はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明を、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
以下の各手段は、「遊技機の一種であるパチンコ機は、外枠に対して開閉可能に取り付けられた本体枠と、本体枠に対して開閉可能に取り付けられた前面扉とを備えている。また、パチンコ機には、制御装置が設けられているとともに、外枠に対する本体枠の開放や本体枠に対する前面扉の開放を検知する開放スイッチが設けられている。そして、前面扉や本体枠が開放された場合には、それらの開放が開放スイッチにより検知され、その検知結果が制御装置に入力される。制御装置では、開放スイッチからの検知結果に基づいて前面扉や本体枠が開放されたと判断した場合、スピーカ部やランプ部を用いてその旨の報知などを実行する(例えば、特開2002−320744号公報参照)。ここで、パチンコ機においては、前面扉を開放し、本体枠の前面側に設けられた遊技領域に対して不正を行う行為が想定される。また、本体枠を開放し、本体枠の背面側に搭載された制御装置に対して不正を行う行為も想定される。これに対して、パチンコ機の電源が投入されている状況では、上記のとおり、前面扉や本体枠の開放が制御装置において把握され、それに対して報知処理などが実行されるため、遊技ホールの管理者等は上記不正行為に対処することができる。しかしながら、遊技ホールでは通常、パチンコ機の継続的な通電に起因した遊技部品等の劣化を抑制したり省エネルギ化を実現したりするために、閉店後にはパチンコ機の電源を遮断している。パチンコ機の電源遮断後には、制御装置への電力の供給が停止され、前面扉や本体枠が開放されたことを制御装置にて把握することができず、それに伴って上記のような報知処理などは実行されない。したがって、従来のパチンコ機では、電源遮断中における上記不正行為に対処することが困難であった。なお、上記問題は、パチンコ機に限って発生するものではなく、前面扉や本体枠などの開閉体を有する他の遊技機、例えばスロットマシンやパロット等にも同様に発生し得る。」という技術背景及び課題等を解決するためになされたものである。
手段1.支持対象(外枠11や本体枠13)に対して開閉可能に支持された開閉体(遊技機主部12や前扉枠14)と、
当該開閉体の背面側又は後方に設けられ、外部電源から供給される電力に基づいて動作する電気機器(主制御装置162や払出制御装置242等)と、
前記外部電源からの電力供給が行われている状況では第1位置に移動し、電力供給が遮断されている状況では第2位置に移動する移動体(動作軸277の遮蔽部277b)と、
前記開閉体が開放された状態では、前記移動体における第1位置及び第2位置の両位置間での移動を許容し、前記開閉体が閉じた状態では、前記移動体における両位置間での移動を規制する規制部(突起14bや突起296)と、
少なくとも前記外部電源から電力供給が開始された場合に、前記移動体の位置を検知する検知手段(検知装置265)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
手段1の遊技機では、少なくとも電力の供給が開始された際に移動体の位置が検知される。その検知結果に基づいて、電力の供給が停止されている間に開閉体が開閉されたかどうかを確認することができる。
電力供給状態で開閉体を閉じている場合、移動体は第1位置に存在している。開閉体が閉じられた状態のまま電力の供給が停止されると、移動体は第2位置へ移動しようとする。しかしながら、その移動体の移動は規制部によって規制される(妨げられる)。以下この状態を待機状態という。この待機状態で電力の供給が再開されると、検知手段によって移動体が第1位置に存在していると検知される。
一方、待機状態において開閉体が開放された場合には、移動体の移動が許容される。このため、移動体は第2位置へと移動する。再び開閉体が閉じられることで、規制部は移動体の移動を規制する状態へと移行される。すなわち、移動体の第2位置から第1位置への移動が規制された状態となる。この状態で電力の供給が再開されると、移動体は第1位置へ移動しようとする。しかしながら、規制部によってその移動が妨げられるため、第2位置に留まった状態となる。このため、検知手段によって第2位置に存在していると検知される。
上述の如く、電力の供給が停止した状態で、開閉体の位置が切り替わることで、開閉体の開放が行なわれたことに起因する構造的な変化を生じさせることができる。そして、開閉体が閉じられることで、この変化を構造的に保存することができる。これにより、電力の供給が開始された際に、待機状態にて開閉体の開放が行なわれた事実を確認することができる。このように構造的側面から開閉体の開閉事実を保存することができる構成とすることで、夜間等に電力の供給を継続して行うことを回避しつつ、すなわちエネルギの節約(省エネ)に貢献しつつ、遊技機に対して行なわれる不正行為を抑制することができる。
なお、本手段に示す「第1位置」及び「第2位置」は所定の場所を示し、移動体が移動可能な所定の範囲を有していてもよい。
また、「少なくとも前記外部電源から電力供給が開始された場合」とは、電力の供給が開始されたその時点や、電力の供給が開始された後を示すものである。
手段2.前記検知手段によって、前記第1位置及び前記第2位置のいずれか一方の位置における前記移動体の有無が判定されることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
移動体の位置を検出するには、各位置に個々に対応する検知手段を設定することが考えられる。このように移動体の存在を全ての位置にて検知する構成とすると、移動体の位置を確実に把握することができる反面、検知手段の構成が煩雑化する可能性が生じる。
本手段に示すように、第1位置及び前記第2位置のいずれか一方の位置における移動体の有無の判定を行う構成とすることで、移動体の位置検知機能を担保しつつ、検知手段の構成の簡略化に貢献できる。例えば、移動体が第1位置及び第2位置の両位置間でのみ切り替え可能である場合、第1位置及び前記第2位置のいずれか一方の位置における移動体の有無の判定を行う構成とすることで、移動体がいずれの位置にあるかを直接的又は間接的に把握できる。これにより、移動体の位置の検知を確実なものとしつつ、検知手段の構成の簡略化に貢献することができる。
手段3.前記移動体を前記第2位置に向かって常時付勢する第2位置付勢手段(動作軸277の自重)と、
前記外部電源からの電力が供給されている状況にて、前記移動体を前記第1位置に向かって付勢する第1位置付勢手段(動作機構275のソレノイド276)と
を備え、
前記第1位置付勢手段の付勢力が前記第2位置付勢手段の付勢力よりも大きく設定されていることを特徴とする手段1又は手段2に記載の遊技機。
移動体を第1位置及び第2位置の両位置にて移動可能とするには、本手段に示すように、2つの付勢手段を設けるとよい。電力が供給されている状態においては、第1位置付勢手段の付勢力が第2位置付勢手段の付勢力に勝り、移動体は第1位置に移動可能となる。一方、電力の供給が停止している状態においては、第2位置付勢手段の付勢力によって、移動体が第2位置に移動可能となる。これにより、実用上好ましい構成を実現することができる。例えば、第2位置付勢手段としてバネ等の弾性部材を用いるとともに、第1位置付勢手段としてソレノイドアクチュエータ等の電気式アクチュエータを用いるとよい。
手段4.前記第2位置は、前記第1位置よりも下方に設定されていることを特徴とする手段1乃至手段3のいずれか1つの手段に記載の遊技機。
手段4によれば、第2位置が第1位置よりも下方に設定されているため、移動体の移動方向成分には上下方向成分が含まれる。これにより、移動体の自重落下を利用した第1位置から第2位置への移動を可能とし、移動体を移動させるための構成を簡略化できる。
特に手段2との組み合わせに(第1位置付勢手段及び第2位置付勢手段を有する構成)においては、第2位置付勢手段として移動体の自重を利用すればよい。
手段5.前記規制部は、前記移動体の両位置間での移動を規制する規制状態と、前記移動体の移動を許容する許容状態とに、前記開閉体の開閉に伴って切り替え可能に設けられていることを特徴とする手段1乃至手段4のいずれか1つの手段に記載の遊技機。
手段5によれば、規制部を開閉体の開閉に伴って切り替え可能とすることで、規制部の状態切り替えのための動力を別途設ける必要がない。すなわち、電力の供給が停止した状態においても、規制部の切り替えを機械的側面から実現することができる。例えば、規制部が開閉体の開閉運動に追従して移動する構成とすればよい。
手段6.前記規制部は、前記移動体の移動経路上の位置と、移動経路から離れた位置とで切り替え可能に設定され、
前記支持対象及び前記開閉体のうちいずれか一方が前記移動体を備え、他方が前記規制部を備えていることを特徴とする手段1乃至手段5のいずれか1つの手段に記載の遊技機。
手段6によれば、規制部が、移動体の移動経路上に位置することで移動体の移動を規制し、移動体の移動経路から離間することで移動体の移動を許容する構成とすることができる。それら規制部及び移動体が開閉体と支持対象とに別々に設けられていることで、開閉体の開閉動作に伴って両者の位置関係を容易に変化させることができる。すなわち、規制部の移動体に対する相対位置を容易に切り替えることができる。これにより簡易な構成の実現に貢献できる。例えば、両者の相対位置の変位方向を開閉体の開閉方向と同一とすることで、開閉体の開閉による相対位置の変位を積極的に利用することができる。これにより、規制部と移動体(詳しくはその移動経路)と相対位置の変位量を担保しやすい構成とすることができ、より確実な切り替えの実現に貢献することができる。
手段7.前記開閉体は、前記支持対象に対して回動可能に取り付けられており、少なくともと前記移動体及び前記規制部は前記開閉体の回動先端側に配置されていることを特徴とする手段6に記載の遊技機。
手段7によれば、少なくとも移動体及び規制部は開閉体の回動先端側に配置されている。このため、両者が回動基端側に配置されている場合と比較して、開閉体の開放角度に対する相対位置の変位量を担保しやすくすることができる。すなわち、開閉体の開放角度が小さい場合であっても、移動体の移動が許容されている状態へ移行されやすい。故に、開閉体の開放度による不正検知機能への影響を受けにくい。例えば、開閉体を少しだけ開けて不正を行うことで、規制部による規制状態の解除が行われにくくするといった不都合を好適に抑制することができる。特に、遊技球が流下する遊技領域を有するパチンコ機等の遊技機においては、開閉体を少しだけ開いた状態での不正が生じ得る。しかしながら上述した構成の適用により、このような不正行為に対する抑制効果を担保することができる。
手段8.前記検知手段は、外部電源からの電力供給が行われている状況において信号を発する送信部(発光素子266)と、前記開閉体が閉じた状態で前記信号を受信可能な受信部(受光素子267)とを少なくとも備え、
前記移動体が第2位置にある状態では、当該移動体によって、前記送信部から発せられた信号が前記受信部に到達する前に遮蔽されることを特徴とする手段7に記載の遊技機。
手段8によれば、発信部から発せられた信号が受信部に到達する前に、移動体に遮られることで、移動体が第2位置に存在していることを検知することができる。かかる場合、電力の供給が停止している間に開閉体の開放が行なわれた可能性があることを把握することができる。
また、電力が供給されている状態において送信部から発せられた信号は、開閉体が閉じた状態でのみ受信部に到達する。これにより、開閉体が閉じた状態であることを検知することができる。一方、開閉体が開放された状態では、信号の受信が行なわれない。これにより、開閉体が開放された状態であることを検知することができる。つまり、検知手段は、外部電源からの電力供給が遮断されている状況及び電力供給が行われている状況のいずれにおいても、開閉体の開放を監視する機能を有することとなり、それぞれの機能を別々の構成にて具現化する場合と比べて、遊技機の部品点数の増加を抑えることができる。
例えば、発信部を光を発する発光部とし、受信部を光を受ける受光部とするとよい。
手段9.前記発信部から発せられた信号が前記開閉体の閉状態でのみ通過可能な信号通過経路を備え、前記信号通過経路は少なくとも前記開閉体と前記支持対象との境界領域に設定されていることを特徴とする手段8に記載の遊技機。
開閉体が閉状態でのみ、信号の送受信が可能な構成とするには、本手段に示すように、信号通過経路を少なくとも開閉体と支持対象との境界領域に設定するとよい。これにより、開閉体の開閉検知を簡易な構成で実現することができる。
手段10.前記検知手段は、
前記開閉体及び前記支持対象のうち少なくともいずれか一方に配置され、他方に向かって光を発する発光部(発光部266)及びその光を受ける受光部(受光部267)と、
他方に設けられ、前記開閉体が前記支持対象に対して閉じた状態において、前記発光部からの光を前記受光部に向けて反射する反射部(光反射部材274の反射面274b,274c)と
を有し、
前記移動体は光を遮蔽する遮蔽部(遮蔽部277b)を備え、
前記遮蔽部は、前記移動体が第2位置にある状態において、前記発光部及び前記受光部の少なくともいずれかと前記反射部材との間に位置していることを特徴とする手段7に記載の遊技機。
手段10によれば、発光部から発せられた光が受光部に到達する前に移動体の遮蔽部によって遮られることで、移動体が第2位置に存在していることを検知することができる。かかる場合、電力の供給が停止している間に開閉体の開放が行なわれた可能性があることを把握することができる。
また、電力が供給されている状態において発光部から発せられた光は、開閉体が閉じた状態でのみ受光部に到達する。これにより、開閉体が閉じた状態であることを検知することができる。一方、開閉体が開放された状態では、光の受け渡しが行なわれない。これにより、開閉体が開放された状態であることを検知することができる。つまり、検知手段は、外部電源からの電力供給が遮断されている状況及び電力供給が行われている状況のいずれにおいても、開閉体の開放を監視する機能を有することとなり、それぞれの機能を別で設ける構成に比して、遊技機の部品点数の削減が図られる。
上述の如く、検知手段を追加することで、構成の煩雑化が生じるおそれがある。特に配線等の取り廻しが煩雑化することで、遊技機の製造工程が複雑化したり、メンテナンス等の際の作業性が悪化したりすると懸念される。本手段においては、開閉体又は支持対象に発光部と受光部とをまとめて設けることで、配線の取り廻しの煩雑化を抑制することができる。例えば、支持対象に発光部及び受光部を設け、開閉体に反射部を設けるとよい。これにより、開閉体の重量の増加を抑えることができるため、開閉体の建付け等への影響を抑えつつ、開閉体の開放検知を実現することができる。また、近年では機種交換の際に、開閉体を交換し、支持対象を共通で使用することで遊技機のリユース性の向上が図られている。上述の如く、発光部及び受光部を支持対象にまとめて配することで、構成部品が増加しつつも、それらのリユース性の向上に貢献できる。
手段11.前記検知手段は、前記移動体が前記第1位置及び前記第2位置のいずれか一方にある状態において前記移動体に当接するスイッチ(スイッチ410)を有していることを特徴とする手段1乃至手段7のいずれか1つの手段に記載の遊技機。
手段11によれば、スイッチと移動体とが当たるか否かによって、移動体が第1位置及び第2位置のいずれかに存在しているかを検知することができる。光センサ等を用いることで移動体の位置を検知する場合と比較して、検知装置を稼動させるのに必要な電力を抑えることが容易である。これにより、省エネへの貢献度向上に寄与できる。
手段12.前記スイッチは、前記移動体から離間している離間位置と、前記移動体に接触する接触位置との両位置間で変位可能に構成され、
前記スイッチの変位方向が前記移動体の移動方向と同一方向に向けて設定されていることを特徴とする手段11に記載の遊技機。
手段12によれば、移動体の移動方向とスイッチの変位方向とを同一とした。これにより、移動体とスイッチとの接触方向に所定の負荷を発生させることが容易となる。例えば、遊技機が揺れる等した場合であっても、移動体とスイッチとの接触状態を保持することが容易となる。
手段3及び手段4との組み合わせにおいては特に、移動体が第2位置にある状態にて両者が当接する構成とすればよい。これにより、移動体の自重又は第2位置付勢手段により、移動体とスイッチとの接触状態を一層好適に担保できる。
手段13.前記外部電源に接続され、前記検知手段による検知結果に基づき所定の不正発生及びその可能性を報知する報知手段(エラー表示ランプ部24やスピーカ部26や図柄表示装置91等)を備えていることを特徴とする手段1乃至手段12のいずれか1つの手段に記載の遊技機。
手段13によれば、報知手段を遊技機に設けることで、開閉体の不正開放の検知及びその報知を遊技機にて完結することができる。これにより、ホールの営業形態に左右されず、不正対策機能を有する遊技機の導入を促進することができる。例えば、遊技機が絵柄表示装置(絵柄表示装置91)やランプ部(エラー表示ランプ部24)やスピーカ(スピーカ部26)等を有する構成においては、それら絵柄表示装置等を報知手段として利用すればよい。
手段14.前記支持対象は、少なくとも前記開閉体における回動先端側の外周縁を遊技機側方から覆う遮蔽部(開口フランジ13a)を有し、
前記遮蔽部と前記開閉体との重なりが、前記開閉体の回動が所定の角度に到達するまで維持される遊技機であって、
前記規制部と前記移動体の移動経路との交差状態が維持される前記開閉体の開動角度のが、前記遮蔽部と前記開閉体との重なりが維持される開閉体の回動角度よりも小さく設定されていることを特徴とする手段6又は手段7に記載の遊技機。
手段14によれば、待機状態において開閉体が回動された際には、先ず移動体の移動規制が解除され、移動体の第2位置への移動が可能となる。さらに開閉体を回動することで、遮蔽部と開閉体の重なりが解け、開閉体における支持対象と対向する部位が視認可能となる。すなわち、規制部等が視認可能となる。このように、移動体の移動が、開閉体と遮蔽部との重なりによって遮られることで、遊技機外部からの移動体等への不正なアクセスを困難なものとすることができる。故に、開閉体の不正開放検知を一層好適なものとすることができる。
手段15.前記検知手段によって、前記外部電源からの電力供給が行われている状況及び電力供給が遮断されている状況のいずれにおいても前記移動体の位置を検知が検知されることを特徴とする手段1乃至手段14のいずれか1つの手段に記載の遊技機。
手段15によれば、上記手段1乃至手段14に示したように、電力遮断時に開閉体の開放が行われたことを検知することができ、更に同一の構成(詳しくは移動体や規制部等)を用いることで電力供給中における開閉体の開放を検知することもできる。このように、同一の構成を用いることで開閉体の開放を監視することで、それぞれの機能を別で設ける構成に比して、遊技機の部品点数の削減が図られる。開放検知に関する構成が複雑化することを回避することで、開放検知に関する構成自体に不正がなされた場合であってもこれを発見しやすくすることができる。故に、更なる防犯性の向上に貢献することができる。
以下に、以上の各手段を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
弾球遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(内レール10及び外レール102)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(一般入賞口82や釘88等)とを備えた遊技機。
特別表示部及び可変表示装置を備えた弾球遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された作動口、特別表示部、可変表示装置及び可変入賞装置とを備え、作動口への遊技球の入球を検知すると特別表示部に表示される表示内容を可変表示し、その停止時の表示内容が特定の表示内容である場合に可変入賞装置を所定態様で開放させるようにした遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図4はパチンコ機10の背面図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。また、以下の説明において、特に指示しない限りはパチンコ機10の正面視を基準に上下左右等の方向を特定することとする。例えば、図1の手前側を前側、奥側を後側とする。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能(開閉可能)に取り付けられた遊技機主部12とを有する。外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
遊技機主部12は、ベース体としての本体枠13と、その本体枠13の前方に配置される前扉枠14と、本体枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機主部12のうち本体枠13が外枠11に対して回動可能(開閉可能)に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として本体枠13が前方へ回動可能とされている。
本体枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能(開閉可能)に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として前方へ回動可能とされている。また、本体枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能(開閉可能)に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として後方へ回動可能とされている。
次に、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1〜図3を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図5を参照する。図5は、前扉枠14の背面図である。
前扉枠14は本体枠13の前面側全体を覆うようにして設けられている。前扉枠14には後述する遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部21が形成されている。窓部21は、略楕円形状をなし、透明性を有するガラス22が嵌め込まれている。なお、ガラス22に代えて、透明樹脂板を嵌め込むようにしてもよい。
窓部21の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部23が設けられている。環状電飾部23では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部23の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部24が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部25が設けられている。また、左右の賞球ランプ部25に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部26が設けられている。
前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図2及び図5に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により形成されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路51と、下皿34に通じる前扉側下皿通路52とが形成されている。通路形成ユニット50において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路51と前扉側下皿通路52の入口部分とが形成されている。前扉側上皿通路51及び前扉側下皿通路52は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路51に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路52に入った遊技球は下皿34に導かれる。
前扉枠14の背面における回動基端側(図5の右側)には、その上端部及び下端部に突起軸61,62が設けられている。これら突起軸61,62は本体枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側(図5の左側)には、図2に示すように、後方に延びる鉤金具63が上下方向に複数並設されている。これら鉤金具63は本体枠13に対する施錠機構を構成する。
次に、本体枠13について詳細に説明する。図6は本体枠13の正面図である。
本体枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース71を主体に構成されている。樹脂ベース71の前面における回動基端側(図6の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具72,73が取り付けられている。図示は省略するが、支持金具72,73には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸61,62が挿入されることにより、本体枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
樹脂ベース71の前面における回動先端側(図6の右側)には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具63を挿入するための挿入孔74がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、本体枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置が本体枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具63が挿入孔74を介して施錠装置に係止されることによって、前扉枠14が本体枠13に対して開放不能に施錠される。
樹脂ベース71の右下隅部には、施錠装置の解錠操作を行うためのシリンダ錠75が設置されている。シリンダ錠75は施錠装置に一体化されており、シリンダ錠75の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと本体枠13に対する前扉枠14の施錠が解かれるようになっている。なお、シリンダ錠75の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する本体枠13の施錠が解かれるようになっている。樹脂ベース71の右上隅部、すなわち前扉枠14の回動先端側には、内外(すなわち前後方向)に貫通する略矩形状の開口部71bが形成されている。この開口部71bには前扉枠14の開放を監視する第1監視装置250が嵌まっている。第1監視装置250についての詳細は後述する。
樹脂ベース71の中央部には略楕円形状の窓孔76が形成されている。樹脂ベース71には遊技盤81が着脱可能に取り付けられている。遊技盤81は合板よりなり、遊技盤81の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース71の窓孔76を通じて本体枠13の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤81の構成を図7に基づいて説明する。遊技盤81には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口82,可変入賞装置83,作動口84,スルーゲート85及び可変表示ユニット86等がそれぞれ設けられている。一般入賞口82は、左右にそれぞれ2個ずつ合計4個設けられている。一般入賞口82、可変入賞装置83及び作動口84に遊技球が入ると、それが後述する検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤81の最下部にはアウト口87が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口87を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤81には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘88が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示ユニット86には、作動口84への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置91が設けられている。また、可変表示ユニット86には、図柄表示装置91を囲むようにしてセンターフレーム92が配設されている。センターフレーム92の上部には、第1特定ランプ部93及び第2特定ランプ部94が設けられている。また、センターフレーム92の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部95,96が設けられている。下側の保留ランプ部95は、図柄表示装置91及び第1特定ランプ部93に対応しており、遊技球が作動口84を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部95の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部96は、第2特定ランプ部94に対応しており、遊技球がスルーゲート85を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部96の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置91は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置91には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
第1特定ランプ部93では、作動口84への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部94では、遊技球のスルーゲート85の通過をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には作動口84に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となる。
可変入賞装置83は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置83の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置83が繰り返し開放されるものが一般的である。
遊技盤81には、内レール部101と外レール部102とが取り付けられており、これら内レール部101と外レール部102とにより誘導レールが構成され、後述する遊技球発射機構から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。
遊技球発射機構110は、図6に示すように、樹脂ベース71における窓孔76の下方に取り付けられている。遊技球発射機構110は、電磁式のソレノイド111と、発射レール112と、球送り機構113とからなり、ソレノイド111への電気的な信号の入力により当該ソレノイド111の出力軸が伸縮方向に移動し、球送り機構113によって発射レール112上に置かれた遊技球を遊技領域に向けて打ち出す。
発射レール112と遊技盤81に取り付けられた内,外レール部101,102との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方には前扉枠14の通路形成ユニット50に形成されたファール球通路55が配設されている。したがって、仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域の上部に到達せずに、内,外レール部101,102によって構成される誘導レールを逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路55内に入る。ファール球通路55は前扉側下皿通路52に通じており、ファール球通路55に入った遊技球は下皿34に排出される。
樹脂ベース71において発射レール112の下方には、内外(すなわち前後方向)に貫通する略矩形状の開口部71cが形成されている(図8参照)。この開口部71bには遊技機主部12の開放を監視する第2監視装置290が嵌まっている。第2監視装置290についての詳細は後述する。
樹脂ベース71において発射レール112の左方には、樹脂ベース71を前後方向に貫通させて通路形成部121が設けられている。通路形成部121には図3に示すように本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とが形成されている。本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット50の受口部53が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路51が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路51が配置されている。
樹脂ベース71において通路形成部121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124はその下端に設けられた支軸125により前後方向に回動可能に支持されており、さらに本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する前方位置に付勢する図示しない付勢部材が設けられている。したがって、前扉枠14を本体枠13に対して開いた状態では開閉部材124が図示の如く起き上がり、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路122と前扉側上皿通路51とが連通し、さらに本体側下皿通路123と前扉側下皿通路52とが連通している。
次に、本体枠13の背面構成について説明する。図8は本体枠13の背面図である。
樹脂ベース71の背面における回動先端側(図8の左側)には、施錠装置131が設けられており、シリンダ錠75におけるキー操作に対して施錠装置131が連動し、本体枠13及び前扉枠14の解錠が行われる。
樹脂ベース71の背面における回動基端側(図8の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により本体枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、樹脂ベース71の背面には、裏パックユニット15を本体枠13に締結するための被締結孔134が設けられている。
樹脂ベース71の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース71に対して遊技盤81が取り付けられている。ここで、遊技盤81の背面の構成を説明する。図9は遊技盤81を後方より見た斜視図、図10は遊技盤81から主制御装置ユニット160を取り外した状態を示す背面図である。
遊技盤81の中央に配置される可変表示ユニット86には、センターフレーム92を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー141が後方に突出させて設けられており、フレームカバー141に対して後側から上述した図柄表示装置91が取り付けられるとともに、その図柄表示装置を駆動するための表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。これら図柄表示装置91及び表示制御装置は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置が前、表示制御装置が後)、さらにその後方に音声ランプ制御装置ユニット142が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット142は、音声ランプ制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に音声ランプ制御装置143が装着されている。
音声ランプ制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
遊技盤81の背面には、図10に示すように、可変表示ユニット86の下方に集合板ユニット150が設けられている。集合板ユニット150には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
遊技球回収機構について説明すると、集合板ユニット150には、前記一般入賞口82、可変入賞装置83、作動口84の遊技盤開口部に対応して且つ下流側で1カ所に集合する回収通路151が形成されている。したがって、一般入賞口82等に入賞した遊技球は何れも回収通路151を介して遊技盤81の下方に集合する。遊技盤81の下方には後述する排出通路があり、回収通路151により遊技盤81の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口87も同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球もアウト口87を介して排出通路内に導出される。
入賞検知機構について説明すると、集合板ユニット150には、遊技盤81表側の各一般入賞口82と対応する位置にそれぞれ入賞口スイッチ152a〜152dが設けられている。また、可変入賞装置83と対応する位置にカウントスイッチ153が設けられ、作動口84に対応する位置に作動口スイッチ154が設けられている。これらスイッチ152〜154により遊技球の入賞がそれぞれ検知される。また、集合板ユニット150外における可変表示ユニット86の右側には、スルーゲート85を通過する遊技球を検知するゲートスイッチ155が設けられている。
遊技盤81の背面には、集合板ユニット150を後側から覆うようにして主制御装置ユニット160が搭載されている。主制御装置ユニット160の構成について図11を用いて説明する。図11は主制御装置ユニット160の構成を示す斜視図である。
主制御装置ユニット160は、合成樹脂製の取付台161を有し、取付台161に主制御装置162が搭載されている。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部164は、基板ボックス163の長辺部に5つ設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部164を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、5つの封印部164のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片165が設けられている。これら結合片165は、取付台161に形成された複数の被結合片166と1対1で対応しており、結合片165と被結合片166とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
次に、裏パックユニット15について説明する。図12は裏パックユニット15の正面図、図13は裏パックユニット15の分解斜視図である。
裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤203、及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット86を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には、パチンコ機10に発生した各種のエラー情報を出力するための出力端子、本体枠13の開放時に信号出力するための出力端子、及び前扉枠14の開放時に信号出力するための出力端子等が設けられている。そして、これらの出力端子を通じて、遊技ホール側の管理制御装置(又はホールコンピュータ)に対して枠側の状態に関する信号が出力される。
ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を本体枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が本体枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211には、本体枠13に設けられた被締結孔134に対して締結するための締結具215が設けられており、当該締結具215を被締結孔134に嵌め込むことで本体枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。すなわち、裏パック201の最上部には上方に開口したタンク221が設けられており、タンク221には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部226が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路51を介して上皿33に通じ、中央の開口部227が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路52を介して下皿34に通じ、外側の開口部228が排出通路に通じるように形成されている。
払出機構部202には、裏パック基板(電力受入部又は外部電力受入部)229が設置されている。裏パック基板229には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ229aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤203及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤203は、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路231が形成されており、当該排出通路231の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路231は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路151等から排出通路231に導出された遊技球は当該排出通路231を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源及び発射制御装置243(以下、電源装置243ともいう)とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242は、基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されている。なお、払出制御装置242から払出装置224への払出指令の信号は上述した裏パック基板229により中継される。また、払出制御装置242には状態復帰スイッチ245が設けられている。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源装置243は、基板ボックス246内に電源及び発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源装置243にはRAM消去スイッチ247が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ247を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
次に、本体枠13(遊技機主部12)や前扉枠14が開放された場合に、その事実を把握するための構成について説明する。
図2や図8等に示すように、本体枠13の樹脂ベース71には、第1監視装置250及び第2監視装置290が装着されている。第1監視装置250は本体枠13の開閉先端側の上部に配置されており、この第1監視装置250によって前扉枠14の開放が監視されている。一方、第2監視装置290は本体枠13の下部に配置されている。詳しくは、裏パックユニット15の閉状態で当該裏パックユニット15の下端縁よりも下方に配置されており、パチンコ機10の後方から視認可能となっている(図4参照)。この第2監視装置290により遊技機主部12の開放が監視されている。
ここで、第1監視装置250及び第2監視装置290の具体的な構成について説明する。第1監視装置250及び第2監視装置290はともに同一の構成を具備してなり、それら監視装置250,290の取り付け方向、及びそれら監視装置250,290に付随して設けられている構成のみ相違している。故に、先ず第1監視装置250について詳細に説明し、その後上述した相違点について説明する。図14はパチンコ機10の前方から見た第1監視装置250の分解斜視図、図15はパチンコ機10の後方から見た第1監視装置250の分解斜視図、図16(a)は図8のA−A線部分断面図、図16(b)は図8のB−B線部分断面図である。
第1監視装置250は収容ケース体251と蓋用ケース体280とを備えている。これら両ケース体251,280がビス等の締結具によって固定されていることにより後述する各種構成を収容可能なハウジング252が形成されている。ハウジング252(両ケース体251,280)は、光透過性を有する透明な合成樹脂材料により形成されており、ハウジング252の内部が視認可能となっている。これにより、メンテナンス等による第1監視装置250の内部確認の容易化が図られている。このように、内部の確認を容易化することで、第1監視装置250自身に対して不正行為が行われ、その監視機能が阻害されている場合であっても、これを発見することが容易となっている。故に、更なる防犯性の向上に貢献を期待することができる。
第1監視装置250は、収容ケース体251を前側、蓋用ケース体280を後側として樹脂ベース71の上側隅部に配置されている。このように配置された状態で、ボルト等の締結具によって樹脂ベース71の背面に固定されている。
収容ケース体251は、天板部253,底板部254,前板部255,左側板部256及び右側板部257を有し、全体としてパチンコ機10の後方に開放された略箱状に形成されている。前板部255は樹脂ベース71の背面と略平行をなしている。前板部255には、天板部253との境界から上方に延びる上側延出部258と、底板部254との境界から下方に延びる下側延出部259とが形成されており、それら両延出部258,259が樹脂ベース71の背面に当接している。
各延出部258,259には、樹脂ベース71に形成された円柱状のボス部71aが嵌まる丸孔258a,259aが設けられている(図16参照)。これら丸孔258a,259aにボス部71aが嵌まることで第1監視装置250の上下及び左右方向の位置決めがなされている。
また、前板部255の下部には前方に段差状に張り出した張出部260が形成されており、樹脂ベース71には張出部260に対応する開口部71bが形成されている。開口部71bは前後方向に貫通しており、その内周は張出部260の外周とほぼ同一形状をなしている。張出部260が開口部71bに嵌まることで、樹脂ベース71と第1監視装置250との境界部位がクランク状をなす構成となっている。これにより、開口部71bと張出部260の境界部位から不正具等が挿入されるといった不都合を抑制している。更に、樹脂ベース71の前面と張出部260の前面とはほぼ同一面上になるように設定されている。すなわち、張出部260は樹脂ベース71よりも前方に突出しない構成となっている。これにより、メンテナンス作業等の際に張出部260が引っ掛かることで、第1監視装置250が位置ずれするといった不都合が回避可能となっている。
ハウジング252の内部(詳しくは収容ケース体251の内部)には、前扉枠14の開閉状態を検知する検知装置265と、電力が供給されることで継続的に動作する動作機構275とが設置されている。
検知装置265について詳細に説明する。検知装置265は、樹脂ベース71の開口部71bの後方、すなわち張出部260の後方に配置されている。より具体的には、収容ケース体251の内部における前扉枠14の回動先端側に配置されている。検知装置265は、光を射出する発光素子266(詳しくは赤外線を発する発光ダイオード)と、発光素子266からの光を受ける受光素子267(詳しくはフォトトランジスタ)と、それら両素子266,267を収容する収容体268とを備えている。
収容体268は略直方体状の本体部269を有し、その前面が前板部255と平行となるように配置されている。本体部269の下部には左右方向に突出する突出部269a,269bが形成されている。各突出部269a,269bは底板部254と平行な板状をなしている。収容ケース体251には、各突出部269a,269bが嵌まる第1ガイド溝270が形成されている。これら第1ガイド溝270は互いに対向するとともに前後方向に延びており、その後端部においてはパチンコ機10の後方に開放されている。第1ガイド溝270の後端側から突出部269a,269bを挿入し、検知装置265を押し込むことで、検知装置265の装着がなされる。このように、突出部269a,269bが第1ガイド溝270に挿入されることで、突出部269a,269bの外周面と第1ガイド溝270の内周面とが接触する。これにより、検知装置265の上下方向及び左右方向の移動が規制されている。
また、第1ガイド溝270の前部には収容体268が当たる当接部271が設けられている。当接部271は、収容ケース体251の内方に隆起しており、底板部254の内面に平行な上側当接面271a及び前板部255の内面に平行な後側当接面271bを有している。第1ガイド溝270に沿って検知装置265が押し込まれた際には、収容体268と後側当接面271bとが当たる。これにより、検知装置265の前方への移動が規制されている。このように前方への移動が規制なされた状態においては、収容ケース体251の前板部255と検知装置265との間に所定の隙間が確保されている。収容体268は、上述の如く前方,左右方向,上下方向の各方向への移動が規制された状態で、収容ケース体251にビス等の締結具によって固定されている。すなわち、検知装置265がハウジング252に装着された状態となっている。
収容体268の本体部269には前後方向に貫通する貫通孔269c,269dが所定の間隔を隔てた状態で左右に並設されている。それら貫通孔269c,269dには、発光素子266及び受光素子267が発光部位及び受光部位を前方に向けた状態で嵌め込まれている。各貫通孔269c,269dは上側当接面271a(当接部271)よりも上方に配置されており、当接部271によって各素子272,273間での光の通過が遮られることはない。例えば、発光素子266から発せられた光は、当接部271によって遮られることなく収容ケース体251から射出され、前扉枠14の背面に向かって照射される。また、貫通孔269c,269dの中心軸線は前板部255と直交しており、両素子266,267の中心軸線も前板部255と直交している。このため、発光素子266からの光が前板部255に入射することで、屈折したり反射したりしにくくなっている。なお、光の通過経路についての詳細は後述する。
図2や図16等に示すように、検知装置265の前方、すなわち前扉枠14の背面側には、発光素子266からの光を受光素子267に向かって反射する光反射部材274が設けられている。光反射部材274は、前扉枠14に形成された収容凹部14aに収容された状態で、ビス等の締結具によって前扉枠14に固定されており、前扉枠14の背面からの突出が抑えられている。光反射部材274は光透過性を有するガラス製のプリズムにより構成されている。具体的には図16(b)に示すように、検知装置265と対向するとともに光の進行方向と直交する対向面274aと、光の進行方向に対して所定の角度(本実施の形態においては45°)で傾いている第1反射面274b及び第2反射面274cとを有している。両反射面274b,274cは対向面274aよりもパチンコ機10における前側に設けられている。第1反射面274bは発光素子266の前方に配置されているとともに、第2反射面274cは受光素子267の前方に配置されており、両反射面274b,274cは相対向している。すなわち、それら反射面274b,274cは、パチンコ機10の平面視において後方に広がる略ハ字状をなしている。
以下、図16(b)に基づいて発光素子266から発せられた光の通過経路について説明する。なお、図16(b)においては光の通過経路の概略を1点鎖線の矢印で示している。
発光素子266から発せられた光は、収容ケース体251の前板部255を通過し、前扉枠14の背面に照射される。具体的には、光の大部分は光反射部材274の対向面274aに入射する。対向面274aを通過した光は、第1反射面274bによって反射されその進行方向が変わる。すなわち、第2反射面274cに向かって反射される。第2反射面に到達した光は、反射することによってその進行方向がパチンコ機10の後方に向かうように変更される。このようにして進行方向が反転した光は、再び対向面274aを通過し、前板部255に向かって射出される。前板部255を通過した光は、受光素子267に到達する。なお、光反射部材274の代わりに鏡等を用いて光の進行方向を変えることも可能である。
次に、動作機構275について詳細に説明する。図14〜図16に示すように、動作機構275は、検知装置265の側方に配置されており、その主要な構成として、動作機構275の動力源として設けられたソレノイド276と、そのソレノイド276に挿通された動作軸277とを備えている。
ソレノイド276は上下方向に延びる略円筒状をなし、その上部には収容ケース体251への取付部278が設けられている。取付部278は収容ケース体251の天板部253と平行な板状をなし、天板部253及び左側板部256に形成された第2ガイド溝279に嵌まっている。これら第2ガイド溝279は互いに対向するとともに前後方向に延びており、その後端部においてはパチンコ機10の後方に開放されている。第2ガイド溝279の後端側から取付部278を挿入し、ソレノイド276を押し込むことで、動作機構275の装着がなされる。このように、取付部278が第2ガイド溝279に挿入されることで、取付部278の外周面と第2ガイド溝279の内周面とが接触する。これにより、動作機構275の上下方向及び左右方向の移動が規制されている。動作機構275をガイド溝279に沿って押し込むことで、取付部278と収容ケース体251の前板部255とが当接し、パチンコ機10前方への移動が規制される。動作機構275は、このように各方向への移動が規制された状態で、ビス等の締結具によって収容ケース体251に固定されている。なお、本実施の形態においては、動作機構275の装着作業性向上のため、第2ガイド溝279を設ける構成としたが、これらを設けない構成としてもよい。
動作軸277は上下方向に延びる鉄製の円柱部277aを有している。その円柱部277aの大部分がソレノイド276の内部に収容された状態となっている。円柱部277aの中心軸線とソレノイド276の中心軸線とが重なっており、動作軸277はソレノイド276の中心軸線方向に移動可能となっている。動作軸277の下端部はソレノイド276の外部に突出しており、その下端部には板状の遮蔽部277bと、動作軸277から遮蔽部277bをパチンコ機10の前方にオフセットするクランク部277cとが一体成形されている。なお、本実施の形態においては動作軸277の円柱部277a及び遮蔽部277b及びクランク部277cを一体成形したが、それらを個々に成形することも可能である。例えば、円柱部277aのみを鉄製とし、遮蔽部277b及びクランク部cを合成樹脂製とするとよい。
遮蔽部277bは、前板部255と略平行に形成されており、動作軸277の上下動に追従して、前板部255と平行に移動する。また、遮蔽部277bはクランク部277cによって検知装置265よりも前側となるように配置されており、検知装置265と前板部255との間に形成された空間によってその作動隙が確保されている。遮蔽部277bの下端部は、その下限位置において前記上側当接面271aと当接する。このような当接状態では、遮蔽部277bは、パチンコ機10の正面視において、受光素子267と重なる構成となっている。すなわち、受光素子267の前側を覆った状態となっている。一方、遮蔽部277bが上限位置にある状態では、遮蔽部277bの下端部は、受光素子267よりも上方となるように設定されている。すなわち、受光素子267の前側を覆わない状態となっている。遮蔽部277bには光を吸収する塗装(光反射率の低い塗装)が付与されており、他の光源からの光が遮蔽部277bにて反射し、受光素子267に到達するといった不都合が回避されている。本実施の形態においては、遮蔽部277bが受光素子267にのみ重なる構成としたが、発光素子266に重なる構成としてもよいし、受光素子267及び発光素子266の両素子に重なる構成としてもよい。
図16に示すように、動作軸277はソレノイド276に電力が供給されている状態では動作範囲の上限位置(以下、第1位置ともいう)にて保持される。詳しくは、ソレノイド276の出力は、動作軸277を重力に抗して持ち上げることができる程度に大きく設定されている。電力の供給が停止されている状態では動作軸277が自重で下がり、動作範囲の下限位置(以下、第2位置ともいう)にて保持される。詳しくは、遮蔽部277bが上側当接面271aに当接することで、動作軸277は第2位置にて保持された状態となる。すなわち、動作軸277においては電力供給の有無により、第1位置と第2位置との両位置間でその位置の切り替えが行われる。換言すれば、動作軸277の位置切り替えに伴い、遮蔽部277bの位置が第1位置及び第2位置間で切り替わる。
第1位置における遮蔽部277bの下端部と、第2位置における遮蔽部277bの上端部との間には所定の隙間領域が設定されている。すなわち、動作軸277の動作距離寸法は遮蔽部277bの軸線方向の長さ寸法よりも大きく設定されている。その隙間領域とパチンコ機10の正面視において重なる前板部255(詳しくは張出部260)の一部には、内外(すなわちパチンコ機10の前後方向)に貫通する挿通孔260aが形成されている。前扉枠14の背面には、その挿通孔260aに挿通可能な突起14bが設けられている。突起14bは前扉枠14と一体成形されており、パチンコ機10の後方に延びている。突起14bの先端は遮蔽部277bの後端部よりも若干後方に位置している。上述の如く突起14bは前扉枠14に設けられているため、前扉枠14の回動に伴って移動する。すなわち、突起14bは、前扉枠14が本体枠13に閉じた状態では挿通孔260aに挿通された状態となり、前扉枠14が所定量以上開放された状態では挿通孔260aに挿通されていない状態となる。
突起14bが挿通孔260aに挿通された状態、すなわち前扉枠14が閉じている状態では、遮蔽部277bと突起14bとが当たることで、遮蔽部277bの第1位置及び第2位置の両位置間での移動が規制される。詳しくは、遮蔽部277bが第1位置にある状態で、突起14bが挿通孔260a挿入されている場合、遮蔽部277bの第2位置への移動は制限される。また、遮蔽部277bが第2位置にある状態で、突起14bが挿入されている場合、遮蔽部277bの第1位置への移動が制限される。
なお、上述の如く前扉枠14は本体枠13に対して回動可能に設けられている。かかる場合、前扉枠14の鉤金具63と鉤受け金具132とが係止状態となる前の段階では、突起14bと遮蔽部277b及び挿通孔260aとの相対位置がばらつく可能性がある。このため、それら突起14b等が引っ掛かることで、前扉枠14の閉作業が妨げられることが懸念される。しかしながら、本実施の形態においては、突起14bは両位置にある状態での遮蔽部277bと所定の隙間を有しているとともに、挿通孔260aはパチンコ機10の前方に拡大するテーパ状をなしている。これにより、突起14b挿入時の引っ掛かりを抑制し、前扉枠14閉時の作業性を担保している。
次に突起14bと遮蔽部277bとの相対関係について詳細に説明する。前扉枠14が閉じている状態において、突起14bの後端は遮蔽部277bの後端部よりも若干後方に突出している。このため、前扉枠14の前後方向位置が若干ばらついたとしても、突起14bの機能が担保される構成となっている。前扉枠14を開放する際には、所定の角度以上に開放することで、突起14bが遮蔽部277bとパチンコ機10の平面視で重ならない位置まで移動する、これにより遮蔽部277bの移動制限が解除される。
本体枠13の周縁部にはパチンコ機10の前方、すなわち前扉枠14に向かって延びる開口フランジ13aが一体成形されている。この開口フランジ13aによって、本体枠13の周縁部と前扉枠14の周縁部とがパチンコ機10の側面視及び平面視において重なる構成となっている。このように両者が重なる構成とすることで、本体枠13と前扉枠14との境界部位から不正具等が挿入されるといった不都合を抑制している。上述した突起14bと遮蔽部277bとの重なり量は、開口フランジ13aと前扉枠14との重なり量よりも小さく設定されている。より具体的には、遮蔽部277bの前面から突起14bの後端部までの前後方向の距離寸法は、開口フランジ13aの前端縁から前扉枠14の後端縁までの前後方向の距離寸法よりも、小さく設定されている。このため、前扉枠14が回動し、突起14bと遮蔽部277bとが重ならない状態に移行した際には、開口フランジ13aによって本体枠13と前扉枠14との境界部位が露出しない。すなわち、本体枠13と前扉枠14との境界部位から本体枠13の前面が視認可能となった際には既に、突起14bによる遮蔽部277bの移動制限が解除された状態となるように構成されている。
次に、前記蓋要ケース体280の主要な構成について説明する。蓋用ケース体280は、天板部281,底板部282,背板部283,左側板部284及び右側板部285を有し、全体としてパチンコ機10の前方に開放された略箱状に形成されている。蓋用ケース体280の開放された部位に収容ケース体251の後端開口縁を収容している。蓋用ケース体280の内部には、検知装置265等と図示せぬハーネスによって電気的に接続された中継基板286が配置されている。中継基板286は背板部283と平行な略板状をなし、背板部283の内面にビス等の締結具によって固定されている。
中継基板286の後方、すなわち背板部283における中継基板286と対向する部位には内外に貫通する連通孔287が形成されている。この連通孔287の後方にはコネクタ288が配置されている。すなわち、連通孔287を挟んで中継基板286とコネクタ288とが対向して設けられており、それら中継基板286及びコネクタ288が図示せぬハーネス等で接続されている。コネクタ288はその挿入口をパチンコ機10の後方に向けた状態でビス等の締結具によって背板部283の背面に固定されている。このコネクタ288を介して図示せぬハーネスにより第1監視装置250と主制御装置162とが電気的に接続されている。なお、本実施の形態においては上述の如く蓋用ケース体280が光透過性を有する構成とすることで、第1監視装置250に対する不正等の確認を容易なものとしている。しかしながら、蓋用ケース体280が、光透過性を有さない構成とすることも可能である。かかる場合、蓋用ケース体280を、例えば不透明性を有する合成樹脂材料や、アルミ等の軽金属材料によって形成するとよい。
以下、第1監視装置250による、前扉枠14の開放検知について図17に基づいて説明する。図17(a)は電力供給状態における前扉枠14の閉状態(通常状態)を示し、図17(b)は電力供給状態における前扉枠14の開放状態を示し、図17(c)は電力供給が停止された状態(待機状態)を示し、図17(d)は電力供給停止中の前扉枠14の開放状態を示し、図17(e)は電力供給停止中に前扉枠14が開放された後再び閉じられた状態を示し、図17(f)は電力供給停止中に前扉枠14が開閉された後に電力の供給が開始された状態を示す。
先ず初めに、パチンコ機10に電力が供給されている状態での、前扉枠14の開放検知について説明する。前扉枠14が開放される際には、図17(a)→図17(b)→図17(a)の順に作業が行なわれる。
図17(a)に示すように、第1監視装置250に電力が供給されている状態、すなわちソレノイド276が通電されている状態においては、ソレノイド276が励磁される。これにより、動作軸277が第1位置に保持された状態となっている。かかる状態においては、受光素子267の前方に遮蔽部277bが存在せず、発光素子266から発せられた光は光反射部材274を介して受光素子267に到達する。受光素子267に光が到達することで受光信号が中継基板286に出力される、この受光信号を読み取ることで前扉枠14が閉じた状態にあることを検出している。
第1監視装置250に電力が供給されている状態で前扉枠14を開放すると、両素子266,267と光反射部材274との相対位置が変化する。かかる場合、発光素子266から射出された光は光反射部材274に到達しなくなるか、仮に光反射部材274に到達したとしても、その反射光が受光素子267以外の部位に向かって射出される。このため、発光素子266からの光は受光素子267に届かなくなる。故に、所定の受光信号が出力されなくなり、受光信号の変化を読み取ることで前扉枠14が閉じた状態にあることを検出することができる。
このように、電力が供給されている状態における前扉枠14の開放を検知可能とすることでホール営業中に行なわれる前扉枠14の不正開放を抑制することができる。故に、パチンコ機10に対する不正の抑制に貢献することができる。
閉店等の際に第1監視装置250に対する電力の供給が停止すると、ソレノイド276への電力の供給が止まり、その励磁状態が解除される。かかる場合、動作軸277(詳しくは遮蔽部277b)は自重により下方に移動し、突起14bに当接する。遮蔽部277bは突起14bに当接することで、その下方への移動が制限された状態となる。すなわち、第2位置への移動が妨げられる。この状態のまま、再び電力の供給が開始されると、ソレノイド276が励磁状態となり、自重作用に勝ることで動作軸277は上方へ持ち上げられる。かかる場合、発光素子266からの光は受光素子267に到達可能であるため、前扉枠14が閉じた状態にあることを検出することができる。すなわち、図17(a)→図17(c)→図17(a)の如く状態が推移することで、電力供給が停止している間に前扉枠14の開放が行なわれなかったことを検出可能となっている。
電力の供給が停止している間に前扉枠14が開閉された場合について説明する。前扉枠14の開閉に伴って突起14bと遮蔽部277bとの相対位置が、図17(c)→図17(d)→図17(e)の順に変化する。
前扉枠14の開放に伴い突起14bが第1監視装置250から離間することで、遮蔽部277bは支えを失い自重により下方(すなわち第2位置)へと移動する。遮蔽部277bは下方へ移動した際に上側当接面271aに当たり、それ以上の下向への移動が制限される。かかる状態で前扉枠14が再び閉じられると、突起14bが元の位置に復帰し遮蔽部277bの上方への移動を制限した状態となる。この状態においては、遮蔽部277bは受光素子267の前方に位置しているとともに、突起14b及び上側当接面271aによってその上下方向の移動が規制された状態となっている。このように遮蔽部277bを第2位置から移動不能とすることで、前扉枠14の開放が行われたという事実を機械的に保存することができる。
遮蔽部277bの第2位置からの移動が規制されている状態で電源の供給が開始されると、ソレノイド276が励磁され、遮蔽部277bが上方(すなわち第1位置)に移動しようとする。しかしながら、遮蔽部277bは突起14bに当たり、その移動が妨げられる。すなわち、遮蔽部277bによって受光素子267が覆われたままの状態が継続される。電力の供給が開始されることで、発光素子266が発光を開始する。発光素子266から発せられた光は、光反射部材274を介して受光素子267に向かって照射される。しかしながら、受光素子267の前方に位置している遮蔽部277bによって、受光素子267への光の到達が遮られる。このため、受光信号の出力が抑えられ、前扉枠14が開放された状態にあると検出される。実際には、前扉枠14は閉じた状態であるが、電源遮断時に開放されたという事実を検出することができる。これら主制御装置162における監視処理についての詳細は後述する。
上述の如く、前扉枠14の電力遮断時の開放を検知した状態において、再び前扉枠14を開放することで、突起14bが第1監視装置250から離間し、遮蔽部277bが第1位置に移動する。すなわち、遮蔽部277bの移動制限が解除される。このように図17(f)→図17(b)→図17(a)の順に前扉枠14を操作することで、不正開放検知状態が解除され通常の状態に復帰する。前扉枠14の開放により不正開放検知状態がリセットされるため、リセットスイッチ等を設ける必要が無く構成の簡略化に貢献できる。また、前扉枠14の開放は所定の操作(鍵)によっておこなわれるため、不正開放検知状態が不正に解除されるといった不都合を抑制できる。
第2監視装置290も第1監視装置250と同様に、収容ケース体251,蓋用ケース体280,検知装置265,動作機構275,中継基板286及びコネクタ288を備えている。第2監視装置290に対応する突起及び光反射部材は、本体枠13に設けられている。以下、図18に基づいて第1監視装置250との相違している部分について具体的に説明する。図18は図4のC―C線部分断面図である。
第1監視装置250の挿通孔260aがパチンコ機10の前方に露出しているのに対して、第2監視装置290の挿通孔260aはパチンコ機10の後方に露出している。具体的には、第2監視装置290は、樹脂ベース71に形成された開口部71cに収容ケース体251を前側、蓋用ケース体280を後側として嵌め込まれた状態で固定されている。かかる状態においては、収容ケース体251の前板部255が樹脂ベース71の背面から後方に突出した状態となっている。すなわち、前板部255の挿通孔260aが後方に開放された状態となっている。外枠11の下部には前板部255と対向する基材295が設けられている。基材295は板状をなし、外枠11にビス等の締結具によって固定されている。基材295の前面には、挿通孔260aに挿通可能な突起296が形成されている。突起296の下方、すなわち検知装置265の後方には、パチンコ機10の後方に凹む凹部297が形成されている。この凹部297に光反射部材298が収容され、ビス等の締結具によって固定されている。
第2監視装置290においては、遊技機主部12が外枠11に対して回動することに伴って第2監視装置290自身が移動する。すなわち、突起296及び光反射部材298の位置は固定されており、第2監視装置290が移動することで、両者の相対位置が変化する構成となっている。第2監視装置290は、第1監視装置250と同様に、突起296及び光反射部材298との相対位置が変化することで、遊技機主部12の開放状態を検知可能となっている。なお、その動作態様については、図17に示す第1監視装置250の動作態様と同様であるため、説明を省略する。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図19のブロック図に基づいて説明する。図19では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置162に設けられた主制御基板301には、主制御回路302と停電監視回路303(電断監視回路)とが内蔵されている。主制御回路302には、CPU311が搭載されている。
CPU311には、当該CPU311により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM312(不揮発性情報記憶手段)と、そのROM312内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM313(揮発性情報記憶手段)と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。なお、CPU311、ROM312及びRAM313がそれぞれ個別に1チップ化された構成としてもよい。これは、他の制御装置のCPUにおいても同様である。
RAM313は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置243に設けられた電源及び発射制御基板321からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
CPU311には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。CPU311の入力側には、主制御基板301に設けられた停電監視回路303、払出制御装置242に設けられた払出制御基板322及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路303には電源及び発射制御基板321が接続されており、CPU311(主制御回路302)には停電監視回路303を介して電力が供給される。
一方、CPU311の出力側には、停電監視回路303、払出制御基板322及び中継端子板323が接続されている。払出制御基板322には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板323を介して主制御回路302から音声ランプ制御装置143に設けられた音声ランプ制御基板324に対して各種コマンドなどが出力される。
停電監視回路303は、主制御回路302と電源及び発射制御基板321とを中継し、また電源及び発射制御基板321から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。そして、この電圧が22ボルト未満になると電源遮断の発生と判断し、主制御回路302に対して停電信号を送信する。主制御回路302では、この停電信号の入力を確認することにより、その確認結果に基づいて後述する停電時処理(電断時処理)を実行する。
払出制御基板322は、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU331は、そのCPU331により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM332と、ワークメモリ等として使用されるRAM333とを備えている。
払出制御基板322のRAM333は、主制御回路302のRAM313と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御基板321からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
払出制御基板322のCPU331には、入出力ポートが設けられている。CPU331の入力側には、主制御回路302、電源及び発射制御基板321、及び裏パック基板229が接続されている。また、CPU331の出力側には、主制御回路302及び裏パック基板229が接続されている。
電源及び発射制御基板321は、電源部321aと発射制御部321bとを備えている。電源部321aは、例えば、遊技ホール等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御回路302や払出制御基板322等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を二重線矢印で示す経路を通じて主制御回路302や払出制御基板322等に対して供給する。その概要としては、電源部321aは、裏パック接続基板229を介して供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電力、ロジック用の+5V電力などを生成し、これら+12V電力、+5V電力を主制御回路302や払出制御基板322等に対して供給する。
発射制御部321bは、遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作にしたがって遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
また、電源及び発射制御基板321には、電断時用電源手段としてデータ記憶保持用コンデンサ321cが搭載されている。データ記憶保持用コンデンサ321cには、電源部321aが接続されており、パチンコ機10の電源がON状態の場合(外部電源からの電力供給が行われている場合)には充電される。また、データ記憶保持用コンデンサ321cは主制御回路302におけるCPU311のVBB端子に接続されており、パチンコ機10の電源がOFF状態の場合や商用電源における停電発生時等といった電源遮断状態(外部電源からの電力供給が遮断されている場合)では、データ記憶保持用コンデンサ321cから放電されRAM313に対してデータ記憶保持用電力が供給される。よって、かかる状況であっても、データ記憶保持用コンデンサ321cからデータ記憶保持用電力が供給されている間はRAM313に記憶されたデータが消去されることなく保持される。
ちなみに、データ記憶保持用コンデンサ321cに充電された電力は主制御回路302のRAM313やその他のRAMにおいてデータを記憶保持するために用いられ、電動アクチュエータなどの機器を動作させるためには用いられない。また、データ記憶保持用コンデンサ321cの容量は比較的大きく確保されており、電源遮断前にRAM313に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。また、電断時用電源手段は、データ記憶保持用コンデンサに限定されることはなく、バッテリや非充電式電池などであってもよい。非充電式電池の場合、パチンコ機10の電源がON状態の際に電断時用電源手段への蓄電を行う必要はないが、定期的に交換する必要が生じる。
また、電源及び発射制御基板321には、上記データ記憶保持用コンデンサ321cとは異なる停電時処理用コンデンサが設けられている。電源及び発射制御基板321では、直流安定24ボルトの電源が22ボルト未満になった後においても、停電時処理用コンデンサから放電することにより、後述する停電時処理の実行に十分な時間の間、制御系の駆動電源である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。これにより、主制御回路302などは、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
音声ランプ制御基板324は、各種ランプ部23〜25やスピーカ部26、及び表示制御装置325を制御するものである。演算装置であるCPU341は、そのCPU341により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM342と、ワークメモリ等として使用されるRAM343とを備えている。
音声ランプ制御基板324のCPU341には入出力ポートが設けられている。CPU341の入力側には中継端子板323に中継されて主制御回路302が接続されており、主制御回路302から出力される各種コマンドに基づいて、各種ランプ部23〜25、スピーカ部26、及び表示制御装置325を制御する。表示制御装置325は、音声ランプ制御基板324から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置91を制御する。
検知装置265及び動作機構275は中継基板286を介して主制御基板301に接続されている。検知装置265及び動作機構275は主制御基板301から電力の供給を受けることで作動する。検知装置265においては特に電力供給を受けることで生じる信号(受光信号)を主制御基板301にフィードバックする。
次に、主制御装置162のCPU311により実行される各制御処理を図20〜図23のフローチャート等を参照しながら説明する。かかるCPU311の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図20は、NMI割込み処理であり、当該処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号が電源監視回路303からCPU311のNMI端子に出力され、CPU311は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。NMI割込み処理では、ステップS101にてRAM313に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグをセットし、本処理を終了する。その後、後述する通常処理にて停電フラグがセットされていることが確認されることで、停電時処理が実行される。
次に、タイマ割込み処理について図21のフローチャートを用いて説明する。
ステップS201では、各種スイッチや払出制御基板322などからの信号読み込み処理を実行する。その後、ステップS202にて前扉枠開放監視処理を実行するとともに、ステップS203にて本体枠開放監視処理を実行する。前扉枠開放監視処理では、第1監視装置250からの入力信号に基づいて、外部電源からの電力供給が行われている状況における前扉枠14の開放の監視に関する処理を実行する。また、本体枠開放監視処理では、第2監視装置290からの入力信号に基づいて、外部電源からの電力供給が行われている状況における遊技機主部12の開放の監視に関する処理を実行する。その後、ステップS204にて始動入賞処理を実行する。なお、各監視処理についての詳細は後述する。
始動入賞処理では、作動口スイッチ154から入力した信号に基づいて、遊技球が作動口84に入賞したか否かを判定する。そして、遊技球が作動口84に入賞している場合には、第1特定ランプ部93及び図柄表示装置91の作動保留球数が上限値未満であることを条件として、その入賞に対して大当たりを発生させるか否かの指標となるカウンタ値のRAM313への格納処理を実行する。当該カウンタ値が大当たりの発生に対応した値である場合には、その入賞に対応した遊技回において大当たりが発生することとなる。つまり、始動入賞処理において、大当たりといった特別遊技状態への移行抽選機能(移行判定手段)が果たされる。
始動入賞処理の後、CPU311は本タイマ割込み処理を一旦終了する。なお、タイマ割込み処理において、大当たりを発生させるか否かの指標となるカウンタ値を更新する処理なども実行するようにしてもよい。
次に、電源投入時のリセットに伴い起動されるメイン処理について、図22のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS301では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、従側の制御基板(払出制御基板322等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。続くステップS302では、RAM313のアクセスを許可する。
その後、ステップS303では、電源及び発射制御装置243に設けたRAM消去スイッチ247がオンされているか否かを判定し、続くステップS304ではRAM313の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS305ではRAM判定値を算出し、続くステップS306では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM313の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM313の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ247を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ247が押されていれば、ステップS307〜S310の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS307〜S310の処理に移行する。
ステップS307では、音声ランプ制御装置143に音声ランプ初期化コマンドを出力する。これにより、RAMデータの初期化やRAM判定値により記憶保持されたデータの異常等が報知される。続くステップS308では、従側の制御基板となる払出制御基板322等を初期化するために、払出初期化コマンド等を出力する。続くステップS309ではRAM313の使用領域を0にクリアし、ステップS310ではRAM313の初期化処理を実行する。その後、ステップS314〜S318及びS311を経て、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ247が押されていない場合には、停電フラグが格納されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、ステップS312に進む。ステップS312では、停電フラグ格納バッファに格納されている停電フラグをクリアする。続くステップS313では、従側の制御基板を電源遮断前の遊技状態に復帰させるための復電コマンドを出力する。その後、ステップS314〜ステップS317の復電時用開放監視処理を実行する。当該復電時用開放監視処理については後に詳細に説明する。その後、ステップS311にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。これにより、電源遮断前の状態に復帰する。
次に、通常処理について、図23のフローチャートを用いて説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。
通常処理において、ステップS401では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データを従側の各制御基板に出力する。具体的には、後述するコマンド設定処理にてセットされたコマンドを払出制御基板322等に対して出力する。また、図柄表示装置91による第1図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動態様コマンド等を音声ランプ制御装置143に出力する。
続くステップS402では、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行うための第1特定ランプ部制御処理を実行する。第1特定ランプ部制御処理では、大当たり判定や第1特定ランプ部93に配設されたLEDランプの光源スイッチのオンオフ制御などが行われる。そして、第1特定ランプ制御処理では、始動入賞処理にて格納されたカウンタ値に基づいて大当たりを発生させると判定した場合、遊技状態を大当たり状態に移行させる。つまり、第1特定ランプ制御処理において、特別遊技状態への移行機能(移行手段)が果たされる。なお、第1特定ランプ部制御処理において、図柄表示装置91による第1図柄の変動表示の設定も行われる。
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS403にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大当たり状態である場合において可変入賞装置83の大入賞口を開放又は閉鎖する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。この規定数だけ入賞したか否かの判定は、上述した大入賞口用カウンタを確認することにより行われる。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。つまり、大入賞口開閉処理において、特別遊技状態の進行機能(進行手段)が果たされる。
その後、ステップS404では、第2特定ランプ部94に表示される色の切り替え処理を行うための第2特定ランプ部制御処理を実行する。第2特定ランプ制御処理では、ゲート保留球数が1以上であることを条件に第2特定ランプ部94における表示色の切り換えを開始する。この際、表示色の切り換え時間も設定する。そして、作動口84に付随する電動役物を所定時間開放する場合には、第2特定ランプ部94において所定の色の停止表示が行われる。
ステップS404の後は、ステップS405にて、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源及び発射制御基板321の発射制御部321bから発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構110のソレノイド111を励磁する。これにより、発射レール112上にある遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。ちなみに、発射許可信号は、CPU311における入力ポート311以外の入力ポートに入力されており、当該遊技球発射制御処理にてその入力ポートに発射許可信号があるか否かを確認する。
続くステップS406では、RAM313内に設けられた停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。停電フラグが格納されていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS407にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施形態では4msec)が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合には、ステップS406に戻り、所定時間が経過している場合には、ステップS401に戻る。
一方、ステップS406にて、停電フラグが格納されている場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS408以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS408では、タイマ割込み処理の発生を禁止する。続くステップS409では、電断時更新処理を実行する。この電断時更新処理においては、遊技状態等の各種情報がRAM313に格納される。その後、ステップS410にて電源が遮断されたことを示す停電コマンドを他の制御基板に対して出力する。そして、ステップS411にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS412にてRAM313のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源及び発射制御基板321のデータ記憶保持用コンデンサ321cからデータ記憶保持用電力が供給されるため、電源遮断前にRAM313に記憶されていた情報はそのままの状態で所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
次に、前扉枠14及び遊技機主部12の開放の監視に関する電気的構成について、図24のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置162(詳しくは主制御基板301)には、第1監視装置250及び第2監視装置290が電気的に接続されている。主制御装置162のCPU311では、第1監視装置250及び第2監視装置290から入力した信号に基づいて、各監視装置250,290の検知状態を把握する。すなわち、CPU311では、各監視装置250,290から入力する検知状態の情報に基づいて、電源投入中及び電源遮断中に前扉枠14及び遊技機主部12の開放が行われたか否かを判定し、その判定結果に基づいて特定出力処理を実行する。
次に、前扉枠14及び遊技機主部12の開放に関して、主制御装置162のCPU311により実行される各制御処理を説明する。
先ず、タイマ割込み処理(図29)にて実行される処理について説明する。
タイマ割込み処理におけるステップS201の信号読み込み処理において、第1監視装置250及び第2監視装置290から入力した信号(受光信号)の読み込みが行われる。この読み込まれた信号の情報は、CPU311のレジスタに記憶保持される。この場合、CPU311には第1レジスタと第2レジスタとが少なくとも設けられており、第1監視装置250の信号の情報は第1レジスタに記憶保持され、第2監視装置290の信号の情報は第2レジスタに記憶保持される。これは、CPU311のレジスタに関する以下の説明においても同様である。続くステップS202では、外部電源からの電力供給が行われている状況における第1監視装置250を介した前扉枠14の監視処理として前扉枠開放監視処理を実行する。
ここで、前扉枠開放監視処理について図25のフローチャートを用いて説明する。
前扉枠開放監視処理では、先ずステップS501にて比較処理を実行する。比較処理では、上記信号読み込み処理にてCPU311のレジスタに記憶した検知状態の情報(受光信号)と、ROM312に格納されている判定基準値とを比較する。続くステップS502では比較処理にて比較した信号の値が判定基準値を上回っているか否かを判定する。その結果、信号の値が判定基準値以上の場合には、そのまま本前扉枠開放監視処理を終了する。
一方、信号の値が判定基準値よりも小さい場合には、前扉枠14が本体枠13に対して開放されたことを意味する。このように信号の値が判定基準値に満たない場合には、外部電源から電力供給が行われている状況で前扉枠14が本体枠13に対して開放操作されたことを報知すべく、ステップS503にて通常時用報知処理を実行する。
通常時用報知処理では、通常時報知用コマンドをセットする。このセットされた通常時用報知コマンドは通常処理(図23)の外部出力処理にて音声ランプ制御装置143に出力される。音声ランプ制御装置143では、スピーカ部26から報知音を出力させ、エラー表示ランプ部24を点灯させ、さらに図柄表示装置91にて報知表示を行わせる。音声ランプ制御装置143では、予め定められた報知時間(報知期間)だけ上記各種報知を継続させた後にそれら各種報知を停止させる。この報知時間としては例えば10secなどが考えられる。
また、通常時用報知処理では、遊技ホールに設けられたホールコンピュータに外部端子板213を介して通常時報知用信号を出力する。この場合、ホールコンピュータでは通常時報知用信号をパチンコ機10から入力した日時やパチンコ機10の台番号といった識別情報を履歴として記憶する処理や、遊技ホールに設けられた監視カメラを対象となるパチンコ機10に向けるといった処理を実行する。
外部電源から電力供給が行われている状況においては、前扉枠14が閉鎖されたタイミングではなく、前扉枠14が開放されたタイミングで上記のような通常時用報知処理が実行されれば、遊技ホールの管理者等に対して前扉枠14の不正開放に対処させることが可能である。
なお、通常時用報知処理は、上記のものに限定されることはなく、通常時報知用コマンド又は通常時報知用信号のいずれか一方のみを出力する構成としてもよい。また、通常時報知用コマンドの出力に基づく処理として、スピーカ部26からの報知音の出力、エラー表示ランプ部24の点灯、又は図柄表示装置91での報知表示のうち一部のみを実行する構成としてもよい。
ステップS503にて通常時用報知処理を実行した後、本前扉枠開放監視処理を終了する。
タイマ割込み処理(図21)の説明に戻り、ステップS202にて前扉枠開放監視処理を実行した後は、ステップS203にて、外部電源からの電力供給が行われている状況における第2監視装置290を介した遊技機主部12の監視処理として本体枠開放監視処理を実行する。
本体枠開放監視処理では、信号読み込み処理にて把握した第2監視装置290の検知状態の情報(受光信号)が、ROM312に格納されている判定基準値よりも小さい場合に、上記通常時用報知処理を実行するとともに検知状態の情報の更新を実行する。この具体的な処理構成については、前扉枠開放監視処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。
なお、前扉枠開放監視処理における通常時用報知処理と本体枠開放監視処理における通常時用報知処理とで、通常時報知用コマンド又は通常時報知用信号の情報形態を異ならせてもよい。この場合、前扉枠14が開放された場合と遊技機主部12が開放された場合とで、パチンコ機10自身又はホールコンピュータにおいて報知の態様を異ならせることができる。
ステップS203にて本体枠開放監視処理を実行した後は、ステップS204にて始動入賞処理を実行した後に本タイマ割込み処理を終了する。当該始動入賞処理については既に説明したとおりである。
次に、メイン処理(図22)にて実行される処理について説明する。
メイン処理では、各監視装置250,290に関して、ステップS314〜ステップS318の復電時用開放監視処理を実行する。
復電時用開放監視処理では、先ずステップS314にて検知状態把握処理を実行する。検知状態把握処理では、ステップS201の信号読み込み処理と同様に、第1監視装置250及び第2監視装置290から入力した信号の読み込みが行われ、この読み込まれた信号の情報は、CPU311のレジスタに記憶保持される。
続くステップS315では、比較処理を実行する。比較処理では、上記検知状態把握処理にてCPU311のレジスタに記憶した第1監視装置250の信号の値と、ROM312に格納されている判定基準値とを比較する。また、比較処理では、上記検知状態把握処理にてCPU311のレジスタに記憶した第2監視装置290の信号の値と、ROM312に格納されている判定基準値とを比較する。
続くステップS316では、比較処理にて比較した第1監視装置250の信号の値が判定基準値を上回っているか否かを判定するとともに、第2監視装置290の信号の値が判定基準値を上回っているか否かを判定する。その結果、両方がそれぞれ判定基準値以上の場合には、ステップS311にて割込み許可を設定し、通常処理に移行する。いずれか一方でも判定基準値よりも小さい場合には、電源遮断中において前扉枠14又は遊技機主部12が開放されたことを意味するため、ステップS317に進む。
ステップS317では、復電時用報知処理を実行する。復電時用報知処理では、音声ランプ制御装置143に復電時報知用コマンドを出力する。これにより、スピーカ部26からの報知音の出力、エラー表示ランプ部24の点灯、及び図柄表示装置91での報知表示が行われる。但し、これらの報知態様は通常時報知用コマンドに基づく報知の態様とは異なっている。また、音声ランプ制御装置143では、遊技機主部12や前扉枠14が開閉されるといった報知解除操作が行われるまで各種報知を継続させる。つまり、通常時と復電時とでは、報知の態様だけでなく、報知解除の態様も異なっている。なお、これに限定されることはなく、報知の態様や報知解除の態様が通常時と復電時とで同一であってもよい。
また、復電時用報知処理では、遊技ホールに設けられたホールコンピュータに外部端子板213を介して復電時報知用信号を出力する。この場合、ホールコンピュータでは復電時報知用信号をパチンコ機10から入力した日時やパチンコ機10の台番号といった識別情報を履歴として記憶する処理や、遊技ホールに設けられた監視カメラを対象となるパチンコ機10に向けるといった処理を実行する。
上記復電時用報知処理が実行されることにより、電源遮断中に前扉枠14又は遊技機主部12が開放操作されていた場合には、それを遊技ホールの管理者等に報知することができ、仮にそれが不正開放である場合にはそれに対処させることができる。
なお、復電時用報知処理において前扉枠14が開放操作されていた場合と遊技機主部12が開放操作されていた場合とで、電断時報知用コマンド又は電断時開放検知信号の情報形態を異ならせてもよい。この場合、前扉枠14が電源遮断中に開放された場合と遊技機主部12が電源遮断中に開放された場合とで、パチンコ機10自身又はホールコンピュータにおいて報知の態様を異ならせることができ、遊技ホールの管理者等に対して適切に対処させることが可能となる。また、復電時用報知処理は、上記のものに限定されることはなく、復電時報知用コマンド又は復電時報知用信号のいずれか一方のみを出力する構成としてもよい。また、復電時報知用コマンドの出力に基づく処理として、スピーカ部26からの報知音の出力、エラー表示ランプ部24の点灯、又は図柄表示装置91での報知表示のうち一部のみを実行する構成としてもよい。
ステップS317にて復電時用報知処理を実行した後は、ステップS311にて割込み許可を設定し、通常処理に移行する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
前扉枠14の開放状態を監視する第1監視装置250を設けた。この第1監視装置250によって、前扉枠14が開放されていることを検知し、エラー表示ランプ部24等を用いて報知することができる。これにより、遊技盤81(遊技領域)に対して行なわれる不正を抑制することができる。
第1監視装置250によって電力供給時の前扉枠14の開放検知と、電力供給遮断時の前扉枠14の開放検知とを実現している。これにより、構成の煩雑化を抑えつつ、不正抑制効を向上することが可能となっている。
本実施の形態においては特に、構造的側面から前扉枠14の不正開放が行なわれた事実を保存する構成とした。電気的側面から前扉枠14の開放履歴を保存する構成と比較すれば、電力供給が遮断された状態で電気機器を動かすための電源(例えばバッテリ等)を必要としない。故に、省エネに貢献しつつ不正抑制効を高めることができる。
遮蔽部277bの第1位置及び第2位置の両位置間での移動に、遮蔽部277bの自重とソレノイド276の磁力とを利用している。このように遮蔽部277bの自重落下を利用することで、付勢部材等を用いることなく、遮蔽部277bの両位置間での移動を実現している。これにより、遮蔽部277bを往復運動させるための構成の簡略化に貢献している。
発光素子266及び受光素子267を本体枠13側に集約し、前扉枠14に光反射部材274を配置することで、発光素子266からの光を受光素子267へ届ける構成とした。このように電気的な接続を必要とする各素子266,267を本体枠13側に集約することで、ハーネス等の取り回しの簡略化を実現している。また、前扉枠13の開放検知に必要な構成(第1監視装置250等)を主として本体枠13側にまとめて配置することで、前扉枠13の重量の増加を抑えている。これにより、前扉枠13の開閉時の作業性を担保している。
また、光反射部材274を用いることで、光の通過経路を長く設定することができる。発光素子266からの光が光反射部材274によって反射され、受光素子267に到達する構成において、光反射部材274からの反射光が到達する位置は、光反射部材274への入射角と光の通過経路の長さとによって変化する。前扉枠14の開放角度が小さい場合、すなわち光反射部材274への入射角の変化が小さい場合であっても、光の通過経路を長く設定することで、反射光の到達位置の変化を大きくすることができる。これにより、受光素子267への反射光の到達を抑え、前扉枠14の開放検知の精度を向上することができる。すなわち、前扉枠14の開放角度が小さい場合でも、開放状態を好適に検知することが可能となっている。例えば、前扉枠14を少しだけ開いた状態で行なわれる不正行為の抑制に貢献することができる。
光反射部材274としてプリズムを用い、発光素子266と受光素子267との中心軸線の方向を前後方向に設定した。前扉枠14が回動する際に、その回動量が微小な状態では、その回動先端部分の初期位置からの変位成分は左右方向よりも前後方向で大きくなりやすい。すなわち、前扉枠14が閉じた状態においては、光反射部材274と各素子266,267との位置関係は左右方向では変わりにくくなっている。このため、仮に、閉状態での前扉枠14の位置が回動方向に若干ばらついた場合であっても、発光素子266から光反射部材274を経由し受光素子267に到達する光の経路が担保されやすくなっている。換言すれば、前扉枠14の位置ばらつきに伴う開放検知精度の低下が抑制されている。
以上のように、光反射部材274と各素子266,267を設けることで、パチンコ機10の前後方向への相対位置の変位を許容しつつ、左右方向への相対位置の変位を精度よく検知することができる。故に、前扉枠14が閉じている状態での開放検知の誤作動を抑制しつつ、前扉枠14が開放された際の検知精度を向上することが可能となっている。
本実施の形態においては、本体枠13と前扉枠14との相対位置の変位を利用することで、遮蔽部277bの位置の切り替えを規制又は許容する構成とした。具体的には、前扉枠14の突起14bが遮蔽部277bの軌道上から離れることで、遮蔽部277bの第1位置及び第2位置の両位置間での移動が可能となる構成とした。前扉枠14の開放角度が同一の場合、回動先端側における変位量は回動基端側における変位量よりも大きくなりやすい。第1監視装置250を、前扉枠14の回動先端側に配置することで、前扉枠14が小さく開放された場合でも、突起14bの移動量を確保しやすくなる。これにより、前扉枠14の開放度合いの大小によらず、第1監視装置250の開放検知機能を担保しやすくできる。
遮蔽部277bによって受光素子267のみを覆う構成とした。両素子266,267を覆う構成とした場合を想定すれば、遮蔽部277bの位置がばらつくことで発光素子266からの光が遮蔽部277bによって反射され受光素子267に届くと可能性がある。かかる場合、前扉枠14や遊技機主部12が電力遮断時の開放事実を検知できないといった不都合が生じ得る。しかしながら、上述の如く受光素子267のみを覆うことで、遮蔽部277bにおける光の反射を抑制し、誤検知の回避に貢献することができる。
電力遮断時における遊技機主部12又は前扉枠14の開放を検知した状態において、開放が検知された対象の開閉によって検知状態がリセットされる構成とした。遊技機主部12及び前扉枠14は所定のキー操作によって開放可能となっている。このため、検知状態が不正にリセットされるといった不都合を回避可能となっている。
前扉枠14を開放する際に、前扉枠14の回転角度が所定の角度に達するまでは、本体枠13の開口フランジ13aによって、前扉枠14の前面が視認しにくくなっている。突起14bによる遮蔽部277bの移動規制が解除されるタイミングは、第1監視装置250が視認可能となるタイミングよりも早く設定されている。このため、本体枠13と前扉枠14との境界部位から不正具を挿入し、その不正具によって遮蔽部277bの移動を妨げようとしても、不正具が挿入容易となった状態では、遮蔽部277bの移動が行なわれた後になる。このため、遮蔽部277bの移動を故意に妨げるといった不正行為を困難なものとすることができる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施の形態では、外枠11に対する遊技機主部12の開放を監視する第1監視装置250、及び本体枠13に対する前扉枠14の開放を監視する第2監視装置290を設けたが、必ずしも両者を設ける必要はなく、いずれか一方のみを設ける構成としてもよい。また、本体枠13に対する裏パックユニット15の開放を監視する裏パック監視装置を設けることも可能である。
(b)上記実施の形態では、本体枠13に各監視装置250,290を配置したが、これを変更し、第1監視装置250を前扉枠14に配置し、第2監視装置を外枠11に配置することも可能である。また両監視装置250,290をまとめてユニット化し、本体枠13に配置することも可能である。これにより、メンテナンス等の際に確認すべき部位を減らし、作業効率の向上に貢献することができる。
(c)上記実施の形態では、光反射部材274をプリズムで構成したが、これを変更し、平面鏡等の鏡で構成することも可能である。例えば、平面鏡を1つだけ用いる場合、発光素子266及び受光素子267の中心軸線が前扉枠14の背面にて互いに交差する構成とし、その交差する位置に平面鏡を配置するとよい。
(d)上記実施の形態では、本体枠13に発光素子266及び受光素子267を設けるとともに、前扉枠14に光反射部材274を設けた。これを以下のように変更してもよい。すなわち、図26の(a)に示すように、本体枠13及び前扉枠14のいずれか一方に発光素子400を設け、他方に受光素子401を設ける構成としてもよい。両素子400,401を対向して配置することで、両素子400,401間での光の受け渡しが可能となる。これにより、両素子400,401間での光の拡散を抑制し、受光素子401に到達する光の量を担保しやすくできる。
(e)上記実施の形態では、ソレノイド276の動作軸277が通電時には縮み状態となり、電断時には伸び状態となる構成としたが、これを変更し、通電時には伸び状態となり、電断時には縮み状態となる構成とすることも可能である。
(f)上記実施の形態では、ソレノイドの276の中心軸線が上下方向を向く構成としたが、これを以下のように変更することも可能である。すなわち、ソレノイド276の中心軸線が水平方向を向いてもよい。但し、かかる場合、動作軸277の自重を利用した位置の切り替えが困難となる。そこで、ソレノイド276の通電時の動作方向と反対の方向に動作軸277を付勢する付勢手段を設けるとよい。例えば、コイルバネを用いるとよい。ソレノイド276が励磁されることで、コイルバネの付勢力に抗して動作軸277が移動可能とすることで、第1位置及び第2位置間での切り替えが担保される。
(g)上記実施の形態では、収容ケース体251全体が光透過性を有する構成としたが、必ずしも収容ケース体251の全体が光透過性を有する必要はない。少なくとも収容ケース体251の前板部255における両素子266,267と対向する範囲が光透過性を有すればよい。
(h)上記実施の形態では、発光素子266及び受光素子267の光センサによって、開放検知を行う構成としたが、光センサに代えてプッシュセンサを用いることも可能である。以下、図26の(b)に基づき、プッシュセンサを用いた具体的構成について説明する。遮蔽部277bの下限位置には、遮蔽部277bと当接するスイッチ410を設けられている。スイッチ410は、収容ケース体251への取り付け対象たる基部411と、基部411に対して変位可能に設けられた可動部412とを備えている。可動部412は遮蔽部277bの移動方向と同一方向に変位可能に設定されており、遮蔽部277bに向かって伸びる伸び位置と縮み位置との2つの状態で切り替え可能となっている。スイッチ410における遮蔽部277bとの当接部413は図示せぬ付勢手段(例えばコイルバネ)によって伸び位置に向けて付勢されている。可動部412の先端には遮蔽部277bに当接する当接部413が設けられており、遮蔽部277bが第2位置に移動する際には、当接部413に当たる構成となっている。可動部412が伸び位置にある状態で、遮蔽部277bが当接部413に当たると、可動部412は付勢手段の付勢力に抗して押し込まれ、縮み位置へと移行される。例えば、スイッチ410が縮み状態となることで所定の信号が中継基板286に出力される構成とすればよい。信号の出力がなされることで、電力遮断時における前扉枠14等の不正開放を検知することができる。
(i)上記実施の形態では、第1監視装置250を本体枠13における、前扉枠14の回動先端側に設けたが、第1監視装置250の位置はこれに限定されるものではない。例えば、本体枠13の回動基端側に設けてもよい。また、第2監視装置290についても同様に、その配置位置は本体枠13の下部に限定されるものではなく、例えば本体枠13の上部に設けることも可能である。
(j)上記実施の形態では、第1監視装置250が、電力供給時の開放検知機能及び電力遮断時の開放検知機能を併せ有する構成としたが、各開放検知機能を別々の監視装置が有する構成としてもよい。以下、図26の(c)を用いて具体例について説明する。図26の(c)は電力遮断時の開放監視装置の1実施形態を示す概略図である。
開放監視装置420は、ハウジング421の内部に、対向配置された発光素子422と受光素子423とを備えている。両素子422,423の間には所定の隙間が設けられており、その隙間を遮蔽部424が移動可能となっている。発光素子422から発せられた光はハウジング421の外部を経由することなく、直接受光素子423に到達する構成となっている。かかる構成においては、電力供給状態での前扉枠14の開放検知機能は省略されているが、電力遮断状態での前扉枠14の開放検知機能は担保されている。かかる場合、ハウジング421は光透過性を有する必要は無く、ハウジング421が光透過性を有さない構成とすることで、開放監視装置420の外部からの遮蔽部424への不正なアクセスを困難なものとすることができる。なお、両素子422,423を対向配置するのではなく、左右又は上下に並設するとともに、両素子422,423に対向する鏡等の光反射部材を設けてもよい。上記変形例は、第2監視装置290に適応してもよい。
(k)上記実施の形態では、各監視装置250,290を主制御装置162に接続する構成としたが、その接続先は主制御装置162に限定されるものではない。例えば、音声ランプ制御装置143等に接続することも可能である。
(l)突起14bの位置検出装置を更に備える構成とすることも可能である。位置検出装置により、前扉枠14が閉じられている状態において突起14bが所定の位置にあるか否かを検知する。これにより、電力遮断時における監視装置250の開放事実保持機能を担保することができる。以下、具体的構成について図26の(d)に基づいて説明する。
ハウジング252の内部には検出スイッチ430が設けられている。検出スイッチ430は、蓋用ケース体280への取り付け対象たる基部431と、基部431に対して変位可能に設けられた可動部432とを備えている。可動部432は突起14bの挿入方向と同一の方向に変位可能に設定されている。より詳しくは、可動部432は伸び位置と縮み位置の2つの位置に切り替え可能となっている。検出スイッチ431は図示せぬ付勢部材(例えばコイルバネ)を備えており、この付勢部材により可動部432は伸び位置に向けて付勢されている。可動部432の先端には、突起14bの先端部が当たる当接部433が設けられている。前扉枠14が閉じた際には、突起14bの先端部が当接部433に当たる。可動部432は付勢部材の付勢力に抗して押し込まれることで、伸び位置から縮み位置へ移行される。例えば、可動部432が縮み位置に切り替えられることで所定の信号が中継基板286に出力される構成とすればよい。信号の出力がなされることで、電力遮断時における前扉枠14等の不正開放を検知することができる。なお、位置検出装置430においては、スイッチに代えて光学センサ等を用いることも可能である。
(m)上記実施の形態では、ソレノイド276が励磁されることで、動作軸277が上方に引き上げられる構成としたが、これを以下のように変更することも可能である。すなわち、ソレノイド276が励磁されることで、動作軸が下方に引き下げられる構成とすることも可能である。例えば、ソレノイド276を上下逆となるように配置するとよい。かかる場合非励磁状態にて動作軸277を移動させるための手段として、重力に替えバネ等の付勢部材による付勢力を用いるとよい。
(n)上記実施の形態では、動作軸277の円柱部277aと遮蔽部277bとを一体として設けたが、これらを別体とすることも可能である。例えば、回動可能に軸支された棒状の中間体を設け、その軸支された部分を挟んで一方に遮蔽部をもうけるとともに、他方に、動作軸の円柱部と当接可能な当接部を設けるとよい。動作軸が当接部を押すことで中間体が回動し、それに伴って遮蔽部が変位する。これにより、遮蔽部の位置を切り替えることができる。なお、動作軸が当接部から離れる方向に移動した際に、遮蔽部を変位させるには、遮蔽部自身の重み(すなわち重量)を利用したり、バネ等の付勢部材によって付勢したりするとよい。
(o)上記第7の実施の形態では、ソレノイド276を励磁することで、ソレノイド276に挿通されたプランジャとしての動作軸277を変位させる構成としたが、これを以下のように変更することも可能である。すなわち、プランジャを有するソレノイドタイプの電磁石に代えて、プランジャを有さないタイプの電磁石を用いることも可能である。例えば、動作軸277に代えて、電磁石とは別個独立して設けられた磁性体からなる鉄球等の遮蔽部材を設け、電磁石を励磁することでこの遮蔽部材そのものが電磁石に引き寄せられる構成とするとよい。より具体的には、電磁石の磁力発生部分の下方に遮蔽部材を配置するとよい。電磁石が励磁されることで、遮蔽部材が持ち上げられ磁力発生部分に引き寄せられる。これにより、遮蔽部材の位置の切り替えを実現することができる。
(p)上記実施の形態では、本体枠13や前扉枠14の開放監視処理を、タイマ割込み処理内及びメイン処理内に組み込む構成としたが、これを変更し、本体枠13や前扉枠14の開放監視処理を、通常処理内に組み込むことも可能である。
(q)上記実施の形態とは異なる他のタイプの遊技機にも適応可能である。例えば、遊技球を遊技媒体として用いるパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の弾球遊技機に適用可能である。また、遊技球を遊技媒体として用い、いわゆるスロットマシンに類似した遊技を行うことのできる球使用回胴遊技機(いわゆる、パロット)へも適用できる。
以上詳述した(a)〜(q)の各別例における構成を任意に組み合わせることも可能である。