JP5692385B2 - タワーボイラ - Google Patents

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Description

本発明は、タワーボイラに関する。
本願は、2011年7月22日に日本に出願された特願2011−160529号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
タワーボイラは、限られたスペースに設置されるのに適したボイラであり、例えば、特許文献1に開示されたタワーボイラがある。
このタワーボイラは、ボイラ本体と、このボイラ本体内に燃料を噴射して燃焼させるバーナと、バーナからボイラ本体内に燃料を噴射して燃焼させることで生じる燃焼ガスとの間で熱交換を行う伝熱部とを備えている。そして、ボックス形状をなす火炉壁の上部に伝熱部を構成する過熱器、再過熱器および節炭器を配置することで、ボイラのサイズ(ボイラの専有面積)の小型化を図っている。
伝熱部、例えば、過熱器は、幾重にも往復させて束ねた長い伝熱管を備え、この束ねられた状態における伝熱管の隣接ピッチ(隣接する伝熱管同士の間隔)が大きいと、過熱器の体積が大きくなる。この過熱器の大きさは、ボイラのサイズに直接影響を及ぼすことから、従来のタワーボイラにおいては、できるだけ隣接ピッチの狭い過熱器(伝熱部)を配置している。
このように、隣接ピッチの狭い過熱器を配置すると、高い伝熱効率が得られるうえ、ボイラのサイズも小さくすることができる。しかしながら、灰を含む燃焼ガスを隣接ピッチの狭い過熱器に導入するに際して、この燃焼ガスの温度が灰の溶融点を越えている場合には、伝熱管に灰が付着して、伝熱管の隣接ピッチが狭い分だけ燃焼ガスの流動が滞り、効果的な熱交換ができなくなる。
このような従来のタワーボイラにおいて、過熱器の隣接する伝熱管の間に灰が詰まるのを回避するために、最も火炉壁下部に近い過熱器までの伝熱面(炉壁管を上下方向に多数配した火炉壁)の面積を大きくして相応の熱量を吸収することで、過熱器に導入する燃焼ガスの温度が灰の溶融点を超えないようにしている。
特開平09−243004号公報
上記した特許文献1に開示されたタワーボイラを、プラント効率の向上を目的とした高蒸気条件(高温高圧条件)の蒸気を発生可能なタワーボイラとする場合、プラント効率の向上により燃料投入量は少なくなるが、それ以上にタワーボイラからタービンに供給する蒸気の流量が少なくなる。つまり、給水流量が少なくなるため、結果として従来の蒸気条件のタワーボイラと比較して炉壁管内を流れる水又は蒸気の温度が高くなる。また、さらなるプラント効率の向上を目的として、給水加熱器による熱回収量を増やす場合がある。この場合には、ボイラに導入される給水温度が高くなって、炉壁管内を流れる水又は蒸気の温度がさらに高くなる。
その一方で、高蒸気条件のタワーボイラにおいても、上記したように、最も火炉壁下に近い過熱器に導入する燃焼ガスの温度を灰の溶融点以下に下げなくてはならない。そのため、火炉壁下部の伝熱面の面積を小さくして、炉壁管内を流れる水又は蒸気の温度を下げることはできない。
つまり、火炉壁の炉壁管内を流れる水は、火炉壁で高温の水又は蒸気となった状態でボイラ本体の上部に設置したドラム或いはセパレータに向けて上昇するため、火炉壁上部における管内の蒸気温度が高くなってしまい、材料的に耐えられなくなる。
この際、ボイラ本体の上部における火炉壁に、高温の蒸気に耐え得る材料、例えば、T24と呼ばれる7CrMOVTiB10−10材を用いようとしても、現状の溶接技術では火炉壁として形成することが困難である。したがって、高蒸気条件下での運用に際して火炉壁上部の管内蒸気温度が高くならないようにする技術が望まれている。
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、火炉壁に高温の蒸気に耐え得る材料を用いることなく、プラント効率の向上を目指した高蒸気条件の蒸気を発生させることができるタワーボイラの提供を目的としている。
本発明に係る第一の態様は、ボイラ本体を形成し且つこのボイラ本体内で生じる燃焼ガスとの間で熱交換を行う火炉壁と、前記ボイラ本体の上部に位置して前記ボイラ本体内で生じる燃焼ガスとの聞で熱交換を行う伝熱部を備えたタワーボイラにおいて、前記伝熱部が複数の過熱器を備え、前記複数の過熱器のうちの少なくとも最も前記火炉壁下部側に位置する過熱器における伝熱管の隣接ピッチを前記火炉壁下部から離れた側に位置する過熱器における伝熱管の隣接ピッチよりも広く設定した構成としている。
本発明に係る第2の態様は、上記した第1の態様のタワーボイラにおいて、前記複数の過熱器における伝熱管の各隣接ピッチを、前記火炉壁下部から離れるのに伴って前記過熱器毎に順次狭めてある。
本発明に係る第3の態様は、上記した第1または第2の態様のタワーボイラにおいて、前記複数の過熱器における伝熱管の各隣接ピッチが、伝熱管の隣接ピッチが最も狭い過熱器に前記燃焼ガスが導入されるまでに、前記燃焼ガスの温度が前記燃焼ガスに含まれる灰の溶融点以下となるよう設定されている。
本発明に係るタワーボイラでは、火炉壁下部から離れた側に位置する伝熱管の隣接ピッチが狭い過熱器に灰を含む燃焼ガスが導入されるまでに、この燃焼ガスの温度を灰の溶融点以下に下げる必要がある。そのため、最も火炉壁下部側に位置する過熱器、すなわち、伝熱管の隣接ピッチを広くした過熱器は 燃焼ガスの温度を下げる伝熱面の役割も果たす。したがって、火炉壁下部における炉壁管を上下方向に多数配した火炉壁が吸収する熱量が相対的に少なくなって、火炉壁上部の管内蒸気温度が低く抑えられる。
この際、複数の過熱器における伝熱管の各隣接ピッチが、火炉壁下部から離れるに伴って過熱器毎に順次狭まるようにすれば、各過熱器において、灰による閉塞を阻止し且つボイラサイズの大型化を回避したうえで、効率の良い熱交換が可能となる。
本発明に係るタワーボイラにおいて、最も火炉壁下部側に位置する過熱器には、灰の溶融点を超えたガス温度の燃焼ガスが導入される。したがって、この過熱器における伝熱管の隣接ピッチを狭く設定すると、伝熱管に灰が付着することによる過熱器の閉塞が懸念される。一方、過熱器における伝熱管の隣接ピッチを広く設定すると、ボイラサイズを大きくする必然性が生じる。
したがって、最も火炉壁下部側に位置する過熱器における伝熱管の隣接ピッチは、灰による閉塞を阻止し且つボイラサイズの大型化を回避し得る値に設定される。例えば、燃焼によって生じた約1600℃の燃焼ガスを、火炉壁下部から離れた側に位置する過熱器に導入するまでに、灰の溶融点である約1200℃以下に下げる場合には、伝熱管の隣接ピッチを1000〜2000mmとすることが望ましい。この際、火炉壁下部から離れた側に位置する過熱器における伝熱管の隣接ピッチは、概ね600〜700mmになる。
本発明に係るタワーボイラでは、上記した構成により、火炉壁に高温の蒸気に耐え得る材料を用いることなく、すなわち、現在採用されている火炉壁の材料を変更することなく、プラント効率の向上を目指した高蒸気条件での運用を行うことが可能である。
本発明に係るタワーボイラの一実施形態を示す側方からの概略図である。 本発明に係るタワーボイラの他の実施形態を示す側方からの概略図である。
以下、本発明に係るタワーボイラを図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るタワーボイラの一実施形態を示している。
図1に示すように、このタワーボイラ1は、ボイラ本体2を形成する火炉壁3と、このボイラ本体2内に燃料を噴射して燃焼させるバーナ4と、このバーナ4からボイラ本体2内に燃料を噴射して燃焼させることで生じる燃焼ガスGとの間で熱交換を行う伝熱部とを備えている。燃焼ガスGとの熱交換は、ボイラ本体2の下部及び上部に位置する火炉壁下部3a及び火炉壁上部3bによっても行われる。伝熱部は、ボイラ本体2の火炉壁上部3bで囲まれる上部流路10内に配置されており、この伝熱部は、複数の過熱器5〜8、再熱器9及び図示しない節炭器とを備えている。
このタワーボイラ1では、燃焼ガスGを上部流路10内の伝熱部、すなわち、過熱器7,6,8、再熱器9、過熱器5及び節炭器へ燃焼ガスGを流して熱交換させ、この熱交換後の燃焼ガスGをさらに下流側に配置した図示しない脱硝装置の脱硝触媒や脱硫装置等の排煙処理装置へ流して硫黄化合物や窒素化合物等の成分を除去した後、大気に放出する。
複数の過熱器5〜8のうちの最も火炉壁下部3a側に位置して火炎Fに晒される過熱器7及びこの過熱器7の下流側に位置する過熱器6を構成する各伝熱管11は、幾重にも往復させて束ねられている。さらに、図1の拡大部分に示すように、これらの過熱器6,7を構成する各伝熱管11の隣接ピッチPwは、火炉壁下部3aから離れた側に位置する過熱器8を構成する伝熱管11のピッチPnよりも広く設定してある。
上記したように、この実施形態に係るタワーボイラ1において、火炉壁下部3aから離れた側に位置する過熱器8、すなわち、伝熱管11の隣接ピッチPnが狭い過熱器8に燃焼ガスGが導入されるまでに、この燃焼ガスGの温度を灰の溶融点以下に下げる必要がある。そのため、最も火炉壁下部3a側に位置して火炎Fに晒される過熱器7及びこれに隣接する過熱器6、すなわち、各伝熱管11の隣接ピッチPwを広くした過熱器6,7は、燃焼ガスGの温度を下げる伝熱面の役割も果たす。
したがって、図示しない炉壁管を上下方向に多数配した火炉壁下部3aが吸収する熱量が少なくなって、ボイラ本体2の火炉壁上部3bにおける炉壁管内の蒸気温度が低く抑えられる。
このように、この実施形態に係るタワーボイラ1では、ボイラ本体2に対し投入する熱量を増やしたとしても、ボイラ本体2の火炉壁上部3bにおける炉壁管内の蒸気温度を低く抑え得る。そのため、火炉壁上部3bに高温の蒸気に耐え得る材料、例えば、T24と呼ばれる7CrMOVTiB10−10材を用いることなく、すなわち、現在採用されている炉壁材料、例えば、T12と呼ばれる13CrMO4−5材を用いて、プラント効率の向上を目指した高蒸気条件での運用を行い得る。
図2は、本発明に係るタワーボイラの他の実施形態を示している。
図2に示すように、この実施形態に係るタワーボイラ21が、先の実施形態に係るタワーボイラ1と相違するところは、複数の過熱器5〜8のうちの最も火炉壁下部3a近傍に位置する過熱器7から最も遠方に位置する過熱器8に至るまでの各伝熱管11の隣接ピッチPw,Pm,Pnが、図2の拡大部分に示すように、火炉壁下部3aから離れるのに伴って順次狭まるように設定した点にあり、他の構成は先の実施形態に係るタワーボイラ1と同じである。
このように、最も火炉壁下部3a近傍に位層する過熱器7から最も遠方に位置する過熱器8に至るまでの各伝熱管11の隣接ピッチPw,Pm,Pnが、火炉壁下部3aから離れるのに伴って順次狭まるようにすれば、各過熱器7,6,8において、灰による閉塞を阻止し且つボイラサイズの大型化を回避したうえで、効率の良い熱交換が成される。
本発明に係るタワーボイラの構成は、上記した実施形態に係るタワーボイラの構成に限定されるものではない。他の構成として、例えば最も火炉壁下部3a近傍に位層する過熱器7に隣接する過熱器6内において伝熱管11の隣接ピッチを変えてもよい。また、最も火炉壁下部3a近傍に位層する過熱器7から最も遠方に位置する過熱器8に至るまでの各伝熱管11の隣接ピッチPw,Pm,Pnを、火炉壁下部3aから離れるに従い徐々に狭めるように変化させてもよい。
このタワーボイラでは、現在採用されている火炉壁の材料を変更することなく、プラント効率の向上を目指した高蒸気条件での運用を行うことが可能である。
1,21 タワーポイラ、2 ボイラ本体、3 火炉壁、3a 火炉壁下部、3b 火炉壁上部、5〜8 過熱器(伝熱部)、9 再熱器(伝熱部)、11 伝熱管、G 燃焼ガス、Pn 火炉壁下部から離れた過熱器における伝熱管の隣接ピッチ、Pw 火炉壁下部に近い過熱器における伝熱管の隣接ピッチ、Pm 火炉壁下部から離れた過熱器及び火炉壁下部に近い過熱器の間の過熱器における伝熱管の隣接ピッチ

Claims (2)

  1. ボイラ本体を形成し且つこのボイラ本体内で生じる燃焼ガスとの間で熱交換を行う火炉壁と、
    前記ボイラ本体の上部に位置して前記ボイラ本体内で生じる燃焼ガスとの聞で熱交換を行う伝熱部をえたタワーボイラにおいて、
    前記伝熱部が複数の過熱器を備え、
    前記複数の過熱器のうちの少なくとも最も前記火炉壁下部側に位置する過熱器における伝熱管の隣ピッチを前記火炉壁下部から離れた側に位置する過熱器における伝熱管の隣接ピッチよりも広く設定し
    前記複数の過熱器における伝熱管の各隣接ピッチを、伝熱管の隣接ピッチが最も狭い過熱器に前記燃焼ガスが導入されるまでに、前記燃焼ガスの温度が前記燃焼ガスに含まれる灰の溶融点以下となるよう設定したタワーボイラ。
  2. 前記複数の過熱器における伝熱管の各隣接ピッチを、前記火炉壁下部から離れるのに伴って前記過熱器毎に順次狭めてある請求項1に記載のタワーボイラ。
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