JP5703155B2 - 接触式プローブおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
このような微細形状の測定においても同様な形状をそのまま微少化したプローブが用いられている(特許文献2参照)。
また、ねじ孔内の形状を測定するために、ステムがL字型に形成されたプローブも用いられている(特許文献3参照)。
このような場合、一般的なチップが球状のプローブでは十分な形状測定が行えないことがある。
しかし、このようなプローブ89で測定できるのは、ノズル孔81の内面とベルマウス形状83の一部である。これよりも奥の部分にチップ87を接触させようとしても、ステム88がノズル孔81と干渉してしまうためである。
ここで、特許文献3に記載のL字形ステムを有するプローブを用いれば、前述した図8の形状においても、キャビティ82のかなり奥まで測定できると期待される。
しかし、特許文献3のプローブでも、次のような問題があった。
また、チップ87Aが球状であるため、キャビティ82の入隅部分82Aなど、その形状に十分に測定できない可能性があった。
ここで、ステムとチップとは、同じ材料から一体に削り出してもよく、連続材を屈曲させてもよく、別部材を接合して形成してもよい。
このような本発明では、ステムとチップとを同じ材料から一体に削り出した場合、ステムとチップとの間に削り残されて迫り出した部分が生じることがある。また、連続材を屈曲させた場合、ステムとチップとの間に内側に迫り出す部分が生じることがある。さらに、別部材を接合する場合でも、接合に伴う例えば溶接跡などがステムとチップとの間に生じて内側に迫り出すことがある。
これに対し、本発明では、ステムとチップとで挟まれた部分に切欠き状のピットを形成するため、この部分に前述した迫り出しあるいは膨出部分が生じても、これを切除することができる。このため、例えばノズル孔の辺縁が断面直角の出隅あるいは曲率半径の小さいベルマウス形状であっても、ステムおよびチップがノズル孔と干渉することを回避できる。
このような本発明では、前項で述べたピットによるステムとチップとの間の迫り出し部分解消を図ることができる。特に、連続材料の削り出しによる効率よい加工が行えるとともに、屈曲加工のような残留応力あるいは溶接等のような熱影響を避けることができる。さらに、全体を削り出しとすることで、ステムおよびチップの形成ないしピットの加工までを同じ加工手段で統一的に行うことができる。
このような形状のピットとすることで、ステムおよびチップとノズル孔との干渉を確実に回避できる。
このような本発明では、一体あるいは一連の材料からチップおよびステムを削り出すため、屈曲加工のような残留応力あるいは溶接等のような熱影響を避けることができる。さらに、全体を削り出しとすることで、ステムおよびチップの形成ないしピットの加工までを同じ加工手段で統一的に行うことができる。
さらに、削り出しを行う際にはステムとチップとの間に削り残しによる迫り出し部分が生じることがあるが、ピットの加工によってこの迫り出しを除去することができ、ステムおよびチップがノズル孔と干渉することを回避できる。
このような本発明では、材料を回転させて切削することで、ステム部分などの形状が単純だが切削量が多い部分の加工を効率よく行うことができる。一方、チップとなるべき部分については、先ず円盤状とすることで前述したステム部分の回転切削を利用してチップの側面形状を整え、これに続いて軸方向の切削によりチップの平面形状を整えることができ、効率を高めつつ複雑な形状にも対応することができる。そして、最後にピットの加工を行うことで、ステムとチップとの間の切欠きを確実に形成し、迫り出しを解消することができる。
このような放電加工は、微細形状の形成に好適である。そして、本発明では、全ての加工つまりステムおよびチップの形成ないしピットの加工までを同じ放電加工で統一的に行うことができる。
このような本発明では、ステムおよびチップの形成について放電加工により微細形状まで効率よく加工できるとともに、ステムとチップとの間のピットについては、チップ先端等に比べて精度が求められないため、レーザによる加熱材料除去を行うことで、一層の効率化、高速化を図ることができる。
図1から図6には、本発明の第1実施形態が示されている。
図1において、接触式プローブ10は、内径数十μm程度の微細なノズル孔およびその奥に拡がるキャビティの内面の形状測定を行うための微細プローブである。
接触式プローブ10は、棒状のステム11と、このステム11に対して交叉方向へ延びるチップ12と、チップ12とステム11とで挟まれた部分に形成された切欠き状のピット13とを有する。
チップ12は、ステム11に連続する側が基端側でその反対側が先端側とされ、全長約70μm、高さ約40μm、基端側の幅約30μmで先端側に向けて細くなる三角柱状のブロック状とされている。チップ12の先端側は下面側を斜めに切削され、これにより尖った先端121が形成されている。
本実施形態において、ステム11およびチップ12は連続した材料で一体に形成されている。ステム11およびチップ12の材質としては、既存の接触式プローブと同様な金属材料が用いられる。
この放電加工により、ステム11は円柱状に削り出されるが、チップ12に相当する部分12’は扁平な円錐台状の状態である。
放電加工電極8は、先端121の側からステム11に向かって近接させながら、徐々にチップ12の側へ変位するように移動させる。これにより、チップ12には傾斜部分132が形成される。さらに放電加工電極8をステム11に近接させることで、チップ12からステム11にかけて円弧状部分131が形成される。
このため、素材9を回転させて切削することで、ステム11などの形状が単純だが切削量が多い部分の加工を効率よく行うことができる。
前述した第1実施形態では、最終段階のピット13の切削までを放電加工で行うとした。これに対し、本実施形態は、ステム11およびチップ12の形成までは前述した第1実施形態と同様に行うとともに、ピット13の形成をレーザ加工により行う。
図7および図8には、本発明の第3実施形態が示されている。
図7において、本実施形態の接触式プローブ10Aは、基本的に前述した第1実施形態と同様な構成を備えている。このため共通の部分については説明を省略し、相違する部分について以下に説明する。
放電加工電極8は、先端121よりも上の位置でチップ12の上面に沿ってステム11に近接させてゆく。そして、放電加工電極8がステム11の所定深さまで切り込ませ、この状態で放電加工電極8をチップ12に向かう移動に切り替える。そして、放電加工電極8でステム11を切削しつつチップ12の上面に切り込ませ、放電加工電極8が先端121に到達する前の状態で停止させ、後退させる。
なお、本実施形態においても、ピット13の切削をレーザ加工で行ってもよい。
本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内の変形等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、それぞれ挟み角αを90度としたが、挟み角αは90度以下であればよい。ただし、ノズル孔内のキャビティの測定に適した形態としては、90度以下かつ70度以上であることが望ましい。
挟み角αが90度より大きいと、キャビティ内の測定時にノズル孔の出隅部分が干渉することがある。70度より小さいとチップの高さ(ステムの軸線方向の長さ)が大きくなり、導入できるノズル孔あるいはキャビティが限定される。
図9において、接触式プローブ10Bは、前述した図4および図5で形成されたステム11およびチップ12に対し、外周が切削部分とされた円盤状の回転刃物8Aを近接させることで、スリット状のピット13を形成する。
図10において、接触式プローブ10Cは、同様なステム11およびチップ12に対し、先端が円錐状のエンドミル8Bを近接させ、先端をチップ12の上面に沿って側方へ移動(図10直交方向へ移動)させることで、スリット状のピット13を加工する。
何れの場合も、ピット13は交点Cを含む深さまで形成される。
このような各実施形態によっても、前述した第1実施形態に準じた効果を得ることができる。ただし、ピット13までの全ての切削加工が統一的な手段(例えば放電加工)である、との効果は得られない。
また、チップ12となるべき部分12’を三角柱状に切削するとしたが、先端が尖っていればよく、いわゆるホームベース型の平面5角形に形成してもよい。
さらに、前記各実施形態では、先にステム11および部分12’の回転切削を行い、次にチップ12を角柱状に切り出したが、素材9の端面にチップ12(またはチップ12となるべき部分12’)を形成した後、ステム11を切削する、という手順としてもよい。
11…ステム
12…チップ
121…先端
13…ピット
131…円弧状部分
132…傾斜部分
8…放電加工電極
9…素材
α…ステムとチップとの間の挟み角
C…ステムのチップが延びる方向の側面の延長線とチップのステムが接合された面の延長線との交点
Claims (7)
- 棒状のステムと、前記ステムに対して交叉方向へ延びるチップと、前記チップと前記ステムとで挟まれた部分に形成された切欠き状のピットとを有することを特徴とする接触式プローブ。
- 請求項1に記載した接触式プローブにおいて、
前記チップと前記ステムとは連続した材料で形成され、前記ステムと前記チップとの連続部分に生じる内側の迫り出し部分に前記ピットが形成されていることを特徴とする接触式プローブ。 - 請求項1または請求項2に記載した接触式プローブにおいて、
前記ピットは、前記ステムの前記チップが延びる方向の側面の延長線と前記チップの前記ステムが接合された面の延長線との交点よりも深く切欠かれていることを特徴とする接触式プローブ。 - 棒状のステムと、前記ステムに対して交叉方向へ延びるチップと、前記チップと前記ステムとで挟まれた部分に形成された切欠き状のピットとを有する接触式プローブの製造方法であって、
前記チップおよび前記ステムとなるべき材料から前記チップおよび前記ステムを削り出し、
前記チップと前記ステムとで挟まれた部分から前記材料を削り取って前記ピットを形成することを特徴とする接触式プローブの製造方法。 - 請求項4に記載した接触式プローブの製造方法において、
前記材料を回転させて前記ステムを削り出すとともに、前記チップとなるべき円盤状部分を削り出し、
前記円盤状部分を前記ステムの軸方向に切り取って先端が尖った前記チップを形成し、
この後、前記ピットを形成することを特徴とする接触式プローブの製造方法。 - 請求項4または請求項5に記載した接触式プローブの製造方法において、
前記ステムの削り出し、前記チップの削り出し、および前記ピットの削り出しは、放電加工によって行うことを特徴とする接触式プローブの製造方法。 - 請求項4または請求項5に記載した接触式プローブの製造方法において、
前記ステムの削り出しおよび前記チップの削り出しは放電加工によって行うとともに、前記ピットの削り出しは側方からのレーザ加工により行うことを特徴とする接触式プローブの製造方法。
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