以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態における冷蔵庫本体を前方から見た図である。図2は、図1のA−A線断面概念図である。
<冷蔵庫本体1の全体構成>
図1に示すように、本発明を適用した冷蔵庫本体1は、最上部に一例として6℃前後の冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室2、最下部に一例として6℃前後の冷蔵温度帯の貯蔵室である野菜室6がそれぞれ配置されている。冷蔵室2と野菜室6との間には、これらの両室と断熱的に仕切られた0℃以下の冷凍温度帯(例えば、約−20℃〜−18℃の温度帯)である製氷室3,急速冷凍室4、及び冷凍室5が配置されている。各貯蔵室は、図2に示すように、それぞれ上断熱仕切壁31a,下断熱仕切壁31bにより区画され配置されている。
また、冷蔵室2内には、内部を減圧状態で維持可能な減圧室13が設けられている。本実施例の減圧室13は、1℃前後のチルド温度帯と0℃以下の氷温帯を、自動又は手動で切替可能な貯蔵室である。
冷蔵室2は前方側に、左右に分割された観音開き(いわゆるフレンチ型)の冷蔵室扉2a,2bを備えている。製氷室3,急速冷凍室4,冷凍室5,野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a,急速冷凍室扉4a,冷凍室扉5a,野菜室扉6aを備えている。
図2に示すように、冷蔵庫本体1の庫外と庫内は、内箱10aと外箱10bとの間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体10により隔てられている。
庫内は、上断熱仕切壁31aにより冷蔵室2と、急速冷凍室4及び製氷室3(図1参照、図2中で製氷室3は図示されていない)とが隔てられ、下断熱仕切壁31bにより、冷凍室5と野菜室6とが隔てられている。
冷蔵室扉2a,2bの庫内側には上下方向に複数の扉ポケット32が備えられている(図1,図2参照)。また、冷蔵室2は複数の棚37が設けられている。棚37により、冷蔵室2は縦方向に複数の貯蔵スペースに区画されており、さらに最下段の貯蔵スペースには減圧室であるチルド室が設けられている。
図2に示すように、急速冷凍室4,冷凍室5及び野菜室6は、収納容器3b,4b,5b,6bがそれぞれ設けられている。そして、製氷室扉3a,急速冷凍室扉4a,冷凍室扉5a及び野菜室扉6aは、それぞれ図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、収納容器3b,4b,5b,6bが一体に引き出せるようになっている。
また、減圧室13は前方開口を開閉する減圧室蓋16が設けられている。
そして、冷蔵室扉2a,2bを開いた状態において、減圧室蓋16の把手部27に手を掛けて蓋部材16を手前側に引き出すことにより、減圧室13の収納容器が引き出せるようになっている。その詳細については後述する。
冷蔵庫本体1には、上記冷凍及び冷蔵を行うための冷凍サイクルが、圧縮機,凝縮器,キャピラリチューブ,冷媒の気化熱を奪い冷却源となる蒸発器、そして、再び圧縮機の順に接続し構成されている(図示せず)。
この冷却源となる蒸発器は、製氷室3,急速冷凍室4、及び冷凍室5の後方に設置され、送風ファン(図示せず)によって、蒸発器と熱交換した冷気が、製氷室3,急速冷凍室4,冷凍室5に送られる。なお、冷気が各貯蔵室に送風された後、再び蒸発器で冷却されて送風される循環構造を有している。各貯蔵室は、温度センサを用いた制御装置による温度制御によって、所定の温度に維持される。
次に、図1のB−B線断面図を図3に示す。冷蔵室扉2aは、支軸S1を中心に回転自在に支持されている。冷蔵室扉2aには、飲み物等を入れる半透明の樹脂成型の扉ポケット32が内部側に突設される。冷蔵室扉2aの貯蔵室側には、ねじりコイルバネの付勢力及びガイドにより揺動自在に構成された回転仕切り2a2が設けられている。
この回転仕切り2a2は、冷蔵室扉2a,2bの閉塞時(図1参照)、左側の冷蔵室扉2aに沿った位置で冷蔵室扉2a,2b間からの冷気の漏出を防止する。一方、冷蔵室扉2aの開放時には冷蔵室扉2aの厚み方向に揺動し使用者の邪魔にならないように構成されている。
また、右側の冷蔵室扉2bは、支軸S2を中心に揺動自在に支持されており、飲み物等を入れる半透明の樹脂成型の扉ポケット32が内部側に突設されている。
<気体調節室である減圧室13の構成>
図3に示す減圧室13は、減圧手段である真空ポンプ12により、内部の空気が吸引され、大気圧よりも低い気圧、一例として0.8気圧(80kPa)等に減圧される気体調節室である。すなわち、減圧室13は、食品の酸化防止,野菜類の鮮度維持等に特別な空気雰囲気を醸成している。
図2に示すように、減圧室13には上面にリブ14sが突起として設けられている。これにより、減圧室13とその直上にある棚37との間は適度な隙間を設けた状態で支持される構成である。減圧室13の後部には冷蔵室2の冷気の戻り口19が設けられ、矢印で示す冷気流れのように、減圧室13上面を前方に進んだ後、減圧室13の側面又は底面を通って、戻り口19に進む。これにより、減圧室13を周囲から間接的に冷却する。
図3に示すように、冷蔵室扉2bを閉じた状態において、冷蔵室扉2bのドアポケット32と減圧室13の蓋部材16間には所定のスペースが形成され、互いに接触しないように構成されている。
次に、図4は、減圧室13の構成を斜め前上方から見た斜視図である。減圧室13は、前面に開口14rを有し(図10参照)、扁平である奥方に長い略直方体状の上下に2分割された外郭部材14と、前方及び後方に移動して開口14rを開閉する蓋部材16とにより外周壁が形成されている。
すなわち、減圧室13に貯蔵物を出し入れするために、開閉する蓋部材16が設けられている。さらに、外郭部材14の外面には、断面係数を増加し強度向上を図る補強リブが直線状又は格子状に立設されている。なお、補強リブの形状はこれらに限らず、外郭部材14の断面係数を増加し強度向上を図るものであればよい。
なお、減圧室13は本実施例のように上断熱仕切壁31a上に載置する構成のほか、棚37のいずれかに載置したり、棚37や貯蔵室の上壁部(断熱箱体10の上部)に吊下げ手段によって吊り下げたりしてもよい。また、冷蔵室2に限らず、いずれかの貯蔵室に減圧室13を載置する構成であってもよい。
<真空ポンプ12と減圧室13の構成>
図3に示すように、減圧室13を幅広にして、収納スペースを広く活用するために、真空ポンプ12は減圧室13の奥側に設置している。すなわち、真空ポンプ12の一部と減圧室13の一部が前後方向でラップするように配置する。これにより、減圧室13を、図示左方向に拡大することができる。
このとき、減圧室13の内部を減圧するために、減圧室13と真空ポンプ12は曲げた形状(L字状)のチューブ12aで繋ぐことで構成される。
チューブ12aは、減圧室13の吸込口である接続部13aを繋いだときに、空気洩れを防ぐための接続寸法として、10mm以上の直線部を有する形状としている。また、真空ポンプ12と繋ぐ場合も、接続長さとして、10mm以上の直線部を有する形状としている。
<外郭部材14の概略形状>
次に、外郭部材14の構成について説明する。図4は、外郭部材を前上方から見た簡略斜視図である。図5は、図4のJ−J線断面図である。
外郭部材14は、下ケース140(第一の外郭部材)と上ケース141(第二の外郭部材)を接合部142において互いに気密を保って接合された構成である。
外郭部材14の下ケース140は、ABS(アクリロニトリル,ブタジエン,スチレンを含む樹脂),AS(アクリロニトリル,スチレンを含む樹脂)等を用いて樹脂成形されている。両側面壁140a,140b,底面壁14c,後面壁140dが一体で形成されている。また、下ケース140は、前面開口14r及び上面開口140eを形成している。すなわち、2面を開口した形状である。前面開口14rの上辺かつ上面開口140eの前側辺を構成する連結部140fは、左右の側面壁140a,140bとそれぞれ接続している。さらに、上面開口140eの全周にわたって継目なく設けられた接合部142を有している。
外郭部材14の上ケース141は、ABS(アクリロニトリル,ブタジエン,スチレンを含む樹脂),AS(アクリロニトリル,スチレンを含む樹脂)等を用いて樹脂成形されている。上ケース141は、上面壁141e,両側面壁141a,141b,後面壁141d及び全周に接合部142を有した形状に一体形成されている。上ケース141は、下ケース140の上面開口を全面に渡って隙間なく覆うように形成されている。
すなわち、図5に示すように、減圧室13の側面壁14aは、下ケース140の側面壁140aと上ケース141の側面壁141aとに分割されている。同様に、側面壁14bは、下ケース140の側面壁140bと上ケース141の側面壁141bとに分割されている。さらに、後面壁14dは、下ケース140の後面壁140dと上ケース141の後面壁141dとにそれぞれ分割される構成である。
そして、図3に示すように、外郭部材14の左側面壁14aの外面後方には、真空ポンプ12との接続部である挿通孔のポンプ接続部13aが設けられている。
減圧室13内を真空ポンプ12で減圧した際、外郭部材14には外部の大気圧と内部の低圧との差圧により、その全面に均一に大気からの荷重がかかる。減圧室13の内部が低圧であるため、この荷重は外郭部材14全面を外側から内側に押し潰す向きに加わり、その大きさは例えば外郭部材14の平面寸法が幅450mm,奥行き300mmとし、差圧を0.2気圧とすれば約270kgf(約2700N)という大きな荷重となる。
そのため、外郭部材14の両側面壁14a,14b,底面壁14c,後面壁14d,上面壁14eのそれぞれの外面は、断面係数を増加し強度向上を図る必要がある。そのため、外郭部材14の各面は平面ではなく、外側に凸となるように湾曲したドーム状の略曲面状をなしている。さらに、外郭部材14の外面壁は奥行き方向にも左右方向にも外側に湾曲した形状であることが好ましい。
外郭部材14は、開口14rが高さ方向よりも幅方向に長い形状である。また、両側から中央部に向かって高さを有する略円弧状である。すなわち、外郭部材14は、扁平な横長の開口14rを有する略直方体状をなしている。これにより、底面壁14cと上面壁14eは他の両側面壁14a,14b,後面壁14dと比して面積が大きい。内部を減圧した際に大気圧との差圧によって生じる荷重は面積に比例するので、底面壁14cと上面壁14eの強度を確保することが特に必要となる。このときの荷重は、外側から外郭部材14を圧縮して押し潰す向きの荷重なので、荷重を受ける面を外側に凸となる形状、例えば球体の一部をなしたドーム形状の球殻として強度を高めている。
外郭部材14のいずれの壁面も、外側に凸となる円弧形状からなり、さらに各壁同士の角部を滑らかな円弧によって接続した形状としている。
また、開口14rの上下辺の中央近傍は開口14rの内側に向かって凸となる上面開口支持部14f,下面開口支持部14gとしている。
後述する蓋部材16が閉じられたとき、開口14rの縁に沿って設けられた凸部であるパッキン当接面14kに蓋部材16に設けられたパッキン16pが圧接し、密閉シールを行う。すなわち、蓋部材16と外郭部材14の開口14rとの間の気体の移動を抑制するシール部材として、パッキン16pが設けられている。
<分割面形状>
次に、上ケース141と下ケース140との接合部142の形状について、図5、図7を用いて説明する。図7は、減圧室の正面図である図6のD−D線断面図である。
上ケース141と下ケース140は、開口14rの上端近傍の連結部140fから後面壁14dの高さ方向の中央近傍に向かって後下がりに傾斜した平面とし、その分割面に沿って接合部142を設けている。上ケース141は、ドーム形状をなした上面141e,側面141a,141b,後面141dとからなる外郭部材14の一部を構成し、周囲に配設されるリブと協業して減圧時の荷重を支持する強度を得る。
本実施例では、分割面を開口14r上面の後方近傍から、後面壁140dの略中央部を繋ぐ平面となるよう後方に向けて徐々に下降するよう傾斜させる。この構成では、上ケース141が薄板状とならずに、厚みを適度に確保できる。接合部142は傾斜した平面なので、上ケース141と下ケース140との間に位置ずれが生じたとしても互いの密着状態には変化がない。すなわち、接合部142の面は互いに平面なので精度も出し易く、さらに上ケース141と下ケース140の位置関係の精度が低くても気密を保ちやすい構成である。
上記の構成とすれば、上ケース141,下ケース140ともに樹脂で成型することができるので、外郭部材14を安価に構成できる、という効果がある。上ケース141,下ケース140の接合部142の接合は、熱溶着、接着剤による結合、シール材を介した螺子等による締結等、公知の接合手段を採用できる。より密閉性を高めるために、熱溶着によって上ケース141,下ケース140を一体化することがよい。
なお、外郭部材14は、下ケース140と上ケース141の関係を逆にして、接合部142が開口14rから奥方に向けて次第に高くなる傾斜面形状としてもよい。
また、下ケース140と上ケース141に分割する構成に限らず、例えば樹脂等で一体に成形した構成であってもよい。また、金属製で剛性を持たせた減圧容器の構成であってもよい。すなわち、減圧時の耐圧強度を確保できれば、公知の容器形状・材料を採用することができる。
<材料>
外郭部材14の材料としては、内部を減圧した際の差圧による荷重に耐える強度を得るとともに、減圧の際のたわみ量を低減して内部に収納された食品を圧縮しないためには剛性の高い材料が望ましい。一例として、繊維状の補強充填材として、ガラス繊維やカーボン繊維を混入して補強したABS材料等が挙げられる。これにより、曲げ強度が大きく、かつヤング率(弾性係数)も大きくなり、外郭部材14として好適に用いることができる。
図5,図7に示すように、外郭部材14の開口14rの内側においては、上面壁14eから内側に凸となる上面開口支持部14f,底面壁14cから内側に凸となる下面開口支持部14gを、前方の開口14rの後面側に設けている。開口14rの縁には、パッキン当接面14kを有し、上面開口支持部14fは斜面14mと、下面開口支持部14gは斜面14nとそれぞれ接続されている。
<蓋部材16と開口14rの関係>
次に、蓋部材16と開口14rの関係について説明する。図5,図7において、上面開口支持部14f,下面開口支持部14gとの間隔、すなわち開口14rの高さ方向の寸法は、蓋部材18の背面に設けた補強支持部Hの高さ寸法よりもやや大きい。これにより、補強支持部Hが滑らかに挿入される。
ここで、減圧室13内を減圧して、外郭部材14の外面に大気圧の差圧による荷重が加わると、外郭部材14は圧縮されて前記の隙間はなくなる。そうすると、上面開口支持部14f,下面開口支持部14gは、補強支持部Hの上下に夫々当接する。これにより、それ以上に圧縮されることはないので開口14rの変形を防止できる。
一方、当接部においては、外郭部材14は外側から大気圧によって圧縮されて内側にたわみながら補強支持部Hと接する。すなわち、均一に接することはなく、補強支持部Hの左右端において外郭部材14に接し、外郭部材14との間で反力F1が生じた状態となる。ここで、上面開口支持部14fの幅を概ねL2、開口支持部より外側の開口14rの幅を概ねL1とする。そうすると、L1とL2とは略等しく構成するのが望ましい。このようにすることで、上面補強部14fの範囲と上面壁14eの範囲に加わる差圧による荷重はそれぞれ略等しく均等となる。よって、特定の部分に集中的に荷重がかかることがなく、上面開口支持部14fとその外側の開口の範囲に生じる応力はほぼ等しくなって、繰り返し荷重などによる破損を防止して長寿命化と高信頼化が図れる。
底面壁14cと下面開口支持部14gとの幅についても、同様な寸法形状とすることが望ましい。
先に述べたように、上記の外郭部材14の形状に加えてさらに両側面壁14a,14b,底面壁14c,後面壁14d,上面壁141e,上面開口支持部14f,底面開口支持部14gのそれぞれの外面には、断面係数を増加し強度向上を図る補強リブが、直線状,格子状等に立設されており、差圧による変形に抗するさらなる強度を確保している。
下ケース140の側面壁140a,140bの内面側には奥行き方向に沿った突起であるガイドレール14s,14sが設けられており、後述する食品トレイ17に設けられた一対の突起17g,17gを介して食品トレイ17の後端側を支持する。
外郭部材14を上記のような形状として、樹脂により成型された上ケース141と下ケース140とを接合部142にて接合した構成としたので、外郭部材14を樹脂により成型して簡素化して軽量化するとともに安価に構成することが可能で、内容積の拡大と剛性の増加とを両立させることができる。
<食品トレイ(引出容器)>
次に、図8は、図7のE−E線断面図である。図9、蓋部材と食品トレイとの構成を示す、図4のA方向から見た斜視図である。
外郭部材14内に配置される食品トレイ17(引出容器)は、AS等の透明な樹脂成型品である。図7から図9に示すように、両側壁17a,17b,底面壁17c,後面壁17d及び前面壁17eを有している。
食品トレイ17の前面壁17eには、後記の補強支持部Hを配置するための凹部17fと、補強支持部Hに沿って前面壁17eと凹部17fとを接続する中央側壁部17hが形成されている。また、図9に示すように、中央側壁部17h及び側面壁17a,17bには、食品トレイ17を蓋部材16に取り付け、蓋部材16の開閉動作に連動させるための2対の取り付け爪17t1,17t2が形成されており、側面壁17a,17bの後面壁17d近傍には左右一対の突起17g,17gが形成されている。凹部17fの蓋部材側には、蓋部材18の背面中央に設けた凸部16jと係合する凸部であるストッパ17nが形成されている。
この2対の取り付け爪17t1,17t2は、下部が開口されて一辺が下方に延伸された半円筒状に形成されており、蓋部材16に設けられた円柱状の突起16g1,16g2に係合する。これにより、食品トレイ17を蓋部材16に固定して、蓋部材16の開閉動作に連動させている。
そのため、使用者は、蓋部材16の開閉動作に伴って引き出される食品トレイ17内を視認して、食品トレイ17内の食品を容易に取り出すことができる。
食品トレイ17には、上向きに開口したガイド爪17t3が設けられ、食品トレイ17にはガイド爪17t3に対応して設けられた円柱状の突起16g3が設けられている。これらが協業することで、食品トレイ17を蓋部材16から取り外し,取り付け可能な構成としている。
<ガイドレール>
図7から図9に示すように、食品トレイ17と蓋部材16とは互いに一体として開閉動作される構成である。
食品トレイ17の底面壁17cには開閉される方向に細長く設けられたガイドリブ17j,17jが設けられており、外郭部材14の底面壁14cの開口14rの近傍には前記ガイドリブ17j,17jを載置するガイド突起14t,14tが設けられている。食品トレイ17底面の後面側には段差であるストッパ17mが設けられている。ストッパ17mは外郭部材14の底面に設けられた下ガイドレール14yにスライド自在に載置される。
食品トレイ17の開口14rに近接した側、すなわち蓋部材16の側は、ガイドリブ17jがガイド突起14tに載置され、食品トレイ17の後面近傍に設けられた突起17g,17gの上面がガイドレール14s,14sの下側の辺によって支持される。下ガイドレール14yには段差であるストッパ14vが設けられている。蓋部材16と食品トレイ17とを一体として開くと、全開位置でストッパ17mがストッパ14vに当たり、それ以上には開かないよう制限している。
上記の構成なので、食品トレイ17は蓋部材16と一体となって前後方向(図7の紙面の左右方向,図6の紙面鉛直方向)に案内される。
<底面ラックピニオン>
次に、食品トレイ17の底面壁17cの下面、すなわち外郭部材14の底面壁14cに面した側には、前後方向に直線ギヤであるラック17kが、左右対称に互いに距離を保って2列設けられている。
外郭部材14の底面壁14cに開口14rに平行して設けられた底面凹部14wには、ピニオンギヤ15が回転自在に軸支されている。ピニオンギヤ15は互いに連結軸15bにより結合されて、一体として回転する左右一対のピニオンギヤ15aと、ピニオンギヤ15aの外側にさらに突出した支軸15cを備えている。
外郭部材14の底面凹部14wは、ピニオンギヤ15aの直径より大なる概ね半円筒状をしており、底面凹部14wの左右両端はピニオンギヤ15の支軸15cが回転自在に嵌合される支持凹部14xとなっている。ピニオンギヤ15は、単に底面凹部14wに上方から落とし込まれているだけなので、食品トレイ17を外してから指で摘んで上方に持ち上げるだけで外せる構成である。例えば、底面凹部14wやピニオンギヤ15が汚れた場合でも、簡単に取り外して清掃や洗浄ができる。
食品トレイ17が外郭部材14内に配置されると、食品トレイ17に設けられたラック17kと、外郭部材14の底面凹部14wの内部に設けられたピニオンギヤ15aとは噛み合う位置に配置されている。ただし、ラック17kは蓋部材16と食品トレイ17とが開閉移動する全範囲にわたってピニオンギヤ15aと噛み合うのではなく、蓋部材16と食品トレイ17の全閉された位置から距離L1(図7参照)の範囲にはラック17kは設けられていない。
上記の構成によれば、蓋部材16及び食品トレイ17を前後に開閉移動するために特にレール部材などを設ける必要はなく、またさらにピニオンギヤを軸支するための支軸などの部品も設ける必要はなく、簡便な構成で安定して蓋部材16及び食品トレイ17を開閉動作可能である。
なお、必ずしもピニオンギヤ15aとラック17kは要せず、先に説明した下ガイドレール14yとストッパ17mとの関係で、食品トレイ17をスライド自在な構成であっても、十分操作性を満足できる。
<蓋部材16の構成>
蓋部材16は、図4に示すように、その両側方に設けられた支軸16s廻りに開閉ハンドル26が回動自在に支持される。また、蓋部材16には、図16に示す差圧抜き弁Vが構成されている。
この開閉ハンドル26を、使用者が把持して、蓋部材16の開閉操作及び蓋部材16の閉塞時のロックが行われるとともに、差圧抜き弁Vの開閉が行われる。
なお、減圧室13が、真空ポンプ12によって減圧された場合、減圧室13の外部の大気圧と、減圧室13の内部の減圧された圧力との差圧によって蓋部材16に加わる荷重が大きくなる、これにより、直接、蓋部材16を開放するためには使用者は相当の力を要することになる。
そこで、差圧抜き弁Vを開くことによって蓋部材16の内外空間を挿通させ、内外圧力差を無くし差圧による荷重を解消し、蓋部材16を容易に開くことができるようにしている。
蓋部材16は、図7に示すように、閉じた際に、外郭部材14に当接する内周縁部に弾性材のパッキン16pが配設されている。該パッキン16pが外郭部材14と蓋部材16間のシールを行っている。
パッキン16pは、図10に示すように、その横断面の外周中央が内部側に凹む凹部16p1を有して環状に成型されている。パッキン16pが、外郭部材14に対して蓋部材16が多少、傾いて閉じられた場合も、凹部16p1内に柔軟にパッキン16pが弾性変形し、その偏りを吸収し外郭部材14と蓋部材16間を確実にシールすることができる。
なお、パッキン16pは、蓋部材16に設けることなく、外郭部材14側に設けることも可能である。
図4に示すように、蓋部材16は、左右端部16hが不透明なABS等の樹脂で成型され、中央部16c2が減圧室13内に貯蔵された食品を視認できるように透光性のAS等の樹脂で成型されている。
蓋部材16の中央部16c2の両側方部16c1,16c1は、図6に示すように、開閉ハンドル26を蓋部材16に対して回動させる際に、開閉ハンドル26と蓋部材16間のスペースは、蓋部材16の両側方部16c1,16c1と、開閉ハンドル26の棒体27の回動軌跡との間の距離は、所定値以下、例えば7mm以下とする。すなわち、蓋部材16の両側方部16c1,16c1は、開閉ハンドル26の棒体27が移動する円弧状の軌跡にほぼ沿って、外側に突出した形状に形成されている。
蓋部材16の中央部16c2は、図6,7に示すように、その外面側から使用者の手が入るように、開閉ハンドル26の取手操作部36が占める空間を有しており、内部側に凹む形状に形成されている。
また、図7に示すように、蓋部材16の中央部16c2の内部側には内方に突出する形状の前面開口の上下支持部である補強支持部Hが形成されている。
蓋部材16の補強支持部Hは、図9に示すように、蓋部材16の背面の中央寄りに設けられている。補強支持部Hは、内部側に立設する外周上壁面H1,外周下壁面H2,両側壁面H3が連続して形成されており、外周上壁面H1,外周下壁面H2間には、複数の補強リブhrが上下方向に延在して形成されている。
先に説明したように、外郭部材14には真空ポンプ12で減圧した際に外部の大気圧と内部の低圧との差圧により大きな荷重がかかる。
図7に示すように、蓋部材16を閉じた場合、蓋部材16の内部側の補強支持部Hが、減圧室13内の外郭部材14の上面開口支持部14f及び下面開口支持部14gに当接して、減圧室13外部の大気圧と減圧室13内の低圧との差圧により、外郭部材14の上面壁141eと上面開口支持部14fに上方から加わる荷重と、外郭部材14の底面壁14cと下面開口支持部14gに下方から加わる差圧による荷重とを支持し、これらの荷重により減圧室13の変形を抑制するように構成されている。
また、図7に示すように、蓋部材16の中央部16c2には、差圧抜き弁Vの減圧室13内に挿通する差圧抜き孔16aが設けられている。そして、蓋部材16には、差圧抜き弁Vを開閉する弾性的性質及び柔軟性を有するゴム等から成る弁体35tを有する弁開閉部材35が、支軸35s廻りに回動自在に設けられている。
ここで、弁開閉部材35が回動する支軸35sと、開閉ハンドル26が回動する支軸16sとは同心に構成されており、開閉ハンドル26の開閉操作を、弁開閉部材35を介して弁体35tの開閉動作に連動させるように構成している。
開閉ハンドル26は、蓋部材16の左右側部の支軸16s,16s廻りに回動自在に支持されており、棒体27を左右の支軸16s,16s廻りの回動軌跡の最下部に位置させた場合が、開閉ハンドル26によって蓋部材16を閉塞しロックした状態であり、一方、図10に示すように、棒体27を左右の支軸16s,16s廻りの回動軌跡の上方に位置させた場合が、開閉ハンドル26による蓋部材16のロックを開放した状態となっている。
開閉ハンドル26における取手操作部36(図7,図10参照)は、使用者が開閉ハンドル26を操作する場合の握り部の機能と、差圧抜き弁Vの開閉をガイドする機能とを有している。すなわち、開閉ハンドル26の回動による開閉操作を、弁開閉部材35を介して弁体35tの開閉弁動作に連動させている。図7のように開閉ハンドル26が閉鎖すると弁体35tが閉弁し、図10のように開閉ハンドル26が上向きに回動されて開放されると弁体35tが開弁する。
開弁した場合、図10の矢印に示すように、圧力差により外部の大気が減圧された減圧室13内に侵入し差圧が解消され、蓋部材16を開く際の蓋部材16に加わる差圧による荷重が無くなり、スムーズに蓋部材16を開くことができる。
この蓋部材16が閉じられた後、例えば図示しない操作スイッチをユーザが押すか、あるいは冷蔵室扉2a,2bが閉じられて図示しないドアスイッチがオンされる等した後、真空ポンプ12の運転が開始され、減圧室13内の空気が吸引され減圧が開始される。
減圧が開始されると、蓋部材16は大気圧と内部の低圧との差圧によって外側から押圧され、パッキン16pはハンドルによりロックされる力以上の押圧で外郭部材14に対して押圧される。パッキン16pの凹部16p1は密着して図7に示した状態となり、大気圧と内部の低圧との差圧による大きな荷重により、パッキン16pが潰れて大きな面圧を生じるので、さらにシール性が良好となって、内部の負圧を維持することができる。
以上の構成により、真空ポンプ12を駆動して減圧することによって、減圧室13の内部を負圧とし、かつ負圧を維持することができる。ここで、減圧室13の外郭部材14をプラスチック材料で形成することにより安価に構成できる。さらに、外郭部材14を互いに気密を保って接合した上下2分割構成とすることにより、内容積を拡大するとともに、強度も確保することができる。また、前面の開口14r以外は密封されているので、蓋部材16と開口14rとの間のみをパッキン16pによりシールすることで、減圧室13全体の密閉性を良好に保つことができる。
<照明手段>
次に、減圧室へのLED(Light−Emitting Diode,発光ダイオード)等の照明手段の取り付け構造について、図11〜図19Bを用いて説明する。図11は、照明手段を備えた減圧室の分解斜視図である。図12は、減圧室の照明手段を組み込んだ状態を説明する断面図である。図13は、減圧室の照明手段を組み込む途中の第一段階の状態を説明する断面図である。図14は、図13の状態からさらに組み込み途中の第二段階の状態を説明する断面図である。図15は、図14の状態の上面図である。図16は、図12の状態の上面図である。図17は、照明手段をカバー部材に組み込む途中の状態を説明する断面図である。図18は、図17の状態から照明手段をカバー部材に組み込んだ状態を説明する断面図である。図19Aは、シール部材の斜視図である。図19Bは、シール部材の断面図である。
まず、図11,図12において、減圧室13は、内部に貯蔵物を出し入れするために、開閉する蓋部材16が設けられている。さらに、外郭部材14の外面には、断面係数を増加し強度向上を図る補強リブ40が直線状又は格子状に立設されている。この構成の場合、外郭部材14内部に光が届きにくいため、内部を視認し難い。
そこで本実施形態では、外郭部材14の外壁面に、減圧室13専用の照明手段46を備えている。41は、外郭部材14の上ケース141に形成された開口である。この開口41の上方に、後述するLED等の照明手段が設けられて、減圧室13内を照明する。ここで、開口41は、外郭部材14の中央よりも前方の上部に位置しており、減圧室13内を後方から前方に向かって照射する。
47は、外郭部材14の壁面、すなわち上ケース141に形成された開口41の縁部に、外方に突出するように設けた突出部である。突出部47は、開口41の外周縁に環状に形成されている。
42は、突出部47の外周に環状に設けられたシール部材である。
43は、シール部材42に接するように配置された透光性部材である。透光性部材43は、ガラス等の光を透過する性質の材料で形成された板状であり、透明又は半透明である。透光性部材43がシール部材42上に載置されて、開口41を閉塞する構成である。
44は、LED等の照明手段を実装した基板である。45は、基板44を覆うカバー部材である。
図11に示すように、開口41は、シール部材42に接するように配置された透光性部材43で覆われて、透光性部材43の上方に基板44が配置されて、さらにシール部材42、透光性部材43、基板44がカバー部材45で覆われる。
照明手段46は、上ケース141の手前側に設けられ、蓋部材16の開放時等に点灯することで、減圧室13内の視認性を向上している。
図12,図16において、外郭部材14の突出部47の後方及び前方には、保持部48,49がそれぞれ設けられている。一方、カバー部材45の後方及び前方には、係止部51,52がそれぞれ設けられている。係止部51は保持部48によって上方への移動が規制されて、係止部52は保持部49によって上方への移動が規制される。すなわち、基板44を組み込んだカバー部材45は、係止部51,52を保持部48,49に係合させることで、基板44を開口41上方の所定位置に配置する構成である。
また、カバー部材45には、透光性部材43と対向する面に、押圧部50を備えている。押圧部50は複数設けられて、透光性部材43の前方と後方でそれぞれ接触する。係止部51,52を保持部48,49に係合させた状態で、カバー部材45に設けた押圧部50は透光性部材43に当接して、透光性部材43をシール部材42に押しつける。これにより、開口41のシール性を向上している。
外郭部材14に設けられた開口41は、前後幅20mm、左右幅130mm程度の長方形状であり、開口41を囲む突出部47は、高さ3mm程度の形状である。
また、シール部材42は、図19A,図19Bに示すように断面が矩形状であり、樹脂等の弾性変形する柔軟な材料で環状に形成されている。このシール部材42は、厚みが5mm程度であり、内接面42cを突出部47の外周を囲むように配置した場合、突出部47から2mm程度、シール部材42が上方に突出する構成である。この上方に突出したシール部材42の上に、透光性部材43が載せられる。
開口41を覆う透光性部材43は、突出部47外周よりも大きくしており、一例として前後幅40mm、左右幅150mm、厚さが4mm程度である。
また、図19Bに示すように、シール部材42の上面42d側と下面42e側に、それぞれ外側に延出した突片部42bが環状に形成されている。上下の突片部42b,42b間には、内周側に窪んだ溝42aが形成されている。さらに、溝42aを上下に分割するように、中央突片部42cが設けられている。すなわち、突片部42b,42bが外周に設けられて、突片部42b,42bよりも断面中央寄りに中央突片部42cが設けられており、突片部42bと中央突片部42cとの間に、溝42a,42aが形成されている。
断面が矩形状のシール部材42は、一例として上下幅が5mm、左右幅が6mm程度であり、上下方向に二条の溝42a,42aが形成されている。シール部材42が圧縮変形した際、図21Bの破線の状態から実線の状態となり、突片部42b,42bが外方に広がるように変形する。この変形の際、溝42a,42aが突片部42b,42b基部の変形寸法分を吸収するように構成している。よって、組み立て性を向上できる。
本実施形態のシール部材42であれば、減圧室13の減圧時、負圧により透光性部材43が開口41側に引き寄せられる。この時、透光性部材43はシール部材42に接しており、シール部材42が透光性部材43に圧縮されて、外郭部材14側に押圧される。
また、シール部材42は突出部47よりも高い寸法である。このように構成することで、減圧室13の減圧時、透光性部材43を突出部47に近づける方向に変位させて、密閉性を向上している。
また、シール部材42の圧縮時、シール部材42の内周は突出部47に接していることから、外周に変形する。この時、外周に溝42aを形成しているため、シール部材42は外側に大きく変形することなく溝42aに変形寸法が吸収されて、負圧動作に追随して柔軟に変形することで、確実な密封構造が得られる。また、突片部42bと溝42aを備えることで、シール部材42の弾性力が適切に調整できる。
次に、カバー部材45について説明する。カバー部材45は、外郭部材14側に設けられた保持部48,49に係合する係止部51,52を有しており、保持部48,49と係止部51,52が係合した時、カバー部材45側に設けた押圧部50が透光性部材43を減圧室13中央側に押圧して、シール部材42を圧縮する。
この圧縮により、透光性部材43と外郭部材14との間の気密は保持されるものである。すなわち、シール部材42の突片部42bは押圧されて、変形代が溝42a側に押し込まれるように変形し、シール部材42の上面と透光性部材43の間、シール部材42の下面と外郭部材14との間は、シール部材42を介して密着すると共に、シール部材42の内接面42cと突出部47との間でも、シール部材42が圧縮され突出部47側に膨らむことによるシール部材42と突出部47との接触が強まり、この部分での密着も促進される。
次に、図17,図18において、53は基板44をカバー部材45に保持する取付片である。取付片53を介してカバー部材45に取り付けられた基板44は、照明手段46が透光性部材43上の所定位置に規制されて、透光性部材43を介して減圧室13内を照明する。照明手段46で減圧室13を照射するタイミングは、例えば蓋部材16の開放時である。また、蓋部材16を閉じた状態で、手動又は自動で減圧室13内を照射する構成とすれば、減圧室13の減圧状態を維持したまま、内部を視認できる。この場合、蓋部材16の一部を透光性とすることで、蓋部材16の前方から使用者が内部を視認できる。特に、図2に示すように、減圧室13の上部に棚37がわずかな隙間で配置されているような場合、減圧室13を上方から見るよりも、前方の蓋部材16側から視認できるものである。
基板44及び透光性部材43は、開口41が外郭部材14の基準面P(図12参照)に対して傾斜して設けられており、後方から前方が高くなるよう傾斜して設けられている。この傾斜は、先に説明した上ケース141と下ケース140との接合部142の傾斜に沿っている。これは、接合部142の傾斜に沿って開口41の前縁が後縁よりも高くなるように形成されていることによる。すなわち、接合部142の傾斜を基準に垂直方向に突出部47を形成することで、上ケース141を金型成形する際、上ケース141の金型からの離型が容易となる。
また、前方が高くなるように傾斜して照明手段46が設けられることで、蓋部材16の開放時、引き出した状態の食品トレイ17上を適切に照射することができる。
なお、この時には開口部41はシール部材42を介して透明な透光性部材43で塞がれている状態である。
次に図12から図18を用いて、基板44を組み込んだカバー部材45を外郭部材14に組み込む過程を説明する。
まず、図13に示すように、カバー部材45の係止部51先端を保持部48に差し込み、係止部51と保持部48の接触部を支点として、矢印K1のようにカバー部材45を下方に回動させつつ、係止部51を保持部48の後方まで差し込む。そして、図14に示すように、カバー部材45側の前方の係止部52の高さが、外郭部材14の前方側の保持部49より下に位置するまで移動させる。なお、図14の状態では、係止部52は保持部49に係合しておらず、押圧部50は透光性部材43に当接していない状態である。
この図14の状態から、カバー部材45を図12の矢印K2側にスライドさせて、保持部48と係止部52、保持部49と係止部52をそれぞれ係合させる。
この時、押圧部50は透光性部材43に当接して、シール部材42の突片部42bは押圧されて、溝42a側に押し込まれるように変形し、シール部材42の上面42dと透光性部材43の間、シール部材42の下面42eと外郭部材14との間は、シール部材42を介して密着すると共に、シール部材42の内接面42cと突出部47との間でも、シール部材42が圧縮され突出部47側に接触して、この部分での密着も促進される。
次に、図15,図16において、54は係止片、55は係合突起である。係止片54は、カバー部材45の左側部と右側部のそれぞれの中央付近に外側に突出して設けられている。係合突起55は、外郭部材14のカバー部材45が配置される凹部の左側部と右側部に、それぞれ内側に突出して設けられている。
この構成において、図15(図14)の状態では、係止片54が係合突起55よりも後方に位置している。そして、図15(図14)の状態から図16(図12)の状態にカバー部材45を移動させる際、係止突起55にさしかかった係止片54は、弾性変形しながら係止突起55の端部を一旦乗り越えてから係止する。これにより、カバー部材45の位置規制を確実にできる。
次に、図17,図18を用いて、基板44のカバー部材45への組み込みについて説明する。
基板44は、電子部品44aやLED等の照明手段46を実装した構成である。そして、基板44はカバー部材45の取付片53によって固定されている。取付片53は、カバー部材45の下方であって、前方が開放された片状部であり、カバー部材45の上面との間に基板組み込み部53aを形成するように構成される。また、取付片53は、前方側から後方側に向かって低くなる傾斜を有する。なお、取付片53は、照明手段46の照射範囲を遮らないように、照明手段46の左右に対になるように配置している。
基板組み込み部53aの前方には、下方に延出した基板規制部56が設けられている。
基板規制部56の下端には、前方側から後方側に向かって高くなる傾斜を有する。
この構成において、図17に示すように、基板44を基板組み込み部53aに組み込む際、基板44の上部は基板規制部56に接する。また、基板44の下部は取付片53の入口側端部に接する。この状態で、基板44を後方にスライドさせると、基板44後端は取付片53の傾斜に沿って次第に下方に向かうように案内。一方、基板44前端は基板規制部56の傾斜に沿って次第に上方に向かうように案内される。そして、図18に示すように、基板44が基板組み込み部53aにスムーズに配置される。基板組み込み部53aの基板44は、後方が前方よりも下方に傾斜するように配置されているため、基板44が容易に位置ずれしない。また、基板44が前方に移動した際は、基板規制部56によって規制される。
なお、基板44の配線は、カバー部材45から外郭部材14外面に沿うように配置される。すなわち、減圧室13内には電気部品の配線を一切設けていない。そのため、減圧時に配線の引き込み口等からのリークが生じるようなことがない。
次に、透光性部材43と照明手段46であるLEDを用いた、減圧室13の消臭作用について説明する。
透光性部材43は、ガラスの平面板として、減圧室13側の面に透明な可視応答型光触媒を設ける。この可視応答型光触媒は、透光性部材43に直接塗布したり、触媒を含有したフィルムを貼り付けたりして設ける。この触媒の作用により、減圧室内の汚れや臭いを分解し、消臭等の効果を得るようにしている。
なお、触媒反応は、LEDの可視光によって行われる。光触媒としては、例えば、酸化タングステン系材料を100μm程度として、フィルムの場合、高耐候性PETフィルムに触媒練り込んだものを採用する。
触媒に減圧室内を照明するLED46の光が照射されると、酸化タングステン系材料中の電子が酸素を還元し、活性酸素へと変化すると共に、水分を酸化し水酸ラジカルへ変化する。この活性酸素や、水酸ラジカルの強い酸化力で有害物質を分解し無害の二酸化炭素、水とするものである。このことにより、減圧室内の汚れや臭いの成分を分解し消臭等の効果を得るものである。
なお、透光性部材は光触媒が設けられるが、光触媒自身やフィルムは透光性を有するものを採用することで、LED46の光が減圧室13内に届き、照明としての機能と、消臭等の機能を兼ね備えることができる。
以上説明した構成を有する本実施形態では、次の効果が得られる。すなわち、外郭部材と、該外郭部材を開閉する蓋部材と、前記外郭部材内を減圧する減圧手段と、を備えた冷蔵庫において、前記外郭部材の壁面に形成された開口縁に外方に突出するように設けた突出部と、該突出部の外周に設けたシール部材と、該シール部材に接して前記開口を閉塞する透光性部材と、前記透光性部材の外方に対向して設けた照明手段と、該照明手段をカバーするカバー部材と、を備える。これにより、減圧室の外側から減圧室内を照らすことができるとともに、照明手段を設置した部分からの空気の流入を抑制でき、減圧状態を維持できる。また、シール部材と照明手段は、カバー部材、透光性部材、外郭部材で周囲を覆われているため、食品汚れから防止できる。
また、前記突出部よりも前記シール部材が高さ方向に高くなるように配置する。これにより、透光性部材をシール部材に接するように配置して、減圧室内を減圧すると、透光性部材が開口側に引き寄せられて、シール部材を圧縮し、密閉性が高められる。また、減圧していない通常圧力の状態では、シール部材に働く圧縮力は小さいため、シール部材の劣化を抑制できる。
また、前記カバー部材は押圧部を有し、該押圧部が前記透光性部材を前記シール部材側に押圧する。これにより、開口のシール性を向上することができ、透光性部材の位置ずれを防止できる。
また、前記突出部は、前記開口の前方よりも後方が低い位置となるように傾斜して、前記透光性部材は傾斜して配置される。これにより、蓋部材を開放した際に、使用者が目につく減圧室前方を適切に照射することができる。
また、外郭部材と、該外郭部材を開閉する蓋部材と、前記外郭部材内を減圧する減圧手段と、を備えた冷蔵庫において、前記外郭部材の壁面に形成された開口縁に外方に突出するように設けた突出部と、該突出部の外周に設けたシール部材と、該シール部材に接して前記開口を閉塞する透光性部材と、前記透光性部材の外方に対向して設けた照明手段と、該照明手段をカバーするカバー部材と、を備え、前記シール部材は、外周に複数の突片部と、該複数の突片部の間に形成された溝と、を有する。これにより、シール部材が圧縮変形した際、シール部材の変形は溝で吸収されるため、シール部材の位置決めを行う突出部との間に変形を考慮した余分なスペースを確保する必要がない。また、減圧室の負圧による圧縮に柔軟に変形し、大きな反発力を生じることなく、確実な密封構造が得られる。
また、前記溝は前記シール部材の外周に環状に複数設けられる。これにより、シール部材の変形時、溝側に柔軟に変形するので、シール部材の組み込み性が向上する。