれば、開閉体が閉じた状態となることで、その開閉体によって蓄電手段等へのアクセスを抑制することが可能である。例えば、蓄電手段における電荷量の変化を遊技機の外部から隔離した状態で保存することが可能となる。故に、電荷量の改竄等により開閉体の開放事実の隠蔽が図られるといった不都合を抑制することが可能となる。
手段6.支持対象(外枠11や本体枠13)に対して開閉可能に支持された開閉体(遊技機主部12や前扉枠14)と、
当該開閉体の背面側又は後方に設けられ、外部電源から供給される電力に基づいて動作する電気機器(主制御装置162や払出制御装置242等)と、
供給される電荷の蓄積及び蓄えている電荷の放出が可能な蓄電手段(ソースコンデンサ353,363等)と、
前記開閉体及び前記支持対象の少なくともいずれかに設けられ、前記外部電源からの電力供給が遮断されている状態での前記開閉体の開動作及び閉動作の少なくともいずれかに基づき、前記蓄電手段の電荷量を変化させる電荷量可変手段(監視装置250,290やMOSFET354,364等)と
を備え、
前記蓄電手段は、前記外部電源から電力が供給されている状態で電荷を蓄え、
前記電荷量可変手段は、前記外部電源からの電力供給が遮断されている状態での前記開閉体の動作に基づき、前記蓄電手段の電荷量を低減させることを特徴とする遊技機。
手段6によれば、開閉体の動作に基づいて蓄電手段の電荷が増加する。蓄電手段に蓄積される電荷量が増加する構成とすることで、開閉体の誤検知が生じる可能性を抑えることができる。具体的には、蓄電手段からの電荷量は蓄電手段等の不具合等により減少し得る反面、同電荷量は蓄電手段等の不具合に基づいて増加しにくいと考えられる。すなわち、電荷量の増加により開閉検知を行う構成とすれば、開閉が行われていないにもかかわらず開閉が検知されるといった不都合を生じにくくすることができる。
なお、本手段を上述した手段4や手段5と組み合わせることも可能である。これら各手段を組み合わせることで実用上好ましい構成を実現することができる。
手段7.少なくとも前記蓄電手段の蓄電状態に応じて前記開閉体の開放が行われたか否かを判定する判定手段(CPU310)を備えたことを特徴とする手段1乃至手段6のいずれか1つの手段に記載の遊技機。
蓄電手段の蓄電状態によって、開放の有無を判定する判定手段を設けることで、実用上好ましい構成を実現することができる。かかる場合、例えば電力供給が停止される際の蓄電状況と、判定手段による判定時(例えば電源供給が開始された際)の蓄電状況を比較することで、開閉体の動作の有無を判定する構成としてもよいし、電荷量の閾値を予め設定しておき、その閾値と判定手段による判定時(例えば電源供給が開始された際)の蓄電状況とを比較することで、開閉体の動作の有無を判定する構成としてもよい。
なお、判定手段を遊技機に配置することで、開閉検知に関する構成を遊技機にまとめることが可能となる。このように、ホールの管理体制(具体的には管理システム等)に依存することなく開閉検知を実現できることで、ホールへの導入の促進に寄与し得ると考えられる。
以下に、本明細書の開示範囲において抽出可能な技術的思想を記載する。
(1).支持対象(外枠11や本体枠13)に対して開閉可能に支持された開閉体(遊技機主部12や前扉枠14)と、
当該開閉体の背面側又は後方に設けられ、外部電源から供給される電力に基づいて動作する電気機器(主制御装置162や払出制御装置242等)と、
開閉体の開閉動作に基づいて変位する可動部(鉤金具185)と、
前記可動部の変位によって起電力を発生する起電力発生手段(監視装置250,290)と、
前記起電力発生手段の起電力に基づき前記開閉体の開放を検知する開閉検知手段(カウンタ回路320,330等)とを備えていることを特徴とする遊技機。
(1)の遊技機では、開閉体の開閉動作に基づいて可動部が変位する。この可動部の変位によって起電力発生手段で起電力が発生し、開閉体検知装置による開閉体の開閉検知が行われる。このように起電力発生手段においては、外部電源からの電力の供給を必要とすることなく、可動部の変位により起電力が発生する。このため、遊技ホールの営業時間外等で遊技機への電力供給が行われていない場合でも、開閉体が開放された事実を起電力によって把握することができる。具体的には、その発生した起電力に基づいて開閉体の開閉検知を実現することができる。仮に、電力遮断時に開閉体が開放され電気機器等への不正なアクセスが行われた場合であっても、そのように不正が行われた事実を把握することが可能となる。故に、夜間等に電力の供給を継続して行うことことを回避しつつ、すなわちエネルギの節約(省エネ)に貢献しつつ、防犯性の向上を図ることができる。
なお、「起電力発生手段」とは、可動部の運動エネルギを電気エネルギに変換する手段を示している。因みに起電力発生手段の起電力を信号として用いてもよいし、開閉検知手段の駆動電力として用いることも可能である。
また、「開閉検知手段」に、開閉体の開閉検知の事実を電力供給が遮断されている間、記憶させておく構成とすることも可能である。かかる場合、開閉検知手段を開放記憶手段ということもできる。
(2).前記起電力発生手段は、
磁束が変化することで電位差を生じるとともに、電気を伝導する導体(コイル271,295)と、
前記磁束に変化を与える磁性体(磁性体261,293)と
を有し、
前記可動部の変位に伴って前記磁性体と前記動体との相対位置が変位することを特徴とする(1)に記載の遊技機。
可動部の変位によって起電力を発生させるには、(1)に示すように、磁性体と導体との相対位置の変位により導体に電位差が生じる構成とするとよい。可動部の変位に伴って磁性体と導体との相対位置が変位することで、電磁誘導によって起電力を発生させることができる。このように電磁誘導を利用して起電力を発生させることで、電力遮断時であっても起電力を発生させることが可能となる。
なお、磁性体と可動部とは必ずしも別体である必要は無く、両者を一体化して用いてもよい。かかる場合、磁性体を可動部ということもできるし、可動部を磁性体ということもできる。また、導体と可動部とを一体化して用いることも可能である。
(3).前記開閉体の開閉動作に基づき前記可動部を所定の方向に変位させる駆動機構を備え、
前記駆動機構は、前記開閉体の開閉動作により発生する前記開閉体それ自体の動力とは異なる動力を発生し、
前記可動部の前記所定の方向への変位に基づいて前記起電力発生手段に起電力が生じることを特徴とする(2)に記載の遊技機。
(3)によれば、開閉体の開閉動作に基づいて可動部が所定の方向に移動する。かかる場合、可動部は駆動機構によって発生される動力によって変位する。開閉体の開閉動作以外を動力源(駆動機構)として動力が供給されるため、開閉体の開閉速度に依らず、所望とする可動部の変位速度を確保しやすくなっている。
発生する起電力は磁性体と導体との相対位置の変位速度に応じて変化する。かかる場合、磁性体と導体との相対位置の変位速度が小さくなると、十分な起電力の確保が困難となる可能性がある。例えば、開閉体と支持対象との相対位置の変位を磁性体と導体との相対位置の変位に直接的に利用した場合、磁性体と導体の相対速度は開閉体の開閉速度に依存することとなる。このため、開閉体がゆっくり開閉された場合には、十分な磁場の変化が得られず起電力の発生が抑えられるといった不都合が生じ得る。このように起電力の発生が抑えられると、開閉検知手段による開閉体の開閉検知が困難になると予想される。しかしながら、(3)においては、可動部の変位速度は、駆動機構によって発生される動力に依存して決定される。すなわち、磁性体と導体との相対位置の変位速度は、動作機構の動力に依存している。開閉体の開閉速度に依存することなく、動作機構によって磁性体と導体との相対位置の変位速度を担保し、所望とする大きさの起電力を発生させやすくなっている。より具体的には、開閉体の開閉速度のばらつきに起因して、所望とする起電力が得られなくなるといった不都合が回避されている。故に、開閉検知の確実性を増し、更なる防犯性の向上に寄与することができる。
(4).前記可動部は第1位置から第2位置へと移動可能に設定されており、前記可動部の前記第1位置から前記第2位置への移動に基づいて前記起電力発生手段に起電力が発生し、前記駆動機構は、前記可動部を前記第2位置に向けて付勢する付勢手段(コイルバネ192,193)を備えていることを特徴とする(3)に記載の遊技機。
(4)によれば、可動部が第1位置から第2位置へ移動することで起電力が発生する。可動部は、付勢手段によって第2位置へと付勢されており、付勢手段の付勢力によって第2位置へ積極的に移動させられる。
(5).前記可動部が前記開閉体の全開閉範囲のうち所定範囲にある状態において、前記開閉体の開閉動作に伴い前記付勢手段の付勢力に抗して前記第1位置に前記可動部を移動させるガイド部(案内傾斜部65a,189b)を備え、
前記ガイド部による前記可動部の移動が終了した後、当該可動部は前記第1位置から前記第2位置へ移動されることを特徴とする(4)に記載の遊技機。
(5)によれば、可動部は、開閉体の開閉動作に伴ってガイド部により第1位置に移動される。可動部は、第1位置へ到達した後、すなわちガイド部による移動が終了した後、付勢手段の付勢力によって第2位置へ移動される。(5)においては特に、開閉体の開閉動作を利用して可動部を第1の位置に移動させることによって、起電力を発生させるための準備を行うことができる。ガイド部によって、起電力発生のための予備的動作を可能とすることで、実用上好ましい構成を実現することができる。
(6).支持対象(外枠11や本体枠13)と、
前記支持対象に対して開閉可能に支持された開閉体(遊技機主部12や前扉枠14)と、
当該開閉体の背面側又は後方に設けられ、外部電源から供給される電力に基づいて動作する電気機器(主制御装置162や払出制御装置242等)と、
前記開閉体の閉鎖時に、前記開閉体を前記支持対象に対して施錠する施錠装置と、
磁束が変化することで電位差を生じるとともに、電気を伝導する導体(コイル271,295)、及び前記磁束に変化を与える磁性体(磁性体261,293)を有し、前記施錠装置の動作に伴って前記磁性体及び前記導体の相対位置が変位することで起電力を発生する起電力発生手段(監視装置250,290)と、
前記起電力発生手段の起電力に基づき前記開閉体の開放を検知する開閉検知手段(カウンタ回路320,330等)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
(6)の遊技機では、開閉体の閉鎖時に施錠装置が動作し、開閉体と支持対象とが施錠状態となる。この施錠装置の動作に伴って磁性体と導体との相対位置が変位し、電磁誘導による起電力が発生する。この起電力に基づいて開閉体の開閉検知がなされる。
(6)においては上述の如く、磁性体と導体との相対位置が施錠装置の動作に伴って変位する。すなわち、開閉体の閉方向への動作とは異なる動作に依存して磁性体と導体との相対位置が変位する。これにより、開閉体の閉方向への移動速度に依らず、所望とする磁性体と導体との相対位置の変位速度を担保しやすくなっている。
このように遊技機が通常備えていると想定される施錠装置の動作を利用して磁性体及び導体の相対位置の変位を実現すれば、相対位置を変位させるための機構等の追加が不要となる。すなわち、施錠装置に起電力発生手段を動作させる機能を付与することで、開閉検知機能の導入によって生じ得る構成の煩雑化を抑制することができる。
(7).前記施錠装置は、
前記支持対象及び前記開閉体のいずれか一方に固定された固定係止具(鉤金具63や鉤受け金具190)と、
前記固定係止具に対する係止位置と係止解除位置との2つの異なる位置間にて移動が可能な状態で他方に装着され、前記固定係止具と係止されることで前記開閉体を前記支持対象に対して施錠状態とする可動係止具(鉤受け部材180や鉤金具185)と、
前記可動係止具を、前記固定係止具と係止される側に向かって付勢する付勢手段(コイルバネ192,193)と
を備え
前記係止位置及び前記係止解除位置の両位置間における前記可動係止具の移動に伴って、前記磁性体と前記導体との相対位置が変位することを特徴とする(6)に記載の遊技機。
(7)によれば、可動係止具が係止解除位置から係止位置に向かって付勢されている。この付勢力に依存して、可動係止具は固定係止具に向かって移動する。このように可動係止具の移動を付勢手段の付勢力に依存させることで、可動係止具の変位速度を開閉体の開閉速度に依存することなく別個独立して設定することができる。これにより、磁性体と導体との相対位置の変位速度を担保し、所望とする大きさの起電力の発生を担保しやすくなっている。より具体的には、開閉体の開閉速度のばらつきに起因して、所望とする起電力が発生しなくなるといった不都合が抑制されている。
なお、可動係止具と固定係止具とが付勢された状態で係止していることで、両者の係止状態が解除されにくくなっている。このため、外部からの振動等に起因して、係止状態が解除されるといった不都合が抑制されている。すなわち、外部からの振動等に起因して、可動係止具が係止解除位置へと移動するといった不都合が抑制されている。このように開閉体が閉じられた状態での可動係止具の移動が抑えられることで、可動係止具が不意に移動すること等に起因する起電力の発生が抑えられる。故に、開閉検知手段の誤検知を抑制し、開閉検知精度の向上を図ることが可能となる。
(8).前記支持対象は、少なくとも前記開閉体の外周縁を外方から覆う遮蔽部(外枠11の外周面)を有し、
前記可動係止具が前記2位置間を移動する際の軌道が、前記遮蔽部の内方に設定されていることを特徴とする(7)に記載の遊技機。
(8)によれば、起電力が発生される際には、可動係止具への遊技機外部からのアクセスは遮蔽部によって妨げられた状態となる。これにより、施錠状態への移行すなわち可動部係止具の移動が保護され、所望とする起電力の発生が担保される。例えば、ワイヤ等の不正具を可動係止具の軌道上に差し込んでその可動係止具の移動を妨げることで、磁性体と導体との相対位置の変位速度が抑えられ、発生する起電力が所定の大きさよりも小さくなるように抑えられるといった不都合を抑制することができる。すなわち、開閉検知機能を担保することが可能となっている。
(9).前記起電力発生手段は、少なくとも前記開閉体が閉じられた場合に起電力を発生することを特徴とする(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の遊技機。
(9)によれば、少なくとも開閉体が閉じられた場合に起電力が発生し、この起電力に基づいて開閉検知手段による開閉検知が行われる。仮に開閉体が開放されることで起電力が発生し開閉検知が行われる構成とした場合、開閉検知がなされた状態においては開閉体が開放されており、遊技機内部(例えば開閉検知手段等)へのアクセスが可能となり得る。不正行為者によって開閉体の開放が行われた場合には、開閉検知手段等へのアクセスがされ、開閉検知状態の解除や開閉検知履歴等の消去がなされるおそれが生じる。しかしながら、上述の如く開閉体が閉じられた場合に開閉検知を行うことで、開閉検知の際には開閉体を閉じた状態とし、その開閉体自身によって開閉検知手段等へのアクセスを抑制することが可能である。これにより、開閉体の開放事実の隠蔽が図られるといった不都合を抑制することが可能となる。故に、更なる防犯性の向上を期待することができる。
(10).前記外部電源に接続され、前記検知手段による検知結果に基づき所定の不正発生又はその可能性を報知する報知手段(エラー表示ランプ部24やスピーカ部26や図柄表示装置91等)を備えていることを特徴とする(1)乃至(9)のいずれか1つに記載の遊技機。
(10)によれば、報知手段を遊技機に設けることで、開閉体の不正開放の検知及びその報知を遊技機にて完結することができる。これにより、ホールの営業形態に左右されず、不正対策機能を有する遊技機の導入を促進することができる。例えば、遊技機が絵柄表示装置(絵柄表示装置91)やランプ部(エラー表示ランプ部24)やスピーカ(スピーカ部26)等を有する構成においては、それら絵柄表示装置等を報知手段として利用すればよい。
(1)〜(10)の各遊技機は、上記手段1〜手段6のいずれか1つの手段と任意に組み合わせて実施可能である。
以下に、以上の各手段を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
弾球遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(内レール部101及び外レール部102)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(一般入賞口82や釘88等)とを備えた遊技機。
特別表示部及び可変表示装置を備えた弾球遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された作動口、特別表示部、可変表示装置及び可変入賞装置とを備え、作動口への遊技球の入球を検知すると特別表示部に表示される表示内容を可変表示し、その停止時の表示内容が特定の表示内容である場合に可変入賞装置を所定態様で開放させるようにした遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。
(第1の実施の形態)
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図4はパチンコ機10の背面図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能(開閉可能)に取り付けられた遊技機主部12とを有する。外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
遊技機主部12は、ベース体としての本体枠13と、その本体枠13の前方に配置される前扉枠14と、本体枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機主部12のうち本体枠13が外枠11に対して回動可能(開閉可能)に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として本体枠13が前方へ回動可能とされている。
本体枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能(開閉可能)に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として前方へ回動可能とされている。また、本体枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能(開閉可能)に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として後方へ回動可能とされている。
次に、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1〜図3を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図5を参照する。図5は、前扉枠14の背面図である。
前扉枠14は本体枠13の前面側全体を覆うようにして設けられている。前扉枠14には後述する遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部21が形成されている。窓部21は、略楕円形状をなし、透明性を有するガラス22が嵌め込まれている。なお、ガラス22に代えて、透明樹脂板を嵌め込むようにしてもよい。
窓部21の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部23が設けられている。環状電飾部23では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部23の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部24が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部25が設けられている。また、左右の賞球ランプ部25に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部26が設けられている。
前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図2及び図5に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により形成されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路51と、下皿34に通じる前扉側下皿通路52とが形成されている。通路形成ユニット50において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路51と前扉側下皿通路52の入口部分とが形成されている。前扉側上皿通路51及び前扉側下皿通路52は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路51に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路52に入った遊技球は下皿34に導かれる。
前扉枠14の背面における回動基端側(図5の右側)には、その上端部及び下端部に突起軸61,62が設けられている。これら突起軸61,62は本体枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側(図5の左側)には、上下に延びる長尺状の鉤金具63が設けられている。鉤金具63には、図2に示すように、鉤部65が上下方向に複数並設されている。これら鉤部65は本体枠13に対する施錠機構を構成しているが、詳細については後述する。
次に、本体枠13について詳細に説明する。図6は本体枠13の正面図である。
本体枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース71を主体に構成されている。樹脂ベース71の前面における回動基端側(図6の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具72,73が取り付けられている。図示は省略するが、支持金具72,73には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸61,62が挿入されることにより、本体枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
樹脂ベース71の前面における回動先端側(図6の右側)には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具63を挿入するための挿入孔74がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、本体枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置が本体枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具63が挿入孔74を介して施錠装置に係止されることによって、前扉枠14が本体枠13に対して開放不能に施錠される。
樹脂ベース71の右下隅部には、施錠装置の解錠操作を行うためのシリンダ錠75が設置されている。シリンダ錠75は施錠装置に一体化されており、シリンダ錠75の鍵穴に差し込んだキーを右に回すとキー操作に対して施錠装置が連動し、本体枠13に対する前扉枠14の施錠が解かれるようになっている。なお、シリンダ錠75の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する本体枠13の施錠が解かれるようになっている。施錠装置についての詳細は後述する。
樹脂ベース71の中央部には略楕円形状の窓孔76が形成されている。樹脂ベース71には遊技盤81が着脱可能に取り付けられている。遊技盤81は合板よりなり、遊技盤81の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース71の窓孔76を通じて本体枠13の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤81の構成を図7に基づいて説明する。遊技盤81には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口82,可変入賞装置83,作動口84,スルーゲート85及び可変表示ユニット86等がそれぞれ設けられている。一般入賞口82は、左右にそれぞれ2個ずつ合計4個設けられている。一般入賞口82、可変入賞装置83及び作動口84に遊技球が入ると、それが後述する検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤81の最下部にはアウト口87が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口87を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤81には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘88が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示ユニット86には、作動口84への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置91が設けられている。また、可変表示ユニット86には、図柄表示装置91を囲むようにしてセンターフレーム92が配設されている。センターフレーム92の上部には、第1特定ランプ部93及び第2特定ランプ部94が設けられている。また、センターフレーム92の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部95,96が設けられている。下側の保留ランプ部95は、図柄表示装置91及び第1特定ランプ部93に対応しており、遊技球が作動口84を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部95の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部96は、第2特定ランプ部94に対応しており、遊技球がスルーゲート85を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部96の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置91は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置91には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
第1特定ランプ部93では、作動口84への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部94では、遊技球のスルーゲート85の通過をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には作動口84に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となる。
可変入賞装置83は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り替えられるようになっている。可変入賞装置83の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置83が繰り返し開放されるものが一般的である。
遊技盤81には、内レール部101と外レール部102とが取り付けられており、これら内レール部101と外レール部102とにより誘導レールが構成され、後述する遊技球発射機構から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。
遊技球発射機構110は、図6に示すように、樹脂ベース71における窓孔76の下方に取り付けられている。遊技球発射機構110は、電磁式のソレノイド111と、発射レール112と、球送り機構113とからなり、ソレノイド111への電気的な信号の入力により当該ソレノイド111の出力軸が伸縮方向に移動し、球送り機構113によって発射レール112上に置かれた遊技球を遊技領域に向けて打ち出す。
発射レール112と遊技盤81に取り付けられた内,外レール部101,102との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方には前扉枠14の通路形成ユニット50に形成されたファール球通路55が配設されている。したがって、仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域の上部に到達せずに、内,外レール部101,102によって構成される誘導レールを逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路55内に入る。ファール球通路55は前扉側下皿通路52に通じており、ファール球通路55に入った遊技球は下皿34に排出される。
樹脂ベース71において発射レール112の左方には、樹脂ベース71を前後方向に貫通させて通路形成部121が設けられている。通路形成部121には図3に示すように本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とが形成されている。本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット50の受口部53が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路51が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路51が配置されている。
樹脂ベース71において通路形成部121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124はその下端に設けられた支軸125により前後方向に回動可能に支持されており、さらに本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する前方位置に付勢する図示しない付勢部材が設けられている。したがって、前扉枠14を本体枠13に対して開いた状態では開閉部材124が図示の如く起き上がり、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路122と前扉側上皿通路51とが連通し、さらに本体側下皿通路123と前扉側下皿通路52とが連通している。
次に、本体枠13の背面構成について説明する。図8は本体枠13の背面図である。
樹脂ベース71の背面における回動基端側(図8の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により本体枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、樹脂ベース71の背面には、裏パックユニット15を本体枠13に締結するための被締結孔134が設けられている。
樹脂ベース71の背面における回動先端側(図8の左側)には、本体枠13と外枠11及び前扉枠14とを開放不能な施錠状態で保持する施錠装置170が配置されている。
ここで、施錠装置170の構成を図9に基づいて詳細に説明する。図9は図3の部分拡大図である。
施錠装置170は、鋼板にて形成された長尺状の基枠171を有している。基枠171は、縦長に延びる基枠固定部171aと、その基枠固定部171aにおける本体枠13の開閉中心側端部(図13における右端部)から起立するようにして折り曲げ形成された部材取付部171bとを有し、水平断面略L字状をなしている。基枠固定部171aがビス等の締結具によって樹脂ベース71の背面に固定されることで、施錠装置170が樹脂ベース71に装着されている。基枠固定部171aは、施錠装置170を樹脂ベース71に固定させる固定部材としての機能と、本体枠13を補強する補強部材としての機能とを併せ有している。なお、基枠171を水平断面略L字状に形成することにより、施錠装置170自体の剛性を確保すると共に、本体枠13を補強する補強部材としての機能を高めることが可能となっている。
部材取付部171bの一面側(本体枠13の回動先端側を向いた面)には、連動杆174と鉤受け部材180とが重なるように設けられている。具体的には、それら連動杆174及び鉤受け部材180は、連動杆174を内側、鉤受け部材180を外側として重なった状態となっている。連動杆174は基枠171の長手方向と同一方向に延びる長板状をなしており、部材取付部171bと対向配置されている。
鉤受け部材180は、部材取付部171bとの間に連動杆174を挟持する挟持部181と、前扉枠14の鉤金具63と引っ掛かる鉤受け部182とを有している。より具体的には、挟持部181は部材取付部171bに略平行な板状をなしているとともに、鉤受け部182は基枠固定部171aに略平行な略板状をなし、基枠171と同様に、横断面L字状に形成されている。挟持部181には基枠171の長手方向と同一方向に延びる第1ガイド孔181aが形成されており、この第1ガイド孔181aに連動杆174から起立する第1取付ピン175が挿通されている。この第1取付ピン175によって鉤受け部材180が連動杆174に取り付けられている。より詳しくは、鉤受け部材180は、連動杆174に対し所定の方向以外への移動が規制された状態で取り付けられている。すなわち、連動杆174及び鉤受け部材180は、第1ガイド孔181a内を第1取付ピン175が移動可能な距離分だけ相対移動可能な状態で一体化されている。
鉤受け部材180の鉤受け部182には第1ガイド孔181aと同一方向に延びる第2ガイド孔182aが形成されており、この第2ガイド孔182aに基枠固定部171aから起立する第2取付ピン172が挿通されている。この第2取付ピン172によって鉤受け部材180が基枠171に取り付けられている。より詳細には、鉤受け部材180が基枠171に対し所定の方向への移動が許容された状態で取り付けられている。すなわち、鉤受け部材180は、第2ガイド孔182a内を第2取付ピン172が移動可能な距離分だけ基枠171に対して相対移動可能な状態となっている。
このように両取付ピン172,175を介して連動杆174及び鉤受け部材180が繋がることで、連動杆174が基枠171から脱落しない状態で取り付けられている。
鉤受け部材180の鉤受け部182には、前後方向に貫通するスリット183が形成されており、このスリット183と樹脂ベース71の挿入孔74が連通している。スリット183を介して、前扉枠14の鉤金具63が鉤受け部182に引っ掛かる構成となっている。
本実施の形態においては、鉤受け部材180を、鉤金具185に対応して基枠171の上部,下部及び中央部にそれぞれ配置した。これにより、前扉枠14の本体枠13からの浮き上がりを好適に抑えることができるとともに、基枠171に対する連動杆174の浮き上がりを好適に抑えることが可能となっている。なお、鉤金具185及び鉤受け部材180の個数はそれぞれ3つに限定されるものではなく、例えば2つとしてもよいし、4つとすることも可能である。鉤金具185及び鉤受け部材180を2つ以下とした場合、左右の手でそれぞれ別個の不正具を操り、各鉤金具185及び鉤受け部材180の施錠状態が解除される可能性がある。しかしながら、鉤金具185及び鉤受け部材180を3つ以上とすることで、このような不正行為(いわゆる引っ掛けゴト)を好適に抑制することができる。
以下、鉤金具63及び鉤受け部182について詳細に説明する。鉤金具63は、前扉枠14に対する取付部(図示略)と、取付部から本体枠13に向かって延びる延出部64と延出部の先端側に設けられた鉤部65とを有している。鉤部65は、延出部64よりも下方に突出しており、鉤受け部182との係止部を構成している。より詳細には、鉤部65には、その先端から前扉枠14に向かって緩やかに下り傾斜する案内傾斜部65aが形成されている(図2参照)。案内傾斜部65aの中間部位は、スリット183における前側の下端縁(以下、当接部183aという)とほぼ同じ高さ位置に設定されており、前扉枠14が閉じられる際に案内傾斜部65aが当接部183aと当たる構成となっている。
案内傾斜部65aの下側の端部には、スリット183の下端面(以下、接触部183bという)に接触する保持部65bが形成されている。また、鉤部65には、鉤受け部182に引っ掛かる引っ掛け部65cが形成されている。引っ掛け部65cは、鉤受け部182の後面と平行に形成されており、保持部65bよりも前扉枠14側に配置されている。より詳しくは、引っ掛け部65cは、保持部65bよりも上方に配置されている。延出部64の下端には、鉤受け部182(詳しくは鉤受け部材180)の上方への移動を規制するストッパ部64aが形成されている。ストッパ部64aは保持部65bよりも上方に配置されており、このストッパ部64aにスリット183の接触部183bが当たることで、鉤受け部182の上方への移動が規制される構成となっている。
連動杆174には金属製の板材よりなる鉤金具185が上下2箇所に設けられている。鉤金具185は、連動杆174に平行な板状をなすベース部186を有しており、ベース部186の基枠固定部171a側の端部は前記鉤受け部182と連動杆174との間に挟まれた状態となっている。これにより、鉤金具185の連動杆174からの浮き上がりが規制されている。本実施の形態においては、上下2箇所に鉤金具185を配置することで、外枠11に対する遊技機主部12の浮き上がりを抑制している。
ベース部186には、連動杆174に向かって起立する軸体187が固定されており、連動杆174にはその軸体187が嵌まる第3ガイド孔176が形成されている。第3ガイド孔176は両ガイド孔181a,182aと同一の方向に延びている。軸体187は、第3ガイド孔176内をその長手方向に移動可能となっている。すなわち、鉤金具185及び連動杆174は相対移動可能な状態となっている。
鉤金具185は、ベース部186からパチンコ機10の後方、すなわち外枠11に向かって延びる延出部188を有している。延出部188の先端部には、当該延出部188から下方に突出する鉤部189が設けられている。一方、外枠11には鉤部189に対応する位置に鉤受け金具190が取り付けられている。
以下、鉤部189と鉤受け金具190の構成について詳細に説明する。鉤受け金具190は左右方向に延びる板状をなしており、その背面は鉤部189が引っ掛かる受け部190aを構成している。より具体的には、鉤部189は受け部190aに平行な引っ掛け部189aを有しており、引っ掛け部189aと受け部190aとが引っ掛かることで、外枠11に対して遊技機主部12が施錠された状態となる。また、鉤受け金具180の上端部は、鉤金具185を保持する保持部180bを構成している。具体的には、延出部188が保持部180bに当たった状態となることで、鉤金具185が鉤受け金具180に保持された状態となる。すなわち、保持部180bによって鉤金具185のパチンコ機10下方への移動が制限された状態となる。
鉤部189にはその先端部からパチンコ機10の前方に向けて緩やかに傾斜する案内傾斜部189bが形成されている。一方、鉤受け金具190には、遊技機主部12が閉じられる際に案内傾斜部189bと当たる当接部190cが形成されている。当接部190cは、遊技機主部12の施錠が解除された状態、詳しくは遊技機主部12が開放された状態において、案内傾斜部189bの略中央の高さ位置と同じになるように設定されている。
また、基枠171には延出部188及び、鉤部189が挿通される挿通部173が形成されている。挿通部173はパチンコ機10の前後方向及び上方に開放されており、鉤部189が挿通部173に相通された状態では、鉤金具185の左右方向への移動(連動杆174からの離れ)、及び下方への移動が規制されている。
ここで、連動杆174と鉤受け金具190と鉤金具185との初期位置について説明する。
鉤受け部材180には基枠171に結合されたコイルバネ192が取り付けられている。鉤受け部材180は、このコイルバネ192によって上方に引き上げられ、第2取付ピン172が第2ガイド孔182aの下端縁と当接する位置で保持されている。これにより、基枠171に対する鉤受け部材180の初期位置が規定されている。
鉤金具185には基枠171に結合されたコイルバネ193が取り付けられている。鉤金具185は、このコイルバネ193によって下方に引き下げられ、延出部188が挿通部173の下端縁と当接した状態で保持されている。これにより、鉤金具185の初期位置が規定されている。
このように鉤受け部材180及び鉤金具185の初期位置にある状態で、連動杆174の初期位置が規定されている。具体的には、第2取付ピン172が第2ガイド孔182aの下端縁に当たることで、下方への移動が規制されているとともに、軸体187が第3ガイド孔176の下端縁に当たることで、上方への移動が規制されている。これにより、連動杆174の初期位置が決定される構成となっている。なお、連動杆174の上下方向への移動は、コイルバネ192,193の付勢力に抗する外力が加わることで可能となる。以下、連動杆174を動作させるための構成について説明する。
基枠171には、解除操作部たる前記シリンダ錠75が取り付けられている。このシリンダ錠75は、図2や図9等に示すように、基枠固定部171aに当該シリンダ錠75を固定するための固定部195と、その固定部195からパチンコ機10の前方に向けて延びる円筒状の錠軸部196を有しており、該錠軸部196の先端面には、外部から所定のキー操作を行うためのキー孔197が形成されている。そして、シリンダ錠75の前面、すなわちキー孔197は、樹脂ベース71に形成された連通孔71a及び前扉枠14に形成されたキーシリンダ設置孔14aを介してパチンコ機10の前方に露出している。錠軸部196の基端面には、キー操作に伴って回動するカム板198が設けられている。カム板198は、当該カム板198の上部から開閉中心側に向かって突出形成された第1係合爪部199と、カム板198の下部から開閉中心側に向かって突出形成された第2係合爪部200とを備えている。連動杆174には、第1係合爪部199に対応する第1係合孔部178と、第2係合爪部200に対応する第2係合孔部179とが形成されており、各係合爪部199,200が対応する係合孔部178,179に係合した状態で回動することで、キー操作によって発生する外力が連動杆に伝達される構成となっている。これにより、連動杆174が動作する。なお、シリンダ錠75として、不正解錠防止機能の高いオムロック(登録商標)を用いる構成としてもよい。
次に、操作キーの回動操作に伴う施錠装置170の動作について図10を用いて説明する。図10(a)は操作キーを時計回りに回動操作した状態を示し、図10(b)は操作キーを反時計回りに回動操作した状態を示している。なお、図10においては、施錠装置170の動作を示すため、樹脂ベース71等は省略している。
図10(a)では操作キーKをシリンダ錠75に差し込んで、時計回りに回動操作している。すると、操作キーKの回動操作に連動して第2係合爪部200が第2係合孔部179に引っ掛かった状態で回動し、連動杆174は上方に移動する。連動杆174の第3ガイド孔176の下端縁と鉤金具185の軸体187とがあたることで、連動杆174の移動に伴って鉤金具185も上方へ移動する。連動杆174がコイルバネ193の付勢力に抗して移動することで、鉤金具185と鉤受け金具190との係止状態(施錠状態)が解除される。これにより、外枠11に対して遊技機主部12が開放可能となる。その後、操作キーKの回動操作を解除すると、コイルバネ193の付勢力により、連動杆174及び鉤金具185が初期状態に復帰する。
図10(b)では操作キーKをシリンダ錠75に差し込んで、反時計回りに回動操作している。すると、操作キーKの回動操作に連動して第1係合爪部199が第1係合孔部178に引っ掛かった状態で回動し、連動杆174は下方に移動する。連動杆174の第1取付ピン175と鉤受け部材180の第2ガイド孔182aの下端縁とがあたることで、連動杆174の移動に伴って鉤受け部材180も下方へ移動する。連動杆174がコイルバネ192の付勢力に抗して移動することで、鉤金具185と鉤受け部材180の鉤受け部182との係止状態(施錠状態)が解除される。これにより、本体枠13に対して前扉枠14が開放可能となる。その後、操作キーKの回動操作を解除すると、コイルバネ192の付勢力により、連動杆174及び鉤受け部材180が初期状態に復帰する。
ここで、前扉枠14が本体枠13に対して閉じられる際の施錠装置170(詳しくは鉤受け部材180)の動作について説明する。
前扉枠14が開放された状態から本体枠13に対する閉位置に向かって回動されることで、前扉枠14の鉤部65が本体枠13の鉤受け部材180に当たる。より詳細には、鉤部65の案内傾斜部65aが鉤受け部材180の当接部183aに当たる。このように案内傾斜部65aと当接部183aとが当たった状態で前扉枠14が更に回動されることにより、案内傾斜部65aの傾斜に沿って鉤受け部材180が移動される。上述の如く、鉤受け部材180はコイルバネ192によって付勢されており、このコイルバネ192の付勢力に抗して鉤受け部材180が移動される。具体的には下方へ移動される。鉤受け部材180が所定量移動されると、鉤部65の保持部65bと接触部183bとが接触した状態となる。すなわち、鉤受け部材180が鉤部65により、コイルバネ192の付勢力に抗して所定の位置に保持された状態となる。以下、このように鉤受け部材180が保持された状態での位置を、施錠待機位置という。このように鉤受け部材180が鉤部65によって保持された状態において、前扉枠14が更に回動されることで、保持部65bと接触部183bとが離間し鉤受け部材180の保持状態が解除される。このように保持状態が解除されることで、鉤受け部材180はコイルバネ192の付勢力によって元の位置に向かって移動される。具体的には上方へ移動される。鉤受け部材180が所定量移動することで、鉤受け部材180の接触部183bはストッパ部64aに当たり、その移動が規制される。かかる場合、鉤部65の引っ掛け部65cは鉤受け部182に引っ掛かり、前扉枠14が本体枠13に対して施錠された状態となる。以下、鉤受け部材180の施錠状態での位置を施錠位置という。
このように、鉤受け部材180が鉤部65を乗り越えて施錠待機位置から施錠位置に移動する場合、その移動速度はコイルバネ192の付勢力に依存する。このため、前扉枠14の回動速度がばらついた場合であっても、鉤受け部材180の施錠位置への移動速度は担保される。例えば、前扉枠14がゆっくり閉じられた場合であっても、鉤受け部材180は勢いよくしかも毎回同程度の速度で施錠待機位置から施錠位置に移動する。
次に、遊技機主部12が外枠11に対して閉じられる際の施錠装置170(詳しくは鉤金具185)の動作について説明する。遊技機主部12が開放された状態から外枠11に対する閉位置に向かって回動されることで、遊技機主部12の鉤金具185が外枠11の鉤受け金具190に当たる。かかる場合、鉤金具185が鉤受け金具190に対して移動する。これら両金具185,190の相対移動に関しては、上述した鉤部65及び鉤受け部材180の相対移動と逆の関係にある。すなわち、鉤側が移動し鉤受け側が移動しない構成となっている。このように、遊技機主部12の施錠時の動作態様は、外枠13の施錠時の動作態様とほぼ同様ではあるが、その詳細については後述する。
鉤金具185が鉤受け金具190を乗り越えて施錠待機位置から施錠位置に移動する場合、その移動速度は、上述した鉤受け部材180と同様に、コイルバネ193の付勢力に依存する。このため、遊技機主部12の回動速度がばらついた場合であっても、鉤金具185の施錠位置への移動速度は担保される。
樹脂ベース71の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース71に対して遊技盤81が取り付けられている。ここで、遊技盤81の背面の構成を説明する。図11は遊技盤81を後方より見た斜視図、図12は遊技盤81から主制御装置ユニット160を取り外した状態を示す背面図である。
遊技盤81の中央に配置される可変表示ユニット86には、センターフレーム92を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー141が後方に突出させて設けられており、フレームカバー141に対して後側から上述した図柄表示装置91が取り付けられるとともに、その図柄表示装置を駆動するための表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。これら図柄表示装置91及び表示制御装置は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置が前、表示制御装置が後)、さらにその後方に音声ランプ制御装置ユニット142が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット142は、音声ランプ制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に音声ランプ制御装置143が装着されている。
音声ランプ制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
遊技盤81の背面には、図10に示すように、可変表示ユニット86の下方に集合板ユニット150が設けられている。集合板ユニット150には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
遊技球回収機構について説明すると、集合板ユニット150には、前記一般入賞口82、可変入賞装置83、作動口84の遊技盤開口部に対応して且つ下流側で1カ所に集合する回収通路151が形成されている。したがって、一般入賞口82等に入賞した遊技球は何れも回収通路151を介して遊技盤81の下方に集合する。遊技盤81の下方には後述する排出通路があり、回収通路151により遊技盤81の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口87も同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球もアウト口87を介して排出通路内に導出される。
入賞検知機構について説明すると、集合板ユニット150には、遊技盤81表側の各一般入賞口82と対応する位置にそれぞれ入賞口スイッチ152a〜152dが設けられている。また、可変入賞装置83と対応する位置にカウントスイッチ153が設けられ、作動口84に対応する位置に作動口スイッチ154が設けられている。これらスイッチ152〜154により遊技球の入賞がそれぞれ検知される。また、集合板ユニット150外における可変表示ユニット86の右側には、スルーゲート85を通過する遊技球を検知するゲートスイッチ155が設けられている。
遊技盤81の背面には、集合板ユニット150を後側から覆うようにして主制御装置ユニット160が搭載されている。主制御装置ユニット160の構成について図13を用いて説明する。図13は主制御装置ユニット160の構成を示す斜視図である。
主制御装置ユニット160は、合成樹脂製の取付台161を有し、取付台161に主制御装置162が搭載されている。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部164は、基板ボックス163の長辺部に5つ設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部164を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、5つの封印部164のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片165が設けられている。これら結合片165は、取付台161に形成された複数の被結合片166と1対1で対応しており、結合片165と被結合片166とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
次に、裏パックユニット15について説明する。図14は裏パックユニット15の正面図、図15は裏パックユニット15の分解斜視図である。
裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤203、及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット86を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には、パチンコ機10に発生した各種のエラー情報を出力するための出力端子、本体枠13の開放時に信号出力するための出力端子、及び前扉枠14の開放時に信号出力するための出力端子等が設けられている。そして、これらの出力端子を通じて、遊技ホール側の管理制御装置(又はホールコンピュータ)に対して枠側の状態に関する信号が出力される。
ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を本体枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が本体枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211には、本体枠13に設けられた被締結孔134に対して締結するための締結具215が設けられており、当該締結具215を被締結孔134に嵌め込むことで本体枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。すなわち、裏パック201の最上部には上方に開口したタンク221が設けられており、タンク221には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部226が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路51を介して上皿33に通じ、中央の開口部227が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路52を介して下皿34に通じ、外側の開口部228が排出通路に通じるように形成されている。
払出機構部202には、裏パック基板(電力受入部又は外部電力受入部)229が設置されている。裏パック基板229には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ229aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤203及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤203は、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路231が形成されており、当該排出通路231の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路231は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路151等から排出通路231に導出された遊技球は当該排出通路231を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源及び発射制御装置243(以下、電源装置243ともいう)とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242は、基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されている。なお、払出制御装置242から払出装置224への払出指令の信号は上述した裏パック基板229により中継される。また、払出制御装置242には状態復帰スイッチ245が設けられている。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源装置243は、基板ボックス246内に電源及び発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源装置243にはRAM消去スイッチ247が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ247を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
次に、遊技機主部12や前扉枠14が開放された場合に、その事実を把握するための構成について説明する。
図3や図9等に示すように、施錠装置170の基枠171には、第1監視装置250及び第2監視装置290が装着されている。第1監視装置250は、上側の鉤金具185の下方に配置されており、この第1監視装置250によって遊技機主部12の開放が監視されている。一方、第2監視装置290は中央の鉤受け部材180の上方に配置されており、この鉤受け部材180より遊技機主部12の開放が監視されている。
ここで、第1監視装置250及び第2監視装置290の具体的な構成について説明する。第1監視装置250及び第2監視装置290は同一の構成を具備してなり、それら監視装置250,290の取り付け方向、及びそれら監視装置250,290に付随して設けられている構成のみ相違している。故に、先ず第1監視装置250について詳細に説明し、その後上述した相違点について説明する。図16は図9の部分拡大図、図17は第1監視装置250の分解斜視図、図18は図16のA−A線部分端面図である。
第1監視装置250は、磁性体を有する磁性体ユニット260と、その磁性体ユニット260との相対位置の変位により誘導起電力を発生する導体ユニット270と、それら両ユニット260,270を収容するハウジング280とを備えている。ハウジング280が前記基枠171に形成された設置部171cにビス等の締結具によって固定されることで、第1監視装置250は遊技機主部12(詳しくは施錠装置170)に装着された状態となっている。また、ハウジング280は光透過性を有する透明な合成樹脂材料により形成されており、その内部が視認可能となっている。これにより、メンテナンス等による第1監視装置250の内部確認の容易化が図られている。なお、ハウジング280は収容ケース体280aと蓋用ケース体280bとの2部材を固定することで構成されているが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、ハウジング280を1部材で構成してもよいし、3以上の部材で構成してもよい。
磁性体ユニット260は、柱状をなす磁性体261と、この磁性体261を収容する収容体262とを備えている。本実施の形態では、磁性体261は磁石(棒磁石)によって構成されている。ハウジング280における鉤金具185と対向する部分(以下、天壁部281という)には、内外に貫通する開口部282が形成されており、この開口部282を介して、磁性体ユニット260(詳しくは収容体262)の一部がハウジング280の外部に突出した状態となっている。
磁性体ユニット260は、ハウジング280内に固定された導体ユニット270に対して相対移動可能な状態とされている。ハウジング280には、磁性体ユニット260の移動を規制する軸受部283が設けられている。この軸受部283によって、磁性体ユニット260の軸線方向以外の方向への移動が規制された状態となっている。より詳しくは、磁性体ユニット260は、基枠171の長手方向と同一の方向、すなわち鉤金具185の移動方向と同一の方向にのみ移動可能な状態となっている。
次に導体ユニット270について詳細に説明する。導体ユニット270は、導電性を有するコイル271と、そのコイル271の取付け対象としてのボビン272とを備えている。ボビン272がビス等の締結具によってハウジング280内部に固定されていることで、導体ユニット270がハウジング280に装着された状態となっている。ボビン272は磁性体ユニット260の移動方向と同一の方向に延びる略筒状をなし、その外周にコイル271が螺旋状に巻き付けられている。ボビン272の内周面によって区画形成された空隙は磁性体261の移動領域273を構成している。磁性体ユニット260が移動領域273を通過することで、磁性体ユニット260(詳しくは磁性体261)と導体ユニット270(詳しくはコイル271)との相対位置が変化する構成となっている。このような相対位置の変位に起因して、コイル271に誘導起電力が生じる構成となっている。すなわち、移動領域273は誘導起電力の発生可能領域を構成している。
ここで、磁性体ユニット260の移動可能な範囲について図18及び図19を用いて説明する。ボビン272には、収容体262と当たるストッパ部274が形成されている。図18及び図19の(d)に示すように、収容体262がストッパ部274に当たることで、磁性体ユニット260の移動領域273の奥側への移動が規制されている。かかる状態においては、磁性体ユニット260のハウジング280からの突出量が最小となっている。また、収容体262には、磁性体ユニット260の移動を規制する規制部材としてのストッパ片263が装着されている。図19の(e)に示すように、ストッパ片263がハウジング280(詳しくは軸受部283)と当たることで、磁性体ユニット260の鉤金具185側への移動が規制されている。かかる状態においては、磁性体ユニット260のハウジング280からの突出量が最大となっている。これらストッパ部274やストッパ片263等によって、磁性体ユニット260のストローク(移動範囲)L1が規定されている。
上述の如く、磁性体ユニット260の一端部(詳しくは収容体262の一端部)は、開口部282を介してハウジング280から突出している。収容体262の突出端には、鉤金具185に当接する当接部264が形成されている。当接部264は磁性体ユニット260の移動方向と直交する平板状をなしている。一方、鉤金具185における当接部264との接触部位には操作部186aが設けられている。操作部186aは、鉤金具185の下端部を折り曲げて形成されており、鉤金具185の移動方向に直交する方向に延びる板状をなしている。これら操作部186aと当接部264とは相対向した状態となっている。
鉤金具185は移動可能に設けられており、基枠171等に固定されているわけではない。鉤受け金具190との接触等により、例えば左右方向や前後方向への位置ばらつきが生じ得る構成となっている。本実施の形態においては、鉤金具185の位置ばらつきが想定される方向において、操作部186aがそれらのばらつきを許容可能な程度の広がりを有している。具体的には、操作部186aは、左右方向及び前後方向に延びる板状をなしている。これにより、鉤金具185の当接部264に対する相対位置のばらつきを許容しやすくなっており、両者の接触が担保される構成となっている。
また、本実施の形態においては、当接部264は磁性体ユニット260の移動中心軸線から放射状に延びる円板状をなしている。このため、磁性体ユニット260が回動したとしても、操作部186a及び当接部264の相対位置がずれにくい構成となっている。すなわち、磁性体ユニット260の移動中心軸線を基準とした回動を許容可能な構成となっている。操作部186aは、磁性体ユニット260の動作時の軌道から離れた位置にて当接部264に接触する構成となっている。上述の如く操作部186aは鉤金具185に設けられており、操作部186aが当接部264を押した場合の反力は鉤金具185に伝わる。かかる場合、操作部186aと当接部264との接触部位が前記軌道から離れることで、反力に起因したモーメントにより鉤金具185に位置ずれや変形等の不都合の発生が生じやすくなるおそれがある。しかしながら、本実施の形態においては、当接部264が鉤金具185に向けて延びる構成としたことで、操作部186aと当接部264との接触部位を前記軌道に近づけることが可能となっている。これにより鉤金具185の生じるモーメントを低減することができるため、施錠機能を担保しつつ、第1監視装置250の操作部としての機能を付与することができる。
当接部264の外形は開口部282の外形よりも大きく設定されており、当接部264と天壁部281との間には、コイルバネ285が配置されている。すなわち、コイルバネ285は当接部264と天壁部281とによって挟まれた状態となっている。なお、収容体262がコイルバネ285に挿通された状態となっており、コイルバネ285の外れが抑制されている。
このコイルバネ285によって、磁性体ユニット260がハウジング280から突出する側に向けて常時付勢された状態となっている。詳しくは、コイルバネ285の全長は、図19の(e)に示す前記ストッパ片263が軸受部283に当たった状態における当接部264及び天壁部281の隙間寸法C1よりも大きく設定されている。このため、ストッパ片263と軸受部283とが当たった状態において、すなわち磁性体ユニット260のハウジング280からの突出量が最大の状態において、コイルバネ285は圧縮されており、磁性体ユニット260は鉤金具185に向けて付勢された状態となっている。
上述の如く、コイルバネ285による磁性体ユニット260の付勢方向と、コイルバネ193による鉤金具185の付勢方向とは逆方向となるように構成されている。コイルバネ285の付勢力は、鉤金具185を付勢しているコイルバネ193の付勢力よりも小さく、且つ磁性体ユニット260単体を上方に持ち上げることが可能な程度に設定されている。このため、当接部264が操作部186aによって押されている状態においては、コイルバネ193の付勢力が勝ることでコイルバネ285が圧縮されることとなる。
以下、第1監視装置250による遊技機主部12の開閉検知動作について図19に基づいて説明する。なお、第1監視装置250は、遊技機主部12を閉じる際の施錠装置170(詳しくは鉤金具185)の動きに連動して動作する構成であるため、鉤金具185の動きについても併せて説明する。
図19(a)遊技機主部12が開放された状態を示し、図19(b)は遊技機主部12が閉じられる直前の状態を示し、図19(c)は遊技機主部12が閉じられた状態(待機状態)を示し、図19(d)は図19(a)時の第1監視装置250の状態を示し、図19(e)は図19(b)時の第1監視装置250の状態を示し、図19(f)は図19(c)時の第1監視装置250の状態を示す。遊技機主部12が開放された後、閉じられる際には、図19(a),(e)→図19(b),(f)→図19(c),(g)の順に施錠装置170及び第1監視装置250が動作する。
第1監視装置250は遊技機主部12が閉じられた際の施錠装置170の動きに連動して動作する。具体的には、遊技機主部12の閉位置への移動(回動)に伴い、鉤金具185も鉤受け金具190に向かって移動する。遊技機主部12が所定の位置に到達すると、図19(a)に示すように、鉤金具185の案内傾斜部189bが鉤受け金具190の当接部190cに当たる。
遊技機主部12の移動が継続されることで、鉤金具185と鉤受け金具190との上下方向での相対位置が変化する。詳細には、鉤金具185は、案内傾斜部189bの傾斜に沿って移動する(上昇する)。かかる場合、鉤金具185はコイルバネ193の付勢力に抗して移動することとなる。このように鉤金具185が上方に移動することに伴って、操作部186aも上方に移動する。操作部186aによって押えられていた磁性体ユニット260(詳しくは磁性体261)は、コイルバネ285の付勢力によって鉤金具185の移動に合わせて上方に移動する。このように、磁性体261がコイル271から離れる側に向けて移動することで、磁性体261とコイル271との相対位置が変化し、コイル271にマイナスの電圧が発生する。なお、鉤金具185の移動範囲よりも、磁性体ユニット260の移動範囲は小さく設定されているため、磁性体ユニット260の移動は鉤金具185の移動よりも先に止まり、鉤金具185及び磁性体ユニット260が離間する。
鉤金具185の上方への移動量が所定量に達すると、図19(b)に示すように案内傾斜部189bの下端部、すなわち鉤部189の下端部が保持部190bに乗り上げた状態となる。すなわち、鉤金具185は、コイルバネ193の付勢力に抗して保持部190bにより保持された状態となっている。
かかる状態から遊技機主部12が更に移動することで、案内傾斜部189bが保持部190bから離間し、保持状態が解除される。これにより、鉤金具185は、自重及びコイルバネ193の付勢力によって下方、すなわち第1監視装置250に向けて(下方へ)移動する。鉤金具185が遊技機主部12の閉位置への移動を契機として下方へ移動することで、操作部186aは当接部264に当たる。これにより、鉤金具185とともに磁性体ユニット260も同一の方向(下方)へ移動する。故に、磁性体ユニット260(詳しくは磁性体261)が移動領域273を移動することとなる。このように、コイル271に向けて磁性体261が移動することで、磁性体261とコイル271との相対位置が変化し、コイル271にプラスの電圧が発生する。
磁性体ユニット260及び鉤金具185が所定量移動すると、先ず鉤金具185の延出部188が保持部190bに当たり、鉤金具185の移動が停止する。これとほぼ同期して、収容体262の先端がストッパ部274に当たることで、磁性体ユニット260の移動も停止する。このように施錠装置170が施錠状態となっている場合、磁性体ユニット260の上方への移動は鉤金具185によって規制され、下方への移動はストッパ部274によって規制されている。このため、パチンコ機10に振動が加わる等した場合であっても、磁性体ユニット260が不意に移動し誘導起電力が発生するといった不都合が生じにくくなっている。
以上詳述したように、遊技機主部12が閉じられる際には、遊技機主部12自身に生じる閉方向への動力、すなわち作業者によって閉操作されることで遊技機主部12自体に生じる閉方向への回転力を、鉤金具185を移動させるための契機として利用している。そして、遊技機主部12の回転力とは異なる動力を発生する動力源、すなわちコイルバネ193によって鉤金具185が移動する構成としている。このように、遊技機主部12の回転力に依存することなく、コイルバネ193の付勢力に依存して鉤金具185を移動させることで、前記プラス電圧を安定して発生させることが可能となっている。
一方、遊技機主部12が閉じられた状態から、開放される際には、図19(c),(g)→図19(b),(f)→図19(a),(d)の順に施錠装置170及び第1監視装置250が動作する。具体的には、前記外部キーの回動操作に伴って鉤金具185が上方に移動する。これにより、操作部186aによって押えられていた磁性体ユニット260(詳しくは磁性体261)は、コイルバネ285の付勢力によって鉤金具185の移動に合わせて上方に移動する。このように磁性体261がコイル271から離れる側に向けて移動することで、磁性体261とコイル271との相対位置が変化し、コイル271にマイナスの電圧が発生する。かかる状態で、遊技機主部12を開放方向に回動操作させることで、鉤部189の下端部が保持部190bに乗り上げた状態となる。すなわち、鉤金具185は、コイルバネ193の付勢力に抗して保持部190bにより保持された状態となる(図19(b)参照)。遊技機主部12が開放方向へ更に回動することで、鉤金具185は、案内傾斜部189bの傾斜に沿って徐々に移動する(詳しくは下降する)。これにより、鉤金具185とともに磁性体ユニット260も同一の方向(下方)へ移動し、磁性体261とコイル271との相対位置が変化し、コイル271にプラスの電圧が発生する。本実施の形態においては特に、鉤金具185は案内傾斜部189bに沿って徐々に降下することで、磁性体261とコイル271との相対位置の急激な変化が抑えられている。すなわち、プラスの電圧の発生が大きくなりにくくなっている。これにより、遊技機主部12を閉じる際に発生するプラスの電圧と比較して、遊技機主部12が開放される際に発生するプラス電圧の方が大きくなることを抑制している。
また、上述したように、外部キーによって遊技機主部12を開放する際には、連動杆174が移動することに伴って鉤金具185の位置が施錠解除位置に移動する構成となっている。すなわち、鉤金具185が施錠解除位置に移動した状態においては、連動杆174の位置も施錠解除位置に移動した状態となる。このため、鉤金具185がコイルバネ193の付勢力によって元の位置に戻ろうとする際には、当該鉤金具185に連なって連動杆174も移動することとなる。つまり、外部キーによって解錠した場合には、鉤金具185は、プラスの電圧を発生する方向へ連動杆174を引き連れて移動することとなる。以上詳述したように、遊技機主部12を閉じる際には、コイルバネ193の付勢力によって鉤金具185のみが移動される一方、外部キー操作によって遊技機主部12を開放する際には、コイルバネ193の付勢力によって鉤金具185及び連動杆174が移動される。このように、付勢力によって移動する対象が増えることで、鉤金具185の変位速度が大きくなりにくくなっている。換言すれば、コイルバネ193の付勢力によって移動される対象が増えることで、プラス電力の発生が抑えられやすくなっている。
ここで、第1監視装置250が動作する際の、遊技機主部12及び外枠11の相対位置について説明する。施錠装置170及び第1監視装置250は、遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で、外枠11の内側に配置されている。換言すれば、施錠装置170及び第1監視装置250は、遊技機主部12と外枠11との境界部位よりも後方に配置されている。より詳細に説明すると、樹脂ベース71には、施錠装置170を搭載するための取付段差部71bがパチンコ機10の後方に張り出した状態で形成されており、この取付段差部71bによって、施錠装置170が遊技機主部12と外枠11との境界部位よりも後方に配置される構成となっている。取付段差部71bによって遊技機主部12(詳しくは樹脂ベース71)と外枠11とが前後に重なった状態となる。この重なり量は、鉤金具185の動作に要する遊技機主部12の変位量、具体的には遊技機主部12の回動先端部位における前後方向の変位量よりも大きく設定されている。このため、鉤金具185及び鉤受け金具190が図19(a)→図19(b)→図19(c)に示す施錠状態に移行される際には、パチンコ機10の側方等からの施錠装置170及び第1監視装置250へのアクセスが困難なものとなっている。
第2監視装置290も第1監視装置250と同様に、ハウジング291,磁性体ユニット292(磁性体293)及び導体ユニット294(コイル295)を備えている。基枠171には、第2監視装置290を設置する設置部171dが形成されており、第2監視装置290はこの設置部171dにビス等の締結具によって固定されている。また、第2監視装置290は第1監視装置250と上下逆になった状態で配置されている。すなわち、磁性体ユニット292は下方に配置された鉤受け部材180向けて突出しており、その動作方向が第1監視装置250の動作方向と逆向きに設定されている。このように、第2監視装置290の構成は第1監視装置250の構成と同様であり、その取付方向のみが異なっている。
第2監視装置290の動作自体は、第1監視装置250と同様であるが、それに付随する施錠装置170の動作が若干異なる。以下、施錠装置170の動作に伴う第2監視装置290の動作について簡単に説明する。前扉枠14が閉じられる際には、当該前扉枠14の鉤金具63の閉方向への移動に基づいて施錠装置170の鉤受け部材180が変位する。具体的には、鉤金具63の案内傾斜部65aが鉤受け部材180の当接部183aに当たることで、鉤受け部材180は、その案内傾斜部65aに沿って第2監視装置290から離れる方向(下方)に移動する。これにより、第2監視装置290の磁性体ユニット292及び導体ユニット294の相対位置が変化し、第2監視装置290においてマイナスの電圧が生成される。前扉枠14が閉位置に向かって更に移動することで、鉤金具63の保持部と鉤受け部材180の接触部183bとが当接した状態、すなわち鉤受け部材180が鉤金具63によって保持された状態となる。かかる状態においては、鉤受け部材180は第2監視装置290から完全に離間した状態となっており、第2監視装置290の磁性体ユニット292がハウジング291から最も突出した状態となっている(図19(b)及び(e)に類似した状態)。前扉枠14の閉位置への到達に伴って、鉤受け部材180の保持状態が解除され、コイルバネ192の付勢力によって鉤受け部材180が変位前の位置に向かって移動する。これにより、第2監視装置290の磁性体ユニット292がハウジング291内に押し込まれ、プラスの電圧が発生する。
また、図3等に示すように、第1監視装置250及び第2監視装置290の間には中継基板300が設けられている。中継基板300はビス等の締結手段によって基枠171の基枠固定部171aに固定されている。中継基板300には両監視装置250,290からの図示せぬ配線(ハーネス)が接続されており、中継基板300は主制御装置162に図示せぬ配線を介して接続されている。これらの各配線等の詳細は後述する。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図20のブロック図に基づいて説明する。図20では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置162に設けられた主制御基板301には、主制御回路302と停電監視回路303(電断監視回路)とが内蔵されている。主制御回路302には、CPU310が搭載されている。
CPU310には、当該CPU310により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM312(不揮発性情報記憶手段)と、そのROM312内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM313(揮発性情報記憶手段)と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。なお、CPU310、ROM312及びRAM313がそれぞれ個別に1チップ化された構成としてもよい。これは、他の制御装置のCPUにおいても同様である。
RAM313は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置243に設けられた電源及び発射制御基板314からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
CPU310には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。CPU310の入力側には、主制御基板301に設けられた停電監視回路303,払出制御装置242に設けられた払出制御基板315,後述するカウンタ回路及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路303には電源及び発射制御基板314が接続されており、CPU310(主制御回路302)には停電監視回路303を介して電力が供給される。
一方、CPU310の出力側には、停電監視回路303、払出制御基板315及び中継端子板316が接続されている。払出制御基板315には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板316を介して主制御回路302から音声ランプ制御装置143に設けられた音声ランプ制御基板317に対して各種コマンドなどが出力される。
停電監視回路303は、主制御回路302と電源及び発射制御基板314とを中継し、また電源及び発射制御基板314から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。そして、この電圧が22ボルト未満になると電源遮断の発生と判断し、主制御回路302に対して停電信号を送信する。主制御回路302では、この停電信号の入力を確認することにより、その確認結果に基づいて後述する停電時処理(電断時処理)を実行する。
払出制御基板315は、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU338は、そのCPU338により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM339と、ワークメモリ等として使用されるRAM340とを備えている。
払出制御基板315のRAM340は、主制御回路302のRAM313と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御基板314からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
払出制御基板315のCPU338には、入出力ポートが設けられている。CPU33338の入力側には、主制御回路302、電源及び発射制御基板314、及び裏パック基板229が接続されている。また、CPU338の出力側には、主制御回路302及び裏パック基板229が接続されている。
電源及び発射制御基板314は、電源部314aと発射制御部314bとを備えている。電源部314aは、例えば、遊技ホール等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御回路302や払出制御基板315等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を二重線矢印で示す経路を通じて主制御回路302や払出制御基板315等に対して供給する。その概要としては、電源部314aは、裏パック接続基板229を介して供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電力、ロジック用の+5V電力などを生成し、これら+12V電力、+5V電力を主制御回路302や払出制御基板315やカウンタ回路等に対して供給する。
発射制御部314bは、遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作にしたがって遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
また、電源及び発射制御基板314には、電断時用電源手段としてデータ記憶保持用コンデンサ321cが搭載されている。データ記憶保持用コンデンサ314cには、電源部314aが接続されており、パチンコ機10の電源がON状態の場合(外部電源からの電力供給が行われている場合)には充電される。また、データ記憶保持用コンデンサ314cは主制御回路302におけるCPU310のVBB端子に接続されており、パチンコ機10の電源がOFF状態の場合や商用電源における停電発生時等といった電源遮断状態(外部電源からの電力供給が遮断されている場合)では、データ記憶保持用コンデンサ314cから放電されRAM313に対してデータ記憶保持用電力が供給される。よって、かかる状況であっても、データ記憶保持用コンデンサ314cからデータ記憶保持用電力が供給されている間はRAM313に記憶されたデータが消去されることなく保持される。
ちなみに、データ記憶保持用コンデンサ314cに充電された電力は主制御回路302のRAM313やその他のRAMにおいてデータを記憶保持するために用いられ、電動アクチュエータなどの機器を動作させるためには用いられない。また、データ記憶保持用コンデンサ314cの容量は比較的大きく確保されており、電源遮断前にRAM313に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。また、電断時用電源手段は、データ記憶保持用コンデンサに限定されることはなく、バッテリや非充電式電池などであってもよい。非充電式電池の場合、パチンコ機10の電源がON状態の際に電断時用電源手段への蓄電を行う必要はないが、定期的に交換する必要が生じる。
また、電源及び発射制御基板314には、上記データ記憶保持用コンデンサ314cとは異なる停電時処理用コンデンサが設けられている。電源及び発射制御基板314では、直流安定24ボルトの電源が22ボルト未満になった後においても、停電時処理用コンデンサから放電することにより、後述する停電時処理の実行に十分な時間の間、制御系の駆動電源である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。これにより、主制御回路302などは、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
音声ランプ制御基板317は、各種ランプ部23〜25やスピーカ部26、及び表示制御装置318を制御するものである。演算装置であるCPU341は、そのCPU341により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM342と、ワークメモリ等として使用されるRAM343とを備えている。
音声ランプ制御基板317のCPU341には入出力ポートが設けられている。CPU341の入力側には中継端子板316に中継されて主制御回路302が接続されており、主制御回路302から出力される各種コマンドに基づいて、各種ランプ部23〜25、スピーカ部26、及び表示制御装置318を制御する。表示制御装置318は、音声ランプ制御基板317から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置91を制御する。
本実施の形態では、遊技機主部12及び前扉枠14の開閉検知に関して特徴的な構成を備えている。そこで、この特徴的な構成について図21に示すブロック回路図に基づき説明する。なお、第1監視装置250に付随する構成及び第2監視装置290に付随する構成は同様のものとなっている。故に、ここでは、第1監視装置250に付随する構成について詳細に説明し、後に第2監視装置290に付随する構成について簡潔に説明する。
上述の如く、第1監視装置250は電導性を有するコイル271を備えている。コイル271の一方の端部は鉄製の施錠装置170に接地(アース)されている。コイル271の他方の端部は、信号線LN1を介して中継基板300に接続されている。信号線LN1は第1監視装置250に設けられたコネクタCN1と中継基板300に設けられたコネクタCN2とに着脱自在に取り付けられている。なお、信号線LN1をコネクタを介することなく、ハンダ等の固着手段によって取り付ける構成とすることも可能である。
中継基板300は、ハーネスHを介して主制御装置162の主制御基板301に接続されている。より具体的には、ハーネスHは、中継基板300に設けられたコネクタCN3と、主制御基板301に設けられたコネクタCN4とに着脱自在に取り付けられている。第1監視装置250から出力された信号は、ハーネスHを構成する信号線LN2を介して主制御基板301に入力される構成となっている。
主制御基板301は、電源線ELN1を介して、電源装置243の電源部314aに繋がっている。この電源線ELN1によって、電源部314aからの電力が主制御基板301に供給される。電源線ELN1を介して供給される電力は、主制御基板301内にて、CPU310の動作用電力と、第1カウンタ回路320の動作用電力とに大別されている。CPU310用に分岐された電力によって、同CPU310が動作し後述する各種処理が実行される。
以下、第1カウンタ回路320について詳細に説明する。第1カウンタ回路320は、第1監視装置250から信号線LN1,LN2を介して所定の信号が入力された回数をカウントするカウンタ機能を備えている。より具体的には、カウンタはTフリップフロップ321,322より構成されており、第1監視装置250からの信号が入力される第1Tフリップフロップ321と、その第1Tフリップフロップ321の出力が入力される第2Tフリップフロップ322とが直列接続されている。
第1Tフリップフロップ321とコネクタCN4との間には、ツェナーダイオード323が、第1監視装置250に対して逆バイアスとなるように接続されている。ツェナーダイオード323は接地されており、このツェナーダイオード323によって電圧の安定化が図られている。具体的には、第1監視装置250において所定の値よりも大きなプラス電圧が発生した場合、そのプラス電圧はツェナーダイオード323によって所定の大きさに抑えられる。これにより、過度に大きなプラス電圧が第1Tフリップフロップ321に入力されるといった不都合が回避されている。本実施の形態においては特に、施錠装置170の動作に伴う電磁誘導によって発生する電圧を開閉検知信号として使用している。上述の如く、ツェナーダイオード323を用いることで、施錠装置170の動作ばらつきに伴う想定以上の大きさの電圧が第1Tフリップフロップ321に入力されることを回避している。これにより、第1Tフリップフロップ321の保護を図っている。
また、電磁誘導によって発生する電圧は、施錠装置170の動作方向によって正負が逆転し得る。具体的には、上述したように、コイル271に向けて磁性体261が移動することでプラス電圧が発生し、コイル271から遠ざかる方向に磁性体261が移動することでマイナス電圧が発生する。第1監視装置250においてマイナス電圧が発生した場合には、接地されたツェナーダイオード323を介してコイル271に電流が流れ、第1Tフリップフロップ321にマイナス電圧が入力されにくくなっている。
第1Tフリップフロップ321は、上記電圧が入力されるC入力端子321aと、前記電源線ELN1からの供給電力が入力されるT入力端子321bと、第1Tフリップフロップ321の動作結果を出力するQ出力端子321cとを備えている。C入力端子321aから入力された電圧と、T入力端子321bにて検出された入力電圧(HIレベル又はLOWレベル)に応じてQ出力端子321cからの出力信号、すなわちQ出力端子321cに生じる電圧が変化する構成となっている。より詳細には、T入力端子321bにて検出された入力電圧がHIレベルの場合、C入力端子321aから入力される電圧の立下がりに基づいて、Q出力端子321cからの出力信号がHIレベル及びLOWレベルで切り替えられる。このようにして設定された出力信号は、Q出力端子321cを介して、CPU310の入力ポート及び第2Tフリップフロップ322に出力される。
第2Tフリップフロップ322は、第1Tフリップフロップ321と同様の構成を有している。具体的には、第1Tフリップフロップ321のQ出力端子321cと接続されているC入力端子322aと、電源線ELN1からの供給電力が入力されるT入力端子322bと、第2Tフリップフロップ322の動作結果を出力するQ出力端子322cとを備えている。C入力端子322aから入力された信号と、T入力端子322bにて検出された入力電圧(HIレベル又はLOWレベル)とに応じてQ出力端子322cからの信号(具体的にはQ出力端子322cにおける電圧)がHIレベルとLOWレベルとで切り替えられる構成となっている。Q出力端子322cから出力された信号はCPU310の入力ポートに出力される。このようにして、各Tフリップフロップ321,322からの出力信号がそれぞれCPU310に入力されることで、CPU310にて第1カウンタ回路320の状態(詳しくはカウント回数)が把握される構成となっている。
また、第1カウンタ回路320にはコンデンサ324が設けられている。コンデンサ324は、パチンコ機10の電源がONの状態において、電源線ELN1から電力が供給され、蓄電された状態となる。一方、電源の供給がOFFの状態においては、コンデンサ324が放電することで、各Tフリッププロップ321,322に駆動用電力が供給される構成となっている。なお、コンデンサ324の容量は比較的大きく確保されており、各Tフリップフロップ321,322を所定の期間(例えば、1日や2日)駆動可能な状態で維持することが可能となっている。
電源線ELN1におけるコンデンサ324と電源装置243との間には、ダイオード325がコンデンサ324に対して逆バイアスとなるように接続されている。より詳しくは、ダイオード325はコンデンサ324とCPU310との間に配されており、このダイオード325によってコンデンサ324に蓄積された電荷がCPU310等に供給されることが回避されている。すなわち、コンデンサ324に蓄えられた電荷は第1カウンタ回路320(詳しくは各Tフリップフロップ321,322)にのみ供給される構成となっている。
次に、第1カウンタ回路320が動作する際の一連の流れの具体例について図22に基づき詳しく説明する。図22は第1カウンタ回路320からの検知信号パターンの切り替わりタイミングを説明するための説明図である。図22の上段部分には、遊技機主部12の外枠11に対する開閉動作が簡略化して示されており、その下方には遊技機主部12の開閉動作に伴う第1監視装置250の動作が簡略化して示されている。なお、第1監視装置250において磁性体ユニット260が上限位置まで上昇した状態をUP、下限位置まで下降した状態をDOWNとしている。
図22(a)は遊技機主部12の開動作に伴う第1カウンタ回路320の動作を示し、図22(b)は遊技機主部12の閉動作に伴う第1カウンタ回路320の動作を示し、図22(c)は遊技機主部12の2度目の閉動作に伴う第1カウンタ回路320の動作を示し、図22(d)は遊技機主部12の3度目の閉動作に伴う第1カウンタ回路320の動作を示す。なお、第1カウンタ回路320の動作は、電源ON時及び電源OFF時において共通であるため、以下電源OFF時の動作について詳細に説明し、後に電源ON時の動作について簡潔に説明する。
図22(a)に示すように、遊技機主部12が外枠11に対して閉じられている状態において操作キーKにより解錠操作がなされることに起因して、第1監視装置250にマイナス電圧が発生する。このマイナス電圧は前記ツェナーダイオード323によって抑えられ、C入力端子321aに入力される電圧の変化が抑制されている。解錠操作後に遊技機主部12が回動操作されると、第1監視装置250にはプラス電圧が発生する。このプラス電圧の発生に基づいてC入力端子321aにおける電圧に変化が生じる。かかる状態においては、コンデンサ324によってT入力端子321bに所定の電圧が与えられている。すなわち、T入力端子321bにおける電圧がHIレベルで維持されている。T入力端子321bの電圧がHIレベルであることを条件として、Q出力端子321cからの出力信号の変更が許可された状態となっている。具体的には、C入力端子321aにおける電圧の変化、詳しくは電圧の立下りに基づいて、Q出力端子321cからの出力信号パターンをLOWレベルとHIレベルとの2つの状態に切替可能となっている。例えば、本実施の形態においては開放動作前のQ出力端子321cからの信号がLOWレベルとなっているため、これをHIレベルに切替可能となっている。
第1Tフリップフロップ321には、C入力端子321aにおけるノイズを信号と誤認することを回避し、所望とする電圧の変化のみを信号として認識するための閾値(詳しくは電圧の下限値)が設定されている。上述したように、遊技機主部12の開動作に伴って発生するプラス電圧は大きくなりにくくなっており、その電圧が予め設定された閾値以下であることを条件として、Q出力端子321cからの出力信号の変更は見送られる。すなわち、Q出力端子321cからの出力信号はLOWレベルのまま保持される。
Q出力端子321cからの出力信号は、第2Tフリップフロップ322のC入力端子321aに入力されている。第2Tフリップフロップ322も第1Tフリップフロップ321と同様にT入力端子322bの電圧がコンデンサ324によってHIレベルに維持されていることに基づいて、Q出力端子322cからの出力信号の変更が許可された状態となっている。具体的にはC入力端子321aにおける電圧の変化、詳しくは電圧の立下りに基づいてQ出力端子321cからの出力信号パターンをLOWレベルとHIレベルとで切替可能となっている。例えば、本実施の形態においては開放動作前のQ出力端子322cからの信号がLOWレベルとなっているため、これをHIレベルに切替可能となっている。しかしながら、C入力端子321aの信号がLOWレベルのまま維持されていること、すなわち信号の立下りが無いことで、Q出力端子321cからの出力信号の切り替えは見送られる。
遊技機主部12が開放状態から閉方向に回動された場合、先ず第1監視装置250にてマイナスの電圧が発生する(図22(b)参照)。このマイナス電圧は前記ツェナーダイオード323によって抑えられ、C入力端子321aに入力される電圧の変化が抑制されている。遊技機主部12が閉位置まで回動されると、第1監視装置250にてプラスの電圧が発生する。このプラス電圧が前記閾値を超えていること、及びT入力端子321bの電圧がHIレベルであることを条件として、プラス電圧の立下りに基づき第1Tフリップフロップ321のQ出力端子321cからの出力信号がLOWレベルからHIレベルに切り替えられる。このQ出力端子321cの信号レベルの変化、及びT入力端子321bの電圧がHIレベルであることを条件として、第2Tフリップフロップ322のQ出力端子322cからの出力信号の切替の可否が判定される。詳しくはC入力端子322aにおける入力信号はLOWレベルからHIレベルへの立ち上がっており、信号の立下りが確認されないため、Q出力端子322cからの出力信号の切替は見送られる。すなわち、Q出力端子322cからの出力信号はLOWレベルのまま維持される。すなわち、遊技機主部12の1度目の開放を検知することで、第1Tフリップフロップ321から出力される信号はLOWレベルからHIレベルに切り替えられ、第2Tフリップフロップ322から出力される信号はLOWレベルのまま維持される。
なお、遊技機主部12の2度目の開放動作がなされた場合における各Tフリップフロップ321,322の動作については、上述した1度目の開放がなされた場合の動作と同様であるため、説明を割愛する。
図22(c)に示すように、遊技機主部12が2度目の開放の後に再度閉じられた際には、1度目の閉動作時と同様にマイナス電圧及びプラス電圧が発生する。T入力端子321bの電圧がHIレベルであることを条件として、第1Tフリップフロップ321のQ出力端子321aからの出力信号がプラス電圧の立ち下がりに基づきHIレベルからLOWレベルに切り替えられる。かかる信号の変化、具体的には信号の立下りと、T入力端子321bの電圧がHIレベルであることとを条件として、第2Tフリップフロップ322のQ出力端子322cからの出力信号はLOWレベルからHIレベルに切り替えられる。すなわち、遊技機主部12の2度目の開放を検知することで、第1Tフリップフロップ321から出力される信号はLOWレベルに切り替わるとともに第2Tフリップフロップ322から出力される信号はHIレベルに切り替わる。
次に、遊技機主部12の3度目の開閉動作に基づく各Tフリップフロップ321,322の動作について説明する。なお、開放動作に伴う各Tフリップフロップ321,322の動作については、上述した1度目の開放時の動作と同様となるため、説明を割愛する。
図22(d)に示すように、遊技機主部12が3度目の開放の後、再び閉じられた際には、1度目及び2度目の閉動作時と同様にマイナス電圧及びプラス電圧が発生する。T入力端子321bの電圧がHIレベルであることを条件として、第1Tフリップフロップ321のQ出力端子321aからの出力信号が、プラス電圧の立ち下がりに基づきLOWレベルからHIレベルに切り替えられる。第2Tフリップフロップ322のQ出力端子322cからの出力信号は、第1Tフリップフロップ321からの出力信号が立ち下がりとなることで、HIレベルのまま維持される。すなわち、遊技機主部12の3度目の開放を検知することで、第1Tフリップフロップ321から出力される信号はLOWレベルからHIレベルに切り替えられ、第2Tフリップフロップ322から出力される信号はHIレベルのまま維持される。
遊技機主部12の4度目の開放を当該遊技機主部12の閉動作に基づき検知した場合、第1Tフリップフロップ321から出力される信号はLOWレベルに切り替わるとともに、第2Tフリップフロップ322から出力される信号もLOWレベルに切り替わる。これにより図22(a),(b)に示す状態と同一の状態に復帰する。すなわち、遊技機主部12の開放を4度検知することで、各Tフリップフロップ321,322からの出力の態様が(b)→(c)→(d)→(b)を1サイクルとして変化する。なお、5度目以降の遊技機主部12の開放においては、遊技機主部12が開放される度に、上記サイクルに基づいて各Tフリップフロップ321,322からの出力の態様が切り替えられる。
以上詳述した第1カウンタ回路320の動作態様は、電源ON時においても同様となる。より詳細には、電源ON時に各T入力端子321b,322bに生じる電圧が、コンデンサ324ではなく電源装置装置243によるものであることのみが相違しており、各Tフリップフロップ321,322からの出力の態様は電源OFF時と同様に(b)→(c)→(d)→(b)の順に切り替えられる。
ここで、第2カウンタ回路330及びそれに付随する構成について簡単に説明する。
上述の如く、第2監視装置290は伝導性を有するコイル295を備えており、コイル295の一方の端部は鉄製の施錠装置170に接地(アース)されている。コイル295の他方の端部は、信号線LN3を介して中継基板300に接続されている。信号線LN3は第1監視装置250に設けられたコネクタCN5と中継基板300に設けられたコネクタCN6とに着脱自在に取り付けられている。上述したハーネスHは信号線LN4を有し、この信号線LN4を介して第2監視装置290からの信号が主制御基板301(具体的には第2カウンタ回路330)に供給される。
第2カウンタ回路330には、第1カウンタ回路320と同様に、Tフリップフロップ331,332及びツェナーダイオード333が設けられている。また、第2カウンタ回路330も電源線ELN1からの電力が分岐して供給される構成となっている。具体的には、両カウンタ回路320,330は並列配置されている。第2カウンタ回路330には、コンデンサ324と別体のコンデンサ334が設けられており、このコンデンサ334によって、電源装置243からの電力供給がOFFの状態における各Tフリップフロップ331,332の駆動電力が確保されている。また、コンデンサ334にはダイオード335が接続されており、このダイオード335によってコンデンサ334に蓄えられた電荷が第2カウンタ回路330(詳しくはTフリップフロップ331,332)にのみ供給される構成となっている。
次に、主制御装置162のCPU310により実行される各制御処理を図23〜図26のフローチャート等を参照しながら説明する。かかるCPU310の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図23は、NMI割込み処理であり、当該処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号が停電監視回路303からCPU310のNMI端子に出力され、CPU310は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。NMI割込み処理では、ステップS101にてRAM313に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグをセットし、本処理を終了する。その後、後述する通常処理にて停電フラグがセットされていることが確認されることで、停電時処理が実行される。
次に、タイマ割込み処理について図24のフローチャートを用いて説明する。
ステップS201では、各種スイッチや払出制御基板315などからの信号読み込み処理を実行し、その後ステップS202にて始動入賞処理を実行する。
始動入賞処理では、作動口スイッチ154から入力した信号に基づいて、遊技球が作動口84に入賞したか否かを判定する。そして、遊技球が作動口84に入賞している場合には、第1特定ランプ部93及び図柄表示装置91の作動保留球数が上限値未満であることを条件として、その入賞に対して大当たりを発生させるか否かの指標となるカウンタ値のRAM313への格納処理を実行する。当該カウンタ値が大当たりの発生に対応した値である場合には、その入賞に対応した遊技回において大当たりが発生することとなる。つまり、始動入賞処理において、大当たりといった特別遊技状態への移行抽選機能(移行判定手段)が果たされる。
始動入賞処理の後、CPU310は本タイマ割込み処理を一旦終了する。なお、タイマ割込み処理において、大当たりを発生させるか否かの指標となるカウンタ値を更新する処理なども実行するようにしてもよい。
次に、電源投入時のリセットに伴い起動されるメイン処理について、図25のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS301では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、従側の制御基板(払出制御基板315等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。続くステップS302では、RAM313のアクセスを許可する。
その後、ステップS303では、電源及び発射制御装置243に設けたRAM消去スイッチ247がオンされているか否かを判定し、続くステップS304ではRAM313の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS305ではRAM判定値を算出し、続くステップS306では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM313の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM313の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ247を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ247が押されていれば、ステップS307〜S310の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS307〜S310の処理に移行する。
ステップS307では、音声ランプ制御装置143に音声ランプ初期化コマンドを出力する。これにより、RAMデータの初期化やRAM判定値により記憶保持されたデータの異常等が報知される。続くステップS308では、従側の制御基板となる払出制御基板315等を初期化するために、払出初期化コマンド等を出力する。続くステップS309ではRAM313の使用領域を0にクリアし、ステップS310ではRAM313の初期化処理を実行する。その後、ステップS311にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ247が押されていない場合には、停電フラグが格納されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、ステップS312に進む。ステップS312では、停電フラグ格納バッファに格納されている停電フラグをクリアする。続くステップS313では、従側の制御基板を電源遮断前の遊技状態に復帰させるための復電コマンドを出力する。その後、ステップS314〜ステップS317の復電時用開放監視処理を実行する。当該復電時用開放監視処理については後に詳細に説明する。その後、ステップS311にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。これにより、電源遮断前の状態に復帰する。
次に、通常処理について、図26のフローチャートを用いて説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。
通常処理において、ステップS401では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データを従側の各制御基板に出力する。具体的には、後述するコマンド設定処理にてセットされたコマンドを払出制御基板315等に対して出力する。また、図柄表示装置91による第1図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動態様コマンド等を音声ランプ制御装置143に出力する。
続くステップS402では、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行うための第1特定ランプ部制御処理を実行する。第1特定ランプ部制御処理では、大当たり判定や第1特定ランプ部93に配設されたLEDランプの光源スイッチのオンオフ制御などが行われる。そして、第1特定ランプ制御処理では、始動入賞処理にて格納されたカウンタ値に基づいて大当たりを発生させると判定した場合、遊技状態を大当たり状態に移行させる。つまり、第1特定ランプ制御処理において、特別遊技状態への移行機能(移行手段)が果たされる。なお、第1特定ランプ部制御処理において、図柄表示装置91による第1図柄の変動表示の設定も行われる。
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS403にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大当たり状態である場合において可変入賞装置83の大入賞口を開放又は閉鎖する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。この規定数だけ入賞したか否かの判定は、上述した大入賞口用カウンタを確認することにより行われる。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。つまり、大入賞口開閉処理において、特別遊技状態の進行機能(進行手段)が果たされる。
その後、ステップS404では、第2特定ランプ部94に表示される色の切り替え処理を行うための第2特定ランプ部制御処理を実行する。第2特定ランプ制御処理では、ゲート保留球数が1以上であることを条件に第2特定ランプ部94における表示色の切り替えを開始する。この際、表示色の切り替え時間も設定する。そして、作動口84に付随する電動役物を所定時間開放する場合には、第2特定ランプ部94において所定の色の停止表示が行われる。
ステップS404の後は、ステップS405にて、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源及び発射制御基板314の発射制御部314bから発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構110のソレノイド111を励磁する。これにより、発射レール112上にある遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。ちなみに、発射許可信号は、CPU310における入力ポート311以外の入力ポートに入力されており、当該遊技球発射制御処理にてその入力ポートに発射許可信号があるか否かを確認する。
続くステップS406では、RAM313内に設けられた停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。停電フラグが格納されていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS407にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施形態では4msec)が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合には、ステップS406に戻り、所定時間が経過している場合には、ステップS401に戻る。
一方、ステップ406にて、停電フラグが格納されている場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS408以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS408では、タイマ割込み処理の発生を禁止する。続くステップS409では、電断時更新処理を実行する。この電断時更新処理については、後に説明する。その後、ステップS410にて電源が遮断されたことを示す停電コマンドを他の制御基板に対して出力する。そして、ステップS411にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS412にてRAM313のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源及び発射制御基板314のデータ記憶保持用コンデンサ321cからデータ記憶保持用電力が供給されるため、電源遮断前にRAM313に記憶されていた情報はそのままの状態で所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
次に、遊技機主部12及び前扉枠14の開放の監視に関する電気的構成について、図27のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置162(詳しくは主制御基板301)には、第1監視装置250及び第2監視装置290が電気的に接続されている。より具体的には、第1監視装置250及び第2監視装置290は、主制御基板301の第1カウンタ回路320及び第2カウンタ回路330に電気的に接続されている。これら各カウンタ回路320,330は主制御装置162のCPU310に接続されており、そのCPU310によって、第1カウンタ回路320及び第2カウンタ回路330から入力された信号に基づき遊技機主部12や前扉枠14の開放事実が把握される。
この場合、CPU310のRAM313には、遊技機主部用格納エリア313a及び前扉枠用格納エリア313bが設けられている。そして、電源投入中において把握した第1カウンタ回路320の検知状態は遊技機主部用格納エリア313aに格納され、電源投入中において把握した第2カウンタ回路330の検知状態は及び前扉枠用格納エリア313bに格納される。RAM313は、上記のとおりパチンコ機10の電源遮断中においてもデータ記憶保持用の電力が供給され、データの記憶保持が行われる構成であるため、電源遮断時に各検知状態格納エリア313a,313bに格納されていた検知状態は、データ記憶保持用の電力が供給されている範囲において記憶保持される。CPU310では、各カウンタ回路320,330から出力される検知状態の情報に基づいて、電源遮断中に遊技機主部12及び前扉枠14の開放が行われたか否かを判定し、その判定結果に基づいて特定出力処理を実行する。なお、遊技機主部12及び前扉枠14の開閉検知状態をまとめることで情報を統括し、RAM313に設けられた1の格納エリアに1の情報として格納することも可能である。
ここで、遊技機主部12及び前扉枠14の開放に関して、主制御装置162のCPU310により実行される各制御処理を説明する。
先ず、通常処理(図26)にて実行される処理について説明する。
通常処理では、NMI割込み処理において停電フラグがセットされた場合、上記のとおりステップS408〜ステップS412の停電時処理を実行する。そして、停電時処理では第1カウンタ回路320及び第2カウンタ回路330に関して、ステップS409にて電断時更新処理を実行する。
電断時更新処理では、図28のフローチャートに示すように、先ずステップS601にて信号読み込み処理を実行する。この信号読み込み処理では、第1カウンタ回路320及び第2カウンタ回路330から入力した信号(電気信号パターン)の読み込みが行われる。そして、この読み込まれた信号の情報は、CPU310のレジスタに記憶保持される。続くステップS602では、遊技機主部更新処理を実行する。なお、各カウンタ回路320,330からの信号の読み取り処理を電断時処理にて実施するのではなく、各カウンタ回路320,330からの信号の読み取り処理を図24に示すタイマ割込み処理や図26に示す通常処理にて実施することも可能である。
遊技機主部更新処理は、信号読み込み処理にて把握した第1カウンタ回路320の検知状態の情報が、RAM313の遊技機主部用格納エリア313aに格納されている検知状態の情報と異なっている場合に、検知状態の情報の更新を実行する処理である。
当該遊技機主部更新処理について詳細には、図29のフローチャートに示すように、先ずステップS701にて比較処理を実行する。比較処理では、上記信号読み込み処理にてCPU310のレジスタに記憶した検知状態の情報と、RAM313の遊技機主部用格納エリア313aに格納されている検知状態の情報とを比較する。続くステップS702では比較処理にて比較した各検知状態が一致しているか否かを判定する。その結果、一致している場合には、そのまま本遊技機主部更新処理を終了する。一方、一致していない場合には、ステップS703にて、最新の検知状態の情報、すなわちCPU310のレジスタに記憶されている検知状態の情報を、遊技機主部用格納エリア313aに格納した後に、本遊技機主部更新処理を終了する。
電断時更新処理の説明に戻り、ステップS602にて遊技機主部更新処理を実行した後は、ステップS603にて前扉枠更新処理を実行する。前扉枠更新処理では、信号読み込み処理にて把握した第2監視装置290の検知状態の情報が、RAM313の前扉枠用格納エリア313bに格納されている検知状態の情報と異なっている場合に、検知状態の情報の更新を実行する。この具体的な処理内容については、遊技機主部更新処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。ステップS603にて前扉枠更新処理を実行した後に、本電断時更新処理を終了する。
上記のように電断時更新処理が実行されることにより、パチンコ機10の電源が遮断される時点での各監視装置250,290における検知状態の情報のRAM313への記憶が確実に行われる。
次に、メイン処理(図25)にて実行される処理について説明する。
メイン処理では、各カウンタ回路320,330に関して、ステップS314〜ステップS318の復電時用開放監視処理を実行する。
復電時用開放監視処理では、先ずステップS314にて検知状態把握処理を実行する。検知状態把握処理では、第1カウンタ回路320及び第2カウンタ回路330から出力された信号(電気信号パターン)の読み込みが行われる。この読み込まれた信号の情報は、CPU310のレジスタに記憶保持される。この場合、CPU310には第1レジスタと第2レジスタとが少なくとも設けられており、第1カウンタ回路320の信号の情報は第1レジスタに記憶保持され、第2カウンタ回路330の信号の情報は第2レジスタに記憶保持される。
続くステップS315では、比較処理を実行する。比較処理では、上記検知状態把握処理にてCPU310のレジスタに記憶した第1カウンタ回路320の検知状態と、RAM313の遊技機主部用格納エリア313aに格納されている検知状態の情報とを比較する。また、比較処理では、上記検知状態把握処理にてCPU310のレジスタに記憶した第2カウンタ回路330の検知状態の情報と、RAM313の前扉枠用格納エリア313bに格納されている検知状態の情報とを比較する。
続くステップS316では、比較処理にて比較した第1カウンタ回路320の各検知状態が一致しているか否かを判定するとともに、第2カウンタ回路330の各検知状態が一致しているか否かを判定する。その結果、両方がそれぞれ一致している場合には、ステップS311にて割込み許可を設定し、通常処理に移行する。いずれか一方でも一致していない場合には、電源遮断中において遊技機主部12又は前扉枠14が開放されたことを意味するため、ステップS317に進む。
ステップS317では、復電時用報知処理を実行する。復電時用報知処理では、音声ランプ制御装置143に復電時報知用コマンドを出力する。これにより、スピーカ部26からの報知音の出力、エラー表示ランプ部24の点灯、及び図柄表示装置91での報知表示が行われる。但し、これらの報知態様は通常時報知用コマンドに基づく報知の態様とは異なっている。また、音声ランプ制御装置143では、状態復帰スイッチ245などといった報知解除操作が行われるまで各種報知を継続させる。つまり、通常時と復電時とでは、報知の態様だけでなく、報知解除の態様も異なっている。なお、これに限定されることはなく、報知の態様や報知解除の態様が通常時と復電時とで同一であってもよい。
また、復電時用報知処理では、遊技ホールに設けられたホールコンピュータに外部端子板213を介して復電時報知用信号を出力する。この場合、ホールコンピュータでは復電時報知用信号をパチンコ機10から入力した日時やパチンコ機10の台番号といった識別情報を履歴として記憶する処理や、遊技ホールに設けられた監視カメラを対象となるパチンコ機10に向けるといった処理を実行する。
上記復電時用報知処理が実行されることにより、電源遮断中に遊技機主部12又は前扉枠14が開放操作されていた場合には、それを遊技ホールの管理者等に報知することができ、仮にそれが不正開放である場合にはそれに対処させることができる。
なお、復電時用報知処理において遊技機主部12が開放操作されていた場合と前扉枠14が開放操作されていた場合とで、電断時報知用コマンド又は電断時開閉検知信号の情報形態を異ならせてもよい。この場合、前扉枠14が電源遮断中に開放された場合と遊技機主部12が電源遮断中に開放された場合とで、パチンコ機10自身又はホールコンピュータにおいて報知の態様を異ならせることができ、遊技ホールの管理者等に対して適切に対処させることが可能となる。また、復電時用報知処理は、上記のものに限定されることはなく、復電時報知用コマンド又は復電時報知用信号のいずれか一方のみを出力する構成としてもよい。また、復電時報知用コマンドの出力に基づく処理として、スピーカ部26からの報知音の出力、エラー表示ランプ部24の点灯、又は図柄表示装置91での報知表示のうち一部のみを実行する構成としてもよい。
ステップS317にて復電時用報知処理を実行した後は、ステップS318に進む。ステップS318では、ステップS314においてCPU310のレジスタに記憶されている各カウンタ回路320,330の検知状態の情報のうち、ステップS316にて一致しないと判定された検知状態の情報を、該当する格納エリア313a,313bに格納する。その後、ステップS311にて割込み許可を設定し、通常処理に移行する。
以上詳述した第1の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
遊技機主部12及び前扉枠14の開放を、電力供給が遮断された状態において監視可能となっている。これにより、省エネ(節電)に貢献しつつも、パチンコ機10に対する不正を好適に抑制することができる。
また、遊技機主部12及び前扉枠14の開放検知が別個独立に行われる構成とした。このため、遊技機主部12及び前扉枠14のうち開放が行われた対象を特定することができる。故に、パチンコ機10における不正の対象となった箇所の特定を容易なものとすることができる。
図19等に示すように、遊技機主部12の閉動作を契機(トリガ)として動作する鉤金具185によって、コイル271と磁性体261との相対位置が変位する構成とした。これにより、遊技機主部12の閉速度のばらつきに起因する起電力ばらつきを抑えることができ、開閉体の開放検知精度を向上することが可能となっている。遊技機主部12の閉動作そのものを利用して、導体と磁性体との相対位置の変位を実現する構成とした場合、遊技機主部12の閉速度が起電力の大きさに対して直接的な影響力を持つこととなる。すなわち、遊技機主部12の閉速度が小さいと起電力が十分に発生されない可能性がある。このため、例えば不正行為者によって遊技機主部12がゆっくり開閉された場合、不正行為の発見が行われない可能性が生じ得る。しかしながら、上述の如く、遊技機主部12の開閉動作を起電力発生のための契機として利用することで、遊技機主部12の開閉速度に依らず起電力を担保しやすい構成とすることが可能である。これにより、防犯性の向上に貢献することが可能となっている。なお、前扉枠14の開放検知についても、これと同様の効果が期待できる。
また、図9等に示すように、各監視装置250,290を施錠装置170に装着することで、これらを一体化した。このため、監視装置250,290及び施錠装置170を別々に組み付ける場合と比較して、両者の位置ばらつきを好適に抑えることができる。さらに、施錠装置170の動作隙確保用のスペースに監視装置250,290を固定して配置することで、施錠装置170の動作を担保しつつ施錠装置170周りの空間の有効活用を図っている。更に、メンテナンス等の際に確認すべき装置をまとめて配置することで、確認作業の効率化に貢献している。
磁性体ユニット260,292と導体ユニット270,294とを監視装置250,290としてユニット化するとともに、可動部としての鉤金具185等と別体で構成した。そして、鉤金具185の操作部186aが第1監視装置250の当接部264に対して当接した状態において、両者が連動して変位し、監視装置250,290に誘導起電力が発生する構成とした。鉤金具185等は遊技機主部12等の施錠時に動作する部分であり、遊技機主部12等の位置ばらつきを許容するためのがたつきを有すると考えられる。このため、予め設定された動作方向以外の方向への位置ばらつきが生じやすいと想定される。上述の如く監視装置250,290と鉤金具185等とを別体とし、操作部186aと当接部264とが所定の範囲で当接可能とすることで、鉤金具185等の位置ばらつきが操作部186aと当接部264と当接位置の変位によって許容可能となっている。これにより、鉤金具185等の位置ばらつきに起因して、磁性体ユニット260,292と導体ユニット270,294との位置ずれが誘発されるといった不都合を抑制可能としている。仮に、鉤金具185等自身を磁性体としたり、鉤金具185等に磁性体を固定したりした場合、鉤金具185の位置ばらつきを考慮して磁性体と導体との間に干渉を回避するためのクリアランス等を設定する必要がある。かかる場合、磁性体と導体と相対位置の変化によって発生する誘導起電力を大きくすることが難しくなるばかりでなく、誘導起電力の大きさにばらつきが生じやすくなる。しかしながら、上述の如く、監視装置250,290をユニット化することで、磁性体ユニット260,292と導体ユニット270,294との相対位置のばらつきを抑え、安定して大きな起電力を得ることが可能となっている。
遊技機主部12の開放検知が、当該遊技機主部12の閉時に行われる構成とした。このため、開放検知結果が不正に改ざんされるといった不都合が生じにくく、一層好適な不正抑制効果を期待することができる。以下、より具体的に説明する。仮に、遊技機主部12が開放される際に開閉検知が行われる構成とした場合、遊技機主部12が開放されているため開放検知情報が保存されたカウンタ回路320等への不正アクセスが行われる可能性が生じる。かかる場合、不正行為者によって、その開閉体の開放の履歴等が消去されるといった不都合が生じ得る。このように開放の履歴が消去された場合、不正発見の遅れが懸念される。しかしながら、上述の如く、遊技機主部12の閉時に開放検知を行う構成とすることで、遊技機主部12が閉じた状態で開放検知の履歴等が保存される。このため、第1監視装置250や主制御装置162へのアクセスは困難なものとなり、開放検知履歴の改ざんが困難なものとなる。故に、開放検知機能の担保に貢献することができる。
図3等に示すように、各監視装置250,290が遊技機主部12に配置されている。遊技機主部12には主制御装置162や電源装置243等が配置されており、これら各制御装置162と同じ取付対象に配置することで、配線等の取り廻しの簡略化に貢献している。特に本実施の形態においては、遊技機主部12及び前扉枠14がそれぞれ独立して開閉可能となっており、上述の如く、監視装置250,290を遊技機主部12に配置することで、遊技機主部12及び前扉枠14の独立開閉機能が担保されやすくなっている。
遊技機主部12が閉じられる際に、遊技機主部12の回転角度が所定の範囲内に達してからは、外枠11の外周面によって施錠装置170の視認が妨げられた状態が維持される。すなわち、鉤金具185が鉤受け部材180に接触するタイミングでは、これら鉤金具185と鉤受け部材180へのパチンコ機10の外部からのアクセスが規制される。このため、遊技機主部12と外枠11との境界部位から不正具を挿入し、その不正具によって鉤金具185の移動を妨げようとする行為は困難なものとなっている。故に、鉤金具185の移動を故意に妨げることで電磁誘導による信号の出力をさまたげるといった不正行為を困難なものとすることができる。
また、前扉枠14においては、本体枠13に対して閉じられる際に、本体枠13の挿入孔74に鉤部65が挿通され、本体枠13の背面側に設けられた施錠装置170と施錠状態に移行される構成となっている。鉤部65に対して移動可能に設けられた施錠装置170(詳しくは鉤受け部材180)は本体枠13によって覆われた状態となっているため、不正具等によって鉤受け部材180の移動を妨げにくくなっている。故に、鉤受け部材180の移動を故意に妨げることで電磁誘導による信号の出力をさまたげるといった不正行為を困難なものとすることができる。
夜間等の電源OFF時に遊技機に対して不正が行われる場合、不正行為者は防犯カメラ等の他の防犯システムによる不正発覚を警戒して迅速な行動を要求されると考えられる。かかる場合、遊技機主部12や前扉枠14を開放して不正処置等を施した後は、直ちに遊技機主部12や前扉枠14を閉じて、作業を終了するものと想定される。時間のロスを招いたり目立ったりすることは不正発覚の要因となりやすく、例えば遊技機主部12や前扉枠14が複数回にわたって開放されるとは考えにくい。
本実施の形態においては、各カウンタ回路320,330にそれぞれ2つのTフリップフロップ321等を設け、遊技機主部12及び前扉枠14が4の倍数を除く回数開放された場合に検知可能とした。具体的には4度の検知を1サイクルとして元の検知状態に復帰する構成とした。上述の如く、電源OFF時に遊技機主部12等が開放される回数はおおよそ1度であると考えられる。これに基づいて、カウンタ回路320,330で少なくとも3度の開放を検知可能とすることで、構成を簡略化しつつ、不正開放検知機能を担保している。なお、図22に示すように、遊技機主部12等の閉動作だけではなく、開動作に伴ってプラス電圧が発生する構成となっている。仮にそれらのプラス電圧が閾値を超えた値を示し、カウンタ回路320,330にて開放のカウントがされたとしても、開放検知は3度まで可能であるため、これによって誤検知が生じるといった不都合が抑制されている。因みに、Tフリップフロップ321等の数を増すことで、検知サイクルを長く(詳しくは検知回数を多く)することも可能である。具体的には1サイクルを構成する検知回数は、Tフリップフロップの数をNとして2のN乗で表されるため、N数を増すことにより、1サイクルの長さを元の検知状態への実質的な復帰が困難な長さにしてもよい。このように、1サイクルを長くすることで、開放事実の隠蔽が困難となり、開放検知機能の信頼性向上を図ることが可能となる。
また、各カウンタ回路320,330においては、施錠装置170の鉤金具185等の施錠位置への動作に基づいて遊技機主部12等の開放回数がカウントされる。このため、カウンタ回路320,330の検知状態を変更して開放事実の隠蔽を図るには、遊技機主部12を施錠状態とした後、施錠状態の解除を行う必要がある。このように、カウンタ回路320,330の検知状態を変更する度に解錠操作を行うことは、手間がかかるため、不正行為の発覚の可能性を高めることとなる。故に、遊技機主部12等の開閉を繰り返すことで、不正開放事実の隠蔽を図ることが困難となり、遊技機の防犯性の向上に貢献することができる。
カウンタ回路320,330に各監視装置250,290で発生したプラス電圧が入力されることで、開放検知が行われる構成とした。このプラス電圧は、遊技機主部12等の開動作及び閉動作に基づいて発生する構成となっている。上述の如く、閉動作に伴って発生するプラス電圧は、カウンタ回路320,330における閾値を越えるように設定されている。このため、閉動作時には確実な開放検知が行われる。一方、開動作時には遊技機主部12等の回動速度に応じてプラス電圧の大きさが変化する構成を採用している。このため、開放する毎に開放検知が行われるか否かのばらつきが生じやすくなっている。故に、遊技機主部12等の開閉を繰り返すことで、カウンタの状態を不正前の状態に戻すといった不正の隠蔽行為が困難なものとなっている。仮に、遊技機主部12等をゆっくり開放して、開動作時の開放検知の回避を図った場合、遊技機主部12等の開閉に時間がかかることとなる。結果として、不正発覚の可能性が高まるため、遊技機主部12等をゆっくり開放されるといった対策が講じられることを好適に抑制することができる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、監視装置250,290からの信号に基づく遊技機主部12及び前扉枠14の開閉記録の保持に関する構成が上記第1の実施の形態と異なっている。そこで、以下にその構成について詳細に説明する。なお、以下の説明では、上記第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同一の構成については基本的に説明を省略する。図30は本実施の形態におけるブロック回路図である。
図30に示すように、本実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様に、主制御装置162、電源装置243、中継基板300、及び各監視装置250,290が設けられている。各監視装置250,290は磁性体261,293及びコイル271,295を有している。それらコイル271,295と中継基板300との接続に関する構成は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。また、中継基板300と主制御装置162との接続に関しても同様である。
ここで本実施の形態においては、第1カウンタ回路320に代えて第1記録保持回路350が設けられており、第2カウンタ回路330に代えて第2記録保持回路360が設けられている。両記録保持回路350,360は同様の構成を有するため、先ず第1記録保持回路350について詳細に説明し、後に第2記録保持回路について簡単に説明する。
電源装置243の電源部314aと主制御基板301とは電源線ELN1によって接続されている。電源線ELN1を介して供給されている電力は、主制御基板301内にて、CPUに向けた電力と、第1記録保持回路350に向けた電力とに分けられる。第1記録保持回路350に向けて分岐された電力線には遅延スイッチ351が設けられており、この遅延スイッチ351がONになることで第1記録保持回路350への電力の供給が可能となり、OFFになることで電力の供給が遮断された状態となる。第1記録保持回路350に供給された電力は、ダイオード352を介して整流され、ソースコンデンサ353とMOSFET354のソース側とに流入可能となっている。なお、ダイオード352はソースコンデンサ353に対して逆バイアスとなるように接続されている。
ソースコンデンサ353は接地されておりパチンコ機10の電源がONの状態で、蓄電される構成となっている。MOSFET354のゲート端子には、ダイオード355を介して信号線LN2から信号、すなわち第1監視装置250からの信号が入力される構成となっている。MOSFET354はゲート端子354aの入力電圧がHIレベルである場合にソース・ドレイン間に電流が流れ、LOWレベルである場合にソース・ドレインに電流が流れないタイプのものである。すなわち、第1監視装置250からの信号(詳しくはプラス電圧)によって、電流の流れが調整されるものである。MOSFET354のドレイン側にはソースコンデンサ353とほぼ同等の容量を有するドレインコンデンサ356が接続されており、このドレインコンデンサ356は接地されている。またドレインコンデンサ356とMOSFET354との間にはプルアップ抵抗357を有するリード線が接続されており、その片側の端部はダイオード355とMOSFET354のゲート端子と間に接続されている。リード線とゲート端子との間には遅延手段としてのメインスイッチ358が設けられている。このメインスイッチ358がONになっている状態では、信号がMOSFET354のゲート端子に到達可能となり、OFFになっている状態では、信号の到達が遮断される構成となっている。また、ドレインコンデンサ356はCPU310の入力ポートに接続されており、CPU310によってドレインコンデンサ356に電力が蓄えられているか否かを判別可能となっている。さらにドレインコンデンサ356には、CPU310によって回路の開閉が制御される放電スイッチ359が接続されている。放電スイッチ359は接地されており、回路が閉じた状態に移行されることで、ドレインコンデンサ356に蓄えられた電荷が放出(放電)される構成となっている。
上記第1の実施形態においては、Tフリップフロップ321等にコンデンサ324等から電力が供給されることで、開閉記録を保存する構成としたが、本実施の形態においては、ドレインコンデンサ356の蓄電状態の変化そのものによって開閉記録を保存する構成とした。以下、上述した第1記録保持回路350の動作について詳細に説明する。
パチンコ機10の電源がONの状態では、電源装置243からソースコンデンサ353に電力が供給され、ソースコンデンサ353が蓄電された状態となる。パチンコ機10の電源がOFFの状態では、ソースコンデンサ353は蓄電されているとともに、ドレインコンデンサ356は空になっている。かかる状態において、遊技機主部12が開された後、閉じられる際に、第1監視装置250から信号が出力される。出力された信号は、ダイオード355によって整流され、MOSFET354のゲート端子に到達する。これにより、ゲート端子354aにおける電圧がHIレベルとなることで、ソースコンデンサ353が放電され、放電された電気がMOSFET354を介してドレインコンデンサ356に流入する。かかる場合、プルアップ抵抗357によって、電流の一部がMOSFET354のゲート端子354aに導かれ、MOSFET354のゲート端子354aにおける電圧がHIレベルで維持された状態となる。これにより、ソースコンデンサ353からドレインコンデンサ356への電気の移動が継続される。両コンデンサ353,356間での電気のやり取りが終了した状態においては、ソースコンデンサ353はほぼ空、そしてドレインコンデンサ356はほぼ一杯となる。ドレインコンデンサ356はCPU310の入力ポートに電気的に接続されており、CPU310にて検出されるドレインコンデンサ356の電圧が変位(上昇)することとなる。
次に、主制御装置162のCPU310により実行される各制御処理の相違点を図31〜図33のフローチャートを参照しながら説明する。図31及び図32は電源投入時のメイン処理を示し、図33は電断時処理を示す。
図31及び図32に示すように、メイン処理においては、ステップS318で検知状態を更新した後、ステップS319にてメインスイッチ358のOFF信号を出力する。これにより、メインスイッチ358が開状態となり、MOSFET354のゲート端子354aへの信号が遮断される。すなわち、MOSFET354における電流の流れが遮断された状態となる。次にステップS320にて放電スイッチ359のON信号を出力する。ドレインコンデンサ356に電荷が蓄えられている場合には、その電荷が放電される。次に、ステップS321にて遅延スイッチ351のON信号を出力する。これにより、ソースコンデンサ353への電荷の蓄積が開始される。
次に電断時処理の相違点について説明する。図33に示すように、電断時には、ステップS603にて本体枠更新処理が行われた後、ステップS604にて遅延スイッチ351のOFF信号が出力される。これにより、電源供給ラインから第1記録保持回路350が切り離された状態となる。次に、ステップS605にて放電スイッチ359のOFF信号が出力される。これにより、ドレインコンデンサ356の放電が抑えられて状態となる。このように2つのスイッチ351,359のOFF信号が出力された後、ステップS606にてメインスイッチ358のON信号が出力される。メインスイッチ358がON状態となることで、MOSFET354のゲート端子354aへの信号の入力が許容される。故に、第1記録保持回路350が活動化された状態となる。なお、各スイッチ351,358,359はFET等のトランジスタによって構成するとよい。
第2記録保持回路360についても、第1記録保持回路350と同様の構成が設けられている。具体的には、第2記録保持回路360は、第1記録保持回路350と並列に配置されており、第2監視装置290からの信号が入力される構成となっている。また、第2記録保持回路360は、第1記録保持回路350同様に、ソースコンデンサ363,ドレインコンデンサ366,MOSFET364,プルアップ抵抗367,各種スイッチ361,368,369を備えている。これらの構成により、夜間等の電力供給が遮断された状態における、前扉枠14の開放事実の把握が可能となっている。なお、各スイッチ361,368,369は、上記スイッチ351等と同様に、FET等のトランジスタによって構成するとよい。
以上詳述した第2の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
記録保持回路350,360を設けたことで、夜間等の電力供給が遮断された状態における、遊技機主部12及び前扉枠14の開放事実の把握が可能となっている。これにより、節電に図りつつ、不正の抑制に貢献することができる。
遊技機主部12及び前扉枠14を閉じられることで電荷の移行が行われる構成とした。すなわち、遊技機主部12及び前扉枠14の閉動作をトリガとしてドレインコンデンサ356に電荷が蓄積される構成とした。このため、遊技機主部12及び前扉枠14を開放した際には、記録保持回路350,360は動作しない。仮に不正行為者が、ドレインコンデンサ356に蓄えられた電荷を強制的に放電させようとしても、遊技機主部12及び前扉枠14を開いた状態では電荷の移行が行われる前段階であるため、このような不正放電を行うことはできない。故に、開放検知記録の不正消去(すなわち不正行為の隠蔽)を回避しやすい構成となっている。なお、CPU310によって、ドレインコンデンサ356に加えソースコンデンサ353の電荷量の確認を行う構成とすることも可能である。これにより、ソースコンデンサ353に蓄えられた電荷の不正放電が行われた場合に、ドレインコンデンサ356に対する電荷の供給が阻害されたという事実を把握することが可能となる。
通常、パチンコ機10の電源が再投入されることで、コンデンサ353,363,356,366への電荷の補給及び放電が行われる。すなわち、遊技機主部12や前扉枠14の開放の記録が消去される。仮に、不正行為者が自身の不正行為を隠蔽するために、パチンコ機10の電源を投入した後、電源を落したとしても、不正の隠蔽を完全なものとするためには再び遊技機主部12や前扉枠14を閉じる必要がある。このように、再び遊技機主部12や前扉枠14を閉じる行為は記録保持回路350,360によって新たに保存されるため、このような不正行為の隠蔽を回避することが可能となっている。
各監視装置250,290からの信号がMOSFET354のゲート端子に到達することをトリガとして、ソースコンデンサ353,363及びドレインコンデンサ356,366間での電荷の移行が開始しされる構成とした。すなわち、監視装置250,290からの信号が一瞬であり継続的に保持されない構成であっても、コンデンサ353,363,356,366間の電荷の移行は継続される構成とした。これにより、各監視装置250,290に信号をHIレベルで保持するための構成が不要となり、構成の煩雑化を回避することが可能となっている。
また、本実施の形態においては、コンデンサ356等の容量の変化によって、開放を検知する構成とした。電源OFF時に遊技機主部12等の開放検知が何度行われても、コンデンサ356等の容量が開放検知前の状態に復帰することはない。これにより、開放検知の回数によらず確実な開放検知を担保している。言い換えれば、遊技機主部12等の開閉回数によって開放の検知が行えなくなるといった不都合が回避されている。これにより、開放検知機能の信頼性向上が図られている。また、開放検知の回数による差異をなくし、開放の検知が行われたという事実のみを記憶する構成としたことで、開放回数のカウントに関連する構成が不要となる。このため、記憶保持回路の構成を簡略化に貢献することができる。
(第3の実施の形態)
上記第2の実施の形態では、第1記録保持回路350及び第2記録保持回路360を用いることで遊技機主部12及び前扉枠14が開放された事実を把握する構成としたが、本実施の形態においては、この構成が簡略化されている。そこで以下に、各記録保持回路400,410についての詳細を図34に基づいて説明する。図34は本実施の形態における各記録保持回路400,410を示すブロック図である。
図34に示すように、第2の実施の形態と比較して、ドレインコンデンサ356,366及び放電スイッチ359,369が省略されている。更に、CPU310の入力ポートには、ソースコンデンサ353,363から延びる信号線LN5,LN6が接続されており、それらソースコンデンサ353,363に電荷が蓄えられているか否かを検知できる構成となっている。
かかる構成においては、電力供給が遮断された状態にて遊技機主部12や前扉枠14が閉じられることで、MOSFET354,364における電流の移動が許容される。これにより、ソースコンデンサ353,363の電荷が放電される。
次に、主制御装置162のCPU310により実行される各制御処理の相違点を図31〜図33のフローチャートを参照しながら説明する。上述したように放電スイッチ359,369が省略されているため、これに付随している各種処理も省略することができる。具体的には図32におけるステップS320と、図33におけるステップS605とを省略した処理が設定されている。また、S314の検知状態把握処理においては、ソースコンデンサ353,363の電荷量の確認が行われる。そして、S315及びS316においては、電源OFF時に充電されてほぼ一杯となった電荷が、電源ON時に変化しているか否かが判定される。具体的には、電源OFF時の電荷量から予め想定されている自然放電量を減算して設定される閾値と電源ON時の電荷量とが同程度になっているか否かが判定される。なお、上述の如く閾値と電源ON時の電荷量とが同程度になっているか比較する構成を変更し、閾値に対して電源ON時の電荷量が下回っているか否かを判定する構成とすることも可能である。また、電源OFF時と電源ON時の電荷量を比較するのではなく、電源ON時の電荷量が電源OFF時の電荷量と関係なく設定された基準値を下回っているか否かで判定する構成とすることも可能である。かかる場合、図33に示す電断時更新処理のS601〜S603を省略することができる。
以上詳述した第3の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
ソースコンデンサ353,363に蓄えられた電荷が放電されることで、遊技機主部12や前扉枠14が開放された事実を記憶する構成とした。不正行為者が遊技機主部12や前扉枠14の開放記録を消去しようと試みた場合、ソースコンデンサ353,363の電荷が放電された後に、電荷を再付与する必要がある。放電させる行為と比較して、電荷を充填する行為は一層困難であると考えられる。このため、防犯性の更なる向上に貢献し得ると考えられる。また、このように電荷を充填する行為は、遊技機主部12や前扉枠14を閉じた状態で行う必要があるため、不正の隠蔽工作を一層困難なものとすることができる。
また、仮にソースコンデンサ353,363の電荷量の増加により開閉体の開放を検知する構成とした場合、ソースコンデンサ353,363の電荷が自然放電等に起因して減少することで、開放検知が困難なものとなる可能性がある。具体的には、遊技機主部12等の動作に基づき蓄電された後、電荷量が自然放電等により蓄電前の状態と同一となるまで減少した場合、電荷量の変化がなかったものと誤認される可能性がある。かかる場合、遊技機主部12等が開放されたにもかかわらず、その開放事実を把握できない可能性が生じ得る。一方、本実施の形態に示すように、ソースコンデンサ353,363の電荷量の減少により遊技機主部12等の開放を検知する構成とした場合には、自然放電等により電荷量が所定量以下まで減少した場合であっても、元の電荷量との間に差が生じることとなる。このため、電荷量の変化を容易に把握することができる。かかる場合、電荷量の変化の要因が遊技機主部12等の開放に起因するか否かを特定することは困難となるが、少なくとも遊技機主部12等が開放された可能性があることを示唆し、不正に対する注意を促がすことはできる。これにより、パチンコ機10に対する不正の見逃しを抑制できる。
上述の如く、ドレインコンデンサ356等を省略し、構成の簡略化に貢献しつつも、遊技機主部12や前扉枠14の開放事実の把握機能を担保することが可能である。
(第4の実施の形態)
上記第1の実施の形態乃至第3の実施の形態においては、遊技機主部12や前扉枠14の開放事実を記録・保存するための構成を主制御基板301に搭載する構成としたが、本実施の形態においては、これらの各構成をそれぞれの監視装置に搭載する構成とした。そこで、以下にその構成について詳細に説明する。なお、以下の説明では、上記第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同一の構成については基本的に説明を省略する。図35は本実施の形態におけるブロック回路図である。
図35に示すように、本実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様に、主制御装置162、電源装置243、中継基板300、及び各監視装置420,430が設けられている。各監視装置420,430は磁性体261,293及びコイル271,295を有している。これら各構成の詳細については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
本実施の形態においては、第1監視装置420に第1監視基板421を搭載し、第2監視装置430に第2監視基板431を搭載した。これら各監視基板421,431は同様の構成を有しているため、ここでは第1監視基板421について説明する。
第1監視基板421には、第3の実施の形態で説明した記録保持回路400と同様の構成を有してなる第1記録保持回路422が設けられている。第1監視基板421にはコイル271の片側の端部が半田等の固着手段により固定されている。第1監視基板421には、中継基板300に信号を伝達する信号線LN1が取り付けられている。具体的には、信号線LN1は第1監視基板421に設けられたコネクタCN1と中継基板300に設けられたコネクタCN2とに着脱自在に接続されている。
中継基板300は、ハーネスH(詳しくは信号線LN2)を介して主制御基板301に接続されている。具体的にはハーネスHは、中継基板300に設けられたコネクタCN3と、主制御基板301に設けられたコネクタCN4とに着脱自在に接続されている。
主制御基板301の内部においては、電源装置243からの供給電力が分割されている。これら分割された電力は、CPUと中継基板300とに供給される構成となっている。中継基板300へ向かう電力の伝達経路には、電流の流れを許容又は遮断する遅延スイッチ351が設けられている。この遅延スイッチ351がONの状態で電流の流れが許容されるとともに、OFFの状態で電流の流れが遮断される構成となっている。両コネクタCN3,CN4間にはハーネスHを構成する電源線ELN2が接続されており、この電源線ELN2を介して中継基板300への電力の供給が実現されている。中継基板300のコネクタCN2と第1監視基板421のコネクタCN1との間にも電源線ELN3が接続されており、この電源線ELN3を介して、第1監視装置250への電力の供給が行われる構成となっている。すなわち、電源装置243から主制御基板301に供給された電力の一部は、電源線ELN2→中継基板300→電源線ELN3を経由して第1監視基板421のソースコンデンサに到達し、このソースコンデンサ353に蓄電される構成となっている。
かかる構成においては、ソースコンデンサ353の蓄電状況が信号線LN1,中継基板300,信号線LN2を介してCPU310の入力ポートに出力される。ソースコンデンサ353は、電力供給が遮断される際には電荷が蓄えられた状態となる。電源供給遮断時に遊技機主部12が開閉されることで(詳しくは閉じられることで)、ソースコンデンサ353の電荷が放電される。パチンコ機10が起動された際に、ソースコンデンサ353に電荷が蓄えられていないことを検知することで、遊技機主部12が開放された事実を把握することができる。
第2監視基板431においても同様に、信号線LN4及び電源線ELN4を介して中継基板300と繋がった状態となっている。また、信号線LN3及び電源線ELN2を介して主制御基板301と繋がっている。これにより、第2記録保持回路432から出力された開放検知信号がCPU310に入力される構成となっている。第2監視基板431の動作については第1監視基板421と同様であるため説明を省略する。
なお、主制御装置162のCPU310により実行される各制御処理については第3の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
以上詳述した第4の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
監視装置から記録保持回路(詳しくはMOSFET)への信号の伝達を遮断する等の不正を抑制することができる。監視装置からの信号がMOSFETに到達されない場合、記録保持回路の動作が正常に行われない可能性がある。本実施の形態においては、記録保持回路422,432(監視基板421,431)を監視装置420,430内に配置したことで、上述したような不正行為を困難なものとすることができる。すなわち、監視装置420,430と中継基板300とを繋ぐ信号線LN1,LN3を取り除いたり、中継基板300と主制御基板301とを繋ぐハーネスHを取り除いたりする等の不正行為が行われたとしても、記録保持回路422,432そのものへの影響を回避すること可能となっている。すなわち、信号線LN1等が取り外された状態で遊技機主部12等の開放が行われても、これを記録することが可能となっている。
また、上述の如く信号線LN1等が取り外されることで、CPU310の入力ポートへの信号の伝達が妨げられることが考えられる。本実施の形態においては、遊技機主部12等の開閉は、ソースコンデンサ353,363の電荷を元にCPU310で検知される。具体的には、パチンコ機10の電源をOFFにした際のソースコンデンサ353,363に蓄えられた電荷がそのまま残っているか否かで判定される。信号線LN1等が取り外されることでCPU310への信号が途絶えた場合には、ソースコンデンサ353,363の電荷が無くなったものとみなされる。これにより、遊技機主部12等の開放が行われた事実を間接的に把握することができる。故に、信号線LN1等の取り外しによって開放検知機能が損なわれるといった不都合を回避し、更なる防犯性の向上に貢献することができる。
(第5の実施の形態)
上記各実施の形態においては、電磁誘導によって遊技機主部12や前扉枠14の開放検知信号を生成し、その開放検知信号に基づいて遊技機主部12や前扉枠14の開放事実を記録・保存する構成としたが、本実施の形態においては、電磁誘導による信号発生手段の代わりに記録保持回路を開閉するスイッチを設ける構成とした。これにより、電気的構成の簡略化を図っている。そこで、以下にその構成について図36〜図38に基づき詳細に説明する。図36及び図37は第5の実施の形態におけるパチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図、図38は図36のB−B線部分断面図であり、図38(a)は前扉枠14が開放された状態を示し、図38(b)は前扉枠14が閉じられた状態を示す。
本実施の形態においては、図36や図37に示すように、本体枠13の回動先端側に前扉枠14の開放を監視するための第1監視装置440を設けた。第1監視装置440は本体枠13の樹脂ベース71に形成された取付孔71eに嵌まった状態でビス等の締結具により固定されている。より詳細には、取付孔71eは前後に貫通しており、この取付孔71eを介して第2監視装置460が前扉枠14側及び裏パックユニット15側に突出した状態となっている。また、本体枠13の回動基端側には遊技機主部12の開放を監視する第2監視装置460が設けられている。第2監視装置460も第1監視装置440と同様に、樹脂ベース71に形成された取付孔71fに嵌まった状態で固定されており、この取付孔71fを介して前扉枠14側及び裏パックユニット15側に突出した状態となっている。これら各監視装置440,460は同様の構成を有しており、その取付方向及びそれら監視装置440,460に付随して設けられる構成のみ異なっている。そこで、以下第2監視装置460について詳細に説明し、その後、第2監視装置460との相違点に基づいて第1監視装置440について簡単に説明する。
図38等に示すように、第2監視装置460は、本体枠13に対する取付部としてのケース体461と、ケース体461から前扉枠14の背面に向かって突出可能に設けられたプッシャ470とを備えている。ケース体461は前後方向に延びる円筒状の本体部462を有しており、その内部をプッシャ470が移動可能となっている。より詳しくは、本体部462の中心軸線と同一方向に移動可能となっている。本体部462の前側の開口部位には、プッシャ470の前方への移動を規制するストッパ部463が設けられている。プッシャ470にはストッパ部463と接触する接触部471が形成されており、これらストッパ部463と接触部471とが当たった状態ではプッシャ470の一部がケース体461における前側の開口部位から突出する構成となっている。プッシャ470の突出端には、前扉枠14の背面と当たる当接部472が形成されている。
本体部462の内部には、プッシャ470を前扉枠14に向かって付勢するコイルバネ465が設けられており、このコイルバネ465の付勢力によって、ストッパ部463と接触部471との接触状態が保持される構成となっている。コイルバネ465は本体部462の中心軸線方向に延びており、本体部462の内周面に沿って配置されている。より詳細には、コイルバネ465の一方の端部はプッシャ470に固定されており、他方の端部は本体部462の後側開口部位を塞ぐ取付板部464に固定されている。本体部462の内部空間には、第2監視基板466が配置されており、第2監視基板466は、ビス等の固定手段によって取付板部464に固定されている。この取付板部464における裏パックユニット15側にはコネクタCN6が固定されている。すなわち、取付板部464は第2監視基板466とコネクタCN6によって挟まれた状態となっている。取付板部464には、内外に貫通する連通孔467が形成されており、その連通孔467を介してコネクタCN6と第2監視基板466とが接続された状態となっている。
第2監視基板466と前記接触部471は図示せぬ配線によって接続されている。この接触部471は導電性を有する合成樹脂材料によって形成されている。また、第2監視基板466はストッパ部463とも図示せぬ配線によって接続されており、ストッパ部463は導電性を有する合成樹脂材料によって形成されている。すなわち、これら接触部471及びストッパ部463は各配線の接続端子を構成している。本実施の形態においては、ストッパ部463と接触部471が接触することで、第2監視基板466を中心とする検知回路が閉じた状態となる。この第2検知回路478に関する詳細は後述する。
なお、ケース体461及びプッシャ470におけるストッパ部463及び接触部471以外の部位には導電性を有さない樹脂材料が用いられており、ストッパ部463と接触部471との接触状態以外を契機として上記検知回路が閉じない構成となっている。
ここで、第2監視装置460の動作について図38を用いて説明する。図38(a)に示すように、前扉枠14が開放された状態においては、コイルバネ465の付勢力によってプッシャ470が前方に突出する。かかる場合、プッシャ470の接触部471がケース体461のストッパ部463当たり前方への移動が規制された状態となっている。かかる状態においては、上述した検知回路が閉じた状態となる。
前扉枠14が本体枠13に対して閉じられる際には、前扉枠14の背面がプッシャ470の当接部472に当たる。これにより、前扉枠14の閉動作に伴ってプッシャ470がケース体461の奥側に押し込まれる。より詳しくは、当接部472がコイルバネ465の付勢力よりも大きな外力によって押し込まれることで、プッシャ470が移動する。プッシャ470の移動によって、接触部471はストッパ部463から離間し、上述した検知回路が開いた状態となる。このように、前扉枠14における当接部472と対向する部分(操作部14d)は第2監視装置460を操作する操作部としての機能を有している。
第1監視装置440も第2監視装置460と同様に、ケース体441,プッシャ450,コイルバネ445,第1監視基板446を備えている。またケース体441にはストッパ部443が、そしてプッシャ450には接触部451及び当接部452がそれぞれ設けられている。以下、図36及び図37に基づいて第2監視装置460との相違している部分について具体的に説明する。
第2監視装置460の当接部472がパチンコ機10の前方、すなわち前扉枠14側に露出しているのに対して、第1監視装置440の当接部452はパチンコ機10の後方、すなわち裏パックユニット15側に露出している。具体的には、第2監視装置460は、樹脂ベース71に形成された取付孔71fにプッシャ470を前側、コネクタCN6を後側として嵌め込まれた状態で固定されている。
第2監視装置460におけるプッシャ470の当接部472が前扉枠14(詳しくは操作部14d)に当たるのに対して、第1監視装置440のプッシャ450の当接部452は外枠11に当たる構成となっている。より具体的には、外枠11には、当接部452と当たる操作部(図示略)が設けられている。操作部は当接部452と対向する板状をなし外枠11にビス等の締結具によって固定されている。この操作部が当接部452に当たり、プッシャ450がパチンコ機10の前方に押し込まれることで、ストッパ部443と接触部451との接触状態が解除される構成となっている。
次に、本実施の形態における電気的構成を前記第4の実施の形態と比較して説明する。図39は第5の実施の形態における電気的構成を示すブロック図である。
図39に示すように、本実施の形態では、上記第4の実施の形態と同様に、主制御装置162、電源装置243、中継基板300が設けられている。すなわち、各監視装置440,460に設けられた監視基板446,466等の詳細な構成が異なっている。なお、主制御装置162及び中継基板300の接続に関する構成や、中継基板300及び各監視基板446,466の接続に関する構成も第4の実施形態と同様であるため、説明を省略する。また各監視基板446,466は同様の構成を有するため、以下第2監視基板466を取り上げて詳細に説明する。
第2監視基板466には、第4の実施の形態で説明したソースコンデンサ353等と同様のソースコンデンサ475が設けられており、ソースコンデンサ475はプッシャ470の接触部471と接続されている。また第2監視基板466には、プルダウン抵抗476が設けられ、このプルダウン抵抗476は接地(アース)されている。プルダウン抵抗476はケース体461のストッパ部463に接続されている。かかる構成において、接触部471とストッパ部463とによってスイッチ477が形成されており、これらスイッチ477,ソースコンデンサ475,プルダウン抵抗476によって第2検知回路478が形成されている。
ここで第2検知回路478の動作について簡単に説明する。夜間等における電力供給が遮断された状態においては、ソースコンデンサ475には所定量の電荷が蓄えられている。かかる状態においては、スイッチ457が開いた状態となっており、ソースコンデンサ475の電荷が保持される。一方、電力供給が遮断されている間に、前扉枠14が開放された際には、スイッチ477が閉じた状態となり、ソースコンデンサ475の電荷がプルダウン抵抗476に向かって流れ放電される。これにより、ソースコンデンサ475の電荷量が減少する。ソースコンデンサ475の電荷量に関する情報については、上記第2乃至第4の実施の形態と同様に、CPU311に出力され、前扉枠14の開放が行なわれたか否かが判定される。
なお、CPU311にて行われる制御処理については、第3の実施の形態における各スイッチ368,369の制御が省略される点のみ異なるため、詳細な説明は省略する。
また、第1監視装置440の第1監視基板446については、上述の如く第2監視装置460の第2監視基板466と同様の構成を有している。より詳しくは、第1監視基板446は、ソースコンデンサ455,プルダウン抵抗456,スイッチ457を備えており、これらソースコンデンサ455等によって第1検知回路458が構成されている。
第1検知回路458における具体的な動作については、第2検知回路478と同様であるため説明を省略する。
以上詳述した第4の実施の形態によれば、上記各実施の形態と比較して、電気的構成を簡略化することで、CPU310に生じる制御負荷を低減することができるという優れた効果を奏する。
特に第1監視装置440については、本体枠13の回動先端側に配置されているため、本体枠13の回動角度に対する、当接部452と外枠11の操作部との相対位置の変位を担保しやすい構成となっている。このため、本体枠13(詳しくは遊技機主部12)の開放角度が小さい場合であっても、プッシャ450を好適に動作させることができる。すなわち、本体枠13の開放に対する第1監視装置440の応答性の向上に貢献している。これにより、例えば本体枠13を少しだけ開放し、その隙間からワイヤ等の不正具が挿入されるといった不都合を好適に抑制することができる。なお、第2監視装置460も本体枠13の回動先端側に配置することも可能である。かかる場合、遊技盤81の遊技領域に対する不正を好適に抑制することが可能となる。
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記各実施の形態では、遊技機主部12及び前扉枠14の開放検知情報をパチンコ機10内部にて保存し、その保存された情報を元にCPU310の処理にて遊技機主部12等の開放が行われたか否かを判定する構成としたが、これを変更し、保存された情報を外部端子板213を介してホールコンピュータに出力し、ホールコンピュータにて遊技機主部12等の開放が行われたか否かの判定を行う構成としてもよい。
また、上記第1乃至第3の各実施の形態では、遊技機主部12及び前扉枠14の開放検知情報をパチンコ機10内部にて保存し、その保存された情報を元にホールコンピュータに信号を出力する構成としたが、これを以下のように変更してもよい。すなわち、監視装置250,290から出力される信号を外部端子板213を介して島設備のホールコンピュータに直接送る構成としてもよい。これにより、信号の保存等に関する構成をホールコンピュータ側に配置することができる。より具体的には、カウンタ回路320や記録保持回路350等をホールコンピュータ側に配置する等すればよい。このようにホールコンピュータ側に記録及び判定等に関する構成をまとめることが可能であるため、島設備に配置される各遊技機の構成を煩雑化することなく防犯性の向上に貢献できる。また、ホールコンピュータ側に開放検知に関する構成がまとめられることで、機種変更等の際にこれらの構成を流用可能となる。故に、開放検知に関する構成のリユース性向上が期待できる。
(b)上記各実施の形態では、遊技機主部12及び前扉枠14の両者に開放検知のための構成を設けたが、いずれか一方にのみ開放検知のための構成を追加することも可能である。また、本実施の形態においては、各監視装置250,290を別個独立して設けたが、これらを一体化することも可能である。
(c)上記各実施の形態では、遊技機主部12及び前扉枠14の閉時においては確実な開放検知が行われ、開時においては開放を検知するか否かのばらつきが生じる構成としたが、遊技機主部12及び前扉枠14の開時及び閉時の両方にて確実に開放検知を行う構成としてもよい。
また、遊技機主部12及び前扉枠14の開時においては確実な開放検知が行われ、閉時においては開放を検知するか否かのばらつきが生じる構成とすることも可能である。但し、かかる場合、遊技機主部12等の開放に伴って開放検知が行われるため、開放検知が行われた際には、遊技機主部12等が開放された状態となりやすい。このように、遊技機主部12等が開放されていることで、遊技機内部へのアクセスが容易となり得る。例えば、主制御装置162等への不正なアクセスがなされ、開放検知記録が変更又は消去されるといった不都合が生じ得る。故に、上記変更を実施する際には、開放検知記録の変更等を防止するための構成が必要になると考えられる。
(d)上記各実施の形態では、「可動部」として施錠装置170の鉤金具185及び鉤受け部材180を使用したが、これに限定されるものでなく、以下のように変更してもよい。すなわち、遊技機主部12や前扉枠14の動作をトリガとして動作する動作機構を別途設けてもよい。例えば、動作機構が、所定の方向に往復移動する移動体と、移動体をその移動方向に付勢する付勢部材(バネやゴム等)と、移動体の位置を規制する規制部とを備える構成とするとよい。移動体は付勢部材の付勢力に抗して配置されている初期位置と、付勢部材の付勢力によって移動される動作位置との2位置間で移動可能に設定する。また、規制部は、遊技機主部12が閉じらた状態において移動体の移動を許容する許容位置と、遊技機主部12が開放された際に移動体の移動を規制する規制位置とで切替可能に設ける。遊技機主部12には規制部を操作する操作部を設け、操作部が規制部に当たることで、規制部が許容位置に切り替わる構成とする。これら操作部と規制部は遊技機主部が閉じられた際に当る構成とするとよい。また、遊技機主部12には移動体を付勢部材の付勢力に抗して移動させる移動体案内部が設け、遊技機主部12の開放に伴って移動体が初期位置に案内される構成とする。かかる場合、操作部が規制部から離間することで規制部が規制位置に切り替わる。これにより移動体が初期位置に保持された状態となる。
このように、施錠装置と独立して動作機構を設けることで、起電力発生手段や検知装置の配置自由度の向上に貢献することができる。なお、上述した構成を前扉枠14に適用することも可能である。
(e)上記各実施の形態では、移動可能に設けられた磁性体261が、固定された「導体」としてのコイル271に対して移動することで、両者の相対位置が変位する構成としたが、これを以下のように変更することも可能である。すなわち、固定された磁性体に対して、移動可能に設けられた導体が移動する構成とすることで両者の相対位置が変位する構成とすることも可能である。但し、導体を移動させる構成とした場合、導体から延びる配線を導体自身の移動量を見越して長くすることが望ましい。
また、「磁性体」として棒状の磁石を用いることとしたが、これに限定されるものではない。例えばU字状の磁石を用いることも可能であるし、2つの板状の磁性体を対向配置して用いることも可能である。以下、上述した変形例のうち後者について具体的に説明する。磁性体261の代わりに鉄製の棒状体を収容体262に装着する。そして、導体ユニット270の代わりに相対向する板状の磁性体をハウジング280内に配置する。移動可能に設けられた棒状体が両磁性体の間を通過することで、電磁誘導が発生する構成とすればよい。かかる場合、棒状体をその移動方向と直交する方向を向くように装着することが望ましい。これにより、棒状体が通過する磁場領域の範囲を広げ、電磁誘導の発生を容易なものとすることができる。
(f)上記各実施の形態では、遊技機主部12と外枠11との一対の開閉機構において、遊技機主部12側に磁性体261と「導体」としてのコイル271とをまとめて配置したが、これを以下のように変更することも可能である。例えば、磁性体及び導体の両者を外枠11に配置することも可能である。また、磁性体及び導体のうちいずれか一方を遊技機主部12に配置するとともに、他方を外枠11に配置することも可能である。かかる場合、遊技機主部12と外枠11との相対位置のばらつきに起因して、磁性体と導体との相対位置もばらつきやすくなると考えられる。このような相対位置のばらつきによって、誘導起電力の大きさもばらつきやすくなると想定される。故に、望ましくは磁性体及び導体は遊技機主部12や外枠11等の同一の対象に配置するとよい。
(g)上記各実施の形態では、各監視装置250,290からの信号を中継基板300にまとめる構成としたが、これを以下のように変更してもよい。すなわち、各監視装置250,290に別々の中継基板を設けてもよい。かかる場合、ハウジング280,291内部に中継基板を配置することも可能である。また中継基板300を省略することも可能である。
(h)上記各実施の形態では,起電力発生手段において、磁性体と導体との相対位置の変化による電磁誘導によって発生される起電力を利用したが、これを変更し、圧電素子(ピエゾ素子等)に圧力が加わることで発生される起電力を利用することも可能である。
(i)上記各実施の形態では、各監視装置250,290におけるコイル271及びコイルバネ285にそれぞれ別個独立の機能を付与したが、両者の機能を1のコイルに付与することも可能である。例えば、コイル271をバネとして使用してもよい。より具体的には、ボビン272のストッパ部274を排除するとともに、コイル271の磁性体ユニット260側の一端部が収容体262に固定される構成とすればよい。これにより、コイルバネ285を削除することができる。但しかかる場合、磁性体ユニット260の移動に伴ってコイル271も伸縮するため、両者の相対変位速度が小さくなることが懸念される。かかる場合、電磁誘導が十分に行われない可能性がある。そこで、磁性体261に磁力の強い磁石を採用したり、コイル271の巻き数を増す等したりすることが望ましいと考えられる。
(j)上記第1の実施の形態では、遊技機主部12及び前扉枠14に個別に対応するカウンタ回路320,330を設けたが、これを変更し、遊技機主部12及び前扉枠14の開閉回数をまとめてカウントするカウンタ回路を1つ設けることも可能である。かかる場合、両監視装置250,290からの信号線を中継基板300又は主制御基板301等にてまとめ、そのまとめられた信号を統合されたカウンタ回路に入力する構成とすればよい。これにより、遊技機主部12及び前扉枠14の開放検知機能を担保しつつ、構成の簡略化に貢献することができる。
同様に、第2及び第3の実施の形態においても、各記録保持回路350,360等を統合し1つの記録保持回路によって遊技機主部12及び前扉枠14の開閉を検知することも可能である。かかる場合、遊技機主部12及び前扉枠14のうちいずれかが開放されたかを判別することは困難となるが、少なくとも不正が行なわれた可能性があることを示唆することはできる。
(k)上記第1の実施の形態では、両Tフリップフロップ321,322に対する電力供給源としてのコンデンサ324を1つでまとめる構成としたが、これを変更し、それぞれのTフリップフロップ321,322に個別のコンデンサを設定してもよい。Tフリップフロップ331,332に関しても同様の変更は可能である。
(l)上記第1の実施の形態では、Tフリップフロップ321,322を直列に2つ繋げることで第1カウンタ回路320を構成したが、Tフリップフロップの数はこれに限定されるものではなく、少なくとも複数備えていればよい。Tフリップフロップの数を増すことで、1サイクル中における開放検知回数の上限をあげることができるため、遊技機主部12等の開閉を繰り返すことでTフリップフロップを不正開放前の状態に戻すといった不正行為を困難なものとすることができる。なお、Tフリップフロップを1つだけ設ける構成とすることも可能であるが、開動作及び閉動作の両動作に基づいてそれぞれプラス電圧が発生する構成にあっては、一度の開閉動作によってTフリップフロップの状態が1サイクル分切り替わり元の状態に復帰する可能性がある。このため、望ましくは複数のTフリップフロップを具備するとよい。
なお、Tフリップフロップ321等に代えてJ−KフリップフロップやDフリップフロップ等の他のフリップフロップを用いることも可能である。
(m)上記第2の実施の形態では、ドレインコンデンサ356,366の蓄電状況のみをCPU310にて確認する構成としたが、これに加えて、ソースコンデンサ353,363の蓄電状況をCPU310にて確認する構成としてもよい。これにより、更なる防犯性の向上が期待できる。
(n)上記第2の実施の形態における、放電スイッチ359,369と接地(アース)との間にプルダウン抵抗を設けることも可能である。これにより、ドレインコンデンサ356等に蓄えられた電荷をより好適に放電することができる。
(o)上記第3及び第4の実施の形態では、主制御基板301又は各監視装置420等に記録保持回路350,420等を配置したが、これを変更し、中継基板300に配置することも可能である。
(p)上記各実施の形態では,「付勢手段」としてコイルバネ192等を用いる構成としたが、これを変更し、板バネやゴム等を用いる構成としてもよい。
(q)上記各実施の形態では、コイル271の取付部材として、ボビン272を用いたが、これを用いない構成とすることも可能である。
(r)上記各実施の形態では、各監視装置250,290からの信号が主制御装置162に入力される構成としたが、これを変更し、各監視装置250,290からの信号が音声ランプ制御装置143等の他の制御装置に入力される構成とすることも可能である。すなわち、他の制御装置において、遊技機主部12等の開閉を検知する構成とすることも可能である。
(s)上記各実施の形態では、図25や図31に示すように、検知状態把握処理S314〜検知状態の更新処理S318の各処理を、RAM消去スイッチがオンの場合にのみ実施する構成としたが、これを以下のように変更することも可能である。すなわち、RAM消去スイッチがオフの場合にも同様の検知状態把握処理S314〜検知状態の更新処理S318各処理を行ってもよい。例えば、音声ランプ初期化コマンドの出力処理S307の直前に上記各処理S314〜S318を追加するとよい。
(t)上記実施の形態とは異なる他のタイプの遊技機にも適応可能である。例えば、遊技球を遊技媒体として用いるパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の弾球遊技機に適用可能である。また、遊技球を遊技媒体として用い、いわゆるスロットマシンに類似した遊技を行うことのできる球使用回胴遊技機(いわゆる、パロット)へも適用できる。
以上詳述した各実施の形態における構成及び(a)〜(t)の各別例における構成のそれぞれを、任意に組み合わせた構成とすることも可能である。例えば、各実施の形態の構成と複数の別例を組み合わせてもよい。