はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.遊技球が流下する遊技領域に設けられ、当該流下する遊技球が入球可能な入球部(一般入賞口62、可変入賞装置63、上作動口64、下作動口65)と、
遊技機内部にて遊技球を貯留する内側貯留部(タンク132)と、
遊技機前面部にて遊技球を貯留する外側貯留部(上皿95a、下皿96a)と、
前記内側貯留部に貯留されている遊技球を前記外側貯留部に誘導する誘導通路部(第1ケースレール部174、第2ケースレール部175、遊技球通路192、払出通路部203等)と、
当該誘導通路部の途中位置に設けられ、上流側から流下してきた遊技球を一旦停止させる球止め手段(回転体195)を有し、前記一旦停止させられている遊技球を前記球止め手段の払出動作により下流側へ払い出す払出手段(払出装置135)と、
前記入球部に遊技球が入球したことに基づいて払出を実行すべき遊技球数に対応した情報として賞球数情報を記憶するとともに、当該賞球数情報に対応した数の遊技球が前記外側貯留部に払い出されるように前記払出手段に前記払出動作を実行させる制御手段(主制御装置107、払出制御装置146)と、
前記払出手段よりも上流側の位置にて前記誘導通路部の一部を構成し、前記払出手段側へ遊技球を誘導する払出誘導状態と前記誘導通路部の外部へ遊技球を排出する排出通路部(上側排出通路部178)側へ遊技球を誘導する排出誘導状態とに切換可能に設けられた切換部(切換片181)と、
を備えており、
さらに、前記入球部への一の入球に対して払い出される単位遊技球数が複数の遊技球数となるように、前記制御手段に記憶される賞球数情報が設定されており、
外部電源から遊技機への電力供給が停止された状況において前記制御手段にバックアップ電力を供給する電力供給手段(バックアップ電源部331a)を備えているとともに、
前記切換部が前記排出誘導状態に切り換えられ当該切換部よりも上流側の遊技球が排出された場合に、当該切換部から前記球止め手段にて一旦停止される位置までの間に残存する残存遊技球数が前記単位遊技球数の整数倍と一致しないように、前記切換部から前記球止め手段にて一旦停止される位置までの待機通路長が設定されていることを特徴とする遊技機。
手段1の遊技機では、入球部に遊技球が入球したことに基づいて制御手段により駆動制御されて払出手段が動作し、内側貯留部に貯留されている遊技球は誘導通路部を通じて外側貯留部に払い出される。また、例えば、遊技機が中古品で流通される場合には、内側貯留部及び誘導通路部に待機している遊技球が排出されることがある。この場合、切換部が払出誘導状態から排出誘導状態に切り換えられることで、内側貯留部に貯留されている遊技球及び誘導通路部において内側貯留部側から切換部の位置までに待機している遊技球が排出通路部側へ誘導される。但し、この状態では、切換部の位置から払出手段の停止位置までに遊技球が残存することとなる。当該残存遊技球は、例えば遊技領域を遊技機前方に開放させて入球部に手入れで遊技球を入球させ払出手段の球止め手段に払出動作を実行させることで排出される。
上記構成において、入球部への一の入球に対して払い出される単位遊技球数が複数の遊技球数となるように設定されており、さらには当該残存遊技球数が上記単位遊技球数の整数倍と一致しないように、切換部から球止め手段にて一旦停止される位置までの待機通路長が設定されている。これにより、残存遊技球を全て排出させるべく入球部への入球操作を行った場合には、制御手段に確実に未払出の賞球数情報が残ることとなる。この場合に、外部電源から遊技機への電力供給が停止された状況において制御手段にバックアップ電力が供給され、賞球数情報が記憶保持されるようにすることで、例えば中古品の流通過程において制御手段が不正なものに交換されたか否かの確認を、流通先において行うことが可能となる。
つまり、流通先において上記未払出の賞球数情報が依然として残っているか否かを確認することで、流通過程において上記不正行為が行われたか否かの確認を行うことが可能となる。この確認としては、例えば、遊技機を島設備に設置し、内側貯留部への遊技球の補充を行った後に遊技機の電源を立ち上げた際に、外側貯留部に遊技球が払出されるか否かを確認する態様が考えられる。そして、上記のとおり残存遊技球を全て排出させるべく入球部への入球操作を行った場合には、制御手段に確実に未払出の賞球数情報が残るため、制御手段にバックアップ電力が供給されるのであれば、確実に上記不正行為が行われたか否かの確認を行うことが可能となる。以上より、中古品での流通などを良好に行うことが可能となる。
また、遊技機が中古で流通する場合以外にも、遊技ホールなどにおいて、払出手段や、誘導通路部における払出手段よりも上流側を構成する通路部分が、不正な部品を取り付けた不正用ユニットに交換されてしまうことが想定される。そして、その発見が行われないと、遊技ホールが多大な不利益を被ってしまうおそれがあり好ましくない。この場合に、不正用ユニットに交換されて上記残存遊技球数が変化した場合には、その残存遊技球数が単位遊技球数の整数倍と一致する可能性が生じる。当該事情において、制御手段に未払出の賞球数情報が記憶されているにも関わらず、払い出すべき遊技球が球止め手段よりも上流側にない場合、その事実を報知などにより把握可能な構成とすることで、上記不正用ユニットへの交換を遊技ホールにおいて把握することが可能となる。
なお、「制御手段」には単一の制御基板だけでなく、物理的に分離された複数の制御基板により構成されたものも含まれ、そのうちの一部の制御基板にバックアップ電力が供給される構成としてもよい。
手段2.手段1において、前記遊技領域には前記単位遊技球数が異なる入球部が複数設けられており、
それら入球部の前記単位遊技球数がいずれも複数の遊技球数となるように、前記制御手段に記憶される賞球数情報が設定されており、
前記残存遊技球数が、当該残存遊技球の排出を行う状況であっても入球が有効となる入球部に対応した単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しないように、前記待機通路長が設定されていることを特徴とする遊技機。
手段2によれば、それぞれ異なる単位遊技球数が設定された入球部が複数設けられている場合であっても、残存遊技球数が、当該残存遊技球の排出を行う状況であっても入球が有効となる入球部に対応した単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しないように、上記待機通路長が設定されている。これにより、複数の入球部が設けられた構成において、いずれか一の入球部を任意に選択して、残存遊技球を全て排出させるべく入球部への入球操作を行ったとしても、上記手段1にて説明した効果を得ることができる。
手段3.手段2において、前記単位遊技球数として、他の単位遊技球数に比べ最大の遊技球数に対応した最大単位遊技球数と、他の単位遊技球数に比べ最小の遊技球数に対応した最小単位遊技球数と、が設定されており、
前記残存遊技球数が前記最大単位遊技球数よりも大きい数であり、且つ前記残存遊技球数に対する前記最大単位遊技球数の商を計算した場合の余りが前記最小単位遊技球数未満となるように、前記待機通路長が設定されていることを特徴とする遊技機。
それぞれ異なる単位遊技球数が設定された入球部が複数設けられた構成においては、残存遊技球を全て排出させるべく入球部への入球操作を行う場合、最大単位遊技球数が設定された入球部に対して入球操作を行うことで、当該入球操作の作業効率が高められる。この場合に、手段3によれば、残存遊技球数に対する最大単位遊技球数の商を計算した場合にその余りが最小単位遊技球数未満となるように上記待機通路長が設定されている。これにより、流通先などにおいて、流通過程で上記不正行為が行われたか否かの確認を行うべく外側貯留部に遊技球が払い出されるか否かの確認を行った場合において、その払い出される遊技球の数を極力少なくすることが可能となる。よって、確認作業に際して多数の遊技球が払い出される構成に比べ、その確認後の片付け作業を効率良く行うことが可能となる。
手段4.手段2又は3において、前記残存遊技球数が、複数種類の前記単位遊技球数のうち2種類以上の各単位遊技球数をそれぞれ整数倍したものの和の数と一致するように、前記待機通路長が設定されていることを特徴とする遊技機。
手段4によれば、例えば遊技ホールでのメンテナンス時や製造メーカの出荷前検査後といったように、中古品を流通させる場合ではない状況において、残存遊技球の排出を行う場合、制御手段に賞球数情報が残らないようにしつつ残存遊技球の排出を行うことができる。
手段5.手段4において、前記入球部として、入球可能又は入球し易い状態と入球不可又は入球しがたい状態とに開閉される開閉手段(開閉扉63a、電動役物65a)を有する開閉入球部(可変入賞装置63、下作動口65)と、当該開閉手段を不具備である開放入球部(一般入賞口62、上作動口64)と、を備えており、
さらに、前記単位遊技球数が異なる開放入球部が複数設けられており、
前記残存遊技球数が、前記開放入球部における複数種類の単位遊技球数のうち2種類以上の各単位遊技球数をそれぞれ整数倍したものの和の数と一致するように、前記待機通路長が設定されていることを特徴とする遊技機。
上記手段4の構成を備えていることにより、制御手段に賞球数情報が残らないようにしつつ残存遊技球の排出を行うことができる。但し、この場合、複数の入球部に対して入球操作を行う必要が生じる。これに対して、手段5によれば、開閉入球部ではなく、開放入球部に対して入球操作を行えばよいため、当該入球操作の作業効率を向上させることができる。
手段6.手段4又は5において、遊技機本体(遊技機ベースユニット22)に搭載され、前面に前記遊技領域が形成された遊技盤(遊技盤61)と、
前記遊技機本体の左右の一方を開閉基端側とし他方を開閉先端側として当該遊技機本体に対して開閉可能に設けられ、遊技機前方から前記遊技領域を視認可能とする表示部(窓パネル部91)を有する遊技機前面体(遊技機前面ユニット23)と、
を備えており、
前記遊技領域には、前記入球部が、前記遊技領域の左右方向の中央部分、当該中央部分よりも前記開閉基端側、及び当該中央部分よりも前記開閉先端側にそれぞれ設置されており、
前記残存遊技球数が、前記中央部分又は前記開閉先端側に設けられた入球部における複数種類の単位遊技球数のうち2種類以上の各単位遊技球数をそれぞれ整数倍したものの和の数と一致するように、前記待機通路長が設定されていることを特徴とする遊技機。
上記手段4の構成を備えていることにより、制御手段に賞球数情報が残らないようにしつつ残存遊技球の排出を行うことができる。但し、この場合、複数の入球部に対して入球操作を行う必要が生じる。これに対して、手段6によれば、開閉基端側の入球部ではなく、遊技領域の左右方向の中央部分にある入球部又は開閉先端側の入球部に対して入球操作を行えばよいため、当該入球操作の作業効率を向上させることができる。
手段7.手段1乃至6のいずれか1において、前記誘導通路部における前記払出手段よりも上流側の位置を流れる遊技球を検知するように設けられた球無検知手段(球無検知センサ186)を備え、
前記制御手段は、
前記球無検知手段の検知結果に基づいて前記内側貯留部に貯留されている遊技球が球無状態であることを特定した場合に、前記球止め手段の前記払出動作が停止されるように規制する停止規制手段(払出制御装置146のCPU341におけるステップS704の処理を実行する機能)を備えているとともに、
遊技機内部又は遊技機背面部に設けられた解除操作部が操作されたことに基づいて、前記球無状態であったとしても、記憶している賞球数情報に対応した数を上限として前記払出手段に前記払出動作を実行させるものであることを特徴とする遊技機。
手段7によれば、球無検知手段にて球無状態が検知されている場合には球止め手段の払出動作が停止されるように規制されるため、球無状態であるにも関わらず球止め手段の払出動作が継続されてしまうことはない。一方、球無状態であったとしても解除操作部が操作されたことに基づいて上記規制状態が解除されるため、上記手段1等の効果を得ることが可能となる。
特に、残存遊技球の排出に際しては、制御手段に記憶されている賞球数情報に対応した数を上限としたことにより、不正に遊技球の払出を受けようとする行為を阻止することができる。つまり、解除操作部の操作に応じて球止め手段の払出動作が開始され外側貯留部に遊技球が排出される構成において、解除操作部が操作されただけで球止め手段の払出動作が開始される構成を想定すると、不正に解除操作部を操作し、不正に遊技球の払出を受けようとする行為が想定される。これに対して、残存遊技球の排出条件を上記のように設定したことにより、上記不正行為を阻止することが可能となる。
手段8.手段7において、前記停止規制手段は、前記球無検知手段から球無状態であることを示す検知結果を入力している期間が予め設定された第1期間以上となった場合、前記球無状態であることを特定するとともに、前記球止め手段の前記払出動作が停止されるように規制し、
さらに、前記制御手段は、前記球無検知手段から球無状態であることを示す検知結果を入力している期間が前記第1期間よりも短い第2期間以上となった場合、前記球止め手段における前記払出動作の周期を、それまでの周期よりも遅い周期に変更する周期変更手段を備えていることを特徴とする遊技機。
大当たり状態などのように多数の遊技球が短時間で払い出される場合、内側貯留部から誘導通路部側への遊技球の流入が遅れることがある。この場合に、球無検知手段よりも下流側にある遊技球の払出が即座に完了してしまうと、実際には大当たり状態に対する賞球数情報が未だ残っているにも関わらず、遊技球の払出が停止されてしまう。そうすると、遊技者は大当たり状態における遊技球の払出が完了したと勘違いし、遊技機から離れてしまう可能性がある。これに対して、手段8によれば、球止め手段の払出動作が停止される前段階として、払出動作の周期がそれまでよりも遅い周期に変更されるため、上記状況となった場合には球無検知手段よりも下流側にある遊技球がゆっくりと払い出され、その間に内側貯留部から誘導通路部側へ遊技球が流入する可能性が高まる。よって、上記のような不都合が発生する可能性が低減される。
手段9.手段8において、前記球止め手段から前記球無検知手段までの通路長は、当該通路部分に待機可能な遊技球の数が、前記停止規制手段により前記払出動作が停止されるまでに、前記遅い周期により前記払出動作が実行されて払い出される遊技球の数よりも少なくなるように設定されていることを特徴とする遊技機。
手段9によれば、球無状態となり球止め手段の払出動作が停止したとしても、球止め手段よりも上流側には遊技球が存在することとなる。例えば、球無状態となり球止め手段の払出動作が停止した場合に、球止め手段よりも上流側に遊技球が存在しない構成を想定すると、球止め手段の払出動作が停止した後に内側貯留部から誘導通路部側へ流入してくる遊技球は、内側貯留部の位置から球止め手段までの距離分加速されながら流下し、その勢いのまま球止め手段に衝突することとなる。そうすると球止め手段に大きな負荷がかかってしまう。これに対して、本手段における構成によれば、球無状態となり球止め手段の払出動作が停止したとしても、球止め手段よりも上流側に遊技球が存在するため、内側貯留部から誘導通路部側への遊技球の流入が再開された場合に球止め手段にかかる負荷が低減される。
手段10.遊技球が流下する遊技領域に設けられ、当該流下する遊技球が入球可能な入球部(一般入賞口62、可変入賞装置63、上作動口64、下作動口65)と、
遊技機内部にて遊技球を貯留する内側貯留部(タンク132)と、
遊技機前面部にて遊技球を貯留する外側貯留部(上皿95a、下皿96a)と、
前記内側貯留部に貯留されている遊技球を前記外側貯留部に誘導する誘導通路部(第1ケースレール部174、第2ケースレール部175、遊技球通路192、払出通路部203等)と、
当該誘導通路部の途中位置に設けられ、上流側から流下してきた遊技球を一旦停止させる球止め手段(回転体195)を有し、前記一旦停止させられている遊技球を前記球止め手段の払出動作により下流側へ払い出す払出手段(払出装置135)と、
前記入球部に遊技球が入球したことに基づいて払出を実行すべき遊技球数に対応した情報として賞球数情報を記憶するとともに、当該賞球数情報に対応した数の遊技球が前記外側貯留部に払い出されるように前記払出手段に前記払出動作を実行させる制御手段(主制御装置107、払出制御装置146)と、
前記払出手段よりも上流側の位置にて前記誘導通路部の一部を構成し、前記払出手段側へ遊技球を誘導する払出誘導状態と前記誘導通路部の外部へ遊技球を排出する排出通路部(上側排出通路部178)側へ遊技球を誘導する排出誘導状態とに切換可能に設けられた切換部(切換片181)と、
前記誘導通路部における前記払出手段よりも上流側の位置を流れる遊技球を検知するように設けられた球無検知手段(球無検知センサ186)と、
を備えており、
前記制御手段は、
前記球無検知手段の検知結果に基づいて前記内側貯留部に貯留されている遊技球が球無状態であることを特定した場合に、前記球止め手段の前記払出動作が停止されるように規制する停止規制手段(払出制御装置146のCPU341におけるステップS704の処理を実行する機能)を備えているとともに、
遊技機内部又は遊技機背面部に設けられた解除操作部が操作されたことに基づいて、前記球無状態であったとしても記憶している賞球数情報に対応した数を上限として前記払出手段に前記払出動作を実行させるものであり、
さらに、前記入球部への一の入球に対して払い出される単位遊技球数が複数の遊技球数となるように前記制御手段に記憶される賞球数情報が設定されており、
外部電源から遊技機への電力供給が停止された状況において前記制御手段にバックアップ電力を供給する電力供給手段(バックアップ電源部331a)を備えているとともに、
前記切換部が前記排出誘導状態に切り換えられ当該切換部よりも上流側の遊技球が排出された場合に、当該切換部から前記球止め手段にて一旦停止される位置までの間に残存する残存遊技球数が前記単位遊技球数の整数倍と一致しないように、前記切換部から前記球止め手段にて一旦停止される位置までの待機通路長が設定されていることを特徴とする遊技機。
手段10の遊技機では、入球部に遊技球が入球したことに基づいて制御手段により駆動制御されて払出手段が動作し、内側貯留部に貯留されている遊技球は誘導通路部を通じて外側貯留部に払い出される。また、例えば、遊技機が中古品で流通される場合には、内側貯留部及び誘導通路部に待機している遊技球が排出されることがある。この場合、切換部が払出誘導状態から排出誘導状態に切り換えられることで、内側貯留部に貯留されている遊技球及び誘導通路部において内側貯留部側から切換部の位置までに待機している遊技球が排出通路部側へ誘導される。但し、この状態では、切換部の位置から払出手段の停止位置までに遊技球が残存することとなる。当該残存遊技球は、例えば遊技領域を遊技機前方に開放させて入球部に手入れで遊技球を入球させ払出手段の球止め手段に払出動作を実行させることで排出される。
上記構成において、入球部への一の入球に対して払い出される単位遊技球数が複数の遊技球数となるように設定されており、さらには当該残存遊技球数が上記単位遊技球数の整数倍と一致しないように、切換部から球止め手段にて一旦停止される位置までの待機通路長が設定されている。これにより、残存遊技球を全て排出させるべく入球部への入球操作を行った場合には、制御手段に確実に未払出の賞球数情報が残ることとなる。この場合に、外部電源から遊技機への電力供給が停止された状況において制御手段にバックアップ電力が供給され、賞球数情報が記憶保持されるようにすることで、例えば中古品の流通過程において制御手段が不正なものに交換されたか否かの確認を、流通先において行うことが可能となる。
つまり、流通先において上記未払出の賞球数情報が依然として残っているか否かを確認することで、流通過程において上記不正行為が行われたか否かの確認を行うことが可能となる。この確認としては、例えば、遊技機を島設備に設置し、内側貯留部への遊技球の補充を行った後に遊技機の電源を立ち上げた際に、外側貯留部に遊技球が払出されるか否かを確認する態様が考えられる。そして、上記のとおり残存遊技球を全て排出させるべく入球部への入球操作を行った場合には、制御手段に確実に未払出の賞球数情報が残るため、制御手段にバックアップ電力が供給されるのであれば、確実に上記不正行為が行われたか否かの確認を行うことが可能となる。以上より、中古品での流通などを良好に行うことが可能となる。
また、遊技機が中古で流通する場合以外にも、遊技ホールなどにおいて、払出手段や、誘導通路部における払出手段よりも上流側を構成する通路部分が、不正な部品を取り付けた不正用ユニットに交換されてしまうことが想定される。そして、その発見が行われないと、遊技ホールが多大な不利益を被ってしまうおそれがあり好ましくない。この場合に、不正用ユニットに交換されて上記残存遊技球数が変化した場合には、その残存遊技球数が単位遊技球数の整数倍と一致する可能性が生じる。当該事情において、制御手段に未払出の賞球数情報が記憶されているにも関わらず、払い出すべき遊技球が球止め手段よりも上流側にない場合、その事実を報知などにより把握可能な構成とすることで、上記不正用ユニットへの交換を遊技ホールにおいて把握することが可能となる。
また、球無検知手段にて球無状態が検知されている場合には球止め手段の払出動作が停止されるように規制されるため、球無状態であるにも関わらず球止め手段の払出動作が継続されてしまうことはない。一方、球無状態であったとしても解除操作部が操作されたことに基づいて上記規制状態が解除されるため、上記効果を得ることが可能となる。
特に、残存遊技球の排出に際しては、制御手段に記憶されている賞球数情報に対応した数を上限としたことにより、不正に遊技球の払出を受けようとする行為を阻止することができる。つまり、解除操作部の操作に応じて球止め手段の払出動作が開始され外側貯留部に遊技球が排出される構成において、解除操作部が操作されただけで球止め手段の払出動作が開始される構成を想定すると、不正に解除操作部を操作し、不正に遊技球の払出を受けようとする行為が想定される。これに対して、残存遊技球の排出条件を上記のように設定したことにより、上記不正行為を阻止することが可能となる。
なお、「制御手段」には単一の制御基板だけでなく、物理的に分離された複数の制御基板により構成されたものも含まれ、そのうちの一部の制御基板にバックアップ電力が供給される構成としてもよい。
以下に、以上の各手段を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
弾球遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル84)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する球発射手段(遊技球発射機構80)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く誘導部(内,外レール部77,78)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(一般入賞口62等)とを備えた遊技機。
なお、上記各手段は、以下の課題を解決することが可能である。
遊技機の一種であるパチンコ機は、パチンコ機内部にて遊技球を貯留するための貯留タンクを備えている。貯留タンクに貯留されている遊技球は、誘導通路部を通じて、遊技機前面部の球受け皿へ誘導される。また、誘導通路部の途中位置には払出装置が設けられており、誘導通路部により誘導される遊技球は払出装置内にて一旦停止される。詳細には、払出装置には回転体などの球止め手段が内蔵されており、誘導通路部により誘導される遊技球は球止め手段により一旦停止される。払出装置は制御装置と電気的に接続されている。そして、遊技領域に設けられた入賞口へ遊技球が入賞したことに基づいて制御装置に賞球数情報が記憶され、球止め手段が払出動作を実行するように制御装置により払出装置が駆動制御されることで、上記一旦停止されていた遊技球は球受け皿に払い出される。
ここで、例えばパチンコ機を中古で流通させる場合、パチンコ機内の遊技球が全て抜き出される。遊技球には遊技ホール毎に固有の模様などが付されており、中古での流通に際してパチンコ機内の遊技球を全て抜き出すことで、遊技ホール間で異なる遊技球が混ざらないようにすることができる。
遊技球を抜き出すための構成は以下のとおりである。誘導通路部には払出装置よりも上流側にパチンコ機外部(例えば、遊技ホールの島設備)へ通じる排出通路部が設けられており、さらには当該排出通路部の入口部分には切換部が設けられている。切換部は、それよりも上流側の遊技球を払出装置側又は排出通路部側のいずれかに誘導するように切り換え可能に設けられている。切換部を排出通路部側に誘導するように切り換えることで、それよりも上流側の遊技球がパチンコ機外部に排出される。但し、切換部から払出装置内の球停止位置までの間には所定数の遊技球が待機可能な間隔が存在しており、切換部を排出通路部側に誘導するように切り換えたとしても、両者の間に遊技球が残ってしまう。これに対して、遊技領域を露出させて入賞口への遊技球の入球を手入れで行い払出装置を動作させることで、上記残存遊技球の排出を行うことができる。
この場合に、上記のようにパチンコ機が中古で流通する場合、その流通過程で制御装置が不正な制御装置に交換されてしまうことが懸念される。そして、その発見が行われないと、流通先の遊技ホールが多大な不利益を被ってしまうおそれがあり好ましくない。
一方、パチンコ機が中古で流通する場合以外にも、遊技ホールなどにおいて、払出装置や、誘導通路部における払出装置よりも上流側を構成する通路部分が、不正な部品を取り付けた不正用ユニットに交換されてしまうことが想定される。そして、その発見が行われないと、遊技ホールが多大な不利益を被ってしまうおそれがあり好ましくない。
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の斜視図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図4はパチンコ機10の背面図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機主部21とを有する。
外枠11は、板材12〜15を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を構成する板材12〜15は、左右の板材12,13がアルミなどの金属製となっており、上下の板材14,15が木製となっている。パチンコ機10は、外枠11の上下の板材14,15を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。上記のように左右の板材12,13を金属製とするとともに上下の板材14,15を木製とすることで、島設備への固定を可能としつつ外枠11の補強を行うことができる。なお、外枠11の構成は上記のものに限定されることはなく、全ての板材12〜15を木製としてもよく、全ての板材12〜15を金属製としてもよい。また、板材12〜15の全部又は一部を合成樹脂製としてもよい。また、パチンコ機10が外枠11を備える構成としたが、パチンコ機10は外枠11を備えずに遊技機主部21のみを備える構成としてもよい。
外枠11の左側の板材12には、その上下の各端部に支持金具17,18が取り付けられている。これら支持金具17,18に支持させるようにして、図2及び図3に示すように、遊技機主部21が外枠11に対して回動可能に取り付けられている。
遊技機主部21は、遊技機ベースユニット(本体枠又は内枠)22と、その遊技機ベースユニット22の前方に配置される遊技機前面ユニット(前面扉又は前枠)23と、遊技機ベースユニット22の後方に配置される裏パックユニット24とを備えている。遊技機主部21のうち遊技機ベースユニット22が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として遊技機ベースユニット22が前方へ回動可能(開閉可能)とされている。
遊技機ベースユニット22は、図2及び図3に示すように、外枠11の開口全体を覆う大きさを有しており、その背面側であって回動先端側には施錠装置31が取り付けられている。施錠装置31は長尺状の連動杆32を備えており、当該連動杆32には上下一対の鉤金具33が設けられている。外枠11に対して遊技機ベースユニット22を閉鎖した際には、鉤金具33が外枠11の右側の板材13に設けられた受け金具34に係止され、施錠装置31により施錠状態とされるようになっている。また、遊技機ベースユニット22にはシリンダ錠35が設けられており、シリンダ錠35の操作によって連動杆32を上方向又は下方向のうち予め定められた方向に移動させると、外枠11に対する遊技機ベースユニット22の施錠状態が解除される。
遊技機ベースユニット22には、図2に示すように、遊技機前面ユニット23が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として前方へ回動可能(開閉可能)とされている。また、遊技機ベースユニット22には、図3に示すように、裏パックユニット24が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として後方へ回動可能(開閉可能)とされている。
次に、遊技機ベースユニット22、遊技機前面ユニット23及び裏パックユニット24のそれぞれについて詳細に説明する。
<遊技機ベースユニット22>
先ず、遊技機ベースユニット22の構成について詳細に説明する。図5は遊技機ベースユニット22の正面図、図6は遊技機ベースユニット22に搭載された遊技盤61の正面図、図7は遊技機ベースユニット22の背面図である。なお、図5では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
遊技機ベースユニット22は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース41を主体に構成されている。樹脂ベース41の中央部には略楕円形状の窓孔51が形成されている。樹脂ベース41にはその後方から遊技盤61が着脱可能に取り付けられている。詳細には、樹脂ベース41の裏面には、図7に示すように、複数(本実施の形態では4箇所)の固定金具52〜55が設けられており、これら固定金具52〜55によって遊技盤61は後方へ脱落しないように固定されている。固定金具52〜55は手動で回動操作することができ、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とに切り換えることができるよう構成されている。
遊技盤61は合板よりなり、遊技盤61の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース41の窓孔51を通じて遊技機ベースユニット22の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤61の構成を図6に基づいて説明する。遊技盤61には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口62,可変入賞装置63,上作動口64,下作動口65,スルーゲート66及び可変表示ユニット67等がそれぞれ設けられている。このうち、可変入賞装置63、上作動口64、下作動口65及び可変表示ユニット67は、遊技盤61の左右方向の中央において上下方向に並べて設けられており、上から可変表示ユニット67、上作動口64、下作動口65及び可変入賞装置63の順となっている。また、一般入賞口62は、遊技盤61の下部において、左側に2個及び右側に2個の合計4個設けられている。ちなみに、遊技盤61の左側は遊技機前面ユニット23の回動基端側に相当し、遊技盤61の右側は遊技機前面ユニット23の回動先端側に相当する。
一般入賞口62、可変入賞装置63、上作動口64及び下作動口65に遊技球が入球すると、それが検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。具体的には、一般入賞口62に一の遊技球が入球すると単位遊技球数として10個の遊技球が払い出され、可変入賞装置63に一の遊技球が入球すると単位遊技球数として15個の遊技球が払い出され、上作動口64に一の遊技球が入球すると単位遊技球数として3個の遊技球が払い出され、下作動口65に一の遊技球が入球すると単位遊技球数として4個の遊技球が払い出される。
その他に、遊技盤61の最下部にはアウト口68が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口68を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤61には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘69が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示ユニット67には、いずれかの作動口64,65への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置71が設けられている。また、可変表示ユニット67には、図柄表示装置71を囲むようにしてセンターフレーム72が配設されている。センターフレーム72の上部には、第1特定ランプ部73及び第2特定ランプ部74が設けられている。また、センターフレーム72の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部75,76が設けられている。下側の保留ランプ部75は、図柄表示装置71及び第1特定ランプ部73に対応しており、遊技球が作動口64,65を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部75の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部76は、第2特定ランプ部74に対応しており、遊技球がスルーゲート66を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部76の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置71は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置71には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。なお、図柄表示装置71は、CRT,ドットマトリックス,7セグメント等その他のタイプにより表示画面を構成したものであってもよい。
第1特定ランプ部73では、作動口64への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部74では、遊技球のスルーゲート66の通過をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には下作動口65に付随する電動役物65aが所定時間だけ開放状態となる。
ちなみに、下作動口65は、開閉手段としての電動役物65aが開放状態の場合に入球が可能となり、閉鎖状態の場合に入球が不可となる。なお、これに限定されることはなく、電動役物65aが開放状態の場合に入球し易くなり、閉鎖状態の場合に入球しがたくなる構成としてもよい。
可変入賞装置63は、開閉手段としての開閉扉63aが通常は遊技球が入球できない又は入球しがたい閉鎖状態になっており、大当たりの際に遊技球が入球しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置63の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置63が繰り返し開放されるものが一般的である。
遊技盤61には、内レール部77と外レール部78とが取り付けられており、これら内レール部77と外レール部78とにより誘導レールが構成され、遊技球発射機構から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。ちなみに、図5に示すように、樹脂ベース41の窓孔51の右上部には返しゴム79が設けられており、所定以上の勢いで発射された遊技球は返しゴム79に当たり、遊技領域の中央寄りに跳ね返されるようになっている。この場合、返しゴム79はその遊技球が当たる面が遊技領域の中央側に向けて傾斜させて形成されているため、遊技領域の中央に向けた遊技球の跳ね返しが良好に行われるようになっている。
遊技球発射機構80は、図5に示すように、樹脂ベース41における窓孔51の下方に取り付けられている。遊技球発射機構80は、電磁式のソレノイド81と、発射レール82と、球送り機構83とからなり、ソレノイド81への電気的な信号の入力により当該ソレノイド81の出力軸が伸縮方向に移動し、球送り機構83によって発射レール82上に置かれた遊技球を遊技領域に向けて打ち出す。ソレノイド81への電気的な信号の入力は、遊技機前面ユニット23の下部に設けられた遊技球発射ハンドル84(図1等参照)が操作されることに基づいて発生する。
樹脂ベース41の前面における回動基端側にはその上端部及び下端部に支持金具42,43が取り付けられており、これら支持金具42,43に対して遊技機前面ユニット23が支持されていることで当該遊技機前面ユニット23が遊技機ベースユニット22に対して前方に回動可能となっている。また、樹脂ベース41の前面における回動先端側には、遊技機前面ユニット23の背面に設けられた鉤金具44(図2参照)を挿入するための挿入孔45が上下方向に離間させて複数設けられている。遊技機ベースユニット22に対して遊技機前面ユニット23を閉鎖した状態では、遊技機前面ユニット23の鉤金具44が挿入孔45内に入り込み、当該鉤金具44は上述した施錠装置31に係止される。これにより、遊技機ベースユニット22に対して遊技機前面ユニット23が施錠された状態となる。この施錠状態はシリンダ錠35の操作によって施錠装置31の連動杆32を、外枠11に対する遊技機ベースユニット22の解錠を行う場合とは反対側に移動させることで解除される。
<遊技機前面ユニット23>
ここで、遊技機前面ユニット23の構成について説明する。図8は遊技機前面ユニット23の背面図である。
遊技機前面ユニット23は遊技機ベースユニット22の前面側全体を覆うようにして設けられている。遊技機前面ユニット23には、図1に示すように、上記遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円形状の窓パネル部91が設けられている。窓パネル部91の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓パネル部91の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部92が設けられている。環状電飾部92では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部92の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部93が設けられている。また、窓パネル部91の左上方及び右上方には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部94が設けられている。
遊技機前面ユニット23における窓パネル部91の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部95と下側膨出部96とが上下に並設されている。上側膨出部95内側には上方に開口した上皿95aが設けられており、下側膨出部96内側には同じく上方に開口した下皿96aが設けられている。上皿95aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿96aは、上皿95a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。なお、下側膨出部96の右方には、上述した遊技球発射ハンドル84が設けられている。
遊技機前面ユニット23の背面における回動基端側(図8の右側)には、その上端部及び下端部に突起軸97,98が設けられている。これら突起軸97,98は遊技機ベースユニット22に対する組付機構を構成する。また、遊技機前面ユニット23の背面における回動先端側(図8の左側)には、上述した鉤金具44が上下方向に複数並設されている。
また、遊技機前面ユニット23の背面には、図8に示すように、前面側通路ユニット271が取り付けられている。前面側通路ユニット271は、合成樹脂により成形されており、上皿95aに通じる前扉側上皿通路と、下皿96aに通じる前扉側下皿通路とが形成されている。前面側通路ユニット271の詳細については後に説明する。
<遊技機ベースユニット22の背面構成>
次に、遊技機ベースユニット22の背面構成について図7を用いて詳細に説明する。
樹脂ベース41の背面における回動先端側には既に説明した施錠装置31が設けられている。また、樹脂ベース41の中央には上記のとおり遊技盤61が取り付けられている。
遊技盤61の中央に配置された可変表示ユニット67には、図3及び図7に示すように、センターフレーム72を後方から覆う合成樹脂製のフレームカバー100が後方に突出させて設けられており、フレームカバー100に対して後側から上述した図柄表示装置71が取り付けられているとともに、その図柄表示装置71を駆動するための表示制御装置101が取り付けられている。これら図柄表示装置71及び表示制御装置101は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置71が前、表示制御装置101が後)、さらにその後方に音声ランプ制御装置ユニット102が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット102は、音声ランプ制御装置103と、取付台104とを具備する構成となっており、取付台104上に音声ランプ制御装置103が装着されている。
音声ランプ制御装置103は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて構成されている。
遊技盤61の背面であって可変表示ユニット67の下方には、主制御装置ユニット105が搭載されている。主制御装置ユニット105は、合成樹脂製の取付台106を有し、取付台106に主制御装置107が搭載されている。主制御装置107は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス108に収容されて構成されている。なお、当該基板ボックス108には、当該基板ボックスの開放痕跡手段としてカシメ構造や図示しない封印シールが設けられているとともに、取付台106に対する主制御装置107の離脱痕跡手段としてカシメ構造が設けられている。
遊技盤61の背面における主制御装置ユニット105により覆われた領域には、図示しない集合板ユニットが設けられている。集合板ユニットには、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知センサなどが設けられている。遊技球回収機構にて回収された遊技球は後述する排出通路を介してパチンコ機10外部に排出される。また、入賞検知センサは主制御装置107と電気的に接続されており、遊技球の入賞を検知した場合の検知信号は主制御装置107にて入力される。
樹脂ベース41の背面における回動基端側(図7の右側)には、軸受け金具111,112,113が取り付けられている。軸受け金具111〜113は上下に離間させて3個設けられている。なお、軸受け金具111〜113の数は任意であり、2個であってもよく、4個以上であってもよい。これら軸受け金具111〜113に対して軸支させて遊技機ベースユニット22には裏パックユニット24が取り付けられている。裏パックユニット24により、図5に示すように、可変表示ユニット67の全部及び主制御装置ユニット105の一部が後方から覆われており、裏パックユニット24を開放させない限り可変表示ユニット67及び主制御装置ユニット105を樹脂ベース41から取り外すことができないようになっている。
樹脂ベース41の背面には、図3及び図7に示すように、裏パックユニット24を遊技機ベースユニット22に固定するための固定金具115が設けられている。固定金具115は手動で回動操作することができ、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とに切り換えることができるよう構成されている。また、図7に示すように、樹脂ベース41の背面には締結孔部116が形成されており、当該締結孔部116に対して裏パックユニット24に設けられた締結具117(図9参照)を締結させることによっても裏パックユニット24が遊技機ベースユニット22に固定される。
<裏パックユニット24>
次に、裏パックユニット24の構成について詳細に説明する。図9は裏パックユニット24の正面図、図10は裏パックユニット24の分解斜視図である。
裏パックユニット24は、当該裏パックユニット24の上部及び中央部分を構成する第1裏パックユニット121と、当該第1裏パックユニット121に連続させて設けられ裏パックユニット24の下部を構成する第2裏パックユニット141とを備えている。第1裏パックユニット121にはその下部に開口部122が形成されており、第2裏パックユニット141の上部は当該開口部122の下縁部分を構成している。
第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141には、図9に示すように、それぞれ軸金具123,139が設けられており、それら軸金具123,139はそれぞれ個別に軸受け金具111〜113に支持されている。これにより、第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とは、遊技機ベースユニット22に対してそれぞれ個別に回動可能となっている。
ここで、上記のとおり、第2裏パックユニット141はその上部が第1裏パックユニット121の開口部122の下縁部分を構成しており、当該下縁部分において、第1裏パックユニット121がパチンコ機10前方となるようにして第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とが前後に重なっている。したがって、第1裏パックユニット121を遊技機ベースユニット22に対して閉鎖した状態で第2裏パックユニット141を開放させることはできるが、第2裏パックユニット141を閉鎖した状態で第1裏パックユニット121を開放させることはできない。なお、これに限定されることはなく、開閉の関係が第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とで逆であってもよく、第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とが相互に干渉することなく開閉可能な構成であってもよい。さらには、第1裏パックユニット121と第2裏パックユニット141とが一体化され個別に開閉できない構成としてもよい。
次に、第1裏パックユニット121の構成について詳細に説明する。
第1裏パックユニット121は、裏パック124を備えており、当該裏パック124に対して、払出機構部125が取り付けられている。裏パック124は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部125などが取り付けられるベース部126と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部127とを有する。保護カバー部127は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット67を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部126には、その右上部に外部端子板131が設けられている。外部端子板131には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部126には上述した第1裏パックユニット121の軸金具123が設けられている。
ベース部126には、保護カバー部127を迂回するようにして払出機構部125が配設されている。払出機構部125は、タンク132と、タンクレール133と、上下通路ユニット134とを備えている。タンク132は上方に開放されており、裏パック124の最上部に設けられている。タンク132には遊技ホールの島設備から遊技球が逐次補給される。タンクレール133は、タンク132の下方において当該タンク132に連結されており、下流側に向けて緩やかに傾斜している。当該タンクレール133の下流部に連結させて上下通路ユニット134が設けられている。上下通路ユニット134は上下方向に延びており、その途中位置に払出装置135が設けられている。また、上下通路ユニット134の下流側には、球受け部、裏パック側通路部、本体側通路部及び前面側通路部が設けられており、前面側通路部は上皿95a及び下皿96aに連通されている。
つまり、タンク132と、上皿95a及び下皿96aの球受け皿との間には、タンクレール133、上下通路ユニット134、球受け部、裏パック側通路部、本体側通路部及び前面側通路部からなる誘導通路部が設けられており、タンク132に貯留されている遊技球は当該誘導通路部を通じて上皿95a又は下皿96aに払い出される。なお、上下通路ユニット134の構成、及びそれよりも下流側の構成については後に詳細に説明する。
払出機構部125には、裏パック基板136が設置されている。裏パック基板136には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ137の切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
次に、第2裏パックユニット141の構成について詳細に説明する。
第2裏パックユニット141は、排出通路盤142と制御装置集合ユニット143とを備えている。排出通路盤142は第2裏パックユニット141の前側を構成し、制御装置集合ユニット143は第2裏パックユニット141の後側を構成している。そして、これら排出通路盤142と制御装置集合ユニット143とが前後に組み付けられて第2裏パックユニット141が構成されている。
排出通路盤142は、制御装置集合ユニット143と対向する面に後方に開放された排出通路144が形成されており、当該排出通路144の開放部は制御装置集合ユニット143によって塞がれている。排出通路144は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した各種入賞口等から排出通路144に導出された遊技球は当該排出通路144を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット143は、横長形状をなす取付台145を有し、取付台145に払出制御装置146と電源及び発射制御装置147とが搭載されている。これら払出制御装置146と電源及び発射制御装置147とは、払出制御装置146がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置146は、基板ボックス148内に払出装置135を制御する払出制御基板が収容されている。なお、払出制御装置146から払出装置135への払出指令の信号は上述した裏パック基板136により中継される。また、払出制御装置146には状態復帰スイッチ148aが設けられている。例えば、払出装置135における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ148aが押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源及び発射制御装置147は、基板ボックス149内に電源及び発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル84の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源及び発射制御装置147にはRAM消去スイッチ149aが設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ149aを押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
<上下通路ユニット134>
次に、上下通路ユニット134の構成について詳細に説明する。図11は上下通路ユニット134の斜視図、図12及び図13は上下通路ユニット134の分解斜視図、図14は上下通路ユニット134に形成された通路の一部の構成を説明するための説明図である。
上下通路ユニット134は、図11に示すように、上側ユニット161と、払出装置135と、下側ユニット162とを備えている。これら上側ユニット161、払出装置135及び下側ユニット162が上下通路ユニット134として一体化されていることにより、上皿95a及び下皿96aへ通じる誘導通路部の一部が形成されている。また、上側ユニット161及び下側ユニット162により、タンク132に貯留されている遊技球を島設備に排出するための排出通路部が形成されている。これら上側ユニット161、払出装置135及び下側ユニット162について詳細に説明する。
上側ユニット161は、図12及び図13に示すように、ポリカーボネートなどといった透明性を有する合成樹脂により形成された一対のハウジング部材171,172を備えている。各ハウジング部材171,172には、それぞれ通路壁が一体形成されている。これらハウジング部材171,172は両者の間に、ハウジング部材171,172と同様に透明性を有する合成樹脂により形成された仕切板173を挟んだ状態で前後に組み付けられている。これにより、図14に示すように、パチンコ機10後側のハウジング部材171と仕切板173により第1ケースレール部174が形成されているとともに、パチンコ機10前側のハウジング部材172と仕切板173により第2ケースレール部175が形成されている。
なお、一対のハウジング部材171,172に対しては、両者を前後に挟むようにして外側カバー176が取り付けられているとともに、パチンコ機10の搬送時等においてコンセントプラグを保持するための保持部材177が取り付けられている。
第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175は前後に並設されており、上下方向の途中位置に湾曲部を有するように蛇行させて形成されている。第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175は、共に上記誘導通路部の一部を構成している。
上側ユニット161には、図14に示すように、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175の他に、上側排出通路部178が形成されている。上側排出通路部178は、一対のハウジング部材171,172間において仕切板173により仕切られていない領域に形成されており、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175よりもパチンコ機10外側に位置している。上側排出通路部178は、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175の両方に対してそれらの途中位置から分岐させて設けられている。
ここで、上側排出通路部178の入口部分には、切換片181が設けられている。切換片181は、前後方向を回動軸として、両ハウジング部材171,172に対して回動可能に支持されている。切換片181は、両ハウジング部材171,172の間に内蔵されている。また、切換片181よりもパチンコ機10外側には切換操作片182が設けられている。当該切換操作片182も切換片181と同様に、前後方向を回動軸として、両ハウジング部材171,172に対して回動可能に支持されている。
切換操作片182は、両ハウジング部材171,172内に位置する押圧部183と、両ハウジング部材171,172外に位置するレバー部184とを有している。切換操作片182は、レバー部184を操作して回動させることで、押圧部183が切換片181を押圧する押圧位置と、当該押圧を解除する押圧解除位置とに切換配置可能となっている。
切換操作片182を、図14の実線で示すように、押圧位置に配置した場合には、上記のとおり切換操作片182の押圧部183により切換片181が押圧され、当該切換片181は第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175の通路壁の一部を構成する。また、この通路壁を構成する位置では、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175は湾曲しており、切換片181は上記通路壁における底部側を構成している。ちなみに、押圧部183により押圧されて切換片181が第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175の通路壁を構成している状態が、払出誘導状態に相当する。切換片181が払出誘導状態である場合には、切換片181よりも上流側の遊技球は、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175をそのまま流下していく。
一方、切換操作片182を、図14の二点鎖線で示すように、押圧解除位置に配置した場合には、押圧部183による切換片181の押圧状態が解除される。これにより、切換片181は自重により回動し、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175の通路壁を構成しない状態となる。ちなみに、押圧部183による押圧が解除されて切換片181が第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175の通路壁を構成していない状態が、排出誘導状態に相当する。切換片181が排出誘導状態である場合には、切換片181よりも上流側の遊技球は、上側排出通路部178側に流れていく。切換操作片182は通常、切換片181が払出誘導状態となる位置に配置されており、パチンコ機10内部の遊技球を抜き出す場合に、切換片181が排出誘導状態となるように切換配置される。
上側ユニット161は、タンク132の球無状態を検知するための球無検知センサ186を備えている。球無検知センサ186は、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175における切換片181よりも上流側において遊技球を検知するように設けられており、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175のそれぞれに対応させて検知部187a,187bを備えている。なお、本パチンコ機10では、球無検知センサ186として、検知部187a,187bに設けられた突出片が遊技球に押圧されていない場合に球無検知信号を出力するセンサが用いられているが、どのようなセンサを用いるかは任意である。球無検知センサ186の検知結果は払出制御装置146に出力され、払出制御装置146では球無検知センサ186の検知結果に基づいて球無状態か否かの特定を行う。
次に、払出装置135について説明する。図15は払出装置135の分解斜視図である。なお、当該払出装置135の説明では、図12〜図14を適宜参照する。
払出装置135は、図12及び図13に示すように、下側ユニット162の上部に組み付けられている。払出装置135は、複数の部材が組み合わされてなるハウジング191を備えており、ハウジング191内には遊技球通路192が形成されている。遊技球通路192は、誘導通路部の一部を構成している。
遊技球通路192は、一対の入口側通路部193a,193bと、単一の出口側通路部194とを備えている。入口側通路部193a,193bは前後に並設されており、いずれもハウジング191の上面にて開放されている。これら入口側通路部193a,193bのうち、一方が第1ケースレール部174と連通しており、他方が第2ケースレール部175と連通している。入口側通路部193a,193bは、その最下流部にて出口側通路部194に合流している。出口側通路部194は、ハウジング191の下面にて開放されている。
払出装置135には、入口側通路部193a,193bから出口側通路部194へ流れる遊技球を入口側通路部193a,193b側にて一旦停止させるための球止め手段として、回転体195が設けられている。回転体195は、図15に示すように、各入口側通路部193a,193bに対応させて一対の球誘導板196,197を備えており、各球誘導板196,197が対応する入口側通路部193a,193bの下流部に収容されるようにして回転体195が配置されている。回転体195はその中心が払出モータ198の出力軸198aに固定されている。
払出モータ198は、ステッピングモータにより構成されており、出力軸198aは所定方向に回転駆動される。これにより、回転体195は、その所定方向に回転し、それに伴って各球誘導板196,197が各入口側通路部193a,193b内にて回転する。出力軸198aは、1パルスの駆動信号を与えることにより1step進み、360パルスの駆動信号を与えることにより1回転するように設定されている。なお、払出モータ198はハウジング191内に収容されている。
各球誘導板196,197の周縁には、180°間隔で2箇所に、凹部196a,197aが形成されている。但し、一対の入口側通路部193a,193b間では、凹部196a,197aの位置が相互に90°ずらして形成されている。回転体195が回転していない場合には、一対の入口側通路部193a,193bの両方において遊技球の流下が一旦停止される。また、回転体195が回転している場合には、凹部196a,197a上に入り込んだ遊技球のみが出口側通路部194に導出される。
出口側通路部194には、図15に示すように、略平板状をした払出検知センサ199が設置されている。払出検知センサ199は、周知の磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、貫通孔を遊技球が通過したことによる磁界の変化を電気信号に変換して出力する。この払出検知センサ199により、払出装置135を介して払い出された遊技球の数が確認できるようになっている。
次に、下側ユニット162について説明する。
下側ユニット162は、図12に示すように、一対のハウジング部材201,202を備えており、両ハウジング部材201,202が前後に組み付けられて、上下方向に延びる払出通路部203が内部に形成されている。払出通路部203は、誘導通路部の一部を構成している。払出通路部203は払出装置135の出口側通路部194に連通されており、払出装置135から払い出された遊技球は払出通路部203を通過する。払出通路部203の下流側には仕切壁204が形成されており、払出通路部203は下流側にて2列に分岐している。これら2列の通路のうち、一方により遊技球が上皿95aへ誘導され、他方により遊技球が下皿96aへ誘導される。この誘導の様子については、後に説明する。
下側ユニット162には、払出通路部203以外にも下側排出通路部205が形成されている。下側排出通路部205は上下方向に延びており、払出通路部203よりもパチンコ機10外側に位置している。また、払出通路部203よりも上方に延長させて形成されており、上側ユニット161の上側排出通路部178に連通している。これにより、上側排出通路部178へ誘導された遊技球は、下側排出通路部205を通過することとなる。
下側ユニット162には、既に説明した裏パック基板136が搭載されている。ここで、裏パック基板136には、図12に示すように、球抜きボタン206が設けられている。本パチンコ機10では、上記のとおり球無検知センサ186が設けられており、球無検知センサ186にて球無状態が検知されている状況では払出装置135の払出動作が停止される。この場合に、球抜きボタン206が操作されることにより、上記動作停止状態が解除され、払出装置135の払出動作が可能となる。
以上のとおり、上下通路ユニット134には、上側ユニット161の第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175と、払出装置135の遊技球通路192と、下側ユニット162の払出通路部203とが設けられている。そして、タンクレール133から流下してきた遊技球は基本的に、これら通路部174,175,192,203を通じて上皿95a又は下皿96aに向けて誘導される。また、上下通路ユニット134には、上側ユニット161の上側排出通路部178と、下側ユニット162の下側排出通路部205とが設けられている。そして、切換操作片182を操作して切換片181を排出誘導状態とすることにより、切換片181よりも上流側にある遊技球が、これら上側排出通路部178及び下側排出通路部205を通じてパチンコ機10外の島設備に向けて誘導される。
<残存遊技球数について>
ここで、上記のとおり切換片181を排出誘導状態とすることで遊技球が排出通路部178,205側へ誘導されることとなるが、全ての遊技球を排出することはできない。つまり、切換片181は、既に説明したように上側排出通路部178の入口部分に設置されており、この位置は第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175の途中位置となっている。また、払出装置135において回転体195により遊技球が一旦停止される位置は、遊技球通路192の途中位置となっている。したがって、切換片181を排出誘導状態としたとしても、切換片181の直下流側から回転体195の位置にはある程度の遊技球が残ることとなる。
この場合に、本パチンコ機10では、上記残存遊技球数が特徴的な数となっている。そこで、当該残存遊技球数について、図16及び図17を用いて説明する。図16及び図17は、残存遊技球数を説明するための説明図である。
既に説明したように、第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175は上下方向の途中位置にて湾曲部を有するように蛇行させて形成されているが、切換片181よりも下流側の通路形状が第1ケースレール部174と第2ケースレール部175とで異なっている。
詳細には、第1ケースレール部174における切換片181の下流側の第1待機領域211は、その下流部に横向きU字状に形成されたU字領域212を備えており、第1待機領域211における最上流部からU字領域212に至る領域は一定角度に傾斜させて直線的に形成されている。
一方、第2ケースレール部175における切換片181の下流側の第2待機領域213は、第1待機領域211と同様に、その下流部に横向きU字状に形成されたU字領域214を備えている。但し、第2待機領域213における最上流部からU字領域214に至る領域は上下方向に延びる上下領域215と左右方向に延びる左右領域216とから構成されており、U字領域214に至る領域までの通路長は第2ケースレール部175の方が長くなっている。なお、当該部分以外においては、第1ケースレール部174と第2ケースレール部175とで通路形状は同一となっている。また、払出装置135における一対の入口側通路部193a,193bの入口から球誘導板196,197(回転体195)までの通路長も同一となっている。
ちなみに、第1待機領域211と第2待機領域213との通路形状が異なっており、さらにはハウジング部材171,172及び仕切板173が透明性を有していることにより、第1ケースレール部174と第2ケースレール部175とが前後に並設された構成において、パチンコ機10背面側から第1ケースレール部174及び第2ケースレール部175の両方について遊技球の有無の確認を行うことができる。
上記のように第1ケースレール部174の第1待機領域211と第2ケースレール部175の第2待機領域213とが、相互に通路長が異なるように形成されていることにより、第1ケースレール部174において切換片181から回転体195までの位置に残存する残存遊技球数は、第2ケースレール部175において切換片181から回転体195までの位置に残存する残存遊技球数よりも遊技球1個分少ない数となる。具体的には、第1ケースレール部174における上記残存遊技球数は14個であるのに対して、第2ケースレール部175における上記残存遊技球数は15個である。なお、図16及び図17に示すように、第1ケースレール部174における上記残存遊技球数及び第2ケースレール部175における上記残存遊技球数は、回転体195の回転位置に関係なく一定となっている。
上記のとおり本パチンコ機10では、切換片181を排出誘導状態とした場合に、切換片181から回転体195までの位置に残る残存遊技球数は14個と15個との和で、29個である。この数は、素数であり、遊技領域に設けられた入賞口に一の遊技球が入球した場合に払い出されることとなる単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しない数となっている。また、単位遊技球数のうち最大単位遊技球数である15個よりも大きい数となっている。
つまり、遊技領域には入賞口として、一般入賞口62、可変入賞装置63、上作動口64及び下作動口65が設けられている。このうち、一般入賞口62に一の遊技球が入球した場合に払い出される単位遊技球数は10個であり、可変入賞装置63に一の遊技球が入球した場合に払い出される単位遊技球数は15個であり、上作動口64に一の遊技球が入球した場合に払い出される単位遊技球数は3個であり、下作動口65に一の遊技球が入球した場合に払い出される単位遊技球数は4個である。そうすると、29個は、いずれの単位遊技球数の整数倍とも一致しない。
ここで、本パチンコ機10における上記残存遊技球の抜き出し方法は以下のとおりである。上記残存遊技球を抜き出す場合、先ず遊技機前面ユニット23を開放状態とし、遊技領域をパチンコ機10前方に露出させる。その後、遊技領域に設けられた入賞口に複数の遊技球を手入れで入球させる。入賞口に複数の遊技球を入球させることで、その入球結果が主制御装置107にて特定される。主制御装置107は入賞口への入球を特定することで、後述するように、払出制御装置146に賞球コマンドを出力する。払出制御装置146では、その賞球コマンドに対応した賞球数の情報を記憶し、本来なら、その記憶した情報に対応した賞球数の遊技球が払い出されるように払出装置135を駆動制御する。但し、この状態では、球無検知センサ186にて球無状態が検知されているため、上記駆動制御は開始されず、払出装置135の払出動作は開始されない。この場合に、球抜きボタン206を操作することで、球無状態であっても上記駆動制御が開始され、払出装置135の払出動作が開始される。これにより、上記残存遊技球が上皿95a又は下皿96aに排出されることとなる。
なお、球抜きボタン206を操作することで、入賞口への遊技球の入球に関わらず払出装置135を動作させる構成も考えられるが、この場合、球抜きボタン206が不正に操作された場合には不正に遊技球が払い出されることとなってしまうため、本パチンコ機10における上記構成とすることが好ましい。
上記のように残存遊技球の抜き出しが行われる構成において残存遊技球数は29個であるため、いずれか一の入賞口に複数の遊技球を手入れで入球させて全ての残存遊技球を排出させようとすると、その際に払出制御装置146に記憶される賞球数は上記残存遊技球数を超えることとなる。つまり、一般入賞口62を用いる場合、全ての残存遊技球を排出させるためには3個の遊技球を入球させる必要があり、賞球数は29個より1個多い30個となる。また、可変入賞装置63を用いる場合、全ての残存遊技球を排出させるためには2個の遊技球を入球させる必要があり、賞球数は29個より1個多い30個となる。また、上作動口64を用いる場合、全ての残存遊技球を排出させるためには10個の遊技球を入球させる必要があり、賞球数は29個より1個多い30個となる。また、下作動口65を用いる場合、全ての残存遊技球を排出させるためには8個の遊技球を入球させる必要があり、賞球数は29個より3個多い32個となる。これら残存遊技球数を超えた賞球数は払出制御装置146に記憶保持されることとなる。この場合に、後述するように払出制御装置146には電源及び発射制御装置147からバックアップ電力が供給されるため、パチンコ機10の電源が遮断されたとしても、上記残存遊技球数を超えた賞球数の情報は記憶保持される。
以上説明したような遊技球の抜き出しは、例えば、パチンコ機10を中古で流通させる場合に行われる。遊技球には遊技ホール毎に固有の模様などが付されており、中古での流通に際してパチンコ機10内の遊技球を全て抜き出すことで、遊技ホール間で異なる遊技球が混ざらないようにすることができる。その一方、パチンコ機10を中古で流通する場合、その流通過程で払出制御装置146などが不正な制御装置に交換されてしまうことが懸念される。この場合、流通先の遊技ホールが多大な不利益を被ってしまうおそれがあり好ましくない。また、これを抑制すべく、払出制御装置146の不正交換を防止するために複雑な構成を付加すると、パチンコ機10のコストが高くなってしまう。
これに対して、本パチンコ機10では上記のとおり、残存遊技球数が29個となっており、いずれか一の入賞口に複数の遊技球を手入れで入球させて当該残存遊技球を全て排出させようとすると、自ずと払出制御装置146に賞球数の情報が残ることとなる。そして、この賞球数の情報は、バックアップ電力が供給されることにより、パチンコ機10の電源が遮断されたとしても記憶保持される。これにより、パチンコ機10を中古で流通させる場合、流通先にて払出制御装置146に上記賞球数の情報が記憶保持されていることを確認することで、流通過程において払出制御装置146の不正交換が行われたか否かを確認することができる。この確認としては、例えば、島設備にパチンコ機10を設置し、タンク132に遊技球を補充した後に電源を立ち上げた場合に、遊技球が上皿95aに排出されるか否かを確認することで行うことができる。
特に、本パチンコ機10では、残存遊技球数が29個に設定されているため、いずれか一の入賞口に対して上記手入れでの遊技球の入球動作を行うことで、確実に払出制御装置146に賞球数の情報が残ることとなる。よって、流通過程において払出制御装置146の不正交換が行われたか否かの確認作業を確実に行うことができる。
また、実際に上記球抜き動作を行う場合、その作業効率を考えて、単位遊技球数が最も多い可変入賞装置63を用いることが考えられる。この場合、可変入賞装置63に遊技球を2個入球させることで、払出制御装置146に記憶される賞球数の情報が30個となり、上記残存遊技球数を超えることとなる。また、払出制御装置146に記憶される賞球数の情報が30個の場合には、残存遊技球の排出後に残る賞球数は1個となる。そうすると、パチンコ機10を中古品で流通させた場合、払出制御装置146に記憶保持される賞球数の情報は1個となる。これにより、流通先でパチンコ機10の電源を立ち上げた場合に払い出される遊技球の数は1個となり、流通先での遊技ホールにおいて不正の有無の確認後における片付け作業に際してはその1個の遊技球を取り出すだけで済む。よって、当該片付け作業の作業効率を向上させることができる。つまり、本構成によれば、球抜き作業の作業効率及び片付け作業の作業効率の両方を向上させることができる。
なお、最大単位遊技球数に対応した入賞口を用いた場合に払出制御装置146に記憶される賞球数の情報は、「残存遊技球数+1」に限定されることはなく、残存遊技球数に対する最大単位遊技球数の商の余りが最小単位遊技球数未満としてもよい。つまり、本パチンコ機10では、最小単位遊技球数が3個であるため、最大単位遊技球数に対応した入賞口を用いた場合に払出制御装置146に記憶される賞球数の情報が、「残存遊技球数+2」となるようにしてもよい。但し、この場合、残存遊技球数又は最大単位遊技球数を上記のものとは異なる数とする必要がある。
また、実際に上記球抜き動作を行う場合、その作業効率を考えて、手入れでの入球作業を最も行い易い入賞口を用いることが考えられる。本パチンコ機10では、当該入賞口は、遊技盤61において遊技機前面ユニット23の回動先端側に位置する一般入賞口62である。この場合、一般入賞口62に遊技球を3個入球させることで、払出制御装置146に記憶される賞球数の情報が30個となり、上記残存遊技球数を超えることとなる。また、払出制御装置146に記憶される賞球数の情報が30個の場合には、残存遊技球数の排出後に残る賞球数は1個となる。そうすると、パチンコ機10を中古品で流通させた場合、払出制御装置146に記憶保持される賞球数の情報は1個となる。これにより、流通先でパチンコ機10の電源を立ち上げた場合に払い出される遊技球の数は1個となり、流通先での遊技ホールにおいて不正の有無の確認後における片付け作業に際してはその1個の遊技球を取り出すだけで済む。よって、当該片付け作業の作業効率を向上させることができる。つまり、本構成によれば、球抜き作業の作業効率及び片付け作業の作業効率の両方を向上させることができる。
なお、入球作業を行い易い入賞口を用いた場合に払出制御装置146に記憶される賞球数の情報は、「残存遊技球数+1」に限定されることはなく、残存遊技球数に対する当該入賞口の単位遊技球数の商の余りが最小単位遊技球数未満としてもよい。つまり、本パチンコ機10では、最小単位遊技球数が3個であるため、上記入賞口を用いた場合に払出制御装置146に記憶される賞球数の情報が、「残存遊技球数+2」となるようにしてもよい。但し、この場合、残存遊技球数又は一般入賞口62の単位遊技球数を上記のものとは異なる数とする必要がある。
一方、残存遊技球数の29個は、例えば、一般入賞口62の単位遊技球数と、可変入賞装置63の単位遊技球数と、下作動口65の単位遊技球数との和と一致する数である。したがって、例えば、遊技ホールにおけるメンテナンス時や、製造メーカからの出荷時といった、中古品を流通させる必要がない場合には、一般入賞口62、可変入賞装置63及び下作動口65のそれぞれに1個ずつ遊技球を入球させることで、払出制御装置146に記憶される賞球数の情報は上記残存遊技球数と一致し、当該賞球数の情報が払出制御装置146に残らないようにすることができる。
また、残存遊技球数の29個は、一般入賞口62の単位遊技球数の2倍と、上作動口64の単位遊技球数の3倍との和と一致する数である。これら一般入賞口62及び上作動口64は、遊技球の入球を不可又は難しくする開閉手段が設けられていない入賞口であり、手入れでの入球作業に際して開閉手段の開放操作等を要しない。よって、賞球数の情報が払出制御装置146に残らないようにしながら残存遊技球の抜き出しを行う場合に、その作業効率を向上させることができる。
また、一般入賞口62の一部は、上記のとおり、遊技盤61において遊技機前面ユニット23の回動先端側に配置されている。また、下作動口65は、遊技盤61において左右方向の中央側に配置されている。この点、手入れでの入球作業に際して、これら一般入賞口62及び下作動口65に遊技球を入球させることで、賞球数の情報が払出制御装置146に残らないようにしながら残存遊技球の抜き出しを行う場合に、その作業効率を飛躍的に向上させることができる。
<上下通路ユニット134よりも下流側の通路構成>
次に、上下通路ユニット134よりも下流側の通路構成について説明する。図18は遊技球の通路構成を説明するための説明図である。なお、図18においては、便宜上、遊技機ベースユニット22側及び裏パックユニット24側の通路構成について断面で示す。
裏パックユニット24において、上下通路ユニット134の下流側には球受け部252が設けられており、上下通路ユニット134を通過した遊技球は球受け部252に導入される。球受け部252は、上下通路ユニット134を通過した遊技球を上皿95a側若しくは下皿96a側、又は第2裏パックユニット141の排出通路144に導く機能を有する。
球受け部252の構成を、図19に示す球受け部252周辺の縦断面図を参照しながら説明する。球受け部252は上方及び前方に開放しており、その内部が2つの仕切壁253a,253bによって仕切られることで3つの開口部255a,255b,255cが左右方向に並設されている。
これら開口部255a,255b,255cのうち、パチンコ機10内側の開口部255aは、払出通路部203における仕切壁204により仕切られた2列の通路のうち、パチンコ機10内側の通路の下方に位置しているとともに、上皿95aへ続く上皿通路に通じている。また、中央の開口部255bは、払出通路部203における仕切壁204により仕切られた2列の通路のうち、パチンコ機10外側の通路の下方に位置しているとともに、下皿96aへ続く下皿通路に通じている。また、外側の開口部255cは、下側排出通路部205の下方に位置しているとともに、第2裏パックユニット141の排出通路144に通じている。
上皿通路は、裏パックユニット24に設けられた裏パック側上皿通路部258と、遊技機ベースユニット22に設けられた本体側上皿通路部262と、遊技機前面ユニット23に設けられた前面側上皿通路部272とから構成されている。同様に、下皿通路は、裏パックユニット24に設けられた裏パック側下皿通路部259と、遊技機ベースユニット22に設けられた本体側下皿通路部263と、遊技機前面ユニット23に設けられた前面側下皿通路部273とから構成されている。
これら各通路部258,259,262,263,272,273について詳細に説明する。
<裏パック側通路部258,259>
裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259は、裏パックユニット24の回動基端側においてベース部126を前後方向に貫通するようにして設けられた裏パック側通路ユニット257に形成されている(図18参照)。裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259は通路壁によって区画され左右方向に並設されている。また、裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259は、それぞれ前後方向に延びており、下流側に向けて下り傾斜となっている。以上の構成において裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259に導入された遊技球は、底部258a,259a上を転がった後に本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263のそれぞれに排出される。
<本体側通路部262,263>
本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263は、遊技機ベースユニット22の回動基端側において樹脂ベース41を前後方向に貫通するようにして設けられた本体側通路ユニット261に形成されている。
本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263は、仕切用通路壁264によって区画されて左右方向に並設されており、それぞれ球出口262a,263aが下方を向くようにして形成されている。詳細には、本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263の上流側は下流側に向けて下り傾斜となっており、その下流側では若干下方に延出させて球出口262a,263aが形成されている。以上の構成において本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263に導入された遊技球は、底部262b,263b上を転がり球出口262a,263aを介して前面側上皿通路部272及び前面側下皿通路部273のそれぞれに排出される。
<前面側通路部272,273>
前面側上皿通路部272及び前面側下皿通路部273は、遊技機前面ユニット23の背面に設けられた前面側通路ユニット271に形成されている。ここで、前面側通路ユニット271について図20〜図22を用いて説明する。図20は前面側通路ユニット271の斜視図、図21は前面側通路ユニット271の分解斜視図、図22は前面側通路ユニット271の正面図である。
前面側通路ユニット271は、図21に示すように一対のベース板274a,274bを有している。これらベース板274a,274bはポリカーボネート樹脂などといった透明性を有する合成樹脂材料により形成されており、それぞれ溝部や開口部が形成されている。両ベース板274a,274bがネジ固定されていることで、前面側上皿通路部272を構成する受口部275が形成されているとともに、少なくとも前面側下皿通路部273を構成する通路形成部276が形成されている。なお、前面側通路ユニット271は受口部275及び通路形成部276の他に板状部271aを有している。この前面側通路ユニット271は、前面側上皿通路部272の出口272aが上皿95aの球入口と前後に重なり、前面側下皿通路部273の出口273aが下皿96aの球入口と前後に重なるようにして、遊技機前面ユニット23の背面に対してパチンコ機10後方からネジ固定されている。
前面側通路ユニット271の受口部275及び通路形成部276について説明する。受口部275が形成された位置は前面側通路ユニット271において上側隅部であり、遊技機前面ユニット23との関係では当該遊技機前面ユニット23の回動基端側となっている。また、受口部275は、通路形成部276よりもパチンコ機10の後方に突出しており、さらには遊技機前面ユニット23の回動軸よりもパチンコ機10の後方にある。そして、遊技機前面ユニット23を閉鎖した状態において、受口部275は遊技機ベースユニット22の前側端部よりも後側に入り込んでいる。
但し、受口部275は遊技機ベースユニット22の後側端部よりも前側にあり、遊技機ベースユニット22(樹脂ベース41)には受口部275と対峙する位置に、当該受口部275の突出側をカバーするカバー部としての収容凹部292bが形成されている(図23参照)。よって、遊技機前面ユニット23を閉鎖した状態において受口部275は遊技機ベースユニット22を前後方向に貫通していない。
受口部275は図20等に示すように上方に開放されており、その左右方向の略中央には底部から上方に起立した仕切壁277が一体形成されている。この仕切壁277に仕切られることで、受口部275には2つの開口部278,279が左右方向に並設されている。かかる構成において、受口部275におけるパチンコ機10内側の側壁はパチンコ機10後側などに比べ背が高くなっており、当該側壁には庇部275aが形成されている。この庇部275aが形成されていることにより、上記2つの開口部278,279のうちパチンコ機10内側の開口部278はパチンコ機10外側の開口部279よりも幅寸法(左右方向寸法)が小さくなっている。
パチンコ機10内側の開口部278は、本体側上皿通路部262の球出口262aと上下に対峙しており、図22等に示すように、前面側上皿通路部272の球入口となっている。また、パチンコ機10外側の開口部279は、本体側下皿通路部263の球出口263aと上下に対峙しており、通路形成部276に形成される前面側下皿通路部273の球入口となっている。この場合に、上記のとおり、受口部275は遊技機ベースユニット22の前側端部よりも後側に入り込んでいるため、前面側上皿通路部272と本体側上皿通路部262との境界部分、及び前面側下皿通路部273と本体側下皿通路部263との境界部分は、その一部が遊技機ベースユニット22の前側端部よりも後側に入り込んでいる(図18等参照)。
内側開口部278と上皿95aの球入口196とは前後に並んでおり、前面側上皿通路部272はそれら内側開口部278と球入口196とを繋ぐように前後方向に延びている。外側開口部279と下皿96aの球入口とは左右方向及び上下方向にずれた位置関係となっている。つまり、外側開口部279が遊技機前面ユニット23の回動基端側にあり、下皿96aの球入口は遊技機前面ユニット23の左右方向の中央付近にある。また、外側開口部279に対して下皿96aの球入口は下方にある。これら外側開口部279と下皿96aの球入口とを繋ぐように、前面側下皿通路部273が形成されている。
次に、上皿95a及び下皿96aへの遊技球の流れについて説明する。
図19に示すように払出装置135からは球受け部252における内側の開口部255aに向けて遊技球が払い出される。よって、払出装置135から払い出された遊技球は各上皿通路部258,262,272によって構成される上皿通路を通って上皿95aに排出される。
但し、払出装置135から多数の遊技球が払い出され上皿95aが満杯状態となり、さらにその後も遊技球の払い出しが継続されると、上皿通路にて遊技球が連なり、図19に示すように、球受け部252における内側の開口部255aの全体に遊技球が充たされるとともに、上下通路ユニット134の払出通路部203における仕切壁204の先端の位置まで遊技球が充たされることとなる。かかる状態において払出装置135から払い出された遊技球は払出通路部203の仕切壁204を乗り越え中央の開口部255b内に入る。そして、この遊技球は各下皿通路部259,263,273によって構成される下皿通路を通って下皿96aに排出される。
<シャッタ機構291>
次に、シャッタ機構291について説明する。図23はシャッタ機構291の分解斜視図、図24はシャッタ機構291の動きを説明するための説明図である。
本実施の形態では上述したように遊技機前面ユニット23に対して前面側通路ユニット271が設けられている。また、遊技機前面ユニット23には上述したように窓パネル部91が設けられており、例えば遊技領域にて球詰まり等が発生しそれを解消するために遊技機前面ユニット23を開放すると、それに合わせて前面側通路ユニット271が前方に移動し、遊技機前面ユニット23側の各通路部272,273と遊技機ベースユニット22側の各通路部262,263とが離間される。そして、この遊技機前面ユニット23の開放操作が、上皿95aや下皿96aが満杯状態であり本体側上皿通路部262や本体側下皿通路部263にて遊技球が待機されている状態において行われると、その待機されている遊技球が前面側上皿通路部272や前面側下皿通路部273にて受けられなくなり散乱してしまうおそれがある。これに対して、この遊技球の散乱を防止するためにシャッタ機構291が設けられている。
シャッタ機構291は遊技機ベースユニット22の前面側に設けられている。詳細には、樹脂ベース41における本体側通路ユニット261の下方には取付部292が形成されており、この取付部292に対してシャッタ機構291が取り付けられている。シャッタ機構291は、シャッタ部材293と、コイルバネ294と、ストッパ295とから構成されている。
シャッタ部材293は合成樹脂により略板状に形成されている。シャッタ部材293の下端には左右方向に貫通させて軸孔293aが形成されており、取付部292にはこの軸孔293aと同一軸線上に軸孔を有する支軸部292aが形成されている。シャッタ部材293の軸孔293a及び支軸部292aに支軸ピン296が挿通固定されていることにより、シャッタ部材293は取付部292に対して下端を軸線として前後方向に回動可能に支持されている。
シャッタ部材293の上端には、一方の端部(本実施の形態では、左側の端部)から側方に延出させて延出部297が形成されており、当該延出部297の前方となるようにしてストッパ295が設けられている。ストッパ295は合成樹脂材料により成形されており、取付部292にネジ固定されている。また、ストッパ295には、シャッタ用ストッパ295aと当該シャッタ用ストッパ295aよりも下方にあり前方に張り出したバネ用ストッパ295bとが形成されている。
ストッパ295と延出部297との間にはコイルバネ294が設けられている。コイルバネ294は、一端がバネ用ストッパ295bに固定され他端が延出部297の下端に固定されており、伸張状態で設けられている。したがって、シャッタ部材293には前方へ向けた付勢力が常に作用しており、シャッタ部材293の自然状態では延出部297がシャッタ用ストッパ295aに当接した位置にある。この当接した位置では、シャッタ部材293の上端部298が本体側通路ユニット261の下方にある。
シャッタ部材293の上端部298は、その上面が所定の曲率で、外方に凸であって前後方向に円弧状となっている。この円弧の仮想中心は、軸孔293aとなっている。また、シャッタ部材293は、その前後方向寸法が本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263の球出口262a,263aの前後方向寸法と略同一となっており、さらに左右方向寸法が本体側通路ユニット261の左右方向寸法と略同一となっている。そして、上端部298は、本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263の球出口262a,263aの略全体と対峙している。つまり、本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263の球出口262a,263aがシャッタ部材293によって閉鎖されている。この位置がシャッタ部材293の閉鎖位置(阻止位置)である。
上端部298には前方に突出させて前方段部298bが一体形成されている。この前方段部298bは、閉鎖位置に移動する際に、本体側上皿通路部262と前面側上皿通路部272との境界部分や、本体側下皿通路部263と前面側下皿通路部273との境界部分にある遊技球を受口部275側に押し込む機能を有する。
上端部298には、その左右方向の途中位置に前後方向に延びる溝部298aが形成されている。この溝部298aの位置は、受口部275における仕切壁277の位置に対応している。つまり、上端部298において溝部298aよりもパチンコ機10内側の領域は上皿通路用の阻止領域となっており、溝部298aよりもパチンコ機10外側の領域は下皿通路用の阻止領域となっている。この溝部298aには、シャッタ部材293が閉鎖位置にある場合に、本体側通路ユニット261における各通路部262,263を仕切る仕切用通路壁264の下端部分264aが入り込む。
取付部292におけるシャッタ部材293の後方には、後方へ凹んだ収容凹部292bが形成されている。また、シャッタ部材293はその前側端面が、遊技機前面ユニット23を閉鎖した際に前面側通路ユニット271の受口部275と当接する位置にあり、上述したとおり遊技機前面ユニット23を閉鎖した際には受口部275は本体側通路ユニット261の下方に配置される。したがって、遊技機前面ユニット23が閉鎖されている状態においては、受口部275の後方端部がシャッタ部材293の前側端面に当接しシャッタ部材293に対して上記付勢力に抗する力が作用することで、当該シャッタ部材293は後方に回動し収容凹部292bに収容されている。この位置がシャッタ部材293の開放位置(阻止解除位置)である。
遊技機前面ユニット23の開放操作に対するシャッタ部材293の動きについて説明すると、図24(a)に示すように、遊技機前面ユニット23が閉鎖されている状態ではシャッタ部材293は開放位置にあり、本体側上皿通路部262と前面側上皿通路部272とが連通し、本体側下皿通路部263と前面側下皿通路部273とが連通している。
また、遊技機前面ユニット23を開放することで、図24(b)に示すようにシャッタ部材293は閉鎖位置に移動する。これにより、本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263の各球出口262a,263aが閉鎖され、本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263に遊技球が待機されている状態において遊技機前面ユニット23が開放されたとしても、その待機されている遊技球が散乱しないようになっている。その後、遊技機前面ユニット23を閉鎖すると、図24(a)の状態に戻る。
この場合に、上記のとおり本体側上皿通路部262及び本体側下皿通路部263は、それぞれ球出口262a,263aに向けて下り傾斜となっている。よって、遊技機ベースユニット22側の各通路部262,263に待機されている遊技球の重量負荷は、その一部が遊技機ベースユニット22側の各通路部262,263の底部262b,263bにて受けられる。つまり、それら待機されている遊技球のシャッタ部材293に対する重量負荷が低減されている。よって、シャッタ部材293の開閉動作の円滑化が図られている。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図25のブロック図に基づいて説明する。図25では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置107に設けられた主制御基板311には、主制御回路312と停電監視回路313とが内蔵されている。主制御回路312には、CPU321が搭載されている。CPU321には、当該CPU321により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM(不揮発性記憶手段)322と、そのROM322内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM(揮発性記憶手段)323と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM323は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置147に設けられた電源及び発射制御基板331からバックアップ電力(データ記憶保持用電力)が供給されてデータが保持される構成となっている。
CPU321には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御回路312の入力側には、主制御基板311に設けられた停電監視回路313、払出制御装置146に設けられた払出制御基板332及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路313には電源及び発射制御基板331が接続されており、主制御回路312には停電監視回路313を介して電力が供給される。
ちなみに、主制御回路312の入力側に接続されるスイッチ群としては、入賞検知センサ325〜328がある。入賞検知センサ325〜328としては、一般入賞口62に入球した遊技球を検知する一般入賞口センサ325と、可変入賞装置63に入球した遊技球を検知するカウントセンサ326と、上作動口64に入球した遊技球を検知する上作動口センサ327と、下作動口65に入球した遊技球を検知する下作動口センサ328とがある。なお、一般入賞口センサ325は、一般入賞口62に対して1対1で対応させて設けられている。これら入賞検知センサ325〜328からの検知結果に基づいて、主制御回路312のCPU321において、各種入賞口62〜65への遊技球の入球の有無が特定される。
一方、主制御回路312の出力側には、停電監視回路313、払出制御基板332及び中継端子板333が接続されている。払出制御基板332には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板333を介して主制御回路312から音声ランプ制御装置103に設けられた音声ランプ制御基板334に対して各種コマンドなどが出力される。
停電監視回路313は、主制御回路312と電源及び発射制御基板331とを中継し、また電源及び発射制御基板331から出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
払出制御基板332は、払出装置135により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU341は、そのCPU341により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM(不揮発性記憶手段)342と、ワークメモリ等として使用されるRAM(揮発性記憶手段)343とを備えている。
払出制御基板332のRAM343は、主制御回路312のRAM323と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御基板331からバックアップ電力(データ記憶保持用電力)が供給されてデータが保持される構成となっている。
払出制御基板332のCPU341には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板332の入力側には、主制御回路312、電源及び発射制御基板331、及び裏パック基板136が接続されている。ちなみに、裏パック基板136を通じて、球無検知センサ186の検知結果及び球抜きボタン206の操作の有無が払出制御基板332に入力される。また、払出制御基板332の出力側には、主制御回路312及び裏パック基板136が接続されている。
電源及び発射制御基板331は、電源部と発射制御部とを備えている。電源部は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御回路312や払出制御基板332等に対して各々に必要な動作電力を供給する。発射制御部は、遊技者による遊技球発射ハンドル84の操作にしたがって遊技球発射機構80の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構80は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
また、電源及び発射制御基板331には、バックアップ電源部331aが設けられている。バックアップ電源部331aはコンデンサからなり、パチンコ機10の電源がON状態の場合(外部電源からの電力供給が行われている場合)に充電される。また、パチンコ機10の電源がOFF状態の場合や商用電源における停電発生時といった電源遮断状態(外部電源からの電力供給が遮断されている場合)では、バックアップ電源部331aから放電され主制御回路312のRAM323及び払出制御基板332のRAM343に対してバックアップ電力が供給される。よって、かかる状況であっても、バックアップ電源部331aからバックアップ電力が供給されている間は、各RAM323,343に記憶された情報が消去されることなく記憶保持される。
ちなみに、バックアップ電源部331aの容量は比較的大きく確保されており、電源遮断前に各RAM323,343に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。また、バックアップ電源部331aは、コンデンサに限定されることはなく、バッテリや非充電式電池などであってもよい。非充電式電池の場合、パチンコ機10の電源がON状態の際に電断時用電源手段への蓄電を行う必要はないが、定期的に交換する必要が生じる。
音声ランプ制御基板334は、各電飾部175〜177、スピーカ部178、エラー表示部179及び表示制御装置101を制御するものである。演算装置であるCPU351は、そのCPU351により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM352と、ワークメモリ等として使用されるRAM353とを備えている。
音声ランプ制御基板334のCPU351にはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。音声ランプ制御基板334の入力側には中継端子板333に中継されて主制御回路312が接続されており、主制御回路312から出力される各種コマンドに基づいて、各電飾部175〜177、スピーカ部178、エラー表示部179及び表示制御装置101を制御する。表示制御装置101は、音声ランプ制御基板334から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置71を制御する。
次に、主制御回路312のCPU321により実行される各制御処理を図26〜図29のフローチャート等を参照しながら説明する。かかるCPU321の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図26は、NMI割込み処理であり、当該処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号が停電監視回路313からCPU321のNMI端子に出力され、CPU321は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。NMI割込み処理では、ステップS101にてRAM323に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグをセットし、本処理を終了する。その後、後述する通常処理にて停電フラグがセットされていることが確認されることで、停電時処理が実行される。
次に、タイマ割込み処理について図27のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS201では、各種スイッチや払出制御基板332などからの信号読み込み処理を実行する。ここで、信号読み込み処理では、一般入賞口センサ325、カウントセンサ326、上作動口センサ327及び下作動口センサ328から遊技球を検知している旨の検知結果を入力しているか否かを特定し、その特定結果に基づいて賞球コマンドのセットを行う処理を実行する。具体的には、一般入賞口センサ325の検知結果に基づいて一般入賞口62への遊技球の入球を特定した場合には10個賞球コマンドをセットする。また、カウントセンサ326の検知結果に基づいて可変入賞装置63への遊技球の入球を特定した場合には15個賞球コマンドをセットする。また、上作動口センサ327の検知結果に基づいて上作動口64への遊技球の入球を特定した場合には3個賞球コマンドをセットする。また、下作動口センサ328の検知結果に基づいて下作動口65への遊技球の入球を特定した場合には4個賞球コマンドをセットする。ここで、セットされた賞球コマンドは、後述する外部出力処理にて払出制御基板332に出力される。
その後、ステップS202では、始動入賞処理を実行する。始動入賞処理では、上作動口センサ327及び下作動口センサ328から入力した検知結果に基づいて、遊技球が上作動口64又は下作動口65に入球したか否かを判定する。そして、遊技球が上作動口64又は下作動口65に入球している場合には、第1特定ランプ部73及び図柄表示装置71の作動保留球数が上限値未満であることを条件として、その入球に対して大当たりを発生させるか否かの指標となるカウンタ値のRAM323への格納処理を実行する。当該カウンタ値が大当たりの発生に対応した値である場合には、その入球に対応した遊技回において大当たりが発生することとなる。つまり、始動入賞処理において、大当たりといった特別遊技状態への移行抽選機能(移行判定手段)が果たされる。
始動入賞処理の後、CPU321は本タイマ割込み処理を一旦終了する。なお、タイマ割込み処理において、大当たりを発生させるか否かの指標となるカウンタ値を更新する処理なども実行するようにしてもよい。
次に、電源投入時のリセットに伴い起動されるメイン処理について、図28のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS301では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、従側の制御基板(払出制御基板332等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。続くステップS302では、RAM323のアクセスを許可する。
その後、ステップS303では、電源及び発射制御装置147に設けたRAM消去スイッチ149aがオンされているか否かを判定し、続くステップS304ではRAM323の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS305ではRAM判定値を算出し、続くステップS306では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM323の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM323の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ149aを押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ149aが押されていれば、ステップS309〜S311の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS309〜S311の処理に移行する。
ステップS309では、従側の制御基板となる払出制御基板332等を初期化するために、払出初期化コマンド等を出力する。続くステップS310ではRAM323の使用領域を0にクリアし、ステップS311ではRAM323の初期化処理を実行する。その後、ステップS312にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ149aが押されていない場合には、停電フラグが格納されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、ステップS307に進む。ステップS307では、停電フラグ格納バッファに格納されている停電フラグをクリアし、ステップS308にて従側の制御基板を電源遮断前の遊技状態に復帰させるための復電コマンドを出力する。その後、ステップS312にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。これにより、電源遮断前の状態に復帰する。
次に、通常処理について、図29のフローチャートを用いて説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。
通常処理において、ステップS401では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データを従側の各制御基板に出力する。具体的には、上述した信号読み込み処理にてセットされた賞球コマンドを払出制御基板332に対して出力する。また、図柄表示装置71による第1図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動態様コマンド等を音声ランプ制御基板334に出力する。
続くステップS402では、第1特定ランプ部73に表示される色の切り替えを行うための第1特定ランプ部制御処理を実行する。第1特定ランプ部制御処理では、大当たり判定や第1特定ランプ部73に配設されたLEDランプの光源スイッチのオンオフ制御などが行われる。そして、第1特定ランプ制御処理では、始動入賞処理にて格納されたカウンタ値に基づいて大当たりを発生させると判定した場合、遊技状態を大当たり状態に移行させる。つまり、第1特定ランプ制御処理において、特別遊技状態への移行機能(移行手段)が果たされる。なお、第1特定ランプ部制御処理において、図柄表示装置71による第1図柄の変動表示の設定も行われる。
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS403にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大当たり状態である場合において可変入賞装置63の大入賞口を開放又は閉鎖する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。この規定数だけ入賞したか否かの判定は、上述した大入賞口用カウンタを確認することにより行われる。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。つまり、大入賞口開閉処理において、特別遊技状態の進行機能(進行手段)が果たされる。
その後、ステップS404では、第2特定ランプ部74に表示される色の切り替え処理を行うための第2特定ランプ部制御処理を実行する。第2特定ランプ制御処理では、ゲート保留球数が1以上であることを条件に第2特定ランプ部74における表示色の切り換えを開始する。この際、表示色の切り換え時間も設定する。そして、下作動口65に付随する電動役物65aを所定時間開放する場合には、第2特定ランプ部74において所定の色の停止表示が行われる。
ステップS404の後は、ステップS405にて、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源及び発射制御基板331の発射制御部から発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構80のソレノイド81を励磁する。これにより、発射レール82上にある遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。
続くステップS406では、RAM323内に設けられた停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。停電フラグが格納されていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS407にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施形態では4msec)が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合には、ステップS406に戻り、所定時間が経過している場合には、ステップS401に戻る。
一方、ステップ406にて、停電フラグが格納されている場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS408以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS408では、タイマ割込み処理の発生を禁止する。続くステップS409では、電源が遮断されたことを示す停電コマンドを他の制御基板に対して出力する。そして、ステップS410にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS411にてRAM323のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源及び発射制御基板331のバックアップ電源部331aからバックアップ電力が供給されるため、電源遮断前にRAM323に記憶されていた情報はそのままの状態で所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
次に、払出制御基板332のCPU341により実行される各制御処理を図30〜図33のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU341の処理としては大別して、主制御回路312のCPU321からのコマンドの入力により起動される入力時割込み処理と、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめに入力時割込み処理を説明し、その後、メイン処理、タイマ割込み処理の順で説明する。
入力時割込み処理は、主制御回路312のCPU321からコマンドを入力した場合に後述する他の処理を中断して実行される。入力時割込み処理では、図30のフローチャートに示すように、ステップS501にて主制御回路312のCPU321からのコマンドをRAM343のコマンド格納バッファに記憶し、その後、ステップS502にてRAM343に設けられたコマンド入力フラグ格納バッファにコマンド入力フラグを格納し、本処理を終了する。
次に、払出制御基板332のCPU341に実行されるメイン処理を、図31のフローチャートを用いて説明する。このメイン処理は、電源投入時のリセットに伴い起動される。
まず、ステップS601では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、割込みモードを設定する。そして、ステップS602に進んでRAMアクセスを許可すると共に、ステップS603で外部割込みベクタの設定を行う。
その後、ステップS604では、RAM343の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS605ではRAM判定値を算出し、続くステップS606では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM343の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM343の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
停電フラグが格納されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合はRAM343の初期化処理(ステップS611〜S613)に移行する。つまり、ステップS611ではRAM343の全領域を0にクリアし、続くステップS612ではRAM343の初期化処理を実行する。また、ステップS613ではCPU周辺デバイスの初期設定を行う。
一方、停電フラグが格納されており、さらにRAM判定値(チェックサム値等)が正常である場合は、復電時の処理(停電による電源遮断後の復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS607にて停電フラグをクリアすると共に、ステップS608にて賞球の払出を許可する払出許可フラグをクリアする。また、ステップS609ではCPU周辺デバイスの初期設定を行う。なお、RAM判定値は、例えばRAM343の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。
ステップS609又はステップS613の処理の後は、ステップS610にて割込みを許可し、ステップS614にてRAM343の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定し、停電フラグが格納されていなければ、停電フラグが格納されるまで待機する。
一方、停電フラグが格納されている場合には、停電が発生したことになるので、停電時処理としてステップS615移行の処理を実行する。停電時処理では、先ずステップS615にて各割込み処理の発生を禁止する。その後、ステップS616にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS617にてRAM343のアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源及び発射制御基板331からRAM343のデータ記憶保持用電力が供給されるため、電源遮断前にRAM343に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
ここで、本メイン処理では、ステップS601〜ステップS613の通常時における一連の処理の終了後に、停電フラグが格納されているか否か(電源遮断が発生したか否か)を判定しているので、各処理の途中の状態で停電時処理が実行されることがない。これにより、電源遮断発生時においてRAM343に記憶するデータ量を極力少なくすることができ、さらには電源遮断前の状態に復帰する場合には、処理の途中から開始する必要はなく、払出制御基板332の処理の負担を軽減することができる。
次に、払出制御基板332のCPU341により例えば2msec毎に実行されるタイマ割込み処理について、図32のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS701では、主制御回路312のCPU321から入力したコマンドの判定を行うコマンド判定処理を実行する。このコマンド判定処理では、図33に示すように、ステップS801にて、RAM343のコマンド入力フラグ格納バッファにコマンド入力フラグが格納されているか否かを判定する。コマンド入力フラグが格納されていない場合は、新たなコマンドが主制御回路312のCPU321から出力されていないので、そのまま本処理を終了する。一方、コマンド入力フラグが格納されていた場合は、ステップS802にてコマンド読出し処理を実行する。コマンド読出し処理では、入力したコマンドをRAM343のコマンドバッファから読出し、さらにコマンド入力フラグをクリアする。
その後、読み出されたコマンドの種類を、ステップS803、ステップS805、ステップS810及びステップS811の各処理にて判定し、各コマンドに対応した処理を実行する。つまり、ステップS803では、停電コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、ステップS804にてRAM343の停電フラグ格納バッファに停電フラグを格納して、本処理を終了する。
ステップS805では、払出初期化コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、電源投入時に主制御回路312のCPU321からRAM343の初期化が指示されていることになるので、ステップS806〜ステップS809の処理を実行した後に本処理を終了する。ステップS806では、RAM343に設けられた払出許可フラグ格納バッファに払出許可フラグが格納されているか否かを判定し、当該フラグが格納されていない場合は、ステップS807にてRAM343の作業領域を0にクリアし、さらにステップS808にてRAM343の初期値を設定する。その後、ステップS809にて払出許可フラグを格納することで、賞球の払出が許可される。
なお、ステップS806において払出許可フラグが格納されている場合は、ステップS807及びステップS808の処理を行うことなく本処理を終了する。かかる構成とすることにより、RAM消去スイッチ149aが押されていないにも関わらずノイズなどの原因で払出初期化コマンドの入力を認識したとしても、その際に残っている賞球が遊技者に払い出されることなく消去されることを防止できる。
ステップS810では、復電コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、払出制御基板332が停電による電源遮断の前の状態に復帰するので、ステップS809にて払出許可フラグを格納した後に本処理を終了する。かかる構成とすることにより、電源遮断前に賞球が残っていた場合に当該賞球を即座に払い出すことができる。
ステップS811では、賞球コマンドである否かを判定し、当該コマンドである場合には、ステップS812にて賞球コマンドに対応した賞球個数を総賞球個数に加算した後に、ステップS809にて払出許可フラグを格納し本処理を終了する。
タイマ割込み処理(図32)の説明に戻り、コマンド判定処理を実行した後は、ステップS702にて払出許可フラグが格納されているか否かを判定する。払出許可フラグが格納されていない場合は、そのまま本処理を終了する。一方、払出許可フラグが格納されている場合は、ステップS703にて状態復帰スイッチ148aをチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。
また、ステップS704では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、球無検知センサ186の検知結果によりタンク132の球無状態を判定し、球無状態であると判定した場合には球無状態の設定を実行し、球無状態でなくなった場合には球無状態の設定を解除する。
本パチンコ機10では、払出制御装置146のRAM343に期間計測手段としてカウンタエリアが設けられており、球無検知センサ186から球無状態である旨の検知結果を入力している場合、カウンタエリアにてその入力継続期間が計測される。そして、入力継続期間が1secに達した時点で払出装置135の払出速度をそれまでよりも遅い低速周期に変更する。例えば、通常周期は60msecに1個の遊技球を払い出す周期であり、低速周期は1.2secに1個の遊技球を払い出す周期である。また、低速周期で遊技球の払出を実行している状況であって、上記入力継続期間が10secに達した場合には払出装置135が停止されるとともにその状態が維持されるように規制される。ステップS704では、上記入力継続期間が1secに達した時点で、RAM343に低速設定フラグを格納するとともに、上記入力継続期間が10secに達した時点で、賞球の払出不可状態の設定を行う。なお、期間計測手段としてカウンタエリアに代えて、リアルタイマを設けてもよい。
また、払出装置135の払出速度が低速周期である状況及び遊技球の払出が停止されている状況において球無状態である旨の検知結果が途切れることで、これら球無状態の設定が解除される。これにより、上記低速状態及び上記賞球の払出不許可状態が解除される。
ここで、球無状態となったことに基づいて払出装置135の払出動作を停止させることで、球無状態であるにも関わらず、払出装置135が払出動作を続けてしまうことが防止される。
また、払出装置135の払出動作を停止させる前段階で払出速度を低速周期に変更させたことにより、以下の効果が得られる。つまり、大当たり状態などのように多数の遊技球が短時間で払い出される場合、タンク132から上下通路ユニット134側への遊技球の流入が遅れることがある。この場合に、払出速度を低速周期に変更させない構成を想定すると、球無検知センサ186よりも下流側にある遊技球の払出が即座に完了してしまい、実際には大当たり状態に対する賞球数の情報が未だ残っているにも関わらず、遊技球の払出が停止されてしまう。そうすると、遊技者は大当たり状態における遊技球の払出が完了したと勘違いし、パチンコ機10から離れてしまう可能性がある。これに対して、上記のように払出速度を低速周期に変更させることで、上記状況となった場合には球無検知センサ186よりも下流側にある遊技球がゆっくりと払い出され、その間にタンク132から上下通路ユニット134側へ遊技球が流入する可能性が高まる。よって、上記のような不都合が発生する可能性が低減される。
ちなみに、遊技球の払出を通常周期である60msecで1sec継続した場合、16個の遊技球が払い出される。また、遊技球の払出を低速周期である1.2secで9sec継続した場合、7個の遊技球が払い出される。つまり、球無検知センサ186にて球無状態であることが検知されてから払出装置135の払出動作が停止されるまでの間に23個の遊技球が払い出されることとなる。これに対して、既に説明したように、残存遊技球数が29個であり、球無検知センサ186と払出装置135との間には少なくとも29個の遊技球が存在することとなる。したがって、球無状態となり払出装置135が停止したとしても、球無検知センサ186と払出装置135との間には遊技球が存在することとなる。
例えば、球無状態となり払出装置135が停止した場合に、球無検知センサ186と払出装置135との間に遊技球が存在しない構成を想定すると、払出装置135が停止した後にタンク132から払出装置135へ流入してくる遊技球は、タンク132の位置から払出装置135の回転体195までの距離分加速されながら流下し、その勢いのまま回転体195に衝突することとなる。そうすると回転体195の破損などが懸念される。これに対して、本パチンコ機10では球無検知センサ186と払出装置135との間に遊技球が存在するため、上記のような回転体195の破損の発生が抑制される。
タイマ割込み処理(図32)の説明に戻り、ステップS704の後は、ステップS705にて、報知する状態の有無を判定し、報知する状態が有る場合には払出制御装置242に設けた7セグメントLEDにより報知する。
ステップS706〜S709では、賞球払出の処理を実行する。先ずステップS706では、球抜きボタン206が操作されているか否かを判定する。球抜きボタン206が操作されていない場合には、ステップS707にて賞球の払出不可状態であるか否かを判定する。賞球の払出不可状態である場合にはRAM343に賞球数の情報が記憶されているか否かに関係なく、賞球払出の処理を終了する。この場合、図示は省略するが、払出モータ198の駆動制御が行われている場合にはその駆動制御を停止させ遊技球の払出を停止させる。
球抜きボタン206が操作されておりステップS706にて肯定判定をした場合又は賞球の払出不許可状態ではなくステップS707にて否定判定をした場合には、ステップS708にてRAM343に賞球数の情報が記憶されているか否かを判定する。賞球数の情報が記憶されている場合には、ステップS709に進み、賞球制御処理を開始する。
賞球制御処理では、払出装置135を駆動制御の開始又は払出速度の設定を実行する。賞球数の情報が記憶されていない場合には、賞球の払出処理を終了する。この場合、図示は省略するが、払出モータ198の駆動制御が行われている場合にはその駆動制御を停止させ遊技球の払出を停止させる。
賞球の払出処理を終了した後は、ステップS710〜S712の貸球払出の処理に移行する。貸球払出の処理において、貸球の払出不可状態でなく且つ貸球払出要求を入力していれば(ステップS710がNO、S711がYES)、ステップS712に進み、貸球制御処理を開始する。貸球制御処理では、払出装置135を駆動制御し、貸球払出要求に対応した数の遊技球を払い出す。また、貸球の払出不可状態又は貸球払出要求を入力していなければ(ステップS710がYES又はS711がNO)、ステップS713に進む。
ステップS713では、球詰まり状態であることを条件にタンク132に設けられたバイブレータの制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本タイマ割込み処理を終了する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
パチンコ機10からの遊技球の抜き出しは、例えば、パチンコ機10を中古で流通させる場合に行われる。遊技球には遊技ホール毎に固有の模様などが付されており、中古での流通に際してパチンコ機10内の遊技球を全て抜き出すことで、遊技ホール間で異なる遊技球が混ざらないようにすることができる。その一方、パチンコ機10を中古で流通する場合、その流通過程で払出制御装置146などが不正な制御装置に交換されてしまうことが懸念される。この場合、流通先の遊技ホールが多大な不利益を被ってしまうおそれがあり好ましくない。また、これを抑制すべく、払出制御装置146の不正交換を防止するために複雑な構成を付加すると、パチンコ機10のコストが高くなってしまう。
これに対して、上下通路ユニット134の切換片181を排出誘導状態としても、切換片181から払出装置135の回転体195までの位置に残存することとなる残存遊技球数を29個とした。この29個は、入賞口62〜65の一の入球に対して払出を行うべき遊技球の数として予め設定された単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しない数として設定されている。これにより、任意の一の入賞口を選択し、その選択した入賞口に複数の遊技球を手入れで入球させて当該残存遊技球を全て排出させようとすると、自ずと払出制御装置146に賞球数の情報が残ることとなる。そして、この賞球数の情報は、バックアップ電力が供給されることにより、パチンコ機10の電源が遮断されたとしても記憶保持される。これにより、パチンコ機10を中古で流通させる場合、流通先にて払出制御装置146に上記賞球数の情報が記憶保持されていることを確認することで、流通過程において払出制御装置146の不正交換が行われたか否かを確認することができる。この確認としては、例えば、島設備にパチンコ機10を設置し、タンク132に遊技球を補充した後に電源を立ち上げた場合に、遊技球が上皿95aに排出されるか否かを確認することで行うことができる。
特に、本パチンコ機10では、残存遊技球数が29個に設定されているため、いずれか一の入賞口に対して上記手入れでの遊技球の入球動作を行うことで、確実に払出制御装置146に賞球数の情報が残ることとなる。よって、流通過程において払出制御装置146の不正交換が行われたか否かの確認作業を確実に行うことができる。
ちなみに、残存遊技球数は最大単位遊技球数よりも大きい数であって素数となっている。これにより、パチンコ機10の設計変更として、各単位遊技球数の遊技球数を変更する場合に、2以上であって残存遊技球数の範囲内であれば、任意の数を選択することができ、当該設計変更を容易に行うことができる。
また、実際に上記球抜き動作を行う場合、その作業効率を考えて、単位遊技球数が最も多い可変入賞装置63を用いることが考えられる。この場合、可変入賞装置63に遊技球を2個入球させることで、払出制御装置146に記憶される賞球数の情報が30個となり、上記残存遊技球数を超えることとなる。また、払出制御装置146に記憶される賞球数の情報が30個の場合には、残存遊技球の排出後に残る賞球数は1個となる。そうすると、パチンコ機10を中古品で流通させた場合、払出制御装置146に記憶保持される賞球数の情報は1個となる。これにより、流通先でパチンコ機10の電源を立ち上げた場合に払い出される遊技球の数は1個となり、流通先の遊技ホールにおいて不正の有無の確認後における片付け作業に際してはその1個の遊技球を取り出すだけで済む。よって、当該片付け作業の作業効率を向上させることができる。つまり、本構成によれば、球抜き作業の作業効率及び片付け作業の作業効率の両方を向上させることができる。
また、実際に上記球抜き動作を行う場合、その作業効率を考えて、手入れでの入球作業を最も行い易い入賞口を用いることが考えられる。本パチンコ機10では、当該入賞口は、遊技盤61において遊技機前面ユニット23の回動先端側に位置する一般入賞口62が考えられる。この場合、一般入賞口62に遊技球を3個入球させることで、払出制御装置146に記憶される賞球数の情報が30個となり、上記残存遊技球数を超えることとなる。また、払出制御装置146に記憶される賞球数の情報が30個の場合には、残存遊技球数の排出後に残る賞球数は1個となる。そうすると、パチンコ機10を中古品で流通させた場合、払出制御装置146に記憶保持される賞球数の情報は1個となる。これにより、流通先でパチンコ機10の電源を立ち上げた場合に払い出される遊技球の数は1個となり、流通先での遊技ホールにおいて不正の有無の確認後における片付け作業に際してはその1個の遊技球を取り出すだけで済む。よって、当該片付け作業の作業効率を向上させることができる。つまり、本構成によれば、球抜き作業の作業効率及び片付け作業の作業効率の両方を向上させることができる。
一方、残存遊技球数の29個は、例えば、一般入賞口62の単位遊技球数と、可変入賞装置63の単位遊技球数と、下作動口65の単位遊技球数との和と一致する数である。したがって、例えば、遊技ホールにおけるメンテナンス時や、製造メーカからの出荷時といった、中古品を流通させる必要がない場合には、一般入賞口62、可変入賞装置63及び下作動口65のそれぞれに1個ずつ遊技球を入球させることで、払出制御装置146に記憶される賞球数の情報は上記残存遊技球数と一致し、当該賞球数の情報が払出制御装置146に残らないようにすることができる。
また、残存遊技球数の29個は、一般入賞口62の単位遊技球数の2倍と、上作動口64の単位遊技球数の3倍との和と一致する数である。これら一般入賞口62及び上作動口64は、遊技球の入球を不可又は難しくする開閉手段が設けられていない入賞口であり、手入れでの入球作業に際して開閉手段の開放操作等を要しない。よって、賞球数の情報が払出制御装置146に残らないようにしながら残存遊技球の抜き出しを行う場合に、その作業効率を向上させることができる。
また、一般入賞口62の一部は、上記のとおり、遊技盤61において遊技機前面ユニット23の回動先端側に配置されている。また、下作動口65は、遊技盤61において左右方向の中央側に配置されている。この点、手入れでの入球作業に際して、これら一般入賞口62及び下作動口65に遊技球を入球させることで、賞球数の情報が払出制御装置146に残らないようにしながら残存遊技球の抜き出しを行う場合に、その作業効率を飛躍的に向上させることができる。
また、パチンコ機10が中古で流通する場合以外にも、遊技ホールなどにおいて、払出装置135や上側ユニット161が、不正な部品を取り付けた不正用ユニットに交換されてしまうことが想定される。そして、その発見が行われないと、遊技ホールが多大な不利益を被ってしまうおそれがあり好ましくない。この場合に、不正用ユニットに交換されて上記残存遊技球数が変化した場合には、その残存遊技球数が単位遊技球数の整数倍と一致する可能性が生じる。
当該事情において、本パチンコ機10では、残存遊技球数の排出に際して、払出制御装置146に記憶されている賞球数の情報に対応した数の遊技球を払い出すように、払出装置135の回転体195を回転動作させることにより行われる。この場合に、上記のとおり残存遊技球数はいずれの単位遊技球数の整数倍とも一致しないため、残存遊技球の排出に際しては残存遊技球数よりも多い数に対応した賞球数の情報が記憶され、残存遊技球が全て排出された後も回転体195の回転動作が継続されることとなる。これに対して、不正用ユニットに交換されて残存遊技球数が単位遊技球数の整数倍と一致した場合には、残存遊技球数が全て排出されたタイミングで、回転体195の回転動作が停止されることとなる。したがって、遊技ホールの管理者等にとっては、残存遊技球数が全て排出されたタイミングで回転体195の回転動作が停止するか否かを確認することで、上記不正用ユニットの交換が行われているか否かを確認することができる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)上記実施の形態では、残存遊技球数が29個となるように、上下通路ユニット134において切換片181から払出装置135の回転体195までの通路長を設定したが、残存遊技球数は29個に限定されることはなく、単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しない数であれば具体的な数は任意である。例えば、上記実施の形態における単位遊技球数の設定において、残存遊技球数を17個、19個、23個等としてもよい。
(2)入賞口62〜65に対する単位遊技球数の設定は、上記実施の形態のものに限定されることはなく、任意である。但し、単位遊技球数の設定を変更した場合には、それら単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しないように残存遊技球数を変更する必要がある。ちなみに、可変入賞装置63に対する単位遊技球数を15個に代えて、14個としてもよい。当該構成であっても、残存遊技球数を29個とすることで、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(3)上記実施の形態では、単位遊技球数が異なる入賞口の種類を4種類としたが、これに限定されることはなく、1種類、2種類、3種類又は5種類以上であってもよい。この場合であっても、残存遊技球数を単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しないようにすることで、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(4)上記実施の形態では、上下通路ユニット134において上側ユニット161には第1ケースレール部174と第2ケースレール部175との2列のケースレール部を形成したが、ケースレール部が1列のみ形成された構成としてもよく、3列以上のケースレール部が形成された構成としてもよい。当該構成であっても、残存遊技球数を単位遊技球数のいずれの整数倍とも一致しないようにすることで、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(5)大当たり状態でない状況において、可変入賞装置63へ遊技球を入球させたとしても、その入球が無効化されるパチンコ機に対して本発明を適用してもよい。この場合、残存遊技球数を、可変入賞装置63の単位遊技球数の整数倍と一致する構成としてもよい。
(6)上記実施の形態では、主制御基板311のRAM323及び払出制御基板332のRAM343の両方にバックアップ電力が供給される構成としたが、これに代えて、主制御基板311のRAM323のみにバックアップ電力が供給される構成としてもよい。但し、本構成においては、パチンコ機10の電源が遮断される場合に、その時点で払出制御基板332のRAM343に記憶されている賞球数情報を主制御基板311に出力し、その賞球数情報を主制御基板311のRAM323にて記憶保持する構成としてもよい。
(7)上記実施の形態において、払出制御基板332のRAM343に賞球数の情報が記憶されているにも関わらず、払い出すべき遊技球が払出装置135の回転体195よりも上流側に存在しない場合には、予め定められた球不足報知を実行するようにしてもよい。具体的には、球無状態であるか否かに関係なく、RAM343に賞球数の情報が記憶されている状況において回転体195を回転させた後に、所定期間に亘って払出検知センサ199にて遊技球を検知しない場合に上記球不足報知を実行する構成が考えられる。この球不足報知としては、例えば、パチンコ機10の前面のランプ部を発光させる構成や払出制御装置146に設置された7セグメントの表示器で所定の表示を行う構成が考えられる。これにより、中古品の流通先などにおいては、タンク132への遊技球の補充を行わない状況であっても、不正行為の有無の確認を行うことができる。
また、パチンコ機10の前面のランプ部にて報知を行う構成においては、電源立ち上げ時においてRAM343に賞球数の情報が記憶されている場合に、上記報知を行う構成としてもよい。この場合、複数台の中古品が納入された遊技ホールにおいては、それらを島設備に取り付け各パチンコ機の電源を投入した場合に、前面のランプ部が点灯するか否かを確認するだけで、流通過程での不正行為の有無を容易に確認することができる。
(8)上記実施の形態では、球無検知センサ186にて遊技球の球無状態が検知された場合、払出装置135の払出速度を低速周期に変更した後に払出動作を停止させるようにしたが、これに代えて、低速周期に変更させない構成としてもよい。また、低速周期が2段階以上設定された構成としてもよい。
また、低速周期への変更を行う場合であっても、低速周期に変更させるまでの期間及び払出動作を停止させるまでの期間は上記実施の形態のものに限定されることはなく、任意である。但し、残存遊技球数との関係において、払出動作を停止させた時点で球無検知センサ186と払出装置135の回転体195との間に遊技球が残っているように、上記各期間を設定することが好ましい。
また、払出装置135の通常周期及び低速周期は上記実施の形態のものに限定されることはなく、任意である。但し、残存遊技球数との関係において、払出動作を停止させた時点で球無検知センサ186と払出装置135の回転体195との間に遊技球が残っているように、上記各周期を設定することが好ましい。
(9)上記実施の形態では、球抜きボタン206を裏パック基板136に設けたが、これに代えて、主制御装置107や払出制御装置146等に設けてもよい。また、音声ランプ制御装置103などのように、裏パックユニット24により覆われた領域に設けてもよい。また、球抜きボタン206を不具備とし、当該球抜きボタン206の機能を他のスイッチに兼用させてもよい。例えば、状態復帰スイッチ148やRAM消去スイッチ149aにその機能を兼用させてもよい。さらには、球抜きボタン206を不具備とし、所定の球抜き開始操作(解除操作)が行われた場合に、球無状態が特定されている場合であっても残存遊技球の排出が行われる構成としてもよい。例えば、所定の球検知センサ(例えば、スルーゲート66に設けられた球検知センサ)に通常の遊技では検知しないような期間に亘って遊技球を検知させることを、上記球抜き開始操作としてもよい。
(10)上記実施の形態では、残存遊技球数を、球無検知センサ186にて球無状態が検知され、払出装置135の払出動作が停止されるまでに払い出される遊技球の数よりも多い数に設定したが、これに代えて、少ない数に設定してもよい。但し、球無検知センサ186から切換片181までに待機可能な遊技球数と残存遊技球数との和の数を、払出装置135の払出動作が停止されるまでに払い出される遊技球の数よりも多い数となるように設定することが好ましい。当該構成とすることにより、上記実施の形態と同様に、球無状態において払出装置135の払出動作が停止された場合に、回転体195よりも上流側に遊技球が残るようにすることができる。
(11)球無検知センサ186を、払出装置135よりも上流側であって切換片181よりも下流側に設置してもよい。当該構成であっても、球無検知センサ186から回転体195までに待機可能な遊技球の数を、払出装置135の払出動作が停止されるまでに払い出される遊技球の数よりも多い数となるように設定することが好ましい。これにより、上記実施の形態と同様に、球無状態において払出装置135の払出動作が停止された場合に、回転体195よりも上流側に遊技球が残るようにすることができる。
(12)上記実施の形態では、図柄表示装置71を備えたパチンコ機10に対して本発明を適用したが、それ以外のタイプのパチンコ機に適用してもよい。例えば、遊技球転動部や有利口などが設けられた入賞役物装置を備えたパチンコ機や、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。また、球受け皿として上皿95a及び下皿96aが設けられているのではなく、単一の球受け皿が設けられたパチンコ機にも、本発明を適用できる。