JP5707962B2 - 障害物検知装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ光源から照射されたレーザ光を利用して障害物を検知する障害物検知装置に関する。
従来から、車載レーザレーダ等のように障害物を検知する装置としてレーザレーダ装置がある。また、このような車載レーザレーダは、追突防止や車間距離の確保、前方走行車への追従など、ドライバーの運転を補助する様々な用途として実車が期待されている。
一般的に、レーザ光を用いた障害物検知装置としては、近赤外波長のレーザ光を前方に照射し、その反射光を検出する反射方式が知られている。
そして、前方に障害物があると、検出器で検出できるレーザ光の反射率が変化するので、障害物が存在することを判断することが可能となる。
この際、レーザ光をポリゴンミラーなどの偏向素子で水平方向左右に走査すると、前方にある障害物の位置を特定できるために、レーダとして利用する方式がレーザレーダ装置として既に知られている。
レーザ光は、出射面を持つ筐体から照射されるが、この筐体表面の出射面や受光面に、汚れ、水滴、傷等が存在していると、前方障害物の検出感度低下や出斜面の反射率変化の要因となり、誤動作(誤検知)してしまう可能性がある。
そこで、このような誤検知要因となる汚れや水滴等を払拭し、できるだけクリアなレーザ光の照射(受光)を可能とする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上述した障害物検知装置にあっては、単にワイパー等で汚れや水滴等の擬似障害物を除去するだけなので、泥水等が乾燥した汚れや傷付き等への対応が不十分で、十分な検知機能の確保が難しいというのが実情である。
また、このような擬似障害物は、特に周辺環境が刻々と変化する自動車等にあっては、その付着状態はリアルタイムで大きく変化する可能性があるが、リアルタイム検出が困難であるという問題もあった。
そこで、本発明は、表面状態の検出を可能とし得て、しかも、障害物とレーザとの間に設けた出射面の表面状態をリアルタイムに検出することができ、その表面状態に対応したレーザ光を照射することを可能とする障害物検知装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の障害物検知装置は、レーザ光を照射するレーザ光源と、前記レーザ光源を制御するレーザ駆動部と、供給される電圧に応じた偏向角にレーザ光を偏向するビーム偏向素子と、前記ビーム偏向素子に電圧を供給する電圧制御部と、前記ビーム偏向素子により偏向されたレーザ光を透過して出射する出射面と、前記出射面から出射されたレーザ光の反射光を受光する第1の検出器と、前記ビーム偏向素子により偏向されたレーザ光の一部を前記出射面に照射する反射光学系と、前記反射光学系により照射されたレーザ光が前記出射面で反射した反射光を受光する第2の検出器と、前記第1の検出器が受光する反射光および、当該反射光のレーザ光が前記ビーム偏向素子で偏向された際の偏向角に基づいて、当該偏向角によって分割される前記出射面上の領域の先に障害物があるか否かを判断する障害物検知手段と、前記第2の検出器が受光する反射光および、当該反射光のレーザ光が前記ビーム偏向素子で偏向された際の偏向角に基づいて、当該偏向角によって分割される前記出射面上の領域の表面に疑似障害物があるか否かを判断する疑似障害物検知手段と、を備え、前記障害物検知手段は、前記疑似障害物検知手段により前記出射面上の所定の領域の表面に疑似障害物があるか否かを判断した後に続けて、前記所定の領域の先に障害物があるか否かを判断することを特徴とする。
本発明によれば、表面状態の検出を可能とし得て、しかも、障害物とレーザとの間に設けた出射面の表面状態をリアルタイムに検出することができ、その表面状態に対応したレーザ光を照射することを可能とすることができる。
本発明の一実施形態に係る障害物検知装置の全体構成の説明図である。 本発明の一実施形態に係る障害物検知装置を示し、光導波路型のビーム偏向素子の印加電圧と偏向角との関係を示すグラフ図である。 本発明の一実施形態に係る障害物検知装置を示し、(A)は駆動電圧とスキャン角度との関係を模式的に示すグラフ図、(B)は出射面の状態観察を10分割した場合の駆動電圧の時間変化の一例を示したグラフ図、(C)は出射面の状態観察を10分割した場合の表面状態の時間変化の一例を示したグラフ図である。 本発明の第1の実施形態に係る障害物検知装置の要部の説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る障害物検知装置の要部の説明図である。 本発明の第3の実施形態に係る障害物検知装置の要部の説明図である。
次に、本発明の一実施形態に係る障害物検知装置について、図面を参照して説明する。本発明の障害物検知装置は、レーザレーダ装置に関して、レーザ光が透過する出射面の表面状態を計測しながら、レーザ光を障害物に照射するときのレーザ光の偏向素子駆動に際して、以下の特徴を有する。要するに、本発明は、光を走査する部分に電気的な駆動による任意方向スキャナを用い、その電気的な駆動をさせるために電圧制御部を設け、レーザ光の一部を出射面の表面状態計測に用いるための光学系を有し、駆動電圧を細かく設定することにより表面状態を計測しながら、表面状態に対応させたレーザ光を照射することが特徴になっている。
尚、以下に示す実施例は本発明の障害物検知装置における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。また、以下に示す実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下に示す実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
(第1の実施形態)
図1は本発明の一実施形態に係る障害物検知装置の全体構成の説明図である。
図1において、障害物検知装置1は、レーザ光を照射するレーザ光源2、レーザ光源2からレーザ光を照射させるレーザ駆動部3、レーザ光源2から照射されたレーザ光を偏向するビーム偏向素子4、レーザ駆動部3に電源供給してレーザ光のパワーを制御する電圧制御部5、障害物検知装置1の全般を制御するコントロール部6、検出器7,8、出射面9、受光面10、光学系である反射ミラー11,12,13、光学レンズ(結像レンズ)14,15を備えている。
ここで、レーザ光源2から照射されたレーザ光は、ビーム偏向素子4から出射面9を透過する。そして、図示しない障害物で反射された反射光は、受光面10を透過し、検出器7に結像される。
一方、ビーム偏向素子4から照射されたレーザ光の一部は、反射ミラー11,12,13にこの順で反射された後、出射面9で内面反射(擬似障害物22で反射)され、光学レンズ15に集光されて検出器8に結像される。
レーザ光源2は、波長が0.8μmから1.3μmの間の近赤外光を出力し、例えば、半導体レーザや固体レーザなどを用いる。本実施の形態においては、小型化が容易である半導体レーザを用いる。レーザ出力はピークパワーで数10Wを出力できるように設計された活性層を有し、ここではひとつしか記載していないが、出力を大きくするために数個をまとめて出力できるように光軸調整して配置しても良い。
レーザ駆動部3は、レーザ光源2の出力を調整することができる電子素子であり、時間に対して出力をオンまたはオフにしたり、出力パワーを調整することができる。
ビーム偏向素子4は、電気光学効果を利用した偏向素子である。具体的には、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムなどの強誘電性結晶に分極反転技術を用いてプリズム型の分極ドメインを形成し、結晶軸に沿って電界がかかるようにバッファ層と電極を形成している。この際、分極ドメインは必ずしも形成する必要はなく、電極をプリズム型に形成することでも屈折率分布を形成することが可能であるので、同様に偏向素子を形成することができる。ただし、分極ドメイン形成のほうが偏向角を大きく取れるので好ましい。また、ビーム偏向素子4としての強誘電性結晶の厚みは300μmから10μmであればよい。ただし、結晶厚が厚いと電界を十分に与えるためには印加電圧が大きくなるので、低消費電力動作のためには、結晶厚は薄い方が好ましい。ここでは、ビーム偏向素子4には、ニオブ酸リチウム基板にプリズム型分極ドメインを形成し、二酸化シリコン(SiO2)によるバッファ層と金属による電極層とを薄膜形成技術で形成し、この基板と支持基板とを接着剤により張り合わせた後に、研磨などの薄膜化技術によりニオブ酸リチウムを20μmまで薄くした光導波路形状を用いている。
図2は、光導波路型のビーム偏向素子4の印加電圧と偏向角の関係を示す。本発明によれば、電圧が大きくなるにつれて線形に偏向角も大きくすることができる。さらに、上述したように、10μm程度にまで薄膜化した結晶膜を用いているために、最大偏向角を得るための電圧も、150V程度と低電圧で駆動させることができていることがわかる。これが基板結晶厚の300μm程度の厚みで駆動させるためには30倍の電圧を必要とし、複雑な電圧源を必要とするし、消費電力も大きくなってしまう。
この光走査素子の特長は、電圧と偏向角が一対一対応している点であり、任意電圧を印加することで、任意偏向角を実現できる点である。つまり、偏向角と偏向周波数とを電圧源によってのみ決定させることができる。このような駆動は、ポリゴンミラーなどの機械的な光走査素子では不可能であり、本発明の効果を実現するためには、この電気光学効果を用いたビーム偏向素子4を用いる必要がある。
このように形成されたビーム偏向素子4の解像点数は、入力されるビーム径になどにも依存するが、現実的な値として100〜300点程度であり、駆動周波数は電圧に依存するが100kHz程度である。したがって、車載用レーザレーダの障害物検知装置として使用するための解像点数と偏向周波数は十分に満足させることができる。
電圧制御部5は電圧を発生させ、その電圧の周波数を変化させることができる電子部品で構成されている。上述のようにビーム偏向素子4は任意の周波数に対して複雑な偏向をさせることが可能となるので、100kHz程度までであれば、柔軟な偏向を確保することが可能となる。たとえば、100Hzで電圧を変化させていたところを、局所的に10kHzで電圧を変化させることも可能である。さらに、光導波路型のビーム偏向素子4を採用しているために、比較的低電圧での駆動が可能であるので、柔軟な電子回路設計でこの電圧制御部5を形成することができる。
次に、本発明の障害物検知装置の駆動方法を詳細に説明する。
上述した光学系を収納した筐体21の前面には、レーザ光の出射面9が設けられている。そして、この出射面9に、塵やほこり、水滴などの擬似障害物22が付着すると、ビーム偏向素子4でスキャンされたビームがその擬似障害物22に当たることでレーザパワーが変化し、検出する必要がある障害物を正確に判定することが困難となる。そこで、この擬似障害物22が付着したかどうかを判定するために、ビーム偏向素子4の解像点の一部を擬似障害物22検知に利用する。
たとえば、ビームの解像点数の10%を表面状態の検知に用いると仮定した駆動方法を図3を用いて、詳細に説明する。
今、解像点数が100点であるとした場合は、そのうちの10点程度を出射面9の状態観測に用いるので、出射面9は10の領域に分割され、その反射状態が観測される。尚、出射面9をどの程度の領域(数)で分割するかは、どの程度精密に観測するかに依存する。
図3(A)に駆動電圧とスキャン角度の関係を模式的に示す。電圧Vp1,Vp2,Vs1,Vs2に対して、スキャン角度をθp1,θp2,θs1,θs2とする。解像点数の10%を割り当てると仮定したとき、出射面9の観測に利用する角度をθp1からθp2に対応させると、
(θp2−θp1)/(θs1−θs2)=1/10 …式1
となるように角度設定する。
ここで、角度と電圧は線形に対応するので、角度に対する電圧の比率も式1と同様になる。角度に対して電圧は一対一の比率で対応するので、電圧駆動を以下で示す。
まず、電圧をVp1からVp1+dV変化させる。ここで、
dV=(Vp2−Vp1)/10 …式2
である。この電圧を印加したとき、偏向角はθp1からθp1+dθに変化する。
θp1からθp2に対応する偏向角でのビームは、図1に示す反射ミラー群11,12,13によって反射され、出射面9に浅く入射させる。これは、障害物検知を行う方向とは全く違った角度にレーザ光を照射させるためと、出射面9での反射率を高める効果を同時に実現するためである。
そして、出射面9で反射されたレーザ光は、光学レンズ15を介して検出器8で検出される。検出器8は、光ビームが走査され、その反射率の変化を観察することにより、表面状態を把握することが可能となる。
たとえば、反射率が急激に上下するとその部分での屈折率や反射率の変化が起こったことがわかり、擬似障害物22の検出が可能である。また、擬似障害物22の位置も特定することが可能となる。
表面の観測後、電圧をVsからVs+dVsに変化させることで、今度は障害物検知をさせるレーザ光を出力する。障害物検知のために照射されたレーザ光は擬似障害物22に当たると散乱され、その散乱光が受光面10、光学レンズ14を介して検出器7で検出される。この検出器7での出力変化から擬似障害物22の障害物検知が可能となる。
以上のような動作を電圧Vp2まで繰り返して表面状態を計測し、Vs2に対応する偏向角をスキャンすることで、出射面9の表面状態を計測しながら、前方の障害物検知をすることが可能となる。
仮に出射面9に擬似障害物22があることが事前にわかっていれば、その部分に対応した偏向角の出力に異常があったとしても、誤認知を回避することが可能となる。このような判断はコントロール部6で制御することができる。検出器7,8とレーザ駆動部3、電圧制御部5はコントロール部6と接続されている。検出器7と検出器8との信号を比較することで、出射面9での擬似障害物22の影響かを判断して、誤認知防止に役立てることができる。
図3(B)には、駆動電圧の時間変化の一例を示している。出射面9の状態観察を10分割して観測している。
まず、Vp1からVp1+dVを印加して、表面状態を計測する。その後Vs1からVs−V0まで変化させることで、表面状態を観測した部分を透過して前方障害物検知用のレーザ光を照射して、前方検知を行う。ここで、
V0=(Vs1−Vs2)/10 …式3
である。
その後、Vp1+dVからVp1+2dVまで電圧を変化させることで、再び表面状態を観測し、表面状態を把握してから、Vs−V0からVs−2V0まで電圧を印加することで、前方の障害物検知を行う。これをVp2,Vs2まで繰り返し行うことで、表面状態を観察した情報をフィードバックしながら、前方検知ができるようになる。
このような駆動によって、出射面9の領域を細かく分けて計測し、計測後すぐにレーザ光を擬似障害物22に照射することが可能となるので、出射面9の変化をリアルタイムに計測することが可能となる。
このような動作を可能とするためには、任意方向へ偏向させることができ、電圧に対して一対一の比率で対応させることが可能な本発明の電気光学効果を用いたビーム偏向素子4でなくては実現することができない。
尚、解像点数に余裕がある場合には、擬似障害物22への照射ビームひとつに対して、それが透過する出射面9の表面状態検出をするためのビームをひとつ対応させることも可能である。
先ほどの例であれば、解像点数が100であるので、そのうちの50点を前方の障害物検知に利用し、残りの50点を出射面9の表面状態検出に用いることができる。さらに、表面状態検出の直後に障害物検知のレーザ光照射を行うように、電圧制御することも十分に可能である。
また、異なる速度でスキャンすることも可能である。つまり、出射面9の表面状態観測では解像点数が1/10であるので、スキャンスピードを10倍にすることで、より高速に前方検知を行うことができる。
出射面9は、レーザからの距離が前方障害物までの距離と比較してきわめて短いので、レーザからの出力光強度をあまり必要としない。一方で、前方検知のレーザパワーは十分な強度が必要であるが、強いパワーを連続的に照射し続けると、レーザ光源2の故障確率が高くなる。そこで、図3(C)のように表面状態を観察しているときは、レーザパワーをPpとして、前方検知を行うときはレーザパワーをPsと変化させて照射させる。ここでPp<Psである。こうすることで、レーザ光源2の寿命を長くすることが可能となる。また水滴のように反射率を変化させてしまうが、極端な変化を起こさない擬似障害物22を検知したときなどは、レーザ光源2のパワーを強くして前方障害物検知を行うように調整することで、誤認知を抑制することも可能となる。
より詳しく説明すると、図3(c)で、時間t1から時間t2の間に散乱光の変化が起こり、その散乱光変化がレーザパワーの制御で回避できる擬似障害物22であると判断できたときには、時間t2から時間t3のように擬似障害物22の部分だけパワーを強くすることで、他の時間との差異を少なくし、誤認知を避けるように駆動させることも可能となる。このようなフィードバックのために、レーザ駆動部3もコントロール部6と接続されている。
さらに、経時的(リアルタイム)な汚れの変化に対して逐次対応させることが可能となるので、より正確な検出光検知が可能となる。
このような構成により、例えば、雨天走行時の出射面9に当たる雨滴が多くなると表面状態の変化が激しくなり、雨滴検知の精度を上げることができる。また、水による表面状態のムラに対しても対応することが可能となる。もちろん、泥水等のようなあまりにひどい汚れであれば、出射面9の清掃をする必要があるが、雨滴などのある程度レーザ光を透過するような擬似障害物22であれば、レーザ光のパワーを調整することにより、頻繁な清掃などは必要としない。尚、泥はねのような場合、一般的なオンロード走行では、その後の雨水や走行風圧等によって除外されるが、そのまま乾燥して汚れとなった場合には、そのまま汚れと判定することができる。さらに、そのような汚れの発生は、清掃の必要がある旨を既存の車載電装品を利用した音声や画像による報知に利用することもできる。
(第2の実施形態)
図4から図6は本発明に係る障害物検知装置の実施例2を示す。第1の実施形態では、出射面9の表面状態(擬似障害物22)を計測するためにビーム偏向素子4の最大振れ角の一部を利用していたが、ビーム偏向素子4の最大振れ角は左右対称に存在するので、それらを利用することも可能である。即ち、この実施例2では、2つの表面検出光路を配置することによって、擬似障害物22の検出精度を向上し、信頼性をさらに向上することが可能となる。
図4から図6では、出射面9の表面状態を観測するために左右から出射面9にレーザ光を照射する構成を示した図である。尚、図4,図5,図6において、上記実施例1と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施形態では、実施例1の図1に示した、ビーム偏向素子4の図示左方への最大振れ角から、反射ミラー11,12,13、出射面9(擬似障害物22)、光学レンズ15、検出器8に至る検出光学系(光路を二点差線で示す)に加え、ビーム偏向素子4の図示右方への最大振れ角ら、反射ミラー31,32,33、出射面9(擬似障害物22)、光学レンズ35、検出器38に至る第2の検出光学系(光路を一点差線又は破線で示す)を備えているものである。
このように、わずかに照射位置をずらして出射面9の表面状態を観測することで、差分値などを計測することが可能となり、雑音特性にすぐれた観測をすることが可能となる。また、解像点数が少ない場合であっても、ビーム偏向素子4の左右からの照射の散乱光を計測することで、分解能をあげて測定することも可能となる。さらには、ビーム偏向素子4の左右からの照射により表面に付着している擬似障害物22の形状などが、ビーム偏向素子4の片側のみから照射した場合と比較して詳細に計測可能となる点もある。
図4に示した例では、反射ミラー11,12,13と反射ミラー31,32,33とを同一平面状に配置した略左右対称(ビーム偏向素子4の光路軸中心)の一例を図示したものである。
尚、完全な左右対称系であると、一部の光学系を同一平面状に配置することが難しいので、実際には、各光学部品の位置を若干調整程度にずらして同一平面上に配置している。
図5に示した例では、図4とは逆に、紙面奥行き方向にずらして(非同一平面)配置した構成例を示したものである。
図中の破線で示されている第2の検出光学系の各光学部品は、紙面奥行き方向にずらして配置してあることを示している。この場合、反射ミラー31,32,33の反射方向をわずかに奥行き方向に反射するように調整することで、このような光学部品の配置を実現することが可能である。このような配置であれば、略同一の光学部品を用いて、左右対称に配置することが可能となる。
図6に示した例では、左右の解像点数を用いるときに、左側半分と右側半分とをそれぞれ表面状態を観察するように振り分けたものである。図6の二点鎖線で示した検出光路は出射面9の図示左半分の状態を計測し、図6の一点鎖線で示した第2の検出光路は出射面9の図示右半分の状態を計測する。そして、これらの検出結果をそれぞれコントロール部6にフィードバックをかけるようにすることで、出射面9の表面状態観測と前方検知にそれぞれの解像点数を効果的に割り振ることが可能となる。
ここでは、2つの検出器8,38を用いて左右それぞれから反射されるレーザ光を検出しているが、光学部品の配置を工夫すれば、ひとつの検出器8(38)のみでの検出も可能である。
このように、本発明の障害物検知装置は、擬似障害物22の位置(存在)を特定すると共にその位置の変化をリアルタイムで検出することによって、表面状態に応じたレーザ光の出力を調整することが可能となり、信頼性の高いレーザレーダ装置を提供することが可能となる。
即ち、ポリゴンミラーなどの走査素子を用いると、レーザ光を全角度へ走査後、最後に表面状態を計測する必要があるために、リアルタイムで細かく擬似障害物21を検知することが困難となってしまうが、本発明では任意方向にレーザ光を走査できるビーム偏向素子4と、それを制御する電圧制御部5とを設けたことで、その最大振れ角付近のレーザ光を出射面9に導いて表面観察を行うことで高速に表面状態を計測しながら障害物へレーザ光を照射することが可能となる。
1 障害物検知装置
2 レーザ光源
3 レーザ駆動部
4 ビーム偏向素子
5 電圧制御部
6 コントロール部(制御部)
7 検出器
8 検出器
9 出射面
10 受光面
11 反射ミラー
12 反射ミラー
13 反射ミラー
特開2009−085920号公報

Claims (7)

  1. レーザ光を照射するレーザ光源と、
    前記レーザ光源を制御するレーザ駆動部と、
    供給される電圧に応じた偏向角にレーザ光を偏向するビーム偏向素子と、
    前記ビーム偏向素子に電圧を供給する電圧制御部と、
    前記ビーム偏向素子により偏向されたレーザ光を透過して出射する出射面と、
    前記出射面から出射されたレーザ光の反射光を受光する第1の検出器と、
    前記ビーム偏向素子により偏向されたレーザ光の一部を前記出射面に照射する反射光学系と、
    前記反射光学系により照射されたレーザ光が前記出射面で反射した反射光を受光する第2の検出器と、
    前記第1の検出器が受光する反射光および、当該反射光のレーザ光が前記ビーム偏向素子で偏向された際の偏向角に基づいて、当該偏向角によって分割される前記出射面上の領域の先に障害物があるか否かを判断する障害物検知手段と、
    前記第2の検出器が受光する反射光および、当該反射光のレーザ光が前記ビーム偏向素子で偏向された際の偏向角に基づいて、当該偏向角によって分割される前記出射面上の領域の表面に疑似障害物があるか否かを判断する疑似障害物検知手段と、
    を備え、
    前記障害物検知手段は、前記疑似障害物検知手段により前記出射面上の所定の領域の表面に疑似障害物があるか否かを判断した後に続けて、前記所定の領域の先に障害物があるか否かを判断することを特徴とする障害物検知装置。
  2. 前記レーザ駆動部は、前記疑似障害物検知手段による疑似障害物の検知の際に照射するレーザ光の出力光強度を、前記障害物検知手段による障害物の検知の際に照射するレーザ光の出力光強度よりも弱くすることを特徴とする請求項1に記載の障害物検知装置。
  3. 前記ビーム偏向素子には、電気光学結晶にプリズムドメインを形成したものを用いていることを特徴とする請求項1又は2に記載の障害物検知装置。
  4. 前記電気光学結晶は、ニオブ酸リチウム、酸化マグネシウム添加ニオブ酸リチウム、ニオブ酸タンタルの少なくとも一つを含む材料から形成されていることを特徴とする請求項に記載の障害物検知装置。
  5. 前記ビーム偏向素子は、前記ビーム偏向素子の最大振れ角付近で偏向されるレーザ光を、前記反射光学系に向けて照射することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の障害物検知装置。
  6. 前記ビーム偏向素子は、プラス側の最大振れ角付近とマイナス側の最大振れ角付近の両方の各一部の角度から照射されたレーザ光を、前記反射光学系に向けて照射することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の障害物検知装置。
  7. 前記反射光学系は、前記ビーム偏向素子のプラス側の最大振れ角付近のレーザ光と、前記ビーム偏向素子のマイナス側の最大振れ角付近のレーザ光とで、前記出射面を二分割した一方と他方とで別々に検出するように配置されていることを特徴とする請求項6に記載の障害物検知装置。
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