以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図10は本発明の第1実施形態のフレキシブルTFT基板の製造方法を示す断面図、図11は同じくフレキシブルTFT基板を示す断面図、図12は同じくフレキシブルTFT基板を有機ELディスプレイに適用した例を示す断面図である。
第1実施形態のフレキシブルTFT基板の製造方法では、図1(a)に示すように、まず、仮基板として第1ガラス基板10を用意し、第1ガラス基板10の上に透明の第1剥離層22を形成する。
第1剥離層22の形成方法としては、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物と、3−3’−ジアミノジフェニルスルホンとを混合してポリイミド前駆体化合物を作成する。そして、そのポリイミド前駆体化合物を第1ガラス基板10の上に塗布した後に、200〜250℃の温度で加熱処理して硬化させることにより、透明の第1剥離層22を得る。
透明の第1剥離層22はフレキシブルTFT基板内に残すことができるため、第1剥離層22を除去する工程を省略することができる。第1剥離層22を除去する工程を遂行してもよい場合は、通常の黄土色系のポリイミド樹脂を使用してもよい。
次いで、図1(b)に示すように、第1剥離層22の上にカラーフィルタ層25を形成する。図1(b)には緑色(G)画素部がメインに示されているが、3原色の画素部(R),(G),(B)に対応する部分(画素電極に対応する部分)に赤色(R)カラーフィルタ層25R、緑色(G)カラーフィルタ層25G、及び青色(B)カラーフィルタ層25Bがそれぞれ配置される。
そして、3原色の画素部(サブピクセル)が表示単位であるピクセルを構成する。3原色の各カラーフィルタ層25は、例えば顔料分散タイプの感光性塗布膜がフォトリソグラフィによって順次パターニングされて形成される。なお、3原色の各カラーフィルタ層25R,25G,25Bの間に遮光層(ブラックマトリクス)を配置してもよい。
続いて、図1(c)に示すように、仮フィルム29を用意し、カラーフィルタ層25の上に粘着層27を介して仮フィルム29を積層する。仮フィルム29としては、熱膨張係数の比較的小さいプラスチックフィルムを使用することが望ましい。透明性、光学的異方性、光屈折率、耐候性などのスペックを満足させる光学特性を有することは必ずしも必須ではない。
仮フィルム29は、好適には、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ガラスエポキシ樹脂(FR4)、ポリイミド樹脂、アラミド繊維含有樹脂、又はガラス粒子やクロスを含有する樹脂などから形成される。
仮フィルム29はカラーフィルタ層25の上に粘着層27によって無加熱の状態(室温)で仮接着される。仮フィルム29を接着する際にその熱変形温度より高い温度の加熱処理が施されると、仮フィルム29に膨張収縮のような長寸法の変化が発生しやすく、これに伴ってカラーフィルタ層25にも長寸法変化が生じ易い。
後述するように、カラーフィルタ層25は第2ガラス基板上に形成された画素電極に対応するようにして第2ガラス基板上に積層される。カラーフィルタ層25に長寸法変化などが生じていると画素電極との整合がとれなくなるため、本実施形態ではカラーフィルタ層25と仮フィルム29とを無加熱で仮接着できる粘着層27を使用する。
次いで、図1(d)に示すように、図1(c)の仮フィルム29の一端にロール(不図示)を固定し、そのロールを回転させながら第1ガラス基板10を剥離する。このとき、第1ガラス基板10と第1剥離層22との界面(図1(c)のA部)に沿って剥離される。
これにより、仮フィルム29の上(図1(d)では下)に粘着層27を介してカラーフィルタ層25及び第1剥離層22が転写・形成されて、仮フィルム付きカラーフィルタ層Fが得られる。
第1ガラス基板10を剥離するときに、仮フィルム29とカラーフィルタ層25とを粘着層27で剥がれない程度に仮接着しておく必要があるので、粘着層27は第1ガラス基板10を剥離する際にそれに耐える接着力が必要である。
このような観点から、粘着層27として、接着力が例えば8N/20mm幅のものが使用される。この接着力は、引っ張り試験機で試験された値であり、チャック間距離:100mm、引っ張りスピード:300mm/分、引き剥がし角度:90度の条件下で行われる。
このような接着力をもつ粘着層27を使用することにより、仮フィルム29とカラーフィルタ層25とを粘着層27で十分に仮接着した状態で、第1ガラス基板10を安定して剥離することができる。第1ガラス基板10と第1剥離層22との接着力は約1〜2N/20mm幅である。
また、後述するように、仮フィルム付きカラーフィルタ層FをTFTが形成された第2ガラス基板の上に接着した後に、仮フィルム29及び粘着層27を第2ガラス基板から剥離する必要がある。このため、粘着層27は、ある程度の接着力を必要とするばかりではなく、容易に剥離できる特性を併せもつ必要がある。
例えば、粘着層27として、それを剥離する際に、0.1N/20mm幅以下(上記した引っ張り試験機の条件下で試験)の接着力に低下するものが使用される。これは、後述する第2ガラス基板と第2剥離層との接着力(約1〜2N/20mm幅)より低い接着力であることを意味する。
つまり、粘着層27として、仮フィルム29をカラーフィルタ層25に仮接着する際には無加熱で十分な接着力があり、仮フィルム29を剥離する際に加熱、光照射、冷却などにより、接着力が低下する特性を有するものが使用される。
加熱によって接着力が低下する粘着層としては、粘着層の中に含まれる粒子が加熱によって発砲し、粘着面の接触面積が小さくなることで接着力が低下する加熱発砲粒子含有粘着層(例えば日東電工(株)製NWSシリーズ)がある。
光照射によって接着力が低下する粘着層としては、紫外線を照射することで物性を変化させて接着力を低下させる紫外線照射剥離型粘着層(例えば日東電工(株)製エレップホルダーDUシリーズ)がある。
また、冷却することによって接着力が低下する冷却剥離型粘着層としては、例えばニッタ(株)製インテリマーCS202HSなどがある。
粘着層27は、上記したような特性を有する粘着剤を塗布して形成してもよいし、粘着剤を基材の両面に塗布した粘着シートを使用してもよい。
次に、図2(a)に示すように、仮基板として別の第2ガラス基板10aを用意し、その第2ガラス基板10aの上にポリイミド樹脂などからなる第2剥離層22aを形成する。第2剥離層22aは後に除去する必要があるので透明である必要はない。
その後に、図2(b)に示すように、CVD法やスパッタ法などにより、第2剥離層22aの上に窒化シリコン(SiNX)などの無機絶縁層からなる下地バリア層24を形成する。さらに、下地バリア層24の上に、画素電極を構成するための膜厚が50〜300nmの透明導電層26aをスパッタ法により形成する。
次いで、図2(c)に示すように、透明導電層26aの上にレジストパターン(不図示)を形成し、それをマスクにして透明導電層26aをエッチングすることにより、画素電極26を得る。その後に、レジストパターンが除去される。画素電極26は、前述した仮フィルム付きカラーフィルタ層Fの3原色の赤色(R)カラーフィルタ層25R、緑色(G)カラーフィルタ層25G、及び青色(B)カラーフィルタ層25Bに対応するように配置される。
画素電極26は、ITO(Indium Tin Oxide)層やIZO(Indium Zinc Oxide)層などの透明導電層26aから形成される。
本実施形態では、第2ガラス基板10a上に画素電極26を形成するので、プラスチックフィルム上に形成する場合と違って成膜温度などのプロセス条件が限定されることがない。例えば、画素電極26としてITO層を使用する場合は、成膜温度が200℃程度のスパッタ法などを採用することができる。これにより、画素電極26(ITO)は低抵抗(比抵抗値:3×10-4Ω・cm以下)な電気特性をもって形成される。
なお、下地バリア層24を省略し、第2剥離層22aの上に画素電極26を直接形成してもよい。
続いて、図2(d)に示すように、画素電極26の上にアクリル樹脂などをスピンコート法によって塗布することにより、画素電極26の段差を埋め込む層間絶縁層28を形成する。これにより、画素電極26の段差が解消されて層間絶縁層28はその上面が平坦となって形成される。さらに、層間絶縁層28の上に、CVD法やスパッタ法などにより無機絶縁層(窒化シリコン(SiNX)など)のガスバリア機能を有するバリア絶縁層30を形成する。
次いで、図3(a)に示すように、ITO又はアルミニウムなどの導電層を蒸着法やスパッタ法などによりバリア絶縁層30の上に形成した後に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより導電層をパターニングする。これにより、スイッチング用TFT(Thin Film Transistor)(以下、Sw−TFTと記す)用のゲート電極32aが画素電極26のパターン領域上のバリア絶縁層30の上に形成される。これと同時に、駆動用TFT(以下、Dr−TFTと記す)用のゲート電極32bが同じく画素電極26のパターン領域上のバリア絶縁層30の上に形成される。
さらに、図3(b)に示すように、各ゲート電極32a,32bの上面及び側面を被覆するゲート絶縁層34を形成する。ゲート絶縁層34としては、膜厚が200nm程度のシリコン酸化層(SiOX)、タンタル酸化層(Ta2O5)、アルミナ層(Al2O5)、又はポリイミドなどの有機高分子層などが使用される。
そして、これらの絶縁層がCVD法、スパッタ法、又はスピンコート法などによって形成された後に、フォトリソグラフィに基づいてパターニングされてゲート絶縁層34が得られる。あるいは、ゲート絶縁層34を陽極酸化法によって形成してもよい。
次いで、図3(c)に示すように、画素電極26の所要部上の層間絶縁層28及びバリア絶縁層30の部分を加工することにより、画素電極26に到達する深さのビアホールVHを形成する。ビアホールVHは、開口部が設けられたレジストパターン(不図示)がバリア絶縁層30の上に形成された後に、その開口部を通してバリア絶縁層30及び層間絶縁層28がドライエッチングなどでエッチングされて形成される。
次いで、図4(a)に示すように、図3(c)の構造体の上面側(バリア絶縁層30及びゲート絶縁層34の上とビアホールVH内)に、クロム(Cr)層及び金(Au)層を順次成膜して金属層を形成した後に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより金属層をパターニングする。これにより、Sw−TFT用のソース電極36a及びドレイン電極36bがゲート電極32aを被覆するゲート絶縁層34の上面端側から側面にかけてそれぞれ延在して形成される。
これと同時に、Dr−TFT用のソース電極36x及びドレイン電極36yがゲート電極32bを被覆するゲート絶縁層34の上面端側から側面にかけてそれぞれ延在して形成される。さらに、Dr−TFT用のドレイン電極36yはビアホールVHを介して画素電極26に電気的に接続されて形成される。
次いで、図4(b)に示すように、図3(a)の構造体の上面全体に、真空蒸着法などにより膜厚が50nm程度の有機半導体からなる有機活性層38を形成する。有機活性層38の材料としては、ペンタセン、セキシチオフェン、又はポリチオフェンなどが好適に使用される。
さらに、図4(c)に示すように、有機活性層38の上に真空蒸着法などによってパリレン(ポリパラキシリレン)樹脂層40を形成する。続いて、図5(a)に示すように、パリレン樹脂層40の上にシリコン酸化層(SiO2)などからなる無機絶縁層42を形成する。
続いて、図5(b)に示すように、無機絶縁層42の上に、Sw−TFT用のゲート絶縁層34及びDr−TFT用のゲート絶縁層34に対応するレジストパターン15を形成する。さらに、図5(c)に示すように、そのレジストパターン15をマスクにして、無機絶縁層42、パリレン樹脂層40及び有機活性層38をエッチングする。レジストパターン15はドライエッチングにより除去してもよい。
これにより、Sw−TFT用のソース電極36a、ドレイン電極36b及びゲート絶縁層34の上に、Sw−TFT用の有機活性層38a、パリレン樹脂層40からなるキャップ保護層40a及び無機絶縁層42からなるキャップバリア層42aがパターン化されて得られる。
それと同時に、Dr−TFT用のソース電極36x、ドレイン電極36y及びゲート絶縁層34の上に、Dr−TFT用の有機活性層38b、キャップ保護層40b及びキャップバリア層42bがパターニングされて得られる。
このとき、各有機活性層38a,38bは、キャップバリア層42a,42b(無機絶縁層)及びキャップ保護層40a,40b(パリレン樹脂層)によって被覆されて保護されるので、フォトリソグラフィ工程でのウェット処理やプラズマなどによる性能劣化が防止される。なお、レジストパターン15を除去せずに残したままにしても差し支えない。
これによって、ゲート電極32a、ゲート絶縁層34、ソース電極36aとドレイン電極36b、及びソース電極36aとドレイン電極36bに電気的に接続された有機活性層38aにより構成されるSw−TFT5が得られる。
また、ゲート電極32b、ゲート絶縁層34、ソース電極36xとドレイン電極36y、及びソース電極36xとドレイン電極36yに電気的に接続される有機活性層38bにより構成されるDr−TFT6が得られる。そして、Dr−TFT6のドレイン電極36yがビアホールVHを介してDr−TFT6の下側に配置された画素電極26に電気的に接続される。
本実施形態では、耐熱性の第2ガラス基板10aの上にSw−TFT5及びDr−TFT6を形成するので、プラスチックフィルム上に直接形成する場合と違って、位置合わせ精度よく所望のTFTを得ることができる。
なお、上記した有機活性層38a,38bをチャネル層として使用するTFT5,6の他に、酸化物半導体層をチャネル層として使用するTFTを使用してもよい。酸化物半導体層としては、インジウム(In)−亜鉛(Zn)−酸素(O)系、又はインジウム(In)−亜鉛(Zn)−ガリウム(Ga)−酸素(O)系などの透明アモルファス酸化物半導体が使用される。
あるいは、a−Si(アモルファス−シリコン)をチャンネル層として使用するTFTを同様に画素電極26に接続して形成してもよい。a−SiTFTの構造は、特開2001−356370号公報、特開2001−356710号公報を参照されたい。その他にも、各種の構造のTFTを採用することができる。
次いで、図6(a)に示すように、Sw−TFT5及びDr−TFT6の上にそれを被覆する保護絶縁層44を形成する。保護絶縁層44の一例としては、パリレン層と、水蒸気やガスの侵入をブロックできるシリコン酸化層(SiOX)、シリコン窒化層(SiNX)又はシリコン酸化窒化層(SiON)などの無機絶縁層との積層膜が好適に使用され、CVD法や真空蒸着法によって形成される。
以上により、第2ガラス基板10aの上に第2剥離層22aを介して画素電極26とそれに接続されるDr−TFT6、及びSw−TFT5などが形成されたTFTガラス基板Gが得られる。
次に、図6(b)に示すように、前述した図1(d)で作成した仮フィルム付きカラーフィルタ層Fを用意する。そして、図6(a)のTFTガラス基板Gの保護絶縁層44の上に第1接着層46によって仮フィルム付きカラーフィルタ層Fの第1剥離層22の露出面(カラーフィルタ層25側の面)を接着する。
本実施形態では、前述したように透明の第1剥離層22を使用することからフレキシブルTFT基板内に第1剥離層22を残すことができる。従って、剥離層22の除去工程を省略できるので、製造工程を削減することができ、低コスト化を図ることができる。
なお、第1剥離層22として透明ではない通常のポリイミド樹脂(黄土色系)を使用する場合は、第1剥離層22が除去されて、仮フィルム付きカラーフィルタ層Fのカラーフィルタ層25の露出面が第1接着層46に接触して接着される。
このとき、仮フィルム付きカラーフィルタ層Fに設けられた位置合わせマーク(不図示)と、TFTガラス基板Gに設けられた位置合わせマーク(不図示)とを画像認識することに基づいて位置合わせが行われる。これにより、仮フィルム付きカラーフィルタ層Fのカラーフィルタ層25がTFTガラス基板Gの画素電極26に位置合わせさせて配置される。
前述したように、仮フィルム29は粘着層27によって無加熱でカラーフィルタ層25に仮接着されるので、接着前の状態でカラーフィルタ層25に長寸法変化や位置ずれが生じているおそれはなく、全てのカラーフィルタ層25を画素電極26に精度よく位置合わせして配置することができる。
またこのとき、第1接着層46として通常の光硬化型接着剤を使用する場合、TFTガラス基板Gの下面側から、又は仮フィルム付きカラーフィルタ層Fの上面側から光照射して光硬化型接着剤を硬化させて第1接着層46を得る必要がある。
しかしながら、図6(b)の積層体の内部には、画素電極26、TFT5,6、各ライン配線(不図示)及びカラーフィルタ層25が存在し、これらはその材料によっては光透過を妨げるかもしくは減少させてしまうおそれがある。
従って、図6(b)の構造体の表面、裏面のどちらから光照射しても影になる部分が発生し易いため、第1接着層46に硬化しない部分が発生するおそれがある。
このため、本実施形態では、第1接着層46として、TFTガラス基板Gの上に仮フィルム付きカラーフィルタ層Fを接着する際に、全体にわたって硬化が自動的に進行する接着剤を使用する。
そのような接着剤としては、光照射してから一定時間経過した後に硬化が始まる遅延硬化性光硬化型接着剤がある。遅延硬化性光硬化型接着剤は、光カチオン剤を含有するエポキシ樹脂からなり、光カチオン重合の反応速度を制御することにより、紫外線照射後にすぐには硬化しない遅延硬化性を有する。
つまり、TFTガラス基板Gの上に仮フィルム付きカラーフィルタ層Fを接着する際に、TFTガラス基板Gの保護絶縁層44の面、及び仮フィルム付きカラーフィルタ層Fの第1剥離層22の面の少なくとも一方の面に遅延硬化性光硬化型接着剤を塗布し、その塗布面の全体にわたって紫外線を照射する。
その後に、TFTガラス基板Gと仮フィルム付きカラーフィルタ層Fとを遅延硬化性光硬化型接着剤を介して位置合わせして積層する。これにより、遅延硬化性光硬化型接着剤は予めその全体が光照射されているため、両者を積層してから一定時間経過後に(例えば1〜60分後)、硬化が始まり遅延硬化性光硬化型接着剤の全体が硬化して第1接着層46となる。遅延硬化性光硬化型接着剤の具体例としては、スリーボンド社製:3115Bやソニーケミカル社製:SK7000などを挙げることができる。
このように、第1接着層46として遅延硬化性光硬化型接着剤を使用することにより、画素電極26、TFT5,6、各ライン配線及びカラーフィルタ層25が光透過を妨げる場合であっても第1接着層46の全体を硬化させて接着することができる。
あるいは、遅延硬化性光硬化型接着剤の代わりに、可使時間が10分以上ある2液混合型接着剤を使用してもよい。2液混合型接着剤を用いる場合には、混合後、脱泡処理が必要であり、遅延硬化性光硬化型接着剤を用いる場合よりも長めの可使時間が必要になる。
この場合は、エポキシ樹脂と硬化剤を別々に用意し、TFTガラス基板Gと仮フィルム付きカラーフィルタ層Fとを接着する際に、エポキシ樹脂と硬化剤を混合した混合物を脱泡後、少なくともいずれかの面に塗布して両者を位置合わせして積層すればよい。
この場合においても、TFTガラス基板Gと仮フィルム付きカラーフィルタ層Fとを積層してから一定時間経過後に室温状態で硬化が始まり、第1接着層46の全体を安定して硬化させることができる。2液混合型接着剤の具体例として、住友スリーエム社製:DP−125クリアを挙げることができる。
次いで、図7に示すように、図6(b)の構造体から粘着層27及び仮フィルム29を剥離する。粘着剤が残存している場合は、有機溶剤やプラズマエッチングにより、洗浄/除去する。これにより、第2ガラス基板10aの上方のカラーフィルタ層25が露出した状態となる。
このとき、前述したように、粘着層27として、加熱発砲粒子含有粘着層、紫外線照射剥離型粘着層、又は冷却剥離型粘着層を使用する。加熱発砲粒子含有粘着層を使用する場合は、加熱することにより粘着層27内の粒子が発砲して接着力が低下し、カラーフィルタ層25との界面から粘着層27及び仮フィルム29を容易に剥離することができる。
また、紫外線照射剥離型粘着層を使用する場合は、紫外線を照射することにより、同様に、粘着層27及び仮フィルム29を容易に剥離することができる。あるいは、冷却剥離型粘着層を使用する場合は、冷却することにより、同様に、粘着層27及び仮フィルム29を容易に剥離することができる。
このように、前述したような特性を有する粘着層27を使用することにより、粘着層27を剥離する際に接着力を低減させることができる。これにより、粘着層27とカラ―フィルタ層25との間の接着力は、第2ガラス基板10aと第2剥離層22aとの間の接着力より低い状態にすることができる。
従って、第2ガラス基板10aと第2剥離層22aとの間で剥離が生じることなく、粘着層27及び仮フィルム29をカラーフィルタ層25から安定して剥離することができる。
次いで、図8に示すように、ベースフィルム60を用意し、図7の構造体のカラーフィルタ層25の上に光硬化型接着剤を塗布し、その上にベースフィルム60を積層する。さらに、外側からベースフィルム60を通して光硬化型接着剤に光照射することにより、光硬化型接着剤を硬化させる。
これにより、カラーフィルタ層25の上に第2接着層46aによってベースフィルム60が接着される。ベースフィルム60を接着する工程では、外側から透明のベースフィルム60を通して光硬化型接着剤の全体に光照射して硬化させることにより第2接着層46aを形成することができる。
従って、第2接着層46aとして、遅延硬化性光硬化型接着剤や2液混合型接着剤を使用する必要はなく、透明性のある汎用の光硬化型接着剤を使用することができる。
ベースフィルム60はフレキシブルTFT基板のフレキシブル基板として機能する。
ベースフィルム60は、熱膨張係数が15ppm/℃以下(1ppm/℃以上)の材料から形成される。そのような熱膨張係数を有する材料としては、透明の繊維強化プラスチックフィルム(FRP(Fiber Reinforced Plastic)フィルム)、厚みが50μmの薄膜ガラスにフィルムをラミネートした透明積層フィルム、アラミドフィルム、又は不透明の薄膜ステンレス基板などが好適に使用される。長寸法変化が小さくなる10ppm/℃程度の熱膨張係数を有する材料がより好ましい。
なお、通常の有機ELディスプレイや液晶ディスプレイ(バックライト方式)を構成する場合は、ベースフィルム60は透明である必要がある。光反射型の液晶ディスプレイなどを構成する場合は、不透明の薄膜ステンレス基板をフレキシブル基板として使用することができる。
また、光硬化型接着剤を光照射して硬化させる際に無加熱で行うことは可能であるが、加熱処理(温度:120℃程度)を必要とする場合がある。熱膨張係数が15ppm/℃以下のベースフィルム60であればそのような加熱処理を併用する場合であっても長寸法変化を小さくすることができる。しかも、カラーフィルタ層25は既にTFTガラス基板Gに第1接着層46で固定されているため、画素電極26とカラーフィルタ層25との間で位置関係がずれるおそれはない。
また、ベースフィルム60として不透明の薄膜ステンレス基板を使用する場合は、外側から光照射できないため、第2接着層46aとして前述した第1接着層46と同様な遅延硬化性光硬化型接着剤、又は2液混合型接着剤によってTFTガラス基板Gに接着される。
続いて、図9に示すように、第2ガラス基板10aと第2剥離層22aとの界面から第2ガラス基板10aを剥離する。
図10には、第2ガラス基板10aを剥離した図9の構造体を上下反転させた様子が示されており、上面側に第2剥離層22aが露出した状態となる。
次いで、図11に示すように、酸素ガスのプラズマなどで第2剥離層22aを除去することにより下地バリア層24を露出させる。さらに、CF4プラズマなどで下地バリア層24をエッチングして除去することにより、画素電極26を露出させる。
以上により、第1実施形態のフレキシブルTFT基板1が得られる。
以上説明したように、第1実施形態のフレキシブルTFT基板の製造方法では、まず、第1ガラス基板10の上に剥離できる状態で形成されたカラーフィルタ層25の上に粘着層27で仮フィルム29を無加熱で仮接着した後に、第1ガラス基板10を剥離することにより、仮フィルム付きカラーフィルタ層Fを作成する。
これと並行して別の第2ガラス基板10aの上に画素電極26、Dr−TFT6及びSw−TFT5などを形成してTFTガラス基板Gを作成する。そして、TFTガラス基板Gの上に第1接着層46によって仮フィルム付きカラーフィルタ層Fを接着した後に、仮フィルム29及び粘着層27を剥離する。さらに、カラーフィルタ層25の上に第2接着層46aによってベースフィルム60を接着する。
その後に、第2ガラス基板10a、第2剥離層22a及び下地バリア層24を除去して画素電極26を露出させる。
本実施形態では、同一のガラス基板の上に画素電極、TFT、カラーフィルタ層などの全ての素子を形成した後にフィルム上に転写する製法と違って、カラーフィルタ層の形成を別のガラス基板上で行うことで、全体の製造工程を2つに分割して遂行することができる。
これにより、ガラス基板上での製造工程が削減されることから、工程中のトラブルや不良の発生のリスクを低減できるため、製造歩留りを向上させることができる。また、カラーフィルタ層25の形成に係る製造工程と、画素電極26及びTFT5,6などの形成に係る製造工程とを並行して遂行できるため、製品が出来上がるまでのトータルの製造時間を短縮することができ、低コスト化を図ることができる。
また、仮フィルム付きカラーフィルタ層Fは無加熱で仮接着されて得られるためTFTガラス基板Gに接着する前の段階でカラーフィルタ層25の長寸法変化や位置ずれが生じているおそれはない。しかも、画素電極26やTFT5,6などは剛性が強く、熱膨張係数の小さい第2ガラス基板10a上に形成されている。従って、TFTガラス基板Gの上に仮フィルム付きカラーフィルタ層Fを精度よく位置合わせして配置することができる。
本実施形態と違って、カラーフィルタ層と、画素電極及びTFTとを別のフィルム上に形成し、それらをラミネートする方法では、両者共に基板の剛性が弱く、かつ熱膨張係数が大きいため精度よく位置合わせすることは困難である。
図11に示すように、第1実施形態のフレキシブルTFT基板1では、ベースフィルム60の上に第2接着層46a、カラーフィルタ層25、第1剥離層22、第1接着層46及び保護絶縁層44が順に形成されている。保護絶縁層44の中にはSw−TFT5とDr−TFT6が埋設されており、その上にバリア絶縁層30が形成されている。
Sw−TFT5は、下から順に、有機活性層38a、ソース電極36aとドレイン電極36b、ゲート絶縁層34、及びゲート電極32aが形成されて構成されており、有機活性層38aの下面にはキャップ保護層40a及びキャップバリア層42a(キャップ絶縁層)が設けられている。
Dr−TFT6においても、同様に、下から順に、有機活性層38b、ソース電極36xとドレイン電極36y、ゲート絶縁層34、及びゲート電極32bが形成されて構成されており、有機活性層38bの下面にはキャップ保護層40b及びキャップバリア層42b(キャップ絶縁層)が設けられている。
本実施形態では、前述した転写技術を採用するので、Sw−TFT5とDr−TFT6は、バリア絶縁層30の上に形成されたSw−TFT5及びDr−TFT6が上下反転した状態となって配置されている。
このため、Sw−TFT5とDr−TFT6において、ゲート電極32a,32bはその上面が保護絶縁層44の上面と同一面となった状態でバリア絶縁層30の下面から下側に突出して配置されている。そして、ゲート電極32a,32bの下面及び側面がゲート絶縁層34で被覆されている。
さらに、ソース電極36a、36x及びドレイン電極36b、36yは、有機活性層38a、38bとゲート絶縁層34との間からゲート電極32a,32bの側方にかけて上側にそれぞれ延在している。
また、ソース電極36a、36x及びドレイン電極36b、36yの下側には有機活性層38a,38bが配置されており、ソース電極36a、36xとドレイン電極36b、36yとの間の有機活性層38a、38bの部分がゲート絶縁層34に接触するTFTのチャネル部となっている。
さらに、バリア絶縁層30の上に層間絶縁層28が形成され、画素電極26がその上面が露出した状態で層間絶縁層28に埋設されて形成されている。画素電極26及び層間絶縁層28の各上面は同一面となって平坦化されている。
また、画素電極26の所要部下の層間絶縁層28及びバリア絶縁層30の部分にはビアホールVHが設けられている。そして、Dr−TFT6のドレイン電極36yがビアホールVHを介して画素電極26に電気的に接続されている。
次に、第1実施形態のフレキシブルTFT基板1を使用して有機ELディスプレイを製造する方法について説明する。図12に示すように、まず、図11のフレキシブルTFT基板1の上面側に露出する画素電極26の上に、マスク蒸着法によって膜厚が例えば30nmの正孔輸送層52を選択的に形成する。正孔輸送層52としては、芳香族3級アミン誘導体であるα-NPDなどが好適に使用される。
さらに、同じく図12に示すように、正孔輸送層52上にマスク蒸着法によって白色発光層54を選択的に形成する。続いて、同じく図12に示すように、マスク蒸着法によって白色発光層54上に電子輸送層56を形成する。電子輸送層56としては、キノリノールアルミ錯体(Alq3)などが好適に使用される。
これにより、正孔輸送層52、白色発光層54及び電子輸送層56により構成される有機EL層50が得られる。
さらに、同じく図12に示すように、電子輸送層56上にマスク蒸着法によって画素電極26に対向する対向電極58を形成する。対向電極58は共通電極として形成される。本実施形態では、ベースフィルム60側から光が放出されるため、画素電極26が透明電極から形成され、対向電極58が、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)積層膜などの不透明電極から形成される。
これにより、画素電極26、有機EL層50及び対向電極58により構成される有機EL素子2が得られる。
その後に、同じく図12に示すように、有機EL素子2の上にそれを被覆する封止層59を形成する。封止層59としては、シリコン酸化層(SiOX)やシリコン窒化層(SiNX)などが使用され、例えば成膜温度が100℃程度の低温CVDにより形成される。
以上により、本発明の第1実施形態に係るフレキシブル有機ELディスプレイ3が完成する。
フレキシブル有機ELディスプレイ3では、Sw−TFT5及びDr−TFT6を含んで所要の電気回路が構成されている。そして、有機EL素子2の画素電極26(陽極)に正、対向電極58(陰極)に負の電圧を印加することにより、画素電極26(陽極)から注入された正孔と対向電極58(陰極)から注入された電子とが白色発光層54の内部で再結合することにより白色光が放たれる。
不透明の対向電極58側ではこの光が反射されて透明な画素電極26側からカラーフィルタ層25及びベースフィルム60を透過して外部に放出される(図12の矢印の方向)。
(第2の実施の形態)
図13〜図15は本発明の第2実施形態のフレキシブルTFT基板の製造方法を示す断面図、図16は同じくフレキシブルTFT基板を示す断面図である。
前述した第1実施形態では、カラーフィルタ層25と仮フィルム29とが粘着層27によって無加熱で仮接着された仮フィルム付きカラーフィルタ層FをTFTガラス基板Gの上に接着し、仮フィルム29及び粘着層27を除去した後に、再びベースフィルム60をカラーフィルタ層25の上に接着している。
第2実施形態の特徴は、仮フィルムを使用せずに、カラーフィルタ層とベースフィルムとを接着してベースフィルム付きカラーフィルタ層を作成し、これをTFTガラス基板の上に接着することにある。
第2実施形態では、第1実施形態と同様な工程についてはその詳しい説明を省略する。
第2実施形態のフレキシブルTFT基板の製造方法では、図13(a)に示すように、まず、第1実施形態と同様に、第1ガラス基板10の上に透明の第1剥離層22を形成する。次いで、図13(b)に示すように、第1実施形態と同様に、第1剥離層22の上にカラーフィルタ層25を形成する。
続いて、図13(c)に示すように、ベースフィルム60を用意する。ベースフィルム60は、第1実施形態と同様に、熱膨張係数が15ppm/℃以下の透明の繊維強化プラスチックフィルム、薄膜ガラスにフィルムをラミネートした透明積層フィルム、アラミドフィルム、又は薄膜ステンレス基板などが使用される。
そして、カラーフィルタ層25の上に光硬化型接着剤を介してベースフィルム60を積層する。さらに、外側からベースフィルム60を通して光硬化型接着剤に光照射することにより光硬化型接着剤を硬化させて第3接着層47を得る。
第2実施形態では、無加熱で仮接着できる粘着層を使用しないので、光硬化型接着剤を硬化させて第3接着層47を得る際に加熱処理が併用される場合は第1実施形態より不利になる。しかしながら、ベースフィルム60として、120℃程度の加熱処理では長寸法が変化しにくい小さい熱膨張係数(15ppm/℃以下)の材料を使用することにより、カラーフィルタ層25の長寸法変化を回避することができる。
なお、第1実施形態と同様に、ベースフィルム60として不透明の薄膜ステンレス基板を使用する場合は、第3接着層47として前述した第1接着層46と同様な遅延硬化性光硬化型接着剤又は2液混合型接着剤を使用する。ベースフィルム60として透明なフィルムを使用する場合には、汎用の光硬化型接着剤を使用することができる。
次いで、図13(d)に示すように、第1実施形態と同様に、第1ガラス基板10と第1剥離層22との界面(図13(c)のA部)から第1ガラス基板10を剥離する。
これにより、ベースフィルム60の上(図13(d)では下)に、第3接着層47、カラーフィルタ層25、第1剥離層22が形成されたベースフィルム付きカラーフィルタ層Fxが得られる。
続いて、図14に示すように、第1実施形態の図2(a)〜図6(a)の工程を遂行することにより、図6(a)と同一のTFTガラス基板Gを用意する。
そして、第1実施形態と同様に、TFTガラス基板G側の面、及びベースフィルム付きカラーフィルタ層Fx側の面の少なくとも一方の面に遅延硬化性光硬化型接着剤を塗布し、遅延硬化性光硬化型接着剤の全体に紫外線を照射する。その後に、TFTガラス基板Gとベースフィルム付きカラーフィルタ層Fxとを遅延硬化性光硬化型接着剤を介して積層する。
これにより、第1実施形態と同様に、一定時間経過した後に(例えば1〜60分後)、遅延硬化性光硬化型接着剤の硬化が始まってその全体が硬化して第1接着層47aとなる。このため、第1実施形態と同様に、第1接着層47aに未硬化の部分が発生するおそれがない。
あるいは、第1実施形態で説明したように、遅延硬化性光硬化型接着剤の代わりに、可使時間が10分以上の2液混合型接着剤を使用してもよい。
次いで、図15に示すように、第1実施形態と同様に、第2ガラス基板10aと第2剥離層22aとの界面から第2ガラス基板10aを剥離することにより第2剥離層22aを露出させる。
次いで、図16に示すように、第1実施形態と同様に、第2剥離層22a及び下地バリア層24を除去することにより、画素電極26を露出させる。図16では、図15の構造体に対して上下反転して描かれている。
以上により、第2実施形態のフレキシブルTFT基板1aが得られる。第2実施形態のフレキシブルTFT基板1aは、第1実施形態と製造方法は異なるが最終的には第1実施形態と同一の構造となる。
第2実施形態のフレキシブルTFT基板の製造方法は第1実施形態と同様な効果を奏する。
(第3の実施の形態)
図17は本発明の第3実施形態のフレキシブルTFT基板の製造方法を示す断面図、図18は同じくフレキシブルTFT基板を示す断面図、図19は同じくフレキシブルTFT基板をフレキシブル液晶ディスプレイに適用した例を示す断面図である。
第3実施形態では、フレキシブルTFT基板をフレキシブル液晶ディスプレイに適用する形態を例示する。第3実施形態では、第1実施形態と同一工程についてはその詳しい説明を省略する。また、同一要素には同一符号を付してその説明を省略する。
図17(a)に示すように、第1実施形態の図2(a)〜図6(a)までの工程を遂行することにより、前述した図6(a)のTFTガラス基板Gと実質的に同一のTFTガラス基板Gxを作成する。
図17(a)が図6(a)と異なる点は、液晶ディスプレイを構成するので各画素部に1つのスイッチング用のTFT7がそれぞれ設けられる。スイッチング用のTFT7はビアホールVHを介して画素電極26に接続される。
スイッチング用のTFT7は、第1実施形態のSw−TFT5及びDr−TFT6と同様に、ゲート電極32、ゲート絶縁層34、ソース電極36aとドレイン電極36b、及び有機活性層38により構成される。TFT7の上にはキャップ保護層40及びキャップバリア層42が形成されている。
次いで、図17(b)に示すように、TFTガラス基板Gxの上に第1接着層46を介して第1剥離層22及びカラーフィルタ層25が積層され、カラーフィルタ層25の上に第2接着層46aを介してベースフィルム60が積層された積層体を形成する。
TFTガラス基板Gxの上にカラーフィルタ層25及びベースフィルム60などを積層する方法は、第1実施形態で説明したようにTFTガラス基板Gxの上に仮フィルム付きカラーフィルタ層Fを第1接着層46で接着し、粘着層27及び仮フィルム29を剥離した後に、再びベースフィルム60を第2接着層46aで接着すればよい。
あるいは、第2実施形態で説明したように、ベースフィルム付きカラーフィルタ層FxをTFTガラス基板Gxの上に直接接着してもよい。
続いて、図18に示すように、第1実施形態と同様に、図17(b)の構造体から第2ガラス基板10aを剥離した後に、第1剥離層22a及び下地バリア層24を除去することにより画素電極26を露出させる。さらに、画素電極26の上に液晶を配向させるための配向膜21を形成する。図18では、図17(b)の構造体に対して上下反転して描かれている。
これにより、第3実施形態のフレキシブルTFT基板1bが得られる。第3実施形態のフレキシブルTFT基板の製造方法は第1実施形態と同様な効果を奏する。
そして、図19に示すように、フレキシブルTFT基板1bに対向して配置される対向基板1xを用意する。対向基板1xは、プラスチックフィルム20xと、その上に形成されたITOなどからなるコモン電極26xと、その上に形成された配向膜21xとによって基本構成される。
そして、フレキシブルTFT基板1bと対向基板1xとがスペーサで所定間隔が確保された状態で、周辺部に設けられるシール材(不図示)によって対向して接着され、さらにフレキシブルTFT基板1bと対向基板1xとの隙間に液晶23が封入される。
以上により、第3実施形態に係るフレキシブル液晶ディスプレイ4が完成する。
第1〜第3実施形態では、フレキシブルTFT基板をフレキシブル有機ELディスプレイやフレキシブル液晶ディスプレイの素子基板に適用する例を説明したが、電気泳動方式などを使用した電子ペーパーなどの各種のフレキシブルディスプレイの素子基板として適用することができる。