以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図3、図4および図5には、本発明の実施例である双眼鏡の構成を示している。図3には双眼鏡の外観を示している。一点鎖線で示すOLは左の対物光学系の光軸、ORは右の対物光学系の光軸である。ELは左の接眼光学系の光軸であり、ERは右の接眼光学系の光軸である。左と右は双眼鏡を観察する両眼の左右に対応している。
また、図3は左右の対物光学系の光軸OL、ORの間隔と左右の接眼光学系の光軸EL、ERの間隔が同一の状態を表している。図4は図3の状態の双眼鏡で、対物光学系の左の光軸OLと接眼光学系の左の光軸ELを共に含む平面で切った双眼鏡の断面を示している。図5は双眼鏡を分解して示している。
まず、双眼鏡に設けられた左右の光学系の構成について説明する。L1L、L1Rは左右の保護ガラスである。L2L、L2Rは左右の前玉レンズ、L3L、L3Rは左右の固定レンズ、L4L、L4Rは左右の対物光学系の一部又は全部よりなる左右の防振レンズとしての左右の可動レンズである。L2L、L3L、L4Lは左の対物光学系を構成し、L2R、L3R、L4Rは右の対物光学系を構成している。これらにより左右の対物光学系が構成される。
L5L、L5Rは左右の正立光学系を構成する左右のポロII型プリズムである。L6L、L6Rは左右の接眼光学系を構成する左右の接眼レンズである。左の接眼レンズL6Lの光軸は左の接眼光学系の光軸ELに一致し、右の接眼レンズL6Rの光軸は右の接眼光学系の光軸ERに一致する。以上により、左右の観察光学系が構成されている。
次に、メカニカルな構造について説明する。1L、1Rはそれぞれ、前玉レンズL2L、L2Rを保持する前玉鏡筒、2は左右の固定レンズL3L、L3Rと左右の可動レンズL4L、L4Rを含む防振ユニット(振れ補正ユニット)である。防振ユニット2の詳細な構成については後述する。
前玉鏡筒1L、1Rは、防振ユニット2の左右の先端部に、バヨネット結合によって結合されて光軸方向の位置が決められる。3は位置決めピンであり、左右のそれぞれに設けられた2本で、前玉鏡筒1L、1Rの光軸が防振ユニット2内の左右の固定レンズL3L、L3Rの光軸と一致するように前玉鏡筒1L、1Rの位置を決める。図5においては、前玉鏡筒1Lは防振ユニット2に結合している状態を示し、前玉鏡筒1Rは分解した状態を示している。左右それぞれに2本設けられた位置決めピン3のうち、1本は前玉鏡筒1L、1Rと防振ユニット2に設けられた基準の穴部に貫通して挿入され、他方は前玉鏡筒1L、1Rに設けられた穴部と防振ユニット2に設けられた溝部に挿入される。
4は防振ユニット2を駆動制御するための電気基板であり、防振ユニット2に一体的に固定されている。
5Lは左の接眼レンズL6Lを保持する接眼鏡筒であり、右の接眼レンズL6Rを保持する接眼鏡筒も図示しないが同様である。6L、6Rは左右のポロII型プリズムL5L、L5Rを保持するプリズムホルダである。7Lは接眼鏡筒5Lを保持する左の接眼ホルダであり、7Rは図示しない右の接眼鏡筒を保持する右の接眼ホルダである。プリズムホルダ6L、6Rと接眼ホルダ7L、7Rはそれぞれ、左右のポロII型プリズムL5L、L5Rと左右の接眼レンズL6L、L6Rが所定の位置関係になるようにビス等により一体化される。
8L、8Rは左右の接眼鏡筒のそれぞれに固定された目当てゴムである。左右の接眼鏡筒の外周壁にはオスヘリコイドネジが、接眼ホルダ7L、7Rの内周壁にはメスヘリコイドネジがそれぞれ結合するように形成されており、いずれかの接眼鏡筒を回転させて光軸方向に進退せしめることで左右の視度調節が可能となっている。以上の構成により左右の接眼ユニット9L、9Rが形成されている。
10は左右の接眼ユニット9L、9Rを対物光学系の光軸OL、OR回りで回転可能に支持すると共に、左右の対物光学系の全部を光軸方向に進退させて観察距離に応じたピント合わせを行う構成の支持部となるベース部材である。ベース部材10には、高い剛性と精度が必要なので、ベース部材10は厚い金属板により形成されている。
ベース部材10のうち、対物光学系の光軸OL、ORに垂直な部分10aには、それぞれの光軸に同軸の開口部10L、10Rが設けられている。開口部10L、10Rには、プリズムホルダ6L、6Rのそれぞれに設けられた円筒部6La、6Raが回転可能に嵌め込まれている。
11L、11Rはプリズムホルダ6L、6Rの円筒部6La、6Raでの回転の動きを連動させるための連動板である。連動板11L、11Rには所定の位置に組み込まれることで光軸方向に付勢力を発生させる複数の腕部11Lb、11Rbがそれぞれ設けられている。連動板11L、11Rは、プリズムホルダ6L、6Rとの間にベース部材10の部分10aを挟んでプリズムホルダ6L、6Rにそれぞれビスにて締結される。また、連動板11L、11Rにはそれぞれ、ギア部11La、11Raが設けられている。
12L、12Rはアイドラギアであり、その回転軸はギア部11La、11Raと噛み合うようにベース部材10の部分10aに加締め等で固定される。ギア部11La、アイドラギア12L、12Rおよびギア部11Raを噛み合わせることで、接眼ユニット9L、9Rの回転の動きを連動させることができる。
図5においては、接眼ユニット9L、連動板11Lおよびアイドラギア12Lがベース部材10の部分10aに組み込まれた状態を示し、接眼ユニット9R、連動板11Rおよびアイドラギア12Rが分解された状態を示している。
接眼ユニット9L、9Rにおける接眼光学系の光軸EL、ERは、ポロII型プリズムL5L、L5Rにより左右の対物光学系の光軸OL、ORに対して所定の量だけ偏芯している。このため、接眼ユニット9L、9Rを回転させることで接眼光学系の光軸EL、ERの幅が変化する。これにより、双眼鏡を使用する観察者の左右の瞳の間隔と接眼光学系の光軸EL、ERの間隔とを一致させる、いわゆる眼幅調整が可能となる。
10bは左右の対物光学系の光軸OL、ORに共に平行なベース部材10の平坦部であり、左右の対物光学系の全部を光軸方向に進退させて、観察距離に応じてピント合わせを行う構成の支持部である。
13は対物光学系が固定されるフォーカス支持部材であり、ベース部材10の平坦部10bに対してガイド機構により光軸方向に進退自在に支持およびガイドされている。
14は送りねじである。15は送りねじ14とその後端部にて結合される操作ダイアルである。16は送りねじ14と結合された操作ダイアル15を定位置で回転可能なように支持する軸受けであり、ベース部材10の部分10aにビスにて固定される。
17は送りねじ14と噛み合うラックである。18はラック17を送りねじ14に押し付けて噛み合いを維持するためのラックバネである。ラック17とラックバネ18はビスにより一体化され、ラックバネ18はフォーカス支持部材13にビスにて固定される。操作ダイアル15を回転させることで、フォーカス支持部材13を光軸方向に進退させることができる。
左右の対物光学系を構成する前玉鏡筒1L、1Rがその先端部に組み込まれた防振ユニット2は、4本の対物固定ビス19によりフォーカス支持部材13に一体的に固定される。すなわち、フォーカス支持部材13の光軸方向の進退に伴って、左右の対物光学系が全体として移動することで、観察距離に応じてピント合わせを行うことが可能となる。
20は下カバー、21は上カバーである。下カバー20と上カバー21は4本のカバー固定ビス22(1本は図示せず)により一体化され、上述した左右の光学系やメカニカル構造を収容して保護する。
下カバー20には、防振ユニット2の駆動を制御するための電気基板4に電力を供給するための電池を収納する電池室20aが設けられている。また、ベース部材10は、3箇所の部分10c(1箇所は図示せず)がそれぞれ緩衝ゴム23を介して下カバー20の所定位置にビスにて固定される。
上カバー21は左右の保護ガラスL1L、L1Rを保持している。24は保護ゴムであり、下カバー20と上カバー21の先端部の保護ガラスL1L、L1Rの外側を覆うことで、落下等による内部への衝撃を緩和する。
25は防振ユニット2の動作のON/OFFを切り替えるための操作スイッチであり、26はそのON状態を表示するLEDである。以上が双眼鏡の全体構成の説明である。
次に、防振ユニット2の構成について、図1および図2を用いて説明する。まず、ここでの説明における方向を定義する。左右の対物光学系の光軸OL、ORに直交する平面内において左右の光軸OL、ORを結ぶ方向を横方向(第2の方向)とする。また、同平面内において横方向に直交する方向を縦方向(第1の方向)とする。光軸方向のうち接眼光学系側を後側とし、その反対側を前側とする。また、図4において操作ダイアル15が配置された側を上とし、図4のように左右の対物光学系の光軸OL、ORを含む平面が地面に対して平行となる姿勢を、双眼鏡の使用上の正姿勢という。図1と図2は防振ユニット2を分解して示しており、図1は斜め後側から、図2は斜め前側から見て示している。
31は後述する可動鏡筒32の光軸方向での位置決め基準となる基準部材としてのベース鏡筒であり、左右の固定レンズL3L、L3Rを保持している。可動鏡筒32は、レンズ保持部材に相当し、左右の可動レンズL4L、L4Rを保持する左右のレンズ保持部とこれらを連結する連結部32Jとを有して樹脂により一体形成されている。連結部32Jは、後述するように、少なくとも曲げ変形および捩れ変形が可能な可撓性を有する。可動鏡筒32は、左右の可動レンズL4L、L4Rとともに、光軸OL、ORに直交する平面内で一体的に移動可能(シフトおよび回転が可能)な部材として形成されている。ただし、後述する回転を制限する機構によって該回転が制限される。
33L、33Rは左右の可動レンズL4L、L4Rの周囲にそれぞれ3つずつ配置された支持ボール(以下、単にボールという)であり、左の3つのボール33Lが左のボール群を構成し、右の3つのボール33Rが右のボール群を構成する。ボール33L、33Rは、ステンレス(SUS440C)やセラミックス等の材料により形成されている。セラミックは非磁性体で磁石に吸着されないので周囲の磁気により防振ユニット2の動作や組み立て性に影響を及ぼさないので、より好適である。
31aL、31aRはベース鏡筒31の左右3箇所ずつに凹部として設けられたボール収納部である。ボール収納部31aL、31aRにはそれぞれ、ボール33L、33Rが収容され、各ボールは各ボール収容部の底面(平面)に転動可能に当接する。各ボール収納部は、各ボールが転動可能な領域を制限する機能を有する。
32aL、32aRは可動鏡筒32の左右3箇所ずつに設けられたボール当接面であり、ボール33L、33Rが当接する。すなわち、左右のボール群は、ベース鏡筒31と可動鏡筒32との間であって可動レンズL4L、L4Rの周囲に配置される。
34は縦方向ガイド(ガイド部材)であり、35b、35cはそれぞれ2つずつ設けられた第1のボールとしての縦方向ガイドボールである。可動鏡筒32において、32bは2つの縦方向ガイドボール35bに対して設けられたガイド溝であり、32cは2つの縦方向ガイドボール35cに対して設けられたガイド溝である。縦方向ガイド34において、34bは2つの縦方向ガイドボール35bに対して設けられたガイド溝であり、34cは2つの縦方向ガイドボール35cに対して設けられたガイド溝である。
ガイド溝32b、34bおよびガイド溝32c、34cは、縦方向ガイドボール35b、35cを光軸方向にて挟み込んで該縦方向ガイドボール35b、35cを縦方向に転動可能に保持する。また、ガイド溝32b、34bおよびガイド溝32c、34cは、縦方向ガイドボール35b、35cと横方向において係合する。これにより、可動鏡筒32と縦方向ガイド34は、縦方向のみに相対移動可能にガイドされる。
4つの縦方向ガイドボール35b、35cと、これらに対応するガイド溝32b、34b、32c、34cとが、少なくとも3つの第1のボールを含む第1のガイド機構としての縦方向ガイド機構を構成する。
36は横方向ガイドであり、37d、37eはそれぞれ、2つおよび1つ設けられた第2のボールとしての横方向ガイドボールである。横方向ガイド36において、36dは2つの横方向ガイドボール37dに対して設けられたガイド溝であり、36eは横方向ガイドボール37eに対して設けられたガイド溝である。
ガイド溝34d、36d、34e、36eは、横方向ガイドボール37d、37eを光軸方向にて挟み込んで該横方向ガイドボール37d、37eを横方向に転動可能に保持する。また、ガイド溝34d、36d、34e、36eは、横方向ガイドボール37d、37eと縦方向において係合する。これにより、縦方向ガイド34と横方向ガイド36は、横方向のみに相対移動可能にガイドされる。
3つの横方向ガイドボール37d、37eと、これらに対応するガイド溝34d、36d、34e、36eとが、少なくとも3つの第2のボールを含む第2のガイド機構としての横方向ガイド機構を構成する。
38は後部ベースである。後部ベース38は、上部に設けられた後側を向く面38aと前側を向く面38bによって、ベース鏡筒31に設けられた対応する面を光軸方向にて挟み込み、2本の固定ビス39によってベース鏡筒31に一体化される。
36f、36gは横方向ガイド36の後面に設けられた位置決めピンである。後部ベース38には、位置決めピン36f、36gにそれぞれ対応する位置決め穴38fと位置決め長穴38gが、位置決めピン36f、36gに対して若干の隙間を有する寸法設定で設けられている。横方向ガイド36は、後述するように回転付勢バネ41から受ける後部ベース38に対する下方向への付勢力によって、後部ベース38に対して縦方向、横方向および回転方向への移動が制限(阻止)されるが、光軸方向へは移動可能に保持される。ベース鏡筒31および後部ベース38により、可動鏡筒32の縦方向および横方向へのシフトと回転制限の土台となる防振ベース部材が構成される。
40は左右に配置された第1の付勢部材としての前方付勢バネである。前方付勢バネ40は圧縮コイルバネであり、横方向ガイド36に設けられた円形の凹部36hと後部ベース38に設けられた円形の凹部38hにそれぞれの両端が嵌め込まれて保持される。前方付勢バネ40は、固定の後部ベース38に対して、横方向ガイド36を、位置決めピン36f、36gと位置決め穴38fおよび位置決め長穴38gとをガイドにして、光軸方向前側に付勢している。すなわち、前方付勢バネ40は、横方向ガイド機構および縦方向ガイド機構に、光軸方向における一方の側(後部ベース38側から可動鏡筒32側)に向かう付勢力を作用させる。
41は第2の付勢部材としての回転付勢バネである。回転付勢バネ41は圧縮コイルバネであり、横方向ガイド36に設けられた円筒の突起を有する座面36iと、後部ベース38に設けられた円筒の突起を有する座面38iとの間に、それぞれの円筒突起に両端が嵌め込まれて組み込まれる。回転付勢バネ41は、固定の後部ベース38に対して横方向ガイド36を下方向に付勢している。
横方向ガイド36が下方向に付勢されると、上述した横方向ガイド機構によって横方向ガイド36に対する縦方向への移動が阻止されている縦方向ガイド34にも該付勢力が作用することになる。これにより、縦方向ガイド34の後部ベース38に対する縦方向への移動が制限(阻止)される。このように、回転付勢バネ41は、ガイド部材である縦方向ガイド34に対して、縦方向のうち一方の側(下方)に向かう付勢力を作用させる。
横方向ガイド36と後部ベース38との関係について、図6と図7を用いて説明する。図6および図7はそれぞれ、横方向ガイド36と後部ベース38の組込み状態を斜め前および斜め後から見て示している。前方付勢バネ40は、横方向ガイド36と後部ベース38の間に配置されているため、図6および図7には示されていない。
図6に示すように、横方向ガイド36と後部ベース38との所定の組み込み状態では回転付勢バネ41の取り付け座面である座面36iと座面38iはほぼ上下方向にて対向しており、回転付勢バネ41は横方向ガイド36を下方向に付勢している。
そして、図7に示すように、横方向ガイド36を光軸方向にガイドしている位置決めピン36f、36gは、回転付勢バネ41の付勢力によって矢印A方向において位置決め穴38fおよび位置決め長穴38gに押し付けられる。これにより、横方向ガイド36の後部ベース38に対する回転方向の姿勢変化、つまりは回転が制限(阻止)される。
図1および図2において、42mは防振ユニット2に搭載されている電気素子と、図5にて説明した電気基板4とを電気的に接続するためのフレキシブル基板の一部である。42cは電気基板4上に実装されたコネクタ(不図示)への差込み部である。43はフレキシブル基板42mを固定するためのフレキ押え板である。
44は左右の可動鏡筒付勢バネである。可動鏡筒付勢バネ44は、引っ張りコイルバネであり、両端のフックが可動鏡筒32の引っ掛け部32dとベース鏡筒31の引っ掛け部31dとにそれぞれ引っ掛けられ、ベース鏡筒31に対して可動鏡筒32を前方に引っ張っている。可動鏡筒付勢バネ44の具体的な作用については後述する。
次に、防振ユニット2において、可動鏡筒32を光軸方向に対して直交する平面内で互いに直交する2方向にシフトさせるアクチュエータとその位置検出を行う構成について説明する。45Pは上下方向の駆動力を発生させるための左右の駆動コイルである。45Yは左右方向の駆動力を発生させるための左右の駆動コイルである。駆動コイル45P、45Yは、可動鏡筒32に接着により取り付けられている。
42L、42Rはフレキシブル基板の一部であり、フレキシブル基板42mにつながっている。フレキシブル基板42Lには左側の駆動コイル45P、45Yが接続され、フレキシブル基板42Rには右側の駆動コイル45P、45Yが接続されている。各駆動コイルには、フレキシブル基板42mの差込み部42cを介して電気基板4から電力が供給される。
46は駆動磁石であり、47は駆動磁石46が発生する磁束を閉じて磁気回路を形成するための駆動ヨークである。駆動ヨーク47は、駆動磁石46の背面に配置された背面ヨーク部47aと、駆動コイル45Pにて駆動力を得るための空気層を形成する対向ヨーク部47bとを有する。
駆動磁石46および駆動ヨーク47は、駆動コイル45Pおよび駆動コイル45Yのそれぞれに対して設けられている。駆動コイル45Pに対して、駆動磁石46は、図4に示すように上下に2つの着磁領域を有する。各着磁領域には前後方向にN極とS極が設けられるように着磁され、2つの着磁領域ではN極とS極が前後方向で反対側に配置されている。また、駆動コイル45Yに対して、駆動磁石46は、左右に2つの着磁領域を有する(図1および図2参照)。各着磁領域には前後方向にN極とS極が設けられるように着磁され、2つの着磁領域ではN極とS極が前後方向で反対側に配置されている。
駆動コイル45P、45Yのそれぞれに対して設けられた駆動磁石46および駆動ヨーク47は、駆動ヨーク47が固定ビス48にてベース鏡筒31に固定されることで、ベース鏡筒31によって保持される。駆動コイル45P、45Yと、これらに対して設けられた駆動磁石46および駆動ヨーク47によって、可動鏡筒32を光軸方向に直交する平面内で上下方向(縦方向)および左右方向(横方向)にシフトさせるアクチュエータが構成される。
49Pは可動鏡筒32の上下方向での位置情報を生成するためのセンサ磁石セットであり、49Yは可動鏡筒32の左右方向での位置情報を生成するためのセンサ磁石セットである。それぞれの裏面にはセンサバックヨーク50P、50Yが配置されており、各センサ磁石セットは、可動鏡筒32を表側と裏側から磁気的吸着力で挟み込むことで可動鏡筒32に固定されている。
センサ磁石セット49Pは上下2個の磁石からなり、それぞれの磁石は左右方向に幅の広い同じ直方体の磁石である。上下2個の磁石には、前後方向にてN極とS極が互いに逆に位置するように配置されている。上下2個の磁石の裏面側では、センサバックヨーク50Pによって磁路が閉じられている。
センサ磁石セット49Yは左右2個の磁石からなり、それぞれの磁石は上下方向に幅の広い同じ直方体の磁石である。左右2個の磁石には、前後方向にてN極とS極が互いに逆に位置するように配置されている。左右2個の磁石の裏面側では、センサバックヨーク50Yによって磁路が閉じられている。
51Pはセンサ磁石セット49Pに対向するように配置され、可動鏡筒32の上下方向のシフトに応じた信号を出力するホール素子である。51Yはセンサ磁石セット49Yに対向するように配置され、可動鏡筒32の左右方向のシフトに応じた信号を出力するホール素子である。42Hはフレキシブル基板の一部であり、フレキシブル基板42mにつながっている。ホール素子51P、51Yはフレキシブル基板42Hに実装されている。52はホール素子を位置決めするための板金であり、フレキシブル基板42Hを押さえて、開口部52P、52Yでホール素子51P、51Yを位置決めした状態で4本の固定ビス53によりベース鏡筒31に固定される。ホール素子51P、51Yからの出力を用いて、可動鏡筒32の上下方向および左右方向での位置情報を得ることができる。
54は第3の付勢部材としての左右の自重支持バネである。自重支持バネ54は引張りコイルバネであり、それぞれの両端は、縦方向ガイド34のフック34fと可動鏡筒32のフック32fに引っ掛けられている。縦方向ガイド34は、横方向ガイド36に対して横方向のみに相対移動可能である。横方向ガイド36は、後部ベース38に対して前後方向にのみ相対移動可能である。つまり、自重支持バネ54によって、縦方向ガイド34に対して可動鏡筒32を上方向(重力方向と反対方向)に引き上げることができる。
可動鏡筒32には、左右の可動レンズL4L、L4R、駆動コイル45P、45Y、センサ磁石セット49P、49Yおよびセンサバックヨーク50P、50Y等が一体的に取り付けられている。これらを含めた重さを有する可動鏡筒32が、双眼鏡の正姿勢において上下方向の可動中心位置近傍に位置するように自重支持バネ54のバネ力を設定することで、通常使用状態において駆動コイル45Pに供給する電力を削減することができる。つまり、可動鏡筒32の重量を持ち上げるための電力を不要として消費電力を低減することができる。また、可動鏡筒32のより高い周波数域での応答性を向上させすることもできる。なお、自重支持バネ54は必ずしも必要ではない。
次に、図8を用いて、ボール群と前方付勢バネ40および可動鏡筒付勢バネ44との関係について説明する。左右の前方付勢バネ40は、後部ベース38と横方向ガイド36の間で圧縮されて光軸方向(前方)への付勢力を発生させる。この付勢力は、横方向ガイド36から横方向ガイドボール37d、37eを介して縦方向ガイド34に作用し、さらに縦方向ガイドボール35b、35cに伝えられる。つまり、可動鏡筒32は、直接的には縦方向ガイドボール35b、35cによって光軸方向に付勢されている。
左右の前方付勢バネ40が発生する付勢力の合力は、これら前方付勢バネ40の中心を結ぶ線Aと2つの縦方向ガイドボール35bを結ぶ線BLとの交点CL、および線Aと2つの縦方向ガイドボール35cを結ぶ線BRとの交点CRの位置に作用する。さらに、可動鏡筒32は、左右の可動鏡筒付勢バネ44によって前方に引っ張られている。そして、左右の可動鏡筒付勢バネ44が発生する付勢力と左右の前方付勢バネ40が発生する付勢力との合力は、交点CL、CRと左右の可動鏡筒付勢バネ44の中心とを結ぶ線上の点DLおよびDRの位置に作用する。
点DLおよびDRは、左右のボール群のそれぞれにおいて3つのボール(33L、33R)よりも内側、つまりは該3つのボールを頂点とする三角形の領域の内側に位置する。これにより、3つのボールに作用する押し付け力を均等に近づけることができる。さらに、点DLおよびDRを上記三角形の重心位置に近づけることで、3つのボールに作用する押し付け力をより均等に近づけることができる。
このように、本実施例では、左右の前方付勢バネ40と左右の可動鏡筒付勢バネ44によって、左右の付勢部材を構成する。ただし、可動鏡筒付勢バネ44は、左右の付勢力の作用位置をより適正化するために付加されたものであるので、必ずしも設ける必要はない。
可動鏡筒32は、前述したように、左右の可動レンズL4L、L4Rを保持するレンズ保持部の間を連結部32Jで繋げられた形状を有する。
ここで、可動鏡筒32において可動レンズL4Lの周囲に設けられた3箇所のボール当接面32aLの光軸方向での高さを必要な機械的精度で揃えることは比較的容易である。3箇所のボール当接面32aLの高さを全て同じにする必要はなく、相対する固定レンズL3Lとのレンズ間隔と相対倒れが光学性能的に許容できる範囲内に収まればよい。逆に、3箇所のボール当接面32aLの高さを全て同じにすることは困難である。可動レンズL4Rの周囲に設けられたボール当接面32aRについても同様である。
また、ベース鏡筒31についても、固定レンズL3Lの周囲に設けられた3箇所のボール収納部31aLの底面の光軸方向での高さを全て同じにすることは困難である。固定レンズL3Rの周囲に設けられたボール収納部31aRについても同様である。
したがって、ベース鏡筒31と可動鏡筒32を所定の位置に組み込んでも、6つのボール33L、33Rとその受け面であるボール当接面32aL、32aRおよびボール収納部31aL、31aRの底面とをすべて当接させることはきわめて困難である。仮に可動鏡筒32が全体的に高剛性で変形しない部材であれば、前方付勢バネ40と可動鏡筒付勢バネ44の付勢力が作用しても、6つのボールのうち3つのみがボール当接面32aL、32aRおよびボール収納部31aL、31aRの底面に当接するに過ぎない。
このような状態では、可動鏡筒32が光軸方向にガタつき、可動レンズL4L、L4Rと固定レンズL3R、L3L間の間隔が変動したり、可動レンズL4L、L4Rが左右の光学系の光軸に対して倒れたりする可能性が高い。
そこで、本実施例では、可動鏡筒32における連結部32Jに、前方付勢バネ40および可動鏡筒付勢バネ44による付勢力によって、少なくとも曲げ変形および捩れ変形を生じる可撓性を持たせている。連結部32Jが上記付勢力によって変形することで、左右3つずつのボール33L、33Rと可動鏡筒32およびベース鏡筒31に設けられたボール当接面32aL、32aRおよびボール収納部31aL、31aRの底面とをすべて当接させることができる。この結果、可動レンズL4L、L4Rと固定レンズL3R、L3L間の間隔を一定に維持することができ、また可動レンズL4L、L4Rの左右の光学系の光軸に対する倒れを防止することもできる。
図9および図10には、可動鏡筒32の連結部32Jの可撓性を示している。図9では、連結部32Jに曲げ変形が生じている。図10では、連結部32Jに捩れ変形が生じている。
図9において、Sは連結部32Jが曲げ変形することによって左右の可動レンズL4L、L4Rがそれぞれ矢印B方向および矢印C方向に変位する(曲がる)ときの該変位の中心軸である。図10において、Dは連結部32Jが捩れ変形することによって左右の可動レンズL4L、L4Rがそれぞれ矢印E方向および矢印F方向に変位する(捩れる)ときの該変位の中心軸である。実際には、曲げ変形と捩れ変形が複合して生じることで、左右3つずつのボール33L、33Rと可動鏡筒32およびベース鏡筒31に設けられたボール当接面32aL、32aRおよびボール収納部31aL、31aRの底面とをすべて当接させることができる。
図11には、ボール33L、33Rとベース鏡筒31および可動鏡筒32との関係を示している。図11の(a)、(b)において、ボール33L(33R)とベース鏡筒31に設けられたボール収納部31aL(31aR)の底面と可動鏡筒32に設けられたボール当接面32aL(32aR)は前述した付勢力によって当接している。
図11の(a)は、ボール33L(33R)が、ボール収納部31aL(31aR)において壁部によって制限された該ボール33L(33R)の転動が可能な領域のほぼ中央に位置し、可動鏡筒32もシフト可能な範囲の中央に位置する状態を示している。(b)は、(a)で示した位置から可動鏡筒32が矢印A方向にシフトした状態を示している。このとき、ボール33L(33R)は、ボール収納部31aL(31aR)の底面とボール当接面32aL(32aR)とに当接しているので、矢印Bの方向に滑らずに転がる。(b)において二点鎖線で示す円は、(a)で示したボール33L(33R)の位置である。このように、可動鏡筒32のシフトする際には、滑り摩擦ではなく転がり摩擦のみが発生する。転がり摩擦は滑り摩擦に比べてかなり小さな摩擦であるため、可動鏡筒32の駆動抵抗を小さくすることができる。このことは、アクチュエータによる可動鏡筒32の微小駆動に対して有利である。
図12の(a)、(b)に示すように、防振ユニット2には、該防振ユニット2の駆動を制御する電気基板4がビスにて一体的に取り付けられる。電気基板4には、双眼鏡の上下方向および左右方向の角速度を検出する振動ジャイロ等の振れセンサ4a、4bが実装されている。4cはマイクロコンピュータであり、振れセンサ4a、4bからの角速度の情報に基づいて、駆動コイル45P、45Yへの通電を制御して、可動鏡筒32を上下方向および左右方向にシフトさせ、像振れを補正(低減)する。
次に、光軸方向に対して直交する平面内での可動鏡筒32の回転制限(回転阻止)のための構造について説明する。先に説明したように、可動鏡筒32と縦方向ガイド34は、縦方向ガイドボール35b、35cをそれぞれに対応するガイド溝32b、34bおよび32c、34cで挟み込むことで縦方向のみに相対移動可能となっている。また、縦方向ガイド34と横方向ガイド36は、横方向ガイドボール37d、37eをそれぞれに対応するガイド溝34d、36dおよび34e、36eで挟み込むことで横方向のみに相対移動可能となっている。さらに、ベース鏡筒31と一体の後部ベース38に設けられた位置決め穴38fおよび位置決め長穴38gと、横方向ガイド36に設けられた位置決めピン36f、36gと、回転付勢バネ41とによって、横方向ガイド36の回転方向の姿勢変化が制限される。このような構成により、可動鏡筒32は、光軸方向に対して直交する平面内で回転することなく、縦方向および横方向にシフトが可能である。
図13および図14を用いて、各ガイドボールと各ガイド溝の形状との関係について説明する。図13(a)には、縦方向ガイド機構を構成する縦方向ガイドボール35bとガイド溝32b、34bの断面を示している。図13(a)の紙面に対して垂直な方向が相対移動のガイド方向である縦方向である。図中の括弧内の符号は、横方向の相対移動をガイドするガイド機構を構成する横方向ガイドボール37dとガイド溝34d、36dを示す。縦方向ガイド機構と横方向ガイド機構の構成は同じであるので、ここでは縦方向ガイド機構について説明する。
ガイド溝32b、34bはともに、開角θをなす斜面部を左右に有し、ガイド方向に対して直交する断面の形状(図の紙面上での形状)が互いに同じである。縦方向ガイドボール35bは、前方付勢バネ40の付勢力によってガイド溝32b、34bの斜面部間に挟み込まれることで、ガイド方向に対して直交する方向でのガイド溝32b、34b(つまりは可動鏡筒32および縦方向ガイド34)の動きを制限している。
図13(b)、(c)には、可動鏡筒32のシフト時における縦方向ガイドボール35bとガイド溝32b、34bの動きを示している。図中において32bと34bで示す直線は、図13(a)に示したガイド溝32b、34bの斜面部と縦方向ガイドボール35bとが接する部分を表している。ガイド溝32b、34bは、ガイド方向における両端に、縦方向ガイドボール35bの転動可能領域を制限する端部32bw、34bwをそれぞれ有する。
図13(b)では、縦方向ガイドボール35bが、ガイド溝32b、34b内における転動可能領域のほぼ中央に位置し、可動鏡筒32もそのシフトが可能な範囲の中央に位置する状態を示している。また、図13(c)は、可動鏡筒32が図13(b)に示した位置から矢印Aで示す方向にシフトした状態を示している。このとき、縦方向ガイドボール35bは、ガイド溝32b、34bの斜面部に当接しており、該斜面部との間での摩擦によって矢印Bの方向に滑らずに転がる。二点鎖線で示す円は、図13(b)に示した縦方向ガイドボール35bの位置である。
本実施例では、このような縦方向ガイドボール35bとガイド溝32b、34bとの組み合わせによって構成されるガイド機構が、縦方向に距離を隔てて2組配置されている。このため、可動鏡筒32と縦方向ガイド34とは、ガタなく縦方向のみの相対移動が可能となっている。横方向ガイドボール37dとガイド溝34d、36dも同様のガイド機構を構成し、かつ横方向に距離を隔てて2組配置されている。このため、縦方向ガイド34と横方向ガイド36とは、ガタなく横方向のみの相対移動が可能となっている。
図14には、縦方向ガイド機構のうち縦方向の相対移動を支持する縦方向支持機構を構成する縦方向ガイドボール35cとガイド溝32c、34cの断面を示している。図14の紙面に対して垂直な方向が相対移動方向としての縦方向である。図中の括弧内の符号は、横方向ガイド機構のうち横方向の相対移動を支持する横方向支持機構を構成する横方向ガイドボール37eとガイド溝34e、36eを示す。縦方向支持機構と横方向支持機構の構成は同じであるので、ここでは縦方向支持機構について説明する。
ガイド溝32cは、大きな開角φ(>θ)をなす斜面として形成された左右の底面部を有する。一方、ガイド溝34cは、横方向に平行な平面としての底面部を有する。縦方向ガイドボール35cは、前方付勢バネ40の付勢力によってガイド溝32cの斜面としての底面部とガイド溝34cの平面としての底面部との間に挟み込まれることで、縦方向ガイド34を可動鏡筒32上にて支持している。可動鏡筒32のシフト時における縦方向ガイドボール35cとガイド溝32c、34cの動きは、図13(b)、(c)に示した縦方向ガイドボール35bとガイド溝32b、34bの動きと同様である。
可動鏡筒32と縦方向ガイド34との縦方向での相対移動は、縦方向ガイドボール35bとガイド溝32b、34bにより構成されるガイド機構を2組設けることでガタなくガイドされる。このため、ガイド溝34cの底面部を平面として形成することで、縦方向ガイドボール35cとガイド溝32c、34cにより構成される支持機構が可動鏡筒32と縦方向ガイド34の横方向への過剰な相対移動制限となることを避けている。また、ガイド溝32cの底面部に設けた大きな開角φの斜面は、縦方向ガイドボール35cの側壁への不要な接触を避けるために設けられている。
そして、本実施例では、縦方向ガイドボール35cとガイド溝32c、34cにより構成される支持機構も、縦方向に距離を隔てて2組配置されている。
上述した各ガイドボールと各ガイド溝による可動鏡筒32の回転を防止する動きにおいてガイドボールは常に転動し、滑りを生じないため、可動鏡筒32の微小駆動に対して有利である。
以上説明したように、本実施例では、縦方向および横方向ガイド機構によって、可動鏡筒32により保持されて縦方向および横方向にのみシフト(移動)すべき左右の可動レンズL4L、L4Rが、光軸方向に対して直交する平面内で回転することを防止できる。しかも、縦方向および横方向ガイド機構はボールの転動を利用した機構であるので、可動鏡筒の駆動抵抗を小さくすることができる。
さらに本実施例では、縦方向ガイド機構(第1のガイド機構)と横方向ガイド機構(第2のガイド機構)を左右の防振レンズ(可動レンズ)L4L、L4Rよりも内側、言い換えれば、左右の防振レンズの間に設けている。これにより、双眼鏡の内部空間を有効に活用することができ、双眼鏡の小型化を実現することができる。
なお、本実施例では、縦方向ガイドボール35cとガイド溝32c、34cにより構成される支持機構を縦方向に2組配置したが、必ずしも2組である必要はない。例えば、図9にて説明した交点CRの位置に、支持機構を1組のみ配置してもよい。
また、本実施例では、第1の付勢部材として前方付勢バネ40を、第2の付勢部材として回転付勢バネ41を用いた場合について説明したが、これ以外の構成を採用することもできる。例えば、前方付勢バネ40を光軸方向に対して傾けて配置して該前方付勢バネ40により発生した付勢力の前方および下方への分力を、第1の付勢部材により作用される力および第2の付勢部材により作用される力として用いてもよい。つまり、前方付勢バネ40を第1の付勢部材および第2の付勢部材として兼用することができる。
また、上記実施例では、ボールによりガイドされて移動する部材が初期位置(中立位置)にある初期状態にて、図12(a)や図13(b)に示したように、該ボールがその転動可能領域のほぼ中央にある場合について説明した。このとき、転動可能領域の両端においてボールの転動を制限する部分(以下、制限端という)は、移動する部材がその移動可能領域の全域にて移動しても、ボールが制限端に当接しない位置に設定される。
ただし、実際の組み込み状態では、初期状態でいずれかのボールの位置が転動可能領域のうちほぼ中央から大きくずれている場合がある。この場合、移動する部材をその移動可能領域の全域で一度移動させると、その過程でボールが制限端に当接して滑り、移動する部材をその初期位置に戻せば、ボールは転動可能領域のほぼ中央に位置する。
ボールと該ボールが当接する面に適度な粘度を有する潤滑油を塗布しておけば、ボールが転動できなくなって滑る際の抵抗増加を抑制することができ、また双眼鏡に加わった振動によってボールの位置が容易にずれることを防止することができる。
さらに、上記実施例では、横方向ガイドボールと縦方向ガイドボールの転動方向である第1の方向と第2の方向が互いに直交する場合について説明したが、これら第1および第2の方向は必ずしも直交する必要はなく、例えば45度のような角度でもよい。このことは、アクチュエータによる可動鏡筒のシフト方向である2方向についても同様である。また、上記実施例では、横方向ガイドボールおよび縦方向ガイドボールの転動方向と、アクチュエータによる可動鏡筒のシフト方向とが一致する場合について説明したが、これらが互いに異なっていてもよい。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。