以下、本発明に係る実施の形態について図面を基に詳細に説明する。なお、図1において、矢印Vを画像形成装置10の上方向(上下方向)とし、矢印Hを画像形成装置10の右方向(水平方向)とする。そして、図1で示す紙面垂直方向手前側を画像形成装置10の前側とし、正面とする。また、本実施形態では、記録媒体の一例として記録用紙Pを採用し、記録用紙Pの搬送方向上流側を単に「上流側」、搬送方向下流側を単に「下流側」と言う場合がある。
図1で示すように、画像形成装置10は、上下方向の下側から上側へ向けて、記録用紙Pが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上側に設けられ、用紙収容部12から供給される記録用紙Pに画像を形成する画像形成部14と、画像形成部14の上側に設けられ、原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。
用紙収容部12には、それぞれサイズの異なる記録用紙Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、第3収容部26が設けられている。第1収容部22、第2収容部24、第3収容部26には、それぞれ収容された記録用紙Pを画像形成装置10内の搬送路28へ送り出す送出ロール32が設けられている。そして、各送出ロール32よりも下流側の搬送路28には、記録用紙Pを1枚ずつ搬送する一対の搬送ロール34、36がそれぞれ設けられている。
更に、第3収容部26の搬送ロール36よりも下流側には、後述する反転搬送路29から送られて来た記録用紙Pが搬送路28に合流されて搬送されるように、一対の搬送ロール50が設けられている。そして、その搬送ロール50よりも下流側には、記録用紙Pを一旦停止させるとともに、予め決められたタイミングで、後述する二次転写位置へ送り出す位置合わせロール38が設けられている。
なお、画像形成装置10の正面視において、搬送ロール50を含む上流側の搬送路28は、上下方向に直線状に形成されている。また、位置合わせロール38を含む下流側の搬送路28は、画像形成部14の左側から右側、即ち装置本体10Aの右側面に設けられた排紙部15まで略直線状に形成されている。更に、位置合わせロール38を含む下流側の搬送路28の下側には、記録用紙Pが反転されて搬送される反転搬送路29が設けられている。
反転搬送路29には、搬送路28から反転搬送路29へ記録用紙Pを案内する第1案内部材31と、画像形成部14の右側下部から用紙収容部12の右側下部まで上下方向に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送された記録用紙Pを反転部33から後述する搬送部37へ案内する第2案内部材35と、第2案内部材35によって案内された記録用紙Pを搬送する搬送部37と、を有している。
なお、この搬送部37の下流側は、第3収容部26の搬送ロール36と搬送ロール50との間における搬送路28に合流されるようになっている。そして、反転部33には、一対の搬送ロール42が予め決められた間隔を隔てて複数箇所に設けられており、搬送部37には、一対の搬送ロール44が予め決められた間隔を隔てて複数箇所に設けられている。
第1案内部材31は、正面視略三角柱状とされており、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28又は反転搬送路29の何れか一方に移動されることで、記録用紙Pを搬送路28又は反転搬送路29へ案内するようになっている。同様に、第2案内部材35も、正面視略三角柱状とされており、図示しない駆動手段によって先端部が反転部33又は搬送部37の何れか一方に移動されることで、記録用紙Pを反転部30又は搬送部37へ案内するようになっている。
また、装置本体10Aの左側面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられている。手差給紙部46から供給された記録用紙Pは、搬送ロール48によって搬送され、搬送ロール50よりも下流側で、かつ位置合わせロール38よりも上流側の搬送路28に合流されるようになっている。
原稿読取部16は、原稿Gを1枚ずつ自動で搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され、1枚の原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された原稿G又はプラテンガラス54に載せられた原稿Gを読み取る原稿読取装置56と、を有している。
原稿搬送装置52は、一対の搬送ロール53が複数配置された自動搬送路55を有しており、自動搬送路55の一部は、記録用紙Pがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された原稿Gを読み取るか、又は右方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた原稿Gを読み取るようになっている。
画像形成部14は、装置本体10Aの略中央に、装置本体10Aの手前側から奥側に向かう方向が軸方向とされて配置された潜像保持体の一例としての円筒状の感光体62を有している。この感光体62は、図示しない駆動手段によって矢印+R方向(図示の時計回り方向)に回転するとともに、光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、感光体62の上方で、かつ感光体62の外周面(表面)と対向する位置には、感光体62の外周面を帯電するコロトロン方式の帯電部材64が設けられている。
帯電部材64よりも感光体62の回転方向下流側で、かつ感光体62の外周面と対向する位置には、露光装置66が設けられている。露光装置66は、LED(Light Emitting Diode)で構成されており、帯電部材64により帯電した感光体62の外周面に、各トナー色に対応した画像信号に基づいて光を照射(露光)し、静電潜像を形成するようになっている。
なお、露光装置66はLED方式に限らず、例えば、レーザ光をポリゴンミラーで走査するものであってもよい。また、露光装置66によって光が照射される部位よりも感光体62の回転方向下流側には、感光体62の外周面に形成された静電潜像を、予め決められた各色のトナーで現像して可視化させる現像手段の一例としての回転切替方式の現像装置70が設けられている。なお、現像装置70の詳細については後述する。
現像装置70よりも感光体62の回転方向下流側で、かつ感光体62の下側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像(現像剤像)が一次転写される中間転写ユニット60(図2参照)が設けられている。中間転写ユニット60は、矢印−R方向(図示の反時計回り方向)に周回移動する現像剤保持部材の一例としての無端状の中間転写ベルト(中間転写体)68を有している。
この中間転写ベルト68は、制御部20により回転駆動される駆動ロール61と、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63と、中間転写ベルト68の内周面(裏面)に接触して従動回転する複数の搬送ロール65と、後述する二次転写位置において中間転写ベルト68の内周面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。
また、中間転写ベルト68を挟んで感光体62の反対側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68の外周面(表面)に一次転写させるための一次転写ロール67が設けられている。
この一次転写ロール67は、感光体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の内周面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている感光体62との電位差で、感光体62のトナー画像を中間転写ベルト68の外周面に一次転写するようになっている。
また、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68の外周面に一次転写されたトナー画像を記録用紙Pに二次転写させる転写手段の一例としての二次転写ロール71が設けられている。この二次転写ロール71と補助ロール69との間が、記録用紙Pへトナー画像を転写する二次転写位置とされており、二次転写ロール71は、図示しないリトラクト機構により、中間転写ベルト68の外周面に対して接離(接触、離隔)可能に構成されている。
すなわち、この二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の外周面に各色のトナー画像が一次転写されるまで、その外周面から離隔されるようになっており、中間転写ベルト68の外周面に各色のトナー画像が一次転写されたら、その外周面に接触し、図示しない電源から通電されることにより、接地されている補助ロール69との電位差で、中間転写ベルト68の外周面のトナー画像を記録用紙Pに二次転写するようになっている。
また、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側には、二次転写後に中間転写ベルト68の外周面に残留している残留トナーT(図13参照)を回収する現像剤回収装置の一例としてのクリーニング装置100が設けられている。なお、クリーニング装置100の詳細については後述する。
更に、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の外周面に付されたマーク(図示省略)を検知することで、中間転写ベルト68の外周面の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサ83が設けられている。
また、一次転写ロール67よりも感光体62の回転方向下流側には、中間転写ベルト68の外周面に一次転写されずに、感光体62の外周面に残留している残留トナー等を除去するクリーニング装置73が設けられている。
クリーニング装置73は、図2で示すように、感光体62の外周面に接触するクリーニングブレード86及びブラシロール88により、残留トナー等を回収する構成となっている。また、クリーニング装置73よりも感光体62の回転方向上流側(一次転写ロール67よりも下流側)には、感光体62の外周面に光を照射して除電を行う除電装置75が設けられている。
この除電装置75は、クリーニング装置73による残留トナー等の回収前に感光体62の外周面に光を照射して除電することで、感光体62の外周面に対する、残留トナー等の静電気による付着力を低減し、その残留トナー等の回収率を高めるようにしている。なお、クリーニング装置73よりも感光体62の回転方向下流側で、かつ帯電部材64よりも上流側に、残留トナー等を回収した後の感光体62の外周面に対する除電装置を設けてもよい。
また、図1で示すように、二次転写ロール71によるトナー画像の二次転写位置は、搬送路28の途中に設定されており、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向(矢印Aで示す)で、二次転写ロール71よりも下流側には、二次転写ロール71によってトナー画像が転写された記録用紙Pに、そのトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。
定着装置80は、通電により発熱する熱源を有するとともに、記録用紙Pのトナー画像面側(上側)に配置される加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置され、記録用紙Pを加熱ロール82の外周面に向けて加圧する加圧ロール84と、で構成されている。なお、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側には、排紙部15又は反転部33へ向けて記録用紙Pを搬送する搬送ロール39が設けられている。
また、原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが水平方向に並んで交換可能に設けられている。
第1特別色E及び第2特別色Fは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択されるか、又は選択されないようになっている。そして、現像装置70では、第1特別色E及び第2特別色Fが選択された場合はY、M、C、K、E、Fの6色で画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fが選択されない場合はY、M、C、Kの4色で画像形成を行うようになっている。
なお、本実施形態では、一例として、Y、M、C、Kの4色で画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fを未使用とした場合について説明するが、他の例として、Y、M、C、Kの4色と第1特別色E又は第2特別色Fを用いて5色で画像形成を行ってもよい。
次に、現像装置70について説明する。
図2で示すように、現像装置70は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fを有している。各現像器72Y〜72Fは、周方向に(反時計回り方向に、この順番で)並んで配置されており、回転駆動源であるモータ(図示省略)によって中心角で60°ずつ回転することで、現像処理を行う現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが切り替えられ、感光体62の外周面と対向するようになっている。
なお、現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fは同様の構成となっているため、ここでは現像器72Yについて説明し、他の現像器72M、72C、72K、72E、72Fについては説明を省略する。
現像器72Yは、本体となるケース部材76を有しており、このケース部材76内に、トナーカートリッジ78Y(図1参照)からトナー供給路(図示省略)を経由して供給されるトナー及びキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。
また、ケース部材76には、感光体62の外周面と対向する矩形状の開口部76Aが形成されており、開口部76Aには、外周面が感光体62の外周面と対向する現像ロール74が設けられている。更に、ケース部材76内で開口部76Aに近い部位には、現像剤の層厚を規制するための板状の規制部材79が、開口部76Aの長手方向に沿って設けられている。
現像ロール74は、回転可能に設けられた円筒状の現像スリーブ74Aと、現像スリーブ74Aの内側に固定された複数の磁極から成る磁性部材74Bと、で構成されており、現像スリーブ74Aが回転することで現像剤(キャリア)の磁気ブラシが形成されるとともに、規制部材79で層厚が規制されることで、現像スリーブ74Aの外周面に現像剤層を形成するようになっている。そして、現像スリーブ74Aの外周面の現像剤層は、感光体62に対向する位置に搬送され、感光体62の外周面に形成された潜像(静電潜像)に応じたトナーを付着させて現像を行うようになっている。
また、ケース部材76内には、螺旋状に形成された搬送オーガ77が2本回転可能に並列配置されており、この2本の搬送オーガ77が回転することで、ケース部材76内に充填された現像剤が、現像ロール74の軸方向(現像器72Yの長手方向)に循環搬送されるようになっている。
なお、各現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fに設けられた6本の現像ロール74は、隣の現像ロール74との間隔が中心角で60°となるように周方向に配置されており、現像器72の切り替えにより、次の現像ロール74が感光体62の外周面と対向するようになっている。
次に、クリーニング装置100について説明する。
図3、図4で示すように、クリーニング装置100は、中間転写ベルト68と対向配置される矩形状の開口部104が形成された筐体102と、開口部104の上部側に設けられ、中間転写ベルト68に接触して残留トナーTを回収する回収部材の一例としてのクリーニングブレード106と、クリーニングブレード106とは反対側の位置(下部側)で開口部104に設けられ、中間転写ベルト68に接触して筐体102と中間転写ベルト68との隙間を密閉する密閉部材の一例としてのシール部材108と、を有している。
更に、クリーニング装置100は、中間転写ベルト68上の残留トナーT等を筐体102内へ吸引するための吸引ユニット110(図10等参照)と、筐体102内に設けられ、残留トナーTを含む塵埃を集めるフィルタ112と、クリーニングブレード106及びシール部材108を中間転写ベルト68の外周面に接触させる位置又は中間転写ベルト68の外周面から離隔した位置の間で移動させる移動手段の一例としてのリトラクト機構部130の一部と、を有している。
なお、以後は、筐体102及び開口部104の長手方向を矢印Z方向、矢印Z方向と直交し、かつ筐体102における底壁102A(図3(B)、図4(B)参照)の面内方向を矢印X方向、矢印X方向及び矢印Z方向と直交する筐体102の高さ方向を矢印Y方向として、筐体102内の各部材の配置を説明する。また、矢印Z方向は、画像形成装置10(図1参照)を正面視したときの手前側から奥側に向かう方向である。
図3〜図5で示すように、筐体102は、矢印Z方向の両端部と、矢印Z方向に見て天壁の左端部及び左側壁の上端部とが開放された形状の部材であり、矢印Z方向の両端部には、側板114がネジで取り付けられている。また、筐体102の上部には、矢印Z方向を長手方向とし、X−Y面でL字形の板金から成る第1可動部材116が設けられている。
なお、図3では、中間転写ベルト68の外周面にクリーニングブレード106及びシール部材108が接触した状態を示しており、図4では、中間転写ベルト68の外周面からクリーニングブレード106及びシール部材108が離隔した状態を示している。
第1可動部材116は、X−Y面で山型に配置されており、一方の傾斜部116A(図示の左下に向かう傾斜部分)の裏面側(後述する吸引路115側)には、矢印Z方向を軸方向とする支軸118が固定されている。支軸118は、両端部が側板114に設けられたベアリング(図示省略)によって回転可能に支持されている。
そして、第1可動部材116の傾斜部116Aの表面側には、X−Y面でL字形の板金から成る支持板119がネジで取り付けられている。更に、支持板119の下端部には、傾斜部116Aの傾斜方向に沿って配置されたクリーニングブレード106の短手方向(搬送方向下流側)の一方の端部が接着により固定されている。
クリーニングブレード106は、平面視で矩形状の樹脂製の板材であり、長手方向が開口部104の長手方向に沿うように支持板119に取り付けられている。これにより、クリーニングブレード106は、開口部104における中間転写ベルト68の搬送方向(矢印−R方向)の下流側の縁部に沿って設けられる構成である。
また、クリーニングブレード106は、後述するリトラクト機構部130が接触状態の配置となっているときに、自由端側(支持板119に接着されていない他方の端部)が中間転写ベルト68と接触するように配置されており、中間転写ベルト68上の残留トナーTを筐体102内に回収するようになっている。
また、X−Y面で筐体102の下部側には、矢印Z方向を長手方向とするL字形の板金から成る第2可動部材120が設けられている。第2可動部材120は、X−Y面で山型に配置されており、上部側に配置された傾斜部120A(図示の左下へ向かう傾斜部分)の裏面側には、矢印Z方向を軸方向として回転可能に設けられた支軸(図示省略)が取り付けられている。
これにより、第2可動部材120が回転可能に支持される構成である。なお、第2可動部材120は、リトラクト機構部130により、第1可動部材116に連動して回転(移動)するようになっている。また、第2可動部材120の傾斜部120Aの上端部には、シール部材108の短手方向(搬送方向上流側)の一方の端部が接着により固定されている。
シール部材108は、一例として、平面視で矩形状の透明なフィルム材であり、開口部104における中間転写ベルト68の搬送方向の上流側の縁部に沿って中間転写ベルト68と接触するように第2可動部材120に取り付けられている。
また、シール部材108は、後述するリトラクト機構部130が接触状態の配置となっているときで、かつクリーニングブレード106が中間転写ベルト68に接触しているときに、自由端側(第2可動部材120に接着されていない他方の端部)が中間転写ベルト68と接触するように配置されており、これによって、筐体102と中間転写ベルト68との隙間を密閉するようになっている。
更に、シール部材108は、クリーニングブレード106よりも下方側に配置されており、シール部材108の先端部は、中間転写ベルト68の移動方向下流側を向いて配置されている。したがって、シール部材108によって中間転写ベルト68上の残留トナーTが掻き取られることはない。
なお、第1可動部材116、支軸118、支持板119、第2可動部材120は、筐体102の一部を構成する部材である。また、開口部104は、筐体102における支持板119の下端部から第2可動部材120の上端部までの開放された部位である。
また、筐体102内には、フィルタ112が設けられている。フィルタ112は、繊維の集合体であり、筐体102の長手方向(矢印Z方向)に沿って長い矩形状に形成されている。そして、このフィルタ112は、取付部材113に接着されて、筐体102内に取り付けられている。
この取付部材113は、矩形状の板材の長手方向に複数の四角形の貫通孔からなる開口部113Aが形成された枠体とされており、X−Y面において、支軸118の下方側に、上部よりも下部の方が中間転写ベルト68及び開口部104から離れるように斜めに設けられている。
この取付部材113で区切られることにより、筐体102の図3(B)、図4(B)で示す右側には、X−Y面で逆三角形状となる吸引路115が、筐体102の長手方向に形成されるようになっている。なお、この吸引路115は、吸引ユニット110の一部を構成している。また、筐体102の側面視(X−Y面)において、開口部104とフィルタ112との間の底壁102A上には、一対の仕切壁117A、117Bが立設されている。
そして、筐体102の下部で、かつ一対の仕切壁117A、117Bの間には、矢印Z方向を軸方向とした回転軸125の外周面に、羽根127が螺旋状に形成されて構成され、回転駆動されることで筐体102内に回収された残留トナーTを、その軸方向(筐体102の長手方向)一端部側へ搬送する搬送オーガ121が設けられている。
搬送オーガ121の矢印Z方向の奥側には、駆動モータを含む駆動手段(図示省略)が設けられており、制御部20(図1参照)によって、その駆動手段を制御することで、搬送オーガ121の回転及び停止を制御するようになっている。
また、図5で示すように、筐体102の矢印Z方向の奥側には、搬送オーガ121によって搬送された残留トナーTが回収タンク(図示省略)に向けて流れるように、円筒状の回収路123が設けられている。
一方、図5〜図8で示すように、リトラクト機構部130は、矢印Z方向の手前側に設けられた第1機構部130Aと、奥側に設けられた第2機構部130Bとで構成されている。また、中間転写ベルト68の矢印Z方向(幅方向)両端に近い位置には、手前側に側板131A、奥側に側板131Bが設けられている。
図6で示すように、第1機構部130Aは、駆動モータ(搬送オーガ121を回転させる駆動モータと兼用)によって回転される偏心カム132Aと、クリーニング装置100の側板114に設けられ、偏心カム132Aの回転により移動して第1可動部材116及び第2可動部材120を移動させるリンク部材134と、を含んで構成されている。
偏心カム132Aは、側板131A及び側板131B(図7、図8参照)に回転可能に設けられた軸部材133の側板131Aから突出した一端(矢印Z方向の手前側)に取り付けられており、この軸部材133が、上記駆動モータによって回転駆動されるようになっている。そして、軸部材133を中心として偏心した部位には、側板131Aに一端が取り付けられたバネ135の他端が取り付けられている。
リンク部材134は、正面視でV字に近い形状で、かつ同じ大きさの2枚の板材が間隔を空けて一体化された構成となっている。詳細には、リンク部材134は、逆三角形状の本体部134Aと、本体部134Aの正面視で左上部から左斜め上方へ延びる第1アーム134Bと、本体部134Aの正面視で右上部から右斜め上方へ延びる第2アーム134Cとを有している。
また、本体部134Aの下端(頂角部分)には、支軸122が固定される円弧状の切欠部134Dが形成されている。更に、第1アーム134B又は第2アーム134Cの上端部には、それぞれロール136A、136Bが回転可能に設けられている。なお、支軸122は、軸方向両端部が側板114及び側板131Bに設けられたベアリング(図示省略)により回転可能に支持されている。
ここで、リンク部材134は、支軸122を支点として+R方向(図示の時計回り方向)又は−R方向(図示の反時計回り方向)に移動(回転)可能となっており、第1アーム134B及び第2アーム134Cが+R方向又は−R方向に移動(回転)するようになっている。
なお、リンク部材134は、第2アーム134C側の本体部134Aにバネ137の一端が取り付けられており、バネ137の他端は側板114の底部に取り付けられている。これにより、偏心カム132Aが接触しない状態で、リンク部材134には+R方向に回転させる力が作用している。
また、第1可動部材116の端部には、バネ139の一端が取り付けられており、バネ139の他端は側板114の底部に取り付けられている。これにより、第1可動部材116には+R方向に回転させる力が作用している。そして、ロール136Bは、第1可動部材116の手前側端部に設けられた平面である接触部116Bと接触している。
ロール136Aは、偏心カム132Aの+R方向の回転により偏心カム132Aと接触し、又は偏心カム132Aの−R方向の回転により偏心カム132Aから離れるようになっている。また、ロール136Bは、偏心カム132Aがロール136Aと接触してリンク部材134を+R方向に移動させたとき、第1可動部材116の接触部116Bを押して、第1可動部材116を−R方向に移動させるようになっている。そして、偏心カム132Aがロール136Aから離れたときは、第1可動部材116が+R方向に移動するようになっている。
一方、図7、図8で示すように、第2機構部130Bは、上記駆動モータによって回転駆動される軸部材133の他端(矢印Z方向の奥側)に取り付けられるとともに、側板131Bの外面側に設けられた偏心カム132Bと、同じく側板131Bの外面側に設けられ、偏心カム132Bの回転により移動して第1可動部材116及び第2可動部材120(図3、図4参照)を移動させるリンク部材138と、を含んで構成されている。
リンク部材138は、リンク部材134(図6参照)と同様の構成となっており、側板131Bから他端が露出された支軸122を支点として+R方向又は−R方向に移動することで、第1アーム138B及び第2アーム138Cが+R方向又は−R方向に移動するようになっている。
なお、リンク部材138には、リンク部材134と同様に、偏心カム132Bが接触しない状態で+R方向に回転させる力が作用している。また、リンク部材138が接触しない状態では、第1可動部材116には+R方向に回転させる力が作用している。そして、ロール136Bは、第1可動部材116の奥側端部に設けられた平面である接触部116Cと接触している。
ロール136Aは、偏心カム132Bの+R方向の回転により偏心カム132Bと接触し、又は偏心カム132Bの−R方向の回転により偏心カム132Bから離れるようになっている。また、ロール136Bは、偏心カム132Bがロール136Aと接触してリンク部材138を+R方向に移動させたとき、第1可動部材116の接触部116Cを押して、第1可動部材116を−R方向に移動させるようになっている。そして、偏心カム132Bがロール136Aから離れたときは、第1可動部材116が+R方向に移動するようになっている。
また、図14で示すように、軸部材133を回転させる上記駆動モータは、画像形成装置10の電源が入っている間は、常に回転するようになっている。そして、その駆動モータの回転駆動力をブレード接離クラッチの接続(ON)により軸部材133に伝達して、偏心カム132A、132Bをバネ135の付勢力に抗して180°回転させ、回転後、そのブレード接離クラッチを切断(OFF)することにより、偏心カム132A、132Bが、その回転位置で固定されるようになっている。
つまり、これにより、一次転写が開始され、二次転写が終了するまで、偏心カム132A、132Bの偏心部分がリンク部材134、138を押す状態を維持するようになっており、図4で示すように、クリーニングブレード106の先端及びシール部材108の先端が中間転写ベルト68の外周面から離れるリトラクト状態が維持されるようになっている。また、このとき、搬送オーガ121へ回転駆動力を伝達するオーガ回転/停止クラッチは切断(OFF)されており、搬送オーガ121は停止状態を維持するようになっている。
二次転写が終了した後は、制御部20により、ブレード接離クラッチを再度接続(ON)し、偏心カム132A、132Bを180°回転させ、回転後、そのブレード接離クラッチを切断(OFF)することにより、偏心カム132A、132Bがバネ135の復元力で元の位置に固定されるようになっている。
つまり、これにより、二次転写が終了し、次の一次転写が開始される(次の画像形成が始まる)まで、偏心カム132A、132Bの偏心部分がリンク部材134、138を押さない状態を維持するようになっており、図3で示すように、クリーニングブレード106の先端及びシール部材108の先端が中間転写ベルト68の外周面に接触された状態が維持されるようになっている。
そして、これにより、中間転写ベルト68の外周面に、転写されずに残留している残留トナーTがクリーニングブレード106で剥離され、筐体102内に回収されるようになっている。なお、このとき、搬送オーガ121のオーガ回転/停止クラッチが接続(ON)され、搬送オーガ121が回転されるようになっているが、後述するシャッター機構部150によって第1ダクト126が開放される前に、そのオーガ回転/停止クラッチが切断(OFF)され、搬送オーガ121の回転が停止されるようになっている。
そして、次の一次転写が開始される(次の画像形成が始まる)際には、制御部20により、ブレード接離クラッチが再度接続(ON)され、偏心カム132A、132Bがバネ135の付勢力に抗して180°回転され、回転後、そのブレード接離クラッチを切断(OFF)することにより、偏心カム132A、132Bが、その回転位置で再度固定されるようになっている。
つまり、これにより、次の一次転写が開始され(次の画像形成が始まり)、二次転写が終了するまで、再度偏心カム132A、132Bの偏心部分がリンク部材134、138を押す状態を維持するようになっており、これによって、クリーニングブレード106の先端及びシール部材108の先端が中間転写ベルト68の外周面から離れるリトラクト状態が再び維持されるようになっている。
一方、図7〜図10で示すように、吸引ユニット110は、筐体102内の吸引路115と、吸引路115の矢印Z方向の一端(画像形成装置10の奥側)に接続された第1ダクト126と、第1ダクト126の他端(後述する開口部128)が接続された第2ダクト144と、第2ダクト144の下端に接続された第3ダクト146と、第3ダクト146に取り付けられた吸引手段の一例としての吸気用のファンユニット148と、を含んで構成されている。
図7で示すように、吸引路115の矢印Z方向の一端の底部には、矩形状の開口部124が形成されており、第1ダクト126の一端部は開口部124に接続されている。このように、開口部124が吸引路115の底部に配置されていることにより、吸引路115では、仕切壁117Aの上端よりも下側で吸引が行われるようになっている。
また、図8で示すように、第1ダクト126は、筒状に形成されており、画像形成装置10の奥側で、かつ中間転写ベルト68の奥側に配置されている。そして、第1ダクト126の他端部には、第2ダクト144に接続される開口部128が設けられている。
図9で示すように、第2ダクト144は、筒状で、かつ全体が正面視でL字状に形成されており、正面視で矢印H方向に長い水平部144Aと、水平部144Aの左端部から矢印V方向の下方側へ長い鉛直部144Bとを有している。そして、鉛直部144Bの下端には、第3ダクト146(図10参照)に接続される開口部144Cが設けられており、その開口部144Cには、最終フィルタ(図示省略)が取り付けられている。
また、正面視で水平部144Aの右端部には、中間転写ベルト68の上方で、かつ中間転写ベルト68の幅方向を長手方向とする第4ダクト142が接続されている。第4ダクト142は、直方体状に形成されており、矢印H方向の一方の側壁の下部には長手方向に沿って複数の開口部143が形成されている。また、第4ダクト142は、帯電部材64(図2参照)に近い位置に配置されており、帯電部材64による感光体62の帯電により生じたオゾン等を吸気するようになっている。
図10で示すように、第3ダクト146は、第2ダクト144の下方側に取り付けられており、第3ダクト146の下端には、ファンユニット148内に設けられたファン(図示省略)が回転することで排気が行われる排気口149が設けられている。ファンユニット148は、制御部20(図1参照)により、内部のファンの回転及び停止が制御されるようになっているが、図14で示すように、画像形成装置10の電源が入っている間は、常に回転駆動されるようになっている。
また、排気口149は、画像形成装置10の正面視奥側で、かつ画像形成部14と用紙収容部12の段差が形成された部位の画像形成部14側の底面に設けられている。このように、吸引ユニット110は、吸引路115、第1ダクト126、第2ダクト144、第3ダクト146、第4ダクト142の内部が繋がって構成されており、ファンユニット148が動作して生じた負圧により、各部から吸引された空気が、排気口149から画像形成装置10の外側へ排気されるようになっている。
また、図8〜図12で示すように、第1ダクト126の開口部128には、開閉手段の一例としてのシャッター機構部150が設けられている。詳細には、図11、図12で示すように、このシャッター機構部150は、開口部128を開閉する開閉板152と、開閉板152を略90°回転させる回転駆動部154と、を有している。
開閉板152は、第1ダクト126の開口部128を閉塞可能なように、その開口部128の断面とほぼ同じ矩形状、詳細には開口部128を閉塞しているときの水平方向を長手方向とする長方形状に形成されている。そして、この開閉板152の一方の面で、かつ長手方向と直交する方向(開口部128を閉塞しているときの上下方向)における略中央部には、長手方向を軸方向とする回転軸153が一体的に取付固定されている。
回転駆動部154は、開閉板152に取付固定されている回転軸153の、第1ダクト126の外側へ突出された一端部に固定された回転部156と、回転部156に一端部が連結されたアーム158と、アーム158の他端部が連結されたソレノイド部160と、回転部156を常に図11で示す閉塞位置に付勢する付勢部材の一例としてのトーションバネ164(図12参照)と、を含んで構成されている。
回転部156は、回転軸153を中心に図11で示す矢印方向へ回転可能になっており、アーム158も回転軸157を中心に図11で示す矢印方向へ回転可能になっている。また、ソレノイド部160は、通電により下方へ突出するロッド162を有しており、アーム158の他端部は、このロッド162に連結されている。
そして、図11で示すように、ソレノイド部160に対する非通電時には、ロッド162が上方へ向かって引っ込んでおり、この状態で、トーションバネ164の付勢力により、開閉板152が第1ダクト126の開口部128を閉塞するように、開閉板152に対する回転部156及びアーム158の初期位置が設定されている。
そして、図12で示すように、ソレノイド部160に対する通電時には、ロッド162が下方へ突出し、回転軸157を中心にアーム158を図11で示した矢印方向へ回転させ、それによって、回転軸153を中心に回転部156を図11で示した矢印方向へ回転させるようになっている。
ここで、回転部156には、開閉板152に取付固定された回転軸153の一端部が固定されている。したがって、回転部156の回転により開閉板152が回転する構成である。つまり、開閉板152の上部が第1ダクト126の排気方向上流側へ、開閉板152の下部が第1ダクト126の排気方向下流側へ、それぞれ向かうように略90°回転し、第1ダクト126の開口部128が開放される構成である。
なお、制御部20が、開口部128を開放させるように、シャッター機構部150の開閉板152を回転させる信号を出すタイミング、即ちソレノイド部160に通電するタイミングは、図14で示すように、クリーニングブレード106及びシール部材108が中間転写ベルト68の外周面から離隔するときには、既に開口部128が開放されているように、クリーニングブレード106及びシール部材108が中間転写ベルト68の外周面から離隔するタイミングよりも数秒前で、かつ搬送オーガ121が停止された後とされている。
この数秒前のタイミング(搬送オーガ121の停止タイミングも含む)は、中間転写ベルト68の外周面から離隔している状態のクリーニングブレード106及びシール部材108を、中間転写ベルト68の外周面に完全に接触させたタイミング(時期)から、中間転写ベルト68の1周分の長さを基準に、予め定められた時間S1(図14参照)が経過した時期となっている。
詳細には、制御部20によってブレード接離クラッチを接続(ON)し、偏心カム132A、132Bを180°回転させ、回転後、そのブレード接離クラッチを切断(OFF)してバネ135の付勢力により偏心カム132A、132Bを元の位置に固定した後、ある特定の時間S0(S0=0秒も含む)が経過した時点(図14で▼で示す)から、予め定められた時間S1が経過した時期となっている。
そして、再び一次転写を始めるために、クリーニングブレード106及びシール部材108を中間転写ベルト68の外周面から離隔させた直後(例えば0.1秒後)に、制御部20が、ソレノイド部160に対する通電を切る信号を出すようになっており、これによって、トーションバネ164の付勢力で回転部156が回転し、開口部128を閉じる方向に開閉板152が回転するようになっている。つまり、これにより、筐体102内に対する吸気が停止されるようになっている。
次に、本実施形態の作用について説明する。まず、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
図1で示すように、画像形成装置10が作動すると、画像処理装置(図示省略)又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各色の画像データが露光装置66に順次出力される。このとき、一例として、現像装置70は、現像器72Y(図2参照)が感光体62の外周面と対向するように回転して保持されている。
また、図4、図14で示すように、クリーニング装置100のクリーニングブレード106及びシール部材108は、各色のトナー画像が中間転写ベルト68に多重(一次)転写され、かつ記録用紙P上に二次転写されるまで、リトラクト機構部130の動作によって中間転写ベルト68の外周面から離隔されている。
続いて、露光装置66から画像データに応じて出射された光は、帯電部材64により帯電された感光体62の外周面を露光し、感光体62の外周面にはイエローの画像データに対応した静電潜像が形成される。更に、感光体62の外周面に形成された静電潜像は、現像器72Yによってイエローのトナー画像として現像される。そして、感光体62の外周面のイエローのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。
続いて、図2で示すように、現像装置70が矢印+R方向に60°回転され、現像器72Mが感光体62の外周面と対向する。そして、帯電、露光、現像の各工程が行われ、感光体62の外周面のマゼンタのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68のイエローのトナー画像上に転写される。同様にして、シアン(C)、ブラック(K)、更に色設定に応じて第1特別色(E)、第2特別色(F)のトナー画像が中間転写ベルト68上に順次多重転写される。
一方、用紙収容部12から送り出され、搬送路28を搬送されてきた記録用紙Pは、位置合わせロール38により、中間転写ベルト68への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置に搬送される。そして、中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきた記録用紙P上に二次転写ロール71によって二次転写される。
また、二次転写後、図3、図14で示すように、クリーニング装置100のクリーニングブレード106及びシール部材108は、リトラクト機構部130の動作によって中間転写ベルト68の外周面に接触する。そして、中間転写ベルト68の外周面に付着して残留している残留トナーTがクリーニングブレード106で剥離され、筐体102内に回収される(図13(A)参照)。
続いて、トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置80に向けて矢印A方向(図示の右方向)に搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が加熱ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されることで記録用紙Pに定着される。更に、トナー画像が定着された記録用紙Pは、一例として、排紙部15に排出される。
なお、記録用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置80で表面に画像定着を行った後、記録用紙Pを矢印−V方向に沿って反転部33に送り込むとともに、矢印+V方向に沿って送り出すことで、記録用紙Pの先端と後端を入れ替える。そして、記録用紙Pを反転搬送路29によって矢印B方向(図示の左方向)に搬送し、更に搬送路28に送り込んで、記録用紙Pの裏面の画像形成(このとき、クリーニングブレード106及びシール部材108はリトラクト状態となる)及び定着を行う。
また、この定着後に、クリーニングブレード106及びシール部材108が、リトラクト機構部130の動作によって中間転写ベルト68の外周面に接触する。そして、中間転写ベルト68の外周面に付着して残留している残留トナーTがクリーニングブレード106で剥離され、筐体102内に回収される。
ここで更に、クリーニング装置100及び吸引ユニット110の作用(シャッター機構部150の制御)について説明する。
中間転写ベルト68上のトナー画像が記録用紙Pに二次転写された後、中間転写ベルト68の外周面には、転写されずに残留した残留トナーTが付着している。したがって、図14で示すように、制御部20によりブレード接離クラッチを接続(ON)し、偏心カム132A、132Bを180°回転させ、回転後、ブレード接離クラッチを切断(OFF)することにより、偏心カム132A、132Bをバネ135の付勢力で元の位置に固定する。
これにより、クリーニングブレード106及びシール部材108が中間転写ベルト68の外周面に接触される。そして、中間転写ベルト68の−R方向への周回移動により、残留トナーTがクリーニング装置100まで搬送されると、図13(A)で示すように、クリーニングブレード106によって、その残留トナーTが中間転写ベルト68の外周面から剥離され、筐体102内に回収される。
なお、このとき、シール部材108も中間転写ベルト68の外周面に接触しており、筐体102と中間転写ベルト68との隙間を密閉している。これにより、筐体102内に回収された残留トナーTが、筐体102の外側へ漏れるのが防止される。また、シール部材108の先端部は、中間転写ベルト68の移動方向下流側を向いて配置されているため、シール部材108によって残留トナーTが掻き取られることはない。
また、制御部20から出されたブレード接離クラッチを接続(ON)する信号をトリガー信号にして、クリーニングブレード106が中間転写ベルト68に接触した直後(例えば0.1秒後)のタイミングで、搬送オーガ121のオーガ回転/停止クラッチが接続(ON)され、搬送オーガ121が回転駆動される。これにより、クリーニングブレード106で剥離され、筐体102内に回収された残留トナーTが搬送オーガ121で搬送される。
続いて、画像形成装置10において、次の画像形成が開始されることになると、図13(B)で示すように、クリーニングブレード106及びシール部材108が中間転写ベルト68の外周面から離隔されるが、その前にシャッター機構部150が作動し、第1ダクト126を開放させる。
すなわち、図14で示すように、クリーニングブレード106及びシール部材108を中間転写ベルト68の外周面から離隔させるために、制御部20によりブレード接離クラッチを再び接続(ON)し、偏心カム132A、132Bをバネ135の付勢力に抗して180°回転させるが、その数秒前にソレノイド部160に通電し、開閉板152を回転させる。
つまり、前回、中間転写ベルト68の外周面から離隔された状態のクリーニングブレード106及びシール部材108を、中間転写ベルト68の外周面に完全に接触させたタイミング(詳細には、ブレード接離クラッチを切断したタイミング)から、更に特定の時間S0が経過した時点から、中間転写ベルト68の1周分の長さを基準に、予め定められた時間S1が経過したタイミングで、シャッター機構部150を作動させる。
ここで、図14で示すように、吸引ユニット110のファンユニット148は常時駆動されている。そのため、シャッター機構部150の開閉板152が第1ダクト126の開口部128を開放したときには、吸引路115及び筐体102内が負圧状態となり、筐体102内から吸引路115へ吸気される。つまり、開口部104からフィルタ112へ向けて矢印N方向(X−Y面で右斜め下側に向かう方向)の空気の流れが形成される。そして、そのフィルタ112は筐体102の長手方向に長く、かつ筐体102内で斜めに配置されている。
したがって、クリーニングブレード106及びシール部材108が中間転写ベルト68の外周面から離隔した際に飛散する残留トナーTは、その空気の流れによってフィルタ112に捕捉されるか、又はフィルタ112と仕切壁117Aとの間に落下して筐体102内に回収される。よって、飛散した残留トナーTが、再度中間転写ベルト68の外周面に付着するような不具合は抑制又は防止される。
なお、図14で示すように、シャッター機構部150が作動される直前のタイミングで、制御部20により搬送オーガ121のオーガ回転/停止クラッチを切断(OFF)し、搬送オーガ121の回転を停止させる。つまり、制御部20により上記時間S1から数秒前の時間になったら、搬送オーガ121を停止させる。これにより、搬送オーガ121で搬送する残留トナーTまでもフィルタ112で捕捉されることが抑制又は防止される。つまり、これにより、フィルタ112の寿命が延命される。
また、次の画像形成開始のために、クリーニングブレード106及びシール部材108を中間転写ベルト68の外周面から離隔させたら、制御部20によりソレノイド部160への通電が切断され、開閉板152がトーションバネ164の付勢力によって回転し、第1ダクト126の開口部128を閉塞する。これにより、吸引している時間が長くなるのが防止され、フィルタ112の詰まりが抑制されるとともに、吸引する必要のない(飛散していない)トナーまでもクリーニング装置100で吸引(回収)することが抑制又は防止される。
また、上記した通り、クリーニングブレード106及びシール部材108を中間転写ベルト68の外周面から離隔させる数秒前に、シャッター機構部150を作動させる(開閉板152を開放させる)が、その先行時間S2(図14参照)は、下記表1で示すように、1.5秒前とすることが望ましい。なお、表1におけるフィルタ寿命とは、開口部144Cに設けられている最終フィルタの寿命である。また、このときの環境は、温度10℃、湿度15%であり、残留トナーTの飛散が比較的多い環境である。
以上、本実施形態に係る画像形成装置10について図面を基に説明したが、本実施形態に係る画像形成装置10は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。
例えば、シャッター機構部150の動作タイミングを決める基準は、ブレード接離クラッチの切断でなくてもよい。また、シャッター機構部150を設ける位置も、図示の位置に限定されるものではなく、フィルタ112よりも排気方向下流側の筐体102の吸引路115から第1ダクト126の開口部128に至る位置までであれば、どこでもよい。
更に、本実施形態では、搬送オーガ121の回転及び停止のタイミングも含めて、シャッター機構部150の動作タイミング(開閉板152の開閉タイミング)を特定したが、搬送オーガ121の回転及び停止のタイミングを含めずに、シャッター機構部150の動作タイミングを決めるようにしてもよい。
また、搬送オーガ121が回転しているとき、シャッター機構部150により、第1ダクト126の開口部128が閉塞され、筐体102内には、フィルタ112へ向かう気流が形成されない。そのため、クリーニングブレード106によって掻き取られた残留トナーTが飛散して、再度中間転写ベルト68の外周面に付着するおそれがあるが、そのときには、クリーニングブレード106が中間転写ベルト68の外周面に接触しているので、その残留トナーTはクリーニングブレード106によって掻き取られる。