以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下においては、本発明の適用例として、インクジェットプリント装置(インクジェット記録装置)、および、これを用いるプリントシステム(記録システム)について説明する。
(第1の実施形態)
以下、図1から図22に基づいて、本発明の第1の実施形態について説明する。以下においては、本実施形態を(1)基本構成と、(2)特徴的な構成と、に分けて説明する。
(1)基本構成
まず、本発明のインクジェットプリント装置の基本構成について説明する。ここでは、いわゆるシリアルスキャンタイプのプリンタ(インクジェットプリンタ)を例に挙げて説明する。
(1−1)主要部の第1構成例
図1は、本発明を適用可能なインクジェットプリント装置の要部の第1構成例を説明するための模式的斜視図である。
図1においては、複数(4個)のヘッドカートリッジ1A,1B,1C,1Dがキャリッジ2に交換可能に搭載されている。ヘッドカートリッジ1Aないし1Dのそれぞれは、プリントヘッド部(記録ヘッド部)とインクタンク部を有し、また、ヘッド部の駆動信号などを授受するためのコネクターが設けられている。以下の説明において、ヘッドカートリッジ1Aないし1Dの全体または任意の一つを示す場合には、単に、プリントヘッド1またはヘッドカートリッジ1という。
複数のヘッドカートリッジ1は、それぞれ異なる色のインクを用いてプリントを行うものであり、それらのインクタンク部には、例えば、ブラック,シアン,マゼンタ,イエローなどの異なるインクがそれぞれ収納されている。ヘッドカートリッジ1は、キャリッジ2に位置決めして交換可能に搭載され、キャリッジ2には、上記のコネクターを介してヘッドカートリッジ1に駆動信号等を伝達するためのコネクタホルダ(電気接続部)が設けられている。
キャリッジ2は、矢印Xの主走査方向に延在するように装置本体に設置されたガイドシャフト3に沿って、主走査方向に往復移動可能にガイドされている。キャリッジ2は、主走査モータ4により、モータ・プーリ5、従動プーリ6、およびタイミングベルト7等の駆動機構を介して駆動されると共に、その移動および移動位置が制御される。プリント用紙やプラスチック薄板等のプリント媒体(記録媒体)8は、2組の搬送ローラ対9,10および11,12の回転により、主走査方向と交差(本例の場合は直交)する矢印Yの副走査方向に搬送される。すなわち、プリント媒体8は、ヘッドカートリッジ1の吐出口面(インク吐出口の形成面)と対向する位置(プリント部)を通って、副走査方向に搬送(紙送り)される。プリント媒体8は、プリント部において平坦なプリント面を形成するように、その裏面がプラテンにより支持される。プラテンについては後述する。
キャリッジ2に搭載されたヘッドカートリッジ1は、その吐出口面がキャリッジ2から下方へ突出して、2組の搬送ローラ対9,10および11,12の間にてプリント媒体8の表面と平行になるように、保持される。また、キャリッジ2には反射型光学センサ30が取り付けられている。
本例のヘッドカートリッジ1は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェットヘッドカートリッジであって、熱エネルギーを発生するための電気熱変換体(ヒータ)を備えている。すなわち、ヘッドカートリッジ1のプリントヘッド部は、電気熱変換体が発生する熱エネルギーによってインクを沸騰させ、その発泡エネルギーを利用して、吐出口からプリント媒体8に向かってインクを吐出する。ヘッドカートリッジ1は、インクの吐出エネルギー発生素子として、電気熱変換体(ヒータ)の他、ピエゾ素子などを用いるものであってもよい。
14は回復処理部であり、ヘッドカートリッジ1のプリントヘッド部におけるインクの吐出状態を良好に維持するための回復処理を行う。この回復処理部14には、プリントヘッド部の吐出口部分をキャッピングするキャップ15と、このキャップ15内にパイプ27によって接続された吸引ポンプ16と、ホルダー17に保持されたワイパーブレード18と、が備えられている。
(1−2)主要部の第2構成例
図2は、本発明を適用可能なインクジェットプリント装置の要部の第2構成例を説明するための模式的斜視図である。図2において、図1と同じ符号を付した部分は図1と同じ機能を有するため、その説明は省略する。
図2においては、複数(6個)のヘッドカートリッジ41A,41B,41C,41D,41E,41Fがキャリッジ2に交換可能に搭載されている。カートリッジ41Aないし41Fのそれぞれには、プリントヘッド部の駆動信号を受けるためのコネクターが設けられている。以下においては、ヘッドカートリッジ41Aないし41Fの全体または任意の1つを指す場合に、単に、プリントヘッド41またはヘッドカートリッジ41という。
ヘッドカートリッジ41は、それぞれ異なる色のインクを用いてプリントするものであり、それらのインクタンク部には、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタなどの異なるインクが収納されている。ヘッドカートリッジ41は、キャリッジ2に位置決めして交換可能に搭載されており、そのキャリッジ2には、前記のコネクターを介してヘッドカートリッジ41に駆動信号等を伝達するためのコネクタホルダ(電気接続部)が設けられている。
(1−3)記録部
記録部は、ガイドシャフト3によって移動可能に支持されたキャリッジ2と、このキャリッジ2に着脱可能に搭載されるヘッドカートリッジ1(41)と、を含む。
図3から図5は、そのヘッドカートリッジ1(41)の具体的の構成例を説明するための図である。
本例のヘッドカートリッジ1(41)は、図3に示すように、インクを貯留するインクタンク190と、このインクタンク190から供給されるインクを記録情報に応じて吐出口から吐出させるプリントヘッド(記録ヘッド)101と、を有する。プリントヘッド101は、キャリッジ2に対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式とされている。本例においては、写真調の高画質なカラー画像の記録を可能とするために、インクタンク190として、例えば、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ、およびイエローの各色のインクを独立に収容するインクタンクが用意されている。それらのインクタンク190は、図4に示すように、プリントヘッド101に対して着脱自在とされている。
プリントヘッド101は、図5に示すように構成されており、複数の記録素子基板110、第1のプレート120、電気配線基板130、第2のプレート140、タンクホルダー150、流路形成部材160、フィルター170、シールゴム180を含む。
記録素子基板110には、そのSi基板の片面に、インクを吐出するための複数の記録素子と、各記録素子に電力を供給するAl等の電気配線と、が成膜技術により形成されている。さらに記録素子基板110には、それらの記録素子に対応する複数のインク流路と、複数の吐出口110Tと、がフォトリソグラフィ技術により形成されている。また、そのSi基板の裏面に開口するように、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が形成されている。また、記録素子基板110は第1のプレート120に接着固定されており、ここには、前記記録素子基板110にインクを供給するためのインク供給口121が形成されている。さらに、第1のプレート120には、開口部を有する第2のプレート140が接着固定されており、この第2のプレート140を介して、電気配線基板130が記録素子基板110に対して電気的に接続されるように保持される。電気配線基板130は、インクを吐出するための電気信号を記録素子基板110に印加するものであり、記録素子基板110に対応する電気配線と、この電気配線の端部に位置して記録装置本体からの電気信号を受け取る外部信号入力端子131と、を有している。外部信号入力端子131は、タンクホルダー150の背面側に位置決め固定されている。
インクタンク190を着脱可能に保持するタンクホルダー150には、流路形成部材160が例えば超音波溶着により固定されていて、インクタンク190から第1のプレート120に亘るインク流路151を形成している。インクタンク190と係合するインク流路151のインクタンク側端部には、フィルター170が備えられており、外部からの塵埃の侵入を防止するようになっている。インク流路151において、インクタンク190との係合部にはシールゴム180が装着されており、その係合部からのインクの蒸発を防止するようになっている。
このようにタンクホルダー部は、タンクホルダー150、流路形成部材160、フィルター170、およびシールゴム180を含み、記録素子部は、記録素子基板110、第1のプレート120、電気配線基板130、および第2のプレート140を含む。これらのタンクホルダー部と記録素子部は、接着等によって結合されることにより記録ヘッド101を構成する。
(1−4)記録ヘッドの具体的なノズル構成
図6から図8は、記録ヘッド101の吐出口110Tによって形成されるノズルの具体的な構成例の説明図である。
本例の記録ヘッドH(101)においては、インクを吐出可能な複数の吐出口P(110T)が2つの列(以下、「ノズル列」ともいう)L1,L2を成すように形成されている。ノズル列L1,L2は、記録媒体が搬送される矢印Yの副走査方向に延在する。ノズルを構成する吐出口Pは、ノズル列L1,L2のそれぞれにおいて、600dpiに相当する間隔をピッチPyとして、128個(128ノズル分)ずつ形成されている。また、ノズル列L1の吐出口Pとノズル列L2の吐出口Pは、矢印Yの副走査方向に1200dpiに相当する半ピッチ(Py/2)だけずらされている。ノズル列L1,L2の一方には、ノズル列方向において奇数番目に位置する奇数ノズルが配列され、他方には、偶数番目に位置する偶数ノズル列が配列されている。矢印Xは、記録ヘッドHが往復移動する主走査方向である。そして、これら2列の計256の吐出口Pから同色インクを吐出することにより、副走査方向におけるドット密度を1200dpiとして、画像を記録することができる。したがって、副走査方向における記録解像度は、ノズル列L1,L2の一方のみしかない場合の2倍となる。
本例の記録ヘッドHは、図7のように、吐出する6種のインク、つまりシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)のインク、ライトシアン(LC),ライトマゼンタ(LM)のインクに対応して、計6つ組み合わされている。また、このように組み合わされる6つの記録ヘッドHは、2つずつが同一のチップ上に構成されている。C1,C2はシアン(C)のインクを吐出するためのノズル列、LM1,LM2はライトシアン(LC)のインクを吐出するためのノズル列、K1,K2はブラック(K)のインクを吐出するためのノズル列である。また、Y1,Y2はイエロー(Y)のインクを吐出するためのノズル列、LC1,LC2はライトシアン(LC)のインクを吐出するためのノズル列、M1,M2はマゼンタ(M)のインクを吐出するためのノズル列である。図7においては、各色のインクを吐出する吐出口Pの数は、ノズル番号R0からR15の計16として表している。シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)のインクは比較的高い染料濃度を有する濃インクであり、ライトシアン(LC),ライトマゼンタ(LM)のインクは、濃インクの1/6の濃度の比較的低い染料濃度を有する淡インクである。このように、2つのノズル列L1,L2が形成された記録ヘッドH毎に、異なるインクを吐出することによってカラー画像が記録できる。
図8において、hはヒータ(電気熱変換体)であり、駆動信号に応じて、インク滴I´の吐出エネルギーとして利用される熱エネルギーを発生する。そのヒータhの熱エネルギーによってノズル内のインクIに膜沸騰が生じ、その際の発泡エネルギーによって、吐出口Pからインク滴I´が吐出される。
(1−5)光学センサ
図9は、図1および図2に示した反射型光学センサ30を説明するための模式図である。
反射型光学センサ30は上述したようにキャリッジ2に取り付けられており、発光部31と受光部32とを有する。発光部31から発した光(入射光Iin)35はプリント媒体8によって反射され、その反射光(Iref)37は受光部32によって検出することができる。反射光37の検出信号(アナログ信号)は、フレキシブルケーブル(不図示)を介してプリント装置の電気基板上の制御回路に伝えられ、その制御回路におけるA/D変換器によってディジタル信号に変換される。光学センサ30が取り付けられるキャリッジ2の位置は、インク等の飛沫の付着を防ぐために、プリント走査時に記録ヘッドHの吐出口が移動する軌跡上からずれた位置に設定する。この光学センサ30としては、比較的低解像度のものを用いることができ、これにより低コスト化が図れる。
(1−6)制御回路の構成例
図10は、このようなインクジェットプリント装置における制御回路の構成例を説明するためのブロック図である。
主制御部としてのコントローラ100は、例えば、マイクロ・コンピュータ形態のCPU102、プログラムや所要のテーブルその他の固定データを格納するROM103、および画像データを展開する領域や作業用の領域等が設けられるRAM105を有する。CPU102は、後述する記録位置調整のための処理を実行する。その記録位置調整のための処理によって、記録位置調整のための調整値が設定され、その調整値は、その後の実際の記録処理において用いられて記録位置の調整に役立てられることになる。ホスト装置110は画像データの供給源であり、プリントに係る画像等のデータの作成、および処理等を行うコンピュータの形態の他、画像読み取り用のリーダ部等の形態であってもよい。画像データ、その他のコマンド、およびステータス信号等は、インタフェース(I/F)112を介してコントローラ100と送受信される。
操作部125は、操作者による指示入力を受容するスイッチ群であり、電源スイッチ122、プリント開始を指示するためのスイッチ124、および記録ヘッドH(101)に対する吸引回復動作の起動を指示するための回復スイッチ126を有する。さらに操作部125は、マニュアルで記録位置調整を行うための記録位置調整起動スイッチ127、およびマニュアル記録位置の調整値を入力するための記録位置調整値設定入力部129等を有する。センサ群135は、装置の状態を検出するためのセンサ群であり、反射型光学センサ30、ホームポジションを検出するためのフォトカプラ132、および環境温度を検出するために適宜の部位に設けられた温度センサ134等を有する。
ヘッドドライバ140は、プリントデータ等に応じてプリントヘッド1または41の吐出ヒータ25(h)を駆動するドライバである。ヘッドドライバ140は、プリントデータを吐出ヒータ25(h)の位置に対応させて整列させるシフトレジスタ、適宜のタイミングでラッチするラッチ回路、および駆動タイミング信号に同期して吐出ヒータ25(h)を作動させる論理回路素子を含む。さらにドライバ140は、ドットの形成位置を調整するために駆動タイミング(吐出タイミング)を適切に設定するタイミング設定部等も有する。記録ヘッド1,41にはサブヒータ142が設けられている。サブヒータ142は、インクの吐出特性を安定させるための温度調整を行うものであり、吐出ヒータ25(h)と同時に記録ヘッド基板上に形成される形態、あるいは記録ヘッド本体またはヘッドカートリッジに取り付けられる形態とすることができる。モータドライバ155は、主走査モータ5を駆動するためのドライバである。副走査モータ162は、プリント媒体8を搬送する(副走査方向に移動させる)ために用いられるモータであり、モータドライバ165は、それを駆動するためのドライバである。
(1−7)記録位置調整用プリントパターン
以下の説明においては、プリント媒体上の所定の領域に対して、プリント装置によってプリントされた領域が占める比率を「エリアファクタ」という。例えば、プリント媒体上の所定の領域内に、その全体に渡ってドットが形成されるときにはエリアファクタが100%となり、全く形成されないときにはエリアファクタが0%となり、半分の面積にプリントされたときにはエリアファクタが50%となる。
図11(a),(b),(c)は、記録位置調整のためのプリントパターン(記録位置調整用パターン)の一例を説明するための模式図である。本例のプリントパターンは、双方向記録を実施する場合に、往路記録(往走査)時におけるドットの形成位置(記録位置)と、復路記録(復走査)時におけるドットの形成位置(記録位置)と、の間の記録位置の調整値を取得するためのパターンである。
図11(a),(b),(c)において、白抜きのドット700は、往走査(第1プリント)時にプリント媒体8上に形成するドットを示し、ハッチングを施したドット710は、復走査(第2プリント)時に形成するドットを示す。ドット700,710におけるハッチングの有無は説明の便宜上であり、本例の場合、それらのドット700,710は、同一の記録ヘッドから吐出されるインクによって形成されるドットであり、ドットの色ないし濃さに対応するものではない。図11(a)は、往走査と復走査における記録位置が合っているときに形成されるドットを示しており、また、図11(b)は記録位置が少しずれたとき、図11(c)は記録位置がさらにずれたときに形成されるドットを示している。
これらの図11(a),(b),(c)から明らかなように、本例の場合は、往走査と復走査のそれぞれにおいて相補的なドットを形成する。すなわち、往走査では奇数番目の列Loのドット700を形成し、復走査では偶数番目の列Leのドット710を形成する。したがって、図11(a)のように、それぞれのドット700,710が互いに略1ドットの直径分ずれて記録されたときに、往走査時と復走査時の記録位置が合った状態となる。このプリントパターンは、記録位置のずれが大きくなるにしたがって、そのプリント部分全体の濃度が低下する。すなわち、図11(a)のプリントパターンとしてのパッチの範囲内では、エリアファクタは略100%である。図11(b),(c)に示すように記録位置がずれるにしたがって、往走査時に記録されるドット700と、復走査時に記録されるドット710と、の重なりが大きくなり、ドットが形成されない領域、すなわちドットによって覆われていない領域が広がる。この結果、往走査時と復走査時の記録位置のずれが大きくなるにしたがって、エリアファクタが低下し、全体的な平均濃度が減少する。
本例では、往走査時と復走査時におけるプリントタイミングをずらすことにより、複数の記録位置調整用プリントパターンをプリントする。このように記録位置をずらした記録位置調整用プリントパターンは、プリントデータ上におけるデータのずらしによっても実現できる。図11(a),(b),(c)においては、ドット700,710を主走査方向に1ドット単位に形成しているが、記録位置調整の精度等に応じて、それらを適宜の単位数毎に形成することができる。
図12(a),(b),(c)は、ドット700,710を4ドット毎に形成した場合の説明図である。
図12(a)はドット700,710の記録位置が合っている状態、図12(b)は少しずれた状態、図12(c)はさらにずれた状態でプリントされたときの状態を示す。これらのパターンの意図するところは、往復の記録位置のずれが大きくなるしたがって、エリアファクタを減少させることである。その理由は、画像が記録されるプリント部の濃度がエリアファクタの変化に強く依存するからである。すなわち、ドット700,710が重なることにより濃度は上昇するが、その上昇よりも、ドットがプリントされていない領域の増加の方が、プリント部全体の平均的濃度に与える影響が大きいからである。
図13は、図11(a),(b),(c)および図12(a),(b),(c)に示すプリントパターンにおける記録位置のずれ量と反射光学濃度との関係の説明図である。
図13において、縦軸は反射光学濃度(OD値)であり、横軸は記録位置のずれ量(μm)である。図9の入射光(Iin)35と反射光(Iref)37を用いると、反射率Rは(Iref/Iin)であり、透過率Tは(1−R)となる。反射光学濃度をdとすると、その反射光学濃度dと反射率Rは、R=10−dの関係にある。上述したように、ドット700,710の記録位置のずれの量が”0”のときは、エリアファクタが100%となるため、反射率Rは最も小さくなる。つまり、反射光学濃度dが最大となる。また、ドット700,710の記録位置が図11および12中の左右方向(矢印X方向)に相対的にずれても、つまり、それらの記録位置が相対的にプラス(+)方向およびマイナス(−)方向のいずれの方向にずれても、反射光学濃度dは減少していく。
(1−8)記録位置調整の処理方法
図14は、記録位置調整の処理(記録位置調整処理)を説明するためのフローチャートである。
本例の記録装置は、2つの記録位置調整方法の実行が可能である。その1つは、上記テストパターンの記録結果を光学センサ30によって確認して、自動的に記録位置を調整する自動記録位置調整であり、他の1つは、その記録結果をユーザの目視により確認して、ユーザが記録位置を調整する手動記録位置調整である。まずは、記録装置本体から実行すべき記録位置調整方法を取得し(ステップS101)、その記録位置調整方法が手動か自動のいずれであるかを判別する(ステップS102)。それが自動である場合は、以下の処理を実行する。
自動記録位置調整の場合は、まず、記録位置調整用のプリントパターンをプリントする(ステップS103)。次に、光学センサ30によって、そのプリントパターンの記録結果の光学特性を測定する(ステップS104)、その測定結果に基づいて適切な記録位置調整条件を求める(ステップS105)。その位置調整条件は、曲線近似により求めることもできる。そして、その位置調整条件に対応する記録位置パラメータにより、記録ヘッドの駆動タイミングを変更して、ドットの形成位置を調整する(ステップS108)。
一方、ステップ103において、選択された記録位置調整方法が手動であると判別された場合は、次の処理を行う。すなわち、手動記録位置調節の場合は、まず、記録位置調整用のプリントパターンをプリントする(ステップS106)。続くステップ107において、ユーザが目視によりプリントパターンの記録結果を確認して、最も記録位置ずれが少ないパターンを選択する。そして、その選択したパターンの位置調整条件に対応する記録位置パラメータにより、記録ヘッドの駆動タイミングを変更して、ドットの形成位置を調整する(ステップS108)。
図15は、図12(a),(b),(c)のようなプリントパターンをプリント媒体8に記録した場合の説明図である。
本例の場合は、往走査と復走査によって、記録位置の相対的なずれ量が異なる9通りのプリントパターン61から69を記録する。記録されたパターンはパッチともいい、例えば、パッチ61、62などともいう。パッチ61から69のそれぞれに対応する記録位置パラメータは、それぞれ(a)から(i)によって表す。これらの9通りのパターン61から69において、往走査と復走査における記録の開始タイミングは、例えば、往走査における開始タイミングの方を固定とする。一方、復走査の開始タイミングは、現在設定されている開始タイミングと、それよりも早い4段階の開始タイミング、それよりも遅い4段階の開始タイミングの計9通りのタイミングとする。例えば、パッチ65に関しては、現在設定されている開始タイミングとし、パッチ61から64に関しては、それよりも早い4段階の開始タイミングとし、パッチ66から69に関しては、それよりも遅い4段階の開始タイミングとする。このような記録の開始タイミングの設定、および、それに対応する9通りのパターン61から69の記録は、所定の指示入力に応じて起動されるプログラムにより実行することができる。
また、自動記録位置調整が選択された場合には、前述したステップS14において、以下のように光学センサ30による測定が行われる。
プリントパターンとしてのパッチ61から69等を記録した後、それらの記録位置に対して、キャリッジ2に搭載された光学センサ30が対向するように、プリント媒体8とキャリッジ2を移動させる。そして、キャリッジ2が静止した状態において、それぞれのパッチ61から69等の光学特性を測定する。このように、キャリッジ2が静止した状態で光学特性を測定することにより、キャリッジ2の駆動によるノイズの影響を避けることができる。また、光学センサ30の測定スポットのサイズは、例えば、センサ30とプリント媒体8との間の距離を大きくすることによって、ドット径に対して広くすることができる。これにより、記録されたパターン上の局所的な光学特性(例えば、反射光学濃度)のばらつきを平均化して、反射光学濃度を高精度に測定することができる。
(1−9)記録媒体の保持部
次に、記録媒体としての記録用紙の供給元となる記録媒体の保持部の構成例について説明する。
本例のプリント装置200には、図16に示すように、記録用紙の保持部(収容ユニット)が2つ備えられており、第1の保持部はカセット201であり、第2の保持部はオートーシートフィーダー202である。これらのカセット201およびオートーシートフィーダー202から供給される記録用紙は、図19に示すプラテン205上に供給される。なお、記録媒体の保持部の設置数は本例のような2つに限定されることはなく、3つであっても、4つ以上であってもよい。
(1−10)カセットへの記録媒体のセット
図17は、第1の保持部であるカセット201内に、例えば、記録媒体8としてA4サイズの記録用紙を所定の位置にセットする方法の説明図である。
カセット201には複数の押さえ版203が備えられており、ユーザは、以下の手順にしたがって、紙押さえ版203の間に記録媒体8をセットする。ユーザは、まず、セットすべき記録媒体8よりも幅や長さが大きい記録媒体に対応するように、間隔を広く調整する。次に、記録媒体8を紙押さえ版203の間にセットし、その後、紙押さえ版203を図中の矢印方向に移動させながら、記録媒体8との間に隙間を無くす。そして、紙押さえ版203との間に、記録媒体8を隙間無く収めることにより、カセット201への記録媒体8のセットが完了する。図17は、主走査方向(X方向)における位置Xkを基準として、記録媒体8をセットした場合の例である。図17中のLAは、主走査方向に沿って延在する仮想線である。
(1−11)オートーシートフィーダーへの記録媒体のセット
図18は、第2の保持部であるオートシートフィーダー202内に、例えば、記録媒体8としてA4サイズの記録用紙を所定の位置にセットする方法の説明図である。
オートシートフィーダー202の両側には紙押さえ版203が備えられており、ユーザは、以下の手順にしたがって、紙押さえ版203の間に記録媒体8をセットする。ユーザは、まず、セットすべき記録媒体8よりも幅が大きい記録媒体に対応するように、間隔を広く調整する。次に、記録媒体8を紙押さえ版203の間にセットし、その後、紙押さえ版203を図中の矢印方向に移動させながら、記録媒体8との間に隙間を無くす。そして、紙押さえ版203との間に、記録媒体8を隙間無く収めることにより、オートシートフィーダー202への記録媒体8のセットが完了する。図18は、主走査方向(X方向)における位置Xaを基準として、記録媒体8をセットした場合の例である。
(2)特徴的構成
次に、本実施形態における特徴的な構成について説明する。本例は、プラテン205におけるリブ(プラテンリブ)が等間隔に位置する場合の適用例である。
図19は、プリンタを上面から見たときのプラテン205部分の概略図である。2つのプラテン205の間には、記録媒体8上からはみ出た位置に吐出されるインクを吸収するために、インク吸収体206が備えられている。また、記録媒体8を平坦に維持したまま搬送するために、プラテン207には複数のリブ(プラテンリブ)207が備え付けられており、これにより記録媒体8の搬送精度を向上させることができる。本例においては、回復ユニット部14の右端を基準位置R0とする。各プラテンリブ207の位置は、位置R0を基準にして、回復ユニット部14に最も近いものから順にR1,R2,R3・・・Rn(n=k、kはリブの数である)とする。これらの位置は、回復ユニット14から離れる方向(図19中の左方向)をプラス側として、エンコーダー208により管理されている。本例において、全てのプラテンリブ207は、主走査方向に沿って等間隔に位置する。
図20は、このようにプラテンリブが等間隔に位置する場合の記録位置調整方法を説明するためのフローチャートである。
まず、記録命令に基づいて、記録媒体8の給紙元に関する情報を取得する(ステップS201)。続いて、ステップS202にて、プリンタ本体内に格納されている記録位置調整用パターンの記録位置に関する情報を読み込む。本例のプリンタには、前述したように記録用紙の給紙元として2つの保持部(カセット201とオートシートフィーダー202)が備わっており、それらに対応する2つの給紙口がある。図21は、プリンタ本体のメモリ内の給紙元テーブルの説明図であり、給紙元毎に対応する記録位置調整用パターンの記録位置に関する情報として、パターン位置定数(給紙元毎に固有の値)Xpが格納されている。図21において、「カセット給紙」は、カセット201を給紙元とする給紙であり、「ASF給紙」は、とオートシートフィーダー202を給紙元とする給紙である。
次のステップS203において、記録用紙の給紙元に応じて、記録位置調整用パターンの記録に用いるパターン位置定数Xpが設定される。すなわち、「カセット給紙」の場合には、記録位置調整用パターンの記録位置の基準として、回復ユニット部14に最も近いプラテンリブ207の位置「R1」が設定される。「ASF給紙」の場合には、記録位置調整用パターンの記録位置の基準として、回復ユニット部14に2番目に近いプラテンリブ207の位置「R2」が設定される。その後のステップS204において、前述した図14の記録位置調整シーケンスを行うことにより、図22(a),(b)のように、プラテンリブ207上に位置する記録媒体の部分に、記録位置調整用パターンを記録する。図22(a),(b)においては、そのパターンとして、図15のパッチ61から69のようなパッチPを6つ記録した例を示す。
図22(a),(b)は、プリンタの正面から見たときの記録媒体とプラテンリブとの位置関係を表したものである。「カセット給紙」の場合には、図22(a)のように、プラテンリブ207の位置「R1」を基準とすることにより、位置R1からR6に対応するプラテンリブ207上の記録媒体の部分に、全てのパッチPを記録することができる。また、「ASF給紙」の場合には、図22(b)のように、プラテンリブ207の位置「R2」を基準とすることにより、位置R2からR7に対応するプラテンリブ207上の記録媒体の部分に、全てのパッチPを記録することができる。
このように、記録媒体の供給元が異なるために、プラテンリブ上における記録媒体の搬送位置がずれた場合であっても、プラテンリブ上に位置する記録媒体の部分に、記録位置調整用のパターンを記録することができる。すなわち、図22(a),(b)のように記録媒体の基準位置Xk,Xaが異なった場合であっても、プラテンリブ上に位置する記録媒体の部分に、記録位置調整用のパターンを記録することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本例は、図24(a),(b)のように、プラテン205におけるリブ(プラテンリブ)が非等間隔に位置する場合の適用例である。これらの図において、位置R0を基準とする各プラテンリブ207の位置R1,R2,R3・・・Rn(n=k、kはリブの数である)は、等間隔ではない。なお、以下の説明では、第1の実施形態と同様な部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
第1の実施形態においては、プラテンリブが間隔に位置するため、記録媒体の給紙元に応じて、記録位置調整用パターンを全体的に移動させた。しかし、プラテンリブが等間隔でない場合には、このようにパターンを全体的に移動させるだけでは、パターンの一部がプラテンリブ上の記録媒体の部分に記録されなくなる。そこで本実施形態では、記録位置調整用パターンとしてのパッチの形成数に対応する数のパターン位置定数を格納する。
本実施形態における記録位置調整方法は、前述した第1の実施形態とは、図20のフローチャートにおけるステップS202,S203の処理内容のみが異なる。
すなわち、ステップS202において、第1の実施形態の場合は、メモリから1つのプラテンリブ207に対応するパターン位置定数を読み込むのに対し、本実施形態の場合は、パッチの数分のプラテンリブ207に対応するパターン位置定数を読み込む。具体的には、図23のような給紙元テーブルに、給紙元(カセット201およびオートシートフィーダー202)毎に、記録すべきパッチの数分のパターン位置定数が格納されている。本例の場合は、6つのパッチPを記録するため、6つのプラテンリブ207に対応するパターン位置定数X[1]からX[6]が格納されている。
そして、次のステップS203においては、記録用紙の給紙元に応じて、記録位置調整用パターンの記録に用いるパターン位置定数X[1]からX[6]が設定される。すなわち、「カセット給紙」の場合には、X[1]からX[6]として、回復ユニット部14に1番目から6番目に近いプラテンリブ207の位置R1からR6が設定される。また、「ASF給紙」の場合には、X[1]からX[6]として、回復ユニット部14に2番目から7番目に近いプラテンリブ207の位置R2からR7が設定される。
その後のステップS204において、前述した記録位置調整シーケンスを行うことにより、図24(a),(b)のように、プラテンリブ207上に位置する記録媒体の部分に、記録位置調整用パターンとしてのパッチPを記録することができる。すなわち、それぞれのパッチPをパターン位置定数X[1]からX[6]に対応する位置、つまりプラテンリブ207上における記録媒体の位置に記録することができる。
このように本実施形態においては、パッチの記録数に対応する数のプラテンリブのそれぞれの位置を基準にして、複数のパッチの記録位置を設定する。これにより、プラテンリブが等間隔でない場合に、プラテンリブ上における記録媒体の搬送位置がずれたとしても、プラテンリブ上に位置する記録媒体の部分に、記録位置調整用のパターンを記録することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態の記録装置は、記録媒体上に余白を形成しないように画像を記録、所謂「余白無し記録」を実行可能な構成となっている。
図25は、各種サイズの記録媒体8に余白無し記録を実行する際に、記録媒体8上の領域を先端部A1、中央部A2、および後端部A3の領域に分けた場合の説明図である。中央部A2は、記録媒体8が搬送ローラ9,10と排紙ローラ11,12の双方によって保持された状態において、記録を行うことができる領域である。先端部A1は、記録媒体8が搬送ローラ9,10によって保持され、排紙ローラ11,12によっては保持されていない状態において、記録される領域である。また、後端部A3は、記録媒体8が搬送ローラ9,10によっては保持されず、排紙ローラ11,12によって保持されている状態において、記録される領域である。
本実施形態では、記録媒体8の搬送方向(副走査方向)に配列される複数のノズルの内、その搬送方向の下流側(排紙ローラ側)に位置する領域に含まれるノズルを用いて、先端部A1および後端部B3を記録する。そのため、先端部A1として扱われる領域よりも後端部B2として扱われる領域のほうが若干広くなっている。
図26は、本実施形態で採用する記録ヘッド101を吐出口の形成面側から見たときの模式図である。本例の記録ヘッド101は、2つの記録素子基板370,371を有する。記録素子基板370には、グレー、ライトシアン、第1ブラック、第2ブラック、およびライトマゼンタの5色のインクを吐出するためのノズル列320,330,340,350,360が形成されている。記録素子基板371には、シアン、レッド、グリーン、マゼンタ、およびイエローの5色のインクを吐出するためのノズル列170,280,290,300,310が形成されている。それぞれのノズル列は、記録媒体の搬送方向に1200dpi(dot/inch;参考値)の間隔で並ぶ768個のノズルによって形成されており、それぞれのノズルから約2ピコリットルのインク滴が吐出される。それぞれのノズルにおけるインクの吐出口の開口面積は、約100平方μmに設定されている。
本実施形態においては、記録に用いられる記録媒体のサイズに応じたユーザの要望を想定し、その要望を「余白無し記録」時の記録制御に反映させることにより、ユーザビリティを向上させる。そのため本実施形態においては、記録媒体の先端部A1と後端部A3を記録する際に、それに用いるノズルの数、および記録媒体の搬送量を低減させると共に、その低減の割合を記録媒体のサイズに応じて異なる。
すなわち、まず、記録媒体8の中央部A2の記録に際しては、記録媒体8のサイズに拘わらず、それぞれのノズル列の全範囲M(図26参照)、すなわち768個のノズルを使用可能とする。一方、先端部A1および後端部A3の記録時には、先端部A1および後端部A3に対する記録動作時には、記録媒体が搬送ローラ9,10と排紙ローラ11,12の内の一方から外れるため、記録媒体の姿勢が変化して、記録画像が劣化するおそれがある。そのため、先端部A1および後端部A3の記録に際しては、それぞれのノズル列の使用ノズル数を低減する。これにより、1回の走査によって記録する画像の記録幅を小さくして、先端部A1および後端部A3に対する記録画像の劣化を防ぐ。さらに、その使用ノズル数の低減の割合を記録媒体のサイズに応じて異ならせる。すなわち、使用ノズルとして、図26中の領域EcまたはEmのノズルの選択が可能となっている。領域Ecは、ノズル列の中央から、記録媒体の搬送方向上流側(搬送ローラ側)にある256個のノズルを含む領域である。領域Emは、領域Ecのノズルの内、搬送方向下流側に位置する128個のノズルを除き、その他の128個のノズルを含む領域である。
以下、記録媒体のサイズに応じた記録制御の例について説明する。
本例の場合、L版サイズなどの比較的小さな記録媒体(以下、「小記録媒体」ともいう)に対しては、先端部A1と後端部A3の記録時に、領域Emの256ノズルを使用する速度優先の記録を実施する。また、A3版サイズなどの比較的大きな記録媒体(以下、「大記録媒体」ともいう)に対しては、領域Ecの128ノズルを使用する品位優先の記録を実施する。
図27は、記録媒体8の中央部A2に対する記録動作の説明図である。図28および図29は、それぞれ、小記録媒体の後端部A3に対する記録動作、および大記録媒体の後端部A3に対する記録動作の説明図である。図30および図31は、それぞれ、小記録媒体の先端部A1に対する記録動作、および大記録媒体の先端部A1に対する記録動作の説明図である。
図27において、202は、記録ヘッド101の記録素子基板370,371上に配設された各ノズル列における768本のノズル領域(図26中の領域M)を示している。また、図28において、211は、小記録媒体の後端部A3および先端部A1の記録時に使用する256本のノズルに対応する領域(図26中の領域Ec)を示している。さらに、図29において、212は、大記録媒体の後端部A3および先端部A1の記録時に使用する128本のノズルに対応する領域(図26中の領域Em)を示している。
記録ヘッド100と対向する記録領域を通過する記録媒体8は、プラテン205によって支持される。そのプラテン205には溝218が形成されており、その溝218には、余白無し記録を実行する際に、記録媒体8の先後の端縁および左右の側縁からはみ出すように吐出されたインクを受容するためのインク吸収体206が備えられている。インク吸収体206に吸収されたインクは、記録装置本体の下部に設けられている不図示の廃インク吸収体に移動する。
207Aは、プラテン205に取り付けられたリブ(プラテンリブ)の一部である。余白無し記録を行う際には、記録媒体の中央部A2の記録時であっても、記録媒体の左右の側縁からはみ出るようにインクが吐出される。そのため、図27中の右側に位置する上流側リブ部分207Aと、左側に位置する下流側リブ207A部分と、の間隔は、記録媒体の中央部A3の記録時に用いられる最大ノズル数(本実施形態の場合は、768ノズル)に対応した長さよりも大きくなっている。これにより、記録媒体の左右の端部の記録時に、左右の側縁からはみ出すように吐出されるインクは、リブ部分207Aを汚すことなくインク吸収体206に吸収される。
また、207Bもプラテン205に取り付けられたリブ(プラテンリブ)の一部である。このリブ部分207Bは、記録媒体の先端部A1および先後端A3の支持に係るものである。さらに、このリブ部分207Bは、記録媒体の先端部A1および後端部B3の記録時に、その記録媒体の前後の端縁および左右の側縁からはみ出すように吐出されるインクによって、汚されないように配置することが好ましい。したがって、リブ部分207Bは、記録媒体の左右の側縁から適切に外れた位置に配置される。さらに、図27中の右側に位置する上流側リブ部分207Bと、左側に位置する下流側リブ部分207Bと、の間隔は、先後端部A1,A3の記録時に用いられる最大ノズル数(本実施形態の場合は、256ノズル)に対応した長さよりも大きくなっている。
記録位置調整パターンについても、記録位置ずれに対する印字品位劣化に差がある。
近年、インクジェット記録装置による記録画像の高画質化を目的として、記録媒体上に形成するインクのドットの高精細化、すなわちインク滴の小液滴化が図られている。したがって、ドットが小さくなったために、従来の大きなドットでは目立たなかったわずかなインク滴の着弾位置のずれ等が目立ってしまう。そのため、記録ヘッドがインクを吐出する挙動において、以下に説明する事象に対しても考慮する必要が生じる。
第1の事象として、往走査時と復走査時において、ノズルから吐出されるインクの主滴とサテライト(副滴)の着弾位置が異なることが挙げられる。
図32は、記録ヘッドから吐出されるインク滴を示す模式図である。
例えば、前述したように、インクの吐出エネルギー発生素子として電気熱変換体(ヒータ)を用いる記録ヘッドの場合には、ヒータhからの熱エネルギーによってインク中に気泡を発生させ、その気泡の生成圧力に伴って吐出口P近傍のインクを所定量吐出する。その際、主滴143に続いてサテライト(小滴)144と吐出される。サテライト144は、吐出される主滴143の後端部が分離して形成されるものであり、主滴143と比較して、体積が小さく吐出速度も遅い。このサテライト144は、インクの吐出エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いる方式の記録ヘッドのみならず、ピエゾ素子などを用いる他の方式の記録ヘッドにおいても発生する。
これらの主滴143とサテライト144は、図33のように、記録ヘッドが矢印X1方向に記録走査したときに、記録媒体上の異なる位置に着弾してドットD1とD2を形成する。ドットD1は、主滴143によって形成されるドットであり、ドットD2は、サテライト144によって形成されるドットである。主滴143とサテライト144は、同一方向に吐出されたとしても、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら記録を行うため、および主滴143とサテライト144の吐出速度の違いから、図33のように記録媒体上の異なる位置に着弾する。主滴とサテライトの着弾位置ずれ、つまりドットD1,D2間の距離Lは、主滴143の吐出速度V、サテライト144の吐出速度v、記録ヘッドと記録媒体との間の距離(紙間)D、および記録ヘッドの走査速度Vpによって、以下のように表すことができる。
L=Vp×(D/v)−Vp×(D/V)
このように、記録媒体上には、主滴とサテライトによってドットD1,D2が形成される。ドットD1に対してドットD2が充分に小さい場合には、主滴のみが記録に寄与するとみなして、サテライトの影響は無視することができる。
しかしながら、上述したように、インク滴の小液滴化によってドットD1が小さくなると、ドットD2の大きさの影響は無視できなくなる。すなわち、サテライトの体積は、ノズル形状などで決まる吐出特性と密接に関連し、主滴の小液滴化と共に小さくはならず、主滴が小さくなるほど、サテライトと主滴との大きさの差が小さくなる傾向にある。具体的には、吐出口から吐出されたインク滴の前端部が主滴となり、その後端部の分離した部分がサテライトとなるため、吐出口の特性やインクの特性、具体的にはインクの粘性や表面張力がサテライトの大きさに影響する。つまり、主滴を小滴化したとしても、その小滴化に比例してサテライトが小さくなるとはいえない。したがって、インク滴の小滴化により、サテライトの影響が相対的に大きくなり、ドットD2をも考慮した画像形成技術が重要になってきている。
次に、記録動作の具体例として、縦方向(副走査方向)に延在する罫線を記録する場合について説明する。ここでは、600DPIピッチで並んだ304本のノズルを有する記録ヘッドを用いる。
記録ヘッドが主走査方向の一方(往方向)および他方(復方向)に移動する際に、つまり往走査と復走査によって画像を記録する双方向記録を実施した場合、ドットD1に対するドットD2の位置関係は反対になる。すなわち、往走査による記録(往路記録)と、復走査による記録(復路記録)と、ではドットD1,D2の位置関係が逆になる。図34(a)は、所定の記録領域を1回の走査によって記録する1パス記録方式において、双方向記録を実施した場合のドットD1、D2の位置関係の説明図である。矢印X1方向の往走査と、矢印X2方向の復走査と、では、ドットD1、D2の位置関係が反対になる。図34(b)は、往走査によって記録されたドットD1,D2の拡大図である。
1パス記録すなわち非マルチパス記録を行った場合、往走査による304ノズル分の幅(約13mm)の記録と、復走査による304ノズル分の幅の記録と、が交互に切り替わるため、約13mmの幅ずつ、トッドD1、D2の位置関係が反転した記録結果となる。図34(c)は、このようにして記録した罫線の濃度を示す。例えば、主滴の吐出速度を15m/s、サテライトの吐出速度を10m/s、記録ヘッドと記録媒体との間の距離(紙間)を1.6mm、走査速度を25Inch/sとした場合、ドット間のずれ量Lは約0.03mmとなる。人の視覚特性の分解能が低いことから、実質的には、図34(d)のような濃度として認識される。復走査による記録結果は、図34(e)のような濃度として認識されることになる。
次に、往路記録と復路記録との間における記録位置の位置合わせと、ノズル列に形成する奇数ノズルと偶数ノズルとの間における記録位置の位置合わせと、について説明する。ここでは、主滴とサテライトが発生し、図35は、往路記録と復路記録との間におけるインク滴の着弾位置のずれの説明図である。図36は、ノズル列内において奇数番目に位置する奇数ノズルから吐出されるインク滴と、偶数番目に位置する偶数ノズルから吐出されるインク滴と、の間の着弾位置のずれの説明図である。このような奇数ノズルと偶数ノズルは、例えば、前述した図6および図7のように配列されている。
図35(a)において、P1は、矢印X1方向の往路記録によって記録される領域であり、主滴によってドットD1−1が形成されると共に、サテライトによってドットD2−1が形成される。P2は、矢印X2方向の往路記録によって記録される領域であり、主滴によってドットD1−2が形成されると共に、サテライトによってドットD2−2が形成される。図35(b)は、往路記録と復路記録においてインク滴の着弾位置にずれが生じた場合の説明図である。領域P1,P2の間に、ドットD1−1とD1−2が離れる部分Paと、ドットD2−1とD2−2が重なる部分Pbが存在する。図35(c)は、図35(b)のように着弾位置がずれたインク滴によって記録されたパターンの反射光学濃度の説明図であり、部分Paに対応する位置の反射高度が低くなる。
図36(a)において、P11は、奇数ノズルによって記録される領域であり、主滴によってドットD1−Oが形成されると共に、サテライトによってドットD2−Oが形成される。P12は、偶数ノズルによって記録される領域であり、主滴によってドットD1−Eが形成されると共に、サテライトによってドットD2−Eが形成される。図36(b)は、奇数ノズルと偶数ノズルから吐出されるインク滴の着弾位置にずれが生じた場合の説明図である。領域P11,P12の間に、ドットD1−OとD1−Eが離れる部分Pc、ドットD1−EとD2−Oが重なる部分Pdが存在する。図36(c)は、図36(b)のように着弾位置がずれたインク滴によって記録されたパターンの反射光学濃度の説明図であり、部分Pcに対応する位置の反射高度が低くなる。
これらの図35と図36を比較した場合、反射光学濃度の低下に及ぼす影響は、前者の双方向記録におけるインク滴の着弾位置のずれの方が大きい。
図37は、記録位置調整用のパターンの説明図である。
本例のパターンは、6つの調整項目AからFに対応する。調整項目Aに対応するパターンは、ブラックインクを吐出する奇数ノズルと偶数ノズルとの間の記録位置調整用のパターンであり、インクの吐出タイミングが異なるaからkの11個のパッチから構成される。調整項目Bに対応するパターンは、シアンインクを吐出する奇数ノズルと偶数ノズルとの間の記録位置調整用のパターンであり、インクの吐出タイミングが異なるaからkの11個のパッチから構成される。調整項目Cに対応するパターンは、マゼンタインクを吐出する奇数ノズルと偶数ノズルとの間の記録位置調整用のパターンであり、インクの吐出タイミングが異なるaからkの11個のパッチから構成される。調整項目Dに対応するパターンは、ブラックインクによる往路記録と復路記録との間の記録位置調整用のパターンであり、インクの吐出タイミングが異なるaからkの11個のパッチから構成される。調整項目Eに対応するパターンは、シアンインクによる往路記録と復路記録との間の記録位置調整用のパターンであり、インクの吐出タイミングが異なるaからkの11個のパッチから構成される。調整項目Fに対応するパターンは、ブラックインク吐出用のノズル列と、カラーインク吐出用のノズル列と、の間の記録位置調整用のパターンであり、インクの吐出タイミングが異なるaからkの11個のパッチから構成される。カラーインク吐出用のノズル列は、シアンインクやマゼンタインクなどのカラーインクを吐出用するためのノズル列である。
項目A,B,Cのパターンは、偶数ノズルと奇数ノズルから吐出されるインク滴の吐出方向および吐出速度の違いから生じる着弾位置のずれの補正値を求めるためのものであり、往方向走査のみによって1パス記録方式(非マルチパス記録方式)により記録される。11個のパッチaからkは、偶数ノズルからインク滴を吐出してから、奇数ノズルから異なるタイミングでインク滴を吐出することによって記録される。偶数ノズルと奇数ノズルから吐出されるインク滴の吐出方向と吐出速度が全く同一だった場合に、それらのインク滴が同じカラム上に着弾する吐出タイミングによってパッチfを記録し、それを「0」パッチとする。その「0」パッチ(パッチf)を基準として、奇数ノズルから吐出されるインク滴の着弾位置を1200DPI単位でプラス方向およびマイナス方向に1から5画素ずらすように、パッチaからe、およびパッチgからkを記録する。本例においては、奇数ノズルの吐出タイミングを遅くする方向をプラス方向、それを早くする方向をマイナス方向とする。その吐出タイミングをプラス方向にずらした場合には、偶数ノズルによって形成されるドットの位置に対して、奇数ノズルによって形成されるドットの位置が走査方向側にずれることになる。それぞれのパッチaからkは、記録デューティーが50%の均一なパターンである。
項目DおよびEのパターンは、往路記録と復路記録との間におけるインク滴の着弾位置のずれの補正値を求めるためのものであり、偶数ノズルのみを用いて記録される。パッチaからkは、記録デューティーが25%の均一なパターンであり、偶数ノズルのみを使用して、マルチパス記録方式により双方向記録される。11個のパッチaからkは、復路記録時におけるインク滴の吐出タイミングが異なる。インク滴の吐出速度が15m/s、記録ヘッドと記録媒体との間隔(紙間)が1.6mmである場合に、
往路記録時と復路記録時に吐出されるインク滴が同じカラム上に着弾する吐出タイミングによってパッチfを記録し、それを「0」パッチとする。その「0」パッチ(パッチf)を基準として、復路記録時に吐出されるインク滴の着弾位置を1200DPI単位でプラス方向およびマイナス方向に1から5画素ずらすように、パッチaからe、およびパッチgからkを記録する。本例においては、復路記録時の吐出タイミングを遅くする方向をプラス方向、それを早くする方向をマイナス方向とする。
項目Fのパターンは、ブラックインク吐出用のノズルと、カラーインク吐出用のノズルと、の間におけるインク滴の着弾位置のずれの補正値を求めるためのものであり、偶数ノズルのみを用いて、マルチパス記録方式により片方向記録される。パッチaからkは、ブラックインクと、カラーインク(例えば、シアン、マゼンタ、またはイエローのインク)と、による記録デューティが共に同じであり、かつ、それらのインクによるトータルの記録デューティーが25%の均一なパターンである。11個のパッチaからkは、ブラックインクを吐出してから、カラーインクを異なるタイミングで吐出することによって記録される。ブラックインク吐出用のノズルとカラーインク吐出用のノズルから吐出されるインク滴の吐出方向と吐出速度が全く同一だった場合に、それらのインク滴が同じカラム上に着弾する吐出タイミングによってパッチfを記録し、それを「0」パッチとする。その「0」パッチ(パッチf)を基準として、カラーインクの着弾位置を1200DPI単位でプラス方向およびマイナス方向に1から5画素ずらすように、パッチaからe、およびパッチgからkを記録する。本例においては、カラーインクの吐出タイミングを遅くする方向をプラス方向、それを早くする方向をマイナス方向とする。
本例において、項目AからFに対応するパターンは、以下の理由により、その順番に並んでいない。
すなわち、本例における複数のプラテンリブ207は、図38(a),(b)のように、異なる長さをもっている。位置R3,R5のプラテンリブ207は長く(長さLa)、位置R1,R2,R4,R6,R7,R8のプラテンリブ207は短い(長さLb)。記録媒体の節約の観点からは、1つの記録媒体上に項目AからFのパターンを記録することが好ましい。それらのパターンを同じ記録媒体上に同時に記録する場合には、位置R3,R5の長いプラテンリブ207によって保持される記録媒体の部分に、比較的高い検出精度を必要とする項目D,Eのパターンを記録する。高い検出精度を必要としない項目A,B,C,Fのパターンは、他の短いプラテンリブ207によって保持される記録媒体の部分に記録すればよい。
そのためには、前述した実施形態とは、図20のフローチャートにおけるステップS202,S203の処理が異なる。すなわち、第1の実施形態の場合には、図21のように、1つのパターン位置定数が格納されており、第2の実施形態の場合には、図23のように、複数のプラテンリブに対応するパターン位置定数が回復ユニット側にプラテンリブの順に格納されている。本実施形態の場合は、図39のように、複数のプラテンリブに対応するパターン位置定数が給紙元テーブルに格納されており、位置R3,R5における長いプラテンリブ207上の記録媒体の部分に、項目D,Eのパターンが記録されるように格納されている。ステップ202においては、このように格納されたパターン位置定数を読み出す。そして、ステップS203において、記録パターン位置定数X[1]からX[6]の値が設定され、ステップS204において、記録位置調整シーケンスを実行することにより、図38(a),(b)のように、記録位置調整用のパターンを記録することができる。
(他の実施形態)
本発明は、記録剤や記録方式の種類、および記録ヘッドや記録装置の構成を特に限定するものではない。例えば、記録剤として、トナーなどの種々のものを用いることができる。また、記録装置としては、上述した実施形態のようなシリアルスキャンタイプの他、プリント媒体の幅方向に延在する長尺な記録ヘッドを用いた、いわゆるフルラインタイプなどであってもよい。
記録位置調整用パターンは、その記録結果を光学センサによって検出して記録位置の調整値が取得できるパターンであればよく、何ら、上述した実施形態のみに特定されない。例えば、上述したように、2つの記録位置を相対的にずらしたパターンの他、3つ以上の記録位置を相対的にずらしたパターン、記録条件を様々に異ならせたパターン、所定の記録条件下において記録したパターンなどであってもよい。
記録媒体上における記録位置調整用パターンの記録位置は、前述したように格納されている情報に基づいて設定するだけではなく、記録媒体の端部を検出し、その端部位置や記録媒体の幅などに応じて、記録位置調整用パターンのレイアウトを変更してもよい。
また本発明は、記録媒体の搬送路中に、記録媒体の幅方向に間隔をおいて位置する複数のプラテンリブを備えた種々の記録装置に対して、広く適用することができる。すなわち、複数のプラテンリブ上に支持される記録媒体に記録材を付与することによって、画像を記録可能であり、かつ記録材の付与位置を調整するためのパターンを記録可能な記録装置であればよい。本発明は、このような記録装置において、プラテンリブと記録媒体との位置関係に基づいて、プラテンリブ上に位置する記録媒体の部分にパターンを記録するように、パターンの記録位置を制御することができればよい。例えば、搬送路が複数の供給元から供給される記録媒体を搬送可能であって、プラテンリブに対する記録媒体の位置が供給元に応じて異なる場合には、供給元に応じてパターンの記録位置を制御することができればよい。
複数のプラテンリブは、記録媒体の幅方向に等間隔に位置するものであってもよく、あるいは、記録媒体の幅方向に2つ上の異なる間隔で位置するものであってもよい。
また、記録媒体の幅方向におけるパターンの記録数は、記録媒体の幅に応じて異ならせてもよく、記録媒体の幅が大きい場合にはパターンの記録数を多くして、より効率よく複数のパターンを記録することができる。その場合には、記録媒体の幅を検出するための検出部を備え、その検出部の検出結果に応じて、記録媒体の幅方向におけるパターンの記録数を変更してもよい。
また、記録材としては、記録媒体の搬送方向と交差する方向に往復移動可能な記録ヘッドから吐出されるインクを用いることができる。その場合には、パターンとして、記録ヘッドが往方向に移動するときに吐出されるインクの着弾位置と、それが復方向に移動するときに吐出されるインクの着弾位置と、の位置関係を調整するための往復走査時の記録位置調整用パターンを記録することができる。さらに、複数のプラテンリブは、記録媒体の搬送方向における長さが2つ以上の異なる長さをもつものであってもよい。その場合、往復走査時の記録位置調整用パターンは、最も長いプラテンリブ上に位置する前記記録媒体の部分を含む位置に、記録することが好ましい。
また、記録ヘッドとしては、その往復移動方向と交差する方向に配列された複数のノズルからインクを吐出可能なインクジェット記録ヘッドを用いることができる。それらのノズルは、配列方向において奇数番目に位置する奇数ノズルと、偶数番目に位置する偶数ノズルと、を含むことができる。その場合、パターンとして、奇数ノズルから吐出されるインクの着弾位置と、偶数ノズルから吐出されるインクの着弾位置と、の位置関係を調整するための記録位置調整用パターンを記録することができる。
また本発明は、記録媒体上におけるパターンの記録結果を検出するための光学センサを用い、その光学センサの検出結果に基づいて記録材の付与位置を調整することもできる。