JP5691754B2 - 樹脂製燃料タンクの成形方法 - Google Patents

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本発明は、樹脂製燃料タンクを成形するための成形方法に関する。
自動車等の車両に備えられる燃料タンクでは、樹脂で構成されると共に、燃料タンクの容積を可変としたものがある。たとえば特許文献1には、蛇腹状の可変容量部を設けた液体タンクが記載されている。特許文献1には、合成樹脂を材料として、ブロー成形法等により成形する点も記載されている。
ところで、燃料タンクの容積を容易に可変させるためには、変形部分が他の部分と比較して薄肉化されていることが望ましい。しかし、ブロー成形等によって燃料タンクの全体形状を成形すると、燃料タンクの外殻部分の一部を薄肉化することが難しい。
特開2005−255184号公報
本発明は上記事実を考慮し、外殻部分の一部を他の部分と比較して薄肉化することが可能な樹脂製燃料タンクの成形方法を得ることを課題とする。
請求項1に記載の発明では、成形前の樹脂材料がセットされる成形部を備えブロー成形によって成形部内で燃料タンクの外殻形状を成形する金型本体と、該成形部の内側に位置する成形面に外側へ凹む凹部を備え成形部に対して進退可能とされると共に成形部の一部を取り囲むように配置された可動型を用い、前記可動型を前記成形部から後退させた状態で前記金型本体の前記成形部の内面及び前記可動型の前記成形面に前記樹脂材料を密着させて前記凹部において樹脂材料を成形部の内面に密着した部分よりも薄肉化する第1薄肉化工程と、次いで前記可動型を前記成形部に前進させることで前記凹部以外の前記成形面に密着した樹脂材料を成形部の内面に密着した部分よりも薄肉化する第2薄肉化工程と、を有する。
この樹脂製燃料タンクの成形方法では、可動型を成形部から後退させた状態で、第1薄肉化工程を行う。すなわち、金型本体の成形部の内面及び可動型の成形面に樹脂材料を密着させる。可動型の成形面には外側へ凹む凹部が形成されているので、この凹部に樹脂材料が入り込むときに凹部内で薄肉化される。
次いで、第2薄肉化工程を行い、可動型を成形部に前進させる。これにより、可動型において凹部以外の成形面に密着した樹脂材料が、成形部内に引き伸ばされて薄肉化される。
このように、本発明の樹脂製燃料タンクの成形方法では、タンクの外殻形状に対し、一部分を確実に薄肉化できる。
可動型は、金型本体の成形部の一部を取り囲むように配置されているので、成形された樹脂製燃料タンクにも、外殻形状の一部を取り囲む薄肉部が形成される。この薄肉部を変形させることで、薄肉部分の内側部分を外側部分に対し変位させて、燃料タンクの容積を変化させることができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記成形部が、平坦状に形成された少なくとも1つの平坦面を備え、前記可動型が、前記1つの平坦面において前記成形部の一部を取り囲んでいる。
1つの平坦面において、可動型が成形部の一部を取り囲んでいるので、複数の平坦面に連続して可動型が成形部の一部を取り囲む構造と比較して、可動型の形状や可動型を進退させる構造が簡単になり、樹脂製燃料タンクの成形も容易になる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記1つの平坦面では1つの前記可動型が前記成形部の一部を取り囲んでいる。
すなわち、1つの平坦面に対応して1つの可動型が配置されているので、1つの平坦面に対応して複数の可動型を配置した構成と比較して、可動型の形状や可動型を進退させる構造がさらに簡単になり、樹脂製燃料タンクの成形もさらに容易になる。
本発明は上記構成としたので、外殻部分の一部を他の部分と比較して薄肉化することが可能な樹脂製燃料タンクの成形方法が得られる。
本発明の第1実施形態の樹脂製燃料タンクの成形方法で成形される燃料タンクの概略形状を示す断面図である。 本発明の第1実施形態の樹脂製燃料タンクの成形方法を示し、(A)は概略全体図、(B)は部分的に拡大した説明図である。 本発明の第1実施形態の樹脂製燃料タンクの成形方法を第1薄肉化工程で示し、(A)は概略全体図、(B)は部分的に拡大した説明図である。 本発明の第1実施形態の樹脂製燃料タンクの成形方法を第2薄肉化工程で示し、(A)は概略全体図、(B)は部分的に拡大した説明図である。 本発明の第1実施形態の樹脂製燃料タンクの成形方法で成形される燃料タンクの図1とは異なる概略形状を示す断面図である。
図1には、本発明の第1実施形態の樹脂製燃料タンクの成形方法(以下、単に「成形方法」とする)によって成形される燃料タンク12の形状の一例が、上下方向の断面図にて示されている。
この燃料タンク12は、内部に燃料を収容することが可能な燃料タンク12を有している。燃料タンク12の形状は特に限定されないが、本実施形態の燃料タンク12は、直方体の略箱状に形成された燃料タンク本体14を備えている。
燃料タンク本体14は、熱可塑性樹脂(たとえばPE)で構成された上タンク構成部材14Uと下タンク構成部材14Lとを有している。これらのタンク構成部材の周囲が接合されることで、略箱状の燃料タンク本体14が構成されている。
燃料タンク12の上壁14Tには、上方から見て閉曲線状(たとえば円形あるいは四角形)の薄肉部16が形成されている。薄肉部16は、上壁14Tを構成している周囲の部分(板状の部分)よりも薄肉で、且つ上下方向に波打つ蛇腹状とされており、変形しやすくなっている。特に本実施形態の薄肉部16は、図1における横方向に見て中央に位置する薄肉山部16Mと、この薄肉山部16Mの両側に位置する薄肉谷部16Vとで構成されている。
薄肉部16の内側部分は、薄肉部16の変形により下方に変位する容積可変部18となっている。すなわち、容積可変部18が下方に変位することで、燃料タンク12の容積が減少する。逆に、容積可変部18が上方に変位すると、燃料タンク12の容積が増大する。
容積可変部18(特に本実施形態では、燃料タンク12を上方から平面視したときの容積可変部18の略中央)には、下方へと凸状に延出された変形制限凸部20が形成されている。これに対し、燃料タンク12の下壁14Bにも、変形制限凸部20と対向する位置で上方へと凸状に延出された変形制限台部22が形成されている。変形制限台部22は、変形制限凸部20と上下方向に対向しており、容積可変部18の下方への変形量を、変形制限凸部20と変形制限台部22が接触することで所定範囲に制限している。燃料タンク本体14の上壁14Tには、このような変形制限凸部20が形成されているが、全体的には平坦状であり、本発明に係る「平坦面」になっている。
図2〜図4には、上記した燃料タンク12を成形する方法(本発明の樹脂製燃料タンクの成形方法)が、工程順に示されている。
この成形方法は、金型32を用いていわゆるブロー成形により燃料タンク本体14を成形する方法であり、金型は32、上型34Uと下型34Lとを有する金型本体34と、上型34Uに設けられた可動型36とを有している。上型34U及び下型34Lには、燃料タンク12の外殻形状を形成するための成形部38が形成されている。成形部38の周囲は、上型34Uと下型34Lとでパリソン60の樹脂材料を型締めする型締め部40とされている。
また、上型34Uの中央には、変形制限凸部20を形成するための上凸部42が設けられ、下型34Lの中央には、変形制限台部22を形成するための下凸部44が設けられている。
上型34Uには、可動型36が設けられている。可動型36は、薄肉部16を形成するために、上方から(矢印A1方向に)見て薄肉部16に対応した形状(環状)とされている。特に、可動型36の先端は、薄肉部16を形成するための成形面36Aとされている。成形面36Aの幅方向中央には、成形部38から見て外側(図2(A)及び(B)の例では上側)に凹む凹部36Bが形成されている。
そして、図示しない進退機構により上下に移動し、成形面36Aが成形部38内に突出する前進位置FS(図4(B)参照)と、成形部38から後退する後退位置BS(図2(B)及び図3(B)参照)との間を移動するようになっている。
燃料タンク12の燃料タンク12を成形する場合、まず、可動型36を上方に移動させ、後退位置BSに位置させておく。
この状態で、略筒状に形成されたパリソン60を、成形部38内にセットし、図2(A)に示すように、上型34Uと下型34Lとを接近させて、いわゆる型締めを行う。型締めにより、パリソン60を構成している樹脂材料が、部分的に上型34Uと下型34Lとの間に挟みこまれて保持される。なお、略円筒状のパリソン60に代えて、たとえば上下2枚の樹脂製シートを成形部38にセットしてもよい。
そして、成形部38内(パリソン60の内部)に圧縮空気を吹き込み、パリソン60に内圧を作用させる。図2(B)にも示すように、パリソン60は膨張して成形部38の内面及び成形面36Aに密着する。
なお、パリソン60が成形部38の内面に密着したことは、たとえば、圧縮空気を送り込んだ時間や、空気圧等から知ることが可能である。
ここで、さらに圧縮空気を吹き込むと、パリソン60の一部は、図3(A)及び(B)にも示すように、可動型36の凹部36Bにも入り込む。凹部36Bでは、パリソン60の密着部分の周長が長くなっているが、パリソン60の他の部分は成形部38の内面及び成形面36Aに密着しているため、型締め部40と上凸部42との間では、凹部36B内に入り込んだパリソン60の樹脂材料のみが伸ばされ、成形部38の内面に密着した部分よりも薄くなる(第1薄肉化工程)。薄くなった部分は、最終的には薄肉山部16Mとなる部分である。
次に、図4(A)及び(B)に示すように、可動型36を前進位置FS(下方)へ移動させて成形部38内に突出させる。このときも、成形面36Aではパリソン60の密着部分の周長が長くなるが、パリソン60は、可動型36に密着している部分以外は成形部38の内面に密着しているので、成形面36Aに密着したパリソン60の樹脂材料が引き伸ばされ、成形部38の内面に密着した部分よりも薄くなる(第2薄肉化工程)。薄くなった部分は、最終的には薄肉谷部16Vとなる。
このように、本実施形態の成形方法では、まず、可動型36を後退させた状態で、パリソン60の内部に圧縮空気を送るので、図2(B)から分かるように、型締め部40と上凸部42との間でパリソン60を構成する樹脂が伸ばされ、薄肉部16を構成する部分の樹脂の厚みを薄くすることができる。
しかも、この状態でさらに圧縮空気を送ると、凹部36B(周長が長くなった部分)に樹脂が入りこむので、図3(B)から分かるように、この凹部36Bでは樹脂がさらに引き伸ばされ、薄肉山部16Mを構成する部分の樹脂の厚みをさらに薄くすることができる。
また、図4(B)から分かるように、可動型36を前進させると、成形面36Aによって樹脂がさらに引き伸ばされるため、薄肉谷部16Vを構成する部分の樹脂の厚みをさらに薄くすることができる。
以上により、薄肉部16が、他の部分と比較して確実に薄くなった燃料タンク本体14が得られる。薄肉部16は変形しやすいので、容積可変部18も変位しやすくなり、燃料タンク12の容積を容易に変化させることが可能となる。
なお、上記では、環状の薄肉部16が上壁14Tに1つのみ形成された燃料タンク12を挙げているが、たとえば、薄肉部16が燃料タンク本体14の1つの壁部に複数形成されていてもよいし、複数の壁部に薄肉部16が形成されていてもよい。
さらには、図5に示す変形例の燃料タンク82のように、薄肉部16が燃料タンク12の上壁14Tから図5奥側の側壁14S、下壁14B、手前側の側壁14Uを経て上壁14Tまで1周する形状の薄肉部86を1又は複数(図5の例では2つ)形成してもよい。ただし、図5に示した変形例の燃料タンク82では、燃料タンク本体14の4つの壁面に薄肉部86が形成されているので、可動型をそれぞれの薄肉部に対応させて4つ設ける必要がある。また、可動型を可動させるための構成等も複雑になる。
これに対し、図1に示した構造の燃料タンク12では、燃料タンク12の1つの壁部(上壁14T)のみに薄肉部16を形成しているので、これに対応した可動型36も1つで済み、可動型36の移動方向も、成形部38から後退する方向のみとなるので、金型32の構造が簡単になる。
なお、燃料タンク12の1つの壁部に複数の薄肉部を形成してもよく、この場合には、複数の薄肉部のそれぞれに対応した可動型が必要になる。この場合には、すべての可動型の移動方向を同じにすれば、燃料タンク12の成形は容易になる。薄肉部16を形成する部位は、下壁14Bや側壁14S、14Uであってもよい。
また、1つの薄肉部16を形成する場合に、可動型36を分割型としてもよいが、単一の型とすれば金型の構造を簡素化でき、好ましい。
12 燃料タンク
14 燃料タンク本体
16 薄肉部
18 容積可変部
32 金型
34 金型本体
36 可動型
36A 成形面
36B 凹部
38 成形部
40 型締め部
60 パリソン
82 燃料タンク
86 薄肉部

Claims (3)

  1. 成形前の樹脂材料がセットされる成形部を備えブロー成形によって成形部内で燃料タンクの外殻形状を成形する金型本体と、該成形部の内側に位置する成形面に外側へ凹む凹部を備え成形部に対して進退可能とされると共に成形部の一部を取り囲むように配置された可動型を用い、
    前記可動型を前記成形部から後退させた状態で前記金型本体の前記成形部の内面及び前記可動型の前記成形面に前記樹脂材料を密着させて前記凹部において樹脂材料を成形部の内面に密着した部分よりも薄肉化する第1薄肉化工程と、
    次いで前記可動型を前記成形部に前進させることで前記凹部以外の前記成形面に密着した樹脂材料を成形部の内面に密着した部分よりも薄肉化する第2薄肉化工程と、
    を有する樹脂製燃料タンクの成形方法。
  2. 前記成形部が、平坦状に形成された少なくとも1つの平坦面を備え、
    前記可動型が、前記1つの平坦面において前記成形部の一部を取り囲んでいる請求項1に記載の樹脂製燃料タンクの成形方法。
  3. 前記1つの平坦面では1つの前記可動型が前記成形部の一部を取り囲んでいる請求項2に記載の樹脂製燃料タンクの成形方法。
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