JP5708189B2 - シートヒータ - Google Patents
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また、車両用シートヒータでは、着座した乗員を暖めるのみでなく、着座者に快適性を提供するものが知られている。例えば、着座者を支持する支持部材に備えられる発熱ユニットが複数のブロックに区分けされ、その発熱ユニットの運転に際し、発熱体の通電状態をブロック毎に変更して制御するヒータ装置が知られている(特許文献1を参照)。
特許文献1に記載された前記ヒータ装置によれば、発熱体を複数のブロックに分け、部分的に通電状態(オン、オフ)の変更を繰り返すことにより同一箇所を長時間にわたって加熱し続けることがないため、着座者を支持する支持部材と着座者との間で熱がこもって蒸れることがなくなる。しかし、1つの発熱体への通電をオフした場合には着座者に当該部位の温熱低下が体感され、温熱刺激を与えることはできても、そのような通電状態の変更を複数設けられた発熱体について規則性なく行ったのでは、着座者に対して温度変化を体感させることができない。
本第2発明は、前記第1発明において、前記制御部は、前記最小発熱量とする前記発熱体について前記最小発熱量とする直前の発熱量を所定時間増加させることを要旨とする。
本第3発明は、前記第1又は第2発明において、前記3以上の発熱体は、着座者の肩、背中、腰、尻及び腿に対応する前記シートの各位置に配設されている発熱体を含み、少なくとも腰及び尻の位置に配設されている前記発熱体は前記第2の最小発熱量が設定されており、その他の位置に配設されている前記発熱体は前記第1の最小発熱量が設定されていることを要旨とする。
本第4発明は、前記第1又は第2発明において、前記3以上の発熱体は、着座者の肩、背中、腰、尻及び腿に対応する前記シートの各位置に配設されている発熱体を含み、少なくとも腰及び尻の位置に配設されている前記発熱体は、その他の位置に配設されている前記発熱体と比べて最小発熱量の継続時間が長いことを要旨とする。
また、前記制御部は、最小発熱量とする発熱体の発熱量を最小発熱量とする直前の所定時間において増加させる場合は、その発熱体の部位をわずかに温度上昇させた後に下降させるため、着座者は最小発熱量となったときの変化をより刺激的に体感することができ、着座者の爽快なリフレッシュ感を増すことができる。
また、熱がこもり易い部位の発熱体に対して、最小発熱量をより小さくすることにより、肩から腿までの全体にわたる温熱サイクルの時間を変えることなく、効果的な温熱ゆらぎが得られ着座者に爽快なリフレッシュ感を与えることができる。
前記第1又は第2発明において、前記3以上の発熱体は、着座者の肩、背中、腰、尻及び腿に対応する前記シートの各位置に配設されている発熱体を含み、少なくとも腰及び尻の位置に配設されている発熱体は、その他の位置に配設されている発熱体と比べて最小発熱量の継続時間が長い場合は、その各部位を最小発熱部が流れるように移動するため、着座者の肩から腿までの各部位に対して温熱ゆらぎを与え、爽快なリフレッシュ効果を奏することができる。
また、熱がこもり易い部位の発熱体に対して、最小発熱量の継続時間が長いため、肩から腿までの全体にわたる温熱サイクルの時間を変えることなく、効果的な温熱ゆらぎが得られ着座者に爽快なリフレッシュ感を与えることができる。
以下、図1〜9を参照しながら本発明のシートヒータを詳しく説明する。
本シートヒータは、シートの異なる位置に配設された3以上の発熱体と、発熱体ごとに通電を制御する制御部と、を備える。本シートヒータが設けられるシートは特に限定されず、例えば、車両用シート、室内用シートのような様々なシートが挙げられる。
図1は、本シートヒータを設けた車両用シートの例を示す。車両用シート2は、背もたれ部21と座面部22からなっている。シートヒータ1は、シート2の異なる位置の表層に配設された発熱体31〜35、及び各発熱体と接続された制御部4を備えている。本例においては5つの発熱体を備え、着座者の肩、背、腰、尻及び腿の各部位に対応するシートの各位置に、肩部発熱体31、背部発熱体32、腰部発熱体33、尻部発熱体34及び腿部発熱体35が設けられている。各発熱体31〜35は、制御部4によりそれぞれ独立して通電が制御され、それによって発熱量が変化する。
前記3以上の発熱体は、着座者の肩、背、腰、尻及び腿の各部位に対応する上記発熱体31〜35を含むものとすることができる。更に、図1においては、肩部から膝部の5つに区分してそれぞれ発熱体が配設されているが、この区分に限られず任意の範囲で分割することができる。例えば、肩部から膝部までを6以上に分割してそれぞれ発熱体を設けてもよい。発熱体の数を増やすことによって、発熱体ごとの発熱量の変化を細やかにし、最小発熱領域の移動をなめらかにすることができる。また、シートを左右方向に区画して発熱体を設けてもよい。例えば、上記肩部を左右に分けて2つの発熱体を備えるようにしてもよい。
制御部4はハードウェアのみで構成されてもよいし、マイクロプロセッサ等を使用してハードウェアとソフトウェアとによって構成されてもよい。制御部4及び各発熱体用の電源は、例えば車両のバッテリから給電を受ける電源5により供給される。
シート上の部位ごとに、各発熱体を通常に発熱させる発熱量を基準発熱量として定めておくことができる。同じ発熱量であっても部位によって着座者の温熱感が相違し、また部位によって発熱体と着座者との間の熱のこもり方や蒸れの程度が異なるからである。発熱体ごとに基準発熱量を設定することによって、着座者の身体の各部位を適度に温めるようにすることができる。
各発熱体の基準発熱量は、発熱体ごとの最大発熱量や配設構造等によって適宜に設定されればよい。温熱ゆらぎの制御をしないときには、各部位の発熱体を基準発熱量の発熱に制御することができる。
発熱体のうちの少なくとも1つを所定時間最小発熱量とするように通電し、その最小発熱量とする発熱体を配設位置の順に切り替える制御(温熱ゆらぎ制御)方法は、種々のパターンで設定することができる。温熱ゆらぎ制御を行わないときは、各発熱体をそれぞれの基準発熱量としておくことができる。そして温熱ゆらぎ制御を行うときには、例えば、所定時間ごとに、最小発熱量とする発熱体を肩部(発熱体31)から膝部(発熱体35)に向けて順番に切り替えたり、逆向きに切り替えたり、循環するように切り替えたりすることができる。
上記所定時間、すなわち発熱体の発熱量を変化させるタイミングは適宜に設定することができ、一定の時間ごとに発熱量を変更してもよいし、発熱体の部位によって異なる時間で発熱量を変更してもよい。また、温熱ゆらぎ制御開始後の経過時間やシート表層の温度、室温等によって異なる時間に設定されたり変更されたりしてもよい。
本シートヒータ1は、着座者に適切にリフレッシュ感を与えるように制御されればよく、例えば、以下に説明する各制御方法、又はそれらを組み合わせたものとすることができる。以下の制御方法では、シートに設けられた全ての発熱体に対して温熱ゆらぎ制御を行っているが、一部の範囲の発熱体(例えば、シートの背もたれ部に設けられた複数の発熱体)のみを対象として、同様の温熱ゆらぎ制御を行ってもよい。
更に、本シートヒータの制御方法を任意の条件で使用することができる。例えば、通電後一定時間は各発熱体を所定の温度を保つように発熱制御し、その後スイッチを用いて一定時間本シートヒータの制御方法を用いることにより、温熱ゆらぎによる効果をよりはっきりと体感することができる。また、シート等に設けられる温度センサ及び湿度センサ等によりシートの蒸れ等を検出する間、本シートヒータの制御方法を用いることにより、温熱ゆらぎによる効果をよりはっきりと体感することができる。
図2は、図1に示したシートの温熱ゆらぎ制御例を示す。肩部、背部、腰部、尻部及び腿部は、それぞれ着座者の当該部位に相対する発熱体31、32、33、34及び35を表わし、ステップS1〜S5は、所定時間(例えば、5〜20秒)ごとに順次行う発熱量の制御を表わしている。ステップS1〜S5の各継続時間(期間)は、同じであってもよいし異なっていてもよい。
図表中のB、D及びEは各発熱体の発熱量を表わし、「B」は基準発熱量としている状態、「D」は第1の最小発熱量(例えば、最大発熱量の10%)としている状態、「E」は第1の最小発熱量よりも小さい第2の最小発熱量(例えば、発熱量が0)としている状態を示している。前記のとおり、基準発熱量Bは発熱体ごとに異なる値とすることができる。発熱体によって最小発熱量をD及びEの2レベルとしているのは、部位に応じて温度降下による体感が着座者に対して刺激的に与えられるようにするためである。本例では、腰部発熱体33及び尻部発熱体34の最小発熱量を他の部位の最小発熱量よりも一段と小さくすることにより、熱がこもり易い腰部及び尻部の温度降下を大きくしている。
各発熱体の発熱量は制御部4によりPWM制御されるものとし、図3(a)〜(e)の各縦軸はPWMのデューティ比(百分率)を示している。各発熱体の発熱量は、PWMのデューティ比に略比例するものとすることができる。例えば、デューティ比が100%のとき発熱量は最大発熱量である100%となり、デューティ比が10%のとき発熱量は10%となるものとする。
図3中に示すように、各発熱体31〜35の発熱量は、基準発熱量B、第1の最小発熱量D、及び第2の最小発熱量Eの3つの状態に制御されている。基準発熱量Bは発熱体ごとに設定されており、肩部(a)及び尻部(d)はデューティ比60%、背部(b)及び腰部(c)はデューティ比40%、腿部(e)はデューティ比70%とされている。また、第1の最小発熱量Dはデューティ比10%、第2の最小発熱量Eはデューティ比0%すなわち通電しない状態としている。
次のステップS2(15秒間)には、肩部発熱体31に隣接する背部発熱体32のみが第1の最小発熱量Dとされ、それ以外の発熱体はそれぞれの基準発熱量Bとされる。これにより、着座者には相対的な冷感が肩部から背部に移動したように体感させることができる。
続くステップS3(15秒間)には、背部発熱体32に隣接する腰部発熱体33のみが第2の最小発熱量Eとされ、それ以外の発熱体はそれぞれの基準発熱量Bとされる。これにより、着座者には相対的な冷感が背部から腰部に移動したように体感させることができる。また、熱がこもり易い腰部は一段と低い第2の最小発熱量Eとされているため、温度降下の刺激を強めることができる。
続くステップS4(15秒間)には、腰部発熱体33に隣接する尻部発熱体34のみが第2の最小発熱量Eとされ、それ以外の発熱体はそれぞれの基準発熱量Bとされる。これにより、着座者には相対的な冷感が腰部から尻部に移動したように体感させることができる。熱がこもり易い尻部は、基準発熱量B(デューティ比60%)と第2の最小発熱量E(デューティ比0%)との差を大きくしているため、冷感を強く与えることができる。
続くステップS5(15秒間)には、尻部発熱体34に隣接する腿部発熱体35のみが第1の最小発熱量Dとされ、それ以外の発熱体はそれぞれの基準発熱量Bとされる。これにより、着座者には相対的な冷感が尻部から腿部に移動したように体感させることができる。腿部も基準発熱量B(デューティ比70%)と第1の最小発熱量D(デューティ比10%)との差を大きくしているため、冷感を強く与えることができる。
その後、最初のステップS1の状態に戻り、以後、これを繰り返して制御することができる。
制御部4は、上記のように発熱体により最小発熱量を変更してもよいし、発熱体の配設位置により、その発熱体を最小発熱量とする時間を変更するように制御してもよい。例えば、腰部の発熱体及び尻部の発熱体について最小発熱量とする時間を長くすることができる。ただし、腰部及び尻部をそれぞれ最小発熱量とする時間(図2に示したステップS3及びS4)を単に長くしたのでは、順次流れるようなリフレッシュ感が損なわれて、当該部位の温度低下を強く感じさせることとなってしまう。これを避けるためには、例えば図4に示すように、前後のステップを含めて最小発熱量とすることができる。
また、図4の制御の1サイクル(ステップS1〜S6)に要する時間を、図2に示した1サイクル(ステップS1〜S5)に要する時間と同じとすることも可能である。このような制御により、1サイクルの時間を変えないで、且つ各発熱体に対するデューティ比を変更することなく、温熱のこもりがちな部位に効果的に冷感を与えるとともに、流れるような爽快感を与えることが可能になる。
図6に示す制御方法は、上記制御方法1と2とを組み合わせたものであり、制御方法2において腰部及び尻部を所定時間第1の最小発熱量Dとしていたのを、1段と小さい第2の最小発熱量Eとする例である。制御方法1と同様に、第2の最小発熱量を0%すなわち通電しない状態にすれば、所定時間、腰部及び尻部の温度を制御方法2の場合に比べて大きく低下させることができ、当該部位の熱こもりが大きい場合に、より効果的に蒸れを抑制することができる。
図7に示す制御方法は、制御方法2を基に、各発熱体を最小発熱量とする直前に一旦発熱量を増すように制御する例である。図中「A」は、それぞれの発熱体の発熱量を基準発熱量Bよりも増した状態を表わす。発熱量を増す程度は適宜設定されればよく、例えば、基準発熱量から最大発熱量の10%程度増加させた値とすることができる。このように、一旦発熱量をわずかに増加させた後にその発熱体を最小発熱量とすることによって、着座者には温度降下が刺激的に体感されるようになるため、より効果的にリフレッシュ感を与えることができる。
図9は、本シートヒータにより温熱ゆらぎ制御を行った結果を表わす図である。図の横軸は前記シートヒータ1に通電を開始してからの時間を表わしている。図中で、温度Pは、着座者の尻部に当たるシート部位の表面温度の計測値を表わしている(左側目盛を参照。)。また、階段状に変化している評価値Qは、着座した被験者による体感の評価を1分ことに記録したものである(右側目盛を参照。)。体感は、冷たい(1)、やや冷たい(2)、やや暖かい(3)、やや熱い(4)、熱い(5)の5段階で評価しており、評価値3.5が快適と感じられる状態である。本例の温熱ゆらぎ制御は、前記制御方法2を繰り返し行う制御としている。
シートの尻部の温度は、発熱体に電流を流し始めてから急速に上昇し、10分経過するまでに30℃以上となるため、着座者にはやや熱いと感じられる(評価値3.75)。しかし20分から45分経過時までは、シート温度が緩やかに38℃程度まで上昇するため、着座者が快適と評価する状態が続く。更にシート温度が上昇すると、着座者は「熱い」と感じるようになる。60分経過時にはシート温度が39.1℃になっていた。
温熱ゆらぎ制御の開始から5分後には、シートの尻部の温度が38.0℃であった。すなわち、温熱ゆらぎ制御による温度降下(p)は1.1℃に止まっている。本シートヒータの温熱ゆらぎ制御によるシート温度の低下はわずかであるため、着座者が得る温熱感は保たれることとなる。図9では尻部の温度の計測値を示したが、その他の部位においても、温熱ゆらぎ制御による温度降下は1.1〜1.3℃であった。
以上の結果から、本シートヒータは、シート各部位にわたり温熱感を保ったまま、着座者に爽快感を与えるリフレッシュ効果を奏することができるといえる。
以上の説明では、発熱体が肩部、背部、腰部、尻部及び腿部に設けられる場合を挙げたが、発熱体の数や配設位置はこれに限らない。また、発熱体を設ける場所はシートのみに限られず、例えば、ふくらはぎや足の裏等を載せる足載せ台に発熱体を設け、シートに設けた発熱体とあわせて温熱ゆらぎ制御を行うことができる。更に、温熱ゆらぎ制御の対象は、シートに設けたすべての発熱体であってもよいし、その一部であってもよい。
温熱ゆらぎの制御方法として制御方法1〜4を例示したが、これらを種々に変形し又は組み合わせた制御方法とすることができる。最小発熱量とする発熱体は、配設位置の順に巡回するように切り替えるほか、一端と他端を往復するように切り替えてもよい。温熱ゆらぎの制御の開始及び終了時期や、1つの発熱体を最小発熱量とする時間等は、適宜に設定したり調整したりすることができる。
Claims (4)
- シートの異なる位置に配設された3以上の発熱体と、前記発熱体ごとに通電を制御する制御部と、を備え、
前記発熱体ごとに基準発熱量及び最小発熱量が定められ、
前記最小発熱量として、前記発熱体の配設位置に応じて、前記基準発熱量に対して小さい第1の最小発熱量又はそれよりも一段と小さい第2の最小発熱量が設定されており、
前記制御部は、前記発熱体のうちの少なくとも1つを、所定時間、設定された前記最小発熱量とするように通電し、且つ前記最小発熱量とする前記発熱体を着座者の肩部と膝部とを通る方向の順に又は循環するように切り替えることを特徴とするシートヒータ。 - 前記制御部は、前記最小発熱量とする前記発熱体について前記最小発熱量とする直前の発熱量を所定時間増加させる請求項1に記載のシートヒータ。
- 前記3以上の発熱体は、着座者の肩、背中、腰、尻及び腿に対応する前記シートの各位置に配設されている発熱体を含み、
少なくとも腰及び尻の位置に配設されている前記発熱体は前記第2の最小発熱量が設定されており、その他の位置に配設されている前記発熱体は前記第1の最小発熱量が設定されている請求項1又は2に記載のシートヒータ。 - 前記3以上の発熱体は、着座者の肩、背中、腰、尻及び腿に対応する前記シートの各位置に配設されている発熱体を含み、
少なくとも腰及び尻の位置に配設されている前記発熱体は、その他の位置に配設されている前記発熱体と比べて最小発熱量の継続時間が長い請求項1又は2に記載のシートヒータ。
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