JP5707320B2 - ポリベンズオキサゾールフィルムの製造方法 - Google Patents

ポリベンズオキサゾールフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリベンズオキサゾールの前駆体である置換ポリアミド、およびその製造方法に関する。また、本発明は、かかる置換ポリアミドを用いたポリベンズオキサゾールフィルムの製造方法に関する。さらに、本発明は、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールおよびそのフィルムの製造方法に関する。
ポリベンズオキサゾールのフィルムは、その化学構造から、高強度・高弾性率、高耐熱性、寸法安定性を有することが期待され、これまでに種々の製造方法が提案されている。
ポリベンズオキサゾールフィルムの製造方法としては、例えばキャスト法によるもの(特許文献1)、およびブロー成形法による2軸延伸によるもの(特許文献2)が提案されている。
これらの従来の製造方法では、剛直性の分子構造のポリベンズオキサゾールを高濃度で溶解した光学異方性溶液からフィルムを製造するため、得られたフィルムは、この溶液の性質により、力学特性の異方性を強く示す。具体的には、このようにポリベンズオキサゾール溶液から直接製造されたフィルムは、縦方向(溶液が押し出され伸張された方向)および横方向(縦方向に対して直角な方向)の力学的特性のバランス、特に強度のバランスに劣るという問題があった。
かかる問題に対して、剛直な分子構造を有さない等方性の前駆体の溶液を使用して、力学的特性のバランスのとれたポリベンズオキサゾールフィルムを製造することも試みられている。例えば、特許文献3には、ポリベンズオキサゾールの前駆体の製造方法が提案され、この方法により得られた前駆体は、有機溶媒に容易に溶解し、この溶液から任意の形状に成形した後で、加熱閉環させることにより、所望の形状のポリベンズオキサゾールとすることができ、例えばフィルム状のポリベンズオキサゾールも製造することができると記載されている。
しかし、この特許文献3では、ポリベンズオキサゾールの前駆体の溶解性の試験やフィルムへの成形は全く行っておらず、実際、本発明者が行った実験によると、この前駆体は有機溶媒に対する溶解性が不足しており、フィルム成形のためのキャスト製膜を充分行うことができなかった。
一方、ポリベンズオキサゾールは、高強度・高弾性率、高耐熱性を有するため、磁気記録用フィルムや構造物表面の保護膜等の様々な分野で広く開発されている。しかし、ポリベンズオキサゾールは耐光性に劣り、太陽光に長期間暴露されると強度が低下するという欠点を有する。
この欠点を補うため、特許文献4では、ポリベンズオキサゾールフィルムにカーボンナノチューブを含有させることが提案されている。特許文献4の実施例では、ポリベンズオキサゾールを4,6−ジアミノレゾルシノールとテレフタル酸からポリリン酸中で直接重合する際にカーボンナノチューブを重合系に添加しておき、得られた重合ドープをそのまま製膜することにより、カーボンナノチューブを含有するポリベンズオキサゾールのフィルムを製造し、このフィルムが耐光性を有することを確認している。
しかし、本発明者が特許文献4の実施例を追試して詳細に分析したところ、得られたフィルムではカーボンナノチューブがバンドルを形成していたり、一部がいわゆるダマを形成していて分散が不十分であり、均一な耐光性を発揮することができなかった。また、カーボンナノチューブの添加により期待される他の利点として、強度や電気伝導性、熱伝導性の向上が挙げられるが、これらの特性についても、カーボンナノチューブの不十分な分散のため、実際には向上されていなかった。
米国特許第4487735号公報 米国特許第2898924号公報 特開平2−247225号公報 特開2003−327722号公報
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、有機溶媒に対する溶解性に優れ、縦方向および横方向での力学的特性(特に強度)のバランスのとれたポリベンズオキサゾールフィルムを容易に製造することができるポリベンズオキサゾールの前駆体、その製造方法、およびこの前駆体からポリベンズオキサゾールフィルムを製造する方法を提供することにある。また、本発明の目的は、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールおよびそのフィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、4,6−ジアミノレゾルシノールのシリル化物とテレフタル酸クロライドとを反応させて得られたポリアミド中の少なくとも一部のヒドロキシ基をtert−ブトキシカルボニル置換して得られるポリアミドがキャスト製膜に充分な溶解度を有し、この置換ポリアミドを使用すると、縦方向および横方向での力学的特性のバランスのとれたポリベンズオキサゾールフィルムを製造することができることを見出した。また、本発明者は、ポリベンズオキサゾールを直接重合し、その際にカーボンナノチューブを重合系に添加するのではなく、まずポリベンズオキサゾールの前駆体ポリアミドを合成し、このポリアミドから置換ポリアミドを製造し、この置換ポリアミドにカーボンナノチューブを添加して分散させ、その後で加熱閉環して置換ポリアミドをポリベンズオキサゾールに変換すると、ポリベンズオキサゾール中にカーボンナノチューブを均一に分散することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
即ち、本発明によれば、ポリベンズオキサゾールの前駆体である置換ポリアミドであって、前記ポリアミドがアミド基に対してオルト位にヒドロキシ基を有し、前記ヒドロキシ基の少なくとも一部がtert−ブトキシカルボニル基で置換されていることを特徴とする置換ポリアミドが提供される。
また、本発明によれば、以下の工程を含むことを特徴とする上述の置換ポリアミドの製造方法が提供される:
(i)シリル化4,6−ジアミノレゾルシノールとテレフタル酸クロライドとを反応させ、アミド基に対してオルト位にヒドロキシ基を有するポリアミドを合成する工程;および
(ii)合成されたポリアミド中の少なくとも一部のヒドロキシ基をtert−ブトキシカルボニル基で置換し、置換ポリアミドを得る工程。
また、本発明によれば、以下の工程を含むことを特徴とするポリベンズオキサゾールフィルムの製造方法が提供される:
(i)上述の置換ポリアミドを有機溶媒に溶解した溶液をキャストしてポリアミドフィルムを得る工程;および
(ii)このポリアミドフィルムを加熱して閉環し、ポリベンズオキサゾールフィルムを得る工程。
また、本発明によれば、以下の工程を含むことを特徴とする、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールの製造方法が提供される:
(i)上述の置換ポリアミドを有機溶媒に溶解した溶液にカーボンナノチューブを添加し、カーボンナノチューブを分散させて分散液を調製する工程;および
(ii)この分散液を加熱して閉環し、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールを得る工程。
また、本発明によれば、以下の工程を含むことを特徴とする、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールフィルムの製造方法が提供される:
(i)上述の置換ポリアミドを有機溶媒に溶解した溶液にカーボンナノチューブを添加し、カーボンナノチューブを分散させて分散液を調製する工程;
(ii)この分散液をキャストして、カーボンナノチューブを均一に分散したポリアミドフィルムを得る工程;および
(iii)このポリアミドフィルムを加熱して閉環し、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールフィルムを得る工程。
本発明のポリベンズオキサゾールの前駆体である置換ポリアミドは、そのヒドロキシ基の少なくとも一部がtert−ブトキシカルボニル基で置換されているため、有機溶媒に対する溶解度が高く、この置換ポリアミドの有機溶媒溶液を使用してキャスト製膜すれば、フィルムの縦方向および横方向での力学的特性(特に強度)のバランスのとれたポリベンズオキサゾールフィルムを容易に得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、ポリベンズオキサゾールの前駆体である置換ポリアミドの段階でカーボンナノチューブを添加するため、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールおよびそのフィルムを容易に得ることができる。
参考例で製造したN,N’,O,O’−テトラ(トリメチルシリル)−4,6−ジアミノレゾルシノールの赤外吸収スペクトルを示す。 参考例で製造したN,N’,O,O’−テトラ(トリメチルシリル)−4,6−ジアミノレゾルシノールのH−NMRスペクトルを示す。 実施例1で製造したポリアミドの赤外吸収スペクトルを示す。 実施例1で製造したtert−ブトキシカルボニル置換ポリアミドの赤外吸収スペクトルを示す。 実施例1で製造したtert−ブトキシカルボニル置換ポリアミドのH−NMRスペクトルを示す。 実施例3で製造したポリベンズオキサゾールフィルムの赤外吸収スペクトルを示す。 実施例3で使用したキャスト用溶液のTGAチャートを示す。 実施例4で製造したポリベンズオキサゾールフィルムの赤外吸収スペクトルを示す。 実施例4で使用したキャスト用溶液のTGAチャートを示す。 実施例4で使用したキャスト用溶液の可視−近赤外吸収スペクトルを示す。 実施例4で使用したキャスト用溶液の可視−近赤外蛍光2次元スペクトルを示す。
まず、本発明の置換ポリアミドを説明する。本発明の置換ポリアミドは、ポリベンズオキサゾールの前駆体であり、前記ポリアミドがアミド基に対してオルト位にヒドロキシ基を有し、前記ヒドロキシ基の少なくとも一部がtert−ブトキシカルボニル基で置換されていることを特徴とする。本発明の置換ポリアミドは、そのヒドロキシ基の少なくとも一部がtert−ブトキシカルボニル基で置換されているため、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等の汎用有機溶媒に対する溶解度が高く、容易にこれらの有機溶媒に溶解してキャスト製膜することができる。
本発明の置換ポリアミドにおいて、tert−ブトキシカルボニル基は、保護基に相当するが、本発明では、この保護基がtert−ブトキシカルボニル基であることが重要である。tert−ブトキシカルボニル基以外の保護基、例えば、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等では、これらの基をポリアミドの水酸基へ置換しようとすると、水酸化ナトリウム等が存在する塩基性条件下で、相当するハロゲン化物を反応させることになるが、この場合、ポリアミドの溶解性が低いため、およびアミド基部位での加水分解等が起こるため、置換反応を行うことは容易ではない。また、仮に置換できたとしても、脱保護基の反応は、パラジウムカーボンや強酸の存在下で行わざるを得ないため、ポリアミドの状態で製膜して脱保護を行った後、ポリアミドからポリベンズオキサゾールへの閉環反応を行う本発明の方法にはそぐわない。一方、保護基がtert−ブトキシカルボニル基であれば、ポリアミドの水酸基への置換が容易で、かつポリアミドからポリベンズオキサゾールへの閉環反応時にtert−ブトキシカルボニル基が比較的容易に外れるため、閉環反応が十分に進行する。
本発明の置換ポリアミドは、以下の工程を含む製造方法によって製造される:
(i)シリル化4,6−ジアミノレゾルシノールとテレフタル酸クロライドとを反応させ、アミド基に対してオルト位にヒドロキシ基を有するポリアミドを合成する工程;および
(ii)合成されたポリアミド中の少なくとも一部のヒドロキシ基をtert−ブトキシカルボニル基で置換し、置換ポリアミドを得る工程。
工程(i)で使用されるシリル化4,6−ジアミノレゾルシノールは、例えば市販の4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩を有機溶媒中でシリル化剤とともに加熱して反応させることによって得ることができる(以下の式1参照)。式1の反応終了後、減圧蒸留を行って目的のシリル化物を単離する。
式1の反応におけるシリル化剤としては、一般的なシリル化剤を使用することができ、具体的には、ヘキサメチルジシラザン、クロロトリメチルシラン、またはこれらの混合物を使用することができる。有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系の溶媒やテトラヒドロフラン、四塩化炭素等を脱水処理したものを使用することができる。反応温度は、通常80〜130℃である。反応時間は、通常1時間〜100時間である。1時間未満の場合、未反応物が多くなるおそれがあり、100時間より長い場合、生成物の分解が起こり収率が低下するおそれがある。
工程(i)で使用されるテレフタル酸クロライドは、例えばテレフタル酸とチオニルクロライドとを反応させることによって得ることができる(以下の式2参照)。
また、工程(i)のテレフタル酸クロライドは、市販品を使用しても良い。いずれの場合においても、高重合度のポリアミドを得るためには、有機溶媒から再結晶により精製することが望ましい。この有機溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等を使用することができる。
工程(i)では、上述のようにして調製したシリル化4,6−ジアミノレゾルシノールとテレフタル酸クロライドとを反応させ、アミド基に対してオルト位にヒドロキシ基を有するポリアミドを合成する(以下の式3参照)。この工程は、具体的には、シリル化4,6−ジアミノレゾルシノールとテレフタル酸クロライドを正確に等モル量仕込み、有機溶媒中で低温で反応させることにより行うことができる。
式3の反応における有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ピリジン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロロエタン等を脱水処理したものを使用することができる。反応温度は、使用する有機溶媒の種類により異なるが、通常60〜−10℃であり、好ましくは20〜−10℃である。反応時間は、通常1時間〜24時間であり、好ましくは1時間〜12時間である。
式3の反応終了後、所望により、反応液を大量のアルコール中へ滴下してポリアミドを沈殿させ、固体としてろ取し、アルコールで洗浄する。このアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等を使用することができる。
工程(i)の反応中または反応後処理中に、シリル基が脱離してしまうため、工程(i)で合成されたポリアミドは、有機溶媒に対する溶解性をほとんど有さない。従って、これを有機溶媒に溶解してキャスト製膜することはできない。そこで、一般的な有機溶媒に対する溶解度を上げるため、工程(ii)において、工程(i)で合成されたポリアミド中の少なくとも一部のヒドロキシ基をtert−ブトキシカルボニル基(t−Boc基とも称する)で置換し、置換ポリアミドを得る(以下の式4参照)。この工程は、具体的には、工程(i)で合成されたポリアミドと二炭酸ジ−tert−ブチルを有機溶媒中で塩基性物質の存在下で反応させることにより行うことができる。
式4の反応における有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ピリジン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、ベンゼン、ピリジン、アニソール等を使用することができる。塩基性物質としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、トリメチルアミン、アンモニア等を使用することができる。反応温度は、通常0〜50℃であり、好ましくは0〜35℃である。反応時間は、通常0.5時間〜50時間であり、好ましくは0.5時間〜30時間である。
式4の反応終了後、所望により、反応液を水またはアルコール中に滴下して置換ポリアミド沈殿させ、固体としてろ取し、水またはアルコールで良く洗浄して置換ポリアミドを精製する。このアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等を使用することができる。
上述の製造方法によって得られた本発明の置換ポリアミドから、以下の工程を含む製造方法によって本発明のポリベンズオキサゾールフィルムを製造することができる:
(i)本発明の置換ポリアミドを有機溶媒に溶解した溶液をキャストしてポリアミドフィルムを得る工程;および
(ii)このポリアミドフィルムを加熱して閉環し、ポリベンズオキサゾールフィルムを得る工程。
工程(i)における有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等の汎用有機溶媒を使用することができる。溶液中の置換ポリアミドの濃度は、キャスト製膜に適した濃度であれば特に限定されず、通常1mg/ml〜50mg/mlであり、好ましくは1mg/ml〜30mg/mlである。
キャストに使用される溶液は、精製した本発明の置換ポリアミドを有機溶媒に溶解することによって調製することもできるが、本発明の置換ポリアミドの製造方法においてtert−ブトキシカルボニル置換後に精製処理を行わないでおき、この置換反応後の反応液をそのまま、または必要によりさらに有機溶媒を添加して必要濃度に希釈して使用することもできる。後者の場合、工程が省略できて経済的であるという利点がある。なお、後者の場合、置換反応で使用する有機溶媒がそのままキャストに使用される溶液の溶媒になるため、この有機溶媒としては、ジメチルホルムアミドまたはN−メチル−2−ピロリドンを使用することが好ましい。
工程(i)では、このようにして調製された溶液をキャストしてポリアミドフィルムを得る。この工程は、従来公知のいかなる方法で行うこともでき、例えば、ガラス、フッ素系樹脂、アルミニウム、鉄、ステンレス等の素材からなる板、シート、フィルム等の基板に溶液をキャストして、常圧または減圧下で加熱して有機溶媒を除去する方法や、溶液をダイから押し出し、ロールまたはエンドレスベルトに引き取る方法を挙げることができる。
次に、このようにして得られたポリアミドフィルムを、工程(ii)において加熱して閉環し、ポリベンズオキサゾールフィルムを得る(以下の式5参照)。
工程(ii)において、加熱処理は、170〜400℃で行うことが好ましく、200〜400℃で行うことがより好ましい。加熱処理温度が前記上限より高いと、副反応が起こり、力学特性等が低下するおそれがある。また、加熱処理温度が前記下限より低いと、閉環反応が極めて遅くなり、目的のポリベンズオキサゾールフィルムが得られなくなるおそれがある。加熱処理の時間は、通常1分〜180分であり、好ましくは10分〜150分である。なお、加熱処理は、不活性気体の雰囲気で行う方が、副反応による力学特性等の低下が少なく、好ましい。
以上のようにして製造された本発明のポリベンズオキサゾールフィルムは、フィルムの縦方向と横方向の力学特性(特に強度)のバランスが良く、あらゆる方向からの引き裂きに対して高い抵抗力を有する。従って、本発明のポリベンズオキサゾールフィルムは、磁気記録用フィルム、電子回路基盤、電子部品実装用基材、複合材料補強材、構造物表面保護膜、宇宙船や航空機用の難燃耐熱電線被覆材料、高温容器の窓材、光学制御用材料等として幅広く利用することができる。
次に、本発明のカーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールの製造方法について説明する。
本発明のカーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールの製造方法は、以下の工程(i)〜(ii)を含むことを特徴とする:
(i)上述の置換ポリアミドを有機溶媒に溶解した溶液にカーボンナノチューブを添加し、カーボンナノチューブを分散させて分散液を調製する工程;および
(ii)この分散液を加熱して閉環し、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールを得る工程。
まず、工程(i)において、上述の置換ポリアミドを有機溶媒に溶解した溶液にカーボンナノチューブを添加し、カーボンナノチューブを分散させて分散液を調製する。
工程(i)における有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等の汎用有機溶媒を使用することができる。溶液中の置換ポリアミドの濃度は、後の成形に適した濃度であれば特に限定されず、通常1mg/ml〜50mg/mlであり、好ましくは1mg/ml〜30mg/mlである。
置換ポリアミドを有機溶媒に溶解した溶液は、精製した置換ポリアミドを有機溶媒に溶解することによって調製することもできるが、置換ポリアミドの製造においてtert−ブトキシカルボニル置換後に精製処理を行わないでおき、この置換反応後の反応液をそのまま、または必要によりさらに有機溶媒を添加して必要濃度に希釈して使用することもできる。後者の場合、工程が省略できて経済的であるという利点がある。なお、後者の場合、置換反応で使用する有機溶媒がそのまま工程(i)の溶液の溶媒になるため、この有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN−メチル−2−ピロリドンを使用することが好ましい。
次に、この溶液にカーボンナノチューブを添加し、カーボンナノチューブを分散させて分散液を調製する。カーボンナノチューブの添加量は、tert−ブトキシカルボニル基で置換する前のポリアミドに対して0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜1重量%であることがより好ましい。ここで用いられるカーボンナノチューブは、単層、二層、多層のいずれでも良い。また、カーボンナノチューブの直径は、0.5〜100nmであることが好ましく、0.7〜50nmであることがより好ましい。カーボンナノチューブの長さは、0.5〜200μmであることが好ましく、0.7〜150μmであることがより好ましい。カーボンナノチューブの分散は、例えば溶液に超音波を照射することにより行うことができる。超音波照射装置としては、バス型、プローブ型のどちらを用いても良い。
次に、このようにして調製した分散液を、必要により繊維形状などの所望の形状に成形した後、工程(ii)において加熱して閉環し、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールを得る(以下の式5参照)。
工程(ii)において、加熱処理は、170〜400℃で行うことが好ましく、200〜400℃で行うことがより好ましい。加熱処理温度が前記上限より高いと、副反応が起こり、力学特性等が低下するおそれがある。また、加熱処理温度が前記下限より低いと、閉環反応が極めて遅くなり、目的のポリベンズオキサゾールが得られなくなるおそれがある。加熱処理の時間は、通常1分〜180分であり、好ましくは10分〜150分である。なお、加熱処理は、不活性気体の雰囲気で行う方が、副反応による力学特性等の低下が少なく、好ましい。
以上のようにして、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールを容易に製造することができる。
次に、本発明のカーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールフィルムの製造方法について説明する。本発明のカーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールフィルムの製造方法は、以下の工程(i)〜(iii)を含むことを特徴とする:
(i)上述の置換ポリアミドを有機溶媒に溶解した溶液にカーボンナノチューブを添加し、カーボンナノチューブを分散させて分散液を調製する工程;
(ii)この分散液をキャストして、カーボンナノチューブを均一に分散したポリアミドフィルムを得る工程;および
(iii)このポリアミドフィルムを加熱して閉環し、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールフィルムを得る工程。
上記工程(i)〜(iii)のうち、工程(i)は、既に説明した本発明のポリベンズオキサゾールの製造方法と同一であるので、ここでは説明を省略する。
工程(ii)では、工程(i)で調製された分散液をキャストしてポリアミドフィルムを得る。この工程は、従来公知のいかなる方法で行うこともでき、例えば、ガラス、フッ素系樹脂、アルミニウム、鉄、ステンレス等の素材からなる板、シート、フィルム等の基板に分散液をキャストして、常圧または減圧下で加熱して有機溶媒を除去する方法や、分散液をダイから押し出し、ロールまたはエンドレスベルトに引き取る方法を挙げることができる。
次に、このようにして得られたポリアミドフィルムを、工程(iii)において加熱して閉環し、ポリベンズオキサゾールフィルムを得る(以下の式5参照)。
工程(iii)において、加熱処理は、170〜400℃で行うことが好ましく、200〜400℃で行うことがより好ましい。加熱処理温度が前記上限より高いと、副反応が起こり、力学特性等が低下するおそれがある。また、加熱処理温度が前記下限より低いと、閉環反応が極めて遅くなり、目的のポリベンズオキサゾールフィルムが得られなくなるおそれがある。加熱処理の時間は、通常1分〜180分であり、好ましくは10分〜150分である。なお、加熱処理は、不活性気体の雰囲気で行う方が、副反応による力学特性等の低下が少なく、好ましい。
以上のようにして、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールフィルムを容易に製造することができる。
このようにして製造されたポリベンズオキサゾールおよびそのフィルムは、カーボンナノチューブを均一に分散しているため、ポリベンズオキサゾールの欠点であった耐光性が向上され、さらには、強度や電気伝導性、熱伝導性も向上していると考えられる。従って、本発明の製造方法によって得られるポリベンズオキサゾールおよびそのフィルムは、磁気記録用フィルム、電子回路基盤、電子部品実装用基材、複合材料補強材、構造物表面保護膜、宇宙船や航空機用の難燃耐熱電線被覆材料、高温容器の窓材、光学制御用材料等として幅広く利用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、固有粘度、TGA,H−NMRおよび赤外吸収スペクトルはそれぞれ以下のようにして測定した。
(1)固有粘度
濃硫酸を溶媒としてポリマー濃度0.5g/dlの溶液を調製し、30℃で測定した。
(2)TGA
SII製のEXSTAR TG/DTA 6300を用いて、窒素雰囲気で昇温速度10℃/分の条件で熱重量減少を測定した。
(3)H−NMR
Bulker製のADVANCE 300MHzを用いて測定した。
(4)赤外吸収スペクトル
Nicolet製のPROTEGE 460Nを用いて測定した。
(5)可視−近赤外(vis−NIR)吸収スペクトル
JASCO製のV−570を用いて測定した。
(6)可視−近赤外蛍光スペクトル
HORIBA製のJobin Yvonを用いて励起光波長500〜850nm、検出波長900〜1400nmで測定した。
[参考例]
(1)N,N’,O,O’−テトラ(トリメチルシリル)−4,6−ジアミノレゾルシノールの製造
系中を乾燥窒素雰囲気下にしたのち、300ml二口フラスコに、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩20.0g(94.0mmol)、脱水処理したトルエン100ml、ヘキサメチルジシラザン100ml(370mmol)、およびクロロトリメチルシラン15ml(120mmol)を入れ、100℃で72時間反応させた。反応終了後、減圧下でトルエン、および過剰のヘキサメチルジシラザンとクロロトリメチルシランを除去し、減圧蒸留により精製した。N,N’,O,O’−テトラ(トリメチルシリル)−4,6−ジアミノレゾルシノールの生成は、赤外吸収スペクトル(図1)、およびH−NMRスペクトル(図2)により確認した。生成物の沸点は、146〜149℃/0.9mmHgであり、収量は、43.7g(87%)であった。
[実施例1]
tert−ブトキシカルボニル置換ポリアミドの製造(1)
(i)乾燥窒素雰囲気下、300ml三口フラスコ中に、参考例で製造したN,N’,O,O’−テトラ(トリメチルシリル)−4,6−ジアミノレゾルシノール4.29g(10mmol)、および脱水処理したN−メチル−2−ピロリドン20mlを加え、0℃で溶解させた。精製した市販のテレフタル酸クロライド2.03g(10mmol)を少しずつ加え、0℃で6時間反応させた。反応終了後、メタノール1000ml中に反応液を滴下し、沈殿物をろ取し、メタノール100mlで洗浄した。沈殿物の固有粘度ηincは、1.21dL/gであった。赤外吸収スペクトル(図3)により構造を同定し、ポリアミドの生成を確認した。
(ii)窒素雰囲気下の50ml二口フラスコに、(i)で合成したポリアミド0.48g(2mmol)、N−メチル−2−ピロリドン5ml、およびトリエチルアミン3ml(8mmol)を加えた。その後、二炭酸ジ−tert−ブチル1.09g(5mmol)を加え、4時間室温で攪拌した。反応終了後、反応液を水100ml中に滴下して沈澱物をろ取し、水20mlで洗浄した。赤外吸収スペクトル(図4)、およびH−NMRスペクトル(図5)により構造を同定し、tert−ブトキシカルボニル置換ポリアミドの生成を確認した。
[実施例2]
tert−ブトキシカルボニル置換ポリアミドの製造(2)
(i)乾燥窒素雰囲気下、300ml三口フラスコ中に、参考例で製造したN,N’,O,O’−テトラ(トリメチルシリル)−4,6−ジアミノレゾルシノール4.29g(10mmol)、および脱水処理したN−メチル−2−ピロリドン20mlを加え、0℃で溶解させた。精製した市販のテレフタル酸クロライド2.03g(10mmol)を少しずつ加え、0℃で6時間反応させた。
(ii)次に、この反応液にN−メチル−2−ピロリドン50mlを追加してさらに1時間攪拌した。この反応溶液にトリエチルアミン8.3ml(60mmol)、および二炭酸ジ−tert−ブチル9.2ml(40mmol)を加え、さらに24時間反応させた。反応終了後、メタノール1000ml中に反応液を滴下し、沈殿物をろ取し、メタノール100mlで洗浄し、tert−ブトキシカルボニル置換ポリアミドを得た。収量は、3.7g(83%)であった。
[実施例3]
ポリベンズオキサゾールフィルムの製造
(i)実施例2で製造したtert−ブトキシカルボニル置換ポリアミド0.5gをN−メチル−2−ピロリドン100mlに溶解させてキャスト用溶液を調製し、この溶液を5cm×5cmのアルミニウムプレート上にキャストした。その後、室温で24時間3mmHg、次いで100℃、200℃、300℃の各1時間3mmHgの環境下で溶媒を留去し、ポリアミドフィルムを得た。
(ii)次に、このポリアミドフィルムをプレートごと窒素気流下で360℃で30分間加熱してポリアミドをポリベンズオキサゾールへ転換させ、ポリベンズオキサゾールフィルムを得た。得られたフィルムの赤外吸収スペクトルを図6に示す。また、(i)で使用したキャスト用溶液を700℃まで加熱した時のTGAチャートを図7に示す。得られたポリベンズオキサゾールフィルムの力学的特性を調べたところ、縦方向および横方向で十分バランスがとれていた。
[実施例4]
(1)分散液の調製
tert−ブトキシカルボニル置換ポリアミドの製造(2)で製造したtert−ブトキシカルボニル置換ポリアミド0.5gをN−メチル−2−ピロリドン100mlに溶解させた。この溶液に、カーボンナノチューブとしてUnidym社製Hipco SWCNT1mgを添加し、Yamato製のBRANSON5510(47kHz,100W)を用いて槽温を30〜35℃に保ちながら10時間超音波を照射してカーボンナノチューブを分散させた。その後、10000gで1時間遠心分離を行い、上澄みを分散液として使用した。
(2)カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールフィルムの製造
(i)(1)で調製した分散液を5cm×5cmのアルミニウムプレート上にキャストした。その後、室温で24時間3mmHg、次いで100℃、200℃、300℃の各1時間3mmHgの環境下で溶媒を留去し、カーボンナノチューブを均一に分散したポリアミドフィルムを得た。
(ii)次に、このポリアミドフィルムをプレートごと窒素気流下で360℃で30分間加熱してポリアミドをポリベンズオキサゾールへ転換させ、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールフィルムを得た。得られたフィルムの赤外吸収スペクトルを図8に示す。また、(i)で製造したtert−ブトキシカルボニル置換ポリアミドフィルムを700℃まで加熱した時のTGAチャートを図9に示す。また、キャスト用溶液の可視−近赤外吸収スペクトルおよび可視−近赤外蛍光2次元スペクトルをそれぞれ図10および11に示す。図10には、カーボンナノチューブが1分子として存在することに基づくvan Hobe吸収が見られ、図11には、カーボンナノチューブが1分子として存在することに基づくスポット状の可視−近赤外蛍光スペクトルが見られる。これらの結果から、得られたポリベンズオキサゾールフィルム中でカーボンナノチューブはバンドルが解けて1本ずつ均一に分散していることがわかる。さらに、得られたポリベンズオキサゾールフィルムの耐光性、強度、電気伝導性、熱伝導性を調べたところ、いずれも十分高かった。
本発明の置換ポリアミドを使用すると、縦方向および横方向での力学的特性(特に強度)のバランスのとれたポリベンズオキサゾールフィルムを容易に製造することができる。かかるポリベンズオキサゾールフィルムは、磁気記録用フィルムを始めとする様々な分野において幅広く利用することができる。また、本発明の製造方法によれば、ポリベンズオキサゾールの前駆体である置換ポリアミドの段階でカーボンナノチューブを添加するため、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールおよびそのフィルムを容易に得ることができる。かかるポリベンズオキサゾールおよびそのフィルムは、カーボンナノチューブを均一に分散しているので、耐光性、強度、電気伝導性、熱伝導性に優れ、磁気記録用フィルムを始めとする様々な分野において幅広く利用することができる。

Claims (4)

  1. 以下の工程を含むことを特徴とする、ポリベンズオキサゾールの前駆体である置換ポリアミドであって、前記ポリアミドがアミド基に対してオルト位にヒドロキシ基を有し、前記ヒドロキシ基の少なくとも一部がtert−ブトキシカルボニル基で置換されている置換ポリアミドの製造方法:
    (i)シリル化4,6−ジアミノレゾルシノールとテレフタル酸クロライドとを反応させ、アミド基に対してオルト位にヒドロキシ基を有するポリアミドを合成する工程;および
    (ii)合成されたポリアミド中の少なくとも一部のヒドロキシ基をtert−ブトキシカルボニル基で置換し、置換ポリアミドを得る工程。
  2. 以下の工程を含むことを特徴とするポリベンズオキサゾールフィルムの製造方法:
    (i)ポリベンズオキサゾールの前駆体である置換ポリアミドであって、前記ポリアミドがアミド基に対してオルト位にヒドロキシ基を有し、前記ヒドロキシ基の少なくとも一部がtert−ブトキシカルボニル基で置換されている置換ポリアミドを有機溶媒に溶解した溶液をキャストしてポリアミドフィルムを得る工程;および
    (ii)このポリアミドフィルムを加熱して閉環し、ポリベンズオキサゾールフィルムを得る工程。
  3. 以下の工程を含むことを特徴とする、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールの製造方法:
    (i)ポリベンズオキサゾールの前駆体である置換ポリアミドであって、前記ポリアミドがアミド基に対してオルト位にヒドロキシ基を有し、前記ヒドロキシ基の少なくとも一部がtert−ブトキシカルボニル基で置換されている置換ポリアミドを有機溶媒に溶解した溶液にカーボンナノチューブを添加し、カーボンナノチューブを分散させて分散液を調製する工程;および
    (ii)この分散液を加熱して閉環し、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールを得る工程。
  4. 以下の工程を含むことを特徴とする、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールフィルムの製造方法:
    (i)ポリベンズオキサゾールの前駆体である置換ポリアミドであって、前記ポリアミドがアミド基に対してオルト位にヒドロキシ基を有し、前記ヒドロキシ基の少なくとも一部がtert−ブトキシカルボニル基で置換されている置換ポリアミドを有機溶媒に溶解した溶液にカーボンナノチューブを添加し、カーボンナノチューブを分散させて分散液を調製する工程;
    (ii)この分散液をキャストして、カーボンナノチューブを均一に分散したポリアミドフィルムを得る工程;および
    (iii)このポリアミドフィルムを加熱して閉環し、カーボンナノチューブを均一に分散したポリベンズオキサゾールフィルムを得る工程。
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