JP5704403B2 - 車体後部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、
リヤフェンダにリヤコンビネーションランプが設けられている車体後部構造に関する。
車両が走行中に車体に受ける走行風は、車体側面に沿って流れた後、車体後部で車体後面に巻き込まれる流れとなることが多い。このような流れになると、走行風が車両後方の気圧を下げ、車体を後方に引っ張る要因となる。
この問題に対して、例えば特許文献1に開示されているように、車両前後方向へ直線状に延出されたリヤフェンダ本体と、リヤフェンダ本体の後端から車内側へ湾曲されて車体の後側角部を構成する湾曲部とをリヤフェンダに設け、車両の前方から流れてきた走行風を当てて剥離させる突出部を前記湾曲部の外面に設け、突出部の前端縁を斜め後ろ下方に延出させた構造があった。
上記従来の技術によれば、剥離した走行風の下縁を前記突出部によって斜め後ろ下方に向かわせることができ、このように斜め後ろ下方に向かう走行風と、リヤホイールハウスの前半で剥離して後方に流れる乱れた走行風との相乗効果により、前記突出部で剥離した走行風を後方へ逃がして車体後面への走行風の巻き込みを防止することができる。
特許第4321063号公報
しかしながら、上記従来の構造の様にリヤフェンダパネルに突出部を設けた構造ではデザイン的な制約が多く、デザインの自由度を上げることが困難であり、上記従来の構造は、車体側面から車体後面に向かって連続した滑らかなつながりを持つ丸い形状のデザインには適していなかった。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、車体後面への走行風の巻き込みを防止できる構造でありながら、デザインの自由度を上げることができ、車体側面から車体後面に向かって連続した滑らかなつながりを持つ丸い形状のデザインにも適用できる車体後部構造を提供する点にある。
本発明の特徴は、
リヤフェンダにリヤコンビネーションランプが設けられている車体後部構造であって、
前記リヤフェンダに車両側面視で円弧状の背面が形成され、
前記リヤコンビネーションランプは、車両側面視で前記リヤフェンダの背面に沿う円弧状に前記背面から突出するとともに、車幅方向に幅狭のフィン状に形成されている点にある。(請求項1)
前方から車両側面に沿って流れる走行風は、リヤバンパとリヤドアとの間のリヤフェンダのゆるやかな曲面の外面上では、流れが剥離することなく車体後面に回り込もうとする。
しかし、本発明の上記構成によれば、前記リヤフェンダに車両側面視で円弧状の背面が形成され、前記リヤコンビネーションランプは、車両側面視で前記リヤフェンダの背面に沿う円弧状に前記背面から突出しているから、車体後面に回り込もうとする走行風にリヤコンビネーションランプの側面が立ちはだかり、走行風が車体後面に回り込むのを阻止することができる。
また、リヤコンビネーションランプは車幅方向に幅狭のフィン状に形成されているから、リヤコンビネーションランプがリヤフェンダの背面に沿って線状に延びた状態になり、リヤフェンダの曲面状の背面の流れるイメージがリヤコンビネーションランプで分断・阻害されるのを防ぐことができる。
つまり、車体側面から車体後面に向かって連続した滑らかなつながりを持つ丸い形状のデザインにも本発明の上記構成を適用することができる。(請求項1)
本発明において、
前記リヤコンビネーションランプの上端はウエストラインよりも上方に配置されていると、次の作用を奏することができる。(請求項2)
前記リヤコンビネーションランプの上端はウエストラインよりも上方に配置されているから、ウエストラインを乗り越えた走行風が車体後面に巻き込まれることをリヤコンビネーションランプで確実に阻止することができる。(請求項2)
本発明において、
前記リヤコンビネーションランプは前記リヤフェンダの背面に車幅方向に複数並設されていると、次の作用を奏することができる。(請求項3)
車幅方向外側のリヤコンビネーションランプを乗り越えて車体後面側に入り込もうとする走行風を、車幅方向内側のリヤコンビネーションランプで阻止することができる。
また、リヤコンビネーションランプが複数設けられていることで、リヤコンビネーションランプを幅狭のフィン状にしたにもかかわらず、必要な光量を確保することができる。(請求項3)
本発明において、
前記リヤコンビネーションランプの光源はLEDランプで構成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項4)
前記リヤコンビネーションランプの光源はLEDランプで構成されているから、リヤコンビネーションランプ内の幅狭のスペースに光源の配置が可能となり、光量の増加も可能となる。
言い換えれば、リヤコンビネーションランプの光源がLEDランプで構成されていることで、リヤコンビネーションランプの幅を薄くできて、リヤコンビネーションランプの曲面状の背面の流れに沿った線状に形成することができ、デザインの流れるような丸みを帯びた意匠を保つことができる。(請求項4)
本発明によれば、
車体後面への走行風の巻き込みを防止できる構造でありながら、デザインの自由度を上げることができ、車体側面から車体後面に向かって連続した滑らかなつながりを持つ丸い形状のデザインにも適用できる車体後部構造を提供することができた。
右斜め後方から見た自動車の斜視図 車体後部の側面図 車体後部の平面図 車体後部の後面図 車両側面に沿って流れた走行風が車体後面に流れ込むのをリヤコンビネーションランプにより阻止している様子を示す平面図 走行風の流れを示す斜視図
以下、本発明の車体後部構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の車体後部構造は左右対称であり、本実施形態及び別実施形態では、右側の車体後部構造を例に挙げて説明し、左側の車体後部構造については説明を省略する。
図1に示すように、ホイールハウスを形成するリヤフェンダ1が自動車のリヤドア2とリヤバンパ3の間に配置され、リヤコンビネーションランプ4がリヤフェンダ1に設けられている。リヤフェンダ1の下部は後輪5の上部を側方(車幅方向外側W2、図3,図4参照)から覆っている。
前記自動車の車体側面には、フロントドア6からリヤドア2にかけて車両前後方向に略直線状のウエストラインL1が形成され、リヤフェンダ1の領域において、ウエストラインL1に連続する後ろ側ラインL2がホイールハウスの開口に沿って大きく円弧を描いて下方に延びている。そして、後ろ側ラインL2がリヤバンパ3の側面と後面との境の角部の縦ラインL3の上端に接続している。
図2〜図4にも示すように、前記ホイールハウスの開口とバックドア7の側縁との間のリヤフェンダ1の外面(表面)は、縦断正面視(あるいは縦断後面視)で車幅方向内側W1ほど上方に位置する円弧状に形成されて、車幅方向中央に向けて次第に盛り上がる滑らかな曲面に形成されている。また、前記リヤフェンダ1の外面は縦断側面視で円弧状に形成され、下方のリヤバンパ3の後面に滑らかに接続している。
これにより、リヤフェンダ1に車両側面視で円弧状の背面8が形成されている。このような形状の特徴を車体後部に持たせることにより、リヤフェンダ1の側面12と背面8が連続して丸みを帯びた車体後部デザイン形状を形成している。
前記リヤコンビネーションランプ4は、リヤフェンダ1の背面8に車幅方向に複数(本実施形態では一対)並設され、車両側面視でリヤフェンダ1の背面8に沿う円弧状に前記背面8から突出するとともに、車幅方向に幅狭のフィン状に形成され、縦断面において上窄まりの縦長の円弧状に形成されている。その結果、リヤフェンダ1が、ウエストラインL1に連続する前記後ろ側ラインL2と類似のイメージとなっている。
図3,図4に示すように、前記複数のリヤコンビネーションランプ4は、車両後方側Rrほど車幅方向内側W1に位置するように傾斜している。また、図2に示すように、リヤコンビネーションランプ4の上端4JはウエストラインL1よりも上方に配置され、車幅方向内側W1のリヤコンビネーションランプ4の頂面4T1は、車幅方向外側W2のリヤコンビネーションランプ4の頂面4T2よりも前記背面8の径方向外方側に位置している。リヤコンビネーションランプ4の光源はバルブランプではなくLEDランプで構成されている。
前記リヤコンビネーションランプ4の長手方向両端部4A,4Bの頂面4T1,4T2はリヤフェンダ1の背面8に滑らかに接続している。符号4Cはリヤコンビネーションランプ4の長手方向中間部である。
そして、図3に示すように、平面視においてリヤコンビネーションランプ4の車両前方側Frの端部4Aは、車両前方側Frに向かって円弧状に窄まり、リヤコンビネーションランプ4の車両後方側Rrの端部4Bは、車両後方側Rrに向かって円弧状に窄まっている。
さらに、平面視において、リヤコンビネーションランプ4の車両後方側Rrの端部4Bの後端4B1は、リヤコンビネーションランプ4の車幅方向内側W1の側縁4D1と車幅方向外側W2の側縁4D2とのうち、車幅方向内側W1の側縁4D1側に位置する。そして、前記車幅方向外側W2の側縁4D2の後端部は前端部よりも大きな曲率半径の円弧状に形成されて前記後端4B1に接続している。
これにより、車両前方側Frから車両側面に沿って流れてきて車体後面に回り込もうとする走行風を、リヤコンビネーションランプ4の車幅方向外側W2の側面によって、より円滑に車両後方側Rrに流すことができる。
前記リヤフェンダ1の領域にはブレーキランプ、ハザードランプなどのランプ類を配置しなければならず、これらのランプの形状によっては、連続した丸みを帯びた車体後部デザイン形状の特徴を損なう虞がある。そのため、なるべく車体形状に沿って滑らかな曲面を持たせた形状にする必要がある。その一方、リヤフェンダ1及びリヤコンビネーションランプ4の形状によっては、前記リヤフェンダ1の領域は車体側面に沿って流れてきた走行風が、速度を増した状態で車体後面に巻き込まれ、車体後部の圧力を低下させて車体を後方に引っ張る力を発生させやすい。
これに対して本発明の上記の構成によれば、次の作用効果を奏することができる。
(1) 図6に示すように、前方から車両側面に沿って流れる走行風(図6に多数の細線Xで示してある)はリヤバンパ3に近い下側ではウエストラインL1に連続した後ろ側ラインL2で剥離しているが、リヤバンパ3とリヤドア2との間のリヤフェンダ1のゆるやかな曲面の背面8上(図6のZの範囲)では、リヤフェンダ1に滑らかな丸みを持たせたデザインの為、走行風が剥離することなくウエストラインL1を越えて、車体後面に回り込もうとする。しかし、この回り込もうとした走行風に略垂直にリヤコンビネーションランプ4の側面が立ちはだかり、走行風が車体後面に回り込むのを阻止することができる。
図5に示すように、リヤコンビネーションランプ4により走行風(図5に細線Xで示してある)の車体後面への回り込みが阻止されて、走行風が後方に向かっている様子を確認することができる。
また、リヤコンビネーションランプ4は車幅方向に幅狭のフィン状に形成されているから、リヤコンビネーションランプ4がリヤフェンダ1の背面8に沿って線状に延びた状態になり、リヤフェンダ1の曲面状の背面8の流れるイメージがリヤコンビネーションランプ4で分断・阻害されるのを防ぐことができる。
つまり、車体側面から車体後面に向かって連続した滑らかなつながりを持つ丸い形状のデザインにも本発明の上記構成を適用することができる。
(2) 前記リヤコンビネーションランプ4の上端4JはウエストラインL1よりも上方に配置されているから、ウエストラインL1を乗り越えた走行風が車体後面に巻き込まれることをリヤコンビネーションランプ4で確実に阻止することができる。
(3) 前記リヤコンビネーションランプ4はリヤフェンダ1の背面8に車幅方向に複数並設されているから、車幅方向外側W2のリヤコンビネーションランプ4を乗り越えて車体後面側に入り込もうとする走行風を、車幅方向内側W1のリヤコンビネーションランプ4で阻止することができる。
そして、車幅方向内側W1のリヤコンビネーションランプ4の頂面4T1が、車幅方向外側W2のリヤコンビネーションランプ4の頂面4T2よりも前記背面8の径方向外方側に位置しているから、前記走行風を、車幅方向内側W1のリヤコンビネーションランプ4でより確実に阻止することができる。
また、リヤコンビネーションランプ4が複数設けられていることで、リヤコンビネーションランプ4を幅狭のフィン状にしたにもかかわらず、必要な光量を確保することができる。
(4) 前記リヤコンビネーションランプ4の光源はLEDランプで構成されているから、リヤコンビネーションランプ4内の幅狭のスペースに光源の配置が可能となり、光量の増加も可能となる。
言い換えれば、リヤコンビネーションランプ4の光源がLEDランプで構成されていることで、リヤコンビネーションランプ4の幅みを薄くできて、リヤコンビネーションランプ4の曲面状の背面8の流れに沿った線状に形成することができ、デザインの流れるような丸みを帯びた意匠を保つことができる。
[別実施形態]
前記リヤコンビネーションランプ4は2個に限らず、3個以上のリヤコンビネーションランプ4がリヤフェンダ1の背面8に車幅方向に並設されていてもよい。
1 リヤフェンダ
4 リヤコンビネーションランプ
4J リヤコンビネーションランプの上端
8 リヤフェンダの背面
L1 ウエストライン

Claims (4)

  1. リヤフェンダにリヤコンビネーションランプが設けられている車体後部構造であって、
    前記リヤフェンダに車両側面視で円弧状の背面が形成され、
    前記リヤコンビネーションランプは、車両側面視で前記リヤフェンダの背面に沿う円弧状に前記背面から突出するとともに、車幅方向に幅狭のフィン状に形成されている車体後部構造。
  2. 前記リヤコンビネーションランプの上端はウエストラインよりも上方に配置されている請求項1記載の車体後部構造。
  3. 前記リヤコンビネーションランプは前記リヤフェンダの背面に車幅方向に複数並設されている請求項1又は2記載の車体後部構造。
  4. 前記リヤコンビネーションランプの光源はLEDランプで構成されている請求項1〜3のいずれか一つに記載の車体後部構造。
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