JP5703694B2 - 繊維強化樹脂製管状体、ゴルフクラブ用シャフト、およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
つまり、マトリックス樹脂にはエポキシ樹脂が多く使用されるが、エポキシ樹脂は、加熱硬化の過程で体積が大きく収縮する。一方、マトリックス樹脂の熱収縮率に対し、強化繊維の熱収縮率は極めて小さい。これにより、バイアス層やストレート層を形成するプリプレグの加熱硬化の際には、強化繊維の配向方向の熱収縮に対し、該強化繊維に対して垂直な方向の熱収縮が大きく、熱収縮に異方性が生じる。バイアス層とストレート層では、強化繊維の配向方向が異なっているため、熱収縮方向も互いに異なり、それらの層間で熱残留ひずみエネルギーが高い状態となる。熱残留ひずみエネルギーが高いと、バイアス層やストレート層の構造が不安定となるため、曲がりや反り生じやすくなる。特許文献1〜4に記載のゴルフクラブ用シャフトは、バイアス層とストレート層が交互に配置されているため、単にバイアス層とストレート層を有するゴルフクラブ用シャフトに比べて熱残留ひずみエネルギーが大きく、曲がりや反りが生じやすい。
[1]繊維強化樹脂製の第1のバイアス層、ストレート層、および第2のバイアス層が、内側から順に、同じ巻き方向で管状に巻かれた繊維強化樹脂製管状体であって、
前記第1のバイアス層は、管状体の軸方向に対して−α1°(ただし、30°≦α1°≦60°)の配向角度で強化繊維が配向したアングル層と、+α2°(ただし、30°≦α2°≦60°)の配向角度で強化繊維が配向したアングル層とが貼り合わされた層であり、
前記ストレート層は、管状体の軸方向に対して強化繊維が略平行に配向した層であり、
前記第2のバイアス層は、管状体の軸方向に対して−β1°(ただし、30°≦β1°≦60°)の配向角度で強化繊維が配向したアングル層と、+β2°(ただし、30°≦β2°≦60°)の配向角度で強化繊維が配向したアングル層とが貼り合わされた層であり、
前記第1のバイアス層の巻き始めの位置と前記第2のバイアス層の巻き始めの位置が、3/16〜5/16周ずれており、
かつ、前記第2のバイアス層の巻き始めの位置が、前記ストレート層の巻き始めの位置に対して、巻き方向と逆方向に向かって、3/16〜5/16周ずれていることを特徴とする繊維強化樹脂製管状体。
[2]前記第1のバイアス層が最内層である、[1]に記載の繊維強化樹脂製管状体。
[3]前記第1のバイアス層の2つのアングル層が、管状体の周方向に7/16〜9/16周ずれるように貼り合わされており、
前記第2のバイアス層の2つのアングル層が、管状体の周方向に7/16〜9/16周ずれるように貼り合わされている、[1]または[2]に記載の繊維強化樹脂製管状体。
[4]前記強化繊維が炭素繊維である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂製管状体。
[5][1]〜[4]のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂製管状体からなるゴルフクラブ用シャフト。
[6][1]〜[4]のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂製管状体の製造方法であって、
前記第1のバイアス層を形成するプリプレグ(A)と、前記ストレート層を形成するプリプレグ(B)と、前記第2のバイアス層を形成するプリプレグ(C)とを、順にマンドレルに巻き付ける工程を有し、
前記プリプレグ(A)と前記プリプレグ(C)の巻き始めの位置を3/16〜5/16周ずらし、かつ、前記プリプレグ(C)の巻き始めの位置を、前記プリプレグ(B)の巻き始めの位置に対して、巻き方向と逆方向に向かって3/16〜5/16周ずらす、繊維強化樹脂製管状体の製造方法。
[7][6]に記載の繊維強化樹脂製管状体の製造方法を用いたゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
また、本発明の製造方法によれば、ねじり剛性を高めつつ、曲がりや反りが抑制された高品質な繊維強化樹脂製管状体およびゴルフクラブ用シャフトが得られる。
本発明の繊維強化樹脂製管状体(以下、単に「管状体」という。)は、後述する繊維強化樹脂製の第1のバイアス層、ストレート層、および第2のバイアス層が、内側から順に、同じ巻き方向で管状に巻かれた管状体である。
前記第1のバイアス層とは、条件を満たすバイアス層のうち、最も内側のバイアス層を意味する。また、前記第1のバイアス層、ストレート層、第2のバイアス層は、この順に連続して巻かれるものであり、それらの層の間には他の層を設けない。
本実施形態の管状体10は、図1〜4に示すように、細径端10aから太径端10bに向かって漸次拡径した管状体であり、第1のバイアス層11、第1のストレート層21、および第2のバイアス層12を有し、これらの層がこの順に内側から管状に巻かれて形成されている。第1のバイアス層11、第1のストレート層21、および第2のバイアス層12は、細径端10aから太径端10bまで、全体に亘って形成されている。
第1のバイアス層11、第1のストレート層21、第2のバイアス層12、第2のストレート層22、第3のバイアス層13、第3のストレート層23、補強層24および外径調整層25の巻き方向は、全て同じ方向である。
前記配向角度α1°、α2°が30°より小さいと、管状体10の曲げ剛性が高くなるものの、ねじり剛性が小さくなりやすい。また、前記配向角度α1°、α2°が60°より大きいと、管状体10の潰し剛性が高くなるものの、ねじり剛性が小さくなりやすい。
各アングル層における強化繊維の配向角度α1°とα2°の絶対値は、同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
第1のバイアス層11の厚さは、充分なねじり剛性が得られやすい点から、0.10mm以上が好ましい。
第1のストレート層21を構成する強化繊維は、第1のバイアス層11で挙げたものと同じものが挙げられ、炭素繊維が好ましい。
前記配向角度β1°、β2°が30°より小さいと、管状体10の曲げ剛性が高くなるものの、ねじり剛性が小さくなりやすい。また、前記配向角度β1°、β2°が60°より大きいと、管状体10の潰し剛性が高くなるものの、ねじり剛性が小さくなりやすい。
各アングル層における強化繊維の配向角度β1°とβ2°の絶対値は、同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。また、第1のバイアス層11の各アングル層における強化繊維の配向角度α1°、α2°と、第2のバイアス層12の各アングル層における強化繊維の配向角度β1°、β2°の絶対値は、互いに同じであっても異なっていてもよいが、配向角度α1°、α2°、β1°、β2°の絶対値が互いに同じであることが好ましい。
また、第2のバイアス層12の厚さは、充分なねじり剛性が得られやすい点から、0.10mm以上が好ましい。
このように、第1のバイアス層11、第1のストレート層21、第2のバイアス層12のそれぞれの巻き始めの位置を制御することで、管状体10のねじり剛性を高くしつつ、曲がりや反りを抑制できる。
第2のバイアス層12の巻き始めの位置は、第1のバイアス層11の巻き始めの位置に対して、巻き方向に向かってずれていてもよく、巻き方向と逆方向に向かってずれていてもよい。
(1)第1のバイアス層11が、管状体10の周方向における地点aを巻き始めの位置として地点c側に向かう方向に巻かれており、第1のストレート層21が、地点bを巻き始め位置として地点d側に向かう方向に巻かれており、第2のバイアス層12が、地点cを巻き始め位置として地点b側に向かう方向に巻かれている形態。この形態では、第2のバイアス層12の巻き始めの位置(地点c)は、第1のバイアス層11の巻き始めの位置(地点a)に対して、巻き方向に1/4周ずれている。また、第2のバイアス層12の巻き始めの位置(地点c)は、第1のストレート層21の巻き始めの位置(地点b)に対して、巻き方向と逆方向に1/4周ずれている。
(2)第1のバイアス層11が、管状体10の周方向における地点aを巻き始めの位置として地点c側に向かう方向に巻かれており、第1のストレート層21が、地点aを巻き始め位置として地点c側に向かう方向に巻かれており、第2のバイアス層12が、地点dを巻き始め位置として地点a側に向かう方向に巻かれている形態。この形態では、第2のバイアス層12の巻き始めの位置(地点d)は、第1のバイアス層11の巻き始めの位置(地点a)に対して、巻き方向と逆方向に1/4周ずれている。また、第2のバイアス層12の巻き始めの位置(地点d)は、第1のストレート層21の巻き始めの位置(地点a)に対して、巻き方向と逆方向に1/4周ずれている。
第1のストレート層11の巻き始めの位置と第2のバイアス層12の巻き始めの位置とのずれは、3/16〜5/16周が好ましく、7/32〜9/32周がより好ましく、1/4周が特に好ましい。
第2のストレート層22としては、第1のストレート層21と同じ層が挙げられ、好ましい態様も同じである。
第3のバイアス層13が、管状体10の細径端10aから、管状体10の全長の5%以上の長さに亘って設けられることにより、管状体10の細径端10a側のねじり剛性が向上する。また、第3のバイアス層13が、管状体10の細径端10aから、管状体10の全長の50%以下の長さに亘って形成されていることにより、管状体10の重量増加を抑制しやすい。
第3のバイアス層13は、この例の管状体10のように、テーパー付き管状体における細径端部のねじり剛性を向上させるのに特に有効である。
第3のバイアス層13におけるアングル層の一層あたりの厚さは、第1のバイアス層11と同じ理由から、0.10mm以下が好ましく、0.06mm以下がより好ましい。
また、第3のバイアス層13の厚さは、充分なねじり剛性が得られやすい点から、0.10mm以上が好ましい。
第3のストレート層23としては、第1のストレート層21と同じ層が挙げられ、好ましい態様も同じである。
補強層24は、管状体10の細径端10a側の特に補強したい部分に設けられる。補強層24は、目的の機能を果たすような寸法にされていること以外は第1のストレート層21と同じもので構成される。
また、管状体10では、短尺バイアス層である第3のバイアス層13によって、細径端10a側のねじり剛性のさらなる向上と、管状体10の軽量化を両立できる。また、管状体10は、ストレート層を3層以上備えているため、ねじり剛性および曲げ剛性がさらに向上する。加えて、管状体10は、バイアス層とストレート層が交互に配置されているため、ねじり剛性と曲げ剛性のバランスが優れている。また、管状体10は、第1のバイアス層11を最内層とし、2層以上のバイアス層を備えていることで、曲げ剛性が特に高くなる。
また、管状体10では、第1のバイアス層11、第1のストレート層21、第2のバイアス層12は、管状体10の軸方向の全体に亘って配置されているが、必ずしも全体に亘っていなくてもよい。ただし、管状体の全体に亘って、ねじり剛性を高めつつ、曲げおよび反りを抑制する効果が充分に得られやすい点から、第1のバイアス層11、第1のストレート層21、第2のバイアス層12は、管状体10の軸方向の全体に亘って配置されていることが好ましい。
本発明のゴルフクラブ用シャフトは、本発明の管状体からなるシャフトである。例えば、前述の管状体10は、細径端10a側にゴルフクラブヘッド、太径端10b側にグリップを設けて、ゴルフクラブ用シャフトとして使用できる。
以下、本発明の管状体およびゴルフクラブ用シャフトの製造方法の一例として、ゴルフクラブ用シャフトとして使用する前記管状体10の製造方法について説明する。
管状体10の製造方法としては、例えば、下記工程(i)および工程(ii)を有する方法が挙げられる。
(i)図5に例示したマンドレル30に、第1のバイアス層11を形成するプリプレグ(A)11a、第1のストレート層21を形成するプリプレグ(B)21a、第2のバイアス層12を形成するプリプレグ(C)12a、第2のストレート層22を形成するプリプレグ22a、第3のバイアス層13を形成するプリプレグ13a、第3のストレート層23を形成するプリプレグ23a、補強層24を形成するプリプレグ24a、および外径調整層25を形成するプリプレグ25aを、順に巻き付けて未硬化の成形品を得る工程。
(ii)前記未硬化の成形品を加熱し、樹脂成分を硬化させて管状体10を得る工程。
第2のバイアス層12を形成するプリプレグ(C)12aも同様に、−β1°と+β2°の配向角度で強化繊維がそれぞれ配向した2つのプリプレグを、マンドレル30に巻き付ける際に、7/16〜9/16周ずれるように貼り合わすことが好ましく、1/2周ずれるように貼り合わすことが特に好ましい。
また、プリプレグ(A)11a、プリプレグ(C)12aを構成するアングル層の一層あたりの厚さは、0.10mm以下が好ましく、0.06mm以下がより好ましい。
まず、マンドレル30に、図5に例示した第1のバイアス層11を形成するプリプレグ(A)11aと、第1のストレート層21を形成するプリプレグ(B)21aと、第2のバイアス層12を形成するプリプレグ(C)12aを順に巻き付ける。このとき、プリプレグ(A)11aとプリプレグ(C)12aの巻き始めの位置を3/16〜5/16周ずらし、かつ、プリプレグ(C)12aの巻き始めの位置を、プリプレグ(B)21aの巻き始めの位置に対して、巻き方向と逆方向に向かって3/16〜5/16周ずらすようにする。
プリプレグ(C)12aの巻き始めの位置は、プリプレグ(A)11aの巻き始めの位置に対して、巻き方向に向かってずらしてもよく、巻き方向と逆方向に向かってずらしてもよい。
第1のバイアス層11を形成するプリプレグ(A)11aを、地点aを巻き始めの位置として、地点cに向かう方向に巻き付ける。次に、第1のストレート層21を形成するプリプレグ(B)21aを、地点bを巻き始め位置として、地点dに向かう方向に巻き付ける。そして、第2のバイアス層12を形成するプリプレグ(C)12aを、地点cを巻き始め位置として、地点bに向かう方向に巻き付ける。これにより、プリプレグ(C)12aの巻き始めの位置(地点c)は、プリプレグ(A)11aの巻き始めの位置(地点a)に対して、巻き方向に向かって1/4周ずれる。また、プリプレグ(C)12aの巻き始めの位置(地点c)は、プリプレグ(B)21aの巻き始めの位置(地点b)に対して、巻き方向と逆方向に向かって1/4周ずれる。
プリプレグ(B)21aの巻き始めの位置とプリプレグ(C)12aの巻き始めの位置とのずれは、3/16〜5/16周が好ましく、7/32〜9/32周がより好ましく、1/4周が特に好ましい。
また、マンドレル30の軸方向に対してプリプレグ(B)21aの強化繊維を略平行とすることで、第1のストレート層21の強化繊維が管状体10の軸方向に対して略平行に配向する。
また、プリプレグ(A)11aの巻き付けと同様に、マンドレル30の軸方向に対するプリプレグ(C)12aの強化繊維の配向角度を調整することで、第2のバイアス層12の各アングル層の強化繊維の配向角度をそれぞれ−β1°と+β2°とすることができる。
プリプレグ22aの巻き始めの位置は、特に限定されず、得られる管状体10の厚さの斑が小さくなり、より均質性の高い管状体10を得やすい点から、プリプレグ(C)12aの巻き始めの位置に対して、3/16〜5/16周ずらすことが好ましく、7/32〜9/32周ずらすことがより好ましく、1/4周ずらすことが特に好ましい。
プリプレグ13aおよびプリプレグ23aの巻き始めの位置も、プリプレグ22aと同様に、均質性の高い管状体10を得やすい点から、それぞれ3/16〜5/16周ずらすことが好ましく、7/32〜9/32周ずらすことがより好ましく、1/4周ずらすことが特に好ましい。
第2のストレート層22、第3のバイアス層13、第3のストレート層における強化繊維の配向角度については、第1のバイアス層11、第1のストレート層21の場合と同様に調整できる。
プリプレグ24aおよびプリプレグ25aの巻き始めの位置は特に限定されない。補強層24、外径調整層25における強化繊維の配向角度については、第1のストレート層21の場合と同様に調整できる。
未硬化の成形品を、加熱炉などを用いて加熱し、樹脂成分を硬化させて、管状体10を得る。
また、第2のストレート層22、第3のバイアス層13、第3のストレート層23、補強層24および外径調整層25をそれぞれ形成するプリプレグのうち、1つ以上を巻き付けない方法であってもよい。
本実施例では、より本発明の効果を分かり易くするため、反りや曲がりへの影響が小さい第2のストレート層以降の層を有さない管状体10Aについて、曲がり量を評価した。
使用したプリプレグを表1に示す。
細径端部の外径が4.60mmであり、細径端部から800mmの位置までの外径がテーパー度9.00/1000で漸増して、細径端部から800mmの位置の外径が11.80mmとなり、さらに細径端部から800mmの位置〜細径端部から1250mmの位置までの外径がテーパー度4.67/1000で漸増して、細径端部から1250mmの位置の外径が13.90mmとなり、細径端部から1250mmの位置〜細径端端部から1500mmの位置は13.90mmの一定の外径を有するマンドレル30を用いた。
第1のバイアス層11を形成する、2枚のプリプレグIを貼り合せて形成した台形状のプリプレグ(A)11a(配向角度+45°の強化繊維を有するプリプレグと、配向角度−45°の強化繊維を有するプリプレグとを貼り合わせて得た1枚のプリプレグ、図7)を、マンドレル30の細径端部から100mmの位置〜細径端部から1290mmの位置の範囲に、図6の地点aを巻き始めの位置として地点cに向かう方向に巻き付けた。
次いで、第1のストレート層21を形成する、プリプレグIIからなる台形状のプリプレグ(B)21a(配向角度0°の強化繊維を有するプリプレグ、図7)を、図6の地点bを巻き始めの位置として地点dに向かう方向に巻き付けた。
次いで、第2のバイアス層12を形成する、2枚のプリプレグIからなる台形状のプリプレグ(C)12a(配向角度+45°の強化繊維を有するプリプレグと、配向角度−45°の強化繊維を有するプリプレグとを貼り合わせて得た1枚のプリプレグ、図7)を、図6の地点cを巻き始めの位置として地点bに向かう方向に巻き付けて未硬化の成形品を得た。
なお、図7における寸法の単位はmmである。
次いで、幅20mm、厚さ0.03mmのポリプロピレン製のテープを1.5mm間隔で巻き付けて未硬化の成形品を固定した後、加熱炉を用い、145℃で2時間加熱し、樹脂成分を硬化させた。その後、ポリプロピレン製のテープを外し、両端を11mmずつカットし、全長1168mmの管状体10Aを得た。
プリプレグ(B)21aとプリプレグ(C)12aの巻き始めの位置を表2に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして管状体10Aを得た。
プリプレグ(B)21aとプリプレグ(C)12aの巻き始めの位置を表2に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして管状体10Aを得た。
[曲がり量の測定]
図8(A)〜(C)に示すように、2組のカムフォロワー40、40(樹脂モールドベアリング)により、管状体10Aの細径端10aから20mmの位置と、太径端10bから20mmの位置を支持するように、管状体10Aを載せた。また、管状体10Aの細径端10aから400mmの位置にレーザー変位計を設置した。そして、カムフォロワー40、40によって、管状体10Aをゆっくりと回転させ、図8(D)に示すように、レーザー変位計の数値の最大値(dmax)からレーザー変位計の数値の最小値(dmin)を差し引いた値(D)を管状体10Aの曲がり量(単位:mm)として測定した。
なお、本実施例の管状体10Aはテーパー付き管状体であり、細径端10aから400mmの位置で曲がり量が最も大きかった。また、図8における寸法の単位はmmである。
曲がり量の測定結果を表2に示す。
一方、プリプレグの巻き始めの位置が不適切な比較例1〜6では、管状体の曲がり量が大きく、実施例に比べて品質が劣っていた。
11 第1のバイアス層
12 第2のバイアス層
21 第1のストレート層
11a プリプレグ(A)
12a プリプレグ(C)
21a プリプレグ(B)
30 マンドレル
Claims (7)
- 繊維強化樹脂製の第1のバイアス層、ストレート層、および第2のバイアス層が、内側から順に、同じ巻き方向で管状に巻かれた繊維強化樹脂製管状体であって、
前記第1のバイアス層は、管状体の軸方向に対して−α1°(ただし、30°≦α1°≦60°)の配向角度で強化繊維が配向したアングル層と、+α2°(ただし、30°≦α2°≦60°)の配向角度で強化繊維が配向したアングル層とが貼り合わされた層であり、
前記ストレート層は、管状体の軸方向に対して強化繊維が略平行に配向した層であり、
前記第2のバイアス層は、管状体の軸方向に対して−β1°(ただし、30°≦β1°≦60°)の配向角度で強化繊維が配向したアングル層と、+β2°(ただし、30°≦β2°≦60°)の配向角度で強化繊維が配向したアングル層とが貼り合わされた層であり、
前記第1のバイアス層の巻き始めの位置と前記第2のバイアス層の巻き始めの位置が、3/16〜5/16周ずれており、
かつ、前記第2のバイアス層の巻き始めの位置が、前記ストレート層の巻き始めの位置に対して、巻き方向と逆方向に向かって、3/16〜5/16周ずれていることを特徴とする繊維強化樹脂製管状体。 - 前記第1のバイアス層が最内層である、請求項1に記載の繊維強化樹脂製管状体。
- 前記第1のバイアス層の2つのアングル層が、管状体の周方向に7/16〜9/16周ずれるように貼り合わされており、
前記第2のバイアス層の2つのアングル層が、管状体の周方向に7/16〜9/16周ずれるように貼り合わされている、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂製管状体。 - 前記強化繊維が炭素繊維である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂製管状体。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂製管状体からなるゴルフクラブ用シャフト。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂製管状体の製造方法であって、
前記第1のバイアス層を形成するプリプレグ(A)と、前記ストレート層を形成するプリプレグ(B)と、前記第2のバイアス層を形成するプリプレグ(C)とを、順にマンドレルに巻き付ける工程を有し、
前記プリプレグ(A)と前記プリプレグ(C)の巻き始めの位置を3/16〜5/16周ずらし、かつ、前記プリプレグ(C)の巻き始めの位置を、前記プリプレグ(B)の巻き始めの位置に対して、巻き方向と逆方向に向かって3/16〜5/16周ずらす、繊維強化樹脂製管状体の製造方法。 - 請求項6に記載の繊維強化樹脂製管状体の製造方法を用いたゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
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