JP5706620B2 - 13−シス−クロセチン高含有色素組成物およびその製造方法 - Google Patents

13−シス−クロセチン高含有色素組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、クチナシ色素の一種であるクロセチンを多量に含有する色素組成物およびその製造方法に関する。本発明は特に、溶解度の高い13−シス−クロセチンを多量に含有する色素組成物およびその製造方法に関する。
クチナシ果実由来のクチナシ色素は、黄色素として古くから用いられてきた。用途は主に中華麺であり、カップ麺やチルド焼きそば麺、ラーメン屋が用いる生中華麺などに使用されている。麺以外では、菓子類(例えば、クッキー、アメ、ガム、洋菓子、菓子パンなど)、チルド乳飲料にも使用される。酸性溶液では安定性が低い為、酸性飲料(レモン飲料など)には用いられない。クチナシ色素成分はカロテノイドの一種であり、その構造からクロシンタイプとクロセチンタイプとに分けられる(表1)。クロシンタイプの色素は、水溶性であり、クロシン(crocin)を主成分とし、明るい黄色を呈する。クロセチンタイプの色素は、非水溶性であるがアルカリおよびアルコールには可溶であり、クロセチン(crocetin)を主成分とし、緑みのある黄色(レモンイエロー)を呈する。クロシンはクロセチン配糖体であり、それをアルカリ加水分解などで脱糖したものがクロセチンである。クチナシ果実にはクロシンの状態で存在する。
クロシンとクロセチンとでは若干色調が異なり、それが故にどちらもニーズがある。特に焼きそば麺では、クロセチンの色が好まれることがある。
中華麺は、かん水を用いるためアルカリ性である。クロシンは水溶性であり、クロセチンは非水溶性であるが、クロセチンもアルカリには溶解するため、かん水を用いた麺にはクロセチンを溶かして使用可能である。しかし、乳飲料などにはクロセチンが溶解しないためクロセチンを使用できない。さらに、クロセチンを中性または酸性の条件におくと色がアルカリ条件でのレモンイエローからオレンジがかった色へと変化するため、レモンイエローに着色するための色素として使用することができない。
クチナシ果実由来のクロシンを加水分解しクロセチンを得る方法が古来より知られている。このクロセチンはトランス−クロセチンをメインとし(7割以上)、高純度化方法などがから特許出願されている(例えば、特許文献1〜3)。
一般的に販売されているクロセチンタイプのクチナシ色素はオール−トランス−クロセチン(all−trans−crocetin)がメインである。
さらに、クロセチンタイプのクチナシ色素に13−シス−クロセチン(13−cis−crocetin)があることは公知ではなかった。
クロセチンに関しては、特許文献1〜6が公知である。特許文献1は、精製クロシンまたはクロセチンを添加することを特徴とする麺類の安定な着色方法を開示している。特許文献1は、製法例2において、クチナシ果実抽出濃縮物を得、苛性ソーダでpH10とし、95℃で1時間加熱後冷却し、塩酸でpH3とし、沈澱した色素を加熱濾過により回収し、少量の水で洗浄後、苛性ソーダで中和し沈澱回収した色素を溶解させ賦形剤として乳糖を加え噴霧乾燥することにより精製クロセチンを得ることを記載している。
特許文献2は、粉末状クロセチン製剤の製造方法を開示している。特許文献2に記載されるクロセチンはオール−トランス−クロセチンであり、13−シス−クロセチンではない。さらに、特許文献2に記載の方法では、クロシンを加水分解した後、反応液のpHを約4.0以下にすることにより、または酸で加水分解することにより、クロセチンを析出させ、遠心分離または濾過によりクロセチンを得ている。そのため、この方法で得られるクロセチンは主にオール−トランス−クロセチンであり、13−シス−クロセチンが混入していたとしても2割未満である。
特許文献3は、クロセチンの精製方法を開示している。特許文献3に記載の方法は、植物抽出物中のクロシンを加水分解して得られるクロセチンを低級アルコール或いは低級アルコールを50容量%以上含む混合溶剤で処理し、該溶剤の成分を除く工程を実施することを特徴としている。特許文献3に記載の方法で得られるクロセチンは主にオール−トランス−クロセチンであり、13−シス−クロセチンが混入していたとしても2割未満である。
特許文献4は、クロセチンまたはその薬理学的に許容しうる塩を有効成分として含有することを特徴とする睡眠改善剤を開示している。特許文献4の0011段落では、使用されるクロセチンの式が記載されており、この式は、このクロセチンがオール−トランス−クロセチンであって13−シス−クロセチンではない。さらに、特許文献4の0018段落ではクロセチンの純度が約75質量%以上であることが好ましいことが記載されている。さらに、特許文献4に記載の方法では、クロシンを加水分解した後、反応液のpHを約4.0以下にすることにより、または酸で加水分解することにより、クロセチンを析出させ、遠心分離または濾過によりクロセチンを得ている。そのため、この方法で得られるクロセチンは主にオール−トランス−クロセチンであり、13−シス−クロセチンが混入していたとしても2割未満である。
特許文献5は、クロセチンまたはその薬理学的に許容しうる塩を有効成分として含有することを特徴とする抗疲労剤および飲食品を開示している。特許文献5の0010段落では、使用されるクロセチンの式が記載されており、この式は、このクロセチンがオール−トランス−クロセチンであって13−シス−クロセチンではない。さらに、0018段落ではクロセチンの純度が約70質量%以上であることが好ましいことが記載されている。さらに、特許文献5に記載の方法では、クロシンを加水分解した後、反応液のpHを約4.0以下にすることにより、または酸で加水分解することにより、クロセチンを析出させ、遠心分離または濾過によりクロセチンを得ている。そのため、この方法で得られるクロセチンは主にオール−トランス−クロセチンであり、13−シス−クロセチンが混入していたとしても2割未満である。
特許文献6は、クロセチンまたはその薬理学的に許容しうる塩を有効成分として含有することを特徴とする眼精疲労改善剤および飲食品を開示している。特許文献6の0010段落では、使用されるクロセチンの式が記載されており、この式は、このクロセチンがオール−トランス−クロセチンであって13−シス−クロセチンではない。さらに、0018段落ではクロセチンの純度が約70質量%以上であることが好ましいことが記載されている。さらに、特許文献6に記載の方法では、クロシンを加水分解した後、反応液のpHを約4.0以下にすることにより、または酸で加水分解することにより、クロセチンを析出させ、遠心分離または濾過によりクロセチンを得ている。そのため、この方法で得られるクロセチンは主にオール−トランス−クロセチンであり、13−シス−クロセチンが混入していたとしても2割未満である。
このように従来のクロセチンに関する文献においては13−シス−クロセチンは記載されておらず、しかも従来のクロセチンに混入していたとしてもその量はクロセチンタイプの黄色素のうちの2割未満と少ない。
特開昭54−064652号公報 特開2006−335859号公報 特開2004−269663号公報 特開2008−273939号公報 WO2006/112283号パンフレット 特開2007−31426号公報
従来主に利用されていたクロセチンであるオール−トランス−クロセチンはアルカリ条件以外ではクロセチン特有のレモンイエローの色調を与えることが出来ないため、中性または酸性でもクロセチン特有のレモンイエローの色調を与えることのできる色素製剤を提供することが望まれていた。
さらに、オール−トランス−クロセチンは特に中性域および酸性域の水に対する溶解度が低く、色素として利用する場合、液体製剤の製造が不可能であった。それがゆえに液体を好まれる顧客のニーズに答えることができなかった。さらに、粉末製剤には粉舞などの問題があり、製造現場では液体製剤が好まれない場合がある。そのため、クロセチンを含む液体製剤を提供することが望まれていた。
本発明は、これらの問題点の解決を意図するものであり、クロセチンの液体製剤を提供すること、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、13−シス−クロセチンはオール−トランス−クロセチンと比較して水溶性が高いこと、13−シス−クロセチンとオール−トランス−クロセチンとが特定のpH域の水への溶解度の差を利用して容易に分離できることを見出し、これに基づいて本発明を完成させた。
本発明の好適な実施形態によれば、以下の発明が提供される:
(項目1) 13−シス−クロセチンを含む色素製剤であって、オールトランス−クロセチンを含むかまたは含まず、オールトランス−クロセチンを含む場合は、HPLCによって分析したときのオールトランス−クロセチンのピーク面積を1とした場合の13−シス−クロセチンのピーク面積が1以上である、色素製剤。
(項目2) HPLCによって分析したときのオールトランス−クロセチンのピーク面積を1とした場合の13−シス−クロセチンのピーク面積が1以上10000以下である、項目1に記載の色素製剤。
(項目3) 色価が100以上32000以下である、項目1または2に記載の色素製剤。
(項目4) 前記13−シス−クロセチンの含有量が0.05重量%以上である、項目1〜3のいずれか1項に記載の色素製剤。
(項目5) 前記13−シス−クロセチンの含有量が0.1重量%以上75重量%以下である、項目1〜4のいずれか1項に記載の色素製剤。
(項目6) 粉末製剤である、項目1〜5のいずれか1項に記載の色素製剤。
(項目7) 液体製剤である、項目1〜5のいずれか1項に記載の色素製剤。
(項目8) 溶媒として水またはアルコールを含む、項目7に記載の色素製剤。
(項目9) 13−シス−クロセチン高含有色素組成物の製造方法であって、
13−シス−クロセチンおよびオール−トランス−クロセチンを含有する混合物をアルカリ条件下で溶解してクロセチン含有混合溶液を得る工程;
該クロセチン含有混合溶液のpHをpH7.0〜8.0に調整することによりオール−トランス−クロセチンを析出させる工程;および
該析出したオール−トランス−クロセチンを除去して13−シス−クロセチン高含有色素組成物を得る工程
を包含する、方法。
(項目10) 前記13−シス−クロセチンおよびオール−トランス−クロセチンを含有する混合物が、
クロシン含有原料を溶媒で抽出してクロシン抽出液を得る工程;および
該クロシン抽出液またはその濃縮物中のクロシンを加水分解して13−シス−クロセチンおよびオール−トランス−クロセチンを含有する混合物を得る工程
によって得られる、項目9に記載の方法。
(項目11) 前記析出工程のpHが7.2〜7.8である、項目9または10に記載の方法。
(項目12) 項目1〜9のいずれか1項に記載の色素製剤を飲食品または飲食品原料と混合して着色を行う工程を包含する、着色された飲食品の製造方法。
(項目13) 前記飲食品が中性飲食品である、項目12に記載の製造方法。
(項目14) 前記中性飲食品が乳飲料またはフラワーペーストである、項目13に記載の製造方法。
(項目15) 13−シス−クロセチンを含む飲食品であって、オールトランス−クロセチンを含むかまたは含まず、オールトランス−クロセチンを含む場合は、HPLCによって分析したときのオールトランス−クロセチンのピーク面積を1とした場合の13−シス−クロセチンのピーク面積が1以上である、飲食品。
(項目16) 前記飲食品が中性飲食品である、項目15に記載の飲食品。
(項目17) 前記中性飲食品が乳飲料またはフラワーペーストである、項目16に記載の飲食品。
特定の実施形態では、本発明の製造方法は、もともと存在するトランス−クロセチン成分と13−シス−クロセチン成分を特定のpHで分離することを特徴としている。
例えば、クチナシ果実由来クロシンを加水分解してクロセチンを生成する。このクロセチンは一般に、13−シス−クロセチンを1〜2割程度含有する。クロセチン含有物のpHを特定の値に調整することで、13−シス−クロセチンとオール−トランス−クロセチンとの中性域および弱酸性域の水への溶解度の差を利用して13−シス−クロセチンを分離することができる。このようにして例えば、13−シス−クロセチン:オール−トランス−クロセチン=8:2程度の混合物を得ることができる。その混合物にデキストリン等副剤を添加して粉末化することにより色素粉末を提供することもできる。
13−シス−クロセチンはオール−トランス−クロセチンを主成分とする色素製剤よりも高い、中性域の水への溶解度を示す。
本発明により、アルカリ性以外の条件下でもクロセチン特有のレモンイエローに着色し得る色素製剤を提供することが可能になった。
本発明により、クロセチンの液体製剤が可能になった。13−シス−クロセチンは中性域の水への溶解度が高いために、色素製剤製造および色素としての用途での使い勝手が良い。
本発明の製法は、通常の手法では得られない方法であり、独自の特殊製法である。特に、特定のpHの水への溶解度の差を利用して13−シス−クロセチンとオール−トランス−クロセチンとを分離する方法は、安価であり、かつ工業規模で実施しやすく、工業的生産に適している。
13−シス−クロセチンは、クチナシ色素の個性(物性など)を特徴付ける重要な物質であった。具体的には、オール−トランス−クロセチンと比較して、水への溶解性が高く、色調が異なる。
本発明の13−シス−クロセチン高含有クロセチン色素製剤は、オール−トランス−クロセチンの含量と比較して13−シス−クロセチンの含量が高く、中性域の水への溶解度が高く、中性でも溶解して、クロセチンに特有のレモンイエローに着色し得ることが特徴である。市場にあるクロセチン色素製剤はトランス−クロセチンを主成分とする。
図1は、実施例1において段階aでのpH7.5で製造した13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末のHPLCチャートを示す。 図2は、HPLCによって分取されたピーク2の化合物を再度HPLCによって測定した場合のHPLCチャートを示す。 図3は、着色試験2での結果を示す写真である。(1)黄色のみ:マリーゴールド色素製剤;(2)黄色のみ:クロシン色素製剤;(3)黄色のみ:13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末;(4)黄色のみ:紅花色素製剤;(5)青色添加:マリーゴールド色素製剤;(6)青色添加:クロシン色素製剤;(7)青色添加:13−シス−クロセチン色素製剤;(8)青色添加:紅花色素製剤;(9)黄色のみ:オール−トランス−クロセチン高含有色素製剤;(10)黄色のみ:13−シス−クロセチン高含有色素製剤;(11)牛乳のみ。 図4は、小麦粉着色試験の結果を示す写真である。(A)は粉末かん水ありの場合の着色を示し、(B)は粉末かん水なしの場合の着色を示す。(1)オール−トランス−クロセチン高含有色素製剤、(2)13−シス−クロセチン高含有色素製剤、(3)クロシン色素製剤。 図5は、フラワーペースト着色試験の結果を示す写真である。(1)オール−トランス−クロセチン高含有色素製剤、(2)13−シス−クロセチン高含有色素製剤。
以下、本発明を詳細に説明する。
(定義)
本明細書中では、用語「クロシン」とは、以下の式1において、RおよびRがゲンチオビオースである化合物をいう:
本明細書中では、用語「オール−トランス−クロセチン」とは、以下の式2によって示される化合物をいう:
本明細書中では、用語「13−シス−クロセチン」とは、以下の式3によって示される化合物をいう:

本明細書中では、用語「色価」とは、色素の色の濃さを表す単位であり、吸光度計にて信頼性のある濃度範囲でKolthoff氏緩衝液(50mM NaCO−50mM Na,pH10.0)中で1cmのセルを用いて測定した時の極大吸収波長の吸光度を10重量%溶液での値に換算した値のことをいう。この色価は、以下の記号によって示すことができる:
本明細書中では、この色価を「色価E(10%,1cm)」または「色価」と示す。
本明細書中では、精製手順に関連して使用される用語「ケーキ」とは、不溶物を含む溶液を濾過したときに濾紙、フィルター等の上に残る残渣のことをいう。濾過は減圧などを行わない濾過であってもよく、減圧濾過であってもよい。
(1.クロセチンの原料)
クロセチンは、通常天然の状態では、その配糖体クロシンとして植物体に含まれる。クロシン含有原料としては、クロシンを含む任意の植物体が使用され得る。好ましくは、クロシン含有原料は、アカネ科クチナシ(Gardenia jasminoides Ellis、Gardenia augusta Merrilとも呼ばれる)およびその近縁種の果実、サフランの柱頭などである。クチナシの果実、サフランの柱頭などは通常乾燥物として市販されている。クチナシの乾燥果実は容易に入手可能であり、安価であることから、クロシン含有原料としてクチナシの乾燥果実を用いることが好ましい。抽出が容易なことから、クロシン含有原料は小片化、粉砕または粉末化されることが好ましい。
(2.本発明の13−シス−クロセチンの製造方法)
好ましい実施形態では、本発明の製造方法は、13−シス−クロセチン高含有色素組成物の製造方法であって、13−シス−クロセチンおよびオール−トランス−クロセチンを含有する混合物をアルカリ条件下で溶解してクロセチン含有混合溶液を得る工程;該クロセチン含有混合溶液のpHをpH7.0〜8.0に調整することによりオール−トランス−クロセチンを析出させる工程;および該析出したオール−トランス−クロセチンを除去して13−シス−クロセチン高含有色素組成物を得る工程を包含する。
別の実施形態では、本発明の製造方法は、13−シス−クロセチン含有色素製剤の製造方法であって、クロシン含有原料を溶媒で抽出してクロシン抽出液を得る工程;該クロシン抽出液またはその濃縮物中のクロシンを加水分解してクロセチン含有混合溶液を得る工程;該クロセチン含有混合溶液からオール−トランス−クロセチンを除去することにより13−シス−クロセチン含有色素製剤を得る工程を包含する。
好ましい実施形態では、この方法において、前記クロセチン含有混合溶液からのオール−トランス−クロセチンの除去が、pH7.2〜7.8において該クロセチン含有混合溶液からオール−トランス−クロセチンを析出させることにより行われる。
さらに好ましい実施形態では、前記クロセチン含有混合溶液からのオール−トランス−クロセチンの除去が、該クロセチン含有混合物を含む液のpHを12.0以上にし、次いで該クロセチン含有混合溶液と酸とを混合して該クロセチン含有混合溶液のpHを7.2〜7.8にしてオール−トランス−クロセチンを析出させ、次いで該析出したオール−トランス−クロセチンを該クロセチン含有混合溶液から除去することによって行われる。
別の実施形態では、本発明の方法は、13−シス−クロセチン含有色素製剤の製造方法であって、クロシン含有原料を溶媒で抽出してクロシン抽出液を得る工程;該クロシン抽出液またはそのクロシン濃縮液とアルカリとを混合してpH12.0〜12.5のアルカリ性混合液を得る工程;該アルカリ性混合液を2〜40時間攪拌することにより該アルカリ性混合液中のクロシンを加水分解してクロセチンにして第一のクロセチン含有アルカリ性混合液を得る工程;該第一のクロセチン含有アルカリ性混合液と酸とを混合して混合液のpHを2.8〜3.2にすることによりクロセチンを析出させる工程;該クロセチンを濾別してクロセチンケーキを得る工程;該クロセチンケーキと水とアルカリとを混合してpH12.0以上の第二のクロセチン含有アルカリ性混合液を得る工程;該第二のクロセチン含有アルカリ性混合液に酸を添加してpH7.2〜7.8にすることによりオール−トランス−クロセチンを析出させてクロセチン含有弱アルカリ性混合液を得る工程;該クロセチン含有弱アルカリ性混合液を濾過して濾液を回収することにより13−シス−クロセチン高含有濾液を得る工程;および該13−シス−クロセチン高含有濾液を乾燥することにより13−シス−クロセチン含有色素組成物を得る工程を包含する。
各工程をより詳細に説明する。
(2.1 クロシンの抽出)
まず、クロシン含有原料からクロシンが抽出される。クロシンは、当該分野で公知の任意の方法に従ってクロシン含有原料から抽出され得る。好ましくは、クロシン含有原料は溶媒で抽出される。溶媒としては、水、アルコールまたはそれらの混合液が用いられ得る。アルコールの例としては、エタノールなどが挙げられる。溶媒は水または含水アルコールであることが好ましい。含水アルコールのうちのアルコールの割合は、製造設備、製造条件などに合わせて任意に設定され得る。例えば、約10容積%以上、約30容積%以上、約50容積%以上などであり得る。含水アルコールのうちのアルコールの割合は、例えば、約95容積%以下、約80容積%以下、約60容積%以下などであり得る。含水アルコールは、含水エタノール(エタノール水溶液)であることが好ましい。
クロシン含有原料は、生の状態の植物体であってもよいし、部分的またはほぼ完全に乾燥させた植物体であってもよい。抽出に用いられる植物材料は、好ましくは、小片化、粉砕または粉末化される。
クロシン含有原料を溶媒と接触させることにより、溶媒中にクロシンが抽出される。抽出条件は、使用する溶媒によって適切に選択され得る。例えば、抽出溶媒として含水アルコールを用いる場合、溶媒の温度は、製造設備、製造条件などに合わせて任意に設定され得る。例えば、約0℃以上、約10℃以上、約20℃以上などであり得る。例えば、抽出溶媒として含水アルコールを用いる場合、溶媒の温度は、例えば、約100℃以下、約80℃以下などであり得る。溶媒として水を使用する場合、熱水であることが好ましい。一般に、クロシンが分解せず、溶媒が急速に揮発するような条件でない限り、溶媒の温度が高いほど抽出は促進される。そのため、溶媒の温度は出来る限り高いことが好ましい。クロシン抽出中は、クロシン含有原料と溶媒との混合物を連続的または断続的に攪拌することが好ましい。
抽出時間は、製造設備、製造条件などに合わせて任意に設定され得る。抽出時間は、例えば、約30分間以上、約1時間以上などであり得る。抽出時間は、例えば、約24時間以下、約12時間以下、約3時間以下などであり得る。好適な抽出時間は抽出温度によって変化し得る。例えば、抽出温度が約50〜70℃の場合、抽出時間は、例えば、約30分間以上、約1時間以上などであり得る;抽出時間は例えば、約12時間以下、約3時間以下、約2時間以下などであり得る。抽出操作は1回であってもよく、複数回行ってもよい。新たな溶媒を用いて抽出を複数回行うことが好ましい。抽出を複数回行った場合には、得られた複数の抽出液を合わせて次の工程で使用することができる。
本発明において用語「抽出物」とは、クロシン含有原料から抽出することによって得られる液体またはその乾燥物をいう。抽出物が液体の場合、抽出液ともいう。抽出物は例えば、クロシン含有原料を任意の液体溶媒と接触させることによって得られる。通常、抽出物においては、クロシン含有原料中の1種以上の抽出成分の、非抽出成分に対する比が、天然のクロシン含有原料中での該抽出成分の、非抽出成分に対する比よりも高い。抽出物は、液体溶媒中に抽出成分が移行することによって得られた溶液であってもよいし、この溶液の溶媒を一部またはほぼ完全に蒸発させることによって得られる濃縮物または乾固物であってもよい。抽出物は、液体であっても固体であってもよい。
このようにして得られたクロシン含有抽出液は、そのまま次の工程で使用されてもよく、濃縮されてから使用されてもよく、あるいは濃縮乾固され、使用時に適切な溶媒に溶解されてもよい。溶解のための溶媒としては、クロシンの抽出に用いられ得る溶媒と同じ溶媒(例えば、水、アルコールまたはそれらの混合物など)が使用され得る。クロシン含有抽出液は、減圧濃縮されることが好ましい。
(2.2 クロシンの加水分解)
次いで、クロシン含有抽出液中のクロシンが加水分解される。加水分解は、当該分野で公知の任意の方法に従って行われ得る。クロシンの加水分解は、例えば、アルカリ、酸、加水分解酵素などを使用することにより行われ得る。従来公知の任意のアルカリ、酸、加水分解酵素などを使用することができ、好ましくは食品または食品製造に使用可能なものを使用する。ここで、酸とは、純水に溶解した場合に酸性水溶液が得られる物質をいう。クロシンの加水分解に使用され得る酸の例としては、塩酸、硫酸、リン酸などが挙げられる。クロシンの加水分解に使用され得るアルカリの例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。ここで、アルカリとは、純水に溶解した場合にアルカリ性水溶液が得られる物質をいう。クロシンの加水分解に使用されるアルカリは、純水に溶解した場合に得られる水溶液のpHがクロシンの加水分解に適切なpH(例えば、pH9.5以上)になる物質であることが好ましい。酸、アルカリまたは加水分解酵素は、クロシン含有抽出液とそのまま混合してもよく、または適切な溶媒(例えば、水、アルコールまたはそれらの混合物など)に溶解または分散させてから混合してもよい。安価であることから、アルカリまたは酸を使用することが好ましく、アルカリを使用することがさらに好ましい。加水分解の際には攪拌を行うことが好ましい。
クロシンをアルカリによって加水分解する場合、クロシン抽出液とアルカリとを混合することにより、アルカリ性混合液が得られる。アルカリ性混合液のpHは、例えば、約11.0以上、約12.0以上などであり得る。アルカリ性混合液のpHは、例えば、約14.0以下、約13.0以下などであり得る。アルカリ性混合液中でクロシンの加水分解が進行する。加水分解を行う温度および時間は任意に設定され得る。例えば、加水分解の温度(すなわち、アルカリ性混合液の温度)は、製造設備、製造条件などに合わせて任意に設定され得る。加水分解の温度は、例えば、約10℃以上、約20℃以上などであり得る。加水分解の温度(すなわち、アルカリ性混合液の温度)は、例えば、約70℃以下、約50℃以下などであり得る。一般に、クロシンが分解せず、溶媒が急速に揮発するような条件でない限り、アルカリ性混合液の温度が高いほど分解は促進される。そのため、溶媒の温度は出来る限り高いことが好ましい。アルカリによる加水分解を行う時間は、製造設備、製造条件などに合わせて任意に設定され得る。加水分解の時間は、例えば、約1時間以上、約3時間以上、約10時間以上などであり得る。アルカリによる加水分解を行う時間は、例えば、約48時間以下、約24時間以下などであり得る。アルカリ性混合液を所定の時間攪拌/静置することによりこのアルカリ性混合液中のクロシンが加水分解されてクロセチンとなり、第一のクロセチン含有アルカリ性混合液が得られる。
クロシンを酸によって加水分解する場合、クロシン抽出液と酸とを混合することにより、酸性混合液が得られる。酸性混合液のpHは、例えば、約1.0以上、約2.0以上、約3.0以上などであり得る。酸性混合液のpHは、例えば、約4.0以下、約3.0以下などであり得る。酸性混合液中でクロシンの加水分解が進行する。加水分解を行う温度および時間は任意に設定され得る。例えば、加水分解の温度(すなわち、酸性混合液の温度)は、製造設備、製造条件などに合わせて任意に設定され得る。加水分解の温度は、例えば、約10℃以上、約20℃以上などであり得る。加水分解の温度(すなわち、酸性混合液の温度)は、例えば、約70℃以下、約50℃以下などであり得る。一般に、クロシンが分解せず、溶媒が急速に揮発するような条件でない限り、酸性混合液の温度が高いほど分解は促進される。そのため、溶媒の温度は出来る限り高いことが好ましい。酸による加水分解を行う時間は、製造設備、製造条件などに合わせて任意に設定され得る。加水分解の時間は、例えば、約1時間以上、約3時間以上、約10時間以上などであり得る。酸による加水分解を行う時間は一般に、例えば、約48時間以下、約24時間以下などであり得る。酸性混合液を所定の時間攪拌/静置することによりこの酸性混合液中のクロシンが加水分解されてクロセチンとなり、クロセチン含有酸性混合液が得られる。
クロシンを加水分解酵素によって加水分解する場合、クロシン抽出液と加水分解酵素とを混合することにより、クロシン−加水分解酵素混合液が得られる。クロシン−加水分解酵素混合液のpHは、加水分解酵素の至適pHに合わせて設定されることが好ましい。加水分解酵素としては、クロシンの糖部分を分解し得る加水分解酵素であれば任意の加水分解酵素が使用され得る。このような加水分解酵素の例としては、β−グルコシダーゼが挙げられる。クロシンの糖部分を分解し得る市販の任意の加水分解酵素を使用し得る。アルカリ性領域に至適pHがある加水分解酵素を使用することが好ましい。例えば、加水分解酵素としてβ−グルコシダーゼを使用する場合、pHは、例えば、使用するβ−グルコシダーゼの反応至適pH±1.0の範囲、その反応至適pH±0.5の範囲、その反応至適pH±0.1の範囲、その反応至適pHなどであり得る。クロシン−加水分解酵素混合液の温度は、加水分解酵素の反応至適温度に合わせて設定されることが好ましい。クロシン−加水分解酵素混合液の温度は、製造設備、製造条件などに合わせて任意に設定され得る。クロシン−加水分解酵素混合液の温度は、例えば、使用する加水分解酵素の反応至適温度±10℃の範囲、その反応至適温度±5℃の範囲、その反応至適温度などであり得る。加水分解を行う時間は任意に設定され得る。加水分解酵素によって加水分解を行う時間は、加水分解が完了されるまでであり、例えば、約30分以上、約45分以上、約1時間以上などであり得、例えば、約3時間以下、約2.5時間以下、約2時間以下などであり得る。クロシン−加水分解酵素混合液を所定の時間攪拌/静置することによりこのクロシン−加水分解酵素混合液中のクロシンが加水分解されてクロセチンとなり、クロセチン含有混合液が得られる。
(2.3 13−シス−クロセチンおよびオール−トランス−クロセチンを含有する混合物からのオール−トランス−クロセチンの除去および13−シス−クロセチンの回収)
クロシンの加水分解によってクロセチンが形成された後、加水分解後のクロセチン含有混合液は、酸と混合することにより酸性にされてクロセチンを析出させる。クロシンの加水分解が酸によって行われる場合、クロシンは酸性水溶液に溶解するがクロセチンは酸性水溶液に溶解しないので、クロシンの加水分解によってクロセチンが形成されるのに伴ってクロセチンが析出する。そのため、加水分解工程がこの析出工程として作用し得る。
酸としては、従来公知の任意の酸を使用することができ、好ましくは食品または食品製造に使用可能な酸を使用する。使用され得る酸の例としては、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸など)および有機酸(例えば、クエン酸、酢酸など)が挙げられる。析出の際の混合液のpHは、好ましくは約1.0以上であり、さらに好ましくは約2.0以上であり、最も好ましくは約2.8以上である。析出の際の混合液のpHは、好ましくは約5.0以下であり、さらに好ましくは約4.0以下であり、最も好ましくは約3.2以下である。析出を行う温度および時間は任意に設定され得る。例えば、析出の際の混合液の温度は、好ましくは約0℃以上であり、より好ましくは約4℃以上である。析出の際の混合液の温度は、好ましくは約30℃以下であり、最も好ましくは約20℃以下である。析出を行う時間は、好ましくは約10秒間以上であり、さらに好ましくは約1分間以上である。析出を行う時間は一般に、好ましくは約1時間以下であり、より好ましくは約30分間以下であり、最も好ましくは約5分間以下である。
析出したクロセチン含有固体は、濾紙、フィルターなどによる濾別、遠心分離などにより液体から分離される。濾紙などにより分離した場合、濾紙などの上にクロセチンケーキが形成される。フィルター濾過は、フィルタープレスによって行われてもよい。
クロシン含有原料としてクチナシ果実を用いる場合、分離されたクロセチン含有固体(本明細書中では「13−シス−クロセチンおよびオール−トランス−クロセチンを含有する混合物」ともいう)は、オール−トランス−クロセチンおよび13−シス−クロセチンを含む。分離されたクロセチン含有固体はさらに、酸、中和塩および原料由来の不純物などを含むことが多い。そのため、分離されたクロセチン含有固体は、水で洗浄され得る。分離されたクロセチン含有固体は、好ましくは酸が実質的になくなるまで水で洗浄される。この際に使用する水の量は、13−シス−クロセチンが過度に溶出しない程度に少量であることが好ましい。例えば、洗浄に使用する水の量は、分離されたクロセチン含有固体の体積の約10倍以下であることが好ましく、約5倍以下であることがより好ましく、約3倍以下であることが最も好ましい。
次いで、分離されたクロセチン含有固体(水で洗浄したものであっても、そうでなくてもよい)をアルカリ条件下で溶解してクロセチン含有混合溶液を調製する。例えば、クロセチン含有固体を水に分散し、ついでアルカリと混合してアルカリ性にすることにより、クロセチン含有混合溶液(第二のクロセチン含有アルカリ性混合液ともいう)が得られる。あるいは、クロセチン含有固体をアルカリ性水溶液に分散することによってクロセチン含有混合溶液を調製してもよい。クロセチン含有混合溶液のpHは、好ましくは約11.0以上であり、最も好ましくは約12.0以上である。クロセチン含有混合溶液のpHは、好ましくは約14.0以下であり、最も好ましくは約13.0以下である。このクロセチン含有混合溶液中でクロセチンが充分に溶解したら次の工程を行う。この工程においては、オール−トランス−クロセチンおよび13−シス−クロセチンの両方がクロセチン含有混合溶液に溶解する。
次いで、クロセチン含有混合溶液のpHをpH7.0〜8.0に調整することによりオール−トランス−クロセチンを析出させる。例えば、クロセチン含有混合溶液と酸とを混合して、クロセチン含有混合液のpHを弱アルカリ性にすることによりオール−トランス−クロセチンを析出させる。このとき、pHは、好ましくは約7.2以上に、さらに好ましくは約7.4以上に、特に好ましくは約7.5以上に調整され;pHは、好ましくは約7.9以下に、さらに好ましくは約7.7に調整される。オール−トランス−クロセチンの析出を行う温度および時間は任意に設定され得る。例えば、析出の際の混合液の温度は、好ましくは約0℃以上であり、より好ましくは約4℃以上であり、特に好ましくは約10℃以上である。析出の際の混合液の温度は、好ましくは約30℃以下であり、最も好ましくは約20℃以下である。析出の際の混合液の温度が低いほど析出は促進される。そのため、溶媒の温度は出来る限り低いことが好ましい。析出を行う時間は、好ましくは約10秒間以上であり、さらに好ましくは約1分間以上である。析出を行う時間は一般に、好ましくは約1時間以下であり、より好ましくは約30分間以下である。この弱アルカリ条件では、オール−トランス−クロセチンの多くは析出するが、13−シス−クロセチンの多くは溶解したままである。そのため、析出した固体を除去することにより、オール−トランス−クロセチンに対して13−シス−クロセチンが濃縮された溶液を得ることができる。
析出したオール−トランス−クロセチン含有固体は、濾紙、フィルターなどによる濾別、遠心分離などにより液体から除去されて13−シス−クロセチン高含有溶液が得られる。濾紙などにより分離した場合、濾紙などの上にオール−トランス−クロセチン高含有クロセチンケーキが形成される。この際、フィルタープレスによって濾別を促進してもよい。
得られた13−シス−クロセチン高含有溶液は、そのまま使用されてもよく、または乾燥されて必要に応じて溶媒に溶解されてもよい。13−シス−クロセチン高含有溶液は、例えば、通風乾燥機、真空乾燥機、噴霧乾燥機、凍結乾燥機などのうちのいずれかを用いて乾燥され得る。このようにして、13−シス−クロセチン高含有粉末が得られ得る。
上記においては、オール−トランス−クロセチンと13−シス−クロセチンとの分離を特定のpHでの水への溶解度の差を利用して行う方法(pH調整法ともいう)を記載した。しかし、オール−トランス−クロセチンと13−シス−クロセチンとの分離は、当該分野で公知の他の方法によって行ってもよい。この分離に使用され得る方法の例としては、例えば、溶媒分配、再結晶、吸着クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィーなどが挙げられる。
13−シス−クロセチン高含有粉末は、13−シス−クロセチンをより高純度にするためまたはクロセチン以外の不純物(例えば、脂質、ポリフェノール類、糖類など)を除去するためにさらに精製されてもよい。精製方法の例としては、例えば、溶媒分配、膜分画(例えば、限外濾過膜を用いた膜分画)、濾過、遠心分離、再結晶およびクロマトグラフィー(例えば、カラムクロマトグラフィー)などが挙げられる。クロマトグラフィーに使用され得る担体の例としては、ゲル濾過クロマトグラフィー用担体、配位子交換クロマトグラフィー用担体、イオン交換クロマトグラフィー用担体、吸着クロマトグラフィー用担体および分配クロマトグラフィー用担体が挙げられる。
13−シス−クロセチンは、より高純度になるまで精製されてもよい。例えば、純度が約10重量%以上になるまで精製されることが好ましく、純度が約25重量%以上になるまで精製されることがより好ましく、純度が約30重量%以上になるまで精製されることが特に好ましい。13−シス−クロセチンの純度は、例えば、約40重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、約90重量%以上または約95重量%以上になるまで精製されてもよい。13−シス−クロセチンの純度は、例えば、HPLCによって決定され得る。
(3.本発明の色素製剤)
本発明の色素製剤は、13−シス−クロセチンを含む色素製剤であって、オールトランス−クロセチンを含むかまたは含まず、オールトランス−クロセチンを含む場合は、HPLCによって分析したときのオールトランス−クロセチンのピーク面積を1とした場合の13−シス−クロセチンのピーク面積が1以上である。
本明細書においては、「HPLCによって分析したときのオールトランス−クロセチンのピーク面積を1とした場合の13−シス−クロセチンのピーク面積」とは、実施例1に記載のHPLCと同様の条件で測定した場合のオールトランス−クロセチンのピーク面積を1とした場合の13−シス−クロセチンのピーク面積をいう。好ましくは、カラムとしてInertsil ODS−3 5μm 4.6×250mm(GLサイエンス社製)を使用し、溶媒としてA液(1%(v/v)酢酸)およびB液(アセトニトリル)を用いて流速1ml/minで、カラム温度40℃で0分のときのB液の割合が20%、20分のときのB液の割合が80%、30分のときのB液の割合が80%、30.01分のときのB液の割合が20%、40分のときのB液の割合が20%となるようにタイムプログラムし、検出器としてフォトダイオードアレイ(PDA)を使用して測定された場合の417.0nmの吸光度で作製されるクロマトグラムでのオールトランス−クロセチンのピーク面積を1とした場合の13−シス−クロセチンのピーク面積をいう。この面積は、13−シス−クロセチンのピーク面積をオールトランス−クロセチンのピーク面積で除算することにより求められる。この値は、オールトランス−クロセチンの量が少ないほど大きくなる。
HPLCによって分析したときのオールトランス−クロセチンのピーク面積を1とした場合の13−シス−クロセチンのピーク面積は、好ましくは約1以上であり、より好ましくは約1.5以上であり、さらに好ましくは約1.8以上であり、特に好ましくは約2以上であり、最も好ましくは約5以上である。HPLCによって分析したときのオールトランス−クロセチンのピーク面積を1とした場合の13−シス−クロセチンのピーク面積は、13−シス−クロセチンの純度が高ければ高いほど大きくなるので特に上限はない。この値は、例えば、約10000以下、約5000以下、約3000以下、約2000以下、約1000以下、約500以下、約300以下、約100以下などであり得る。なお、現時点で13−シス−クロセチンのモル吸光係数は不明である。しかし、シス−クロシンのモル吸光係数:トランス−クロシンのモル吸光係数が約63350:約89000=約0.7:1であること(J.Agric.Food Chem,2008,56,1627−1637)を考慮すると、13−シス−クロセチンのモル吸光係数もオール−トランス−クロセチンのモル吸光係数よりかなり小さいと考えられる。そのため、オール−トランス−クロセチンのピーク面積と13−シス−クロセチンのピーク面積とが1:1であったとしても、その量比は1:1ではなく、13−シス−クロセチンの方がかなり多いと推定される。
一般に、色素製剤の色価は、約50以上必要である。本発明の色素製剤の色価は、好ましくは約100以上であり、より好ましくは約200以上である。本発明の色素製剤の色価は、例えば、約500以上、約1000以上、約5000以上などであってもよい。本発明の色素製剤の色価は、オール−トランス−クロセチンの含有量が充分に低い場合、13−シス−クロセチンの色価以下である。オール−トランス−クロセチンの方が13−シス−クロセチンよりもモル吸光係数が大きいと考えられるため、オール−トランス−クロセチンの含有量が多いほど、13−シス−クロセチンのみを含む場合に比べて色素製剤の色価が高くなる。本発明の色素製剤の色価は、例えば、約32000以下、約30000以下、約15000以下、約10000以下、約5000以下、約1000以下などであってよい。
好ましい実施形態では、本発明の色素製剤は、13−シス−クロセチンを0.05重量%以上含む。13−シス−クロセチンの含有量は、好ましくは約0.1重量%以上であり、より好ましくは約0.5重量%以上であり、さらに好ましくは約1重量%以上である。本発明の色素製剤中の13−シス−クロセチンの含有量は、特定の実施形態では、例えば、約10重量%以上、約15重量%以上などであり得る。本発明の色素製剤中の13−シス−クロセチンの含有量は、例えば、約90重量%以下、約85重量%以下、約80重量%以下、約75重量%以下、約70重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下などであり得る。
本発明の色素製剤中の13−シス−クロセチンの含有量は、13−シス−クロセチンのモル吸光係数が分かれば、オール−トランス−クロセチンのモル吸光係数、HPLCでのオール−トランス−クロセチンのピーク面積とのピーク面積比および色価から計算することができる。
好ましい実施形態では、本発明の色素製剤中のオール−トランス−クロセチンの含有量は、好ましくは約1.0重量%以下であり、より好ましくは約0.7重量%以下であり、さらに好ましくは約0.50重量%以下であり、特に好ましくは約0.40重量%以下であり、最も好ましくは約0.35重量%以下である。
(3.1 本発明の固体色素製剤)
本発明の色素製剤は、特定の実施形態では固体製剤である。本発明の固体色素製剤は、例えば、賦形剤を含み得る。賦形剤の例としては、糖、糖アルコール、アラビアガムなどが挙げられる。糖の例としては、デキストリン、乳糖などが挙げられる。
例えば、本発明の製造法によって得た13−シス−クロセチン高含有溶液に賦形剤を添加してまたは添加せずに乾燥することにより、固体の13−シス−クロセチン含有色素製剤が調製され得る。乾燥後の固体の色素製剤は、当該分野で公知の方法に従って必要に応じて粉砕されて篩にかけられ得る。賦形剤と13−シス−クロセチン高含有溶液との混合比率を変更することにより、得られる粉末中の13−シス−クロセチンの含有量を調整することができる。
(3.2 本発明の液体色素製剤)
本発明の色素製剤は、特定の実施形態では液体製剤である。本発明の液体色素製剤の溶媒は、好ましくは水を含む。溶媒は好ましくは含水アルコールまたは水であり、より好ましくは含水エタノールまたは水である。
本発明の液体色素製剤中の溶媒の割合は、例えば、約85重量%以上、約90重量%以上、約95重量%以上などであり得る。本発明の液体色素製剤中の溶媒の割合は、例えば、約99.5重量%以下、約99重量%以下、約98重量%以下、約97重量%以下、約96重量%以下、約95重量%以下などであり得る。
本発明の液体色素製剤は、色および味に悪影響を過度に及ぼさない限り、植物原料に由来する不純物を含み得る。本発明の方法に従って製造した13−シス−クロセチン高含有クロセチン濾液およびその粉末は、ある程度の不純物を含み得るが、色および味には悪影響がほとんどない。そのため、本発明の液体色素製剤は、このような不純物の除去のためにコストをかける必要がなく、安価でかつ容易に作製され得る。
本発明の液体色素製剤は、本発明の方法に従って製造した13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末を得て、この粉末を溶媒に溶解させることにより製造され得る。
本明細書中では、「液体色素製剤」とは、色素を含有し着色のために使用される液体組成物をいう。本発明の液体色素製剤は、オール−トランス−クロセチンおよび溶媒以外に当該分野で通常液体色素製剤に使用され得る他の物質を含み得る。このような物質としては例えば、保存剤、酸化防止剤、pH調整剤、甘味料、食品素材などが挙げられる。
本発明の液体色素製剤は、酸化防止剤を含むことが好ましい。酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、酵素処理ルチン、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物、クロロゲン酸などが挙げられる。酸化防止剤としてアスコルビン酸ナトリウムを使用することが好ましい。本発明の液体色素製剤は、酸化防止剤を含むことにより、安定性が向上し、長期保存した場合の色価の低下が抑制され得る。本発明の液体色素製剤は、酸化防止剤を好ましくは約0.05重量%以上、より好ましくは約0.1重量%以上含む。本発明の液体色素製剤中の酸化防止剤の含有量は好ましくは約5重量%以下であり、さらに好ましくは約1重量%以下である。本発明の液体色素製剤は、長期保存可能な液体色素製剤であり得る。本発明の液体色素製剤は、例えば、常温にて例えば約3ヶ月以上または約6ヶ月以上保存可能である。
(4.本発明の13−シス−クロセチン含有色素製剤の用途)
本発明の13−シス−クロセチン含有色素製剤および13−シス−クロセチン含有色素組成物は、従来クチナシ黄色素が用いられていた用途に使用することができる。さらに、本発明の13−シス−クロセチン高含有色素製剤および13−シス−クロセチン含有色素組成物は、従来クロセチン色素製剤(すなわち、オール−トランス−クロセチン)を用いることができなかった用途に使用することができる。従来クロセチン色素製剤を用いることができなかった用途の例としては、中性の飲食品が挙げられる。
本発明の色素製剤および色素組成物が使用され得る飲食品は、固形食品、クリーム状またはジャム様の半固形食品、ゲル状食品、飲料などあらゆる食品形態をとることが可能である。飲食品の例としては、麺類(例えば、中華麺、カップ麺、チルド麺など)、飲料(例えば、中性飲料(例えば、中性乳飲料)、菓子類(例えば、クッキー、アメ、ガム、洋菓子、菓子パン、チョコレート、グミ、ゼリー菓子)、フラワーペースト、ケーキ用スポンジ、パン生地、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン、マーガリン、ショートニング、マヨネーズおよびドレッシングなどが挙げられる。上記飲食品は、健康食品であってもよい。本発明の色素製剤および色素組成物は、例えば、小麦粉や澱粉を主体とする、pHがアルカリ性でない食品に使用される。小麦粉を主体とする、pHがアルカリ性でない食品の例としては、フラワーペースト(パンの間に挟むようなクリーム)、ケーキ用スポンジ、パン生地などが挙げられる。好ましい中性飲食品の例としては、乳飲料、アイスクリーム、シャーベットなどが挙げられる。
本発明の飲食品が中性飲料である場合、この中性飲料は、チルドタイプのものであり得る。
本発明の色素製剤および色素組成物が使用され得る飲食品は、好ましくは中性の飲食品である。本明細書中で用語「中性」とは、pH6〜8をいう。中性の飲食品のpHは、好ましくは約6.5以上であり、さらに好ましくは約6.7以上であり、最も好ましくは約6.9以上である。中性の飲食品のpHは、好ましくは約7.5以下であり、さらに好ましくは約7.3以上であり、最も好ましくは約7.1以上である。
本発明の色素製剤を飲食品または飲食品原料と混合して着色を行うことにより、着色された飲食品を製造することができる。
特定の実施形態では、本発明の色素製剤および色素組成物が使用され得る飲食品は、上記クロセチンもしくはその塩をそのまま、あるいは他の飲食可能な添加物、食品素材、食品原料、さらに必要に応じて食品添加物などを適宜混合し、常法に従って飲食品として製造され得る。飲食品が健康食品の場合、健康食品は、例えば液剤、散剤、顆粒剤、錠剤、マイクロカプセル、ソフトカプセルまたはハードカプセルなどの剤形であり得る。13−シス−クロセチンまたはその塩を主成分とする油脂組成物、O/W型乳化液、W/O型乳化液または可溶化液などのクロセチン含有組成物を常法に従って製造し、この13−シス−クロセチン含有組成物を飲食品に添加して本発明の飲食品を製造してもよい。
飲食品への本発明の色素製剤の添加量は、色素製剤が通常使用される量と同じであってもよく、従来より少なくてもよい。例えば、本発明の色素製剤の添加量は、純度100重量%の13−シス−クロセチンに換算して、飲食品の重量全体に対して約0.00001重量%以上、約0.00005重量%以上、約0.0001重量%以上、約0.0005重量%以上、約0.001重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、約1重量%以上などであり得る。本発明の色素製剤の添加量は、純度100重量%の13−シス−クロセチンに換算して、飲食品の重量全体に対して約10重量%以下、約5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.1重量%以下、約0.05重量%以下、約0.01重量%以下、約0.0005重量%以下、約0.0001重量%以下、約0.00005重量%以下、約0.00001重量%以下などであり得る。
以下の実施例などにおいて色価(E10%、1cm)を測定する場合、『化学的合成品以外の食品添加物 自主規格(第二版)』、日本食品添加物協会編、「クチナシ黄色素」を参考にして、色価を測定した:
(色価測定方法)
測定する吸光度が0.3〜0.7の範囲になるように、試料を精密に量り、Kolthoff氏緩衝液(50mM NaCO−50mM Na,pH10.0)に溶かして正確に500mlとする。溶解しにくい場合は、超音波処理により溶解する。その10mlを正確に量り、Kolthoff氏緩衝液(50mM NaCO−50mM Na,pH10.0)を加えて50mlとし、試験溶液とする。Kolthoff氏緩衝液(50mM NaCO−50mM Na,pH10.0)を対照とし、液層の長さ1cmで420nm付近の極大吸収部における吸光度Aを測定し、次式により色価を求める。
以下の実施例においては、実施例1に記載の製法を用いて、13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末を得た。
(実施例1:13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末の製法)
乾燥クチナシ果実2500gに50%(v/v)エタノール水溶液25000gを加え、60℃で1時間撹拌し抽出した。残渣に再度50%(v/v)エタノール水溶液を適量添加して二次抽出し、あわせてクロシン含有抽出液とした。得られたクロシン含有抽出液を減圧濃縮し、色価500のクロシン含有濃縮抽出液を得た。色価500のクロシン含有濃縮抽出液450gを水2050gで希釈して色価90のクロシン含有液2500gとした。そのクロシン含有液に10%水酸化カリウム水溶液を添加し、pH12.0に調整した。そのまま35℃で20時間攪拌することにより、クロシンを加水分解しクロセチン化した。その後、濃塩酸を添加しpH3.0に調整して60分間攪拌することによりクロセチンを析出させた。析出したクロセチンをフィルタープレスにより粗クロセチンケーキとして回収した。この粗クロセチンケーキを酸がなくなるまで水洗した。水洗後のクロセチンケーキ50gを水500gに分散し、10%水酸化カリウム水溶液を添加してpH12.0に調整して30分間攪拌することによりクロセチンケーキを溶解させてクロセチン含有アルカリ性混合液を得た。このクロセチン含有アルカリ性混合液へ濃塩酸を添加し、pH7.0〜8.0に調整する(この時点「段階a」のpHを振った結果を以下の表3にまとめる。)ことによりクロセチン含有弱アルカリ性混合液を得た。調整したクロセチン含有弱アルカリ性混合液をすみやかに再度フィルタープレスで濾過し、13−シス−クロセチン高含有濾液を得た。この時点のケーキはトランス−クロセチン高含有ケーキであり、このケーキを乾燥して粉砕することにより、トランス−クロセチン高含有クロセチン粉末を得ることができた。13−シス−クロセチン高含有濾液に塩酸を添加し、pH3.0に調整して析出させた。フィルタープレスにより得られたケーキを乾燥して13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末を得た。
これらの各条件で製造された13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末の色価E(10%,1cm)を、HITACHI社製の吸光光度計U−3310によって測定した。結果を以下の表3に示す。さらに、これらの粉末を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析することにより、オール−トランス−クロセチンと13−シス−クロセチンとの比(本明細書中では、「トランス:シスの比」または「トランス:シス」ともいう)、13−シス−クロセチンの収率および純度を決定した。HPLCの測定条件は以下の通りであった:
段階aでのpHが7.5の場合のクロセチン粉末についてのHPLCチャートを図1に示す。ピーク1はオール−トランス−クロセチンであり、ピーク2は13−シス−クロセチンである。段階aのpHは7.7が最も好ましく、それを用いた最終13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末の結果は、収量5.0g、色価7675、トランス:シス=15:85であった(以下、この段階aのpHが7.7のときの粉末を「実施例1のクロセチン粉末」ともいう。)。
本方法で得られた13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末は、食品添加物公定書に記載される、クチナシ黄色素の確認試験・純度試験の全てに合格した。
ピーク1の化合物がオール−トランス−クロセチンであることおよびピーク2の化合物が13−シス−クロセチンであることは、これらのピーク画分をそれぞれ分取し、NMRMS、UVスペクトル等の機器分析によって構造解析することによって確認された。ピーク2の化合物を分取し、上記と同じHPLC測定条件で再度測定したところ、トランス:シス=0.9:99.1であり、シス/トランスは約100倍であった。結果を図2に示す。
それぞれのピークの化合物の分析の際のNMRの条件は以下のとおりであった:Hスペクトルは600MHz、Hで測定;13Cスペクトルは150MHz、13Cで測定;溶媒:ジメチルスルホキシド−d6(DMSO−d6)、スペクトルの単位はppmであり、プロトンの数、多重度、カップリング定数(単位はヘルツ)は括弧内に示される。13−シス−クロセチンのH、13C NMRでのスペクトルデータを以下の表4に示す。
(実施例2.液体色素製剤の製造)
実施例1で製造された13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末0.8gとエタノール49.2gと水50gとを混合してクロセチン粉末を溶解させた後、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH6.8に調整し、濾紙(ADVANTEC No.5C)で濾過し、13−シス−クロセチン高含有液体製剤を得た。この液体製剤の色価E(10%,1cm)を吸光度計によって測定した。その結果、この13−シス−クロセチン高含有液体製剤の色価E(10%,1cm)は60であった。この液体製剤は実施例1で製造されたクロセチン粉末を使用しているため、トランス:シス=15:85である。この液体製剤は、粉末製剤を使用するよりも、最終商品での混合が容易であり、製造現場で粉舞いが無く取扱いが簡便であるという利点を有する。
(実施例3.液体色素製剤の安定性試験)
実施例2で製造された液体色素製剤の安定性を評価した。実施例2で製造された液体色素製剤に対して(1)無添加(実施例3−1)、または(2)アスコルビン酸Naを0.1重量%になるように添加するか(実施例3−2)、によりそれぞれの製剤を作製し、冷蔵または55℃にて7日間保管した。作製直後、保管4日後および7日後に液体部分の色価を測定し、および沈殿の有無を目視で評価した。結果を以下の表5に示す。
この結果、無添加の場合もアスコルビン酸Naを添加した場合もいずれも、本発明の液体色素製剤は冷蔵で7日間保管後にほとんど色価が低下せず、液体製剤として充分に安定であることがわかった。さらにアスコルビン酸Naを0.1%重量添加した液体製剤を55℃にて7日間保管した後も大きな色価の低下は見られなかった。55℃で7日間の保管条件は、通常、当該分野では常温半年相当の保管条件と考えられている。そのため、アスコルビン酸Naのような酸化防止剤を添加することにより本発明の液体色素製剤は長期間保管が可能であることが分かった。また、いずれのサンプルでも沈殿を起さなかった。よって本発明の液体色素製剤は、クロセチン色素の液体製剤として好適に使用可能であることがわかった。
(実施例4.50%エタノール水への溶解度試験)
実施例1で製造された13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末、またはその粉末の製造の際に得られたオール−トランス−クロセチン高含有ケーキを乾燥粉砕することによって得られたオール−トランス−クロセチン高含有クロセチン粉末のいずれかをサンプルとして使用した。サンプル(13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末は0.100g;オール−トランス−クロセチン高含有クロセチン粉末は0.0295g)を精密に測り取って容器に入れ、そこに50%(v/v)エタノール水溶液10mlを加えた。この容器をウォーターバスで60℃に加温して約10分間保持してサンプルを溶解させた。その後この容器を水冷し常温(20℃程度)まで冷却した。冷却後の液体を3000rpmで10分間遠心分離し、不溶分を沈殿させた後、上清を0.2μmメンブランフィルターに通して濾液を得た。この濾液の色価を測定した。結果を以下の表6に示す。
このように、13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末は、50%エタノール水溶液への溶解度がオール−トランス−クロセチン高含有粉末よりも約16.3倍高いことがわかった。13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末を使用した場合の色価は61.8と高く、色素製剤として十分に使用され得るレベルであることが確認された。それに対して、オール−トランス−クロセチン高含有粉末を使用した場合の色価は3.8と非常に低く、色素製剤として使用できないレベルであることが確認された。

(実施例5.着色実験1:小麦粉着色試験)
実施例1と同様にして段階aのpHをpH7.6にして製造された13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末(トランス:シス=20:80)、またはその粉末の製造の際に得られたオール−トランス−クロセチン高含有ケーキを乾燥粉砕することによって得られたトランス−クロセチン高含有粉末(トランス:シス=95:5)、クロシン色素製剤(グリコ栄養食品株式会社製;商品名クチナカラー1600P)のいずれかを色素サンプルとして使用した。
色素サンプルを水に添加して混合し、色価E(10%,1cm)450換算の1%色素混合液を得た。このとき、サンプルは、水に溶解もしくは分散した。その色素混合液25gを小麦粉50gと粉末かん水0.6gとの混合物に滴下しながら捏ね、小麦粉(粉末かん水入り)のクチナシ色素着色物を得た。同様に粉末かん水を添加しない系でも着色物を作製した。
それぞれのクチナシ色素着色物(すなわち、着色サンプル)を目視および色差計にてL,a,b値を測定し、色調を確認した。結果を以下の表7に示す。
これらの着色試験の写真を図4に示す。上記の結果から、オール−トランス−クロセチン高含有粉末を用いた試験では、粉末かん水添加時はクロセチン特有のレモンイエローを示していたが、粉末かん水無添加ではオレンジ色に変色した。一方13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末は、粉末かん水の有無を問わずクロセチン特有のレモンイエローに着色する事が可能であった。クロシン色素製剤は粉末かん水の有無で色調変化は無いが、赤みのある黄色でありクロセチン特有のレモンイエローとは異なる色調である。
このように、粉末かん水条件下では、13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末はオール−トランス−クロセチン高含有クロセチン粉末同様に緑みのある黄色(レモンイエロー)の色調を示す。粉末かん水なし(pH6程度)の条件では、オール−トランス−クロセチン高含有クロセチン粉末は緑みのある黄色を呈することが出来ないが13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末はアルカリ条件同様の緑みのある黄色を呈する。推測であるがオール−トランス−クロセチン高含有クロセチン粉末がオレンジ色になるのは、クロセチンが溶解していない為である。
つまり、本発明の13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末は、粉末かん水なしの中性域に近い弱酸性条件でも、クロセチン特有の好ましいレモンイエローを呈することが出来、これは、クロシンともあきらかに異なる色調である。
(実施例6.着色試験2:牛乳着色試験)
種々の黄色色素を使用した場合の中性領域での色調を比較する為に牛乳着色試験を行った。この牛乳着色試験は、チルドの乳飲料を想定している。
市販の牛乳100g(pH6.8)に各黄色色素サンプルを色価E(10%,1cm)50換算で1g添加して混合することにより、牛乳を黄色に着色した。この時点で試験1同様に目視および色差計にて、着色した牛乳の色調を確認した。
さらにクチナシ青色素(グリコ栄養食品株式会社製;商品名クチナブルーカラー1250PS;色価E(10%,1cm)250)を黄色着色牛乳100gに対して0.005g添加し、緑色に着色した。再度、試験1同様に目視および色差計にて、この緑色に着色した牛乳の色調を確認した。使用した黄色色素サンプルは以下の通りであり、結果を表8に示す。
使用した黄色色素サンプル:
(a)マリーゴールド色素製剤:色価E(10%,1cm)400;試作品
(b)クロシン色素製剤:色価E(10%,1cm)410;グリコ栄養食品株式会社製商品名クチナカラー1600P
(c)13−シス−クロセチン含有色素製剤:色価E(10%,1cm)50;実施例2で作製した液体色素製剤を水で1.2倍に希釈したもの
(d)オール−トランス−クロセチン含有色素製剤:色価E(10%,1cm)50;実施例1で作製した13−シス−クロセチンの製造の際に得られたオール−トランス−クロセチン高含有ケーキを乾燥粉砕することによって得られたトランス−クロセチン高含有粉末を水で9倍に分散希釈したもの
(e)紅花色素製剤:色価E(10%,1cm)195;BIONATURE社製商品名Carthamus Yellow Color。
(12)以外のこれらの着色試験の結果を図3に示す。(1)は、黄色のみでマリーゴールド色素製剤を添加した場合であり、(2)は、黄色のみでクロシン色素製剤を添加した場合であり、(3)および(10)は、黄色のみで13−シス−クロセチン色素製剤を添加した場合であり、(9)は、黄色のみでオール−トランス−クロセチン色素製剤を添加した場合であり、(4)は、黄色のみで紅花色素製剤を添加した場合であり、(5)は、マリーゴールド色素製剤に加えて青色を添加した場合であり、(6)は、クロシン色素製剤に加えて青色を添加した場合であり、(7)は、13−シス−クロセチン色素製剤に加えて青色を添加した場合であり、(8)は、紅花色素製剤に加えて青色を添加した場合である。(11)は牛乳のみの場合である。(1)〜(8)と(9)〜(11)は別々に実験を行った。
黄色のみの試験では、目視にて、マリーゴールド色素製剤およびクロシン色素製剤は赤みのある黄色に分類され、13−シス−クロセチン含有色素製剤と紅花色素製剤は、緑みのある色素に分類された。さらに紅花色素製剤は、牛乳着色において、13−シス−クロセチン含有色素製剤と同じ色価で使用したにもかかわらず、13−シス−クロセチン含有色素製剤よりも着色が薄く感じられた。よって、嗜好性の問題であるが、例えばバニラやバナナミルクのイメージには、レモンイエローを呈し、且つ紅花色素よりも発色が良い13−シス−クロセチン含有色素製剤を使用することが好ましい。オール−トランス−クロセチン色素製剤は溶解せず、オレンジ色の微粒子が分散している状態であり、溶解したクロセチン特有のレモンイエローを示さなかった。
青色添加試験において、マリーゴールド色素製剤はくすみのある黄緑色を呈し、クロシン色素製剤は黄みが強く少し暗い黄緑色であった。青色素添加量をさらに増やせば緑みを強くすることは出来るが、全体の色素添加量が多くなると暗みがまし、またコストアップとなる。13−シス−クロセチン含有色素製剤と紅花色素製剤は、ともに好ましい黄緑色を呈したが、紅花色素製剤は白みがありメロンミルク風であり若干薄く見える。13−シス−クロセチン含有色素製剤は発色の良い黄緑色で抹茶ミルク風であった。
よって、本発明の13−シス−クロセチン含有色素製剤は中性域でクロセチン特有のレモンイエローを呈することが出来る色素として有用であり、これは他の黄色色素と比較しても特徴的である。
(実施例7:13−シス−クロセチン高含有粉末色素製剤の製造)
60℃温水400gにデキストリン82gを溶解し、TKホモミクサー(プライミクス プラス株式会社製)にて10000rpmで撹拌しながら、段階aのpHがpH7.7の場合の実施例1の工程中で得られる、13−シス−クロセチン高含有クロセチンケーキ(色価約2500)18gを投入し分散液を得た。この分散液をスプレードライにより粉末化し、13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末色素製剤を得た。この粉末色素製剤の色価を測定したところ、色価450であった。
(比較例7:オール−トランス−クロセチン高含有粉末色素製剤の製造)
60℃温水400gにデキストリン94.3gを溶解し、TKホモミクサー(プライミクス プラス株式会社製)にて10000rpmで撹拌しながら、段階aのpHがpH7.7の場合の実施例1の工程中で得られる、オール−トランス−クロセチン高含有ケーキ(色価約8000)5.7gを投入し分散液を得た。この分散液をスプレードライにより粉末化し、オール−トランス−クロセチン高含有粉末色素製剤を得た。この粉末色素製剤の色価を測定したところ、色価450であった。
(実施例8.着色試験3:LL中華麺着色試験)
あらかじめプレミックスしておいた強力粉900gとでん粉100g(グリコ栄養食品株式会社製、商品名:ケミスター220)およびグルテン30g(グリコ栄養食品株式会社製、商品名:A−グル WP)をミキサーに入れ、これに粉末かんすい10g、食塩10gと、実施例7で製造したシス−クロセチン高含有色素製剤(色価450)1gを水390mlに溶解した練り水をむらなく加え、よく混合した。
できたそぼろ生地を複合ロール機にて帯状にして、その後圧延機にて最終麺厚1.4mmの麺帯とし、切刃18番角、麺長25cmで切り出した。
得られた麺線を200gに分け熱湯にて茹でた後、流水ですすいで冷却した。この麺は好ましい黄色の麺であった。この麺を2%乳酸溶液に1分間浸漬した後、乳酸溶液をよくきり、110gずつパウチ袋に密封し、90℃、30分間スチーマーにて蒸気殺菌した。これを冷却してロングライフ(LL)中華麺とした。得られたLL中華麺は好ましい黄色の麺であった。このことから、本発明のシス−クロセチン高含有色素製剤が中華麺およびLL中華麺に好適に使用できることが確認できた。
(実施例9.着色試験4:フラワーペースト)
グラニュー糖25.17g、脱脂粉乳3.95g、加工澱粉(グリコ栄養食品社製:商品名ケミスター420)6.91g、クエン酸0.44g、および下記色素製剤(1)または(2)0.05gを均一に混合した後、40℃まで加熱しておいた油脂6.91gと水69.11gを添加し60℃で加熱攪拌溶解した。その後全体量が100gになるように加水調整した後、容器に充填し冷却した。1日冷蔵後の色調を色差計にて測定した。
使用した色素製剤:
(1)実施例7で作製した13−シス−クロセチン高含有色素製剤(色価450)
(2)比較例7で作製したオール−トランス−クロセチン高含有色素製剤(色価450)。
結果、13−シス−クロセチン高含有色素製剤を使用したフラワーペーストは、クロセチン特有のレモンイエローを示したが、オール−トランス−クロセチン高含有色素製剤を使用したフラワーペーストはクロセチンが発色せず、薄いオレンジ色を示した。結果を表9および図5に示す。
このように、本発明の色素製剤は、食品に添加する際に非常に使用し易く、さらに発色がよいという顕著な効果を有する。
(実施例10:13−シス−クロセチン高含有粉末色素製剤の製造)
実施例1の段階aのpHがpH7.7の場合の13−シス−クロセチン高含有クロセチンケーキの代わりに実施例1と同様にして段階aのpHをpH7.0にして製造された13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末を使用して、実施例7と同様にして13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末色素製剤を得た。この13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末は、トランス:シス=40:60であった。
すなわち、60℃温水400gにデキストリン82gを溶解し、TKホモミクサー(プライミクス プラス株式会社製)にて10000rpmで撹拌しながら、段階aのpHがpH7.7の場合の実施例1の工程中で得られる、13−シス−クロセチン高含有クロセチンケーキ(色価約2500)18gを投入し分散液を得た。この分散液をスプレードライにより粉末化し、13−シス−クロセチン高含有クロセチン粉末色素製剤を得た。この粉末色素製剤の色価を測定したところ、色価450であった。
(実施例11.着色試験4:フラワーペースト)
実施例7で作製した13−シス−クロセチン高含有色素製剤の代わりに実施例10で製造した13−シス−クロセチン高含有色素製剤を使用して、実施例9と同様にしてフラワーペーストを作製した。その結果、1日冷蔵後のフラワーペーストの色調は、実施例9と同様に、クロセチン特有のレモンイエローを示した。このことから、トランス:シス=50:50であっても、従来のオール−トランス−クロセチン高含有色素製剤と異なり、オレンジ色に発色することなく、クロセチン特有のレモンイエローを発色することができることがわかった。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明の色素製剤はアルカリ域だけでなく、中性域においてもクロセチンに特有のレモンイエローを発色し得るという顕著な効果を有する。本発明の色素製剤は、アルカリ性飲食品だけでなく、中性飲食品にも良好に使用され得る。
本発明の液体色素製剤は、粉末色素製剤を使用するよりも、最終商品での混合が容易であり、製造現場で粉舞いが無く取扱いが簡便である。

Claims (6)

  1. 13−シス−クロセチン高含有色素組成物の製造方法であって、
    13−シス−クロセチンおよびオール−トランス−クロセチンを含有する混合物をアルカリ条件下で溶解してクロセチン含有混合溶液を得る工程;
    該クロセチン含有混合溶液のpHをpH7.0〜8.0に調整することによりオール−トランス−クロセチンを析出させる工程;および
    該析出したオール−トランス−クロセチンを除去して13−シス−クロセチン高含有色素組成物を得る工程
    を包含する、方法。
  2. 前記13−シス−クロセチンおよびオール−トランス−クロセチンを含有する混合物が、
    クロシン含有原料を溶媒で抽出してクロシン抽出液を得る工程;および
    該クロシン抽出液またはその濃縮物中のクロシンを加水分解して13−シス−クロセチンおよびオール−トランス−クロセチンを含有する混合物を得る工程
    によって得られる、請求項に記載の方法。
  3. 前記析出工程のpHが7.2〜7.8である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法で13−シス−クロセチン高含有色素組成物を製造する工程、および
    該方法で製造された13−シス−クロセチン高含有色素組成物を飲食品または飲食品原料と混合して着色を行う工程を包含する、着色された飲食品の製造方法。
  5. 前記飲食品が中性飲食品である、請求項に記載の製造方法。
  6. 前記中性飲食品が乳飲料またはフラワーペーストである、請求項に記載の製造方法。
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