JP5689466B2 - P型コンタクトおよび紫外スペクトル領域用の発光ダイオード - Google Patents

P型コンタクトおよび紫外スペクトル領域用の発光ダイオード Download PDF

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Description

本発明は、P型コンタクトおよび紫外スペクトル領域用の発光ダイオードに関する。
多くの分野で利用が可能なので、紫外スペクトル領域用の発光ダイオード(UV−LED)の開発に、世界中で多大な活動が行われている。たとえば、その分野には、滅菌(たとえば、飲料水、廃水、プロセス水の)、食品の消毒、医療技術(たとえば、皮膚科、光線療法)、生物分析(たとえば、蛍光顕微鏡)、センサー技術(たとえば、亜硝酸ガスの測定、ブランコファー測定)、表面重合(たとえば、印刷インク、塗料、エポキシ樹脂)、および自由空間光通信のための放射源としての使用が含まれる。必要な発光波長と強度は、用途に大きく依存し、広いスペクトル範囲にわたって変わる。課題の1つは、UVAおよびUVBの全スペクトル領域のほかUVC領域の一部における効率的なLEDの実現である。
UV−LEDへの従来のアプローチにおいては、p型ドープIII族窒化物層上のオーミックコンタクトのために、主として、Ni/Au、Pt/Ti/AuまたはPd/Ti/Au金属層が、使用されている。これらは、LEDのp型ドープ半導体層(p型コンタクト層)との良好なオーミックコンタクトを達成するが、紫外領域の光に対して良好な反射体ではない。
従来技術のUV−LEDは、p型ドープ窒化ガリウム(p型GaN)で構成されるp型コンタクト層を利用している。しかし、p型GaNで構成されるp型コンタクト層は、紫外スペクトル領域の光に対して、特に200nm〜400nmの波長の光に対して、顕著な吸収を示す。
その結果、従来技術のUV−LEDは、紫外領域の抽出効率が低いという弱点がある。生成した光子の量に対して規格化した非結合光子の量は、僅か4%〜10%である。
本発明の目的は、従来技術の1以上の不都合を回避または克服することである。特に、本発明の目的は、光の非結合が高いUV−LEDを提供することである。
上記目的は、紫外スペクトル領域用の発光ダイオードに使用するための構造化されたp型コンタクトであって、放射ゾーンに接する第1の表面、および第1の表面の逆を向く側の第2の表面を有するp型コンタクト層を含み、
(a)p型コンタクト層の第2の表面の5%〜99.99%に直接接し、200nm〜400nmの波長の紫外領域の光、好ましくは270nmの光に対して、少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%の最大反射率を有する材料を含むまたは該材料で構成されたコーティングを有し、
(b)p型コンタクト層の第2の表面に直接設けられた複数のp型注入部を有し、
p型コンタクト層(2)がp型ドープAlGaNを有するまたはp型ドープAlGaNで構成されることを特徴とするp型コンタクトを提供することで達成される(以下の記述において、「p型ドープコンタクト」および「p型コンタクト」の用語は同じ意味で使用される)。
LEDのための光の非結合の向上に向けた1つの重要なアプローチは、紫外スペクトル領域において高反射性でありながら、同時に低抵抗性のp型ドープコンタクトを備えることである。両方の要件を満たし得る金属または合金は、現在まで見出されていない。アルミニウムなどの金属は、200nm〜400nmの波長を有する光に対して好適な反射率を示す。たとえば、270nmでの空気に対するAlの反射率は約88%である。しかし、これらの金属は、GaN材料システムにおいて、低抵抗性のp型コンタクトを形成しない。本発明は、p型コンタクト層への効率的な電流注入を達成するためには、この目的のために利用可能なp型コンタクト層の表面の一部分のみが実際に使用されれば、すなわち、低抵抗率で接触すれば、十分であるという知見に基づいている。p型コンタクト層の対応する表面の残余の部分は、紫外領域において光を特に良く反射するコーティングを設けることが可能である。p型注入部は、紫外光反射コーティングと比較して、p型コンタクト層の対応する表面の相対的に小さな部分を覆うので、p型コンタクト層への効率的な電流注入を確保し続けながら、全表面の紫外反射率を全体的に高めることが可能である。p型注入部も反射コーティングによって覆われると、p型コンタクトの紫外反射率はさらに向上し得る。反射コーティングが導電性であり、p型注入部に加えて、この目的のために利用可能なp型コンタクト層の表面の全体に設けられると、反射コーティングが、同時に、反射層(これはp型注入部の領域の反射率を高めることにもなる)およびp型注入部のための電気的接続として機能することになるので、特に有利である。効率的で均一な電流注入に対する高い反射率の特に好ましい比率は、p型注入部が、可及的に小さく、p型コンタクト層の利用可能な表面に可及的に均一に、適当な距離だけ離間して分布し、必要であれば反射コーティングによって覆わるときに、達成される。
本発明のp型ドープコンタクトは、p型コンタクト層および複数のp型注入部を包含する。p型コンタクト層は、1つ以上の異なるp型ドープ半導体層を有する。半導体層は、ここでは、好適なn型ドープコンタクト層と共に、電圧が印加されると、ダイオードの前方に、紫外スペクトル領域、特にUV−A,UV−Bおよび/またはUV−Cの領域の、好ましくは200nm〜400nmの波長を有する光を発する、放射ゾーンを有するダイオードを生成するように、選択される。p型コンタクト層は、p型ドープAlGaNを含みまたはp型ドープAlGaNで構成される。p型コンタクト層の少なくとも半導体層が、p型コンタクト層の第2の表面を有し、p型注入部が直接設けられるp型ドープAlGaNを含みまたはp型ドープAlGaNで構成されることが、特に好ましい。これは発光が向上する結果となる。
本発明に係るp型コンタクトにおいて、p型コンタクト層は、第1および第2の表面を有する。p型コンタクト層の第1の表面は、放射ゾーンへの接続がこの第1の表面を介してなされるように設計される。放射ゾーンは、適切な電圧が印加されたときに、好ましくは紫外スペクトル領域の波長の、特にUV−A,UV−Bおよび/またはUV−Cの領域の、好ましくは200nm〜400nmの波長を有する光子を発するゾーン、と理解される。たとえば、放射ゾーンは、適当なn型ドープ層を有するダイオード配置におけるp−n界面によって形成され得る。放射ゾーンを、本発明に係るp型コンタクト層とn型ドープ層との間に設けられ、たとえば、(In)AlGaNを有しまたは(In)AlGaNで構成される多重量子井戸(MQW)で構成される、いわゆる活性ゾーンによって形成することも可能である。第1の表面の逆を向く第2の表面の側は、コーティングによって直接覆われる領域に、かつ、複数のp型注入部によって直接占められる領域に、分割される。コーティングは、ここでは、200nm〜400nmの波長を有する光、好ましくは270nmの波長を有する光に対して、少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%の最大反射率を有する材料を有する。
コーティングによって直接覆われる領域の合計は、p型コンタクト層の第2の表面の総面積の5%〜99.99%、好ましくは50%〜99.99%、特に好ましくは50%〜99%、きわめて好ましくは75%〜99%、さらに好ましくは75%〜96%に及ぶ。p型コンタクト層の第2の表面のうちのコーティングによって覆われない部分は、複数のp型注入部を配置するのに使用することが可能である。p型注入部は、ここでは、p型コンタクト層の第2の表面に直接設けられており、p型注入部とp型コンタクト層の第2の表面との間には本発明に係るコーティングは存在しない。ただし、p型コンタクト層上のp型注入部は、本発明に係るコーティングによって覆われおよび/またはコーティングと接し得る。この状況は、本発明に係るコーティングが、p型注入部が既に設けられたp型コンタクト層の第2の表面の全表面に設けられまたは配置されるときに、特に生じる。
p型注入部は、p型注入部とp型コンタクト層とのオーミックコンタクトを達成し、したがって、p型注入部を介する電流源からp型コンタクト層への効率的な電流注入を確保するために使用される。一般的な比接触抵抗は、ここでは、10−2〜10−4Ωcmの範囲またはそれ以下である。本質的なことは、p型注入部がp型コンタクト層の第2の表面に直接設けられて、本発明に係るコーティングが、p型注入部とp型コンタクト層との間には設けられないことである。コーティングによって覆われる面積にp型注入部によって占められる面積を加えた合計は、ここでは、p型コンタクト層の第2の表面の総面積に等しいか、それ以下であり得る。好ましくは、p型注入部によって占められないp型コンタクト層の第2の表面の全面積は、コーティングによって覆われる。
コーティングは、200nm〜400nmの波長を有する光に対し、好ましくは270nmの波長を有する光に対し、少なくとも60%の、好ましくは少なくとも80%の、特に好ましくは少なくとも85%の最大反射率を有する材料を有する。最大反射率は、問題の材料の層の厚さがそれ以上増しても、増大することのない反射率であると理解される。専門家は、反射率の試験に好適な材料および好適な方法に精通しており、したがって、不必要な努力なしに、特定の材料について、200nm〜400nmの波長を有する光に対して、好ましくは270nmの波長を有する光に対して、必要な最大反射率を有するか否かを、確実に判断し得る。そのような材料の1つの例はアルミニウム(Al)であり、これは270nmでの最大反射率が約88%である。コーティングの材料または材料混合物は好ましくは導電性であり、したがって、本発明に係るコーティングは、たとえば、この目的のために設けられたp型コンタクト層の表面とp型注入部との双方に設けられるとき、同時に反射層およびp型注入部間の電気的接続として機能する。
p型注入部は、p型コンタクト層と電流源または電圧源の極との効率的なオーミック接続を可能にする少なくとも1つのp型注入金属層を有する。p型注入部はそれ自体が紫外反射性である必要はないので、好適な材料の選択は、紫外領域において良好な反射率を有するものに限られない。その結果、従来技術においてp型注入部の作製時に既に使用されている材料および金属を使用することが可能である。特に、p型注入部は、Au,Ni,Pd,Pt,Rh,Ti,Ni/Au,Pd/Ti/Au,Pd/Pt/AuもしくはPt/Ti/Auを含みまたはAu,Ni,Pd,Pt,Rh,Ti,Ni/Au,Pd/Ti/Au,Pd/Pt/AuもしくはPt/Ti/Auで構成される、p型注入金属層を有することが可能である。p型注入部は、このようなp型注入金属層のほかに、p型コンタクト層と電流源または電源の極とのオーミック接続がp型注入部によって妨げられあるいは機能的に著しく損なわれるという事態を、追加の層が引き起こさない限り、追加の金属層および/または非金属層を有することが可能である。特に、p型注入部は、たとえばp型GaNもしくはp型InGaNの、p型ドープ半導体を含みまたはp型ドープ半導体で構成されるp型注入層をも、有することができる。これは、特に、p型コンタクト層(2)の第2の表面(B)を形成し、p型注入部が直接設けられる半導体層が、p型ドープAlGaNを有しまたはp型ドープAlGaNで構成されるときに、好ましい。結果として、電気的特性に対する発光の比率が特に良好であることを特徴とするp型コンタクトが得られる。
本発明に係るp型ドープコンタクトは、p型コンタクト層の第2の表面に設けられるp型注入部が特別な形状、寸法および/または構造を有するときに、特に有利な特性を有する。p型注入部は、ここでは、p型コンタクト層の第2の表面全体にナノピクセルのように分布したオーミックコンタクトの形態で存在し得る。p型注入部は、好ましくは、p型コンタクト層の第2の表面に、一定のパターンで配置される。
p型注入部は、四角形、長方形、正方形、円形、楕円形、三角形、および/または多角形の形状を有し得る。p型注入部は、また、たとえば平行線または交差線として配置された、直線状でもあり得る。本発明に係るp型コンタクトのp型注入部は、ここでは、同一の形状または異なる形状を有し得る。
個々のp型注入部は、それぞれ好ましくは、10nm〜50μmの、好ましくは10nm〜2μmの、特に好ましくは50nm〜1μmの最大幅Dを有する。最大幅とは、第2の次元yにおけるp型注入部の最大寸法(最大長)以下の第1の次元xにおけるp型注入部の最大寸法であると理解され、ここで、第1および第2の次元(x、y)は、互いに対して直角である。長方形の場合は、最大幅は長方形の短辺に対応し、最大長は長辺に対応し、円の場合は、最大幅は直径に対応し、正方形の場合は、最大幅は任意の辺に対応する、などである。
p型注入部の大部分は、p型コンタクト層の第2の表面に、無秩序に分布することが可能であるが、好ましくは、所定の態様で分布する。このために、p型注入部は、隣接するそれぞれのp型注入部から、20nm〜20μmの、好ましくは20nm〜5μmの、特に好ましくは100nm〜2μmの距離Aだけ離間することができる。本発明に係るp型コンタクトのp型注入部は、p型コンタクト層の第2の表面に均一に分布し得る。このために、p型注入部と隣接するそれぞれのp型注入部との選択された距離Aは、全てのp型注入部について、同一であり得る。
特に、最大幅Dおよび距離Aは、最大幅D対距離Aの比が1:1〜1:4であるように選択され得る。特別な実施形態において、最大幅Dは0.5μmであり、距離Aは0.5μm〜2μmの範囲から選択される。これに代えて、最大幅Dは50nm〜100nmの範囲から選択することができ、距離Aは100nm〜200nmの範囲から選択することができる。
本発明に係るp型コンタクトは、まず、公知の方法、たとえば、有機金属気相成長、分子線エピタキシー、ハイドライド気相成長などのエピタキシープロセスによって、この技術分野において公知の態様で、p型コンタクト層を調製することで、作製することができる。p型注入部は、異なる方法、たとえば、電子ビーム蒸着、熱蒸着、またはスパッタ技術で、分離することが可能である。コンタクトは、フォトリソグラフィー、ナノインプリンティング、および電子線プロセスなどのリソグフラフィープロセスを用いて、構造化される。
本発明は、本発明に係るp型ドープコンタクトを含む発光ダイオードに関する。特に、本発明は、n型ドープコンタクトと本発明に係るp型ドープコンタクトとの間に配置された放射ゾーンを含み、好ましくは紫外領域の光、特に好ましくはUV−A,UV−Bおよび/またはUV−Cの領域の光、最も好ましくは200nm〜400nmの波長を有する光を発する発光ダイオードに関する。別の好ましい実施形態においては、発光ダイオードは、200nm〜380nmまたは200nm〜350nmの波長を有する光を発する。
本発明に係るp型ドープコンタクトの構成を示す図であって、p型注入部がNi/Au層およびp型(In)GaN層を有し、コーティングがAlで構成され、p型コンタクト層がp型AlGaNを有する構成を示す図である。 図1に示す本発明に係るp型ドープコンタクトの構成を示す図であって、反射コーティングがさらにp型注入部をも覆う構成を示す図である。 図1に示す本発明に係るp型ドープコンタクトのp型コンタクト層の第2の表面Bの構造を示す図であって、p型注入部が、均一に分布し、1辺の長さが0.5μmの正方形状を有し、互いに1μm離間している構造を示す図である。 Aは、「コンタクトからの距離」(p型注入部からの距離)の表示で表される長さを示す図であり、Bは、p型注入部までの個々の距離の関数として算出した電流密度を示す図であって、異なるL(「電流発散長」=電流密度が1/eに低下するp型注入部からの距離)を有する3つのp型コンタクトについての曲線を示す図である。 本発明に係るp型コンタクトを含む紫外発光ダイオードの層構造を示す図である。 非構造化Pdコンタクトを有する参照ダイオードとの比較における種々のナノピクセルLEDの光出力−電流曲線を示す図であり、コンタクト辺長D=1μm、距離A=1μm(曲線因子FF=75%)の1つのLED、およびコンタクト辺長D=1μm、距離A=2μm(曲線因子FF=89%)の別のナノピクセルLEDの2つのナノピクセルLED配置を比較しており、ナノピクセルLEDを有するウェハの半分はTi/Al/Pt/Au(5/50/40/400nm)反射層で作製され、他の半分はTi接着層を有しない紫外反射金属層システム(50/40/400nmの層厚のAl/Pt/Auのみ)で作製されており、発光波長は全てのLEDについて380nmで測定した図である。
以下、選択した典型的な実施形態に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
例1:本発明に係るp型ドープコンタクトの構成
図1は、本発明に係るp型ドープコンタクトの典型的な実施形態を示す図である。本発明に係るp型ドープコンタクト1は、p型コンタクト層2および複数のp型注入部5を有する。p型コンタクト層2は、ここでは、LED配置において好適な放射ゾーンに接し得るように設計された第1の表面Aを有する。p型コンタクト層2は第2の表面を有しており、コーティング8および複数のp型注入部5が、第1の表面Aの逆を向く表面Bの側に設けられている。p型コンタクト層2は、p型AlGaN層によって形成されており、したがって、特に紫外透明性である。
複数のp型注入部5はp型コンタクト層2の表面Bに配置されており、p型注入部5は表面Bに直接接続されている。p型注入部5は、p型注入部5とp型コンタクト層2とのオーミックコンタクトを達成するように、設計されており、これによって、p型コンタクト層2を(少ない抵抗損失で)電流源または電圧源の極に導電的に接続することが可能になる。p型注入部5は2つの層を有しており、具体的には、表面Bの逆を向くp型注入金属層6、たとえばNi/Au金属層、および、p型注入金属層6とp型コンタクト層2との間に配置された追加のp型注入層7、たとえばp型(In)GaN半導体層である。p型注入金属層6は、電流源および/または電圧源の極との低抵抗コンタクトをもたらすために使用されている。p型注入層7は、p型コンタクト層2への見込まれる最も効果的な電流注入を達成するために使用されている。p型注入部5は、均等に離間して、p型コンタクト層2の表面Bに固定されている。
p型注入部5によって占められていない表面Bの部分は、波長270nmの光の少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%を反射する材料のコーティング8を有している。図1の例においては、コーティング8は、50〜350nmの層厚を有するアルミニウム層(Al)で構成されている。
図2は、本発明に係るp型ドープコンタクトの別の実施形態を示す。この追加の実施形態は、Alコーティングがp型注入部5をも覆う点でのみ、図1の実施形態と相違する。コーティング8はAlで構成されるので、導電性であり、p型注入部5を相互に電気的に接続する。
図3は、図1に示す本発明に係るp型ドープコンタクトのp型コンタクト層の第2の表面Bの、コーティング8およびp型注入部5を含む構造を示す上面図である。p型注入部5は、0.5μmの最大幅の正方形状を有する。p型注入部5は、ここでは、p型コンタクト層2の表面Bに均一に分布し、各々が隣接するそれぞれのp型注入部5から均一な1μmの距離だけ離間している。p型注入部5によって占められていない表面Bの部分は、270nmにて88%の反射率を有するアルミニウムで構成されたコーティング8を有する。コーティング8は、p型コンタクト層2の表面Bの90%程度を覆う。結果として、コーティング8およびp型注入部5を含む全表面Bは、約79%の最大反射率を有する。この反射率は、従来の低抵抗p型コンタクトが達成し得るいかなる反射率よりも高い。
例2:p型注入部からの距離の関数としての電流密度の低下のモデル計算
本発明に係るp型ドープコンタクトをLEDにおいて使用可能にするためにも、p型ドープコンタクトのp型コンタクト層に十分な電流が注入されることが必要である。図4のBは、オーミックp型注入部からの距離の増大に伴う、LEDのp型コンタクト層の電流密度の算出した減少を示す。計算は、G.H.B.Thompson (Physics of Semiconductor Laser Devices, john Wiley & Sons (1980))およびHyunsoo Kim et al.(Measurements of current spreading length and design of GaN-based light emitting diodes, Appl. Phys. Lett. 90, 063510 (2007))による単純な解析モデルに基づいている。シミュレーション中には、(比較的高抵抗の)アルミニウム反射体を介して電流が注入されないと仮定した。モデルシミュレーションの残余のパラメータを表1に示す。
図4のBは、p型注入部からの距離の関数としてのp型AlGaN層(モデルおよび例1のp型コンタクト層)における算出電流密度を示す。図4のAは、ここで言う距離を模式的に図示している。図4のBは、それぞれ異なるLを有する3つの別個のp型コンタクトについての結果を示している。ここで変数Lは、いわゆる「電流発散長」(die Stromausbreitungsstrecke)を、したがって、電流密度が1/eに低下するp型注入部からの距離を意味する。「電流発散長」は、一方、p型ドープ層における厚さ、電荷キャリヤ密度および電荷移動度に依存する(表1を参照のこと)。
0.5μmの最大幅および1μmのp型コンタクト間距離Aを有するp型注入部、(たとえば例1のような)モデルCに対応するp型AlGaNのp型コンタクト層については、電流密度は50A/cmから25A/cmまで僅かに低下するが、LEDにおけるp型ドープコンタクトの効果的な動作を確保するには、なお十分である。この場合、p型コンタクト層の特定の点への最も近い隣接する注入部からの電荷キャリヤ注入の結果、それぞれに計算した周囲のp型注入部の電流密度の合計に達しているので、実際のナノピクセル構造における不均一性がはっきりと低下するであろうということは、計算には考慮していない。
例3:本発明に係るp型コンタクトを含む紫外発光ダイオード
図5は、本発明に係るp型コンタクトを含む本発明に係る発光ダイオードの典型的な実施形態の断面図である。
本発明によれば、紫外発光ダイオードは、p型注入部を含むp型コンタクトを包含し、p型注入部は各々、p型注入金属層6およびp型(In)GaN注入層7で構成される。示した例では、p型(In)GaN注入層7は、各々、マグネシウム(Mg)ドープ濃度[Mg]=1E20cm−3の、10nm寸法のp型(In)GaNを有する。P型(In)GaN注入層7は、p型ドープAlGaNで構成されたp型コンタクト層2に直接接している。示した例では、p型コンタクト層は、p型Al0.45Ga0.55Nおよびp型Al0.55Ga0.45Nの組成の2つのp型ドープAlGaN層の交互配列2aで構成され、個々の層は2nmの厚さを有し、p型コンタクト層は合計で一方の組成の50層および他方の組成の50層を有し、それらの層は[Mg]=5E19cm−3のMgドープ濃度を有する。p型注入部の逆を向くp型コンタクト層の側は、p型Al0.60Ga0.40N([Mg]=1E20cm−3)の組成を有する、20nm厚の終端層2bを有する。p型注入部に接するp型コンタクト層2の表面は、本発明に係るコーティングで覆われている。示した例では、コーティング8は、p型コンタクト層2の表面のみを覆うのではなく、p型注入部をも覆うように構成されている。示した例では、p型注入部の逆を向くp型コンタクト層2の側には、多重量子井戸構造9が接している。この多重量子井戸構造9は、n層の量子井戸層とn+1層のバリヤー層の規則的配列で構成することができる。示した例では、多重量子井戸構造9は、6nm厚の(In)Al0.5Ga0.5Nバリヤー層9a、ならびに、2nm厚の(In)Al0.4Ga0.6N量子井戸層9bおよび6nm厚の(In)Al0.5Ga0.5Nバリヤー層9cが3回繰り返す層配列で構成されている。p型コンタクト層の逆を向く多重量子井戸構造9の側には、シリコン(Si)ドープ濃度[Si]=5E18cm−3のn型Al0.5Ga0.5Nで構成される1500nm厚の層10が、バリヤー層9cに続いている。n型ドープ層10には、非ドープAl0.5Ga0.5Nで構成される200nm厚の層11が続く。これにはさらに、非ドープAlNで構成される1000nm厚の層12が続く。この層12は、p型コンタクトの逆を向く側のサファイヤ層13で覆われている。
例4:本発明に係るUV−LEDと従来技術との比較
UV−LED構造は、2インチ(50mm)の直径を有する(0001)方位のサファイヤ基板上に、有機金属気相成長(縮めてMOVPE)と呼ばれる物理的コーティングプロセスで成長させられた。層構造は、3.4μm厚のシリコンドープGaNバッファ層、10nm厚のSiドープAl0.23Ga0.77Nホールバリヤー、6nm厚のIn0.04Al0.16GaNバリヤーで隔てられた5つの3nm厚のIn0.04GaN量子膜(英語:multiple-quantum well、縮めてMQW)で構成される活性ゾーン、これに続く10nm厚のマグネシウムドープAl0.23Ga0.77N電子バリヤー層、および、最後の200nm厚のMgドープGaN層で構成される。MOVPEの後、p型ドープが、急速熱アニーリング(RTA)炉で窒素雰囲気中で、815℃にて10分間活性化された。
部品は、次いで、プロセス技術を用いて構造化された。多くの正方形Pdコンタクトが、p型コンタクト層の第2の表面に、0.0225mmの面積で形成された。パラジウムは、30nmの層厚を有し、電子線蒸着を経て分離された。Pd被覆因子は、D=1μmのコンタクト辺長およびA=1μmの距離について25%であり、D=1μm、A=2μmについて11%である。p型電極は、紫外反射性アルミニウム層を含み、Al(50nm)/Pt(40nm)/Au(400nm)の金属システムで構成される。紫外反射性金属システムは、p型注入部およびフリーのGaN領域の双方を覆う。換言すれば、紫外反射性層によって覆われる面積の割合(曲線因子、縮めてFF、に相当する)は、それぞれ75%および89%である。半数のサンプルにおいて、薄いTi層が、AlとGaNとの接着性を向上させるための結合材として、GaN表面とアルミニウム反射体との間に挿入された。すなわち、この場合の層配列は、Ti(5nm)/Al(50nm)/Pt(40nm)/Au(400nm)の金属システムに対応する。Tiは良好な紫外反射体ではないので、吸収を最小にするために、5nm厚のTi層のみが蒸着された。p側のメタライゼーションが終了した後、誘導結合プラズマドライエッチングプロセスが、n型ドープGaNバッファ層に達する150μm×150μmのメサ構造を現出するために、ClおよびBClの雰囲気中で行われた。次いで、n型メタライゼーションTi(10nm)/Al(50nm)/Mo(20nm)/Au(200nm)が蒸着された。チップ全体のサイズは、500μm×500μmである。
図6は、非構造化Pdコンタクトを有しかつAlコーティングを有しない参照ダイオードとの比較における、種々のナノピクセルLEDについての測定した光出力−電流曲線を示す。最良の結果は、FF=89%でかつTi接着層を有しないナノピクセルLEDで達成された。50mAの順方向電流にて、このナノピクセルLEDは、1.36mWの光出力を有し(ウェハ上で測定した)、これは、参照ダイオードの光量(50mAで0.45mW)の3倍を超えている。
1 ... p型コンタクト
2 ... p型ドープAlGaNで構成されるp型コンタクト層
2a ... p型Al0.45Ga0.55Nおよびp型Al0.55Ga0.45Nの組成を有する2つのp型AlGaN層の交互配列
2b ... p型Al0.60Ga0.40
5 ... p型注入部
6 ... Ni/Auで構成されるp型注入金属層
7 ... (In)GaNで構成されるp型注入層
8 ... 270nmの波長を有する光の少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%を反射する材料を有するコーティング
9 ... 多重量子井戸層
9a ... (In)Al0.5Ga0.5Nバリヤー層
9a ... (In)Al0.4Ga0.6量子井戸層
9a ... (In)Al0.5Ga0.5Nバリヤー層
10 ... n型Al0.5Ga0.5Nで構成されるn型ドープ層
11 ... Al0.5Ga0.5Nで構成される非ドープ層
12 ... AlNで構成される非ドープ層
13 ... サファイヤ層
A ... p型コンタクト層2の第1の表面
B ... p型コンタクト層2の第2の表面

Claims (15)

  1. 紫外スペクトル領域用の発光ダイオードに使用するためのp型ドープコンタクト(1)であって、放射ゾーンに接する第1の表面(A)、および前記第1の表面(A)の逆を向く側の第2の表面(B)を有するp型コンタクト層(2)を含み、
    (a)前記p型コンタクト層(2)の前記第2の表面(B)の75%〜96%に直接接し、200nm〜400nmの波長の紫外領域の光に対して少なくとも60%の最大反射率を有する材料を含みまたは該材料で構成されたコーティング(8)、および
    (b)前記p型コンタクト層(2)の前記第2の表面(B)に直接設けられた複数のp型注入部(5)を有し、
    前記p型コンタクト層(2)がAlGaNを有しまたはAlGaNで構成され
    前記p型注入部(5)が、前記p型注入金属層(6)のほかに、少なくとも1つの他のp型注入層(7)を有し、追加のp型注入層(7)がp型GaNもしくはp型(In)GaNを含みまたはp型GaNもしくはp型(In)GaNで構成されることを特徴とするp型ドープコンタクト(1)。
  2. 前記コーティング(8)が導電性であることを特徴とする請求項に記載のp型ドープコンタクト(1)。
  3. 前記コーティング(8)が、さらに、p型ドープコンタクト(1)の1つ、数個または全てのp型注入部(5)を覆う、ことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のp型ドープコンタクト(1)。
  4. 前記コーティング(8)がAlを含むまたはAlで構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のp型ドープコンタクト(1)。
  5. 前記p型注入部(5)が少なくとも1つのp型注入金属層(6)を有し、該p型注入金属層(6)が、前記p型コンタクト層(2)と電流源とのオーミック接続を可能にすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のp型ドープコンタクト(1)。
  6. 前記p型注入部(5)が、Au,Ni,Pd,Pt,Rh,Ti,Ni/Au,Pd/Ti/Au,Pd/Pt/AuもしくはPt/Ti/Auを含むまたはAu,Ni,Pd,Pt,Rh,Ti,Ni/Au,Pd/Ti/Au,Pd/Pt/AuもしくはPt/Ti/Auで構成されるp型注入金属層(6)を有する、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のp型ドープコンタクト(1)。
  7. 前記p型コンタクト層(2)が1つ以上の異なる半導体層を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のp型ドープコンタクト(1)。
  8. 前記p型コンタクト層の前記第2の表面(B)を形成し、前記p型注入部が直接設けられた前記半導体層が、p型ドープAlGaNを有しまたはp型ドープAlGaNで構成される、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のp型ドープコンタクト(1)。
  9. 前記p型注入部(5)が10nm〜50μmの最大幅Dを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のp型ドープコンタクト(1)。
  10. 前記p型注入部(5)が、それぞれの隣接するp型注入部(5)から20nm〜20μmの距離Aだけ離間する、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のp型ドープコンタクト(1)。
  11. 前記p型注入部(5)とそれぞれの隣接するp型注入部(5)との距離Aが、全てのp型注入部(5)について、同一であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のp型ドープコンタクト(1)。
  12. 前記最大幅Dおよび前記距離Aが、最大幅D対距離Aの比が1:1〜1:4であるように選択される、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のp型ドープコンタクト(1)。
  13. 前記p型注入部(5)が、前記p型コンタクト層(2)の前記第2の表面(B)に、一定のパターンで配置されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のp型ドープコンタクト(1)。
  14. 放射ゾーンを含み、該放射ゾーンが、n型ドープコンタクトと請求項1に記載のp型ドープコンタクト(1)との間に設けられる、ことを特徴とする発光ダイオード。
  15. 200nm〜400nmの紫外領域、好ましくは、UV−A,UV−Bおよび/またはUV−Cの領域の光を発することを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード。
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